(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】浮力がある回転可能な海洋変換器
(51)【国際特許分類】
B63B 21/00 20060101AFI20220728BHJP
F03B 13/18 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
B63B21/00 B
F03B13/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571854
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2020065223
(87)【国際公開番号】W WO2020245120
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521527587
【氏名又は名称】ダブリン オフショア コンサルタンツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ドイル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデン,ダニー
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズ,ダレン
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA20
3H074BB16
3H074CC02
(57)【要約】
本発明は、浮力がある回転可能な海洋変換器および浮力がある回転可能な海洋変換器によって定義される負荷軽減装置に関するものであり、特に、海洋再生可能エネルギー、石油・ガス用途、水産養殖の分野で一般的であるような、浮体式プラットフォーム等などの沖合構造物を固定する際に使用するための負荷軽減装置に関するものであり、この浮力がある回転可能な海洋変換器は、少なくとも部分的に水域に沈められ、負荷がかかっていないときに、本体の長手方向軸が実質的に垂直に配置された第1の向きをとるように適合された浮力がある本体と、本体に設けられた第1および第2の係留接続点であって、少なくとも第1の係留接続点が、第1の係留接続点を介して本体に加わる負荷が長手方向軸の軸から外れて作用するように位置決めされている、第1および第2の係留接続点とを備えている。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水域に少なくとも部分的に沈められ、負荷がかかっていないときに第1の向きをとるように適合された本体であって、前記第1の向きにおいて、前記本体の長手方向軸は基準の向きに配置される、本体と、前記本体に設けられた第1および第2の係留接続点とを備え、少なくとも前記第1の係留接続点は、前記第1の係留接続点を介して前記本体に加わる負荷が前記長手方向軸の軸から外れて作用するように位置決めされる、浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項2】
前記本体が、前記第1および第2の係留接続点を介して前記本体に負荷が加えられたときに変位を受け、前記負荷が取り除かれたときに前記第1の向きに戻るように適合されている、請求項1に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項3】
前記本体が、負荷が加えられたときに回転変位を受けるように適合されている、請求項1または2に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項4】
前記本体が、負荷をかけられた影響により前記本体が変位する間、抗力を最大化および/または制御するように成形される、請求項1~3のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項5】
前記本体が、前記本体が前記第1の向きに戻る間、抗力を最小化および/または制御するように成形される、請求項1~4のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項6】
前記本体が、前記本体内または本体外の点を通って延びる回転軸を中心とした回転変位を受けるように適合されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項7】
前記第2の係留接続点が、前記第2の係留接続点を介して前記本体に加わる負荷が前記長手方向軸の軸から外れて作用するように位置決めされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項8】
前記本体上の少なくとも前記第1の係留接続点の位置が調整可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項9】
前記第1の係留接続点の位置が、前記本体の長手方向および/または半径方向に調整可能である、請求項8に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項10】
前記本体上の前記第2の係留接続点の位置が調整可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項11】
前記第2の係留接続点の位置が、前記本体の長手方向および/または半径方向に調整可能である、請求項10に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項12】
少なくとも前記第1の係留接続点の位置が、前記本体の重心から長手方向に間隔を空けている、請求項1~11のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項13】
少なくとも前記第1の係留接続点の位置が、前記本体の浮力中心から長手方向に間隔を空けている、請求項1~12のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項14】
前記第2の係留接続点の位置が、前記本体の重心から長手方向に間隔を空けている、請求項1~13のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項15】
前記第2の係留接続点の位置が、前記本体の浮力中心から長手方向に間隔を空けている、請求項1~14のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項16】
前記第1および第2の係留接続点、前記本体の重心、および前記本体の浮力中心が、直線的な配列で配置されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項17】
前記本体は中立的な浮力がある、請求項1~16のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項18】
前記本体は正の浮力がある、請求項1~17のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項19】
前記本体は負の浮力がある、請求項1~18のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項20】
前記本体が重み付けされた部分を備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項21】
前記本体が浮力部分を備える、請求項1~20のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項22】
前記本体が浮力部分と重み付けされた部分とを備える、請求項1~21のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項23】
前記浮力部分および前記重み付けされた部分が、一緒になって前記本体を前記第1の向きに戻すように作用する力対を確立するように位置決めされる、請求項20~22のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項24】
前記浮力部分および前記重み付けされた部分が長手方向に互いに間隔を空けている、請求項20~23のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項25】
前記本体の浮力が調整可能である、請求項1~24のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項26】
エネルギー捕捉テークオフシステムを備える、請求項1~25のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項27】
