(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】医療用ガイドワイヤ又はカテーテルのための保管装置
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A61M25/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571918
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2020065608
(87)【国際公開番号】W WO2020245344
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521528322
【氏名又は名称】ロウメディック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】LOUMEDIC GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】カラ, レヴェント
(72)【発明者】
【氏名】デッラ モルテ, マリオ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA28
4C267BB40
4C267HH07
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの巻かれた医療用ガイドワイヤ又はカテーテルのための保管装置(1)に関する。プレート上側にてベースプレート(10)は、保管面を画定する。複数のガイド要素(11、12、13)がベースプレートからプレート上側に突出して存在し、前記ガイド要素は、ガイドワイヤ又はカテーテルのための第1、第2及び第3の接触面(21、22、23)を形成する。第1、第2及び第3の接触面は、保管面に垂直な断面内で突出している。これらは、巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルのための湾曲経路が生じるように配置され配向され、巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルは、経路(41)に沿って導かれると、第1、第2及び第3の接触面上に当接し、第1及び第3の接触面(21、23)は、経路の外側に配置され、第2の接触面(22)は内側に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの巻かれた医療用のガイドワイヤ又はカテーテル用の保管装置(1)であって、
プレート上側にて保管面を画定するベースプレート(10)と、
前記ベースプレートから前記プレート上側に突出する複数のガイド要素(11、12、13)であって、前記ガイドワイヤ又はカテーテルのための第1、第2及び第3の接触面(21、22、23)を形成する複数のガイド要素(11、12、13)と
を備え、
前記第1、第2及び第3の接触面が、前記保管面に垂直な区域内に突出部を形成する、保管装置において、
前記第1、第2及び第3の接触面が、前記巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルのための湾曲経路(41)が形成されるように配置され配向され、前記巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルが、前記経路(41)に沿って導かれるとき、前記第1、第2及び第3の接触面上に当接し、前記第1及び第3の接触面(21、23)が外側に配置され、前記第2の接触面(22)が前記経路の内側に配置されることを特徴とする、保管装置。
【請求項2】
前記ベースプレートの上側から突出する少なくとも3つのガイド要素を備え、
前記第1の接触面(21)が第1のガイド要素(11)によって形成され、前記第2の接触面(22)が第2のガイド要素(12)によって形成され、前記第3の接触面(23)が第3のガイド要素(13)によって形成され、
前記経路(41)が、内側にて前記第1のガイド要素(11)を越え、外側にて前記第2のガイド要素(12)を越え、内側にて前記第3のガイド要素を越えるように導かれる、請求項1に記載の保管装置。
【請求項3】
前記経路に沿って導かれた前記巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルが、前記第1、第2及び第3の接触面を点接触で支承する、請求項1又は2に記載の保管装置。
【請求項4】
