(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(54)【発明の名称】生物学的試料の収集、保存、及び分析のための試料容器カセット
(51)【国際特許分類】
C12M 1/32 20060101AFI20220729BHJP
C12Q 1/24 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
C12M1/32
C12Q1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572840
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2020036197
(87)【国際公開番号】W WO2020247684
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521535456
【氏名又は名称】ハニカム・バイオテクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】ギエラン,トッド
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029BB01
4B029BB15
4B029BB20
4B029CC02
4B029HA02
4B029HA06
4B063QA08
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ10
4B063QQ12
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ79
4B063QS10
4B063QS24
4B063QS32
4B063QS40
(57)【要約】
生物学的試料の保存、収集、及び分析のための試料容器カセットがここに開示されている。試料容器カセットは、単一細胞の容易試料収集及び単一細胞の安定保存及び将来的処理のための半透過性膜を用いたマイクロウェルアレイの容易封止を可能にする。1つ又はそれ以上の上記カセットを備えたシステム及びキットもここに記載されている。記載のカセット、システム、及びキットは、単一細胞シーケンシングライブラリを作成するのに使用され得る。更に、カセット、システム、及びキットを使用する方法がここに記載されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのカセットであって、前記カセットは以下を備え、即ち、
(a)プランジャを備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を有している、プランジャ部組立体と、
(b)膜部組立体であって、
i.膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、
ii.前記プランジャへ付着するように構成された膜フレーム、を備えており、
前記半透過性膜は前記膜フレームへ付着されており、
前記膜部組立体は、前記膜フレームが前記プランジャ部組立体へ付着されているときに前記プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分が前記膜上部表面と接触しているように構成されている、膜部組立体と、
(c)マイクロウェルアレイ及び前記マイクロウェルアレイを支持するベースを備える装填部組立体であって、
前記マイクロウェルアレイは、複数のマイクロウェルがそこに置換されて備わる上部表面を備えており、
前記装填部組立体は、前記膜部組立体が当該装填部組立体へ付着されているときに前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分が前記膜下部表面と接触しているように構成されている、装填部組立体と、
を備え、
前記膜下部表面と前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の間の前記接触は1つ又はそれ以上の生体粒子を前記マイクロウェルアレイ内に保留するように構成されている、カセット。
【請求項2】
請求項1に記載のカセットにおいて、
前記カセットは、前記プランジャ部組立体と前記膜部組立体を前記装填部組立体に関して所定位置にロックするように構成されたロッキング機構を備えている、カセット。
【請求項3】
請求項2に記載のカセットにおいて、
前記ロッキング機構は、前記マイクロウェルアレイの前記上部表面と前記膜下部表面の間の前記接触を維持するように構成されている、カセット。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記プランジャ部組立体が上部ロッキング部材を備えている、カセット。
【請求項5】
請求項4に記載のカセットにおいて、
前記ベースが、前記上部ロッキング部材に係合するように構成された下部ロッキング部材を備えている、カセット。
【請求項6】
請求項5に記載のカセットにおいて、
前記下部ロッキング部材は、スナップトラップ機構を通して前記上部ロッキング部材に係合するように構成されている、カセット。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のカセットにおいて、
前記マイクロウェルアレイの前記上部表面と前記膜下部表面の間の前記接触は、前記上部ロッキング部材と前記下部ロッキング部材を係合させることによって維持される、カセット。
【請求項8】
請求項4に記載のカセットにおいて、
前記膜部組立体が、前記上部ロッキング部材に係合するように構成された下部ロッキング部材を備えている、カセット。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記プランジャの前記下部表面が湾曲表面又は平坦表面を備えている、カセット。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記プランジャの前記下部表面が凸状表面を備えている、カセット。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記プランジャの前記下部表面がエラストマー表面を備えている、カセット。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記プランジャの前記下部表面が円形である、カセット。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記プランジャが、1つ又はそれ以上のカットアウトを備えた側部表面を備えている、カセット。
【請求項14】
請求項13に記載のカセットにおいて、
前記1つ又はそれ以上のカットアウトは前記プランジャ上を垂直方向に走るグローブ(grove)である、カセット。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記プランジャ部組立体が剛性の上部表面を備えている、カセット。
【請求項16】
請求項1乃至14の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記プランジャ部組立体が、当該プランジャ部組立体又は前記カセットの位置を設定又は操作できるようにする機構を備えた上部表面を備えている、カセット。
【請求項17】
請求項16に記載のカセットにおいて、
前記プランジャ部組立体の前記上部表面上の前記機構がハンドルを備えている、カセット。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記半透過性膜が、最小でも1nm、最小でも10nm、最小でも20nm、最小でも30nm、最小でも40nm、最小でも50nm、最小でも75nm、最小でも100nm、最小でも200nm、最小でも300nm、最小でも400nm、最小でも500nm、最小でも600nm、最小でも700nm、最小でも800nm、最小でも900nm、又は最小でも1000nmの平均細孔直径を有している、カセット。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記半透過性膜が、最大でも20nm、最大でも30nm、最大でも40nm、最大でも50nm、最大でも75nm、最大でも100nm、最大でも200nm、最大でも300nm、最大でも400nm、最大でも500nm、最大でも600nm、最大でも700nm、最大でも800nm、最大でも900nm、最大でも1μm、最大でも2μm、最大でも3μm、最大でも5μm、又は最大でも10μmの平均細孔直径を有している、カセット。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記半透過性膜が約1nm~約200nmの平均細孔直径を有している、カセット。
【請求項21】
請求項1乃至20の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記半透過性膜が、1つ又はそれ以上のビーズ、1つ又はそれ以上の生体粒子、又はそれら両方を保留するように構成されている、カセット。
【請求項22】
請求項21に記載のカセットにおいて、
前記生体粒子は、細胞、ゲノム、核酸、ウイルス、核、タンパク質、ペプチド、又はそれらの組合せを備えている、カセット。
【請求項23】
請求項21に記載のカセットにおいて、
前記生体粒子は1つ又はそれ以上の細胞を備えている、カセット。
【請求項24】
請求項23に記載のカセットにおいて、
前記1つ又はそれ以上の細胞は、細菌細胞、植物細胞、動物細胞、又はそれらの組合せを備えている、カセット。
【請求項25】
請求項23に記載のカセットにおいて、
前記1つ又はそれ以上の細胞は哺乳類細胞を備えている、カセット。
【請求項26】
請求項23に記載のカセットにおいて、
前記1つ又はそれ以上の細胞は血液細胞を備えている、カセット。
【請求項27】
請求項1乃至26の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜フレームが前記プランジャ又は前記プランジャ部組立体へ可逆的に付着するように構成されている、カセット。
【請求項28】
請求項1乃至27の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜フレームが剛性である、カセット。
【請求項29】
請求項1乃至28の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜フレームが円筒形状を備えている、カセット。
【請求項30】
請求項1乃至29の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜フレームが前記プランジャ部組立体へ付着されているときに、前記プランジャの前記下部表面の前記少なくとも一部分は前記膜上部表面と直接接触している、カセット。
【請求項31】
請求項1乃至29の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜フレームが前記プランジャ部組立体へ付着されているときに、前記プランジャの前記下部表面の前記少なくとも一部分は、前記半透過性膜と前記プランジャの間に設けられた媒体を通して前記膜上部表面と接触している、カセット。
【請求項32】
請求項31に記載のカセットにおいて、
前記媒体が吸収性材料を備えている、カセット。
【請求項33】
請求項32に記載のカセットにおいて、
前記吸収性材料が紙又は超吸水性ポリマーを備えている、カセット。
【請求項34】
請求項31乃至33の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記媒体が細胞保全溶液を備えている、カセット。
【請求項35】
請求項31乃至34の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記媒体が流体溜めとして機能する、カセット。
【請求項36】
請求項1乃至35の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜部組立体が前記プランジャ部組立体へ事前付着されている、カセット。
【請求項37】
請求項1乃至35の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜部組立体が前記装填部組立体へ可逆的に付着するように構成されている、カセット。
【請求項38】
請求項1乃至37の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜下部表面が1つ又はそれ以上の反応性官能基を備えている、カセット。
【請求項39】
請求項38に記載のカセットにおいて、
前記反応性官能基は、アミン、アミノシラン、チオシラン、メタクリレートシラン、ポリ(アリルアミン)、マレイミド、2-イミノチオラン、ポリアクリル酸又はエポキシド-PEGから誘導された官能基、又はそれらの組合せを備えている、カセット。
【請求項40】
請求項1乃至39の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記マイクロウェルアレイの前記上部表面が1つ又はそれ以上の反応性官能基を備えている、カセット。
【請求項41】
請求項40に記載のカセットにおいて、
前記反応性官能基は、アミン、アミノシラン、チオシラン、メタクリレートシラン、ポリ(アリルアミン)、ポリ(リジン)、BSA、エポキシドシラン、キトサン、2-イミノチオラン、ポリアクリル酸又はビスエポキシ-PEG又は酸化アガロースから誘導された官能基、又はそれらの組合せを備えている、カセット。
【請求項42】
請求項1乃至41の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記マイクロウェルアレイが1つ又はそれ以上のカットアウトを備えている、カセット。
【請求項43】
請求項42に記載のカセットにおいて、
前記1つ又はそれ以上のカットアウトは、前記アレイの中心部に配置されたカットアウト、前記アレイの側部に配置されたカットアウト、又はそれら両方を備えている、カセット。
【請求項44】
請求項1乃至43の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記マイクロウェルアレイが約5000個~約1,000,000個のマイクロウェルを備えている、カセット。
【請求項45】
請求項1乃至43の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記マイクロウェルアレイが約50,000個~約150,000個のマイクロウェルを備えている、カセット
【請求項46】
請求項1乃至45の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記マイクロウェルの、前記上部表面での平均直径が、最小でも5ミクロン、最小でも7ミクロン、最小でも10ミクロン、最小でも20ミクロン、最小でも30ミクロン、最小でも45ミクロン、最小でも50ミクロン、又は最小でも100ミクロンである、カセット。
【請求項47】
請求項1乃至46の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記マイクロウェルの、前記上部表面での平均直径が、最大でも1000ミクロン、最大でも500ミクロン、最大でも400ミクロン、最大でも300ミクロン、最大でも200ミクロン、最大でも100ミクロン、最大でも75ミクロン、最大でも50ミクロン、最大でも40ミクロン、最大でも30ミクロン、最大でも20ミクロン、最大でも10ミクロン、又は最大でも5ミクロンである、カセット。
【請求項48】
請求項1乃至47の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記マイクロウェルの、前記上部表面での平均直径が約5ミクロン~約50ミクロンである、カセット。
【請求項49】
請求項1乃至48の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記装填部組立体が、前記マイクロウェルアレイを取り囲む高い装填リングを備えている、カセット。
【請求項50】
請求項49に記載のカセットにおいて、
前記装填リングが疎水性内向表面を備えている、カセット。
【請求項51】
請求項49又は50に記載のカセットにおいて、
前記装填リングが前記ベースの一部である、カセット。
【請求項52】
請求項49又は50に記載のカセットにおいて、
前記装填リングが前記ベースへ可逆的に付着可能である、カセット。
【請求項53】
請求項49乃至52の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記装填部組立体が、前記マイクロウェルアレイを覆う蓋を備えている、カセット。
【請求項54】
請求項53に記載のカセットにおいて、
前記蓋が1つ又はそれ以上の開口部を備えている、カセット。
【請求項55】
請求項49乃至54の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記装填リングが前記マイクロウェルアレイ上に流体を保留するように構成されている、カセット。
【請求項56】
請求項55に記載のカセットにおいて、
前記装填リングは約0.1ml~約5mlの流体を保留するように構成されている、カセット。
【請求項57】
請求項1乃至56の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記ベースが前記マイクロウェルアレイに対して陥凹区域を備えている、カセット。
【請求項58】
請求項57に記載のカセットにおいて、
前記陥凹区域は、前記装填リングによって保留された流体を収容するように構成されている、カセット。
【請求項59】
請求項1乃至58の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記ベースが、液体除去を許容するように構成された1つ又はそれ以上のポートを備えている、カセット。
【請求項60】
請求項59に記載のカセットにおいて、
前記1つ又はそれ以上のポートは前記ベースの側部に設けられている、カセット。
【請求項61】
請求項59又は60に記載のカセットにおいて、
前記ベースが、前記陥凹区域から前記1つ又はそれ以上のポートへの流体流れを促すように構成された1つ又はそれ以上のチャネルを備えている、カセット。
【請求項62】
請求項1乃至61の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記装填部組立体は、前記マイクロウェルアレイの前記上部表面が前記膜下部表面と接触され、それによって前記マイクロウェルアレイが封止されるのを許容するように構成されている、カセット。
【請求項63】
請求項5乃至62の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記ベースが、1つ又はそれ以上のキーの挿入を許容するように構成された1つ又はそれ以上のキー孔を備え、1つ又はそれ以上のキーの前記挿入は前記上部ロッキング部材と前記下部ロッキング部材を係合解除する、カセット。
【請求項64】
請求項63に記載のカセットにおいて、
前記挿入は前記プランジャ部組立体を前記装填部組立体から解放する、カセット。
【請求項65】
請求項1乃至64の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記マイクロウェルアレイが複数のビーズを備えている、カセット。
【請求項66】
請求項1乃至65の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記マイクロウェルの少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも99.9%、又は少なくとも100%が単一ビーズを格納している、カセット。
【請求項67】
請求項1乃至66の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記複数のマイクロウェルの1つ又はそれ以上が単一細胞を備えている、カセット。
【請求項68】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのカセットであって、前記カセットは以下を備え、即ち、
(a)膜フレーム及び前記膜フレームへ付着された半透過性膜を備える膜部組立体であって、前記半透過性膜は膜上部表面及び膜下部表面を備えており、前記膜上部表面及び前記膜下部表面の少なくとも一部分は何らの基板にも支持されていない、膜部組立体と、
(b)ベース及びマイクロウェルを備える装填部組立体と、
を備え、
前記膜部組立体は前記装填部組立体へ可逆的に付着可能であり、前記膜部組立体が前記装填部組立体へ付着されているときに前記膜下部表面は前記マイクロウェルアレイと接触している、カセット。
【請求項69】
請求項68に記載のカセットにおいて、
前記膜下部表面と前記マイクロウェルの間の前記接触は、1つ又はそれ以上のビーズ、1つ又はそれ以上の生体粒子、又はそれら両方を前記マイクロウェル内に保留するように構成されている、カセット。
【請求項70】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのカセットであって、前記カセットは以下を備え、即ち、
(a)膜フレーム及び半透過性膜を備える膜部組立体であって、前記半透過性膜は膜上部表面及び膜下部表面を備えており、前記膜上部表面及び前記膜下部表面の少なくとも一部分は何らの基板にも支持されていない、膜部組立体と、
(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、
前記マイクロウェルアレイは複数のマイクロウェルがそこに置換されて備わる上部表面を備えている、装填部組立体と、
を備え、
前記膜下部表面は前記装填部組立体の前記上部表面の少なくとも一部分と結着するように構成されている、カセット。
【請求項71】
請求項68乃至70の何れか一項に記載のカセットにおいて、
(i)前記膜下部表面、(ii)前記装填部組立体の前記上部表面、又はそれら両方が1つ又はそれ以上の反応性官能基を備えている、カセット。
【請求項72】
請求項68乃至71の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜上部表面及び前記膜下部表面が何らの基板にも支持されていない、カセット。
【請求項73】
請求項68乃至72の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記カセットが、プランジャを備えるプランジャ部組立体を備えており、前記プランジャ部組立体は前記膜部組立体へ可逆的に付着可能である、カセット。
【請求項74】
請求項73に記載のカセットにおいて、
前記プランジャは、前記プランジャ部組立体が前記膜部組立体へ付着されているときに前記膜上部表面と接触している、カセット。
【請求項75】
請求項74に記載のカセットにおいて、
前記プランジャは直接に又は流体溜めを通して前記膜上部表面と接触する、カセット。
【請求項76】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのカセットであって、前記カセットは以下を備え、即ち、
(a)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜と、
(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、
前記マイクロウェルアレイは複数のマイクロウェルがそこに置換されて備わる上部表面を備えている、装填部組立体と、
を備え、
前記半透過性膜は前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分へ結着するように構成されており、前記結着は加熱プロセスを必要としない、カセット。
【請求項77】
請求項70乃至76の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜下部表面と前記マイクロウェルアレイの間の前記結着は1つ又はそれ以上の生体粒子を前記マイクロウェル内に保留する、カセット。
【請求項78】
請求項70乃至77の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜下部表面が、50°Cより下、45°Cより下、40°Cより下、35°Cより下、又は30°Cより下の温度にて、前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分と結着するように構成されている、カセット。
【請求項79】
請求項70乃至77の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記膜下部表面が大気温度下に前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分と結着するように構成されている、カセット。
