(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】改善された安定性を有する設計されたアンキリン反復ドメイン
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20220728BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20220728BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20220728BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220728BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220728BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20220728BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20220728BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C07K14/00 ZNA
A61K38/16
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K47/42
A61K47/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571939
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2020065314
(87)【国際公開番号】W WO2020245171
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515146556
【氏名又は名称】モレキュラー パートナーズ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シリング, ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ワルサー, マルセル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C076FF65
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA21
4C084NA03
4C084NA12
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C084ZC752
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045EA24
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメイン、特に改善された安定性を有するそのような設計されたアンキリン反復ドメインに関する。本発明は更に、そのような設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質、そのような設計されたアンキリン反復ドメイン又はタンパク質をコードする核酸、そのようなタンパク質を含む医薬組成物、及び疾患の治療におけるそのようなタンパク質又は医薬組成物の使用に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインであって、前記設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は前記設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さず、前記設計されたアンキリン反復ドメインが、任意にそのN末端に、G、S、又はGSを更に含み、任意に、最後から2番目の位置のAが、Lで置換されており、かつ/又は最後の位置のAが、Nで置換されている、設計されたアンキリン反復ドメイン。
【請求項2】
前記設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さない、請求項1に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン。
【請求項3】
前記設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さない、請求項1又は2に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン。
【請求項4】
前記設計されたアンキリン反復ドメインが、アミノ酸配列KDFAGKTPLHLAAX
1X
2G(配列番号13)を含み、式中、X
1が、A、D及びIからなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、X
2が、A及びDからなる群から選択されるアミノ酸残基を表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン。
【請求項5】
前記設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3~6からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン。
【請求項6】
前記設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は配列番号4を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン。
【請求項7】
前記設計されたアンキリン反復ドメインが、100nM以下の解離定数(K
D)で、PBS中でヒト血清アルブミンに結合する、請求項1~6のいずれか一項に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン。
【請求項8】
前記設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号2からなる前記設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、改善された安定性を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン。
【請求項9】
前記設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号2からなる前記設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示し、前記SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、請求項1~8のいずれか一項に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン。
【請求項10】
前記設計されたアンキリン反復ドメインが、(i)配列番号2からなる前記設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示し、前記SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施され、かつ/又は(ii)配列番号2からなる前記設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示し、前記サイズ排除クロマトグラフィーが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン。
【請求項11】
前記設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号2からなる前記設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示し、前記LabChip分析が、pH6.0又は7.4で60℃にて100マイクロモルでインキュベートした後に実施される、請求項1~10のいずれか一項に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン。
【請求項12】
1つ又は2つの、請求項1~11のいずれか一項に記載の設計されたアンキリン反復ドメインを含む、組換え結合タンパク質。
【請求項13】
前記組換え結合タンパク質が、血清アルブミンに対する結合特異性を有する前記設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインで置換されていることを除いて、同一のアミノ酸配列を有する組換え結合タンパク質と比べて、改善された安定性を有する、請求項12に記載の組換え結合タンパク質。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン又は組換え結合タンパク質をコードする、核酸。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の設計されたアンキリン反復ドメイン若しくは組換え結合タンパク質、又は請求項14に記載の核酸、並びに任意に、薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、欧州特許庁に2019年6月4日出願の欧州特許出願公開第19178282号の利益及び優先権を主張する。欧州特許出願第19178282号の内容は、全ての表、図、及び特許請求の範囲を含む、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野
本発明は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメイン、特に改善された安定性を有するそのような設計されたアンキリン反復ドメインに関する。本発明は更に、そのような設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質、そのような設計されたアンキリン反復ドメイン又はタンパク質をコードする核酸、そのようなタンパク質を含む医薬組成物、及び疾患の治療におけるそのようなタンパク質又は医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
活性成分が典型的にはタンパク質及び/又はポリペプチドである生物学的製剤の場合、分子立体配座の維持、したがって生物学的活性の維持は、非共有結合力並びに共有結合力に依存する。これらの製品は、温度変化、酸化、光、イオン含有量、及び剪断などの環境要因に特に敏感である。生物学的活性の維持を確実にするために、そのような製剤の活性成分は、製造、輸送、及び貯蔵中に曝露される条件に耐えることが重要である。分解及び他の形態の分子変化を可能な限り回避する必要がある。したがって、安定した活性成分の開発は、市販製品の開発の成功に重要である。
【0004】
血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインが記載されており、それらは、延長された終末相半減期を有する組換え結合タンパク質の作製のために特に有用である(例えば、国際公開第2012/069654号を参照されたい)。血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含まないタンパク質と比較して、血漿中のそのような半減期の増加は、治療用途に非常に有益である。例えば、国際公開第2016/156596号は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む治療的に有用なアンキリン反復タンパク質を記載している。
【0005】
血清アルブミンに対する結合特異性を有するそのような設計されたアンキリン反復ドメインの開発にもかかわらず、一般に今日の医薬品及び特に血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインの安定性特性、特に貯蔵安定性特性を改善するための必要性及び課題が依然として存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインが、更に改善された安定性特性、特に改善された貯蔵安定性特性を提供することを見出した。したがって、本発明者らは、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインが、液体製剤における貯蔵安定性の改善だけでなく、そのような液体製剤中の高温、例えば60℃での熱処理中に有益な安定性特性をもたらすことを見出した。後者は特に、そのような設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質の精製を可能にするのに有益である。更に、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインは、高温でのpHシフト中に改善された安定性を示し、これは、そのような設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質を精製する場合にも非常に有益である。本発明の設計されたアンキリン反復ドメインの安定性の改善は、特に、高温及びSDS PAGE分析でのインキュベーション後に、分解生成物であると想定されるより少ない程度の特定されたより低い分子量種によって明らかである。ひいては、先行技術の生成物と比べて、より高い分子量種の増量、したがって、より少ない量の想定される分解生成物が、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質をより低いpHで保存した後のサイズ排除クロマトグラフィーによって特定された。より低いpHでの組換え結合タンパク質の貯蔵は、多くの場合、望ましくない低分子量種の発生をもたらし得る。加えて、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインの安定性の改善は、血清アルブミンに対するそれらの結合特異性を低下させないことに留意されたい。
【0007】
したがって、一態様では、本発明は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを提供し、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さない。別の態様では、本発明は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインに関し、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号13のアミノ酸配列を含む。
【0008】
更なる態様では、本発明は、本発明の少なくとも1つ、典型的には、かつ好ましくは1つ又は2つの設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメイン又は組換え結合タンパク質をコードする核酸を提供する。
【0010】