前記保管面に平行な区域内の前記接触面が、凸状に湾曲している、請求項1~3のいずれか一項に記載の保管装置。
【請求項5】
はみ出し部(61)が、少なくとも前記第1及び第3の接触面の領域内に存在し、それにより、前記突出部と共に、前記巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルがその固有の剛性によって押し込まれる深みが形成され、前記はみ出し部(61)による前記深みが、前記プレート上側に対して垂直距離を置いて配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載の保管装置。
【請求項6】
第2の湾曲経路(42)に沿って導かれる第2の巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルのための第4、第5及び第6の接触面(24、25、26)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の保管装置。
【請求項7】
前記第3及び第4の接触面(23、24)が、共通のガイド要素(13)によって形成される、請求項6に記載の保管装置。
【請求項8】
前記共通のガイド要素(13)が経路方向に対して垂直に、1つだけの接触面を有するガイド要素(11、12、14、15)よりも大きい延長部を有する、請求項7に記載の保管装置。
【請求項9】
前記接触面が、前記第1及び第2の経路の主軸線(101)が互いにある角度をなすように配置され、前記角度が0°ではない、請求項6~8のいずれか一項に記載の保管装置。
【請求項10】
前記ベースプレートを作業台の作業面上に締結するために、前記ベースプレートの上側に対向して位置するベースプレートの下側に接着部分(71)を含む、請求項1~9いずれか一項に記載の保管装置。
【請求項11】
前記医療用のガイドワイヤ又はカテーテルの巻き部の長さを制限する側壁を有さない、請求項1~10のいずれか一項に記載の保管装置。
【請求項12】
少なくとも前記ベースプレートが透明である、請求項1~11のいずれか一項に記載の保管装置。
【請求項13】
固有の剛性によって引き起こされる弾性反力に抗して屈曲させることができる医療用のガイドワイヤ又はカテーテルを保管させるための請求項1~12のいずれか一項に記載の保管装置の使用であって、前記ガイドワイヤ又はカテーテルが、巻かれ、その後、前記固有の剛性により、第1、第2及び第3の接触面に当接し、前記第1及び第3の接触面(21、23)に対して外方向に、及び前記第2の接触面(22)に対して内方向に押しつけられるように保管される、保管装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ガイドワイヤ又はカテーテルのための保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用ガイドワイヤは、泌尿器科、介入放射線学、心臓病学、心臓手術、血管手術及び胃腸病学、並びにさらなる医療分野で使用されている。特に、それらは、導入される場合のカテーテルの案内及び安定化に役立つ。ガイドワイヤは、異なる剛性を有し、さらに非常に長く、例えば最大3mとすることができる。それぞれの医療手術の前及び間のそれらの保管及び信頼できる保存は、要求される柔軟性により課題となる。同じことが、同様に異なる長さ及び異なる剛性で提供されるカテーテルの保管及び保存にも当てはまる。
【0003】
従来、ガイドワイヤは、いくらかの生理食塩水で満たされた容器内に保管される。これは、ガイドワイヤの固有剛性の観点から完全に問題がないわけではなく、特に、2つ以上のガイドワイヤが必要であり容器内にある場合には不十分でもある。
【0004】
例えば、保持要素が設けられた容器であって、容器内に保管されたガイドワイヤがこれのために設けられた位置に規定の方法で保持される、容器が、米国特許出願公開第2021/0312703号明細書、米国特許第5,769,222号明細書及び国際公開第2008/139852号から知られている。容器は、液体を含むように設計されている。ガイドワイヤは、容器の基部に巻かれて保管される。ガイドワイヤの上方では、保持要素はフランジ状のビードを形成し、その下側は基部と平行に延び、ガイドワイヤがホルダから不用意に飛び出しできないようにする。
【0005】
このような容器からの、巻かれ丸められたガイドワイヤの保管及び取り外しは、両手による介入によって、ある程度の工夫をもってしか行うことができない。保管時に、巻き部ないしは丸め部のサイズは、容器の設計により非常に制限された方法で設定され、実際にガイドワイヤを繰り返し使用しても、時間的制約下で行われる手術の過程において問題にならない。
