(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】偏光板の接着剤ムラ検査装置及び偏光板の接着剤ムラ検査方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20220728BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20220728BHJP
G02F 1/1335 20060101ALN20220728BHJP
【FI】
G02B5/30
C09J201/00
G02F1/1335 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571884
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(85)【翻訳文提出日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 KR2020003259
(87)【国際公開番号】W WO2020246692
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0067544
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521527912
【氏名又は名称】シャンジン オプトエレクトロニクス(スジョウ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ジェイル
(72)【発明者】
【氏名】ナム、テクグン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ギョンシク
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
4J040
【Fターム(参考)】
2H149AA13
2H149AB01
2H149AB11
2H149BA02
2H149BA12
2H149BA27
2H149CA02
2H149EA12
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2H149FA02X
2H149FA03W
2H149FA66
2H149FB08
2H149FD01
2H149FD03
2H291FA22
2H291FA95
2H291FC42
2H291FD34
2H291GA23
4J040DF021
4J040FA131
4J040FA132
4J040JB07
4J040LA10
4J040NA17
(57)【要約】
本発明は、偏光板の接着剤ムラ検査装置及び偏光板の検査方法に関する。本発明は、偏光板に発生する接着剤ムラを容易に検査することができ、視認性に優れる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点光源と、
前記点光源から光が印加されるように配置される第1の偏光部材と、
前記第1の偏光部材を透過した光が印加されるように配置され、前記印加された光を反射する偏光板と、
前記偏光板から反射された光が印加されるように配置される第2の偏光部材と、
前記第2の偏光部材を透過した光が印加されるように配置され、前記第2の偏光部材を透過した光に基づいて、前記偏光板の接着剤ムラを判断する検査員と、を含み、
前記偏光板は、偏光子と、前記偏光子の上部及び下部それぞれに光硬化性接着剤を含む接着剤層と、保護基材とを順に含み、
前記第1の偏光部材を透過した光は、前記偏光板の保護基材に印加され、
前記点光源は、前記偏光板に対してブリュースター角(brewster angle)で光を印加する、偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【請求項2】
前記点光源が、前記第1の偏光部材側に偏光されていない光を放出する、請求項1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【請求項3】
前記点光源から放出される光は、前記偏光板に対する入射角が45゜~75゜である、請求項2に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【請求項4】
前記第1の偏光部材は、前記偏光板の偏光子に対して吸収軸が垂直である、請求項1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【請求項5】
前記偏光板が、液晶表示装置用偏光板である、請求項1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【請求項6】
