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  • 特表-アルコール飲料用可撓性パウチ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(54)【発明の名称】アルコール飲料用可撓性パウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20220729BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20220729BHJP
   B32B 1/02 20060101ALI20220729BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20220729BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220729BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B65D30/02
B32B1/02
B32B27/40
B32B27/32 C
B32B27/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570157
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2020036162
(87)【国際公開番号】W WO2020247658
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】201941022658
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】ナゴトカル、シャイレーンドラ アショック
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC20
3E064FA04
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN65
3E064HP01
3E064HS05
3E086AA23
3E086AB01
3E086AC13
3E086AD01
3E086AD08
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA24
3E086BB01
3E086BB51
3E086BB52
3E086BB71
3E086CA12
4F100AK07B
4F100AK42B
4F100AK42D
4F100AK46B
4F100AK51C
4F100AK63A
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CB00C
4F100DA01A
4F100DA01B
4F100DA01C
4F100DA01D
4F100EJ38B
4F100GB16
4F100GB23
4F100JK17
4F100JL11C
4F100JL12A
(57)【要約】
本開示は、可撓性パウチを対象とする。一実施形態では、可撓性パウチが提供され、この可撓性パウチは、共通の周辺縁部に沿ってシールされて貯蔵コンパートメントを形成する、対向する可撓性ラミネートを含む。各可撓性ラミネートは、(A)シール層、(B)最外層、および(C)シール層と外層との間の接着剤層を含む少なくとも3つの層を有する。接着剤層は、無溶剤ポリウレタン接着剤組成物を含む。貯蔵コンパートメント内にはアルコール飲料が存在する。可撓性パウチは、1.0mg/m未満の溶剤残渣、および60日間の耐リカー試験後に200gm/15mmを超える接着強度を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性パウチであって、
共通の周辺縁部に沿ってシールされて貯蔵コンパートメントを形成する、対向する可撓性ラミネートであって、
各可撓性ラミネートが、
(A)シール層、
(B)最外層、および
(C)前記シール層と前記外層との間の接着剤層、を含む少なくとも3つの層を有し、前記接着剤層が、無溶剤ポリウレタン接着剤組成物を含む、可撓性ラミネートと、
前記貯蔵コンパートメント内のアルコール飲料と、を含み、
前記可撓性パウチが、
1.0mg/m未満の溶剤残渣と、
60日間の耐リカー試験後に200gm/15mmを超える接着強度と、を有する、可撓性パウチ。
【請求項2】
前記パウチが、前記60日間の耐リカー試験後にブリスターのないパウチである、請求項1に記載の可撓性パウチ。
【請求項3】
前記最外層が、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(「BOPET」)、単軸配向ナイロン(「MON」)、二軸配向ナイロン(「BON」)、および二軸配向ポリプロピレン(「BOPP」)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1または2に記載の可撓性パウチ。
【請求項4】
各可撓性ラミネートが、(A)エチレン系ポリマーから構成されるシール層と、(B)ポリエチレンテレフタレートから構成される最外層と、(C)前記シール層と前記外層との間の前記接着剤層とからなり、前記可撓性パウチが、
0.05mg/m以下の溶剤残渣と、
前記60日間の耐リカー試験後に200gm/15mmを超える接着強度と、を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の可撓性パウチ。
【請求項5】
(D)前記シール層と前記最外層との間に配置された中間層を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の可撓性パウチ。
【請求項6】
前記中間層が、金属化ポリエチレンテレフタレートである、請求項5に記載の可撓性パウチ。
【請求項7】
前記可撓性パウチが、0.20mg/m未満の溶剤残渣を有する、請求項6に記載の可撓性パウチ。
【請求項8】
各可撓性ラミネートが、(A)エチレン系ポリマーから構成されるシール層と、(B)ポリエチレンテレフタレートから構成される最外層と、(C)前記中間層の両側にある接着剤層と、(D)金属化ポリエチレンテレフタレートから構成される中間層と、からなり、前記可撓性パウチが、
0.20mg/m未満の溶剤残渣と、
前記60日間の耐リカー試験後に200gm/15mmを超える接着強度と、を有する、請求項7に記載の可撓性パウチ。
【請求項9】
前記可撓性パウチが、ピローパウチまたはスタンドアップパウチである、請求項1~8のいずれか一項に記載の可撓性パウチ。
【請求項10】
前記可撓性パウチが、スタンドアップパウチである、請求項1~8のいずれか一項に記載の可撓性パウチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フルーツジュース、スポーツドリンクなどの非炭酸飲料をパッケージ化するための可撓性パウチは知られている。可撓性パウチは、典型的には、可撓性多層フィルムまたは可撓性ラミネートから作製されている。例えば、ワインなどのリカーならびにウイスキー、ウォッカ、およびジンなどの蒸留酒の貯蔵には、ラミネート、特にラミネートの接着材料が、アルコールに耐性を有することが必要である。耐アルコール性は、ラミネートおよび接着材料の低分子量化合物が、可撓性パウチに貯蔵されているリカーに移動するのを防ぐために必要である。さらに、ラミネートは、接着強度を維持し、可撓性パウチに物理的欠陥を引き起こす表面のブリスタリングを回避するために、アルコールに耐える必要がある。
