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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(54)【発明の名称】同軸RFコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/40 20110101AFI20220728BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H01R24/40
H01R13/639 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511341
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2020065844
(87)【国際公開番号】W WO2021032333
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】19193014.8
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514298472
【氏名又は名称】シュピナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SPINNER GmbH
【住所又は居所原語表記】Erzgiessereistr. 33, D-80335 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス グラービヒラー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ツィスラー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ノイマイアー
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA08
5E021FA14
5E021FB11
5E021FC36
5E021HC31
5E021HC33
5E223AB01
5E223AB20
5E223AB28
5E223AB43
5E223BA01
5E223BB21
5E223CA13
5E223GA08
5E223GA19
5E223GA53
5E223GA83
(57)【要約】
内側導体と外側導体とを備えた同軸RFコネクタ(100)は、複数のばね荷重が加えられたコンタクト要素(128)を形成する複数の長手方向のスリット(126)を有する外側導体を有している。コンタクトスリーブ(130)は、外側導体(120)を同軸に囲んで軸線方向に移動可能に配置されている。コンタクトスリーブ(130)は、ばね荷重が加えられたコンタクト要素(128)に接触している半径方向の接触面(133)と、対応コネクタ(200)に接触するための、コネクタの中心軸線(190)に対して直交する平面を有する軸線方向の接触面(132)とを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸RFコネクタ(100)であって、少なくとも、
前記コネクタの中心軸線(190)を規定する内側導体(110)と、
前記内側導体(110)に対して同軸の外側導体(120)であって、複数の長手方向のスリット(126)を有する管形状を有し、前記スリットは、前記外側導体(120)の端面(122)へと延在していて、複数のばね荷重が加えられたコンタクト要素(128)を形成している、外側導体(120)と、
を備える、同軸RFコネクタ(100)において、
前記外側導体(120)を同軸に囲むようにコンタクトスリーブ(130)が配置されており、
前記コンタクトスリーブ(130)は、前記中心軸線(190)に対して平行な方向に移動可能であり、
前記コンタクトスリーブ(130)は、前記ばね荷重が加えられたコンタクト要素(128)に接触している半径方向の接触面(133)を有し、
前記コンタクトスリーブ(130)は、前記中心軸線(190)に対して直交する平面を有する軸線方向の接触面(132)を有し、
前記コンタクトスリーブに接触して、前記中心軸線(190)に対して平行な方向でかつ前記コネクタの外向きの方向で前記コンタクトスリーブ(130)に力(149)を加えるばね要素(148)が設けられている
ことを特徴とする、同軸RFコネクタ(100)。
【請求項2】
前記同軸RFコネクタ(100)は、前記外側導体(120)に対して同軸の係止スリーブ(140)を備え、
