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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】負荷電流を制限する方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
H02J1/00 306F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571564
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(85)【翻訳文提出日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2020064705
(87)【国際公開番号】W WO2020249397
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】102019208410.9
(32)【優先日】2019-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヘンパート ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ズュルツレ ヘルムート
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165BB02
5G165GA09
5G165HA07
5G165JA07
5G165LA01
5G165LA04
(57)【要約】
第1の負荷部に電流を供給する供給回線で負荷電流を制限する方法が記載され、次の各ステップを有する:-第1の時間インターバルと第2の時間インターバルが規定され(S1)、第1の時間インターバルは供給回線への第1の負荷部の接続時点(T0)の後に開始され、第2の時間インターバルは第1の時間インターバルよりも遅れて開始され;-第1および第2の時間インターバルの範囲内で負荷電流が第1の値(I1)に制限され(S2);-少なくとも第2の時間インターバルの終了時(T3)に負荷電流が第2の値(I2)に制限され(S3)、第2の値(I2)は第1の値(I1)よりも小さい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の負荷部に電流を供給する供給回線で負荷電流を制限する方法において、次の各ステップを有し、
第1の時間インターバルと第2の時間インターバルが規定され(S1)、前記第1の時間インターバルは前記供給回線への前記第1の負荷部の接続時点(T0)の後に開始され、第2の時間インターバルは第1の時間インターバルよりも遅れて開始され、
前記第1および前記第2の時間インターバル内で負荷電流が第1の値(I1)に制限され(S2)、
少なくとも前記第2の時間インターバルの終了時(T3)に負荷電流が第2の値(I2)に制限され(S3)、前記第2の値(I2)は前記第1の値(I1)よりも小さい方法。
【請求項2】
負荷電流の前記第1の値(I1)は負荷電流特性曲線を用いて前記第1の負荷部の端子電圧に依存して決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1および/または前記第2の時間インターバルで前記端子電圧が決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
負荷電流の前記第2の値は少なくとも前記供給回線の一部の抵抗値によって決定される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および前記第2の時間インターバルで負荷電流が前記第2の値(I2)に制限される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の時間インターバルの開始時に負荷電流が前記第1の値(I1)に制限され、前記第2の時間インターバル内で事前定義された推移によって前記第2の値(I2)に制限される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
負荷電流は、前記第2の時間インターバル内で制御方法に準じて所定の目標電圧推移によって制限され、および、前記第1および/または前記第2の時間インターバルで前記第1の負荷部で測定される端子電圧によって制限される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記供給回線は第1の負荷部と第2の負荷部とに電流を供給し、負荷電流の前記第2の値(I2)は前記第2の負荷部の端子電圧に依存して決定される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