【請求項80】
請求項70乃至79の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記結着が可逆的である、カセット。
【請求項81】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのカセットであって、前記カセットは上から下へ以下を備え、即ち、
(a)上部表面、プランジャ、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を備えている、プランジャ部組立体と、
(b)膜部組立体であって、
i.膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、
ii.前記プランジャ部組立体へ可逆的に付着するように構成された膜フレーム、を備えており、
前記半透過性膜は前記膜フレームへ付着されており、
前記膜部組立体は、前記膜フレームが前記プランジャ部組立体へ付着されているときに前記プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分が前記膜上部表面と接触していることを許容するように構成されている、膜部組立体と、
(c)装填部組立体であって、
i.下部ロッキング部材を備えるベース、及び、
ii.前記ベース上に設けられたマイクロウェルアレイであって、複数のマイクロウェルがそこに置換されて備わる上部表面を備えたマイクロウェルアレイ、を備えており、
前記下部ロッキング部材は前記上部ロッキング部材と係合し、それによって前記膜下部表面の少なくとも一部分と前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分の間の接触を維持するように構成されている、装填部組立体と、
を備えている、カセット。
【請求項82】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのカセットであって、前記カセットは上から下へ以下を備え、即ち、
(a)上部表面、プランジャ、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を備えている、プランジャ部組立体と、
(b)膜部組立体であって、
i.膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、
ii.前記半透過性膜を保持する膜フレームであって、前記プランジャ部組立体へ付着されている膜フレーム、を備えており、
前記プランジャの前記下部表面は前記膜上部表面と接触している、膜部組立体と、
(c)装填部組立体であって、
i.下部ロッキング部材を備えるベース、及び、
ii.前記ベース上に設けられたマイクロウェルアレイであって、上部表面及び複数のマイクロウェルを備えるマイクロウェルアレイ、を備えており、
前記下部ロッキング部材は、前記上部ロッキング部材と係合し、それによって前記膜下部表面の少なくとも一部分と前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分の間の接触を維持するように構成されている、装填部組立体と、
を備えている、カセット。
【請求項83】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのカセットであって、前記カセットは上から下へ以下を備え、即ち、
(a)上部表面、プランジャ、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を備えている、プランジャ部組立体と、
(b)膜部組立体であって、
i.膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、
ii.前記プランジャ部組立体へ可逆的に付着するように構成された膜フレーム、を備えており、
前記半透過性膜は前記膜フレームへ付着されており、
前記膜部組立体は、前記膜フレームが前記プランジャ部組立体へ付着されているときに、前記プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分が前記膜上部表面と接触していることを許容するように構成されており、更に、
iii.前記上部ロッキング部材と係合するように構成された下部ロッキング部材、を備えている膜部組立体と、
(c)ベース上に設けられたマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、
を備えている、カセット。
【請求項84】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのカセットであって、前記カセットは上から下へ以下を備え、即ち、
(a)上部表面、プランジャ、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を備えている、プランジャ部組立体と、
(b)膜部組立体であって、
i.膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、
ii.前記半透過性膜を保持する膜フレームであって、前記プランジャ部組立体へ付着されている膜フレーム、を備えており、
前記プランジャの前記下部表面は前記膜上部表面と接触しており、更に、
iii.前記上部ロッキング部材と係合するように構成された下部ロッキング部材、を備えている膜部組立体と、
(c)ベース上に設けられたマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、
を備えている、カセット。
【請求項85】
請求項81乃至84の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記プランジャの前記下部表面が、吸収性材料と細胞保全溶液を備える流体溜めを通して前記膜上部表面と接触している、カセット。
【請求項86】
請求項81乃至85の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記ベースが流体収集用の1つ又はそれ以上のポートを備えている、カセット。
【請求項87】
請求項1乃至86の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記マイクロウェルの少なくとも1つが単一の生体粒子を備えている、カセット。
【請求項88】
請求項1乃至86の何れか一項に記載のカセットにおいて、
前記カセットは、それぞれが単一の生体粒子を備える少なくとも1000個のマイクロウェルを備えている、カセット。
【請求項89】
請求項87又は88に記載のカセットにおいて、
前記単一の生体粒子は単一細胞又は単一ビーズである、カセット。
【請求項90】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのシステムであって、
(a)請求項1乃至89の何れか一項に記載の1つ又はそれ以上のカセットと、
(b)前記1つ又はそれ以上のカセットを保持するように構成されたカセットフレームと、
を備えているシステム。
【請求項91】
請求項90に記載のシステムにおいて、
前記フレームが、生体分子スクリーニング学会(SBS:Society for Biomolecular Screening)規格に従って構成されている、システム。
【請求項92】
請求項90又は91に記載のシステムにおいて、
前記システムが1個~約300個の前記カセットを備えている、システム。
【請求項93】
請求項90又は91に記載のシステムにおいて、
前記システムが、約6個、約8個、約12個、約24個、約96個、又は約120個の前記カセットを備えている、システム。
【請求項94】
請求項90乃至93の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記システムが、1つ又はそれ以上のキーであって前記カセットへ挿入されたときに1つ又はそれ以上のプランジャ部組立体が1つ又はそれ以上の装填部組立体から解放されるように構成されたキーを備えている、システム。
【請求項95】
請求項94に記載のシステムにおいて、
前記キーが前記カセットフレームへ組み込まれている、システム。
【請求項96】
請求項90乃至94の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記1つ又はそれ以上のカセットの少なくとも2つが事前接続されている、システム。
【請求項97】
請求項90乃至94の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記シスムが1つ又はそれ以上の生体粒子収集ユニットを備えている、システム。
【請求項98】
請求項97に記載のシステムにおいて、
前記収集ユニットは、それぞれが複数の陥凹を備えた1つ又はそれ以上の収集プレートを備えている、システム。
【請求項99】
請求項97に記載のシステムにおいて、
前記収集ユニットが1つ又はそれ以上の円錐形状をしたカセット収集部(collector)を備えている、システム。
【請求項100】
請求項99に記載のシステムにおいて、
前記カセット収集部は、ビーズが通過するのを許容するように構成された開口部を中心部に備えている、システム。
【請求項101】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのシステムであって、前記システムは2つ又はそれ以上のカセットを備え、前記カセットのそれぞれは、以下を備え、即ち、
(a)半透過性膜を備える膜部組立体と、
(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、
を備えており、
前記半透過性膜は、前記膜部組立体が前記装填部組立体へ付着されたときに前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分に接触するように構成されており、
前記2つ又はそれ以上のカセットの少なくとも2つのカセットの前記膜部組立体は同時に前記マイクロウェルアレイへ付着されるように又は同時に前記マイクロウェルアレイから解放されるように構成されている、システム。
【請求項102】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのシステムであって、前記システムは2つ又はそれ以上のカセットを備え、前記カセットのそれぞれは以下を備え、即ち、
(a)不透過性膜を備える膜部組立体と、
(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは、それぞれが下部表面と上部の開口部を備える複数のマイクロウェルを備えており、前記マイクロウェルの前記下部表面は半透過性膜を備えている、装填部組立体と、
を備えており、
前記不透過性膜は、前記膜部組立体が前記装填部組立体へ付着されたときに前記マイクロウェルの前記上部の前記開口部の少なくとも1つを封止するように構成されており、
前記2つ又はそれ以上のカセットの少なくとも2つのカセットの前記膜部組立体は同時に前記マイクロウェルアレイへ付着されるように又は同時に前記マイクロウェルアレイから解放されるように構成されている、システム。
【請求項103】
生体粒子を収集、保存、又は分析するためのキットであって、
(a)請求項1乃至89の何れか一項に記載の1つ又はそれ以上のカセット又は請求項90乃至102の何れか一項に記載のシステムと、
(b)1つ又はそれ以上の試薬と、
を備えているキット。
【請求項104】
請求項103に記載のキットにおいて、
ビーズが前記マイクロウェルの中へ事前装填されている、キット。
【請求項105】
請求項103又は104に記載のキットにおいて、
前記1つ又はそれ以上の試薬は、湿潤溶液、洗浄流体、溶解バッファ、固定剤、組織保存試薬、細胞培養媒体、又はそれらの組合せを備えている、キット。
【請求項106】
請求項103乃至105の何れか一項に記載のキットであって、
前記1つ又はそれ以上のカセット又は前記システムの使用についてのプロトコルを提供する説明書、を更に備えているキット。
【請求項107】
請求項1乃至89の何れか一項に記載のカセット、請求項90乃至102の何れか一項に記載のシステム、又は請求項103乃至105の何れか一項に記載のキットを使用した、生体粒子を収集、保存、又は分析するための方法。
【請求項108】
試料容器カセットを使用した、生体粒子を収集、保存、又は分析するための方法であって、前記試料容器カセットは、
(a)プランジャを備えるプランジャ部組立体と、
(b)膜フレーム、及び、膜上部表面及び膜下部表面を備える膜、を備えている膜部組立体と、
(c)ベース及びベース上に設けられたマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、を備え、
前記方法は、
(a)1つ又はそれ以上の生体粒子を備える試料流体を前記マイクロウェルアレイ上へ装填し、
それによって少なくとも1つの生体粒子を前記マイクロウェルの1つの中へ装填する工程と、
(b)前記膜部組立体を前記マイクロウェルアレイ上へ適用する工程であって、前記膜部組立体は前記プランジャ部組立体へ付着されている、前記膜部組立体を適用する工程と、
(c)前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分を前記膜下部表面の少なくとも一部分と接触させる工程であって、前記接触が少なくとも1つの生体粒子を前記マイクロウェルの1つのマイクロウェルの中に保留する、接触させる工程と、を備えている、方法。
【請求項109】
請求項108に記載の方法において、
前記適用する工程及び前記接触させる工程が同時に起こる、方法。
【請求項110】
請求項108又は109に記載の方法において、
前記膜が半透過性である、方法。
【請求項111】
請求項108又は109に記載の方法において、
前記複数のマイクロウェルのそれぞれが上部の開口部と下部表面を備え、前記下部表面は半透過性膜を備えている、方法。
【請求項112】
請求項108乃至111の何れか一項に記載の方法において、
前記方法は、前記試料流体が装填される前に、前記マイクロウェルアレイを取り囲む高い装填リングを付着させる工程を備えている、方法。
【請求項113】
請求項108乃至112の何れか一項に記載の方法において、
前記方法は、前記試料流体が装填される前に、前記マイクロウェルアレイを湿潤させる工程を備えている、方法。
【請求項114】
請求項113に記載の方法において、
前記湿潤させる工程が前記マイクロウェルアレイ上へ湿潤溶液を装填する工程を備えている、方法。
【請求項115】
請求項114に記載の方法において、
前記湿潤させる工程が前記マイクロウェルアレイから前記湿潤溶液を除去する工程を更に備えている、方法。
【請求項116】
請求項113乃至115の何れか一項に記載の方法において、
前記湿潤させる工程が前記マイクロウェルアレイを洗浄バッファで洗浄する工程を備えている、方法。
【請求項117】
請求項113乃至116の何れか一項に記載の方法において、
前記湿潤させる工程が、前記マイクロウェルアレイ上へ洗浄バッファを装填し、前記洗浄バッファを前記マイクロウェルアレイ上に約30分~約24時間に亘って放置する工程を備えている、方法。
【請求項118】
請求項116又は117に記載の方法において、
前記湿潤させる工程が前記洗浄バッファを除去する工程を更に備えている、方法。
【請求項119】
請求項108乃至118の何れか一項に記載の方法において、
前記試料流体はピペット操作によって装填される、方法。
【請求項120】
請求項108乃至119の何れか一項に記載の方法であって、
前記装填された試料流体を撹拌する工程、を更に備えている方法。
【請求項121】
請求項108乃至120の何れか一項に記載の方法であって、
前記装填された試料流体を培養する工程、を更に備えている方法。
【請求項122】
請求項108乃至121の何れか一項に記載の方法において、
前記試料流体中の生体粒子の数と前記マイクロウェルアレイ内のマイクロウェルの数の比が約1:100~約1:1である、方法。
【請求項123】
請求項108乃至121の何れか一項に記載の方法において、
前記試料流体中の生体粒子の数と前記マイクロウェルアレイ内のマイクロウェルの数の比が約1:20~約1:4である、方法。
【請求項124】
請求項108乃至123の何れか一項に記載の方法において、
前記試料流体中の前記生体粒子の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は少なくとも99%が前記マイクロウェル内に装填される、方法。
【請求項125】
請求項108乃至124の何れか一項に記載の方法であって、
前記試料流体が装填された後に前記マイクロウェルアレイへ保存バッファを適用する工程、を更に備えている方法。
【請求項126】
請求項109乃至125の何れか一項に記載の方法において、
前記方法は、試料流体が装填された後に前記装填リングを除去する工程を備えている、方法。
【請求項127】
請求項108乃至126の何れか一項に記載の方法において、
前記膜部組立体は前記プランジャへ可逆的に付着される、方法。
【請求項128】
請求項127に記載の方法において、
前記プランジャが上部表面及び下部表面を備えており、前記プランジャ下部表面の少なくとも一部分は前記膜上部表面に接触する、方法。
【請求項129】
請求項128に記載の方法において、
前記プランジャ下部表面の前記少なくとも一部分は直接に又は媒体を通して前記膜上部表面に接触する、方法。
【請求項130】
請求項129に記載の方法において、
前記媒体は吸収性材料の層と細胞保全溶液を備えている、方法。
【請求項131】
請求項128に記載の方法において、
前記プランジャ下部表面は湾曲表面を備えている、方法。
【請求項132】
請求項127乃至131の何れか一項に記載の方法において、
前記膜部組立体は、前記プランジャを操作することによって前記マイクロウェルアレイへ適用される、方法。
【請求項133】
請求項108乃至132の何れか一項に記載の方法において、
前記膜部組立体が前記マイクロウェルアレイへ適用された後に、前記流体の少なくとも一部が押し退けられる、方法。
【請求項134】
請求項133に記載の方法において、
前記押し退けられた流体は、前記試料流体の一部、前記湿潤溶液の一部、前記洗浄バッファの一部、前記保存バッファの一部、又はそれらの組合せを備えている、方法。
【請求項135】
請求項133又は134に記載の方法において、
前記押し退けられた流体は、前記ベースの側部に配置された1つ又はそれ以上のポートから除去される、方法。
【請求項136】
請求項108乃至135の何れか一項に記載の方法において、
前記マイクロウェルアレイの前記上部表面と前記膜下部表面の間の前記接触は、少なくとも1000個の生体粒子を前記マイクロウェル内に保留する、方法。
【請求項137】
請求項108乃至136の何れか一項に記載の方法であって、
前記保留された少なくとも1つの生体粒子を1日又はそれ以上の日数に亘って保存する工程、を更に備えている方法。
【請求項138】
請求項127乃至137の何れか一項に記載の方法において、
前記方法は、前記プランジャを前記膜部組立体から解放し、それによって前記膜上部表面を露出させる工程を備えている、方法。
【請求項139】
請求項108乃至138の何れか一項に記載の方法において、
前記生体粒子は、生体材料を備えるビーズである、方法。
【請求項140】
請求項108乃至138の何れか一項に記載の方法において、
前記生体粒子は哺乳類細胞である、方法。
【請求項141】
請求項108乃至139の何れか一項に記載の方法において、
前記マイクロウェルアレイは複数のビーズを事前装填される、方法。
【請求項142】
請求項140又は141に記載の方法において、
前記方法は、前記細胞の少なくとも1つを溶解させ、それによって前記細胞からRNAを解放する工程を更に備えている、方法。
【請求項143】
請求項142に記載の方法において、
前記方法は、前記溶解させた細胞と同じマイクロウェル内に存するビーズ上に前記RNAを捕捉する工程を備えている、方法。
【請求項144】
請求項108乃至143の何れか一項に記載の方法において、
前記方法は、前記マイクロウェルアレイから前記膜部組立体を除去する工程を更に備えている、方法。
【請求項145】
請求項141乃至144の何れか一項に記載の方法において、
前記方法は、前記複数のビーズの少なくとも一部を収集する工程を備えている、方法。
【請求項146】
請求項108乃至145の何れか一項に記載の方法であって、
前記生体粒子のDNA又はRNAライブラリを構築する工程、を備えている方法。
【請求項147】
請求項108乃至146の何れか一項に記載の方法であって、
2つ又はそれ以上の前記試料容器カセットをカセットフレーム上へ設置する工程、を更に備えている方法。
【請求項148】
請求項147に記載の方法であって、
前記カセットフレーム上の前記2つ又はそれ以上のカセットの前記プランジャ部組立体を同時発生的に解放する工程、を更に備えている方法。
【請求項149】
請求項147に記載の方法であって、
前記カセットフレーム上の前記2つ又はそれ以上のカセットのそれぞれから少なくとも1つの生体粒子を同時発生的に収集する工程、を更に備えている方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001]本願は、2019年6月7日出願の米国仮特許出願第62/858,773号の恩典を主張し、同仮出願のその全体を参照により本明細書に組み入れる。
【技術分野】
【0002】
本開示は生物学的試料の収集、保存、及び分析のための試料容器カセット(cellular cassette)に関する。
【背景技術】
【0003】
[0002]単一細胞溶液を用いた細胞ベースのアッセイが遺伝子発現の不均一性を理由に大きな関心を集めている。個々の細胞間の遺伝子発現の違いにアクセスすることは、プールされた細胞を分析することによって検知することのできない希少な細胞集団の同定を容易にし得る。単一細胞の単離及び分析は、10xゲノミクス社(10x Genomics)によって販売されているChromium Systemの様な液滴ベースのプラットフォームで遂行されることがある。Chromium Systemを使用した場合、反応物はGEMs(ゲルビーズ・イン・エマルジョン)という名の固有にバーコード化されたビーズを含有するナノリットルスケールの液滴へ分割される。この技術は、単一細胞を分割するのに使用することができる。単一細胞の単離及び分析は、フリューダイム社(Fluidigm)によって販売されているFluidigm C1及び米国特許第2019014936A1号に記載のSeq-wellの様なマイクロアレイベースのプラットフォームで遂行することもできる。
【0004】
[0003]しかしながら、既存の技術は、効率的な非同期単一細胞分析を可能にする溶液を提供できていない。既存の液滴ベース又はマイクロアレイベースのシステムを使用した単一細胞シーケンシングライブラリの作成に先立って、単一細胞試料を収集し及び保存することは難題である。ゆえに、単一細胞シーケンシングライブラリの作成に先立つ単一細胞の収集と保存を容易にするデバイス及び方法に対するニーズが以前より存在する。非同期単一細胞分析を容易にするデバイス及び方法に対するニーズが以前より存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国仮特許出願第62/858,773号
【特許文献2】米国特許第2019014936A1号
【特許文献3】米国特許第2019/0144936A1号
【特許文献4】国際公開第2017124101A2号
