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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】無針注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/30 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A61M5/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571788
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 KR2021002692
(87)【国際公開番号】W WO2021177753
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0028431
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521526063
【氏名又は名称】バズ バイオメディック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BAZ BIOMEDIC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョングク
(72)【発明者】
【氏名】リ ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】ハム フィチャン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE14
4C066GG12
4C066HH02
4C066HH17
4C066LL21
(57)【要約】
本発明による無針注射器は、ソレノイドコイルに電流を供給して磁場を発生させて、運動磁性体とピストンとを前進移動させ、ソレノイドコイルに電流を遮断すれば、運動磁性体用弾性部材が運動磁性体を後退移動させ、ピストン用弾性部材がピストンを後退移動させるように構成されることにより、薬物を加圧して注射するピストンを繰り返して前進・後退往復運動させるように構成されることにより、所定の薬物を高速で繰り返して注入することができる。また、本発明は、ソレノイドコイルに電流が印加される時間を調節して、別途の反動相殺構造を追加する必要なしに反動を最小化させることにより、構造が簡単でありながらも、使用便宜性を向上させうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状に形成されたボディーと、
前記ボディーの外周面に巻かれたソレノイドコイルと、
前記ボディーの開口された前面に連通されるように結合され、薬物が収容される薬物収容部と、前記薬物収容部に収容された薬物を前側に吐き出すノズル部と、が形成されたシリンダーと、
前記ボディーの内部に長手方向に長く挿入され、前記ソレノイドコイルに電流印加時に発生する磁力によって前進移動する運動磁性体と、
前記ボディーの内部で前記運動磁性体よりも前側に挿入されて、前記ボディーと前記シリンダーとを貫通するように備えられて、前記運動磁性体の前進移動時に、前記運動磁性体が加える衝撃力によって前進移動して、前記薬物収容部内の薬物を前記ノズル部に加圧するピストンと、
前記運動磁性体と前記ピストンとの間に備えられて、前記運動磁性体が後退移動する方向に前記運動磁性体に弾性力を付与する運動磁性体用弾性部材と、
前記ノズル部と前記薬物収容部との間の連通ホールを開閉するように備えられて、前記ピストンの前進移動時に、前記薬物収容部から薬物によって加えられる油圧によって押されて、前記連通ホールを開放し、前記油圧の解除時に弾性復元されて、前記連通ホールを遮蔽するノズル部開閉弁と、
前記ソレノイドコイルに既定の周期で電流の供給と遮断とを繰り返して、前記ピストンの前進移動と後退移動とを繰り返す進退駆動手段と、を含み、
前記進退駆動手段は、
前記ピストンの前進移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を供給して、前記運動磁性体を前進移動させ、前記ピストンの後退移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を遮断することを繰り返す電流供給部と、
前記電流供給部の電流供給遮断時に、前記ピストンが後退する方向に前記ピストンに弾性力を付与するピストン用弾性部材と、
を含む、無針注射器。
【請求項2】
前記電流供給部は、前記ソレノイドコイルに既定の第1設定時間の間に電流を印加した後、電流を遮断し、
前記運動磁性体の質量は、100g以下であり、前記第1設定時間は、250ms以下に設定された、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項3】
前記運動磁性体用弾性部材は、
前記運動磁性体の前進移動時に圧縮され、前記運動磁性体が後退移動する方向に前記運動磁性体に弾性力を付与する第1コイルバネを含む、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項4】
前記ピストンは、
前記シリンダーの内部に位置する前側部の外周面から半径方向に突出した第1フランジ部が形成され、
前記ピストン用弾性部材は、
前記ピストンに外挿され、両端が前記シリンダーと前記第1フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第1フランジ部に弾性力を付与する第2コイルバネを含む、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項5】
前記ピストンは、
前記ボディーの内部に位置する後側部の外周面から半径方向に突出した第2フランジ部が形成され、
前記ピストン用弾性部材は、
前記ピストンに外挿され、両端が前記ボディーと前記第2フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第2フランジ部に弾性力を付与する第3コイルバネを含む、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項6】
前記ピストンは、
前記シリンダーの内部に位置する前側部の外周面から半径方向に突出した第1フランジ部と、
前記ボディーの内部に位置する後側部の外周面から半径方向に突出した第2フランジ部と、が形成され、
前記ピストン用弾性部材は、
前記ピストンに外挿され、両端が前記シリンダーと前記第1フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第1フランジ部に弾性力を付与する第2コイルバネと、
前記ピストンに外挿され、両端が前記ボディーと前記第2フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第2フランジ部に弾性力を付与する第3コイルバネと、を含む、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項7】
前記ピストンと前記シリンダーとの間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に、前記第1フランジ部が引っ掛かって、前記ピストンの前進移動距離を制限するブロッカーをさらに含む、請求項4に記載の無針注射器。
【請求項8】
前記シリンダーの内周面に固設され、内周面に雌ネジ山が形成されたリング状の固定ブロッカーと、
前記固定ブロッカーの内周面に螺合され、前記ピストンの前進移動時に、前記第1フランジ部が引っ掛かるように形成され、前記固定ブロッカーに螺合される結合長が調節可能な長さ調節ブロッカーと、を含む、請求項7に記載の無針注射器。
【請求項9】
前記薬物収容部は、前側に行くほど断面積が減少する縮小部と、前記縮小部から延びて断面積が再び増加する拡大部と、を含む発散ノズル状に形成され、
前記縮小部には、前記ピストンの後退移動時に発生する圧力差によって外部から薬物を供給される薬物供給ホールが形成された、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項10】
前記ノズル部開閉弁は、前記連通ホールに設けられたボールと、前記ノズル部に設けられて前記ボールを支持する弾性部材と、を含む、請求項9に記載の無針注射器。
【請求項11】
前記シリンダーの内部に備えられて、前記ピストンの端部を覆うように形成され、前記ピストンの前進・後退移動時に伸縮可能になるように伸縮可能な素材で形成されたピストンカバーをさらに含む、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項12】
前記ボディーの外側で前記ソレノイドコイルの外側を取り囲むように備えられて、前記ソレノイドコイルで発生する熱を冷却流体を通じて吸収して冷却させる冷却チャンバをさらに含む、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項13】
中空状に形成されたボディーと、
前記ボディーの外周面に巻かれたソレノイドコイルと、
前記ボディーの開口された前面に連通されるように結合され、薬物が収容される薬物収容部と、前記薬物収容部に収容された薬物を前側に吐き出すノズル部と、が形成されたシリンダーと、
前記ボディーの内部に長手方向に長く挿入され、前記ソレノイドコイルに電流印加時に発生する磁力によって前進移動する運動磁性体と、
前記ボディーの内部で前記運動磁性体よりも前側に挿入されて、前記ボディーと前記シリンダーとを貫通するように備えられて、前記運動磁性体の前進移動時に、前記運動磁性体が加える衝撃力によって前進移動して、前記薬物収容部内の薬物を前記ノズル部に加圧するピストンと、
前記運動磁性体と前記ピストンとの間に備えられて、前記運動磁性体が後退移動する方向に前記運動磁性体に弾性力を付与する運動磁性体用弾性部材と、
前記ノズル部と前記薬物収容部との間の連通ホールを開閉するように備えられて、前記ピストンの前進移動時に、前記薬物収容部から薬物によって加えられる油圧によって押されて、前記連通ホールを開放し、前記油圧の解除時に弾性復元されて、前記連通ホールを遮蔽するノズル部開閉弁と、
前記ソレノイドコイルに既定の周期で電流の供給と遮断とを繰り返して、前記ピストンの前進移動と後退移動とを繰り返す進退駆動手段と、
前記シリンダーの内部に備えられて、前記ピストンの端部を覆うように形成され、前記ピストンの前進・後退移動時に伸縮可能になるように伸縮可能な素材で形成されたピストンカバーと、
前記ボディーの外側で前記ソレノイドコイルの外側を取り囲むように備えられて、前記ソレノイドコイルで発生する熱を冷却流体を通じて吸収して冷却させる冷却チャンバと、を含み、
前記進退駆動手段は、
前記ピストンの前進移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を供給して、前記運動磁性体を前進移動させ、前記ピストンの後退移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を遮断することを繰り返す電流供給部と、
