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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(54)【発明の名称】エアレスホイール
(51)【国際特許分類】
   B60B 9/26 20060101AFI20220729BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20220729BHJP
   B60C 7/00 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
B60B9/26
F16F7/00 F
B60C7/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519644
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(85)【翻訳文提出日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 KR2020007138
(87)【国際公開番号】W WO2020251204
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0067836
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521538549
【氏名又は名称】キム,ミン ス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン ス
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン フン
【テーマコード(参考)】
3D131
3J066
【Fターム(参考)】
3D131BB19
3D131BC43
3D131CC02
3D131CC03
3D131LA28
3J066AA22
3J066AA26
3J066AA29
3J066BA01
3J066BD05
(57)【要約】
本発明は、エアレスホイールに関し、軸嵌合孔を有する所定の直径のハブと、ハブの周縁部に固定され、走行時に路面から伝わる衝撃エネルギーを通過させながら減衰する多数の一体型緩衝スポークを有する弾性ホイール本体とを含んでなり、このような本発明のエアレスホイールは、接地面の十分な弾性変形ができることはもとより、多数の緩衝スポークを具備して、緩衝作用が二重で行われるので、その分だけ緩衝能力に優れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸嵌合孔を有する所定の直径のハブと、
前記ハブの周縁部に固定され、走行時に路面から伝わる衝撃エネルギーを通過させながら減衰する多数の一体型緩衝スポークを有する弾性ホイール本体と、を含むエアレスホイール。
【請求項2】
前記ホイール本体は、金型内にハブを固定したまま、ゴムをインサート射出成形したものであって、
前記緩衝スポークは、前記ハブを中心に半径方向に延びて等角配置される、請求項1に記載のエアレスホイール。
【請求項3】
前記ホイール本体は、金型内にハブを固定したまま、ゴムをインサート射出して成形したものであって、前記軸嵌合孔の中心軸を基準として等角配置される多数の貫通孔を有し、
前記緩衝スポークは、隣り合う貫通孔の間に位置する、請求項1に記載のエアレスホイール。
【請求項4】
前記緩衝スポークは、ハブを中心に半径方向に延び、
延長方向に所定の断面積を有する、請求項3に記載のエアレスホイール。
【請求項5】
前記ホイール本体の内部には、ホイール本体の構造的強度を補強する所定の直径の補強リングが内蔵される、請求項2~4のいずれか一項に記載のエアレスホイール。
【請求項6】
前記ホイール本体の外周面は、走行時に路面に接する接地面であり、
前記補強リングは、緩衝スポークと接地面との間に位置する、請求項5に記載のエアレスホイール。
【請求項7】
前記補強リングは、
所定の直径及び幅を有するリングボディと、
前記リングボディの外周面に形成され、ホイール本体との間に密閉された緩衝空間を提供し、リングボディの円周方向に沿って所定の間隔だけ離間した多数の突出ブロックとを含む、請求項5に記載のエアレスホイール。
【請求項8】
前記突出ブロックは、リングボディの外周面に2列に並んで配列され、
前記緩衝空間は、各突出ブロックの間に形成されている緩衝溝である、請求項7に記載のエアレスホイール。
【請求項9】
前記2列の並んだ突出ブロックのうち、一方側の列の突出ブロックは、他方側の列の緩衝溝に対応して配置される、請求項8に記載のエアレスホイール。
【請求項10】
前記2列の並んだ突出ブロックは、平行に離間しており、それらの間には、リングボディの円周方向に延び、所定の幅を有する第2緩衝溝がさらに形成された、請求項8に記載のエアレスホイール。
【請求項11】
前記突出ブロックには、ホイール本体に対する突出ブロックの接触面積を拡大するための拡張溝が形成される、請求項7に記載のエアレスホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気が注入されないエアレスホイールに関し、より詳しくは、走行中に、地面から上がってくる衝撃を効果的に緩衝することができるエアレスホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、物流倉庫や大型マートなどの荷物運搬台車やカートまたは物流ロボットなどから、病院の患者用ベッドなどに至るまで、多様な種類のホイールが使われる。ホイールは、移動させるべき対象の重さを支えながら走行経路に沿って転がり運動をするものであって、路面の凹凸から上がってくる衝撃や振動を最大限吸収できるように設計される。
【0003】