前記エネルギー捕捉テークオフシステムが、前記本体の回転に応答して電気エネルギーを生成するように動作可能である、請求項26に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項28】
前記電気エネルギーが、前記海洋変換器内または前記海洋変換器上に設けられた1つまたは複数の電動部品に供給される、請求項27に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項29】
1つまたは複数のセンサを備える、請求項1~28のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項30】
前記1つまたは複数のセンサから取得したデータを無線で送信するように動作可能な送信機を備える、請求項29に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項31】
前記本体が2つ以上のセクションを備える、請求項1~30のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項32】
前記本体セクションのうちの少なくとも1つが、別の本体セクションに対して関節動作する、請求項31に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項33】
前記本体の回転に応答して圧縮するように配置された1つまたは複数のバネを備える、請求項1~32のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項34】
前記本体が、前記第1の係留接続点と前記第2の係留接続点の間に延びる通路を画定する、請求項1~33のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項35】
前記通路の一方または両方の端部が、曲げ制限器で終端する、請求項34に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項36】
前記本体が、前記通路の全長に外部からアクセスできるように、開閉可能である、請求項34または35に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項37】
前記係留接続点の1つまたは複数の位置、および/または前記本体内のバラストのレベルまたは位置、および/または前記本体の浮力のレベルまたは位置が、自律的に、および/または前記センサの1つまたは複数からの信号に応答して、および/または外部情報に応答して、動的に制御可能である、請求項1~36のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器。
【請求項38】
浮体式プラットフォームを固定する係留索の負荷または張力を低減または管理するための負荷軽減装置であって、請求項1~37のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器を備える負荷軽減装置。
【請求項39】
浮体構造物を固定するための負荷軽減システムであって、少なくとも1つの請求項1~37のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器と、前記浮体構造物と前記浮力がある回転可能な海洋変換器の本体との間に接続された第1の係留索と、前記浮力がある回転可能な海洋変換器の本体とアンカーとの間に接続された第2の係留索とを備える、負荷軽減システム。
【請求項40】
少なくとも1つの請求項1~37のいずれか一項に記載の浮力がある回転可能な海洋変換器が一体的に形成されている浮体式プラットフォームであって、前記回転可能な浮力がある海洋変換器は、前記第1または第2の係留点の1つで前記プラットフォームに回転可能に取り付けられる、浮体式プラットフォーム。
【請求項41】
前記回転可能な浮力がある海洋変換器の前記本体が、前記本体が前記プラットフォームに回転可能に取り付けられている係留点の上方にある浮力部分、および/または、前記本体が前記プラットフォームに回転可能に取り付けられている係留点の下方にある重み付けされた部分を備える、請求項40に記載の浮体式プラットフォーム。
【請求項42】
前記少なくとも1つの回転可能な浮力がある海洋変換器の前記本体が、前記浮体式プラットフォームを浮かべるのに必要な浮力の有効量を有する、請求項40または41に記載の浮体式プラットフォーム。
【請求項43】
少なくとも1つの請求項1~37のいずれか一項に記載の回転可能な浮力がある海洋変換器を備えるセンサシステム。
【請求項44】
請求項1~37のいずれか一項に記載の回転可能な浮力がある海洋変換器の1つまたは複数を、前記係留接続点の1つを介して前記浮体式プラットフォームに固定するステップと、前記少なくとも1つの回転可能な浮力がある海洋変換器を、前記係留接続点の他の1つを介して固着するステップとを含む、浮体式プラットフォームを係留する方法。
【請求項45】
前記浮体式プラットフォームに固定する前に、前記本体を平衡から外れて回転される向きに一時的に固定するステップと、低い索張力の下で前記本体を前記浮体式プラットフォームに固定するステップと、前記平衡から外れた向きから前記本体を解放するステップとを含む、請求項44に記載の係留方法。
【請求項46】
前記1つまたは複数の回転可能な浮力がある海洋変換器の前記本体が、前記本体の重み付けされた部分を定めるバラストタンクと、前記本体の浮力部分を定める浮力タンクとを備え、前記方法は、前記1つまたは複数の回転可能な浮力がある海洋変換器を、バラストされていない状態で、かつ浮力タンクが少なくとも部分的に空気または水で満たされた状態で、配備場所またはそれに隣接して水域に位置付けるステップと、前記少なくとも1つの回転可能な浮力がある海洋変換器を、前記係留接続点の一方を介して固着するステップと、前記1つまたは複数の回転可能な浮力がある海洋変換器を、前記係留接続点の他方を介して前記浮体式プラットフォームに固定するステップと、前記バラストタンクにバラストを移動するステップと、前記浮力タンクから水を移動する、または前記浮力タンクに空気を移動するステップとを含む、請求項44または45に記載の係留方法。
【請求項47】
前記1つまたは複数の回転可能な浮力がある海洋変換器のそれぞれの前記本体は、アンカーと前記本体との間に延びる係留索と、前記本体と前記浮体式プラットフォームとの間に延びる係留索とがそれぞれ実質的に垂直に延びるように固定される、請求項44または45に記載の係留方法。
【請求項48】
前記回転可能な浮力がある海洋変換器の前記本体が潮位変動に応じて回転し、前記回転可能な浮力がある海洋変換器と前記浮体式プラットフォームとの間の索張力が実質的に不変に保たれるように、前記少なくとも1つの回転可能な浮力がある海洋変換器の剛性曲線を調節するステップを含む、請求項47に記載の係留方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの形態のエネルギーまたは運動を別の形態に変換するための浮力がある回転可能な海洋変換器に関し、この海洋変換器は、負荷軽減装置およびシステム、特に、海洋再生可能エネルギー、石油・ガス用途、水産養殖、およびその他の関連分野で一般的な、浮体、沈体、または半沈体のプラットフォームまたはそれらに類するものなどの沖合構造物を固定するために使用する負荷軽減装置としての用途を有し、この負荷軽減装置は、好ましくは、様々な剛性応答を達成できるように調整可能である。
【0002】
このような海洋構造物は、例えば、石油またはガスのプラットフォーム、風力タービンまたは水中潮力タービン用のプラットフォームまたは同様の支持体、水中アーチ、または特定の場所に係留されることが要求される他の構造物であり得る。
【0003】
本発明はまた、このような浮力がある回転可能な海洋変換器を組み込んだセンサシステム、特に、局所的な海洋環境に関連するデータ、センサシステムが接続されているか一体部分であるシステムに関連する動作データおよびその他のデータを記録し、そのデータをリアルタイムの監視またはその後のレビューのために遠隔地に送信するように動作可能な自己発電型のセンサシステムに関する。
【0004】
本発明はさらに、このような浮力がある回転可能な海洋変換器を一体的な負荷軽減装置として組み込んだ浮体式プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0005】
係留を必要とする沖合浮体式プラットフォームまたは同様の海洋構造物は、一般的に厳しい環境条件にさらされ、その結果、そのような海洋構造物を固定するために使用される係留システムもまた、厳しい運用負荷にさらされる。例えば、浮体構造物の波による動きにより、プラットフォーム上の係留接続点に大きな衝撃負荷がかかる。プラットフォームを固定している係留索が、通過する波の動きによって与えられるうねりの結果として、緩んだ状態と張った状態を交互に繰り返すためである。
