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特表2022-535070車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路、車両、及び方法
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  • 特表-車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路、車両、及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路、車両、及び方法
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/695 20150101AFI20220728BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20220728BHJP
   H02P 7/06 20060101ALI20220728BHJP
   H02P 7/29 20160101ALI20220728BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
E05F15/695
B60J1/00 Z
H02P7/06 G
H02P7/29 A
H01H9/54 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571728
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(85)【翻訳文提出日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2020065166
(87)【国際公開番号】W WO2020245099
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】102019208065.0
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Sieboldstrasse 19, D-90411 Nuernberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト フィンケンツェラー
【テーマコード(参考)】
2E052
5G034
5H571
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA02
2E052CA06
2E052EA14
2E052EB01
2E052EC01
2E052GD05
2E052LA08
5G034AB07
5G034AE03
5G034AE06
5H571AA03
5H571BB07
5H571EE02
5H571HA04
5H571HA09
5H571HA16
5H571HC01
5H571HD02
5H571JJ03
5H571LL43
5H571MM01
(57)【要約】
本発明は、車両(4)のウィンドウリフタ(3)の電気モータ(2)を制御する回路(1)に関し、電気モータ(2)は、第1の極(5)に電源電位(US)が印加され、且つ、同時に第2の極(6)にグランド電位(UM)が印加された場合に、ウィンドウリフタ(3)に対応するウィンドウ(7)を開くように構成されている。本発明は以下を提供する。回路(1)は操作素子(9)を備え、その操作素子は、操作された場合に、補助回路(12)の第1の入力端子(11)に操作信号(10)を供給するように構成されている。その際、補助回路(12)は、操作信号(10)が第1の入力端子(11)に印加され、且つ、同時にアクティブ化信号(15)が補助回路(12)の第2の入力端子(13)に印加された場合に、電気モータ(2)の第1の極(5)に第2の電源電位(US2)を供給するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(4)のウィンドウリフタ(3)の電気モータ(2)を制御する回路(1)であって、
前記電気モータ(2)の第1の極(5)は、第1のスイッチ素子(T1)を介して電源電位(US)に接続され、第3のスイッチ素子(T3)を介してグランド電位(UM)に接続され、
前記電気モータ(2)の第2の極(6)は、第2のスイッチ素子(T2)を介して前記電源電位(US)に接続され、第4のスイッチ素子(T4)を介して前記グランド電位(UM)に接続され、
前記回路(1)は制御ユニット(16)を備え、その制御ユニットは、それぞれの前記スイッチ素子(T1,T2,T3,T4)の制御端子(G1,G2,G3,G4)にそれぞれの制御信号(8)を印加することによって、前記スイッチ素子(T1,T2,T3,T4)を導通状態又は遮断状態にスイッチするように構成されており、
前記電気モータ(2)は、前記第1の極(5)に前記電源電位(US)が印加され、且つ、同時に前記第2の極(6)に前記グランド電位(UM)が印加された場合に、前記ウィンドウリフタ(3)に対応するウィンドウ(7)を開くように構成されている、車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路(1)において、
前記回路(1)は操作素子(9)を備えており、その操作素子は、操作された場合に、補助回路(12)の第1の入力端子(11)に操作信号(10)を供給するように構成されており、
前記補助回路(12)は、前記操作信号(10)が前記第1の入力端子(11)に印加され、且つ、同時にアクティブ化信号(15)が前記補助回路(12)の第2の入力端子(13)に印加された場合に、前記電気モータ(2)の前記第1の極(5)に第2の電源電位(US2)を供給するように構成されていることを特徴とする、車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路(1)。
【請求項2】
前記補助回路(12)は、第5のスイッチ素子(T5)と第6のスイッチ素子(T6)とを有しており、
前記電気モータ(2)の前記第1の極(5)は、前記第5のスイッチ素子(T5)を介して前記第2の電源電位(US2)に接続され、