前記電流供給部の電流供給遮断時に、前記ピストンが後退する方向に弾性力を付与するピストン用弾性部材と、を含み、
前記電流供給部は、前記ソレノイドコイルに既定の第1設定時間の間に電流を印加した後、電流を遮断し、
前記運動磁性体の質量は、100g以下であり、前記第1設定時間は、250ms以下に設定された、無針注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無針注射器に係り、より詳細には、注射針なしにも、薬物を高速で繰り返して注射することができる無針注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、注射器は、薬液を生物体の組織の中に注射する器具である。注射器は、体内に刺す針(Needle)と、薬液が収容される注射筒と、注射筒の内部で往復運動し、前記針で薬液を押し込むピストンで構成される。針には、穴が開いており、注射する時、薬物を注入させる。
【0003】
最近、注射器の針に対する恐怖心を解消し、針による感染を予防するために、針のない注射器についての研究開発が活発になっている。
【0004】
しかし、従来の無針注射器は、所定量の薬物を皮膚の一箇所のみに一回に注入するように構成されるために、皮膚組織の損傷などが発生する恐れがある。
また、1回注入後、再装填などの不便さが伴うために、皮膚美容などの分野で広い面積の皮膚に均一に複数回薬物の注入に使えない限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、少量の薬物を高速で繰り返して注入して、より広い面積の皮膚に均一に注射することができる無針注射器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による無針注射器は、中空状に形成されたボディー;前記ボディーの外周面に巻かれたソレノイドコイル;前記ボディーの開口された前面に連通されるように結合され、薬物が収容される薬物収容部と、前記薬物収容部に収容された薬物を前側に吐き出すノズル部と、が形成されたシリンダー;前記ボディーの内部に長手方向に長く挿入され、前記ソレノイドコイルに電流印加時に発生する磁力によって前進移動する運動磁性体;前記ボディーの内部で前記運動磁性体よりも前側に挿入されて、前記ボディーと前記シリンダーとを貫通するように備えられて、前記運動磁性体の前進移動時に、前記運動磁性体が加える衝撃力によって前進移動して、前記薬物収容部内の薬物を前記ノズル部に加圧するピストン;前記運動磁性体と前記ピストンとの間に備えられて、前記運動磁性体が後退移動する方向に前記運動磁性体に弾性力を付与する運動磁性体用弾性部材;前記ノズル部と前記薬物収容部との間の連通ホールを開閉するように備えられて、前記ピストンの前進移動時に、前記薬物収容部から薬物によって加えられる油圧によって押されて、前記連通ホールを開放し、前記油圧の解除時に弾性復元されて、前記連通ホールを遮蔽するノズル部開閉弁;前記ソレノイドコイルに既定の周期で電流の供給と遮断とを繰り返して、前記ピストンの前進移動と後退移動とを繰り返す進退駆動手段;を含み、前記進退駆動手段は、前記ピストンの前進移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を供給して、前記運動磁性体を前進移動させ、前記ピストンの後退移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を遮断することを繰り返す電流供給部;前記電流供給部の電流供給遮断時に、前記ピストンが後退する方向に前記ピストンに弾性力を付与するピストン用弾性部材;を含む。
【0007】
前記電流供給部は、前記ソレノイドコイルに既定の第1設定時間の間に電流を印加した後、電流を遮断し、前記運動磁性体の質量は、100g以下であり、前記第1設定時間は、250ms以下に設定される。
【0008】
前記運動磁性体用弾性部材は、前記運動磁性体の前進移動時に圧縮され、前記運動磁性体が後退移動する方向に前記運動磁性体に弾性力を付与する第1コイルバネを含む。
前記ピストンは、前記シリンダーの内部に位置する前側部の外周面から半径方向に突出した第1フランジ部が形成され、前記ピストン用弾性部材は、前記ピストンに外挿され、両端が前記シリンダーと前記第1フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第1フランジ部に弾性力を付与する第2コイルバネを含む。
前記ピストンは、前記ボディーの内部に位置する後側部の外周面から半径方向に突出した第2フランジ部が形成され、前記ピストン用弾性部材は、前記ピストンに外挿され、両端が前記ボディーと前記第2フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第2フランジ部に弾性力を付与する第3コイルバネを含む。
【0009】
前記ピストンは、前記シリンダーの内部に位置する前側部の外周面から半径方向に突出した第1フランジ部と、前記ボディーの内部に位置する後側部の外周面から半径方向に突出した第2フランジ部と、が形成され、前記ピストン用弾性部材は、前記ピストンに外挿され、両端が前記シリンダーと前記第1フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第1フランジ部に弾性力を付与する第2コイルバネと、前記ピストンに外挿され、両端が前記ボディーと前記第2フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第2フランジ部に弾性力を付与する第3コイルバネと、を含む。
前記ピストンと前記シリンダーとの間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に、前記第1フランジ部が引っ掛かって、前記ピストンの前進移動距離を制限するブロッカーをさらに含む。
【0010】
前記シリンダーの内周面に固設され、内周面に雌ネジ山が形成されたリング状の固定ブロッカーと、前記固定ブロッカーの内周面に螺合され、前記ピストンの前進移動時に、前記第1フランジ部が引っ掛かるように形成され、前記固定ブロッカーに螺合される結合長が調節可能な長さ調節ブロッカーと、を含む。
前記薬物収容部は、前側に行くほど断面積が減少する縮小部と、前記縮小部から延びて断面積が再び増加する拡大部と、を含む発散ノズル状に形成され、前記縮小部には、前記ピストンの後退移動時に発生する圧力差によって外部から薬物を供給される薬物供給ホールが形成される。
【0011】
前記ノズル部開閉弁は、前記連通ホールに設けられたボールと、前記ノズル部に設けられて前記ボールを支持する弾性部材と、を含む。
前記シリンダーの内部に備えられて、前記ピストンの端部を覆うように形成され、前記ピストンの前進・後退移動時に伸縮可能になるように伸縮可能な素材で形成されたピストンカバーをさらに含む。
前記ボディーの外側で前記ソレノイドコイルの外側を取り囲むように備えられて、前記ソレノイドコイルで発生する熱を冷却流体を通じて吸収して冷却させる冷却チャンバをさらに含む。
【0012】
本発明の他の側面による無針注射器は、中空状に形成されたボディー;前記ボディーの外周面に巻かれたソレノイドコイル;前記ボディーの開口された前面に連通されるように結合され、薬物が収容される薬物収容部と、前記薬物収容部に収容された薬物を前側に吐き出すノズル部と、が形成されたシリンダー;前記ボディーの内部に長手方向に長く挿入され、前記ソレノイドコイルに電流印加時に発生する磁力によって前進移動する運動磁性体;前記ボディーの内部で前記運動磁性体よりも前側に挿入されて、前記ボディーと前記シリンダーとを貫通するように備えられて、前記運動磁性体の前進移動時に、前記運動磁性体が加える衝撃力によって前進移動して、前記薬物収容部内の薬物を前記ノズル部に加圧するピストン;前記運動磁性体と前記ピストンとの間に備えられて、前記運動磁性体が後退移動する方向に前記運動磁性体に弾性力を付与する運動磁性体用弾性部材;前記ノズル部と前記薬物収容部との間の連通ホールを開閉するように備えられて、前記ピストンの前進移動時に、前記薬物収容部から薬物によって加えられる油圧によって押されて、前記連通ホールを開放し、前記油圧の解除時に弾性復元されて、前記連通ホールを遮蔽するノズル部開閉弁;前記ソレノイドコイルに既定の周期で電流の供給と遮断とを繰り返して、前記ピストンの前進移動と後退移動とを繰り返す進退駆動手段;前記シリンダーの内部に備えられて、前記ピストンの端部を覆うように形成され、前記ピストンの前進・後退移動時に伸縮可能になるように伸縮可能な素材で形成されたピストンカバー;前記ボディーの外側で前記ソレノイドコイルの外側を取り囲むように備えられて、前記ソレノイドコイルで発生する熱を冷却流体を通じて吸収して冷却させる冷却チャンバ;を含み、前記進退駆動手段は、前記ピストンの前進移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を供給して、前記運動磁性体を前進移動させ、前記ピストンの後退移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を遮断することを繰り返す電流供給部;前記電流供給部の電流供給遮断時に、前記ピストンが後退する方向に弾性力を付与するピストン用弾性部材;を含み、前記電流供給部は、前記ソレノイドコイルに既定の第1設定時間の間に電流を印加した後、電流を遮断し、前記運動磁性体の質量は、100g以下であり、前記第1設定時間は、250ms以下に設定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明による無針注射器は、ソレノイドコイルに電流を供給して磁場を発生させて、運動磁性体とピストンとを前進移動させ、ソレノイドコイルに電流を遮断すれば、運動磁性体用弾性部材が運動磁性体を後退移動させ、ピストン用弾性部材がピストンを後退移動させるように構成されることにより、薬物を加圧して注射するピストンを繰り返して前進・後退往復運動させるように構成されることにより、所定の薬物を高速で繰り返して注入することができる。
【0014】
また、本発明は、ソレノイドコイルに電流が印加される時間を調節して、別途の反動相殺構造を追加する必要なしに反動を最小化させることにより、構造が簡単でありながらも、使用便宜性を向上させうる。
【0015】
また、運動磁性体がピストンに衝突してピストンを前進移動させることにより、より少ないエネルギーを用いてより高速で薬物を注射できるという利点がある。
また、皮膚美容などの分野で顔のようなより幅広い皮膚に一回施術時に、1回ではなく複数回注射が可能であるという利点がある。
また、使用者が別途に装填する必要がなしに少量の薬物を高速で自動反復注射できるという利点がある。
【0016】
また、ソレノイドコイルに加えられる電圧と長さ調節ブロッカーの結合長とを変化させて、1回薬物注入量を調節することができる。
また、ソレノイドコイルの周辺に冷却チャンバを備えることにより、ソレノイドコイルから発生した熱によって磁力が弱くなることを防止することができる。