更なる態様では、本発明は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメイン、本発明の組換え結合タンパク質、又は本発明の核酸、並びに任意に薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明の更なる態様及び実施形態は、発明を実施するための形態において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインの配列アライメント。配列番号3及び4は、血清アルブミンに対する結合特異性を有し、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比較して改善された安定性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを表す。残基番号は、上記配列に示されている。
【
図2】配列番号2の配列モチーフにアライメントされた、血清アルブミンに対する結合特異性を有する異なる設計されたアンキリン反復ドメインの残基番号77~79での配列モチーフ。それぞれのタンパク質の配列番号は、アライメントの左側に示されている。
【
図3】血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインの安定性を比較するSDS-PAGE。タンパク質#2、#3、及び#4(それぞれ、配列番号2、3、及び4からなり、更にN末端に配列番号1を有する)を、実施例2に記載されるように生成し、続いて、実施例3に記載されるように、pH7.4、pH6、及びpH5で60℃(参照試料については-80℃)にて1週間インキュベートし、続いて、実施例4に記載されるように、SDS-PAGEを使用して貯蔵安定性評価を行った。3つのSDS PAGEの写真は、それぞれのゲルの上に示されるように、pH7.4、pH6、及びpH5での測定値を表す。タンパク質は、それらの配列番号によって示される。O:-80℃インキュベートした参照試料。I:60℃インキュベートした試料。Mw:左側に示されたkDa値を有する分子量マーカー。
【
図4】血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインの安定性のLabChip分析。タンパク質#2、#3、#4、#5、及び#6(それぞれ、配列番号2~6からなり、更に全てがN末端に配列番号1を有する)を、実施例2に記載されるように生成し、続いて、実施例3に記載されるように、pH6、pH7.4、及びpH8.5で60℃にて1週間インキュベートし、続いて、実施例5に記載されるように、LabChipを使用して貯蔵安定性評価を行った。LabChipデータは、3つの異なるpH値の3つの群で表示されている。分子量マーカーレベルは、各群の左右に(kDaで)示されている。
【
図5a】血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのサイズ排除クロマトグラフィー。タンパク質#2、#3、及び#4(それぞれ、配列番号2、3、及び4からなり、更にN末端に配列番号1を有する)を、実施例2に記載されるように生成し、続いて、実施例3に記載されるように、pH7.4、pH6、及びpH5で60℃(参照試料については-80℃)にて1週間インキュベートし、続いて、実施例6に記載されるように、サイズ排除クロマトグラフィー分析を使用して貯蔵安定性評価を行った。60℃及び-80℃にて各タンパク質について得られたクロマトグラムのオーバーレイは、
図5aにpH7.4について示されている。空隙容量は2.18分で溶出し、総体積は5.28分である。OD:280nmにおける光学密度(360nmにおける光学密度で参照)[mAu]、t:時間[分]。
【
図5b】血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのサイズ排除クロマトグラフィー。タンパク質#2、#3、及び#4(それぞれ、配列番号2、3、及び4からなり、更にN末端に配列番号1を有する)を、実施例2に記載されるように生成し、続いて、実施例3に記載されるように、pH7.4、pH6、及びpH5で60℃(参照試料については-80℃)にて1週間インキュベートし、続いて、実施例6に記載されるように、サイズ排除クロマトグラフィー分析を使用して貯蔵安定性評価を行った。60℃及び-80℃にて各タンパク質について得られたクロマトグラムのオーバーレイは、
図5bではpH6について示されている。空隙容量は2.18分で溶出し、総体積は5.28分である。OD:280nmにおける光学密度(360nmにおける光学密度で参照)[mAu]、t:時間[分]。
【
図5c】血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのサイズ排除クロマトグラフィー。タンパク質#2、#3、及び#4(それぞれ、配列番号2、3、及び4からなり、更にN末端に配列番号1を有する)を、実施例2に記載されるように生成し、続いて、実施例3に記載されるように、pH7.4、pH6、及びpH5で60℃(参照試料については-80℃)にて1週間インキュベートし、続いて、実施例6に記載されるように、サイズ排除クロマトグラフィー分析を使用して貯蔵安定性評価を行った。60℃及び-80℃にて各タンパク質について得られたクロマトグラムのオーバーレイは、
図5cではpH5について示されている。空隙容量は2.18分で溶出し、総体積は5.28分である。OD:280nmにおける光学密度(360nmにおける光学密度で参照)[mAu]、t:時間[分]。
【
図6a】1mg/kgで静脈内で与えられた血清アルブミンに対する結合特異性を有する、設計されたアンキリン反復ドメインのマウスの薬物動態プロファイル。タンパク質#2、#3、及び#4(それぞれ、配列番号2~4からなり、すべて更にN末端に配列番号1を有し、図に示される記号)を実施例2に記載されるように生成し、マウスの薬物動態プロファイルを実施例9に記載されるように決定した。3匹のマウス又は2匹のサルからの、それぞれの標準偏差を含む平均タンパク質濃度が示されている。C:濃度[nM]、t:時間[時]。
【
図6b】1mg/kgで静脈内で与えられた血清アルブミンに対する結合特異性を有する、設計されたアンキリン反復ドメインのカニクイザルの薬物動態プロファイル。タンパク質#2、#3、及び#4(それぞれ、配列番号2~4からなり、すべて更にN末端に配列番号1を有し、図に示される記号)を実施例2に記載されるように生成し、マウスの薬物動態プロファイルをカニクイザルの薬物動態プロファイルを実施例10に記載されるように決定した。2匹のサルからの、それぞれの標準偏差を含む平均タンパク質濃度が示されている。C:濃度[nM]、t:時間[時]。
【
図7a】1mg/kgで静脈内で与えられた血清アルブミンに対する結合特異性を有する、設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質のマウスにおける薬物動態プロファイル。タンパク質#7、#9、及び#11(それぞれ、配列番号7~12からなり、すべて更にN末端に配列番号1を有し、図に示される記号)を実施例2に記載されるように生成し、マウスの薬物動態プロファイルを実施例11に記載されるように決定した。3匹のマウスからの、標準偏差を含む平均タンパク質濃度が示されている。比較を容易にするために、タンパク質#7、#9、及び#11は、グラフで表示される。C:濃度[nM]、t:時間[時]。
【
図7b】1mg/kgで静脈内で与えられた血清アルブミンに対する結合特異性を有する、設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質のマウスにおける薬物動態プロファイル。タンパク質#8、#10、及び#12(それぞれ、配列番号7~12からなり、すべて更にN末端に配列番号1を有し、図に示される記号)を実施例2に記載されるように生成し、マウスの薬物動態プロファイルを実施例11に記載されるように決定した。3匹のマウスからの、標準偏差を含む平均タンパク質濃度が示されている。比較を容易にするために、タンパク質#8、#10、及び#12は、グラフで表示される。C:濃度[nM]、t:時間[時]。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメイン、そのような設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質、及びそのような設計されたアンキリン反復ドメイン及び組換え結合タンパク質をコードする更なる核酸、並びに設計されたアンキリン反復ドメイン、結合タンパク質又は核酸を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、疾患の治療におけるそのような組換え結合タンパク質又は医薬組成物の使用を提供する。
【0014】
したがって、一態様では、本発明は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを提供し、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さない。
【0015】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さない。
【0016】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さない。したがって、一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも93%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列を含む。
【0017】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さない。したがって、一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも93%、また更に好ましくは少なくとも95%、及びなお更に好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さない。
【0018】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にセリン(S)を有さない。したがって、一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも93%、また更に好ましくは少なくとも95%、及びなお更に好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にセリン(S)を有さない。
【0019】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置77に対応する位置でアスパラギン(N)を有さず、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置78に対応する位置でグルタミン酸(E)を有さない。したがって、一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも93%、また更に好ましくは少なくとも95%、及びなお更に好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さない。
【0020】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、アミノ酸配列KDFAGKTPLHLAAX1X2G(配列番号13)を含み、式中、X1は、A、D及びIからなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、X2は、A及びDからなる群から選択されるアミノ酸残基を表す。好ましくは、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも93%、また更に好ましくは少なくとも95%、及びなお更に好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0021】
一実施形態では、X1及びX2のうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸(D)である。一実施形態では、X1及びX2のうちの少なくとも1つは、アラニン(A)である。一実施形態では、X1及びX2のうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸(D)であり、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも93%、また更に好ましくは少なくとも95%、及びなお更に好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、X1及びX2のうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸(D)であり、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4とは、最大で9、8、7、6、5、4、3、2又は1つのアミノ酸が異なる。
【0022】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、アミノ酸配列KDFAGKTPLHLAAX1X2G(配列番号13)を含み、式中、X1とX2は、それぞれ独立して、A及びDからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、好ましくは、X1とX2とは、等しくない。好ましくは、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも93%、また更に好ましくは少なくとも95%、及びなお更に好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0023】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3~6からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0024】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、アミノ酸配列KDFAGKTPLHLAAADG(配列番号14)又はKDFAGKTPLHLAADAG(配列番号15)を含む。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、アミノ酸配列KDFAGKTPLHLAAADG(配列番号14)を含む。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、アミノ酸配列KDFAGKTPLHLAADAG(配列番号15)を含む。好ましくは、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも93%、また更に好ましくは少なくとも95%、及びなお更に好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0025】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3~6からなる群から選択される、又は好ましくは配列番号3及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号3~6、好ましくは配列番号3及び配列番号4の最大12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸が、他のアミノ酸で置換されている。アミノ酸のそのような置換は、好ましくは、それらが、設計されたアンキリン反復ドメインの機能、好ましくは、血清アルブミンへの特異的結合に有意に影響を及ぼさないようなものである。そのようなアミノ酸置換は、例えば、国際公開第2012/069655号に記載されるように、反復ドメインをキャッピングするためのものなどの、設計されたアンキリン反復ドメインにおけるアミノ酸置換を含み得る。アミノ酸を置換する場合、任意の他のアミノ酸を置換アミノ酸と見なすことができる。好ましくは、そのような他のアミノ酸は、A、D、E、F、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、V、W、又はYからなる群から選択される。好ましくは、そのような他のアミノ酸は、C、G、又はPではない。いくつかの実施形態では、置換は、配列番号3~6からなる群から選択される、又は好ましくは配列番号3及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む設計されたアンキリン反復ドメインのKD値と比べて、ヒト血清アルブミンへの結合のKD値を、1000倍を超えて、100倍を超えて、又は10倍を超えて変化させない。ある特定の実施形態では、置換は、表Xによる保存的置換である。ある特定の実施形態では、置換は、アンキリン反復ドメインの構造的コア残基の外側、例えば、アルファ-ヘリックスに連結するベータループ内で行われる。ある特定の実施形態では、置換は、アンキリン反復ドメインの構造的コア残基内で行われる。