負荷電流の大きさが負荷電流の前記第1および/または前記第2の値(I1,I2)に達したときに、少なくとも半自動式の車両を制御するための制御信号および/または車両乗員に警告するための警告信号が発信される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法を実施するためにセットアップされている装置。
【請求項11】
コンピュータによりプログラムが実行されたときに請求項1から9のいずれか1項に記載の方法を実施するようにこれに指図するコマンドを含んでいるコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラム製品が格納されている機械可読の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の負荷部に電流を供給する供給回線で負荷電流を制限する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の車内電気システムでは、たとえば電気回線や接点に基づく電気抵抗が存在する。このような抵抗を通って電流が流れると抵抗を介して電圧降下が発生し、電力消費部ないしは負荷部で利用できる端子電圧が低下する。このような抵抗を通る電流の大きさに伴って、このような抵抗での電圧降下も増大する。必要な出力と、車内電気システムでの比較的低い電圧とに基づいて非常に大きい電流が流れ、その結果、接続されている電気負荷部の、たとえば電気部品ユニットなどの機能にとってこの現象は重要となる。供給回線の少なくとも一部を介しての電圧降下に基づき、このような部品ユニットの接続端子に低すぎる電圧が印加されると、場合によりすべての機能を維持することができなくなり、または、その帰結として得られる性能が制約される。その場合、部品ユニットの型式やプログラミングされているシナリオに応じて、たとえば電気式に操作されるブレーキなどのこのような部品ユニットの性能が引き下げられるか、または、このような部品ユニットの不作動化という形でフォールバックレベルへの移行が行われて、相応の警告がなされ、もしくは冗長的なシステムを用いたフォールバックソリューションへの移行がなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
供給回線での抵抗に基づくこのような電圧低下を制限するために、そうしたケースで電力消費部の消費電力を電圧の直接的な関数として低減させる電流制限を有するシステムが構築される。それにより、若干のケースで負荷部そのものの、または同じ引込回線で供給を受ける第2の部品ユニットの、フォールバックレベルへの移行を防止することができる。しかしこのことは、そのような部品ユニットの低減された性能を惹起する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、供給回線で負荷電流を制限する方法、装置、コンピュータプログラム、および機械可読の記憶媒体を、それぞれ独立請求項の構成要件に基づいて開示する。好ましい実施形態は、従属請求項ならびに以下の説明の対象である。
【0005】
本発明が依拠する知見は、一次部品ユニットの性能の犠牲が帰結されることがあろうとも、二次的に接続された部品ユニットによって提供されるシステム全体の追加機能が維持されるような性質を有する電流制限を意図することが、システム全体の利用にとってより好都合であり得るというものである。たとえば制動時にアンチロックシステム(ABS)が恒常的に維持されることは、最大のブレーキ力よりも重要であり得る。なぜなら通常の条件下では、ブレーキ力の40%のもとですでにブレーキがロックされるからである。
【0006】
1つの態様によれば、供給回線で負荷電流を制限する方法が開示され、供給回線は第1の負荷部に電流を供給する。
本方法の1つのステップで、第1の時間インターバルと第2の時間インターバルが規定され、第1の時間インターバルは供給回線への第1の負荷部の接続時点の後に開始され、第2の時間インターバルは第1の時間インターバルよりも遅れて開始される。
【0007】
次のステップで、第1および第2の時間インターバル内で負荷電流が第1の最大値に制限される。
【0008】
次のステップで、少なくとも第2の時間インターバルの終了時に、負荷電流が第2の最大値に制限され、第2の最大値は第1の最大値よりも小さい。
【0009】
本発明のここでの説明全体において、各方法ステップの順序は本方法を容易に理解可能であるように記述されている。しかしながら当業者は、方法ステップの多くを別の順序で実行することもでき、同じ結果または相応の結果につながることを認識する。この意味において、各方法ステップの順序を相応に変更することができる。