また、シリンダーとピストンとの間にピストンカバーが備えられることにより、薬物がピストンの端部に付くことが防止されて、使用者がピストンの端部を拭き取る必要がないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態による無針注射器を示す縦断面図である。
図2】本発明の第1実施形態による無針注射器のピストンの前進移動状態を示す図面である。
図3】本発明の第1実施形態による無針注射器のピストンの後退移動状態を示す図面である。
図4】本発明の第1実施形態による無針注射器のノズル開閉弁を示す図面である。
図5】本発明の第1実施形態による無針注射器のソレノイドコイルに加えられる電流供給波形の一例を示すグラフである。
図6】本発明の第1実施形態による無針注射器のソレノイドコイルに加えられる電流供給波形の他の例を示すグラフである。
図7】本発明の第1実施形態による無針注射器でソレノイドコイルに電流が印加される時間による他の反動力(Force)を比較図示したグラフである。
図8】本発明の第1実施形態による無針注射器でソレノイドコイルに電流が印加される時間による反動距離(Displacement)を示すグラフである。
図9】本発明の第2実施形態による無針注射器に冷却チャンバが備えられた構成を示す縦断面図である。
図10】本発明の第3実施形態による無針注射器にピストンカバーが備えられた構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明すれば、次の通りである。
図1は、本発明の第1実施形態による無針注射器を示す縦断面図である。
【0019】
図1を参照すれば、本発明の第1実施形態による無針注射器100は、ボディー10、シリンダー20、ソレノイドコイル30、運動磁性体90、運動磁性体用弾性部材110、ピストン40、ノズル部開閉弁50、進退駆動手段60、ブロッカー70を含む。
前記無針注射器100は、前記ソレノイドコイル30によって発生した磁力によって前記運動磁性体90が前進移動時に、前記運動磁性体90が前記ピストン40に衝突して、前記ピストン40を前進移動させるインパクト方式の注射器である。
前記ボディー10は、中空状に形成され、長手方向に長く形成される。前記ボディー10の前面が開口されるように形成される。
【0020】
前記シリンダー20は、前記ボディー10の前側に螺合される。前記シリンダー20は、前記ボディー10の開口された前面に連通されるように結合される。
前記シリンダー20は、中空状に形成され、シリンダーメインホール21、薬物収容部22及びノズル部23が連通されるように形成される。
【0021】
前記シリンダーメインホール21は、前記シリンダー20の内側後側に形成され、少なくとも一部に前記ボディー10の前端が挿入されて螺合されるようにネジ山が形成される。
前記薬物収容部22は、前記ボディー結合ホール21よりも断面積が縮小されるように形成される。前記薬物収容部22は、前記ピストン40が密着されて移動する通路であり、薬物が収容される収容空間である。
【0022】
前記薬物収容部22は、前側に行くほど断面積が次第に減少する縮小部22aと、前記縮小部22aから延びて断面積が再び増加する拡大部22bと、を含む発散ノズル状に形成される。前記縮小部22aには、前記ピストン40の後退移動時に発生する圧力差によって外部から薬物を供給する薬物供給ホール22cが形成される。前記薬物供給ホール22cには、薬物充填器25が結合される。
【0023】
前記ノズル部23は、前記薬物収容部22に連通され、断面積が次第に減少するように形成されて、前記薬物収容部22内に収容された薬物を噴射する。
【0024】
本実施形態では、前記シリンダー20は、前記ボディー結合ホール21と前記薬物収容部22とが形成された第1ブロックと、前記ノズル部23が形成された第2ブロックと、が互いに結合されていると説明している。但し、これに限定されず、前記第1ブロックと前記第2ブロックは、一体に形成されてもよい。
前記ソレノイドコイル30は、前記ボディー10の外周面の前側に巻かれて、前記ピストン40の前進移動時に電流が印加されるコイルである。
【0025】
前記ソレノイドコイル30は、電流印加時に、前記運動磁性体90が前進移動する方向に磁力を発生させて、前記運動磁性体90を前進移動させる役割を果たす。
前記ピストン40は、前記ボディー10と前記シリンダー20との内部に長手方向に長く挿入されて、前記薬物収容部22に収容された薬物を押し出す役割を果たす。
前記ピストン40は、前記ボディー10の内部で前記運動磁性体90と別途に備えられ、前記運動磁性体90よりも前側に挿入される。前記ピストン40は、前記運動磁性体90の前進移動時に、前記運動磁性体90が加える衝撃力によって前進移動して、前記薬物収容部22内の薬物を前記ノズル部23に加圧する。
前記ピストン40で前記シリンダー20の内部に位置する前側部の外周面には、半径方向に突出した第1フランジ部41が形成される。
【0026】
前記第1フランジ部41は、前記ピストン40の前進移動時に後述する長さ調節ブロッカー7に引っ掛かって、前記ピストン40の前進移動距離が制限される。
前記ピストン40で前記ボディー10の内部に位置する後側部の外周面には、半径方向に突出した第2フランジ部42が形成される。
前記ブロッカー70は、前記シリンダー20と前記ピストン40との間に着脱自在に結合される。
【0027】
前記ブロッカー70は、前記シリンダーメインホール21に結合されて固定された固定ブロッカー71と、前記固定ブロッカー71の内周面に螺合され、前記固定ブロッカー71に結合される長さを調節可能な長さ調節ブロッカー72と、を含む。
【0028】
前記固定ブロッカー71は、内周面に雌ネジ山が形成され、リング状に形成される。
前記長さ調節ブロッカー72は、外周面に雄ネジ山が形成され、リング状に形成される。前記長さ調節ブロッカー72と前記ピストン40との間には、所定の間隔が形成されて、前記ピストン40は、前記長さ調節ブロッカー72の内部を通過して前進・後退移動する。
【0029】
前記長さ調節ブロッカー72は、前記固定ブロッカー72の後側で螺合されるので、前記長さ調節ブロッカー72が螺合される結合長は、薬物の1回注入量によって異なって調節することができる。
【0030】
前記長さ調節ブロッカー72が前記固定ブロッカー71に螺合される結合長が長くなるほど、前記長さ調節ブロッカー72が後側に突出する長さが短くなる。前記長さ調節ブロッカー72が後側に突出した長さが短くなれば、前記長さ調節ブロッカー72と前記第1フランジ部41との距離(d)が長くなるので、前記ピストン40の前進移動距離(d)が長くなる。前記ピストン40の前進移動距離(d)が長いほど薬物の1回注入量が増加する。
【0031】
前記長さ調節ブロッカー72が前記固定ブロッカー71に螺合される結合長が短くなるほど、前記長さ調節ブロッカー72が後側に突出する長さが長くなる。前記長さ調節ブロッカー72が後側に突出した長さが長くなるほど、前記長さ調節ブロッカー72と前記第1フランジ部41との距離(d)が短くなるので、前記ピストン40の前進移動距離(d)が短くなる。前記ピストン40の前進移動距離(d)が短いほど薬物の1回注入量が減少する。
【0032】
したがって、使用者は、前記長さ調節ブロッカー72が前記固定ブロッカー71に結合される長さを調節することにより、薬物の1回注入量を微細に調節することができる。
前記運動磁性体90は、前記ボディー10の内部に長手方向に長く挿入され、前記ソレノイドコイル30に電流印加時に発生する磁力によって前進・後退往復運動する。
【0033】
前記運動磁性体90は、永久磁石ではなく、前記ソレノイドコイル30に電流印加時に発生する磁場によって一時的に磁性を有し、外部磁場が消えれば、磁性が消える素材で形成される。前記運動磁性体90は、鉄心であると説明している。
【0034】
前記運動磁性体用弾性部材110は、前記ボディー10の内部で前記運動磁性体90と前記ピストン40との間に前記ボディー10の長手方向に長く備えられる。前記運動磁性体用弾性部材110は、前記運動磁性体90が後退移動する方向に前記運動磁性体110に弾性力を付与する。前記運動磁性体用弾性部材110は、前記運動磁性体90の前進移動時に圧縮され、前記運動磁性体90の後退移動する方向に前記運動磁性体90に弾性力を付与する第1コイルバネである。前記運動磁性体用弾性部材110の一端は、前記ピストン40の後端に結合され、他端は、前記運動磁性体90の前端に結合されうる。
【0035】
前記ノズル部開閉弁50は、前記ノズル部23と前記薬物収容部22との間の連通ホールを開閉するように備えられる。前記ノズル部開閉弁50は、前記ピストン40の前進移動時に、前記薬物収容部22に収容された薬物によって加えられる油圧によって押されて、前記連通ホールを開放し、前記油圧の解除時に弾性復元されて、前記連通ホールを遮蔽する。
【0036】
前記ノズル部開閉弁50は、前記連通ホールに設けられたボール51と、前記ノズル部23に設けられて、前記ボールが前記薬物収容部22に向けた方向に弾性力を提供する弾性部材52と、を含む。前記ボール51は、前記拡大部22bに差し込まれるように形成される。本実施形態において、前記ノズル部開閉弁50は、ボール弁であると説明している。但し、これに限定されず、前記ノズル部開閉弁50は、ダックビル(Duckbill)弁、板チェック弁、電気制御弁など多様な弁を使用可能である。
前記進退駆動手段は、前記ソレノイドコイル30に既定の周期で電流の供給と遮断とを繰り返して、前記ピストン40の前進移動と後退移動とを複数回繰り返すことができる。
前記進退駆動手段は、電流供給部(図示せず)と前記ピストン用弾性部材120とを含む。
【0037】
前記電流供給部(図示せず)は、前記ピストン40の前進移動時に、前記ソレノイドコイル30に電流を印加して、前記運動磁性体90を前進移動させる。前記ピストン40の後退移動時には、前記ソレノイドコイル30に電流を遮断する。
【0038】
前記電流供給部(図示せず)は、外部電力供給源から供給される電流を貯蔵する蓄電器(図示せず)と前記外部電力供給源から供給される電流を供給するDC電源供給部(図示せず)とのうち何れか1つを使用することができる。
【0039】
前記蓄電器(図示せず)は、前記運動磁性体90の前進移動時に貯蔵された電流を前記ソレノイドコイル30に供給して放電し、前記運動磁性体90の後退移動時は、前記ソレノイドコイル30に電流を供給せず、貯蔵して蓄電する。したがって、前記運動磁性体90の前進移動時に加えられる電気エネルギーが後退移動時に加えられる電気エネルギーよりも大きいために、前進速度を増加させることができる。
【0040】
前記ピストン用弾性部材120は、前記電流供給部の電流供給遮断時に、前記ピストン40が後退する方向に前記ピストン40に弾性力を付与する弾性部材である。
前記ピストン用弾性部材120は、前記ピストン40の外周面に結合された第2コイルバネ121と第3コイルバネ122とを含む。
【0041】
