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特表2022-535177再利用可能な粒子状物質用抗菌防じんマスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(54)【発明の名称】再利用可能な粒子状物質用抗菌防じんマスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220729BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
A41D13/11 M
A41D13/11 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530075
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 KR2020006189
(87)【国際公開番号】W WO2020242091
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0061835
(32)【優先日】2019-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520221176
【氏名又は名称】エルエスケー ファインテックス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジャンファン
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185CA03
2E185CC32
(57)【要約】
本発明は、粒子状物質用防じんマスクに係り、さらに詳しくは、粒子状物質用抗菌防じんマスクに関する。本発明に係る粒子状物質用防じんマスクは、マスク部と、前記マスク部の内面の上端に固定された密閉部材と、前記マスク部の内面と顔との間に位置する粒子状物質フィルター紙と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク部と、
前記マスク部の内面の上端に固定された密閉部材と、
前記マスク部の内面と顔との間に位置する粒子状物質フィルター紙と、
を備える粒子状物質用防じんマスク。
【請求項2】
前記密閉部材は、非金属性部材であることを特徴とする請求項1に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項3】
前記密閉部材は、織物タイプの密閉部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項4】
前記織物タイプの密閉部材は、鼻背に触れる鼻背接触部位と、前記鼻背接触部位から両側に向かって対称状に延びて、前記鼻背から目の下へとつながる鼻根に触れる鼻根接触部位と、からなることを特徴とする請求項3に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項5】
前記鼻背接触部位は薄肉に形成され、両側の鼻根接触部位は厚肉に形成されることを特徴とする請求項4に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項6】
前記織物タイプの密閉部材は、裁縫により前記マスク部の内側に上部が固定され、下部は固定されていないことを特徴とする請求項3に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項7】
前記粒子状物質フィルター紙は、前記マスク部の内側の形状に見合う3次元形状のフィルター紙であることを特徴とする請求項1に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項8】
前記粒子状物質フィルター紙は、使い捨て式フィルター紙であることを特徴とする請求項7に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項9】
前記粒子状物質フィルター紙は、前記マスク部の内面及び/又は前記密閉部材に部分的に固定されることを特徴とする請求項1に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項10】
前記粒子状物質フィルター紙は、前記マスク部の内面と前記密閉部材との間に上端の一部が挿着されることを特徴とする請求項9に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項11】