【0006】
また、風や潮の力によって係留部に追加の負荷がかかり、これも非常に大きく、しかも断続的に発生し得るため、プラットフォームに伝わるピークおよび衝撃負荷が増大し、このような組み合わせにおいて、海洋プラットフォームが耐えなければならない負荷や力は非常に大きく、プラットフォームおよびまたは係留部に損傷を与える可能性があり、最終的には係留部の故障とそれに伴うプラットフォームの喪失につながる可能性がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、負荷軽減装置として機能するように動作可能な浮力がある回転可能な海洋変換器、および負荷軽減装置の少なくとも1つを採用した負荷軽減システムを提供することであり、それらは、係留された浮体式プラットフォームまたはそれに類するものへの負荷伝達の軽減をもたらし、ピーク負荷、衝撃負荷、疲労負荷等を平滑化または減衰させるように適合されており、カテナリー係留、半緊張係留、緊張係留を含むすべての既知の係留タイプに適合する。
【0008】
本発明のさらなる目的は、リアルタイムの監視または将来の評価のために陸上施設等などの遠隔地に送信可能なデータの取得を容易にするために、あるいは、例えば、センサシステムが接続された、または一体的に形成されたシステムのフィードバック制御を可能にするために、1つまたは複数のセンサに電力を供給するために、このような浮力がある回転可能な海洋変換器を備えるセンサシステムを提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、水域に少なくとも部分的に沈められ、負荷がかかっていないときに第1の向きをとるように適合された本体であって、第1の向きにおいて、本体の長手方向軸は基準の向きに配置される、本体と、本体に設けられた第1および第2の係留接続点とを備え、少なくとも第1の係留接続点は、第1の係留接続点を介して本体に加わる負荷が長手方向軸の軸から外れて作用するように位置決めされる、浮力がある回転可能な海洋変換器が提供される。
【0010】
好ましくは、本体は、第1および第2の係留接続点を介して本体に負荷が加えられたときに変位を受け、負荷が取り除かれたときに第1の向きに戻るように適合されている。
【0011】
好ましくは、本体は、負荷が加えられたときに回転変位を受けるように適合されている。
【0012】
好ましくは、本体は、負荷をかけられた影響により本体が変位する間、抗力を最大化および/または制御するように成形される。
【0013】
好ましくは、本体は、本体が第1の向きに戻る間、抗力を最小化および/または制御するように成形される。
【0014】
好ましくは、本体は、本体内または本体外の点を通って延びる回転軸を中心とした回転変位を受けるように適合されている。
【0015】
好ましくは、第2の係留接続点は、第2の係留接続点を介して本体に加わる負荷が長手方向軸の軸から外れて作用するように位置決めされる。
【0016】
好ましくは、本体上の少なくとも第1の係留接続点の位置は調整可能である。
【0017】
好ましくは、第1の係留接続点の位置は、本体の長手方向および/または半径方向に調整可能である。
【0018】
好ましくは、本体上の第2の係留接続点の位置は調整可能である。
【0019】
好ましくは、第2の係留接続点の位置は、本体の長手方向および/または半径方向に調整可能である。
【0020】
好ましくは、少なくとも第1の係留接続点の位置は、本体の重心から長手方向に間隔を空けている。
【0021】
好ましくは、少なくとも第1の係留接続点の位置は、本体の浮力中心から長手方向に間隔を空けている。
【0022】
好ましくは、第2の係留接続点の位置は、本体の重心から長手方向に間隔を空けている。
【0023】
好ましくは、第2の係留接続点の位置は、本体の浮力中心から長手方向に間隔を空けている。
【0024】
好ましくは、第1および第2の係留接続点、本体の重心、および本体の浮力中心は、直線的な配列で配置されている。
【0025】
好ましくは、本体は中立的な浮力がある。
【0026】
好ましくは、本体は正の浮力がある。
【0027】
好ましくは、本体は負の浮力がある。
【0028】
好ましくは、本体は重み付けされた部分を備える。
【0029】
好ましくは、本体は浮力部分を備える。
【0030】
好ましくは、本体は浮力部分と重み付けされた部分とを備える。
【0031】
好ましくは、浮力部分および重み付けされた部分は、一緒になって本体を第1の向きに戻すように作用する力対を確立するように位置決めされる。
【0032】
好ましくは、浮力部分および重み付けされた部分は長手方向に互いに間隔を空けている。
【0033】
好ましくは、本体の浮力は調整可能である。
【0034】
好ましくは、浮力がある回転可能な海洋変換器は、エネルギー捕捉テークオフ(energy capture take off)システムを備える。
【0035】
好ましくは、エネルギー捕捉テークオフシステムは、本体の回転に応答して電気エネルギーを生成するように動作可能である。
【0036】
好ましくは、電気エネルギーは、海洋変換器内または海洋変換器上に設けられた1つまたは複数の電動部品に供給される。
【0037】
好ましくは、浮力がある回転可能な海洋変換器は、1つまたは複数のセンサを備える。
【0038】
好ましくは、浮力がある回転可能な海洋変換器は、1つまたは複数のセンサから取得したデータを無線で送信するように動作可能な送信機を備える。
【0039】
好ましくは、本体は2つ以上のセクションを備える。
【0040】
好ましくは、本体セクションのうちの少なくとも1つは、他の本体セクションに対して関節動作する。
【0041】
好ましくは、浮力がある回転可能な海洋変換器は、第1および/または第2の係留接続点に固定された1つまたは複数の係留索から加えられた負荷が、回転を受ける際に本体に作用する点の変更を容易にするために、本体から外向きに延びる1つまたは複数のフェアリードを備える。
【0042】
好ましくは、浮力がある回転可能な海洋変換器は、本体の剛性応答を調節するように、本体の回転に応答して圧縮するように配置された1つまたは複数のバネを備える。
【0043】
好ましくは、本体は、第1の係留接続点と第2の係留接続点の間に延びる通路を画定する。
【0044】
好ましくは、本体は、通路を通る係留索の変位を制限または防止するように、係留索またはケーブルをクランプするように動作可能である。
【0045】
好ましくは、通路の一方または両方の端部は、曲げ制限器で終端する。
【0046】
好ましくは、本体は、通路の全長に外部からアクセスできるように、開閉可能である。
【0047】
好ましくは、係留接続点の1つまたは複数の位置、および/または本体内のバラストのレベルまたは位置、および/または本体の浮力のレベルまたは位置は、自律的に、および/またはセンサの1つまたは複数からの信号に応答して、および/または外部情報に応答して、動的に制御可能である。
【0048】
好ましくは、浮力がある回転可能な海洋変換器は、浮体式プラットフォームを固定する係留索の負荷または張力を低減または管理するための負荷軽減装置を備える。
【0049】
本発明の第2の態様によれば、浮体式プラットフォーム等を固定する係留索の負荷または張力を低減または管理するための負荷軽減装置が提供され、負荷軽減装置は、本発明の第1の態様による浮力がある回転可能な海洋変換器を備える。
【0050】
本発明の第3の態様によれば、浮体構造物を固定するための負荷軽減システムが提供され、負荷軽減システムは、本発明の第1の態様による少なくとも1つの浮力がある回転可能な海洋変換器と、浮体構造物と浮力がある回転可能な海洋変換器の本体との間に接続された第1の係留索と、浮力がある回転可能な海洋変換器の本体とアンカーとの間に接続された第2の係留索とを備える。
【0051】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様による少なくとも1つの回転可能な浮力がある海洋変換器が一体的に形成されている浮体式プラットフォームが提供され、回転可能な浮力がある海洋変換器は、第1または第2の係留点の1つでプラットフォームに回転可能に取り付けられる。
【0052】
好ましくは、回転可能な浮力がある海洋変換器の本体は、本体がプラットフォームに回転可能に取り付けられている係留点の上方にある浮力部分、および/または、本体がプラットフォームに回転可能に取り付けられている係留点の下方にある重み付けされた部分を備える。
【0053】
好ましくは、少なくとも1つの回転可能な浮力がある海洋変換器の本体は、浮体式プラットフォームを浮かべるのに必要な浮力と変位の有効な量を備える。
【0054】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1の態様による少なくとも1つの回転可能な浮力がある海洋変換器を備えるセンサシステムが提供される。