【特許文献5】米国特許出願第16/213,551号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「Seq-Well:ポータブル型、低コスト、高スループットの単一細胞のRNAシーケンシング」ネイチャーメソッド、395(14:4)2017(“Seq-Well: portable, low-cost RNA sequencing of single cells at high throughput,” Nature Methods, 395 (14:4) 2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0004]生物学的試料を収集、保存、又は分析するためのデバイス、システム、及び方法を本明細書に記載する。記載のデバイス、システム、及び方法は、既存の技術を凌ぐ有意な利点をもたらすものであり、例えば、ここに開示されているデバイス、システム、及び方法は、非同期単一細胞分析のための生物学的試料の収集及び保存を可能にし、また開示のデバイス、システム、及び方法は、スケーラブルで費用効果の高い試料の単一細胞インテロゲーションを一元化された分析処理の効率及び品質と共に可能にする。ここに開示されている様に、生物学的試料は、臨床現場(point-of-care)所在地を含む何れの環境で捕捉されてもよい。生物学的試料を捕捉した後、試料の生物学的状態及び生物学的情報をロックインし、保全し、試料の完全性を、保存中、配送中、及び最終的な処理中に必要な限り長く維持できるようにする。加えて、捕捉された試料を一元的に処理できるようにし、それによって効率を上げ、変動を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0005]1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)プランジャを備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を有している、プランジャ部組立体と、(b)膜部組立体であって、(i)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、(ii)前記プランジャへ付着するように構成された膜フレーム、を備えており、前記半透過性膜は前記膜フレームへ付着されており、前記膜部組立体は、前記膜フレームが前記プランジャ部組立体へ付着されているときに前記プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分が前記膜上部表面と接触しているように構成されている、膜部組立体と、(c)マイクロウェルアレイ及びマイクロウェルアレイを支持するベースを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは複数のマイクロウェルがそこに置換されて備わる上部表面を備えており、前記装填部組立体は、前記膜部組立体が当該装填部組立体へ付着されているときに前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分が前記膜下部表面と接触しているように構成されている、装填部組立体と、を備え、前記膜下部表面と前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の間の前記接触は1つ又はそれ以上の生体粒子を前記マイクロウェルアレイ内に保留するように構成されている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)上部表面及び下部表面を備えるプランジャと、(b)膜部組立体であって、(i)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、(ii)前記プランジャへ付着するように構成された膜フレーム、を備えており、前記半透過性膜は前記膜フレームへ付着されており、前記膜部組立体は、前記膜フレームが前記プランジャへ付着されているときに当該プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分が前記膜上部表面と接触していることを許容するように構成されている、膜部組立体と、(c)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えており、前記装填部組立体は、前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分が前記膜下部表面と接触していることを許容するように構成されている、装填部組立体と、を備え、前記接触は1つ又はそれ以上の生体粒子を前記マイクロウェルアレイ内に保留することができる。幾つかの実施形態では、カセットは、プランジャと膜部組立体を装填部組立体に関して所定位置にロックすることのできるロッキング機構を備えている。幾つかの実施形態では、カセットは、前記プランジャ部組立体と前記膜部組立体を前記装填部組立体に関して前記所定位置にロックするように構成されたロッキング機構を備えている。幾つかの実施形態では、ロッキング機構は、前記マイクロウェルアレイの前記上部表面と前記膜下部表面の間の接触を維持するように構成されている。幾つかの実施形態では、プランジャ部組立体は上部ロッキング部材を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャは上部ロッキング部材を備えている。幾つかの実施形態では、ベースは、上部ロッキング部材に係合するように構成された下部ロッキング部材を備えている。幾つかの実施形態では、下部ロッキング部材は、スナップトラップ機構を通して上部ロッキング部材に係合するように構成されている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイの上部表面と膜下部表面の間の接触は、上部ロッキング部材と下部ロッキング部材を係合させることによって維持される。幾つか実施形態では、プランジャの下部表面は湾曲表面を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャの下部表面は凸状表面を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャの下部表面はエラストマー表面を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャの下部表面は実質的に円形である。幾つかの実施形態では、前記プランジャは、1つ又はそれ以上のカットアウトを備えた側部表面を備えている。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上のカットアウトはプランジャ上を垂直方向に走るグローブ(grove)である。幾つかの実施形態では、プランジャ部組立体は剛性の上部表面を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャ部組立体は、プランジャ部組立体又はカセットの位置を設定又は操作できるようにする機構を備えた上部表面を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャ部組立体の上部表面上の機構はハンドルを備えている。幾つかの実施形態では、プランジャの上部表面は剛性表面を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャの上部表面はハンドルを備えている。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、最小でも1nm、最小でも10nm、最小でも20nm、最小でも30nm、最小でも40nm、最小でも50nm、最小でも75nm、最小でも100nm、最小でも200nm、最小でも300nm、最小でも400nm、最小でも500nm、最小でも600nm、最小でも700nm、最小でも800nm、最小でも900nm、又は最小でも1000nmの平均細孔直径を有している。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、最大でも20nm、最大でも30nm、最大でも40nm、最大でも50nm、最大でも75nm、最大でも100nm、最大でも200nm、最大でも300nm、最大でも400nm、最大でも500nm、最大でも600nm、最大でも700nm、最大でも800nm、最大でも900nm、最大でも1μm、最大でも2μm、最大でも3μm、最大でも5μm、又は最大でも10μmの平均細孔直径を有している。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、約1nm~約200nmの平均細孔直径を有している。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、1つ又はそれ以上のビーズ、1つ又はそれ以上の生体粒子、又はそれら両方を保留するように構成されている。幾つかの実施形態では、生体粒子は、細胞、ゲノム、核酸、ウイルス、核、タンパク質、ペプチド、又はそれらの組合せを備えている。幾つかの実施形態では、生体粒子は1つ又はそれ以上の細胞を備えている。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上の細胞は、細菌細胞、植物細胞、動物細胞、又はそれらの組合せを備えている。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上の細胞は哺乳類細胞を備えている。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上の細胞は血液細胞を備えている。幾つかの実施形態では、膜部組立体は実質的に円形の形状を有している。幾つかの実施形態では、膜フレームはプランジャへ可逆的に付着するように構成されている。幾つかの実施形態では、膜フレームは前記プランジャ又は前記プランジャ部組立体へ可逆的に付着するように構成されている。幾つかの実施形態では、膜フレームは剛性である。幾つかの実施形態では、膜フレームは円筒形状を備えている。幾つかの実施形態では、前記プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分は、前記膜フレームが前記プランジャ部組立体へ付着されているときに前記膜上部表面と直接接触している。幾つかの実施形態では、前記膜フレームが前記プランジャ部組立体へ付着されているときに、プランジャの下部表面の前記少なくとも一部分は、前記半透過性膜と前記プランジャの間に設けられた媒体を通して前記膜上部表面と接触している。幾つかの実施形態では、媒体は吸収性材料を備えている。幾つかの実施形態では、吸収性材料は紙又は超吸水性ポリマーを備えている。幾つかの実施形態では、媒体は細胞保全溶液を備えている。幾つかの実施形態では、媒体は溶液のための溜めとして機能する。幾つかの実施形態では、媒体は流体溜めとして機能する。幾つかの実施形態では、膜部組立体は、膜フレームがプランジャへ付着されているときにプランジャの下部表面が膜上部表面と接触していることを許容するように構成されている。幾つかの実施形態では、膜部組立体はプランジャへ事前付着されている。幾つかの実施形態では、膜部組立体はプランジャ部組立体へ事前付着されている。幾つかの実施形態では、膜部組立体は装填部組立体へ可逆的に付着するように構成されている。幾つかの実施形態では、膜下部表面は1つ又はそれ以上の反応性官能基を備えている。幾つかの実施形態では、反応性官能基は、アミン、アミノシラン、チオシラン、メタクリレートシラン、ポリ(アリルアミン)、マレイミド、2-イミノチオラン、ポリアクリル酸又はビスエポキシ-PEGから誘導された官能基、又はそれらの組合せを備えている。幾つかの事例では、マイクロウェルアレイの上部表面は1つ又はそれ以上の反応性官能基を備えている。幾つかの実施形態では、反応性官能基は、アミン、アミノシラン、チオシラン、メタクリレートシラン、ポリ(アリルアミン)、ポリ(リジン)、BSA、エポキシドシラン、キトサン、2-イミノチオラン、ポリアクリル酸又はビスエポキシ-PEG又は酸化アガロースから誘導された官能基、又はそれらの組合せを備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイは1つ又はそれ以上のカットアウトを備えている。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上のカットアウトは、アレイの中心部に配置されたカットアウト、アレイの側部に配置されたカットアウト、又はそれら両方を備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイは、約5000個~約1,000,000個のマイクロウェルを備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイは、約50,000個~約150,000個のマイクロウェルを備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの、上部表面での平均直径は、最小でも5ミクロン、最小でも7ミクロン、最小でも10ミクロン、最小でも20ミクロン、最小でも30ミクロン、最小でも45ミクロン、最小でも50ミクロン、又は最小でも100ミクロンである。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの、上部表面での平均直径は、最大でも1000ミクロン、最大でも500ミクロン、最大でも400ミクロン、最大でも300ミクロン、最大でも200ミクロン、最大でも100ミクロン、最大でも75ミクロン、最大でも50ミクロン、最大でも40ミクロン、最大でも30ミクロン、最大でも20ミクロン、最大でも10ミクロン、又は最大でも5ミクロンである。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの、上部表面での平均直径は、約5ミクロン~約50ミクロンである。幾つかの実施形態では、装填部組立体は、マイクロウェルアレイを取り囲む高い装填リングを備えている。幾つかの実施形態では、装填リングは疎水性内向表面を備えている。幾つかの実施形態では、装填リングはベースの一部である。幾つかの実施形態では、装填リングはベースへ可逆的に付着可能である。幾つかの実施形態では、装填リングは、マイクロウェルアレイを覆う蓋を備えている。幾つかの実施形態では、装填部組立体は、マイクロウェルアレイを覆う蓋を備えている。幾つかの実施形態では、蓋は1つ又はそれ以上の開口部を備えている。幾つかの実施形態では、装填リングは、マイクロウェルアレイ上に流体を保留するように構成されている。幾つかの実施形態では、装填リングは、約0.1ml~約5mlの流体を保留するように構成されている。幾つかの実施形態では、ベースは、マイクロウェルアレイに対して陥凹区域を備えている。幾つかの実施形態では、陥凹区域は、装填リングによって保留された流体を収容することができる。幾つかの実施形態では、陥凹区域は、前記装填リングによって保留された流体を収容するように構成されている。幾つかの実施形態では、ベースは、液体除去を許容するように構成された1つ又はそれ以上のポートを備えている。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上のポートは、ベースの側部に設けられている。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上のポートは、ベースの下部に設けられている。幾つかの実施形態では、ベースは、陥凹区域から1つ又はそれ以上のポートへの流体流れを促すことのできる1つ又はそれ以上のチャネルを備えている。幾つかの実施形態では、ベースは、前記陥凹区域から
前記1つ又はそれ以上のポートへの流体流れを促すように構成された1つ又はそれ以上のチャネルを備えている。幾つかの実施形態では、装填部組立体は、マイクロウェルアレイの上部表面が前記膜下部表面と接触され、それによって前記マイクロウェルアレイが封止されるのを許容するように構成されている。幾つかの実施形態では、ベースは、1つ又はそれ以上のキーの挿入を許容するように構成された1つ又はそれ以上のキー孔を備え、1つ又はそれ以上のキーの挿入は上部ロッキング部材と下部ロッキング部材を係合解除する。幾つかの実施形態では、挿入は、プランジャを装填部組立体及び膜部組立体から解放する。幾つかの実施形態では、挿入は、前記プランジャ部組立体を前記装填部組立体から解放する。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイは複数のビーズを備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも99.9%、又は少なくとも100%は単一ビーズを格納している。幾つかの実施形態では、複数のマイクロウェルの1つ又はそれ以上は単一ビーズを備えている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)膜フレーム及び前記膜フレームへ付着された半透過性膜を備える膜部組立体であって、前記半透過性膜は膜上部表面及び膜下部表面を備えており、前記膜上部表面及び前記膜下部表面の少なくとも一部分は何らの基板にも支持されていない、膜部組立体と、(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、を備え、前記膜部組立体は前記装填部組立体へ可逆的に付着可能であり、前記膜部組立体が前記装填部組立体へ付着されているときに前記膜下部表面は前記マイクロウェルアレイの前記上部表面と接触している。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)膜フレーム及び前記膜フレームへ付着された半透過性膜を備える膜部組立体であって、前記半透過性膜は膜上部表面及び膜下部表面を備えており、前記膜上部表面及び前記膜下部表面の少なくとも一部分は何らの基板にも支持されていない、膜部組立体と、(b)ベース及びマイクロウェルを備える装填部組立体と、を備え、前記膜部組立体は前記装填部組立体へ可逆的に付着可能であり、前記膜部組立体が前記装填部組立体へ付着されているときに前記膜下部表面は前記マイクロウェルと接触している。幾つかの実施形態では、膜下部表面とマイクロウェルの上部表面の間の接触は、1つ又はそれ以上のビーズ、1つ又はそれ以上の生体粒子、又はそれら両方を保留するように構成されている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)膜フレーム及び半透過性膜を備える膜部組立体であって、前記半透過性膜は膜上部表面及び膜下部表面を備えており、前記膜上部表面及び前記膜下部表面の少なくとも一部分は何らの基板にも支持されていない、膜部組立体と、(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、を備え、前記膜下部表面は前記装填部組立体の前記上部表面の少なくとも一部分と結着するように構成されている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜であって、前記膜上部表面及び前記膜下部表面の少なくとも一部分は何らの基板にも支持されていない、半透過性膜と、(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、を備え、前記膜下部表面は前記装填部組立体の前記上部表面の少なくとも一部分と結着するように構成されている。幾つかの実施形態では、(i)膜下部表面、(ii)装填部組立体の上部表面、又はそれら両方は、1つ又はそれ以上の反応性官能基を備えている。幾つかの実施形態では、膜上部表面及び膜下部表面は何らの基板にも支持されていない。幾つかの実施形態では、カセットは、プランジャを備えるプランジャ部組立体を備えており、プランジャ部組立体は前記膜部組立体へ可逆的に付着可能である。幾つかの実施形態では、プランジャは、前記プランジャが前記膜部組立体へ付着されているときに前記膜上部表面と接触している。幾つかの実施形態では、プランジャは直接に又は流体溜めを通して前記膜上部表面に接触する。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜と、(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、を備え、前記半透過性膜は前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分へ結着するように構成されている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜と、(b)ベース及びマイクロウェルがそこに置換されて備わる上部表面を備えた装填部組立体と、を備え、前記半透過性膜は前記上部表面の少なくとも一部分へ結着するように構成されている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜と、(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、を備え、前記半透過性膜は前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分へ結着するように構成されており、前記結着は加熱プロセスを要しない。幾つかの実施形態では、膜下部表面とマイクロウェルアレイの間の結着は1つ又はそれ以上の生体粒子を前記マイクロウェル内に保留する。幾つかの実施形態では、膜下部表面は、50°Cより下、45°Cより下、40°Cより下、35°Cより下、又は30°Cより下の温度下に、前記装填部組立体の上部表面の少なくとも一部分と結着するように構成されている。幾つかの実施形態では、膜下部表面は大気温度下に前記装填部組立体の上部表面の少なくとも一部分と結着するように構成されている。幾つかの実施形態では、結着は可逆的である。幾つかの実施形態では、膜下面は、50°Cより下、45°Cより下、40°Cより下、35°Cより下、又は30°Cより下の温度にてマイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分と結着するように構成されている。幾つかの実施形態では、膜下部表面は大気温度下にマイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分と結着するように構成されている。
【0009】
[0006]1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは上から下へ以下を備え、即ち、(a)上部表面、プランジャ、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を備えている、プランジャ部組立体と、(b)膜部組立体であって、(i)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、(ii)前記プランジャ部組立体へ可逆的に付着するように構成された膜フレーム、を備えており、前記半透過性膜は前記膜フレームへ付着されており、前記膜部組立体は、前記膜フレームが前記プランジャ部組立体へ付着されているときに前記プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分が前記膜上部表面と接触していることを許容するように構成されている、膜部組立体と、(c)装填部組立体であって、(i)下部ロッキング部材を備えるベース、及び、(ii)前記ベース上に設けられたマイクロウェルアレイ、を備えており、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えており、前記下部ロッキング部材は前記上部ロッキング部材と係合し、それによって前記膜下部表面の少なくとも一部分と前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分の間の接触を維持するように構成されている、装填部組立体と、を備えている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは上から下へ以下を備え、即ち、(a)上部表面、プランジャ、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を備えている、プランジャ部組立体と、(b)膜部組立体であって、(i)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、(ii)前記半透過性膜を保持する膜フレーム、を備えており、前記膜フレームは前記プランジャ部組立体へ付着されており、プランジャの前記下部表面は前記膜上部表面と接触している、膜部組立体と、(c)装填部組立体であって、(i)下部ロッキング部材を備えるベース、及び、(ii)前記ベース上に設けられたマイクロウェルアレイ、を備えており、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えており、前記下部ロッキング部材は、前記上部ロッキング部材と係合し、それによって前記膜下部表面の少なくとも一部分と前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分の間の接触を維持するように構成されている、装填部組立体と、を備えている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは上から下へ以下を備え、即ち、(a)上部表面、プランジャ、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を備えている、プランジャ部組立体と、(b)膜部組立体であって、(i)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、(ii)前記プランジャ部組立体へ可逆的に付着するように構成された膜フレーム、を備えており、前記半透過性膜は前記膜フレームへ付着されており、前記膜部組立体は、前記膜フレームが前記プランジャ部組立体へ付着されているときに前記プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分が前記膜上部表面と接触していることを許容するように構成されており、更に、(iii)前記上部ロッキング部材と係合するように構成された下部ロッキング部材、を備えている膜部組立体と、(c)ベース上に設けられたマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、を備えている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは上から下へ以下を備え、即ち、(a)上部表面、プランジャ、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を備えている、プランジャ部組立体と、(b)膜部組立体であって、(i)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、(ii)前記半透過性膜を保持する膜フレームであって、前記プランジャ部組立体へ付着されている膜フレーム、を備えており、プランジャの前記下部表面は前記膜上部表面と接触しており、更に、(i)前記上部ロッキング部材と係合するように構成された下部ロッキング部材、を備えている膜部組立体と、(ii)ベース上に設けられたマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャの下部表面は、吸収性材料と細胞保全溶液を備えている流体溜めを通して前記膜上部表面と接触している。