【0010】
第1の負荷部が供給回線とつながれる接続の後に第1および第2の時間インターバル内で負荷電流が第1の値に制限されることの利点は、電気供給回線の少なくとも一部を介しての電圧降下を制限することができるという点にある。第1の負荷部への電気エネルギーの引込回線における抵抗に基づき、供給回線そのものの内部でも接触個所でも、生じる電流によって引き起こされる電圧降下が発生し得る。このような電流が制限されていれば、第1の負荷部およびその他の負荷部における端子電圧が、結果として生じる電圧値よりも低く降下し得ることが回避される。というのも、たとえば電源に由来する供給電圧から、電気引込回線の抵抗での電圧降下が差し引かれなければならず、その場合、たとえば第1の負荷部にとって端子電圧という形では利用可能でなくなるからである。
【0011】
このように、負荷電流のこのような制限により、第1の負荷部が少なく1つの基本機能性を提供するために必要とする最小端子電圧を下回らないことを実現することができる。その際にこの第1の負荷部を、複数の負荷部を有するシステムとして把握することもできる。このことは、たとえば電気式に作動する車両のブレーキシステムについて特別に重要であり得る。なぜなら典型的にはブレーキシステムは、通常の条件下で完全なブレーキ出力を準備するために、一部分の性能だけですでに足りるように設計されるからである。このことは、このような一部分の性能のもとで、たとえば制動されるホイールがロックされることを意味し得る。
負荷電流の制限によって最小端子電圧を下回らないことにより、同じく供給回線から電気エネルギーの供給を受ける他の部品ユニットも、その機能性を保証する最小端子電圧の提供を受けることができる。
【0012】
少なくとも第2の時間インターバルの終了時に負荷電流が第1の値よりも小さい第2の値に制限されることで、供給回線への負荷部の接続後の第2の時間領域で負荷電流が引き続き制限されて、上に述べた最小端子電圧よりも高い端子電圧を第1の負荷部で提供することを実現することができる。このことが特に好ましくなり得るのは、同じく供給回線から電気エネルギーの供給を受ける他の部品ユニットが、ある程度の時間幅にわたってその機能性を提供できるようにするために、最小端子電圧よりも高い端子電圧を必要とする場合である。
【0013】
このように、場合により必要となる最大の負荷電流を、第1の時間インターバルの間に第1の値の大きさでたとえば第1の負荷部のために提供することができ、この第1の時間インターバルでは二次負荷部としての他の部品ユニットがその機能性を依然として維持し、第2の時間インターバルでの負荷電流の追加的な制限によって、第2の時間インターバルでの第1の負荷部の性能を犠牲にしたうえでではあるが、追加の部品ユニットがその機能性を維持することが保証される。というのも、いっそう低い値に電流制限がなされることで、第1の負荷部もいっそう低い負荷電流しか供給回線から取り出せなくなるからである。
【0014】
本方法の1つの実施形態によれば、第2の時間インターバルは第1の時間インターバルにただちに後続することが提案される。
【0015】
第1および第2の時間インターバルの間に、第1の値への制限が第2の値への制限へと移行する時間インターバルが設けられていてもよい。第1ないし第2の値への制限のためのシステムの構成に応じて、相応の切換時間が必要になり得る。
同様に、第1の負荷部の接続時点の後かつ第1の時間インターバルの開始の後に、別の時間インターバルが設けられていてもよい。
【0016】
本方法の別の実施形態によれば、負荷電流の第1の値は、負荷電流特性曲線を用いて、第1の負荷部の端子電圧に依存して決定されることが提案される。
【0017】
負荷電流と、第1の負荷部における端子電圧との間の関係を定義するこのような負荷電流特性曲線を用いて、第1の負荷部の電気接続部で結果として生じる電圧が最小値を下回らない程度まで、負荷電流が制限されることを保証することができる。
【0018】
このような安全性措置により、少なくとも同じく車内電気システムと接続されている他の部品ユニットが、たとえば車内電気システム全体を低すぎる電圧に引き下げることになる第1の負荷部の機能の欠如によって、その機能性を維持することが保証される。なぜなら相応の最小電圧が維持されるからである。
【0019】
本方法の別の実施形態によると、負荷電流特性曲線についての端子電圧が第1および/または第2の時間インターバルで決定されることが提案される。
