(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(54)【発明の名称】標的特異的エクソソームおよび増殖因子生成物を開発するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0775 20100101AFI20220729BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20220729BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20220729BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220729BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220729BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220729BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220729BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20220729BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220729BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20220729BHJP
A61P 19/04 20060101ALI20220729BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220729BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220729BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220729BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220729BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20220729BHJP
A61P 5/28 20060101ALI20220729BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20220729BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20220729BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220729BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220729BHJP
C12Q 1/6827 20180101ALN20220729BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20220729BHJP
C12N 15/17 20060101ALN20220729BHJP
C12N 15/24 20060101ALN20220729BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220729BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20220729BHJP
C12N 15/55 20060101ALN20220729BHJP
C12P 19/34 20060101ALN20220729BHJP
C12P 21/02 20060101ALN20220729BHJP
【FI】
C12N5/0775
A61K35/28
A61P17/14
A61P17/00
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/24
A61P25/22
A61P25/18
A61P19/10
A61P19/04
A61P29/00 101
A61P37/08
A61P3/10
A61P9/10 103
A61P9/12
A61P5/28
A61K8/98
A61Q7/00
A61Q19/00
G01N33/53 D
G01N33/53 M
C12Q1/6827 Z
C12Q1/6869 Z
C12N15/17
C12N15/24
C12N15/12
C12N15/11 Z
C12N15/55
C12P19/34
C12P21/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544344
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 US2020015982
(87)【国際公開番号】W WO2020160342
(87)【国際公開日】2020-08-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520469516
【氏名又は名称】ダイレクト バイオロジクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ペティネ,ケネス,アレン
(72)【発明者】
【氏名】モーズリー,ティモシー,アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA17
4B064AF27
4B064AG02
4B064CA10
4B064DA01
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4C083AA071
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4C087ZA66
4C087ZA89
4C087ZA96
4C087ZA97
4C087ZB13
4C087ZB15
4C087ZC35
(57)【要約】
皮膚障害、脱毛、疼痛、関節リウマチ、骨粗鬆症、自閉症、うつ病、生体極性(biopolar)障害、不安、セリアック病、および癌を治療するための、個別化された間葉系幹細胞増殖因子およびエクソソーム組成物を作製するための方法と、それらの使用の方法と、が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法であって、
a)エンドユーザーの毛髪、皮膚色、皮膚タイプ、人種、民族性を特定することと、
b)前記対象における前記疾患または障害に関連する単一ヌクレオチド多型(SNP)を特定することと、
c)前記対象と同じ毛髪タイプ、色、および/または民族性を有するが、前記ドナーが決して疾患または障害を経験しないことを示す単一ヌクレオチド多型(SNP)プロファイルを有する標的とされたドナーから間葉系幹細胞(MSC)を得ることと、
d)前記得られたMSCからMSCおよびエクソソーム調製物を調製することであって、前記MSCおよびエクソソーム調製物が、補正SNPおよびサイトカインを含み、かつ/またはそれらを分泌するMSCおよびエクソソームを生成するのに十分な増殖条件を含む培地中でMSCを培養することによって作成される、調製することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記MSCおよびエクソソーム調製物中の増殖因子のタイプおよび量を特定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
増殖因子が、プロテオミクス分析を通じて特定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記エクソソームRNAを特徴付けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エクソソームRNAが、配列決定によって得られる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記疾患または障害が、脱毛症、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害、多発性硬化症、慢性疼痛、うつ病、不安、双極性障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、セリアック病、II型糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、多発性複合疾患、および/または癌を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記脱毛症が、男性型脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、瘢痕性脱毛症、休止期脱毛、または女性型脱毛症を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記治療組成物が、毛包の活性化を刺激して、発毛を促進する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記癌が、膵臓癌または乳癌を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記SNPが、インターロイキン18(IL-18)、アンドロゲン受容体(AR)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)-4(HDAC4)、HDAC9、ペアードボックス1(PAX1)、フォークヘッドボックスA2(FOXA2)、TAR DNA結合タンパク質(TARDBP)、自閉症感受性遺伝子2(AUTS2)、SET結合タンパク質1(SETBP1)、17q21.31、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー6B(TNFRSF6B)、Gパッチドメイン含有タンパク質を有するジンクフィンガーCCCHタイプ(ZGPAT)、P2Xプリン受容体7(P2RX7)、オキシトシン受容体、非コードRNA(ncRNA)、長い非コードRNA(lncRNA)、ヒト白血球抗原(HLA)、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体(PDGFR)B(PDGFR-B)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP)1(TIMP-1)、TIMP-2、IL-23、アクチビンA、細胞間接着分子(ICAM-2)、オステオポンチン(OPN)、インスリン、インスリン増殖因子結合タンパク質4(IGF-BP4)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体1(TNF-R1)、エクトジスプラシンA2受容体(XEDAR)、および/またはフォリスタチンをコードする1つ以上の遺伝子に存在する1つ以上のSNPを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記SNPが、IL-18 SNP rs1946518および/またはrs187238を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記SNPが、ncRNA SNP Rs11669309、Rs2298075、および/またはRs10237038を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記SNPが、アンドロゲン受容体SNP Rs6152、Rs2223841、および/またはRs2497938を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記SNPが、オキシトシン受容体SNP Rs237887、Rs2268491、Rs2254298、および/またはRs7632287を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記SNPが、P2RX7 SNP Rs17525809、Rs28360447、Rs7958311、Rs1718119、Rs2230912、Rs28360457、Rs2230911、および/またはRs1653624を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記SNPが、lncRNA SNP Rs8028149、Rs16868911、Rs11543230、Rs9309325、Rs12951337、Rs15428265、Rs12683158、および/またはRs6982502を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記SNPが、HLA遺伝子SNP Rs2269706を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記SNPが、PAX1/FOXA2 SNP Rs1160312および/またはRs6047844を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記SNPが、HDAC9 SNP Rs2073963および/またはRs2180439を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記SNPが、HDAC4 SNP Rs9287638を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記SNPが、TARDBP SNP Rs12565727を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記SNPが、AUTS2 SNP Rs6945541を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記SNPが、17q21.31 SNP Rs12373124を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記SNPが、SETBP1 SNP Rs10502861を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
前記SNPが、TNFRSF6B/ZGPAT SNP Rs6010620を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項26】
エンドユーザー対象における疾患または障害を治療することにおける使用のための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物であって、
a)組成物基剤と、
b)エンドユーザーと同じ毛髪タイプ、毛髪色、皮膚タイプ、皮膚色、人種、および/または民族性を有するが、ドナーが決して前記エンドユーザー対象によって罹患される疾患または障害でないことを示す単一ヌクレオチド多型(SNP)プロファイルを有する前記ドナーに由来する、間葉系幹細胞およびエクソソーム調製物と、を含み、前記MSCおよびエクソソーム調製物が、正常な過酸素培養条件下で培養された細胞または細胞条件培地、および過酷な創傷治癒条件下で培養された細胞からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項27】
前記SNPが、インターロイキン18(IL-18)、アンドロゲン受容体(AR)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)-4(HDAC4)、HDAC9、ペアードボックス1(PAX1)、フォークヘッドボックスA2(FOXA2)、TAR DNA結合タンパク質(TARDBP)、自閉症感受性遺伝子2(AUTS2)、SET結合タンパク質1(SETBP1)、17q21.31、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー6B(TNFRSF6B)、Gパッチドメイン含有タンパク質を有するジンクフィンガーCCCHタイプ(ZGPAT)、P2Xプリン受容体7(P2RX7)、オキシトシン受容体、非コードRNA(ncRNA)、長い非コードRNA(lncRNA)、ヒト白血球抗原(HLA)、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体(PDGFR)B(PDGFR-B)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP)1(TIMP-1)、TIMP-2、IL-23、アクチビンA、細胞間接着分子(ICAM-2)、オステオポンチン(OPN)、インスリン、インスリン増殖因子結合タンパク質4(IGF-BP4)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体1(TNF-R1)、エクトジスプラシンA2受容体(XEDAR)、および/またはフォリスタチンをコードする1つ以上の遺伝子に存在する1つ以上のSNPを含む、請求項26に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項28】
前記SNPが、IL-18 SNP rs1946518および/またはrs187238を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項29】
前記SNPが、ncRNA SNP Rs11669309、Rs2298075、および/またはRs10237038を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項30】
前記SNPが、アンドロゲン受容体SNP Rs6152、Rs2223841、および/またはRs2497938を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項31】
前記SNPが、オキシトシン受容体SNP Rs237887、Rs2268491、Rs2254298、および/またはRs7632287を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項32】
前記SNPが、P2RX7 SNP Rs17525809、Rs28360447、Rs7958311、Rs1718119、Rs2230912、Rs28360457、Rs2230911、および/またはRs1653624を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項33】
前記SNPが、lncRNA SNP Rs8028149、Rs16868911、Rs11543230、Rs9309325、Rs12951337、Rs15428265、Rs12683158、および/またはRs6982502を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項34】
前記SNPが、HLA遺伝子SNP Rs2269706を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項35】
前記SNPが、PAX1/FOXA2 SNP Rs1160312および/またはRs6047844を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項36】