前記第5のスイッチ素子T5の制御端子(G5)は、前記第6のスイッチ素子(T6)を介して、前記補助回路(12)の前記第1の入力端子(11)に接続され、
前記第6のスイッチ素子T6のアクティブ化端子(A6)は、前記補助回路(12)の前記第2の入力端子(13)に接続され、
前記第6のスイッチ素子(T6)は、前記第6のスイッチ素子(T6)の前記アクティブ化端子(A6)に前記アクティブ化信号(15)が印加された場合に、導通状態にスイッチされるように構成されており、
前記第5のスイッチ素子(T5)は、前記第5のスイッチ素子(T5)の前記制御端子(G5)に前記操作信号(10)が印加された場合に、導通状態にスイッチされるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記第5のスイッチ素子(T5)は、前記第1のスイッチ素子(T1)と並列に接続されており、第2の電源電位(US2)として前記電源電位(US)に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の回路(1)。
【請求項4】
前記スイッチ素子(T1,T2,T3,T4)は、それぞれのアクティブ化端子(A1,A2,A3,A4)を有しており、
前記スイッチ素子(T1,T2,T3)は、前記アクティブ化信号(15)が前記それぞれのアクティブ化端子(A1,A2,A3)に印加された場合に、遮断状態にスイッチするように構成されており、
前記スイッチ素子(T4)は、前記アクティブ化信号(15)が前記アクティブ化端子(A4)に印加された場合に、導通状態にスイッチするように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の回路(1)。
【請求項5】
前記制御ユニット(16)は、アクティブ化端子(A16)を有し、
前記制御ユニット(16)は、前記アクティブ化信号(15)が前記アクティブ化端子(A16)に印加された場合に非アクティブ化されるように構成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の回路(1)。
【請求項6】
前記回路(1)はセンサ回路(14)を備え、そのセンサ回路は、所定の状態を検知した場合に、少なくとも前記アクティブ化端子(A1,A2,A3,A4)に前記アクティブ化信号(15)を供給するように構成されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の回路(1)。
【請求項7】
前記センサ回路(14)は、水侵入センサとして形成されており、前記所定の状態として前記車両(4)内への水の浸入を検知するように構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の回路(1)。
【請求項8】
前記スイッチ素子(T1,T2,T3,T4,T5,T6)は、半導体スイッチ素子として形成されていることを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載の回路(1)。
【請求項9】
前記スイッチ素子(T1,T2,T3,T4)は、NチャネルFETとして形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の回路(1)。
【請求項10】
前記スイッチ素子(T6)は、PチャネルFETとして形成されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載の回路(1)。
【請求項11】
前記スイッチ素子(T6)は、PNPトランジスタとして形成されていることを特徴とすることを特徴とする、請求項8又は9に記載の回路(1)。
【請求項12】
前記回路は、所定のエラー信号によって前記スイッチ素子(T3,T4)を遮断状態にスイッチするように構成された機能安全回路(17)を備え、
前記機能安全回路(17)は、前記機能安全回路(17)のスイッチ素子(T8)のアクティブ化端子(A8)に前記アクティブ化信号(15)が印加された場合に、非アクティブ化されるように構成されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の回路(1)。
【請求項13】
前記補助回路(12)はツェナーダイオード(18)を有し、
前記第5のスイッチ素子(T5)の前記制御端子(G5)は、前記ツェナーダイオード(18)を介して前記第6のスイッチ素子(T6)に接続されており、
前記制御端子(G5)は、抵抗(R)を介して前記電源電位(US)に接続されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の回路(1)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の回路(1)を備えた車両(4)。
【請求項15】
車両(4)のウィンドウリフタ(3)の電気モータ(2)を制御する回路(1)の動作方法であって、
前記回路(1)の操作素子(9)が操作された場合に、その操作素子によって、操作信号(10)を補助回路(12)の第1の入力端子(11)に供給し、
前記操作信号(10)が前記第1の入力端子(11)に印加され、且つ、同時にアクティブ化信号(15)が前記補助回路(12)の第2の入力端子(13)に印加された場合に、前記補助回路(12)によって、第2の電源電位(US2)を電気モータ(2)の第1の極(5)に供給し、
前記電気モータ(2)によって、前記ウィンドウリフタ(3)に対応するウィンドウ(7)を開く、車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路、ウィンドウリフタの電気モータを制御する回路を備えた車両、及び車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のウィンドウを開閉するウィンドウリフタは、手動で又は電動で動作することができる。電動のウィンドウリフタは電気モータを有し、その電気モータは、回転方向に応じて、開閉するためにそれぞれのウィンドウをガイドに沿って上下する。電気モータを制御するために、ウィンドウリフタは電気モータの回転方向を設定するための電気回路を有する。電動ウィンドウリフタによってウィンドウを開閉する場合に、通常、運転者がウィンドウリフタのスイッチを操作する必要がある。特定の状況下において、運転者によるウィンドウリフタのスイッチの意識的又は偶発的な操作によって、ウィンドウが閉じてしまうことを防止することが見込まれる。このような状況としては、例えば、車両内への水の浸入がある。この具体的なケースにおいては、運転者はウィンドウを開けることのみが必要である。