幾つかの実施形態では、ベースは流体収集用の1つ又はそれ以上のポートを備えている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは上から下へ以下を備え、即ち、(a)上部表面、プランジャ、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を備えている、プランジャ部組立体と、(b)膜部組立体であって、膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び前記プランジャ部組立体へ可逆的に付着するように構成された膜フレーム、を備えており、前記半透過性膜は前記膜フレームへ付着されており、前記膜部組立体は、前記膜フレームが前記プランジャ部組立体へ付着されているときに前記プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分が前記膜上部表面と接触していることを許容するように構成されている、膜部組立体と、(c)装填部組立体であって、下部ロッキング部材及び流体収集用の1つ又はそれ以上のポートを備えるベース、及び前記ベースへ結着されたマイクロウェルアレイ、を備えており、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えており、前記下部ロッキング部材は、前記上部ロッキング部材と係合し、それによって前記膜下部表面の少なくとも一部分と前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分の間の接触を維持するように構成されている、装填部組立体と、を備えている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは上から下へ以下を備え、即ち、(a)上部表面、プランジャ、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャ部組立体であって、前記プランジャは下部表面を備えている、プランジャ部組立体と、(b)膜部組立体であって、膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び前記半透過性膜を保持する膜フレーム、を備えており、前記膜フレームは前記プランジャ部組立体へ付着されており、プランジャの前記下部表面は前記膜上部表面と接触している、膜部組立体と、(c)装填部組立体であって、下部ロッキング部材及び流体収集用の1つ又はそれ以上のポートを備えるベース、及び前記ベースへ結着されたマイクロウェルアレイ、を備えており、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えており、前記下部ロッキング部材は、前記上部ロッキング部材と係合し、それによって前記膜下部表面の少なくとも一部分と前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分の間の接触を維持するように構成されている、装填部組立体と、を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャの下部表面は、吸収性材料と細胞保全溶液を備える流体溜めを通して前記膜上部表面と接触している。幾つかの実施形態では、前記マイクロウェルの少なくとも1つは単一の生体粒子を備えている。幾つかの実施形態では、カセットは、それぞれが単一の生体粒子を備えた少なくとも1000個のマイクロウェルを備えている。幾つかの実施形態では、単一の生体粒子は単一細胞又は単一ビーズである。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)上部表面、下部表面、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャと、(b)膜部組立体であって、(i)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、(ii)前記プランジャへ可逆的に付着するように構成された膜フレーム、を備えており、前記半透過性膜は前記膜フレームへ付着されており、前記膜部組立体は、前記膜フレームが前記プランジャへ付着されているときに前記プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分が前記膜上部表面と接触していることを許容するように構成されている、膜部組立体と、(b)装填部組立体であって、(i)下部ロッキング部材及び1つ又はそれ以上のポートを備えるベース、及び、(ii)前記ベースへ結着されたマイクロウェルアレイ、を備えており、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えており、前記下部ロッキング部材は、前記上部ロッキング部材と係合し、それによって前記膜下部表面の少なくとも一部分と前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分の間の接触を維持するように構成されており、前記1つ又はそれ以上のポートは、前記上部ロッキング部材が前記下部ロッキング部材と係合されたときに液体除去を許容するように構成されている、装填部組立体と、を備えている。
【0010】
[0007]1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るシステムが本明細書に開示されており、前記システムは、(a)1つ又はそれ以上の記載のカセットと、(b)前記1つ又はそれ以上のカセットを保持するように構成されたカセットフレームと、を備えている。幾つかの実施形態では、カセットフレームは、生体分子スクリーニング学会(SBS:Society for Biomolecular Screening)規格に従って構成されている。幾つかの実施形態では、システムは1個~約300個の前記カセットを備えている。幾つかの実施形態では、システムは、約6個、約8個、約12個、約24個、約96個、又は約120個の前記カセットを備えている。幾つかの実施形態では、システムは、1つ又はそれ以上のキーであって前記カセットへ挿入されたときに1つ又はそれ以上のプランジャ部組立体が1つ又はそれ以上の装填部組立体から解放されるように構成されているキーを備えている。幾つかの実施形態では、キーは前記カセットフレームへ組み込まれている。幾つかの実施形態では、前記1つ又はそれ以上のカセットの少なくとも2つは事前接続されている。幾つかの実施形態では、シスムは1つ又はそれ以上の生体粒子収集ユニットを備えている。幾つかの実施形態では、収集ユニットは、それぞれが複数の陥凹を備えた1つ又はそれ以上の収集プレートを備えている。幾つかの実施形態では、収集ユニットは1つ又はそれ以上の円錐形状をしたカセット収集部を備えている。幾つかの実施形態では、カセット収集部は、ビーズが通過するのを許容するように構成された開口部を中心部に備えている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るシステムが本明細書に開示されており、前記システムは、2つ又はそれ以上のカセットを備え、前記カセットのそれぞれは、(a)半透過性膜を備える膜部組立体と、(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、を備え、前記半透過性膜は、前記膜部組立体が前記装填部組立体へ付着されたときに前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分に接触するように構成されており、前記2つ又はそれ以上のカセットの少なくとも2つのカセットの前記膜部組立体は同時に前記マイクロウェルアレイへ付着されるように又は同時に前記マイクロウェルアレイから解放されるように構成されている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るシステムが本明細書に開示されており、前記システムは、2つ又はそれ以上のカセットを備え、前記カセットのそれぞれは、(a)不透過性膜を備える膜部組立体と、(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは、それぞれが下部表面と上部の開口部を備える複数のマイクロウェルを備え、前記マイクロウェルの下部表面は半透過性膜を備えている、装填部組立体と、を備えており、前記不透過性膜は、前記膜部組立体が前記装填部組立体へ付着されたときに前記マイクロウェルアレイの前記開口部の少なくとも1つを封止するように構成されており、2つ又はそれ以上のカセットの少なくとも2つのカセットの前記膜部組立体は同時に前記マイクロウェルアレイへ付着されるように又は同時に前記マイクロウェルアレイから解放されるように構成されている。別の態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るシステムが本明細書に開示されており、前記システムは、(a)本明細書に記載されている1つ又はそれ以上のカセットと、(b)前記プランジャを前記装填部組立体から解放することのできる1つ又はそれ以上のキーと、(c)前記1つ又はそれ以上のカセットを保持するように構成された生体分子スクリーニング学会(SBS)規格の大きさのフレームと、を備えている。幾つかの実施形態では、システムは、1個~約300個のカセットを備えている。幾つかの実施形態では、システムは、約6個、約8個、約12個、約24個、約96個、又は約120個のカセットを備えている。幾つかの実施形態では、キーはSBSフレームへ組み込まれている。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上のカセットの少なくとも2つは事前接続されている。幾つかの実施形態では、システムは1つ又はそれ以上の生体粒子収集ユニットを備えている。幾つかの実施形態では、収集ユニットは、それぞれが複数の陥凹を備える1つ又はそれ以上の収集プレート、を備えている。幾つかの実施形態では、収集ユニットは1つ又はそれ以上の円錐形状をしたカセット収集部を備えている。幾つかの実施形態では、カセット収集部は、ビーズが通過するのを許容するように構成された孔を中心部に備えている。1つの態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るシステムが本明細書に開示されており、前記システムは、2つ又はそれ以上のカセットを備え、前記カセットのそれぞれは、(a)半透過性膜と、(b)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、を備え、前記2つ又はそれ以上のカセットの少なくとも2つのカセットの前記半透過性膜は同時に前記マイクロウェルアレイへ付着されるように又は同時に前記マイクロウェルアレイから解放されるように構成されている。
【0011】
[0008]別の態様では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るキットが本明細書に記載されており、キットは、本明細書に開示されている1つ又はそれ以上のカセット又は本明細書に開示されているシステムと、1つ又はそれ以上の試薬と、を備えている。幾つかの実施形態では、ビーズがマイクロウェルの中へ事前装填されている。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上の試薬は、湿潤溶液、洗浄流体、溶解バッファ、固定剤、組織保存試薬、細胞培養媒体、又はそれらの組合せを備えている。幾つかの実施形態では、デバイスは1つ又はそれ以上の細胞を備えている。幾つかの実施形態では、デバイスは1つ又はそれ以上の核酸を備えている。幾つかの実施形態では、キットは、前記1つ又はそれ以上のカセット又は前記システムの使用についてのプロトコルを提供する説明書を備えている。
【0012】
[0009]別の態様では、本明細書に開示されているカセット、本明細書に開示されているシステム、又は本明細書に開示されているキットを使用した、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或る方法が本明細書に開示されている。1つの態様では、試料容器カセットを使用した、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或る方法が本明細書に開示されており、前記試料容器カセットは、(a)プランジャを備えるプランジャ部組立体と、(b)膜フレーム、及び、膜上部表面及び膜下部表面を備える膜、を備える膜部組立体と、(c)ベース及びベース上に設けられたマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えている、装填部組立体と、を備え、前記方法は、1つ又はそれ以上の生体粒子を備える試料流体を前記マイクロウェルアレイ上へ装填し、それによって少なくとも1つの生体粒子を前記マイクロウェルの1つの中へ装填する工程と、前記膜部組立体を前記マイクロウェルアレイ上へ適用する工程であって、前記膜部組立体は前記プランジャ部組立体へ付着されている、前記膜部組立体を適用する工程と、前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分を前記膜下部表面の少なくとも一部分と接触させる工程であって、前記接触は、少なくとも1つの生体粒子を前記マイクロウェルの1つの中に保留する、接触させる工程と、を備えている。幾つかの実施形態では、適用する工程及び接触させる工程は同時に起こる。幾つかの実施形態では、膜は半透過性である。幾つかの実施形態では、前記複数のマイクロウェルのそれぞれは上部の開口部と下部表面を備えており、下部表面は半透過性膜を備えている。別の態様では、試料容器カセットを使用した、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或る方法が本明細書に開示されており、前記方法は、1つ又はそれ以上の生体粒子を備えている試料流体を、ベース上に設けられたマイクロウェルアレイであって上部表面及び複数のマイクロウェルを備えるマイクロウェルアレイ上へ装填し、それによって少なくとも1つの生体粒子をマイクロウェルの1つの中へ装填する工程と、膜部組立体を前記マイクロウェルアレイ上へ適用する工程であって、前記膜部組立体は前記プランジャ部組立体へ付着されており、膜部組立体は、膜フレーム、及び、膜上部表面及び膜下部表面を備えた半透過性膜を備えている、前記膜部組立体を適用する工程と、前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分を前記膜下部表面の少なくとも一部分と接触させる工程であって、接触は少なくとも1つの生体粒子をマイクロウェルの1つの中に保留する、接触させる工程と、を備えている。幾つかの実施形態では、方法は、試料流体が装填される前に、マイクロウェルアレイを取り囲む高い装填リングを付着させる工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法は、試料流体が装填される前に、マイクロウェルアレイを湿潤させる工程を備えている。幾つかの実施形態では、湿潤させる工程は、マイクロウェルアレイ上へ湿潤溶液を装填する工程を備えている。幾つかの実施形態では、湿潤させる工程は、マイクロウェルアレイから湿潤溶液を除去する工程を更に備えている。幾つかの実施形態では、湿潤させる工程は、マイクロウェルアレイを洗浄バッファで洗浄する工程を備えている。幾つかの実施形態では、湿潤させる工程は、マイクロウェルアレイ上へ洗浄バッファを装填し、バッファをマイクロウェルアレイ上に約30分乃至約24時間に亘って放置する工程を備えている。幾つかの実施形態では、湿潤させる工程は、洗浄バッファを除去する工程を更に備えている。幾つかの実施形態では、試料流体はピペット操作によって装填される。幾つかの実施形態では、方法は、装填された試料流体を撹拌する工程を更に備えている。幾つかの実施形態では、方法は、装填された試料流体を培養する工程を更に備えている。幾つかの実施形態では、試料流体中の生体粒子の数とマイクロウェルアレイ内のマイクロウェルの数の比は、約1:100~約1:1である。幾つかの実施形態では、試料流体中の生体粒子の数とマイクロウェルアレイ内のマイクロウェルの数の比は、約1:20~約1:4である。幾つかの実施形態では、試料流体中の生体粒子の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は少なくとも99%がマイクロウェル内に装填される。幾つかの実施形態では、方法は、試料流体が装填された後にマイクロウェルアレイへ保存バッファを適用する工程を更に備えている。幾つかの実施形態では、方法は、試料流体が装填された後に装填リングを除去する工程を備えている。幾つかの実施形態では、膜部組立体は、プランジャへ可逆的に付着される。幾つかの実施形態では、プランジャは上部表面及び下部表面を備えており、プランジャ下部表面の少なくとも一部分は膜上部表面に接触する。幾つかの実施形態では、上記プランジャ下部表面の少なくとも一部分は直接に又は媒体を通して前記膜上部表面に接触する。幾つかの実施形態では、媒体は、吸収性材料の層と細胞保全溶液を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャ下部表面は湾曲表面を備えている。幾つかの実施形態では、膜部組立体は、プランジャを操作することによってマイクロウェルアレイへ適用される。幾つかの実施形態では、膜部組立体がマイクロウェルアレイへ適用された後に、少なくとも流体の一部が押し退けられる。幾つかの実施形態では、押し退けられた流体は、試料流体の一部、湿潤溶液の一部、洗浄バッファの一部、保存バッファの一部、又はそれらの組合せを備えている。幾つかの実施形態では、押し退けられた流体は、ベースの側部に配置された1つ又はそれ以上のポートから除去される。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイの上部表面と膜下部表面の間の接触は、少なくとも1000個の生体粒子を前記マイクロウェル内に保留する。幾つかの実施形態では、方法は、保留された少なくとも1つの生体粒子を1日又はそれ以上の日数に亘って保存する工程を更に備えている。幾つかの実施形態では、方法は、プランジャを膜部組立体から解放し、それによって膜上部表面を露出させる工程を備えている。幾つかの実施形態では、生体粒子は、生体粒子を備えるビーズである。幾つかの実施形態では、生体粒子は哺乳類細胞である。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイは複数のビーズを事前装填される。幾つかの実施形態では、方法は、細胞の少なくとも1つを溶解させ、それによって細胞からRNAを解放する工程を更に備えている。幾つかの実施形態では、方法は、細胞の少なくとも1つと同じマイクロウェル内に存するビーズ上にRNAを捕捉する工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法は、前記溶解させた細胞と同じマイクロウェル内に存するビーズ上に前記RNAを捕捉する工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法は、マイクロウェルアレイから膜部組立体を除去する工程を更に備えている。幾つかの実施形態では、方法は、複数のビーズの少なくとも一部を収集する工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法は、前記生体粒子のDNA又はRNAライブラリを構築する工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法は、2つ又はそれ以上の前記試料容器カセットをカセットフレーム上へ設置する工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法は、カセットフレーム上の2つ又はそれ以上のカセットの前記プランジャ部組立体を同時発生的に解放する工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法は、カセットフレーム上の2つ又はそれ以上のカセットのそれぞれから少なくとも1つの生体粒子を同時発生的に収集する工程を備えている。
【0013】
[0010]当業者には、本開示の単に例示的な実施形態が示され説明されている以下の詳細な説明から、本開示の追加の態様及び利点が容易に明らかになるであろう。認識される様に、本開示は他の実施形態及び異なる実施形態の余地があり、その幾つかの詳細事項は、いずれも開示から逸脱することなく様々な自明の点において修正の余地がある。したがって、図面及び説明は、本質的に説明目的であると考えられ、制限を課すものとみなされてはならない。
【0014】
(参照による組み入れ)
[0011]本明細書の中で言及されるすべての公開物、特許、特許出願は、各個々の公開物、特許、又は特許出願が参照によって組み入れられることを具体的に且つ個別に表明された場合と同じ程度に参照によって本明細書に組み入れられる。
【0015】
[0012]例示としての実施形態の新規性のある特徴は、付随の特許請求の範囲に詳しく示されている。例示としての実施形態が利用されている説明目的の実施形態を記述している以下の詳細な説明及び添付図面を参照することによって、特徴及び利点のより深い理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1Bと共に、装填部組立体の或る実施形態を示す。装填リングが付着された状態の装填部組立体の斜視図を示しており、装填部組立体、装填リング、マイクロウェルアレイ、装填部組立体のベース、スナップクリップ、及び流体収集用ポートが描かれている。
【
図1B】
図1Aと共に、装填部組立体の実施形態を示す。装填部組立体の分解図を示しており、装填部組立体、装填リング、マイクロウェルアレイ、ベース、スナップクリップ、キー孔、及び流体収集用ポートが描かれている。
【
図2A】
図2Bと共に、装填部組立体の或る実施形態の、注入蓋が付着された状態の斜視図を描いている。装填部組立体の斜視図を示しており、装填部組立体、装填部組立体のベース、スナップクリップ、流体収集用ポート、注入蓋、及びピペット操作を案内するための注入蓋のカットアウトが描かれている。
【
図2B】
図2Aと共に、装填部組立体の実施形態の斜視図を描いている。ピペット操作を案内するためのカットアウトを有する注入蓋の斜視図を示している。
【
図3A】カットアウト孔を有するマイクロウェルアレイの上面図を示している。
【
図3B】マイクロウェルアレイの一部分の断面を示しており、3つの個別のマイクロウェルが描かれている。
【
図4A】
図4Bと共に、プランジャ及び膜部組立体の斜視図を示す。プランジャ部組立体へ付着された膜部組立体の斜視図を示しており、膜部組立体、プランジャ部組立体、スナップトップ、スナップクリップ、膜、膜フレーム、及び膜下部表面が描かれている。プランジャは図示されていない。
【
図4B】
図4Aと共に、プランジャ及び膜部組立体の斜視図を示す。互いから付着解除された膜部組立体とプランジャ部組立体の斜視図を示しており、膜部組立体、プランジャ部組立体、スナップトップ、スナップクリップ、プランジャ、プランジャ下部表面、プランジャ側部表面、膜、膜フレーム、及び膜下部表面が描かれている。
【
図5】完全にスナップされたデバイスの斜視図を示しており、スナップされたカセット、流体収集用ポート、装填部組立体のベース、及び、ハンドルと凹状表面とキーのための開口部を含むプランジャ部組立体の上部表面が描かれている。
【