前記係止スリーブ(140)は、係止フック構造(141)をさらに備え、
前記同軸RFコネクタ(100)は、引張りスリーブ(150)をさらに備え、
前記引張りスリーブ(150)は、前記係止フック構造(141)を解放するための作動リング(152)をさらに備える
ことを特徴とする、請求項1記載の同軸RFコネクタ(100)。
【請求項3】
前記同軸RFコネクタ(100)は、係止ナット(450)をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載の同軸RFコネクタ(100)。
【請求項4】
前記ばね要素は、エラストマー材料を含むO字形のリング(148)であるか、または前記ばね要素は、コイルばね(147)であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の同軸RFコネクタ(100)。
【請求項5】
前記外側導体(120)は、縁部(129)を形成する補強セクション(127)を有し、前記縁部は、前記ばね要素(148)が前記縁部と前記コンタクトスリーブ(130)との間に配置されるように、かつ/または前記補強セクション(127)が前記中心軸線(190)に対して半径方向で請求項2記載の前記係止スリーブを保持するように、前記ばね要素(148)を支持していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の同軸RFコネクタ(100)。
【請求項6】
前記ばね荷重が加えられたコンタクト要素(128)は、外向きの方向への前記コンタクトスリーブ(130)の軸線方向の移動を制限するために、該コンタクトスリーブ(130)のコンタクトスリーブ突出部(134)と相互作用するコンタクト要素突出部(124)を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の同軸RFコネクタ(100)。
【請求項7】
前記コンタクトスリーブ(330)は、セクション(336)同士の間にスロット(334)を有する可撓性のセクション(336)と、前記中心軸線(190)に対して直交する平面を有する軸線方向の接触面(132)を有する接触セクション(338)とをさらに備えるスロット付き本体を備えることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の同軸RFコネクタ(100)。
【請求項8】
前記同軸RFコネクタ(100)はプラグコネクタであり、内側導体のコンタクトピン(112)を備えることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の同軸RFコネクタ(100)。
【請求項9】
前記軸線方向の接触面(132)は、前記外側導体の端面(122)を越えて延在していることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の同軸RFコネクタ(100)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の同軸RFコネクタ(100)と、同軸RF対応コネクタ(200)とを備える同軸RFコネクタシステム(100,200)において、
前記同軸RF対応コネクタ(200)は、
前記コネクタの中心軸線(190)を規定する対応コネクタの内側導体(210)と、
前記対応コネクタの内側導体(210)に対して同軸の対応コネクタの外側導体(220)であって、対応コネクタの外側導体の端面(222)を備えた管形状を有する対応コネクタの外側導体(220)と、
を備えることを特徴とする、同軸RFコネクタシステム(100,200)。
【請求項11】
嵌合状態では、前記コンタクトスリーブ(130)の半径方向の接触面(133)が、前記同軸RF対応コネクタ(200)の前記対応コネクタの外側導体の端面(222)に接触していることを特徴とする、請求項10記載の同軸RFコネクタシステム。
【請求項12】
嵌合状態では、前記同軸RFコネクタ(100)の前記外側導体の端面(122)と、前記同軸RF対応コネクタ(200)の前記対応コネクタの外側導体の端面(222)との間に間隙(250)が存在していることを特徴とする、請求項10または11記載の同軸RFコネクタシステム。
【請求項13】
前記同軸RF対応コネクタ(200)は、嵌合状態にあるとき、請求項2記載の前記係止フック構造(141)と相互作用する係止リング(240)を備えることを特徴とする、請求項10から12までのいずれか1項記載の同軸RFコネクタシステム。