前記第2コイルバネ121は、前記ピストン40に外挿され、両端がシリンダー20と前記第1フランジ部41との間に備えられる。前記第2コイルバネ121は、前記ピストン40の前進移動時に、前記第1フランジ部41によって圧縮され、前記ピストン40の後退移動時に、前記ピストン40が後退移動する方向に前記第1フランジ部41に弾性力を付与する。
【0042】
前記第3コイルバネ122は、前記ピストン40に外挿され、両端が前記ボディー10と前記第2フランジ部42との間に備えられる。前記第2コイルバネ122は、前記ピストン40の前進移動時に、前記第2フランジ部42によって圧縮され、前記ピストン40の後退移動時に、前記ピストン40が後退移動する方向に前記第2フランジ部42に弾性力を付与する。
【0043】
前記のように構成された本発明の第1実施形態による無針注射器100の作動を説明すれば、次の通りである。
【0044】
図2は、本発明の第1実施形態による無針注射器のピストンの前進移動状態を示す図面である。図3は、本発明の第1実施形態による無針注射器のピストンの後退移動状態を示す図面である。
【0045】
図2を参照すれば、前記ピストン40の前進移動時に、前記ソレノイドコイル30には、既定の第1方向の電流が印加される。ここで、前記第1方向は、前記ソレノイドコイル30の周辺に前記ピストン40が前進する方向に磁力を発生させる方向に設定される。
前記ソレノイドコイル30によって発生した磁力によって、前記運動磁性体90が前進移動を行う。
【0046】
前記運動磁性体90が前進移動すれば、前記運動磁性体用弾性部材110が圧縮される。
前記運動磁性体90が所定距離以上前進移動すれば、前記運動磁性体90が前記ピストン
【0047】
40に衝突する。
前記ピストン40は、前記運動磁性体90が衝突しながら加えた衝撃力によって前進移動する。
【0048】
前記衝撃力は、前記運動磁性体90の質量と移動速度とに比例する。前記移動速度は、前記ソレノイドコイル30に加えられる電圧と前記運動磁性体90の移動距離とによって調節される。前記電圧を調節して前記衝撃力を変化させれば、1回薬物注入量を調節することができる。
【0049】
本実施形態では、前記ピストン40が衝撃力によって前進移動するので、前記ピストン40と前記運動磁性体90とが一体に前進移動する場合よりもさらに高速で前進移動する。したがって、前記ピストン40を前進移動させるのに入る電気エネルギーがより減少しうる。
【0050】
前記ピストン40が前進移動すれば、前記ピストン用弾性部材120が圧縮される。すなわち、前記ピストン40の前進移動時に、前記第1フランジ部41によって前記第2コイルバネ121が圧縮され、前記第2フランジ部42によって前記第3コイルバネ122が圧縮される。
【0051】
前記ピストン40は、前記第1フランジ部41が前記長さ調節ブロッカー72に引っ掛かるまでに前進移動する。
前記ピストン40が前進移動すれば、前記ピストン40が前記薬物収容部22内の薬物を加圧する。
【0052】
図4の(a)を参照すれば、前記薬物収容部22内の薬物が加圧されれば、油圧によって前記ノズル部開閉弁50が開放される。
前記ノズル部開閉弁50が開放されれば、前記薬物収容部22内の薬物は、前記ノズル部23を通じて前側に噴射される。
【0053】
前記のように、前記ピストン40の前進移動時に、前記ピストン40は、前記第1フランジ部41が前記長さ調節ブロッカー72に引っ掛かるまでに前進移動するために、前記ピストン40の前進移動距離が制限される。
【0054】
したがって、前記長さ調節ブロッカー72が前記固定ブロッカー71に結合される結合長を調節して、前記第1フランジ部41に向けた後側に突出する長さを調節することにより、前記ピストン40の前進移動距離を調節可能である。前記ピストン40の前進移動距離を調節すれば、一回に注入される薬物の量を調節することができる。
【0055】
すなわち、1回薬物注入量は、前記ソレノイドコイル30に加えられる電圧の大きさと前記ピストン40の前進移動距離とによって調節可能である。
以後、前記電流供給部は、前記ソレノイドコイル30に既定の第1設定時間(△t)の間に電流を供給した後、前記第1設定時間(△t)が経過すれば、前記ソレノイドコイル30に電流供給を遮断する。
【0056】
前記第1設定時間(△t)は、約250ms以下に設定される。前記第1設定時間(△t)についての説明は、後で詳しく説明する。
図3を参照すれば、前記ピストン40の後退移動時に、前記ソレノイドコイル30には、電流供給が遮断される。
【0057】
前記ソレノイドコイル30に電流を遮断すれば、前記ソレノイドコイル30による磁場が消えて、前記運動磁性体90を前進移動させる力がなくなる。
前記運動磁性体90は、前記運動磁性体用弾性部材110の弾性復元力によって後退移動する。すなわち、前記運動磁性体90は、前記運動磁性体用弾性部材110の弾性力によって原位置に復帰する。
【0058】
また、前記ピストン40は、前記ピストン用弾性部材120の弾性復元力によって原位置に後退移動する。
【0059】
図4の(b)を参照すれば、前記ピストン40が後退移動すれば、前記薬物収容部22内の圧力が低くなるので、前記ノズル部開閉弁50は、弾性復元されて閉まる。
また、前記薬物収容部22内の圧力が低くなれば、前記薬物充填器25から前記薬物供給ホール22cを通じて前記薬物収容部22に薬物が充填される。すなわち、前記ピストン40の後退移動時に薬物が自動充填される。
【0060】
図7は、本発明の第1実施形態による無針注射器でソレノイドコイルに電流が印加される時間による他の反動力を比較図示したグラフである。
【0061】
一方、前記電流供給部は、前記ソレノイドコイル30に既定の第1設定時間(△t)の間に電流を供給した後、前記第1設定時間(△t)が経過すれば、電流を遮断する。
前記第1設定時間(△t)は、前記ソレノイドコイル30に電流を印加する時点(t1)から前記ソレノイドコイル30に電流を遮断する時点(t2)までの時間差である。
【0062】
前記第1設定時間(△t)は、前記運動磁性体90の前進移動時に発生する1次反動衝撃量(I1)と前記運動磁性体90が前記ピストン40に衝突時に発生する2次反動衝撃量(I2)とを互いに相殺させることができる時間に設定される。
前記運動磁性体90の前進移動時に、作用反作用の法則によって、前記無針注射器100や前記無針注射器100を取っている使用者の手には、前記前進方向と逆方向である後退移動方向に1次反動が発生する。
【0063】
前記運動磁性体90が前記ピストン40に衝突時には、作用反作用の法則によって、前記無針注射器100や前記無針注射器100を取っている使用者の手には、前記前進移動方向に2次反動が発生する。
【0064】
図7を参照すれば、I1は、前記1次反動時に発生する1次反動衝撃量であり、I2は、前記2次反動時に発生する2次反動衝撃量を示す。
前記第1設定時間(△t)差で発生する前記1次反動衝撃量(I1)と前記2次反動衝撃量(I2)は、互いに同一である。
【0065】
したがって、前記第1設定時間(△t)を減らせば、使用者は、前記1次反動衝撃量(I1)と前記2次反動衝撃量(I2)とがほぼ同時に発生すると感じるので、前記1次反動衝撃量(I1)と前記2次反動衝撃量(I2)とを相殺させた効果が見られる。すなわち、図7の(b)のように、前記第1設定時間(△t)を減少させて反動を相殺させることができる最適の時間で導出して、反動相殺効果が得られる。
図8は、本発明の第1実施形態による無針注射器でソレノイドコイルに電流が印加される時間による反動距離を示すグラフである。
【0066】
図8を参照すれば、前記第1設定時間(△t)の最適値を導出するために、前記第1設定時間を変化させながら反動距離を測定する実験を実施した。
前記実験では、前記第1設定時間(△t)を800msから次第に減少させ、前記運動磁性体の移動距離は、60mmに固定して実験した。前記運動磁性体の重量は、前記第1設定時間(△t)の減少によって減少させて、前記運動磁性体90の衝撃量は一定に保持した。
【0067】
ここで、前記反動距離は、1回薬物注入時に、前記無針注射器の移動距離である。前記反動距離が短いほど使用者が感じる反動衝撃が減る。
【0068】
前記ソレノイドコイル30に加えられる電圧を増加させれば、前記運動磁性体90の移動速度が速くなるので、前記第1設定時間(△t)を減少させることができる。
この際、前記運動磁性体90の移動速度が速くなれば、前記ピストン40に加えられる衝撃量が増加するために、前記衝撃量を一定に保持するために、前記移動速度に比べて、前記運動磁性体90の質量を減少させなければならない。前記運動磁性体90の質量は、長さ調節や断面積縮小が可能なので、長さ調節よりも内部にホールを形成して質量を調節することが望ましい。
【0069】
本実験では、前記ソレノイドコイル30に加えられる電圧を増加させて、前記第1設定時間(△t)を減少させるが、前記ピストン40に加えられる衝撃量を保持するために、前記運動磁性体90の質量を減少させながら実験した。
【0070】
前記実験の結果、図8を参照すれば、前記第1設定時間(△t)が250ms以下では、反動距離の変化がほとんどないということが分かる。
【0071】
したがって、前記第1設定時間(△t)は、250ms以下であり、前記第1設定時間(△t)の減少による前記運動磁性体90の最適重量は、100g以下である。
【0072】
前記ソレノイドコイル30に電流が加えられる時間を250ms以下に設定することにより、前記無針注射器100の使用時に使用者が感じる反動が相殺されて、使用便宜性が向上する。
【0073】
前記のように、本発明では、前記ソレノイドコイル30に周期的に電流を供給または遮断することにより、前記ピストン40の前進移動と後退移動とを繰り返すことができる。
また、少量の薬物を高速で繰り返して注入することができるので、皮膚美容などの分野で皮膚全体に数回薬物を少量ずつ注射させうる。
【0074】
また、本実施形態では、前記ピストン40が衝撃力によって前進移動するので、前記ピストン40と前記運動磁性体90とが一体に前進移動する場合よりもさらに高速で前進移動する。したがって、前記ピストン40を前進移動させるのに入る電気エネルギーがより減少しうる。
【0075】
また、前記ソレノイドコイル30に電流が印加される時間を調節することにより、前記無針注射器100の反動を最小化させることができるために、別途の反動相殺構造を追加する必要がないので、構造が簡単でありながらも、使用便宜性を向上させうる。
一方、図5は、本発明の第1実施形態による無針注射器のソレノイドコイルに加えられる電流供給波形の一例を示すグラフである。
【0076】
図5を参照すれば、前記電流供給部(図示せず)は、前記ピストン40の前進移動時に、前記ソレノイドコイル30には、前記第1設定時間(△t)の間に約100Vの電圧を印加し、前記ピストン40を後退移動時に、前記ソレノイドコイル30には、電圧を遮断する。
【0077】
前記ソレノイドコイル30に電圧が遮断される時間は、前記ソレノイドコイル30に電圧が印加される時間と同一に設定されていると説明されている。
前記ソレノイドコイル30に印加される時間や電圧の大きさは、薬物の量などを考慮して多様に設定可能である。
【0078】
