(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(54)【発明の名称】チオスルファート浸出液からの貴金属の回収方法
(51)【国際特許分類】
C22B 11/00 20060101AFI20220729BHJP
C22B 3/04 20060101ALI20220729BHJP
C22B 3/24 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
C22B11/00 101
C22B3/04
C22B3/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571751
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 IB2020000430
(87)【国際公開番号】W WO2020245652
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503215136
【氏名又は名称】バリック・ゴールド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】BARRICK GOLD CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100136777
【氏名又は名称】山田 純子
(72)【発明者】
【氏名】モリス,アレン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】キャロル,タイラー ウォーノック
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA01
4K001AA04
4K001AA09
4K001BA01
4K001BA22
4K001DB01
4K001DB02
4K001DB16
4K001DB21
4K001DB36
(57)【要約】
【課題】本開示は、貴金属含有材料をチオスルファート浸出させ、樹脂抽出剤を用いて貴浸出液から貴金属を回収するプロセスに関するものである。
【解決手段】貴金属は、任意にトリチオナートを含む溶出液を使用して担持された樹脂から溶出される。様々なプロセスの改善には、チオスルファート含有浸出液を実質的にチオールおよびアミンを含まない状態に維持すること、チオスルファート浸出液中の硫化物の濃度を約100ppm以下に維持すること、硫化物、重硫化物および多硫化物と接触しないように貧樹脂をリサイクルすること、が含まれる。および/または、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオンおよび/またはそれらの組み合わせの濃度を、リサイクルされた貧樹脂と接触する前の貴金属含有溶液中のテトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオンおよびそれらの組み合わせの一つ以上の濃度レベルの約50%以内に維持することである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貴金属含有材料をチオスルファート含有浸出液で浸出し、貴金属含有溶液を形成することであって、前記チオスルファート含有浸出液は、チオールおよびアミンを実質的に含有しないこと、
貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂(barren resin)に担持させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧溶液(precious metal barren solution)を形成すること、
貴金属担持樹脂を貴金属溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液と貧樹脂を形成すること、および
貴金属リッチ溶出液から貴金属を回収すること
を含む方法。
【請求項2】
貴金属溶出液はトリチオナートおよび亜硫酸イオンを含み、更に、
チオスルファートを酸化剤と接触させて、チオスルファートの少なくとも一部をトリチオナートに変換することを含み、貴金属溶出液中の亜硫酸イオン濃度は、少なくとも約0.01Mであり、貴金属溶出液のpHは約pH4.5から約pH14までの範囲に維持され、かつ貴金属溶出液中のトリチオナートの濃度は、少なくとも約0.01Mである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
チオスルファート含有浸出液は、アミンおよびチオールを合計で約180ppb以下含み、チオスルファート含有浸出液は、浸出させる工程の後のチオスルファート含有溶液の少なくとも一部を受け入れる再生タンクからの、液体および/または溶存固形分を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
チオスルファート含有浸出液は、以前に浸出された貴金属含有材料を貯蔵する尾鉱貯蔵設備からの、液体および/または溶存固形分を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
貧樹脂は、実質的に硫化物イオンを含まず、前記貧樹脂は、担持させる工程にリサイクルされ、かつ、担持させる工程におけるリサイクルされた貧樹脂は、少なくとも約0.1モル/Lのテトラチオナートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
貴金属含有溶液は、さらに銅を含み、銅は貴金属と共に貴金属担持樹脂に担持され、樹脂に担持された11族(IUPAC)金属の少なくとも約5モル%は銅を含み、樹脂に担持された11族金属の約50モル%以上は金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
貧樹脂は、担持させる工程にリサイクルされ、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、それらの組み合わせの1つ以上の濃度は、リサイクルされた貧樹脂と接触する前の貴金属含有溶媒中の、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、それらの組み合わせの1つ以上の濃度レベルの、約50%以内に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
貧樹脂の選択された量について、24時間以内の担持および溶出のサイクルの数が約1から約5までである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
貴金属担持樹脂と貴金属溶出液の接触において、貴金属担持樹脂は銅溶出がない、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
浸出させる工程において、チオスルファート含有浸出液は、添加された銅を含まず、約10,000ppm以下のチオスルファートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(a)貴金属含有チオスルファート浸出液を貧イオン交換樹脂と接触させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧(precious metal barren)チオスルファート浸出液を形成することであって、貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約100ppm以下であり、
(b)貴金属担持樹脂を貴金属貧溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液と貧樹脂を形成すること、および
(c)貴金属リッチ溶出液から貴金属を回収し、工程(b)への再利用のための貴金属貧溶出液を形成すること
を含む方法。
【請求項12】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約180ppb以下であり、貴金属貧溶出液はトリチオナートを含み、貴金属は金を含み、貴金属貧溶出液はさらに亜硫酸イオンを含み、貴金属貧溶出液中の亜硫酸イオン濃度は少なくとも約0.01Mであり、貴金属貧溶出液のpHは約pH4.5から約pH14までの範囲内に維持され、かつ、貴金属貧溶出液中のトリチオナートの濃度は少なくとも約0.01Mである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約100ppb以下であり、かつ貴金属含有チオ硫酸は、工程(a)で生成した残滓(tails)からリサイクルされた液体または固体を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
残滓からの石膏の沈殿がない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約50ppb以下であり、貧樹脂は、硫化物、二硫化物および多硫化物との接触がなく、工程(a)へリサイクルされる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のチオ硫化物の濃度は、約10,000ppm以下であり、貴金属は金を含み、貴金属含有チオスルファート浸出液は貴金属含有原材料のチオスルファートの浸出に由来し、貴金属含有原材料はプレグ-ローブ(preg-robbing)炭素質材料を少なくとも約0.5重量%含み、かつ貴金属含有原材料は金を少なくとも約0.01オンス/トン含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミン及びチオールの1つ以上の濃度は、約10ppb以下であり、かつ貴金属含有チオスルファート浸出液は実質的に添加銅を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
(a)貴金属含有チオスルファート浸出液を貧イオン交換樹脂と接触させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧チオスルファート浸出液を形成し、貴金属含有チオスルファート浸出液中の硫化物の濃度が、約100ppm以下であること、
(b)貴金属担持樹脂を貴金属貧溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液と貧樹脂を形成すること、および
(c)貴金属リッチ溶出液から貴金属を回収して、工程(b)への再利用のための貴金属貧溶出液を形成すること
を含む方法。
【請求項19】