【請求項14】
請求項2記載の前記同軸RFコネクタ(100)の前記引張りスリーブは、前記同軸RF対応コネクタ(200)の心合せリング(228)に合致する円筒形の心合せ面(158)を備えることを特徴とする、請求項10から13までのいずれか1項記載の同軸RFコネクタシステム。
【請求項15】
前記同軸RF対応コネクタ(200)はソケットコネクタであり、対応コネクタの内側導体のコンタクトソケット(212)を備えることを特徴とする、請求項10から14までのいずれか1項記載の同軸RFコネクタシステム(100,200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型コネクタであってよい無線周波数(RF)用の同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第9236694号明細書は、低い受動相互変調ひずみ用に設計された同軸コネクタシステムを開示している。プラグコネクタは、ソケットコネクタの堅固な側壁に接触するための、ばね荷重が加えられた外側コネクタを有している。精密な接点設計と、プラグコネクタと第2のコネクタとの間の高い接触力とにより、低い受動相互変調ひずみが実現される。
【0003】
このばね荷重が加えられた外側コネクタは、20GHzを超える範囲の周波数に必要な極めて小さなコネクタサイズへ小型化することがほとんどできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によって解決されるべき課題は、外側導体を有する同軸RFコネクタを提供することである。さらに、例えば、RFコネクタは小型化されてよい。外側コネクタは、2mm未満の範囲の直径を有していてよい。コネクタは頑丈であり、1000サイクルを超える耐用年数を有することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題の解決手段は独立請求項に記載されている。従属請求項は、本発明の更なる改良形態に関する。
【0006】
プラグコネクタ、ソケットコネクタまたは雌雄同体コネクタであってよい同軸RFコネクタは、ハウジングと、中心導体と、外側導体とを有している。中心導体は、その中心によってコネクタの中心軸線を規定する。外側導体は、中心導体の周りに同軸に配置されており、絶縁材料を含む少なくとも1つのストラットによって中心導体を保持することができる。コネクタハウジングは、外側導体の一部であってもよい。プラグコネクタをソケットコネクタに、または2つの雌雄同体コネクタ同士を共に、機械的に締結するための少なくとも1つの手段が存在していてもよい。
【0007】
第1の実施形態は、そのような同軸RFコネクタに関する。外側導体は、中心軸線に対して平行な長手方向に複数のスリットを有する管形状を有することができる。スリットは、外側導体の直径の0.2~5倍の範囲の長さを有することができる。スリットは、外側導体の端部または外側導体の端面へと延在することができる。この端部は、コネクタのコンタクト側に配向することができる。電気的な接続を行うために、コンタクト側に対応コネクタを接続することができる。スリットの数は、2~50個の間、好ましくは4~8個の間の任意の数にすることができる。スリットを備えた外側導体は、複数のばね荷重が加えられたコンタクト要素を形成する。これらのコンタクト要素は、中心軸線に対して半径方向に力が加えられた場合に反力を発生させる。
【0008】
ばね荷重が加えられたコンタクト要素が位置している場所で外側導体を同軸に囲むコンタクトスリーブが提供される。コンタクトスリーブは管形状を有し、中心軸線に対して平行な方向に移動可能である。コンタクトスリーブはさらに、ばね荷重が加えられたコンタクト要素に接触している半径方向の接触面を有している。ばね荷重が加えられたコンタクト要素は、外側導体からの円形の外側輪郭を有しているので、コンタクトスリーブは、外側導体からの円形の外側輪郭に一致する円形の内側輪郭を有することができる。コンタクトスリーブの内径は、所定の接触力を得るために、ばね荷重が加えられたコンタクト要素に所定の半径方向の圧力を加えるように適合させることができる。
【0009】
コンタクトスリーブはさらに、中心軸線に対して直交する平面を有する軸線方向の接触面を有している。通常、この平面は、軸線方向の接触面が対応コネクタに接触するように、外側導体の端面の外側に存在することができる。外側導体の端面を備えた外側導体自体は、対応コネクタに接触しなくてよい。