一方、図6は、本発明の第1実施形態による無針注射器のソレノイドコイルに加えられる電流供給波形の他の例を示すグラフである。
【0079】
図6を参照すれば、前記電流供給部(図示せず)は、前記ソレノイドコイル30に印加する電流の方向を既定の周期で繰り返して転換して、前記ソレノイドコイル30に発生する磁力の方向を周期的に転換させることができる。
【0080】
前記電流供給部(図示せず)は、前記運動磁性体90を前進移動時に、前記ソレノイドコイル30には、前記第1設定時間(△t)の間に約100Vの電圧を印加し、前記運動磁性体90を後退移動時に、前記ソレノイドコイル30には、前記第1設定時間(△t)の間に約-100Vの電圧を印加すると説明している。
【0081】
したがって、前記ソレノイドコイル30に100Vの電圧を印加すれば、前記運動磁性体90が前進移動する方向に磁力が発生して、前記運動磁性体90が前進移動する。
また、前記ソレノイドコイル30に-100Vの電圧を印加すれば、前記運動磁性体90が後退移動する方向に磁力が発生して、前記運動磁性体90が後退移動する。
【0082】
また、これに限定されず、前記電流供給部(図示せず)は、外部電力供給源から供給される電流を貯蔵し、前記ピストン40の前進移動時に貯蔵された電流を前記ソレノイドコイル30に供給し、前記ピストン40の後退移動時に、前記ソレノイドコイル30に電流供給を遮断する蓄電器(図示せず)と、前記ピストン40の後退移動時に、前記外部電力供給源から供給される電流を前記ソレノイドコイル30に供給するDC電源供給部と、を含むことも可能である。
【0083】
すなわち、前記電流供給部(図示せず)は、前記ソレノイドコイル30に印加される電流の方向を既定の周期で繰り返して転換するが、前記ピストン40の前進移動時には、前記蓄電器(図示せず)に貯蔵された電流を供給し、前記ピストン40の後退移動時には、前記DC電源供給部から電流を供給して、前記ピストン40の前進移動時に移動速度をより大きくする。
【0084】
図9は、本発明の第2実施形態による無針注射器に冷却チャンバが備えられた構成を示す縦断面図である。
【0085】
図9を参照すれば、本発明の第2実施形態による無針注射器200は、ソレノイドコイル30から発生する熱を冷却流体を通じて冷却させる冷却チャンバ210をさらに含むことが前記第1、2実施形態と異なり、それ以外の残りの構成及び作用は、前記第1実施形態と類似しているので、以下、類似構成についての説明は省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0086】
前記冷却チャンバ210は、前記ボディー10の外側に着脱自在に結合される。
【0087】
前記冷却チャンバ210は、前記ボディー10の外周面で前記ソレノイドコイル30を取り囲むように設けられる。前記冷却チャンバ210には、冷却流体供給管211と冷却流体排出管212とが結合される。
【0088】
前記冷却流体供給管611は、外部から前記冷却チャンバ210に冷却流体を供給する流路である。前記冷却流体排出管212は、前記冷却チャンバ210の冷却流体を外部に排出するための流路である。前記冷却流体供給管211と前記冷却流体排出管212には、
【0089】
それぞれ開閉弁(図示せず)が備えられうる。
【0090】
また、本実施形態では、前記ソレノイドコイル30を冷却させるために冷却流体を用い、冷却流体は、水または空気が使われていると説明しているが、これに限定されず、伝導冷却方式などを使用することももちろん可能である。
【0091】
前記のように構成された本発明の第2実施形態による無針注射器200は、前記ソレノイドコイル30を冷却させるための前記冷却チャンバ210が備えられることにより、前記ソレノイドコイル30の熱を吸収して一定温度に保持させることができるので、前記ソレノイドコイル30から発生した熱によって磁力が弱くなることを防止することができる。
図10は、本発明の第3実施形態による無針注射器にピストンカバーが備えられた構成を示す縦断面図である。
【0092】
図10を参照すれば、本発明の第3実施形態による無針注射器300は、シリンダー20とピストン40との間にピストンカバー310が備えられたことが前記第1、2実施形態と異なり、それ以外の残りの構成及び作用は、前記実施形態と類似しているので、異なる構成についてのみ説明する。
【0093】
前記ピストンカバー310は、前記第1、2実施形態にいずれも適用可能である。
【0094】
前記ピストンカバー310は、前記シリンダー20に固設される。前記ピストンカバー810は、前記シリンダー20の内部に備えられ、前記ピストン40の端部を覆うように配される。前記ピストンカバー310は、前記シリンダー20の内部に挿設されることも可能であり、前記シリンダー20の内周面に接着や結合などの方式で固定されることも可能である。
【0095】
前記ピストンカバー310は、前記ピストン40の前進移動時に、前記ピストン40によって前側に伸び、前記ピストン40の後退移動時に復元されるように伸縮可能な素材で形成される。本実施形態では、前記ピストンカバー310は、ゴム膜であると説明している。
【0096】
前記ピストンカバー310は、前記ピストン40の端部に薬物が直接付くことを防止することができる。
【0097】
したがって、使用者が、前記ピストン40の端部を拭き取る必要がない。
【0098】
また、前記ピストンカバー310は、前記シリンダー20に備えられることにより、前記
シリンダー20の取り替え時に、前記ピストンカバー310も共に取り替え可能である。
【0099】
本発明は、図面に示された実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上利用可能性】
【0100】
本発明によれば、所定の薬物を高速で繰り返して注入することができる無針注射器の利点がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無針注射器に係り、より詳細には、注射針なしにも、薬物を高速で繰り返して注射することができる無針注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、注射器は、薬液を生物体の組織の中に注射する器具である。注射器は、体内に刺す針(Needle)と、薬液が収容される注射筒と、注射筒の内部で往復運動し、前記針で薬液を押し込むピストンで構成される。針には、穴が開いており、注射する時、薬物を注入させる。
【0003】
最近、注射器の針に対する恐怖心を解消し、針による感染を予防するために、針のない注射器についての研究開発が活発になっている。
しかし、従来の無針注射器は、所定量の薬物を皮膚の一箇所のみに一回に注入するように構成されるために、皮膚組織の損傷などが発生する恐れがある。
また、1回注入後、再装填などの不便さが伴うために、皮膚美容などの分野で広い面積の皮膚に均一に複数回薬物の注入に使えない限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、少量の薬物を高速で繰り返して注入して、より広い面積の皮膚に均一に注射することができる無針注射器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による無針注射器は、中空状に形成されたボディー;前記ボディーの外周面に巻かれたソレノイドコイル;前記ボディーの開口された前面に連通されるように結合され、薬物が収容される薬物収容部と、前記薬物収容部に収容された薬物を前側に吐き出すノズル部と、が形成されたシリンダー;前記ボディーの内部に長手方向に長く挿入され、前記ソレノイドコイルに電流印加時に発生する磁力によって前進移動する運動磁性体;前記ボディーの内部で前記運動磁性体よりも前側に挿入されて、前記ボディーと前記シリンダーとを貫通するように備えられて、前記運動磁性体の前進移動時に、前記運動磁性体が加える衝撃力によって前進移動して、前記薬物収容部内の薬物を前記ノズル部に加圧するピストン;前記運動磁性体と前記ピストンとの間に備えられて、前記運動磁性体が後退移動する方向に前記運動磁性体に弾性力を付与する運動磁性体用弾性部材;前記ノズル部と前記薬物収容部との間の連通ホールを開閉するように備えられて、前記ピストンの前進移動時に、前記薬物収容部から薬物によって加えられる油圧によって押されて、前記連通ホールを開放し、前記油圧の解除時に弾性復元されて、前記連通ホールを遮蔽するノズル部開閉弁;前記ソレノイドコイルに既定の周期で電流の供給と遮断とを繰り返して、前記ピストンの前進移動と後退移動とを繰り返す進退駆動手段;を含み、前記進退駆動手段は、前記ピストンの前進移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を供給して、前記運動磁性体を前進移動させ、前記ピストンの後退移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を遮断することを繰り返す電流供給部;前記電流供給部の電流供給遮断時に、前記ピストンが後退する方向に前記ピストンに弾性力を付与するピストン用弾性部材;を含む。
【0006】
前記電流供給部は、前記ソレノイドコイルに既定の第1設定時間の間に電流を印加した後、電流を遮断し、前記運動磁性体の質量は、100g以下であり、前記第1設定時間は、250ms以下に設定される。
【0007】
前記運動磁性体用弾性部材は、前記運動磁性体の前進移動時に圧縮され、前記運動磁性体が後退移動する方向に前記運動磁性体に弾性力を付与する第1コイルバネを含む。
前記ピストンは、前記シリンダーの内部に位置する前側部の外周面から半径方向に突出した第1フランジ部が形成され、前記ピストン用弾性部材は、前記ピストンに外挿され、両端が前記シリンダーと前記第1フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第1フランジ部に弾性力を付与する第2コイルバネを含む。
【0008】
前記ピストンは、前記ボディーの内部に位置する後側部の外周面から半径方向に突出した第2フランジ部が形成され、前記ピストン用弾性部材は、前記ピストンに外挿され、両端が前記ボディーと前記第2フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第2フランジ部に弾性力を付与する第3コイルバネを含む。
【0009】
前記ピストンは、前記シリンダーの内部に位置する前側部の外周面から半径方向に突出した第1フランジ部と、前記ボディーの内部に位置する後側部の外周面から半径方向に突出した第2フランジ部と、が形成され、前記ピストン用弾性部材は、前記ピストンに外挿され、両端が前記シリンダーと前記第1フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第1フランジ部に弾性力を付与する第2コイルバネと、前記ピストンに外挿され、両端が前記ボディーと前記第2フランジ部との間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に圧縮され、前記ピストンが後退移動する方向に前記第2フランジ部に弾性力を付与する第3コイルバネと、を含む。