前記SNPが、HDAC9 SNP Rs2073963および/またはRs2180439を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項37】
前記SNPが、HDAC4 SNP Rs9287638を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項38】
前記SNPが、TARDBP SNP Rs12565727を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項39】
前記SNPが、AUTS2 SNP Rs6945541を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項40】
前記SNPが、17q21.31 SNP Rs12373124を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項41】
前記SNPが、SETBP1 SNP Rs10502861を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項42】
前記SNPが、TNFRSF6B/ZGPAT SNP Rs6010620を含む、請求項27に記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物。
【請求項43】
請求項26~42のいずれかに記載の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む、疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する、方法。
【請求項44】
前記疾患または障害が、脱毛症、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害、多発性硬化症、慢性疼痛、うつ病、不安、双極性障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、セリアック病、II型糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、多発性複合疾患、および/または癌を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記脱毛症が、男性型脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、瘢痕性脱毛症、休止期脱毛、または女性型脱毛症を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記対象における前記疾患または障害に関連する前記単一ヌクレオチド多型(SNP)が、前記SNP Rs6152、Rs2223841、Rs2497938、Rs1160312、6047844、Rs2180439、Rs2073963、Rs12565727、Rs9287638、Rs6945541、Rs12373124、Rs10502861、Rs187238、および/またはRs1946518のうちの1つ以上を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記癌が、膵臓癌または乳癌を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記疾患が乳癌であり、前記対象における前記乳癌に関連する前記SNPが前記SNP Rs2298075を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記疾患が膵臓癌であり、前記対象における前記膵臓癌に関連する前記SNPが前記SNP Rs10237038を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記疾患または障害が、自閉症スペクトラム障害を含み、前記自閉症スペクトラム障害に関連する前記SNPが、前記SNP Rs237887、Rs2268491、Rs2254298、および/またはRs7632287のうちの1つ以上を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記疾患または障害が、骨粗鬆症を含み、前記骨粗鬆症に関連する前記SNPが、前記SNP Rs28360447、Rs28360457、Rs1718119、Rs2230911、および/またはRs1653624のうちの1つ以上を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記疾患または障害が関節リウマチを含み、前記関節リウマチに関連する前記SNPが前記SNP Rs2269706を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記疾患または障害が多発性硬化症を含み、前記多発性硬化症に関連する前記SNPが前記SNP Rs17525809および/またはRs28360447のうちの1つ以上を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記疾患または障害が慢性疼痛を含み、前記慢性疼痛に関連する前記SNPが前記SNP Rs28360447および/またはRs7958311のうちの1つ以上を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
前記疾患または障害がアトピー性皮膚炎を含み、前記アトピー性皮膚炎に関連する前記SNPが前記SNP Rs6010620を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項56】
前記疾患または障害が高血圧を含み、前記高血圧に関連する前記SNPが前記SNP Rs11669309を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項57】
前記疾患または障害が冠動脈性心疾患を含み、前記心疾患に関連する前記SNPが前記SNP Rs6982502を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項58】
前記疾患または障害がII型糖尿病を含み、前記II型糖尿病に関連する前記SNPが前記SNP Rs12683158を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項59】
前記疾患または障害がセリアック病を含み、前記セリアック病に関連する前記SNPが前記SNP Rs15428265を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項60】
前記疾患または障害不安、かつ前記不安に関連する前記SNPが、前記SNP Rs1718119を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項61】
前記疾患または障害が双極性障害を含み、前記双極性障害に関連する前記SNPが前記SNP Rs2230912を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項62】
前記疾患または障害がうつ病を含み、前記うつ病に関連する前記SNPが前記SNP Rs8028149を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項63】
前記疾患または障害が前記SNP Rs16868911、Rs11543230、Rs9309325、および/またはRs12951337のうちの1つ以上を含む、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、2019年1月30日に出願された米国仮出願第62/798,908号の利益を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ヒトは全く同じ遺伝的特徴を99.9%共有しており、ヒトの間の差異は個人の遺伝子の0.1%にのみ含まれる。小さな差異は、単一ヌクレオチド多型(SNP)に含まれる。これらのSNPのうちの6~20は、人種、民族性、皮膚色、皮膚タイプ、眼色、および髪色、同様に脱毛症において観察された全ての差異の原因であることが、推定される。最近の研究は、非常に特異的なSNPプロファイルが、誰が何らかの疾患または状態を発症するのか、かつ誰がそうでないのか、同様に誰が該疾患または状態を有するのかを正確に予測できることを発見している。これは、男性および女性に当てはまる。
【0003】
現在、あるとしても、特定の皮膚色または民族性に特異的である製品はほとんど存在せず、同様に、あるとしても、白髪または脱毛症の原因となる遺伝的因子に対処する毛髪製品はほとんど存在しない。同様に、多くの疾患または状態に関連する遺伝的基礎に対処する製品は存在しない。したがって、従来の皮膚および毛髪製品および治療は、レシピエント対象において見いだされる生物学的差異に適切に対処しない。
【0004】
したがって、必要とされるのは、人の皮膚色、毛髪色、脱毛症、同様に特定の国または民族性に特異的である新しい皮膚科および美容治療、かかる治療を行う方法であり、治療は、代表的なドナーからの間葉系幹細胞(MSC)、ケラチノサイト、またはメラノサイトのDNAに見いだされる標的とされたSNPを含む。
【発明の概要】
【0005】
脱毛症、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害、多発性硬化症、慢性疼痛、うつ病、不安、双極性障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、セリアック病、II型糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、多発性複合疾患、および/または癌を治療するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物に関連する方法および組成物と、それらの使用の方法とが、開示される。
【0006】
一態様では、対象における疾患または障害(例えば、脱毛症、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害、多発性硬化症、慢性疼痛、うつ病、不安、双極性障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、セリアック病、II型糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、多発性複合疾患、および/または癌など)を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法が本明細書に開示され、方法は、a)エンドユーザーの毛髪、皮膚色、皮膚タイプ、人種、民族性を特定することと、b)対象における疾患または障害に関連する単一ヌクレオチド多型(SNP)を特定することと、c)対象と同じ毛髪タイプ、色、および/または民族を有するが、ドナーが決して疾患または障害を経験しないことを示す単一ヌクレオチド多型(SNP)プロファイルを有する標的とされたドナーから間葉系幹細胞(MSC)を得ることと、d)得られたMSCからMSCおよびエクソソーム調製物を調製することと、を含み、MSCおよびエクソソーム調製物は、補正SNPおよびサイトカインを含み、かつ/またはそれらを分泌するMSCおよびエクソソームを生成するのに十分な増殖条件を含む培地中でMSCを培養することによって作成される。いくつかの態様では、方法は、MSCおよびエクソソーム調製物(例えば、配列決定などの方法を通じてエクソソームRNAを特徴付けることなど)中の増殖因子のタイプおよび量を特定すること(プロテオミクス分析)をさらに含む。
【0007】
任意の先行の態様の対象における疾患または障害(例えば、脱毛症、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害、多発性硬化症、慢性疼痛、うつ病、不安、双極性障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、セリアック病、II型糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、多発性複合疾患、および/または癌など)を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法も開示され、SNPは、インターロイキン18(IL-18)(例えば、rs1946518および/またはrs187238など)、アンドロゲン受容体(AR)(例えば、Rs6152、Rs2223841、および/またはRs2497938)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)-4(HDAC4)(例えば、Rs9287638など)、HDAC9(例えば、Rs2073963および/またはRs2180439など)、ペアードボックス1(PAX1)(例えば、Rs1160312および/またはRs6047844など)、フォークヘッドボックスA2(FOXA2)(例えば、Rs1160312および/またはRs6047844など)、TAR DNA結合タンパク質(TARDBP)(例えば、Rs12565727など)、自閉症感受性遺伝子2(AUTS2)(例えば、Rs6945541など)、SET結合タンパク質1(SETBP1)(例えば、Rs10502861など)、17q21.31(例えば、Rs12373124など)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー6B(TNFRSF6B)(例えば、Rs6010620など))、Gパッチドメイン含有タンパク質を有するジンクフィンガーCCCHタイプ(ZGPAT)(例えば、Rs6010620など)、P2Xプリン受容体7(P2RX7)(例えば、Rs17525809、Rs28360447、Rs7958311、Rs1718119、Rs2230912、Rs28360457、Rs2230911、および/またはRs1653624など)、オキシトシン受容体(例えば、Rs237887、Rs2268491、Rs2254298、および/またはRs7632287など)、非コードRNA(ncRNA)(例えば、Rs11669309、Rs2298075、および/またはRs10237038など)、長い非コードRNA(lncRNA)(例えば、Rs8028149、Rs16868911、Rs11543230、Rs9309325、Rs12951337、Rs15428265、Rs12683158、および/またはRs6982502など)、ヒト白血球抗原(HLA)(例えば、Rs2269706など)、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体(PDGFR)B(PDGFR-B)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP)1(TIMP-1)、TIMP-2、IL-23、アクチビンA、細胞間接着分子(ICAM-2)、オステオポンチン(OPN)、インスリン、インスリン増殖因子結合タンパク質4(IGF-BP4)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体1(TNF-R1)、エクトジスプラシンA2受容体(XEDAR)、および/またはフォリスタチンをコードする1つ以上の遺伝子に存在する1つ以上のSNPを含む。
【0008】
一態様では、エンドユーザー対象における疾患または障害を治療することにおける使用のための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物が本明細書に開示され、組成物は、a)組成物基剤と、b)エンドユーザーと同じ毛髪タイプ、毛髪色、皮膚タイプ、皮膚色、人種、および/または民族性を有するが、ドナーが決してエンドユーザー対象によって罹患される疾患または障害でないことを示す単一ヌクレオチド多型(SNP)プロファイルを有するドナーに由来する、間葉系幹細胞およびエクソソーム調製物と、を含み、MSCおよびエクソソーム調製物は、正常な過酸素培養条件下で培養された細胞または細胞条件培地、および過酷な創傷治癒条件下で培養された細胞からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0009】
任意の先行の態様の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物も本明細書に開示され、SNPは、インターロイキン18(IL-18)(例えば、rs1946518および/またはrs187238など)、アンドロゲン受容体(AR)(例えば、Rs6152、Rs2223841、および/またはRs2497938)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)-4(HDAC4)(例えば、Rs9287638など)、HDAC9(例えば、Rs2073963および/またはRs2180439など)、ペアードボックス1(PAX1)(例えば、Rs1160312および/またはRs6047844など)、フォークヘッドボックスA2(FOXA2)(例えば、Rs1160312および/またはRs6047844など)、TAR DNA結合タンパク質(TARDBP)(例えば、Rs12565727など)、自閉症感受性遺伝子2(AUTS2)(例えば、Rs6945541など)、SET結合タンパク質1(SETBP1)(例えば、Rs10502861など)、17q21.31(例えば、Rs12373124など)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー6B(TNFRSF6B)(例えば、Rs6010620など))、Gパッチドメイン含有タンパク質を有するジンクフィンガーCCCHタイプ(ZGPAT)(例えば、Rs6010620など)、P2Xプリン受容体7(P2RX7)(例えば、Rs17525809、Rs28360447、Rs7958311、Rs1718119、Rs2230912、Rs28360457、Rs2230911、および/またはRs1653624など)、オキシトシン受容体(例えば、Rs237887、Rs2268491、Rs2254298、および/またはRs7632287など)、非コードRNA(ncRNA)(例えば、Rs11669309、Rs2298075、および/またはRs10237038など)、長い非コードRNA(lncRNA)(例えば、Rs8028149、Rs16868911、Rs11543230、Rs9309325、Rs12951337、Rs15428265、Rs12683158、および/またはRs6982502など)、ヒト白血球抗原(HLA)(例えば、Rs2269706など)、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体(PDGFR)B(PDGFR-B)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP)1(TIMP-1)、TIMP-2、IL-23、アクチビンA、細胞間接着分子(ICAM-2)、オステオポンチン(OPN)、インスリン、インスリン増殖因子結合タンパク質4(IGF-BP4)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体1(TNF-R1)、エクトジスプラシンA2受容体(XEDAR)、および/またはフォリスタチンをコードする1つ以上の遺伝子に存在する1つ以上のSNPを含む。