【0002】
従来の可撓性パウチは、典型的には、可撓性ラミネートおよび溶剤系接着剤から作製されている。溶剤系接着剤は、適切な接着強度を提供する。しかしながら、溶剤系接着剤は、可撓性パウチに溶剤残渣を付与する。溶剤残渣は、貯蔵されたアルコール飲料に移動の弊害を課すため、特に問題がある。その結果、当技術分野では、無溶剤接着剤を利用した可撓性多層ラミネートを用いてアルコール飲料貯蔵用パウチを開発する必要性が認識されている。無溶剤接着剤系は、溶剤系接着剤と比較して、より高い生産性およびより低い製造コストをもたらすため、アルコール飲料の可撓性パウチパッケージに対する必要性がさらに存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、可撓性パウチを対象とする。一実施形態では、可撓性パウチが提供され、この可撓性パウチは、共通の周辺縁部に沿ってシールされて貯蔵コンパートメントを形成する、対向する可撓性ラミネートを含む。各可撓性ラミネートは、(A)シール層、(B)最外層、および(C)シール層と外層との間の接着剤層を含む少なくとも3つの層を有する。接着剤層は、無溶剤ポリウレタン接着剤組成物を含む。貯蔵コンパートメント内にはアルコール飲料が存在する。可撓性パウチは、1.0mg/m未満の溶剤残渣、および60日間の耐リカー試験後に200gm/15mmを超える接着強度を有する。
【0004】
本開示の利点は、リカーに対して優れた耐ブリスター性を示す可撓性パウチである。すなわち、本発明の可撓性パウチは、1.0mg/m未満の溶剤残渣、および60日間の耐リカー試験後に200gm/15mmを超える接着強度を有することに加え、60日間の耐リカー試験後にブリスターがない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の実施形態に従う、可撓性パウチの斜視図である。
図2】本開示の実施形態に従う、可撓性パウチの斜視図である。
図3】60日間の耐リカー試験後における各種ラミネートのブリスタリングの程度を示す表である。
【0006】
定義
米国特許実務の目的として、参照される特許、特許出願、または公開物のいかなる内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるいかなる定義にも矛盾しない範囲で)、および当該技術分野における一般的知識に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(または、その同等の米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0007】
本明細書で開示される数値範囲は、下限値および上限値からのすべての値を含み、かつ下限値および上限値を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば、1、または2、または3~5、または6、または7の範囲)の場合、任意の2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7は、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6等を含む)。
【0008】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。疑義が生じないようにするために、「含む」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、相反する記載がない限り、(ポリマーであるか、ポリマーでないかに関わらずに)、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含むことができる。対照的に、「~から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、任意の後続の引用の範囲から、任意の他の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「~からなる」という用語は、具体的に記述または列挙されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙項目を個々に、および任意の組み合わせで指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、逆もまた同様である。
【0009】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、または当該技術分野で慣習的でない限り、すべての部およびパーセントは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0010】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」、および同様の用語は、2つ以上のポリマーの組み合わせを指す。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。そのような組み合わせは、相分離しても、しなくてもよい。そのような組み合わせは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野で知られている任意の他の方法から決定される1つ以上のドメイン構成を含んでも、含まなくてもよい。
【0011】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合エチレンモノマーを含有し、任意選択により、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、およびエチレンコポリマー(エチレンおよび1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。「エチレン系ポリマー」および「ポリエチレン」という用語は、交換可能に使用され得る。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例は、低密度ポリエチレン(「LDPE」)および直鎖ポリエチレンを含む。直鎖ポリエチレンの非限定的な例は、直鎖状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)、超低密度ポリエチレン(「ULDPE」)、極低密度ポリエチレン(「VLDPE」)、多成分エチレン系コポリマー(「EPE」)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(「OBC」)の別称でも知られる)、シングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(「m-LLDPE」)、実質的に直鎖状または直鎖状のプラストマー/エラストマー、中密度ポリエチレン(「MDPE」)、および高密度ポリエチレン(「HDPE」)を含む。一般に、ポリエチレンは、チーグラ-ナッタ触媒のような不均質触媒系、第4族遷移金属およびメタロセン、非メタロセン金属中心、ヘテロアリール、ヘテロバレントアリールオキシエーテル、ホスフィンイミン、などのリガンド構造を含む均質触媒系、およびその他を使用して、気相、流動床反応器、液相スラリープロセス反応器、または液相溶液プロセス反応器で生成することができる。不均一触媒および/または均一触媒の組み合わせもまた、単一反応器または二重反応器構成のいずれかにおいても使用され得る。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、その中に重合された芳香族コモノマーを含有しない。