前記マスク部は、抗菌性マスク部であることを特徴とする請求項1に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項12】
前記抗菌性マスク部は、内面にのみ抗菌性生地が用いられることを特徴とする請求項11に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項13】
前記抗菌性マスク部は、銅成分を含む電気伝導性繊維を、銅成分を含む非伝導性繊維と、綿繊維と、テンセル繊維と、ポリエステル繊維と、スパンデックス繊維とからなる群から選ばれるいずれか一種以上の繊維とともに交編織した編織生地を含むことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項14】
前記抗菌性マスク部は、非抗菌性の上部編織物と、抗菌性生地を用いた下部編織物と、垂直編織物と、からなる三重織り編織マスク部であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項15】
前記三重織り編織マスクは、上部編織物と、銅成分を含む電気伝導性繊維及び銅成分を含む非伝導性繊維を含む下部編織物と、モノフィラメント糸繊維を含む垂直編織物と、からなることを特徴とする請求項14に記載の粒子状物質用防じんマスク。
【請求項16】
マスク部と、
前記マスク部の内面に一部が固定され、固定されない部分は呼吸に伴って動く粒子状物質フィルター紙と、
を備える粒子状物質用防じんマスク。
【請求項17】
マスクの内面の上端に鼻根と顔面との間を密閉するための非金属型密閉部材が固定されたことを特徴とするマスク。
【請求項18】
前記非金属型密閉部材は、鼻背に触れる鼻背接触部位と、前記鼻背接触部位から両側に向かって対称状に延びて、前記鼻背から目の下へとつながる鼻根に触れる鼻根接触部位と、からなる織物タイプの密閉部材であることを特徴とする請求項17に記載のマスク。
【請求項19】
前記織物タイプの密閉部材は、前記鼻背接触部位は薄肉に形成され、前記鼻根接触部位は厚肉に形成されたことを特徴とする請求項18に記載のマスク。
【請求項20】
前記マスクは、非抗菌性上部編織物と、抗菌性生地を用いた下部編織物と、垂直編織物と、からなる三重織り編織物であることを特徴とする請求項19に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質用防じんマスクに係り、さらに詳しくは、粒子状物質用抗菌防じんマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の粒子状物質の発生の急増には目を見張るものがあり、これに伴い、粒子状物質をフィルターリングできる高性能フィルター付きマスクが販売されている。このような粒子状物質用防じんマスクは、粒子状物質が通過し難い小さな気孔が粒子状物質を濾しとり、空気を透過させるような方式で粉じん等をフィルターリングする。
【0003】
粒子状物質用防じんマスクは、顔とマスクとの間の隙間に粒子状物質が入り込むことを防げるように、顔面への密着性が強化される。
【0004】
マスクの顔面への密着性を高めるために、鼻背(鼻筋)部位に顔面の屈曲に倣って歪まれる薄い金属片を取り付け、弾性の強いバンドを用いて頭に引っ張って固定するような方式が用いられる。
【0005】
しかしながら、このような方式は、フィルターリング効果は高めるものの、呼吸困難を引き起こす虞がある。特に、微小粒子状物質(PM2.5)をフィルターリングするために非常に小さな気孔を有するマスクは、使用者の呼吸を通して放出される二酸化炭素がマスクを介して排出されず、再び呼吸してしまうという不具合を引き起こす。この理由から、一部の専門家は、むしろ粒子状物質用防じんマスクを着用した方がなお一層リスキーであるという主張をしている。
【0006】
また、粒子状物質用防じんマスクは、環境的な問題を引き起こす。粒子状物質用防じんマスクは、使用後にほとんどの気孔に粒子状物質による目詰まりが起きてしまうため、再利用することができず、一回使われた後に捨てられる使い捨て式マスクである。
【0007】