【0055】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第1の態様による回転可能な浮力がある海洋変換器の1つまたは複数を、係留接続点の1つを介して浮体式プラットフォームに固定するステップと、少なくとも1つの回転可能な浮力がある海洋変換器を、係留接続点の他の1つを介して固着するステップとを含む、浮体式プラットフォームを係留する方法が提供される。
【0056】
好ましくは、本方法は、浮体式プラットフォームに固定する前に、本体を平衡から外れて回転される向きに一時的に固定するステップと、低い索張力の下で本体を浮体式プラットフォームに固定するステップと、平衡から外れた向きから本体を解放するステップとを含む。
【0057】
好ましくは、1つまたは複数の回転可能な浮力がある海洋変換器の本体は、本体の重み付けされた部分を定めるバラストタンクと、本体の浮力部分を定める浮力タンクとを備え、方法は、1つまたは複数の回転可能な浮力がある海洋変換器を、バラストされていない状態で、かつ浮力タンクが少なくとも部分的に空気または水で満たされた状態で、配備場所またはそれに隣接して水域に位置付けるステップと、少なくとも1つの回転可能な浮力がある海洋変換器を、係留接続点の一方を介して固着するステップと、1つまたは複数の回転可能な浮力がある海洋変換器を、係留接続点の他方を介して浮体式プラットフォームに固定するステップと、バラストタンクにバラストを移動するステップと、浮力タンクから水を移動する、または浮力タンクに空気を移動するステップとを含む。
【0058】
好ましくは、1つまたは複数の回転可能な浮力がある海洋変換器のそれぞれの本体は、アンカーと本体との間に延びる係留索と、本体と浮体式プラットフォームとの間に延びる係留索とがそれぞれ実質的に垂直に延びるように固定される。
【0059】
好ましくは、方法は、回転可能な浮力がある海洋変換器の本体が潮位変動に応じて回転する際に、回転可能な浮力がある海洋変換器と浮体式プラットフォームとの間の索張力が実質的に一定に保たれるように、少なくとも1つの回転可能な浮力がある海洋変換器の剛性曲線を調節するステップを含む。
【0060】
本明細書で使用される際、「変換器」という用語は、例えば、直線運動を回転運動に、物理的な変位を電気エネルギーに、運動エネルギーを位置エネルギーに、仕事(力に距離を掛けたもの)を回転運動エネルギーに変換するなど、ある形式のエネルギー、力、運動を別の形式に変換できる装置を意味することを意図している。
【0061】
本明細書で使用される際、「浮力がある」という用語は、中立的な浮力がある、負の浮力がある、または正の浮力がある、を意味することを意図している。
【0062】
次に本発明を添付図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】大きな環境負荷がかかっておらず、係留索が弛んでいる状態の、浮体式海洋構造物の既存の係留配置の概略図を示す。
【
図2】システムに作用する環境力の結果として負荷がかかり、係留索が張っている状態の、
図1の既存の係留配置を示す。
【
図3】負荷軽減システムで使用するための本発明の一態様による負荷軽減装置を定める、回転可能な浮力海洋変換器の概略図を示す。
【
図4】浮体式海洋プラットフォームを固定する負荷軽減システムの一部として提供された
図3の負荷軽減装置を示し、大きな環境負荷はかかっておらず、係留索は弛んでいる状態である。
【
図5】負荷軽減装置が負荷状態にあり、回転変位を受けた状態の
図4の配置を示す。
【
図6】
図5の配置を示し、本発明の負荷軽減装置によって生成される復元力の対を示す一対の矢印を含む。
【
図7】
図4~6に示され、直立すなわち負荷がかかっていない向きに復元された負荷軽減装置を示す。
【
図8】本発明の代替的な実施形態による負荷軽減装置の概略図を示す。
【
図9(a)】使用中の
図8の負荷軽減装置を示しており、一対の係留索が固定されているが、負荷がかかっていない状態および向きである。
【
図9(b)】
図9(a)の負荷軽減装置を、負荷がかけられた状態および回転変位を受けた状態で示す。
【
図10】負荷軽減システムの一部として配備された
図8および
図9に示す負荷軽減装置を示し、負荷軽減装置は中立的な浮力がある。
【
図11】負荷軽減システムの一部として配備された
図8および
図9の負荷軽減装置を示すが、負荷軽減装置は正の浮力がある。
【
図12】浮体式海洋プラットフォームを固定するために負荷軽減システムの一部として配備された一対の負荷軽減装置を示す。
【
図13】浮体式風力タービンプラットフォームを固定する
図12の配置を示す。
【
図14a-14e】本発明の負荷軽減装置の物理的特性を変化させることによって達成され得る様々な剛性応答曲線を示す。
【
図15】本発明による負荷軽減装置の代替形状の平面図、立面図、および端面図を示す。
【
図16】本発明による負荷軽減装置のさらなる代替形状の平面図、立面図、および端面図を示す。
【
図17】本発明による負荷軽減装置のさらに別の形状の平面図、立面図、および端面図を示す。
【
図18】本発明の負荷軽減装置の一実施形態に対する係留索の可能な代替接続を示す。
【
図19】本発明の負荷軽減装置の一実施形態に対する係留索のさらに可能な代替接続を示す。
【
図20】本発明の負荷軽減装置の一実施形態に対する係留索のなおもさらに可能な代替接続を示す。
【
図21】本発明の負荷軽減装置の一実施形態に対する係留索の代替的な交差接続を示す。
【
図22a】浮体式海洋プラットフォームを固定するための係留用テンショナとして本発明による負荷軽減装置を使用する際の特定の配備方法論を示す。
【
図22b】浮体式海洋プラットフォームに接続する前に、表面ブイを介してその重み付けされた端部を上昇させることにより、負荷軽減装置を上方に回転させた状態の
図22aの配置を示す。
【
図22c】負荷軽減装置を実質的に水平な位置に回転させた状態を示す。
【
図22d】浮体式海洋プラットフォームに接続された負荷軽減装置を示す。
【
図22e】浮体式海洋プラットフォームに接続され、実質的に水平な位置に保持された負荷軽減装置を示す。
【
図22f】負荷軽減装置の重み付けされた端部が下降された様子を示す。
【
図22g】負荷軽減装置が完全に下降し、その結果、実質的に垂直な向きに回転されているが、依然として表面に繋がれている状態を示す。
【
図22h】表面テザーから解放された負荷軽減装置を示す。
【
図23a】浮体式海洋プラットフォームを固定するための係留用テンショナとして本発明による負荷軽減装置を使用する際の代替的な配備方法を示し、負荷軽減装置は固着されているがまだ浮体式海洋プラットフォームに接続されておらず、実質的に水平な向きでバラストされていない状態である。
【
図23b】負荷軽減装置が浮体式海洋プラットフォームに接続された状態の
図23aの配置を示す。
【
図23c】浮体式プラットフォームに接続され、固着された負荷軽減装置を示す。
【
図23d】負荷軽減装置の上方に船舶が配置されている状態を示す。
【
図23e】バラストおよび浮力ラインが船舶から負荷軽減装置に接続されている様子を示す。
【
図23f】バラストと浮力が負荷軽減装置にポンプで送り込まれる様子を示す。
【
図23g】バラストラインと浮力ラインがまだ接続された状態で、負荷軽減装置が完全にバラストと浮力を得ている状態を示す。
【
図23h】バラストラインおよび浮力ラインが切断された後の負荷軽減装置を示す。
【
図24a】垂直係留索を介して浮体式海洋プラットフォームを固定する際の張力を管理するために、本発明による負荷軽減装置を使用する際の配備方法論を示し、係留索は固着されているが、まだ張力がかかっていない状態である。
【
図24b】係留索は予備張力を与えられ、負荷軽減装置は水平の向きに回転している
図24aの配置を示す。
【
図24c】最低天文潮時の浮体式プラットフォームを示す。
【
図24d】最高天文満時の浮体式プラットフォームを示す。
【
図25a】本発明の一態様による負荷軽減装置の代替実施形態を示しており、装置の剛性応答を調節するために一対のバネを組み込んでいる。
【
図25b】外部負荷に応答して部分的に回転された負荷軽減装置を示す。
【
図25c】バネが圧縮されようとしている向きに実質的に完全に回転された負荷軽減装置を示す。
【
図25d】一対のバネが圧縮されている地点まで回転された負荷軽減装置を示す。
【
図26a】本発明の別の態様による一体化された負荷軽減装置を組み込んだ、本発明の一態様による負荷軽減プラットフォームを示し、プラットフォームは実質的に負荷のない状態にある。
【
図26b】負荷がかかった状態の
図26bの負荷軽減プラットフォームを示す。
【
図27a】本発明の一態様による負荷軽減プラットフォームの代替実施形態を示し、一体化された一対の負荷軽減装置を組み込み、実質的に負荷がかかっていない状態にある。
【
図27b】負荷がかかった状態の