【0010】
コンタクトスリーブを所定の位置に保持し、対応コネクタに所定の接触圧を提供するために、ばね要素が提供される。ばね要素は、例えばコイルばねなどの金属ばねであってもよいし、ばね要素は、エラストマー材料を含んでいてもよい。そのようなばね要素は、ゴムまたはエラストマーのO字形のリングであってよい。ばね要素は、中心軸線に対して平行な中心軸線の方向にかつコネクタの外向きの中心軸線の方向にコンタクトスリーブを押圧することができる。
【0011】
代替的な実施形態では、ばね要素は、コンタクトスリーブと一体にすることができる。コンタクトスリーブは、セクション同士の間にスロットを有する可撓性のセクションをさらに備えるスロット付き本体を備えることができる。対応コネクタの外側導体に接触するための接触セクションが存在していてよい。コンタクトスリーブを一体部品とすることができる場合、接触セクションは、前述の実施形態におけるコンタクトスリーブの機能を有することができる。スロット付き本体は、ばね要素の機能を有することができる。コンタクトスリーブは、接触セクションと反対側の終端セクションを有することができる。終端セクションはコネクタハウジングによって保持することができ、また内側導体に対応する外側導体に接触することもできる。組み立てを簡単にするために、ばね荷重が加えられたコンタクト要素で終端する外側導体スリーブが存在していてよい。この外側導体スリーブは、例えば、はんだ付け接続または溶接接続によって、外側導体に接触することができる。外側導体スリーブはまた、コンタクトスリーブによって外側導体に押し付けることができる。
【0012】
適切な電気的な接触を確保するために、電気信号または電力を伝送するためにコネクタを結合または嵌合する必要がある対応コネクタに対する固定位置にコネクタを保持することが望ましい場合がある。コネクタは、更なる取り付け構成要素を備えることができるコネクタハウジングによって、または例えばコネクタが一体化される送信機ハウジングなどのより大きなユニットによって、保持することができる。
【0013】
好ましい実施形態では、同軸コネクタは、外側導体に対して同軸にすることができる係止スリーブを備えている。係止スリーブは、対応コネクタを保持するための係止フック構造を備えることができる。係止スリーブは、中心軸線に対して平行な方向にスリットを有することができ、その結果、係止スリーブは、対応コネクタを係合および/または解放するために外向きに曲げることができる複数の係止フックを形成する。係止フック構造を解放するために、作動リングをさらに備えることができる引張りスリーブを有することが好ましい。この作動リングは、係止フック構造と相互作用し、複数の係止フックを備えることができる係止フック構造を押圧することができ、これは、対応コネクタを解放することができるように、半径方向外向きに円形に配置することができる。
【0014】
更なる実施形態では、同軸RFコネクタは、ハウジングまたは外側導体によって保持することができる係止ナットを備えることができる。係止ナットは、対応コネクタの雄ねじ山と係合することができる雌ねじ山を有することができ、その結果、ナットを回転させてねじ山を係合することによって、コネクタを対応コネクタに係止させることができる。
【0015】
更なる実施形態では、外側導体は、スリットから離隔しており、コネクタの外側またはコンタクト側から離れるように配向することができる補強セクションを有している。この補強セクションは、外側導体およびコネクタの安定性を高めることができる。補強セクションはさらに、コネクタハウジングを保持するための手段を提供することができる。さらに、補強セクションは、ばね要素のための支持を提供することができる。補強セクションは、ばね要素を支持するための縁部を有しており、これによって、ばね要素を縁部とコンタクトスリーブとの間に配置することができる。補強セクションはまた、係止スリーブを所定の位置に保持することができる。補強セクションは、円筒形の外形を有することができる。補強セクションは、係止スリーブを保持するための更なる突出部または凹部を有することができる。補強セクションは、中心軸線に対して半径方向に係止スリーブを保持することができる。
【0016】
ばね荷重が加えられたコンタクト要素は、半径方向に配向されており、コンタクトスリーブ突出部と相互作用して、好ましくは外向きの方向へのコンタクトスリーブの軸線方向の移動を制限することができるコンタクト要素突出部を有することができる。コネクタが接続されていない状態では、ばね要素は、コンタクトスリーブをコネクタの外向きに押圧する。外向きの移動が、相互作用する2つの突出部によって制限されている場合、コンタクトスリーブがコネクタから外れることはない。