【0026】
【0027】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、(1)配列番号3、及び(2)配列番号3からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号3の位置1~76及び79~124から選択されるいずれかの位置における配列番号3の最大12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸が、他のアミノ酸によって交換されている。
【0028】
一実施形態では、本発明は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインに関し、設計されたアンキリン反復ドメインは、(1)配列番号4、及び(1)配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号4の位置1~76及び79~124から選択されるいずれかの位置における配列番号4の最大12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸が、他のアミノ酸によって交換されている。
【0029】
上記の本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのすべてにおいて、最後から2番目の位置は「A」又は「L」であり得、かつ/又は最後の位置は「A」又は「N」であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さず、任意に、最後から2番目の位置のAが、Lで置換されており、かつ/又は最後の位置のAが、Nで置換されている。したがって、例示的な一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号の3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さず、任意に、最後から2番目の位置のAが、Lで置換されており、かつ/又は最後の位置のAが、Nで置換されている。別の例示的な実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号の3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さず、任意に、最後から2番目の位置のAが、Lで置換されており、かつ/又は最後の位置のAが、Nで置換されている。
【0030】
加えて、上記の本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのすべては、任意に、「G」、「S」、又は「GS」配列をそのN末端に更に含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメイン(i)は、配列番号3又は4と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さず、かつ(ii)そのN末端に、G、S、又はGSを更に含む。例示的な実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さず、かつ設計されたアンキリン反復ドメインが、そのN末端に、G、S、又はGSを更に含む。別の例示的な実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さず、かつ設計されたアンキリン反復ドメインが、そのN末端に、G、S、又はGSを更に含む。別の例示的な実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は4と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は設計されたアンキリン反復ドメインが、配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さず、設計されたアンキリン反復ドメインが、任意にそのN末端に、G、S、又はGSを更に含み、任意に、最後から2番目の位置のAが、Lで置換されており、かつ/又は最後の位置のAが、Nで置換されている。
【0031】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3~6からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3又は配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列からなる。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号4のアミノ酸配列からなる。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列からなる。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列からなる。
【0032】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、100nM以下の解離定数(KD)で、PBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、90nM以下の解離定数(KD)で、PBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、80nM以下の解離定数(KD)で、PBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、70nM以下の解離定数(KD)で、PBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、60nM以下の解離定数(KD)で、PBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、50nM以下の解離定数(KD)で、PBS中でヒト血清アルブミンに結合する。
【0033】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、改善された安定性を有する。
【0034】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示す。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示し、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される。
【0035】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示す。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示し、サイズ排除クロマトグラフィーが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される。
【0036】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示す。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示し、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される。
【0037】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、(i)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示し、かつ/又は(ii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示す。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示し、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施され、かつ/又は(ii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比較して、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示し、サイズ排除クロマトグラフィーが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される。
【0038】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示す。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示し、LabChip分析が、pH6.0又は7.4で60℃にて100マイクロモルでインキュベートした後に実施される。
【0039】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有し、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べての改善された安定性が、
(i)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示すことであって、好ましくは、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示すこと、
(ii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示すことであって、好ましくは、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示すこと、
(iii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比較して、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示すことであって、好ましくは、サイズ排除クロマトグラフィーが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示すこと、及び
(iv)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示すことであって、好ましくは、LabChip分析が、pH6.0又は7.4で60℃にて100マイクロモルでインキュベートした後に実施される、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示すこと、
からなる群から選択される。
【0040】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有し、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べての改善された安定性が、
(i)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示すことであって、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示すこと、
(ii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示すことであって、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示すこと、
(iii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比較して、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示すことであって、サイズ排除クロマトグラフィーが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示すこと、及び
(iv)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示すことであって、LabChip分析が、pH6.0又は7.4で60℃にて100マイクロモルでインキュベートした後に実施される、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示すこと、
からなる群から選択される。
【0041】
一実施形態では、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、1nM未満のEC50でPBST-C中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、20nM未満のEC50でPBST-C中でカニクイザル血清アルブミンに結合する。一実施形態では、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、30nM未満のEC50でPBST-C中でマウス血清アルブミンに結合する。一実施形態では、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、100nM未満のEC50でPBST-C中で、ヒト血清アルブミン、カニクイザル血清アルブミン、及びマウス血清アルブミンに結合する。
