(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(54)【発明の名称】OLED表示パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20220729BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220729BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220729BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
G02B5/20 101
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 E
H05B33/12 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021503562
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2021-03-17
(86)【国際出願番号】 CN2020097645
(87)【国際公開番号】W WO2021223300
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】202010382499.2
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517333336
【氏名又は名称】武漢華星光電半導体顕示技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN CHINA STAR OPTOELECTRONICS SEMICONDUCTOR DISOLAY TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】305 Room,Building C5 Biolake of Optics Valley,No.666 Gaoxin Avenue,.Wuhan East Lake High-tech Development Zone Wuhan,Hubei 430079 China
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】王 雷
【テーマコード(参考)】
2H148
3K107
【Fターム(参考)】
2H148BC01
2H148BC21
2H148BD02
2H148BD11
2H148BE36
2H148BG06
2H148BH29
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB07
3K107CC45
3K107EE22
3K107EE23
3K107EE27
3K107FF06
3K107FF15
(57)【要約】
本出願は、OLED表示パネル及び表示装置を開示する。本出願のOLED表示パネルにおいて、カラーフィルム層のフォトレジスト構造が2層の画定層を積層させた方式を採用し、2層の画定層では対応するカラーレジスト画定領域の間に斜面が形成され、カラーフィルム層のカラーレジストユニットが対応するカラーレジスト画定領域内に形成され、且つ有機発光層の発光ユニットに対応している。本出願は、カラーフィルム層材料の使用量を低下させ、且つプリントに溶剤フリー材料が採用されているので、溶剤の揮発による環境への影響を回避する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLED表示パネルであって、1つのアレイ層、1つの有機発光層、及び1つのカラーフィルム層を含み、
前記1つの有機発光層は、前記アレイ層上に設置され、前記有機発光層は少なくとも1つの発光ユニットを含み、
前記1つのカラーフィルム層は、前記有機発光層上に設置され、前記カラーフィルム層は1つのフォトレジスト構造と少なくとも1つのカラーレジストユニットを含み、
前記フォトレジスト構造は、1つの第1の画定層と1つの第2の画定層を含み、前記第1の画定層が、少なくとも1つの第1のカラーレジスト画定領域を含み、前記第2の画定層では前記第1のカラーレジスト画定領域に対応する位置に第2のカラーレジスト画定領域が設置され、且つ、前記第2のカラーレジスト画定領域と前記第1のカラーレジスト画定領域は形状が同じであり且つ同心構造であり、前記第2のカラーレジスト画定領域の開口孔径が前記第1のカラーレジスト画定領域の開口孔径よりも大きく、且つ前記第2の画定層では前記第2のカラーレジスト画定領域と前記第1のカラーレジスト画定領域との間に斜面が形成され、