前記偏光板に印加された光が、前記接着剤層で反射される、請求項1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【請求項7】
前記光硬化性接着剤が、アクリル重合体を含む接着剤組成物を硬化した状態で含む、請求項1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【請求項8】
前記接着剤層は、屈折率が1.45~1.50である、請求項1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【請求項9】
前記偏光子は、屈折率が1.5超~1.6である、請求項1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【請求項10】
前記偏光板から反射されて放出される光は、前記偏光板に対する反射角が45゜~75゜である、請求項7に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【請求項11】
前記第2の偏光部材は、前記偏光板の偏光子に対して吸収軸が垂直である、請求項1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【請求項12】
請求項1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いた偏光板の接着剤ムラ検査方法であって、
点光源から光を放出して第1の偏光部材、偏光板、第2の偏光部材を順に透過させるステップと、
前記第2の偏光部材を透過して前記検査員に印加される光に基づいて、前記偏光板の接着剤ムラを判断するステップと、を含む、偏光板の接着剤ムラ検査方法。
【請求項13】
前記偏光板に印加された光が反射される、請求項12に記載の偏光板の接着剤ムラ検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板の接着剤ムラ検査装置及び偏光板の接着剤ムラ検査方法に関する。
【0002】
本発明は2019年6月7日出願の韓国特許出願第10-2019-0067544号に基づく優先権の利益を主張するものであり、当該韓国特許出願文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として組み込まれるものである。
【背景技術】
【0003】
液晶表示素子(LCD;Liquid crystal display)は、光の状態を制御するために偏光板を含む。一般に、LCDに用いられる偏光板は、偏光機能を有する偏光子と、前記偏光子の上部及び下部の保護基材を、接着剤を用いて付着することにより製造される。
【0004】
ここで、用いられる接着剤の種類には、大別して熱硬化性接着剤と光硬化性接着剤の2つの種類がある。一般的な水系接着剤は、PVAを主成分とし、偏光子と屈折率が同じなので、接着剤の厚さの偏差によるムラが発生しない。
【0005】
しかしながら、光硬化性接着剤は、PVA偏光子と屈折率が異なるので、厚さが不均一に硬化すると、ムラが視認されるという問題が生じる。
【0006】
このような光硬化性接着剤ムラは、視認性が高くないので一般的な検査方法では確認が難しく、偏光板完成品の上に保護フィルム及び/または離型フィルムを付着するとさらに確認が難しくなるという問題が生じる。よって、前記問題を解決することのできる、偏光板の接着剤ムラ検査装置及び偏光板の接着剤ムラ検査方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、偏光板に発生する接着剤ムラを容易に検査することができ、視認性に優れる、偏光板の接着剤ムラ検査装置及び偏光板の接着剤ムラ検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の偏光板の接着剤ムラ検査装置は、点光源と、前記点光源から光が印加されるように配置される第1の偏光部材と、前記第1の偏光部材を透過した光が印加されるように配置され、前記印加された光を反射する偏光板と、前記偏光板から反射された光が印加されるように配置される第2の偏光部材と、前記第2の偏光部材を透過した光が印加されるように配置され、前記第2の偏光部材を透過した光に基づいて、前記偏光板の接着剤ムラを判断する検査員とを含み、前記偏光板は、偏光子と、前記偏光子の上部及び下部それぞれに光硬化性接着剤を含む接着剤層と、保護基材とを順に含み、前記第1の偏光部材を透過した光は、前記偏光板の保護基材に印加され、前記点光源は、前記偏光板に対してブリュースター角(brewster angle)で光を印加する。
【0009】
また、前記点光源は、前記第1の偏光部材側に偏光されていない光を放出するようにしてもよい。
【0010】
さらに、前記点光源から放出される光は、前記偏光板に対する入射角が45゜~75゜であってもよい。