【0042】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインのマウスにおける終末相半減期は、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインのマウスにおける終末相半減期の少なくとも70%、好ましくは75%、80%、85%、90%、95%、96%、最も好ましくは97%である。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインのマウスにおける終末相半減期は、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインのマウスにおける終末相半減期とは30%未満、好ましくは25%、20%、15%、10%、5%、4%、最も好ましくは3%だけ異なる。好ましくは、マウスの終末相半減期は、Balb/cマウスの尾静脈への静脈内注射によって1mg/kgの用量で設計されたアンキリン反復ドメインを適用することによって決定される。
【0043】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインのカニクイザルにおける終末相半減期は、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインのカニクイザルにおける終末相半減期の少なくとも70%、好ましくは75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、最も好ましくは92%である。一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインのカニクイザルにおける終末相半減期は、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインのカニクイザルにおける終末相半減期とは30%未満、好ましくは25%、20%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、最も好ましくは8%異なる。好ましくは、カニクイザルの終末相半減期は、設計されたアンキリン反復ドメインを1mg/kgの用量で30分間の静脈内注射で適用することによって決定される。
【0044】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有し、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べての改善された安定性が、典型的には及び好ましくは、設計されたアンキリン反復ドメインの60℃にて1週間インキュベートした際の、SDS-PAGE分析における高分子量生成物のより少ない発生である。好ましくは、SDS-PAGEは、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される。
【0045】
SDS-PAGE分析における「高分子量生成物」という用語は、典型的には、及び好ましくは、予想される分子量よりも高い分子量に移動するゲル上のバンドを指す。一実施形態では、SDS-PAGE分析における高分子量生成物は、21.5kDaより高い分子量に移動するゲル上のバンドを指す。
図3では、pH5、6、又は7.4で1週間60℃にてインキュベートしたタンパク質#2は、約14kDaに移動する予想されるバンドよりも高い見かけの分子量に移動するSDS-PAGE中のそのような高分子量生成物を示す。一実施形態では、SDS-PAGE分析におけるより少ない高分子量生成物は、60℃にて1週間インキュベートする際に、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、最も好ましくは50%の高分子量生成物の低減を指す。
【0046】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有し、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べての改善された安定性が、典型的には及び好ましくは、設計されたアンキリン反復ドメインの60℃にて1週間インキュベートした際の、SDS-PAGE分析における低分子量生成物のより少ない発生である。好ましくは、SDS-PAGEは、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される。
【0047】
SDS-PAGE分析における「低分子量生成物」という用語は、典型的には、及び好ましくは、予想される分子量よりも低い分子量に移動するゲル上のバンドを指す。
図3では、pH5、6、又は7.4で1週間60℃にてインキュベートしたタンパク質#2は、約14kDaに移動する予想されるバンドよりも低い見かけの分子量に移動するSDS-PAGE中のそのような低分子量生成物を示す。一実施形態では、SDS-PAGE分析におけるより少ない低分子量生成物は、60℃にて1週間インキュベートした際に、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、最も好ましくは50%の低分子量生成物の低減を指す。
【0048】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有し、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べての改善された安定性が、典型的には及び好ましくは、設計されたアンキリン反復ドメインの60℃にて1週間インキュベートした際の、LabChip分析における高分子量生成物のより少ない発生である。一実施形態では、LabChip分析における高分子量生成物は、クロマトグラム上で予想される分子量よりも高い分子量に移動するバンドを指す。一実施形態では、LabChip分析における高分子量生成物は、30kDaより高い分子量に移動するクロマトグラム上のバンドを指す。
図4では、pH6又は7.4で1週間60℃にてインキュベートしたタンパク質#2は、約15kDa~20kDaに移動する予想されるバンドよりも高い見かけの分子量に移動するLabChip分析におけるそのような高分子量生成物を示す。一実施形態では、LabChip分析におけるより少ない高分子量生成物は、60℃にて1週間インキュベートした際に、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、最も好ましくは50%の高分子量生成物の低減を指す。
【0049】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有し、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べての改善された安定性が、典型的には及び好ましくは、設計されたアンキリン反復ドメインの60℃にて1週間インキュベートした際の、LabChip分析における低分子量生成物のより少ない発生である。一実施形態では、LabChip分析における低分子量生成物は、クロマトグラム上で予想される分子量よりも低い分子量に移動するバンドを指す。一実施形態では、LabChip分析における低分子量生成物は、約7kDaの分子量に出現するクロマトグラム上のバンドを指す。
図4では、pH6で1週間60℃にてインキュベートしたタンパク質#2は、約15kDa~20kDaに移動する予想されるバンドよりも低い見かけの分子量に移動するLabChip分析におけるそのような低分子量生成物を示す。一実施形態では、LabChip分析におけるより少ない低分子量生成物は、60℃にて1週間インキュベートした際に、少なくとも5%、10%、15%、20%、最も好ましくは25%の低分子量生成物の低減を指す。
【0050】
一実施形態では、設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有し、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べての改善された安定性が、典型的には及び好ましくは、pH5で60℃にて1週間インキュベートした際の、サイズ排除クロマトグラフィーにおけるより低い量の高分子量生成物の発生である。一実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーにおける「高分子量生成物」という用語は、典型的には及び好ましくは、予想分子量生成物の前に溶出する生成物を指す。
図5Cでは、pH5で1週間60℃にてインキュベートされたタンパク質#2は、サイズ排除クロマトグラフィーで4.1分で溶出するより高分子量生成物を示し、一方予想される分子量生成物は、ほぼ4.6分後に溶出する。一実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーにおけるより低い量の高分子量生成物は、60℃にて1週間インキュベートした際に、曲線下総面積の少なくとも5%、10%、15%、20%、最も好ましくは25%の曲線下総面積の割合の減少を指す。
【0051】
一実施形態では、インキュベーションは、pH8.5、7.4、6、又は5でのインキュベーションを指す。一実施形態では、インキュベーションは、pH8.5でのインキュベーションを指す。一実施形態では、「インキュベーション」という用語は、pH7.4でのインキュベーションを指す。一実施形態では、インキュベーションは、pH6でのインキュベーションを指す。一実施形態では、インキュベーションは、pH5でのインキュベーションを指す。一実施形態では、pH8.5でのインキュベーションは、リン酸塩/クエン酸塩/ホウ酸塩緩衝液中のインキュベーションを指す。一実施形態では、pH7.4でのインキュベーションは、PBS中のインキュベーションを指す。一実施形態では、pH6でのインキュベーションは、リン酸塩/クエン酸塩緩衝液pH6におけるインキュベーションを指す。一実施形態では、pH5でのインキュベーションは、リン酸塩/クエン酸緩衝液pH5におけるインキュベーションを指す。
【0052】
別の態様では、本発明は更に、少なくとも1つの、血清アルブミンに対する結合特異性を有する本発明の設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質を提供する。本発明の設計されたアンキリン反復ドメインについて上記及び本明細書に記載の好ましい実施形態及び特徴は、少なくとも1つの、本発明の血清アルブミンに対して結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む本発明の組換え結合タンパク質を含む、本発明の任意及び全ての態様に適用される。
【0053】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ又は2つを含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に1つ又は厳密に2つを含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に2つを含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの3つを含む。
【0054】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ又は2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれが、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さない。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に1つ又は厳密に2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれが、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さない。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に2つを含み、2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれが、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号3又は4の位置77に対応する位置にアスパラギン(N)を有さず、かつ/又は配列番号3又は4の位置78に対応する位置にグルタミン酸(E)を有さない。
【0055】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ又は2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に1つ又は厳密に2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に2つを含み、2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、配列番号3又は4のアミノ酸配列とのアミノ酸配列同一性は、少なくとも93%、更に好ましくは少なくとも95%、及び再び更に好ましくは少なくとも98%である。
【0056】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ又は2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3~6からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に1つ又は厳密に2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3~6からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に2つを含み、2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3~6からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0057】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ又は2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に1つ又は厳密に2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に2つを含み、2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列を含む。