【0010】
一態様では、任意の先行の態様の間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む、対象における疾患または障害(例えば、脱毛症、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害、多発性硬化症、慢性疼痛、うつ病、不安、双極性障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、セリアック病、II型糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、多発性複合疾患、および/または癌など)を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が、本明細書に開示される。
【0011】
例えば、一態様では、任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害は脱毛症(例えば、男性型脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、瘢痕性脱毛症、休止期脱毛、または女性型脱毛症など)であり、対象における脱毛症に関連する単一ヌクレオチド多型(SNP)は、SNP Rs6152、Rs2223841、Rs2497938、Rs1160312、6047844、Rs2180439、Rs2073963、Rs12565727、Rs9287638、Rs6945541、Rs12373124、Rs10502861、Rs187238、および/またはRs1946518のうちの1つ以上を含む。
【0012】
任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、癌は、膵臓癌または乳癌を含む。一態様では、任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患は乳癌であり、対象における乳癌に関連するSNPはSNP Rs2298075を含む。任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患は膵臓癌であり、対象における膵臓癌に関連するSNPはSNP Rs10237038を含む。
【0013】
一態様では、任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害は自閉症スペクトラム障害を含み、自閉症スペクトラム障害に関連するSNPは、SNP Rs237887、Rs2268491、Rs2254298、および/またはRs7632287のうちの1つ以上を含む。
【0014】
任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害は、骨粗鬆症を含み、骨粗鬆症に関連するSNPは、SNP Rs28360447、Rs28360457、Rs1718119、Rs2230911、および/またはRs1653624のうちの1つ以上を含む。
【0015】
一態様では、任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害は関節リウマチを含み、関節リウマチに関連するSNPはSNP Rs2269706を含む。
【0016】
任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害は多発性硬化症を含み、多発性硬化症に関連するSNPはSNP Rs17525809および/またはRs28360447のうちの1つ以上を含む。
【0017】
一態様では、任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害は慢性疼痛を含み、慢性疼痛に関連するSNPはSNP Rs28360447および/またはRs7958311のうちの1つ以上を含む。
【0018】
任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害はアトピー性皮膚炎を含み、アトピー性皮膚炎に関連するSNPはSNP Rs6010620を含む。
【0019】
一態様では、任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害は高血圧を含み、高血圧に関連するSNPはSNP Rs11669309を含む。
【0020】
任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害は冠動脈性心疾患を含み、心疾患に関連するSNPはSNP Rs6982502を含む。
【0021】
一態様では、任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害はII型糖尿病を含み、II型糖尿病に関連するSNPはSNP Rs12683158を含む。
【0022】
任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害はセリアック病を含み、セリアック病に関連するSNPはSNP Rs15428265を含む。
【0023】
一態様では、任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害不安、かつ不安に関連するSNPは、SNP Rs1718119を含む。
【0024】
任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害は双極性障害を含み、双極性障害に関連するSNPはSNP Rs2230912を含む。
【0025】
一態様では、任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害はうつ病を含み、うつ病に関連するSNPはSNP Rs8028149を含む。
【0026】
任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害は、SNP Rs16868911、Rs11543230、Rs9309325、および/またはRs12951337のうちの1つ以上を含む。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本化合物、組成物、物品、デバイス、および/または方法が開示および記載される前に、それらが、当然異なり得るため、別段指定されない限り、特定の合成方法または特定の組換え生物工学方法に限定されず、別段指定されない限り、特定の試薬に限定されないことを、理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定するように意図されないことも、理解されたい。
【0028】
A.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別段明示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「薬学的担体」への参照は、2つ以上のかかる担体の混合物などを含む。
【0029】
範囲は、「約」1つの特定の値から、かつ/または「約」別の特定の値までとして、本明細書で表現され得る。かかる範囲が表現される際に、別の実施形態は、1つの特定の値から、かつ/または他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表現される際に、先行詞「約」の使用によって、特定の値が別の実施形態を形成することが、理解されるであろう。範囲の各々のエンドポイントは、他のエンドポイントに関連して、かつ他のエンドポイントとは独立して、両方とも重要であることが、さらに理解されるであろう。本明細書に開示されるいくつかの値が存在することと、各値はまた、値自体に加えて「約」その特定の値として本明細書に開示されることと、もまた理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。当業者によって適切に理解されるように、ある値がその値「以下」として開示される場合、「その値以上」かつ値の間の可能な範囲も開示されることも、理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「10以下」同様に「10以上」も開示される。本出願全体を通して、データはいくつかの異なる形式において提供されることと、このデータはエンドポイントおよびスタートポイント、ならびにデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことと、もまた理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示される場合、10超および15超、10以上および15以上、10未満および15未満、10以下および15以下、ならびに10および15は、10~15と同様に開示されると見なされることが、理解される。2つの特定のユニットの間の各ユニットもまた開示されることも、理解される。例えば、10および15が開示される場合、次いで、11、12、13、および14も開示される。
【0030】
用語「対象」は、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むがこれらに限定されない、哺乳動物などの動物を含むように本明細書で定義される。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0031】
対象への「投与」は、対象に薬剤を導入または送達する任意の経路を含む。投与は、経口、局所、静脈内、皮下、経皮(transcutaneous)、経皮(transdermal)、筋肉内、関節内、非経口、動脈内、皮内、脳室内、頭蓋内、腹腔内、病巣内、鼻腔内、直腸内、膣内、吸入による、埋込型リザーバーを介した、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、関節腔内、滑液内、胸骨内、髄腔内、腹腔内、肝臓内、病巣内、および頭蓋内の注射または注入技法)などを含む、任意の好適な経路によって実施され得る。本明細書で使用される場合、「同時(concurrent)投与」、「併用投与」、「同時(simultaneous)投与」、または「同時に投与される」は、化合物が、同じ時点で、または本質的に互いの直後に投与されることを意味する。後者の場合、2つの化合物は、観察された結果が、化合物が同じ時点で投与される際に達成されるものと区別できない十分に近い時間に投与される。「全身投与」は、例えば、循環系またはリンパ系への入口を通じて、対象の身体の広範な領域(例えば、身体の50%超)に薬剤を導入または送達する経路を介して、薬剤を対象に導入または送達することを指す。対照的に、「局所投与」は、領域または投与点に直接隣接する領域に薬剤を導入または送達し、治療上顕著な量で薬剤を全身的に導入しない経路を介して、対象に薬剤を導入または送達することを指す。例えば、局所投与される薬剤は、投与点の局所近傍で容易に検出可能であるが、対象の身体の遠位部分では検出不可能であるか、または無視可能な量で検出可能である。投与は、自己投与および他者による投与を含む。
【0032】
「生体適合性」は、概してレシピエントに概して無毒であり対象に顕著な有害効果を引き起こさない、材料およびその任意の代謝産物または分解生成物を指す。
【0033】
「含むこと」は、組成物、方法などが、列挙された要素を含むが他のものを除外しないことを意味するように意図される。組成物および方法を定義するために使用される際の「から本質的になる」は、列挙された要素を含むが、組み合わせに対する任意の本質的な重要性の他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本明細書で定義されるような要素から本質的になる組成物は、単離および精製方法からの微量汚染物質、ならびにリン酸緩衝生理食塩水、防腐剤などの薬学的に許容される担体を除外しないだろう。「からなる」は、他の成分の微量の要素および本発明の組成物を投与するための実質的方法ステップ以上のものを除外することを意味するものとする。これらの移行用語の各々によって定義される実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0034】
「対照」は、比較目的のために実験において使用される代替的な対象または試料である。対照は、「陽性」または「陰性」であり得る。
【0035】
「制御放出」または「持続放出」は、インビボで所望の薬物動態プロファイルを達成するための、制御された様式での所与の剤形からの薬剤の放出を指す。「制御放出」薬剤送達の一態様は、製剤および/または剤形を、薬剤放出の所望の動態を確立するために操作する能力である。
【0036】
薬剤の「有効量」は、所望の効果を提供するのに十分な量の薬剤を指す。「有効」である薬剤の量は、対象の年齢および一般状態、特定の薬剤(複数可)などの多くの因子に応じて、対象ごとに異なるであろう。したがって、定量化された「有効量」を指定することが可能であるとは限らない。しかしながら、任意の対象の場合における適切な「有効量」は、日常的な実験を使用して当業者によって決定され得る。また、本明細書で使用される場合、別段明記されない限り、薬剤の「有効量」は、治療有効量および予防有効量の両方を包含する量も指し得る。治療効果を達成するために必要な薬剤の「有効量」は、対象の年齢、性別、および体重などの因子に従って異なり得る。投与レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整され得る。例えば、いくつかの分割用量は毎日投与され得るか、または用量は治療状況の緊急性によって示されるように比例的に低減し得る。
【0037】
「減少」は、より小さな遺伝子発現、タンパク質産生、症状の量、疾患、組成物、状態、または活性をもたらす任意の変化を指すことができる。物質はまた、物質を有する遺伝子生成物の遺伝的出力が、物質を有しない遺伝子生成物の出力に対して少ない際に、遺伝子の遺伝的出力を減少させるように理解される。また、例えば、減少は、症状が以前に観察されたよりも少ないような、障害の症状の変化であり得る。減少は、統計的に有意な量の状態、症状、活性、組成物の任意の個々、中央値、または平均の減少であり得る。したがって、減少は、減少が統計的に有意である限り、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%の減少であり得る。
【0038】
「阻害する」、「阻害すること」、および「阻害」は、活性、応答、状態、疾患、または他の生物学的パラメータを減少させることを意味する。このことは、活性、応答、状態、または疾患の完全な消失を含むことができるが、これらに限定されない。このことはまた、例えば、天然レベルまたは対照レベルと比較して、活性、応答、状態、または疾患の10%の低減も含み得る。したがって、低減は、天然レベルまたは対照レベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、またはこれらの間の任意の量の低減であり得る。
【0039】
用語「予防する」、「予防すること」、「予防」、およびそれらの文法的変形は、本明細書で使用される場合、疾患および/もしくはその付随する症状のうちの1つ以上の発症もしくは再発を部分的にまたは完全に遅延または排除するか、あるいは対象が疾患を獲得または再獲得することを妨げるか、あるいは対象が疾患もしくはその付随する症状のうちの1つ以上を獲得または再獲得するリスクを低減する方法を指す。
【0040】
「薬学的に許容される」構成要素は、生物学的にまたは他の望ましくないものでない構成要素、すなわち、顕著な望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、またはそれが含まれる製剤の他の構成要素のうちのいずれかと有害な様式で相互作用することなく、本明細書に記載されるように、本発明の薬学的製剤に組み込まれ得、対象に投与され得る構成要素を指すことができる。ヒトへの投与に関して使用される際に、用語は、概して、構成要素が毒性試験および製造試験の必要とされる基準を満たしていること、またはそれが米国食品医薬品局によって準備されたInactive Ingredient Guideに含まれることを意味する。
【0041】
「薬学的に許容される担体」(「担体」と称されることがある)は、概して安全かつ無毒である薬学的もしくは治療組成物を調製するのに有用である担体または賦形剤を意味し、獣医学的および/またはヒトの薬学的または治療的使用に許容される担体を含む。用語「担体」または「薬学的に許容される担体」は、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、エマルジョン(例えば、油/水または水/油エマルジョン)および/または様々なタイプの湿潤剤を含むことができるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、用語「担体」は、薬学的製剤における使用のための、かつ本明細書にさらに記載される任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、脂質、安定剤、または当該技術分野で周知の他の材料を包含するが、これらに限定されない。
【0042】
「薬理学的活性」(または単に「活性」)は、「薬理学的活性」誘導体または類似体における場合、親化合物と同じタイプの薬理学的活性を有し、かつ程度がおよそ同等の誘導体または類似体(例えば、塩、エステル、アミド、コンジュゲート、代謝産物、異性体、断片など)を指すことができる。
【0043】
「治療剤」は、有益な生物学的効果を有する任意の組成物を指す。有益な生物学的効果は、治療効果、例えば、障害または他の望ましくない生理学的状態の治療、および予防効果、例えば、障害または他の望ましくない生理学的状態(例えば、非免疫原性癌)の予防の両方を含む。用語はまた、塩、エステル、アミド、プロエージェント、活性代謝産物、異性体、断片、類似体などを含むがこれらに限定されない、本明細書で具体的に言及される有益な薬剤の薬学的に許容され薬理学的に活性な誘導体を包含する。次いで、用語「治療剤」が使用される際に、または特定の薬剤が具体的に特定される際に、用語は、薬剤自体、同様に薬学的に許容され薬理学的に活性な塩、エステル、アミド、プロエージェント、コンジュゲート、活性代謝産物、異性体、断片、類似体などを含むことを、理解されたい。
【0044】
「ポリマー」は、比較的高分子量の天然または合成の有機化合物を指し、その構造は、反復する小さな単位であるモノマーによって表され得る。ポリマーの非限定的な例は、ポリエチレン、ゴム、セルロースを含む。合成ポリマーは、典型的には、モノマーの付加または縮合重合によって形成される。用語「コポリマー」は、2つ以上の異なる反復する単位(モノマー残基)から形成されるポリマーを指す。例として、限定されないが、コポリマーは、交互コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーであり得る。ある特定の態様では、ブロックコポリマーの様々なブロックセグメント自体がコポリマーを含むことができることも、企図される。用語「ポリマー」は、天然ポリマー、合成ポリマー、ホモポリマー、ヘテロポリマーまたはコポリマー、付加ポリマーなどを含むがこれらに限定されない、ポリマーの全ての形態を包含する。
【0045】