貧樹脂は、硫化物、二硫化物、および多硫化物との接触がない状態で、工程(a)にリサイクルされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のチオ硫化物の濃度が約10,000ppm以下であり、貴金属含有チオスルファート浸出液は、実質的に添加された銅を含まず、貴金属は金を含み、貴金属含有チオスルファート浸出液は、貴金属含有原材料のチオスルファート浸出に由来し、貴金属含有原材料は少なくとも約0.5重量%のプレグ-ローブ炭素質材料を含み、かつ、貴金属含有原材料は約0.35オンス/トン以下の金を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
工程(b)における貴金属担持樹脂は、樹脂表面に集められた銅の先行溶出がない、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
工程(b)における貴金属担持樹脂は、樹脂表面に集められた銅の先行溶出がない、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
貴金属含有材料をチオスルファート含有浸出液で浸出し、貴金属含有溶液を形成することと、
貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂に担持させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧溶液を形成することであって、貴金属含有溶液がさらに銅を含み、銅が貴金属とともに貴金属担持樹脂に担持されることと、
貴金属担持樹脂を貴金属溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液および貧樹脂を形成することであって、接触させる工程の直前に貴金属担持樹脂に担持された11族(IUPAC)金属の少なくとも約5モル%は銅を含み、樹脂に担持された11族金属の約50モル%以上は金を含み、および
貴金属溶出液から貴金属を回収すること
を含む方法。
【請求項24】
貧樹脂が、担持させる工程にリサイクルされ、貧樹脂は硫化物、二硫化物および多硫化物と接触することなくリサイクルされる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
貴金属含有材料をチオスルファート含有浸出液で浸出し、貴金属含有溶液を形成すること、
貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂に担持させて、貴金属担持樹脂と貴金属貧溶液を形成すること、
貴金属担持樹脂を貴金属溶出液と接触させ、貴金属リッチ溶出液および貧樹脂を形成すること、および
貴金属溶出液から貴金属を回収し、貧樹脂は、担持させる工程にリサイクルされ、リサイクルされた貧樹脂と接触後の貴金属含有溶媒中の、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、およびそれらの組み合わせの1つ以上の濃度は、リサイクルされた貧樹脂と接触前の貴金属含有溶媒中の、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、それらの組み合わせの1つ以上の濃度レベルの、約50%以内に維持されること、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して湿式製錬法による金属の回収に関連し、特にイオン交換吸着および溶出工程を用いるプロセスによる金属の回収に関する。
【背景技術】
【0002】
金は、通常、従来のシアン浸出法を用いて鉱石から回収される。このプロセスでは、金はシアン化物および酸素と以下の反応により反応する。
4Au+O2+8CN-+2H2O→4Au(CN)2
-+4OH- (1)
【0003】
金は通常、その後に吸着剤として活性炭を使用して、溶液から回収される。また、イオン交換樹脂がシアン化金錯体の吸着に使用され得、その後、酸性のチオ尿素混合液で溶出させうる。チオスルファート浸出法(Thiosulfate leaching)は、将来的に環境にやさしく、シアン化法の代替方法であり、このプロセスでは、金がチオ硫酸金錯体(gold thiosulfate complex)として浸出される。しかし、この錯体は活性炭に容易に吸着されないため、陰イオン交換樹脂が好まれる場合がある。銅や水銀などの他の金属も、金と同時に樹脂に吸着する。
【0004】
チオスルファート浸出プロセスは、さまざまな種類の鉱石に対して技術的に実行可能であることが、実証されている。例えば、Berezowskyらの米国特許第4,070,182号は、チオ硫酸アンモニウムを使用して銅含有硫化物から金を浸出するプロセスを開示している。Kerley Jr.の米国特許第4,269,622号および第4,369,061号は、マンガンを含む鉱石から金および銀を浸出するために、銅を含むチオ硫酸アンモニウム浸出液を使用することを開示している。Perezらの米国特許第4,654,078号は、銅-チオ硫酸アンモニウム溶媒で金と銀を浸出し、貴(pregnant)浸出液を生成し、そこから銅のセメンテーションによって金と銀を回収することを開示している。これらのプロセスでは、チオ硫酸アンモニウムが好ましい浸出剤(lixiviant)であり、その結果、アンモニア/アンモニウムイオンを含む尾鉱(a tailings product)が生成される。これは、環境保護の観点から懸念されている。したがって、チオ硫酸ナトリウムやチオ硫酸カルシウムなどを含む、非アンモニア系のチオ硫酸源を取り入れた浸出プロセスが好まれる。
【0005】
浸出後、金はスラリーまたは溶液から樹脂に担持され得、その後、金は溶出または脱着により樹脂から回収される。金は、チオシアネート系、ポリチオネート系、硝酸塩系などの溶出液(eluants)を使用して樹脂から溶出され得る。しかし、溶出処理には比較的高濃度の溶液が必要である。例えば、PCT出願番号WO01/23626に開示されているように、硝酸塩溶出工程では、2M硝酸アンモニウムを用いることが好ましい。これは比較的高濃度の硝酸塩であり、溶出工程のための実証可能なコストへの影響と、使用済み硝酸アンモニウム溶液の処分における環境への影響を生じさせる。
【0006】
チオシアン酸塩溶液は、樹脂から金(シアン化物またはチオ硫酸塩錯体)を速やかに溶出させることが知られている。しかし、樹脂はレジン・イン・パルプ回路(resin-in-pulp circuit)に戻す前に再生されなければならず、さもなければ、チオシアン酸塩はプロセス水中に蓄積し、最終的に環境問題や金の担持量の減少につながる。また、チオシアン酸塩の損失は経済的に受け入れがたい。硫酸第二鉄でチオシアン酸を除去した後、水酸化ナトリウムを加えてチオシアン酸を再生するため、チオシアン酸系の再生は複雑である。溶出と再生の工程におけるpHの急激な変化は、樹脂に浸透圧ショックを生じさせ、それによって樹脂の破断による損失が生じる。また、遠方の工場において、多くの化学試薬が必要となる。したがって、プラントの運転効率を考慮すると、プラント運転に使用するさまざまな化学薬品の在庫を減らすことが望ましい。目的は、より少ない試薬、より少ない量を使用することである。
【0007】
ポリチオネート系溶出液系は、トリチオナート(trithionate)とテトラチオナート(tetrathionate)の混合物を使用する。これらの種類は樹脂に強く吸着するため、金を効率よく溶出させることができる。ポリチオネートは樹脂との高い親和性が高いため、再生工程が必要である。再生は、樹脂を硫化物、二硫化物、または多硫化物のイオンで処理し、ポリチオネートをチオスルファートに変換することによって行われる。ポリチオネートの溶出で問題となるのは、テトラチオン酸溶液の安定性である。チオスルファートの存在下で、テトラチオナートは分解反応を起こし、トリチオナートと単体硫黄を生成し、銀や銅の存在下では分解して銅や銀の硫化物を析出させる。特に高濃度で存在する場合、トリチオナートが分解して硫酸塩を生成する。このような分解反応は、プロセスのコストを増加させる損失をもたらす。
【0008】
米国特許出願2011/0011216では、様々な溶出液に亜硫酸イオンを添加することで、より低濃度の試薬で溶出を行えることが示されている。トリチオナート/亜硫酸塩の混合系は、樹脂からの金の溶出において特に効果的であることが示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(概要)
本開示は、イオン交換樹脂から金属を回収するための様々なプロセスを提供する。
【0010】
本開示の一実施形態では、プロセスは、以下の工程を含む。
(a)貴金属含有材料をチオスルファート含有浸出液で浸出して、貴金属含有溶液を形成することであって、チオスルファート含有浸出液はチオール及びアミンを実質的に含まない。
(b)貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂(barren resin)に担持させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧溶液(precious metal barren solution)を形成すること。
(c)貴金属担持樹脂を貴金属担持溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液と貧樹脂を形成すること、および
(d)貴金属溶出液から貴金属を回収すること。
【0011】
一実施形態において、プロセスは、以下の工程を含む。
(a)貴金属含有チオスルファート浸出液を貧イオン交換樹脂と接触させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧チオスルファート浸出液を形成し、貴金属含有チオスルファート浸出液中の硫化物の濃度は、約100ppm以下であること、
(b)貴金属担持樹脂を貴金属貧溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液および貧樹脂を形成すること、および
(c)貴金属リッチ溶出液から貴金属を回収して、工程(b)への再利用のための貴金属貧溶出液を形成すること。
【0012】
一実施形態において、プロセスは以下の工程を含む。
(a)チオスルファート含有浸出液で貴金属含有材料を浸出し、貴金属含有溶液を形成すること、
(b)貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂に担持させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧溶液を形成することであって、貴金属含有溶液がさらに銅を含み、銅が貴金属とともに貴金属担持樹脂に担持されること、
(c)貴金属担持樹脂を貴金属溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液および貧樹脂を形成し、接触工程の直前に、貴金属担持樹脂に担持された11族(IUPAC)金属の少なくとも約5モル%は銅を含み、樹脂に担持された11族金属の約50モル%以上は金を含むこと、および
(d)貴金属溶出液から貴金属を回収すること。