図6】生体分子スクリーニング学会(SBS)フレーム上へ挿入されようとしている6個の完全にスナップされたカセットを備えるカセットシステムの斜視図を示している。SBSフレーム、SBSフレーム上のキー、スナップされたカセット、装填部組立体のベース、スナップクリップ、及び、ハンドルと凹状表面とキーのための開口部を含むプランジャ部組立体の上部表面が描かれている。同じ構成要素が複数見られても一回しか標示されていない。
【
図7】SBSフレーム上の開放されたカセットの、膜部組立体が付着された状態の斜視図を示している。SBSフレーム、SBSフレーム上のキー、装填部組立体、装填部組立体のベース、スナップクリップ、膜、膜の上部表面、及び膜フレームが描かれている。同じ構成要素が複数見られても一回しか標示されていない。
【
図8】SBSフレーム上の開放カセットの、膜部組立体が除去された状態の斜視図を示しており、SBSフレーム、SBSフレーム上のキー、装填部組立体、装填部組立体のベース、スナップクリップ、及びマイクロアレイが描かれている。同じ構成要素が複数見られても一回しか標示されていない。
【
図9】アレイへ付着された円錐形状の収集デバイスを備えるカセットシステムの斜視図を示している。SBSフレーム、SBSフレーム上のキー、装填部組立体、装填部組立体のベース、スナップクリップ、及び円錐形状の上部表面に開口部を有する収集デバイスが描かれている。同じ構成要素が複数見られても一回しか標示されていない。
【
図10A】アレイ湿潤手続き及び代替手続きを含む或る例示としてのプロトコルを説明する略図を描いている。
【
図10B】試料装填手続き及び代替手続きを含む或る例示としてのプロトコルを説明する略図を描いている。
【
図10C】細胞固定手続き及び代替手続きを含む或る例示としてのプロトコルを説明する略図を描いている。
【
図11A】装填リングをスナップ解除する工程を含む或る例示としてのプロトコルを描いている。装填リングは図示されていない。
【
図11B】膜/プランジャをスナップする工程を含む或る例示としてのプロトコルを描いている。膜部組立体は図示されていない。
【
図11C】余分な保存バッファを吸引する工程を含む或る例示としてのプロトコルを描いている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(定義)
[0025]別途定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語及び科学的用語は、当業者によって普通に理解されている意味と同じ意味を有する。
【0018】
[0026]本明細書で使用される用語法は、単に特定の実施形態を記述することを目的としており、限定することを意図していない。本明細書での使用に際し、原文の単数形「a」、「an」、及び「the」の対訳である「或る」及び「当該」は、文脈により別途明確に指示されていない限り、複数形も含むものとする。また、用語「含んでいる」、「含む」、「有している」、「有する」、「~付き」、又はその変形が本明細書で使用される限りにおいて、それらの用語は「備えている」を意味する。
【0019】
[0027]「約」又は「大凡」という用語は、当業者によって決定されるところの特定の値に対する受容可能な誤差範囲内を意味するとしてもよく、誤差範囲は、どのように値が計測され又は決定されるか、即ち計測システムの制限事項に依存するだろう。例えば、「約」は技術的な実践につき1又は1より大きい標準偏差以内を意味するとしてもよい。代わりに、「約」は所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、又は1%までの範囲を意味するとしてもよい。代わりに、特に生物学的なシステム又はプロセスに関し、当該用語は、値のオーダー以内、値の5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味するとしてもよい。出願及び特許請求の範囲に特定の値が記述されている場合、別途言及のない限り、用語「約」は当該特定の値に対する受容可能な誤差範囲内を意味するものと想定されるべきである。例えば「約10」という量は8から12までの量を含む。
【0020】
[0028]「実質的に」という用語は、本明細書での使用に際し、値が所与の値の100%に近似していることをいうとしてもよい。幾つかの実施形態では、当該用語は、量が全量の少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は99.99%であり得ることをいうとしてもよい。幾つかの実施形態では、当該用語は、量が全量の約100%であり得ることをいうとしてもよい。
【0021】
(試料容器カセット(cellular cassette))
[0029]生物学的試料の収集、保存、及び/又は分析のための試料容器カセットデバイス、システム、及びキット、ならびに同デバイス、システム、及びキットを使用する方法が、本明細書に開示されている。幾つかの実施形態では、生体粒子を収集、保存、又は分析するためのカセットが本明細書に開示されている。カセット(例えば、本明細書に記載のカセット1000)は、プランジャ部組立体、膜部組立体、装填部組立体、又はそれらの任意の組合せを備え得る。カセットは、プランジャ部組立体、膜部組立体、及び装填部組立体を備え得る。カセットは、半透過性膜の様な膜及び装填部組立体を備え得る。カセットは、半透過性膜の様な膜及びマイクロウェルアレイを備え得る。
【0022】
[0030]場合によっては、カセットはロッキング機構を更に備え得る。場合によっては、ロッキング機構は、プランジャ及び膜部組立体を装填部組立体に関して所定位置にロックするように構成されている。場合によっては、ロッキング機構は、膜部組立体を装填部組立体に関して所定位置にロックするように構成されている。ロッキング機構は、何れの適切な形態を取っていてもよく、例えば機械的、磁気的、化学的な形態を取り得る。幾つかの実施形態では、ロッキング機構はスナップトラップの様な機械的手段を利用している。幾つかの実施形態では、ロッキング機構は磁力を利用している。幾つかの実施形態では、ロッキング機構は接着剤を利用している。幾つかの実施形態では、ロッキング機構は、1つ又はそれ以上のロックキング部材上のねじ部を備えている。ロッキング機構では摩擦嵌めを備えている。幾つかの実施形態では、ロッキング機構は、カセットクランプ又はカセットの様々な部分を一体に保持するよう動作する他のデバイスを利用している。したがって、カセットはロック形態又はロック解除形態にあり得る。幾つかの実施形態では、ロッキング機構は可逆的であり、即ちロックは可逆的に係合され又は係合解除され得る。他の実施形態では、ロッキング機構は不可逆的である。
【0023】
[0031]本明細書に記載のロッキング機構は、1つ又はそれ以上のロッキング部材を備え得る。幾つかの実施形態では、ロッキング機構は上部ロッキング部材及び下部ロッキング部材を備えている。幾つかの実施形態では、ロッキング機構は、1つ又はそれ以上の上部ロッキング部材及び1つ又はそれ以上の下部ロッキング部材を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャ部組立体は、プランジャ部組立体の位置を膜部組立体、装填部組立体、又はその両方に関して所定位置に維持するよう機能する上部ロッキング部材を備えている。幾つかの実施形態では、膜部組立体は、膜部組立体の位置を装填部組立体に関して所定位置に維持するよう機能する上部ロッキング部材を備えている。幾つかの実施形態では、膜部組立体は、膜部組立体の位置をプランジャ部組立体に関して所定位置に維持するよう機能する下部ロッキング部材を備えている。幾つかの実施形態では、装填部組立体は、装填部組立体の位置を膜部組立体、プランジャ部組立体、又はその両方に関して所定位置に維持するよう機能する下部ロッキング部材を備えている。
【0024】
[0032]幾つかの実施形態では、生体粒子を収集、保存、又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)上部表面及び下部表面を備えるプランジャと、(b)膜部組立体であって、(i)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、(ii)前記プランジャへ付着するように構成された膜フレーム、を備えており、前記半透過性膜は前記膜フレームへ付着されており、前記膜部組立体は、前記膜フレームが前記プランジャへ付着されているときに前記プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分が前記膜上部表面と接触していることを許容するように構成されている、膜部組立体と、(c)ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体であって、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えており、前記装填部組立体は、前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分が前記膜下部表面と接触することを許容するように構成されている、装填部組立体と、を備え、前記接触は1つ又はそれ以上の生体粒子を前記マイクロウェルアレイ内に保留することができる。幾つかの実施形態では、生体粒子を収集及び/又は分析するための或るカセットが本明細書に開示されており、前記カセットは以下を備え、即ち、(a)上部表面、下部表面、及び上部ロッキング部材を備えるプランジャと、(b)膜部組立体であって、(i)膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜、及び、(ii)前記プランジャへ可逆的に付着するように構成された膜フレームと、を備えており、前記半透過性膜は前記膜フレームへ付着されており、前記膜部組立体は、前記膜フレームが前記プランジャへ付着されているときに前記プランジャの前記下部表面の少なくとも一部分が前記膜上部表面と接触していることを許容するように構成されている、膜部組立体と、(b)装填部組立体であって、(i)下部ロッキング部材及び1つ又はそれ以上のポートを備えるベース、及び、(ii)前記ベースへ結着されたマイクロウェルアレイ、を備えており、前記マイクロウェルアレイは上部表面及び複数のマイクロウェルを備えており、前記下部ロッキング部材は前記上部ロッキング部材と係合し、それによって前記膜下部表面の少なくとも一部分と前記マイクロウェルアレイの前記上部表面の少なくとも一部分の間の接触を維持するように構成されており、前記1つ又はそれ以上のポートは、前記上部ロッキング部材が前記下部ロッキング部材と係合されたときに液体除去を許容するように構成されている、装填部組立体と、を備えている。
【0025】
[0033]試料容器カセットは、様々な使用モードを有し得る。例えば、カセットは、マイクロウェルが露出していて試料が装填できる試料装填モードを有し得る。別の例として、カセットは、カセットが閉じられ、かくしてカセット内の試料を保護する保存及び配送モードを有し得る。カセットは、個別に保存及び/又は配送されてもよいし、又はSBSフレームに載せて保存され及び/又は配送されてもよく、その場合は複数のカセットがまとめて保存及び/又は配送される。カセットは、マイクロウェル内の試料を処理できる試料処理モードを有し得る。処理モードの1つの例示としての実施形態が
図8に描かれており、このモードでは、膜の裏側が露出していて、バッファ又は試薬を試料へ添加できる。カセットは、生体粒子及び/又はビーズを集めることのできる試料収集モードを有し得る。試料収集モードの幾つかの実施形態では、膜がマイクロウェルから解放される。
【0026】
[0034]幾つかの実施形態では、カセットは、膜部組立体、複数のマイクロウェルを備える装填部組立体、複数のビーズ、及び複数の細胞を備えており、それら細胞の少なくとも80%、90%、95%、98%、又は99%が単一細胞としてマイクロウェル内に装填されている。幾つかの実施形態では、カセットは、膜部組立体、複数のマイクロウェルを備える装填部組立体、複数のビーズ、及び複数の溶解された細胞を備えている。幾つかの実施形態では、カセットは、膜部組立体、複数のマイクロウェルを備える装填部組立体、及び複数のビーズを備えており、ビーズの少なくとも幾らかは捕捉されたRNA分子を備えている。幾つかの実施形態では、捕捉されたRNA分子は、ビーズと同じマイクロウェル内に存する細胞に由来する。幾つかの実施形態では、細胞又はビーズの少なくとも一部は、マイクロウェルへ可逆的に付着された膜によってマイクロウェル内に保留される。
【0027】
[0035]本明細書に記載のカセットは、任意の外部形状を取り得る。幾つかの実施形態では、カセットは円筒形状を有している。幾つかの実施形態では、カセットは直方体形状を有している。幾つかの実施形態では、カセットは立方体形状を有している。幾つかの実施形態では、カセットは上から見たときに正方形である。
【0028】
(プランジャ部組立体)
[0036]場合によっては、カセットは、プランジャを備えたプランジャ部組立体、を備えている。膜部組立体を付着されたとき、プランジャは、膜への支持を提供し、膜がマイクロウェルアレイへ適用される間中、膜を保護することができる。プランジャはまた、膜部組立体の膜とマイクロウェルアレイの間の結着を促す圧力を提供することができる。プランジャ部組立体は上部表面を備え得る。幾つかの実施形態では、プランジャ部組立体の上部表面(即ち、プランジャ上部表面又はプランジャフランジ)は剛性である。プランジャ部組立体の上部表面は、2つ又はそれ以上のカセットの垂直方向積重を可能にさせるように実質的に平坦であり得る。場合によっては、プランジャ部組立体の上部表面はハンドルを備えている。プランジャ上部表面は任意の適切な形状とすることができ、例えば、円形、正方形、ひし形、長方形、六角形などを備え得る。幾つかの実施形態では、プランジャは下部表面(即ち、プランジャ下部表面)を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャ下部表面は剛性である。幾つかの実施形態では、プランジャ下部表面はエラストマー表面を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャ下部表面はエラストマーである。場合によっては、プランジャの下部表面は実質的に平坦である。場合によっては、プランジャの下部表面は湾曲表面を備えている。幾つかの特定の実施形態では、プランジャの下部表面は凸状表面を備えている。プランジャ下部表面は任意の適切な形状とすることができ、例えば、円形、正方形、ひし形、長方形などを備え得る。場合によっては、プランジャの下部表面は円形か又は実質的に円形である。幾つかの実施形態では、プランジャは側部表面を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャ側部表面は、1つ又はそれ上のカットアウトを備えている。幾つかの実施形態では、プランジャ側部表面は、プランジャ上を垂直方向に走るグローブの様な垂直パターンのカットアウトを備えている。
【0029】
[0037]プランジャは円筒形状を備え得る。幾つかの実施形態では、円筒形状部分の側面は1つ又はそれ以上のチャネルを備えている。プランジャは、更に外側の側部表面を備え得る。外側の側部表面は、カセットの側部表面の少なくとも一部を備え得る。場合によっては、プランジャ部組立体は上部ロッキング部材を備えている。上部ロッキング部材は、下部ロッキング部材と一体にスナップロックされるように構成された実質的に垂直方向の部材を備え得る。幾つかの実施形態では、プランジャは、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の上部ロッキング部材を備えている。幾つかの実施形態では、プランジャは、プランジャの対側に2つの上部ロッキング部材を備えている。
【0030】
(膜部組立体)
[0038]場合によっては、本明細書に記載のカセットは膜部組立体を備えている。膜部組立体は、膜及び膜フレームを備え得る。膜部組立体は、膜と、膜フレームではない膜アプリケーターと、を備え得る。膜部組立体は、装填部組立体へ付着するように構成され得る。場合によっては、膜部組立体は装填部組立体へ可逆的に付着するように構成されている。膜部組立体はプランジャへ付着するように構成され得る。場合によっては、膜部組立体はプランジャへ可逆的に付着するように構成されている。膜部組立体は、膜部組立体をプランジャへ、装填部組立体へ、又はそれら両方へ固定するロッキング機構を更に備え得る。幾つかの実施形態では、膜部組立体は、1つ又はそれ以上の上部ロッキング部材を備えている。場合によっては、膜部組立体は実質的に円形の形状を備え得る。
【0031】
[0039]幾つかの実施形態では、膜は不透過性である。幾つかの実施形態では、膜は半透過性である。幾つかの実施形態では、半透過性膜は限外濾過膜又は濾過膜である。膜は、膜上部表面及び膜下部表面を備え得る。膜上部表面及び膜下部表面は、独立に、例えば円形、正方形、長方形、六角形、又は何れかの他の適切な形状を備え得る。幾つかの実施形態では、膜上部表面はプランジャ下部表面と実質的に同じ形状及び大きさを有している。
【0032】
[0040]本明細書に記載の半透過性膜は、関心物体が膜を通過するのを許容するように又は関心物体を保留するように構成され得る。幾つかの実施形態では、半透過性膜は1つ又はそれ以上のビーズを保留するように構成されている。幾つかの実施形態では、半透過性膜は1つ又はそれ以上の生体粒子を保留するように構成されている。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、細胞、ゲノム、核酸、ウイルス、核、タンパク質、又はペプチドを保留するように構成されている。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、ゲノム、核酸、ウイルス、核、タンパク質、又はペプチドが膜を通過するのを許容するように構成されている。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、最小でも1nm、最小でも10nm、最小でも20nm、最小でも30nm、最小でも40nm、最小でも50nm、最小でも75nm、最小でも100nm、最小でも200nm、最小でも300nm、最小でも400nm、最小でも500nm、最小でも600nm、最小でも700nm、最小でも800nm、最小でも900nm、又は最小でも1000nmの平均細孔直径を備えている。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、最大でも20nm、最大でも30nm、最大でも40nm、最大でも50nm、最大でも75nm、最大でも100nm、最大でも200nm、最大でも300nm、最大でも400nm、最大でも500nm、最大でも600nm、最大でも700nm、最大でも800nm、最大でも900nm、最大でも1μm、最大でも2μm、最大でも3μm、最大でも5μm、又最大でも10μmの平均細孔直径を備えている。幾つかの実施形態では、半透過性膜は約1nm~約200nmの平均細孔直径を備えている。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、約1nm~約200nm、約15nm~約150nm、又は約25nm~約75nmの平均細孔径を備えている。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の半透過性膜は、細胞及び/又はビーズの最大横寸法の0.001倍~0.25倍の範囲の平均細孔サイズを有している。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、細胞の最大横寸法の0.001倍~0.1倍の範囲の平均細孔サイズを有している。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、ビーズの最大横寸法の0.001倍~0.1倍の範囲の平均細孔サイズを備えている。幾つかの実施形態では、半透過性膜は、1nm及び200nmの範囲の平均細孔直径を備えている。
【0033】
[0041]幾つかの実施形態では、膜下部表面の少なくとも一部分は官能基化されている。官能基化された表面は、膜下部表面とマイクロウェルアレイの間の付着を促すことができる。官能基化された表面及び半透過性アレイを作成し及び使用する方法は、例えば米国特許第2019/0144936A1号の中で言及されており、同特許をこれにより参考文献としてそっくりそのまま援用する。場合によっては、膜下部表面は、1つ又はそれ以上の反応性官能基を備えている。場合によっては、反応性官能基は、アミン、アミノシラン、チオシラン、メタクリレートシラン、ポリ(アリルアミン)、マレイミド、2-イミノチオラン、ポリアクリル酸又はビスエポキシ-PEGから誘導された官能基、又はそれらの組合せを備え得る。幾つかの実施形態では、膜下部表面は電荷を帯びている。
【0034】
[0042]幾つかの実施形態では、膜の背面側(即ち、上部膜表面)は、膜部組立体が装填部組立体へ付着された後にアクセス可能である。その様な膜の背面側へのアクセスは、任意の適切な手段によって提供され得る。例えば、幾つかの実施形態では、プランジャは膜部組立体から除去可能であり、ゆえに膜の背面側を露出させる。別の例として、幾つかの実施形態では、その様なアクセスは、プランジャ上部表面及び/又はプランジャ下部表面の開口部によって提供されている。
【0035】
[0043]幾つかの実施形態では、膜部組立体は、膜フレームへ付着された膜(例えば、半透過性膜)を備えている。幾つかの実施形態では、膜は膜フレームへ結着されている。幾つかの実施形態では、膜は膜フレームへ可逆的に結着されている。膜フレームは剛性であってもよく、膜フレームは更にエラストマー材料又はエラストマー表面を備えていてもよい。場合によっては、カセットは、プランジャへ付着するように構成された膜フレームを備えている。膜フレームは、プランジャへ可逆的に付着され得る。例えば、幾つかの実施形態では、膜フレームはプランジャ上へスナップされることができる。幾つかの実施形態では、膜部組立体はプランジャへ事前付着されている。
【0036】
[0044]膜部組立体は、膜部組立体がプランジャへ付着されているときにプランジャの下部表面の少なくとも一部分が膜上部表面と接触していることを許容するように構成され得る。幾つかの実施形態では、プランジャ下部表面と膜上部表面の間の接触は、膜がマイクロウェルアレイへ付着される間中、膜のための支持を提供する。場合によっては、膜は剛性の表面へ付着され得る。場合によっては、表面はフルスライドの代わりにフレームを備えていてもよく、その場合、フレームは膜へ永久的に結着されていてもよい。場合によっては、膜をアレイへ封止するための力を印加し及び提供するための1個体部片を作り出すようにフレーム又は他の表面がプランジャへ可逆的に付着していてもよい。場合によっては、プランジャが膜フレーム又は膜が付着されている他の表面を通して膜を押すようになっていてもよい。場合によっては、膜フレーム又は膜が付着されている他の表面は、膜がアレイに対して封止されながらも膜の背面側へのアクセスを可能にし、膜がなおもフレームへ付着されたままでも膜を通してのウェルの中への溶解、ハイブリダイゼーション、及び酵素反応の追加と拡散を可能にさせるように構成されている。場合によっては、膜フレーム又は膜が付着されている他の表面は、ビーズアクセスが必要になったときに、脆い膜を把持しようとする代わりにフレームを引っ張ることによる膜の容易除去を可能にし得る。
【0037】
[0045]幾つかの実施形態では、本明細書に記載の膜部組立体は、プランジャの少なくとも一部分(例えば、プランジャの下部表面)に直接接触する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の膜部組立体は、媒体を通してプランジャの少なくとも一部分に接触する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の膜部組立体は、膜部組立体がプランジャへ付着されたときに、プランジャに直接接触しない。プランジャは媒体を通して膜のための支持を提供することができる。したがって、本明細書に記載のカセットの幾つかの実施形態では、カセットはプランジャと膜との間に媒体を備えている。媒体は流体溜めとして機能し得る。幾つかの実施形態では、媒体は、吸収性材料を備えたシートを備えている。例示としての吸収性材料には、限定するわけではないが、紙(例えば濾紙及び薄葉紙など)、超吸収性ポリマー(例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、エチレン無水マレイン酸コポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリサッカライド、又は上記ポリマーの何れかを備えるコポリマー)、ヒドロゲル、及びスポンジの様な多孔質材料が挙げられる。幾つかの実施形態では、媒体は、紙又は高吸水性ポリマーの層を備えている。媒体は、バッファ又は溶液、例えばRNALater又はvivoPHIXの様な細胞保全溶液、を備え得る。