一方、粒子状物質用防じんマスクは、フィルターリング機能が強調されているため、薄い不織布からなる通常の布製マスクとは異なり、防寒性が劣る。また、顔への密着のために引っ張られたマスク紐により、着用後に顔に跡が残ってしまうという問題がある。しかも、デザイン性や美感に劣っている。そのため、粒子状物質がないものの、マスクが必要な日、例えば、黄砂や花粉が多い日や寒い日には使い難いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明において解決しようとする課題は、粒子状物質のフィルターリング機能を有する再利用可能な新たなマスクを提供することである。
【0009】
本発明において解決しようとする他の課題は、粒子状物質のフィルターリング機能を有し、再利用可能である他、デザイン性や美感に優れた新たなマスクを提供することである。
【0010】
本発明において解決しようとするさらに他の課題は、粒子状物質の濃度が低い場合には一般用マスクとして用いることができ、粒子状物質の濃度が高い場合には粒子状物質用防じんマスクとして用いることのできる新たなマスクを提供することである。
【0011】
本発明において解決しようとするさらに他の課題は、粒子状物質の濃度が低い場合には一般用マスクとして用いることができ、粒子状物質の濃度が高い場合には粒子状物質用防じんマスクとして用いることのできる新たなマスクを提供した抗菌マスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような諸課題を解決するために、本発明は、
マスク部と、
前記マスク部の内面の上端に固定された密閉部材と、
前記マスク部の内面と顔との間に位置する粒子状物質フィルター紙と、
を備える粒子状物質用防じんマスクを提供する。
【0013】
本発明において、前記マスクは、使用者の鼻と口を覆い、呼吸に伴って空気が透過されるマスク部と、マスク部を耳にかけて着用できるようにマスク部の両側に結合された環部と、を、備えていてもよく、前記環部は、前記マスク部の密着度を高めることのできる弾性型バンドであってもよい。
【0014】
本発明において、前記マスクは、使用者の呼吸による水分と分泌物がマスクについて細菌が増殖することを防ぐことのできる抗菌性マスクであってもよい。
【0015】
本発明において、前記抗菌性マスクは、抗菌性繊維により編織された生地を用いて製作してもよい。前記抗菌性編織生地としては、大韓民国特許第10-1925070号の「優れた着用感と電気伝導性及び抗菌性を有する環境にやさしい薄膜マスクパック及びその製造方法」や、大韓民国特許第10-1925063号の「優れた着用感と電気伝導性及び抗菌性を有する薄膜マスクパック及びその製造方法」や、大韓民国特許第10-1866418号の「電気伝導性及び抗菌性を有するマスクシート及びこれを用いたマスクパック」に開示されている抗菌性編織物を用いてもよい。
【0016】
本発明の実施において、前記抗菌性マスク部は、銅成分を含む電気伝導性繊維を、銅成分を含む非伝導性繊維と、綿繊維と、テンセル繊維と、ポリエステル繊維と、スパンデックス繊維とからなる群から選ばれる一種以上の繊維とともに編織、好ましくは、交編織、さらに好ましくは、縞模様に交編織した編織生地であってもよい。
【0017】
本発明の実施において、縞模様に交編織された編織生地は、銅成分を含む電気伝導性繊維と銅成分を含む非伝導性繊維とが縞模様に編織された交編織物であってもよく、このような交編織物としては、本発明の出願人に許与された大韓民国特許第10-1925070号、大韓民国特許第10-1925063号、大韓民国特許第10-1866418号において公知となっている編織物を用いてもよい。
【0018】
本発明において、前記抗菌性マスクとしては、使用者の呼吸による水分と分泌物がマスクの両面において顔に触れる部位に沈着されるため、高価な抗菌性生地の使用によるコストアップを防ぎ、かつ、薄膜抗菌性生地の形状安定性を高め得るように、外面には非抗菌性生地が用いられ、内面には抗菌性生地が用いられる二重織りマスクを用いてもよい。好ましくは、非抗菌性生地と抗菌性生地とを二重に編織した二重織り編織マスクであってもよい。
【0019】
本発明において、前記マスクは、防寒特性を高め得るように、通常の外面と抗菌性内面との間に空気層を有する三重織りマスクであってもよい。本発明において、前記三重織りマスクは、上部編織物と、抗菌性生地を用いた下部編織物と、垂直編織物と、を用いて編織した三重織り編織マスクであってもよい。
【0020】
本発明の実施において、前記三重織り編織マスクは、上部編織物と、銅成分を含む電気伝導性繊維及び銅成分を含む非伝導性繊維を含む下部編織物と、モノフィラメント糸繊維を含む垂直編織物と、からなってもよい。