【0017】
一実施形態では、軸線方向の接触面は、外側導体の端面を越えて延在している。これにより、終端平面によって規定される、内側導体に対して直交する公称平面と、対応コネクタがコネクタに接触する嵌合面との間の角度を傾斜させることが可能になる。これにより、対応コネクタに対してコネクタを傾斜させることもできる。
【0018】
一実施形態では、同軸RFコネクタはプラグコネクタであり、同軸RFコネクタは内側導体にコンタクトピンを備えている。
【0019】
更なる実施形態は、同軸RFコネクタシステムに関し、同軸RFコネクタシステムは、本明細書で説明されるような同軸RFコネクタと、同軸RFコネクタに嵌合する同軸RF対応コネクタとを備えることができる。同軸RFコネクタと同軸RF対応コネクタとは共に嵌合して、電気的な接続を形成することができる。
【0020】
RF対応コネクタは、コネクタの中心軸線を規定する対応コネクタの内側導体と、対応コネクタの内側導体に同軸に配置された対応コネクタの外側導体とを備えることができる。好ましくは、対応コネクタの外側導体は管形状を有し、対応コネクタの外側導体は、さらに対応コネクタの外側導体の端面を有している。対応コネクタの外側導体の端面は、円形の外側輪郭を有し、コンタクトスリーブの軸線方向の接触面に対応するように適合したサイズを有することができる。好ましくは、完全な軸線方向の接触面は、対応コネクタの外側導体の端面に接触することができる。同軸コネクタの外側導体と対応コネクタの外側導体の端面との間に間隙が存在していてよい。同軸コネクタの外側導体から、ばね荷重が加えられたコンタクト要素を介してコンタクトスリーブに流れる電流経路が1つだけ存在していてよい。電流はさらにコンタクトスリーブを通って流れ、コンタクトスリーブを離れて軸方向の接触面を通って対応コネクタの外側導体の端面に流れることができる。
【0021】
この実施形態は、コネクタ同士の間にわずかな不整合が存在する場合でも、著しく正確で信頼性の高い外側コネクタの接触を提供する。このような不整合は、コンタクトスリーブによって補償することができる。
【0022】
一実施形態では、同軸RF対応コネクタは、係止リングを備えることができる。係止リングは、同軸RFコネクタの係止スリーブと相互作用して両方のコネクタを共に保持することができる突出部を有することができる。
【0023】
同軸RFコネクタと同軸RF対応コネクタとの間には、軸線方向(中心軸線に対して平行な方向)で機械的な接点と電気的な接点とが組み合わされて1つだけ存在していてよい。この接続は、係止スリーブと対応コネクタの外側導体の端面との間にある。同軸RFコネクタの外側コネクタと同軸RFコネクタのハウジングとに対してコンタクトスリーブに力が加えられる。これは基本的に同じ力であるが、反対方向の力であり、係止リングと係止スリーブの係止フック構造との間で維持される必要がある。
【0024】
更なる実施形態では、同軸RFコネクタの引張りスリーブは、中空円筒の内部に対応することができる円筒状の心合せ面を備えることができる。この心合せ面は、同軸RF対応コネクタの心合せリングに合致することができる。心合せリングは、好ましくはその外側表面にねじ山を備えることができる。嵌合すると、心合せ面が心合せリングに接触し、それらは両方とも中心軸線と同心円状に整列するため、両方のコネクタもまた中心軸線と同心円状に整列する。
【0025】
更なる実施形態では、心合せ面と心合せリングとの両方は、コネクタ同士の間で傾斜することを防止し、接点システムが傾斜することによる付加的な負荷を防止するのに十分な長さを有している。
【0026】
更なる実施形態では、RF対応コネクタは、上記のように同軸RFコネクタの係止ナットに合致することができる係止ねじ山を備えることができる。
【0027】
更なる実施形態では、同軸RF対応コネクタは、ソケットコネクタであってよく、対応コネクタの内側導体の端部にあって、内側導体のコンタクトピンと嵌合する対応コネクタの内側導体のコンタクトソケットを備えている。
【0028】
一般に、内側導体のためにプラグの構成とソケットの構成とを逆にするか、または雌雄同体コネクタの構成を使用することができる。これは、本明細書に開示される外側導体の構成に全く影響しないか、または無視できる程度の影響しか及ぼさない。
【0029】