【0038】
[0046]幾つかの実施形態では、本明細書に記載のカセットは、プランジャと膜の間に流体溜めを備えている。流体溜めは、溶液及び吸収性材料を備え得る。流体溜めは、半透過性膜とプランジャという部片が一体にカチッと押されたときに溜め内の溶液が膜の孔を透過することができるように、半透過性膜とプランジャの間に挿入されることができる。溜めは、所望の溶液で飽和され得る濾紙の様な吸収性材料の形態を取り得る。膜及びプランジャ構成要素をアレイへ適用するや、溜め内に格納された溶液が膜を通って拡散し、ウェル内の溶液と混ざり合う。このやり方で提供され得る一般的な溶液は、RNALater又はvivoPHIXの様な細胞保全溶液である。幾つかの実施形態では、流体溜めは約5nm~約5mmの厚さを有している。幾つかの実施形態では、流体溜めは、約1nm、約5nm、約25nm、約50nm、又は約100nmから、約500nm、約1μm、約5μm、約25μm、約50μm、約50μm、又は約1mmまでの範囲内の厚さを有している。幾つかの実施形態では、流体溜めは、約50nm~約500nm、約100nm~約1μm、約1μm~約100μm、約50μm~約500μm、又は約100μm~約1mmの厚さを有している。
【0039】
(装填部組立体)
[0047]本明細書に記載のカセットは、装填部組立体を備え得る。幾つかの実施形態では、装填部組立体はマイクロウェルアレイを備えている。幾つかの実施形態では、装填部組立体はマイクロウェルを備えている。幾つかの実施形態では、装填部組立体は、マイクロウェルアレイが付着されたベースを備えている。場合によっては、カセットは、ベース及びマイクロウェルアレイを備える装填部組立体、を備えている。幾つかの実施形態では、装填部組立体は、マイクロウェルアレイの上部表面の少なくとも一部分が膜下部表面と接触していることを許容するように構成され得る。マイクロウェルアレイと膜下部表面の間の接触は、マイクロウェルの被接触部分を封止することができ、ひいては1つ又はそれ以上の生体粒子をマイクロウェルアレイ内に保留できる。
【0040】
[0048]マイクロウェルアレイ(又はアレイ)は、複数のマイクロウェル(又はウェル)を備え得る。場合によっては、マイクロウェルアレイは約1000個~約1,000,000個のマイクロウェルを備えている。場合によっては、マイクロウェルアレイは約5000個~約1,000,000個のマイクロウェルを備えている。場合によっては、マイクロウェルアレイは約50,000個~約150,000個のマイクロウェルを備えている。幾つかの特定の実施形態では、マイクロウェルアレイは、約50,000個、約55,000個、約60,000個、約65,000個、約70,000個、約75,000個、約80,000個、約85,000個、約90,000個、約95,000個、約100,000個、約105,000個、約110,000個、約115,000個、約120,0000個、約130,000個、約140,000個、又は約50,000個のマイクロウェルを備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイは1つ又はそれ以上のマイクロウェルを備えている。マイクロウェルは任意のパターンに配置され得る。幾つかの実施形態では、マイクロウェルは六角形パターンに配置されている。
【0041】
[0049]マイクロウェルは、1ピコリットル未満~約10,000ピコリットルまでの範囲の体積を含め、ピコリットル範囲の体積を有し得る。範囲は、約1ピコリットル~約1000ピコリットル、又は約5ピコリットル~約1000ピコリットル、又は約10ピコリットル~約500ピコリットル、又は約50ピコリットル~約125ピコリットルであり得る。マイクロウェルは、ミクロン範囲の寸法(例えば、x及びy、又は直径、及び高さ寸法)を有し得る。例えば、マイクロウェルは、約45ミクロン(x)×45ミクロン(y)×約60ミクロン(h)の寸法を有し、長方形の体積を有していてもよいし、又はマイクロウェルは、約50ミクロン(x)×約50ミクロン(y)×約50ミクロン(h)の寸法を有し、立方体の体積を有していてもよい。マイクロウェルは、正方形、六角形、円形、楕円形などの断面積(上下方向透視図による)を有し得る。
【0042】
[0050]本明細書に記載のマイクロウェルアレイは、マイクロウェルの開口部が配置されている上部表面を備え得る。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイの上部表面はそこに置換されたマイクロウェルを備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの、上部表面での平均直径は、最大でも1000ミクロン、最大でも500ミクロン、最大でも400ミクロン、最大でも300ミクロン、最大でも200ミクロン、最大でも100ミクロン、最大でも75ミクロン、最大でも50ミクロン、最大でも40ミクロン、最大でも30ミクロン、最大でも20ミクロン、最大でも10ミクロン、又は最大でも5ミクロンである。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの、上部表面での平均直径は、最小でも5ミクロン、最小でも7ミクロン、最小でも10ミクロン、最小でも20ミクロン、最小でも30ミクロン、最小でも45ミクロン、最小でも50ミクロン、又は最小でも100ミクロンである。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの、上部表面での平均直径は約5ミクロン~約50ミクロンである。幾つかの実施形態では、マイクロウェルは、関心物体、例えば、ビーズ、細胞、組織の断片などを保持するように構成されている。
【0043】
[0051]本明細書に記載のマイクロウェルアレイは下部表面を備え得る。幾つかの実施形態では、下部表面は不透過性である。幾つかの実施形態では、下部表面は透過性又は半透過性である。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイの下部表面は半透過性膜を備えている。半透過性下部表面は、溶液がアレイの下部を通ってウェルへ拡散するのを許容する。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイは不透過性下部表面を備え、膜部組立体の膜は透過性又は半透過性であって、溶液がマイクロウェルアレイの上部から拡散するのを許容する。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイは半透過性下部表面を備え、膜部組立体の膜は不透過性であって、溶液がマイクロウェルアレイの下部から拡散するのを許容する。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイは半透過性下部表面を備え、膜部組立体の膜も半透過性であって、溶液がクロウェルアレイの上部と下部から拡散するのを許容する。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイは、不透過性の下部表面を備え、膜部組立体の膜も不透過性であって、溶液がマイクロウェルアレイから外へ拡散するのを実質的に防止する。幾つかの実施形態では、膜部組立体の膜又はその一部分はマイクロウェルアレイの上部表面へ結着されている。
【0044】
[0052]マイクロウェルは、任意の適切な形状及び幾何学を備えることができ、例えばマイクロウェルは円筒形、立方形、円錐形などであり得る。場合によっては、マイクロウェルは5ミクロン~500ミクロンの範囲の均一深さを備えている。場合によっては、マイクロウェルは円筒形であり、1ミクロン~500ミクロン(例えば、15ミクロン~100ミクロン又は1ミクロン~10ミクロン)の範囲の均一直径を有している。場合によっては、マイクロウェルは立方形であり、1ミクロン~500ミクロン(例えば、15ミクロン~100ミクロン又は1ミクロン~10ミクロン)の範囲の均一最大横長さを有している。場合によっては、マイクロウェルは円錐形であり、上部表面に35ミクロン~100ミクロンの範囲の均一直径を有しており、下部表面に0.5ミクロン~3ミクロンの範囲で均一直径を有し得る。場合によっては、マイクロウェルは30ミクロン~100ミクロンの範囲の均一深さを有している。場合によっては、マイクロウェルは、細胞及び/又はビーズの最大横寸法の1倍~6倍の範囲の最大横寸法を有している。場合によっては、マイクロウェルは、細胞の最大横寸法の1倍~6倍の範囲の最大横寸法を有している。場合によっては、マイクロウェルは、ビーズの最大横寸法の1倍~6倍の範囲の最大横寸法を有している。場合によっては、マイクロウェルアレイの上部表面でのマイクロウェルの総横面積は、アレイの総横面積の少なくとも10%を備え得る。場合によっては、マイクロウェルは1ミクロン~10ミクロンの範囲の均一直径を有している。場合によっては、マイクロウェルは15ミクロン~100ミクロンの範囲の均一直径を有している。場合によっては、マイクロウェルのそれぞれは1つ又はそれ以上の細胞を備え得る。
【0045】
[0053]幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイは空間バーコードを備えている。空間バーコードは、マイクロウェルの内部表面の様なマイクロウェルの内部に配置されるか、又はマイクロウェル内に存するビーズ上に配置され得る。幾つかの実施形態では、空間バーコードのそれぞれは固有である。幾つかの実施形態では、アレイは、マイクロウェルのそれぞれに固有の又はマイクロウェルの各クラスターに固有の固有空間バーコードを備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイ内の各空間バーコードの位置は知られている。幾つかの実施形態では、空間バーコードはマイクロウェルの下部表面に配置されている。
【0046】
[0054]マイクロウェルの内部表面は官能基化され得る。幾つかの実施形態では、各マイクロウェルは、固有空間バーコードを有する1つ又はそれ以上の核酸分子を備える官能基化された表面を備えている。幾つかの実施形態では、各固有空間バーコードは、1つのウェル又はウェルのクラスターに固有である。幾つかの実施形態では、各ウェルは空間バーコードの固有の組合せを備えている。幾つかの実施形態では、各固有空間バーコードは、固有刺激と関連づけて送達される。幾つかの実施形態では、ウェルの、アレイ上の各空間バーコードの位置は知られている。
【0047】
[0055]マイクロウェルアレイは、1つ又はそれ以上のカットアウトを備え得る。1つ又はそれ以上のカットアウトは、ピペットを誘導するのに使用され得る。1つ又はそれ以上のカットアウトは、ビーズを例えば収集デバイスから回収するのに使用され得る。1つ又はそれ以上のカットアウトは、独立に、アレイ上のどこに配置されていてもよい。場合によっては、本明細書に記載のマイクロウェルアレイは、アレイの中心部に配置されたカットアウトを備えている。場合によっては、本明細書に記載のマイクロウェルアレイは、アレイの側部に配置されたカットアウトを備えている。場合によっては、本明細書に記載のマイクロウェルアレイは、アレイの中心部に配置されたカットアウト及びアレイの側部に配置されたカットアウトを備えている。
【0048】
[0056]本明細書に記載のマイクロウェルアレイの上部表面は官能基化され得る。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイの上部表面は、反応性官能基の様な1つ又はそれ以上の官能基を備えている。幾つかの実施形態では、反応性官能基は、アミン、アミノシラン、チオシラン、メタクリレートシラン、ポリ(アリルアミン)、ポリ(リジン)、BSA、エポキシドシラン、キトサン、2-イミノチオラン、ポリアクリル酸又はビスエポキシ-PEG又は酸化アガロースから誘導された官能基、又はそれらの組合せを備えている。マイクロウェルアレイは、ガラス又はポリマー材料、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、PVDF、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、及びシリコンを備え得る。幾つかの実施形態では、アレイの上部表面は、アリールジアゾニウム塩を使用して環状オレフィンコポリマーへ共役させた官能基を備えている。幾つかの実施形態では、アレイの上部表面は電荷を帯びている。幾つかの実施形態では、アレイの上部表面は、膜下部表面が帯びている電荷とは反対の電荷を帯びている。
【0049】
[0057]本明細書に記載のマイクロウェルアレイの上部表面は、膜下部表面と結着されることができ、それによってマイクロウェルの少なくとも一部分が実質的に隔離される。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイの上部表面の、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は少なくとも99.9%が膜と結着され、それによってマイクロウェルは結着された膜の下に封止される。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は少なくとも99.9%が膜で封止される。当業者には理解される様に、透過性又は半透過性の膜の場合、膜を通過することのできる物体は封止されたマイクロウェルから膜側を通って拡散し或いは脱出することができる。
【0050】
[0058]マイクロウェルアレイの上部表面と膜下部表面の間の結着は、物理的又は化学的な力によって提供され得る。例えば、結着は、例えばクランプなどを通して圧力を加えることによって実現されてもよい。幾つかの実施形態では、結着は、例えば官能基の化学反応などによる分子結合によって提供される。例えば、アレイの上部表面上の官能基と膜下部表面上の官能基が反応し、ひいては互いと結合することができる。分子結合を形成するには一定量の圧力が必要になることもある。幾つかの実施形態では、ロッキング機構(例えば、(単数又は複数の)上部ロッキング部材と(単数又は複数の)下部ロッキング部材の間の係合)によって提供される圧力は、分子結合のための圧力を提供するのに十分である。分子結合を形成するには一定の時間が必要であるかもしれない。幾つかの実施形態では、分子結合を形成するのに要する時間は、少なくとも5秒、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、又は少なくとも1時間である。幾つかの実施形態では、所要時間は、多くとも2時間、多くとも1時間、多くとも45分、多くとも30分、多くとも15分、多くとも10分、多くとも5分、又は多くとも1分である。幾つかの実施形態では、分子結合を形成するのに要する時間は、約1分~約30分である。幾つかの実施形態では、分子結合を形成するのに要する時間は、約2分~約15分である。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイの上部表面と膜下部表面の間の結着の形成は、加熱を要する。例えば、幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイの上部表面と膜下部表面の間の結着は、約30°C、約40°C、約50°C、約60°C、又は約75°C、又はそれより上にて形成される。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイの上部表面と膜下部表面の間の結着の形成は加熱を要しない。
【0051】
[0059]本明細書に記載のマイクロウェルアレイは、装填部組立体のベース上に又はベース内に設けることができる。マイクロウェルアレイはベースへ結着されてもよいし、又はマイクロウェルアレイはベースの一部であってもよい。幾つかの実施形態では、マイクロウェルアレイはベースへ可逆的に付着されている。場合によっては、ベースは剛性である。場合によっては、ベースは、上部ロッキング部材に係合するように構成され得る下部ロッキング部材を備えている。ベースは、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の下部ロッキング部材を備え得る。幾つかの実施形態では、ベースは2つの下部ロッキング部材を備えている。幾つかの実施形態では、2つの下部ロッキング部材は、ベースの互いに反対側の角に設けられている。幾つかの実施形態では、2つの下部ロッキング部材はベースの同じ縁部に配置されていない。幾つかの実施形態では、下部ロッキング部材は実質的に垂直である。下部ロッキング部材はスナップトラップ機構を通して上部ロッキング部材に係合するように構成され得る。場合によっては、マイクロウェルアレイと膜下部表面の接触は、上部ロッキング部材と下部ロッキング部材を係合させること、例えばトラップスナップによって維持することができる。トラップスナップ設計は、キーなしでのカセットの開放を防止することができる。トラップスナップ設計は、更に、カセット及び格納された試料が配送及び保存にとって安全であることを確約することができる。
【0052】
[0060]場合によっては、ベースは、1つ又はそれ以上のキーの挿入を可能にするように構成された1つ又はそれ以上のキー孔を備えている。1つ又はそれ以上のキーの挿入がロッキング機構を係合解除し、例えば、上部ロッキング機構と下部ロッキング機構を係合解除することができる。場合によっては、キーの挿入はプランジャ部組立体を装填部組立体から解放する。場合によっては、キーの挿入はプランジャ部組立体を装填部組立体及び膜部組立体から解放する。場合によっては、キーの挿入は、膜部組立体を装填部組立体へ付着させたままにしてプランジャを装填部組立体から解放する。場合によっては、キーの挿入は、膜部組立体をプランジャ部組立体へ付着させたままにしてプランジャを装填部組立体から解放する。
【0053】
[0061]場合によっては、ベースはマイクロウェルアレイに対して陥凹区域を備えている(例えば、本明細書に記載の陥凹区域1133)。陥凹区域は、余分な流体、例えば装填リングによって保留された流体、を収容するのに使用され得る。場合によっては、ベースは液体除去を許容するように構成された1つ又はそれ以上のポートを備えている。幾つかの実施形態では、ベースは、流体収集のために構成された1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のポートを備えている。幾つかの実施形態では、ベースは1つのポートを備えている。1つ又はそれ以上のポートは、ベースの任意の適切な場所に配置され得る。例えば、余分な流体はピペット操作で1つ又はそれ以上のポートを通して除去されてもよい。場合によっては、ベースは1つのポートを備えている。場合によっては、1つ又はそれ以上のポートはベースの側部に設けられている。場合によっては、1つ又はそれ以上のポートはベースの下部表面に設けられている。場合によっては、ベースは、更に、陥凹区域から1つ又はそれ以上のポートへの流体流れを促すことのできる1つ又はそれ以上のチャネルを備えている。
【0054】
[0062]装填部組立体は、マイクロウェルアレイ表面積を取り囲む高い装填リングを備え得る。装填リングは余分な流体をマイクロウェルアレイ上に保留するよう機能することができる。場合によっては、装填リングは流体をマイクロウェルアレイ上に保留するように構成されている。例えば、装填リングは、約0.1ml~約5mlの流体を保留するように構成され得る。幾つかの実施形態では、装填リングは、約0.25ml~2mlの流体、約0.5ml~1.5mlの流体、又は約0.75~約1.25mlの流体を保留するように構成されている。幾つかの実施形態では、装填リングは約1mlの流体を保留するように構成されている。場合によっては、装填リングは疎水性内向表面を備えている。幾つかの実施形態では、装填リングは疎水性である。疎水性のリング(又は表面)は、アレイを横切る生体粒子の均一装填を確約するために、バルク試料溶液をアレイ面積に亘って最小のメニスカスで保持することができる。
【0055】
[0063]場合によっては、装填リングはベースの一部である。場合によっては、装填リングはベースへ可逆的に付着可能であり得る。可逆的に付着可能な装填リングは、膜フレームと同じ幾何学形状を有し得る。幾つかの実施形態では、装填は膜フレームと実質的に同じ構成を有している。
【0056】
[0064]本明細書に記載の装填部組立体は、マイクロウェルアレイの少なくとも一部分を覆う注入蓋を備え得る。幾つかの実施形態では、注入蓋は、マイクロウェルアレイの少なくとも25%、50%、75%、80%、60%、90%、95%、99%、又は100%を覆っている。幾つかの実施形態では、注入蓋はマイクロウェルアレイを完全に覆っている。幾つかの実施形態では、注入蓋はマイクロウェルアレイを完全に覆っていない。幾つかの実施形態では、装填部組立体は、注入蓋か又は装填リングの何れかを備えている。幾つかの実施形態では、装填部組立体は注入蓋を備えているが装填リングを備えていない。幾つかの実施形態では、装填部組立体は装填リングを備えているが注入蓋を備えていない。幾つかの実施形態では、装填部組立体は注入蓋を欠いている。場合によっては、装填リングはマイクロウェルアレイを覆う注入蓋を備えている。蓋は1つ又はそれ以上の開口部を備え得る。蓋の1つ又はそれ以上の開口部は、ピペット操作を誘導するのに使用され得る。幾つかの実施形態では、蓋は、装填部組立体に付着しているか又は装填部組立体と接続されているフリップトップリップである。幾つかの実施形態では、蓋はスナップ蓋である。幾つかの実施形態では、蓋は摩擦によって装填部組立体上へ嵌る。幾つかの実施形態では、蓋は、装填リング上のねじ部と係合するねじ部を有している。
【0057】
(生体粒子及びビーズ)
[0065]マイクロウェルアレイは、捕捉ビーズの様な複数のビーズを備え得る。場合によっては、アレイの1つ又はそれ以上のマイクロウェルは単一ビーズを備えている。場合によっては、アレイ内のマイクロウェルの、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも99.9%、又は少なくとも100%は単一ビーズを備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満は2つ又はそれ以上のビーズを備えている。場合によっては、ビーズはマイクロウェルの中へ事前装填されている。場合によっては、ビーズは、生体粒子が装填される前又は後にマイクロウェルの中へ装填される。幾つかの実施形態では、ビーズと生体粒子は同時に装填される。マイクロウェルアレイは、1つ又はそれ以上のビーズを保持するように構成され得る。幾つかの実施形態では、マイクロウェルのそれぞれは単一ビーズを保持するように構成されている。半透過性膜は、ビーズが膜細孔を通過することができないようビーズを保留するように構成され得る。捕捉ビーズの大きさは、使用されるマイクロウェルの大きさによって左右される。幾つかの実施形態では、ビーズの大きさは、一度に1つのビーズしかマイクロウェルを占有できないように選定されることになる。代わりに、一度に1つのビーズしかマイクロウェルを占有できないようにマイクロウェルの寸法が選定されてもよい。幾つかの実施形態では、捕捉ビーズは、約1μm、約5μm、約10μm、約15μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約90μm、約100μm、約110μm、約120μm、約150μm、又は約200μmの平均直径を有している。幾つかの実施形態では、ビーズは直径が約10μm~50mμである。幾つかの実施形態では、ビーズは直径が約35ミクロンである。幾つかの実施形態では、ビーズは磁気的である。
【0058】
[0066]本明細書での記載に際し、捕捉ビーズは捕捉オリゴヌクレオチドをその表面へ付着させたビーズであって、標的転写物の様な標的核酸にアニールするための捕捉ドメイン、捕捉サイト、又は捕捉シーケンスを備えたビーズ、を備え得る。標的核酸が転写物である場合、ビーズは「転写物捕捉ビーズ」と呼称されてもよい。幾つかの実施形態では、転写物捕捉ビーズは、mRNA転写物のポリ(dA)尾部にアニールするためのポリ(dT)捕捉シーケンスを有している。幾つかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは更にバーコードを備えている。バーコードは、単一細胞の捕捉された転写物の全部又は一部を含む、単一細胞からの捕捉された核酸を標識するために使用され得る。幾つかの実施形態では、単一細胞の転写物は、転写物捕捉ビーズと単一細胞が同じマイクロウェル内に設置され、細胞が溶解されたときに捕捉される。バーコードは、単一細胞又は単一マイクロウェルからの核酸を標識するのに使用され得る。バーコードはまた、複数の細胞又は複数のマイクロウェルからの核酸を標識するのに使用されてもよい。幾つかの実施形態では、バーコードは、特定の空間的所在地及び/又は特定の治療と関連づけられるところの核酸又は核酸のセットを識別する。幾つかの実施形態では、バーコードは、特定の刺激への暴露と関連づけられるところの核酸又は核酸のセットを識別する。幾つかの実施形態では、バーコードは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30のヌクレオチドを備えている。幾つかの実施形態では、バーコードは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16のヌクレオチドを備えている。幾つかの実施形態では、捕捉シーケンスは、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25又は30のヌクレオチドを備えている。幾つかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、約10、20、30、40、又は50のヌクレオチドを備えている。