【0011】
さらに、前記第1の偏光部材は、前記偏光板の偏光子に対して吸収軸が垂直であってもよい。
【0012】
さらに、前記偏光板は、液晶表示装置用偏光板であってもよい。
【0013】
さらに、前記偏光板に印加された光は、前記接着剤層で反射されるようにしてもよい。
【0014】
さらに、前記光硬化性接着剤は、アクリル重合体を含む接着剤組成物を硬化した状態で含むようにしてもよい。
【0015】
さらに、前記接着剤層は、屈折率が1.45~1.50であってもよい。
【0016】
さらに、前記偏光子は、屈折率が1.5超~1.6であってもよい。
【0017】
さらに、前記偏光板から反射されて放出される光は、前記偏光板に対する反射角が45゜~75゜であってもよい。
【0018】
さらに、前記第2の偏光部材は、前記偏光板の偏光子に対して吸収軸が垂直であってもよい。
【0019】
また、本発明の偏光板の接着剤ムラ検査方法は、前記偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いた偏光板の接着剤ムラ検査方法であって、点光源から光を放出して第1の偏光部材、偏光板、第2の偏光部材を順に透過させるステップと、前記第2の偏光部材を透過して前記検査員に印加される光に基づいて、前記偏光板の接着剤ムラを判断するステップとを含む。
【0020】
さらに、前記偏光板に印加された光は反射されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の偏光板の接着剤ムラ検査装置及び偏光板の接着剤ムラ検査方法によれば、偏光板に発生する接着剤ムラを容易に検査することができ、視認性が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態による偏光板の接着剤ムラ検査装置を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による偏光板を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いて、偏光板の接着剤ムラを検査するために第2の偏光部材をデジタルカメラで撮影した画像である。
【
図4】本発明の一実施形態によるものではない偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いて、偏光板の接着剤ムラを検査するために第2の偏光部材をデジタルカメラで撮影した画像である。
【
図5】本発明の一実施形態によるものではない他の偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いて、偏光板の接着剤ムラを検査するために第2の偏光部材をデジタルカメラで撮影した画像である。
【
図6】本発明の一実施形態によるものではないさらに他の偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いて、偏光板の接着剤ムラを検査するために第2の偏光部材をデジタルカメラで撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の偏光板の接着剤ムラ検査装置及び偏光板の接着剤ムラ検査方法について説明する。添付図面は、例示的なものであり、本発明の偏光板の接着剤ムラ検査装置及び偏光板の検査方法を限定するものではない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による偏光板の接着剤ムラ検査装置を示す図である。
図1に示すように、本発明の偏光板の接着剤ムラ検査装置は、点光源100と、第1の偏光部材200と、偏光板300と、第2の偏光部材400と、検査員500とを含む。点光源100は、偏光板300に対してブリュースター角(brewster angle)で光を印加する。
図2は、本発明の一実施形態による偏光板を示す図である。
図2に示すように、偏光板300は、偏光子310と、偏光子310の上部及び下部それぞれの接着剤層321,322と、保護基材331,332とを順に含む。また、接着剤層321,322は、光硬化性接着剤を含む。さらに、第1の偏光部材200を透過した光は、偏光板300の保護基材331,332に印加される。本発明の偏光板の接着剤ムラ検査装置は、偏光板に発生する接着剤ムラを容易に検査することができ、視認性に優れる。
【0025】