【0006】
米国特許第4,332,322号明細書は、滅菌可撓性チューブ用の折り畳み容器を示す。折り畳み容器は、折り畳むことができ、可撓性チューブのための受け部を形成し、したがってこれらを固定することができる構造を備える。
【0007】
米国特許出願公開第2017/0333668号明細書は、矯正装置を備えたカテーテルパッケージを示しており、カテーテルは取り外し時に矯正装置を通って引き抜かれる。
【0008】
特開2012-70905号公報は、とりわけ、8つの形状である8つの経路を有する手術用ワイヤのための保管装置を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、最新技術の欠点を解消し、特に簡単な取り扱いを可能とし、ガイドワイヤ又はカテーテルのうちの1つ又は複数の繰り返しの保管及び再度の取り外しに非常によく適している、医療用ガイドワイヤ又はカテーテル用の保管装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、医療用ガイドワイヤ又はカテーテル用の保管装置が提供される。この保管装置は、
保管面を画定するベースプレートと、
ベースプレートから突出する複数のガイド要素と
を備え、
ガイド要素は、保管面に垂直な区域内に突出部(オーバーハング;隆起部)を形成する第1、第2及び第3の接触面を形成し、
第1、第2及び第3の接触面は、第1、第2及び第3の接触面上に当接するガイドワイヤ又はカテーテルのための湾曲経路(接触面にほぼ平行)が生じるように配置され配向され、この湾曲経路は、第1及び第3の接触面が経路の外側に配置され、第2の接触面が経路の内側に配置されるように設計される。
【0011】
一般に、本明細書の文脈における経路は、その固有の剛性により最小曲率を求めるワイヤの巻き部、すなわちそれ自体が剛性であり、弛緩状態で直線であるワイヤのワイヤ巻き部によってとられる経路である。
【0012】
上述の3つの接触面を有する設計は、一連の利点を有する。医療用ガイドワイヤ及びカテーテルは、それらの固有の剛性のために、弾性対抗力によって屈曲に対抗する傾向がある。このため、外側にあるガイド手段によって制限された態様でガイドワイヤを巻いた状態で保管させることがそれ自体知られており、巻き部は、外側の制限により、ほぼ楕円形状をとる。この設計によれば、従来技術による対応する保管装置は、巻き部の必要なサイズを比較的正確に設定する。これは、手術中の多くの場合に時間が重要な条件を考慮すると、特に最初の使用後に再保管するには不利であり得る。さらに、従来技術からの保管装置は、比較的多くの空間を必要とする。最後に、保管したガイドワイヤ又はカテーテルの取り外しはまた、ガイドワイヤ又はカテーテルがどこかでもつれないように、又は地面に落ち、したがってもはや使用することができなくならないように注意しなければならないため、幾分困難である。これとは対照的に、本発明による設計は、非常に単純でフレキシブルである。巻かれたガイドワイヤの弾性により、これは可能な限り円形の構成になろうとし、これが、ガイドワイヤがその弾性により特定の巻き部の最小長さから、第1及び第3の接触面に対して外方向に、それと同時に第1の接触面に対して内方向に押される理由であり、これが安定して保持される理由である。巻き部の最小長さに達する限り、これは巻き部のサイズとは無関係に当てはまり、したがって完全に異なる巻き部の長さに対して機能し、巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルは、巻き部の長さ及び固有の剛性に応じて、ほぼ楕円形又は同様に洋梨形の経路をたどる。
【0013】
取り外しも特に簡単である。ガイドワイヤ巻き部(又はカテーテル巻き部)を第1及び第3の接触面から離れるように一緒に押しつけると、ガイドワイヤ又はカテーテルが第2の接触面からまっすぐに解放され(巻き部が狭くなり、これにより自動的に長くなる)、その結果、ガイドワイヤ又はカテーテルは、片手介入で、特定の状況下では片手でも取り外すことができる。
【0014】