【0059】
[0067]本明細書に記載のマイクロウェルアレイは、1つ又はそれ以上の生体粒子を備え得る。場合によっては、アレイの1つ又はそれ以上のマイクロウェルは、単一の生体粒子(例えば、単一細胞又は生体材料を備える単一ビーズ)を備えている。場合によっては、アレイ内のマイクロウェルの少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも99.9%、又は少なくとも100%は単一の生体粒子を備えている。場合によっては、アレイ内の少なくとも100個、500個、1000個、5000個、又は10,000個のマイクロウェルが単一の生体粒子を備えている。場合によっては、アレイ内の少なくとも500個又は1000個のマイクロウェルが単一の生体粒子を備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満は2つ又はそれ以上の生体粒子を備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの1%未満は2つ又はそれ以上の生体粒子を備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの5%未満が2つ又はそれ以上の生体粒子を備えている。幾つかの実施形態では、アレイ内の10,000個未満、5000個未満、1000個未満、500個未満、100個未満、50個未満、25個未満、又は10個未満のマイクロウェルが、2つ又はそれ以上の生体粒子を備えている。幾つかの特定の実施形態では、マイクロウェルの2%未満、1.5%未満、1%未満、0.5%未満、又は0.1%未満が、2つ又はそれ以上の生体粒子を備えている。マイクロウェルアレイは、1つ又はそれ以上の生体粒子を保持するように構成され得る。幾つかの実施形態では、各マイクロウェルは単一の生体粒子を保持するように構成されている。半透過性膜は、生体粒子が膜細孔を通過することができないよう生体粒子を保留するように構成され得る。
【0060】
[0068]生体粒子は、生物学的材料を備える粒子を指すとしてもよい。例えば、生体粒子は、細胞又はRNAを付着させる捕捉ビーズを指すとしてもよい。1つ又はそれ以上の生体粒子は、細胞、ゲノム、核酸、ウイルス、核、タンパク質、又はペプチドを備え得る。場合によっては、生体粒子は1つ又はそれ以上の細胞を備えている。場合によっては、1つ又はそれ以上の細胞は、細菌細胞、植物細胞、動物細胞、又はそれらの組合せを備えている。場合によっては、1つ又はそれ以上の細胞は哺乳類細胞を備えている。幾つかの実施形態では、細胞は細菌細胞である。幾つかの実施形態では、細胞は真核細胞である。幾つかの実施形態では、細胞は原核細胞である。幾つかの実施形態では、細胞はマウス細胞である。幾つかの実施形態では、細胞は霊長類細胞である。幾つかの実施形態では、細胞はヒト細胞である。幾つかの実施形態では、細胞は腫瘍細胞である。細胞(又は核酸源)は天然起源であってもよいし、又は細胞は非天然起源であってもよい。幾つかの実施形態では、細胞は健康細胞である。幾つかの実施形態では、細胞は疾患細胞である。
【0061】
[0069]幾つかの実施形態では、細胞は哺乳類細胞である。哺乳類細胞は、白血球細胞(例えば、単球、リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球、及びマクロファージ)、赤血球細胞(赤血球)、又は血小板の様な、1つ又はそれ以上の血液細胞を備え得る。
【0062】
(試料容器カセットシステム)
[0070]本明細書に記載の1つ又はそれ以上のカセットを備えるシステムがここに開示されている。システムは、1つ又はそれ以上のカセットを保持するように構成されたカセットフレームを備え得る。幾つかの実施形態では、カセットフレームは、生体分子スクリーニング学会(SBS)規格のサイズのフレームである。システムは、更に、ロッキング機構を係合解除できる1つ又はそれ以上のキーを備え得る。幾つかの実施形態では、キーはプランジャを装填部組立体から解放することができる。
【0063】
[0071]場合によっては、カセットフレーム(例えばSBSフレームなど)が多重処理を可能にするために複数のカセットを装填するように設計されることもある。場合によっては、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個、80個、81個、82個、83個、84個、85個、86個、87個、88個、89個、90個、91個、92個、93個、94個、95個、96個、97個、98個、99個、又は100個のカセットがカセットフレームへ装填され得る。幾つかの実施形態では、カセットフレームは、6個のカセットを保持するように構成されている。幾つかの実施形態では、カセットフレームは、12個のカセットを保持するように構成されている。幾つかの実施形態では、カセットフレーム(例えばSBSフレームなど)は、1つ又はそれ以上のキーを挿入するように構成されたキー孔を備えている。場合によっては、1つ又はそれ以上のキーはSBSフレームへ組み込まれていてもよい。
【0064】
[0072]システムは1個~約300個のカセットを備え得る。場合によっては、システムは約6個、約8個、約12個、約24個、約96個、又は約120個のカセットを備え得る。場合によっては、1つ又はそれ以上のカセットの少なくとも2個が事前接続されていてもよい。場合によっては、SBSフレーム上のカセットすべてが事前接続されている。場合によっては、アレイが事前接続されていてもよい。場合によっては、アレイは、標準的なSBSフレームサイズに適合するマルチアレイシステムとして作成され得る。場合によっては、カセットフレームは、カセットがカセットフレーム上へ装填された際にカセットの開放を可能にするためにトラップスナップキーを組み込んで構築されてもよい。場合によっては、キーはカセットベースをカセットフレームへ保持するためのスナップの役目も果たす。
【0065】
[0073]記載されたカセットのロッキング機構を係合解除するキーは、任意の適切な形状とすることができる。幾つかの実施形態では、キーは、十字形状を備える断面を有している。幾つかの実施形態では、キーは、正方形、六角形、溝付、三翼、又はT形状を備える断面を有している。
【0066】
[0074]場合によっては、システムは1つ又はそれ以上の生体粒子収集ユニットを備え得る。場合によっては、収集ユニットは、複数の陥凹を備えた1つ又はそれ以上の収集プレートを備え得る。場合によっては、収集ユニットは、1つ又はそれ以上の円錐形状のカセット収集部を備え得る。場合によっては、カセット収集部は、ビーズが通過するのを許容する孔を中心部に備えていてもよい。場合によっては、カセット収集部は、単一のカセットから生体粒子及び/又はビーズを収集するように構成されている。場合によっては、カセット収集部は、複数のカセット、例えばSBSフレーム上のカセットすべてから生体粒子及び/又はビーズを収集するように構成されている。
【0067】
(試料容器カセットキット)
[0075]更に、生体粒子を収集及び/又は分析するためのキットが本明細書に開示されている。場合によっては、キットは、記載のカセット及びシステムを使用するための説明書を備えている。場合によっては、キットは1つ又はそれ以上のカセット及び1つ又はそれ以上の試薬を備え得る。場合によっては、1つ又はそれ以上の試薬は、湿潤溶液、洗浄流体、溶解バッファ、固定剤、組織保存試薬、保存バッファ、細胞培養媒体、又はそれらの組合せを備え得る。場合によっては、キットは、マイクロウェルアレイを有する少なくとも1つのカセットベース、プランジャ、膜を結着させた膜フレーム、及びそれらの任意の組合せを備え得る。場合によっては、キットは、更に、プランジャへ事前にスナップされた膜フレーム、細胞装填リングの役目を果たす余分な空の膜フレーム、細胞装填中にアレイを覆うための細胞注入蓋、洗浄バッファ、細胞固定溶液、トラップスナップキーを組み込んだSBSプレート、及びそれらの任意の組合せを備え得る。場合によっては、キットは約1個~約300個のカセットを備え得る。場合によっては、キットは、約6個、約8個、約12個、約24個、約96個、又は約120個のカセットを備え得る。キットは、更に、キット又はキット内の構成要素の使用についての説明書を備え得る。
【0068】
[0076]幾つかの実施形態では、キットは、半透過性膜をアレイへ適用するための膜アプリケーターを備えている。場合によっては、半透過性膜のアレイ表面への付着は最適な転写物捕捉を実現することができる。場合によっては、アプリケーターの一般化された形態は、ガラス又はアクリルプラスチックの剛性バッキングへ可逆的化学反応を通して付着された膜、例えば親水性の薄フィルムから成る。場合によっては、薄フィルムは塩橋を備え得る。場合によっては、薄フィルムは、より厚いフィルムが実現されることを可能にする親水性ポリマーを備え得る。場合によっては、親水性の薄フィルムは、ポリアクリルアミド、ポリ(ビニルアルコール)、アガロース、又はアルギン酸塩の様な親水性ポリマーを備え得る。場合によっては、可逆的化学反応は、還元剤によって開裂させることのできるビオチン-ストレプトアビジン相互作用によって作成されたジスルフィドブリッジを備え得る。場合によっては、可逆的化学反応は感光性結合を備え得る。場合によっては、可逆的化学反応は、酵素的に開裂可能な結合を備え得る。
【0069】
[0077]場合によっては、アプリケーターは、活性化される膜を剛性バッキングへ接着させて乾燥した状態で長期間安定させておけるので標準的な顕微鏡スライド容器での膜の配送が可能になることで、配送の問題を解消することができる。場合によっては、個々の膜のスケーラブルな生産が、透明なアクリル支持体とより厚いポリマー薄フィルムの使用を可能にし得る。場合によっては、これらの材料を使用して、大型のバルクアプリケーターを構成することができる。場合によっては、アクリルバッキングが、バルクアプリケーターを10個の個別アプリケーターへレーザー切断するのを可能にし得る。場合によっては、レーザー切断中の膜のアクリルバッキングへの融合を防ぐために、より厚い薄フィルムが必要になるかもしれない。場合によっては、適用中の膜の剥がしを可能にする。場合によっては、アプリケーターは、アプリケーター全体を単一の乾燥した部片としてアレイ上へ設置できるので膜のアレイへの付着を単純化することができる。場合によっては、クランピングと培養に続いて、アプリケーターとアレイのサンドイッチが溶液中に沈められてもよい。場合によっては、親水性の薄フィルムが水を吸収し得る。場合によっては、膜をアプリケーターから解放し、膜をアレイへ付着させたままにすることもできる。場合によっては、アプリケーターは、エンドユーザーが脆い膜を取り扱い、エラーの起こりやすい膜付着手続きを遂行する必要性をなくすことができる。場合によっては、膜アプリケーターは、幅が、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、又は30mmであり得る。場合によっては、膜アプリケーターは、長さが、70mm、71mm、72mm、73mm、74mm、75mm、76mm、77mm、78mm、79mm、又は80mmであり得る。他の場合では、膜アプリケーターは、例えば1フィート~5フィート(30.48cm~152.4cm)×1フィート~5フィート(30.48cm~152.4cm)(例えば、2フィート(60.96cm)×2フィート(60.96cm)、又は2フィート(60.96cm)×3フィート(91.44cm))を含め、はるかに大きくてもよい。場合によっては、より大きいアプリケーターの使用は、複数のアレイを同時に封止することを可能にし得る。
【0070】
[0078]本明細書には、更に、膜及び剛性支持体を備えるデバイスであって、膜が剛性支持体へ可逆的化学反応を通して付着されているデバイスが開示されている。場合によっては、剛性支持体はガラスを備え得る。場合によっては、剛性支持体はアクリルプラスチックを備え得る。場合によっては、剛性支持体は、ポリカーボネート又はポリスチレンを備え得る。場合によっては、剛性支持体は厚さ約1mm~約2mmであり得る。場合によっては、膜は半透過性膜を備え得る。場合によっては、膜はプラズマ活性化され得る。場合によっては、膜はポリカーボネートを備え得る。
【0071】
[0079]幾つかの実施形態では、キットは手動クランプを備えている。場合によっては、クランプは3ねじ設計を備えている。場合によっては、3ねじ設計は、アレイの長軸に沿った最適圧力を提供し、アレイの端部の封止不良を防ぐ。場合によっては、正方形クランプが、アレイホルダと上部部片を完全に包囲し、アレイの下のアレイホルダのみに触れて、上向きの力をアレイの下に生じさせることができる。場合によっては、流体がアレイ表面を離れるために経路が許容され得る。幾つかの実施形態では、クランプは、6個、12個、及び24個の様な、1つ又はそれ以上のカセットへ同時に圧力を印加するように構成されている。
【0072】
[0080]幾つかの実施形態では、キットは、クラウディング剤を備えている。クラウディング剤は核酸捕捉効率を高めるように機能することができる。クラウディング剤は、双性イオン性又は中性に帯電された作用剤であり得る。幾つかの実施形態では、クラウディング剤は、膜とアレイの間の電荷相互作用に干渉しない。クラウディング剤の或る非限定的な例は、ポリエチレングリコール(PEG)である。幾つかの実施形態では、PEGは少なくとも1000Daの数平均分子量を有している。他の例示としてのクラウディング剤には、限定するわけではないが、デキストラン、フィコール、ウシ血清アルブミン(BSA)、及びスクロースが挙げられる。
【0073】
(使用の方法)
[0081]本明細書には、ここに記載のカセット、システム、又はキット、又はそれらの任意の組合せを使用した、生体粒子を収集、保存、又は分析するための方法も開示されている。本明細書には、更に、試料容器カセットを使用した、生体粒子を収集、保存、及び分析するための方法が開示されている。したがって、幾つかの実施形態では、記載されている方法は試料収集向けである。幾つかの実施形態では、記載されている方法は、試料保存向けである。幾つかの実施形態では、記載されている方法は、試料処理向けである。幾つかの実施形態において、本明細書には非同期単一細胞分析のためのカセット、システム、及び方法が記載されている。方法は、バーコード化された単一細胞シーケンシングライブラリを生成するのに使用され得る。場合によっては、方法は、(a)1つ又はそ以上の生体粒子を備える試料流体を、ベース上に設けられ得るマイクロウェルアレイであって上部表面及び複数のマイクロウェルを備えるマイクロウェルアレイ上へ装填し、それによって生体粒子を少なくとも1つのマイクロウェルの中へ装填する工程、(b)マイクロウェルアレイ上へ膜部組立体を適用する工程であって、膜部組立体はプランジャへ付着されることができ、膜部組立体は膜フレームと膜上部表面及び膜下部表面を備える半透過性膜とを備えている、膜部組立体を適用する工程、及び(c)マイクロウェルアレイの上部表面の少なくとも一部分を膜下部表面の少なくとも一部分と接触させる工程であって、接触は少なくとも1つの生体粒子をマイクロウェル内に保留することができる、接触させる工程と、を備え得る。
【0074】
[0082]場合によっては、方法は、試料流体が装填される前に、マイクロウェルアレイを取り囲む高い装填リングを付着させる工程を備え得る。場合によっては、方法は、試料流体が装填される前にマイクロウェルアレイを湿潤させる工程を備え得る。湿潤プロセスは、湿潤溶液をマイクロウェルアレイ上へ装填する工程を備え得る。適切な湿潤溶液は、例えば、エタノール、メタノール、及びプロパノールの様なアルコール類、及び界面活性剤を備え得る。湿潤プロセスは、更に、湿潤溶液をマイクロウェルアレイから除去する工程を備え得る。湿潤溶液は、洗浄、乾燥、ピペット操作などによって除去することができる。幾つかの実施形態では、湿潤プロセスは、洗浄バッファ(例えば、PBS0.1%BSA)を用いてマイクロウェルアレイを洗浄する工程を備え得る。幾つかの実施形態では、湿潤プロセスは、洗浄バッファをマイクロウェルアレイ上へ装填し、洗浄バッファをマイクロウェルアレイ上に約30分~約24時間に亘って放置する工程を備えている。幾つかの実施形態では、洗浄バッファはアレイ上に一晩放置される。場合によっては、湿潤プロセスは洗浄バッファを除去する工程を備えている。
【0075】
[0083]幾つかの実施形態では、方法は試料流体を装填する工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法はマイクロウェルアレイを試料流体と接触させる工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法はマイクロウェルアレイを組織試料と接触させる工程を備えている。試料流体は手動で又は自動化によって装填され得る。幾つかの実施形態では、試料流体はピペット操作によって装填される。幾つかの実施形態では、試料流体は、試料流体を装填部組立体の上に流すことによって装填される。試料流体の装填は、アレイ内の1つ又はそれ以上のカットアウト、蓋の(単数又は複数の)開口部、又はそれら両方によって誘導されることができる。幾つかの実施形態では、試料流体はアレイ内のカットアウト区域へ装填される。装填される試料流体の適切な量は、限定するわけではないが、アレイの大きさ、アレイ内のマイクロウェルの数と体積、試料流体の濃度などを含む様々な因子に依存し得る。幾つかの実施形態では、試料流体は、約0.1ml~約5mlの液体を備えている。幾つかの特定の実施形態では、試料流体は、約0.2ml、約0.3ml、約0.4ml、約0.5ml、約0.6ml、約0.7ml、約0.8ml、約0.9ml、約1.0ml、約1.1ml、約1.2ml、約1.3ml、約1.4ml、約1.5ml、約1.6ml、約1.7ml、約1.8ml、約1.9ml、又は約2.0mlの流体を備えている。
【0076】
[0084]試料流体は1つ又はそれ以上の生体粒子を備え得る。幾つかの実施形態では、試料流体は複数の生体粒子を備えている。生体粒子は試料流体中に様々な形態で存在することができ、例えば、生体粒子は、試料流体中に溶けていてもよいし、試料流体に懸濁していてもよいし、又は試料流体中に分散するミセルの形態であってもよい。幾つかの特定の実施形態では、試料流体は細胞の懸濁液を備えている。
【0077】
[0085]幾つかの実施形態では、試料流体中の生体分子の数とマイクロウェルアレイ内のマイクロウェルの数の比は、約1:1000~約10:1であり得る。場合によっては、試料流体中の生体粒子の数とマイクロウェルアレイ内のマイクロウェルの数の比は、約1:100~約1:1、約1:20~約1:4、又は約1:10~約1:8であり得る。場合によっては、試料流体中の生体粒子の数とマイクロウェルアレイ内のマイクロウェルの数の比は、約1:10~約1:8である。幾つかの実施形態では、試料流体中の生体分子の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%がマイクロウェル内に装填される。幾つかの実施形態では、試料流体中の生体粒子の少なくとも95%がマイクロウェル内に装填される。
【0078】
[0086]試料流体が装填された後、マイクロウェルの1つ又それ以上は1つ又はそれ以上の生体粒子を備え得る。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも50%が1つ又はそれ以上の生体粒子を備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも50%が単一の生体粒子を備えている。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの約5%~約20%、約5%~約15%、又は約8%~約12%が単一の生体粒子を備えている。幾つかの実施形態では、残りのマイクロウェルは何れの生体粒子にも占有されていない。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの10%未満、5%未満、2%未満、又は1%未満は2つ又はそれ以上の生体粒子を備えている。
【0079】
[0087]幾つかの実施形態では、方法は、装填された試料流体を混合する工程を備えている。混合する工程は、装填された試料流体を、例えば1回又はそれ以上の回数のピペット操作により撹拌することによって提供され得る。混合する工程は、試料が装填された後に装填部組立体をスワーリングさせることによって提供されてもよい。混合する工程は、更に、装填部組立体を傾けることによって提供されてもよい。幾つかの実施形態では、混合する工程は、攪拌及びスワーリングの様な1つ又はそれ以上の手段を備えている。幾つかの特定の実施形態では、方法は、装填された流体を、1回又はそれ以上(例えば1回~10回など)のピペット操作によって撹拌する工程を備えている。幾つかの実施形態では、試料流体はアレイの中心部のカットアウトにて攪拌される。
【0080】
[0088]場合によっては、方法は装填された試料流体を培養する工程を更に備え得る。試料流体は、混合する工程の前、混合する工程の後、又はそれら両方にて、培養され得る。幾つかの実施形態では、試料流体は、混合(例えば撹拌)する工程の前に静的に培養される。幾つかの実施形態では、試料流体は、混合する工程の後に静的に培養される。試料流体は一定の時間に亘って培養され得る。幾つかの実施形態では、培養毎に、培養時間は、約30秒~約12時間、約1分~約1時間、又は約2分~約15分である。幾つかの実施形態では、培養時間は、約1分~約10分、又は約3分~約7分である。幾つかの実施形態では、培養時間は約5分である。
【0081】
[0089]方法は、試料流体が装填された後に生体粒子を保全する工程を備え得る。幾つかの実施形態では、方法は、試料流体が装填された後に、保存バッファをマイクロウェルアレイへ適用する工程を備えている。保存バッファは、生体粒子又は生体粒子内の1つ又はそれ以上の生体材料を保全する働きをすることができる。幾つかの実施形態では、保存バッファは、細胞内のRNAの様なポリ核酸を保全する働きをする。方法は、保存バッファの存在下に生体粒子を培養する工程を更に備え得る。場合によっては、方法は、試料流体が装填された後に装填リングを除去する工程を備え得る。場合によっては、保存バッファが装填された後に装填リングは除去される。
【0082】
[0090]方法は、マイクロウェルの少なくとも一部分を膜で封止する工程を備え得る。幾つかの実施形態では、方法は、膜部組立体をマイクロウェルアレイ上へ適用する工程を備えている。膜部組立体は、膜部組立体が付着されているプランジャを使用して適用されてもよい。膜部組立体は、膜フレームを使用して適用されてもよい。幾つかの実施形態では、膜部組立体は、プランジャに下向きの力を加えることによって膜をマイクロウェルへ適用できるようにプランジャと共に事前に組み立てられている。幾つかの実施形態では、プランジャは装填部組立体の中へスナップされ得る。幾つかの実施形態では、膜部組立体の適用後に、立ち上がってくる流体の少なくとも一部が押し退けられ得る。幾つかの実施形態では、膜が適用された後にマイクロウェルアレイ上の余分な流体は押し退けられる。例えば、余分な流体はアレイの陥凹区域へ押し退けられる。押し退けられた流体は、試料流体の一部、湿潤溶液の一部、洗浄バッファの一部、保存バッファの一部、又はそれらの組合せを備え得る。押し退けられた流体は、ベースの側部の1つ又はそれ以上のポートから除去され得る。幾つかの実施形態では、プランジャの下部表面上の湾曲表面が余分な流体の押し退けを容易にし得る。場合によっては、プランジャの湾曲表面は、プランジャ圧縮中の膜とアレイの間の堅牢な液体排出を、押下中の流体流れのための経路を提供することによって可能にし得る。場合によっては、プランジャの湾曲表面は、膜付着中のアレイ上に存在するバルク液体の排出にとって不可欠であり得る。幾つかの実施形態では、押し退けられた余分な流体は、例えば、ポートを介したピペット操作を通して除去される。
【0083】