本明細書における「順に位置する」とは、それぞれの構成が直列構造で平行に位置する状態を意味する。また、本明細書における「ブリュースター角(brewster angle)」とは、屈折率の異なる2つの媒質間を光が通過するときに、ある偏光成分の光のみ反射し、他の偏光成分は反射することなく全て透過する入射角を意味する。例えば、垂直偏光の光(TE,s偏光)を入射すると、ほとんど全ての光は反射される。しかしながら、水平偏光の光(TM,p偏光)を入射すると、反射がほとんど起こらず、ほとんど透過する。この角度では、偏光された光の電場が入射する平面と平行になるので、反射されない。すなわち、水平偏光の光の反射係数が0になる入射角が存在するが、その角をブリュースター角という。よって、ブリュースター角付近で入射すると、その反射波は、平行偏光成分より垂直偏光成分の方がはるかに多くなる。よって、光がブリュースター角で入射すると、反射される光は常にs偏光状態となる。
【0026】
点光源100は、様々な方向に振動する偏光されていない光を放出する光源であり、様々な白色光を放出する、または、可視光線領域のスペクトル範囲で連続的なスペクトルを有する様々なタイプのランプが用いられる。前記点光源として偏光されていない光を用いることにより、前記偏光板の接着剤ムラ検査装置の製作費及び維持費が安価になる。また、前記点光源は、面光源に比べて視認性の面から有利である。
【0027】
前記点光源は、仮想的に面積を有さず、幾何学的な一点からなる光源であり、面状の面光源と区別される。
【0028】
一例として、点光源100は、第1の偏光部材200側に偏光されていない光を放出するようにしてもよい。前記偏光されていない光が点光源100から放出され、第1の偏光部材200を透過することにより、第1の偏光部材200の透過軸と平行な方向に偏光されるようにしてもよい。
【0029】
また、点光源100は、光量を調節するようにしてもよい。例えば、点光源100は、光量を高く調節することにより、視認性を向上させるようにしてもよい。
【0030】
また、点光源100から放出された光は、入射角を調節するようにしてもよい。一例として、点光源100から放出された光は、偏光板300に対する入射角が45゜~75゜であってもよい。例えば、偏光板300に対する点光源100から放出された光の入射角は、45゜~70゜、50゜~70゜または55゜~65゜であってもよい。ここで、前記入射角は、偏光子310の上部に含まれる保護基材332の屈折率により特定することができ、本発明における入射角は、屈折率が1.6である保護基材を用いた場合の角度である。前記点光源から放出された光の入射角が前記範囲内であれば、偏光板に発生する接着剤ムラを容易に検査することができ、視認性に優れる。
【0031】
第1の偏光部材200は、前記点光源から放出された光を特定方向に偏光させるための部分であり、前記点光源から光が印加されるように配置される。
【0032】
本明細書における「偏光部材及び偏光子」とは、いずれか一方向に形成された透過軸を有し、入射光に対して異方性透過特性を示す機能性層を意味する。例えば、偏光部材及び偏光子は、様々な方向に振動する入射光のうち、いずれか一方向に振動する光は透過し、他の方向に振動する光は反射または吸収して遮断する機能を有してもよい。このような偏光子は、例えば反射型偏光子または吸収型偏光子であってもよく、本発明の第1の偏光部材、第2の偏光部材及び偏光子は、吸収型偏光子であってもよい。
【0033】
本明細書における「吸収型偏光子」とは、様々な方向に振動する入射光のうち、透過軸と平行な方向を有する光は透過し、他の方向に振動する光は吸収して遮断する層を意味する。一例として、吸収型偏光子は、面上で互いに直交する透過軸及び吸収軸を有してもよい。例えば、前記透過軸と吸収軸がなす角度が85゜~95゜または90゜であってもよい。ここで、前記透過軸と平行な方向に振動する光は透過し、吸収軸と平行な方向に振動する光は反射または吸収するようにしてもよい。
【0034】
本明細書において角度を定義する際に、垂直、平行、直交、水平などの用語を用いる場合、それは目的とする効果を損なわない範囲における実質的な垂直、平行、直交または水平を意味するものであり、例えば製造誤差(error)、偏差(variation)などを考慮した誤差を含むものである。例えば、前記各場合において、約±15゜以内の誤差、約±10゜以内の誤差、または約±5゜以内の誤差を含んでもよい。
【0035】
前記吸収型偏光子としては、当該分野で公知の通常の吸収型偏光子が用いられる。例えば、前記吸収型偏光子としては、ヨウ化物または有機染料で染色した延伸重合体膜、例えばポリビニルアルコール(PVA)フィルムなどが用いられる。このような吸収型偏光子は、通常、透過軸及び前記透過軸に直交する吸収軸を有する。
【0036】