第1の値への負荷電流の制限が第2の時間インターバルでも継続されるときには、第2の時間インターバルでも端子電圧が決定されなければならず、第2の時間インターバルでの制限が第1の値よりも小さい第2の値まで行われるときには、第2の時間インターバルでの第1の値への負荷電流の制限によって、システム全体の安全性を高めるフォールバックソリューションが負荷電流の制限について実現される。
【0020】
本方法の別の実施形態によると、第1および第2の時間インターバルの範囲外でも端子電圧が決定されることが提案される。それに伴い、供給回線への第1の負荷部の接続前にも第1の負荷部の端子電圧の電圧値が提供されて、供給回線への第1の負荷部の接続後のいっそう短いタイムスパン内で、負荷電流の制限を達成できるようにすることが実現される。
【0021】
本方法の別の実施形態によると、負荷電流の第1の値は、負荷電流の値の大きさの制御により、第1の負荷部または第2の負荷部における端子電圧に依存して制限されることが提案される。
【0022】
本方法の別の実施形態によると、負荷電流の第2の値は供給回線の少なくとも一部の抵抗値によって決定されることが提案される。
【0023】
供給回線の少なくとも一部のこのような抵抗値は、独立した抵抗測定で判定することができる。このような抵抗は、供給回線そのものの抵抗の結果として生じ得る。なぜなら車両ではたとえば腐食に基づき、そのような車両の稼働期間の経過につれてこの値が上昇し得るからである。これに加えて、何よりもまず接点での接触抵抗に基づいてこのような抵抗が生じ、このような接触抵抗がたとえば腐食によって稼働期間内に増大し得る。
【0024】
このような供給回線の抵抗は、ここでは別段の説明が明示的にされていない限り、負荷部が接続された供給回線の末端で端子電圧を生じるすべての抵抗が1つの値にまとめられるという意味で理解される。すなわち、これには接触抵抗と接地接続も含まれる。
【0025】
供給回線のこのような抵抗値がたとえば先行する測定から既知であれば、第1の負荷部での相応の最小端子電圧を保証するために電流が最大でどれだけの大きさであり得るかを、オームの法則に従って判定することができる。
【0026】
同じく供給回線に接続されている他の部品ユニットまたは負荷部が、たとえば第1の時間インターバルと第2の時間インターバルとを含む時間帯にその機能性を維持することができるので、第2の時間インターバルの終了時に電流が相応に制限されることで、機能性を連続して維持するためにそのような部品ユニットにとって必要である最小端子電圧が保証されることが実現される。
【0027】
このとき、たとえば第1の時間インターバルを非常に短く選択することができ、または、この値が第1の時間インターバルのあいだにも、第1の時間インターバルで電流が制限される負荷電流の値を規定することができる。
【0028】
本方法の別の実施形態によると、供給回線の少なくとも一部の抵抗値は、負荷電流を制限する方法に関わりなく決定されることが提案される。
それに伴い、たとえば第1の時間インターバルでの負荷電流の制限を、すなわち、たとえば供給回線への第1の負荷部の接続の直後に、負荷電流の判定された第1の値に制限できることが実現される。
【0029】
本方法の1つの実施形態によると、第1および第2の時間インターバルで負荷電流が負荷電流の第2の値に制限されることが提案され、この第2の値は、上に説明した供給回線の少なくとも一部の抵抗値を用いて決定される。
【0030】
このようにして、結果として生じるある程度の最小端子電圧が、第1の時間インターバルでも第2の時間インターバルでも維持されることが実現される。
【0031】
本方法の1つの実施形態によると、第2の時間インターバルの開始時に負荷電流が第1の値に制限され、第2の時間インターバル内で負荷電流の事前定義された推移をもって第2の値に制限されることが提案される。
【0032】
このような推移は比較的線形に、累進的に、累減的に、単調減少するように、または切換式に、すなわち推移の中で飛躍を有するように、制御することができる。
すなわち、このようにして第2の時間インターバルでも、たとえばこの第2の時間インターバル内でいっそう高い出力を出すことを第1の負荷部に可能にする、比較的高い負荷電流を利用することができる。このことは電気で作動するブレーキシステムについては、第2の時間インターバル内でのブレーキ出力が、第2の時間インターバルの終了後よりも高いことを意味し得る。
【0033】
本方法の別の実施形態によると、負荷電流は、第2の時間インターバル内で制御方法に準じて所定の目標電圧推移によって制限され、および、第1および/または第2の時間インターバルで第1の負荷部で測定される端子電圧によって制限されることが提案される。
【0034】