組成物(例えば、薬剤を含む組成物)の「治療有効量」または「治療有効用量」は、所望の治療結果を達成するのに有効である量を指す。いくつかの実施形態では、所望の治療結果は、I型糖尿病の制御である。いくつかの実施形態では、所望の治療結果は、肥満の制御である。所与の治療剤の治療有効量は、典型的には、治療される障害または疾患のタイプおよび重症度、ならびに対象の年齢、性別、および体重などの因子に関して異なるであろう。用語はまた、疼痛(すなわち、痛覚)緩和などの所望の治療効果を促進するのに有効な治療剤の量、または治療剤の送達速度(例えば、経時的な量)を指すことができる。正確な所望の治療効果は、治療される状態、対象の忍容性、投与される薬剤および/または薬剤製剤(例えば、治療剤の効力、製剤中の薬剤の濃度など)、ならびに当業者によって理解される多様な他の因子に従って異なるであろう。場合によっては、所望の生物学的または医学的な応答は、数日間、数週間、または数年間の期間にわたる対象への組成物の複数の投与量の投与後に達成される。
【0046】
本明細書および以下の特許請求の範囲では、参照は、以下の意味を有するように定義されるものとするいくつかの用語に対してなされるであろう。
【0047】
「任意選択的な」または「任意選択的に」は、後述の事象または状況が発生する場合または発生しない場合があることと、記載が該事象または状況が発生する事例およびそれが発生しない事例を含むことと、を意味する。
【0048】
本出願全体を通して、様々な刊行物が参照される。これらの刊行物のそれらの全体の開示は、これに関連する技術水準をより完全に記載するために、本明細書の参照により本出願に組み込まれる。開示される参考文献はまた、参考文献に依存する文章において考察されるそれらに含まれる資料について、個別にかつ具体的に参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
B.組成物
開示された組成物を調製するために使用される構成要素、同様に本明細書に開示された方法の中で使用される組成物自体が、開示される。これらのかつ他の材料が本明細書に開示され、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示される際に、これらの化合物の各々の様々な個々のかつ集合的な組み合わせおよび並び替えの具体的な参照は明示的に開示されない場合がある一方で、各々は本明細書に具体的に企図および説明されることが、理解される。例えば、特定の治療組成物(増殖因子、エクソソーム、またはMSCに由来するタンパク質を含む組成物など)が開示および考察され、治療組成物(増殖因子、エクソソーム、またはMSCに由来するタンパク質を含む組成物など)を含むいくつかの分子に対して行われ得るいくつかの修飾が考察される場合、具体的には、治療組成物(増殖因子、エクソソーム、またはMSCに由来するタンパク質を含む組成物など)および逆に具体的に示されない限り可能である修正例の各々かつ全ての組み合わせおよび並び替えが、具体的に企図される。したがって、分子A、B、およびCのクラス、同様に分子D、E、およびFのクラス、ならびに組み合わせ分子の例が開示される場合、A-Dが開示され、次いで、各々が個別に列挙されない場合でさえも、各々は、個別にかつ集合的に企図され、組み合わせ、A-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、およびC-Fが開示されると見なされることを意味する。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせも、開示される。したがって、例えば、A-E、B-F、およびC-Eの下位群は、開示されていると見なされるであろう。この概念は、開示された組成物を作製および使用する方法におけるステップを含むが、これらに限定されない本出願の全ての態様に適用される。したがって、実行され得る多様な追加のステップがある場合、これらの追加のステップの各々は、開示された方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせを用いて実行され得ることが、理解される。
【0050】
個体の遺伝子型はエクソソームおよび増殖因子の発現ならびにそれらへの反応における役割を有することが、現在知られている。この認識は、組換えタンパク質または多血小板血漿(PRP)などの自己増殖因子の用量というよりむしろ、応答性薬剤を利用する個別化医療の哲学に信頼を提供する。実験室の増殖条件が産生された増殖因子およびエクソソームの量に大きく影響を与えることができることは、周知である。実験室のMSCをストレス条件に供することは、放出された増殖因子およびエクソソームの量を劇的に増加させることが示されている。研究は、理想的増殖条件下かつ虚血組織シミュレートされた条件下で培養された細胞からのMSC増殖因子およびMSC由来エクソソームのプロテオームを評価して、これらの条件下に存在し、かつ潜在的に差次的に発現される重要な血管新生パラクリンエフェクターを解明した。合計で、6,342のタンパク質がMSC増殖因子において特定され、1,927のタンパク質がストレス性増殖条件に供された細胞からのMSC由来エクソソームにおいて特定された。理想的条件下で増殖したものと比較してストレス条件下で増殖した細胞によって産生された増殖因子およびエクソソームの異なるタイプの量および数の実質的増加があった。
【0051】
多層分析は、シミュレートされたストレス虚血条件に曝露されたMSCにおいて発現が顕著に増加した血管新生を刺激するいくつかの増殖因子およびエクソソームを特定し、これらの増殖因子タンパク質は、血小板由来増殖因子、上皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子、および最も顕著には、核因子-カッパB(NFkB)シグナル伝達経路タンパク質を含む。集合的に、以前の研究のプロテオミクス分析の結果は、MSC由来増殖因子およびエクソソームが、多数の疾患の治療の可能性を有する血管新生パラクリンエフェクターの頑健なプロファイルを含むことを示す。
【0052】
一態様では、脱毛症、白髪、勃起不全、および/または皮膚障害を治療、阻害、低減、予防、および/または逆転するための、対象の身体特徴(例えば、皮膚色、皮膚タイプ、民族性、人種、毛髪タイプ、および/または毛髪色)に特異的な治療組成物が、本明細書に開示される。本明細書に開示されるように、治療組成物は、MSCまたは同様の線維芽細胞様細胞、ケラチノサイトまたはメラノサイトに由来する濃縮された増殖因子、エクソソーム、細胞外タンパク質、プロテオグリカン、サイトカイン、ケモカイン、タンパク質、およびペプチドを含むことができ、細胞は、細胞増殖の前または後に骨髄、脂肪(adipose)(脂肪(fat))、間質血管細胞群(SVF)、骨、または他の組織源から得られ得る。いくつかの態様では、治療組成物は、幹細胞因子(SCF)をさらに含むことができる。
【0053】
エクソソームは、細胞外環境に放出される小さな(30~200nm)膜結合小胞である。エクソソームは、増殖因子、シグナル伝達脂質、ならびにメッセンジャーRNA(mRNA)およびマイクロRNA(miRNA)を誘導する様々なタイプのRNAを含有する。それらのRNA含有量は、エクソソームが伝達する細胞に対する効果の、ほとんどでない場合、多くを媒介する。RNAは、ドナーMSC内のゴルジ体によって、多数のペプチド増殖因子およびシグナル伝達脂質と共にエクソソーム中に配置される。エクソソーム中に配置される増殖因子タンパク質、シグナル伝達脂質、およびRNAの正確なタイプおよび量は、周囲の微小環境およびMSCに曝露されるシグナルに依存する。
【0054】
したがって、対象における疾患または障害(例えば、脱毛症、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害、多発性硬化症、慢性疼痛、うつ病、不安、双極性障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、セリアック病、II型糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、多発性複合疾患、および/または癌など)を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法が本明細書に開示され、方法は、a)エンドユーザーの毛髪、皮膚色、皮膚タイプ、人種、民族性を特定することと、b)対象における疾患または障害に関連する単一ヌクレオチド多型(SNP)を特定することと、c)対象と同じ毛髪タイプ、色、および/または民族を有するが、ドナーが決して疾患または障害を経験しないことを示す単一ヌクレオチド多型(SNP)プロファイルを有する標的とされたドナーから間葉系幹細胞(MSC)を得ることと、d)得られたMSCからMSCおよびエクソソーム調製物を調製することと、を含み、MSCおよびエクソソーム調製物は、補正SNPおよびサイトカインを含み、かつ/またはそれらを分泌するMSCおよびエクソソームを生成するのに十分な増殖条件を含む培地中でMSCを培養することによって作成される。
【0055】
いくつかの態様では、方法は、MSCおよびエクソソーム調製物における増殖因子のタイプおよび量を特定することをさらに含む。増殖因子およびエクソソーム調製物の分析は、タンパク質および核酸を分析するための当該技術分野で既知の任意の手段を伴うことができる。増殖因子は主にタンパク質およびペプチドであることが、理解される。したがって、増殖因子は、質量分析法、タンパク質アレイ、タンパク質チップ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、フローサイトメトリー、酵素結合免疫スポット(ELISpot)、SDS-PAGE、質量分析免疫アッセイ(MSIA)、エレクトロスプレーイオン化、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)、ウェスタンブロット、および/またはクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のプロテオミクス分析の任意の手段を使用して分析され得る。上述のように、プロテオミクスカーゴに加えて、エクソソームは、標的細胞に顕著な効果を有するRNAを担持する。エクソソームのプロテオミクスカーゴは、増殖因子を検出するために使用されるのと同じ技法を使用して検出され得る。エクソソームに含有される核酸は、配列決定、マイクロアレイ、PCR、およびノーザンブロットを含むがこれらに限定されない、核酸の検出および特定において有用な任意の技法によって特徴付けられ得る。
【0056】
本開示のいくつかの実施形態は、特定の病態、独自顔貌課題、人種、または民族性に対する間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法を含む。方法は、潜在的なドナーの単一ヌクレオチド多型(SNP)を特定してエンドユーザーのものと一致させることと、エンドユーザーと同じまたは同様のSNPプロファイルを有するドナーから間葉系皮膚細胞(MSC)を得ることと、得られたMSCからMSC増殖因子およびエクソソーム調製物を調製することと、を含み得る。MSC調製物は、生成物を、特定され、かつ治療される必要がある正確な病態に一致させることによって治療有効性を最大化するための、増殖因子の徹底的な特徴付けおよびプロテオミクス分析ならびに増殖培地に存在するエクソソームRNAの分子特徴付けによって、レシピエントの特定の病態に一致する特定の生成物を作成するために、増殖条件を改変することによって作成され得る。
【0057】
上述のように、開示された方法は、疾患状態に関連するSNPの検出および使用、ならびにレシピエントと同様の人種、毛髪、眼、皮膚、および/または民族的特徴を有するが、間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成する開示された方法についてSNPで異なる、ドナーの使用に依存することが、理解され、本明細書で企図される。使用されるSNPは、治療のために標的とされた疾患または障害、同様に治療されているエンドユーザー対象(該対象はドナーとSNPで異なる必要がある)に依存することが、理解され、本明細書で企図される。したがって、本明細書の一態様では、方法は、対象における疾患または障害(例えば、脱毛症、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害、多発性硬化症、慢性疼痛、うつ病、不安、双極性障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、セリアック病、II型糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、多発性複合疾患、および/または癌など)を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するためのものであり、疾患または障害は、脱毛症(例えば、男性型脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、瘢痕性脱毛症、休止期脱毛、または女性型脱毛症など)であり、対象における脱毛症に関連する単一ヌクレオチド多型(SNP)は、SNP Rs6152、Rs2223841、Rs2497938、Rs1160312、6047844、Rs2180439、Rs2073963、Rs12565727、Rs9287638、Rs6945541、Rs12373124、Rs10502861、Rs187238、および/またはRs1946518のうちの1つ以上を含む。同様に、一態様では、自閉症スペクトラム障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法が本明細書に開示され、自閉症スペクトラム障害に関連するSNPは、SNP Rs237887、Rs2268491、Rs2254298、および/またはRs7632287のうちの1つ以上を含む。骨粗鬆症を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法も本明細書に開示され、骨粗鬆症に関連するSNPは、SNP Rs28360447、Rs28360457、Rs1718119、Rs2230911、および/またはRs1653624のうちの1つ以上を含む。一態様では、関節リウマチを治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法が本明細書に開示され、関節リウマチに関連するSNPは、SNP Rs2269706を含む。多発性硬化症を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法も本明細書に開示され、多発性硬化症に関連するSNPは、SNP Rs17525809および/またはRs28360447のうちの1つ以上を含む。一態様では、慢性疼痛を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法が本明細書に開示され、慢性疼痛に関連するSNPは、SNP Rs28360447および/またはRs7958311のうちの1つ以上を含む。アトピー性皮膚炎を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法も本明細書に開示され、SNP Rs6010620を含む。一態様では、高血圧を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法が本明細書に開示され、高血圧に関連するSNPは、SNP Rs11669309を含む。冠動脈性心疾患を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法も本明細書に開示され、冠動脈性心疾患に関連するSNPは、SNP Rs6982502を含む。一態様では、II型糖尿病を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法が本明細書に開示され、II型糖尿病に関連するSNPは、Rs12683158を含む。セリアック病を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法も本明細書に開示され、セリアック病に関連するSNPは、SNP Rs15428265を含む。一態様では、不安を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法が本明細書に開示され、不安に関連するSNPは、SNP Rs1718119を含む。双極性障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法も本明細書に開示され、双極性障害に関連するSNPは、SNP Rs2230912を含む。一態様では、うつ病を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法が本明細書に開示され、うつ病に関連するSNPは、SNP Rs8028149を含む。疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法も本明細書に開示され、疾患または障害は、SNP Rs16868911、Rs11543230、Rs9309325、および/またはRs12951337のうちの1つ以上を含む。
【0058】
一態様では、間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための開示された方法は、癌などの制御されない細胞増殖が発生する任意の疾患を治療する治療のための生成されたMSCおよびエクソソーム組成物に対して使用され得ることが、理解され、本明細書で企図される。開示された組成物が治療するために使用され得る癌の代表的であるが非限定的なリストは、以下である:リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、菌状息肉症、ホジキン病、骨髄性白血病、膀胱癌、脳癌、神経系癌、頭頸部癌、頭頸部の扁平上皮細胞癌腫、小細胞肺癌および非小細胞肺癌などの肺癌(lung cancer)、神経芽腫/膠芽腫、卵巣癌、皮膚癌、肝臓癌、黒色腫、口腔、咽喉、喉頭、および肺の扁平上皮細胞癌腫、子宮頸部癌、子宮頸部癌腫、乳癌、ならびに上皮癌、腎臓癌、泌尿生殖器癌、肺癌(pulmonary cancer)、食道癌腫、頭頸部癌腫、大腸癌、造血器癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌、前立腺癌、または膵臓癌。したがって、一態様では、癌を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成する方法が本明細書に開示され、癌は、膵臓癌または乳癌を含む。一態様では、乳癌を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成する方法が本明細書に開示され、対象における乳癌に関連するSNPは、SNP Rs2298075を含む。膵臓癌を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成する方法も本明細書に開示され、対象における膵臓癌に関連するSNPは、SNP Rs10237038を含む。
【0059】