【0058】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の血清アルブミンに対して結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ又は2つを含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の血清アルブミンに対して結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に1つ又は厳密に2つを含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の血清アルブミンに対して結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に2つを含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、90nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、80nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、70nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、60nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、50nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。
【0059】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、少なくとも2つの、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメイン含み、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有する。配列番号9~12は、そのような組換え結合タンパク質の例である。一実施形態では、本発明は、2つ、好ましくは厳密には2つの、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質に関し、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有する。配列番号9~12は、そのような組換え結合タンパク質の例である。
【0060】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、2つ、好ましくは厳密には2つの、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメイン含み、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号3からなる。配列番号9~10は、そのような組換え結合タンパク質の例である。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、2つ、好ましくは厳密には2つの、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメイン含み、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号4からなる。配列番号11~12は、そのような組換え結合タンパク質の例である。
【0061】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ又は2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3~6からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に1つ又は厳密に2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3~6からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に2つを含み、2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3~6からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、90nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、80nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、70nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、60nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、50nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。
【0062】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ又は2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列を含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に1つ又は厳密に2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列を含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に2つを含み、2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列を含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、90nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、80nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、70nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、60nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、50nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。
【0063】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ又は2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列を含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合し、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有し、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べての改善された安定性が、(i)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示すことであって、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示すこと、(ii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示すことであって、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示すこと、(iii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比較して、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示すことであって、サイズ排除クロマトグラフィーが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示すこと、及び(iv)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示すことであって、LabChip分析が、pH6.0又は7.4で60℃にて100マイクロモルでインキュベートした後に実施される、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示すこと、からなる群から選択される。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に1つ又は厳密に2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列を含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合し、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有し、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べての改善された安定性が、(i)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示すことであって、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示すこと、(ii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示すことであって、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示すこと、(iii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比較して、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示すことであって、サイズ排除クロマトグラフィーが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示すこと、及び(iv)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示すことであって、LabChip分析が、pH6.0又は7.4で60℃にて100マイクロモルでインキュベートした後に実施される、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示すこと、からなる群から選択される。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に2つを含み、2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3又は4のアミノ酸配列を含み、組換え結合タンパク質は、100nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合し、2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて改善された安定性を有し、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べての改善された安定性が、(i)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示すことであって、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、SDS-PAGE上でより少ない分解バンドを示すこと、(ii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示すことであって、SDS-PAGEが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、SDS-PAGE上でより少ない高分子量バンドを示すこと、(iii)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比較して、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示すことであって、サイズ排除クロマトグラフィーが、pH5.0で60℃にて100マイクロモルで1週間インキュベートした後に実施される、サイズ排除クロマトグラフィーにおいてより少ない高分子量ピークを示すこと、及び(iv)配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインと比べて、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示すことであって、LabChip分析が、pH6.0又は7.4で60℃にて100マイクロモルでインキュベートした後に実施される、LabChip分析において少なくとも10%少ない高分子量バンドを示すこと、からなる群から選択される。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、90nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、80nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、70nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、60nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、50nM以下の解離定数(KD)でPBS中でヒト血清アルブミンに結合する。
【0064】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインで置換されていることを除いて、同一のアミノ酸配列を有する組換え結合タンパク質と比べて、改善された安定性を有する。配列番号9~12は、そのような組換え結合タンパク質の例である。
【0065】
配列番号9又は11からなる組換え結合タンパク質は、それぞれ、配列番号2からなる、血清アルブミンに対する結合特異性を有する2つの設計されたアンキリン反復ドメインを含む、配列番号7からなる組換え結合タンパク質と比べて改善された安定性を示すそのような組換え結合タンパク質の例である。配列番号10又は12からなる組換え結合タンパク質は、それぞれ、配列番号2からなる、血清アルブミンに対する結合特異性を有する2つの設計されたアンキリン反復ドメインを含む、配列番号8からなる組換え結合タンパク質と比べて改善された安定性を示すそのような組換え結合タンパク質の例である。
【0066】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ又は2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に1つ又は厳密に2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に2つを含み、2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0067】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ又は2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号4のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に1つ又は厳密に2つを含み、1つ又は2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号4のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインのうちの厳密に2つを含み、2つのアンキリン反復ドメインのそれぞれは、独立して、配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0068】