経路の湾曲は、ほぼ単調とすることができる。特に、経路は、ほぼ楕円形とすることができる。ガイドワイヤ又はカテーテルの固有の剛性に起因して、ガイドワイヤ巻き部(又はカテーテル巻き部)を2つの点(これらがほぼ点状である場合には第1及び第3の接触面に対応する)で横方向に一緒に押しつけると、巻き部の長さに応じてほぼ楕円形の経路が自動的に生じる。内側に位置する第2の接触面は、楕円状のコースから一定のずれをもたらすことができる。経路の単調な湾曲は、巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルが、それぞれの外側接触面に当接する位置で局所的にわずかに内側に局所的に偏向され、したがって、いくらか平坦に湾曲しているか、又は経路湾曲とは反対に局所的に湾曲していることを排除しない。より長い巻き部では、経路はほぼ洋梨形のコースをとることもできる。正確に得られる形状は、経路上への屈曲によってガイドワイヤ又はカテーテルにもたらされるべき位置エネルギーが最小化される形状である。
【0015】
湾曲経路に沿った巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルの保管の場合、ガイドワイヤ又はカテーテルのこの固有の剛性は、可能な限り低い曲率を有する構成をとる傾向がある、すなわち固定された巻き部の長さの場合、円形構成をとる傾向がある巻きガイドワイヤ又はカテーテルによって利用される。本発明による保管装置では、これは、上述したように生じる固有の安定した構成によって利用され、この構成では、ガイドワイヤ又はカテーテルは、ガイドワイヤ巻き部又はカテーテル巻き部の正確な長さとは無関係に、第1及び第3の接触面に対して外方向に、及び第2の接触面に対して内方向に押される。
【0016】
接触面の位置では、通常、ガイドワイヤ又はカテーテルは、ガイドチャネル内の案内とは対照的に、保管装置によって片側のみ案内される。これは、保管面に沿ったガイドワイヤ又はカテーテルの移動を阻害する要素が、それぞれの接触面に対向して存在しないことを意味する。
【0017】
第1、第2及び第3の接触面は、特に、ベースプレートから突出する第1、第2及び第3のガイド要素によってそれぞれ形成することができる。その場合、その配置は、経路が、第1のガイド要素を内側にて越えるように、第2のガイド要素を外側にて越えるように、第3のガイド要素を内側にて越えるように導くものである。
【0018】
ガイド要素の配置は、保管装置の前側及び後側を画定する。第1及び第3のガイド要素並びにそれらによって形成される接触面は、前側に配置され、したがって第2のガイド要素は、後側に配置される。
【0019】
本発明の利点が最先端になるように、特に、互いに組み合わせることができる以下の任意選択の特徴が、有利であり得る。
【0020】
・経路が、外側で越えるように導かれる少なくとも第2のガイド要素(場合によっては、別の、例えば第4のガイド要素、以下を参照されたい)は、ベースプレートの縁部まで一定の距離を置いて配置され、すなわち、ベースプレートは、このガイド要素から、例えば他のガイド要素からも全方向に延びる。
【0021】
・ベースプレートは、少なくとも後側及び/又は前側に壁がない、すなわち縁に延びて終わる。前側の制限がないため、巻き部の長さに対する装置のフレキシビリティが、完全に補助される。後側の制限がないことにより、ループによるワイヤ又はカテーテルの配置及び取り外しが簡易化され、このループは、ワイヤ又はカテーテルをその固有の剛性に対してそのより小さい軸線に沿って一緒に押さえつけるだけで、延長部がそのより大きい軸き部に沿ってわずかに増大することによって形成される。
【0022】
・ガイド要素の距離は、大きすぎる変形なしに保管を可能にするのに十分な大きさである。隣合うガイド要素間の最小距離は、例えば、少なくとも1.5cm、又は少なくとも2cm、又は少なくとも3cm、又は少なくとも4cmである。加えて、又は代替として、距離は、それぞれのガイド要素の平均水平直径よりも、例えば少なくとも1.5倍又は少なくとも2倍大きくすることができる。
【0023】
・ガイド要素は、キノコ状にベースプレートから突出し、これに固定的に接続される要素として設計されている。キノコ状とは、細い幹から上方に向かって、すなわちベースプレートから離れる方向に厚くなることを意味する。
【0024】
・ガイドワイヤ又はカテーテルの接触面は、片面接触を形成し、すなわち、ガイド要素は、クランプなど用には設計されていない。対照的に、装置は、ガイドワイヤ又はカテーテルが接触面から水平方向に離れて移動するのを妨げるものがないように設計されている。各接触面の環境(水平方向に離れて接触面から垂直に離れる)では、ベースプレートには上方に突出する要素がないため、以下でより詳細に扱う方法では、巻き部の積層及び指定された取り外しは、阻害されない。
【0025】
