(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】クロストリジウム・ディフィシル菌に対するアプタマー
(51)【国際特許分類】
C12N 15/115 20100101AFI20220728BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20220728BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20220728BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20220728BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220728BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
C12N15/115 Z
C12N15/11 Z ZNA
C12Q1/04
C12Q1/68
C12M1/00 A
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572302
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020036333
(87)【国際公開番号】W WO2020247755
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521529880
【氏名又は名称】リブ・プロセス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LIV PROCESS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】シャノン,ロナルド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイア,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ブンカ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,エドワード
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA08
4B029BB02
4B029BB15
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4B063QX01
4B063QX04
4B063QX07
4B063QX10
(57)【要約】
クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質に特異的に結合可能なアプタマーを含む組成物を提供する。クロストリジウム・ディフィシル芽胞の検出、濃縮、分離および/または単離のための方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質に対して特異的な結合親和性を有するアプタマーであって、ここで、該表面タンパク質がスポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質である、アプタマー。
【請求項2】
表面タンパク質が、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである、請求項1記載のアプタマー。
【請求項3】
表面タンパク質が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有するCdeCである、請求項2記載のアプタマー。
【請求項4】
表面タンパク質が、配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するCdeMである、請求項2記載のアプタマー。
【請求項5】
表面タンパク質が、配列番号15に記載のアミノ酸配列を有するCotAである、請求項2記載のアプタマー。
【請求項6】
表面タンパク質が、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有するCotEである、請求項2記載のアプタマー。
【請求項7】
表面タンパク質が、配列番号17に記載のアミノ酸配列を有するCotEキチナーゼタンパク質である、請求項2記載のアプタマー。
【請求項8】
アプタマーが、配列番号1~14および配列番号23~26の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項1記載のアプタマー。
【請求項9】
アプタマーが、配列番号1~14および配列番号23~26の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する配列の少なくとも約30の連続ヌクレオチドを有する核酸配列を含む、請求項1記載のアプタマー。
【請求項10】
アプタマーが一本鎖DNAアプタマーである、請求項1記載のアプタマー。
【請求項11】
アプタマーが検出可能な標識を含む、請求項1記載のアプタマー。
【請求項12】
検出可能な標識が、フルオロフォア、ナノ粒子、量子ドット、酵素、放射性同位体、予め定義された配列部分、ビオチン、デスチオビオチン、チオール基、アミン基、アジド、アミノアリル基、ジゴキシゲニン、抗体、触媒、コロイド状金属粒子、コロイド状非金属粒子、有機ポリマー、ラテックス粒子、ナノファイバー、ナノチューブ、デンドリマー、タンパク質、リポソームまたはそれらの組合せを含む、請求項11記載のアプタマー。
【請求項13】
(a)クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質(該表面タンパク質はスポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質)に対して特異的結合親和性を有するアプタマーおよび(b)検出可能な分子を含む、複合体。
【請求項14】
表面タンパク質が、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである、請求項13記載の複合体。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項記載の少なくとも1つのアプタマーおよび必要に応じて水、塩、緩衝液、洗浄剤およびウシ血清アルブミン(BSA)のうち少なくとも1つを含む組成物。
【請求項16】
クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質(該表面タンパク質はスポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質)に対して特異的結合親和性を有するアプタマーを含む、バイオセンサーまたは試験紙。
【請求項17】
表面タンパク質が、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである、請求項16記載のバイオセンサー。
【請求項18】
アプタマーが、配列番号1~14および配列番号23~26の何れかに記載の核酸配列の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項17記載のバイオセンサー。
【請求項19】
アプタマーが、配列番号1~14および配列番号23~26の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する配列の少なくとも約30の連続ヌクレオチドを有する核酸配列を含む、請求項17記載のバイオセンサー。
【請求項20】
サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル芽胞の存在、不存在またはレベルを検出するための装置であって、
支持体、および
クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質(該表面タンパク質はスポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質)に対して特異的結合親和性を有するアプタマーを含む、装置。
【請求項21】
表面タンパク質が、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである、請求項20記載の装置。
【請求項22】
アプタマーが、配列番号1~14および配列番号23~26の何れかに記載の核酸配列の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項20記載の装置。
【請求項23】
アプタマーが、配列番号1~14および配列番号23~26の何れかと少なくとも90%の同一性を有する配列の少なくとも約30の連続ヌクレオチドを有する核酸配列を含む、請求項20記載の装置。
【請求項24】
サンプルが、クロストリジウム・ディフィシル感染が疑われる、またはクロストリジウム・ディフィシル感染と診断された対象から得られたサンプル;または
病院内に設置された物
である、請求項20~23のいずれか一項記載の装置。
【請求項25】
装置が、表面プラズモン共鳴(SPR)、生体層干渉法(BLI)、ラテラルフローアッセイおよび/または酵素結合オリゴヌクレオチドアッセイ(ELONA)に適している、請求項20~23のいずれか一項記載の装置。
【請求項26】
クロストリジウム・ディフィシル芽胞を検出、濃縮、分離および/または分離するための、請求項1~12のいずれか一項記載のアプタマー、請求項13~14のいずれか一項記載の複合体、請求項15記載の組成物、請求項16~19のいずれか一項記載のバイオセンサーもしくは試験紙、または請求項20~23のいずれか一項記載の装置の使用。
【請求項27】
サンプル中のクロストリジウム・ディフィシルの存在、不存在または量を検出する方法であって、
該サンプルと請求項1~12のいずれか一項記載のアプタマー、請求項13~14のいずれか一項記載の複合体または請求項15に記載の組成物とを接触させること;および
クロストリジウム・ディフィシル菌の存在、不存在または量を検出すること
を含む、方法。
【請求項28】
表面上のクロストリジウム・ディフィシル芽胞を可視化する方法であって、
クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質(該表面タンパク質はスポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質)に対して特異的な結合親和性を有するアプタマーを該表面に接触させること、および
表面上のクロストリジウム・ディフィシル芽胞の存在または非存在を視覚化すること
を含む、方法。
【請求項29】
表面タンパク質が、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
接触させることが、アプタマーがクロストリジウム・ディフィシル胞子に結合することを可能にするのに十分な所定時間、表面に接触させることを含む、請求項28記載の方法。
【請求項31】
接触させた後、結合していないアプタマーを除去するために表面を洗浄することをさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項32】
クロストリジウム・ディフィシル芽胞に結合したアプタマーを可視化し、それによってクロストリジウム・ディフィシル芽胞を検出することをさらに含む、請求項28~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
アプタマーが、配列番号1~14および配列番号23~26の何れかに記載の核酸配列の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項28~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
アプタマーが、配列番号1~14および配列番号23~26の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する配列の少なくとも約30の連続ヌクレオチドを有する核酸配列を含む、請求項28~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
アプタマーが検出可能な部位に複合体化され、それによってアプタマー複合体を形成している、請求項28~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
検出可能な部位がフルオロフォアである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
フルオロフォアが約500nmと510nmの間の波長で発光する、請求項36記載の方法。
【請求項38】
光源で表面を照射することをさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項39】
光源からの光が所定の波長を有し、該所定の波長がアプタマー複合体の検出可能な部分によって放出される光の波長に対応する、請求項38記載の方法。
【請求項40】
光源が、約485nmと515nmの間の波長で光を発生するように構成されている、請求項38記載の方法。
【請求項41】
光源によって発生された光をフィルタリングすることをさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項42】
光源から発生された光をバンドパスフィルターに通すことを含む、請求項38記載の方法。
【請求項43】
表面上の部位を撮影し、クロストリジウム・ディフィシル芽胞に結合した共役アプタマーの存在または不存在を検出することをさらに含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
クロストリジウム・ディフィシル芽胞を可視化するためのキットであって、
検出可能な部位を含むアプタマーであって、クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質(該表面タンパク質はスポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質)に対して特異的な結合親和性を有するアプタマー、
光源および
観察用ゴーグルを含む、キット。
【請求項45】
表面タンパク質が、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである、請求項44記載のキット。
【請求項46】
バンドパスフィルターをさらに含む、請求項44記載のキット。
【請求項47】
検出可能な部分が、約485nmから515nmの間の波長を発するフルオロフォアであり、
光源が、約485nmから515nmの間の波長を有する光を発生するように構成され;そして
観察用ゴーグルが、オレンジ色の観察用ゴーグルである、
請求項44~46のいずれか一項記載のキット。
【請求項48】
光源が約505nmの波長を有する光を発生する、請求項44~46のいずれか一項記載のキット。
【請求項49】
バンドパスフィルターが590nmのバンドパスフィルターである、請求項46に記載のキット。
【請求項50】
結合していないアプタマーを除去するための洗浄液をさらに含む、請求項44~46のいずれか一項記載のキット。
【請求項51】
アプタマーが緩衝液中に含まれる、請求項44~46のいずれか一項記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年6月5日出願の米国仮特許出願番号62/857,639および2020年2月28日出願の米国仮特許出願番号62/983,095の利益およびそれら基づく優先権を主張し、これらの各々の開示内容全体を引用により本明細書中に包含させる。
【0002】
配列表
本出願は、2020年6月1日に作成されたサイズ25,602バイトを有するファイル193519-010104_ST25.txtを含む、本明細書と共に提出された配列表を含み、その内容は引用により本明細書中に包含される。
【0003】
発明の分野
本発明の態様は、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile;C. difficileとも言う)の芽胞に特異的に結合するアプタマーおよびそれを使用する方法に関する。例えば、本発明の態様は、本明細書に記載のアプタマーを用いて、サンプル中のC. difficile細菌、例えば細菌芽胞の存在、不存在または量を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
クロストリジウム・ディフィシルは、グラム陽性の嫌気性芽胞菌であり、院内感染性および市中感染性病原菌である。C. difficile感染症(CDI)は、罹患率および死亡率の上昇を伴う世界的な感染症の主要原因となっている。抗生物質耐性の増加とC. difficile感染症に関連する死亡率の可能性を考慮すると、対策は極めて重要である。
【発明の概要】
【0005】
概要
本発明のいくつかの面は、クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質に対する特異的な結合親和性を有するアプタマーに関し、ここで、該表面タンパク質はスポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質である、アプタマーに関する。
【0006】
いくつかの態様において、表面タンパク質は、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである。いくつかの態様において、表面タンパク質は、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有するCdeCである。いくつかの態様において、表面タンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するCdeMである。いくつかの態様において、表面タンパク質は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を有するCotAである。いくつかの態様において、表面タンパク質は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有するCotEである。いくつかの態様において、表面タンパク質は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を有するCotEキチナーゼタンパク質である。
【0007】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14および配列番号23~26の何れかと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む。ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14および配列番号23~26の何れかと少なくとも90%の同一性を有する配列の少なくとも約30の連続ヌクレオチドを有する核酸配列を含む。
【0008】
ある態様において、アプタマーは、一本鎖DNAアプタマーである。
【0009】
ある態様において、アプタマーは、検出可能標識を含む。ある態様において、検出可能標識は、フルオロフォア、ナノ粒子、量子ドット、酵素、放射性同位体、予め定義された配列部分、ビオチン、デスチオビオチン、チオール基、アミン基、アジド、アミノアリル基、ジゴキシゲニン、抗体、触媒、コロイド状金属粒子、コロイド状非金属粒子、有機ポリマー、ラテックス粒子、ナノファイバー、ナノチューブ、デンドリマー、タンパク質、リポソームまたはそれらの組合せを含む。
【0010】
ある態様において、少なくとも1つのアプタマーを含む組成物を提供する。ある態様において、該組成物は、水、塩、緩衝液、洗浄剤およびウシ血清アルブミン(BSA)の少なくとも1つを含む。
【0011】
本発明のある面は、(a)クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質(該表面タンパク質はスポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質)に特異的な結合親和性を有するアプタマーと(b)検出可能な分子とを含む、複合体に関する。ある態様において、表面タンパク質は、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである。