【0013】
一実施形態において、プロセスは、以下の工程を含む。
(a)貴金属含有材料をチオスルファート含有浸出液で浸出し、貴金属含有溶液を形成することであって、チオスルファート含有浸出液がチオール及びアミンを実質的に含まないこと、
(b)貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂に担持させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧溶液を形成すること、
(c)貴金属担持樹脂を貴金属溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液と貧樹脂を形成すること、および
(d)貴金属溶出液から貴金属を回収する工程であって、貧樹脂が、担持工程にリサイクルされ、リサイクルされた貧樹脂との接触後の貴金属含有浸出液中のテトラチオナート、トリチオナート、および/または硫黄-酸素アニオンのうちの1つ以上の濃度が、リサイクルされた貧樹脂との接触前の貴金属含有溶液中のテトラチオナート、トリチオナート、および/または硫黄-酸素アニオンのうちの1つ以上の濃度レベルの約50%以内に維持されていること。
【0014】
貴金属含有原材料は、少なくとも約0.5重量%のプレグ-ローブ炭素質材料を含み、約0.35オンス/トン以下の金を含むことができる。
【0015】
貴金属貧溶出液は、トリチオナートを含むことができる。
【0016】
樹脂からの金の溶出は、樹脂表面からの銅の先行溶出がないことが可能である。
【0017】
貴金属貧溶出液は、少なくとも約0.01Mの濃度で存在し得る亜硫酸イオンを含み得る。貴金属貧溶出液のpHは、約pH4.5から約pH14までの範囲内に維持され得る。貴金属-貧溶媒中のトリチオナート濃度は、少なくとも約0.01Mとすることができる。
【0018】
貴金属含有チオスルファートは、工程(a)で生成された残滓(tails)からリサイクルされた液体または固体を含まないか、実質的に含まないことができる。
【0019】
本方法は、残滓(tails)からの石膏の沈殿を含まないものとすることができる。
【0020】
貧樹脂は、硫化物、二硫化物、および多硫化物(または硫化物アニオン)と接触することなく担持工程にリサイクルされ、少なくとも約0.1モル/Lのテトラチオナートを含むことができる。
【0021】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のチオ硫化物の濃度は、約10,000ppm以下とすることができる。貴金属含有チオスルファート浸出液は、実質的に銅を添加しないものとすることができる。
【0022】
貧樹脂の選択された量について、24時間内の担持および溶出のサイクルの数は、約1~約5であり得る。
【0023】
本プロセスは浸出に関して記載されているが、他の湿式冶金プロセスに続く金属回収のためのイオン交換にも適用することができる。
【0024】
本開示は、特定の構成に依存する多くの利点を提供し得る。本プロセスは、特に金(及び他の貴金属)の溶出に適用可能である。それは、樹脂・イン・パルプ・プロセス又は他のイオン交換ユニット操作、及び/又は、チオスルファート以外のまたはチオスルファートに加えて浸出剤(lixiviant)を含む、そのような金属の抽出のための任意の浸出又は他の湿式冶金プロセスへの補助として適用され得る。このプロセスは、特に有利には、チオスルファート浸出プロセスの後の浸出金属回収に適用され得る。イオン交換による金属回収プロセスは、高い溶出効率を得ることができるが、廃棄が問題になったりプロセスへリサイクルされたりする望ましくない化学種を含む、廃棄の溶液や樹脂が発生することはない。これら及び他の利点は、本明細書に含まれる態様、実施形態、及び構成の開示から明らかになるであろう。
【0025】
「少なくとも1つ」、「1つ以上」、及び「及び/又は」という語句は、動作において接続的及び分離的である開放的な表現である。例えば、表現「A、B、及びCの少なくとも1つ」、「A、B、又はCの少なくとも1つ」、「A、B、及びCの1つ以上」、「A、B、又はCの1つ以上」、「A、B、及び/又はC」のそれぞれは、A単独、B単独、C単独、A及びBの両方、A及びCの両方、B及びCの両方、又はA、B及びCの全てを意味する。上記表現におけるA、B、およびCの各1つが、X、Y、およびZなどの要素、またはX1~Xn、Y1~Ym、およびZ1~Zoなどの要素のクラスを指す場合、この表現は、X、Y、およびZから選ばれる単一の要素、同じクラスから選ばれる要素の組み合わせ(例えば、X1およびX2)、ならびに2以上のクラスから選ばれる要素の組み合わせ(例えば、Y1およびZo)を指すことを意図している。
【0026】
用語「a」または「an」自体は、それ自体の1つ以上を指す。そのため、用語「a」(または「an」)、「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、本明細書において交換可能に使用することができる。また、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」は、互換的に使用することができることに留意されたい。
【0027】
「吸着」とは、原子、イオン、生体分子、または気体、液体、または溶解した固体の分子が表面に付着することである。結合の正確な性質は関与する種の詳細に依存するが、吸着プロセスは一般に物理吸着(弱いファンデルワールス力の特徴)または化学吸着(共有結合の特徴)に分類される。また、静電気的な引力によって起こる場合もある。
【0028】
「イオン交換樹脂」とは、2つの電解質間、または電解質溶液と錯体間でイオン交換を行うことができる樹脂をいう。
【0029】
「過酸化物」とは、酸素-酸素単結合または過酸化物アニオン[O-O]2-を含む化合物を指す。O-O基は、ペルオキシド基またはペルオキソ基と呼ばれる。
【0030】
「吸蔵」とは、液体または気体のいずれかを吸着して取り込むことを意味する。
【0031】
「脱着」とは、吸着の逆である。
【0032】
本明細書で使用される「手段(means)」という用語は、35 U.S.C.112(f)条および/または112条6項に従って、可能な限り広範に解釈されるものとする。したがって、「手段(means)」という用語を組み込んだ請求項は、本明細書に記載された全ての構造、材料、または行為、およびそれらの全ての等価物を対象とするものとする。さらに、構造、材料、または行為、およびその等価物は、開示の概要、図面の簡単な説明、詳細な説明、要約、および請求項自体に記載されているものを全て含むものとする。特に断らない限り、全ての成分または組成物のレベルは、その成分または組成物の活性部分を基準とし、そのような成分または組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒または副産物を除いたものである。全てのパーセンテージと比率は、特に断りのない限り、組成物の全重量で計算される。
【0033】
本開示を通じて与えられる全ての最大数値制限は、あたかもそのような低い数値制限が本明細書に明示的に書かれているかのように、代替案としての全ての低い数値制限を含むとみなされることが理解されるべきである。本開示を通じて与えられる全ての最小数値制限は、そのようなより高い数値制限が本明細書に明示的に書かれているかのように、代替案としての全てのより高い数値制限を含むと見なされる。本開示全体を通して与えられるあらゆる数値範囲は、あたかもそのような狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に書かれているかのように、そのような広い数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を含むとみなされる。例として、約2から約4までのフレーズは、約2から約3までの整数及び/又は整数の範囲、約3から約4までの整数及び実数(例えば、無理数及び/又は有理数)に基づく各可能な範囲、例えば、約2.1~約4.9、約2.1~約3.4、などのような、約2から約4までの範囲を含む。
【0034】
前述は、本開示のいくつかの態様の理解を提供するために、本開示の簡略化された概要である。この概要は、本開示及びその様々な態様、実施形態、及び構成の広範な概観でも網羅的な概観でもない。本開示の重要なまたは重要な要素を特定することでも、本開示の範囲を画定することでもなく、以下に提示されるより詳細な説明の導入として、本開示の選択された概念を簡略化した形で提示することが意図されている。理解されるように、本開示の他の態様、実施形態、及び構成は、単独で又は組み合わせて、上記に規定された又は以下に詳細に説明される特徴のうちの1つ又は複数を利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
添付の図面は、本開示のいくつかの実施例を説明するために、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。これらの図面は、説明と一緒に、本開示の原理を説明する。図面は、本開示がどのように作られ、使用され得るかの好ましい例及び代替例を単に例示するものであり、本開示を例示及び説明された例のみに限定するものと解釈されるものではない。さらなる特徴および利点は、以下に参照する図面に示されるように、以下の、より詳細な、本開示の様々な態様、実施形態、および構成の説明から明らかになるであろう。
【0036】
【
図1】
図1は、チオスルファート樹脂・イン・パルプ・プロセスの模式図である。
【
図2】
図2は、1Bアルカリ性固体を用いた実験について、日付(横軸)に対する固体グレード(opt)(縦軸)をプロットしたものである。
【
図3】
図3は、1B酸性固体を用いた実験について、日付(横軸)に対する固体グレード(opt)(縦軸)をプロットしたものである。
【
図4】
図4は、0A酸性固体を用いた実験について、日付(横軸)に対する固体グレード(opt)(縦軸)をプロットしたものである。
【
図5】
図5は、バッチ残滓(batch tails)、プラント残滓(plant tails)、およびラボ残滓(lab tails)に対する残滓グレード(tails grade)(opt)(縦軸)の棒グラフあり、バッチ、プラントおよびラボの残滓を比較している(横軸)。
【
図6】1B樹脂を用いた実験について、日付(横軸)に対する樹脂上のトリ/テトラチオナート(%)(縦軸)である。
【
図7】0A樹脂を用いた実験について、日付(横軸)に対する樹脂上のトリ/テトラチオナート(%)(縦軸)である。
【
図8】0A樹脂を用いた実験について、日付(横軸)に対する樹脂上のトリ/テトラチオナート(%)(縦軸)である。
【
図9】
図9は、過酸化水素を添加した場合と添加しない場合の、0.5Mチオ硫酸ナトリウムによる陰イオン交換樹脂からの銅の予備溶出を実証した、銅の予備溶出曲線である。
【
図10】