【0021】
本発明の好適な実施において、前記三重織り編織抗菌マスクについては、ここで参考文献として取り込まれ、本発明者により出願された大韓民国特許出願番号第10-2019-0003694号公報を参照されたい。
【0022】
本発明において、前記密閉部材は、顔の屈曲により顔に完全に密着できないことに起因して生じる隙間を埋める、マスク部の内側に取り付けられる部材であってもよい。
【0023】
本発明において、前記密閉部材は、鼻と顔との間の空間にマスクが密着されるように挿入されて使用者により折り曲げられて固定される既存の薄肉の金属片部材が有する金属の異質感や頻繁な屈曲による破損といった問題を解決できるように、非金属性部材、好ましくは、接触感に優れた織物からなることが好ましい。
【0024】
本発明において、前記織物タイプの密閉部材は、鼻背に触れる鼻背接触部位と、鼻背接触部位から両側に向かって対称状に延びて、鼻背から目の下へとつながる鼻根に触れる鼻根接触部位と、からなってもよい。本発明の実施において、前記織物タイプの密閉部材は、マスク接触面はマスクの内面に密着されるように平坦面をなし、顔接触面は、密閉性を高め得るように、鼻背接触部位は薄肉に形成され、両側の鼻根接触部位は厚肉に形成されてもよい。
【0025】
本発明において、前記織物タイプの密閉部材は、裁縫によりマスクの内側に固定できるように、好ましくは、マスクと織物タイプの密閉部材との間に拡開される隙間を形成して、フィルター紙の一部が隙間に挿着できるように、一部のみが固定されることが好ましい。
【0026】
本発明において、前記粒子状物質フィルター紙は、粒子状物質をフィルターリングできるフィルター紙であり、好ましくは、KF 80以上、より好ましくは、KF 85以上、さらに好ましくは、KF 90以上のフィルター紙であってもよい。好適な実施において、フィルター紙は、KF-94、KF-96、KF-98であってもよい。
【0027】
本発明において、前記粒子状物質フィルター紙は、マスクの内面に密着できるように、3次元形状のフィルター紙であってもよく、好ましくは、マスクの内側の形状に見合う3次元形状のフィルター紙であってもよい。
【0028】
本発明において、前記粒子状物質フィルター紙は、使用後に捨てられる使い捨て式フィルター紙であってもよい。
【0029】
理論的に限定されたわけではないが、前記粒子状物質フィルター紙は、マスクと顔との間に位置しながら、使用者が息を吸い込む場合、空気の動きに沿って顔に密着されて粒子状物質の吸い込みを防ぐことになり、使用者が息を吐き出す場合、空気の動きに沿って顔から離脱されて、空気を手軽に排出することになる。
【0030】
本発明において、前記粒子状物質フィルター紙は、呼吸により顔面に対して密着と離脱を繰り返しながらも、密着と離脱を繰り返す過程において粒子状物質フィルター紙が固定されずにずり落ちてしまうことを防げるように一部のみを固定して、固定されていない部分が呼吸に伴って密着され且つ離脱されるようにすることが好ましい。
【0031】
本発明の好適な実施において、前記粒子状物質フィルター紙は、呼吸により顔面に対して密着と離脱を繰り返す過程において固定されずにずり落ちてしまうことを防げるように一部を固定するが、使用後に容易に外して取り替えできるように、粒子状物質フィルター紙の一部が密閉部材とマスクとの間の隙間に挿着されて固定されることが好ましい。
【0032】
本発明は、一態様において、
マスクと、前記マスクの内面に一部が固定され、非固定部が顔に密着及び離脱されるように呼吸に伴って動く粒子状物質フィルター紙と、を備える粒子状物質用防じんマスクを提供する。
【0033】
本発明は、他の態様において、
マスクの内面の上端に非金属型密閉部材が固定されたことを特徴とするマスクを提供する。
【0034】
本発明の説明において、「編織」という単語は、丸編機において生地を編み上げることを意味し、編織生地は、ニット状に編み上げられて少なくとも10%以上、好ましくは、20%以上、より好ましくは、30%伸びた後に元の状態に戻り得る生地を意味する。
【0035】
本発明の説明において、「電気伝導性」という単語は、繊維が、電気が通じる範囲の伝導性を有するものと理解される。
【0036】
本発明の説明において、「抗菌性」という単語は、一つ以上の細菌の成長を50%以上阻害できることを意味し、より好ましくは、細菌の成長を90%以上阻害できることを意味する。
【0037】