【0012】
本発明のある面は、クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質に特異的な結合親和性を有するアプタマーを含み、ここで、該表面タンパク質は、スポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質である、バイオセンサーまたは試験紙に関する。ある態様において、表面タンパク質は、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである。ある態様において、アプタマーは、配列番号1から14および配列番号23から26の何れかに記載の核酸配列の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む。ある態様において、該アプタマーは、配列番号1から14および配列番号23から26の何れかと少なくとも90%の同一性を有する配列の少なくとも約30の連続ヌクレオチドを有する核酸配列を含む。
【0013】
本発明の他の面は、サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル芽胞の存在、不在またはレベルを検出するための装置に関し、該装置は、支持体と、クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質(該表面タンパク質は、スポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質)に特異的結合親和性を有するアプタマーを含む、装置に関する。ある態様において、表面タンパク質は、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである。ある態様において、アプタマーは、配列番号1から14および配列番号23から26の何れかに記載の核酸配列の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む。ある態様において、アプタマーは、配列番号1から14および配列番号23から26の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する配列の少なくとも約30の連続ヌクレオチドを有する核酸配列を含む。ある態様において、サンプルは、クロストリジウム・ディフィシル感染を有することが疑われるまたは感染していると診断された対象、あるいは病院内環境にある物から得られたサンプルである。ある態様において、装置は、表面プラズモン共鳴(SPR)、生体層干渉法(BLI)、側方流動アッセイおよび/または酵素結合オリゴヌクレオチドアッセイ(ELONA)に適している。
【0014】
本発明のある面において、クロストリジウム・ディフィシル芽胞を検出、濃縮、分離および/または単離するための、本明細書に記載のアプタマー、複合体、組成物、バイオセンサーもしくは試験紙または装置の使用が提供される。
【0015】
本発明のある面において、サンプル中のクロストリジウム・ディフィシルの存在、不存在または量を検出する方法が提供され、この方法は、サンプルを、本明細書に記載のアプタマー、複合体、組成物と接触させて、クロストリジウム・ディフィシルの存在、不存在または量を検出することを含む。
【0016】
本発明のある面は、表面上のクロストリジウム・ディフィシル芽胞を視覚化する方法に関し、該方法は、表面をクロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質(該表面タンパク質はスポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質)に特異的結合親和性を有するアプタマーと接触させることにより、表面上のクロストリジウム・ディフィシル芽胞の存在または不存在を視覚化することを含む。ある態様において、表面タンパク質は、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである。ある態様において、接触は、アプタマーがクロストリジウム・ディフィシル芽胞に結合することを可能にするのに十分な所定時間、該表面に接触させることを含む。
【0017】
ある態様において、本方法は、未結合のアプタマーを除去するために、接触後に表面を洗浄することをさらに含む。
【0018】
ある態様において、本方法は、クロストリジウム・ディフィシル芽胞に結合したアプタマーを可視化し、それによってクロストリジウム・ディフィシル芽胞を検出することをさらに含む。
【0019】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1から14および配列番号23から26の何れかに記載の核酸配列の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む。ある態様において、アプタマーは、配列番号1から14および配列番号23から26の何れか1つと少なくとも90%の同一性を有する配列の少なくとも約30の連続ヌクレオチドを有する核酸配列を含む。
【0020】
ある態様において、アプタマーは、検出可能な部位に結合され、それによってアプタマー複合体を形成する。ある態様において、検出可能な部位はフルオロフォアである。ある態様において、フルオロフォアは、約500nmと510nmの間の波長で発光する。
【0021】
ある態様において、本方法は、光源で表面を照明することをさらに含む。ある態様において、光源からの光は所定の波長を有し、所定の波長はアプタマー複合体の検出可能な部分によって放射される光の波長に対応する。ある態様において、光源は、約485nmと515nmとの間の波長で光を発生するように構成される。ある態様において、本方法は、光源によって発生された光をフィルタリングすることをさらに含む。ある態様において、本方法は、光源から発生された光をバンドパスフィルターに通すことを含む。
【0022】
ある態様において、本方法は、表面上の場所を撮影し、クロストリジウム・ディフィシル芽胞に結合した共役アプタマーの存在または不存在を検出することをさらに含む。
【0023】
本発明の他の面は、クロストリジウム・ディフィシル芽胞を視覚化するためのキットに関し、該キットは、(a)クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質(該表面タンパク質はスポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質)に特異的結合親和性を有し、検出可能な部分を含むアプタマー、(b)光源、および(c)観察用ゴーグル(viewing goggles)を含む。
【0024】
ある態様において、表面タンパク質は、CdeC、CdeM、CotA、CotEまたはCotEキチナーゼである。
【0025】
ある態様において、キットは、バンドパスフィルターをさらに含む。
【0026】
ある態様において、検出可能な部分は、約485nmから515nmの間の波長を発生するフルオロフォアであり、光源は、約485nmから515nmの間の波長を有する光を発生するように構成され、観察用ゴーグルは、オレンジ色を観察するゴーグルである。
【0027】
ある態様において、光源は、約505nmの波長を有する光を発生する。
【0028】
ある態様において、バンドパスフィルターは、590nmのバンドパスフィルターである。
【0029】
ある態様において、キットは、未結合のアプタマーを除去するための洗浄液をさらに含む。
【0030】
ある態様において、アプタマーは緩衝液中に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の態様は、添付の図面と合わせて見ると、より良く理解され得る。本発明を説明する目的で、図面には、好ましい態様が示されている。しかしながら、本発明は、図示された詳細な配置(arrangements)および構成(instrumentalities)に限定されるものではないことが理解される。
【0032】
【
図1】
図1は、クロストリジウム・ディフィシルCdeCタンパク質のアミノ酸配列(配列番号18)を示す。
【
図2】
図2は、クロストリジウム・ディフィシルCdeMタンパク質のアミノ酸配列(配列番号19)を示す。
【
図3】
図3は、クロストリジウム・ディフィシルCotAタンパク質のアミノ酸配列(配列番号15)を示す。
【
図4】
図4は、クロストリジウム・ディフィシルCotEタンパク質のアミノ酸配列(配列番号16)を示す。
【
図5】
図5Aは、クロストリジウム・ディフィシルCotEタンパク質(N281-F712)C-末端His-タグ(MW 48,722Da)のアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
図5Bは、クロストリジウム・ディフィシルrCotECキチナーゼタンパク質(P381-F712)C-末端His-タグ(MW 36,875Da)のアミノ酸配列(配列番号17)を示す。
【
図6】
図6は、本発明のいくつかの態様による、CotA添加ビーズからのアプタマー回収(各データセットの左側)とブランクビーズからのアプタマー回収(各データセットの右側)とを比較するアッセイにおける連続選択ラウンド後のアプタマー回収を示す。
【
図7】
図7は、本発明のいくつかの態様による、CdeC添加時のアプタマー回収量(各データセットの左側)と、ブランクビーズからのアプタマー回収量(各データセットの右側)とを比較するアッセイにおける連続選択ラウンド後のアプタマー回収量を示す。
【
図8】
図8は、本発明のいくつかの態様による、CdeM添加ビーズからのアプタマー回収量(各データセットの左側)と、ブランクビーズからのアプタマー回収量(各データセットの右側)とを比較するアッセイにおける連続選択ラウンド後のアプタマー回収量を示す。
【
図9】
図9は、本発明のいくつかの態様による、CotE添加ビーズからのアプタマー回収量(各データセットの左側)と、ブランクビーズからのアプタマー回収量(各データセットの右側)とを比較するアッセイにおける連続選択ラウンド後のアプタマー回収量を示す。
【0033】
【
図10】
図10は、本発明のいくつかの態様による、CotECキナーゼ添加ビーズからのアプタマー回収量(各データセットの左側)と、ブランクビーズからのアプタマー回収量(各データセットの右側)とを比較するアッセイにおける連続選択ラウンド後のアプタマー回収量を示す。
【
図11】
図11は、本発明のいくつかの態様による、固定化CotAと天然ライブラリー(天然アプタマープール)との間の相互作用、または固定化CotAと精製されたアプタマー集団(CotAアプタマープール)との間の相互作用を比較する生体層干渉法(BLI)データを示すである。
【
図12】
図12は、本発明のいくつかの態様による、固定化CdeCと天然ライブラリー(天然アプタマープール)との間の相互作用、または固定化CdeCと精製されたアプタマー集団(CdeCアプタマープール)との間の相互作用を比較する生体層干渉法(BLI)データを示す。
【
図13】
図13は、本発明のいくつかの態様による、固定化CdeMと天然ライブラリー(天然アプタマープール)との間の相互作用、または固定化CdeMと精製されたアプタマー集団(CdeMアプタマープール)との間の相互作用を比較する生体層干渉法(BLI)データを示す。
【
図14】
図14は、本発明のいくつかの態様による、固定化CotEと天然ライブラリー(天然アプタマープール)との間の相互作用、または固定化CotEと精製されたアプタマー集団(rCotECアプタマープール)との間の相互作用を比較する生体層干渉法(BLI)データを示す。
【
図15】
図15は、本発明のいくつかの態様による、固定化CotECキチナーゼと天然ライブラリー(天然アプタマープール)との間の相互作用、または固定化CotECキチナーゼと精製されたアプタマー集団(CotECアプタマープール)との間の相互作用を比較する生体層干渉法(BLI)データを示す。
【
図16】
図16は、芽胞(胞子)ベースの選択の連続ラウンドからのアプタマー回収率%を示す。本発明のいくつかの態様による、それぞれのアプタマー集団(それらのタンパク質標的に対して命名された-CotA)について、クロストリジウム・ディフィシル芽胞(CD)からのアプタマー回収と枯草菌胞子(BS)からの回収とを比較する。
【0034】
【
図17】
図17は、胞子ベースの選択の連続ラウンドからのアプタマー回収率%を示す。本発明のいくつかの態様による、それぞれのアプタマー集団(それらのタンパク質標的に対して命名された-CdeC)について、クロストリジウム・ディフィシル芽胞(CD)からのアプタマー回収と枯草菌胞子(BS)からの回収とを比較する。
【
図18】
図18は、胞子ベースの選択の連続ラウンドからのアプタマー回収率%を示す。本発明のいくつかの態様による、それぞれのアプタマー集団(それらのタンパク質標的に対して命名された-CdeM)について、クロストリジウム・ディフィシル芽胞(CD)からのアプタマー回収と枯草菌胞子(BS)からの回収とを比較する。
【
図19】
図19は、胞子ベースの選択の連続ラウンドからのアプタマー回収率%を示す。本発明のいくつかの態様による、それぞれのアプタマー集団(それらのタンパク質標的に対して命名された-CotE)について、クロストリジウム・ディフィシル芽胞(CD)からのアプタマー回収と枯草菌胞子(BS)からの回収とを比較する。
【
図20】
図20は、胞子ベースの選択の連続ラウンドからのアプタマー回収率%を示す;本発明のいくつかの態様による、それぞれのアプタマー集団(それらのタンパク質標的に対して命名された-CotEC)について、クロストリジウム・ディフィシル芽胞(CD)からのアプタマー回収と枯草菌胞子(BS)からの回収とを比較する。
【0035】
【
図21】
図21は、本発明のいくつかの態様による明視野画像(左)および落射蛍光画像(右)を示す。クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)芽胞はイメージ上部に局在し、枯草菌(B.subtilis)芽胞はイメージ下部に局在している。局在化したC. difficile芽胞の落射蛍光画像(右上)は、C. difficile芽胞と共局在化する蛍光スポットを示し、これは、C. difficile芽胞へのCotAに対して選択した蛍光標識アプタマー集団の結合を示している。蛍光シグナルを示す芽胞は、わかりやすくするために丸でハイライトされている。比較のため、局在化した枯草菌芽胞の落射蛍光画像(右下)を示す。黒枠は、レンズ上の汚れを示す。
【
図22】
図22は、本発明のいくつかの態様による明視野画像(左)および落射蛍光画像(右)を示す。C. difficile芽胞はイメージ上部に局在し、B. subtilis芽胞はイメージ下部に局在する。局在化したC. difficile芽胞の落射蛍光画像(右上)は、C. difficile芽胞と共局在化する蛍光スポットを示し、これは、C. difficile芽胞へのCdeCに対して選択した蛍光標識アプタマー集団の結合を示す。蛍光シグナルを示す胞子は、わかりやすくするために丸でハイライトされている。比較のため、局在化した枯草菌芽胞の落射蛍光画像(右下)を示す。黒枠は、レンズ上の汚れを示す。
【
図23】
図23は、本発明のいくつかの態様による明視野画像(左)および落射蛍光画像(右)を示す。C. difficile芽胞はイメージ上部に局在し、B. subtilis芽胞はイメージ下部に局在する。局在化したC. difficile芽胞の落射蛍光画像(右上)は、C. difficile芽胞と共局在化する蛍光スポットを示し、これは、C. difficile芽胞へのCdeMに対して選択した蛍光標識アプタマー集団の結合を示す。蛍光シグナルを示す胞子は、わかりやすくするために丸でハイライトされている。比較のため、局在化した枯草菌芽胞の落射蛍光画像(右下)を示す。黒枠は、レンズ上の汚れを示す。
【
図24】
図24は、本発明のいくつかの態様による明視野画像(左)および落射蛍光画像(右)を示す。C. difficile芽胞はイメージ上部に局在し、B. subtilis芽胞はイメージ下部に局在する。局在化したC. difficile芽胞の落射蛍光画像(右上)は、C. difficile芽胞と共局在化する蛍光スポットを示し、これは、C. difficile芽胞へのCotEに対して選択した蛍光標識アプタマー集団の結合を示す。蛍光シグナルを示す胞子は、わかりやすくするために丸でハイライトされている。比較のため、局在化した枯草菌芽胞の落射蛍光画像(右下)を示す。黒枠は、レンズ上の汚れを示す。
【0036】
【
図25】
図25Aおよび25Bは、本発明のいくつかの態様による明視野画像(左)および落射蛍光画像(右)を示す。C. difficile芽胞はイメージ上部に局在し、B. subtilis芽胞はイメージ下部に局在する。局在化したC. difficile芽胞の落射蛍光画像(右上)は、C. difficile芽胞と共局在化する蛍光スポットを示し、これは、C. difficile芽胞へのCotECに対して選択した蛍光標識アプタマー集団の結合を示す。蛍光シグナルを示す胞子は、わかりやすくするために丸でハイライトされている。比較のため、局在化した枯草菌芽胞の落射蛍光画像(右下)を示す。
図25Aは、3ラウンドの細胞選択後の蛍光標識されたアプタマー集団の結果を示す。
図25Bは、4ラウンドの細胞選択後の蛍光標識されたアプタマー集団の結果を示す。黒枠は、レンズ上の汚れを示す。
【
図26】
図26は、本発明のいくつかの態様による、固定化CotAと天然ライブラリー(Naive)または固定化CotAとモノクローナルアプタマー:CotA C1(CotA C1)およびCotA B1(CotA B1)との間の相互作用を比較する生体層干渉法(BLI)データを示す。
【
図27】
図27は、本発明のいくつかの態様による、固定化CdeCと天然ライブラリー(Naive)または固定化CdeCとモノクローナルアプタマーCdeC B3(CdeC B3)との間の相互作用を比較する生物層干渉法(BLI)データを示す。
【
図28】
図28は、本発明のいくつかの態様による、固定化CdeMと天然ライブラリー(Naive)または固定化CdeMとモノクローナルアプタマーCdeM E2(CdeM E2)との間の相互作用を比較する生物層干渉法(BLI)データを示す。
【
図29】
図29は、本発明のいくつかの態様による、固定化CotEと天然ライブラリー(Naive)または固定化CotEとモノクローナルアプタマー:CotE D2(CotE D2)およびCotE G1(CotE G1)との間の相互作用を比較する生物層干渉法(BLI)データを示す。
【0037】
【
図30】
図30は、本発明のいくつかの態様による、固定化CotECキチナーゼと天然ライブラリー(Naive)または固定化CotECキチナーゼとモノクローナルアプタマー:キチナーゼD11(Chitinase D11)、キチナーゼD10(Chitinase D10)およびキチナーゼH11(Chitinase H11)との間の相互作用を比較する生体層干渉法(BLI)データを示す。
【
図31】
図31Aから
図31Eは、本発明のいくつかの態様による、Polilight Flare+2 フォレンジックライト(505nm)なし、および590nmバンドパスフィルターなしの周囲光条件下でのステンレススチール表面上の試験サンプルの写真を示す。比較のために、
図31Aは、未処理のステンレススチール表面(陰性対照1)を図示し、
図31Bは、クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞(陰性対照2)を図示し、
図31Cは、馬血液(陰性対照3)を図示し、
図31Dは、バッファ中の10μM CotE H2アプタマー(陽性対照4)を図示し、
図31Eは、10μM CotE H2アプタマー-クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞懸濁液を図示している。
【
図32】
図32Aから
図32Eは、本発明のいくつかの態様による、Polilight Flare+2 フォレンジックライト(505nm)あり、および590nmバンドパスフィルターなしの周囲光条件下でのステンレススチール表面上の試験サンプルの写真を示す。比較のために、
図32Aは、未処理のステンレススチール表面(陰性対照1)を図示し、