一例として、第1の偏光部材200は、偏光板300の偏光子310に対して吸収軸が垂直であってもよい。具体的には、第1の偏光部材200が第2の方向(↑↓で示す)の吸収軸を有する場合、偏光板300の偏光子310は、第1の偏光部材200の吸収軸に対して垂直となる第1の方向(←→で示す)の吸収軸を有してもよく、第1の偏光部材200及び偏光板300の偏光子310は、各吸収軸と直交する方向(図示せず)に透過軸を有してもよい。前記第1の偏光部材及び偏光板の偏光子が垂直な吸収軸を有することにより、前記第1の偏光部材を経て第1の方向(←→で示す)に線偏光された光は、前記偏光板の偏光子の透過軸に対して垂直に整列されるので、前記偏光板の偏光子により反射される。それに対して、前記第1の偏光部材と前記偏光板の偏光子の吸収軸が垂直でない場合、前記第1の偏光部材を経て第1の方向(←→で示す)に線偏光された光は、前記偏光板の偏光子の透過軸に対して垂直に整列されないので、前記偏光板の偏光子を透過する。前記線偏光された光が前記偏光板の偏光子を透過して下部の保護基材で反射されるが、ここで、前記偏光板が位置する面、すなわち検査部の表面が暗い色でないと接着剤ムラを視認することができないという欠点がある。
【0037】
偏光板300は、接着剤ムラを検査するための測定対象となるサンプルであり、検査部(図示せず)に含まれてもよい。例えば、偏光板300は、検査部の上に配置される。
【0038】
偏光板300は、第1の偏光部材200を透過した光が印加されるように配置され、その印加された光を反射する。具体的には、偏光板300に印加された光は、偏光板300の偏光子310の上部に形成された接着剤層322を透過し、偏光板300の偏光子310で反射される。接着剤層322を透過し、偏光子310で光の反射が起こるので、偏光板の接着剤ムラを検査することができる。
【0039】
一例として、偏光板300は、液晶表示装置用偏光板であってもよい。具体的には、液晶表示装置は、2枚の偏光板間に液晶を用いて光の進行方向を変える、または、光の強度を調節する透過型表示装置であり、前記偏光板に線偏光された光を形成する偏光子を含むが、1/4波長板を必要としない。しかしながら、有機発光表示装置は、電極が露出しているので太陽光、照明などの外光反射に脆弱であるという欠点があり、電源OFFの状態で表面の外光反射を遮断して暗い視覚を与えるように、偏光板に線偏光された光を形成するための偏光子と、円偏光された光を形成するための1/4波長板とを含んでもよい。
【0040】
前記光硬化性接着剤は、アクリル重合体を含む接着剤組成物を硬化した状態で含んでもよい。本明細書における「光硬化性接着剤」とは、電磁波の照射により硬化する接着剤を意味する。ここで、電磁波には、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線及びガンマ線をはじめとして、α線(alpha-particle beam)、プロトンビーム(proton beam)、ニュートロンビーム(neutron beam)、電子線(electron beam)などの粒子ビームなどが含まれてもよい。接着剤層321,322は、保護基材321,322または偏光子310の一面に塗布され、その後電磁波の照射により硬化されて形成されてもよい。前記硬化とは、物理的作用または化学的反応により接着剤組成物が接着特性を発現させる過程を意味する。一例として、前記接着剤組成物の硬化は、電磁波の照射によるフリーラジカル重合または陽イオン反応により行われるが、フリーラジカル重合及び陽イオン反応が同時にまたは順番に共に進められて行われることが好ましい。
【0041】
前記アクリル重合体には、(メタ)アクリル酸エステル単量体が含まれてもよい。前記単量体は、重合体に重合単位として含まれてもよい。本明細書における、単量体が重合単位として重合体に含まれるとは、その単量体が重合反応などを経てその重合体の骨格、例えば主鎖または側鎖を形成している状態を意味する。前記(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレートが用いられる。例えば、接着剤の凝集力やガラス転移温度などを考慮して、炭素数1~14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが用いられる。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、前述した単量体の1種または2種以上の混合が重合体に含まれてもよい。
【0042】
また、保護基材331,332は、偏光子310を保護するために付着するフィルムであり、偏光子310の上部及び下部にそれぞれ接着剤層321,322を介して付着してもよい。保護基材331,332としては、TACシートなどの当該分野で公知の偏光子用保護基材が用いられるが、これに限定されるものではない。
【0043】
一例として、接着剤層321,322は、屈折率が1.45~1.50であってもよい。例えば、接着剤層321,322の屈折率は、1.46~1.49または1.47~1.48であってもよい。接着剤層321,322が前記範囲の屈折率を有すると、偏光子310と屈折率が異なるので硬化した時の厚さが不均一になり、それにより接着剤ムラが視認される。
【0044】