図10は、過酸化水素を添加した場合と添加しない場合に、0.5Mチオ硫酸ナトリウムによる銅の予備溶出後、0.2M亜硫酸ナトリウムと混合した0.2Mトリチオナートによる陰イオン交換樹脂からの金の溶出を実証した。溶出曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(詳細な説明)
本開示は、貴金属含有材料のチオスルファート浸出に関するものである。該材料は、任意の、難処理性(refractory)または超難処理性(double refractory)のプレグ-ローブ貴金属含有材料であり得る。貴金属含有材料は、鉱石、精鉱、尾鉱、リサイクル工業物質、捨土(spoil)、または廃棄物、およびそれらの混合物を含む。本開示のプロセスは、難処理性(refractory)炭素質材料から貴金属、特に金を回収するために特に有効である。難処理性(refractory)または超難処理性(double refractory)のアルカリ性または酸性(例えば、硫化物を含む(sulfidic))の貴金属(例えば、金および/または銀)含有材料は、典型的には、オートクレーブのような圧力酸化にかけられ、貴金属含有残留物を含む、酸化処理スラリーを形成する。チオスルファートはまた、そのような前処理された難処理性(refractory)プレグ-ローブ炭素質鉱石および硫化鉱から貴金属を回収するのに有効であることが示されている。本明細書で使用される場合、「プレグ-ローブ」は、浸出剤(lixiviant)による溶解後に貴金属と相互作用(例えば、吸着または結合)し、それによって貴金属の抽出を妨げる、任意の材料であり、「炭素質材料」は、フミン酸、黒鉛、瀝青およびアスファルト化合物などの炭素含有化合物の1つ以上を含む、任意の材料である。貴金属は、非貴金属、例えば卑金属、例えば銅、ニッケル、及びコバルトと関連付けることができる。
【0038】
ある用途では、原料(feed)は、総炭素質材料を、少なくとも約0.5wt.%、より典型的には少なくとも約1wt.%、より典型的には少なくとも約1.5wt.%を含むが、典型的には約7.5wt.%以下、より典型的には約5wt.%以下含む。
【0039】
ある用途では、原料(feed)の金含有量は、少なくとも約0.01オンス/トンの金であり、より典型的には少なくとも約0.05オンス/トンである。
【0040】
本開示の好ましい実施形態では、原料(feed)中の金及び他の貴金属及び金属は、
図1に模式的に示すように、チオスルファート浸出工程100に続いて、樹脂・イン・パルプ(RIP)又は樹脂・イン・リーチ(RIL)工程を介して浸出工程から、貴(pregnant)浸出液、または貴金属含有溶液中に存在するチオ硫酸金錯体を回収するイオン交換によって、金属回収プラントで溶液中に回収される。浸出100は、通常、ヒープ(heap)浸出またはタンク浸出の技術によって行われる。残滓(tails)112は、残滓タンク116に送られ、次いで任意に残滓濃縮機120に送られ、次いで残滓貯蔵設備124に送られる。
【0041】
1つの浸出回路構成において、浸出工程100における金含有溶液は、浸出剤としてのチオスルファートを含む。溶液中のチオスルファートの濃度は、一般的に約0.005から約5M、より一般的には約0.01から約2.5M、さらに一般的には約0.02から約2Mの範囲である。いくつかの用途において、比較的低いチオスルファート濃度レベルを、金の回収を損なうことなく、浸出剤(lixiviant)において適用できることが見いだされた。浸出剤中のチオスルファート濃度は、一般に約10,000ppm以下、より一般に約8,500ppm以下、より一般に約7,500ppm以下、より一般的には約5,000ppm未満、より一般に約3,500ppm以下、さらにより一般に約2,500ppm以下である。
【0042】
分かるように、チオスルファートベースの金浸出システムにおいて、銅は触媒的に金を酸化させると考えられている。多くの用途において、浸出工程100における金含有溶液は、約0.1から約100ppmまでの範囲、より一般的には約0.1から約50ppmまでの範囲、より一般的には約0.1から約25ppmまでの範囲、さらに一般的には約0.1から約15ppmまで、およびより一般的には約0.1から約5ppmまでの範囲の、浸出銅溶液濃度に保持される。いくつかの用途において、銅は、浸出工程100において添加される必要がなく、したがって浸出工程100は、実質的にまたは完全に、添加銅を含めなくてよいことを見いだした。原料(feed)中に存在する銅は、典型的には、ポリチオネートへのチオスルファートの変換を許容するレベルに維持しながら、高い金回収を可能とする十分高いレベルにある。多くの用途において、浸出工程100における、金含有溶液または浸出剤(lixiviant)は、浸出銅溶液濃度を、一般的に約100ppm以下、より一般的には約75ppm以下、より一般的には約50ppm以下、及びより一般的には約25ppm以下、及び一般的に少なくとも約0.1ppm、及びより一般的には少なくとも約5ppmに維持し、金濃度が、一般的に約0.010オンス/トン(「opt」)以下、より一般的には約0.0075opt以下、より一般的には約0.0050opt以下、より一般的には約0.0025opt以下、およびより一般的には約0.001opt以下である。
【0043】
イオン交換工程(典型的には浸出工程100で行われる)では、強塩基性陰イオン交換樹脂104を用いて、金含有溶液からチオ硫酸金錯体を吸着して、金担持樹脂108を形成する。金に対して親和性を有し、イオン交換工程に有用な市販の強塩基性イオン交換樹脂は多数存在する。ほとんどの強塩基性樹脂の官能基は4級アンモニウム、R4N+である。このような樹脂は、硫酸塩または塩化物の形態で、ペンシルバニア州バラ・シンウィドのピューロライト・カンパニーによって供給されるピューロライトA500(商標)樹脂であり、これは本開示の好ましい実施形態において採用される。しかしながら、任意の他の陰イオン交換樹脂が使用されてもよい。強塩基樹脂の典型的な容量は約1から約1.3eq/Lまでであり、プロセスのいくつかの態様を示す目的で、以下の議論は、約1.2eq/Lの容量を有する樹脂に基づいている。樹脂の典型的な濃度は、約5から約250ml/Lまで、より典型的には約10から約150ml/Lまで、およびより典型的には約15から約100ml/Lまで、およびさらに典型的には約15から約75ml/Lまでの範囲である。わかるように、このような樹脂は、貴(pregnant)浸出液から金だけでなく銅も担持することができる。典型的には、担持樹脂に担持される元素周期表のIB族(CAS)(または11族(IUPAC))金属の、少なくとも約2.5モル%、より典型的には少なくとも約5モル%、より典型的には少なくとも約10モル%、さらに約15から約45モル%までが銅で、残りは主に金であるが、少量は銀でも構わない。
【0044】
チオスルファート錯体の樹脂104への担持または吸着に続いて、金が、担持樹脂108から溶出、すなわち脱着により回収される。
図1に、簡略化した溶出フローシートが示されている。このフローシートでは、洗浄または排水の段階は、溶出システムの性質を実質的に変えないので、簡略化のために省略されている。
【0045】
任意選択の第1段階は、銅の予備溶出(
図1の工程128)であり、これは、貴金属溶出のために樹脂140(
図1)を前処理するために、チオスルファートと任意選択でトリチオナートとを含む、銅溶出液133を用いて実施される。この段階の主な目的は、溶出前に樹脂から銅を剥離し、したがって金製品に伝わる(reports)銅の量を減少させることにある。驚くべきことにそして予想外に、銅の予備溶出は多くの用途で任意選択であり、許容レベルの金回収を得るためには必要ではない。それは、他のプロセス構成では、回収された金製品に銅が存在することによってもたらされる厄介な問題(complications)を避けるため、実行されることがある。
【0046】
銅溶出を行う場合、銅溶出液中のチオスルファートは、アルカリ金属チオ硫酸塩(例えば、チオ硫酸ナトリウム又はカリウム)、アルカリ土類金属チオ硫酸塩(例えば、チオ硫酸カルシウム)、又はチオ硫酸アンモニウム等の、任意のチオ硫酸源(source of thiosulfate)とすることができる。後者は、浸出回路がチオ硫酸アンモニウムも利用するのでなければ、好ましくない。予備溶出銅溶出液および生成物15中のチオスルファート濃度は、典型的には約30から約200g/Lまでの範囲であり、銅リッチ溶出液中の脱離銅濃度は、約100から約1,500ppmまでの範囲である。
【0047】
存在する場合、銅溶出液133中のトリチオナートの濃度は、典型的には約0.01から約0.1Mまでの範囲である。トリチオナートは、酸化剤、通常は過酸化物を銅溶出液133に接触させて、下記式(2)によりチオスルファートをトリチオナートに変換して生成することができる。銅予備溶出生成物136は、浸出のためのチオスルファート原料(feed)として使用することができ、したがって、再利用することができる。1つのプロセス構成では、貧電解液300を樹脂140と接触させて、チオスルファートを溶出させ、これを浸出工程100にリサイクルすることができる。
【0048】
前述のように、あるプロセス構成では、銅の予備溶出は行われない。金リッチ樹脂の表面に集められた銅は、金溶出の前の銅溶出工程128で除去する必要がないことが見出されている。言い換えれば、銅は、銅溶出工程128に続くレベルを超えて、金リッチ樹脂表面に存在することができる。そのような用途では、担持樹脂に担持された、元素周期表のIB族(CAS)(または11族(IUPAC))金属の、典型的には、少なくとも約2.5モル%、より典型的には少なくとも約5モル%、より典型的には少なくとも約10モル%、さらには約15から約45モル%までが、銅であり、残り(典型的には約50モル%以上、より典型的には少なくとも約60モル%)は金だが、少量(例えば、典型的には約25モル%未満)は銀であってもよい。
【0049】
次に、貴金属溶出は、溶出液148としてトリチオナートと亜硫酸イオンの混合物を用いて樹脂144から行われる。一般に、貴金属溶出剤148中のトリチオナートの濃度は、少なくとも約0.01Mであり、より一般的には少なくとも約0.05Mであり、より一般的には約0.1から約5Mまでの範囲であり、さらに一般的には約0.2から約2Mまでの範囲である。貴金属溶出液148中の亜硫酸イオンの濃度は、一般に少なくとも約0.01Mであり、より一般には少なくとも約0.1Mであり、さらに一般には約0.1から約2Mまでの範囲である。金リッチ溶出液152中の溶存金の濃度は、一般に約100から約500ppmまでの範囲にある。貴金属溶出液148のpHは、典型的には、約pH4.5から約pH14までの範囲内に維持される。
【0050】
この溶出混合物は、反応2のように、トリチオナート反応器中の過酸化物とチオ硫酸ナトリウムを混合することで生成される。
2Na2S2O3+4H2O2→Na2S3O6+Na2SO4+4H2O (2)