【0003】
この目的のために、ウィンドウリフタの電気モータを制御する電気回路の一部は、特定の状況下においてはウィンドウの閉じを防止する補助回路を有する。この補助回路は、多くの場合、リレー回路である。純粋にリレーをベースにした回路においては、電気モータの速度制御ができないという欠点がある。なぜなら、その速度制御は、通常、半導体スイッチ素子を使用して行われるパルス幅変調によって行われるからである。この欠点を克服するために、リレー及び半導体スイッチ素子の両方を含む混合回路が提供されている。半導体スイッチ素子によって、通常動作においては、速度制御付きウィンドウリフタの動作が可能になる。水の侵入を検知した場合には、リレーをベースにした補助回路によって制御が行われる。しかしながら、この混合回路はコスト高となる。
【0004】
米国特許第6515377号明細書には、車両の電動ウィンドウ、スライディングルーフ、又はドアロックを制御する回路が開示されている。この回路は、回路の部品の機能的な停止又は機能的な故障を検知した後、緊急動作を開始するように構成されている。
【0005】
特開2016-074332号公報は、アクチュエータのコントローラを開示している。このコントローラは、水の侵入が発生した場合に、ユーザの操作に応じてアクチュエータの適切な動作を保証するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、水の侵入時の安全な動作と、通常動作時の速度制御とを可能にする回路を、既知の解決策よりも低コストにおいて提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路を含む。その際、以下のことが提供される。電気モータの第1の極は、第1のスイッチ素子を介して電源電位に接続される。電気モータの第1の極は、第3のスイッチ素子を介してグランド電位に接続される。電気モータの第2の極は、第2のスイッチ素子を介して電源電位に接続される。第4のスイッチ素子を介して、電気モータの第2の極はグランド電位に接続される。言い換えれば、電気モータの極は、スイッチ素子を介して、グランド電位又は電源電位に接続される。これによって、スイッチ素子の状態によって、電気モータを流れる電流の方向、したがって、電気モータの回転方向を設定することができる。回路は制御ユニットを備え、その制御ユニットは、スイッチ素子のそれぞれの制御端子にそれぞれの制御信号を印加することによって、スイッチ素子T1,T2,T3,T4を導通状態又は遮断状態にスイッチするように構成されている。言い換えれば、制御ユニットは、スイッチ素子の制御端子に制御信号を供給することによって、それぞれのスイッチ素子を導通状態又は遮断状態にするように構成されている。電気モータは、第1の極に電源電位が印加され、且つ、同時に第2の極にグランド電位が印加された場合に、ウィンドウリフタに対応するウィンドウを開くように構成されている。言い換えれば、電源電位が第1の極に印加され、且つグランド電位が第2の極に印加された場合において、電気モータに電流が流れた場合にウィンドウが開くように、電気モータが構成されている。逆に、電源電位が第2の極に印加され、同時にグランド電位が第1の極に印加された場合には、ウィンドウリフタに対応するウィンドウが閉まるように、電気モータが構成されている。そのため、スイッチ素子T1及びT4がそれぞれ導通状態に設定され、且つ、スイッチ素子T2及びT3がそれぞれ遮断状態に設定された場合に、ウィンドウは開かれる。スイッチ素子T2及びT3がそれぞれ導通状態に設定され、且つ、スイッチ素子T1及びT4がそれぞれ遮断状態に設定された場合に、ウィンドウは閉じられる。以下のことが提供される。回路は操作素子を備えており、その操作素子は、操作された場合に、補助回路の第1の入力端子に操作信号を供給するように構成されている。補助回路は、操作信号が第1の入力端子に印加され、且つ、同時にアクティブ化信号が補助回路の第2の入力端子に印加された場合に、電気モータの第1の極に第2の電源電位を提供するように構成されている。言い換えれば、電気モータの第1の極は、補助回路を介して第2の電源電位に接続される。その際、アクティブ化信号が補助回路の第2の入力端子に印加され、且つ、操作信号が補助回路の第1の入力端子に印加される場合にのみ補助回路が導通するように構成されている。
【0008】
本発明には、電気モータの第1の極を、2つの異なる接続部を介してそれぞれの電源電位に接続できるという利点がある。
【0009】
例えば、電気モータがいわゆるペアブリッジ回路(Paarbrueckenschaltung)内に配置されていることを提供することができる。その際、電気モータの2つの極は、それぞれのスイッチ素子T1及びT2を介して電源電位に接続することができる。2つのスイッチ素子T1及びT2は、その際、いわゆるハイサイドスイッチ素子として機能することができ、それぞれの制御端子に制御信号が印加されていない状態において遮断機能を有し、それによって、自身に電流が流れないようにすることができる。また、2つの極は、2つのスイッチ素子T3及びT4を介して、グランド電位に接続することができる。その際、スイッチ素子T3及びT4は、ローサイドスイッチ素子であってもよく、同様に、各制御端子に制御信号が印加されていない状態において遮断機能を有することができる。上記回路は、いわゆるH回路とも呼ばれ、それぞれの極を電源電位又はグランド電位に接続することが可能であり、それによって電気モータを介して両方向に電流を流すことができる。これによって、電気モータの運動方向を決定することができる。