すなわちこの実施形態では、電圧の一部が負荷電流に依存して降下し得る、かつそのようにして低減された端子電圧を提供する、抵抗値の知見が必要ない。電圧が決定されることで、たとえば第1の負荷部における端子電圧が決定されることで、目標電圧または目標電圧推移との比較で、負荷電流の第2の値が制限されるべき値をたとえば制御回路によって判定することができる。このようにして設定された目標電圧推移を、さまざまに異なるタイムスロットで可能な目標電圧に合わせて非常に厳密に適合化することができ、そのようにして、たとえば第1の負荷部について、最新の電圧測定に基づいて車内電気システムの最新の状態を考慮に含めることができる最大限可能な電流を提供することができる。このような目標電圧推移は、第2の負荷部の継続動作を上で説明したように可能にするために、第2の時間インターバルの終了時T3に、U2の大きさの目標電圧を設定することができる。
【0035】
それに伴って一方では、供給回線の抵抗値の事前の決定が必要でなく、また、負荷電流がその大きさに関して、および利用できる第2の時間インターバルに関して、最小端子電圧すなわち目標電圧を保証するのに必要である程度にのみ実際に制限されることが実現される。
【0036】
このようにして、第2の時間インターバルで第1の負荷部の最大負荷電流を、必要な端子電圧の所与の周辺条件のもとで提供できることが実現される。
第2の時間インターバルでの負荷電流のこのような制限により、第1の端子電圧を一時的に必要とする、ないしは第1の端子電圧よりも高い第2の端子電圧を恒常的に必要とする、他の部品ユニットないし第2の負荷部を連続的に作動させることができる。それにもかかわらず、第1の負荷部について第2の時間インターバルでも、比較的高い性能を可能にする負荷電流を利用することができる。
【0037】
これに加えて引込回線抵抗が既知である場合、端子電圧に依存して負荷電流の第2の値を決定するときにこれを考慮に含めて、目標電圧と比較したときの端子電圧に依存して、負荷電流の電流制限についての制御方法を最適化することができる。
【0038】
本方法の別の実施形態によると、第1の時間インターバルの前に位置する、または第1と第2の時間インターバルの間に位置する、スタート時間インターバル内で負荷電流の制限が行われないことが提案される。このスタート時間インターバル内ではたとえば電圧測定を行うことができ、あるいは負荷電流を制限するための電子回路のむだ時間も存在し得る。
【0039】
本方法の別の実施形態によると、測定された第1の電圧値と目標電圧値、および所定の第2の時間インターバルを用いて、調整速度に関わる電圧制御のパラメータが決定されることが提案される。
【0040】
それに伴い、負荷電流の第2の値の決定を、測定された電圧に依存して、所与のシステムに合わせて最善に適合化できることが実現される。このとき、場合により既知である供給回線の抵抗値も考慮することができる。
【0041】
本方法の別の実施形態によると、供給回線は第1の負荷部と第2の負荷部とに電流を供給し、負荷電流の第2の値は第2の負荷部の最小端子電圧に依存して決定されることが提案される。
【0042】
第2の負荷部の最小端子電圧が考慮されることで、少なくとも第2の時間インターバルの終了後に第2の負荷部を作動させることができる。
第1の負荷部が基本機能性のために第2の負荷部よりも低い最小電圧を必要とする場合、第2の時間インターバルの終了後に第2の負荷部を引き続き作動させることができる。このとき第2の負荷部は、第1ないし第2の時間インターバル内で第2の負荷部の機能性がこの限られた時間のあいだ与えられるように構成されていてよい。
事前定義された時間の後に、かつ第2の負荷部で提供される電圧に依存して、第2の負荷部は機能性を調整するようにセットアップされていてよく、および場合により許容可能でない時間幅を必要とするリセットプロセスを通じてのみ再び作動し得る、。この時間幅は、ないしは、機能性の調整が行われる第1ないし第2の負荷部で提供されるこの電圧は、第1ないし第2の負荷部について相違していてよい。第1の時間インターバルおよび/または第2の時間インターバルは、第2の負荷部が第2の端子電圧以下で機能性を保たれる時間幅に依存して、または、時間範囲であってその満了時にまだちょうどリセットプロセスをリリースしなくてよい時間範囲に依存して、定義されていてよい。
【0043】
本方法の別の実施形態によると、負荷電流の大きさが負荷電流の第1および/または第2の値に達したときに、少なくとも半自動式の車両を制御するための制御信号および/または車両乗員に警告をするための警告信号が発信されることが提案される。
【0044】
本方法の別の実施形態によると、負荷電流の大きさが負荷電流の第1および/または第2の値に指定された時間幅にわたって達したときに、またはこれを超過したときに、少なくとも半自動式の車両を制御するための制御信号および/または車両乗員に警告をするための警告信号が発信されることが提案される。この指定される時間幅は、1回の超過が生じる、最低限可能な時間インターバルも含む。