【0051】
この反応では熱も発生するため、本フローシートの好ましい実施形態では、熱を除去するために、冷却型またはチルド型の反応器を利用する。反応温度は、好ましくは約10℃から約60℃の範囲である。より高い反応温度では、トリチオナートのいくらかの損失が顕著になる。過酸化物の添加は、使用済み再生液156に含まれるチオスルファートと反応させるために、化学量論量の約75%と約110%の間であることが好ましい(反応2)。
【0052】
トリチオナートを追加生成する1つの方法として、トリチオナート合成段階で追加のチオスルファートを添加する方法がある。チオ硫酸アンモニウムベースの浸出システムを稼働させる場合、チオ硫酸アンモニウムをトリチオナート合成に追加することが理想的である。しかし、プロセスでの硫酸アンモニウムの発生が望まれない場合、別のアプローチが必要である。チオ硫酸ナトリウムを使用することもできるが、高価な試薬である。代わりに、チオ硫酸ナトリウムは、カルシウムの沈殿によって安価なチオ硫酸カルシウムの原材料から生成することができる。カルシウムの沈殿は、硫酸ナトリウムおよび/または炭酸ナトリウムのいずれかの原材料を用いて実施することができる。
【0053】
溶出後、樹脂104はほぼ完全にトリチオナートで担持されている。先行技術に基づけば、当業者は、トリチオナートが吸着回路における平衡金担持を減少させると理解するであろうし、したがって、再生を行わない(したがって、トリチオナートで完全に担持された)樹脂の再利用は問題であるだろう。驚くべきことにそして予想外に、金の回収率を損なうことなく樹脂の再生を省略でき、よって、トリチオナートを担持した樹脂を浸出工程100に戻すことができることが見出された。浸出工程および金溶出工程における化学平衡は、樹脂が、浸出工程100においてトリチオナートよりも優先して金を担持し、かつ、金溶出工程において金よりも優先してトリチオナートを担持する(金を取り出す)ことを可能にする。浸出工程と金溶出工程は一般的に類似のpHレベルを有するが、平衡は、トリチオナートの濃度によって決まる、と理解される。より高いトリチオナートレベルでは、金溶出工程において(例えば、少なくとも約25,000ppm、および、より一般的には少なくとも約50,000ppmのトリチオナート)、樹脂は、溶存金よりも優先してトリチオナートを担持し、より低いトリチオナートレベルでは、浸出工程100において、(約5,000ppm以下、より一般的には約2,500ppm以下、より一般的には約1,000ppm以下、およびより一般的には約500ppm以下のトリチオナート)、樹脂はトリチオナートよりも優先して溶存金を担持する。
【0054】
貧樹脂に担持されるトリチオナートの量は、用途によって異なることがある。樹脂容量が1.2eq/Lの場合、トリチオナートの最大担持量(それは2チャージである)は、樹脂1Lあたり0.6モルである。樹脂は通常、溶出後に、トリチオナートで飽和状態近くになる。これは、最適な金溶出を確保するために一般的に必要とされる条件であり、つまり、樹脂1Lあたり0.6モルのトリチオナートの担持がそのような用途では必要とされる。ほとんどの用途において、溶出後の貧樹脂は、典型的には少なくとも約0.1モル/Lのトリチオナート、より典型的には少なくとも約0.25モル/Lのトリチオナート、さらに典型的には約0.3から約0.6モル/Lまでのトリチオナートを含む。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、浸出工程100における金回収は、浸出工程100に再循環される樹脂ビーズ104によって運ばれる、硫化物イオンによって減少すると考えられている。再循環された硫化物イオンは、溶出した金を浸出工程100の間に硫化金として沈殿させ、それによって樹脂表面への担持を妨げる可能性がある。この有害な結果を回避するために、浸出工程100における再循環樹脂104及びチオ硫酸の浸出剤(lixiviant)は、一般に約100ppm以下、より一般には約75ppm以下、より一般には約50ppm以下、より一般には約25ppm以下、より一般には約10ppm以下、より一般的には約5ppm以下、より一般的には約1ppm以下、より一般的には約25ppb以下、より一般的には約10ppb以下、より一般的には約5ppb以下、より一般的には約1ppb以下、さらに一般的には硫化イオンを含まないものである。
【0055】
さらに、完了した溶出および再生サイクルの数は、しばしば金回収に反比例する関係にあり、金回収は原料(feed)の金含有量に反比例することを見出した。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、これらの結果は、金溶出工程から浸出工程100への樹脂ビーズ再利用の頻度をできる限り減らす必要性に起因する。これは、最適な金回収を維持するには、浸出工程100における熱力学的の状態または環境を一定に保つことが必要であると考えられているためである。樹脂ビーズを浸出工程100にリサイクルすると、熱力学的状態を乱すか、変化し得、それによって、金溶出工程で生成されるかまたはさもなければ再循環した、強塩基樹脂によって吸収される有害な化学種(テトラチオン酸、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、および金属(例えば、鉛、銅および亜鉛)、チオ硫酸塩錯体など)の浸出工程での存在によって、金の回収率が減少する。これらの種は、樹脂上の吸収部位をめぐって金と競合する可能性がある。24時間以内の溶出サイクル数は、通常、約1~5回の範囲であり、溶出サイクル数は少ない方が好ましい。これにより、有害化学種のレベルを、それらが樹脂上の吸収部位について金と強く競合しない程度に低いレベルに維持することができる。別の言い方をすれば、浸出工程100における有害化学種の各々の濃度レベルは、典型的には、リサイクル樹脂が浸出溶液と接触する前に存在する濃度レベルの、約50%以内、より典型的には約25%以内、より典型的には約20%以内、より典型的には約15%以内、より典型的には約10%以内、さらにより典型的には約5%以内に維持される。浸出工程において実質的に一定の熱力学的状態を維持することにより、金の回収率を損なうことなく、浸出工程における原料(feed)の滞留時間をより短くするプロセスを可能にできる。典型的には、浸出工程での原料の滞留時間は、約15時間以下であり、より典型的には約10時間以下である。
【0056】
金は、電解採取168、銅や亜鉛などの金属によるセメンテーション、および硫化物含有溶液による沈殿など、多くの技術によって、トリチオナート生成溶液152から回収され得るが、これらに限定されない。これらの技術の各々は、金を非常に低い濃度(金の99%超の除去)まで首尾よく回収することが実証されている。好ましい実施形態では、標準的な金電解採取セル168が採用され、統合された溶出/電解フローシートが
図3に示されている。貧電解液(barren electrowinning solution)300は、トリチオナート合成工程164に戻し、及び/又は、任意の銅予備溶出を行った後にリサイクルすることができる。希釈電解液300をトリチオナートの合成に加えることにより、金溶出中に樹脂から剥離されたチオスルファートの一部が追加的にリサイクルされる。あるいは、予備溶出後の工程として貧電解液300を加える場合、この流れに存在する亜硫酸塩は、樹脂上の任意の吸着したテトラチオネートと反応し、これは最適な金溶出性能を確保するための有効なコンディショニング工程(conditioning step)となる。同様の利点は、銅の予備溶出の前に、または貧電解液と銅の予備溶出液との混合によって、貧電解液をリサイクルする場合にも得られる。これらのオプションでは、トリチオナートが溶出システムにリサイクルされ、水のバランスを維持するために、銅の予備溶出液の増量があり、それは、主に銅、硫酸塩、およびチオスルファートを含んでいるが、その理由は、後述の通り、トリチオナートと金が分解する前にこの生成物が取られる(is taken)ためである。
【0057】
同様の原理は、沈殿のセメンテーションを用いた金の回収にも適用され、これにより、貧溶液はトリチオナートを回収するために溶出系にリサイクルされる。
【0058】
図1から分かるように、尾鉱貯蔵設備124の上澄み液は、(
図1に示すように)再生タンク182にはリサイクルされないが、それは、逆浸透膜172によるような上澄み液の処理、及び/又は再生タンク182からの透過液又は液体の再利用が、金の回収に悪影響を与えることが、驚くべきことにそして予想外にも見出されているためである。別の言い方をすれば、再生タンクは、少なくとも実質的に存在しない(例えば、典型的には約10体積%以下、より典型的には約5体積%以下の、尾鉱貯蔵施設124からの上澄みを含有する。
【0059】
さらに、逆浸透膜172の透過液も濃縮液も、チオ硫酸の浸出剤(lixiviant)176の生成に使用するために再循環されない。これらの流れの一方または両方を再循環させると、浸出工程100における金の回収率が低下しうることが見出された。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、リサイクルされた流れにおけるチオールおよび/またはアミンは、金のキレート剤として作用するか、さもなければ溶存金を隔離し、それによって溶存金が樹脂ビーズ(特に樹脂ビーズが四級アンモニウムを含む場合)によって回収されるのを防ぐと考えられる。このため、チオスルファート含有の流れ(stream)180は、典型的には、再生タンク182からの液体及び/又は溶存固体を、実質的に含まず、例えば、典型的には約10体積%以下、更に典型的には約5体積%以下含み)、または完全に含まない。
【0060】
より高い金の回収率を実現するために、浸出工程100におけるチオ硫酸の浸出剤(lixiviant)176は、アミン類(例えば、ローンペアーを有する塩基性窒素原子を含む官能基または化合物。アミンは通常、1個または水素原子がアルキルまたはアリール基などの置換基で置換されたアンモニアの誘導体である)および/またはチオール(例えば、SH基を含む有機化合物、すなわちアルコールの硫黄含有類似体)を、一般的に約100ppm以下、より一般的に約180ppb以下、より一般的に約100ppb以下、より一般的に約75ppb以下、より一般的には約50ppb以下、より一般的には約25ppb以下、より一般的には約10ppb以下、より一般的には約5ppb以下、より一般的には約1ppb以下、さらに一般的には含まない。
【0061】
濃縮物および任意の透過物の、液体または固体の成分は、チオ硫酸の浸出剤(lixiviant)の生成に再循環されず、または浸出工程100に存在しないので、石膏を沈殿させる必要はなく、石膏沈殿は実施されない。別の言い方をすれば、浸出工程100で使用されるチオスルファートの浸出剤は、濃縮物174の液体成分および固体成分を含まない。
【実施例】
【0062】