スイッチ素子を用いたパルス幅変調によって、すなわち導通状態と遮断状態とのスイッチングによって、電気モータの回転速度を制御することができる。スイッチ素子の状態を制御可能にするために、スイッチ素子のそれぞれの制御端子を制御ユニットに接続することができる。制御ユニットは、それぞれのスイッチユニットを導通状態又は遮断状態にスイッチするために、スイッチユニットのそれぞれの制御端子に制御信号を供給することができる。第1の極は、補助回路を介して第2の電源電位に接続することができる。アクティブ化信号が補助回路の第2の入力端子に印加され、且つ、同時に操作信号が補助回路の第1の端子に印加された場合に、第2の電源電位を、補助回路を介して第1の極に供給することができる。それによって、第1の極に電源電位を提供し、その結果、ウィンドウを開ける方向に電気モータを回転させる方向に、電気モータを介して電流を流すことができるということに、2つの可能性が生じる。第1の可能性は、電気モータの第2の極がグランド電位に接続され、第1の極がスイッチ素子T1を介して電源電位に接続されるということにある。第2の可能性は、電気モータの第2の極がグランド電位に接続され、第1の極が補助回路を介して第2の電源電位に接続されるということにある。
【0010】
本発明は、更なる利点が得られる更なる形態も含む。
【0011】
本発明の更なる一形態によれば、補助回路は、第5のスイッチ素子T5と第6のスイッチ素子T6とを有している。その際、電気モータの第1の極は、第5のスイッチ素子T5を介して第2の電源電位に接続されることが提供される。第5のスイッチ素子T5の制御端子は、第6のスイッチ素子T6を介して補助回路の第1の入力端子に接続される。第6のスイッチ素子T6のアクティブ化端子は、補助回路の第2の入力端子に接続されている。第6のスイッチ素子T6は、第6のスイッチ素子T6の制御端子にアクティブ化信号が印加された場合に、導通状態にスイッチされるように構成されている。第5のスイッチ素子T5は、第5のスイッチ素子T5の制御端子に操作信号が印加された場合に、導通状態にスイッチされるように構成されている。
【0012】
言い換えれば、補助回路によって論理的なAND演算が提供される。この目的のために、電気モータの第1の極が第2の電源電位に接続される。この接続は、第5のスイッチ素子を介して行われ、第5のスイッチ素子は、第5のスイッチ素子の制御端子に操作信号が印加される場合に導通状態に設定される。操作信号は、補助回路の第1の入力端子に印加することができる。第1の入力端子と第5のスイッチ素子の制御端子との間には、導通状態又は遮断状態が可能な第6のスイッチ素子が配置されている。そのため、第6のスイッチ素子が導通状態に設定されている場合にのみ、第5のスイッチ素子の制御端子に操作信号を伝達することができる。しかしながら、第6のスイッチ素子T6は、第6のスイッチ素子のアクティブ化端子にアクティブ化信号が印加されている場合にのみ、導通状態に設定される。アクティブ化信号は、補助回路によって第2の入力端子において受け取ることができる。この回路は、アクティブ化信号と操作信号との両方がそれぞれの入力端子に同時に供給された場合にのみ、電気モータの第1の極に第2の電源電位が供給されるという結果をもたらす。
【0013】
本発明の更なる一形態は、第5のスイッチ素子T5は、第1のスイッチ素子T1と並列に接続されており、第2の電源電位として電源電位に接続されること、を提供する。言い換えれば、電気モータの第1の極は、第1のスイッチ素子と、第1のスイッチ素子と並列に配置された第5のスイッチ素子との両方を介して、電源電位に接続される。そのため、第2の電源電位は、電源電位と同一である。それによって、電源電位源を1つだけ用意すればよいという利点がある。
【0014】
本発明の更なる一形態は、スイッチ素子T1,T2,T3及びT4は、それぞれのアクティブ化端子を有しており、スイッチ素子T1,T2及びT3は、アクティブ化信号がそれぞれのアクティブ化端子に印加された場合に、遮断状態にスイッチするように構成されており、スイッチ素子T4は、アクティブ化信号がアクティブ化端子に印加された場合に、導通状態にスイッチするように構成されていること、を提供する。言い換えれば、スイッチ素子T1,T2,T3及びT4は、アクティブ化信号の印加によって、それぞれのスイッチ素子を所定の状態にするためのそれぞれのアクティブ化端子を有している。具体的には、スイッチ素子T1,T2及びT3は、それぞれのアクティブ化端子にアクティブ化信号が印加される場合に、遮断状態にスイッチするように構成されている。スイッチ素子T4は、アクティブ化端子にアクティブ化信号が印加される場合に、導通状態にスイッチするように構成されている。それによって、スイッチ素子T1,T2,T3及びT4は、アクティブ化信号が印加される場合に、ウィンドウガラスの下降が可能であり、同時にウィンドウガラスの上昇が不可能であるようにスイッチされるという利点がある。この回路においては、電気モータの第1の極から電気モータの第2の極への電流の流れは可能であるが、電気モータの第2の極から電気モータの第1の極への電流の流れはない。アクティブ化端子は、スイッチ素子がリレーの場合、リレーの制御端子であってもよい、又は、リレーに接続されていてもよい。アクティブ化端子は、スイッチ素子が半導体スイッチ素子の場合、半導体スイッチ素子のゲート端子であってもよい、又は、半導体スイッチ素子に接続されていてもよい。スイッチ素子T1,T2及びT3のアクティブ化端子は、例えば、トランジスタのゲート端子に、導通状態にスイッチするためにアクティブ化信号が印加され得るトランジスタを有していてもよい。それによって、グランド電位をスイッチ素子のゲートに接続することができ、延いてはスイッチ素子を遮断状態に設定することができる。また、スイッチ素子T4のアクティブ化端子は、ブロッキングダイオードを有し得る。その際、アクティブ化信号は、ブロッキングダイオードのアノードに供給され、カソードは、スイッチ素子T4の制御端子に接続することができる。
【0015】