【0012】
「エチレンプラストマー/エラストマー」は、エチレンに由来する単位、および、少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマー、もしくは少なくとも1つのC-Cα-オレフィンコモノマー、もしくは少なくとも1つのC-Cα-オレフィンコモノマーに由来する単位を備える均質な短鎖分岐分布を含む、実質的に直鎖状または直鎖状のエチレン/α-オレフィンコモノマーである。エチレンプラストマー/エラストマーは、0.870g/cc、または0.880g/cc、または0.890g/cc~0.900g/cc、または0.902g/cc、または0.904g/cc、または0.909g/cc、または0.910g/cc、または0.917g/ccの密度を有する。エチレンプラストマー/エラストマーの非限定的な例としては、AFFINITY(商標)プラストマーおよびエラストマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)、EXACT(商標)プラストマー(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、Tafmer(商標)(Mitsuiから入手可能)、Nexlene(商標)(SK Chemicals Co.から入手可能)、およびLucene(商標)(LG Chem Ltd.から入手可能)が挙げられる。
【0013】
「高密度ポリエチレン」(または「HDPE」)は、エチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマー、もしくはC-Cα-オレフィンコモノマーを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーであり、かつ0.94g/cc超、または0.945g/cc、または0.95g/cc、または0.955g/cc~0.96g/cc、または0.97g/cc、または0.98g/ccの密度を有する。HDPEは、単峰性コポリマーまたは多峰性コポリマーであり得る。「単峰性エチレンコポリマー」とは、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において1つの明確なピークを有するエチレン/C-C10α-オレフィンコポリマーのことである。「多峰性エチレンコポリマー」とは、分子量分布を示すGPCにおいて少なくとも2つの明確なピークを有するエチレン/C-C10α-オレフィンコポリマーのことである。多峰性には、2つのピークを有するコポリマー(二峰性)、ならびに3つ以上のピークを有するコポリマーが含まれる。HDPEの非限定的な例としては、各々The Dow Chemical Companyから入手可能なDOW(商標)高密度ポリエチレン(「HDPE」)樹脂、ELITE(商標)強化ポリエチレン樹脂、およびCONTINUUM(商標)二峰性ポリエチレン樹脂、LyondellBasellから入手可能なLUPOLEN(商標)、ならびにBorealis、Ineos、およびExxonMobilからのHDPE製品が挙げられる。
【0014】
「インターポリマー」(または、「コポリマー」)は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されたポリマーである。この総称は、2つの異なるモノマーから調製されたポリマー、および3つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマーなどを指すために通常用いられるコポリマーを含む。
【0015】
「イソシアネート」は、その構造に少なくとも1つのイソシアネート基を含有する化合物である。イソシアネート基は、式:-N=C=Oで表される。「ポリイソシアネート」は、2つ以上、または少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネートである。2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートは、ジイソシアネートであり、3つのイソシアネート基を有するイソシアネートは、トリイソシアネートである(以下略)。イソシアネートには、芳香族イソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族イソシアネート、および脂肪族ポリイソシアネートが含まれる。
【0016】
「直鎖状低密度ポリエチレン」(または「LLDPE」)は、エチレン由来の単位と、少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC-Cα-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC-Cα-オレフィンコモノマー由来の単位と、を含む、不均一短鎖分岐分布を含む直鎖状のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。LLDPEは、従来のLDPEとは対照的に、長鎖分岐があるとしてもわずかであることを特徴とする。LLDPEは、0.910g/ccまたは0.915g/ccまたは0.920g/ccまたは0.925g/cc~0.930g/ccまたは0.935g/ccまたは0.940g/ccの密度を有する。LLDPEの非限定的な例としては、各々The Dow Chemical Companyから入手可能なTUFLIN(商標)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂およびDOWLEX(商標)ポリエチレン樹脂、ならびにMARLEX(商標)ポリエチレン(Chevron Phillipsから入手可能)が挙げられる。
【0017】
「低密度ポリエチレン」(または「LDPE」)は、エチレンホモポリマー、または0.915g/cc~0.940g/ccの密度を有し、かつ広いMWDを有する長鎖分岐を含有する、少なくとも1つのC-C10α-オレフィン、好ましくはC-Cを含む、エチレン/α-オレフィンコポリマーからなる。LDPEは、典型的には、高圧フリーラジカル重合(フリーラジカル開始剤を用いる管状反応器またはオートクレーブ)によって生成される。LDPEの非限定的な例としては、MarFlex(商標)(Chevron Phillips)、LUPOLEN(商標)(LyondellBasell)、ならびにBorealis、Ineos、ExxonMobilなどからのLDPE製品が挙げられる。
【0018】