以下の実施例は、本開示の特定の形態、実施形態、および構成を説明するために提供され、添付の請求項に規定されるように、本開示に対する制限として解釈されることはない。全ての部およびパーセントは、他に指定されない限り、重量によるものである。
【0063】
実施例1
米国特許9,051,625のプロセスに基づくプラントとラボの回収率の間に10~20%のギャップがあった。このギャップの原因を理解するために、US9,051,625の教示に従って、樹脂浸出液を使用して複数のバッチ浸出試験を行った。試験パラメータは下表のとおりである。銅は全ての試験で20ppmの濃度で添加された。樹脂の添加量は約30m
3であった。
【0064】
各試験の1日の固体および溶液浸出プロファイルを図に示す。3つのテスト全てにおいて、浸出速度が妨げられたようであり、固体プロファイルが水平になるまでに1週間以上必要であった。タンクの冷却により、タンク温度は1日5℃の割合で低下したことに留意する必要がある。さらに、溶液サンプルは、20ppmに達する十分な銅を添加したにもかかわらず、溶液中に銅が存在しないことを示している。1Bのアルカリ性試験では、さらに80ppmの銅を添加したが、それでも銅は検出されなかった。
【0065】
この試験結果を
図2~4に示す。
図2を参照すると、1Bアルカリ性試験での金の溶解度は低いままであった(<0.002opt)が、これは、半分が貧(barren)で半分が新鮮な樹脂の混合物を使用したためであると考えられる。
図3~4を参照すると、他の2つの試験における溶解金(solution gold)は、試験の初期には低いままであったが、固体が大幅に浸出し始めると上昇した。溶解金(Solution gold)は試験の最後まで約0.0008opt以下のままであり、これは貧樹脂を使用したHARILのデータと一致している。
【0066】
図5を参照し考察のために、以下に示す通り、バッチ浸出回収率と、工場とラボのそれぞれの回収率とを比較すると、全てのテストにおいて、バッチ浸出はプラントを大幅に上回ったが、ラボと比較してまだ5~10%の回収率のギャップが存在する。ラボ試験では新しい樹脂が使用されたことに留意すべきである。それでも、バッチデータはプラントとラボのデータ間のギャップの大部分を埋めている。
【0067】
図6~8に見られるように、意外にも、ポリチオネート(例えば、トリチオナートとテトラチオネート)は、試験期間中、比較的安定したままであった。樹脂上および溶液中のポリチオネート濃度はほとんど変化しておらず、タンクをオフラインにするとポリチオネートの発生が制御できなくなる過去のデータとは対照的である。しかし、可溶性の銅の不足がポリチオネートの安定性に寄与しているかどうかは定かではない。低いポリチオネート濃度が、溶解金(solution gold)の低い損失に関与していると推察される。
【0068】
バッチテストから、さらに興味深い観察結果が得られた。1つ目は、0Aと1Bの酸浸出試験の間で回収率に約7%以下の差があったことである。操作パラメータにおける唯一の違いは、0Aでは希釈のために透過液が使用され、一方、1Bではチオ硫酸の排出と希釈のために再生チオ硫酸を使用した点である。このことは、チオ硫酸の排出物および/または再生チオ硫酸が回収率に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している。
【0069】
第二に、0Aの酸のバッチ浸出試験は、400ppmのチオ硫酸において試験された。チオ硫酸の排出および/または再生チオ硫酸の少量が、不注意にも0A液に混入していた。チオ硫酸カルシウムは、ラインの詰まりのため0Aに添加されなかった。回収率67.4%を達成し、これは、低濃度のチオ硫酸でも十分な溶出が可能であることを示している。さらに、ポリチオネートの安定性は、この低濃度においてほとんど影響を受けなかった。
【0070】
実施例2
追加のトリチオナートを生成するための代替方法は、オプションの銅予備溶出原料(feed)において、チオスルファートの一部を利用することである。この流れ(stream)に過酸化物を加えることで、より大量の(例えば5BV)低濃度トリチオナートを生成させることができる。これは、反応熱が多量の溶液により吸収されるため、追加の冷却装置や冷却能力が必要ないとの利点がある。
【0071】
図9は、0.5Mチオ硫酸ナトリウム溶液の銅予備溶出のプロファイルを、反応2と同様にチオ硫酸ナトリウムと過酸化物を混合して0.5Mチオ硫酸ナトリウム+0.05Mトリチオン酸ナトリウムの組成とした溶液と比較して示している。チオスルファートの予備溶出液(pre-eluant)にトリチオナートが存在することで、30銅の予備溶出液の間に樹脂から剥離される銅の量が多くなる。これは金溶出プロセスにとって有益であり、予備溶出中の銅の剥離を増加させることにより、最終金製品中の銅の量が少なくなる。銅の予備溶出の流れに過酸化物を加えることのもう一つの大きな利点は、必要な漏出点容量(breakthrough volume)において金溶出性能が向上することである。
図10は、0.2Mトリチオナート+0.2M亜硫酸塩の混合液で得られた金溶出プロファイルを示す。トリチオナートの存在下で予備溶出を行った樹脂は、他の試料樹脂よりも早く溶出し、金溶出ピークはそれぞれ2.6ベッドボリュームに対して、1.3ベッドボリューム後の溶液であることがわかる。また、トリチオナートの存在下で予備溶出を行った樹脂の方が、金濃度のピークが高くなった。これは、より濃縮された金電解生成物が生成される可能性があるため、有利でもある。
図9と
図10のデータでは、銅と金を含む、全ての化学物質が樹脂に同じように担持されている。
【0072】
理論に束縛されるものではないが、銅の予備溶出における過酸化物添加の役割は、低濃度のトリチオナートを生成し、銅の予備溶出の段階で金を剥離せず、金の溶出段階の前にトリチオナートを吸着することによって、樹脂を調整することにあると思われる。この結果、溶出工程でのパフォーマンスが著しく向上する。好ましくは、銅の予備溶出への過酸化物の添加は、予備溶出中のトリチオナートの濃度が約0.025から約0.5モル/L樹脂の範囲となるように、溶出する樹脂1Lあたり約0.1から2.0モルの過酸化水素とすべきである。
図9のデータでは、0.05Mトリチオナートを含む5BVの溶液が使用され、過酸化物の添加量は樹脂1Lあたり1モル、およびトリチオナートの量は樹脂1Lあたり0.25モルであった。0.025Mのトリチオナートを含む5BVの銅の予備溶出(すなわち、樹脂1L当たり0.5モルの過酸化物)を用いた試験も行い、良好な結果も得られた。担持樹脂がより高濃度のポリチオネートを含む場合、より少ないコンディショニング(conditioning)、すなわち、樹脂1L当たり0.1モルの過酸化物が好ましいかもしれないことは明らかであろう。しかし、担持樹脂が非常に低い添加量(loading)のポリチオネートを含む場合、より多くのコンディショニング(conditioning)が必要となる可能性がある。したがって、これは広範囲の樹脂原料(resin feeds)を処理することができる堅牢性の高い(robust)プロセスである。
【0073】
様々なチオスルファートを予備溶出に採用することができ、製品は浸出するためにリサイクルされるため、チオスルファートは浸出システムに適合している必要がある。チオ硫酸アンモニウム浸出を採用する場合、好ましい溶出用試薬はチオ硫酸アンモニウムでありうる。しかし、非アンモニウム系浸出システムのために、チオ硫酸カルシウムなどの代替試薬を採用することも可能である。しかしながら、上述したように、カルシウム除去工程が必要となりうる。例えば、逆浸透濃縮物をチオ硫酸カルシウムと結合し、次いで石膏を除去する、実施例2に記載されたシステムをここでも採用することができる。理想的には、反応2により硫酸塩が生成されるため、石膏除去の前に過酸化物を添加することである。
【0074】
本開示の多くの変形および修正を使用することができる。他のものを提供することなく(without providing others)、本開示のいくつかの特徴を提供することも可能であろう。
【0075】
本開示は、様々な局面、実施形態、および構成において、実質的に本明細書に描かれ、説明されるような構成要素、方法、プロセス、システムおよび/または装置を含み、それらの様々な態様、実施形態、構成、サブコンビネーション、およびサブセットを含む。当業者であれば、本開示を理解した上で、様々な態様、様相、実施形態、および構成をどのように形成し、使用するかを理解することができる。本開示は、様々な態様、実施形態、および構成において、本明細書に描かれていないおよび/または説明されていない項目がない場合、あるいは、以前のデバイスまたはプロセスで使用されていたかもしれないような項目、例えば、性能を改善すること、容易さを達成すること、および/または実装コストを低減することのための項目がない場合を含む、デバイスおよびプロセスを提供することを含む。
【0076】
本開示の前述の議論は、例示および説明の目的で提示されている。前述は、本開示を本明細書に開示される形態または形態に限定することを意図していない。前述の詳細な説明において、例えば、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で、1つ以上の、態様、実施形態、及び構成にまとめられている。本開示の態様、実施形態、および構成の特徴は、上述した以外の、代替的な態様、実施形態、および構成が組み合わされてもよい。本開示のこの方法は、請求された開示が請求項に明示的に記載されている以上の特徴を必要とするという意図を反映していると、解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が示すように、発明の態様は、単一の前述の開示された態様、実施形態、および構成の、全ての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、以下の請求項は、この詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、本開示の別個の好ましい実施形態としてそれ自体で存在する。
【0077】
さらに、本開示の説明は、1つ以上の態様、実施形態、または構成、ならびに特定の変形および修正の説明が含まれるが、他の変形、組み合わせ、および修正は、例えば、本開示を理解した後に、当業者の技術および知識の範囲内にあり得るように、本開示の範囲に含まれる。そのような代替、交換可能、及び/又は同等の構造、機能、範囲又は工程が本明細書に開示されているか否かにかかわらず、および、特許性のある主題を公に示すことを意図することなく、請求されるものと代替、交換可能、及び/又は同等の構造、機能、範囲又は工程を含む、代替の、態様、実施形態及び構成が許される範囲内で含まれる権利を取得することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貴金属含有材料をチオスルファート含有浸出液で浸出し、貴金属含有溶液を形成することであって、前記チオスルファート含有浸出液は、チオールおよびアミンを実質的に含有しないこと、
貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂(barren resin)に担持させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧溶液(precious metal barren solution)を形成すること、
貴金属担持樹脂を
トリチオナートおよび亜硫酸イオンを含む貴金属溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液と貧樹脂を形成すること、および
貴金属リッチ溶出液から貴金属を回収すること
を含む方法。
【請求項2】
前記貴金属溶出液中の亜硫酸イオン濃度は、少なくとも約0.01Mであり、貴金属溶出液のpHは約pH4.5から約pH14までの範囲に維持され、かつ貴金属溶出液中のトリチオナートの濃度は、少なくとも約0.01Mである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
チオスルファート含有浸出液は、アミンおよびチオールを合計で約180ppb以下含み、チオスルファート含有浸出液は、
以前に浸出された貴金属含有材料を貯蔵する、および/または、浸
出後のチオスルファート含有
浸出液の少なくとも一部を受け入れる再生タンクからの、液体および/または溶存固形分を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
チオスルファート含有浸出液は、
非アンモニア系のチオ硫酸源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
貧樹脂は、実質的に硫化物イオンを含まず、
及び更に、前記貧樹脂
を、再生させることなく、担持
させることにリサイクル
することを含み、担持させる
ことにおけるリサイクルされた貧樹脂は、少なくとも約0.1
Mのテトラチオナートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
貴金属含有溶液は、さらに銅を含み、銅は貴金属と共に貴金属担持樹脂に担持され、
貴金属担持樹脂に担持された11族(IUPAC)金属の少なくとも約5モル%は銅を含み、
かつ貴金属担持樹脂に担持された11族金属の約50モル%以上は金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
貧樹脂
を、再生させることなく、担持させる
ことにリサイクル
することを更に含み、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、
およびそれらの組み合わせの1つ以上の濃度は、リサイクルされた貧樹脂と接触する前の貴金属含有溶
液中の、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、
およびそれらの組み合わせの1つ以上の濃度レベルの、約50%以内に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
貧樹脂の選択された量について、24時間以内の担持および溶出のサイクルの数が約1から約5までである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
貴金属担持樹脂と貴金属溶出液の接触において、貴金属担持樹脂は銅溶出がない、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
浸出させる
ことにおいて、チオスルファート含有浸出液は、添加された銅を含まず、約10,000ppm以下のチオスルファートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(a)貴金属含有チオスルファート浸出液を貧イオン交換樹脂と接触させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧(precious metal barren)チオスルファート浸出液を形成することであって、貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約100ppm以下であり、
(b)貴金属担持樹脂を
トリチオナートおよび亜硫酸イオンを含む貴金属貧溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液と貧樹脂を形成すること、および
(c)貴金属リッチ溶出液から貴金属を回収し、
前記(b)
の接触させることへの再利用のための貴金属貧溶出液を形成すること
を含む方法。
【請求項12】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約180ppb以下であり
、貴金属は金を含み
、貴金属貧溶出液中の亜硫酸イオン濃度は少なくとも約0.01Mであり、貴金属貧溶出液のpHは約pH4.5から約pH14までの範囲内に維持され、かつ、貴金属貧溶出液中のトリチオナートの濃度は少なくとも約0.01Mである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約100ppb以下であり、かつ貴金属含有チオ
スルファート浸出液は、
前記(a)
の接触させることで生成した残滓(tails)からリサイクルされた液体または固体を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
残滓からの石膏の沈殿がない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約50ppb以下であり、貧樹脂は、硫化物、二硫化物および多硫化物との接触がなく、
前記(a)
の接触させることへリサイクルされる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のチオ硫化物の濃度は、約10,000ppm以下であり、貴金属は金を含み、貴金属含有チオスルファート浸出液は貴金属含有原材料のチオスルファートの浸出に由来し、貴金属含有原材料はプレグ-ローブ(preg-robbing)炭素質材料を少なくとも約0.5重量%含み、かつ貴金属含有原材料は金を少なくとも約0.01オンス/トン含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミン及びチオールの1つ以上の濃度は、約10ppb以下であり、かつ貴金属含有チオスルファート浸出液は実質的に添加
された銅を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
(a)貴金属含有チオスルファート浸出液を貧イオン交換樹脂と接触させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧チオスルファート浸出液を形成し、貴金属含有チオスルファート浸出液中の硫化物の濃度が、約100ppm以下であること、
(b)貴金属担持樹脂を
トリチオナートおよび亜硫酸イオンを含む貴金属貧溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液と貧樹脂を形成すること、および
(c)貴金属リッチ溶出液から貴金属を回収して、
前記(b)
の接触させることへの再利用のための貴金属貧溶出液を形成すること
を含む方法。
【請求項19】
貧樹脂は、硫化物、二硫化物、および多硫化物との接触がない状態で、
前記(a)
の接触させることにリサイクルされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
貴金属含有チオスルファート浸出液中のチオ硫化物の濃度が約10,000ppm以下であり、貴金属含有チオスルファート浸出液は、実質的に添加された銅を含まず、貴金属は金を含み、貴金属含有チオスルファート浸出液は、貴金属含有原材料のチオスルファート浸出に由来し、貴金属含有原材料は少なくとも約0.5重量%のプレグ-ローブ炭素質材料を含み、かつ、貴金属含有原材料は約0.35オンス/トン以下の金を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記(b)
の接触させることにおける貴金属担持樹脂は、樹脂表面に集められた銅の先行溶出がない、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記(b)
の接触させることにおける貴金属担持樹脂は、
貴金属貧溶出液と接触する前に、銅溶出液と接触させる、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
貴金属含有材料をチオスルファート含有浸出液で浸出し、貴金属含有溶液を形成すること
であって、前記チオスルファート含有浸出液は、以前に浸出された貴金属含有材料を貯蔵する、および/または、浸出後のチオスルファート含有浸出液の少なくとも一部を受け入れる再生タンクからの、液体および/または溶存固形分を実質的に含まないこと、
貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂に担持させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧溶液を形成することであって、貴金属含有溶液がさらに銅を含み、銅が貴金属とともに貴金属担持樹脂に担持されることと、
貴金属担持樹脂を
トリチオナートおよび亜硫酸イオンを含む貴金属溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液および貧樹脂を形成することであって、接触させる
ことの直前に貴金属担持樹脂に担持された11族(IUPAC)金属の少なくとも約5モル%は銅を含み、
貴金属担持樹脂に担持された11族金属の約50モル%以上は金を含
むこと、および
貴金属溶出液から貴金属を回収すること
を含む方法。
【請求項24】
貧樹脂が、担持させる
ことにリサイクルされ、
かつ貧樹脂は硫化物、二硫化物および多硫化物と接触することなくリサイクルされる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
貴金属含有材料をチオスルファート含有浸出液で浸出し、貴金属含有溶液を形成すること、
貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂に担持させて、貴金属担持樹脂と貴金属貧溶液を形成すること、
貴金属担持樹脂を
トリチオナートおよび亜硫酸イオンを含む貴金属溶出液と接触させ、貴金属リッチ溶出液および貧樹脂を形成すること
、
貴金属溶出液から貴金属を回収
すること、
貧樹脂
を、再生させることなく、担持させる
ことにリサイクル