本発明の更なる一形態は、制御ユニットは、アクティブ化端子を有し、制御ユニットは、アクティブ化信号がアクティブ化端子に印加された場合に非アクティブ化されるように構成されていること、を提供する。言い換えれば、制御ユニットのアクティブ化端子にアクティブ化信号が供給された場合に、制御ユニットによるスイッチ素子の制御端子への制御信号の供給が阻止される。これによって、制御ユニットによる、スイッチ素子の制御、したがってモータの運動方向の決定が非アクティブ化されるという利点がある。その結果、例えば、特定の状況下において誤って動作する制御ユニットが、ウィンドウリフタの動作を妨害することを防止できる。それに代わって、ウィンドウリフタの制御をフェイルセーフ要素によって行うことができる。
【0016】
本発明の更なる一形態は、回路はセンサ回路を備え、そのセンサ回路は、所定の状態を検知した場合に、アクティブ化信号をアクティブ化端子に供給するように構成されていること、を提供する。言い換えれば、回路は、所定の状態を検知するためにセンサ回路を備える。センサ回路は,センサ回路によって所定の状態が検知された場合に,スイッチ素子及び/又は制御ユニットのアクティブ化端子にアクティブ化信号を供給するように構成されている。それによって、所定の状態を検知した場合には、モータのフェイルセーフ制御がアクティブ化されるという利点がある。例えば、センサ回路によって所定の状態として機能的な故障が検知された場合には、制御ユニットによる電気モータの制御を停止することが、必要となり得る。このことは、機能的な故障の場合には、ウィンドウリフタの無エラー動作が、状況によっては保証されなくなる可能性があるため、必要となり得る。この場合、補助回路を介したウィンドウリフタの制御は、よりフェイルセーフであり、したがって、所定の状態において、有利であり得る。センサ回路は、例えば、ゲート端子が所定の抵抗とコンデンサを介してグランド電位に接続されたトランジスタを含むことができる。ソース端子に電源電位を印加することができる。トランジスタを遮断状態とすることができる。水の浸入の場合には、ゲート端子の電位が変化し、それによってトランジスタは導通することができる。それによって、トランジスタは、電源電位をドレイン端子に供給し、その際、電源電位はアクティブ化信号であってもよい。
【0017】
本発明の更なる一形態は、センサ回路は、水侵入センサとして形成されており、所定の状態として車両内への水侵入を検知するように構成されていること、を提供する。言い換えれば、センサ回路は、車両内への水の侵入を検知できる回路である。センサ回路は、例えば、車両内の水分を検知し、それに応じてアクティブ化信号を供給することができる。それによって、水が浸入した場合にウィンドウの上昇を防止できるという利点がある。例えば、誤ったウィンドウの上昇を回避するために、水が侵入した際にウィンドウの上昇を防止することが必要となり得る。
【0018】
本発明の更なる一形態は、スイッチ素子T1,T2,T3,T4,T5,T6は、半導体スイッチ素子として形成されていること、を提供する。言い換えれば、スイッチ素子は、トランジスタ、又は、半導体効果に基づいて機能する他の素子である。それによって、パルス幅変調によってモータの速度を制御できるという利点がある。
【0019】
本発明の更なる一形態は、スイッチ素子T1,T2,T3及びT4がNチャネル電界効果トランジスタとして形成されていること、を提供する。言い換えれば、スイッチ素子T1,T2,T3及びT4は、正の電位が印加された場合に導通するトランジスタである。それによって、制御信号が印加された場合にのみスイッチ素子が導通するという利点がある。
【0020】
本発明の更なる一形態は、スイッチ素子T6は、Pチャネル電界効果トランジスタとして形成されていること、を提供する。言い換えれば、スイッチ素子T6は、アクティブ化端子に負の電位が印加されるとすぐ導通状態に設定される電界効果トランジスタである。
【0021】
本発明の更なる一形態は、スイッチ素子T6は、PNPトランジスタとして形成されていること、を提供する。言い換えれば、スイッチ素子T6は、正-負-正の配置のトランジスタであり、アクティブ化端子がPNPトランジスタのベースに接続されている。
【0022】
本発明の更なる一形態は、回路は、所定のエラー信号によって第3及び第4のスイッチ素子を遮断状態にスイッチするように構成された機能安全回路を備えること、を提供する。その際,機能安全回路は、機能安全回路の第8のスイッチ素子のアクティブ化端子にアクティブ化信号が印加された場合に,非アクティブ化されるように構成されていること、を提供する。
【0023】
本発明の更なる一形態は、補助回路はツェナーダイオードを有し、第5のスイッチ素子の制御端子は、ツェナーダイオードを介して第6のスイッチ素子に接続されており、第5のスイッチ素子の制御端子は、抵抗を介して電源電位に接続されていること、を提供する。
【0024】
また、本発明には、車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路を備えた車両が属する。車両は、例えば、乗用車又はトラックのような自動車であってもよい。
【0025】
さらに本発明には、車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路の動作方法が属する。その際、回路の操作素子が操作された場合に、その操作素子によって、操作信号を補助回路の第1の入力端子に供給すること、が提供される。操作信号が第1の入力端子に印加され、且つ、同時にアクティブ化信号が補助回路の第2の入力端子に印加された場合に、補助回路によって、第2の電源電位を電気モータの第1の極に供給する。電気モータによって、ウィンドウリフタに対応するウィンドウを開く。
【0026】
また、本発明には、本発明による回路の更なる形態に関連して既に説明したような特徴を有する、本発明による方法及び本発明による車両の更なる形態が属する。この理由によって、本発明による方法及び本発明による車両の対応する更なる形態については、ここでは改めて説明しない。
【0027】
また、本発明は、説明した実施形態の特徴の組み合わせも含む。
【0028】
以下において、本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する回路を示す図である。
図2】センサ回路を示す図である。