前記カラーレジストユニットは、対応する前記第1のカラーレジスト画定領域と前記第2のカラーレジスト画定領域とにより画定されたエリア内に形成され、且つ前記発光ユニットに対応しており、且つ、前記カラーレジストユニットはインクジェットプリントの方式により前記第1のカラーレジスト画定領域と前記第2のカラーレジスト画定領域内に形成されるOLED表示パネル。
【請求項2】
前記第2のカラーレジスト画定領域及び前記第1のカラーレジスト画定領域の形状は、いずれも円形、角丸矩形、及び方形から選ばれる任意の1つ又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載のOLED表示パネル。
【請求項3】
前記第1のカラーレジスト画定領域の孔径パラメータと前記カラーレジストユニットの光学パラメータが基本的に同じである、請求項1に記載のOLED表示パネル。
【請求項4】
前記第1の画定層及び前記第2の画定層に採用される材料が、いずれもBM材料である、請求項1に記載のOLED表示パネル。
【請求項5】
前記第1の画定層に採用される材料がBM材料であり、前記第2の画定層に採用される材料がOC材料である、請求項1に記載のOLED表示パネル。
【請求項6】
前記OC材料及び前記BM材料がいずれもネガティブ材料であり、且つ同じ孔径が露出しているときに、前記OC材料の露光量が、前記BM材料の露光量よりも大きい、請求項5に記載のOLED表示パネル。
【請求項7】
前記第1の画定層及び前記第2の画定層は、1つのマスクを介してハーフトーンプロセスを行うとともに、第1の画定層のBM材料及び第2の画定層のOC材料に対して露光形成が行われる、請求項5に記載のOLED表示パネル。
【請求項8】
OLED表示パネルであって、1つのアレイ層、1つの有機発光層、及び1つのカラーフィルム層を含み、
前記1つの有機発光層は、前記アレイ層上に設置され、前記有機発光層は少なくとも1つの発光ユニットを含み、
前記1つのカラーフィルム層は、前記有機発光層上に設置され、前記カラーフィルム層は1つのフォトレジスト構造と少なくとも1つのカラーレジストユニットを含み、
前記フォトレジスト構造は、1つの第1の画定層と1つの第2の画定層を含み、前記第1の画定層が、少なくとも1つの第1のカラーレジスト画定領域を含み、前記第2の画定層では前記第1のカラーレジスト画定領域に対応する位置に第2のカラーレジスト画定領域が設置され、且つ、前記第2のカラーレジスト画定領域の開口孔径が前記第1のカラーレジスト画定領域の開口孔径よりも大きく、且つ前記第2の画定層では前記第2のカラーレジスト画定領域と前記第1のカラーレジスト画定領域との間に斜面が形成され、
前記カラーレジストユニットは、対応する前記第1のカラーレジスト画定領域と前記第2のカラーレジスト画定領域とにより画定されたエリア内に形成され、且つ前記発光ユニットに対応しているOLED表示パネル。
【請求項9】
前記第2のカラーレジスト画定領域と前記第1のカラーレジスト画定領域は形状が同じであり且つ同心構造である、請求項8に記載のOLED表示パネル。
【請求項10】
前記第2のカラーレジスト画定領域及び前記第1のカラーレジスト画定領域の形状は、いずれも円形、角丸矩形、及び方形から選ばれる任意の1つ又はこれらの組み合わせである、請求項8に記載のOLED表示パネル。
【請求項11】
前記第1のカラーレジスト画定領域の孔径パラメータと前記カラーレジストユニットの光学パラメータが基本的に同じである、請求項8に記載のOLED表示パネル。
【請求項12】
前記第1の画定層及び前記第2の画定層に採用される材料が、いずれもBM材料である、請求項8に記載のOLED表示パネル。
【請求項13】
前記第1の画定層に採用される材料がBM材料であり、前記第2の画定層に採用される材料がOC材料である、請求項8に記載のOLED表示パネル。
【請求項14】
前記OC材料及び前記BM材料がいずれもネガティブ材料であり、且つ同じ孔径が露出しているときに、前記OC材料の露光量が、前記BM材料の露光量よりも大きい、請求項13に記載のOLED表示パネル。
【請求項15】
前記第1の画定層及び前記第2の画定層は、1つのマスクを介してハーフトーンプロセスを行うとともに、第1の画定層のBM材料及び第2の画定層のOC材料に対して露光形成が行われる、請求項13に記載のOLED表示パネル。