【0045】
第1および/または第2の値に準ずる負荷電流の大きさへの到達は、場合により少なくとも部分的に第1ないし第2の負荷部の機能性が制約されることを意味するので、このことは少なくとも半自動式の車両では、何らかの走行動作を実行できなくなったり、運転者が車両を再び自分で運転しなければならないことにつながり得る。制約される機能性の時間が短いことに基づいてその後に完全な機能性を再び利用できるときは、場合により車両運転者への警告でも十分であり得る。
【0046】
上に説明した方法を実施するようにセットアップされた装置が開示される。このような装置によって、本方法を迅速かつ簡易にさまざまな比較的大型のユニットへ組み込むことができる。そのような比較的大型なユニットは少なくとも半自動式の車両であってよく、あるいは、車両で利用される運転者アシストシステムであってもよい。
【0047】
供給回線で負荷電流を制限する上述した方法は数多くの利用ケースで適用することができ、特に、電気油圧式のブレーキシステムが使用されるあらゆる利用ケースで適用することができる。この関連において車両とは一般に、少なくとも半自動式の車両または運転者アシストシステムを有する車両を含めた自動車、ならびに特にオートバイ、建設機械、農業用車両などであると理解される。あるいは一般に移動型プラットフォーム、移動型マルチセンサロボット、たとえばロボット掃除機や芝刈り機、移動型マルチセンサ監視システム、製造機械、パーソナルアシスタント、入室管理システムであり得る。これに加えて本方法は一般に、たとえば電気油圧式のブレーキシステムを有する移動型でない機械でも適用することができる。
【0048】
コンピュータによってプログラムが実行されたとき、上で説明した方法を実施するようにこれに指図するコマンドを含むコンピュータプログラムが開示される。このようなコンピュータプログラムにより、本方法をさまざまなシステムへ容易に組み込むことができる。
【0049】
上に説明したコンピュータプログラム製品が格納された機械可読の記憶媒体が開示される。このような機械可読の記憶媒体により、上で説明したコンピュータプログラムを容易にトランスポートすることができる。
【0050】
本発明の実施例が図1から3を援用して示されており、以下において詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本方法の目標電圧と時間インターバルである。
図2】本方法の時間インターバルで制限される負荷電流推移の例示である。
図3】負荷電流特性曲線の例示としての推移である。
図4】時間インターバルにおける端子電圧の例示としての推移である。
図5】負荷電流を制限する方法ステップである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1には、供給回線への負荷部の接続後におけるさまざまな時間インターバルでの目標電圧が一例として示されている。時点T0で第1の負荷部が供給回線につながれ、T1までスタート時間インターバルがこれに後続することができ、それは、場合により電流制限が行われず、もしくはここに示さない電流制限が行われることによる。このときスタート時間インターバルを全面的に省略することもできる。
第1の時間インターバルが時点T1で開始され、たとえば時点T2で終了することができる。図1では、第2の時間インターバルが第1の時間インターバルにそのまま後続しており、第2の時間インターバルは時点T3で終了する。T2’とT3との間の時間インターバルが補正プロセスのための安全マージンとして設けられていてよく、または、端子電圧に依存する電流の制御に基づいて端子電圧がU1からU2へと制御される時間インターバルのために設けられていてよい。
第1の目標電圧U1は第2の目標電圧U2よりも低く、T1からT3にまで及ぶ。第2の目標電圧U2は時点T3で開始される。これらの電圧と時間インターバルは、たとえば第1の負荷部に準じて第2の負荷部として供給回線に接続され、そのようにして同じ供給回線を有する部品ユニットに対する、技術的な設定や要求に基づいて与えられていてよい。
【0053】
第1の実施例では、第1の負荷部の端子電圧はT1とT3の間の限られた時間インターバルのあいだ第2の目標電圧U2よりも下、かつ第1の目標電圧U1よりも上で保持されることが意図される。そのために、第1の負荷部に電流を供給する供給回線の負荷電流が制限される。