本発明において、前記「銅成分を含む電気伝導性繊維」とは、銅成分を含み、伝導性を有する繊維のことを意味する。
【0038】
本発明において、前記「銅成分を含む非伝導性繊維」とは、銅成分を含む電気伝導性繊維とは別途に、電気伝導性なしに抗菌性を有する繊維のことを意味する。
【0039】
本発明において、前記「内面」とは、マスクを着用するときに顔に触れる面のことを意味する。
【発明の効果】
【0040】
本発明により、必要に応じて粒子状物質用防じんマスク及び一般用マスクとして使用可能な新たなマスクを提供することができる。
【0041】
本発明に係る粒子状物質用防じんマスクは、密閉部材が取り付けられて、鼻根と顔との間の離隔空間に粉じん等が流れ込むことを防ぐことができ、マスクの内部において粒子状物質フィルター紙が呼吸に伴って移動しながら、息を吸い込む場合に鼻と口に密着されて粉じん等がフィルターリングされずに呼吸されることを効果的に遮断する。なお、これに対し、本発明に係る粒子状物質用防じんマスクは、息を吐き出す場合には、粒子状物質フィルター紙がマスクの内面に密着されて二酸化炭素の排出が容易である。
【0042】
さらに、本発明に係る粒子状物質用防じんマスクは、粒子状物質フィルター紙を取り外した後、取り替えて用いることができることから、一回使用した後に全体を捨ててしまう既存の粒子状物質用防じんマスクに比べて、資源の無駄使いを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の一実施に係る粒子状物質用防じんマスクの外面を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施に係る粒子状物質用防じんマスクの内面を示す図である。
図3】本発明の一実施に係る粒子状物質用防じんマスクの分解斜視図である。
図4】本発明の一実施に係る粒子状物質用防じんマスクの断面図である。
図5】本発明の一実施に係る粒子状物質用防じんマスクの作動状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、実施形態を挙げて本発明について詳しく説明する。下記の実施形態は、本発明を限定するためのものではなく、本発明を例示するためのものであることに留意すべきである。
【0045】
本発明に係る粒子状物質用防じんマスク10は、図1から図4に示すように、マスク部100と、前記マスク部100の内面の上端に固定された密閉部材200と、前記マスク部の内面と顔との間に位置する粒子状物質フィルター紙300と、からなる。
【0046】
前記マスク部100は、顔の輪郭に倣って中心部が突出され、左右対称の形状を有し、両側端には、マスク100を耳に掛けられる環部110が形成されたマスクである。
【0047】
前記マスク部100は、両面丸編機を用いて三重織りに環部110とともに編織されている。
【0048】
外面に相当する上部編織物のために、ポリエステルとナイロン及びスパンデックスフィーダーを供給し、顔に直接的に触れる内面に相当する下部編織物のためには、銅成分を含む伝導性繊維と、銅成分を含む非伝導性繊維と、ナイロン66とスパンデックスフィーダーを供給し、垂直編織物のために、ポリエステルモノフィラメント糸と銅成分を含む非伝導性繊維フィーダーを提供した。両面丸編機は、4~20cmの範囲のループ長、80~150の範囲のフィーダー、18~30のゲージの条件で動作され、上部編織物と下部編織物は、約2mmほど離れている。
【0049】
銅成分を含む伝導性繊維は、公知の方法(大韓民国特許第10-1866418号、大韓民国特許第10-1925070号)に従って製造され、約70デニールのナイロン繊維を反応槽に載せた後、浴比1:15~20に調整し、脱油剤3~5g/Lを60℃において40分間処理して脱油剤により生成された浮遊物質を水洗いし、反応槽にレブリン酸2~3% o.w.f、ソジウムラウリルサルファート0.1~0.5% o.w.f、ポリエチレングリコール0.1~0.3% o.w.f、チオ硫酸ナトリウム8~10% o.w.f、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.2% o.w.f、硫酸銅10~20% o.w.fを投入した後、約10分間攪拌した後、pHは、4~5の範囲にし、かつ、60℃まで1℃/minにて昇温して60℃において60分間反応させた後、次亜リン酸ナトリウム0.3% o.w.fを投入した後、60℃において20分間還元析出し、pH 7まで高めて未反応物質を除去し、pH 7において水酸化マグネシウム0.3% o.w.fを投入して40℃において20分間処理して残留硫黄を除去して製造した。