路面から伝わる振動や衝撃をまともに吸収できない場合は、走行性が著しく劣り、台車の運用が困難になり、とりわけ、物流ロボットは、内部の精密部品が損傷するか、またはセンサーが離脱されるなどの問題が生じることがある。また、ひどい場合、ホイールそれ自体の損傷が発生して、ホイールシャフトが切断または変形されてしまうという問題が生じることもある。
【0004】
これらの問題点を解決するために、ホイールに、緩衝技術を適用した多様な方式の緩衝装置が開発されつつある。たとえば、韓国登録特許公報第10-0441165号(キャスター緩衝装置)には、複数個の固定孔を有する固定板の下方へ、支持ブラケットをやや傾斜するように固定させ、一方側にホイールを固定したアームの中間部位と固定をし、支持ブラケットの後方には、連結部材を延出させてアームの他方側と固設されたキャスター緩衝装置において、前記ホイールを固定したアームの後端両側には、後述するウレタンキャップを固着できるように固着溝を形成し、前記ウレタンからなるウレタンキャップは、ばねの長さよりも小さく形成し、荷重によってばねとウレタンとが二重で緩衝するようにして、安定した緩衝作用のために、内部両側にばねを挿入して安着するように挿入部を形成し、前記ウレタンキャップの挿入部に挿入されるばねは、前記支持ブラケットの後方に延出させた連結部材の端部に形成されたばねを安着することができる安着突部にばねを安着させることで、ウレタンキャップおよびばねによってキャスターの緩衝が行われるようにした技術が開示されている。
【0005】
ところが、前記した緩衝装置は、ホイールと台車との間にばねとウレタンキャップなどの緩衝部材を適用したものであって、ホイールそれ自体に緩衝能力を付加するわけではない。すなわち、一応、ホイールを通過した衝撃を減衰させ、走行時に運搬台車の騷音を無くして安定した走行を可能にするものであり、ホイールの緩衝能力のための構造を開示しているものではない。
【0006】
ホイールそれ自体が緩衝能力を有するように提案された先行技術として、韓国登録特許公報第10-1584340号(非空気圧ホイール及びその製造方法)が開示されたところがある。前記登録公報に紹介された非空気圧ホイールは、空気を圧入する方式ではない、エアレスホイール(airless wheel)であって、図1に示した構造を有する。
【0007】
図1は、前記非空気圧ホイールの内部構造を示した断面図である。
【0008】
同図に示したように、従来の非空気圧ホイール10は、シャフトが挟み込まれる内輪12と、内輪12の周縁部に結合する外輪11とで構成される。また、内輪12の外周面には、2列の円弧面12aが形成される。円弧面12aは、外輪11を固定させるためのものであって、その間に流動空間12cを有する。流動空間12cは、外輪11に衝撃が入るとき、外輪11を矢印aの方向に受け入れるための緩衝空間である。
【0009】
しかし、前述した従来の非空気圧ホイール10は、緩衝効果があまり良くない。緩衝のために流動空間12cを設けたが、外輪11に衝撃が加えられても外輪が流動空間へ十分に入り込むことができないからである。外輪の弾性変形率が小さければ当たり前に減衰能力が劣る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる問題点を解消するために案出されたもので、その目的は、接地面の十分な弾性変形ができることはもとより、多数の緩衝スポークを具備して、緩衝作用が二重で行われるので、その分だけ緩衝能力に優れるエアレスホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための課題の解決手段としての本発明のエアレスホイールは、軸嵌合孔を有する所定の直径のハブと、前記ハブの周縁部に固定され、走行時に路面から伝わる衝撃エネルギーを通過させながら減衰する多数の一体型緩衝スポークを有する弾性ホイール本体と、を含む。
【0012】
また、前記ホイール本体は、金型内にハブを固定したまま、ゴムをインサート射出成形したものであって、前記緩衝スポークは、前記ハブを中心に半径方向に延びて等角配置される構造を有する。
【0013】
また、前記ホイール本体は、金型内にハブを固定したまま、ゴムをインサート射出成形したものであって、前記軸嵌合孔の中心軸を基準として等角配置される多数の貫通孔を有し、前記緩衝スポークは、隣り合う貫通孔の間に位置する。
【0014】
なお、前記緩衝スポークは、ハブを中心に半径方向に延び、延長方向に所定の断面積を有する。
【0015】
また、前記ホイール本体の内部には、ホイール本体の構造的強度を補強する所定の直径の補強リングが内蔵される。
【0016】
さらに、前記ホイール本体の外周面は、走行時に路面に接する接地面であり、前記補強リングは、緩衝スポークと接地面との間に位置する。
【0017】
また、前記補強リングは、所定の直径及び幅を有するリングボディと、前記リングボディの外周面に形成され、ホイール本体との間に密閉された緩衝空間を提供し、リングボディの円周方向に沿って所定の間隔だけ離間した多数の突出ブロックとを含む構造を有する。
【0018】
なお、前記突出ブロックは、リングボディの外周面に2列に並んで配列され、前記緩衝空間は、各突出ブロックの間に形成されており、前記2列の突出ブロックのうち、一方側の列の突出ブロックは、他方側の列の緩衝溝に対応して配置される。
【0019】
また、前記2列の突出ブロックは、平行に離間しており、それらの間には、リングボディの円周方向に延び、所定の幅を有する第2緩衝溝がさらに形成される。
【0020】
さらに、前記突出ブロックには、ホイール本体に対する突出ブロックの接触面積を拡大するための拡張溝が形成される。
【発明の効果】
【0021】