図27aの負荷軽減プラットフォームを示す。
【
図28a】本発明の一態様による負荷軽減プラットフォームのさらなる代替実施形態を示し、一体化された一対の浮力負荷軽減装置を組み込み、実質的に負荷がかかっていない状態にある。
【
図28b】負荷がかかった状態の
図28aの負荷軽減プラットフォームを示す。
【
図29a】本発明の一態様による負荷軽減装置のさらなる代替実施形態の側面図を示し、曲げ制限器によってどちらか一端で終端した装置の本体を通る通路を組み込んでいる。
【
図29c】通路の全長にアクセスできるように本体を開いた状態の装置を示す。
【
図29d】ケーブルまたは索が通過し、実質的に負荷がかかっていない状態にある装置を示す。
【
図29e】
図29dに示されている装置であるが、負荷がかかった状態であり、結果的に回転を受けた装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1および
図2は、浮体式プラットフォームPを水域Sの表面に固定するための従来の係留システムまたはステーション保持システムを示し、この従来の係留システムは、プラットフォームPと海底または他の支持面に配置されたアンカーCとの間に固定された単一または複数の係留索Lを備えている。
図1は、従来の係留システムを比較的無負荷の状態で示しており、したがって、波、風、潮などの大きな環境的な力がない状態であり、その結果、1本(または複数本)の係留索Lは比較的緩んでおり、プラットフォームPは係留索Lを介してベースライン負荷のみを受けている。
【0065】
図2は、環境的な力FがプラットフォームPを変位させるようにプラットフォームPに作用し、その結果、緊張した係留索LがプラットフォームPの動きを抑制または制限する場合の従来の係留システムを示している。風、波および他の環境的な力によって引き起こされるうねりのある変位の種類により、係留索Lが弛んだ状態と張った状態の間を行き来する際に、係留索Lを介してプラットフォームPに大きな衝撃負荷が加えられる。この周期的な負荷は関連付けられた構成要素において特に激しく、したがって本発明はこのような従来の係留システムに代わる改善策を提供することを目的として開発された。
【0066】
次に
図3に目を向けると、本発明による回転可能な浮力がある海洋変換器が示されており、本発明の実施形態による負荷軽減装置を定義し、全体的に10と示され、これは、外部環境力によって誘発されるプラットフォームPの変位に抵抗するために、また、好ましくは、従来の係留を使用する際に発生する上記の衝撃、ピーク、スナッチおよび/または疲労負荷を除去または減衰するために、水域Sに浮体式プラットフォームPを固定する際に使用される。したがって、負荷軽減装置10の形態の変換器は、外部環境力を介してプラットフォームPに加えられる実質的に線形の負荷または力の少なくとも一部を、負荷軽減装置10の力対付勢回転に変換するように動作可能である。このようにして、以下でより詳細に説明するように、負荷軽減装置10は、プラットフォームPに作用する力を散逸するために、直線運動を回転運動に変換する。
【0067】
本発明の負荷軽減装置10は、図示の実施形態では細長い円筒形である本体12を備えており、その形状および寸法は、特定の用途、特に固定されるプラットフォームPのサイズおよび/または重量、および/または現況の局所的な環境条件に応じて変化する可能性がある。例示的な実施形態として、本体12は、長手方向軸LLによって定義される長手方向の長さが20mであり、直径が2mである。本体12は、任意の適切な材料、例えば、スチール、複合材、プラスチック、コンクリート、または他の適切な材料あるいは材料の組み合わせから形成されてもよく、これらの材料は、長期にわたって局所的な環境条件に耐えることができる。本体12は、第1の端部14と、第2の端部16とを規定しており、その間には円筒形の側壁18が延びている。側壁18には、好ましくは直径方向に正反対であるが、長手方向に互いに離間またはオフセットされた第1の係留接続点20および第2の係留接続点22が設けられている。第1および第2の係留接続点20、22は、以下に詳述するように、それぞれの係留索を固定することができる任意の適切な形態であり得る。
【0068】
係留接続点20、22の一方または両方の位置は、係留接続点20、22間の分離またはオフセットを変更するために、やはり以下に詳述するように、側壁18に沿って長手方向に調整できる、または調整可能であり得、したがって、以下に詳述されるように、本体12に加わる負荷に抵抗して減衰する際に本体12によって確立される剛性応答曲線に関係している。係留接続点20、22は、本体の側壁の内側に配置されてもよいし、その外側に配置されてもよく、この長手方向の調整可能性は、そのような構成にも適用されることが意図されていることを理解されたい。同様に、係留接続点20、22の一方または両方の半径方向または横方向の位置は、特にそれぞれの係留接続点20、22と本体12の重心(COG)および/または浮力中心(COB)との間で定義される角度を変更することによって、負荷軽減装置10の剛性応答曲線をさらに変更するために調整できる、または調整可能であり得る。
【0069】
負荷軽減装置10は、水域Sに配置され、静止時または無負荷時に、長手方向軸LLが基準の向きにある第1の向きをとるように適合されており、この第1の実施形態では、実質的に垂直に配置されている。これは、任意の適切な手段によって達成することができるが、図示の好ましい実施形態では、本体12は、第1の端部14から延び、好ましくは本体12内に空気または発泡体などの浮力材料を設けることによって浮力を有する第1の部分24と、第2の端部16から延び、第1の部分24から長手方向に間隔を空けて配置され、好ましくは本体12の内部に配置された1つまたは複数の重りを提供することによって重みを付けられる第2の部分26とを規定している。また、第1の部分24および第2の部分26のそれぞれの浮力および重みは、例えば、浮力および重量のある材料を追加または差し引くことによって、調整できることが好ましい。特に、重みを付けられた材料またはバラストは、輸送や設置を容易にするために、装置10が配備された後に初めて追加されてもよい。
【0070】
第1の部分24および第2の部分26を互いに長手方向に離して、好ましくはそれぞれ第1の端部14および第2の端部16に隣接して設けることにより、本体12は、例えば
図4に示されるように、水域Sに位置するときに第1の垂直の向きに向かう傾向があり、
図4はまた、本体12への接続部に任意選択の剛性セクションを有する両方の係留索L1、L2も示している。本体12の浮力に対する重量の比率によって、負荷軽減装置10が中立的な浮力がある、負の浮力がある、または正の浮力がある、のいずれであるかが決まる。
図4に示す実施形態では、負荷軽減装置10は中立的な浮力があり、したがって、水面Sの下で直立した姿勢で静止する傾向がある。
【0071】
負荷軽減装置10は、負荷軽減装置10の少なくとも1つと、第1の係留接続点20を介して浮体式プラットフォームPと本体12との間に固定された第1の係留索L1と、第2の係留接続点22を介して本体12とアンカーCとの間に固定された第2の係留索L2とを備える負荷軽減システム50の一部を形成するように意図されている。もちろん、アンカーCは、他の適切な機能的代替物で置き換えてもよいことは理解されるであろう。
【0072】
次に
図5に目を向けると、プラットフォームPを変位させるように作用する環境的な力に応答して負荷が負荷軽減装置10に加えられると、第1および第2の係留索L1、L2は張力をかけられるが、この間、本体12は実質的に垂直な向きに最初は留まっている。その後、第1および第2の係留接続点20、22の間の長手方向のオフセットの結果として、本体12の反対側に作用する反対力およびオフセット力によって確立された張力は、本体12に転覆モーメントを効果的に適用し、この転覆モーメントは、例えば、第1および第2の係留接続点20、22の間に位置する水平方向に延びる回転軸を中心に本体12を回転させるように作用する。しかしながら、この回転軸は、係留接続点の間以外にも位置し得ることが理解されよう。係留スプレッド内での本体12の並進により、本体12は、係留接続点の外側で異なる軸を中心に回転することができる。半緊張係留またはカテナリー係留では、負荷軽減装置10が負荷を受けて水平の向きに回転したときに本体12が並進するので、負荷軽減装置10の動きはトルク結合による回転的なものであるが、装置10のグローバルな並進も存在する。この2つの動きの結果として、装置の形状の外側にある仮想枢軸を中心とした正味の回転が存在し得る。
【0073】
係留索L1、L2を介してかけられた張力を介して本体12を回転させようとする環境的な力は、浮力がある第1の部分24と重みのある第2の部分26によって発生する力対によって打ち消され、これらは一緒に本体12に自己復原モーメントを生じさせる。この自己復原モーメントまたは復元モーメントは、本体12を垂直位置に向かって変位させる傾向があり、それによって、浮体式プラットフォームPを変位させる環境条件によって発生する力に抵抗するように作用する。