図32Bは、クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞(陰性対照2)を図示し、
図32Cは、馬血液(陰性対照3)を図示し、
図32Dは、バッファ中の10μM CotE H2アプタマー(陽性対照4)を図示し、
図32Eは、10μM CotE H2アプタマー-クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞懸濁液を図示している。
【
図33】
図33Aから
図33Eは、本発明のいくつかの態様による、Polilight Flare+2フォレンジックライト(505nm)あり、および590nmバンドパスフィルターありの周囲光条件下でのステンレススチール表面上の試験サンプルの写真を示す。比較のために、
図33Aは、未処理のステンレススチール表面(陰性対照1)を図示し、
図33Bは、クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞(陰性対照2)を図示し、
図33Cは、馬血液(陰性対照3)を図示し、
図33Dは、バッファ中の10μM CotE H2アプタマー(陽性対照4)を図示し、
図33Eは、10μM CotE H2アプタマー-クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞懸濁液を図示している。
【0038】
【
図34】
図34Aから
図34Eは、本発明のいくつかの態様による、Polilight Flare+2フォレンジックライト(505nm)に曝露し、かつ590nmバンドパスフィルターを用いた、暗条件下での、ステンレススチール表面上の試験サンプルの写真を示す。比較のために、
図34Aは、未処理のステンレススチール表面(陰性対照1)を図示し、
図34Bは、クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞(陰性対照2)を図示し、
図34Cは、馬血液(陰性対照3)を図示し、
図34Dは、バッファ中の10μM CotE H2アプタマー(陽性対照4)を図示し、
図34Eは、10μM CotE H2アプタマー-クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞懸濁液を図示している。
【
図35】
図35Aから
図35Eは、本発明のいくつかの態様による、Polilight Flare+2フォレンジックライト(505nm)なし、および590nmバンドパスフィルターなしの周囲光条件下でのガウン表面上の試験サンプルの写真を示す。比較のために、
図35Aは、未処理のステンレススチール表面(陰性対照1)を図示し、
図35Bは、クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞(陰性対照2)を図示し、
図35Cは、馬血液(陰性対照3)を図示し、
図35Dは、バッファ中の10μM CotE H2アプタマー(陽性対照4)を図示し、そして
図35Eは、10μM CotE H2アプタマー-クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞懸濁液を図示している。
【
図36】
図36Aから
図36Eは、本発明のいくつかの態様による、Polilight Flare+2フォレンジックライト(505nm)あり、590nmバンドパスフィルターなしの周囲光条件下でのガウン表面上の試験サンプルの写真を示す。比較のために、
図36Aは、未処理のステンレススチール表面(陰性対照1)を図示し、
図36Bは、クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞(陰性対照2)を図示し、
図36Cは、馬血液(陰性対照3)を図示し、
図36Dは、バッファ中の10μM CotE H2アプタマー(陽性対照4)を図示し、そして
図36Eは、10μM CotE H2 アプタマー-クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞懸濁液を図示している。
【0039】
【
図37】
図37Aから
図37Eは、本発明のいくつかの態様による、Polilight Flare+2フォレンジックライト(505nm)および590nmバンドパスフィルターありの周囲光条件下でのガウン表面上の試験サンプルの写真を示す。比較のために、
図37Aは、未処理のステンレススチール表面(陰性対照1)を図示し、
図37Bは、クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞(陰性対照2)を図示し、
図37Cは、馬血液(陰性対照3)を図示し、
図37Dは、バッファ中の10μM CotE H2アプタマー(陽性対照4)を図示し、そして
図37Eは、10μM CotE H2 アプタマー-クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞懸濁液を図示している。
【
図38】
図38Aから
図38Eは、本発明のいくつかの態様による、Polilight Flare+2フォレンジックライト(505nm)および590nmバンドパスフィルターを用いた暗条件下でのステンレススチール表面上の試験サンプルの写真を示す。比較のために、
図38Aは、未処理のステンレススチール表面(陰性対照1)を図示し、
図38Bは、クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞(陰性対照2)を図示し、
図38Cは、馬血液(陰性対照3)を図示し、
図38Dは、バッファ中の10μM CotE H2アプタマー(陽性対照4)を図示し、そして
図38Eは、10μM CotE H2 アプタマー-クロストリジウム・ディフィシルSH11芽胞懸濁液を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
クロストリジウム・ディフィシル
クロストリジウム・ディフィシル(C. difficileともいう)は、グラム陽性、嫌気性の芽胞を形成する菌であり、重要な病院内および市中獲得病原性細菌である。C. difficile感染症(CDI)は、高い罹患率および死亡率を伴う世界的な感染症の主要原因となっている。2つの主要な病原性因子であるエンテロトキシンTcdAおよびサイトトキシンTcdBがCDIの発症に不可欠であるけれども、C. difficile芽胞が、感染、およびCDIの継続および伝播の主要な運び屋であり、かつCDI再発および水平伝播に必須の役割を果たしていると考えられている。
【0041】
クロストリジウム・ディフィシル細菌は、例えば土壌、空気、水、食品ならびにヒトおよび動物の糞便など、環境全体に見出される。少数のヒトが、何の症状も示さずにC. difficileを腸管内に保有している。しかし、他の対象では、C. difficile菌に感染すると、下痢から生命を脅かす大腸の炎症に至るまで、様々な症状を引き起こす可能性がある。C. difficile感染症の合併症には、脱水、腎不全、中毒性巨大結腸症、腸穿孔、そして感染が迅速に制御されない場合には死亡さえも含まれ得る。
【0042】
病院または長期介護施設にいる高齢者は、クロストリジウム・ディフィシル細菌によく感染する。C. difficileに感染するリスクがより高い対象としては、抗生物質の服用者、免疫系の低下者、腹部または消化器系の手術を受けた者などが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、C. difficile感染症の死亡率は、病院内の虚弱な高齢者では最大25%になることがあり、抗生物質療法が正常な腸内細菌叢を破壊し、C. difficileが他の感染症の治療に用いられる多くの薬剤に対してもともと耐性であるために、その毒素産成を可能にしてコロニー形成および増殖を可能にすると考えられる。
【0043】
以前はリスクが低いと考えられていた対象、例えば、医療施設に接触していない若年層およびその他の健康な個体におけるC. difficile感染症の増加も、近年見られるようになってきた。C. difficileの新しい株である027型が最近同定され、これは他のほとんどの型のC. difficileよりも多くの毒素を産生し、重症化する割合が高く、死亡率が明らかに高くなることが示されている。
【0044】
米国における成人のCDI治療の第一選択薬は、重症および非重症CDIの両方に対してバンコマイシン(125mg、1日4回、10日間)またはフィダキソマイシン(200mg、1日2回、10日間)である。英国では、軽度から中等度のC. difficile感染症の初回エピソードの治療にはメトロニダゾール(400mgまたは500mg、1日3回、10~14日間)が第一選択薬とされており、2回目のエピソードまたは感染が重度の場合は、バンコマイシン(125mg、1日4回、10~14日間)が検討される。感染症は、体温や白血球数の上昇、クレアチニンの上昇、または重度の大腸炎の徴候もしくは症状があるとき、重症と定義される。バンコマイシンは、027型株によって引き起こされる感染症にも用いられ得る。感染が再発した場合は、バンコマイシンまたはフィダキソマイシン(200mg、1日2回、10日間)が用いられ得る。重症の場合は、手術で腸の感染部分を切除しなければならないこともある。
【0045】
C. difficileの芽胞は、糞便中に排出され、洗っていない手を介して食物、表面および物に伝播し得る。芽胞は表面上に数週間または数ヶ月間存在し得て、かかる表面との接触を介して伝播し得る。
【0046】
抗生物質耐性の上昇およびC. difficile感染症に関連する潜在的死亡率を考慮すると、管理対策が最も重要である。現在の対策には、看護師および医師のような医療提供者が以下のようなプロトコルに従うことが含まれる:
・ C. difficile細菌およびその他の細菌が患者の手から他の患者に移るのを防ぐため、すべての患者の世話をする前後に石鹸および水またはアルコールベースの手指消毒剤で手をきれい洗浄すること。
・CDI患者に用いた病室および医療器具を丁寧に洗浄すること。
・必要な場合にのみ、患者に抗生物質を投与すること。
・ C. difficile が他の患者に拡がるのを防ぐために、接触予防策を用いること。接触予防策とは、以下を意味する:
-可能な限り、C. difficile細菌を有する患者を個室または他のC. difficile細菌を有する患者と同室にする。
-C. difficile細菌を有する患者の世話をしている間、医療従事者は手袋および衣服の上にガウンを着用する。
-見舞い客は手袋およびガウンを着用する。
-C. difficile細菌を有する患者の部屋を出るときは、手袋およびガウンを外し、手を洗浄する。
-接触予防策をとっている患者には、できる限り病室で過ごすよう求める。処置および検査のために病院内の他の場所に行くことは可能である。
【0047】
これらの予防措置にもかかわらず、C. difficileは依然として重大な医療問題であり、したがって、その拡がりを最小限に抑えるために、環境中のC. difficileの存在を迅速に特定する必要性がある。
【0048】
本明細書に記載の態様は、先行技術において特定された問題のいくつかを少なくとも部分的に軽減することができる。
【0049】
本明細書に記載の態様は、C. difficileの検出において有用性を有する方法および製品を提供し得る。
【0050】
本発明の態様のさらなる特徴を以下に記載する。本発明の態様の実施は、特記しない限り、当業者に公知の分子生物学、微生物学、組換えDNA技術および免疫学の従来技術を用い得る。
【0051】
ほとんどの一般的な分子生物学、微生物学、組換えDNA技術および免疫学的技術は、Sambrookらの、Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2001) Cold Harbor-Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. またはAusubelらの、Current protocols in molecular biology (1990) John Wiley and Sons, N.Y.に見出され得る。本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、別途定義しない限り、当業者によって通常理解されている意味と同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press; The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., Academic Press; および、Oxford University Pressは、本明細書で用いる多くの用語の一般辞書を当業者に提供するものである。
【0052】
単位、接頭辞および記号は、国際単位系(Systeme International d' Unites:SI)で認められた形式で示される。数値範囲は、その範囲を定義する数値を含む。特記しない限り、アミノ酸配列は、アミノ側からカルボキシ側の方向で左から右に列記し、核酸配列は5’から3’の方向で左から右に列記する。
【0053】
以下、限定されない例によってある態様をより詳細に説明する。限定されない例示的な試験では、特記しない限り、汚染のない標準的な試薬および緩衝液を用いた。
【0054】
ある態様は、C. difficileに特異的に結合することができるアプタマーを含む。
【0055】
特定の態様において、C. difficileは、SH11(リボタイプRT078)株、027型株およびATCC(登録商標)43598株から選択される株である。特定の態様において、アプタマーは、SH11株のC. difficile芽胞に結合することができる。特定の態様において、アプタマーは、027型株のC. difficile芽胞に結合することができる。特定の態様において、アプタマーは、ATCC(登録商標)43598株のC. difficile芽胞に結合することができる。
【0056】
ある態様は、C. difficile芽胞に結合するアプタマーに関する。ある態様は、C. difficileスポアコートタンパク質に結合するアプタマーを含む。
【0057】
C.difficileは、代謝的に休眠状態の胞子を産生する。胞子(芽胞)は、多数の表面タンパク質を含み得る最外層のエキソスポリウム層を含む。エキソスポリウム層は、BclA1、BclA2、BclA3、CdeA、CdeB、CdeCおよびCdeMから選択される1以上のタンパク質を含み得る。cotA、cotB、cotCB、cotD、cotEの5つのコートタンパク質が胞子の外被層に発現していることが示された。
【0058】
これらの1以上のタンパク質は、本明細書に記載の1以上のアプタマーの標的であってもよく、本明細書に記載の1以上のアプタマーによるそれらの1以上への結合は、本明細書に記載のC. difficileの検出方法の基礎となり得る。
【0059】
いくつかの態様において、アプタマーは、以下の表1に列挙されるC. difficileスポアコートタンパク質に特異的に結合する。
【表1】
【0060】
標的タンパク質
ある態様において、アプタマーは本明細書に記載の標的に特異的に結合する。本明細書で用いる用語“標的”は、C. difficile CotAタンパク質、C. difficile CotEタンパク質、C. difficile CdeCタンパク質、C. difficile CdeMタンパク質、C. difficile CotECキチナーゼタンパク質、およびC. difficile 胞子の少なくとも1つ選択された分子に関して用いられる。本明細書で用いる用語“標的タンパク質”および“標的ペプチド”は互換的に用いられる。
【0061】
ある態様において、アプタマーは、C. difficile胞子全体に対して選択される。したがって、ある態様において、アプタマーは、C. difficile胞子に選択的に結合する。
【0062】
ある態様において、アプタマーは、C. difficile胞子のエキソスポリウム層の表面タンパク質(例えば、CdeC、CdeM)に特異的に結合する。ある態様において、アプタマーは、C. difficile胞子のコートタンパク質(例えば、CotA、CotE、CotEC)に特異的に結合する。
【0063】
ある態様において、標的タンパク質は、表2に列記された天然標的タンパク質または組換え標的タンパク質であり得て、本明細書に記載の1つまたは複数のアプタマーの標的であってよい:
【0064】
【0065】
CdeC
ある態様において、アプタマーは、C. difficile CdeCタンパク質に特異的に結合する。CdeCのアミノ酸配列は、UniProtKB-Q18AS2 (Q18AS2_PEPD6) バージョン1に記載されており、
図1(配列番号18)に示される。
【0066】
ある態様において、アプタマーは、C. difficile細菌株間で保存されているCdeCタンパク質のエピトープに結合する。従って、ある態様において、アプタマーは、サンプル中の複数のC. difficile細菌株を検出するために用いられる。
【0067】
CdeM
ある態様において、アプタマーは、C. difficile表面結合型CdeMタンパク質のアミノ酸配列に選択的に結合する。CdeMは、胞子の被膜およびエキソスポリウム層の形態形成に必要とされることが理解されているシステインリッチタンパク質である。C. difficileタンパク質のアミノ酸配列は、UniProtKB-A0A3T1GTU1(A0A3T1GTU1_CLODI)(バージョン1)に記載されており、
図2(配列番号19)に示されている。
【0068】
ある態様において、アプタマーは、C. difficile細菌株間で保存されているCdeMタンパク質のエピトープに結合する。したがって、ある態様において、アプタマーは、サンプル中の複数のC. difficile株を検出するために用いられる。
【0069】
ある態様において、胞子はスポアコートを含む。スポアコートは、例えばCotAおよびCotBを含むがこれらに限定されない複数のタンパク質を含み得る。
【0070】
CotA
ある態様において、アプタマーは、C. difficile CotA遺伝子によってコードされるタンパク質に特異的に結合する。このタンパク質は、本明細書において、CotAまたは“スポアコートアセンブリタンパク質”の何れかとして言及されることがある。
【0071】
CotAのアミノ酸配列は、UniProtKB受託番号No.Q186G8(Q186G8_PEPD6)バージョン1に記載されており、
図3(配列番号15)に示されている。
【0072】
CotEおよびCotECキチナーゼ
ある態様において、アプタマーは、CotE遺伝子によってコードされるC. difficileタンパク質に特異的に結合する。CotEタンパク質(ペルオキシレドキシンとも呼ばれる)のアミノ酸配列は、受託番号UniProtKB-Q18BV5 (Q18BV5_PEPD6) に記載されており、
図4(配列番号16)に示されている。
【0073】
ある態様において、アプタマーは、“rCotE”(LS25とも呼ばれる)と称されるCotEの組換え形態にも結合した。rCotEのアミノ酸配列は、
図5Aに示され、アミノ酸残基N281-F712(配列番号20)からなる。この組換えタンパク質は、
図5Aに示すように、キチナーゼドメインおよびCotEに特有の配列を含む。
【0074】
ある態様において、アプタマーは、“rCotEC”(AB45とも呼ばれる)と称される組換えC. difficileタンパク質に特異的に結合する。rCotECのアミノ酸配列は、
図5Bに示されており、アミノ酸残基N381-F712(配列番号17)からなる。
【0075】
ある態様において、アプタマーは、Hisタグ付きrCotECタンパク質を含むがこれに限定されない、タグ付きrCotECタンパク質に対して選択される。
【0076】
ある態様において、アプタマーは、Hisタグ付きC.Difficileタンパク質を含むがこれに限定されない、タグ付き組換えC.Difficileタンパク質に対して選択される。タンパク質精製を支援するために当技術分野で一般的に使用される他のタンパク質タグも同様に用いられ得る。
【0077】
ある態様において、アプタマーは、C. difficileの全胞子に対して選択される。したがって、ある態様において、アプタマーは、C. difficileの胞子に選択的に結合する。
【0078】
一態様において、アプタマーは、C. difficile CotAタンパク質中のエピトープに特異的に結合する。