図3】制御ユニットを示す図である。
図4】スイッチ状態を示す図である。
図5】スイッチ状態を示す図である。
図6】スイッチ状態を示す図である。
図7】方法の過程を示す図である。
図8】車両のウィンドウリフタの電気モータを制御する更なる回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に説明する実施例は、本発明の好ましい実施形態である。実施例では、記載された実施形態の構成要素はそれぞれ、互いに独立して考慮されるべき本発明の個々の特徴を表している。その特徴は、それぞれが互いに独立して本発明をさらに形成するものであり、したがって、個別に又は図示されたもの以外の組み合わせにおいて本発明の構成要素とみなされるものでもある。さらに、記載する実施形態は、すでに記載した本発明の更なる特徴によって補完することもできる。
【0031】
図中において、機能的に同一の要素にはそれぞれ同一の参照符号が付される。
【0032】
図1は、車両4のウィンドウリフタ3の電気モータ2を制御する回路1を示している。電気モータ2は、例えば、直流電気モータであってもよく、2つの極5,6を有することができる。電気モータ2の第1の極5は、第1のスイッチ素子T1を介して電源電位USに接続することができる。第3のスイッチ素子T3を介して、電気モータ2の第1の極5は、グランド電位UMに接続することができる。電気モータ2の第2の極6は、第2のスイッチ素子T2を介して電源電位USに接続することができ、第4のスイッチ素子T4を介してグランド電位UMに接続することができる。したがって、電気モータ2は、いわゆるHブリッジ内に配置することができ、これによって、スイッチ素子T1及びT2は、ハイサイドスイッチ素子とすることができ、スイッチ素子T3及びT4は、ローサイドスイッチ素子とすることができる。この配置によって、ウィンドウリフタ3のウィンドウ7を開閉するために、電気モータ2に2つの電流方向に電流を供給することができる。ウィンドウ7の開放を可能にするために、スイッチ素子T1とスイッチ素子T4とを導通状態に設定し、スイッチ素子T2及びT3を遮断状態に設定することができる。それによって、電源電位USが電気モータ2の第1の極5に印加され、グランド電位UMが電気モータ2の第2の極6に印加される。スイッチ素子T3及びT2が導通状態にスイッチされ、スイッチ素子T1及びT4が遮断状態にスイッチされた場合に、ウィンドウ7を閉じるように設定することができる。スイッチ素子T1,T2,T3及びT4は、例えば、リレー又は半導体スイッチ素子であってもよい。スイッチ素子T1,T2,T3及びT4をNチャネル電界効果トランジスタとして形成することができる。なお、スイッチ素子T1,T2,T3及びT4は、それぞれのスイッチ素子T1,T2,T3,T4の所定の状態を設定するために、制御信号8が印加されるそれぞれの制御端子G1,G2,G3及びG4を有することができる。例えば、それぞれの制御端子G1,G2,G3,G4に制御信号8が印加されていない場合に、それぞれのスイッチ素子T1,T2,T3,T4を遮断状態にスイッチすることができる。スイッチ素子T1,T2,T3,T4は、それぞれの制御端子G1,G2,G3,G4に制御信号8が印加された場合に導通状態に設定されるように構成することができる。
【0033】
回路1は、グランド電位UMに接続可能な操作素子9を有することができる。操作素子9は、操作素子9の操作の際に、操作信号10を補助回路12の第1の入力端子11に供給するように構成することができる。第1の入力端子11は、第5のスイッチ素子T5の制御端子G5に接続することができる。第5のスイッチ素子T5は、電源電位USと電気モータ2の第1の極5とに接続することができる。補助回路12は、第1の入力端子11と第5のスイッチ素子T5の制御端子G5との間に配置され得る第6のスイッチ素子T6を有することができる。第6のスイッチ素子T6は、補助回路12の第2の入力端子13に接続され得るアクティブ化端子A6を有することができる。スイッチ素子T6は、通常の状態、すなわち、そのアクティブ化端子A6にアクティブ化信号15が印加されていない場合には、遮断状態にスイッチすることができる。
【0034】
回路1は、所定の状態を検知するように設けられたセンサ回路14を有することができる。所定の状態は、例えば、車両4内への水の浸入であり得る。センサ回路14は、所定の状態を検知するやいなや、アクティブ化信号15を供給するように構成することができる。センサ回路14は、スイッチ素子T1,T2,T3,T4,T6のそれぞれのアクティブ化端子A1,A2,A3,A4,A6に接続することができる。スイッチ素子T1,T2及びT3は、それぞれのアクティブ化端子A1,A2,A3にアクティブ化信号15が印加された場合に、遮断状態にスイッチするように構成することができる。スイッチ素子T4及びT6は、それぞれのアクティブ化端子A4,A6にアクティブ化信号15が印加された場合に、導通状態にスイッチするように構成することができる。スイッチ素子T1,T2及びT3の遮断と、同時にスイッチ素子T4の導通スイッチングとによって、ウィンドウ7の閉鎖を防止することができる。スイッチ素子T6のアクティブ化とその導通スイッチングとによって、操作信号10をスイッチ素子T5の制御端子G5に伝達することが可能となる。この場合、電気モータ2の第1の極を電源電位USに接続するために、スイッチ素子T5を導通状態にスイッチすることができる。
【0035】