【請求項16】
前記カラーレジストユニットは、インクジェットプリントの方式により前記第1のカラーレジスト画定領域と前記第2のカラーレジスト画定領域内に形成される、請求項8に記載のOLED表示パネル。
【請求項17】
表示装置であって、前記表示装置は、1つのOLED表示パネルを含み、前記OLED表示パネルは、1つのアレイ層、1つの有機発光層、及び1つのカラーフィルム層を含み、
前記1つの有機発光層は、前記アレイ層上に設置され、前記有機発光層は少なくとも1つの発光ユニットを含み、
前記1つのカラーフィルム層は、前記有機発光層上に設置され、前記カラーフィルム層は1つのフォトレジスト構造と少なくとも1つのカラーレジストユニットを含み、
前記フォトレジスト構造は、1つの第1の画定層と1つの第2の画定層を含み、前記第1の画定層が、少なくとも1つの第1のカラーレジスト画定領域を含み、前記第2の画定層では前記第1のカラーレジスト画定領域に対応する位置に第2のカラーレジスト画定領域が設置され、且つ、前記第2のカラーレジスト画定領域の開口孔径が前記第1のカラーレジスト画定領域の開口孔径よりも大きく、且つ前記第2の画定層では前記第2のカラーレジスト画定領域と前記第1のカラーレジスト画定領域との間に斜面が形成され、
前記カラーレジストユニットは、対応する前記第1のカラーレジスト画定領域と前記第2のカラーレジスト画定領域とにより画定されたエリア内に形成され、且つ前記発光ユニットに対応している、表示装置。
【請求項18】
前記第2のカラーレジスト画定領域と前記第1のカラーレジスト画定領域は形状が同じであり且つ同心構造である、請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記第1の画定層及び前記第2の画定層に採用される材料が、いずれもBM材料であるか、または、前記第1の画定層に採用される材料が、BM材料であり、前記第2の画定層に採用される材料がOC材料である、請求項17に記載の表示装置。
【請求項20】
前記カラーレジストユニットは、インクジェットプリントの方式により前記第1のカラーレジスト画定領域と前記第2のカラーレジスト画定領域内に形成される、請求項17に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、印刷表示の技術分野に関し、特にOLED表示パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、略称OLED)表示技術の高速発展に伴い、曲面及び可撓性表示製品の迅速な市場参入が促進され、関連分野の技術の革新も日進月歩である。OLEDデバイスは有機発光材料を利用して、電界駆動下で、キャリアの注入と再結合により発光を引き起こすダイオードデバイスである。OLEDデバイスは、その軽量、薄型、屈曲性、大きな視野角範囲などの優位性のため、広範な注目を受けている。
【0003】
偏光片(POL)は、強光でのパネルの反射率を効果的に低下できる反面、約58%の出光を損失しており、これは、OLEDにとっては、その寿命への負担を大幅に増大している。一方、偏光片は、厚さが比較的大きく、材質が脆いので、動的曲げ製品の開発に不利である。OLED表示技術に基づく動的曲げ製品を開発するためには、偏光片の代わりに新材料、新技術及び新プロセスを導入しなければならない。偏光片の代わりにカラーフィルム(Color Filter、略称CF)を使用することは、偏光片(POL-less)レス技術に属する。
【0004】
図1Aを参照すると、カラーフィルムに基づく偏光片レス表示パネルと偏光片に基づく表示パネルとの効果の比較模式図であり、図中において、矢印は、パネルの出光方向を示す。
図1A中のa部分に示すように、カラーフィルムに基づく偏光片レス表示パネル10aは、順次積層設置された、1つのアレイ層(Array)11a、1つの有機発光層(EL)12a、1つのフィルムパッケージ層(TFE)13a、及び1つのカラーフィルム層(CF)14aを含み、ここで、前記カラーフィルム層14aの厚さH1が約2~3μmであり、カラーフィルムに基づく偏光片レス表示パネル10aは、出光率が60%よりも大きく、反射率が6%よりも大きい。
図1A中のb部分に示すように、偏光片に基づく表示パネル10bは、順次積層設置された、1つのアレイ層11b、1つの有機発光層12b、1つのフィルムパッケージ層13a、及び1つの偏光片(POL)14bを含み、ここで、前記偏光片14bの厚さH2が約60μmであり、偏光片に基づく表示パネル10bは、出光率が約42%であり、反射率が約5%である。