【0079】
一態様において、アプタマーは、C. difficile CotEタンパク質中のエピトープに特異的に結合する。
【0080】
一態様において、アプタマーは、C. difficile CdeCタンパク質中のエピトープに特異的に結合する。
【0081】
一態様において、アプタマーは、C. difficile CdeMタンパク質中のエピトープに特異的に結合する。
【0082】
一態様において、アプタマーは、C. difficile CotECキチナーゼタンパク質中のエピトープに特異的に結合する。
【0083】
アプタマーは、標的タンパク質に優先的または高い親和性で結合するが、他の構造的に関連する分子(例えば、枯草菌胞子)には結合しないかまたは低い親和性のみで結合する場合、本明細書に定義するように標的に“特異的に”結合する。ある態様において、標的タンパク質に対する解離定数は、ナノモル範囲にある。ある態様において、標的タンパク質に対する解離定数は、ピコモル範囲にある。ある態様において、解離定数は、約0.1nM以下である。ある態様において、解離定数は、約0.1nM~約1nMである。ある態様において、解離定数は、約1nM~約10nMである。ある態様において、解離定数は、約10nM~約100nMである。ある態様において、解離定数は、約100nM~約1000nMである。低親和性結合は、標的タンパク質に対するよりも低い親和性で生じる結合を意味し得る。低親和性結合は、標的タンパク質に対する結合の1倍未満~2倍、2倍未満~5倍、5倍未満~10倍、10倍未満~50倍、50倍未満~100倍、100倍未満~1000倍、1000倍未満~10000倍、または10000倍未満~100000倍の範囲から選択されてもよい。
【0084】
アプタマー
本明細書に記載されたアプタマーは、高い親和性と特異性をもって本明細書に定義される標的に特異的に結合することができる、DNA、RNAまたはその修飾物を含む、小さな人工リガンドである。
【0085】
本明細書で用いる“アプタマー”、“核酸分子”または“オリゴヌクレオチド”は、本明細書で定義される標的に対して望ましい作用を有する非天然核酸分子を意味するために互換的に用いられる。
【0086】
ある態様において、アプタマーは、DNAアプタマーであってもよい。例えば、アプタマーは、一本鎖DNA(ssDNA)から形成されてもよい。ある態様において、アプタマーは、RNAアプタマーであってもよい。例えば、アプタマーは、一本鎖RNA(ssRNA)から形成され得る。
【0087】
ある態様において、表3に示される核酸配列から選択される核酸配列を含むアプタマーが提供される。
【0088】
【0089】
プライマー領域は太字とイタリック体で示した:
【表4-1】
【表4-2】
【0090】
ある態様において、アプタマーは、RNAアプタマーであり、配列番号1から14および配列番号23から26に記載の配列の何れかにおけるデオキシリボヌクレオチドの1つまたは一部または全部がそれらの同等のリボヌクレオチド残基AMP、GMP、UMPまたはCMPに置換されている配列を含む。
【0091】
本発明の態様のアプタマーは、本明細書に記載の修飾核酸を含み得る。
【0092】
ある態様において、本発明のアプタマーは、標的結合、分割(partitioning)および標的結合配列の優先的増幅の反復サイクルを含む、当技術分野で既知のインビトロ選択の原理を用いて調製される。選択は、固定化された標的タンパク質を用いて実施することができる。固定化には、固体表面への固定化が含まれるが、これに限定されない。限定されない例において、固体表面はビーズであってもよい。限定されない例において、固体表面は、磁気ビーズであってもよい。
【0093】
増幅方法の限定されない例としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ライゲーション増幅(または、リガーゼ連鎖反応、LCR)、鎖置換増幅、核酸配列ベースの増幅およびQ-βレプリカーゼの使用に基づく増幅方法などが挙げられる。限定されない態様において、少なくとも1種類のアプタマーは、増幅中に固体表面上に固定化されてもよい。これらの例示的な方法の各々は、当技術分野において周知である。
【0094】
ある態様において、アプタマーは、一本鎖DNAまたはRNA核酸分子ライブラリーのような核酸分子ライブラリーから選択される。アプタマーは、選択された任意のアプタマーが、リストされたアッセイ形式の何れかに変換するためにほとんどまたは全く改変を必要としないように設計された“ユニバーサルアプタマー選択ライブラリー”から選択されてもよい。
【0095】
一旦選択されると、アプタマーは、例えば、標的結合に必要でないプライマー配列および/またはランダム化配列の部分の一方または両方を除去するために、使用前にさらに修飾されてもよい。
【0096】
一般的には、本発明の態様のアプタマーは、第1のプライマー領域(例えば、5’末端)、第2のプライマー領域(例えば、3’末端)、またはその両方を含む。プライマー領域は、ライブラリーおよび選択されたアプタマーのPCR増幅のためのプライマー結合部位として機能し得る。
【0097】
当業者は、例えば、出発ライブラリーおよび/またはアプタマー選択プロトコルに依存して、異なるプライマー配列が選択され得ることを理解し得る。ある態様において、プライマーは、配列番号21および/または22の核酸配列を含むか、またはそれからなる。一態様において、アプタマーは、配列番号21および/または22を含んでもよい。他の態様において、配列番号21または22に記載されるヌクレオチドの1つから全ての何れかが修飾されていてもよい。プライマー領域の長さもまた、変化させてもよい。
【0098】
ある態様において、プライマーは、表5に示される。
【表5】
【0099】
第1のプライマー領域および/または第2の領域は、本明細書に記載の検出可能な標識を含んでいてもよい。本明細書で用いられる用語“検出可能な標識”および“検出可能な部分”は、互換的に用いられる。一態様において、第1のプライマー領域および/または第2のプライマー領域は、蛍光標識されていてもよい。蛍光標識の限定されない例としては、フルオレセイン、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、およびその他が挙げられるが、これらに限定されない。一態様において、フルオレセイン標識が用いられる。ある態様において、ホスフェート(PO4)標識、同位体標識、電気化学センサー、比色バイオセンサーなどを含むがこれらに限定されない、プライマーを検出する他の形態が用いられ得る。
【0100】
ある態様において、本発明のアプタマーは、配列番号1~14から選択される何れか1つの核酸配列を含む、またはそれらから構成される。
【0101】
ある態様において、本発明のアプタマーは、配列番号1~14および配列番号23~26の何れか1つのヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれ以上の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれから構成される。
【0102】
本明細書で用いる“配列同一性”とは、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して最大の配列同一性パーセントを達成した後に、前記配列中のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドのパーセント(割合)を意味する。核酸配列同一性パーセントを決定する目的のアライメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、CLUSTALWまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公に利用可能なコンピュータソフトウェアを用いて、当業者の範囲内にある種々の方法で達成することができる。例えば、核酸配列同一性%値は、欧州バイオインフォマティクス研究所のウェブサイト(www.ebi.ac.uk)にある配列比較コンピュータプログラムを用いて算出することができる。
【0103】
本明細書で用いる、アプタマーなどの、その配列が参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば約90%同一である核酸のパーセント同一性を記載するとき、核酸配列が、参照核酸配列の各100ヌクレオチド当たり最大10個の変異(例えば、置換、欠損、挿入)を含み得ること以外は参照配列と同一であることを意図するものである。これらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位置、またはそれらの5’もしくは3’末端位置間の任意の場所で、参照配列内のヌクレオチド間で個別に、または参照配列内の1つまたは複数の連続したグループで散在して生じ得る。
【0104】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14および配列番号23~26の何れかの最小有効フラグメントを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。ここで、“最小有効フラグメント”は、全長アプタマーと比較して、同じまたは改善された親和性で本明細書に定義される標的に結合することができる全長アプタマーのフラグメント(例えば、部分)を意味すると理解される。最小有効フラグメントは、全長アプタマーと本明細書で定義される標的への結合について競合し得る。
【0105】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14および配列番号23~26の何れか1つに記載の配列の何れかの少なくとも20個の連続した核酸残基を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなり、標的分子に対する同等または改善された結合性を示す。ある態様において、本発明のアプタマーは、配列番号1~14および配列番号23~26の何れか1つに記載の配列の何れかの少なくとも20個の連続した核酸残基を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなり、標的分子への十分な(adequate)結合を示す。適切な結合は、本明細書に記載の親和性および特異性で生じる標的分子への結合、または上記の完全長アプタマー配列の結合よりも低い親和性および/もしくは特異性であるが、それぞれの標的の存在の報告を送達することができる結合を含む。
【0106】
ある態様において、本発明のアプタマーは、配列番号1~14および配列番号23~26の何れか1つに記載の配列の何れかの少なくとも25個の連続したヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。
【0107】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号1からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0108】
ある態様において、アプタマーは、配列番号2の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号2からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0109】
ある態様において、アプタマーは、配列番号3の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号3からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0110】
ある態様において、アプタマーは、配列番号4の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号4からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0111】
ある態様において、アプタマーは、配列番号5の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号5からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0112】
ある態様において、アプタマーは、配列番号6の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号6からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0113】
ある態様において、アプタマーは、配列番号7の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号7からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0114】
ある態様において、アプタマーは、配列番号8の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号8からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0115】
ある態様において、アプタマーは、配列番号9の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号9からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0116】
ある態様において、アプタマーは、配列番号10の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号10からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0117】
ある態様において、アプタマーは、配列番号11の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号11からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0118】
ある態様において、アプタマーは、配列番号12の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号12からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0119】
ある態様において、アプタマーは、配列番号13の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個、80個または81個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号13からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0120】
ある態様において、アプタマーは、配列番号14の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個または80個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号14からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0121】
ある態様において、アプタマーは、配列番号23の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個または36個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号23からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0122】
ある態様において、アプタマーは、配列番号24の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個または33個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号24からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0123】
ある態様において、アプタマーは、配列番号25の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個または41個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号25からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0124】
ある態様において、アプタマーは、配列番号26の核酸配列における、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個または38個の連続ヌクレオチドを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。アプタマーは、配列番号23からの連続ヌクレオチドの任意のスパンを含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成されてもよく、ここでスパンは、25ヌクレオチドから全長まで1ヌクレオチド増分で選択された長さを有する。
【0125】
ある態様において、これらの配列は、全長アプタマーと比較して、本明細書に記載の標的タンパク質への等価な、好適なまたは改善された結合を有するアプタマーフラグメントに関する。
【0126】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14および配列番号23~26の何れかと少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれ以上の同一性を有する配列の少なくとも約30個、35個、40個、45個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、60個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。本明細書中、用語“約”は、一般的には、参照されたヌクレオチド配列長にその参照された長さの10%を加えたものまたは引いたものを意味する。
【0127】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14の何れかと少なくとも85%以上の同一性を有する配列の少なくとも約30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号23と少なくとも85%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号24と少なくとも85%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号25と少なくとも85%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個、40個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号26と少なくとも85%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。
【0128】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14の何れかと少なくとも90%以上の同一性を有する配列の少なくとも約30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号23と少なくとも90%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号24と少なくとも90%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号25と少なくとも90%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個、40個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号26と少なくとも90%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。