[0091]この方法は、マクロウェルアレイの上部表面の少なくとも一部分を膜下部表面の少なくとも一部分と接触させる工程を備え得る。幾つかの実施形態では、接触は、少なくとも1つの生体粒子をマイクロウェル内の保留することができる。幾つかの実施形態では、接触は、膜部組立体のマイクロウェル上への適用と同時に起こる。幾つかの実施形態では、接触は膜部組立体の適用に続いて起こる。幾つかの実施形態では、アレイ上のマイクロウェルの少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.9%が、接触を通して膜によって封止される。幾つかの実施形態では、アレイの上部表面の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.9%が膜下部表面と接触している。幾つかの実施形態では、マイクロウェル内の生体粒子の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.9%が保留される。透過性又は半透過性の膜の存在下に、封止されたマイクロウェルはマイクロウェルの外の何らかの液体と流体連通にあり得る、ということが当業者には理解されるであろう。透過性又は半透過性の膜の存在下に、膜細孔を通過することのできる物体は膜を通ってマイクロウェルを出入りできる、ということも当業者には理解されるであろう。
【0084】
[0092]幾つかの実施形態では、接触後にアレイ上部表面と膜下部表面の間に分子結合が形成される。分子結合は、一定の接触時間の後に形成され得る。分子結合の形成は、更に、圧力、温度、又はそれら両方を必要とすることもある。幾つかの実施形態では、分子結合は、大気温度又はそれより上にて形成される。幾つかの実施形態では、分子結合は、1分、2分、5分、10分又はそれ以上の後に形成される。
【0085】
[0093]方法は、少なくとも1つの保留された生体粒子を1日又はそれ以上の日数に亘って保存する工程を備え得る。生体粒子を備えるカセット又はシステムは、更に、例えば約-80°C又は約-20°Cを含む、0°Cより下の温度で長期保存に置かれることができる。幾つかの実施形態では、ここに記載の方法は、生体粒子を備えるカセット又はシステムを、約40°C、約30°C、約20°C、約10°C、約4°C、約0°C、約-10°C、約-20°C、約-30°C、約-40°C、約-50°C、約-60°C、約-70°C、又は約-80°Cの温度にて保存する工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法は、生体粒子を備えるカセット又はシステムを、0°C~-20°C、0°C~-30°C、0°C~-50°C、0°C~-80°C、-20°C~-80°C、又はそれらの間の任意の範囲、の範囲内の温度で保存する工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法は、生体粒子を備えるカセット又はシステムを大気温度にて保存する工程を備えている。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上の生体粒子を備えるカセット又はシステムは、1時間から30年の間の期間又はその間の任意の範囲の期間に亘って保存される。例えば、カセット又はシステムは、少なくとも1日、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、又は少なくとも1年に亘って保存され得る。例えば、カセット又はシステムは、多くとも1日、多くとも1週間、多くとも1ヵ月、多くとも2ヶ月、多くとも3ヶ月、多くとも4ヶ月、多くとも5ヶ月、多くとも6ヶ月、多くとも1年、多くとも5年、多くとも10年、又は多くとも30年に亘って保存され得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のカセット又はシステムは、30年又はそれ以上の期間に亘って保存される。方法は、更に、1つ又はそれ以上の生体粒子を備えるカセット又はシステムを配送する工程を備え得る。幾つかの実施形態では、カセット又はシステムは、診療所の様な臨床現場の施設から中央の処理及び/又は分析センターへ配送される。
【0086】
[0094]方法は、更に、プランジャを膜部組立体から解放し、それによって膜上部表面を露出させる工程を備え得る。代わりに、方法は、膜の背側(すなわち、膜上部表面)を露出させる他の手段を備えることもできる。膜上部表面が露出された後、マイクロウェル内に保留されている生体粒子が更に処理されてもよい。幾つかの実施形態では、その様な処理は、マイクロウェル内に保留されている細胞を溶解させる工程を備えている。幾つかの実施形態では、方法は、1つ又はそれ以上の溶解バッファをアレイと接触させる工程を備えている。方法は、少なくとも1つの細胞を溶解させ、それによってRNAを細胞から解放する工程を備え得る。開放されたRNAは、次いで、溶解させた細胞と同じマイクロウェル内に存する捕捉ビーズによって捕捉されることができる。したがって、幾つかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの細胞と同じマイクロウェル内に存するビーズ上にRNAを捕捉する工程を備えている。幾つかの実施形態では、DNA、抗体、又はタンパク質の様な、細胞によって解放される他の生体材料が捕捉ビーズによって捕捉される。
【0087】
[0095]ビーズはマイクロウェルの中へ事前装填されていてもよい。場合によっては、マイクロウェルアレイが複数のビーズを事前装填されていてもよい。幾つかの実施形態では、ビーズは乾燥状態で事前装填される。代わりに、ビーズは、試料流体の前に、試料流体の後に、又は試料流体と同時に装填されてもよい。幾つかの実施形態では、マイクロウェルの少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.9%が単一のビーズを装填される。場合によっては、ビーズはバーコード化された転写物捕捉ビーズである。幾つかの実施形態では、用途に依存して、1つ又は複数の刺激がマイクロウェルへ加えられてもよい。
【0088】
[0096]方法は、マイクロウェル内の1つ又はそれ以上の生体粒子を集める工程を備え得る。場合によっては、方法は、膜部組立体をマイクロウェルアレイから除去し、それによって、封止された生体粒子を露出させる工程を備えている。幾つかの実施形態では、膜フレームがマイクロウェルから除去される。幾つかの実施形態では、膜がマイクロウェルから除去される。膜は、膜フレームを持ち上げることによって除去されてもよい。膜は、膜を轟かせる又は膜に孔を開けることによって除去されてもよい。場合によっては、方法は、複数の生体粒子の少なくとも一部を収集する工程を備えている。場合によっては、方法は、複数のビーズの少なくとも一部を収集する工程を備えている。生体粒子及び/又はビーズは、ビーズ収集デバイスを使用して集められてもよい。例示としてのビーズ収集デバイスが
図8に描かれている。
図8に描かれている様に、例示としての収集デバイスは、ビーズ収集のために構成された孔を中心部に備える円錐形状を有している。幾つかの実施形態では、各ビーズ収集デバイスは、単一のカセットからビーズを収集するように構成されている。他の実施形態では、各ビーズ収集デバイスは、2つ又はそれ以上のカセット、例えばSBSフレーム上のカセットすべてからビーズを収集するように構成されている。幾つかの実施形態では、生体粒子及び/又はビーズは、ビーズ収集プレートを使用して集められる。
【0089】
[0097]場合によっては、ビーズバーコードのシーケンスをcDNAへ組み入れることができるように、方法は捕捉されたRNAからcDNAを生成する工程を更に備え得る。本明細書には、マイクロウェルアレイ上の転写物を空間的に位置確認するための方法が提供されている。方法は、アレイを、1つ又はそれ以上の転写物を保有する複数の細胞と接触させる工程と、バーコード化された捕捉ビーズ上の転写物からcDNAを生成して、固有ビーズバーコードのシーケンスがcDNAの中へ組み入れられるようにする工程を備え得る。固有空間バーコードはマイクロウェル表面から同時に解放されることができるので、バーコード化された捕捉ビーズへの空間バーコードの結合が可能になり、それによって空間バーコードとビーズバーコードの融合が生成される。幾つかの実施形態では、融合は、逆転写反応中に、ビーズ捕捉プローブを、ハイブリダイズされた空間バーコードシーケンスを通して伸ばすことによって生成される。幾つかの実施形態では、アレイ上の転写物の位置は、cDNA分子中に存在するビーズバーコードを、シーケンシングデータ内のビーズバーコード-空間バーコード融合シーケンスにマッチングすることによって突き止めることができる。
【0090】
[0098]場合によっては、これらの方法を遂行するのに自動化が使用され得る。同じ手法が、限定するわけではないがウイルス、核、エキソソーム、血小板などを含め、この開示の方法及び製品を用いて分析することのできる他の核酸源のために適合され得る、ということが理解されるだろう。
【0091】
[0099]幾つかの実施形態では、本明細書に記載のカセット、システム、及びキットは、例えば、参照によりその全体が本明細書によって組み入れられる国際公開第2017124101A2号、米国特許出願第16/213,551号、及び「Seq-Well:ポータブル型、低コスト、高スループットの単一細胞のRNAシーケンシング」ネイチャーメソッド、395(14:4)2017(“Seq-Well: portable, low-cost RNA sequencing of single cells at high throughput,” Nature Methods, 395 (14:4) 2017)に記載されているところの単一細胞RNA-seqを遂行するように機能化される。
【実施例】
【0092】
(例示としての実施形態)
実施例1:
図1A-
図1Bに示されている装填部組立体
[0100]
図1A-
図1Bに描かれている或る例示としての装填部組立体1100は、マイクロウェルアレイ1120、マイクロウェルアレイを支持することのできる装填部組立体のベース1130、スナップクリップ1131の様なロッキング機構、装填リング1110、及び流体収集用ポート1132を備えている。ベース1130は、余分な流体を収容するように構成された陥凹区域1133を備え得る。
図1Bには、装填部組立体上の、スナップクリップ1131の後ろのキーホール1134が示されている。
【0093】
実施例2:装填部組立体
[0101]或る例示としての装填部組立体は、マイクロウェルアレイ1120、装填部組立体のベース1130、スナップクリップ1131の様なロッキング機構、装填リング1110、及び流体収集用ポート1132を備えている。この実施形態では、流体収集用ポート1132はベースの下部に配置されている。
【0094】
実施例3:
図2A-
図2Bに示されている装填部組立体
[0102]
図2A-
図2Bに描かれている或る例示としての装填部組立体1100は、注入蓋1111、装填部組立体のベース1130、スナップクリップ1131の様なロッキング機構、及び流体収集用ポート1132、及び、ピペット操作案内用の注入蓋のカットアウト1112を備えている。注入蓋のカットアウトは、
図2A-
図2Bでは、蓋の側部にあるものとして示されているが、カットアウトは蓋の中央部の様な蓋の何れの位置に設けられていてもよい。
【0095】
実施例4:
図3A-
図3Bに示されているマイクロアレイ
[0103]カットアウト1121を有する或る例示としてのマイクロアレイ1120が
図3Aに描かれている。カットアウトは、捕捉プロセスの終了時に収集デバイスから捕捉ビーズを回収するのに使用され得る。
【0096】
[0104]3つの個別マイクロウェル1122を示す或る例示としてのマイクロアレイ1120の断面が
図3Bに描かれている(アレイ上の残りのマイクロウェルは図示されていない)。各マイクロウェル1122は、上部の開口部1123、下部表面1124、及び側部表面1125を備えている。
【0097】
実施例5:随意的に1つのカットアウトを有するマイクロアレイ
[0105]或る例示としてのマイクロアレイ1120はカットアウト1121を1つだけ有し得る。カットアウトは、試料のピペット操作を案内する又は収集デバイスからビーズを回収するのに使用され得る。カットアウトはマイクロアレイ上のどこに設けられていてもよい。例えば、マイクロアレイは、カットアウトをマイクロアレイの中心部又は側部に備えていてもよい。幾つかの例示としてのマイクロアレイでは、カットアウトは存在しない。
【0098】
実施例6:
図4A-
図4Bに示されているプランジャ部組立体及び膜部組立体
[0106]
図4A-
図4Bに描かれている或る例示としてのプランジャ部組立体1200は、上部表面(即ち、スナップトップ)1230、プランジャ部組立体を装填部組立体に関して所定位置にロックするよう機能するスナップクリップ1211、及びプランジャ1220であって、プランジャ下部表面1221及び随意的な垂直方向のグローブを有するプランジャ側部表面1222を有しているプランジャ1220、を備えている。
【0099】
[0107]
図4A-
図4Bに描かれている或る例示としての膜部組立体1300は、膜1320及び膜フレーム1310を備えている。膜は、膜下部表面1321及び膜上部表面(
図4A-
図4Bには示されていない)を備えている。
【0100】
[0108]膜部組立体1300はプランジャ部組立体へ可逆的に付着でき(
図4A)、またそれらは脱着できる(
図4B)。
【0101】
[0109]膜部組立体1300は、随意的には、スナップクリップの様なロッキング機構(
図4A-
図4Bに示されていない)を備え得る。膜部組立体上の1つのロッキング機構がプランジャ部組立体のロッキングスナップと係合し、それによって膜部組立体をプランジャ部組立体に関して所定位置にロックすることができる。膜部組立体上の2つ目のロッキング機構が、装填部組立体のロッキングスナップと係合し、それによって、膜部及びプランジャ部組立体を装填部組立体に関して所定位置にロックすることができる。ロッキング機構は、機械的に(例えばスナップトラップなどによる)、又は摩擦によって、又は何れかの他の適切な手段によって動作することができる。
【0102】
実施例7:
図5に示されている完全にスナップされたカセット
[0110]
図5に描かれている或る例示としての完全にスナップされたカセット1000は、上部にプランジャ部組立体1200、下部に装填部組立体1100、そして図示されていない追加の内部構成要素(例えば、膜部組立体1300)を備えている。プランジャ部組立体1200のスナップトップ1230は、その上部表面に、カセットを開閉する又はそれ以外にカセットを操作するため(例えば、装填部組立体に対するプランジャ部組立体の脱着又は付着)に使用できるハンドル1231、アプリケーターが便利にハンドルにアクセスできるようにすることを構想した凹状表面区域1232、及び複数のカセットがSBSフレーム上で同時に及び/又は自動的に開放されることを可能にするロッキング機構の一部である1つ又はそれ以上の開口部1233、を備えているものとして描かれている。
図5には流体収集用ポート1132を備える装填部組立体のベース1130も示されている。
【0103】
実施例8:
図6に示されている6個の完全にスナップされたカセットを備えるカセットシステム
[0111]
図6に描かれている或る例示としてのカセットシステムは、SBSフレーム2000と6個の完全にスナップされたカセット1000を備えている。SBSフレーム2000は、その上側の表面に複数のキー2100を備えている。キー2100は、SBSフレーム2000から上向きに突出していて、十字の形状をした断面を有している。描かれている様に、カセットへの容易挿入を可能にするようキーは側方から見ると上が幅狭になっていて先端にはより小さい断面を有している。キーとカセット側のスナップクリップは、キーがカセット側の対応するスロットの中へ挿入されたときにプランジャ部組立体が装填部組立体及び膜部組立体(図示せず)から脱着されることになるように構成されている。
【0104】
[0112]
図6に描かれている各カセット1000は、上部にプランジャ部組立体1200、下部に装填部組立体1100、そして図示されていない追加の内部構成要素(例えば、膜部組立体1300)を備えている。プランジャ部組立体1200のスナップトップ1230は、その上部表面に、カセットを開閉する又はそれ以外にカセットを操作するため(例えば、装填部組立体に対するプランジャ部組立体の脱着又は付着)に使用できるハンドル1231、アプリケーターが便利にハンドルにアクセスできるようにすることを構想した凹状表面区域1232、及び複数のカセットがSBSフレーム上で同時に及び/又は自動的に開放されることを可能にするロッキング機構の一部である1つ又はそれ以上の開口部1233、を備えているものとして描かれている。
図6に示されている様に、スナップトップは、カセットの積重及び便利な保存を可能にする平坦な上部表面を有している。スナップクリップ1131を備える装填部組立体のベース1130も描かれている。
【0105】
実施例9:
図7に示されているSBSフレーム上の6個の開放されたカセットを備えるカセットシステム
[0113]
図7に描かれている或る例示としてのカセットシステムは、SBSフレーム2000と、それぞれが膜部組立体1300及び装填部組立体1200を備える6個の開放されたカセットを備えている。SBSフレーム2000は、その上側の表面に複数のキー2100を備えている。キー2100は、SBSフレーム2000から上向きに突出していて、十字の形状をした断面を有している。描かれている様に、カセットへの容易挿入を可能にするようキーは側方から見ると上が幅狭になっていて先端にはより小さい断面を有している。キーがカセット側の対応するスロットの中へ挿入されると、プランジャ部組立体(図示せず)が装填部組立体から脱着される。各膜部組立体1300は膜フレーム1310及び膜1320を備えている。膜は膜下部表面(図示せず)及び膜上部表面1322を有している。各装填部組立体1100は、ベース1130、スナップクリップ1131、及びこの図に示されていない追加の構成要素(例えば、マイクロアレイ)を備えている。
【0106】
実施例10:
図8に示されているSBSフレーム上の6個の開放されたカセットを備えるカセットシステム
[0114]
図8に描かれている或る例示としてのカセットシステムは、SBSフレーム2000と、それぞれが装填部組立体1100を備える6個の開放されたカセットを備えている。SBSフレーム2000は、その上側の表面に、SBSフレーム2100から上向きに突出する複数のキー2100を備えている。キー2100は、装填部組立体のキー孔の中へ挿入される。各装填部組立体1100は、ベース1130、スナップクリップ1311、及びマイクロアレイ1120を備えている。
【0107】
実施例11:
図9に示されているSBSフレーム上の6個のカセット及び収集デバイスを備えるカセットシステム
[0115]
図9に描かれている或る例示としてのカセットシステムは、SBSフレーム2000と、それぞれが装填部組立体1100及び収集デバイス3000を備えた6個のカセットを備えている。SBSフレーム2000は、その上側の表面に複数のキー2100を備えている。キー2100はSBSフレーム2000から上向きに突出している。各装填部組立体1100は、ベース1130、スナップクリップ1311、及びこの図には示されていない追加の構成要素(例えば、マイクロアレイ)を備えている。各収集デバイス3000は、円錐形状の上部表面3020と、カセットが逆さにされたときにビーズが通過するのを許容するように構成された上部表面の中心部の随意的な小開口部3010と、を備えている。
【0108】
実施12:使用のプロトコル
[0116]或る例示としての使用のプロトコルが
図10及び
図11に見られる。
【0109】
[0117]アレイ湿潤(
図10Aに示す)。1mLのメタノールをマイクロアレイに加えて湿潤させ、5分間培養させた。次いで、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)加PBSを用いてマイクロアレイを3回洗浄した。
【0110】
[0118]試料装填(
図10Bに示す)。次いで、1mlピペットを用いて湿潤溶液を除去し、1mlの細胞懸濁液を加え、静的に5分間培養させた。その後、3回のピペット操作によって溶液を攪拌し、再び5分間培養させた。
【0111】
[0119]細胞固定(
図10Cに示す)。PBSを用いた2回洗浄、続く保存バッファの添加、及び10分間の培養(随意)によって細胞を固定した。
【0112】
[0120]装填リング除去(
図11Aに示す)。装填リングをスナップ解除した。
【0113】
[0121]膜/プランジャのスナッピング(
図11Bに示す)。装填リングを除去した後、スナップイントップを膜部組立体/プランジャ部組立体と共にスナップインさせた。膜部組立体を装填部組立体へ付着させたとき、マイクロアレイ上に位置する液体は押し退けられることになる。
【0114】
[0122]余分な保存バッファの除去(
図11Cに示す)(随意)。ピペットを使用して余分な保存バッファを吸引した。マイクロアレイは、すべての押し退けられた液体が除去のために流れてゆけるように流体収集用ポート(開口部)の方へ傾けられてもよい。
【0115】
実施例13:代替的プロトコル
[0123]或る例示としての代替的プロトコルも
図10及び
図11に見られる。0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)加PBS1mlをマイクロアレイに加えて湿潤させ、1時間乃至1晩に亘って培養させた。次いで、1mlピペットを用いて湿潤溶液を除去し、1mlの細胞懸濁液を加え、静的に5分間培養させた。その後、溶液をスワーリングによって撹拌し、再び5分間培養させた。保存バッファの添加及び10分間の培養によって細胞を固定した。装填リングをスナップ解除し、スナップイントップを膜部組立体/プランジャ部組立体と共にスナップインさせた。ピペットを使用して余分な保存バッファを吸引した。
【0116】
実施例14:
図12A-
図12Cに示されているカセット
[0124]プランジャ部組立体1200、膜部組立体1300、及び装填部組立体1100を備える或る例示としてのカセットが
図12A-
図12Cに示されている。
【0117】
[0125]
図12Aに描かれている或る例示としてのプランジャ部組立体1200は、上部表面(即ち、スナップトップ)1230、プランジャ部組立体1200を装填部組立体1100及び/又は膜部組立体1300に関して所定位置にロックするよう機能するスナップクリップ1211、及びプランジャ1220であって、プランジャ下部表面1221及びプランジャ側部表面1222を有するプランジャ1220、を備えている。プランジャ上部表面1230はキー孔1233を備えている。
【0118】
[0126]
図12Bに描かれている或る例示としての膜部組立体1300は、膜(図示せず)及び膜フレーム1310を備えている。膜フレームは、スナップクリップ1311及びフィンガグリップ1312を備えている。膜部組立体1300は、プランジャ部組立体1200へ可逆的に付着され得る。膜部組立体1300は、装填部組立体1100へ可逆的に付着され得る。
【0119】
[0127]
図12Cに描かれている或る例示としての装填部組立体1100は、マイクロウェルアレイ1120、マイクロウェルアレイを支持することのできる装填部組立体のベース1130、及びスナップクリップ1131の様なロッキング機構を備えている。ベース1130は、余分な流体を収容するように構成された陥凹区域1133を備えている。ベース1130は、ロッキング機構を係合解除することのできるキーを挿入するように構成されたキー孔1134を備えている。ベース1130は、随意的に、
図12Cの例示としての装填部組立体には存在しない流体収集用ポートを備え得る。
【0120】
[0128]本明細書に記載の実施例及び実施形態は、説明のみを目的としており、当業者へ示唆される様々な修正又は変更は、この出願並びに付随の特許請求の範囲による範囲の主旨及び権限の内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0121】
1000 カセット
1100 装填部組立体
1110 装填リング
1111 注入蓋
1112 カットアウト
1120 マイクロウェルアレイ、マイクロアレイ
1121 カットアウト
1122 マイクロウェル
1123 上部の開口部
1124 下部表面
1125 側部表面
1130 ベース
1131 スナップクリップ
1132 流体収集用ポート
1133 陥凹区域
1134 キー孔
1200 プランジャ部組立体
1211 スナップクリップ
1220 プランジャ
1221 プランジャ下部表面
1222 プランジャ側部表面
1230 上部表面(スナップトップ)
1231 ハンドル
1232 凹状表面区域
1233 開口部、キー孔
1300 膜部組立体
1310 膜フレーム
1311 スナップクリップ
1312 フィンガグリップ
1320 膜
1321 膜下部表面
1322 膜上部表面
2000 SBSフレーム
2100 キー
3000 収集デバイス
3010 小開口部
3020 円錐形状の上部表面
【国際調査報告】