【0005】
図1Aからわかるように、カラーフィルムに基づく偏光片レス表示パネルは、機能層の厚さを約60μmから5μm未満に低下できるだけでなく、出光率を約42%から60%よりも大きく高めることができ、一方、カラーフィルムに基づく偏光片レス表示パネルは、偏光片に基づく表示パネルとは反射率が基本的に同じである。
【0006】
カラーフィルムに基づくPOL-less技術は、動的曲げ製品の開発を実現するための重要な技術の1つと考えられる。カラーフィルム層の基本構造は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)カラーレジスト及び黒色マトリックス(BM)を含み、OLEDの自己発光の特性に基づいて、カラーレジストはそれぞれOLEDの赤、緑及び青色の発光ユニットに対応して、カラーフィルム機能層を形成する必要がある。従来のPOL-less技術はフォトリソグラフィープロセスを経る必要があり、従来のフォトリソグラフィー方式で製造された画定領域(Bank)は、一層のフォトレジストパターン(Pattern)の形式であり、ここでよく使用されているフォトレジストがBM材料である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1Bを参照すると、フォトリソグラフィー方式を採用して形成する従来のフォトレジストパターンの模式図である。ここで、円形Bank 101の直径D101が27~28umであり、一方の角丸矩形Bank 102の辺長L102が31~32umであり、他方の角丸矩形Bank 103の辺長L103が36~37umである。フォトリソグラフィー方式を採用して製造したフォトレジストパターンは、後続のフォトリソグラフィーRGB膜層による光学パラメータの要件を満たす。
【0008】
しかしながら、従来のPOL-less技術は、フォトリソグラフィープロセスを経る必要があるため、材料を大量浪費するだけではなく、フォトリソグラフィー材料自体が高溶剤含有量の材料であるので、フォトリソグラフィープロセス中に溶剤が大量揮発されて、環境に対して一定の汚染を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の目的は、従来技術に存在する問題に対して、プリントの方式を採用してカラーフィルムを製造することを実現し、プリントの要件を満たすとともに、カラーフィルム材料の使用量を低下させ、且つ溶剤フリーカラーフィルム材料を採用するため、溶剤の揮発による環境への影響を回避し、製品の競争力を高めることができるOLED表示パネル及び表示装置を提供することである。
【0010】
本出願の実施例は、OLED表示パネルを提供し、1つのアレイ層、1つの有機発光層、及び1つのカラーフィルム層を含み、前記1つの有機発光層は、前記アレイ層上に設置され、前記有機発光層は少なくとも1つの発光ユニットを含み、前記1つのカラーフィルム層は、前記有機発光層上に設置され、前記カラーフィルム層は1つのフォトレジスト構造と少なくとも1つのカラーレジストユニットを含み、前記フォトレジスト構造は、1つの第1の画定層と1つの第2の画定層を含み、前記第1の画定層が、少なくとも1つの第1のカラーレジスト画定領域を含み、前記第2の画定層では前記第1のカラーレジスト画定領域に対応する位置に第2のカラーレジスト画定領域が設置され、ここで、前記第2のカラーレジスト画定領域と前記第1のカラーレジスト画定領域は、形状が同じであり且つ同心構造であり、前記第2のカラーレジスト画定領域の開口孔径が前記第1のカラーレジスト画定領域の開口孔径よりも大きく、且つ前記第2の画定層では前記第2のカラーレジスト画定領域と前記第1のカラーレジスト画定領域との間に斜面が形成され、前記カラーレジストユニットは、対応する前記第1のカラーレジスト画定領域と前記第2のカラーレジスト画定領域とにより画定されたエリア内に形成され、且つ前記発光ユニットに対応しており、ここで、前記カラーレジストユニットはインクジェットプリントの方式により前記第1のカラーレジスト画定領域と前記第2のカラーレジスト画定領域内に形成される。
【0011】