「多成分エチレン系コポリマー」(または「EPE」)は、エチレン由来の単位と、特許参考文献USP6,111,023、USP5,677,383、およびUSP6,984,695に記載されているような少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC-Cα-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC-Cα-オレフィンコモノマー由来の単位と、を含む。EPE樹脂は、0.905g/ccまたは0.908g/ccまたは0.912g/ccまたは0.920g/cc~0.926g/ccまたは0.929g/ccまたは0.940g/ccまたは0.962g/ccの密度を有する。EPE樹脂の非限定的な例としては、各々The Dow Chemical Companyから入手可能なELITE(商標)強化ポリエチレンおよびELITE AT(商標)先端技術樹脂、Nova Chemicalsから入手可能なSURPASS(商標)ポリエチレン(PE)樹脂、およびSK Chemicals Co.から入手可能なSMART(商標)が挙げられる。
【0019】
「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。「オレフィン」および同様の用語は、水素および炭素からなる炭化水素を指し、その分子は、二重結合によって互いに結合された一対の炭素原子を含む。
【0020】
「ポリエステル」は、同じ原子の直鎖中に2つ以上のエステル結合を含む化合物である。
【0021】
「ポリエーテル」は、同じ原子の直鎖中に2つ以上のエーテル結合を含む化合物である。
【0022】
「ポリマー」は、重合形態で、ポリマーを成す複数のならびに/または反復する「単位」もしくは「構造単位」を提供する、同一の種類または異なる種類であるかを問わないモノマーの重合によって調製される化合物である。したがって、ポリマーという総称は、1つの種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられるホモポリマーという用語、および少なくとも2つの種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために通常用いられるコポリマーという用語を包含する。また、例えば、ランダム、ブロックなどのすべての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれエチレンまたはプロピレンおよび1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーを重合させて調製した上述のコポリマーを示す。ポリマーはしばしば、1つ以上の特定のモノマー「から作製される」、特定のモノマーもしくはモノマーの種類「に基づく」、または特定のモノマー含有量「を含有する」等として称される。この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合レムナントを指していることが理解されることに留意されたい。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
【0023】
「ポリオール」は、複数のヒドロキシル(-OH)基を含有する有機化合物である。言い換えれば、ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含有する。好適なポリオールの非限定的な例としては、ジオール(2つのヒドロキシル基を含有する)およびトリオール(3つのヒドロキシル基を含有する)が挙げられる。
【0024】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合したプロピレンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択で少なくとも1つのコモノマーを含有してもよい。
【0025】
「シングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン」(または「m-LLDPE」)とは、エチレン由来の単位と、少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC-Cα-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC-Cα-オレフィンコモノマー由来の単位と、を含む均一短鎖分岐分布を含む直鎖状のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。m-LLDPEは、0.913g/cc、または0.918g/cc、または0.920g/cc~0.925g/cc、または0.940g/ccの密度を有する。m-LLDPEの非限定的な例としては、EXCEED(商標)メタロセンPE(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、LUFLEXEN(商標)m-LLDPE(LyondellBasellから入手可能)、およびELTEX(商標)PF m-LLDPE(Ineos Olefins&Polymersから入手可能)が挙げられる。
【0026】
「超低密度ポリエチレン」(または「ULDPE」)および「極低密度ポリエチレン」(または「VLDPE」)はそれぞれ、エチレン由来の単位と、少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC-Cα-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC-Cα-オレフィンコモノマー由来の単位と、を含む、不均一短鎖分岐分布を含む直鎖状のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。ULDPEおよびVLDPEはそれぞれ、0.885g/cc、または0.90g/cc~0.915g/ccの密度を有する。ULDPEおよびVLDPEの非限定的な例としては、それぞれThe Dow Chemical Companyから入手可能なATTANE(商標)ULDPE樹脂およびFLEXOMER(商標)VLDPE樹脂が挙げられる。
【0027】
試験方法
60日間の耐リカー試験。小さなパウチは、小さなパウチにアルコール飲料を充填し、次いで小さなパウチをシールすることによって作製した。大きなパウチは、同じアルコール飲料を充填し、その内側に小さなパウチを挿入し、次いで大きなパウチをシールすることによって作製した。小さなパウチは、60日間、内側および外側からアルコール飲料と接触する。60日後、ブリスター/パイピング/トンネリング/層間剥離の観点から小さなパウチの外観を観察した。60日間の耐リカー試験は、互換的に、「内側リカー、外側リカー」と呼ばれる。
【0028】
ラミネーションの接着強度試験には、接着強度-Instron材料試験機を使用した。機械およびMERLINアイコンの電源を入れる。各グリッパーのすぐ横にあるスイッチを手動で押すかまたはフットパダーによって、グリップネジが外れていることを確認する。カッターを使用して、必要な寸法(この場合は長さ約150mmおよび幅15mm)のラミネート試料を切断し、長さ約20mmまで層間剥離させる。それを2つのグリップの間で機械に取り付ける。延伸および負荷がゼロであることを確認する。機械を100mm/分の速度で始動する。読み取り値を記録する。結果を、gm/15mmで報告する。
【0029】