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、配列番号9~12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列を含む、好ましくはそれからなる。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、配列番号10のアミノ酸配列を含む、好ましくはそれからなる。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、配列番号11のアミノ酸配列を含む、好ましくはそれからなる。一実施形態では、組換え結合タンパク質は、配列番号12のアミノ酸配列を含む、好ましくはそれからなる。
【0069】
一実施形態では、組換え結合タンパク質のマウスの終末相半減期は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインで置換されていることを除いて、同一のアミノ酸配列を有する組換え結合タンパク質のマウスの終末相半減期の少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、最も好ましくは少なくとも90%である。一実施形態では、組換え結合タンパク質のマウスの終末相半減期は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインで置換されていることを除いて、同一のアミノ酸配列を有する組換え結合タンパク質のマウスの終末相半減期とは30%未満、好ましくは25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%未満、最も好ましくは10%未満だけ異なる。好ましくは、マウスの終末相半減期は、Balb/cマウスの尾静脈への静脈内注射によって1mg/kgの用量で組換え結合タンパク質を適用することによって決定される。
【0070】
一実施形態では、組換え結合タンパク質のカニクイザルの終末相半減期は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインで置換されていることを除いて、同一のアミノ酸配列を有する組換え結合タンパク質のカニクイザルの終末相半減期の少なくとも70%、好ましくは75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%未満、最も好ましくは92%である。一実施形態では、組換え結合タンパク質のカニクイザルの終末相半減期は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれが、配列番号2からなる設計されたアンキリン反復ドメインで置換されていることを除いて、同一のアミノ酸配列を有する組換え結合タンパク質のカニクイザルの終末相半減期とは30%未満、好ましくは25%、20%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%未満、最も好ましくは8%未満だけ異なる。好ましくは、カニクイザルの終末相半減期は、組換え結合タンパク質を1mg/kgの用量で30分間の静脈内注射で適用することによって決定される。
【0071】
別の態様では、本発明は、本発明のアンキリン反復ドメイン又は組換え結合タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、本発明のアンキリン反復ドメインのアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号3~6からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号9~12からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号4のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号5のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号6のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号9のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号11のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号12のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。更に、本発明は、核酸のうちのいずれかを含むベクターに関する。
【0072】
更なる一態様では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質及び/若しくは設計されたアンキリン反復ドメイン、又は本発明の組換え結合タンパク質及び/若しくは設計されたアンキリン反復ドメインをコードする核酸、並びに任意に、薬学的に許容される担体及び/若しくは希釈剤を含む、医薬組成物に関する。薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤は当業者に既知であり、下記でより詳細に説明する。更にまた、本明細書で言及した組換え結合タンパク質及び/又は設計されたアンキリン反復ドメインのうちの1つ以上を含む、診断用組成物が提供される。
【0073】
医薬組成物は、上述したような結合タンパク質、及び例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.,1980に記載のような、薬学的に許容される担体、賦形剤若しくは安定剤を含む。当業者に既知の、好適な担体、賦形剤又は安定剤としては、例えば、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、ハンクス液、固定油、オレイン酸エチル、5%デキストロース生理食塩水、等張性及び化学的安定性を高める物質、緩衝液並びに保存剤が挙げられる。他の好適な担体としては、それ自体が、組成物を投与される個体にとって有害な抗体の産生を誘発しない任意の担体、例えば、タンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸及びアミノ酸コポリマーが挙げられる。医薬組成物はまた、抗癌剤若しくは抗血管新生剤などの、追加の有効成分を含む、合剤であってもよい。
【0074】
インビボ投与に使用される製剤は、無菌でなくてはならない、又は、滅菌されていなくてはならない。これは、滅菌濾過膜で濾過することにより、容易に実施される。
【0075】
医薬組成物は、当業者の知識内で任意の好適な方法によって投与され得る。好ましい投与経路は非経口である。非経口投与において、本発明の薬剤は、上記で定義したような薬学的に許容される賦形剤と共に、溶液、懸濁液又はエマルションなどの単位用量の注射剤形で配合される。用量及び投与方法は、治療される個体及び特定の疾患によって異なる。
【0076】
更に、上記の医薬組成物のいずれかは、疾患又は障害の治療について考慮される。本発明は更に、治療方法を提供する。本方法は、治療有効量の、本発明の医薬組成物又は組換え結合タンパク質又は設計されたアンキリン反復ドメインを、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0077】
更に、有効量の上述した医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、人を含む哺乳動物の病的状態を治療する方法が、提供される。
【0078】
本開示は、治療有効量の本明細書に記載の組換え結合タンパク質又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、癌を治療する方法を提供する。ある特定の実施形態では、対象はヒトである。ある特定の実施形態では、癌は固形腫瘍である。配列番号9~12は、癌を治療するそのような方法において有用である組換え結合タンパク質の例である。
【0079】
いくつかの実施形態では、癌は、脳癌、膀胱癌、乳癌、明細胞腎癌、子宮頸癌、結腸及び直腸癌、子宮内膜癌、胃癌、頭頸部扁平上皮癌、唇及び経口癌、肝臓癌、肺扁平上皮癌、黒色腫、中皮腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、非黒色腫皮膚癌、卵巣癌、口腔癌、膵臓癌、前立腺癌、腎細胞癌、肉腫、小細胞肺癌(SCLC)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、トリプルネガティブ乳癌、又は甲状腺癌である。
【0080】
本発明は、実施例に記載の特定の実施形態に限定されない。他の供給源を使用し、下記の概要に従って処理してもよい。
【0081】
本明細書は、「P5754_Sequence_Protocol.txt」という名前の、本明細書のアミノ酸配列一覧の多数のアミノ酸配列を参照しており、配列プロトコルのアミノ酸配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
定義
本明細書で別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。
【0083】
本発明の文脈において、用語「タンパク質」はポリペプチドを含む分子を指し、ここで、ポリペプチドの少なくとも一部は、単一のポリペプチド鎖内かつ/又は複数のポリペプチド鎖間で二次、三次、及び/又は四次構造を形成することにより、明確な三次元配列を有する、又は、とることができる。タンパク質が2つ以上のポリペプチド鎖を含む場合、個々のポリペプチド鎖は、非共有結合又は共有結合により、例えば、2つのポリペプチド間のジスルフィド結合により、結合され得る。個々に二次及び/又は三次構造を形成することにより、明確な三次元配列を有する、又は、とることができるタンパク質の一部は、「タンパク質ドメイン」と呼ばれる。このようなタンパク質ドメインは、当業者に周知である。
【0084】
用語「組換え」は、組換えタンパク質、組換えポリペプチドなどで使用する場合、タンパク質又はポリペプチドが、当業者に周知の組換えDNA技術の使用によって作製されることを意味する。例えば、ポリペプチドをコードする組換えDNA分子(例えば遺伝子合成によって作製される)を細菌発現プラスミド(例えばpQE30、QIAgen)、酵母発現プラスミド、哺乳動物発現プラスミド、若しくは植物発現プラスミド、又はインビトロ発現を可能にするDNAにクローニングすることができる。例えば、そのような組換え細菌発現プラスミドを適切な細菌(例えば大腸菌)に挿入すると、これらの細菌は、この組換えDNAによってコードされたポリペプチドを産生することができる。それに応じて産生されたポリペプチド又はタンパク質は、組換えポリペプチド又は組換えタンパク質と呼ばれる。
【0085】
本発明の文脈において、「結合タンパク質」という用語は、結合ドメインを含むタンパク質を指す。結合タンパク質はまた、2つ、3つ、4つ、5つ以上の結合ドメインを含み得る。好ましくは、上記の結合タンパク質は、組換え結合タンパク質である。本発明の結合タンパク質は、血清アルブミンに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む。
【0086】
更に、任意のそのような結合タンパク質は、当業者に周知の追加のポリペプチド(例えば、ポリペプチドタグ、ペプチドリンカー、結合特異性を有する他のタンパク質性ドメインへの融合、サイトカイン、ホルモン、又はアンタゴニストなど)、又は化学修飾(ポリエチレングリコール、毒素(例えば、免疫原からのDM1)、小分子、抗生物質などへのカップリングなど)を含み得る。
【0087】
「結合ドメイン」という用語は、標的に対する結合特異性を示すタンパク質ドメインを意味する。好ましくは、上記の結合ドメインは、組換え結合ドメインである。
【0088】
用語「標的」は、核酸分子、ポリペプチド若しくはタンパク質、炭水化物、又は任意の他の天然に存在する分子などの個々の分子を指し、そのような個々の分子の任意の一部を含むか、又はそのような分子の2つ以上の複合体、又は細胞全体若しくは組織試料、又は任意の非天然化合物を指す。好ましくは、標的は天然に存在する、若しくは非天然のポリペプチド又はタンパク質、又は、例えば、天然に存在する若しくは非天然のリン酸化、アセチル化、若しくはメチル化によって修飾された、化学修飾を含むポリペプチド又はタンパク質である。例えば、本発明の文脈において、血清アルブミンは、開示された血清アルブミン特異的結合ドメイン及びタンパク質の標的である。
【0089】
本発明の文脈において、用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって結合された、複数、すなわち2つ以上のアミノ酸の鎖からなる分子に関する。好ましくは、ポリペプチドは、ペプチド結合によって結合された8個超のアミノ酸からなる。用語「ポリペプチド」はまた、システインのS-S架橋によって結合されたアミノ酸の複数の鎖も包含する。ポリペプチドは、当業者に周知である。
【0090】
特許出願第WO2002/020565号及びForrerら、2003(Forrer,P.,Stumpp,M.T.,Binz,H.K.,Pluckthun,A.,2003.FEBS Letters 539,2-6)は、反復タンパク質の機能と反復ドメインの機能、技術、及び用途の一般的な説明を含む。用語「反復タンパク質」は、1つ以上の反復ドメインを含むタンパク質を指す。好ましくは、反復タンパク質は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの反復ドメインを含む。更に、反復タンパク質は、更なる非反復タンパク質ドメイン、ポリペプチドタグ及び/又はペプチドリンカーを含む場合がある。反復ドメインは、結合ドメインであり得る。
【0091】
「反復ドメイン」という用語は、構造単位として2つ以上の連続する反復モジュールを含むタンパク質ドメインを指し、反復モジュールは、構造相同性及び配列相同性を有する。好ましくは、反復ドメインは、N末端及び/又はC末端キャッピングモジュールを更に含む。明確に説明すると、キャッピングモジュールは、反復モジュールであり得る。そのような反復ドメイン、反復モジュール、及びキャッピングモジュール、配列モチーフ、並びに構造的相同性及び配列相同性は、アンキリン反復ドメイン(国際公開第2002/020565号)、ロイシンリッチ反復ドメイン(国際公開第2002/020565号)、テトラトリコペプチド反復ドメイン(Main,E.R.,Xiong,Y.,Cocco,M.J.,D’Andrea,L.,Regan,L.,Structure 11(5),497~508,2003)、及びアルマジロ反復ドメイン(国際公開第2009/040338号)の例から、当業者に周知である。そのような反復ドメインが反復されるアミノ酸配列を含むタンパク質とは異なることは、当業者には更に周知であり、反復されるアミノ酸配列は全て、個々のドメイン(例えば、フィブロネクチンのFN3ドメイン)を形成することができる。