前記ピストンと前記シリンダーとの間に備えられて、前記ピストンの前進移動時に、前記第1フランジ部が引っ掛かって、前記ピストンの前進移動距離を制限するブロッカーをさらに含む。
【0010】
前記シリンダーの内周面に固設され、内周面に雌ネジ山が形成されたリング状の固定ブロッカーと、前記固定ブロッカーの内周面に螺合され、前記ピストンの前進移動時に、前記第1フランジ部が引っ掛かるように形成され、前記固定ブロッカーに螺合される結合長が調節可能な長さ調節ブロッカーと、を含む。
【0011】
前記薬物収容部は、前側に行くほど断面積が減少する縮小部と、前記縮小部から延びて断面積が再び増加する拡大部と、を含む発散ノズル状に形成され、前記縮小部には、前記ピストンの後退移動時に発生する圧力差によって外部から薬物を供給される薬物供給ホールが形成される。
【0012】
前記ノズル部開閉弁は、前記連通ホールに設けられたボールと、前記ノズル部に設けられて前記ボールを支持する弾性部材と、を含む。
前記シリンダーの内部に備えられて、前記ピストンの端部を覆うように形成され、前記ピストンの前進・後退移動時に伸縮可能になるように伸縮可能な素材で形成されたピストンカバーをさらに含む。
【0013】
前記ボディーの外側で前記ソレノイドコイルの外側を取り囲むように備えられて、前記ソレノイドコイルで発生する熱を冷却流体を通じて吸収して冷却させる冷却チャンバをさらに含む。
【0014】
本発明の他の側面による無針注射器は、中空状に形成されたボディー;前記ボディーの外周面に巻かれたソレノイドコイル;前記ボディーの開口された前面に連通されるように結合され、薬物が収容される薬物収容部と、前記薬物収容部に収容された薬物を前側に吐き出すノズル部と、が形成されたシリンダー;前記ボディーの内部に長手方向に長く挿入され、前記ソレノイドコイルに電流印加時に発生する磁力によって前進移動する運動磁性体;前記ボディーの内部で前記運動磁性体よりも前側に挿入されて、前記ボディーと前記シリンダーとを貫通するように備えられて、前記運動磁性体の前進移動時に、前記運動磁性体が加える衝撃力によって前進移動して、前記薬物収容部内の薬物を前記ノズル部に加圧するピストン;前記運動磁性体と前記ピストンとの間に備えられて、前記運動磁性体が後退移動する方向に前記運動磁性体に弾性力を付与する運動磁性体用弾性部材;前記ノズル部と前記薬物収容部との間の連通ホールを開閉するように備えられて、前記ピストンの前進移動時に、前記薬物収容部から薬物によって加えられる油圧によって押されて、前記連通ホールを開放し、前記油圧の解除時に弾性復元されて、前記連通ホールを遮蔽するノズル部開閉弁;前記ソレノイドコイルに既定の周期で電流の供給と遮断とを繰り返して、前記ピストンの前進移動と後退移動とを繰り返す進退駆動手段;前記シリンダーの内部に備えられて、前記ピストンの端部を覆うように形成され、前記ピストンの前進・後退移動時に伸縮可能になるように伸縮可能な素材で形成されたピストンカバー;前記ボディーの外側で前記ソレノイドコイルの外側を取り囲むように備えられて、前記ソレノイドコイルで発生する熱を冷却流体を通じて吸収して冷却させる冷却チャンバ;を含み、前記進退駆動手段は、前記ピストンの前進移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を供給して、前記運動磁性体を前進移動させ、前記ピストンの後退移動時に、前記ソレノイドコイルに電流を遮断することを繰り返す電流供給部;前記電流供給部の電流供給遮断時に、前記ピストンが後退する方向に弾性力を付与するピストン用弾性部材;を含み、前記電流供給部は、前記ソレノイドコイルに既定の第1設定時間の間に電流を印加した後、電流を遮断し、前記運動磁性体の質量は、100g以下であり、前記第1設定時間は、250ms以下に設定される。
【発明の効果】
【0015】
本発明による無針注射器は、ソレノイドコイルに電流を供給して磁場を発生させて、運動磁性体とピストンとを前進移動させ、ソレノイドコイルに電流を遮断すれば、運動磁性体用弾性部材が運動磁性体を後退移動させ、ピストン用弾性部材がピストンを後退移動させるように構成されることにより、薬物を加圧して注射するピストンを繰り返して前進・後退往復運動させるように構成されることにより、所定の薬物を高速で繰り返して注入することができる。
【0016】
また、本発明は、ソレノイドコイルに電流が印加される時間を調節して、別途の反動相殺構造を追加する必要なしに反動を最小化させることにより、構造が簡単でありながらも、使用便宜性を向上させうる。
【0017】
また、運動磁性体がピストンに衝突してピストンを前進移動させることにより、より少ないエネルギーを用いてより高速で薬物を注射できるという利点がある。
また、皮膚美容などの分野で顔のようなより幅広い皮膚に一回施術時に、1回ではなく複数回注射が可能であるという利点がある。
また、使用者が別途に装填する必要がなしに少量の薬物を高速で自動反復注射できるという利点がある。
【0018】
また、ソレノイドコイルに加えられる電圧と長さ調節ブロッカーの結合長とを変化させて、1回薬物注入量を調節することができる。
【0019】
また、ソレノイドコイルの周辺に冷却チャンバを備えることにより、ソレノイドコイルから発生した熱によって磁力が弱くなることを防止することができる。
【0020】
また、シリンダーとピストンとの間にピストンカバーが備えられることにより、薬物がピストンの端部に付くことが防止されて、使用者がピストンの端部を拭き取る必要がないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態による無針注射器を示す縦断面図である。
図2】本発明の第1実施形態による無針注射器のピストンの前進移動状態を示す図面である。
図3】本発明の第1実施形態による無針注射器のピストンの後退移動状態を示す図面である。
図4】本発明の第1実施形態による無針注射器のノズル開閉弁を示す図面である。
図5】本発明の第1実施形態による無針注射器のソレノイドコイルに加えられる電流供給波形の一例を示すグラフである。
図6】本発明の第1実施形態による無針注射器のソレノイドコイルに加えられる電流供給波形の他の例を示すグラフである。
図7】本発明の第1実施形態による無針注射器でソレノイドコイルに電流が印加される時間による他の反動距離(Displacement)を比較図示したグラフである。
図8】本発明の第1実施形態による無針注射器でソレノイドコイルに電流が印加される時間による反動力(Force)を示すグラフである。
図9】本発明の第2実施形態による無針注射器に冷却チャンバが備えられた構成を示す縦断面図である。
図10】本発明の第3実施形態による無針注射器にピストンカバーが備えられた構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明すれば、次の通りである。
図1は、本発明の第1実施形態による無針注射器を示す縦断面図である。
【0023】
図1を参照すれば、本発明の第1実施形態による無針注射器100は、ボディー10、シリンダー20、ソレノイドコイル30、運動磁性体90、運動磁性体用弾性部材110、ピストン40、ノズル部開閉弁50、進退駆動手段60、ブロッカー70を含む。
【0024】
前記無針注射器100は、前記ソレノイドコイル30によって発生した磁力によって前記運動磁性体90が前進移動時に、前記運動磁性体90が前記ピストン40に衝突して、前記ピストン40を前進移動させるインパクト方式の注射器である。
前記ボディー10は、中空状に形成され、長手方向に長く形成される。前記ボディー10の前面が開口されるように形成される。
【0025】
前記シリンダー20は、前記ボディー10の前側に螺合される。前記シリンダー20は、前記ボディー10の開口された前面に連通されるように結合される。
【0026】
前記シリンダー20は、中空状に形成され、シリンダーメインホール21、薬物収容部22及びノズル部23が連通されるように形成される。
【0027】
前記シリンダーメインホール21は、前記シリンダー20の内側後側に形成され、少なくとも一部に前記ボディー10の前端が挿入されて螺合されるようにネジ山が形成される。
前記薬物収容部22は、前記シリンダーメインホール21よりも断面積が縮小されるように形成される。前記薬物収容部22は、前記ピストン40が密着されて移動する通路であり、薬物が収容される収容空間である。
【0028】
前記薬物収容部22は、前側に行くほど断面積が次第に減少する縮小部22aと、前記縮小部22aから延びて断面積が再び増加する拡大部22bと、を含む発散ノズル状に形成される。前記縮小部22aには、前記ピストン40の後退移動時に発生する圧力差によって外部から薬物を供給する薬物供給ホール22cが形成される。前記薬物供給ホール22cには、薬物充填器25が結合される。
【0029】
前記ノズル部23は、前記薬物収容部22に連通され、断面積が次第に減少するように形成されて、前記薬物収容部22内に収容された薬物を噴射する。
本実施形態では、前記シリンダー20は、前記シリンダーメインホール21と前記薬物収容部22とが形成された第1ブロックと、前記ノズル部23が形成された第2ブロックと、が互いに結合されていると説明している。但し、これに限定されず、前記第1ブロックと前記第2ブロックは、一体に形成されてもよい。
【0030】
前記ソレノイドコイル30は、前記ボディー10の外周面の前側に巻かれて、前記ピストン40の前進移動時に電流が印加されるコイルである。
【0031】
前記ソレノイドコイル30は、電流印加時に、前記運動磁性体90が前進移動する方向に磁力を発生させて、前記運動磁性体90を前進移動させる役割を果たす。
前記ピストン40は、前記ボディー10と前記シリンダー20との内部に長手方向に長く挿入されて、前記薬物収容部22に収容された薬物を押し出す役割を果たす。
前記ピストン40は、前記ボディー10の内部で前記運動磁性体90と別途に備えられ、前記運動磁性体90よりも前側に挿入される。前記ピストン40は、前記運動磁性体90の前進移動時に、前記運動磁性体90が加える衝撃力によって前進移動して、前記薬物収容部22内の薬物を前記ノズル部23に加圧する。
【0032】
前記ピストン40で前記シリンダー20の内部に位置する前側部の外周面には、半径方向に突出した第1フランジ部41が形成される。
【0033】
前記第1フランジ部41は、前記ピストン40の前進移動時に後述する長さ調節ブロッカー7に引っ掛かって、前記ピストン40の前進移動距離が制限される。
前記ピストン40で前記ボディー10の内部に位置する後側部の外周面には、半径方向に突出した第2フランジ部42が形成される。
前記ブロッカー70は、前記シリンダー20と前記ピストン40との間に着脱自在に結合される。
【0034】
前記ブロッカー70は、前記シリンダーメインホール21に結合されて固定された固定ブロッカー71と、前記固定ブロッカー71の内周面に螺合され、前記固定ブロッカー71に結合される長さを調節可能な長さ調節ブロッカー72と、を含む。
【0035】
前記固定ブロッカー71は、内周面に雌ネジ山が形成され、リング状に形成される。