偏光子310の屈折率は、1.5超~1.6であってもよい。例えば、偏光子310の屈折率は、1.51~1.57または1.52~1.54であってもよい。偏光子310が前記範囲の屈折率を有すると、接着剤層321,322と屈折率が異なるので硬化した時の厚さが不均一になり、それにより接着剤ムラが視認される。
【0045】
偏光板300から反射されて放出される光は、偏光板300に対する反射角が45゜~75゜であってもよい。例えば、偏光板300から反射されて放出される光は、偏光板300に対する反射角が45゜~70゜、50゜~70゜または55゜~65゜であってもよい。偏光板300から反射されて放出される光の反射角が前記範囲内であれば、第1の偏光部材200を透過して線偏光された光から、偏光板300を透過できずに保護基材332で反射された光を除いて、偏光板300の接着剤層322を透過して偏光子310により反射された光が第2の偏光部材400により吸収されるので、偏光板300の内部で接着剤層322の接着剤ムラを優れた視認性で検査することができる。
【0046】
第2の偏光部材400は、偏光板300の接着剤ムラの有無に応じて、偏光板300から反射された光を透過及び/または吸収する部分であり、偏光板300から反射された光が印加されるように配置される。具体的には、偏光板300内に接着剤ムラが存在する部分で反射されて印加された光は、第2の偏光部材400を透過するようにしてもよい。それとは反対に、偏光板300内に接着剤ムラが存在しない部分で反射されて印加された光は、第2の偏光部材400に吸収されるようにしてもよい。前記偏光板から反射された光が前記第2の偏光部材に印加されることにより、偏光板の接着剤ムラを検査することができる。
【0047】
一例として、第2の偏光部材400は、偏光板300の偏光子310に対して吸収軸が垂直であってもよい。すなわち、第2の偏光部材400は、第1の偏光部材200と透過軸が平行であってもよい。具体的には、第2の偏光部材400が第2の方向(↑↓で示す)の吸収軸を有する場合、偏光板300の偏光子310は、第1の方向(←→で示す)の吸収軸を有してもよく、第2の偏光部材400及び偏光板300の偏光子310は、各吸収軸と直交する方向(図示せず)に透過軸を有してもよい。前記第2の偏光部材及び偏光板の偏光子が垂直な吸収軸を有することにより、第1の偏光部材200を透過して線偏光された光から、偏光板300を透過できずに保護基材332で反射された光を除いて、偏光板300の接着剤層322を透過して偏光子310により反射された光が第2の偏光部材400により吸収されるので、偏光板300の内部で接着剤層322の接着剤ムラを優れた視認性で検査することができる。
【0048】
検査員500は、第2の偏光部材400を透過した光に基づいて、偏光板300の接着剤ムラを判断するための部分であり、第2の偏光部材400を透過した光が印加されるように配置される。具体的には、第2の偏光部材400を透過した光は赤褐色を示すようにしてもよい。そうすると、偏光板300に接着剤ムラが存在すると判断することができる。また、第2の偏光部材400を透過できない光は暗い色を示すようにしてもよい。そうすると、偏光板300に接着剤ムラが存在しないと判断することができる。
【0049】
一例として、検査員500は、肉眼を用いて、偏光板の接着剤ムラ検査を直接行ってもよく、他の例として、肉眼の代わりにビデオカメラなどの撮像器を用いて、得られた画像からコンピュータにより偏光板の接着剤ムラ検査を間接的に行ってもよい。
【0050】
また、本発明は、偏光板の接着剤ムラ検査方法に関する。例示的な偏光板の接着剤ムラ検査方法は、前述した偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いた検査方法に関する。よって、前記偏光板の接着剤ムラ検査装置についての内容が同様に適用されるので、偏光板の接着剤ムラ検査方法に関する具体的な事項については省略する。
【0051】
本発明の偏光板の接着剤ムラ検査方法は、透過させるステップと、判断するステップとを含む。本発明の偏光板の接着剤ムラ検査方法を用いることにより、偏光板に発生する接着剤ムラを容易に検査することができ、視認性が良好になる。
【0052】
前記透過させるステップは、前述した偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いて光を透過させるステップであり、点光源から光を放出して第1の偏光部材、偏光板、第2の偏光部材を順に透過させる。ここで、前記点光源は、偏光板に対してブリュースター角(brewster angle)で光を印加する。前記偏光板の接着剤ムラ検査装置について前述したものと同一であるので、前記点光源、第1の偏光部材、偏光板、第2の偏光部材及び光の進行に関する具体的な内容については省略する。