概して、保管装置は、特に、本質的に剛性であり、ベースプレートと、そこから垂直に上方に突出するか、又はキノコ状に設計された複数(例えば、少なくとも3つ)のガイド要素とを形成する物体として設計され、ベースプレートは、筐体を含まない。保管装置が本質的に剛性である物体であるという事実はまた、ローラなどの移動要素がないことを意味する。
【0026】
特に、保管装置は、ベースプレート及びガイド要素、並びに場合によってはベースプレート上の下側の存在する締結装置(接着剤など)からなることができ、すなわちさらなる要素を有さなくてもよい。保管装置は、一体品として、例えばプラスチック部材として、例えば射出成形部材として設計することができる。
【0027】
ガイド要素の数は、例えば、少なくとも3つ又は少なくとも5つ、例えば正確に5つである。第1及び第3の接触面を、経路の周りを部分的に延びる共通の外側ガイド要素によって形成することがそれ自体可能である。しかし、互いに別個の専用の外側の第1及び第3のガイド要素を有する設計が、特に有利である。第1に、これは、特に材料を節約し、接触面ごとに、ガイドワイヤ巻き部又はカテーテル巻き部の本質的に点接触のような支承で十分である、すなわち、拡張接触面を必要とせず、巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルがいずれの場合も1つの点でのみ接触面に接触するという事実を考慮する。第2に、医療用ガイドワイヤ又はカテーテルの保管及び取り外しは、接触面を除いて、保管面に沿ったガイドワイヤ又はカテーテルの移動が可能な限り阻害されずに可能である場合、特に簡単である。
【0028】
同様の理由で、保管面に平行な断面における接触面が凸状に湾曲している場合に有利となり得、これは、第1及び第2の接触面に関して、接触面が経路の曲率とは反対に湾曲していることを意味する。
【0029】
特に有利には、ガイド要素は、キノコ状にベースプレートから突出する要素として設計されている。
【0030】
突出部(すなわち、保管面に垂直な方向に対してアンダーカットされている)のために、例えばフィレット状の深みが各接触面に形成され、この深み内に、巻かれたガイドワイヤ又はカテーテルが、その固有の剛性により押し込まれる。諸実施形態では、少なくとも前側接触面(第1及び第3の接触面)では、この深みは、プレートの上側に対して垂直距離を置いて配置され、すなわち、ガイドワイヤ又はカテーテルはプレート平面の上方に導かれ、下方から簡単に把持することができる。例えば前側ガイド要素の場合のプレート上側までの深みの距離は、少なくとも約0.6cm又は少なくとも約0.1cmとすることができる。この目的のために、それぞれのガイド要素は、底部まで延びて終わる部分を含むことができる。
【0031】
保管面に垂直な断面において、ガイド要素は、特に凹状に湾曲することができ、その結果、上述のフィレットが形成され、ガイドワイヤ又はカテーテルは、規定の垂直位置を得る。
【0032】
特に、保管装置は、2つ以上のガイドワイヤ又はカテーテルを局所的に別個に保管するように設計することもできる(これは、それぞれの場合にガイドワイヤ及びカテーテルを保管する可能性を含む)。この目的のために、装置は、第4、第5及び第6の接触面を形成することができる。
【0033】
ここで、第3及び第4の接触面は、共通のガイド要素によって形成することができる。経路方向に対して垂直なそのような共通のガイド要素は、ただ1つの接触面を有するガイド要素よりも大きな延長部を有することができる。すべての場合において、接触面の距離は、隣接して保管されたワイヤ又はカテーテルの経路が重ならないように選択することができる。これに関連して、隣接する経路の主軸線が互いに角度を形成することも有利であり得、その結果、それらは、互いに後方に離れ、したがって接触面から離れる。
【0034】
ガイドワイヤ又はカテーテルのうちの1つの取り外し時の、場合によっては垂直方向にも隣接して保管されたガイドワイヤ又はカテーテルの経路の規定された位置は、ガイドワイヤ又はカテーテルのうちの1つの取り外し時に、隣接して保管されたガイドワイヤ又はカテーテルが誤って締結具から持ち上げられるのを防止するのに役立つ。
【0035】
諸実施形態では、保管装置は、プレート下側に接着部分を含む。これにより、作業台の表面(作業面)に保管装置を固定することができる。これは、遡及的に非常に単純に見えるが、さらなる設計上の利点を伴うことを意味する。これは、ガイドワイヤ又はカテーテルの完全な巻き部をベースプレート上に保管する必要がない可能性を可能にする。対照的に、ガイドワイヤ又はカテーテルは、作業台の作業面上に延びることができる。このため、保管装置全体を、その機能性を損なうことなく非常に小さくコンパクトに設計することができる。