前記長さ調節ブロッカー72は、外周面に雄ネジ山が形成され、リング状に形成される。前記長さ調節ブロッカー72と前記ピストン40との間には、所定の間隔が形成されて、前記ピストン40は、前記長さ調節ブロッカー72の内部を通過して前進・後退移動する。
【0036】
前記長さ調節ブロッカー72は、前記固定ブロッカー72の後側で螺合されるので、前記長さ調節ブロッカー72が螺合される結合長は、薬物の1回注入量によって異なって調節することができる。
【0037】
前記長さ調節ブロッカー72が前記固定ブロッカー71に螺合される結合長が長くなるほど、前記長さ調節ブロッカー72が後側に突出する長さが短くなる。前記長さ調節ブロッカー72が後側に突出した長さが短くなれば、前記長さ調節ブロッカー72と前記第1フランジ部41との距離(d)が長くなるので、前記ピストン40の前進移動距離(d)が長くなる。前記ピストン40の前進移動距離(d)が長いほど薬物の1回注入量が増加する。
【0038】
前記長さ調節ブロッカー72が前記固定ブロッカー71に螺合される結合長が短くなるほど、前記長さ調節ブロッカー72が後側に突出する長さが長くなる。前記長さ調節ブロッカー72が後側に突出した長さが長くなるほど、前記長さ調節ブロッカー72と前記第1フランジ部41との距離(d)が短くなるので、前記ピストン40の前進移動距離(d)が短くなる。前記ピストン40の前進移動距離(d)が短いほど薬物の1回注入量が減少する。
【0039】
したがって、使用者は、前記長さ調節ブロッカー72が前記固定ブロッカー71に結合される長さを調節することにより、薬物の1回注入量を微細に調節することができる。
前記運動磁性体90は、前記ボディー10の内部に長手方向に長く挿入され、前記ソレノイドコイル30に電流印加時に発生する磁力によって前進・後退往復運動する。
前記運動磁性体90は、永久磁石ではなく、前記ソレノイドコイル30に電流印加時に発生する磁場によって一時的に磁性を有し、外部磁場が消えれば、磁性が消える素材で形成される。前記運動磁性体90は、鉄心であると説明している。
【0040】
前記運動磁性体用弾性部材110は、前記ボディー10の内部で前記運動磁性体90と前記ピストン40との間に前記ボディー10の長手方向に長く備えられる。前記運動磁性体用弾性部材110は、前記運動磁性体90が後退移動する方向に前記運動磁性体110に弾性力を付与する。前記運動磁性体用弾性部材110は、前記運動磁性体90の前進移動時に圧縮され、前記運動磁性体90の後退移動する方向に前記運動磁性体90に弾性力を付与する第1コイルバネである。前記運動磁性体用弾性部材110の一端は、前記ピストン40の後端に結合され、他端は、前記運動磁性体90の前端に結合されうる。
【0041】
前記ノズル部開閉弁50は、前記ノズル部23と前記薬物収容部22との間の連通ホールを開閉するように備えられる。前記ノズル部開閉弁50は、前記ピストン40の前進移動時に、前記薬物収容部22に収容された薬物によって加えられる油圧によって押されて、前記連通ホールを開放し、前記油圧の解除時に弾性復元されて、前記連通ホールを遮蔽する。
【0042】
前記ノズル部開閉弁50は、前記連通ホールに設けられたボール51と、前記ノズル部23に設けられて、前記ボールが前記薬物収容部22に向けた方向に弾性力を提供する弾性部材52と、を含む。前記ボール51は、前記拡大部22bに差し込まれるように形成される。本実施形態において、前記ノズル部開閉弁50は、ボール弁であると説明している。但し、これに限定されず、前記ノズル部開閉弁50は、ダックビル(Duckbil
【0043】
l)弁、板チェック弁、電気制御弁など多様な弁を使用可能である。
前記進退駆動手段は、前記ソレノイドコイル30に既定の周期で電流の供給と遮断とを繰り返して、前記ピストン40の前進移動と後退移動とを複数回繰り返すことができる。
前記進退駆動手段は、電流供給部(図示せず)と前記ピストン用弾性部材120とを含む。
【0044】
前記電流供給部(図示せず)は、前記ピストン40の前進移動時に、前記ソレノイドコイル30に電流を印加して、前記運動磁性体90を前進移動させる。前記ピストン40の後退移動時には、前記ソレノイドコイル30に電流を遮断する。
【0045】
前記電流供給部(図示せず)は、外部電力供給源から供給される電流を貯蔵する蓄電器(図示せず)と前記外部電力供給源から供給される電流を供給するDC電源供給部(図示せず)とのうち何れか1つを使用することができる。
【0046】
前記蓄電器(図示せず)は、前記運動磁性体90の前進移動時に貯蔵された電流を前記ソレノイドコイル30に供給して放電し、前記運動磁性体90の後退移動時は、前記ソレノイドコイル30に電流を供給せず、貯蔵して蓄電する。したがって、前記運動磁性体90の前進移動時に加えられる電気エネルギーが後退移動時に加えられる電気エネルギーよりも大きいために、前進速度を増加させることができる。
【0047】
前記ピストン用弾性部材120は、前記電流供給部の電流供給遮断時に、前記ピストン40が後退する方向に前記ピストン40に弾性力を付与する弾性部材である。
前記ピストン用弾性部材120は、前記ピストン40の外周面に結合された第2コイルバネ121と第3コイルバネ122とを含む。
【0048】
前記第2コイルバネ121は、前記ピストン40に外挿され、両端がシリンダー20と前記第1フランジ部41との間に備えられる。前記第2コイルバネ121は、前記ピストン40の前進移動時に、前記第1フランジ部41によって圧縮され、前記ピストン40の後退移動時に、前記ピストン40が後退移動する方向に前記第1フランジ部41に弾性力を付与する。
【0049】
前記第3コイルバネ122は、前記ピストン40に外挿され、両端が前記ボディー10と前記第2フランジ部42との間に備えられる。前記第2コイルバネ122は、前記ピストン40の前進移動時に、前記第2フランジ部42によって圧縮され、前記ピストン40の後退移動時に、前記ピストン40が後退移動する方向に前記第2フランジ部42に弾性力を付与する。
【0050】
前記のように構成された本発明の第1実施形態による無針注射器100の作動を説明すれば、次の通りである。
【0051】
図2は、本発明の第1実施形態による無針注射器のピストンの前進移動状態を示す図面である。図3は、本発明の第1実施形態による無針注射器のピストンの後退移動状態を示す図面である。
【0052】
図2を参照すれば、前記ピストン40の前進移動時に、前記ソレノイドコイル30には、既定の第1方向の電流が印加される。ここで、前記第1方向は、前記ソレノイドコイル30の周辺に前記ピストン40が前進する方向に磁力を発生させる方向に設定される。
前記ソレノイドコイル30によって発生した磁力によって、前記運動磁性体90が前進移動を行う。
【0053】
前記運動磁性体90が前進移動すれば、前記運動磁性体用弾性部材110が圧縮される。
前記運動磁性体90が所定距離以上前進移動すれば、前記運動磁性体90が前記ピストン40に衝突する。
前記ピストン40は、前記運動磁性体90が衝突しながら加えた衝撃力によって前進移動する。
【0054】
前記衝撃力は、前記運動磁性体90の質量と移動速度とに比例する。前記移動速度は、前記ソレノイドコイル30に加えられる電圧と前記運動磁性体90の移動距離とによって調節される。前記電圧を調節して前記衝撃力を変化させれば、1回薬物注入量を調節することができる。
【0055】
本実施形態では、前記ピストン40が衝撃力によって前進移動するので、前記ピストン40と前記運動磁性体90とが一体に前進移動する場合よりもさらに高速で前進移動する。したがって、前記ピストン40を前進移動させるのに入る電気エネルギーがより減少しうる。
【0056】
前記ピストン40が前進移動すれば、前記ピストン用弾性部材120が圧縮される。すなわち、前記ピストン40の前進移動時に、前記第1フランジ部41によって前記第2コイルバネ121が圧縮され、前記第2フランジ部42によって前記第3コイルバネ122が圧縮される。
【0057】
前記ピストン40は、前記第1フランジ部41が前記長さ調節ブロッカー72に引っ掛かるまでに前進移動する。
【0058】
前記ピストン40が前進移動すれば、前記ピストン40が前記薬物収容部22内の薬物を加圧する。
【0059】
図4の(a)を参照すれば、前記薬物収容部22内の薬物が加圧されれば、油圧によって前記ノズル部開閉弁50が開放される。
【0060】
前記ノズル部開閉弁50が開放されれば、前記薬物収容部22内の薬物は、前記ノズル部23を通じて前側に噴射される。
【0061】
前記のように、前記ピストン40の前進移動時に、前記ピストン40は、前記第1フランジ部41が前記長さ調節ブロッカー72に引っ掛かるまでに前進移動するために、前記ピストン40の前進移動距離が制限される。
【0062】
したがって、前記長さ調節ブロッカー72が前記固定ブロッカー71に結合される結合長を調節して、前記第1フランジ部41に向けた後側に突出する長さを調節することにより、前記ピストン40の前進移動距離を調節可能である。前記ピストン40の前進移動距離を調節すれば、一回に注入される薬物の量を調節することができる。
【0063】
すなわち、1回薬物注入量は、前記ソレノイドコイル30に加えられる電圧の大きさと前記ピストン40の前進移動距離とによって調節可能である。
以後、前記電流供給部は、前記ソレノイドコイル30に既定の第1設定時間(△t)の間に電流を供給した後、前記第1設定時間(△t)が経過すれば、前記ソレノイドコイル30に電流供給を遮断する。
【0064】
前記第1設定時間(△t)は、約250ms以下に設定される。前記第1設定時間(△t)についての説明は、後で詳しく説明する。
図3を参照すれば、前記ピストン40の後退移動時に、前記ソレノイドコイル30には、電流供給が遮断される。
【0065】
前記ソレノイドコイル30に電流を遮断すれば、前記ソレノイドコイル30による磁場が消えて、前記運動磁性体90を前進移動させる力がなくなる。
【0066】
前記運動磁性体90は、前記運動磁性体用弾性部材110の弾性復元力によって後退移動する。すなわち、前記運動磁性体90は、前記運動磁性体用弾性部材110の弾性力に
【0067】
よって原位置に復帰する。
また、前記ピストン40は、前記ピストン用弾性部材120の弾性復元力によって原位置に後退移動する。
【0068】
図4の(b)を参照すれば、前記ピストン40が後退移動すれば、前記薬物収容部22内の圧力が低くなるので、前記ノズル部開閉弁50は、弾性復元されて閉まる。
【0069】
また、前記薬物収容部22内の圧力が低くなれば、前記薬物充填器25から前記薬物供給ホール22cを通じて前記薬物収容部22に薬物が充填される。すなわち、前記ピストン40の後退移動時に薬物が自動充填される。
【0070】
図8は、本発明の第1実施形態による無針注射器でソレノイドコイルに電流が印加される時間による他の反動力を比較図示したグラフである。
【0071】
一方、前記電流供給部は、前記ソレノイドコイル30に既定の第1設定時間(△t)の間に電流を供給した後、前記第1設定時間(△t)が経過すれば、電流を遮断する。
前記第1設定時間(△t)は、前記ソレノイドコイル30に電流を印加する時点(t1)から前記ソレノイドコイル30に電流を遮断する時点(t2)までの時間差である。