【0129】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14の何れかと少なくとも95%以上の同一性を有する配列の少なくとも約30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号23と少なくとも95%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号24と少なくとも95%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号25と少なくとも95%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個、40個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号26と少なくとも95%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。
【0130】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14の何れかと少なくとも96%以上の同一性を有する配列の少なくとも約30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号23と少なくとも96%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号24と少なくとも96%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号25と少なくとも96%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個、40個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号26と少なくとも96%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。
【0131】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14の何れかと少なくとも97%以上の同一性を有する配列の少なくとも約30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号23と少なくとも97%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号24と少なくとも97%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号25と少なくとも97%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個、40個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号26と少なくとも97%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。
【0132】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14の何れかと少なくとも98%以上の同一性を有する配列の少なくとも約30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号23と少なくとも98%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号24と少なくとも98%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号25と少なくとも98%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個、40個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号26と少なくとも98%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。
【0133】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14の何れかと少なくとも99%以上の同一性を有する配列の少なくとも約30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号23と少なくとも99%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号24と少なくとも99%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号25と少なくとも99%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個、40個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号26と少なくとも99%以上の同一性を有する配列の少なくとも約25個、30個、35個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。
【0134】
ある態様において、アプタマーは、配列番号1~14の何れかを含む配列の少なくとも約30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれらから構成される。
【0135】
ある態様において、アプタマーは、配列番号23を含む配列の少なくとも約30以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号24を含む配列の少なくとも約30以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号25を含む配列の少なくとも約30以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。ある態様において、アプタマーは、配列番号26を含む配列の少なくとも約30以上の連続ヌクレオチドを含む核酸配列を含む、本質的にそれからなる、またはそれから構成される。
【0136】
アプタマーは、天然または非天然のヌクレオチドおよび/または塩基誘導体(または、それらの組合せ)を含み得る。ある態様において、アプタマーは、デオキシリボース、リボース、リン酸、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)またはウラシル(U)以外の化学構造を含むように1つまたは複数の修飾を含む。アプタマーは、核酸塩基で、糖で、またはリン酸骨格で修飾されてもよい。
【0137】
ある態様において、アプタマーは、1つまたは複数の修飾ヌクレオチドを含む。例示的な修飾としては、例えば、アルキル化、アリール化またはアセチル化、アルコキシル化、ハロゲン化、アミノ基、あるいは別の官能基を含むヌクレオチドが含まれる。修飾ヌクレオチドの例としては、RNAアプタマーに用いられる2’-フルオロリボヌクレオチド、2’-NH2-、2’-OCH3-および2’-O-メトキシエチルリボヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
アプタマーは、その全部または一部がホスホロチオエートまたはDNA、ホスホロジチオエートまたはDNA、ホスホロセレノエートまたはDNA、ホスホロジセレノエートまたはDNA、ロック核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、N3’-P5’ ホスホロアミダイトRNA/DNA、シクロヘキセン核酸(CeNA)、トリシクロDNA(tcDNA)またはスピーゲルマー、あるいはホスホロアミダイトモルホリン(PMO)成分または当業者に知られているその他の修飾(Chan et al. , Clinical and Experimental Pharmacology and Physiology (2006) 33, 533-540参照)であってよい。
【0139】
修飾の中には、アプタマーを核酸切断酵素に対して安定化させることができるものがある。アプタマーの安定化において、アプタマーのその後の修飾と、既に修飾されたRNA/DNAの選択とは、一般に区別され得る。安定化は、修飾されたRNA/DNAアプタマーの親和性には影響しないが、生物、生体溶液または溶液中で、RNase/DNaseによってアプタマーが急速に分解されるのを防ぐことができる。アプタマーは、サンプル(例えば、生物学的媒体、生物、溶液)中のアプタマーの半減期が1分以上、1時間以上または1日以上である場合、安定化したと言われる。アプタマーは、レポーター分子で修飾されていてもよく、これにより標識されたアプタマーの検出が可能になる。レポーター分子はまた、アプタマーの安定性を高めることに寄与し得る。
【0140】
アプタマーは、その核酸配列に依存する三次元構造を形成する。アプタマーの三次元構造は、ワトソンとクリックの分子内塩基対形成、フーグスティーン塩基対形成(四重鎖)、ウォブル対形成、または他の非標準的な塩基対相互作用(non-canonical base interactions)に起因して生じ得る。ある態様において、三次元構造は、抗原抗体結合に類似するアプタマーが、標的構造を正確に結合することを可能にする。アプタマーの核酸配列は、定義された条件下で、定義された標的構造に特異的な三次元構造を有し得る。
【0141】
態様は、本明細書に定義の標的タンパク質への結合を、本明細書に記載のアプタマーと競合させる競合アプタマーを含む。態様は、配列番号1~14および配列番号23~26の何れか1つに記載のアプタマー、または配列番号1~14および配列番号23~26の何れか1つのヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性がある核酸配列を有するアプタマーを用いて本明細書に定義の標的タンパク質への結合について競合する競合アプタマーを含む。態様は、本明細書で定義の標的タンパク質への結合を、上記のアプタマーのうちの1以上と競合する、競合的な1以上のアプタマーを含む。ある態様において、競合アッセイは、本明細書で定義される標的タンパク質への結合について競合する競合アプタマーを同定するために用いられ得る。例示的な、限定されない、競争アッセイでは、本明細書で定義される固定化標的タンパク質は、本明細書で定義される標的タンパク質に結合する第1の標識アプタマーと、本明細書で定義される標的タンパク質への結合について第1のアプタマーと競合するその能力について試験されている第2の非標識アプタマーとを含む溶液中でインキュベートされる。対照として、本明細書で定義される固定化標的タンパク質は、第1の標識アプタマーを含み、第2の非標識アプタマーを含まない溶液中でインキュベートされ得る。本明細書で定義される標的タンパク質への第1のアプタマーの結合に許容される条件下でインキュベートした後、過剰の未結合アプタマーを除去し、本明細書で定義される固定化標的タンパク質に関連する標識の量を測定することができる。本明細書で定義される固定化された標的に関連する標識の量が、対照サンプルと比較して試験サンプルで大幅に減少している場合、第2のアプタマーが、本明細書で定義される標的タンパク質への結合に関して第1のアプタマーと競合していることを示す。
【0142】
支持体
ある態様において、標的ペプチドまたはタンパク質は、支持体に結合している。限定されない例では、支持体は固体支持体であってよい。固体支持体の限定されない例としては、膜またはビーズが挙げられる。ある態様において、支持体は、二次元支持体であってもよい。二次元支持体の限定されない例としては、マイクロプレートが挙げられる。ある態様において、支持体は、三次元支持体であってもよい。三次元支持体の限定されない例としては、ビーズが挙げられる。ある態様において、支持体は、少なくとも1つの磁気ビーズを含んでいてもよい。
【0143】
ある態様において、タンパク質は、そのN末端またはC末端にポリヒスチジンタグ(Hisタグ)タグ(例えば、ヘキサヒスチジンタグ)を含んでいる。例えば、タンパク質は、そのC末端またはそのN末端にヒスチジン残基を有する組換えタンパク質であり得る。ある態様において、Hisタグ付きタンパク質は、ヒスチジン結合剤を担持する支持体上に固定化することができる。例えば、Hisタグ付きタンパク質は、ニッケルニトリロ三酢酸(Ni-NTA)を有する支持体に固定化することができる。
【0144】
ある態様において、支持体は、少なくとも1つのナノ粒子を含んでいてもよい。ナノ粒子の限定されない例は、金ナノ粒子などである。さらにさらなる態様において、支持体は、マイクロタイターまたは他のアッセイプレート、試験紙(strip)、膜、フィルム、ゲル、チップ、微粒子、ナノファイバー、ナノチューブ、ミセル、微細孔、ナノポア、あるいはバイオセンサー表面を含み得る。ある態様において、バイオセンサー表面は、プローブチップ表面、バイオセンサーフローチャネルまたは類似のものであってもよい。
【0145】
ある態様において、支持体は膜を含む。膜の限定されない例としては、ニトロセルロース、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン(PP)、セルロースアセテート(CA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)膜、あるいは酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ケイ素(SiO2)および/または酸化ジルコニウム(ZrO2)を含む無機膜などが挙げられる。支持体が作られ得る材料の限定されない例としては、無機ポリマー、有機ポリマー、ガラス、有機および無機結晶、鉱物、酸化物、セラミック、金属、特に貴金属、炭素、ならびに半導体が挙げられる。一態様において、有機ポリマーは、ポリスチレンをベースとするポリマーである。セルロース、デキストラン、寒天および特にニトロセルロースまたは臭化シアノゲンセファデックスとして機能化されてもよいセファデックスが含まれるがこれらに限定されないバイオポリマーは、支持体中のポリマーであってもよい。
【0146】
検出可能な標識
ある態様において、本発明のアプタマーは、サンプル中の本明細書に定義の標的の量を検出および/または定量するために用いられる。一般的には、アプタマーは検出可能な標識を含む。アプタマーの検出および/または定量を容易にすることができる任意の標識が、本明細書で用いられ得る。検出可能な標識の限定されない例を以下に記載する。
【0147】
ある態様において、検出可能な標識は、蛍光部分、例えば、蛍光化合物である。ある態様において、アプタマーは、蛍光化合物およびクエンチャー化合物を含む。蛍光化合物およびクエンチャー化合物は、当技術分野において既知である。例えば、Mary Katherine Johansson, Methods in Molecular Biol.335を参照のこと。Fluorescent Energy Transfer Nucleic Acid Probes: Designs and Protocols, 2006, Didenko, ed., Humana Press, Totowa, NJ、およびMarrasら, 2002, Nucl. Acids Res. 30, el22 (引用により本明細書中に包含させる)。
【0148】
ある態様において、検出可能な標識はFAMである。ある態様において、FAM-標識は、アプタマーの5’末端または3’末端にコンジュゲートされる。当業者であれば、標識がアプタマー内の任意の適切な位置に配置されてもよいことを理解し得る。
【0149】
ある態様において、アプタマーはその5’末端にFAMフルオロフォアを含む。ある態様において、アプタマーは、ホスホロアミダイトを一度に一つずつ核酸鎖に組み込むことによって合成され、FAM-標識ホスホロアミダイトは、合成プロセスを通じて組み込まれる。ある態様において、FAMフルオロフォアは、リンカーを介してアプタマーの5’末端に結合される。ある態様において、検出可能な標識は、チオール基、アミン基、アジド、6炭素リンカー、およびアミノアリル基、ならびにそれらの組み合わせから選択される部分を介して本明細書に記載のアプタマーに結合される。ある態様において、FAM標識は、5’末端にFAMを有するフォワードプライマーを用いてアプタマーに組み込むことができる。ある態様において、アプタマーは、プライマーのように5’末端に結合したFAM標識が既にある状態で固相合成により調製することができる。
【0150】
互いに近接したときに検出可能なシグナルの増加をもたらす部位も、例えば、蛍光共鳴エネルギー移動(“FRET”)の結果として、本明細書中で用いることができる;適切な対としては、いくつか例を挙げると、フルオレセインとテトラメチルローダミン;ローダミン6Gとマラカイトグリーン、およびFITCとチオセミカルバゾールがあるがこれに限定ない。
【0151】
ある態様において、検出可能な標識は、以下の限定されない例のうちの少なくとも1つから選択される部分であり、および/またはそれを含む:フルオロフォア、ナノ粒子、量子ドット、酵素、放射性同位体、予め定義された配列部分、ビオチン、デスチオビオチン、チオール基、アミン基、アジド基、アミノアリル基、ジゴキシゲニン、抗体、触媒、コロイド状金属粒子、コロイド状非金属粒子、有機ポリマー、ラテックス粒子、ナノファイバー、ナノチューブ、デンドリマー、タンパク質およびリポソーム。
【0152】
ある態様において、検出可能な標識は、緑色蛍光タンパク質(GFP)または当業者に知られている他の任意の蛍光タンパク質などの蛍光タンパク質である。
【0153】
ある態様において、検出可能な標識は、酵素である。例えば、酵素は、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ウレアーゼ、β-ガラクトシダーゼまたは当業者に知られている任意の他の酵素から選択されてもよい。
【0154】
ある態様において、検出の性質は、用いられる検出可能な標識によって変わる。例えば、標識は、その色、例えば金ナノ粒子によって検出可能であってもよい。色は、光学読取装置またはカメラ、例えば画像処理ソフトウェアを備えたカメラによって定量的に検出することができる。
【0155】
ある態様において、検出可能な標識は、蛍光標識、例えば量子ドットである。そのような態様において、検出手段は、蛍光プレートリーダー、試験紙リーダーまたは類似のものであって、蛍光強度を記録するように構成されているものを含み得る。
【0156】
検出可能な標識が酵素標識である態様において、限定されない検出手段は、例えば、比色、化学発光および/または電気化学(電気化学検出器を用いることを含むが、これらに限定されない)であってよい。電気化学的検出は、アプタマーの一端に酸化還元レポーター(メチレンブルーまたはフェロセンを含むが、これらに限定されない)を結合させ、他端にセンサー面を結合させることによるものであってもよい。標的との結合に伴うアプタマーの立体構造の変化により、レポーターとセンサーとの間の距離が変化し、読取りを提供する。
【0157】
ある態様において、検出可能標識は、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(APP)または類似物を含むがこれらに限定されない酵素をさらに含み、触媒的に基質を回転させて増幅したシグナルを与え得る。
【0158】
態様は、本発明のアプタマーと検出可能な分子とを含む複合体(例えば、コンジュゲート)を含む。一般的には、本発明のアプタマーは、検出可能な分子に共有結合または物理的に複合体化される。
【0159】
ある態様において、検出可能な分子は、視覚的、光学的、光音響的、電子的、音響的、光音響的、質量的、電気化学的、電気光学的、分光的、酵素的またはその他の物理的、化学的、生化学的に検出可能な標識である。
【0160】