一実施形態では、同軸RFコネクタは、RFラインを電気的に接続し、無線周波数(RF)信号を結合するためのコネクタである。外側導体は、内側導体の周りに同軸に配置される。そのようなRF信号を結合するために、コネクタは50Ωであってよい所定の特性インピーダンスを有する必要がある。コネクタはまた、低い挿入損失と低い反射減衰量とを有する必要がある。これには、高導電性を超えて、同軸RFコネクタが、最小の偏差でコネクタの全長にわたって特性インピーダンスを維持する導体構造を有する必要がある。これは、本質的に静電容量がコネクタの全長にわたって一定でなければならないことを意味する。したがって、導体の構造の各ポイントで、内側導体の直径と、外側導体および内側導体の間の距離との間の一定の関係を維持する必要がある。ここでは、内側導体と外側導体との間の材料の誘電率も考慮する必要がある。
【0030】
同軸HV(高電圧)コネクタは、ほとんどの場合、RF信号には適していない。このようなHVコネクタは、均一な電界分布を維持するために対称の同軸構造を提供するが、特定の特性インピーダンスを有することと、さらにコネクタの全長にわたってそのような特性インピーダンスを一定に維持することとは必須ではない。したがって、HVコネクタの設計はそれほど重要ではない。
【0031】
以下に、本発明を、一般的な発明の概念に限定することなしに、図面を参照しながら複数の実施形態の例で例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】コネクタの第1の実施形態を示す図である。
図2図1の詳細な図である。
図3】対応コネクタと嵌合したコネクタを示す図である。
図4】前述の図の詳細を示す図である。
図5】コイルばねを備えた同軸RFコネクタ100を示す図である。
図6】変更されたコンタクトスリーブを備えた更なる実施形態を示す図である。
図7図6のより詳細な図である。
図8】切断されていないコンタクトスリーブを備える、前述の実施形態を示す図である。
図9】同軸RFコネクタの更なる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、同軸RFコネクタ100の第1の実施形態が示されている。同軸RFコネクタ100は、図の左側に、対応コネクタ(図示せず)を接続することができるコンタクト側102を有している。同軸RFコネクタ100は、内側導体110を有しており、内側導体110に対して同軸に外側導体120が配置されている。内側導体110は、中心軸線190を規定している。この実施形態では、内側導体は、雄型コネクタの一部であり、したがって、コンタクトピン112を有している。少なくとも1つのストラット160によって外側導体内に内側導体を支持することができる。
【0034】
外側導体は、外側導体の端部に外側導体の端面122を有し、コンタクト側102に向かって配向している。外側導体はさらに、外側導体の端面から延在している複数の長手方向のスリット126を有している。これらのスリット同士の間の残りの材料は、中心軸線190に対して半径方向に接触力を発生させることができる、ばね荷重が加えられたコンタクト要素を形成する。コンタクトスリーブ130に接触するためのコンタクト要素突出部124は、ばね荷重が加えられたコンタクト要素128の端部にあり、外側導体の端面122と整列している。コンタクトスリーブ130は、外側導体120に対して同軸に取り付けられている。コンタクトスリーブ130は、中心軸線に対して平行に移動可能であり、コンタクトスリーブ130には、金属ばねまたはゴムなどのエラストマー材料であってよいばね要素148によって機械的に予荷重が加えられている。ばね要素148は、O字形のゴムリングであってもよい。このゴムリングは、外側導体の補強セクション127に作用することができる。
【0035】
前述の構成要素は、様々な対応コネクタに電気的な接触を提供するのに十分である。外側導体120と対応コネクタの外側コネクタとの間の電気的な接触は、コンタクトスリーブ130を介して行われる。第1に、外側導体120のばね荷重が加えられたコンタクト要素128は、コンタクトスリーブ130に接触し、コンタクトスリーブ130はさらに、軸線方向の接触面132で対応コネクタの外側導体に接触する。したがって、軸線方向の接触のみがあるが、半径方向の接触はない。さらに、ばね荷重が加えられたコンタクト要素128は、対応コネクタの外側導体に接触しない。代わりに、ばね荷重が加えられたコンタクト要素128はコンタクトスリーブ130に接触するようにのみ設計されている。最後に、内側導体110は、その内側導体のコンタクトピン112によって対応コネクタに接触する。