リレーが不要なため、コスト削減のメリットがある。さらに、回路基板及びハウジング面積も節約できる。センサ回路14によってアクティブ化信号15が供給されないことを特徴とする通常動作においては、フルブリッジドライバを介して電気モータ2を制御することができる。水の浸入があった場合には、センサ回路14を介してアクティブ化信号15が供給される。ウィンドウリフタの下げ動作の場合に導通しているローサイドNチャネルFET(T4)は、アクティブ化信号15によって導通状態にスイッチされる。そのため、ウィンドウリフタの上げ動作は不可能である。同時に、フルブリッジの他のすべてのNチャネルFET(T1,T2,T3)は、アクティブ化信号15によって遮断状態にスイッチされる。同時に、制御ユニット16を非アクティブ化することも可能である。同時に、スイッチ素子T6のアクティブ化端子A6にアクティブ化信号15を印加することによって、PチャネルFET(T5)の制御端子G5から操作素子9への接続が導通状態にスイッチされる。その操作素子は、ウィンドウリフタの下げ動作を信号で知らせるものである。通常動作時においてはその接続を解除することによって、ウィンドウリフタのスイッチは、通常動作時においては、接続されているマイコン又は制御ユニット16によって読み込まれ得る。ウィンドウリフトの下げ動作を知らせる操作素子9のアクティブ化の場合にのみ、PチャネルFET(T5)が導通状態にスイッチされ、その結果、電気モータ2が下げ動作方向に通電されてウィンドウ7が開かれる。抵抗RPは、水の抵抗がPチャネルFET(T5)をアクティブにさせるのには十分でないような、低抵抗の値でなければならない。
【0036】
図2は、センサ回路14を示している。センサ回路14は、第7のスイッチ素子T7を有していてもよい。その際、ソース端子S7には電源電位USが印加され、ドレイン端子D7は、スイッチ素子T1,T2,T3,T4,T6のアクティブ化端子A1,A2,A3,A4,A6に接続されている。ゲート端子G7にグランド電位UMを印加することが可能であり、そのグランド電位は、コンデンサCと抵抗Rとを介してゲート端子G7に接続されてもよい。なお、車両4内に水が浸入した場合に、第7のスイッチ素子T7が導通状態になることが、提供され得る。
【0037】
図3は、制御ユニット16を示している。その制御ユニットは、それぞれの制御端子G1,G2,G3及びG4に制御信号8を供給することによってスイッチ素子T1,T2,T3,T4の状態を提供するように構成されている。制御ユニット16のリセット端子(リセット)R16には、アクティブ化端子A16を有するスイッチ素子T16が接続可能である。そのアクティブ化端子は、リセット端子R16をグランド電位UMに接続することができる。アクティブ化端子A16にアクティブ化信号15が供給された場合に、スイッチ素子T16が導通状態に設定され、それによってグランド電位UMがリセット端子R16に供給されることが、提供され得る。制御ユニット16は、リセット端子R16にグランド電位が印加された場合に非アクティブ化されるように構成することができる。
【0038】
図4は、スイッチ素子T1,T2,T3,T4及びT6のアクティブ化端子A1,A2,A3,A4,A6にアクティブ化信号15が印加されていない回路1の状態におけるスイッチ状態を示している。この状態においては、スイッチ素子T1,T2,T3,T4は、印加された制御信号8に応じて開閉することができる。スイッチ素子T6は、アクティブ化信号15が印加されていない場合には遮断状態にある。それによって、この場合においてはスイッチ素子T5も同様に遮断状態にある。操作素子9が操作された場合に、スイッチ素子T5が導通状態にスイッチすることができず、それによって、電源電位USから電気モータ2を介してグランド電位UNへの接続は形成されない。
【0039】
図5は,操作素子9が閉じており、且つ、アクティブ化信号15が印加されている場合のスイッチ素子の状態を示している。印加されたアクティブ化信号15によって、スイッチ素子T1,T2,T3は遮断状態にスイッチされ、スイッチ素子T4及びT6は導通状態にスイッチされる。その結果、操作素子9が閉じている場合に、操作信号10をスイッチ素子T5の制御端子G5に供給することができ、それによってスイッチ素子T5が導電状態になることができる。スイッチ素子T4及びT5を導通状態にスイッチすることによって、電源電位USからグランド電位UMに電流を流すことができ、これによって、ウィンドウ7が開くように電気モータ2が通電される。
【0040】
図6は,アクティブ化信号15が供給され,且つ、操作素子9が開いている場合のスイッチ状態を示している。アクティブ化信号15が供給された場合、スイッチ素子T1,T2及びT3は遮断状態にスイッチされ、一方、スイッチ素子T4及びT6は導通状態に設定される。操作素子9が操作されず、それによってスイッチ素子T5の制御端子G5に操作信号10が供給されない場合、スイッチ素子T5は遮断状態にある。
【0041】
図7は、方法の過程を示す。第1のステップP1においては、所定の状態をセンサ回路14によって検知することができ、それによって、アクティブ化信号15が供給される。
【0042】
アクティブ化信号15の供給によって、スイッチ素子T4は導通状態にスイッチされる(P2)。
【0043】
同時に、スイッチ素子T1,T2及びT3は遮断状態にスイッチされる(P3)。
【0044】
スイッチ素子T6は、アクティブ化信号の印加によって導通状態に設定され、それによって、補助回路12の第1の入力端子11と第5のスイッチ素子T5の制御端子G5との間の接続が行われる(P4)。
【0045】
制御ユニット16は、そのアクティブ化端子A6においてアクティブ化信号15を受け取ることによって、非アクティブ化することができる(P5)。
【0046】
ステップP6においては、操作素子9を操作することが可能であり、それによって、この操作素子は操作信号10を供給することができる。それによって、スイッチ素子T5が導通状態に設定され、これによって、電気モータ2が下げ動作方向に通電され、ウィンドウ7が開く。
【0047】
日本におけるいわゆる水侵入要求においては、車両4内に水が侵入した場合に、電動式のウィンドウリフタ3がウィンドウ7の開きを可能にすると同時に、ウィンドウ7の閉まりを防止するという要件が重要である。これまでは、スイッチ素子としてリレーを有するウィンドウリフタ3の回路が提供されることによって、その要求に応じられてきた。リレーをベースにした回路によるウィンドウリフタ3の制御は、ウィンドウ7の開閉動作時における電気モータ2の速度制御の可能性を提供できなかった。リレーと半導体スイッチ素子とを有する混合解決策は、純粋なリレーベースの回路に比べて高価である。
【0048】