【0074】
したがって、負荷軽減装置10および関連する負荷軽減システム50は、浮体式プラットフォームPの位置を許容逸脱領域内に維持し、環境的な力がプラットフォームPを変位させたときに通常であればプラットフォームPに加わるかもしれない衝撃負荷を減衰させるように作用する。
図6は、本体12に復元モーメントを発生させる力対、すなわち、第1の端部14を上向きに回転させるように作用する浮力Bと、第2の端部16を下向きに回転させるように作用する重量ベースの力Wとを概略的に示したものである。
図7は、長手方向軸LLが実質的に垂直に向けられた状態で本体12が配置され、プラットフォームPを意図した位置に維持する第1の負荷のない向きに戻った負荷軽減システム50を示している。
【0075】
上述した機能を強化するために、本体12は、環境的な力の影響を受けて本体12が一方向、すなわち垂直から水平方向に向かって、またはそれを超えて変位するときに最大の抗力を発生させ、反対方向、すなわち垂直位置に戻るときに最小の抗力を発生させるように、成形またはその他の方法で修正されてもよい。このようにして、抗力は環境的な力に対する追加の抵抗を提供する。
【0076】
次に、
図8および
図9を参照すると、本発明による負荷軽減装置の第2の実施形態が示されており、全体的に110として示されている。第2の実施形態では、同様の構成要素は同様の参照番号を付与され、特に断りのない限り、同様の機能を果たす。負荷軽減装置110は、第1の端部114および反対側の第2の端部116を有する円筒形の本体112を備え、それら端部の間には側壁118が延びている。本体112は、第1の実施形態を参照して上述したような機能を提供するために、第1の端部114から延在し、その中に発泡体または空気などの浮力材料を含む第1の部分124と、第2の端部116から延在し、その中に重りまたはバラストを含む第2の部分126とを備える。第1の実施形態とは異なり、本体112は円筒形である一方で段階的な直径を有し、第1の部分124が第2の部分126よりも著しく大きな直径を有し、両端が側壁118の中間または接続セクションよりも大きな直径を有する。
【0077】
第2の実施形態では、第1の係留接続点120は、第2の部分126に設けられ、第2の係留接続点122は、第1の部分124に設けられている。第1の実施形態と同様に、係留接続点120、122は、好ましくは直径方向に正反対にあるが、長手方向に互いにオフセットするように間隔を置いている。係留接続点120、122は、それぞれ第2の部分126および第1の部分124の側壁118上に配置されているが、第1および第2の部分124、126を接続する側壁118の中間セクション上に個別にまたは一緒に移動させてもよく、または本体112に関する任意の他の適切な位置に移動させてもよいことが理解されるであろう。
【0078】
図9aは、前述のように、第1および第2の係留接続点120、122を介してそれに固定された第1および第2の係留索L1、L2を有する負荷軽減装置110を示す。
図9aは、負荷がかかっていない、したがって垂直な向きの負荷軽減装置110を示しており、一方、
図9bは、負荷がかかっていて回転した向きの負荷軽減装置110を示している。第1の実施形態とは異なり、係留索L1、L2は、各接続点がそれぞれの係留索から本体112の遠方側にオフセットされるように本体112上を横断しており、この配置は、剛性応答を制御する上で重要である。また、
図9aおよび
図9bに示される装置110は、回転を受ける際に係留索L1、L2のそれぞれからの負荷が本体112に作用する点を変更するために、側壁118から外向きに延びる1つまたは複数のフェアリード60を備えることによって、
図8の装置110から変更されており、それによって、適用される環境負荷に対する負荷軽減装置110の剛性応答を変化させることができる。フェアリード60は、装置10の回転に伴って係留索とフェアリード60との間で接触が漸進的に行われるように、または装置10の回転に伴って係留索とフェアリード60との間で接触が漸進的に失われるように配置することができる。
【0079】
図10は、中立的な浮力のために構成された負荷軽減装置110を示し、
図11は、水域Sの表面を破壊するために正の浮力のために構成された負荷軽減装置110を示している。装置110は、装置110の剛性応答をさらに変化させるために、係留接続点を本体の側壁の半径方向外側に配置することによって、
図8に示すものから変更されている。
【0080】
また、例えば
図12および
図13に示されているように、浮体式プラットフォームPを適切に固定するために、それぞれがそれぞれのアンカーCに接続された、負荷軽減装置10;110の2つ以上が設けられてもよいことが理解されるであろう。
図13は、負荷軽減装置10;110の1つの特定の用途として、浮体風力タービンプラットフォームPを示している。負荷軽減装置10;110は、生成されるべき剛性応答曲線をさらに操作するために、例えば互いにヒンジ式に固定された2つ以上の関節セクション(図示せず)を含むことも可能である。さらに、本体12の形状は大きく変化させることができ、例えば、
図15に示すように、2つの浮力アームと2つの重み付けされたアームを含む十字形の部材、または他の任意の適切な構成として提供することができる。
【0081】
どのような係留システムでも、係留予負荷に加えて、潮流やその他の流れ、および風の負荷により、係留システムの一部を構成する係留索に背景張力またはベースライン張力がかかる。カテナリー係留、半緊張係留、または緊張係留に作用するベースライン張力は、係留システムの剛性応答を増加させる。その結果、後続の波または突風の負荷が剛性の係留に作用し、非常に高い引張力が発生する。
【0082】
本発明の負荷軽減装置10;110は、上述の問題に対処するために、例えば
図14に示されるように、本体12;112が無負荷状態から負荷状態への回転またはその他の変位を受ける際に、非線形の剛性応答曲線を提供することが好ましい。
図14aは、第1および第2の係留接続点20;120、22;122が、設定された距離、例えば5mだけ互いに長手方向に間隔を空けているか、またはオフセットされている場合の応答曲線を示している。応答曲線は、例えば
図14cに示されているように、第1および第2の係留接続点20;120、22;122の間のオフセットまたは長手方向の分離間隔を調整することによって変化させることができ、ここでは係留接続点20;120、22;122の間の距離またはオフセットが変更されている。
図14bは、浮力部のCOBと重み付けされた部分のCOGとの間の距離を変更することの効果を説明する図である。
図14dは、COB、第1および第2の係留接続点と本体12、112のCOGとの間の角度を調整するように、第1および第2の係留接続点20、120、22および122を本体12、112の外側または内側に長手方向軸から離れるように半径方向または横方向に調整または移動させたときの剛性応答曲線の変化を示す図である。
【0083】
図14eは、第1の部分24;124および第2の部分26;126の浮力および/または重さを変更することによって達成され得る様々な剛性応答曲線を示している。
【0084】
上述した応答曲線のいくつかなどの非線形の剛性応答は、非常に剛性の高い初期応答により、ベースライン予負荷、流れまたは風の負荷の下で係留索の最小の伸長が保証されるので有利である。その後、曲線の低い剛性部分が、波からなどのベースラインを超える負荷変動に対する従順な応答を保証する。
【0085】
また、本発明の負荷軽減装置の設計および構成には、様々な修正や変更が想定される。例えば、
図15を参照すると、本発明による、例えば大きな角度の回転変位を容易にするために実質的に「X」字形の本体を有する負荷軽減装置の平面図、立面図および端面図が示されている。同様に、
図16は、実質的に「Y」字形の本体の平面図、立面図および端面図を示し、
図17は、本体の上部および下部突出部または部分の対が装置の主平面から外れて傾斜している実質的に「X」字形の本体を示している。
【0086】
図18は、全体的に210として示された本発明による負荷軽減装置の一実施形態を示し、各係留索L1およびL2の接続端部は、装置210の本体212に回動可能に接続された剛性要素またはアーム230;232として設けられており、本体212の回転軸が本体212の回転中心に位置するか、またはその近くに位置するように係留接続点220;222が位置決めされている。装置210は概略的に示されており、例えば、前述のように必要なレベルのバラストおよび浮力を提供するように適切に寸法設定され得る定義された浮力部および重み付けされた部分(図示せず)を有し得る。
【0087】
図19は、