【0036】
特に従来技術の装置とは対照的に、すでに上で示したように、保管装置は、周囲側壁を有する容器状ではないように設計することができる。対照的に、実施形態における保管装置は、特に、前方、すなわち第2の接触面を形成するガイド要素から離れる側に開口することができ、その結果、巻き部の長さは制限されない。
【0037】
諸実施形態では、ベースプレートは概して、円弧を形成し、すなわち保管面内で湾曲し、具体的には、上述したように、経路の軸線が互いに角度をなし、互いから後方に、接触面からこのように離れるように延びるように湾曲する。
【0038】
保管装置は、少なくともベースプレートの領域内で、例えば全体的に透明とすることができる。
【0039】
上述の設計可能性において本明細書に記載される保管装置とは別に、本発明はまた、医療用ガイドワイヤ又はカテーテルの保管のためのその使用に関する。これは、医療手術用に特に認可されており、医療手術用に認可された材料、例えばステンレス鋼(裸又は例えばPTFEでコーティングされている)又はニチノール(裸又は例えばPTFEでコーティングされている)で製造されている。保管は、ガイドワイヤ又はカテーテルを、巻き部の内側に第2の接触面を形成するガイド要素を用いて、第1の接触面と第3の接触面との間にガイドワイヤ又はカテーテルを挿入できるまで巻き部をわずかに横方向に一緒に押さえつけて巻き、固有の安定した構成になるようにすることによって指定された通りに行われ、この安定した構成では、巻き部はその固有の剛性により、第1及び第3の接触面に外方向に押しつけられ、第2の接触面に内方向に押しつけられる。したがって、第4、第5及び第6の接触面を有する実施形態では、第2の巻き部にも同じことが当てはまり、巻き部のわずかな横方向の押さえつけによって、カテーテルを、巻き部の内側に第5の接触面を形成するガイド要素を用いて第4の接触面と第6の接触面との間に導入し、本質的に安定した構成になるようにすることができ、この構成では、巻き部はその固有の剛性により、第4及び第6の接触面に外方向に押しつけられ、第5の接触面に内方向に押しつけられる。
【0040】
指定された使用を確実にするために、保管装置は、保管装置とは別に、上述の指定された保管、特に第1、第2及び第3の接触面(及び場合によっては第4、第5及び第6の接触面)に対する巻き部の配置が教示される、例えば紙形態又は電子的な情報も含むセットで提供することができる。
【0041】
指定された使用はまた、第2の保管装置又は例えば第3の保管装置も追加する可能性、したがって、例えば互いに隣接して、1つの同じ作業面(作業台など)上にいくつかの保管装置を使用する可能性を含む。
【0042】
本発明の実施形態を図面によってより詳細に説明する。図面において、同じ参照番号は、同じ又は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】可能な第1及び第2の経路が描かれた、
図1の保管装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
実施形態の例についての以下の説明において、医療用ガイドワイヤの保管のための使用方法を示す。しかしながら、描かれ説明された保管装置は、カテーテルの保管(場合によってはガイドワイヤの保管と組み合わせて)又はいくつかのカテーテルの保管にも使用することができる。
【0045】
図1は、本発明による保管装置1の図を示す。これは、上側に、1つ又は複数のガイドワイヤのための保管面を画定するベースプレート10を備える。合計で5つの突起がベースプレートから突出して形成され、前記突起は、第1、第2、第3、第4及び第5のガイド要素11、12、13、14及び15を形成する。ガイド要素11~15はそれぞれ、少なくとも接触面の領域内に突出部を形成し、したがって接触面に当接するワイヤの上への摺動を防止するように設計される。
【0046】
概して、保管装置は、キノコ状にプレートから突出するばらばらの数のガイド要素を有するプレートとして製造される。これは、周壁を有さず、すなわち筐体を有さない。
【0047】
ガイド要素の配置構成は、前側及び後側を定めており、第1、第3及び第5のガイド要素11、13、15は前側に配置され、第2及び第4のガイド要素は、これに対して後側に配置される。ガイド要素は、縁部61、62、63、64に対してある距離を置いて配置され、特に、後縁部62に対する第2及び第4のガイド要素12、14の距離は、重要である。同様に重要なことは、少なくとも前方又は後方に壁が存在しないため、巻き部を容易に保管して再び取り外すことができるという事実である。