【0072】
前記第1設定時間(△t)は、前記運動磁性体90の前進移動時に発生する1次反動衝撃量(I1)と前記運動磁性体90が前記ピストン40に衝突時に発生する2次反動衝撃量(I2)とを互いに相殺させることができる時間に設定される。
【0073】
前記運動磁性体90の前進移動時に、作用反作用の法則によって、前記無針注射器100や前記無針注射器100を取っている使用者の手には、前記前進方向と逆方向である後退移動方向に1次反動が発生する。
【0074】
前記運動磁性体90が前記ピストン40に衝突時には、作用反作用の法則によって、前記無針注射器100や前記無針注射器100を取っている使用者の手には、前記前進移動方向に2次反動が発生する。
【0075】
図8を参照すれば、I1は、前記1次反動時に発生する1次反動衝撃量であり、I2は、前記2次反動時に発生する2次反動衝撃量を示す。
前記第1設定時間(△t)差で発生する前記1次反動衝撃量(I1)と前記2次反動衝撃量(I2)は、互いに同一である。
【0076】
したがって、前記第1設定時間(△t)を減らせば、使用者は、前記1次反動衝撃量(I1)と前記2次反動衝撃量(I2)とがほぼ同時に発生すると感じるので、前記1次反動衝撃量(I1)と前記2次反動衝撃量(I2)とを相殺させた効果が見られる。すなわち、図8の(b)のように、前記第1設定時間(△t)を減少させて反動を相殺させることができる最適の時間で導出して、反動相殺効果が得られる。
【0077】
図7は、本発明の第1実施形態による無針注射器でソレノイドコイルに電流が印加される時間による反動距離を示すグラフである。
【0078】
図7を参照すれば、前記第1設定時間(△t)の最適値を導出するために、前記第1設定時間を変化させながら反動距離を測定する実験を実施した。
【0079】
前記実験では、前記第1設定時間(△t)を800msから次第に減少させ、前記運動磁性体の移動距離は、60mmに固定して実験した。前記運動磁性体の重量は、前記第1設定時間(△t)の減少によって減少させて、前記運動磁性体90の衝撃量は一定に保持した。
【0080】
ここで、前記反動距離は、1回薬物注入時に、前記無針注射器の移動距離である。前記反動距離が短いほど使用者が感じる反動衝撃が減る。
【0081】
前記ソレノイドコイル30に加えられる電圧を増加させれば、前記運動磁性体90の移動速度が速くなるので、前記第1設定時間(△t)を減少させることができる。
【0082】
この際、前記運動磁性体90の移動速度が速くなれば、前記ピストン40に加えられる衝撃量が増加するために、前記衝撃量を一定に保持するために、前記移動速度に比べて、前記運動磁性体90の質量を減少させなければならない。前記運動磁性体90の質量は、長さ調節や断面積縮小が可能なので、長さ調節よりも内部にホールを形成して質量を調節することが望ましい。
【0083】
本実験では、前記ソレノイドコイル30に加えられる電圧を増加させて、前記第1設定時間(△t)を減少させるが、前記ピストン40に加えられる衝撃量を保持するために、前記運動磁性体90の質量を減少させながら実験した。
【0084】
前記実験の結果、図7を参照すれば、前記第1設定時間(△t)が250ms以下では、反動距離の変化がほとんどないということが分かる。
【0085】
したがって、前記第1設定時間(△t)は、250ms以下であり、前記第1設定時間(△t)の減少による前記運動磁性体90の最適重量は、100g以下である。
前記ソレノイドコイル30に電流が加えられる時間を250ms以下に設定することにより、前記無針注射器100の使用時に使用者が感じる反動が相殺されて、使用便宜性が向上する。
【0086】
前記のように、本発明では、前記ソレノイドコイル30に周期的に電流を供給または遮断することにより、前記ピストン40の前進移動と後退移動とを繰り返すことができる。
また、少量の薬物を高速で繰り返して注入することができるので、皮膚美容などの分野で
皮膚全体に数回薬物を少量ずつ注射させうる。
【0087】
また、本実施形態では、前記ピストン40が衝撃力によって前進移動するので、前記ピストン40と前記運動磁性体90とが一体に前進移動する場合よりもさらに高速で前進移動する。したがって、前記ピストン40を前進移動させるのに入る電気エネルギーがより減少しうる。
【0088】
また、前記ソレノイドコイル30に電流が印加される時間を調節することにより、前記無針注射器100の反動を最小化させることができるために、別途の反動相殺構造を追加する必要がないので、構造が簡単でありながらも、使用便宜性を向上させうる。
【0089】
一方、図5は、本発明の第1実施形態による無針注射器のソレノイドコイルに加えられる電流供給波形の一例を示すグラフである。
【0090】
図5を参照すれば、前記電流供給部(図示せず)は、前記ピストン40の前進移動時に、前記ソレノイドコイル30には、前記第1設定時間(△t)の間に約100Vの電圧を印加し、前記ピストン40を後退移動時に、前記ソレノイドコイル30には、電圧を遮断する。
【0091】
前記ソレノイドコイル30に電圧が遮断される時間は、前記ソレノイドコイル30に電圧が印加される時間と同一に設定されていると説明されている。
前記ソレノイドコイル30に印加される時間や電圧の大きさは、薬物の量などを考慮して多様に設定可能である。
【0092】
一方、図6は、本発明の第1実施形態による無針注射器のソレノイドコイルに加えられる電流供給波形の他の例を示すグラフである。
図6を参照すれば、前記電流供給部(図示せず)は、前記ソレノイドコイル30に印加する電流の方向を既定の周期で繰り返して転換して、前記ソレノイドコイル30に発生する磁力の方向を周期的に転換させることができる。
【0093】
前記電流供給部(図示せず)は、前記運動磁性体90を前進移動時に、前記ソレノイドコイル30には、前記第1設定時間(△t)の間に約100Vの電圧を印加し、前記運動磁性体90を後退移動時に、前記ソレノイドコイル30には、前記第1設定時間(△t)の間に約-100Vの電圧を印加すると説明している。
【0094】
したがって、前記ソレノイドコイル30に100Vの電圧を印加すれば、前記運動磁性体90が前進移動する方向に磁力が発生して、前記運動磁性体90が前進移動する。
また、前記ソレノイドコイル30に-100Vの電圧を印加すれば、前記運動磁性体90が後退移動する方向に磁力が発生して、前記運動磁性体90が後退移動する。
【0095】
また、これに限定されず、前記電流供給部(図示せず)は、外部電力供給源から供給される電流を貯蔵し、前記ピストン40の前進移動時に貯蔵された電流を前記ソレノイドコイル30に供給し、前記ピストン40の後退移動時に、前記ソレノイドコイル30に電流供給を遮断する蓄電器(図示せず)と、前記ピストン40の後退移動時に、前記外部電力供給源から供給される電流を前記ソレノイドコイル30に供給するDC電源供給部と、を含むことも可能である。
【0096】
すなわち、前記電流供給部(図示せず)は、前記ソレノイドコイル30に印加される電流の方向を既定の周期で繰り返して転換するが、前記ピストン40の前進移動時には、前記蓄電器(図示せず)に貯蔵された電流を供給し、前記ピストン40の後退移動時には、前記DC電源供給部から電流を供給して、前記ピストン40の前進移動時に移動速度をより大きくする。
【0097】
図9は、本発明の第2実施形態による無針注射器に冷却チャンバが備えられた構成を示す縦断面図である。
【0098】
図9を参照すれば、本発明の第2実施形態による無針注射器200は、ソレノイドコイル30から発生する熱を冷却流体を通じて冷却させる冷却チャンバ210をさらに含むことが前記第1実施形態と異なり、それ以外の残りの構成及び作用は、前記第1実施形態と類似しているので、以下、類似構成についての説明は省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0099】
前記冷却チャンバ210は、前記ボディー10の外側に着脱自在に結合される。
前記冷却チャンバ210は、前記ボディー10の外周面で前記ソレノイドコイル30を取り囲むように設けられる。前記冷却チャンバ210には、冷却流体供給管211と冷却流体排出管212とが結合される。
【0100】
前記冷却流体供給管611は、外部から前記冷却チャンバ210に冷却流体を供給する流路である。前記冷却流体排出管212は、前記冷却チャンバ210の冷却流体を外部に排出するための流路である。前記冷却流体供給管211と前記冷却流体排出管212には、それぞれ開閉弁(図示せず)が備えられうる。
【0101】
また、本実施形態では、前記ソレノイドコイル30を冷却させるために冷却流体を用い、冷却流体は、水または空気が使われていると説明しているが、これに限定されず、伝導冷却方式などを使用することももちろん可能である。
【0102】
前記のように構成された本発明の第2実施形態による無針注射器200は、前記ソレノイドコイル30を冷却させるための前記冷却チャンバ210が備えられることにより、前記ソレノイドコイル30の熱を吸収して一定温度に保持させることができるので、前記ソレノイドコイル30から発生した熱によって磁力が弱くなることを防止することができる。
図10は、本発明の第3実施形態による無針注射器にピストンカバーが備えられた構成を示す縦断面図である。
【0103】
図10を参照すれば、本発明の第3実施形態による無針注射器300は、シリンダー20とピストン40との間にピストンカバー310が備えられたことが前記第1、2実施形態と異なり、それ以外の残りの構成及び作用は、前記実施形態と類似しているので、異なる構成についてのみ説明する。
【0104】
前記ピストンカバー310は、前記第1、2実施形態にいずれも適用可能である。
前記ピストンカバー310は、前記シリンダー20に固設される。前記ピストンカバー810は、前記シリンダー20の内部に備えられ、前記ピストン40の端部を覆うように配される。前記ピストンカバー310は、前記シリンダー20の内部に挿設されることも可能であり、前記シリンダー20の内周面に接着や結合などの方式で固定されることも可能である。
【0105】
前記ピストンカバー310は、前記ピストン40の前進移動時に、前記ピストン40によって前側に伸び、前記ピストン40の後退移動時に復元されるように伸縮可能な素材で形成される。本実施形態では、前記ピストンカバー310は、ゴム膜であると説明している。
【0106】
前記ピストンカバー310は、前記ピストン40の端部に薬物が直接付くことを防止することができる。
【0107】
したがって、使用者が、前記ピストン40の端部を拭き取る必要がない。
また、前記ピストンカバー310は、前記シリンダー20に備えられることにより、前記シリンダー20の取り替え時に、前記ピストンカバー310も共に取り替え可能である。
本発明は、図面に示された実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上利用可能性】
【0108】
本発明によれば、所定の薬物を高速で繰り返して注入することができる無針注射器の利点がある。
【国際調査報告】