密度は、ASTM D792に従って測定され、その結果は、グラム(g)/立方センチメートル(cc)、またはg/ccで報告される。
【0030】
メルトフローレート(「MFR」)は、ASTM D 1238、条件280℃/2.16kg(g/10分)に従って測定する。
【0031】
メルトインデックス(MI)は、ASTM D 1238、条件190℃/2.16kg(g/10分)に従って測定する。
【0032】
ポットライフ試験。「ポットライフ」は、接着剤組成物の粘度を40℃で4500mPa・s超に上昇させるのに必要な硬化時間であり、硬化時間は、接着剤組成物の成分を混合した後に測定する。接着剤組成物の成分は、Flac-Tack高速ミキサを用いて、1800~2000rpmで1分間混合する。接着剤組成物の粘度を時間に対して監視する。粘度は、20rpmで回転する27番スピンドルを有するBrookfield粘度計DV IIの27番スピンドルを用いて、40℃で測定する。ポットライフは、分数(分)で報告する。
【0033】
シール強度。ラミネーションのシール強度試験には、Instron材料試験機を使用した。機械およびMERLINアイコンの電源を入れる。各グリッパーのすぐ横にあるスイッチを手動で押すかまたはフットパダーによって、グリップネジが外れていることを確認する。カッターを使用して、必要な寸法(この場合は長さ約100mmおよび幅15mm)のラミネート試料を切断する。2本の細片を(Hemetek熱シーリング機上で)140~150℃で1秒間および2.5バールの圧力で熱シールする。室温に達するために試料を冷ます。2つのジョーの間に試料を固定する。試験を開始し、結果を記録する。結果は、kg/15mmで報告される。
【0034】
溶剤残渣。残留溶剤分析は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーを通じて行われる。この手法は、ポリマーマトリックス中の揮発性溶剤を定量化する。試料を閉じたサンプリング容器に入れる。ジメチルスルホキシド、または別の適切な高沸点化合物を加えてポリマーを溶解し、揮発性化合物の気相への放出を促進する。シールされたヘッドスペースバイアルを、既知の温度プロファイルを使用して加熱し、攪拌して、揮発性物質を固相または液相から気相に駆動する。次に、容器内の蒸気を分析する。
【0035】
接着成分の粘度は、ASTM D2196に従って25℃で測定する。粘度はセンチポアズ(cps)で報告される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示は、可撓性パウチを提供する。一実施形態において、可撓性パウチは、対向する可撓性ラミネートを含む。可撓性ラミネートは、共通の周辺縁部に沿ってシールされて貯蔵コンパートメントを形成する。各可撓性ラミネートは、少なくとも3つの層を有する:(A)シール層、(B)最外層、および(C)シール層と外層との間の接着剤層。接着剤層は、無溶剤ポリウレタン接着剤組成物から構成されている。可撓性パウチには、貯蔵コンパートメント内にアルコール飲料が含まれる。各可撓性多層ラミネートは、1.0mg/m未満の溶剤残渣、および60日間の耐リカー試験後に200gm/15mmを超える接着強度を有する。
【0037】
1.可撓性ラミネート
本可撓性パウチは、対向する可撓性ラミネートを含む。一実施形態において、可撓性パウチは、2つの対向する可撓性ラミネートを含む。2つの対向するラミネートは、単一の(折り畳まれた)シート/ウェブの構成要素であり得るか、または別個のはっきりと異なるラミネートであり得る。各可撓性ラミネートの組成および構造は、同じであってよく、または異なってもよい。
【0038】
一実施形態において、2つの対向する可撓性ラミネートは、同じシートまたはフィルムの構成要素であり、シートはその上に折り畳まれ、2つの対向する可撓性ラミネートを形成する。次に、折り畳まれたシートの接続されていない3つの縁部をシールまたは熱シールして、閉じた可撓性パウチを形成し得る。
【0039】
各可撓性ラミネートは、少なくとも3個、または4個、または5個、または6個、または7個~8個、または9個、または10個、または11個、またはそれ以上の層を含む。定義により、「可撓性ラミネート」は、2つの対向する顔面層を有する接着剤層を含み、接着剤層は、各顔面層に沿ってフィルム層に結合する。可撓性ラミネートはまた、1つ以上の共押出キャストフィルム層および/または1つ以上の共押出インフレーションフィルム層を含み得る。
【0040】
一実施形態では、各可撓性ラミネートは、少なくとも3つの層を有する別個のラミネートである。可撓性ラミネートは、弾力性、可撓性、変形可能、かつ柔軟である。2つの可撓性ラミネートの各々の構造および組成は、同じであってもよく、または異なってもよい。例えば、2つの可撓性ラミネートの各々は、各ウェブが特有の構造および/もしくは特有の組成、仕上がり、または印刷を有する、別個のウェブから作製されてもよい。代替的に、2つの可撓性ラミネートの各々は、同じ構造および同じ組成とすることができるか、または単一のウェブからとすることができる。
【0041】
一実施形態では、各可撓性ラミネートは、単一のウェブからの同じ構造および同じ組成を有する。
【0042】
可撓性ラミネートは、シール層と最外層との間に配置された1つ以上の任意選択の内層を含んでもよい。一実施形態では、可撓性ラミネートは、少なくとも3つの層(A)シール層、(B)最外層、および(C)シール層と外層との間の接着剤層を有する。
【0043】
シール層は、可撓性パウチの最内層である。シール層は、貯蔵コンパートメント内のアルコール飲料と直接接触する。シール層は、オレフィン系ポリマーから構成される。オレフィン系ポリマーは、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマー、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0044】
一実施形態では、シール層は、プロピレン系ポリマーから構成される。好適なプロピレン系ポリマーの非限定的な例としては、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α-オレフィンコポリマーが挙げられる。好適なプロピレン/α-オレフィンコポリマーの非限定的な例としては、プロピレン/エチレンコポリマー、プロピレン/C-Cα-オレフィンコポリマー、例えばプロピレン/ブテンコポリマー、プロピレン/ヘキサンコポリマー、およびプロピレン/オクテンコポリマーが挙げられる。
【0045】
一実施形態において、シール層は、エチレン系ポリマーから構成される。好適なエチレン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレンホモポリマーおよびエチレン/α-オレフィンコポリマーが挙げられる。好適なエチレン/α-オレフィンコポリマーの非限定的な例としては、エチレン/C-Cα-オレフィンコポリマーまたはエチレン/C-Cα-オレフィンコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、エチレンヘキセンコポリマー、およびエチレン/オクテンコポリマーが挙げられる。
【0046】