本出願の実施例は、OLED表示パネルをさらに提供し、1つのアレイ層、1つの有機発光層、及び1つのカラーフィルム層を含み、前記1つの有機発光層は、前記アレイ層上に設置され、前記有機発光層は少なくとも1つの発光ユニットを含み、前記1つのカラーフィルム層は、前記有機発光層上に設置され、前記カラーフィルム層は1つのフォトレジスト構造と少なくとも1つのカラーレジストユニットを含み、前記フォトレジスト構造は、1つの第1の画定層と1つの第2の画定層を含み、前記第1の画定層が、少なくとも1つの第1のカラーレジスト画定領域を含み、前記第2の画定層では前記第1のカラーレジスト画定領域に対応する位置に第2のカラーレジスト画定領域が設置され、ここで、前記第2のカラーレジスト画定領域の開口孔径が前記第1のカラーレジスト画定領域の開口孔径よりも大きく、且つ前記第2の画定層では前記第2のカラーレジスト画定領域と前記第1のカラーレジスト画定領域との間に斜面が形成され、前記カラーレジストユニットは、前記フォトレジスト構造の前記第1のカラーレジスト画定領域により画定されるエリア内に形成され、且つ前記発光ユニットに対応している。
【0012】
本出願の実施例は、表示装置をさらに提供し、前記表示装置は、1つのOLED表示パネルを含み、前記OLED表示パネルは、1つのアレイ層、1つの有機発光層、及び1つのカラーフィルム層を含み、前記1つの有機発光層は、前記アレイ層上に設置され、前記有機発光層は少なくとも1つの発光ユニットを含み、前記1つのカラーフィルム層は、前記有機発光層上に設置され、前記カラーフィルム層は1つのフォトレジスト構造と少なくとも1つのカラーレジストユニットを含み、前記フォトレジスト構造は、1つの第1の画定層と1つの第2の画定層を含み、前記第1の画定層が、少なくとも1つの第1のカラーレジスト画定領域を含み、前記第2の画定層では前記第1のカラーレジスト画定領域に対応する位置に第2のカラーレジスト画定領域が設置され、且つ、ここで、前記第2のカラーレジスト画定領域の開口孔径が前記第1のカラーレジスト画定領域の開口孔径よりも大きく、且つ前記第2の画定層では前記第2のカラーレジスト画定領域と前記第1のカラーレジスト画定領域との間に斜面が形成され、前記カラーレジストユニットは、対応する前記第1のカラーレジスト画定領域と前記第2のカラーレジスト画定領域とにより画定されたエリア内に形成され、且つ前記発光ユニットに対応している。
【発明の効果】
【0013】
本出願のカラーフィルム層のフォトレジスト構造が2層の画定層を積層させた方式を採用し、2層の画定層では対応する画定領域の間に斜面が形成され、このように、後続のインクジェットプリントプロセスの開発が容易になり、インクジェットプリントの方式を採用してカラーフィルム層を製造することが実現される。フォトリソグラフィープロセスを採用してカラーフィルム層を製造する方式に比べて、カラーフィルム層材料の使用量を低下できるだけでなく、プリントに溶剤フリー材料が採用されるため、溶剤の揮発による環境への影響を回避する。
【0014】
本出願の実施例の技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明するが、明らかなように、以下の説明における図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な努力を必要としない前提下で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】カラーフィルムに基づく偏光片レス表示パネルと偏光片に基づく表示パネルとの効果の比較模式図である。
【
図1B】フォトリソグラフィー方式を採用して形成した従来のフォトレジストパターンの模式図である。
【
図2A】本出願のOLED表示パネルの断面構造模式図である。
【
図2B】本出願のOLED表示パネルの上面構造模式図である。
【
図3】本出願のフォトレジスト構造の一実施例の上面構造模式図である。
【
図4】本出願のフォトレジスト構造の一実施例の断面構造模式図である。
【
図5】本出願のフォトレジスト構造及び従来の単層フォトレジスト構造を用いてインクジェットプリントを行うときのプリント効果の比較図である。
【
図6】本出願の表示装置のアーキテクチャ模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本出願の実施形態を詳細に説明するが、前記実施形態の例は図面中に示されており、ここで図面を通じて同じ又は類似の符号は同じ又は類似の構成部品又は同じ又は類似の機能を有する構成部品を示す。本出願の明細書、特許請求の範囲及び図面における用語「第1の」、「第2の」、「第3の」等(存在する場合)は、類似の対象を区別するために使用され、必ずしも特定の順番又は優先順位を説明するわけでない。このように説明する対象は適切な場合に交換可能であることを理解すべきである。本出願の説明において、「複数」の意味は、2つ又は2つ以上であり、別に明確かつ具体的な限定がある場合を除く。さらに、用語「含む」、「有する」及びこれらの任意の変形は、非独占的な包含をカバーすることを意図している。本出願で言及する方向用語、たとえば、上、下、左、右、前、後、内、外、側面等は、図面を参照する方向だけである。