開示されたSNPは特定の遺伝子の核酸における点変異と関連することが、理解され、本明細書で企図される。したがって、一態様では、対象における疾患または障害(例えば、脱毛症、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害、多発性硬化症、慢性疼痛、うつ病、不安、双極性障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、セリアック病、II型糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、多発性複合疾患、および/または癌など)を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転するための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物を作成するための方法が開示され、SNPは、インターロイキン18(IL-18)(例えば、rs1946518および/またはrs187238など)、アンドロゲン受容体(AR)(例えば、Rs6152、Rs2223841、および/またはRs2497938)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)-4(HDAC4)(例えば、Rs9287638など)、HDAC9(例えば、Rs2073963および/またはRs2180439など)、ペアードボックス1(PAX1)(例えば、Rs1160312および/またはRs6047844など)、フォークヘッドボックスA2(FOXA2)(例えば、Rs1160312および/またはRs6047844など)、TAR DNA結合タンパク質(TARDBP)(例えば、Rs12565727など)、自閉症感受性遺伝子2(AUTS2)(例えば、Rs6945541など)、SET結合タンパク質1(SETBP1)(例えば、Rs10502861など)、17q21.31(例えば、Rs12373124など)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー6B(TNFRSF6B)(例えば、Rs6010620など))、Gパッチドメイン含有タンパク質を有するジンクフィンガーCCCHタイプ(ZGPAT)(例えば、Rs6010620など)、P2Xプリン受容体7(P2RX7)(例えば、Rs17525809、Rs28360447、Rs7958311、Rs1718119、Rs2230912、Rs28360457、Rs2230911、および/またはRs1653624など)、オキシトシン受容体(例えば、Rs237887、Rs2268491、Rs2254298、および/またはRs7632287など)、非コードRNA(ncRNA)(例えば、Rs11669309、Rs2298075、および/またはRs10237038など)、長い非コードRNA(lncRNA)(例えば、Rs8028149、Rs16868911、Rs11543230、Rs9309325、Rs12951337、Rs15428265、Rs12683158、および/またはRs6982502など)、ヒト白血球抗原(HLA)(例えば、Rs2269706など)、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体(PDGFR)B(PDGFR-B)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP)1(TIMP-1)、TIMP-2、IL-23、アクチビンA、細胞間接着分子(ICAM-2)、オステオポンチン(OPN)、インスリン、インスリン増殖因子結合タンパク質4(IGF-BP4)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体1(TNF-R1)、エクトジスプラシンA2受容体(XEDAR)、および/またはフォリスタチンをコードする1つ以上の遺伝子に存在する1つ以上のSNPを含む。
【0060】
開示された方法は、対象における疾患または障害を治療することにおける使用のための間葉系幹細胞(MSC)およびエクソソーム治療組成物をもたらすことが、理解され、本明細書で企図される。したがって、一態様では、エンドユーザー対象における疾患または障害を治療することにおける使用のための間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物が本明細書に開示され、組成物は、a)組成物基剤と、b)エンドユーザーと同じ毛髪タイプ、毛髪色、毛髪タイプ、皮膚タイプ、皮膚色、人種、および/または民族性を有するが、ドナーが決してエンドユーザー対象によって罹患される疾患または障害でないことを示す単一ヌクレオチド多型(SNP)プロファイルを有するドナーに由来する、間葉系幹細胞およびエクソソーム調製物と、を含み、MSCおよびエクソソーム調製物は、正常な過酸素培養条件下で培養された細胞または細胞条件培地、および過酷な創傷治癒条件下で培養された細胞からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0061】
上述のように、ドナーおよびレシピエントを区別するSNPは、疾患または障害状態に関連する任意の数の遺伝子に関連するSNPから生じることができる。したがって、一態様では、間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物が本明細書に開示され、SNPは、インターロイキン18(IL-18)(例えば、rs1946518および/またはrs187238など)、アンドロゲン受容体(AR)(例えば、Rs6152、Rs2223841、および/またはRs2497938)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)-4(HDAC4)(例えば、Rs9287638など)、HDAC9(例えば、Rs2073963および/またはRs2180439など)、ペアードボックス1(PAX1)(例えば、Rs1160312および/またはRs6047844など)、フォークヘッドボックスA2(FOXA2)(例えば、Rs1160312および/またはRs6047844など)、TAR DNA結合タンパク質(TARDBP)(例えば、Rs12565727など)、自閉症感受性遺伝子2(AUTS2)(例えば、Rs6945541など)、SET結合タンパク質1(SETBP1)(例えば、Rs10502861など)、17q21.31(例えば、Rs12373124など)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー6B(TNFRSF6B)(例えば、Rs6010620など))、Gパッチドメイン含有タンパク質を有するジンクフィンガーCCCHタイプ(ZGPAT)(例えば、Rs6010620など)、P2Xプリン受容体7(P2RX7)(例えば、Rs17525809、Rs28360447、Rs7958311、Rs1718119、Rs2230912、Rs28360457、Rs2230911、および/またはRs1653624など)、オキシトシン受容体(例えば、Rs237887、Rs2268491、Rs2254298、および/またはRs7632287など)、非コードRNA(ncRNA)(例えば、Rs11669309、Rs2298075、および/またはRs10237038など)、長い非コードRNA(lncRNA)(例えば、Rs8028149、Rs16868911、Rs11543230、Rs9309325、Rs12951337、Rs15428265、Rs12683158、および/またはRs6982502など)、ヒト白血球抗原(HLA)(例えば、Rs2269706など)、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体(PDGFR)B(PDGFR-B)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP)1(TIMP-1)、TIMP-2、IL-23、アクチビンA、細胞間接着分子(ICAM-2)、オステオポンチン(OPN)、インスリン、インスリン増殖因子結合タンパク質4(IGF-BP4)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体1(TNF-R1)、エクトジスプラシンA2受容体(XEDAR)、および/またはフォリスタチンをコードする1つ以上の遺伝子に存在する1つ以上のSNPを含む。
【0062】
実施形態では、治療組成物は、基剤と、MSC、ケラチノサイト、および/またはメラノサイト増殖因子粉末調製物を含み得、MSC調製物(MSC/K/M/Prep)は、正常な過酸素培養条件下で培養された細胞または細胞条件培地、および過酷な創傷治癒条件下で培養された細胞からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含み得る。過酸素培養条件は、約21%として定義され得、約21%は、血清サプリメントおよび酸素を有する21%±5%の酸素であり得、一方で、創傷治癒条件は、炎症性サイトカイン、血管新生因子、および/または低減したグルコースの存在下で、約1~約5%の酸素として定義され得る。
【0063】
MSC/K/M/Prepは、条件培地、または細胞培養増殖したMSC、ケラチノサイト、もしくはメラノサイトからの溶解物のいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.01~約10重量%の、MSC/K/M/PREPまたは系譜細胞の増殖によって条件付けられた無細胞培地をさらに含み得、細胞は、正常な過酸素培養条件下または創傷治癒条件下で培養される。
【0064】
MSC/K/M/PREP条件培地、溶解物、および誘導生成物、またはそれらの組み合わせは、任意選択的に他の活性成分と一緒に、乳化ラノリンアルコール、ワックス、および油の混合物、もしくはワセリンもしくは鉱物油、四級アンモニウム化合物、脂肪アルコール、および脂肪エステル軟化剤の混合物、または組成が実質的に同様であるローション中で、溶解、混合、または懸濁され得る。
【0065】
本開示の組成物の基剤は、ローション、クリーム、色素、血清、油、ゲル、ヒドロゲル、粉末、ファンデーション、フェイシャルマスク、リップケア製品、毛髪ケア製品、毛髪ケア製品、皮膚洗浄剤、剥離剤、軟膏、注射剤などの任意の好適または所望の基剤であり得る。代替的に、基剤は、対象または該対象の任意の組織、器官、もしくは系への直接注射あるいはその上への直接適用に好適な材料を含み得る。
【0066】
実施形態では、基剤は、乳化ラノリンアルコール、ワックス、および油の混合物、またはワセリンもしくは鉱物油、四級アンモニウム化合物、脂肪アルコール、および脂肪エステル軟化剤の混合物を含む、ローションを含み得る。代替的に、基剤は、乳化ラノリンアルコール、水、ワセリン、グリセリン、イソステアリルパルミタート、ブチレングリコール、グリセリルステアラート、またはそれらの混合物の混合物を含む、クリームを含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、美容基剤は、例えば、約1~約20重量%の保湿剤、約0.1~約10重量%の増粘剤および水を含有し得る担体であり得る。代替的に、担体は、約70~約99重量%の界面活性剤、および約0~約20重量%の脂肪を含み得る。担体は、約80~99.9%の増粘剤、約5~約15%の界面活性剤、約2~約15%の保湿剤、約0~約80%の油、非常に少量(2%未満)の防腐剤、着色剤および/または香料、ならびに所望される場合、水を代替的に含み得る。
【0068】
実施形態では、組成物は、生物活性物質の表皮浸透を改善するための浸透促進剤をさらに含み得る。好適な浸透促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、DMSO様化合物、エタノール性化合物、ピログルタミン酸エステルなどを含み得る。組成物はまた、日焼け止め剤、抗ニキビ剤、抗セルライト剤、および他の追加の構成要素を含み得る。
【0069】
組成物は、濾過滅菌または濃縮され得る。さらに、組成物は、非ヒト動物生成物を含まない場合があるか、または動物源に由来し得る。
【0070】
組成物がMSCを含むものとして上に記載される一方で、他の線維芽細胞様細胞の使用が想定される。生成物は、ケラチノサイトまたはメラノサイトを含有し得る。MSCは、骨髄間質、脂肪、血液、真皮、骨膜、骨、および他の組織などの複数の供給源に由来し得る。実施形態では、MSCは、組成物が適用されるであろう患者に由来し得る(自己)か、または別の個人に由来し得る(同種)。MSC/K/M/PREPは、条件培地を回収するか、もしくは溶解物のための細胞の量を増加させるために増殖されるか、または本開示の組成物への組み込み前に新鮮に使用される、培養であり得る。
【0071】
本開示の治療組成物を生成することは、まず、標的消費者の人種、民族性、皮膚色、皮膚タイプ、眼色、および毛髪色、同様に、脱毛症特徴を特定することと、同様の人種、民族性、皮膚色、皮膚タイプ、眼色、および毛髪色、同様に脱毛症特徴を有する個人からMSCおよびエクソソームを調達することと、調達されたMSCを使用して、対象に適用される局所的かつ/または注射可能な治療を作成することと、を含み得る。
【0072】
したがって、最終治療組成物は、毛髪特徴に基づいて、エンドユーザーのためにカスタマイズされ得る。本開示の毛髪および頭皮の治療組成物を使用するために、ユーザーは、単に組成物を頭皮に局所適用し得る。代替的に、組成物は、小型化によって影響された領域において真皮に直接注射され得る。投与は、所与の適応症に適したような最少0.1mL~最大100mLであり得る。例えば、投与される用量は、単回投与で、合計0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100mLであり得るか、または複数回の注射にわたって等分され得る。例えば、単一の1mL体積は、0.1mL注射に分散され得る。複数回の注射が与えられる際に、各注射の体積は、0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6、7、8、9、10mLであり得る。注射は、単一の注射部位として、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、もしくは1000回の別個の注射にわたって、行われ得る。複数回の注射が影響を受ける領域において使用される場合、注射間の距離は、0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6、7、8、9、または10cm離れることができる。所望される一方で、単回治療投与が所望の治療結果を達成するのに十分でない場合があることも、理解され、本明細書で企図される。したがって、投与は、宿主の生存または治療の持続期間の間、単回、または別個に2、3、4、5、6、7、8、910、11、12、13、14、15、16、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、もしくは1000回発生できる。複数回投与が行われる際に、投与は、6、12、18、24、36、48、60、72時間、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、35、36、42、49、56、58、59、60、61、62日、9、10、11、12、13、14、15、16週、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24か月、3、4、5、6、7、8、9、または10年ごとに1回発生できる。
【0073】
開示された治療組成物において使用されるMSCまたは同様の線維芽細胞様細胞、ケラチノサイトもしくはメラノサイトに由来する濃縮された増殖因子、エクソソーム、細胞外タンパク質、プロテオグリカン、サイトカイン、ケモカイン、タンパク質、およびペプチドは投与される用量に達するように希釈され得ることが、理解され、本明細書で企図される。希釈剤は、生理食塩水または本明細書に開示される任意の医薬品ベースの担体もしくは賦形剤を含むがこれらに限定されない、任意の好適な物質であり得る。MSCまたは同様の:1線維芽細胞様細胞、ケラチノサイトまたはメラノサイトに由来する増殖因子、エクソソーム、細胞外タンパク質、プロテオグリカン、サイトカイン、ケモカイン、タンパク質、およびペプチドの希釈は、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50または1:100であり得る。
【0074】
本開示を全体通じて繰り返し述べるように、MSCおよびエクソソーム治療組成物を生成する開示された方法は、実際には、対象における疾患または障害(例えば、脱毛症、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害、多発性硬化症、慢性疼痛、うつ病、不安、双極性障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、セリアック病、II型糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、多発性複合疾患、および/または癌など)を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転することにおいて使用され得るMSCおよびエクソソーム治療組成物を生成する。したがって、一態様では、本明細書に開示される間葉系幹細胞およびエクソソーム治療組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む、対象における疾患または障害(例えば、脱毛症、アトピー性皮膚炎、自閉症スペクトラム障害、多発性硬化症、慢性疼痛、うつ病、不安、双極性障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、セリアック病、II型糖尿病、冠動脈性心疾患、高血圧、多発性複合疾患、および/または癌など)を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が、本明細書に開示される。
【0075】
遺伝子修正を送達するための担体系としてのエクソソームの有用性は、広範な適用性を有する。本質的に、わずかな配列差異、例えば、単一ヌクレオチド多型(SNP)から結果として生じる任意の遺伝子疾患は、標的細胞へのエクソソーム組み込みを介して分子修飾タンパク質または核酸を受けることができる。これらの分子は、遺伝学的に修飾された細胞株からエクソソームに導入され得るか、または非疾患関連遺伝子配列を担持する個々のドナーの細胞から調達され得る。
【0076】
異なる疾患状態に関連する候補SNPの以下の実施例は、記載される本発明についての概念の証明として提供される。本発明は実質的に任意のSNP補正配列を輸送するために使用され得、本発明の有用性の範囲は以下に列挙される配列に限定されない。
【0077】
多数のSNPは、脱毛(脱毛症)に関連することが報告される。表1は、SNPが発生する候補SNPおよび/または遺伝子を列挙する。
【表1】
【表2】
【0078】
全身疾患は、血管経路(静脈内、動脈内)を介した本発明の送達を必要とし得る。表3は、全身送達経路を通じて最適に治療され得る疾患に関連するSNPの例を特定する。
【表3】
【0079】