【0092】
設計された反復タンパク質、設計された反復ドメインなどにおいて使用される用語「設計された」は、そのような反復タンパク質及び反復ドメインがそれぞれ人工的であり、自然界では生じないという特性を指す。本発明の結合タンパク質は、反復タンパク質を設計し、これらは少なくとも1つの設計されたアンキリン反復ドメインを含む。
【0093】
用語「標的相互作用残基」は、標的との直接的な相互作用に寄与する反復モジュールのアミノ酸残基を指す。
【0094】
用語「フレームワーク残基」は、反復モジュールのアミノ酸残基を指し、これは、折り畳みトポロジーに寄与する、すなわち、反復モジュールの折り畳みに寄与するか、又は隣接モジュールとの相互作用に寄与する。そのような寄与は、反復モジュール内の他の残基との相互作用、又はα-ヘリックス若しくはβ-シートに見られるポリペプチド骨格構造への影響、又は直鎖ポリペプチド若しくはループを形成するアミノ酸ストレッチへの関与であってもよい。
【0095】
そのようなフレームワーク及び標的相互作用残基は、X線結晶解析、NMR及び/若しくはCD分光法などの物理化学法によって得られる構造データの分析によって、又は構造生物学及び/若しくはバイオインフォマティクスにおいて施術者に周知の既知の関連する構造情報と比較することによって同定され得る。
【0096】
用語「反復モジュール」は、元々は天然に生じる反復タンパク質の反復単位から誘導される、設計された反復ドメインの反復されたアミノ酸配列及び構造単位を指す。反復ドメインに含まれる各反復モジュールは、天然に存在する反復タンパク質のファミリー又はサブファミリー、例えば、アンキリン反復タンパク質ファミリーの1つ以上の反復単位に由来する。更に、反復ドメインに含まれる各反復モジュールは、例えば、実施例1に記載されるように、標的上で選択された反復ドメインから得られ、同じ標的特異性を有する相同反復モジュールから推定される「反復配列モチーフ」を含み得る。
【0097】
したがって、「アンキリン反復モジュール」という用語は、天然に存在するアンキリン反復タンパク質の反復単位から元々由来する繰り返しモジュールを指す。アンキリン反復タンパク質は、当業者に周知である。
【0098】
反復モジュールは、標的特異的反復ドメインを選択する目的で、ライブラリ内でランダム化されていないアミノ酸残基を有する位置(「非ランダム化位置」)及び標的特異的反復ドメインを選択する目的で、ライブラリ内でランダム化されたアミノ酸残基を有する位置(「ランダム化位置」)を含み得る。非ランダム化位置は、フレームワーク残基を含む。ランダム化位置は、標的相互作用残基を含む。「ランダム化された」とは、例えば、反復モジュールのアミノ酸位置で2つ以上のアミノ酸が許可され、通常の20個の天然に存在するアミノ酸のいずれかが許可された、若しくはシステイン以外のアミノ酸、又はグリシン、システイン、及びプロリン以外のアミノ酸などの、20個の天然に存在するアミノ酸のほとんどが許可されたことを意味する。本特許出願の目的のために、配列番号2~6のアミノ酸残基3、4、6、14及び15は、本発明のアンキリン反復モジュールのランダム化位置である。
【0099】
用語「反復配列モチーフ」は、1つ以上の反復モジュールから推定されるアミノ酸配列を指す。好ましくは、反復モジュールは、同じ標的に対する結合特異性を有する反復ドメインに由来する。そのような反復配列モチーフは、フレームワーク残基位置及び標的相互作用残基位置を含む。フレームワーク残基の位置は、反復モジュールのフレームワーク残基の位置に対応する。同様に、標的相互作用残基の位置は、反復モジュールの標的相互作用残基の位置に対応する。反復配列モチーフは、非ランダム化位置及びランダム化位置を含む。
【0100】
用語「反復単位」は、1つ以上の天然に存在するタンパク質の配列モチーフを含むアミノ酸配列を指し、「反復単位」は複数のコピーに見出され、タンパク質のフォールディングを決定する全てのモチーフに共通の定義されたフォールディングトポロジーを示す。そのような反復単位の例としては、ロイシンに富む反復単位、アンキリン反復単位、アルマジロ反復単位、テトラトリコペプチド反復単位、HEAT反復単位、及びロイシンリッチバリアント反復単位が挙げられる。
【0101】
用語「標的に対する結合特異性を有する」、「標的に特異的に結合する」、「標的に高い特異性で結合する」、「標的に対して特異的」又は「標的特異性」等は、結合タンパク質又は結合ドメインが、大腸菌マルトース結合タンパク質(MBP)等の非関連タンパク質に結合するよりも、PBS中で、標的に、より低い解離定数で結合する(すなわち、より高い親和性で結合する)ことを意味する。好ましくは、標的に対するPBS中での解離定数(「Kd」)は、MBPに対する対応する解離定数よりも、少なくとも102倍、より好ましくは少なくとも103倍、より好ましくは少なくとも104倍、又はより好ましくは少なくとも105倍低い。タンパク質-タンパク質間の相互作用の解離定数を測定するための方法、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく技術(例えば、SPR平衡解析)又は等温滴定熱量測定(ITC)は、当業者に周知である。特定のタンパク質-タンパク質相互作用のKdの測定値は、異なる条件下(例えば、塩濃度、pH)で測定された場合、変動し得る。したがって、Kd値の測定は、好ましくは、タンパク質の標準化溶液及びPBS等の標準化緩衝液を使用して実施される。表面プラズモン共鳴(SPR)分析による血清アルブミンに対する結合特異性を有する本発明の組換え結合タンパク質の解離定数(Kd)の典型的かつ好ましい決定は、実施例7に記載されている。
【0102】
用語「約」は、言及した値の+/-20%を意味し、例えば、「約50」は、40~60を意味するものとする。
【0103】
用語「PBS」は、137mM NaCl、10mMリン酸塩及び2.7mM KClを含み、pHが7.4であるリン酸緩衝水溶液を意味する。これは、実施例3に例示される。「リン酸塩/クエン酸塩緩衝液pH6」という用語は、375mMのNa2HPO4*2H2O、及び150mMのNaClを含有し、5.7のpHを有する水性緩衝液を意味する。これは、実施例3に例示される。「リン酸塩/クエン酸塩緩衝液pH5」という用語は、30mMのクエン酸及び30mMのNaH2P04を含有し、4.75のpHを有する水性緩衝液を意味する。これは、実施例3に例示される。「リン酸塩/クエン酸塩/ホウ酸塩緩衝液」という用語は、30mMのクエン酸、30mMのNaH2PO4、30mMのホウ酸を含み、pH8.5を有する水性緩衝液を意味する。これは、実施例3に例示される。
【0104】
用語「マウス血清アルブミン」は、UniProt受入番号P07724を指し、用語「カニクイザル血清アルブミン」(すなわちmacaca fascicularis)は、UniProt受入番号A2V9Z4を指し、用語「ヒト血清アルブミン」はUniProt受入番号P02768を指す。
【実施例】
【0105】
実施例で使用されるタンパク質:
タンパク質#2(配列番号2、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号1)を有する)、
タンパク質#3(配列番号3、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号1)を有する)、
タンパク質#4(配列番号4、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号1)を有する)、
タンパク質#5(配列番号5、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号1)を有する)、
タンパク質#6(配列番号6、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号1)を有する)、
タンパク質#7(配列番号7、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号1)を有する)、
タンパク質#8(配列番号8、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号1)を有する)、
タンパク質#9(配列番号9、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号1)を有する)、
タンパク質#10(配列番号10、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号1)を有する)、
タンパク質#11(配列番号11、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号1)を有する)、タンパク質#12(配列番号12、そのN末端に融合させたHisタグ(配列番号1)を有する)。
【0106】
別途記載されていない場合、実験は、当業者に周知の方法に従って実施した。いくつかの実施例についての実験条件は、国際公開第2012/069654号及び同第2016/156596号に更に記載されている。
【0107】
実施例1:血清アルブミンに対する結合特異性を有し、かつ改善された安定性を有する設計されたアンキリン反復ドメインの構築
予想外に、配列番号2に対応するアミノ酸配列からなるタンパク質(元々国際公開第2016156596号に記載)が、血清アルブミンに対する結合特異性を有する以前に設計されたアンキリン反復ドメイン(国際公開第2012/069654号)と比べて改善された安定性を有するバリアントであるにもかかわらず、高温でのインキュベーションでは安定ではないと思われることを我々は観察した(実施例2~6を参照)。したがって、本発明の目的は、血清アルブミン結合及び薬物動態特性を維持しながら、高温でのインキュベーション時に改善された安定性を示す、配列番号2のバリアントを提供することである。複数の位置で数回の変化するアミノ酸を含む高反復プロセス(例えば、当業者に周知のアラニンスキャニングプロセスに匹敵する)を通して、インビトロ及びインビボで得られたタンパク質バリアントを特徴付け、最終的には、改善された安定性特性を示す4つのバリアントをもたらした。予想に反して、これらのバリアントはすべて、位置77及び/又は位置78のアミノ酸Aspを伴い、ポリペプチド鎖分解の起点にあることが知られているアミノ酸を含む。非常に驚くべきことに、これらのバリアントの多くは、特にポリペプチド鎖分解を起こしやすいことが知られているAsp-Gly配列モチーフを含む。したがって、このプロセスは、驚くべきことに予期せぬバリアントをもたらした。
【0108】
配列番号2~6からなる設計されたアンキリン反復ドメインのそれぞれをコードするDNAをpQE(QIAgen,Germany)ベースの発現ベクターにクローニングして、以下に記載されるように、N末端Hisタグを提供して、単純なタンパク質精製を促進した。産生及び特性評価、並びにこれらの特に選択された配列の使用は、以下の実施例に記載されている。
【0109】
実施例2:タンパク質の発現及び精製
配列番号2~6からなり、それらのN末端に融合させたHisタグの配列番号1を更に有するタンパク質、並びに配列番号7~12からなり、それらのN末端に融合させたHisタグの配列番号1を更に有するタンパク質を、大腸菌において産生し、均質に精製し、PBS緩衝液中に保存した。明確にするために、タンパク質#2~#6は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインであり、タンパク質#7~#12は、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質である。タンパク質#7及び#8は、配列番号2の2回を含む。タンパク質#9及び#10は、配列番号3を2回を含む。タンパク質#11及び#12は、配列番号4を2回を含む。タンパク質#7は、国際公開第2016156596号の配列番号134から当業者において周知であり、タンパク質#8は、国際公開第2018054971号の配列番号21から当業者に周知である。したがって、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であるタンパク質#7と比べて、タンパク質#9及び#11は、(i)血清アルブミンに対する結合特異性を有し、かつ(ii)改善された貯蔵安定性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質である。同様に、血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であるタンパク質#8と比べて、タンパク質#10及び#12は、(i)血清アルブミンに対する結合特異性を有し、かつ(ii)改善された貯蔵安定性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質である。この段落に記載されるように発現及び精製されたタンパク質を、実施例3~12の実験に使用した。
【0110】
あるいは、配列番号2~12からなり、更にN末端にアミノ酸GSを有するタンパク質を、大腸菌において産生し、均質に精製し、PBS緩衝液中に保存する。アミノ酸GSがN末端にある場合、発現ベクターによって更にコードされたMet残基は、小さなGly残基が開始Metに後続するため、大腸菌の細胞質中で、発現されたポリペプチドから、効率的に切断される。配列番号2~12からなり、更に、N末端にアミノ酸GSを有するタンパク質は、配列番号2~12からなり、更にそれらのN末端に融合させたHisタグの配列番号1を有するタンパク質と、実施例3~12で同等の結果を示す。
【0111】
実施例3:貯蔵安定性インキュベーション
実施例2のタンパク質を、60℃にて1週間(7日間)、100マイクロモルのタンパク質濃度で様々なpHで貯蔵安定性について試験した。使用した緩衝液は、PBS(pH7.4、137mMのNaCl、10mMのリン酸塩及び2.7mMのKCl)、又はリン酸塩/クエン酸塩(pH5.7、375mMのNa2HPO4*2H2O及び150mMのNaCl、1Mクエン酸塩一水和物を使用してpH調整した)、又はリン酸塩/クエン酸塩(pH4.75、30mMのクエン酸及び30mMのNaH2PO4、水酸化ナトリウムを使用してpH調整した)、又はリン酸塩/クエン酸塩/ホウ酸塩(pH8.5、30mMのクエン酸、30mMのNaH2PO4、30mMのホウ酸)であった。それぞれの緩衝液とタンパク質と混合すると、得られたpH値は、それぞれpH7.4、pH6、pH5、又はpH8.5であった。60℃でのインキュベーションと並行して、タンパク質のアリコートを対照として-80℃にて1週間(7日間)インキュベートした。
【0112】