図18の負荷軽減装置210を示しているが、本体212の回転軸が本体の浮力中心にあるか、またはその近くにあるように、本体212に沿って係留接続点220;222が調整されている。
図20は、
図18の負荷軽減装置210を示しているが、係留接続点220;222が本体212の上端に向かって配置されるように本体212に沿って調整されている。
図21は、負荷軽減装置210を示しているが、係留索の係留接続点220;222への接続が逆転しており、その結果、係留索が本体212を越えて係留接続点に至り、前の配置で記載して示した方向とは反対の方向に本体212の回転をもたらすようになっている。係留索の本体212への剛性接続は、係留索が本体212上の軸を中心に回転する自由を与え、装置の長手方向軸を中心とした回転を防止し、または係留索接続部の摩耗を防止する。
【0088】
ここで
図22を参照すると、負荷軽減装置210は、特定の配備方法の様々な段階で示されている。本体212の第1または浮力部分224および第2または重み付けされた部分226は、力対付勢回転に抵抗するためにそれに作用する浮力および重み付けされた力の下での本体212の力対付勢回転を通じて必要な負荷軽減機能を提供するために必要な特性をより正確に反映するために、
図18~
図21の概略図に比べて拡大されていることに留意されたい。
【0089】
図22aにおいて、負荷軽減装置210が浮体海洋プラットフォームPに隣接して配置されているが、最初はプラットフォームPに接続されておらず、第1の係留索L1が装置210から自由に吊り下げられたままになっていることが分かる。装置210は、プラットフォームPに隣接した位置に置かれると、前に詳述したように、第2の係留索L2を介して海底に固着される。装置210の重み付けされた部分226は、表面ブイBまたは他の任意の適切な船舶に繋がれている。
【0090】
図22bは、配備方法における次の重要なステップを示しており、このステップでは、重み付けされた部分226が、ブイBまたは他の船舶への接続を介して上方に引き上げられ、装置210は反時計回りの方向に回転される。この段階では、装置は非平衡状態、すなわち不安定な状態にあると言えるが、ブイとの接続によってこの状態が維持される。
【0091】
図22cは、装置210が実質的に水平の向きに回転され、ブイBへの接続によってこの位置に保持されている状態を示している。
図22dでは、プラットフォームPへの接続中に第1の係留索に実質的に張力がかからないようにするために、ブイに繋がれたままの状態で、第1の係留索L1を介して装置がプラットフォームPに接続されている。
図22eは、プラットフォームPへの接続が完了した後の配置を示す。
【0092】
図22fは、重み付けされた部分226が、ブイBまたは他の船舶から索を送り出すことによって下に戻され、装置が安定した向き、すなわち平衡状態に向かって回転し、したがって、係留索L1およびL2に張力を加え始めることを示している。
図22gは、装置10が実質的に垂直な向きに完全に回転されているが、ブイBがまだ接続されている状態を示し、
図22hは、ブイBが切断され、負荷軽減装置210が前述のようにプラットフォームPを固定している状態を示している。
【0093】
次に
図23を参照すると、負荷軽減装置210は、代替的な配備方法論の様々な段階で示されている。この配備方法論を容易にするために、装置210の第1の部分または浮力部分および第2の部分または重み付けされた部分は、中空であり、後述するように、それぞれ浮力およびバラストで充填可能であり、それぞれバラストタンクおよび浮力タンクを効果的に定める。
【0094】
したがって、
図23aを参照すると、負荷軽減装置210は、浮体海洋プラットフォームPに隣接して配置されているが、最初はプラットフォームPに接続されておらず、第1の係留索L1は装置210から自由に吊り下げられたままである。装置210は、プラットフォームPに隣接した位置に置かれると、前に詳述したように第2の係留索L2を介して海底に固着される。装置210の第2または重み付けされた部分は中空で空であるため、第1または浮力部分224は、装置210の所望の向きを達成するために、空気で満たされるか、または水で部分的に満たされてもよく、所望の向きは、この配備方法論では、示されているように、好ましくは実質的に水平である。
【0095】
図23bは、装置210が第1の係留索L1を介してプラットフォームPに接続されている状態を示しており、この係留索L1は、装置210の水平方向の向きに起因して、実質的に張力のない状態を維持する。
図23cは、プラットフォームPへの接続が完了した状態を示す。
【0096】
図23dは、プラットフォームPに隣接して装置210の上方に位置する船舶Vを示し、
図23eは、船舶V上のバラストタンク(図示せず)と第2の部分226との間にバラストラインMが接続され、船舶V上の浮力タンク又は空気源(図示せず)と装置210の第1の部分224との間に浮力ラインNが接続されていることを示す。
【0097】
図23fでは、重量を増加させるために第2の部分226にバラストをポンプで注入する一方、第1の部分224に空気をポンプで注入するかまたはそこから水をポンプで排出し、浮力を増加させる。これにより、
図23eに示す向きに対して装置210を時計回りの方向に回転させるように作用する上述の力対が生じる。
図23gは、バラストおよび浮力のポンピングが完了した後の装置を示しているが、ラインMおよびNは接続されたままであり、
図23hは、ラインが切断され、装置210がプラットフォームPを係留するために完全に動作可能であることを示している。バラストおよび/または浮力を本体212にポンピングするのではなく、バラストブロック(図示せず)および/または浮力ブロックを、プラットフォームPに隣接する水域に配置された後に本体212に追加することも想定される。したがって、「バラストタンク」および「浮力タンク」という用語は、実際のタンクまたは筐体が必要とされない、そのような配置を網羅するものとして解釈されるべきであると理解される。
【0098】
図24に目を向けると、負荷軽減装置210は、係留索の比較的一貫した張力を維持しながら水位の潮汐変動に対応するように実質的に垂直な係留索L1およびL2を用いて海洋プラットフォームPを係留する際の配備および動作の様々な段階で図示されている。図示の方法では、2つ以上、典型的には3つまたは4つの装置210が、対応する係留索L1およびL2とともに採用されている。
【0099】
図24aでは、装置210は最初、実質的に垂直方向に設置されており、係留索L1およびL2には非常に低いまたは無視できる程度の張力がかかっている。次に、係留索L1およびL2は、任意の適切な従来の手段、例えばプラットフォームPに配置されたウインチによって予備張力を与えられ、力対の付勢に抗して装置が水平の向きに回転する。
【0100】
負荷軽減装置210は、係留索L1およびL2の張力の変化を最小限に抑えながら潮位変動に応じて装置210が回転するような剛性曲線を有するように、前述のように構成または調整されている。
図24cは、装置210を水平前の向きに回転させた最低天文潮時のプラットフォームを示し、
図24dは、装置210を水平を超える向きに回転させて、潮位変動に合わせて索L1およびL2の合計長さを効果的に増加させ、それによって張力の著しい変化を回避した最高天文潮時のプラットフォームを示す。当然のことながら、水平方向の向きは、ここでは単に、潮位の2つの極端な間の装置210の相対的な位置の例示として使用されていることが理解されるであろう。また、装置210は、係留索の張力および/またはピークおよび/または疲労荷重を低減するために、前述のように環境負荷に反応する。
【0101】
図25は、全体的に310として示された負荷軽減装置を具現化した浮力がある回転可能な海洋変換器の代替実施形態を示す図である。この代替実施形態では、同様の構成要素は同様の参照番号を付与され、特に断りのない限り、同様の機能を果たす。装置210は、互いに間隔を置いた第1の浮力部分324と第2の重み付けされた部分326とを有する浮力本体を備える。この装置は、前述のように、第1および第2の係留索を接続するために、本体312に枢動可能に取り付けられた第1および第2のアーム330;332をさらに備える。前の実施形態とは異なり、装置310は第1および第2のバネ340;342をさらに備え、第1のバネは重み付けされた部分326を越えて取り付けられ、第2のバネは浮力部分324を越えて取り付けられている。バネ340;342の位置、種類、および配置は、その所望の機能を保持しながら変化させることができ、装置310は単に1つの可能な構成を例示しているだけであることが理解されるであろう。また、単一のバネを採用することも可能であり、図示されている2つより多くのバネを採用することも可能であることが理解されるであろう。また、バネの代わりに、またはバネと組み合わせて、エンドストップまたはバンパ(図示せず)を設けることで、時計回りの回転を制限することに加えて、装置310が受ける可能性のある回転運動の範囲、ひいては伸長を制限することができることも理解されるはずである。「バネ」という用語の使用は、単独であるか、別のバネと組み合わせてあるかにかかわらず、そのようなエンドストップまたは他の変形可能な要素も網羅することを意図している。