ある態様において、検出可能な分子は、ルミネセンス、UV/VIS分光法、酵素的、電気化学的または放射活性的に検出される。ルミネセンスは、光の放射を意味する。標識の検出には、例えば、フォトルミネッセンス、ケミルミネッセンス、バイオルミネッセンスが用いられる。フォトルミネッセンスまたは蛍光では、光子(フォトン)の吸収によって励起が起こる。例示的なフルオロフォアとしては、ビスベンズイミダゾール、フルオレセイン、アクリジンオレンジ、Cy5、Cy3またはヨウ化プロピジウム(アプタマーに共有結合することができる)、テトラメチル-6-カルボキシホーダミン(TAMRA)、テキサスレッド(TR)、ローダミン、アレクサフルール色素等(異なる会社からの異なる波長の蛍光性色素)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0161】
ある態様において、検出可能な分子は、金ナノ粒子を含むがこれに限定されないコロイド状金属粒子、コロイド状非金属粒子、量子ドット、有機ポリマー、ラテックス粒子、ナノファイバー(限定されない例として、カーボンナノファイバー)、ナノチューブ(限定されない例として、カーボンナノチューブ)、デンドリマー、タンパク質またはシグナル生成物質を有するリポソームである。コロイド粒子は、比色的に検出されてもよい。
【0162】
ある態様において、検出可能な分子は酵素である。ある態様において、酵素は、基質を着色生成物に変換してもよい。酵素の例としては、トペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼまたはアルカリホスファターゼが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、無色の基質X-galは、β-ガラクトシダーゼの活性によって、その色が視覚的に検出される青色の生成物に変換される。
【0163】
ある態様において、検出分子は放射性同位体である。検出はまた、アプタマーが標識された放射性同位体(3H、14C、32P、33P、35Sまたは125Iを含むがこれらに限定されない)によって実施され得る。一態様において、シンチレーション計数が実施されてもよく、それによって、放射性標識されたアプタマー標的複合体によって放出される放射性放射線が間接的に測定される。シンチレーター物質は、同位体の放射性放出によって励起される。シンチレーター物質が基底状態に戻る際に、励起エネルギーが光の閃光として再び放出され、光電子増倍管によって増幅され計数される。
【0164】
ある態様において、検出可能な分子は、ジゴキシゲニンおよびビオチンから選択される。従って、アプタマーはまた、ジゴキシゲニンまたはビオチンで標識されてもよく、これは、例えば抗体またはストレプトアビジンによって結合され、次に酵素複合体などの標識が担持されてもよい。アプタマーと酵素との事前の共有結合(コンジュゲーション)は、いくつかの既知の方法で達成することができる。アプタマー結合の検出はまた、RIA(フルオロイムノアッセイ)における放射性同位元素、好ましくは125Iによるアプタマーの標識、またはフルオロフォア、好ましくはフルオレセインもしくはフルオレセインイソチオシアネート(FITC)によるFIA(フルオロイムノアッセイ)における蛍光により達成されてもよい。
【0165】
態様は、サンプル中の本明細書で定義される標的の存在、不存在または量を検出するための方法を含む。該方法において、サンプルは、本明細書に記載のアプタマーと相互作用させる(すなわち、接触させる)ことができる。例えば、サンプルおよび本明細書に記載のアプタマーは、アプタマーの少なくとも一部がサンプル中の本明細書に定義されるような標的に結合するために十分な条件下でインキュベートされてもよい。
【0166】
当業者であれば、本明細書に記載されたアプタマーと本明細書に定義された標的との間で結合が起こるために必要な条件を理解し得る。ある態様において、サンプルおよびアプタマーは、約4℃~約40℃の間の温度でインキュベートされてもよい。ある態様において、サンプルおよびアプタマーは、約20℃~約37℃の間の温度でインキュベートされてもよい。ある態様において、サンプルおよびアプタマーは、約22℃の温度でインキュベートされてもよい。インキュベーション温度は、4℃~20℃未満、20℃~22℃未満、22℃~24℃未満、24℃~26℃未満、26℃~28℃未満、28℃~30℃未満、30℃~32℃未満、32℃~34℃未満、34℃~36℃未満、36℃~37℃、および37℃~40℃の範囲から選択することができる。ある態様において、サンプルおよびアプタマーは、緩衝液(例示的な緩衝液としてはPBSが挙げられるが、これに限定されない)で異なる濃度(例えば、少なくとも約1%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%v/v以上)に希釈され得る。希釈濃度は、1%~5%未満、5%~10%未満、10%~20%未満、20%~30%未満、30%~40%未満、40%~50%未満、50%~60%未満、60%~70%未満、70%~80%未満または80%~90%未満の範囲から選択されてもよい。ある態様において、希釈前のアプタマー濃度は、100nM~50μMであり得る。ある態様において、希釈前のアプタマー濃度は、100nM~500nM、500nM~1μM、1μM~2μM、2μM~5μM、5μM~10μM、10μM~15μM、15μM~20μM、20μM~30μM、30μM~40μM、40μM~50μM、50μM~60μM、60μM~70μM、70μM~80μM、80μM~90μM、90μM~100μMの範囲から選択されてよい。ある態様において、希釈前のアプタマー濃度は、本明細書に記載される範囲から選択される濃度であってよい。選択された値は、本明細書に記載の範囲内の0.1μM増大濃度から選択されてもよい。ある態様において、希釈前のアプタマー濃度は、2μMであってもよい。ある態様において、サンプルおよびアプタマーは、振盪および/または混合しながらインキュベートされてもよい。ある態様において、サンプルおよびアプタマーは、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも15分間、少なくとも1時間またはそれ以上、インキュベートされる。サンプルおよびアプタマーは、1分~5分未満、5分~15分未満、15分~1時間未満、1時間~24時間未満、24時間~48時間未満、インキュベートされてもよい。
【0167】
ある態様において、アプタマーと定義された標的との結合は、アプタマー-標的複合体の形成をもたらす。結合または結合イベントは、例えば、視覚的に、光学的に、光電的に、電子的に、音響的に、光音響的に、質量的に、電気化学的に、電気光学的に、分光学的に、酵素的にまたはその他化学的、生化学的もしくは物理的に、本明細書に記載するように検出され得る。
【0168】
アプタマーと標的の結合は、任意の好適な方法(technique)を用いて検出することができる。上記のように、例えば、アプタマーと標的の結合は、バイオセンサーを用いて検出されてもよい。ある態様において、アプタマーと標的の結合は、本明細書に記載のSPR、RlfS、BLI、LFDまたはELONAの限定されない例を用いて検出される。
【0169】
ある態様において、アプタマーは、ビオチン基を用いてバイオセンサーの表面に結合させることができる。ある態様において、ビオチン基は、アプタマーの5’末端または3’末端に結合される。ある態様において、バイオセンサーの表面は、それに結合したアビジン/ストレプトアビジンを有し、バイオセンサーの表面へのアプタマーの固定化は、ビオチン-アビジン相互作用を介して行われる。ある態様において、バイオセンサーの表面は、アビジン/ストレプトアビジンでコートされている。
【0170】
キット
態様は、C. difficileを検出および/または定量化するためのキットも提供し、このキットは、本明細書に記載される1つまたは複数のアプタマーを含む。一般的には、キットは、本明細書に記載の検出可能な分子も含む。
【0171】
態様は、本明細書に記載の光源をさらに含むキットを提供する。一態様では、キットは、本明細書に記載のバンドパスフィルターをさらに含んでもよい。一態様では、キットは、本明細書に記載の観察用ゴーグルまたは眼鏡等を含んでいてもよい。ある態様において、キットは、以下ものを含む:
a) 検出分子、例えば、約485~515nmの波長で発光可能なフルオロフォアをそれ結合させたアプタマーを含む溶液。ある態様において、フルオロフォアは、約490~505nmの波長で発光することができる。一態様において、フルオロフォアは約505nmの波長で発光可能である。
b) 光源。ある態様において、光源は、約485~515nmの間の波長を有する光を発生させる。一態様において、光源は、約490~505nmの間の波長を有する光を発生する。
c) バンドパスフィルター。一態様において、バンドパスフィルターは、590nmのバンドパスフィルターである;および
d) 観察用ゴーグル。一態様において、観察用ゴーグルは、オレンジ色の観察用ゴーグルである。
【0172】
ある態様において、キットは、本明細書に記載の方法の何れかに従って使用するための説明書をさらに含む。
【0173】
キットは、該キットまたは実施する方法が意図する反応、例えば濃縮、分離および/または単離手順の意図する検出のための成分をさらに含んでいてもよい。限定されない例としては、緩衝液、発色反応のための基質、色素または酵素基質が挙げられる。キットにおいて、アプタマーは、支持体(例えば、固体支持体)上に予め固定化されていること、凍結乾燥されていること、または液体培地中にあることを含むがこれらに限定されない様々な形態で提供され得る。
【0174】
本明細書に記載のキットは、本明細書に記載の任意の方法を実施するために使用することができる。キットの部分は、バイアルに個別に包装されてもよいし、容器またはマルチ容器ユニットに組み合わせて包装されてもよいことが理解され得る。一般的には、キットの製造は、当業者に既知の標準的な方法に従う。
【0175】
使用
ある態様において、本明細書に記載のアプタマーを用いてC. difficile、例えばC. difficile芽胞を検出する方法、が提供される。本方法は、サンプルを本明細書に記載のアプタマーと相互作用させ、クロストリジウム・ディフィシルの存在、不存在および/または量を検出することを含んでいてもよい。本方法は、光電検出、電子検出、音響検出、電気化学検出、電気光学検出、酵素検出、化学検出、生化学検出または物理検出を含むがこれらに限定されない検出方法を用いて、サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル芽胞の存在、不存在および/または量を検出するためのものであってもよい。
【0176】
ある態様において、本方法は、表面上のC.difficile、例えばC.difficile芽胞の存在、不存在または量を検出するためのものである。ある態様において、提供されるアプタマーおよび方法は、病院およびヘルスケア施設における表面上のC. difficileを検出することに有用性を有し得る。表面の限定されない例としては、ベッドリネン、医療機器、衣類、床、壁などが挙げられる。限定されない例としては、本発明のアプタマーは、患者の身体上のC. difficile、例えばC. difficile芽胞の存在、不存在および/または量を検出するために用いられ得る。
【0177】
ある態様において、アプタマーは、本明細書に記載されるように、表面から以前に得られたサンプル中のC. difficile、例えばC. difficile芽胞を検出するために使用するためのものであってもよい。
【0178】
ある態様において、本発明のアプタマーは、C. difficile全芽胞を検出するために用いられてもよい。ある態様において、アプタマーは、本明細書に記載のように、C. difficileタンパク質を検出するために用いられてもよい。
【0179】
ある態様において、アプタマーは、C. difficile芽胞またはタンパク質をリアルタイムで検出するために用いられてもよい。C. difficileの検出および/または定量化後、芽胞を死滅させ、および/または除去するための処理がとられてもよい。このような処理の限定されない例としては、ベッドリネンの洗浄または廃棄(destruction)、および/または医療機器、ベッド、壁、床などを含むがこれらに限定されない表面の洗浄がある。患者の隔離および厳格な衛生プロトコルの施行などの措置も講じられることがある。
【0180】
ある態様において、本発明のアプタマーは、光源を用いてC. difficile芽胞の存在または不存在を検出する方法において使用するためのものである。特定の態様において、C. difficile芽胞の存在または不存在を検出する方法であって、以下を含む方法が提供される。
a) 本明細書に記載のアプタマーを含むアプタマー複合体を提供し、ここで、アプタマーは検出可能な部位に複合体化されている。一態様において、検出可能な部位は、蛍光部位である。
b) アプタマー複合体を目的の場所に接触させることであって、目的の場所はC. difficile芽胞を含んでいてもよい。
c) アプタマー複合体を目的の場所で所定の時間インキュベートし、アプタマー複合体が存在する場合、C. difficile芽胞に結合することを可能にする。
d) 要すれば、目的の場所を洗浄し、結合していないアプタマー結合体を除去すること;および
e) C. difficile芽胞と結合したアプタマー複合体を可視化すること。
【0181】
ある態様において、場所は、表面を含む。ある態様において、場所は、ヒト、例えば患者の身体、またはクロストリジウム・ディフィシル感染を有することが疑われる、もしくは感染していると診断された対象から得られたサンプルを含む。ある態様において、場所は、病院環境内に位置する物を含む。
【0182】
ある態様において、アプタマー複合体を可視化することは、光源でその場所を照らすことを含む。ある態様において、光源は、所定の波長で光を生成し、所定の波長は、アプタマー複合体の検出可能な部分によって放出される光の波長に対応する。
【0183】
ある態様において、位置を視覚化する工程は、周囲光または暗黒条件下で実施されてもよい。
【0184】
ある態様において、本方法は、光源によって発生される光をフィルタリングすることをさらに含む。
【0185】
ある態様において、本方法は、場所を画像化(例えば、写真撮影)し、C. difficile芽胞の存在または不存在を検出することをさらに含む。
【0186】
ある態様において、C. difficileを検出する方法は、C. difficile芽胞を含むと疑われる場所に本発明のアプタマーの1つまたは複数を適用することを含んでよい。C. difficile芽胞にアプタマーが結合するのに十分な所定時間の後、結合していないアプタマーを除去するためにその場所を1回以上洗浄してもよい。次に、本方法は、光源を用いてその場所を照らすための一連の条件を含んでいてもよい。一態様において、光源は、フォレンジックライト(forensic light source)の形態であってよい。一態様において、光源は、Polilight(登録商標) Flareの形態であってもよい。
【0187】
ある態様において、光源は、異なる波長間で切り替えることが可能であってもよく、各波長は、特定の交換可能なフィルターに適している。フォレンジックライトは、LED、レーザー、Polilight(登録商標)などの形態であってもよい。ある態様において、光源は手持ち光源(handheld light source)である。一態様において、手持ち光源は、例えばRofin Forensicから入手可能な電池式の手持ちLED光源であるPolilight Flare+2であってよい。
【0188】
好適には、各Polilight Flare“トーチ”は、指定された波長範囲内の光を発生させ得る。例えば、ある態様において、光源は、約360nm-385nmの間の波長で光を発生してもよい(UV光)。ある態様において、光源は、約405nm-420nmの間の波長で光を発生してもよい。ある態様において、光源は、約435nm-465nmの間の波長で光を発生してもよい。ある態様において、光源は、約485nm-515nmの間の波長で光を発生してもよい。ある態様において、光源は、約490nm-505nmの間の波長で光を発生してもよい。ある態様において、光源は、約510nm-545nmの間の波長で光を発生してもよい。ある態様において、光源は、約530nm-560nmの間の波長で光を発生してもよい。ある態様において、光源は、約585nm-605nmの間の波長で光を発生してもよい。ある態様において、光源は、約615nm-635nmの間の波長で光を発生してもよい。ある態様において、光源は、約400nm-700nmの間の波長で光を発生してもよい。ある態様において、光源は、約835nm-約865nmの間の波長で光を発生してもよい。ある態様において、光源は、約935nm-965nmの間の波長で光を発生してもよい。
【0189】
ある態様において、用いられる光源は、アプタマーに結合された検出可能な分子と適合し得る。ある態様において、アプタマーは、検出分子に複合体化されている。ある態様において、検出分子は、光源の出力に対応するスペクトル範囲で発光するフルオロフォアであってもよい。ある態様において、アプタマーは、約505nmの波長で発光するフルオロフォアと共役していてもよい。ある態様において、光源は、約505nmの波長を有する光を発生させる。
【0190】
ある態様において、本方法は、光源と組み合わせてバンドパスフィルターを使用することを含んでいてもよい。バンドパスフィルターは、特定の波長帯域の光を透過させ、所定の波長帯域外の迷光を排除するように構成されてもよい。ある態様において、光源は、365nm、415nm、450nm、505nm、530nm、545nm、620nmおよび850nmの中心波長を有する狭い帯域の光を発生するように構成されている。ある態様において、光源は、白色光波長に加えて、505nmの中心波長を有する狭い帯域の光を生成するように構成される。ある態様において、バンドパスフィルターは、590nmのバンドパスフィルターである。
【0191】
ある態様において、本方法は、観察用ゴーグル、眼鏡または同様のものを用いて場所を視覚化することをさらに含んでいてもよい。ある態様において、観察用ゴーグルは、光源によって発生され、アプタマーに結合した検出分子によって放出される光の色に対応する色のものである。ある態様において、ゴーグルはオレンジ色であり、したがって、約485nm-515nmの間の波長、例えば505nmの波長を有する光を発生する光源、および約505nmの波長で放出する検出分子を含むアプタマーと組み合わせて用いるのに好適である。
【0192】
ある面において、本発明は、Clostridium difficileに結合するアプタマーの開発およびその使用方法に関する。ある面において、本発明は、C. difficile芽胞に特異的に結合するアプタマーに関するものである。アプタマーは、C. difficileタンパク質;例えば、表面タンパク質に特異的に結合することができる。アプタマーが結合する分子は、標的分子と呼ばれることがある。標的分子のさらなる詳細は、本明細書に記載されている。
【0193】
予想外に、本発明者らは、C. difficile芽胞を識別することが可能なアプタマーを同定した。
【0194】
態様において、本発明は、クロストリジウム・ディフィシルタンパク質に特異的に結合することができるアプタマーを提供する。
【0195】
態様において、クロストリジウム・ディフィシルタンパク質は、クロストリジウム・ディフィシル芽胞の表面タンパク質である。態様において、クロストリジウム・ディフィシルタンパク質は、スポアコート表面タンパク質またはエキソスポリウム層タンパク質である。
【0196】
態様において、クロストリジウム・ディフィシルタンパク質は、CdeC、CdeM、CotA、CotEおよびCotEキチナーゼから選択される。
【0197】
態様において、クロストリジウム・ディフィシルタンパク質は、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有するCdeCタンパク質である。
【0198】
態様において、クロストリジウム・ディフィシルタンパク質は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を有するCdeMタンパク質である。
【0199】
態様において、クロストリジウム・ディフィシルタンパク質は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を有するCotAタンパク質である。
【0200】
態様において、クロストリジウム・ディフィシルタンパク質は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有するCotEタンパク質である。
【0201】