異なるpHで60℃でのインキュベーション中の安定性は、製造プロセスが、ポリペプチドがそのような条件に曝露される1つ以上のプロセスステップを含み得るため、設計されたアンキリン反復ドメイン又は組換え結合タンパク質の製造に工業的に関連している。また、当業者は、高温でのインキュベーションの工程を含む、加速貯蔵安定性測定によって貯蔵安定性を決定する。
【0113】
実施例4:貯蔵安定性分析試料のSDS-PAGE
実施例3のタンパク質の試料(各レーン10マイクログラムのタンパク質)を、NuPAGE4-12%ビス-トリス-ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)ゲル(Thermo Fisher)上で分析し、インスタント青色染色(Sigma Aldrich)で染色した。結果を
図3に示す。全てのタンパク質は、約14.4kDaの予想されるサイズに主バンドを示す。いくつかのタンパク質は、より低い分子量での追加のバンド(低分子量生成物)及び/又はより高分子量でのバンド(高分子量生成物)を示す。タンパク質#3及び#4は、タンパク質#2と比べて、pH7.4、pH6、及びpH5でより低い量の低分子量生成物を示す。SDS-PAGEからの判定は、低分子量生成物の低減は、pH7.4、pH6、及び/又はpH5で少なくとも10%である。同様に、SDS-PAGEからの判定は、低分子量生成物の量の低減は、pH7.4、pH6、及び/又はpH5で少なくとも50%である。同様に、タンパク質#2は、pH7.4、pH6、及び/又はpH5で少なくとも50%以上のより低分子量生成物又はより低い分子量生成物バンドを示す。驚くべきことに、タンパク質#2は、60℃にて1週間インキュベートした際に、より高い分子量バンドを示す。タンパク質#3及び#4は、より高い分子量バンドを示さないように見え、すなわち、改善された安定性を示す。SDS-PAGEからの判定は、タンパク質#2をタンパク質#3及び#4と比較するときのより高い分子量のバンド生成物のバンドの低減は、pH7.4で少なくとも50%、pH6で少なくとも50%、及びpH5で少なくとも50%である。同様に、タンパク質#2は、pH7.4で少なくとも10%、pH6で少なくとも20%、pH5で少なくとも50%に達する高分子量バンド及び/又は高分子量生成物の増加を示す。
【0114】
実施例5:貯蔵安定性分析試料のLabChip分析
実施例3のタンパク質の試料を、製造業者(Perkin Elmer)に従ってLabChip GXII機器を使用して分析した。簡単に説明すると、試料を変性溶液と混合し、70℃にて10分間変性させ、続いてHT Protein Express Chipで分析した。機器のソフトウェアを使用して実施試験を分析した。結果を
図4に示す。タンパク質#3及び#4は、タンパク質#2と比べて、pH7.4、pH6、及びpH5でより低い量の分解生成物又は低分子量生成物を示す。LabChipデータからの判定は、分解生成物バンド又は低分子量生成物バンドの低減は、pH7.4、pH6、及び/又はpH5で少なくとも10%である。タンパク質#2は、60℃にて1週間インキュベートした際に、高分子量バンドを示し、一方、タンパク質#3及び#4は、高分子量バンドを示さない。LabChipデータから判定すると、高分子量バンド生成物バンドの低減は、pH7.4で少なくとも10%、及びpH6で少なくとも50%である(表1を参照)。この実施例では、タンパク質#2~#4について、バンドは、25kDaよりも大きい場合、LabChip分析において高分子量バンドと見なされる。この実施例では、タンパク質#2~#4について、バンドは、10kDaよりも小さい場合、LabChip分析において低分子量バンドと見なされる。タンパク質調製物の高純度を仮定すると、そのような低分子量バンドは、分解生成物バンドと見なすことができる。
【0115】
【0116】
実施例6:貯蔵安定性分析試料のサイズ排除クロマトグラフィー分析
実施例3の試料を、GE Superdex200 150/5カラムで、0.5ml/分の流量でPBS中で、Agilent 1200 HPLCシステムで分析した。各タンパク質のうち、100マイクロモルの-80℃対照試料及び60℃のインキュベーション試料の各々の0.1mlを分析した。サイズ排除クロマトグラム(360nmの光学密度によって差し引かれた280nmでの光学密度)を
図5a(pH7.4)、
図5b(pH6)、及び
図5c(pH5)に示す。タンパク質#3及び#4は、-80℃対照試料と60℃のインキュベーション試料とのほぼ重複するクロマトグラムをpH7.4、pH6、及びpH5で示す。タンパク質#2は、-80℃対照試料と60℃のインキュベーション試料とのほぼ重複するクロマトグラムをpH7.4、及びpH6で示す。対照的に、タンパク質#2は、pH5での-80℃対照試料と比較して、60℃のインキュベーション試料中のより高い見かけの分子量種の明確な増加を示した。60℃のインキュベーション試料中のpH5でのタンパク質#2のより高い見かけの分子量種は、曲線下総面積の25%に対応し、一方、pH5でのタンパク質#2-80℃対照試料は、より高い見かけの分子量種を示さない。この実施例におけるより高い見かけの分子量種は、約4.1分でピークで溶出する種である。予想される見かけの分子量種は、約4.6分でピークで溶出する種である。タンパク質#3及び#4は、pH5で60℃のインキュベーション試料中により高い見かけの分子量種を示さない。
【0117】
実施例7:親和性測定
実施例2のタンパク質のヒト血清アルブミンへの親和性を、当業者に既知の標準的な手順に従ってPBS中のProteOnシステム(BioRad)を使用したSPR測定によって決定した。決定された親和性を、表2に列挙する。血清アルブミンに対する結合特異性を有する全ての設計されたアンキリン反復ドメインは、<100nMの解離定数KDを示し、この解離定数は、同等の範囲内にある。
【0118】
【0119】
実施例8:血清アルブミン種交差反応性
実施例2のタンパク質の試料を、国際公開第2016156596号に記載されているように、ELISA血清アルブミン交差反応性分析に供した。1ウェル当たり100μlのPBS中20nM血清アルブミンを、4℃にて一晩Maxisorpプレート(Nunc,Denmark)に固定化した。300μlのPBST(0.1%Tween20を補充したPBS)で5回洗浄後、ウェルを300μlのPBST-C(0.25%のカゼインを補充したPBST)で、Titramax 1000シェーカー(Heidolph,Germany)で450rpmで振盪しながら、室温で2時間ブロックした。上記のように5回洗浄した後、PBST-C中の100μl/ウェル又は50μl/ウェルのタンパク質#2、#3、又は#4(各タンパク質について100nM~0.01pMの範囲の濃度)を加え、450rpmで振盪しながら、室温で2時間インキュベートした。上記のように5回洗浄した後、タンパク質の結合を、100μlのPBST-C中のウサギ抗設計されたアンキリン反復ドメインモノクローナル抗体を使用し、450rpmで振盪しながら、室温で1時間検出した。上記のように5回洗浄した後、結合した抗設計されたアンキリン反復ドメイン抗体を、100μl/ウェルのPBST-C中のヤギ抗ウサギIgG-HRPコンジュゲートを使用し、450rpmで振盪しながら、室温で1時間検出した。上記のように5回洗浄した後、100μlの水中1:4で希釈したBM可溶性ブルーPOD基質(Roche,Switzerland)を使用し、ELISAを実施した。反応は、5分後に、100μlの1M H2SO4を使用して停止した。続いて、OD(OD450nm~OD620nm)を記録した。EC50値を、GraphPad Prismを使用して決定した(表3)。分析は、ヒト、カニクイザル、及びマウスの血清アルブミンが高親和性で結合していることを示す。ヒト血清アルブミン結合についての測定されたEC50値は、タンパク質#2、#3、及び#4について1nM未満である。カニクイザル血清アルブミン結合についての測定されたEC50値は、タンパク質#2、#3、及び#4について20nM未満である。マウス血清アルブミン結合についての測定されたEC50値は、タンパク質#2、#3、及び#4について30nM未満である。
【0120】
【0121】
実施例9:血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのマウスにおける薬物動態プロファイル
薬物動態分析を、実施例2に記載されるように生成されたタンパク質#2、#3、及び#4を使用して、雌Balb/cマウスで行った。タンパク質を、尾静脈への静脈内注射によって1mg/kgで適用した。各タンパク質について、3匹のマウスごとの2つの群に分けた6匹のマウスを使用した。全てのタンパク質について、1つの群の注射後5分、24時間、72時間、168時間、及び360時間のマウスから、及び他の群の注射後4時間、48時間、144時間、及び168時間のマウスから血液を採取した。血液試料を室温で放置し、遠心分離し、当業者に周知の手順を使用して血清を生成し、続いて-80℃にて保存して、分析を待った。タンパク質#2、#3、#4の血清濃度を、ウサギモノクローナル抗DARPin抗体を捕捉試薬として、及び高RGS-His抗体-HRPコンジュゲートを検出試薬として使用するサンドイッチELISAにより、標準曲線を使用して測定した。モノクローナル抗DARPin抗体は、当業者に周知の従来のウサギ免疫化及びハイブリドーマ生成技術を使用して生成され、モノクローナル抗体のタンパク質#2~#16への結合は、濃度決定実験前に検証された。簡単に言うと、1ウェル当たり100μlのPBS中10nMのヤギ抗ウサギ抗体(Thermo Scientific)を、4℃にて一晩Maxisorpプレート(Nunc,Denmark)に固定化した。300μlのPBST(0.1%Tween20を補充したPBS)で5回洗浄後、ウェルを300μlのPBST-C(0.25%のカゼインを補充したPBST)で、Titramax 1000シェーカー(Heidolph,Germany)で450rpmで振盪しながら、室温で1時間ブロックした。上記のように5回洗浄した後、100μl/ウェルのPBST-C中の5nMウサギ抗DARPin抗体を、450rpmで振盪しながら室温で1時間添加した。上記のように5回洗浄した後、PBST-Cで希釈した血清試料又は参照基準の異なる希釈物を、450rpmで振盪しながら室温で2時間添加した。上記のように5回洗浄した後、50μlの、PBST-C中の100ng/mlのマウス抗RGS-His抗体-HRPコンジュゲート(QIAgen)を、450rpmで振盪しながら室温で30分間添加した。上記のように5回洗浄した後、50μlのTMB基質を使用して、ELISAを行った。反応は、5分後に、100μlの1M H
2SO
4を使用して停止した。続いて、OD(OD450nm~OD620nm)を記録した。薬物動態パラメータは、Phoenix WinNonLin(Certara(Princeton,USA))又はGraphPadPrism(GraphPad Software(La Jolla,USA))等の標準的なソフトウェア及び非コンパートメント解析等の標準的な解析(全て、当業者に周知である)を使用して測定した。得られた薬物動態プロファイルを
図6aに示す。測定値から導出した薬物動態パラメータの曲線下面積、クリアランス、分布の体積、及び半減期を表4に列挙する。
【0122】
【0123】
実施例10:血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインのカニクイザルにおける薬物動態プロファイル
薬物動態分析は、30分の静脈内注入投与を介して投与された1mg/kgの各タンパク質についての2匹の雄カニクイザルで行った。すべてのタンパク質について、注射後、5分、6時間、24時間、72時間、120時間、168時間、336時間、408時間、504時間、及び672時間に全ての動物から血液を採取した。血液試料を室温で放置し、遠心分離し、当業者に周知の手順を使用して血清を生成し、続いて-80℃にて保存して、分析を待った。タンパク質#2、#3、及び#4の血清濃度を、実施例9に記載のように、サンドイッチELISAによって測定した。薬物動態パラメータは、Phoenix WinNonLin(Certara(Princeton,USA))又はGraphPadPrism(GraphPad Software(La Jolla,USA))等の標準的なソフトウェア及び非コンパートメント解析等の標準的な解析(全て、当業者に周知である)を使用して測定した。得られた薬物動態プロファイルを
図6bに示す。測定値から導出した薬物動態パラメータの曲線下面積、クリアランス、分布の体積、及び半減期を表5に列挙する。
【0124】
【0125】
実施例11:血清アルブミンに対する結合特異性を有し、かつ改善された安定性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを使用する組換え結合タンパク質の生成及び特性評価
血清アルブミンに対する結合特異性を有し、かつ改善された貯蔵安定性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質を、組換えDNA技術によって生成した。配列番号7~12は、そのような組換え結合タンパク質の例である。タンパク質#7、#8、#9、#10、#11、及び#12(配列番号7~12からなり、それらのN末端に融合させたHisタグの配列番号1を有する、実施例2を参照)を、実施例3に記載されるように産生した。同様に、配列番号7~12からなり、それぞれがN末端にアミノ酸MGSを更に担持しているタンパク質(N末端メチオニンは、小さなGly残基が開始Metに後続するため、発現されたポリペプチドから大腸菌の細胞質において効率的に切断される)を大腸菌で産生し、従来の方法を使用して精製され得る。
【0126】
組換え結合タンパク質を、実施例3~6に従って、安定性の改善について評価する。配列番号9及び11からなる組換え結合タンパク質は、配列番号7からなる組換え結合タンパク質よりも高い安定性を示す。同様に、配列番号10及び12からなる組換え結合タンパク質は、配列番号8からなる組換え結合タンパク質よりも高い安定性を示す。
【0127】
実施例12:血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質のマウスにおける薬物動態プロファイル
薬物動態分析を、全て実施例2に記載されるように生成されたタンパク質#7、#9、及び#11を使用して、並びにタンパク質#8、#10、及び#12を使用して、マウスで行った。試験を、タンパク質当たり3匹のマウスを使用し、注射後5分、4時間、48時間、及び96時間に血液を採取して、実施例9に記載されるように本質的に実施した。濃度測定及び薬物動態パラメータの濃度測定を、実施例9に記載されるように実施した。タンパク質#7、#9、及び#11の比較のために、薬物動態トレースを
図7aに示し、全てのタンパク質の測定値から導出した、薬物動態パラメータの曲線下面積、クリアランス、分布の体積、及び半減期を表6に列挙する。タンパク質#8、#10、及び#12の比較のために、薬物動態トレースを
図7bに示し、全てのタンパク質の測定値から導出した、薬物動態パラメータの曲線下面積、クリアランス、分布の体積、及び半減期を表7に列挙する。
【0128】
【0129】
【配列表】
【国際調査報告】