【0036】
対応コネクタと嵌合するための適切な機械的な接続を実現するために、複数の機械的な構成要素が存在していてもよい。これらの機械的な構成要素の特定の形状は様々であり、機械的な構成要素の特定の形状は、対応コネクタの特定のニーズに適合させることができる。この実施形態では、複数の係止フックを提供する係止フック構造141を有する係止スリーブ140が提供される。少なくとも2つの係止フックが必要であるが、3つ以上の係止フックが好ましい。係止フック構造は、外側導体に対して同軸に配置することもできる引張りスリーブと相互作用するための傾斜した縁部142を有することができる。引張りスリーブは、係止フックによって保持されている対応コネクタを解放するために、係止フックを外向きに曲げるための手段を有することができる。
【0037】
図2に、図1の詳細な図を示す。コンタクトスリーブ130は、半径方向の接触面133において、ばね荷重が加えられたコンタクト要素128にのみ接触することが示されている。接触領域の範囲外では、外側導体とコンタクトスリーブとの間に最小の間隙137が存在していてもよい。この間隙により、外側導体に接触することなくスリーブの移動可能性を最小限に抑えることができるため、外側導体とコンタクトスリーブとの間の接触領域が1つだけになることが保証される。コンタクトスリーブは、コンタクト要素突出部124と相互作用して、コンタクトスリーブの軸線方向の移動を制限し、したがって、例えばコネクタの接続が解除されたときに、コンタクトスリーブが外側導体から脱落することを防止することができるコンタクトスリーブ突出部134を有することができる。
【0038】
本明細書に示される実施形態では、コンタクトスリーブ130は最も外側の位置にあり、対応コネクタを嵌合するときに矢印139によって示されるように内向きに移動することができる。この移動は、ばね要素148によって発生する反力149に対抗する。コンタクトスリーブは、外周および/または内周に、面取りされた縁部138を有することができる。
【0039】
同図は、引張りスリーブ150と係止スリーブ140との間の相互作用の詳細も示している。係止スリーブ140の傾斜した縁部142は、対応コネクタを左側から、矢印139によっても示される方向に挿入することを可能にすることができる。そのような対応コネクタは、次図に示されるように、係止リング突出部242を備えた係止リング240を有することができる。次いで、この突出部は、傾斜した縁部142に沿って移動し、それによって、係止フック構造141を外向きに押圧し、その後、突出部が係止フック構造141の背後に達し、係止フック構造141が戻って、係止リング突出部242をその位置に係止する。コネクタの係止を解除するために、引張りスリーブ150を矢印139で示されるのと同じ方向に引き戻すことができる。引張りスリーブ150は、少なくとも1つの作動縁部153を提供する作動リング152を有することができる。そのような作動縁部153は、係止スリーブの傾斜した縁部142に沿って通過することができ、したがって、係止フック構造142を外向きに押圧して、対応コネクタの係止リング突出部242を解放することができる。
【0040】
取り扱いを簡単にするために、作動リング152は把持溝155を有することができる。
【0041】
図3では、コネクタ100は、対応コネクタ200と嵌合した状態で示されている。この状態で、コンタクトスリーブ130は、対応コネクタの外側導体の端面222によって後方に(図2の矢印139によって示される方向に)押圧されている。同時に、ばね要素148は圧縮されている。同軸RFコネクタ100の内側導体のコンタクトピン112は、同軸RF対応コネクタ200の対応コネクタの内側導体のコンタクトソケット212と嵌合する。対応コネクタの内側導体210は、対応コネクタのストラット260によって対応コネクタの外側導体220内に保持されている。
【0042】
2つのコネクタの心合せは、同軸RF対応コネクタ200の心合せリング228と嵌合する引張りスリーブ150の心合せ面158によって実現することができる。心合せリングは、好ましくはその外側表面にねじ山を備えることができる。心合せ面と心合せリングとの重なり量は、コネクタ同士が互いに傾くのを防止するのに十分な長さとすることができる。
【0043】