例えば、一態様では、疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害は脱毛症(例えば、男性型脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、円形脱毛症、瘢痕性脱毛症、休止期脱毛、または女性型脱毛症など)であり、対象における脱毛症に関連する単一ヌクレオチド多型(SNP)は、SNP Rs6152、Rs2223841、Rs2497938、Rs1160312、6047844、Rs2180439、Rs2073963、Rs12565727、Rs9287638、Rs6945541、Rs12373124、Rs10502861、Rs187238、および/もしくはRs1946518のうちの1つ以上を含むか、またはSNPは、AR、PAX1、FOXA2、TARDBP、HDAC4、HDAC9、AUTS2、17q21.31、SETBP1、IL18、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体(PDGFR)B(PDGFR-B)、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP)1(TIMP-1)、TIMP-2、IL-23、アクチビンA、細胞間接着分子(ICAM-2)、オステオポンチン(OPN)、インスリン、インスリン増殖因子結合タンパク質4(IGF-BP4)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体1(TNF-R1)、エクトジスプラシンA2受容体(XEDAR)、および/もしくはフォリスタチンに関連する。
【0080】
一態様では、疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害は自閉症スペクトラム障害を含み、自閉症スペクトラム障害に関連するSNPは、SNP Rs237887、Rs2268491、Rs2254298、および/またはRs7632287のうちの1つ以上を含む。
【0081】
疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害は、骨粗鬆症を含み、骨粗鬆症に関連するSNPは、SNP Rs28360447、Rs28360457、Rs1718119、Rs2230911、および/またはRs1653624のうちの1つ以上を含む。
【0082】
一態様では、疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害は関節リウマチを含み、関節リウマチに関連するSNPはSNP Rs2269706を含む。
【0083】
疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害は多発性硬化症を含み、多発性硬化症に関連するSNPはSNP Rs17525809および/またはRs28360447のうちの1つ以上を含む。
【0084】
一態様では、疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害は慢性疼痛を含み、慢性疼痛に関連するSNPはSNP Rs28360447および/またはRs7958311のうちの1つ以上を含む。
【0085】
疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害はアトピー性皮膚炎を含み、アトピー性皮膚炎に関連するSNPはSNP Rs6010620を含む。
【0086】
一態様では、疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害は高血圧を含み、高血圧に関連するSNPはSNP Rs11669309を含む。
【0087】
疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害は冠動脈性心疾患を含み、心疾患に関連するSNPはSNP Rs6982502を含む。
【0088】
一態様では、疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害はII型糖尿病を含み、II型糖尿病に関連するSNPはSNP Rs12683158を含む。
【0089】
疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害はセリアック病を含み、セリアック病に関連するSNPはSNP Rs15428265を含む。
【0090】
一態様では、疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害不安、かつ不安に関連するSNPは、SNP Rs1718119を含む。
【0091】
疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害は双極性障害を含み、双極性障害に関連するSNPはSNP Rs2230912を含む。
【0092】
一態様では、疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患または障害はうつ病を含み、うつ病に関連するSNPはSNP Rs8028149を含む。
【0093】
任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害は、SNP Rs16868911、Rs11543230、Rs9309325、および/またはRs12951337のうちの1つ以上を含む。
【0094】
上述のように、開示された治療は、癌などの制御されない細胞増殖が発生する任意の疾患を治療するのに有益であり得る。したがって、疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患または障害は、癌である。開示された組成物が治療するために使用され得る癌の代表的であるが非限定的なリストは、以下である:リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、菌状息肉症、ホジキン病、骨髄性白血病、膀胱癌、脳癌、神経系癌、頭頸部癌、頭頸部の扁平上皮細胞癌腫、小細胞肺癌および非小細胞肺癌などの肺癌(lung cancer)、神経芽腫/膠芽腫、卵巣癌、皮膚癌、肝臓癌、黒色腫、口腔、咽喉、喉頭、および肺の扁平上皮細胞癌腫、子宮頸部癌、子宮頸部癌腫、乳癌、ならびに上皮癌、腎臓癌、泌尿生殖器癌、肺癌(pulmonary cancer)、食道癌腫、頭頸部癌腫、大腸癌、造血器癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌、前立腺癌、または膵臓癌。したがって、一態様では、癌を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、癌は、膵臓癌または乳癌を含む。一態様では、疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法が本明細書に開示され、疾患は乳癌であり、対象における乳癌に関連するSNPはSNP Rs2298075を含む。任意の先行の態様の疾患または障害を治療、阻害、低減、改善、予防、および/または逆転する方法も本明細書に開示され、疾患は膵臓癌であり、対象における膵臓癌に関連するSNPはSNP Rs10237038を含む。
【0095】
脱毛症
毛髪は、ケラチンと呼ばれるタンパク質から作られる。毛髪は毛包に座し、毛包の基部には、新しい毛髪の生成を刺激した毛包上皮幹細胞と呼ばれる幹細胞がある。平均的な頭部は100,000超の毛包を有し、各毛包は、毛髪を生成し、次いで休止する周期を繰り返す。毛髪を生成し休止する周期は、正常であり、常に頭部全体に毛髪を有することをもたらす。
【0096】
脱毛症は、ますます多くの毛包が、休止期にあるか、または新しい毛髪を生成しなくなるまで縮小するために発生する。遺伝的特徴のため、脱毛症になる運命の男性は、テストステロンの副生成物であるジヒドロテストステロン(DHT)の作用に過度に敏感な毛包を有する。DHTは、毛包と結合し、それらを縮小させる。ますます多くの毛包は、毛髪を生成しなくなるまで縮小し、領域に薄毛、最終的に脱毛症を発症させる。このプロセスは、小型化(miniaturization)と呼ばれる。
【0097】
現在、FDAによって承認されている脱毛を治療するための薬剤は、ミノキシジルおよびフィナステリドの2つのみである。ミノキシジルは、一般外用医薬品として入手可能であるが、ほとんどの専門家は、ミノキシジルが、脱毛への対処において比較的に有効性が限られた薬物であり、小型化のプロセスに効果を有しないことに同意している。したがって、その利益は、一時的である。フィナステリドは、テストステロンがDHTになるのを阻害することによって機能するが、その副作用は、勃起不全ならびに性欲および射精障害を含む。低レベルのレーザー療法は、男性および女性の両方において発毛を刺激することが示されているが、小型化に効果を有しない。
【0098】
植毛は、脱毛症を治療するための別の方法であり、DHT抵抗性のある頭部の後ろから毛包を採取し、それらを脱毛症部位に移植することを伴う。しかしながら、これは、患者が依然として同じ毛髪の量を有するため、頭皮全体により均等に再分配されるだけであり、新たな増殖を刺激するものではない。必要とされるのは、脱毛症を予防および治療するための組成物および方法であり、方法および組成物は、毛包における毛包上皮幹細胞および間葉系幹細胞の刺激を促進して、毛包を活性化して、毛髪を生成し小型化を予防する。
【0099】
本開示のいくつかの実施形態は、ドナーが決して脱毛を経験することがないことを示す特定のSNP毛髪特徴を有する標的とされたドナーから、間葉系幹細胞(MSC)エクソソーム、およびセクレトームの濃縮物を調製することを含む、脱毛症を予防および治療するための組成物を生成するための方法を含む。ドナーは、性別特異的であり得る。方法は、SNP毛髪特徴によって標的ドナーを特定することと、標的ドナーからのMSCを培養して正常な過酸素培養条件または過酷な創傷治癒低酸素条件下のいずれかで培養培地を作成することと、培養培地から粉末を作成することと、粉末をクリーム基剤またはローション基剤と組み合わせることと、を含み得、最終生成物は、小型化によって影響された領域における真皮に適用され得る。適用は、局所的または注射可能のいずれかであり得、特に、小型化によって影響された領域において、または真皮への直接注射によって、毛包の活性化を刺激して、発毛を促進し得る。
【0100】
男性型脱毛症またはアンドロゲン性脱毛症を有する対象の影響された領域の頭皮に注射された際に、治療後わずか2週間で成功裏に再発毛が観察された(
図2A~2Eを参照)。
【0101】
本明細書に記載される方法およびパラメータを使用して生成されたエクソソーム懸濁液のプロテオミクス評価を実行して、記載された発明の臨床的に適切な有効性に寄与する分子組成を特徴付けた。プロテオミクス評価は、市販のRayBio Tech(Norcross,GA,USA)によって製造された抗体アレイを利用した。(細胞外微小環境内の)細胞膜の外面で、分泌されるか、輸送されるか、または存在するいずれかのように知られている230の異なるタンパク質の濃度測定を行った。重複した試験試料中に生理学的に適切な濃度で存在し、毛髪の修復および着色に関連すると支持されることが見いだされた測定されたタンパク質が、表4に列挙される。生理学的に適切な濃度を、1pg/mL以上の平均濃度であると見なした。50ug/mL超の平均濃度を有するタンパク質の文献調査を実行して、臨床的効果を支持する最も可能性の高い候補分子を特定した。表4におけるリストは、有効な効果に関連する、本発明内で見いだされる個々のタンパク質の包括的または網羅的なリストであると見なされてはならない。
【表4】
【0102】
タンパク質は、最も高い平均濃度から最も低いものへと整理されている。50ng/mLの任意の値を超える濃度で発現したタンパク質を、PubMed検索エンジンを使用して医学文献において調査して、本発明の潜在的な効果に対する証拠を提供する研究を特定した。科学文献において、毛包再生における役割を果たすことが支持される本発明のタンパク質を、以下に列挙および説明する。
【0103】
IL18は、エクソソーム懸濁液試料に存在する最も濃縮されたタンパク質であった。その主要機能は、皮膚内の自然免疫応答の調節に関与し、具体的には、インターフェロンガンマ産生を刺激し、真皮のナチュラルキラー細胞およびTH1 T細胞を活性化する。過多のIL18は、自己免疫疾患の発症と関連している。文献調査は、発毛における役割についての証拠を提供する。IL18遺伝子配列内に見いだされる2つの単一ヌクレオチド多型(SNP)は、器官特異的自己免疫疾患である円形脱毛症(AA)の発症と関連している。2つの特異的なSNPであるrs1946518(-607C>A)およびrs187238(-137G>C)多型は、円形脱毛症の疾患と関連している。Celikらは、IL-18のrs187238およびrs1946518のSNPが、AA感受性の原因であり得ると結論づけた。1 IL18は、毛包周囲の肥満細胞とCD8+細胞との間で観察された変則的な相互作用における役割を果たし得る。これらの相互作用は、毛包内の正常な発毛周期を妨害し得る。組織学的分析によって、IL18およびその受容体は、皮膚ケラチノサイト内、および毛包の外毛根鞘細胞内に見いだされる。本発明が真皮に適用される際に観察される発毛を開始するIL18作用の2つの考えられる効果は、このドナーからのIL18の配列が、疾患関連配列を有せず、IL18シグナル伝達レベルを非疾患状態レベルに変化させることである。代替的に、自己分泌阻害物質として機能し得る血清中の主な形態を含むIL18アイソフォームの証拠が、存在する。本発明におけるIL18の形態は、IL18シグナル伝達を低減し、適切な自然免疫応答を適切なレベルに修復する抑制性アイソフォームであり得る。
【0104】
低酸素脂肪由来の間葉系幹/間質細胞集団からの条件培地を使用する成長期の誘導が、実証されている。PDGF受容体Bは、検出された主要なタンパク質であり、PDGFは、PDGF受容体を通じた真皮乳頭の増殖を刺激し得る。休止期の真皮乳頭細胞の膜中へのPDGF受容体Bのエクソソーム導入は、成長期の発毛を開始するPDGFを介したシグナル伝達を可能にし得る。PDGFR-Bの遺伝的バリアントは、Penttinen症候群における脱毛と関連している。
【0105】
インスリン増殖因子は、発毛に対するアゴニストである。IGF結合タンパク質は、IGFに結合することによってIGF活性を調節する。様々なIGF-BPへの結合は、IGF活性を修飾し、IGF活性の追加の特異性を提供することができる。IGF-BP4は、IGF-BP3およびIGF-BP5と共に、発現された非ヒト毛包真皮乳頭であり、毛包内のIGF活性を調節する役割を果たす。
【0106】
正常な発毛は周期的である。各毛包は、各周期全体を通して細胞外リモデリングを受ける。TIMP-1およびTIMP-2は、毛包内およびその周囲の細胞外マトリックスのリモデリングに関与するコラーゲナーゼおよび他のプロテアーゼのタンパク質分解活性を調節することにおける重要な役割を果たす。本発明によって提供される追加のTIMPは、脱毛症に関連する炎症性疾患状態によって改変されたプロテアーゼのレベルまでバランスを修復し得る。
【0107】
インターロイキン23は、円形脱毛症の間、より高いレベルで毛包に見いだされるが、毛包内の正確な機能は依然として不明である。他のサイトカインと同様に、IL23は、アイソフォーム、および異なる細胞タイプによって発現された受容体に応じて複数の機能を有し得る。本発明によって提供される追加のIL23は、発毛抑制をもたらす炎症性状態を減少させるのに役立つ自己分泌抑制性シグナルを提供し得る。
【0108】
アクチビンは、TGF-Bシグナル伝達経路のメンバーであり、発達中の毛包の初期形成に重要であり、それらは、毛髪器官形成中に必要とされる表皮/間葉相互作用における重要な役割を果たす。続いて、フォリスタチンと組み合わせて、アクチビンは、毛髪周期の重要な調節因子である。
【0109】
ICAMは、細胞間の障壁を連結および作成するように機能する。毛包は、免疫特権のある小器官である。ICAMは、その免疫特権環境を確立する物理的障壁を確立する。円形脱毛症では、毛髪に色を提供するメラノサイト内の抗原に対して自己免疫応答の発症を可能にする免疫特権環境が破壊される。ICAM-2を提供することによって、本発明は、免疫特権のある微小環境の再確立を可能にし得る。
【0110】
オステオポンチンは、毛包の外毛根鞘細胞によって発現される。オステオポンチンは、インビボでタンパク質分解的に切断されて、外毛根鞘ケラチノサイトによるFGF-7産生を調節するペプチド性シグナル伝達分子を生成する。オステオポンチン由来のペプチドは、FGF-7合成を抑制するように見え、次に発毛を遅くする。したがって、オステオポンチンは、発毛周期の重要な調節因子であり得る。
【0111】
EDARおよびXEDARは、エクトジスプラシンファミリーメンバーであるEda A1およびEda A2に結合する。XEDARは、NFKBシグナル伝達経路を活性化し、毛包形態形成中のシグナル伝達に関連する。このシグナル伝達経路のマウス遺伝子ノックアウト研究は、毛包の形成異常をもたらす。
【0112】
間葉系幹細胞
全体を通して述べられるように、本明細書に開示される治療組成物は、間葉系幹細胞(MSC)に由来するエクソソームおよび/または増殖因子を利用できる。骨髄濃縮物または脂肪由来間質血管細胞群(SVF)、または臍帯、胎盤、もしくは羊膜からの様々な生後生成物内に含まれる既存の自家および同種のMSC、増殖されたMSC培養物は、創傷、整形外科病態、および脊椎病態を治療するために現在使用されており、既存の治療は、大量のMSCセクレトーム(増殖因子、サイトカイン、ケモカイン、エクソソーム、細胞外小胞、および/または抽出物を含むが、これらに限定されない)を含まない。加えて、幹細胞を含む治療(注射可能な治療を含む)が、老化を予防し、瘢痕化、不均一な色素沈着、クリーム、ローション、血清、化粧などの既存の皮膚生成物を治療するのを助けることができるという当該技術分野における証拠にもかかわらず、皮膚を治療および強化するのを潜在的に助ける成分を含む一方で、他の局所生成物は、表皮に浸透せず、より重要なことに、ヒトMSC、またはMSC由来の増殖因子およびタンパク質を含まない。実際、本開示の前に、これらの用途のために使用され得る活性MSC増殖因子生成物は、開発されていない。したがって、一態様では、創傷、整形外科障害、整形外科損傷、眼科、脊椎損傷、または脊椎障害の治療における使用のためのMSCセクレトーム組成物(MSC増殖因子、MSCエクソソーム、MSC抽出物、および/または組成物を含む細胞外小胞を含むが、これらに限定されない)が、本明細書に開示され、該治療組成物は、(i)間葉系幹細胞(MSC)由来調製物を含む増殖因子の粉末化された添加剤、および(ii)薬学的に許容される担体を含む。
【0113】
上述のように、MSCは、筋細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、および骨芽細胞を含む多数の細胞タイプに分化する能力を有する多能性細胞である。典型的には、これらの細胞は、血管周囲組織を含む、胎盤、臍帯血、脂肪組織、骨髄、または羊水に見いだされ得る。本明細書で使用される場合、「MSC」は、多分化能幹細胞、多分化能間質細胞、間質血管細胞、周皮細胞、血管周囲細胞、間質細胞、多能性細胞、多分化能細胞、脂肪由来線維芽細胞様細胞、脂肪由来間質血管細胞群、脂肪由来MSC、骨髄由来線維芽細胞様細胞、骨髄由来間質血管細胞群、骨髄由来MSC、組織由来線維芽細胞様細胞、成人幹細胞、成人間質細胞、ケラチノサイト、および/またはメラノサイトを含むがこれらに限定されない、非最終分化細胞を指す。
【0114】
MSCは、それらの分化可能性に加えて、多くの異なるサイトカインおよび増殖因子の発現をもたらす免疫調節能力を有することが、長い間認識されてきた。本明細書で使用される場合、「MSC調製物」または「MSCセクレトーム組成物」は、ヒトMSC、線維芽細胞様細胞、ならびにウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、およびマウスからのMSCを含むがこれらに限定されない、非ヒト動物MSCから得られたMSC増殖因子、MSCエクソソーム、細胞外小胞、またはMSCの無細胞抽出物もしくはMSC溶解物を含む、組成物を指す。実施形態では、MSCは、組成物が適用されるであろう患者に由来し得る(自己)か、または別の個人に由来し得る(同種)。MSCは、条件培地を回収するために、もしくは溶解物の細胞の量を増加させるために培養増殖され得るか、または本開示の組成物への組み込みの前に新鮮に使用され得る。