【0053】
前記判断するステップは、前記偏光板の接着剤ムラを判断するためのステップであり、前記第2の偏光部材を透過して前記検査員に印加される光に基づいて、前記偏光板の接着剤ムラを判断する。すなわち、前記点光源から前記検査員に光が到達して赤褐色を示す場合、前記偏光板に接着剤ムラが存在すると判断し、前記点光源から前記検査員に光が到達せずに暗い色を示す場合、前記偏光板に接着剤ムラが存在しないと判断することができる。また、前記偏光板の接着剤ムラ検査装置について前述したものと同一であるので、前記検査員及び光の進行に関する具体的な内容については省略する。
【0054】
一例として、前記偏光板に印加された光は反射されるようにしてもよい。具体的には、前記偏光板の偏光子を透過した光が前記偏光板の接着剤層により反射されるようにしてもよい。前記偏光板で光の反射が起こることにより、偏光板の接着剤ムラを検査することができる。前記偏光板の接着剤ムラ検査装置について前述したものと同一であるので、前記光の反射に関する具体的な内容については省略する。
【0055】
本発明の一実施形態による偏光板の接着剤ムラ検査装置、一実施形態によるものではない偏光板の接着剤ムラ検査装置、一実施形態によるものではない他の偏光板の接着剤ムラ検査装置、及び一実施形態によるものではないさらに他の偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いて、偏光板の接着剤ムラが検出されるかを検査した。
【0056】
本発明の一実施形態による偏光板の接着剤ムラ検査装置は、第2の方向(↑↓)の吸収軸を有する第1の偏光部材に、偏光板に対する入射角58゜で点光源を印加して線偏光し、線偏光された光を偏光板の保護基材、光硬化性接着剤を含む接着剤層、及び第1の方向(←→)の吸収軸を有する偏光子に印加させる。その後、前述したように印加された光は、前記偏光子において偏光板に対する反射角58゜で反射される。その後前述したように反射された光を前記偏光板の接着剤層、保護基材、及び第2の方向(↑↓)の吸収軸を有する第2の偏光部材に印加して透過させることにより、検査された光により偏光板の接着剤ムラが検出されることを検査員が確認する。
図3は本発明の一実施形態による偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いて、偏光板の接着剤ムラを検査するために第2の偏光部材をデジタルカメラで撮影した画像である。
図3に示すように、赤褐色が鮮明であることが確認された。すなわち、本発明の一実施形態による偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いて偏光板の接着剤ムラを検査すると、優れた視認性で偏光板の接着剤ムラを検査できることが確認された。
【0057】
また、本発明の一実施形態によるものではない偏光板の接着剤ムラ検査装置は、第1の偏光部材を含まないことを除いて、前述した一実施形態による偏光板の接着剤ムラ検査装置と同様に偏光板の接着剤ムラ検査を行ったところ、偏光板の接着剤ムラが検出されるものの、視認性が弱いことが確認された。よって、偏光子の上部に含まれる保護基材に光が印加される際に、正確なブリュースター角付近以外の角ではp偏光の除去が難しいことが原因であることが確認された。
図4は本発明の一実施形態によるものではない偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いて、偏光板の接着剤ムラを検査するために第2の偏光部材をデジタルカメラで撮影した画像である。
【0058】
また、本発明の一実施形態によるものではない他の偏光板の接着剤ムラ検査装置は、第1の偏光部材及び第2の偏光部材の吸収軸を90゜回転させたことを除いて、前述した一実施形態による偏光板の接着剤ムラ検査装置と同様に偏光板の接着剤ムラ検査を行ったところ、偏光板の接着剤ムラが検出されるものの、視認性が弱いことが確認された。よって、第1の偏光部材200を透過して線偏光された光から、偏光板300を透過できずに保護基材332で反射された光を除いて、偏光板300の接着剤層322を透過して偏光子310により反射された光が第2の偏光部材400により吸収されるので、偏光板300の内部で接着剤層322の接着剤ムラを優れた視認性で検査することができる。
【0059】
偏光子の上部に含まれる保護基材に第1の偏光部材を透過して線偏光された光が印加される際に、偏光子の上部に含まれる保護基材の表面と空気間のブリュースター角付近でp偏光の表面反射が起こるので、視認性が低くなることが確認された。
図5は本発明の一実施形態によるものではない他の偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いて、偏光板の接着剤ムラを検査するために第2の偏光部材をデジタルカメラで撮影した画像である。