シール層に好適なエチレン/α-オレフィンコポリマーの他の非限定的な例としては、直鎖状または分岐鎖状のエチレン/C-C10α-オレフィンコポリマー、直鎖状または分岐鎖状のエチレン/C-C10α-オレフィンコポリマー、プロピレン系ポリマー(プラストマーおよびエラストマー、ならびにランダムプロピレンコポリマーを含む)、エチレン系ポリマー(プラストマーおよびエラストマー、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、直鎖状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)、中密度ポリエチレン(「MDPE」)を含む、エチレン-アクリル酸、エチレン酢酸ビニル、またはエチレン-メタクリル酸、およびそれらの亜鉛、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム塩とのイオノマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ならびにそれらのブレンドが挙げられる。
【0047】
各可撓性ラミネートには、最外層が含まれる。最外層に好適なポリマー材料の非限定的な例としては、ラミネーション用の二軸または単軸配向フィルムおよび共押出フィルムを作製するのに使用されるものが挙げられる。最外層に好適な材料の非限定的な例としては、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(「BOPET」)、単軸配向ナイロン(「MON」)、二軸配向ナイロン(「BON」)、および二軸配向ポリプロピレン(「BOPP」)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。構造的利益のためのフィルム層の構築において有用な他のポリマー材料は、ポリプロピレン(プロピレンホモポリマー、ランダムプロピレンコポリマー、プロピレンインパクトコポリマー、および熱可塑性ポリプロピレン(「TPO」)など、プロピレン系プラストマー(例えば、VERSIFY(商標)またはVISTAMAX(商標))、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,66、ナイロン6,12、ナイロン12など)、ポリエチレンノルボルネン、環状オレフィンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、コポリエステル(PETGなど)、セルロースエステル、ポリエチレンおよびエチレンのコポリマー(例えば、DOWLEX(商標)などのエチレンオクテンコポリマー系のLLDPE、これらのブレンド、ならびにこれらの多層の組み合わせである。
【0048】
各可撓性ラミネートは、接着剤層を含む。接着剤層は、シール層と最外層との間に配置される。可撓性ラミネートが、シール層と最外層との間に配置された1つ以上の任意の内層を含む場合、可撓性ラミネートは、2つ以上の接着剤層を含み得ることが理解される。
【0049】
接着剤層は、無溶剤ポリウレタン接着剤組成物(または「SPAC」)から構成される。SPACは、二成分性の「無溶剤接着剤組成物」、つまり溶剤を欠いているか、または実質的に欠いている接着剤組成物である。SPACの第1の成分は、(i)芳香族イソシアネートプレポリマーおよび/または(ii)脂肪族イソシアネートプレポリマーのブレンドから構成されるイソシアネート成分Aである。SPACの第2の成分は、(i)エチレングリコール、および/または(ii)ポリエーテルポリオールのブレンドから構成されるポリオール成分Bである。
【0050】
一実施形態では、SPACの成分Aは、2500cps~4500cpsの溶融粘度および1.18g/cc~1.24g/ccの密度を有し、成分Bは、ジエチレングリコール(「DEG」)およびネオペンチルグリコール(「NPG」)を含む、アジピン酸系のポリエステルポリオールから構成され、1500cps~2900cpsの溶融粘度および1.09g/cc~1.15g/ccの密度を有し、SPACは35分~45分のポットライフを有する。SPACは、約2000ダルトンまたは2000ダルトンの分子量を有する。SPACは、架橋されている。
【0051】
一実施形態では、接着剤層は、Dow Inc.から入手可能な無溶剤ポリウレタン接着剤組成物であるPacAcel(商標)968/C-108から構成される。
【0052】
可撓性ラミネートは、構造的完全性に寄与するか、または特定の特性を提供し得る1つ以上の任意の追加の内層(または中間層)を含み得る。追加の内層は、押出もしくは共押出によって、または隣接するポリマー層に好適な接着剤層を使用することによって追加することができる。剛性、堅牢性、または乳白度等の追加の性能利益を提供し得るポリマー材料、ならびに気体バリア特性または化学物質耐性を提供し得るポリマーが、このラミネート構造に追加されてもよい。
【0053】
内層に好適な材料の非限定的な例としては、PET、金属化フィルム、金属化PET(「MEPET」)ナイロン、エチレンビニルアルコール(「EVOH」)、配向ポリプロピレン(「OPP」)、BOPP、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
一実施形態では、可撓性多層ラミネートは、金属化フィルムである内層(または中間層)を含む。本明細書で使用される「金属化フィルム」は、ポリマー材料から構成される第1の層(「ポリマー層」)と、ポリマー層上に堆積された金属から構成される第2の層とから構成される多層構造体である。金属化フィルムは、典型的には、可撓性ラミネートを製造するためのプロセスの前に形成される。金属化フィルムのポリマー材料は、PET(または「METPET」)、OPP、BOPP、ポリ乳酸、エチレン系ポリマー、およびそれらの組み合わせから選択することができる。金属層は、典型的には、アルミニウムである。
【0055】
任意の前述の層(シール、最外、接着剤、内層)は、安定剤、スリップ添加剤、ブロッキング防止添加剤、加工助剤、清澄剤、核剤、顔料または着色剤、充填剤および強化剤などの添加剤が含まれ得る。好適な感覚受容特性および/または光学特性を有する添加剤およびポリマー材料を選択することが特に有用である。
【0056】
一実施形態では、各可撓性ラミネートは、50マイクロメートル(μm)、または60μm、または70μm、または75μm~80μm、または85μm、または90μm、または95μm、または100μm、または150μm、または200μm、または300μmの厚さを有する。さらなる実施形態では、各可撓性ラミネートは、50~300μm、または60~200μm、または70~150μm、または70~100μm、または80~100μm、または85~95μmの厚さを有する。
【0057】
2.可撓性パウチ
可撓性パウチは、互いに重ね合わされて共通の周辺縁部を形成する、対向する可撓性ラミネートを含む。対抗する可撓性ラミネートは、2つの個別のラミネートであり得る。代替的に、対向する可撓性ラミネートは、ラミネートの第1の部分がラミネートの第2の部分の上に折り畳まれて、本明細書で以前に開示された共通の周辺縁部を形成する単一のウェブの部分であり得る。共通の周辺縁部は、形状を画定する。形状は、多角形(三角形、正方形、長方形、菱形、五角形、六角形、七角形、八角形等)または長円形(卵形、楕円形、または円形)であり得る。
【0058】