態様において、クロストリジウム・ディフィシルタンパク質は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を有するCotEキチナーゼタンパク質である。
【0202】
態様において、アプタマーは、以下のものを含むか、またはそれから構成される:
a) 配列番号1~14の何れかに記載の核酸配列の何れか1つから選択される核酸配列;
b) 配列番号1~14の何れかに記載の核酸配列の何れか1つと少なくとも85%、例えば90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する核酸配列;
c) 配列番号1~14の何れかに記載の核酸配列の何れか1つの少なくとも約30個の連続ヌクレオチドを有する核酸配列;
d) 配列番号1~14の何れか1つと少なくとも85%の同一性を有する配列の少なくとも約30個の連続ヌクレオチドを有する核酸配列;
e) 配列番号23としても知られる、配列番号5の位置28から位置64までのフラグメントを有する核酸配列;または
f) 配列番号23と少なくとも85%の同一性を有する配列番号23としても知られる、配列番号5の位置28から位置64までのフラグメントを有する核酸配列。
【0203】
態様において、アプタマーは、一本鎖DNAアプタマーである。
【0204】
態様において、本明細書に記載のアプタマーとクロストリジウム・ディフィシルタンパク質との結合に対して競合するアプタマーが提供される。
【0205】
態様において、アプタマーは、検出可能標識を含む。
【0206】
態様において、検出可能標識は、フルオロフォア、ナノ粒子、量子ドット、酵素、放射性同位体、予め定義された配列部分、ビオチン、デスチオビオチン、チオール基、アミン基、アジド、アミノアリル基、ジゴキシゲニン、抗体、触媒、コロイド状金属粒子、コロイド状非金属粒子、有機ポリマー、ラテックス粒子、ナノファイバー、ナノチューブ、デンドリマー、タンパク質およびリポソームであり、および/またはそれらを含む。ある態様において、検出可能な標識は、フルオロフォア、量子ドット、コロイド状金属粒子またはコロイド状非金属粒子である。ある態様において、検出可能な標識は、チオール基、アミン基、アジドおよびアミノアリル基ならびにそれらの組み合わせから選択される部分を介して本明細書に記載のアプタマーに結合している。
【0207】
本発明の一面において、任意の上記のアプタマーおよび検出可能な分子を含む複合体が提供される。
【0208】
本発明の一面において、少なくとも1つのアプタマーを含む組成物が提供され、ここでアプタマーの少なくとも1つは本明細書に記載のものであり、ここで該組成物は、要すれば、水、塩類、1以上の本明細書に記載の緩衝液、洗浄剤およびBSAの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0209】
本発明の一面において、配列番号1、2、3、4 5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または23に記載の核酸配列を有する少なくとも1つのアプタマーを含む組成物が提供され、該組成物は、要すれば、水、塩類、1以上の本明細書に記載の緩衝剤、洗浄剤およびBSAの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0210】
本発明の一面において、本明細書に記載のアプタマーを含むバイオセンサーまたは試験紙が提供される。
【0211】
本発明の一面において、サンプル中のクロストリジウム・ディフィシルの存在、不存在またはレベルを検出するための装置が提供され、該装置は以下を含む:
i. 支持体;および
ii. 本明細書に記載されるアプタマー。
【0212】
態様において、この装置は、サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル芽胞の存在、不存在またはレベルを検出するためのものである。
【0213】
態様において、サンプルは、以下から選択される:
a)クロストリジウム・ディフィシル感染を有することが疑われるか、または感染していると診断された対象から以前に得られたサンプル;および
b) 病院環境内にある物、例えば寝具、家具、建物の構造物。
【0214】
態様において、支持体は、ビーズ、マイクロタイターまたは他のアッセイプレート、試験紙(ストリップ)、膜、フィルム、ゲル、チップ、微粒子、ナノ粒子、ナノ繊維、ナノチューブ、ミセル、微細孔、ナノポアまたはバイオセンサー表面である。
【0215】
態様において、本装置は、表面プラズモン共鳴(SPR)、生物層干渉法(BLI)、側方流動アッセイおよび/または酵素結合オリゴヌクレオチドアッセイ(ELONA)に好適である。
【0216】
本発明の一面において、クロストリジウム・ディフィシルを検出、濃縮、分離および/または分離するための、本明細書に記載のアプタマー、複合体、バイオセンサーまたは試験紙、組成物または装置の使用法が提供される。特定の態様において、使用は、クロストリジウム・ディフィシル芽胞を特異的に検出、濃縮、分離および/または分離するためのものである。
【0217】
本発明の一面において、サンプル中のクロストリジウム・ディフィシルの存在、不存在または量を検出する方法が提供され、該方法は以下のものを含む:
i. 本明細書に記載されるアプタマー、複合体または組成物とサンプルを相互作用させること;および
ii. クロストリジウム・ディフィシル細菌の存在、不存在または量を検出すること。
【0218】
ある態様において、本方法は、サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル芽胞の存在、不存在または量を検出するためのものである。
【0219】
ある態様において、クロストリジウム・ディフィシルの存在、不存在または量は、光電検出、電子検出、音響検出、電気化学検出、電気光学検出、酵素検出、化学検出、生化学検出または物理的検出によって検出される。
【0220】
本発明の一面において、クロストリジウム・ディフィシルを検出および/または定量化するためのキットが提供され、該キットは、本明細書に記載のアプタマーを含む。
【実施例】
【0221】
実施例
以下では、具体的な態様の限定されない例によって、本発明をより詳細に説明する。なお、実験例では、汚染(contamination)のない標準的な試薬および緩衝液を用いた。
【0222】
実施例1-アプタマー選択
標的情報
C. difficileのいくつかのタンパク質標的に対して、アプタマーを選択した。標的は以下の通りであった。
1. CdeC、46,000Daの分子量(MW)を有するタンパク質。以下の組成の緩衝液中に保存した:
20mM HEPES-Na、pH 7.9、5%グリセロール、200mM NaCl、0.2mM CaCl2、0.1% Triton X114
濃度は、0.75mg ml-1
2. CdeM、25,000DaのMWを有するタンパク質。保存用緩衝液:20mM HEPES-Na、pH 7.9、5%グリセロール、200mM NaCl、0.2mM CaCl2、0.1% Triton X114
濃度は、0.50mg ml-1
3. CdeM、25,000DaのMWを有するタンパク質。保存用緩衝液:20mM HEPES-Na、pH 7.9、5%グリセロール、200mM NaCl、0.2mM CaCl2、0.1% Triton X114
濃度は、0.50mg ml-1
4. CotA-His6、34,900DaのMWを有するタンパク質。水中、Ext. Co:27695
保存用緩衝液:20mM HEPES-Na、5%グリセロール、200mM NaCl、1mM DTT濃度: 4.17mg ml-1
5. rCotE、N281-F712、分子量:48,000Da、
保存用緩衝液:20mM HEPES-Na、pH 7.9、5%グリセロール、200mM NaCl、0.2mM CaCl2、0.1% Triton X114
濃度は、~0.8mg ml-1
6. SPG-HU58。非病原性芽胞。保存用緩衝液:滅菌dH2O
濃度は、0.5mLの滅菌水に1x107 CFUの純粋な胞子。
【0223】
アプタマー選択のための準備
タンパク質標的をそれぞれナノドロップを用いて分析し、一連のUVスペクトルを生成し、標的の濃度および凝集状態を確認した(データは示していない)。供給されたCdeC、CdeMおよびCotEについてのUVスペクトルの分析は、凝集または多量体化の明らかな兆候を示す。CotAおよびCotECキチナーゼは、わずかながら凝集の兆候を示す。タンパク質によっては、多量体化することがあると考えられる。
【0224】
さらに、標的を、選択緩衝液のパネルによる“Buffer Screen”にかけた。各標的を、固定化したビーズまたはブランクビーズへのアプタマーライブラリーの結合を比較した(データは示していない)。アプタマーライブラリーと標的との間のより大きな相互作用を促進する各標的のための緩衝液を同定し、選択プロセスにおける将来の使用のために選択した。
【0225】
限定されない例示的な緩衝液は、全ての標的について大まかに類似していてもよい。ある態様において、緩衝液は、トリスバッファーであってもよい。ある態様において、pHは約7.4から7.6であってもよい。ある態様において、イオン強度は、約100mMであってよい。緩衝液に含まれる塩の限定されない例としては、MgCl2およびCaCl2が挙げられる。ある態様において、緩衝液は、Tweenを含むがこれに限定されない洗浄剤を含んでいてもよい。ある態様において、緩衝液は、ウシ血清アルブミン(BSA)または当該技術分野で既知の他の安定剤を含んでもよい。
【0226】
緩衝液は以下の通りである。
・CdeC - 50mM Tris pH7.6、2.5mM MgCl2、2.5mM CaCl2、85mM KoAc、0.01% Tween20、0.01% BSA。
・CdeM - 50mM Tris pH7.6、2.5mM MgCl2、2.5mM CaCl2、85mM NaCl、0.01% Tween20、0.01% BSA。
・CotA - 50mM Tris pH7.4、5mM MgCl2、1mM CaCl2、77.5mM NaCl、4.5mM KCl、0.01% Tween 20、0.01% BSA。
・CotE -50mM Tris pH7.6、2.5mM MgCl2、2.5mM CaCl2、28mM K2SO4、0.01% Tween 20、0.01% BSA。
・rCotEキチナーゼ - 50mM Tris pH7.4、5mM MgCl2、1mM CaCl2、77.5mM NaCl、4.5mM KCl、0.01% Tween 20、0.01% BSA。
【0227】
ポリクローナルアプタマー選択
選択プロトコルは、大まかに以下の通りであった。
Hisタグ付き標的タンパク質をそれぞれNi-NTAコーティングした磁気ビーズに添加し、PBS中で1時間インキュベートした。添加されたビーズを洗浄し、定量し、アプタマー選択に用いた。
【0228】
アプタマーライブラリーは、緩衝液スクリーンで同定され、上記のような選択緩衝液を用いて、室温で一定の混合をしながら、それぞれの標的と1時間インキュベートされた。
【0229】
標的タンパク質と結合したアプタマーを、イミダゾールを用いて溶出した。回収された材料はその後精製してイミダゾールを除去し、増幅して、後続の選択ラウンドのための濃縮ライブラリーを作成した。
【0230】
このプロセスを、1つの選択ラウンドから次のラウンドへと増加するストリンジェンシーを用いて繰り返した。
【0231】
最初の2ラウンドのインビトロ選択には、先行スクリーニングで特定された緩衝液条件を用いた。その後のラウンドは、様々な異なる選択“圧(pressures)”を用いて実施した。各選択ラウンドで最もパフォーマンスの良い条件からの集団は、後続の選択ラウンドに用いた。選択中に回収されたアプタマーの量は、定量化され、
図6~
図10に示されている。
【0232】
図6~
図10は、標的添加ビーズからのアプタマーライブラリー回収量(青色、各データセットの左側)が、選択の連続ラウンドとともに徐々に増加することを示す。回収率の低下は、一般に、そのラウンドの選択中のストリンジェンシーの増加の導入と一致する。最高の標的:陰性対照(negative)比(標的添加ビーズからの回収量 対 ブランクビーズからの回収量)は、標的CotA、CdeC、CdeM、CotECキチナーゼについては第7ラウンド(R7)で、標的CotEについてはR10でそれぞれ得られている。これらのアプタマー集団をそれぞれ生物物理学的アッセイに用い、標的の結合種が濃縮されていることを確認した。
【0233】
生物物理学的特性評価
生体層干渉法(BLI)を用いて、各アプタマー集団とそれぞれの標的との結合を評価した。標的タンパク質は、別々の生体層干渉法センサープローブ上に固定化された。次に、添加されたプローブを天然アプタマーライブラリーまたはそれぞれのアプタマー集団と共にインキュベートして、相互作用をモニターし、比較した。
【0234】
BLIを、選択時に用いたものと同じ緩衝液を用いて室温で行った。BLIプローブを、1xPBS中で180秒間、標的タンパク質と共に添加した。その後、天然(naive)アプタマーライブラリーまたはそれぞれのアプタマー集団を300秒間インキュベートした。その後、アプタマーを選択緩衝液中で300秒間解離させた。
【0235】
【0236】
図11から
図15は、本明細書に記載のアプタマー選択プロセスを経た精製アプタマー集団が、未選択の天然ライブラリーと比較して、一般にそれぞれの標的への結合が改善されている(他よりも優れたものもある)ことを示す。固定化された標的は、未精製の天然アプタマー集団とほとんど相互作用を示さない。固定化された標的と精製されたアプタマー集団との間には結合が見られる。CotA、CotE、CotECキチナーゼを固定化した場合、それぞれのアプタマー集団と迅速に結合する(~480-780秒のシグナル)。CdeCおよびCdeMのアプタマー集団は、それぞれの標的に対してゆっくりとした結合を示した。結合したアプタマー集団は、その標的から大きな解離を示さない(780-1080秒のシグナル)。
【0237】
芽胞選択
上記の精製されたアプタマー集団を、クロストリジウム・ディフィシル芽胞を“ポジティブ標的”として用いて“芽胞ベースの選択”に用いた。芽胞表面への非特異的結合を減らすために、枯草菌胞子を“ネガティヴ標的”(カウンター選択)として用いた。その後、4回の芽胞ベースの選択(ラウンドS1~S4)を行った。これらの選択ラウンド中に回収されたアプタマーの量は、定量化され、
図16から
図20に示されている。
【0238】
芽胞ベースの選択の4連続ラウンド(S1-S4)の後、CotA、CdeC、CdeMおよびCotEに対して選択した5つのアプタマー集団は、枯草菌胞子(“ネガティヴ”)と比較してクロストリジウム・ディフィシルの胞子(“ポジティブ”)への結合がすべて増強されていることが示された。このことは、胞子の“コート(coat)”に関して、それぞれのアプタマー集団がさらに精製されていることを示唆している。
【0239】
選択性プロファイリング
組換えCotA、CdeC、CdeM、CotEおよびCotECキチナーゼに対して単離され、その後胞子ベースの選択によってさらに精製されたアプタマー集団を、蛍光標識し、クロストリジウム・ディフィシル芽胞または枯草菌芽胞と共にインキュベートした。結合していない物質は洗浄によって除去され、その後、落射蛍光顕微鏡によって胞子を撮影した。結果を、
図21-
図25に示す。
【0240】
図21-
図24は、単離されたアプタマー集団のうち4つが、枯草菌胞子と比較してクロストリジウム・ディフィシル芽胞に優先的に結合することを実証している。これらのアプタマー集団は、それぞれ、CotA、CdeC、CdeMおよびCotEを含んでいた。
【0241】
結論
報告されたデータから、以下のことがわかる。
・生体層干渉法は、CotA、CdeC、CdeM、CotEおよびCotECキチナーゼタンパク質に対して選択された精製アプタマー集団が、それぞれの固定化された標的と相互作用することを示している。“天然”集団はこのような相互作用を示さなかったので、相互作用は選択プロセスの結果であった(単に非特異的結合によるものではない)。
・アプタマー集団のうち4つは、枯草菌胞子と比較してクロストリジウム・ディフィシル芽胞に優先的に結合することが、落射蛍光顕微鏡観察により明らかになった。これらのアプタマー集団は、CotA、CdeC、CdeM、CotEに対して単離され、その後、C. difficile芽胞(“ポジティブ”)とB. subtilis芽胞(“ネガティヴ”)を用いた芽胞ベースの選択により精製された。
・CotECキチナーゼのために単離されたアプタマー集団は、3ラウンドの胞子ベースの選択の後、クロストリジウム・ディフィシルおよび枯草菌の両方の胞子に結合を示した。C. difficileについては、4回目の胞子ベースの選択ラウンドの後、結合は見られなかった。
【0242】
実施例2-モノクローナルアプタマー単離
精製された集団(
図21-
図25で特徴付けられる)を、モノクローナル単離のために用いた。すべてのアプタマーを精製し(溶出後)、水に再懸濁し、保存した。選択または結合アッセイにおける使用の前に、アプタマーを終濃度1x緩衝液で希釈した。個々のアプタマークローンを単離し、0.5μM、1μMまたは2μMのアプタマー濃度を用いてBLIでスクリーニングを行った。再度、標的を生体層干渉センサープローブ上に固定化し、各アプタマークローンと共にインキュベートした。その結果を以下に示す(
図26-30)。適合しなかったクローンの結果は、明確化のために除外されている。
【0243】
図26-30は、選択されたモノクローナルアプタマーが、未選択の天然ライブラリーと比較して、それぞれの標的への結合が改善されていることを示している。固定化された標的は、精製されていない天然アプタマー集団とほとんど相互作用を示さなかった。固定化された標的とそれぞれの選択されたモノクローナルアプタマーとの間で結合が見られた。
【0244】
CdeM、CdeC、CotEおよびCotECキチナーゼを固定化した場合、モノクローナルアプタマーの迅速な結合が見られた(~60-240秒のシグナル)。結合したモノクローナルアプタマーは、CotECキチナーゼ、CotAおよびCdeCから有意な解離を示さなかった。この実施例で用いた特定のモノクローナルアプタマー集団について、CdeMおよびCotEからのモノクローナルアプタマーのより速い解離速度があった(~240-420秒でのシグナル)。しかしながら、本明細書に記載するように、それらのそれぞれの固定化標的タンパク質に対する迅速な会合が起こった。
【0245】
CotAに対する選択されたモノクローナルアプタマーは両方とも、それぞれの標的に対してより遅い会合を示したが、結合したアプタマーはほとんど解離しなかった。
【0246】
CotEアプタマーに対する天然ライブラリー対照は、わずかな結合を示した。これは、データの完全性に影響を与えない異常な結果であると考えられた。
【0247】
結論
生体層干渉法は、CotA、CdeC、CdeM、CotEおよびCotECキチナーゼタンパク質に対して選択したモノクローナルアプタマーが、それぞれの固定化標的と相互作用することを示す。“天然”集団はそのような相互作用を示さないことから、相互作用は選択プロセスの結果である(単に非特異的結合によるのではない)。
【0248】
実施例3-検出
バイオベクターCotE H2アプタマーが、ステンレススチールおよびガウン表面上のクロストリジウム・ディフィシルSH11細菌胞子を、周囲の明暗条件下で視覚化する能力を評価した。
【0249】
材料および方法
本試験で用いたクロストリジウム・ディフィシル精製胞子懸濁液を表6に示す。C. difficile 懸濁液はSporeGen(登録商標)社から提供され、到着後4℃で保存された。
【0250】
【0251】
試験に用いた試験薬を表7に記載する。CotE H2アプタマーおよびTbKst緩衝液は Aptamer Group から提供された。
【表7】
【0252】
装置:
UKASキャリブレーテッドピペット - Sartorius、
UK エッペンドルフ 5452
ミニスピン遠心分離機(エッペンドルフ社、DE)、
Polilight(登録商標) Flare+2 フォレンジックライト(波長505nm) - Rofin、
UK ステンレス製テーブル
病院用ガウンの表面
Canon EOS 2000D カメラ
590nm波長フィルター、Midwest Optical Systems, Inc.