提示された回路1のアイデアは、電気モータ2が配置されたウィンドウリフト・フルブリッジ回路を使用することにある。このウィンドウリフト・フルブリッジ回路は、いわゆるゲートドライバ又はフルブリッジドライバ構成要素となり得る制御ユニット16を介してて制御することができる。ウィンドウリフト・フルブリッジ回路は、スイッチ素子T1,T2,T3,T4としてNチャネルFETを有していてもよい。そのスイッチ素子の状態は、制御端子G1,G2,G3,G4に制御信号8を供給することによって、制御ユニット16によって決定することができる。回路1は、補助回路12を有することができ、その補助回路によって、ハイサイド経路において、存在するスイッチ素子T1と並列に、PチャネルFETをスイッチ素子T5として接続することができる。スイッチ素子T1としての上記NチャネルFETは、ウィンドウ7の下降中においては導通状態にスイッチされる。PチャネルFETとして提供されたスイッチ素子T5は、水が浸入した場合に、ウィンドウリフタのスイッチであり得る操作素子9によってアクティブ化され、それによって導通状態にスイッチすることができる。その際、PチャネルFETの制御端子G5であるゲートは、そのFETのソース端子に、抵抗を介して比較的低い抵抗値において接続されている。この低抵抗値における接続は、スイッチ素子T5が水によってアクティブ化されることを防止する。PチャネルFET(T5)は、絶対的に低抵抗値の操作素子9がアクティブ化された場合にのみアクティブ化される。その際、PチャネルFET(T5)の制御端子G5と操作素子9との接続は、センサ回路14によって水の浸入が検知された場合にのみ許可される。さらに、追加の回路によって、ウィンドウリフタの上げ動作が行われ得ることを防止する。これは、ウィンドウリフタの下げ動作中にアクティブ化されねばならないローサイドのNチャネルFET(T4)を、センサ回路14によってアクティブ化させることによって達成される。さらに、他のすべてのNチャネルFET(T1,T2,T3)のゲートは、センサ回路14によってグランド電位UMに引き込まれるため、遮断状態にスイッチされる。同様に、センサ回路14によって、制御ユニット16を非アクティブ化させることもできる。PチャネルFETに代えて、PNPトランジスタを第5のスイッチ素子T5として用いることもできる。
【0049】
図8は、車両4のウィンドウリフタ3の電気モータ2を制御するための更なる回路1を示す。回路1は、図1に示した回路1の拡張された実施形態とすることができる。図1に示した回路1と比較して、図8に示した回路1は、機能安全回路17(略してFuSiともいう)によって拡張することができる。機能安全回路17は、NチャネルFETである2つのスイッチ素子T9及びT10を有することができる。2つのスイッチ素子T9及びT10は、それぞれのグランド電位UMをスイッチ素子T3,T4のゲート端子に接続することができ、水の浸入が検知されない場合には、導通状態にスイッチされる。その結果、スイッチ素子T3及びT4は、接続されたグランド電位UMによって遮断状態にスイッチされる。水が浸入していない動作においては、フルブリッジのスイッチ素子T3及びT4の2つのローサイドNチャネルFETゲート端子に接続された2つのスイッチ素子T9及びT10によって、電気モータ2への電圧供給を遮断することができる。これは、例えば、所定のエラー信号が存在する場合に起こり得る。しかしながら、水の浸入があった場合には、遮断を除外する必要がある。
【0050】
この機能安全回路17は、スイッチ素子T8のアクティブ化端子A8にアクティブ化信号15を与えることによって、センサ回路14による水の侵入検知後に、トランジスタであってもよいスイッチ素子T8によって非アクティブ化することができる。また、機能安全回路17のための回路は、基本的には他の置き換えが可能である。回路1にとって重要なのは、水の浸入が検知された場合に、スイッチ素子T4が、機能安全回路17によって誤って遮断状態にスイッチされないことである。
【0051】
スイッチ素子T5が、1.5~2.5Vの閾電圧(ゲートソース閾値)を有するPチャネルFETである場合、スイッチ素子T5が意図せずに導通状態にスイッチングされることを防止するために、10Ω以下の極めて低抵抗値のプルアップ抵抗RPを使用する必要がある。プルアップ抵抗RPの抵抗値が低いと、操作素子9を介する電流が極端に大きくなってしまう。そのため、このような設計は必須というわけではない。
【0052】
これを避けるために、PチャネルFETとして形成されたスイッチ素子T5のゲートに、ツェナーダイオード18と、さらにプルアップ用の抵抗Rとを接続することができる。この場合、回路1、並びに、特にPチャネルFET(G5)のゲート及びツェナーダイオード18が防水塗装されていることが重要である。
【0053】
ツェナーダイオード18による拡張がない場合においても、回路1全体を防水塗装することが有効であり得る。これによって、NチャネルFET及びG2,G1,G3を非アクティブ化させるためのNPNトランジスタを、機能安全回路17及び制御ユニット16(フルブリッジドライバ)のリセット端子R16において、小型化することができる。それは、この場合、NPNトランジスタに、電源電位US,US2から侵入水を介して流れ得る電流が流れないためである。
【0054】
全体として、本実施例は、水侵入要求を満たす半導体ベースの回路を、本発明によってどのように提供することが可能であるかを示している。
【符号の説明】
【0055】
1 回路
2 電気モータ
3 ウィンドウリフタ
4 車両
5 第1の極
6 第2の極
7 ウィンドウ
8 制御信号
9 操作素子
10 操作信号
11 第1の入力端子
12 補助回路
13 第2の入力端子
14 センサ回路
15 アクティブ化信号
16 制御ユニット
17 機能安全回路
18 ツェナーダイオード
P1~P6 方法ステップ
T1-T10スイッチ素子
T16 制御ユニットのスイッチ素子
G1-G10 制御端子
A1-A8 スイッチ素子のアクティブ化端子
A16 制御ユニットのアクティブ化端子
R16 制御ユニットのリセット端子
US 電源電位
US2 第2の電源電位
UM グランド電位
C コンデンサ
R 抵抗
RP 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】