【0115】
MSCセクレトーム組成物(MSC増殖因子、MSCエクソソーム、MSC抽出物、および/または組成物を含む細胞外小胞を含むが、これらに限定されない)は、約0.01~約10重量%などの、約0.00001~約20重量%の間葉系幹細胞(MSC)抽出物、MSCエクソソーム、またはMSC増殖因子調製物を含み得る。MSC調製物は、MSC条件培地または細胞培養増殖されたMSCからのMSC溶解物のいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.01~約10重量%の、MSCまたはMSC系譜細胞の増殖によって条件付けられた無細胞培地をさらに含み得、細胞は、正常な過酸素培養条件下または人工的な創傷治癒条件下で培養される。
【0116】
本明細書に開示されるように、開示されたMSC添加剤(凍結または粉末化された添加剤のいずれかの増殖因子セクレトーム組成物を含む)を生成するために使用されるMSCは、MSC増殖因子、セクレトーム、サイトカイン、ケモカイン、間葉系幹細胞タンパク質、ペプチド、グリコサミノグリカン、細胞外マトリックス(ECM)、プロテオグリカン、セクレトーム、およびエクソソームを生成するために選択的に刺激され得る。本明細書で使用される場合、MSC増殖因子は、プロスタグランジンE2(PGE2)、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)、肝細胞増殖因子(HGF)、間質細胞由来因子-1(SDF-1)、一酸化窒素、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ、インターロイキン-4(IL-4)、IL-6、インターロイキン-10(IL-10)、IL-1受容体アンタゴニストおよび可溶性TNF-α受容体、インスリン様増殖因子、線維芽細胞増殖因子(FGF)1~23(特に、FGF1およびFGF2)、骨形成タンパク質(BMP)1~15、上皮増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子-α(TGF-α)マクロファージ刺激タンパク質(MSP)、血小板由来増殖因子(PLGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、インスリン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、同様にエストロゲンおよび甲状腺ホルモンを含むホルモンを含むが、これらに限定されない。
【0117】
一態様では、MSC調製物(例えば、MSCセクレトーム組成物など)は、標準的な過酸素培養条件下(例えば、21%酸素)で培養されたMSCまたは人工的な創傷治癒条件下(例えば、炎症性サイトカイン、血管新生因子、および低減したグルコースの存在下で0.1%~約5%酸素など)で培養されたMSCから得られる、MSC増殖因子、MSCエクソソーム、および/またはMSCの細胞抽出物もしくはMSC溶解物を含む。
【0118】
本明細書に開示されるように、人工的な創傷治癒条件は、栄養素供給の低減、および局所血液循環の破壊によって通常引き起こされる老廃物除去の低減がある、実際の創傷における増殖条件をシミュレートする。このことは、新しい血管が作成され血液循環が修復されるまで、細胞にとって厳しい環境を作り出す。したがって、MSCを培養するために使用される人工的な創傷治癒条件は、以下の増殖条件グルコース利用能の低減、酸素分圧の低減、pHの低減、および増加した温度のうちの1つ以上を含むことができる。
【0119】
一態様では、グルコース利用能は、正常な対照と比較して低減し得る。グルコースを低減するが細胞を損傷しない改変培養培地は、グルコースの0~50%の低減、より好ましくは、グルコースの約5%~40%の低減であり得る。例えば、MSCの人工的な創傷治癒培養条件は、約5%~約15%、約10%~約20%、約15%~約25%、約20%~約30%、または約25%~約35%のグルコース低減などの、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50%のグルコース低減を含むことができる。
【0120】
一態様では、酸素分圧は、低酸素条件まで低減し得る。正常な大気酸素はおよそ21%であり、任意の低減は低酸素と見なされる。したがって、一態様では、MSCは、人工的な創傷治癒条件下で、0.0%~20.9%の酸素、約0.1%~約0.5%の酸素、約0.1%~約2.0%、約0.1%~約5.0%の酸素、約0.5%~5.0%、約1.0%~約10%の酸素、約5.0%~約10.0%の酸素、および約10.0%~約15.0%で培養され得る。好ましくは、MSCが状態を治癒培養するであろう間、酸素分圧は、例えば、0、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3,1.4、1.5、1.6、1.7、1.7、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、または20.5%の酸素などの、約0.5%~20.5%の酸素である。
【0121】
pHはまた、人工的な創傷治癒条件下で低減し得る。生理学的pHは、非常に厳密に維持され、通常、中性pH=7.2±0.2(7.0~7.4)に非常に近い。しかしながら、創傷において、酸性環境は、pH=6.2±0.2(すなわち、6.0~約6.4のpH)を有し得る。したがって、人工的な創傷治癒培養条件下で、pHは、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、または7.4などの、約6.0~約7.4、例えば、6.0~約6.4、約6.2~約6.4、約6.2~約6.6、約6.4~約6.6、約6.4~約6.8、または約6.6~約7.0であり得る。
【0122】
人工的な創傷治癒培養条件下で、培養環境の温度は、創傷部位における温度上昇をシミュレートするために上昇し得る。生理学的恒常温度は、37℃(98.6°F)に維持される。わずかな増加または減少は、細胞代謝に顕著な変化を引き起こすことができる。増加することによって、最大約40℃(104°F)の任意の温度までの37℃を超える温度は、「発熱性」環境を作り出すことができる。したがって、一態様では、MSCの人工的な創傷治癒培養条件は、約35℃~約39℃、約35℃~約36℃、約36℃~約37℃、約37℃~約38℃、約38℃~約39℃、約39℃~約40℃を含むことができる。一態様では、人工的な創傷治癒培養の温度は、35.0、35.1、35.2、35.3、36.4、35.5、35.6、35.7、35.8、35.9、36.0、36.1、36.2、36.3、36.4、36.5、36.6、36.7、36.8、36.9、37.0、37.1、37.2、37.3、37.4、37.5、37.6、37.7、37.8、37.9、38.0、38.1、38.2、38.3、38.4、38.5、38.6、38.7、38.8、38.9、39.0、39.1、39.2、39.3、39.4、39.5、39.6、39.7、39.8、39.9、または40.0℃であり得る。
【0123】
組み合わされた低減した栄養素および代謝産物環境(人工的な創傷治癒)は、コラーゲンおよびグリコサミノグリカン(GAG)、同様に増殖因子およびサイトカインなどの新しいECMタンパク質の形態にあり得る、組織治癒を誘導するために存在する創傷治癒および抗炎症ECMタンパク質ならびに増殖因子ならびに細胞外小胞を生成するように、培養された細胞を誘発できる。したがって、細胞コンフルエンシー、培養培地サプリメント、栄養補助サプリメント、酸素レベル、それらの条件下での培養の長さ、細胞継代数またはそれらの組み合わせなどの細胞増殖条件を調整することによって、MSCは、所望の抗炎症タンパク質、ペプチド、サイトカイン、ケモカイン、グリコサミノグリカン、細胞外マトリックス(ECM)、プロテオグリカン、エクソソームおよびセクレトームを選択的に分泌するように刺激され得ることが、理解され、本明細書で企図される。
【0124】
一態様では、温度、酸素分圧、pH、グルコース飽和度、コンフルエンシー、および増殖表面などの増殖条件は、培養において増殖する細胞の遺伝子発現およびタンパク質産生に影響することができ、それによって異なる増殖因子および生成されているサイトカインをもたらすことができることが、理解され、本明細書で企図される。例えば、増殖表面剛性(ヤング率)は、その上で増殖する細胞の遺伝子発現およびタンパク質産生に影響する。脂肪細胞および軟骨細胞は、通常、より柔らかく、より弾性のある増殖表面(約10kPa~12kPa)上に維持され、一方で、骨細胞は、硬い表面(約106~126kPa)上でより良好に増殖する。表面剛性を調整することによって、細胞のセクレトームおよびそれらのコミュニケーションシグナル(増殖因子、エクソソーム、サイトカインおよびケモカイン)に影響を与えることが、可能である。
【0125】
一態様では、MSCセクレトーム組成物(MSC増殖因子、MSCエクソソーム、MSC抽出物および/または組成物を含む細胞外小胞を含むが、これらに限定されない)は、増殖因子の分解を低減するために、保護コーティング剤(例えば、凍結保護オリゴ糖およびタンパク質溶液など)をさらに含むことができる。保護コーティング剤がポリマーとして操作され得ることが、理解され、本明細書で企図される。「ポリマー」は、比較的高分子量の天然または合成の有機化合物を指し、その構造は、反復する小さな単位であるモノマーによって表され得る。ポリマーの非限定的な例は、ポリエチレン、ゴム、セルロースを含む。合成ポリマーは、典型的には、モノマーの付加または縮合重合によって形成される。用語「コポリマー」は、2つ以上の異なる反復する単位(モノマー残基)から形成されるポリマーを指す。例として、限定されないが、コポリマーは、交互コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはグラフトコポリマーであり得る。ある特定の態様では、ブロックコポリマーの様々なブロックセグメント自体がコポリマーを含むことができることも、企図される。用語「ポリマー」は、天然ポリマー、合成ポリマー、ホモポリマー、ヘテロポリマーまたはコポリマー、付加ポリマーなどを含むがこれらに限定されない、ポリマーの全ての形態を包含する。一態様では、ゲルマトリックスは、コポリマー、ブロックコポリマー、ジブロックコポリマー、および/またはトリブロックコポリマーを含むことができる。
【0126】
一態様では、保護コーティング剤は、生体適合性ポリマーを含むことができる。一態様では、生体適合性ポリマーは、架橋され得る。本明細書で使用される場合、生体適合性ポリマーは、多糖類;親水性ポリペプチド;ポリ-L-グルタミン酸(PGS)、ガンマ-ポリグルタミン酸、ポリ-L-アスパラギン酸、ポリ-L-セリン、またはポリ-L-リジンなどのポリ(アミノ酸);ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、およびポリ(エチレンオキシド)(PEO)などのポリアルキレングリコールおよびポリアルキレンオキシド;ポリ(オキシエチル化ポリオール);ポリ(オレフィンアルコール);ポリビニルピロリドン);ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド);ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリラート);ポリ(糖類);ポリ(ヒドロキシ酸);ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸-コ-グリコール酸)などのポリヒドロキシ酸;ポリ3-ヒドロキシブチラートまたはポリ4-ヒドロキシブチラートなどのポリヒドロキシアルカノアート;ポリカプロラクトン;ポリ(オルトエステル);ポリ無水物;ポリ(ホスファゼン);ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン);チロシンポリカーボネートなどのポリカーボネート;ポリアミド(合成および天然ポリアミドを含む)、ポリペプチド、およびポリ(アミノ酸);ポリエステルアミド;ポリエステル;ポリ(ジオキサノン);ポリ(アルキレンアルキラート);疎水性ポリエーテル;ポリウレタン;ポリエーテルエステル;ポリアセタール;ポリシアノアクリラート;ポリアクリラート;ポリメチルメタクリラート;ポリシロキサン;ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー;ポリケタール;ポリリン酸;ポリヒドロキシバレラート;ポリアルキレンオキサラート;ポリアルキレンスクシナート;ポリ(マレイン酸)、同様にそれらのコポリマーを含むが、これらに限定されない。生体適合性ポリマーはまた、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレプタラート(polyalkylene terepthalate)、ポリビニルアルコール(PVA)、メタクリラートPVA(m-PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびそれらのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリルおよびメタクリルエステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセタート、セルロースプロピオナート、セルロースアセタートブチラート、セルロースアセタートフタラート、カルボキシルエチルセルロース、セルローストリアセタート、セルローススルファートナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリ(エチルメタクリラート)、ポリ(ブチルメタクリラート)、ポリ(イソブチルメタクリラート)、ポリ(ヘキシルメタクリラート(hexlmethacrylate))、ポリ(イソデシルメタクリラート)、ポリ(ラウリルメタクリラート)、ポリ(フェニルメタクリラート)、ポリ(メチルアクリラート)、ポリ(イソプロピルアクリラート)、ポリ(イソブチルアクリラート)、ポリ(オクタデシルアクリラート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセタート、ポリ塩化ビニルポリスチレンおよびポリビニルプリロリドン(polyvinylpryrrolidone)、それらの誘導体、それらの線状かつ分岐状のコポリマーおよびブロックコポリマー、ならびにそれらの混合物を含む。例示的な生分解性ポリマーは、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(ヒドロキシバレラート)、ポリ無水物、ポリ(アクリル酸)、ポリグリコリド、ポリ(ウレタン)、ポリカーボネート、ポリリン酸エステル、ポリホスプリアゼン、それらの誘導体、それらの線状かつ分岐状のコポリマーおよびブロックコポリマー、ならびにそれらの混合物を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、保護コーティング剤は、単糖類の炭水化物構築物、同様に非還元性の多糖類もしくは二糖類を含むがこれらに限定されない、二糖類または多糖類などの炭水化物ポリマー、同様にそれらの任意の組み合わせを含む。保護コーティング剤において使用され得る炭水化物の例は、グルコース、アルドース(D-アロース、D-アルトロース、D-マンノースなど)、グルコピラノース、ペンタヒドロキシヘキサナール、α-D-グルコピラノシル-D-グルコース、α-D-グルコピラノシル-二水和物、β-D-グリコピラノシル単位のポリマー、β-D-フルクトフラノシルα-D-グルコピラノシド(無水物/二水和物)、β-D-ガラクトピラノシル-D-グルコース、α-D-グルコピラノシル-α-D-グルコピラノシド(無水物/二水和物)、ガラクトース、ペントース(リボース、キシロース、リキソース)、デキストロース、ドデカカーボンモノデカ水和物、フルクトース、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、アガロース、D-ガラクトシル-β-(1-4)-アンヒドロ-L-ガラクトシル、セルロース、β-D-グリコピラノシル単位のポリマー、およびデンプン、同様に、多価アルコール、ポリアルコール、アルジトール、エリスリトール、グリシトール、グリセロール、キシリトール、およびソルビトールを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、保護コーティング剤は、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳-コ-グリコール酸)などの生体適合性かつ/または生分解性のポリエステルまたはポリ無水物を含有する。粒子は、以下のポリエステルのうちの1つ以上を含み得る:本明細書で「PGA」と称されるグリコール酸単位を含むホモポリマー、本明細書で「PLA」と集合的に称される、ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、およびポリ-D,L-ラクチド5などの乳酸単位を含むホモポリマー、ならびに本明細書で「PCL」と集合的に称される、ポリ(e-カプロラクトン)などのカプロラクトン単位を含むホモポリマー、ならびに本明細書で「PLGA」と集合的に称される、乳酸:グリコール酸の比によって特徴付けられるポリ(乳酸-コ-グリコール酸)およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド)の様々な形態などの、乳酸およびグリコール酸単位を含むコポリマーならびにポリアクリラート、ならびにそれらの誘導体。例示的なポリマーはまた、「PEG化ポリマー」と本明細書で集合的に称されるPLGA-PEGまたはPLA-PEGコポリマーの様々な形態などの、ポリエチレングリコール(PEG)および前述のポリエステルのコポリマーを含む。ある特定の実施形態では、PEG領域はポリマーと共有結合的に会合して、開裂可能なリンカーによって「PEG化ポリマー」を得ることができる。一態様では、ポリマーは、少なくとも60、65、70、75、80、85、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99パーセントのアセタールペンダント基を含む。
【0129】
本明細書に開示されるトリブロックコポリマーは、例、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアセタート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルアセタート)、ポリメタクリラート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳-グリコール)酸、ポリ(乳コ-グリコール)酸(PLGA)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体などのコアポリマーを含む。
【0130】