【0050】
銅を含む非伝導性繊維としては、コーロン・グロテック社(KOLON GLOTECH INC.,)製の繊維を用い、ポリエステル原糸としては、50デニールのものを用い、スパンデックスとしては、30デニールの細い原糸を用いた。
【0051】
上部編織物のために提供されたフィーダーにおいて先染めされたポリエステルは75D、ナイロンは50D、スパンデックスは20Dの太さを有し、下部編織物のために提供されたフィーダーにおいて、銅成分を含む伝導性繊維は70D、銅成分を含む非伝導性繊維は70D、ナイロンは70D、スパンデックスは20Dの太さを有し、垂直編織物のために提供されたフィーダーにおいて、ポリエステルモノフィラメント糸は40D、銅成分を含む非伝導性繊維は70Dの太さを有する。
【0052】
上部編織物は、ポリエステルが15重量%であり、ナイロンが10重量%であり、スパンデックスが5重量%であり、下部編織物は、銅成分を含む伝導性繊維は5重量%であり、銅成分を含む非伝導性繊維は15重量%であり、ナイロンは20重量%であり、スパンデックスは5重量%であり、垂直編織物は、モノフィラメント糸は20重量%であり、銅成分を含む非伝導性繊維は5重量%である。
【0053】
マスク部100の内面の上端に固定された密閉部材200は、顔の屈曲により顔に完全に密着できないことに起因して生じる隙間を埋める、マスク部の内側に取り付けられる繊維からなる部材である。
【0054】
前記密閉部材200は、鼻背に触れる鼻背接触部位210と、鼻背接触部位210から両側に向かって対称状に延びて、鼻背から目の下へとつながる鼻根に触れる鼻根接触部位220と、からなる。密閉部材200は、マスク部100に触れる面はマスクの内面に密着されるように平坦面をなし、顔に触れる面は屈曲面をなす。
【0055】
鼻背接触部位210は薄肉に形成され、両側の鼻根接触部位220は厚肉に形成されて突出され、環部110を耳にかけてマスクを着用するときに圧着されながら鼻根に密着されて、マスクとの離隔部分を埋めることになる。
【0056】
密閉部材200は、裁縫による縫い目230によりマスク部の内側に上端の中央部が固定されて、密閉部材200の他の部分は固定されていない。これにより、マスク部100の内面と密閉部材200との間に粒子状物質フィルター紙300が挿着されて固定できる隙間が形成されている。
【0057】
粒子状物質フィルター紙300としては、10μm以下の粒子状物質または2.5μm以下の微小粒子状物質をフィルターリングできるKF 94を用いた。粒子状物質フィルター紙300は、マスク部100の内面に密着されるように顔の輪郭に倣って中心部が突出され、左右対称の3次元形状を有する。粒子状物質フィルター紙300は、耳に掛けられるための別途の環部やマスクの内面に接着したり取り付けたりするための別途の装置を要することなく固定される。
【0058】
マスクが着用され、使用者の顔に対してマスク部100及び密閉部材200が押しつけられると、上端の中心部がマスク部100の内面と密閉部材200との間の隙間に嵌め込まれて固定されている粒子状物質フィルター紙300は、ずり落ちることなく、圧着され、固定される。
【0059】
粒子状物質フィルター紙300は、取り替えて用いることが可能である。取り替えは、マスク10を外した後、上端が固定された密閉部材200を持ち上げて粒子状物質フィルター紙300を取り外し、マスク部100の内面と密閉部材200との間の隙間に新たな粒子状物質フィルター紙を嵌め込んだ後、密閉部材200を下ろした後、マスク10を再び着用するような方式により行われる。
【0060】
図5に示すように、マスク部100の内面と密閉部材200との間の隙間に嵌め込まれて上端が固定された粒子状物質フィルター紙300は、固定されていない下端部が使用者の顔面とマスク部100の内側との間において呼吸に伴って移動する。
【0061】
使用者が息を吸い込むときには、空気に沿って使用者の顔面に近づき、顔に密着されたフィルター紙300は、粒子状物質が隙間に入り込むことを防ぎ、息を吐き出すときには、空気に沿ってマスク部100の内面に近づいて密着され、呼吸に含まれている二酸化炭素が拡開された隙間を介して容易に排出される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】