T1からT2までの第1の時間インターバルと、T2からT3までの第2の時間インターバルとが規定されS1、第1の時間インターバルは、供給回線への第1の負荷部の接続時点T1の直後に開始される。その代替として、負荷部の接続時点と、T1での第1の時間インターバルの開始との間に、さらに定義されたスタートインターバルがT0とT1との間に存在し得る。このとき第2の時間インターバルは時点T2で、時点T1での第1の時間インターバルよりも遅く開始される。図1では、第2の時間インターバルは時点T2で第1の時間インターバルにそのまま後続している。
【0054】
図2は、たとえば供給回線への負荷部の接続前の負荷電流I0の値から第1の値I1へと制限されるS2、第1の時間インターバルと第2の時間インターバルとの範囲内で本方法に従って制限される負荷電流24の推移を示している。このとき負荷電流の第1の値I1は負荷電流特性曲線30(図3)により、第1の負荷部の端子電圧に依存して決定される。
【0055】
図3には、必要な電流制限を判定するための例示としての負荷電流特性曲線が、第1の負荷部の端子電圧Uに依存して略示されている。第1の負荷部の端子電圧Uが第2の目標電圧U2よりも高い限りにおいて、最大電流I0を供給回線から提供することができる。端子電圧Uの測定が、第2の目標電圧U2を下回っていることを判定するとただちに、特性曲線30に従って負荷電流がたとえば負荷電流の第1の値I1まで引き下げられて、第1の負荷部における第1の目標電圧U1の大きさの端子電圧Uを保証する。
【0056】
第1の負荷部の供給回線における負荷電流は、第2の時間インターバル内で、少なくとも負荷電流の第2の時間インターバルT3の終了時に第2の値I2よりも大きくならないように制限されS3、第2の値I2は負荷電流の第1の値I1よりも小さい。
【0057】
1つの実施例によれば、第1および/または第2の時間インターバルで端子電圧Uが決定され、負荷電流の第2の値I2は少なくとも供給回線の一部の抵抗値によって決定される。供給回線の少なくとも一部のこの抵抗値は、負荷電流の制限には関わりのない方法で決定することができる。このとき第2の電流I2は、決定ないし測定された端子電圧から、この抵抗値とともにオームの法則に従って算出される。第1の値I1から第2の値I2への負荷電流のさらなる制限に基づく、端子電圧の1つの考えられる推移は、図4に示すような端子電圧推移46を惹起することができる。ここでは端子電圧は、たとえば部品ユニットのスイッチオフを帰結することになる電圧時間領域42,44が回避されるように推移している。その結果として、第2の時間インターバルの後に位置する時間帯のあいだ、値U2よりも大きい、したがって同じく供給回線と電気接続された他の部品ユニットを上で説明したように連続的に作動させることができる、第1の負荷部の端子電圧Uが生じる。
【0058】
別の実施例によれば、負荷電流は第1および第2の時間インターバルで、図2に供給回線の負荷電流の推移22で略示されているように判定される第2の値I2に制限される。
【0059】
別の実施例によれば、第2の時間インターバルT2の開始時に負荷電流を負荷電流の第1の値I1に制限し、第2の時間インターバル内で、負荷電流の制限の事前定義された推移に準じて、第2の時間インターバルの終了時T3に第2の値I2にすることができる。図2では、このことは第1および第2の時間インターバルでの負荷電流の推移24および26で略示されており、推移26では一例として第2の時間インターバルで主として線形の推移が選択されている。あるいは第2の時間インターバルでの負荷電流の推移は、一例として時点T2での飛躍的な推移24によっても略示されているように、これ以外の形状を有することもできる。
【0060】
別の実施例によれば、第2の時間インターバル内で負荷電流が第2の値l2に制限され、第2の値I2は上述したように抵抗測定によって計算されるのではなく、制御方法に応じて第2の時間インターバルで、たとえば第1の目標電圧U1などの所定の目標電圧と、第1および/または第2の時間インターバルで測定される第1の負荷部での端子電圧Uとを用いて決定される。そのために、端子電圧Uが少なくとも第2の時間インターバル内で反復して測定され、制御方法に応じて負荷電流を相応の値に制限し、それにより、第2の時間インターバル内で第1の負荷部における端子電圧Uが第2の目標電圧U1よりも高くなるようにされ、第2の時間インターバルの終了時には負荷電流が第2の値I2に制限され、それにより、第1の負荷部における端子電圧Uが第2の目標電圧U2よりも高くなるようにされる。
【0061】
図5には、上で説明した方法ステップS1からS3が略示されている。
【符号の説明】
【0062】
S1 方法ステップ
S2 方法ステップ
S3 方法ステップ
T0 接続時点
T3 第2の時間インターバルの終了
I1 第1の値
I2 第2の値
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】