図4に、前述の図の詳細を示す。前述のように、外側導体の端面122と対応コネクタの外側導体の端面222との間に間隙250を形成することができる。この間隙により、2つの端面同士の間の直接的な電気的な接触を妨げることができる。接触領域の範囲外では、外側導体120とコンタクトスリーブ130との間に最小の間隙137が存在していてよい。この間隙により、外側導体に接触することなくスリーブの移動可能性を最小限に抑えることができるため、外側導体とコンタクトスリーブとの間の接触領域が1つだけになることが保証される。
【0044】
図5では、ばね要素としてコイルばね147を備えた同軸RFコネクタ100が示されている。コイルばねは、ポリマー部品と比較して、より長い寿命と、より予測可能な一定の力とを提供することができる。参照記号のない図の右側の部分は、ケーブルアダプタまたは付加的なコネクタまたは任意のその他の同軸部品であってよい。それは、本明細書に示される実施形態には関係ない。
【0045】
図6には、同軸RFコネクタ300の更なる実施形態が示されている。この実施形態では、変更されたコンタクトスリーブ330が提供される。ばね要素は、コンタクトスリーブと一体にすることができる。
【0046】
図7は、前述の図のより詳細な図を示している。コンタクトスリーブ330は、セクション同士の間にスロット334を有する可撓性のセクション336と、中心軸線190に対して直交する平面を有する軸線方向の接触面132を有する接触セクション338とを備えるスロット付き本体を備えている。軸線方向の接触面132は、対応コネクタの外側導体に接触するように構成することができる。ここで、コンタクトスリーブ330は一体部品であり、接触セクション338は、前述の実施形態におけるコンタクトスリーブ130の機能を有している。スロット付き本体は、ばね要素の機能を有している。コンタクトスリーブは、接触セクション338と反対側の終端セクション332を有することができる。終端セクション332は、コネクタハウジングによって保持することができ、終端セクション332はまた、内側導体110に適合する外側導体320に接触することもできる。組み立てを簡単にするために、ばね荷重が加えられたコンタクト要素328で終端する外側導体スリーブ324が存在していてよい。この外側導体スリーブ324は、例えば、はんだ付け接続または溶接接続によって、外側導体320に接触することができる。外側導体スリーブ324はまた、コンタクトスリーブ330によって外側導体320に押し付けることができる。
【0047】
図8は、前述の実施形態を示しているが、スロット334がよりよく見えるように、切断されていないコンタクトスリーブ330を備えている。図のようにスロットを反対方向に配置することができるが、コイルばねのような形状を提供するスパイラルカットが存在してもよい。
【0048】
図9では、先に示された引張りスリーブ150と係止スリーブ140とに換えて、係止ナット450を有する同軸RFコネクタ400の更なる実施形態が示されている。
【符号の説明】
【0049】
100 同軸RFコネクタ
102 コンタクト側
110 内側導体
112 内側導体のコンタクトピン
120 外側導体
122 外側導体の端面
123 面取りされた縁部
124 コンタクト要素突出部
126 長手方向のスリット
127 補強セクション
128 ばね荷重が加えられたコンタクト要素
129 縁部
130 コンタクトスリーブ
132 軸線方向の接触面
133 半径方向の接触面
134 コンタクトスリーブ突出部
138 面取りされた縁部
139 コンタクトスリーブの移動
137 間隙
140 係止スリーブ
141 係止フック構造
142 傾斜した縁部
147 コイルばね
148 ばね要素
149 コンタクトスリーブへの力
150 引張りスリーブ
152 作動リング
153 作動縁部
155 把持溝
158 心合せ面
160 ストラット
190 中心軸線
200 同軸RF対応コネクタ
210 対応コネクタの内側導体
212 対応コネクタの内側導体のコンタクトソケット
220 対応コネクタの外側導体
222 対応コネクタの外側導体の端面
228 心合せリング
240 係止リング
242 係止リング突出部
250 間隙
260 対応コネクタのストラット
300 変更されたコンタクトスリーブを備えた同軸RFコネクタ
324 外側導体スリーブ
328 ばね荷重が加えられたコンタクト要素
332 終端セクション
334 スロット
336 可撓性のセクション
338 接触セクション
400 係止ナットを備えた同軸RFコネクタ
450 係止ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】