本明細書に開示される保護コーティング剤において使用され得るジブロックコポリマーの例は、例、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアセタート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルアセタート)、ポリメタクリラート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳-グリコール)酸、ポリ(乳コ-グリコール)酸(PLGA)などのポリマーを含む。
【0131】
一態様では、保護コーティング剤は含有でき(すなわち、カプセル化された、カプセル化された組成物は、担体またはカプセル化材料として、レシチンまたは加水分解レシチンをさらに含むことができる。本明細書で使用される場合、レシチンおよび/または加水分解レシチンコーティング剤は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジン酸を含むコーティング剤を含む。レシチンの供給源は、pnatまたは動物供給源であり得る。
【0132】
一態様では、MSC添加剤をカプセル化溶液に入れることによって形成される保護コーティング剤を形成するために使用されるポリマー、単糖類、二糖類、または多糖類のうちのいずれかは、保護コーティング剤を形成するための適切な濃度にあり得る。例えば、ポリマー、単糖類、二糖類、または多糖類は、0.01mM~10.0M濃度の任意の濃度、例えば、約0.01M~約0.1M、約0.1mM~約1.0M、約1.0M~約10.0Mにあり得る。例示的な濃度は、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.4、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、450、500、600、700、800、900mM、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10Mを含む。
【0133】
図1および2に示されるように、開示されたMSCセクレトーム組成物中のエクソソームおよび細胞外小胞が、生成されている。
【0134】
一態様では、創傷を治療する1つの方法は、MSCセクレトーム組成物(MSC増殖因子、MSCエクソソーム、MSC抽出物、および/または組成物を含む細胞外小胞を含むが、これらに限定されない)の、皮下、筋肉内、静脈内、局所的(例えば、軟膏(salve)、クリーム、および/または軟膏(ointment)の使用を通じるなど)投与を通じたものであるが、ステント、スポンジ、マトリックス、スカフォールド、バンデージ、包帯、縫合糸、移植片、外科用ドレープ、外科用接着剤、および/またはステープルを、MSCセクレトーム組成物で含浸することによるものでもあることが、理解され、本明細書で企図される。したがって、一態様では、治療有効量のMSCセクレトーム組成物を含む、薬用ステント、スカフォールド、スポンジ、マトリックス、接着バンデージ、創傷包帯、移植片、手術用ドレープ、縫合糸、軟膏、クリーム、または創傷接着剤が、本明細書に開示される。上述のように、MSCセクレトーム組成物(MSC増殖因子、MSCエクソソーム、MSC抽出物、および/または組成物を含む細胞外小胞を含むが、これらに限定されない)は、局所投与され得、顔、頸部、手、または身体の任意の他の所望の部分に適用され得る。接着バンデージ、創傷包帯、移植片、外科用ドレープ、縫合糸、スカフォールド、マトリックス、スポンジ、またはステントに適用される際に、MSCセクレトーム組成物は、粉末として適用され得る。
【0135】
一態様では、本明細書に開示されるMSCセクレトーム組成物(MSC増殖因子、MSCエクソソーム、MSC抽出物および/または組成物を含む細胞外小胞を含むが、これらに限定されない)は、油、ワックスもしくは他の標準的な脂肪物質、または従来のゲル化剤および/もしくは増粘剤、乳化剤、保湿剤、軟化剤、日焼け止め剤、セラミドなどの親水性または親油性の活性剤、フリーラジカルに対処するための薬剤、殺菌剤、封鎖剤、防腐剤、塩基性化剤または酸性化剤、芳香剤、界面活性剤、充填剤、アロエまたは緑茶抽出物などの天然生成物または天然生成物の抽出物、ビタミン、あるいは着色料などの、創傷治癒分野で典型的に見いだされる任意の既知の成分を含み得る。粉末と組み合わされ得る他の成分は、多様な抗酸化物質から選択され得る抗酸化物質を含み得る。好適な抗酸化剤は、ビタミンC(L-アスコルビン酸、アスコルビン酸-2リン酸マグネシウム塩、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸テトラヘキシルデシル)、ビタミンE(トコトリエノール)、ビタミンA(レチノール、レチナール、レチノイン酸、ベータ-カロテンなどのプロビタミンAカロテノイド)、N-アセチルグルコサミン、またはグルコサミンの他の誘導体を含む。他の成分は、リノール酸(LA)、ガンマ-リノール酸(GLA)、アルファ-リノール酸(ALA)、ジホモ-y-リノレン酸(DGLA)、アラキドン酸(ARA)などの、Ω-3、Ω-6、およびΩ-9ポリ不飽和脂肪酸などの、少なくとも1つの必須脂肪酸を含み得る。脂肪酸は、ツキミソウ油、カシス油、ルリジサ油、またはGLA修飾されたベニバナ種子を含む様々な供給源に由来し得る。他の成分は、N-アセチルグルコサミンもしくはグルコサミンの他の誘導体、超低分子量(ULMW)ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、またはケラチン硫酸などの、多血小板フィブリンマトリックス、ECMおよびヒアルロン酸の産生を支持する少なくとも1つの成分を含み得る。
【0136】
本明細書に開示されるMSCセクレトーム組成物は、創傷治癒若返り、増強、および改善または修復された皮膚組織を提供できることが、理解され、本明細書で企図される。組成物はまた、関節炎および変性椎間板の治療において注射剤として使用され得る。さらに、組成物の実施形態は、インスリン、インスリン様増殖因子、甲状腺ホルモン、線維芽細胞増殖因子、エストロゲン、レチノイン酸などの、追加の増殖因子またはホルモンの包含を必要としない場合がある。いくつかの態様では、開示された幹細胞増殖因子組成物は、抗生物質、抗ニキビ剤、リポソーム、抗酸化物質、多血小板フィブリンマトリックス、鎮痛剤、抗炎症剤、同様に、インスリン、インスリン様増殖因子、甲状腺ホルモン、線維芽細胞増殖因子、エストロゲン、レチノイン酸などの追加の増殖因子を含むがこれらに限定されない、追加の活性成分を含むことができる。かかる追加の活性成分は、本明細書に開示される幹細胞増殖因子および細胞外小胞組成物、同様にMSC条件培地、MSC溶解物、およびMSC由来の生成物と混合され得、次いで、乳化ラノリンアルコール、ワックス、および油の混合物、もしくはワセリンもしくは鉱物油、四級アンモニウム化合物、脂肪アルコール、および脂肪エステル軟化剤の混合物、または組成が実質的に同様であるローション中で解凍もしくは溶解、混合、または懸濁され得る。
【0137】
1.医薬品担体/医薬品生成物の送達
上に記載されるように、組成物は、薬学的に許容される担体中で、インビボで投与され得る。「薬学的に許容される」によって、生物学的にまたは他の望ましくないものでない材料、すなわち、いずれの望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、またはそれが含まれる薬学的組成物の他の構成要素のうちのいずれかと有害な様式で相互作用することなく、核酸またはベクターと共に対象に投与され得る材料が、意味される。担体は、当業者に周知であろうように、活性成分の任意の分解を最小限に抑えるために、かつ対象における任意の有害な副作用を最小限に抑えるために、自然に選択されるであろう。
【0138】
組成物は、経口的に、非経口的に(例えば、静脈内)、筋肉内注射によって、腹腔内注射によって、経皮的に、体外的に、局所的になど(局所鼻腔内投与または吸入剤による投与を含む)、投与され得る。本明細書で使用される場合、「局所鼻腔内投与」は、片方もしくは両方の鼻孔を通じた、鼻および鼻道への組成物の送達を意味し、噴霧機構もしくは液滴機構による、または核酸もしくはベクターのエアロゾル化を通じた送達を含むことができる。吸入剤による組成物の投与は、噴霧機構または液滴機構による送達を介した、鼻または口腔を通じたものであり得る。送達は、挿管を介して呼吸器系の任意の領域(例えば、肺)への直接的なものでもあり得る。必要とされる組成物の正確な量は、対象の種、年齢、体重、および一般状態、治療されているアレルギー障害の重症度、使用される特定の核酸またはベクター、その投与様式などに応じて、対象によって異なるであろう。したがって、あらゆる組成物に対して正確な量を指定することは、可能でない。しかしながら、適切な量は、本明細書の教示によって与えられる日常的な実験のみを使用して、当業者によって決定され得る。
【0139】
組成物の非経口投与は、使用される場合、概して、注射によって特徴付けられる。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液、注射前の液体中の懸濁液の溶液に好適な固体形態、またはエマルジョンのいずれかとして、従来の形態において調製され得る。非経口投与のためのより最近改訂されたアプローチは、一定の投与量が維持されるような徐放システムまたは持続放出系の使用を伴う。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,610,795号を参照されたい。
【0140】
材料は、溶液、懸濁液中にあり得る(例えば、微小粒子、リポソーム、または細胞に組み込まれる)。これらは、抗体、受容体、または受容体リガンドを介して、特定の細胞タイプを標的とされ得る。以下の参考文献は、腫瘍組織に特定のタンパク質を標的とするための本技術の使用の例である(Senter, et al.,Bioconjugate Chem.,2:447-451,(1991)、Bagshawe, K.D.,Br.J.Cancer,60:275-281,(1989)、Bagshawe, et al.,Br.J.Cancer,58:700-703,(1988)、Senter, et al.,Bioconjugate Chem.,4:3-9,(1993)、Battelli, et al.,Cancer Immunol.Immunother.,35:421-425,(1992)、Pietersz and McKenzie,Immunolog.Reviews,129:57-80,(1992)、およびRoffler, et al.,Biochem.Pharmacol,42:2062-2065,(1991))。「ステルス」および他の抗体コンジュゲートリポソーム(結腸癌腫に対する脂質媒介性薬物標的化を含む)、細胞特異的リガンドを通じたDNAの受容体媒介性標的化、リンパ球特異的腫瘍標的化、ならびにインビボでのマウス神経膠腫細胞の高度に特異的な治療用レトロウイルス標的化などのビヒクル。以下の参考文献は、腫瘍組織に特定のタンパク質を標的とするための本技術の使用の例である(Hughes et al.,Cancer Research,49:6214-6220,(1989)、およびLitzinger and Huang,Biochimica et Biophysica Acta,1104:179-187,(1992))。一般に、受容体は、構成的またはリガンド誘導のいずれかで、エンドサイトーシスの経路に関与する。これらの受容体は、クラスリン被覆ピット内でクラスター化し、クラスリン被覆小胞を介して細胞内に入り、受容体が選別される酸性化エンドソームを通過し、次いで、細胞表面へとリサイクルするか、細胞内に貯蔵されるか、またはリソソーム中で分解されるかのいずれかとなる。内部移行経路は、栄養素の取り込み、活性化タンパク質の除去、巨大分子のクリアランス、ウイルスおよび毒素の日和見的侵入、リガンドの解離および分解、ならびに受容体レベルの調節などの、多様な機能を果たす。多くの受容体は、細胞タイプ、受容体濃度、リガンドのタイプ、リガンド結合価、およびリガンド濃度に応じて、2つ以上の細胞内経路に従う。受容体媒介性エンドサイトーシスの分子機構および細胞機構は、概説されている(Brown and Greene,DNA and Cell Biology 10:6,399-409(1991))。
【0141】
a)薬学的に許容される担体
抗体を含む組成物は、薬学的に許容される担体と組み合わせて治療に使用され得る。
【0142】
好適な担体およびそれらの製剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(19th ed.)ed.A.R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,PA 1995に記載される。典型的には、適切な量の薬学的に許容される塩は、製剤を等張にするために製剤において使用される。薬学的に許容される担体の例は、生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液を含むが、これらに限定されない。溶液のpHは、好ましくは、約5~約8、より好ましくは、約7~約7.5である。さらなる担体は、マトリックスが成形品、例えば、フィルム、リポソーム、または微小粒子の形態にある抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスなどの持続放出調製物を含む。特定の担体が、例えば、投与の経路および投与されている組成物の濃度に応じて、より好ましい場合があることは、当業者にとって明白であろう。
【0143】
医薬品担体は、当業者に既知である。これらは、最も典型的には、生理学的pHでの滅菌水、生理食塩水、および緩衝溶液などの溶液を含む、ヒトへの薬物の投与のための標準的な担体であろう。組成物は、筋肉内投与または皮下投与され得る。他の化合物は、当業者によって使用される標準的な手順に従って投与されるであろう。
【0144】
薬学的組成物は、選択された分子に加えて、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝液、防腐剤、表面活性剤などを含み得る。薬学的組成物はまた、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔剤などの1つ以上の有効成分を含み得る。
【0145】
薬学的組成物は、局所治療または全身治療が所望されるかどうか、かつ治療される領域に応じて、いくつかの方法で投与され得る。投与は、局所的(眼科的、膣内、直腸内、鼻腔内を含む)、経口的、吸入による、または非経口的に、例えば、静脈内点滴、皮下、腹腔内、もしくは筋肉内注射によるものであり得る。開示された抗体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、体腔内、または経皮的に投与され得る。
【0146】
非経口投与のための調製物は、滅菌水溶性溶液または非水溶性溶液、懸濁液、およびエマルジョンを含む。非水溶性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物油、およびエチルオレアートなどの注射可能な有機エステルである。水性担体は、水、アルコール/水溶性溶液、エマルジョンまたは懸濁液を含み、生理食塩水および緩衝培地を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、または不揮発油を含む。静脈内ビヒクルは、流体および栄養素補給剤、電解質補給剤(リンゲルデキストロースに基づくものなど)などを含む。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどの防腐剤および他の添加剤もまた、存在し得る。
【0147】
局所投与のための製剤は、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、座剤、スプレー、液体、および粉末を含み得る。従来の薬学的担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤などは、必要であるか、または望ましい場合がある。
【0148】
経口投与のための組成物は、水もしくは非水性培地、カプセル、小袋、または錠剤中の粉末または顆粒、懸濁液または溶液を含む。増粘剤、香料、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤が、望ましい場合がある。
【0149】
組成物のうちのいくつかは、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、ならびにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、およびフマル酸などの有機酸との反応によるか、または、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基と、モノ-、ジ-、トリアルキルおよびアリールアミン、ならびに置換エタノールアミンなどの有機塩基との反応によって形成される、薬学的に許容される酸または塩基付加塩として、潜在的に投与され得る。
【0150】
b)治療的使用
組成物を投与するための有効投与量およびスケジュールは経験的に決定され得、かかる決定を行うことは当該技術分野の技能の範囲内である。組成物の投与のための投与量範囲は、障害の症状が影響を受ける所望の効果を生成するのに十分に大きなものである。投与量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応などの副作用を引き起こすほど大きくてはならない。概して、投与量は、患者の年齢、状態、性別、および疾患の程度、投与の経路、または他の薬物がレジメンに含まれるかどうかに応じて異なり、当業者によって決定され得る。投与量は、任意の禁忌症の発生時に、個々の医師によって調整され得る。投与量は異なることができ、毎日1回以上の用量投与で1日または数日間投与され得る。ガイダンスは、薬学的生成物の所与のクラスについての適切な投与量について、文献に見いだされ得る。例えば、抗体についての適切な用量を選択するためのガイダンスは、抗体の治療的使用に関する文献、例えば、Handbook of Monoclonal Antibodies,Ferrone et al.,eds.,Noges Publications,Park Ridge,N.J.,(1985)ch.22 and pp.303-357、Smith et al.,Antibodies in Human Diagnosis and Therapy,Haber et al.,eds.,Raven Press,New York(1977)pp.365-389に見いだされ得る。単独で使用される抗体の典型的な1日の投与量は、上記の因子に応じて、1日あたり約1μg/kgから最大100mg/kgの体重またはそれ以上の範囲にあり得る。
【0151】
先行の実施例は、当業者に、本明細書で特許請求される化合物、組成物、物品、デバイス、および/または方法が作製および評価される方法の完全な開示および記載を提供するように示され、純粋に例示的であるように意図され、本開示を限定するように意図されない。数(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するように努力がなされてはいるが、いくらかの誤差および偏差が考慮されるべきである。別段示されない限り、部は、重量部であり、温度は、℃におけるか、または周囲温度にあり、圧力は、大気圧またはその付近にある。
【0152】
C.参考文献
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【国際調査報告】