【0017】
本出願の説明において、なお、別に明確な規定や限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は広義に理解すべきであり、たとえば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、又は一体に接続されてもよい。機械的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよく、又は互いに通信可能であってもよい。直接連結してもよく、中間物を介して連結してもよく、2つの素子の内部が連通してもよく、又は2つの素子が相互作用関係であってもよい。当業者にとっては、具体的な状況に応じて上記用語の本出願での具体的な意味を理解できる。
【0018】
本出願は、OLED表示パネルのカラーフィルム層のフォトレジスト構造を提案しており、フォトレジスト構造を調整することにより、2層の画定層を積層させた方式を選択しており、ここで底層の画定領域(Bank)の孔径が最上層の画定領域の孔径未満であり、2層の画定層上において対応するBankが同心構造であり、且つ2層の画定層では対応する画定領域の間に斜面(最上層Bankのテーパー(Taper)が比較的低い)が形成される。つまり、フォトレジスト構造は、画定領域では上部が狭く下部が広いような構造を呈し、それにより、インクジェットプリント(Ink-jet Printing、略称IJP)技術を採用してカラーフィルム層のカラーレジストユニットをプリントする際に、インクの周辺へのこぼれを制限し、且つプリントに偏差が生じたときに、インク液滴が斜面に沿ってBank底部に落ちることができるようにする。本出願により改良されたフォトレジスト構造を用いることにより、後続のインクジェットプリントプロセスの開発が容易になり、インクジェットプリントの方式を採用してカラーフィルム層を製造することが実現され、それにより、フォトリソグラフィープロセスを採用してカラーフィルム層を製造する方式に比べて、カラーフィルム層材料の使用量を低下できるだけでなく、プリントに溶剤フリー材料が採用されるため、溶剤の揮発による環境への影響を回避しうる。
【0019】
図2A~
図2B、
図3~
図5を合わせて参照するが、ここで、
図2Aは本出願のOLED表示パネルの断面構造模式図であり、
図2Bは本出願のOLED表示パネルの上面構造模式図であり、
図3は本出願のフォトレジスト構造の一実施例の上面構造模式図であり、
図4は本出願のフォトレジスト構造の一実施例の断面構造模式図であり、
図5は、本出願のフォトレジスト構造及び従来の単層フォトレジスト構造を採用してインクジェットプリントを行うときのプリント効果の比較図である。
【0020】
図2A~
図2Bに示すように、本出願のOLED表示パネル20は、1つのアレイ層21、1つの有機発光層22、及び1つのカラーフィルム層24を含む。
【0021】
具体的には、前記有機発光層22は、前記アレイ層21上に設置され、前記有機発光層22は少なくとも1つの発光ユニット220を含む。それに対応して、前記アレイ層21は、アレイ状に設置された薄膜トランジスタ210を含み、前記発光ユニット220は前記薄膜トランジスタ210に電気的に接続され、それにより、前記薄膜トランジスタ210の駆動下で発光する。前記アレイ層21と前記有機発光層22の具体的な設置方式及び作動原理については、従来技術を参照できるため、本出願では詳しく説明しない。
【0022】
前記カラーフィルム層24は、前記有機発光層22上に設置され、前記カラーフィルム層24は1つのフォトレジスト構造241及び少なくとも1つのカラーレジストユニット242を含み、前記カラーレジストユニット242は前記発光ユニット220に対応している。具体的には、前記カラーフィルム層24は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)カラーレジストユニットを含み、各カラーレジストユニットは、それぞれ前記有機発光層22の赤、緑、及び青色の発光ユニットに対応し、カラーフィルム機能層を形成する。