【0048】
ガイド要素は、ベースプレートに固定して強固に接続されているので、保管装置は常に安定しており、時間的制約下及び場合によっては面倒な動きの下で作業してもずれない。概して、保管装置は、特に、例えばプラスチックなどのモノリシック物体として、例えば射出成形部材として製造される。
【0049】
隣合うガイド要素間の距離d(例として
図1では、第3のガイド要素と第4のガイド要素との間の距離が描かれている)は、以下でより詳細に説明する保管が可能であるように選択される。これは、典型的には数センチメートル、特に少なくとも2cmである。
【0050】
図2は、第1の経路41及び第2の経路42を示す、これらの経路は、保管装置によって画定され、それに沿って、巻かれたガイドワイヤを保管させることができる。そのようなガイドワイヤの巻き部は、それぞれの経路41、42にほぼ沿って延び、2つのガイドワイヤ端部片45も、
図2に示されている。経路41、42の正確な経路は、巻き部のサイズに依存する。2つの経路41、42の異なる寸法によって
図2に示されるように、巻き部は、異なる大きさとすることができる。本発明による手法により、巻き部は、かなりのサイズ領域内で安定した態様で保持される。巻かれたガイドワイヤの弾性により、これは可能な限り円形の構成になろうとし、これが、ガイドワイヤが、特定の巻き部の最小長さから、そしてその弾性により、第1及び第3のガイド要素11、13(二重矢印50を参照)に対して又は第3及び第5のガイド要素13、15に対して外方向に、並びに第2(二重矢印51)又は第4のガイド要素12、14に対して内方向に押しつけられ、したがって、安定した態様で経路に沿ったコース上に押し付けられる理由である。
【0051】
ここでは幾分長い第1の経路41は、
図2ではわずかに洋梨形で表されており、幾分短い第2の経路42は、ほぼ楕円形である。両方の場合、(これは通常本発明の異なる実施形態にも当てはまるが)第2のガイド要素12及び第4のガイド要素14は、第1及び第3の接触面21、23上の接触点間、及び第4及び第6の接触面24、26それぞれ上の接触点間のほぼ中間垂直平面内に配置することができ、したがって経路は、この中間垂直平面に対してほぼ対称に延びることができる。この対称性はまた、2つの経路41の軸線101を画定する。
【0052】
したがって、
図1を参照すると、接触面が形成され、これらは、第1の経路41が、内側(第1の接触面21)にて第1のガイド要素を越え、外側(第2の接触面22)にて第2のガイド要素を越え、内側(第3の接触面23)にて第3のガイド要素を越えて導かれるように、配置される。同様に、第2の経路42の接触面の配置は、第2の経路42が、内側(第4の接触面24)にて第3のガイド要素13を越え、外側(第5の接触面25)にて第4のガイド要素14を越え、ここでも内側(第6の接触面26)にて第5のガイド要素15が越える、というようなものである。逆に考えると、第1、第3及び第5のガイド要素は、それぞれの巻き部の外側が当接するように、保管面にほぼ平行に延びる経路の外側にそれぞれ配置され(内側及び外側は経路の湾曲によって画定される)、第2及び第4のガイド要素は、それぞれの巻き部の内側が当接するように内側に配置される。
【0053】
水平方向の接触面上に接続すると、装置は、ベースプレートから上方に突出する要素を有さず、それにより、接触面は、片面接触を形成するようになる。装置は、ガイドワイヤ又はカテーテルが接触面から水平方向に離れるように屈曲するのを妨げるものがないように設計されている。
【0054】
装置が、各接触面において(接触面から水平方向に垂直に離れて)ベースプレートから上方に突出する要素を有さないということは、
図1において、例として、ブロック矢印66によって第1の接触面において表されている。接触面から離れた水平方向の自由空間(可能性のある障害物の距離)(例えばブロック矢印66による)は、本明細書では、巻き部の厚さに対して大きく、すなわち予想される巻き部の厚さの倍数でなければならない。例えば、少なくとも1cm、少なくとも2cm、又は少なくとも3cmでなければならない。表された実施形態の例では、接触面から離れて垂直方向に障害物が全く配置されていないため、これに限定されない。
【0055】