対向する可撓性ラミネートは、互いにシールされて気密シールを形成する。シールは、超音波シール、熱シール、およびそれらの組み合わせによって形成される。一実施形態では、対向する可撓性ラミネートは、熱シーリング手順によってシールされる。本明細書で用いられる場合、「熱シーリング」という用語は、ラミネートの対向する内面(シール層)を接触させ、融解させ熱シールを形成するか、または溶着してラミネートを互いに付着させるように、2つのラミネートを対向する熱シールバーの間に配置し、熱シールバーを互いに向かって動かしてラミネートを挟持して、熱および圧力をラミネートに加える動作である。熱シーリングは、熱シーリング手順を実施するために、シールバーを互いに向かって、かつ互いに離して動かすのに好適な構造および機構を含む。
【0059】
熱シーリング手順は、共通の周辺縁部の少なくとも一部分に沿って延伸する周辺シールを生成する。周辺シールは、可撓性パウチの周囲に気密シールを形成し、貯蔵コンパートメントを有する密閉され閉じた可撓性パウチを形成する。貯蔵コンパートメント内には、液体が存在する。好適な液体の非限定的な例としては、流体食糧(飲料、調味料、サラダドレッシング、流動食)、液体または流体薬剤、水性植物栄養剤、家庭用および業務用洗浄流体、消毒剤、保湿剤、滑沢剤、乳化ワックス、研磨剤、床および木材仕上げ剤等の表面処理流体、パーソナルケア液体(オイル、クリーム、ローション、ゲル等)等が挙げられる。
【0060】
一実施形態では、貯蔵コンパートメント内の液体はアルコール飲料である。貯蔵コンパートメント内のアルコール飲料は、シール層と直接接触する。本明細書で使用される「アルコール飲料」は、1.0体積%のエタノールから95体積%のエタノールを含む食用液体である。好適なアルコール飲料の非限定的な例としては、アブサン、アマレット、ビール、ブランデー、バーボン、サイダー、コニャック、グラッパ、ジン、ウーゾ、ラム、日本酒、シュナップス、スコッチ、ソジュ、テキーラ、ウイスキー、ワイン、ベルモット、ウォッカ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。貯蔵コンパートメント内にアルコール飲料を有する可撓性容器は、1.0mg/m未満の溶剤残渣、および60日間の耐リカー試験後に200gm/15mmを超える接着強度を有する。
【0061】
一実施形態では、図1に示すように、可撓性パウチ10が提供される。可撓性パウチ10は、互いに重ね合わされて共通周辺縁部12を形成する、対向する可撓性ラミネートを含む。各可撓性ラミネートは3層構造であり、(A)エチレン系ポリマーから構成されるシール層、(B)PETから構成される最外層、および(C)シール層と最外層との間のSPAC層が含まれる。SPAC層(C)は、シール層(A)を最外層(B)に直接結合する。周辺シール14は、共通周辺縁部に沿って延伸して、貯蔵コンパートメント16を形成する。貯蔵コンパートメント16内には、アルコール飲料18が配置される。貯蔵コンパートメント16内にアルコール飲料18を有する可撓性パウチ10は、0.05mg/m以下の溶剤残渣、および3層ラミネートを対象とした60日間の耐リカー試験後に200gm/15mmを超える接着強度を有する。さらなる実施形態では、可撓性パウチ10は、0超~0.05mg/mの溶剤残渣、および210~300gm/15mm、または250~290gm/15mmの接着強度を有する。
【0062】
一実施形態では、可撓性パウチ10は、解放部材20を含む。解放部材20は、可撓性パウチ10の取り外し可能な部分である。解放部材20は、可撓性パウチ10から完全に(または全体的に)分離され得る。代替的に、解放部材20は、解放部材20の一部分が可撓性パウチ10に取り付けられたままの状態で、部分的に分離され得る。解放部材は、二重の目的がある。第一に、解放部材20は、可撓性パウチ10の貯蔵中、貯蔵コンパートメントからのアルコール飲料の流れを遮断、またはそうでなければ防止する。第二に、可撓性パウチ10からの解放部材20の取り外しまたは除去は、可撓性パウチ10からのアルコール飲料の供給を可能にする。
【0063】
一実施形態では、図2に示すように、可撓性パウチ100が提供される。可撓性パウチ100は、互いに重ね合わされて共通周辺縁部112を形成する、対向する可撓性ラミネートを含む。各可撓性ラミネートは五層構造であり、(A)エチレン系ポリマーから構成されるシール層、(B)PETから構成される最外層、(C)金属化PETから構成される内層、および(D)2つのSPAC層、つまりシール層と金属化PET層との間に1つのSPAC層、および金属化PET層と最外層との間に第2のSPAC層を含む。周辺シール114は、共通周辺縁部に沿って延伸して、貯蔵コンパートメント116を形成する。貯蔵コンパートメント116内には、アルコール飲料が配置される。貯蔵コンパートメント116内にアルコール飲料を有する可撓性パウチ100は、0.20mg/m未満の溶剤残渣、および60日間の耐リカー試験後に200gm/15mmを超える接着強度を有する。さらなる実施形態では、可撓性パウチ100は、0超~0.15mg/mの溶剤残渣、および60日間の耐リカー試験後に250~275gm/15mmの接着強度を有する。
【0064】
一実施形態では、可撓性パウチ100は、ガセットパネル118を含む。ガセットパネル118は、対向する可撓性ラミネートから作製される。ガセットパネルは、貯蔵コンパートメントの底部に沿って第1の可撓性ラミネートを第2の可撓性ラミネートに接合して、可撓性パウチ100の基部を形成する。ガセットパネル118は、例えば、成形、充填、およびシール操作中などに、第1のラミネートの一部を第2の可撓性ラミネートの一部でシールする(および任意選択で折り畳む)ことによって形成される。ガセットパネルを対向する可撓性ラミネートに接合するための非限定的な手順としては、熱シール、超音波シール、インパルス、RFシール、溶接、接着シール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。対向する可撓性ラミネートおよびガセットパネルは、貯蔵コンパートメント116を形成する。
【0065】
ガセットパネル118は、(1)可撓性パウチ100および貯蔵コンパートメント内のアルコール飲料を漏れることなく支持するための構造的完全性を有し、および(2)可撓性パウチ100に転倒することなく垂直に直立するための安定性を提供する基部を備えた可撓性パウチ100を提供する。ガセットパネルは、水平面または実質的に水平な面に接触し、可撓性パウチ100を直立位置または実質的に直立の位置に保持するか、さもなければ維持する。この意味で、可撓性パウチ100は、「垂直スタンドアップ可撓性容器」、または「垂直スタンドアップパウチ」、または「スタンドアップパウチ」である。
【0066】
一実施形態では、可撓性パウチ100は、アルコール飲料を供給するための注ぎ口120を含む。注ぎ口120は、注ぎ口の外面とクロージャの内面との間のネジ山の係合によって開閉可能であるクロージャを含み得る。図2は、注ぎ口120上の再閉可能なクロージャ(番号は付与されていない)を示している。
【0067】
限定するものではなく、例として、本開示の実施例が提供される。
【実施例
【0068】
1.可撓性3層ラミネートを備えた可撓性パウチ