【0023】
さらなる実施例では、前記OLED表示パネル20は1つのフィルムパッケージ層23をさらに含む。前記フィルムパッケージ層23は前記有機発光層22及び前記アレイ層21に被覆され、前記カラーフィルム層24は、前記フィルムパッケージ層23の、前記有機発光層22から遠い一方側に形成される。
【0024】
図3~
図4に示すように、本出願のフォトレジスト構造241は、1つの第1の画定層31と1つの第2の画定層32を含む。前記第1の画定層31は少なくとも1つの第1のカラーレジスト画定領域311を含み、前記第2の画定層32では前記第1のカラーレジスト画定領域311に対応する位置に第2のカラーレジスト画定領域321が設置され、ここで、前記第2のカラーレジスト画定領域321の開口孔径D32が前記第1のカラーレジスト画定領域311の開口孔径D31よりも大きく、且つ前記第2の画定層32では前記第2のカラーレジスト画定領域321と前記第1のカラーレジスト画定領域311との間に斜面322が形成され、つまり、前記第2の画定層32と前記第1の画定層31との間が段差形状に形成される。インクジェットプリント過程において、インク(Ink)が液滴の形態で対応するカラーレジスト画定領域内にプリントされるので、斜面の設計により、中心位置からずれたインクがカラーレジスト画定領域内に簡便に流れることができる。
【0025】
さらに、
図2Aを参照すると、前記カラーレジストユニット242は、前記フォトレジスト構造241の対応する前記第1のカラーレジスト画定領域311と前記第2のカラーレジスト画定領域321により画定されたエリア内に形成され、且つ前記発光ユニット220に対応している。さらなる実施例では、前記カラーレジストユニット612は、インクジェットプリントの方式により前記第1のカラーレジスト画定領域311と前記第2のカラーレジスト画定領域321により画定されたエリア内に形成される。
【0026】
さらに、
図3~
図4を参照すると、さらなる実施例では、前記第1のカラーレジスト画定領域311の孔径パラメータと前記カラーレジストユニット242の光学パラメータとが基本的に同じである。つまり、本出願の前記フォトレジスト構造241は、後続のRGB膜層形成における光学パラメータの要件を満たす。
【0027】
さらなる実施例では、前記第2のカラーレジスト画定領域321と前記第1のカラーレジスト画定領域311は、形状が同じであり、且つ同心構造である。このような設計とすることにより、斜面が容易に形成でき、且つ前記第1のカラーレジスト画定領域311の周辺にわたって斜面を形成することができ、それにより、中心位置からずれたインクがより簡便に前記第1のカラーレジスト画定領域311内に流れることができる。
【0028】
さらなる実施例では、前記第2のカラーレジスト画定領域321及び前記第1のカラーレジスト画定領域311の形状は、いずれも、円形、角丸矩形、及び方形から選ばれる任意の1つ又はこれらの組み合わせである。
【0029】
さらに、
図3を参照すると、本実施例では、前記第1の画定層31上の前記第1のカラーレジスト画定領域311の形状は、円形及び角丸矩形を含み、具体的には、円形Bank 311a、第1の角丸矩形Bank 311b、及び第2の角丸矩形Bank 311cを含み、各Bankの孔径パラメータが、対応するカラーレジストユニットを製造するときの光学パラメータの要件を満たす。それに対応して、前記第2の画定層32上の前記第2のカラーレジスト画定領域321の形状も円形及び角丸矩形を含み、具体的には、円形Bank 321a、第1の角丸矩形Bank 321b、及び第2の角丸矩形Bank 321cを含み、各Bankの孔径パラメータが、前記第1のカラーレジスト画定領域311の対応するBankの孔径パラメータよりも大きく、それにより、インクジェットプリントの要件を満たす。
【0030】
一実施例では、前記第1の画定層31上の円形Bank 311aの直径は26~28umであってもよく、第1の角丸矩形Bank 311bの辺長は25~32umであってもよく、第2の角丸矩形Bank 311cの辺長は27~37umであってもよく、前記第2の画定層32上の対応する円形Bank 321aの直径D301は28~39umであり、第1の角丸矩形Bank 321bの辺長L302は45~46umであり、第2の角丸矩形Bank 321cの辺長L303は45~46umである。ここで、前記第2の画定層32上の対応する異なる角丸矩形Bank(第1の角丸矩形Bank 321b及び第2の角丸矩形Bank 321c)の孔径パラメータは同じとしてもよく、それにより、製造プロセスを簡素化させる。