この構成は、以下の利点を有する。第1に、述べたように、異なる大きさの巻き部を、互いに又は他の何かに当接することなく、安定した方法で保管することができる。第2に、医療用ガイドワイヤの取り外しが、特に簡単である。ループを把持し、その固有の剛性に反してそのより小さい軸線(
図2の参照符号47)に沿ってわずかに一緒に押さえ、次いで持ち上げるだけでよい。両側からよりより小さい軸線に沿って一緒に押さえることにより、3つの接触面のすべてからループが解放され、このために、接触面が説明した意味では片面接触面であり、例えばクランプ保持ではないという事実が、重要である。ガイドワイヤの取り外しはまた、片側のみから一緒に押さえ、その後持ち上げることによって最も簡単な方法で巧くいく。
【0056】
図3は、
図1及び
図2の保管装置の側面図である。ガイドワイヤの把持は、前部ガイド要素によって簡易化することができ、したがって、第1のガイド要素11及び第3のガイド要素13、並びに場合によっては第5のガイド要素15は、下側に、すなわちベースプレート10に向かってはみ出し部61を備え、その結果、突出部分62aと共に、ガイドワイヤ巻き部44のためのフィレット(fillet)として設計された深みが、形成され、前記フィレットは、ベースプレート10に対して垂直距離を置いて位置する。このため、前側のガイドワイヤを下方で特に良好に把持することができ、操作性が大幅に簡易化される。
【0057】
さらに、接着部分71が、
図3のベースプレートの下側に概略的に描かれている。これらは、作業台上への保管装置の非常に簡単な締結を可能にする。保管装置は、有利には、その前面にガイドワイヤ巻き部のための十分な保管面が依然として存在するように配置構成される。保管装置はまた、適切な液体を含む平坦な容器内に配置することもできる。
【0058】
さらなる任意選択の特徴は、ベースプレート10が概して、これによって画定される平面内で湾曲していることであり、これは
図4に示されている。
図4は、湾曲した軸線100を有するベースプレートを示す。湾曲は、経路の主軸線100が互いに角度106であり、前記角度は0°とは異なり、具体的には、軸線が(それぞれの経路に対して内側にあるガイド要素に対応する)端側ガイド要素12、14に向かって収束するようなものである。主軸線の方向は、装置によって画定されない巻き部のサイズとは本質的に無関係であり、前側ガイド要素11、13、15のうちの接触面21、23;24、26間の中間垂線によって画定され、前記中間垂線は、それと同時に、それぞれの端側ガイド要素の接触面22、25を通っている。隣合う経路の軸線間の角度106は、例えば10°~120°の間又は20°~120°の間であり、最大180°であることもできる(すなわち、保管装置は、そのとき、互いに対向して位置する正確に2つの保管位置を画定する)。
【0059】
経路の軸線が互いに角度を形成するようなガイド要素の配置のこの概念は、描かれた2つの保管位置(2つの経路)がこれより多く画定される場合、中間点の周りに配置された複数の保管位置を含む、円形又は環を形成する装置にも使用することができる。
【0060】
経路の軸線が角度を形成するような配置の概念は、コンパクトな装置及びコンパクトな配置にもかかわらず、隣合うガイドワイヤ巻き部がきれいにかつ十分な距離で互いに分離されることに寄与する。
【0061】
上述した特徴と組み合わせて、又はそれとは独立して、及び互いに組み合わせて、又は互いに独立して実現することができる保管装置のさらなる任意選択の特徴は、以下を含む。
【0062】
・ガイド要素が、ビーカのように設計されている、すなわち、内側が中空である(キャビティ31、
図1参照)である。特に、この特徴は、材料及び軽量設計に寄与する。
【0063】
・単一の保管位置にのみ割り当てられたガイド要素11、12、14、15は、保管面に垂直な軸線の周りでほぼ回転対称であり、すなわち丸い輪郭を有する。これもまた、コンパクトな構築方法に寄与する。
【0064】
・中間ガイド要素13は、2つの隣接する保管位置の停止面23、24を形成し、したがって、2つの隣接する保管位置のための共通のガイド要素として機能する。この任意選択の特徴(ガイド要素は保管位置ごとに存在することもできる)は、特に単純でコンパクトな設計に寄与する。図示されているように、そのような共通のガイド要素は、1つだけの保管位置に割り当てられたガイド要素よりも広い、すなわち経路の方向に垂直な延長部が大きいことを任意選択的に想定することができる。
【0065】
・ベースプレート10及び例えば装置全体を透明にすることができる。これは、例えば、上側を損なうことなく、ベースプレートの下側への刻印などの取り付けを可能にする。
【国際調査報告】