媒体:
ヌクレアーゼ不含有水 - Aptamer Groupより提供
TbKst緩衝液 - Aptamer Groupより提供。この緩衝液は、50mM Tris pH7.6、2.5mM MgCl2、2.5mM CaCl2、28mM K2SO4、0.01% Tween、0.01% BSAを含む。
Clinellの殺胞子性ワイプ - GAMA healthcare、
UK 70%イソプロピルアルコール(IPA)-Fisher Scientific、UK
1% Virkon溶液 - Scientific Laboratory Supplies, UK。
【0253】
方法
バイオベクターCotE H2アプタマーが、周囲の明暗条件下で、ステンレススチールおよびガウン表面上のクロストリジウム・ディフィシルSH11細菌芽胞を検出する能力の評価。
CotE H2アプタマーとクロストリジウム・ディフィシルSH11の結合手順:
試験前に、CotE H2アプタマーを、95℃にて5分間加熱することによりヌクレアーゼ不含有水中で折り畳んだ(folded)。CotE H2アプタマーを、氷上で直ちに2℃に冷却した。C. difficile SH11細菌芽胞の接種物を、ヌクレアーゼ不含有水中のストック溶液から1 x 107 CFUmL-1になるように調製した。一旦折り畳まれたら、20μLのC. difficile SH11胞子懸濁液を20μMの折り畳まれたCotE H2アプタマーに加え、10μMの終濃度とした。アプタマーは、リンカーを介して5’末端に組み込まれたFAMフルオロフォアを含む。
【0254】
アプタマー-芽胞懸濁液を混合し、5秒間ボルテックスして均質な懸濁液を得、室温にて1時間インキュベートした。インキュベーション後、アプタマー-芽胞懸濁液を遠心分離により洗浄し、未結合のCotE H2アプタマーを除去した。100マイクロリットルのTbKst緩衝液をアプタマー-芽胞懸濁液に加え、12,100 x g (13,000rpm)で10分間遠心分離を行った。上清液は廃棄した。アプタマー-芽胞ペレットを100μLのTbKst緩衝液に再懸濁し、10分間ボルテックスして、均質な懸濁液を得た。陰性対照4(胞子を含まないTbKst緩衝液中のCotE H2アプタマー)については、10μLのTbKst緩衝液を、10μMの終濃度を得るために20μMの折り畳んだCotE H2アプタマーの10μLに添加した。
【0255】
周囲の明暗条件下における、ステンレススチールおよびガウン表面上のクロストリジウム・ディフィシル SH11からの細菌芽胞の検出
ステンレススチール表面を、殺胞子性ワイプ、1% Virkon(商標) 溶液、70% イソプロピルアルコール(IPA)で順に洗浄した。洗浄後、該表面を水で濯いだ。表面を10×10cmの5つのサンプルに分け、S1~S5とラベル付けした。サンプルS1は、ステンレススチール表面のクリーン表面対照として未処理とした(陰性対照1)。陰性対照2(C. difficile SH11芽胞のみ)、陰性対照3(馬血液のみ)、陽性対照4(TbKst緩衝液中10μMのCotE H2アプタマー)およびアプタマー-芽胞懸濁液の5つ×5μLアリコートをそれぞれサンプルS2、S3、S4およびS5にピペッティングした。表面を室温で1時間乾燥させた。乾燥後、Polilight(登録商標) Flare+2 フォレンジックライト(505nm)を用いた場合と用いない場合で、アプタマー-芽胞懸濁液の蛍光を周囲の明暗条件下で評価した。蛍光の画像は、Canon EOS 2000Dで590nmのバンドパスフィルターを用いた場合と用いない場合に撮影した。また、陰性対照の自家蛍光も評価した。この試験を病院用ガウン表面で繰り返した。
【0256】
結果
周囲の明暗条件下で、ステンレススチールおよびガウン表面上のクロストリジウム・ディフィシル SH11細菌芽胞を検出するCotE H2アプタマーの能力の評価:
ステンレススチールの表面:
周囲光、Polilight(登録商標) Flare+2 forensic なし、590nm バンドパスフィルターなし。
周囲光条件下でPolilight(登録商標) Flare+2フォレンジックライト(505nm)および590nmバンドパスフィルターに暴露しない場合、すべての試験サンプルで可視蛍光は観察されなかった(
図31A~
図31E)。
【0257】
周囲光、Polilight(登録商標) Flare+2 forensic使用、590nmバンドパスフィルターなし
周囲光条件下で590nmバンドパスフィルターを使用せずに Polilight(登録商標) Flare+2 フォレンジックライト(505nm)を照射した場合、ステンレススチール表面に起因する可視反射が試験サンプルで観察された(
図32A)。試験サンプルの可視反射は、C. difficile SH11芽胞(
図32B)、馬血液(
図32C)、10μMのCotE H2アプタマー(
図32D)ならびにCotE H2アプタマー 10μMおよびC. difficile SH11芽胞の組合せ(
図32E)を含むサンプル内でも観察された。
【0258】
周囲光、Polilight(登録商標) Flare+2 forensic使用、590nmバンドパスフィルター使用。
周囲光条件下で590nmのバンドパスフィルターを使用したときにPolilight(登録商標) Flare+2フォレンジックライト(505nm)を照射しても、ステンレススチール表面による可視反射は観察されなかった(
図33A~
図33E)。ステンレススチール表面(
図33A)、C. difficile SH11芽胞(
図33B)または馬血液(
図33C)を含むサンプルでは、可視の自家蛍光は観察されなかった。蛍光は、
図33D(実線矢印)の明るい光で示されるように、CotE H2アプタマーを10μM含むサンプル内で観察された。CotE H2アプタマー 10μMおよびC. difficile SH11芽胞の組合せを含むサンプル内では、可視蛍光は観察されなかった(
図33E)。
【0259】
暗条件、Polilight(登録商標) Flare+2 forensic 使用、590nm バンドパスフィルター使用。
暗条件下で590nmバンドパスフィルターを用いてPolilight Flare+2フォレンジックライト(505nm)に暴露したとき、ステンレススチール表面によるPolilight(登録商標) Flare+2フォレンジックライトのいくらかの可視反射がすべての試験サンプルについて観察された(
図34A~
図34E)。最小の自家蛍光は、ステンレススチール表面(
図34A)、C. difficile SH11芽胞(
図34B)または馬血液(
図34C)を含むサンプル内で観察された。いくつかの自家蛍光は、表面上に存在する粒子からも観察された(破線矢印で示す、
図34A、B、CおよびE)。蛍光は、
図34Dの明るい光で示されるように、10μMのCotE H2アプタマーを含むサンプル内の、ステンレススチール表面上で観察された(実線矢印)。蛍光は、CotE H2アプタマー 10μMおよびC. difficile SH11芽胞の組合せを含むサンプルでも観察された(
図34E;実線の矢印)。
【0260】
ガウン表面
周囲光(Polilight(登録商標) Flare+2 forensicなし、590nmバンドパスフィルターなし)
周囲光条件下でPolilight(登録商標) Flare+2フォレンジックライト(505nm)および590nmバンドパスフィルターに暴露しないガウン表面試験サンプルでは、蛍光は観察されなかった(
図35A~
図35E)。
【0261】
周囲光、Polilight(登録商標) Flare+2 forensic使用、590nmバンドパスフィルターなし
周囲光条件下で590nmバンドパスフィルターを使用せずに観察した場合、Polilight(登録商標) Flare+2フォレンジックライト(505nm)に曝露したガウン表面の試験サンプルには可視蛍光は観察されなかった(
図36A~
図36E)。ガウン表面によるPolilight(登録商標) Flare+2フォレンジックライトの可視反射は、周囲光条件下で590nmバンドパスフィルターを使用せずにPolilight(登録商標) Flare+2フォレンジックライト(505nm)に暴露したときの試験サンプルについて観察された(
図36A)。試験サンプルの可視反射は、C. difficile SH11芽胞(
図36B)、馬血液(
図36C)、10μMのCotE H2アプタマー(
図36D)およびCotE H2アプタマー 10μMとC. difficile SH11芽胞との組合せ(
図36D)を含むサンプル内でも観察された。
【0262】
周囲光、Polilight(登録商標) Flare+2 forensic使用、590nmバンドパスフィルター使用。
明るい緑色/黄色の蛍光が、10μMのCotE H2アプタマーを含むサンプル内で観察され(
図37D;実線矢印)、可視蛍光が、CotE H2アプタマー10μMとC. difficile SH11芽胞との組合せを含むサンプル内で観察された(
図37E;実線矢印)。ガウン表面にPolilight(登録商標) Flare+2フォレンジックライト(505nm)を照射し、周囲光条件下で590nmバンドパスフィルターを用いて観察した場合、可視反射は観察されなかった(
図37A~
図37E)。
【0263】
暗黒条件、Polilight(登録商標) Flare+2 forensicおよび590nmバンドパスフィルター使用
10μMのCotE H2アプタマーを含むサンプル内で明るい蛍光が観察された(
図38D;実線矢印)。蛍光は、CotE H2アプタマー10μMとC. difficile SH11芽胞との組合せを含むサンプル内で観察された(
図38E;実線の矢印)。ガウン表面、C. difficile SH11芽胞または馬血液を含むサンプル内では、自家蛍光は観察されなかった(
図38A~
図38C)。
【0264】
結論
C. difficileは、嫌気性芽胞形成微生物であり、罹患率の上昇を伴う世界中の感染症の主要な原因と考えられている。医療環境におけるC. difficile芽胞汚染を視覚的に識別する方法は、改善された洗浄手順を可能にし得る。
【0265】
ステンレススチールの蛍光評価では、蛍光は暗条件下でのみ検出されることが示された。ガウン表面についての蛍光評価は、C. difficile SH11芽胞と組み合わせたCotE H2アプタマーの蛍光が、周囲光と暗条件の両方で検出されることを示した。環境光条件下でCotE H2アプタマーとC. difficile SH11芽胞との組合せの存在に応答してガウン表面に観察された蛍光の強度は、暗条件下の蛍光強度より小さかった。ガウン表面対照では、可視反射や自家蛍光は検出されなかったが、ステンレススチールサンプルでは多量の反射が観察された。
【0266】
実施例4-最小結合フラグメント
キチナーゼ_D11アプタマーのフラグメント(配列番号5)が、C. difficile芽胞に結合することが見出された。このフラグメントは、配列番号5の位置28から位置64まで伸長している。この配列は、配列番号23にも示されている。結合は、配列番号23のビオチン化フラグメントを一次抗体と同様の方法で用いたELISA型アッセイを用いて同定された。ストレプトアビジン-HRP複合体を二次結合パートナーとして用いた。
【0267】
C. diff-F1アプタマー(配列番号1)のいくつかのフラグメントが、C. difficile芽胞に結合することが見出された。最小フラグメントであるC diff-F1-f10の配列は、5’-CCATACTCAATGCTTACGATCCTCATCAACC-3’であり、33塩基長である(配列番号24)。このフラグメントは、配列番号1の位置12から位置35まで伸長する23個の連続ヌクレオチドを含む。
【0268】
C.diff-G1アプタマー(配列番号2)のいくつかのフラグメントが、C.difficile芽胞に結合することが見出された。最小フラグメントであるC diff-G1-f6の配列は、5’-CCAGTGTAGACTACTCAATGCTTACGATCCTCATCAACC-3’であり、41塩基長である(配列番号25)。このフラグメントは、配列番号2の位置1から位置21まで伸長する21個の連続ヌクレオチドを含む。
【0269】
CotE-H2アプタマー(配列番号11)のいくつかのフラグメントが、C. difficile芽胞に結合することが見出された。最小フラグメントであるCotE-H2-f4の配列は、5’-AGTGTAGACTACTCAATGCGCTGGCCACAGGTCAACC-3’であり、40塩基長(配列番号26)である。この配列は、配列番号11の5’末端から24個の連続ヌクレオチドおよび3’末端から13個の連続ヌクレオチド(配列番号11から42ヌクレオチドの内部切断を有する)を含み、これらは追加のグアニン架橋と組み合わされたものである。
【0270】
一点(single point)ELISAアッセイにおいて、最小フラグメントであるC diff-F1-f10、C diff-G1-f6およびCotE-H2-f4はそれぞれ、B. sub.よりもC. diff.由来の胞子に優先的に(およそ2倍)結合することを示した。
【0271】
実施例5-アプタマーのタンパク質への結合
平衡解離定数(KD)で報告される結合親和性を、いくつかのアプタマーとタンパク質について測定した(NeoVentures Biotechnology Inc. (London、Ontario、Canada)の委託により実施)。
【0272】
CotE D2、CotE H2およびCotECキチナーゼについて、アプタマーをPBS中5Mの濃度で金表面に、約10nLの容量でトリプリケートでスポットした。陽性アプタマーと同じ長さの陰性アプタマーも同様にトリプリケートでスポットした。その後、タンパク質を200Lの容量でチップ上に注入し、Horiba (OpenPlex) 表面プラズモン共鳴画像化(SPRi)装置で50L/分の流速で注入した。結合による共鳴は、陽性配列の全共鳴から陰性配列の全共鳴を差し引くことによって得られた。解離値は次の式で計算した:dx/dt ~ -kd*x、式中dx/dtは時間関数としての共鳴値の微分であり、xは任意の時点の共鳴値である。結合値は次の式で計算した:dx/dt~ka*c*Rmax-(ka*c+kd)*x、式中xは特定の時点における結合による共鳴であり、cは注入剤の濃度であり、Rmaxは観察された最大共鳴である。
【0273】
CotA C1については、タンパク質上の一級アミン(残基上の側鎖)とチップ表面のカルボン酸基との間にEDCを介したコンジュゲーションを行い、ヒドロゲルチップにタンパク質を固定化させた。陰性対照として、同程度の大きさのタンパク質を同様に固定化した。このデータの濃度のばらつきは、アプタマーの注入量による。CdeC D1については、タンパク質が凝集したタンパク質の不溶性球状物(insoluble ball)であった。結合アッセイは、蛍光標識したアプタマー(FAM)をタンパク質と共にインキュベートした後、微量遠心機でチューブを回転させて未結合物を除去することにより行った。ペレットは選択緩衝液に再懸濁され、再びスピンダウンした。結合したアプタマーを6M尿素を加えて溶出し、再度スピンダウンして上清を保持した。アプタマーをPCRクリーンアップカラムで洗浄し、Tecan Sapphire II蛍光光度計で蛍光を読み取った。励起光は497nmで、発光は515nmであった。溶出液で測定した蛍光量を全分画の蛍光量の合計で割った。
【0274】
アプタマーCotE H2(配列番号11)について、KDはそれぞれ1.43E-07(250nMタンパク質)、9.16E-08(125nMタンパク質)および8.47E-08(62.5nMタンパク質)と決定された。アプタマーCotE D2(配列番号13)について、KDは250nMより大きいと決定された。アプタマーCotA C1(配列番号10)について、KDは6.874E-09と決定された。アプタマーCotEC キチナーゼ D11(配列番号5)について、KDはそれぞれ2.54E-07(500nMタンパク質)、2.35E-07(750nMタンパク質)および2.75E-07(1000nMタンパク質)と決定された。アプタマーCdeC D1(配列番号6)については、タンパク質凝集のため、KDは決定されなかった。
【0275】
本明細書中に引用された文献は、本明細書で明らかなすべての目的のために、その内容全体が、かつ各文献が完全に記載されているかのように文献自体が、本明細書に包含される。提示のために、これらの文献の特定のものが、本明細書の特定の位置で引用されている。特定の位置での文献の引用は、その文献の教示が組み込まれる態様(複数可)を示す。しかしながら、特定の位置での文献の引用は、引用された文献の全ての教示が全ての目的のために組み込まれる態様を制限するものではない。
【0276】
したがって、本発明は、記載された特定の態様に限定されるものではなく、下記の特許請求の範囲、上記の説明および/または添付の図面に示されるように、本発明の精神および範囲内にあるすべての改変を包含することが意図されることが理解される。
【配列表】
【国際調査報告】