【0031】
一実施例では、前記第1の画定層31及び前記第2の画定層32に採用される材料はいずれもBM材料である。具体的には、BM材料は黒色インクである。2つのマスク(Mask)を設計することにより、2層の画定層を形成することができ、底層Maskの孔径は光学パラメータを確保し、最上層Maskの孔径はIJPニーズを満たす。
【0032】
一実施例では、前記第1の画定層31に採用される材料はBM材料であり、前記第2の画定層32に採用される材料はいずれもOC材料である。BM材料及びOC(Over Coat)材料はいずれもエポキシ樹脂類であり、具体的には、BM材料は黒色インクであり、OC材料はゲルコート樹脂である。
【0033】
さらなる実施例では、前記OC材料及び前記BM材料はいずれもネガティブ材料であり、且つ同じ孔径が露出しているときに、前記OC材料の露光量が、前記BM材料の露光量よりも大きい。具体的には、前記第1の画定層31及び前記第2の画定層32は、1つのマスクを介してハーフトーン(Half tone)プロセスを行うとともに、第1の画定層のBM材料及び第2の画定層のOC材料に対して露光形成が行われる。BM材料がネガティブ材料であり、OC材料とBM材料との性質が一致に保持されるので、OC材料及びBM材料自体の露光性質の相違に応じて、このように同じ露光量の条件下でネガティブ露光の「光に晒されると保留」の特性により、BM材料を採用した膜層で形成される孔径がより小さくなり、それにより、画定領域に段差形状が形成され、後続のIJPを行うことが容易になる。
【0034】
以下、
図5と組み合わせて、インクジェットプリント実験を通じて本出願のフォトレジスト構造をさらに検証する。
【0035】
図5中のa部分に示すように、本出願の2層の画定層を積層させた方式を採用したフォトレジスト構造では、プリント過程においてインクが液滴の形態で対応する画定領域内にプリントされ、画定領域に一定のスロープを有するため、中心位置からずれたインクが容易に画定領域内に流れることができ、このように、IJPプリントの要件を満たすとともに、プリントして形成したカラーフィルム層のカラーレジストユニットが後続の光学パラメータの要件を満たすようにする。
【0036】
比較として、
図5中のb部分に示すように、単層画定層方式を採用したフォトレジスト構造では、ベース膜層の厚さが設計初期にあまり厚くなることはないため、スロープを作製することが困難であり、プリントして形成したカラーフィルム層のカラーレジストユニットが画定領域からずれやすくなり、それにより、光学パラメータの要件に悪影響を与える。
【0037】
同一の技術的思想に基づいて、本出願は、表示装置をさらに提供する。
【0038】
図6を参照すると、本出願の表示装置のアーキテクチャ模式図である。前記表示装置60は、1つの表示パネル61を含み、前記表示パネル61は本出願の上述OLED表示パネルを採用する。前記OLED表示パネルの構成部品の設置方式及び利点はすでに以上で詳細に説明されており、ここでは、詳しく説明しない。
【0039】
本出願の表示装置は、ウェアラブル機器、たとえばスマートリストバンド、スマートウォッチ、バーチャルリアリティ(Virtual Reality、略称VR)機器等であってもよく、携帯スマートフォン、電子ブックや電子新聞、テレビ、パーソナルラップトップコンピュータ、及び折りたたみ又は屈曲可能な可撓性OLED表示・照明機器であってもよい。
【0040】
なお、本発明が属する技術分野における通常知識を有する者にとっては、本出願の技術的手段及びその技術的思想に基づいて同等置換又は変更を加えることができ、これらのすべての変更又は置換は本出願の添付の特許請求の範囲の保護範囲に属するべきである。
【符号の説明】
【0041】
10a 偏光片レス表示パネル
10b 表示パネル
11b アレイ層
12b 有機発光層
13a フィルムパッケージ層
14a カラーフィルム層
14b 偏光片
20 OLED表示パネル
21 アレイ層
22 有機発光層
23 フィルムパッケージ層
24 カラーフィルム層
31 第1の画定層
32 第2の画定層
60 表示装置
61 表示パネル
210 薄膜トランジスタ
220 発光ユニット
241 フォトレジスト構造
242 カラーレジストユニット
311 第1のカラーレジスト画定領域
321 第2のカラーレジスト画定領域
322 斜面
612 カラーレジストユニット
【国際調査報告】