以下の構造を有する可撓性3層ラミネートを調製する:最外層/接着剤層/シール層(最内層)。最外層は、12ミクロンの厚さを有するポリエチレンテレフタレート(「PET」)である。シール層は、65ミクロンの厚さを有する白色不透明なポリエチレンフィルムである。接着剤層について、4つの異なる接着剤組成物が評価される。接着剤層は、(Adcote(商標)548-81R/Coreactant-Fを用いた場合)2.7gsmならびに(Mor-Free(商標)899A/C-99、77**/60**接着剤、およびPacAcel(商標)968/C-108を用いた場合)1.8gsm~1.9gsmの厚さを有する。
【0069】
各層の組成を以下の表1に示す。
【表1】
【0070】
PETフィルムは、ラミネーション機を使用してPEフィルムにラミネートされる。溶剤系接着剤CS-1を1つの基材(PETフィルム)に塗布し、加熱チャンバー内で乾燥させる。この基材はその後、乾燥した固体またはわずかに粘着性のある段階になり、他の基材(PEフィルム)と接合される。接着は、高温高圧ニップ中に行われる。温度および圧力は、接着剤を流動させ、それが冷えてゲル化したときに瞬間的な結合を形成するのに十分である。
【0071】
無溶剤接着剤系(CS-2、CS-3、IE-1)では、二液型ポリウレタンラミネート接着剤に混合および計量単位が必要である。混合接着剤は基材(PETフィルム)にコーティングされ、加熱されたニップローラーを介してシール層フィルム(PEフィルム)と接合される。
【0072】
上記の表1に提示された接着剤組成物のそれぞれを使用して、別個のラミネートが作製される。ラミネーション加工パラメータを以下の表2に示す。
【表2】
【0073】
表2の条件下で形成されたラミネートが、可撓性パウチに形成される。ラミネートは、Hemetek熱シーリング機を使用して、150℃、1.0秒の滞留時間、2.5バールの圧力のシール条件で熱シールされる。
【0074】
可撓性パウチは、接着強度(60日間の耐リカー試験の前後)、シール強度、および溶剤残渣について評価される。接着剤層とPET層との間の接着強度は、(1)パウチにアルコール飲料を充填する前、および(2)可撓性パウチにアルコール飲料を充填してから60日後に測定され、以下の表3に記録される。3回の実行の平均を以下の表3に示す。
【表3】
【0075】
図3は、60日間の耐リカー試験後における各ラミネートのブリスタリングの程度を示す写真を提供する。
【0076】
2.可撓性五層ラミネートを備えた可撓性パウチ
以下の構造を有する五層ラミネートを調製する:最外層/接着剤層/シール層/中間層/接着剤層/シール層(最内層)。最外層は、12ミクロンの厚さを有するポリエチレンテレフタレート(「PET」)である。シール層は、75ミクロンの厚さを有するポリエチレンフィルム(ELITE 5401)である。各接着剤層は、1.5~1.6gsm(PET/METPET)および1.3~1.4gsm(METPET/PE)の厚さを有する。五層ラミネート構造は、PET/adh/METPET/adh/PEと略される。接着剤層について、表1の4つの異なる接着剤組成物が評価される。
【0077】
各接着剤層の組成を表1に示す。
【0078】
ラミネーションは、以下の表4の条件を使用して、5つの接着剤組成物で実行される。
【表4】
【0079】
可撓性パウチは、表4の可撓性五層ラミネートで調製される。接着強度、シール強度、および溶剤残渣を評価し、その結果は、以下の表5に示す。
【表5】
【0080】
可撓性パウチは、表4の可撓性五層ラミネートで調製される。アルコール飲料(ウイスキーまたはワイン)を各可撓性パウチの貯蔵コンパートメント内に配置し、パウチを完全にシールする。60日間の耐リカー試験後、各パウチの接着強度および外観を評価し、その結果は、以下の表6に示す。
【表6】
【0081】
60日間の耐リカー試験
内側リカー/外側リカー:
小さなパウチは、リカー(ウイスキーまたはワイン)を充填してからシールすることによって作製した。大きなパウチは、同じリカーを充填し、その中に小さなパウチを挿入し、次いで大きなパウチをシールすることによって作製した。小さなパウチは、内側および外側からリカーと接触する。つまり、これが内側リカー/外側リカー試験である。60日間、ブリスター/パイピング/トンネリング/層間剥離の観点から内側のパウチの外観を観察した。
【0082】
内側リカー/外側水:
小さなパウチは、リカー(ウイスキーまたはワイン)を充填してからシールすることによって作製した。大きなパウチは、水を充填し、その中に小さなパウチを挿入し、次いで大きなパウチをシールすることによって作製した。小さなパウチは、内側からはリカー、外側からは水と接触する。つまり、これが内側リカー/外側水試験である。60日間、ブリスター/パイピング/トンネリング/層間剥離の観点から内側のパウチの外観を観察した。
【0083】
溶剤残渣。Adcote(商標)548-81R/Coreactant-F(CS-1)で調製されたラミネートは、他の接着剤(PacAcel(商標)968/C-108(IE-1)、77**/60**(CS-3)およびMor-Free(商標)899A/C-99)(CS-2)と比較して溶剤残渣値が高い。
【0084】
印刷加工中および溶剤系接着剤(CS-1:Adcote(商標)548-81R/COREACTANT-F)でのラミネーションに使用される溶剤は、無溶剤接着剤CS-2、CS-3およびIE-1で作製されたラミネートと比較したときに、ラミネート中に多量の溶剤残渣を生じる。無溶剤接着剤(CS-2、CS-3およびIE-1)でのラミネーションの場合、ラミネーション中に溶剤は使用されないが、周囲の加工装置(印刷加工など)からごくわずかな量の溶剤が捕捉され得る。IE-1(PacAcel(商標)968/C-108)の溶剤残渣値は、CS-1(Adcote(商標)548-81R/COREACTANT-F)の溶剤残渣値と比較して低い。
【0085】
接着強度。PacAcel(商標)968/C-108(IE-1)で調製されたラミネートの初期接着強度(60日間の耐リカー試験前)は、Adcote(商標)548-81R/Coreactant-F(CS-1)のそれよりも高い。IE-1の場合、60日間の耐リカー試験後の接着強度の保持は優れており、200gm/15mmを超える接着強度を満たす。IE-1は、他のすべての接着剤CS-1、CS-2、CS-3よりも、特に、可撓性パウチにパッケージ化される最も一般的なリカーであるウイスキーのパッケージに関して優れている。特定の理論にとらわれず、IE-1の無溶剤ポリウレタン接着配合物中における低分子量(Mw約2000)、アジピン酸およびNPGの存在は、PacAcel(商標)968/C-108に高度な架橋および低溶剤残渣(0.12mg/m)をもたらし、他の無溶剤接着剤(CS-2およびCS-3)の場合とは異なり、60日間の耐リカー試験(ウイスキー)後における200gm/15mmを超える接着強度を可能にする。
【0086】
外観。PacAcel(商標)968/C-108で調製されたラミネートは、61日目以降も金属デカールおよび層間剥離のいかなる兆候も示さない。
【0087】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部分、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の変更された形態を、次の特許請求の範囲内に該当するものとして含むことが、特に意図されている。

図1
図2
図3
【国際調査報告】