【0102】
後述するように、バネ340;340は、装置310の剛性応答を段階的に変化させるように動作可能であり、非線形剛性応答曲線を参照して上述したものよりも剛性応答のさらなる段階を効果的に可能にする。
図25aは、実質的に垂直、したがって負荷のない状態にある装置310を示す。
図25bは、負荷がかかっていて、ある量の回転変位を受けた状態の装置310を示している。
図25cは、この回転の進行を示しており、一対のアーム330;332は、それぞれのバネ340;342および/またはエンドストップ(図示せず)に近づく程度まで本体312に対して回転している。最後に、
図25dは、アーム330;332がバネ340;342に接触してバネ340;342を圧縮するのに十分な回転を受けた装置を示している。バネ340;342の圧縮は、本体の回転のこの最終段階の剛性応答を制御する働きをする。
【0103】
図26aに目を向けると、本発明の一態様による海洋プラットフォームP1が示されており、プラットフォームP1と一体化された負荷軽減装置410の形態の浮力がある回転可能な海洋変換器が組み込まれている。負荷軽減装置410は、基本的には前述した方法と同じ方法で動作し、浮力部分424および重み付けされた部分426を定める本体412と、一対の係留接続点420;422とを有する。しかしながら、前の実施形態とは異なり、第1の係留接続点は、プラットフォームP1に直接接続する接続部を定め、その接続部を中心に本体12は回転することができる。第2の係留接続点は、それに回動可能に接続された第2のアーム432を有し、そのアームからは、前述したように固着されたまたは別の方法で固定された第2の係留索L2が延びている。また、プラットフォームP1は、剛性の高い第2のアーム432を備えず、係留索L2を係留接続点422に直接接続することも想定される。
【0104】
大きな環境負荷がない場合、および
図26aに示されるように、本体は、浮力部分424および重み付けされた部分426によって生成される力対の影響下で、実質的に垂直な向きをとる。しかしながら、
図26bに示されているように、風、波、潮、その他などの外部環境力がプラットフォームP1に作用すると、装置410は、負荷の一部を装置410の回転変位に変換することによりプラットフォームP1の負荷を軽減するために、力対の作用に抗して回転を受ける。
【0105】
プラットフォームP1は、単一の一体化された負荷軽減装置410とともに示されているが、第2または追加の装置410がプラットフォームP1の一部として提供されてもよいことを理解されたい。
【0106】
図27aおよび27bを参照すると、同様の配置が示されており、プラットフォームP2には、プラットフォームP2と一体化された負荷軽減装置510の形態の浮力がある回転可能な海洋変換器が設けられている。プラットフォームP1とは異なり、負荷軽減装置510は浮力部分を含まず、代わりに重み付けされた部分526のみに依存しており、その結果、外部環境力に対して作用する力は、装置510の回転に対する重み付けされた部分の抵抗によってのみ生成される。プラットフォームP1と同様に、第2または追加の装置510がプラットフォームP2の一部として提供されてもよいことを理解されたい。
【0107】
図28aおよび28bは、本発明の一態様による海洋プラットフォームP3のさらなる実施形態を示し、海洋プラットフォームP3は、プラットフォームP3と一体化された負荷軽減装置610の形態の一対の浮力がある回転可能な海洋変換器を組み込んでいる。装置610の構成は、基本的にプラットフォームP2上の装置510の逆であり、それにより、各負荷軽減装置610は、重み付けされた部分を含まず、代わりに浮力部分のみに依存し、その結果、外部環境力に対して作用する力は、装置510の回転に対する浮力部分の抵抗によってのみ生成される。したがって、プラットフォームP3および装置610の配置は、浮力部分624が実質的に水没していることを保証しなければならず、図示の実施形態では、2つの浮力部分が実際に、プラットフォームP3全体を浮かせるために必要な浮力および変位のかなりの量を提供している。
【0108】
図29を参照すると、全体的に710として示された負荷軽減装置を具現化した浮力がある回転可能な海洋変換器のさらなる代替実施形態が提供されている。この代替的な実施形態では、同様の構成要素は同様の参照番号を付与され、特に断りのない限り、同様の機能を果たす。装置710は、長手方向に本体の反対側の端部を定める第1の浮力部分724および第2の重み付けされた部分726を有する浮力本体712を備える。本体712は通路760を画定し、通路760は本体の中を実質的に長手方向に延びるが、第1の係留接続点720および第2の係留接続点722を効果的に定めるために本体712を横方向に抜け、本体の一方の側に第1の係留索L1を定め、本体712の他方の側に第2の係留索L2を定めるように、単一の索長さが通路760を通過することを可能にする。索は、電力ケーブル、ワイヤロープ、チェーン等であり得る。装置710は、好ましくは、索の損傷を防止するために、第1の係留接続点720を定める第1の曲げ制限器762と、第2の係留接続点722を定める第2の曲げ制限器764とを組み込んでいる。本体712は、装置が既存のケーブルまたは索の周りでクランプされることを可能にするために、
図29cに示されているように、一対の分離可能なセクションまたは半部として形成されてもよい。この特定の設計の負荷軽減装置は、ケーブルのスナッチ負荷を回避し、曲率を許容範囲内に維持し、これは特定の用途では重要となり得る。
【0109】
本発明の負荷軽減装置は、製造および/または輸送および/または設置および回収を容易にするために、構造がモジュール化されていてもよい。装置の本体は、回転中に水を巻き込むなどして、慣性負荷を増加または減少させるような形状および寸法にされてもよい。本体には、異なる応答のための複数の係留接続点が設けられていてもよい。本体は、バラスト部分のみを備えていてもよいし、逆に浮力部分のみを備えていてもよい。負荷軽減装置は、大きな波または天気予報等のような他の環境情報に応答するなどして、バラストのレベル、浮力、または係留接続点の位置の動的および/または自律的な制御を可能にするように適合されてもよく、それは1つまたは複数のセンサおよび/または受信機内に負荷軽減装置を設けることによって監視されてもよい。また、負荷軽減装置は、そこに作用する環境力から電力を利用するために、例えば、上述の適応型バラストまたは浮力などの1つまたは複数の搭載システムに電力を供給するために、何らかの形態のエネルギー捕捉テークオフシステム(図示せず)を含んでいてもよい。また、本発明の負荷軽減装置は、例えば、複数の負荷軽減手段が利用される全体的な係留構成で、他の構成要素を備える係留システム内のサブ構成要素と組み合わせて、またはサブ構成要素として使用できることを理解されたい。
【0110】
したがって、負荷軽減装置10、110;210;310;410;510;610;710および関連する負荷軽減システムを具現化した浮力がある回転可能な海洋変換器は、1つの形態のエネルギーまたは運動を別の形態に変換するシンプルだが非常に効果的な手段を提供することが理解されるであろう。この機能性は、プラットフォームまたは他の構造物を固定し、そこにかかる厳しい環境誘導力を減衰させるなどの海洋用途を促し、所望の負荷処理性能を提供するために、剛性応答曲線を多くの方法で調整または調節することを可能にする。
【0111】
また、上記の実施形態では、浮力がある回転可能な海洋変換器を負荷軽減装置として利用しているが、別の用途も可能であることを理解すべきである。特に、本発明の回転可能な浮力がある海洋変換器は、変換器の本体上または本体内に1つまたは複数のセンサを備え、温度、圧力、向き、本体に作用する力、その他などの周囲環境の様々なパラメータまたは特性に関するデータを取得するように動作可能なセンサシステム(図示せず)として使用することができる。このようなセンサは、その形状および動作が従来式であり、本明細書で詳細に説明する必要はない。センサシステムは、好ましくは、変換器からデータを無線またはその他の方法で送信することを可能にする送信器を含む。
【0112】
センサシステムは、好ましくは、様々なセンサ、変換器、および関連する電気部品に電力を供給するために、前述したような本体の回転変位を電気エネルギーに変換するように動作可能なエネルギー捕捉テークオフシステムを含み得る。このようにして、センサシステムは長時間の動作が可能となり、これは海洋環境において重要な利点である。
【国際調査報告】