することを含み、
貴金属含有溶液とリサイクルされた貧樹脂
の接触後の貴金属含有溶
液中の、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、およびそれらの組み合わせの1つ以上の濃度は、
貴金属含有溶液とリサイクルされた貧樹脂
の接触前の貴金属含有溶
液中の、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、
およびそれらの組み合わせの1つ以上の濃
度の、約50%以内に維持されること、
を含む方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
さらに、本開示の説明は、1つ以上の態様、実施形態、または構成、ならびに特定の変形および修正の説明が含まれるが、他の変形、組み合わせ、および修正は、例えば、本開示を理解した後に、当業者の技術および知識の範囲内にあり得るように、本開示の範囲に含まれる。そのような代替、交換可能、及び/又は同等の構造、機能、範囲又は工程が本明細書に開示されているか否かにかかわらず、および、特許性のある主題を公に示すことを意図することなく、請求されるものと代替、交換可能、及び/又は同等の構造、機能、範囲又は工程を含む、代替の、態様、実施形態及び構成が許される範囲内で含まれる権利を取得することが意図される。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
貴金属含有材料をチオスルファート含有浸出液で浸出し、貴金属含有溶液を形成することであって、前記チオスルファート含有浸出液は、チオールおよびアミンを実質的に含有しないこと、
貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂(barren resin)に担持させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧溶液(precious metal barren solution)を形成すること、
貴金属担持樹脂を貴金属溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液と貧樹脂を形成すること、および
貴金属リッチ溶出液から貴金属を回収すること
を含む方法。
(態様2)
貴金属溶出液はトリチオナートおよび亜硫酸イオンを含み、更に、
チオスルファートを酸化剤と接触させて、チオスルファートの少なくとも一部をトリチオナートに変換することを含み、貴金属溶出液中の亜硫酸イオン濃度は、少なくとも約0.01Mであり、貴金属溶出液のpHは約pH4.5から約pH14までの範囲に維持され、かつ貴金属溶出液中のトリチオナートの濃度は、少なくとも約0.01Mである、態様1に記載の方法。
(態様3)
チオスルファート含有浸出液は、アミンおよびチオールを合計で約180ppb以下含み、チオスルファート含有浸出液は、浸出させる工程の後のチオスルファート含有溶液の少なくとも一部を受け入れる再生タンクからの、液体および/または溶存固形分を実質的に含まない、態様1に記載の方法。
(態様4)
チオスルファート含有浸出液は、以前に浸出された貴金属含有材料を貯蔵する尾鉱貯蔵設備からの、液体および/または溶存固形分を実質的に含まない、態様1に記載の方法。
(態様5)
貧樹脂は、実質的に硫化物イオンを含まず、前記貧樹脂は、担持させる工程にリサイクルされ、かつ、担持させる工程におけるリサイクルされた貧樹脂は、少なくとも約0.1モル/Lのテトラチオナートを含む、態様1に記載の方法。
(態様6)
貴金属含有溶液は、さらに銅を含み、銅は貴金属と共に貴金属担持樹脂に担持され、樹脂に担持された11族(IUPAC)金属の少なくとも約5モル%は銅を含み、樹脂に担持された11族金属の約50モル%以上は金を含む、態様1に記載の方法。
(態様7)
貧樹脂は、担持させる工程にリサイクルされ、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、それらの組み合わせの1つ以上の濃度は、リサイクルされた貧樹脂と接触する前の貴金属含有溶媒中の、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、それらの組み合わせの1つ以上の濃度レベルの、約50%以内に維持される、態様1に記載の方法。
(態様8)
貧樹脂の選択された量について、24時間以内の担持および溶出のサイクルの数が約1から約5までである、態様7に記載の方法。
(態様9)
貴金属担持樹脂と貴金属溶出液の接触において、貴金属担持樹脂は銅溶出がない、態様6に記載の方法。
(態様10)
浸出させる工程において、チオスルファート含有浸出液は、添加された銅を含まず、約10,000ppm以下のチオスルファートを含む、態様1に記載の方法。
(態様11)
(a)貴金属含有チオスルファート浸出液を貧イオン交換樹脂と接触させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧(precious metal barren)チオスルファート浸出液を形成することであって、貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約100ppm以下であり、
(b)貴金属担持樹脂を貴金属貧溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液と貧樹脂を形成すること、および
(c)貴金属リッチ溶出液から貴金属を回収し、工程(b)への再利用のための貴金属貧溶出液を形成すること
を含む方法。
(態様12)
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約180ppb以下であり、貴金属貧溶出液はトリチオナートを含み、貴金属は金を含み、貴金属貧溶出液はさらに亜硫酸イオンを含み、貴金属貧溶出液中の亜硫酸イオン濃度は少なくとも約0.01Mであり、貴金属貧溶出液のpHは約pH4.5から約pH14までの範囲内に維持され、かつ、貴金属貧溶出液中のトリチオナートの濃度は少なくとも約0.01Mである、態様11に記載の方法。
(態様13)
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約100ppb以下であり、かつ貴金属含有チオ硫酸は、工程(a)で生成した残滓(tails)からリサイクルされた液体または固体を含まない、態様11に記載の方法。
(態様14)
残滓からの石膏の沈殿がない、態様13に記載の方法。
(態様15)
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミンおよびチオールの1つ以上の濃度は、約50ppb以下であり、貧樹脂は、硫化物、二硫化物および多硫化物との接触がなく、工程(a)へリサイクルされる、態様11に記載の方法。
(態様16)
貴金属含有チオスルファート浸出液中のチオ硫化物の濃度は、約10,000ppm以下であり、貴金属は金を含み、貴金属含有チオスルファート浸出液は貴金属含有原材料のチオスルファートの浸出に由来し、貴金属含有原材料はプレグ-ローブ(preg-robbing)炭素質材料を少なくとも約0.5重量%含み、かつ貴金属含有原材料は金を少なくとも約0.01オンス/トン含む、態様11に記載の方法。
(態様17)
貴金属含有チオスルファート浸出液中のアミン及びチオールの1つ以上の濃度は、約10ppb以下であり、かつ貴金属含有チオスルファート浸出液は実質的に添加銅を含まない、態様11に記載の方法。
(態様18)
(a)貴金属含有チオスルファート浸出液を貧イオン交換樹脂と接触させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧チオスルファート浸出液を形成し、貴金属含有チオスルファート浸出液中の硫化物の濃度が、約100ppm以下であること、
(b)貴金属担持樹脂を貴金属貧溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液と貧樹脂を形成すること、および
(c)貴金属リッチ溶出液から貴金属を回収して、工程(b)への再利用のための貴金属貧溶出液を形成すること
を含む方法。
(態様19)
貧樹脂は、硫化物、二硫化物、および多硫化物との接触がない状態で、工程(a)にリサイクルされる、態様18に記載の方法。
(態様20)
貴金属含有チオスルファート浸出液中のチオ硫化物の濃度が約10,000ppm以下であり、貴金属含有チオスルファート浸出液は、実質的に添加された銅を含まず、貴金属は金を含み、貴金属含有チオスルファート浸出液は、貴金属含有原材料のチオスルファート浸出に由来し、貴金属含有原材料は少なくとも約0.5重量%のプレグ-ローブ炭素質材料を含み、かつ、貴金属含有原材料は約0.35オンス/トン以下の金を含む、態様18に記載の方法。
(態様21)
工程(b)における貴金属担持樹脂は、樹脂表面に集められた銅の先行溶出がない、態様18に記載の方法。
(態様22)
工程(b)における貴金属担持樹脂は、樹脂表面に集められた銅の先行溶出がない、態様18に記載の方法。
(態様23)
貴金属含有材料をチオスルファート含有浸出液で浸出し、貴金属含有溶液を形成することと、
貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂に担持させて、貴金属担持樹脂および貴金属貧溶液を形成することであって、貴金属含有溶液がさらに銅を含み、銅が貴金属とともに貴金属担持樹脂に担持されることと、
貴金属担持樹脂を貴金属溶出液と接触させて、貴金属リッチ溶出液および貧樹脂を形成することであって、接触させる工程の直前に貴金属担持樹脂に担持された11族(IUPAC)金属の少なくとも約5モル%は銅を含み、樹脂に担持された11族金属の約50モル%以上は金を含み、および
貴金属溶出液から貴金属を回収すること
を含む方法。
(態様24)
貧樹脂が、担持させる工程にリサイクルされ、貧樹脂は硫化物、二硫化物および多硫化物と接触することなくリサイクルされる、態様23に記載の方法。
(態様25)
貴金属含有材料をチオスルファート含有浸出液で浸出し、貴金属含有溶液を形成すること、
貴金属含有溶液に溶解した貴金属を貧樹脂に担持させて、貴金属担持樹脂と貴金属貧溶液を形成すること、
貴金属担持樹脂を貴金属溶出液と接触させ、貴金属リッチ溶出液および貧樹脂を形成すること、および
貴金属溶出液から貴金属を回収し、貧樹脂は、担持させる工程にリサイクルされ、リサイクルされた貧樹脂と接触後の貴金属含有溶媒中の、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、およびそれらの組み合わせの1つ以上の濃度は、リサイクルされた貧樹脂と接触前の貴金属含有溶媒中の、テトラチオナート、トリチオナート、硫黄-酸素アニオン、それらの組み合わせの1つ以上の濃度レベルの、約50%以内に維持されること、
を含む方法。
【国際調査報告】