【0060】
さらに、本発明の一実施形態によるものではないさらに他の偏光板の接着剤ムラ検査装置は、点光源の代わりに面光源を用いたことを除いて、前述した一実施形態による偏光板の接着剤ムラ検査装置と同様に偏光板の接着剤ムラ検査を行ったところ、面光源では偏光板の接着剤ムラが検出されないことが確認された。すなわち、光源の境界面で接着剤ムラの検測が良好に行われるので、点光源が面光源に比べて有利であることが確認された。
図6は本発明の一実施形態によるものではないさらに他の偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いて、偏光板の接着剤ムラを検査するために第2の偏光部材をデジタルカメラで撮影した画像である。
【0061】
[付記]
[付記1]
点光源と、
前記点光源から光が印加されるように配置される第1の偏光部材と、
前記第1の偏光部材を透過した光が印加されるように配置され、前記印加された光を反射する偏光板と、
前記偏光板から反射された光が印加されるように配置される第2の偏光部材と、
前記第2の偏光部材を透過した光が印加されるように配置され、前記第2の偏光部材を透過した光に基づいて、前記偏光板の接着剤ムラを判断する検査員と、を含み、
前記偏光板は、偏光子と、前記偏光子の上部及び下部それぞれに光硬化性接着剤を含む接着剤層と、保護基材とを順に含み、
前記第1の偏光部材を透過した光は、前記偏光板の保護基材に印加され、
前記点光源は、前記偏光板に対してブリュースター角(brewster angle)で光を印加する、偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【0062】
[付記2]
前記点光源が、前記第1の偏光部材側に偏光されていない光を放出する、付記1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【0063】
[付記3]
前記点光源から放出される光は、前記偏光板に対する入射角が45゜~75゜である、付記2に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【0064】
[付記4]
前記第1の偏光部材は、前記偏光板の偏光子に対して吸収軸が垂直である、付記1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【0065】
[付記5]
前記偏光板が、液晶表示装置用偏光板である、付記1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【0066】
[付記6]
前記偏光板に印加された光が、前記接着剤層で反射される、付記1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【0067】
[付記7]
前記光硬化性接着剤が、アクリル重合体を含む接着剤組成物を硬化した状態で含む、付記1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【0068】
[付記8]
前記接着剤層は、屈折率が1.45~1.50である、付記1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【0069】
[付記9]
前記偏光子は、屈折率が1.5超~1.6である、付記1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【0070】
[付記10]
前記偏光板から反射されて放出される光は、前記偏光板に対する反射角が45゜~75゜である、付記7に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【0071】
[付記11]
前記第2の偏光部材は、前記偏光板の偏光子に対して吸収軸が垂直である、付記1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置。
【0072】
[付記12]
付記1に記載の偏光板の接着剤ムラ検査装置を用いた偏光板の接着剤ムラ検査方法であって、
点光源から光を放出して第1の偏光部材、偏光板、第2の偏光部材を順に透過させるステップと、
前記第2の偏光部材を透過して前記検査員に印加される光に基づいて、前記偏光板の接着剤ムラを判断するステップと、を含む、偏光板の接着剤ムラ検査方法。
【0073】
[付記13]
前記偏光板に印加された光が反射される、付記12に記載の偏光板の接着剤ムラ検査方法。
【符号の説明】
【0074】
100 点光源
200 第1の偏光部材
300 偏光板
310 偏光子
321,322 接着剤層
331,332 保護基材
400 第2の偏光部材
500 検査員
【国際調査報告】