上述のように構成された本発明のエアレスホイールは、接地面の十分な弾性変形ができることはもとより、多数の緩衝スポークを具備して、緩衝作用が二重で行われるので、その分だけ緩衝能力に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来のエアレスホイールである非空気圧ホイールの問題点を説明するための断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るエアレスホイールの斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るエアレスホイールの切開斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るエアレスホイールに内蔵され得る補強リングの構造を説明するための図である。
図5a図2に示したエアレスホイールの作製方法を参考に説明するための図である。
図5b図2に示したエアレスホイールの作製方法を参考に説明するための図である。
図5c図2に示したエアレスホイールの作製方法を参考に説明するための図である。
図6a】本発明の一実施形態に係るエアレスホイールの緩衝方式を説明するための断面図である。
図6b】本発明の一実施形態に係るエアレスホイールの緩衝方式を説明するための断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るエアレスホイールに内蔵され得る他の形態の補強リングを示す斜視図である。
図8図7の補強リングが内蔵されたエアレスホイールの切開斜視図である。
図9図8に示したエアレスホイールの作製方式を参考に説明するための部分断面図である。
図10a図8に示したエアレスホイールの断面構造及び緩衝方式を説明するための断面図である。
図10b図8に示したエアレスホイールの断面構造及び緩衝方式を説明するための断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係るエアレスホイールでの緩衝スポークの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
基本的に、本発明のエアレスホイールは、空気を注入するチューブ方式ではない、ゴムそれ自体の弾性力を用いて緩衝を図るタイプのホイールであって、二重緩衝作用によって効率的な緩衝能力を発揮する。
【0024】
このようなエアレスホイールの基本構造は、軸嵌合孔を有する所定の直径のハブと、前記ハブの周縁部に固定され、走行時に路面から伝わる衝撃エネルギーを通過させながら減衰する多数の一体型緩衝スポークを有する弾性ホイール本体とからなる。
【0025】
以下、本発明による一つの実施の形態を、添付された図面を参照してより詳しく説明する。
【0026】
図2は本発明の一実施形態に係るエアレスホイール20の外観を示す斜視図である。
【0027】
同図に示したように、本実施形態に係るエアレスホイール20は、ハブ21とホイール本体23とを有し、さらに、ホイール本体23の内部に補強リング(図4及び図7の符号25)を具備する。
【0028】
ハブ21は、プラスチックで成形して作製されたものであって、その中心軸部に軸嵌合孔21aを有する。軸嵌合孔21aにホイールシャフトがはめ込まれることは勿論のことである。また、ホイール本体23は、ゴムやシリコーンでインサート射出成形されたものであって、多数の緩衝スポーク23aと、貫通孔23bと、開放孔23cとを有する。ホイール本体23の外周面は、走行中に路面Gに接する接地面である。
【0029】
緩衝スポーク23aは、ホイール本体23に貫通孔23bを形成することによって自動に作られた部分であって、半径方向に矩形の断面形態を有する。インサート射出成形時に貫通孔23bを形成する理由は、エアレスホイール20の全体としての重さを軽減し、使用される材料を節減しながら、緩衝スポーク23aを形成するためのものである。
【0030】
前記貫通孔23bは、エアレスホイール20の厚さ方向に貫通している孔である。厚さ方向とは、軸嵌合孔21aにはめ込まれるホイールシャフトの方向を意味する。
【0031】
なお、各貫通孔23bは、言い換えれば、扇形または台形の形状を有し、軸嵌合孔21aの中心軸を基準として等角配置される。貫通孔を前記したように形成することによって、所定の厚さTの緩衝スポーク23aが得られる。
【0032】
前記緩衝スポーク23aは、図11に示したように、エアレスホイール20が路面を走行しているうちに、例えば、障害物Zを超える瞬間に発生する衝撃エネルギーを吸収する役割を果たす。すなわち、衝撃エネルギーが伝えられた瞬間に弾性変形してエネルギーを減衰するわけである。エネルギー減衰率が緩衝スポーク23aの厚さTによって変わるのは勿論のことである。緩衝スポーク23aの厚さは、エアレスホイール20の使用環境に鑑み、適宜設計されるものである。
【0033】
そして、開放孔23cは、射出成形の際、第1緩衝溝(図3cの符号25c)にはめ込まれていた金型ピンAが、射出成形後に潜り抜けた孔である。すなわち、金型ピンAがあった跡である。これについての説明は、図5によって後述することにする。
【0034】
一方、前記ホイール本体23の内部には、補強リング25が内蔵される。補強リング25は、図4図7に示した形状を有する環状部材である。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態に係るエアレスホイール20の切開斜視図であり、補強リング25を別途示した図である。
【0036】
補強リング25は、緩衝スポーク23aと接地面23dとの間に埋め込まれ、ホイール本体23の構造的強度を補強する役割を果たす。このような補強リング25は、リングボディ25aと、該リングボディ25aの外周面に一体に形成された多数の突出ブロック25bとを有する。
【0037】
前記リングボディ25aは、所定の直径及び幅Wを有する環状部材であって、その中心軸が軸嵌合孔21aの中心軸と一致する。また、リングボディ25aの外周面には第2緩衝溝25dが形成されている。第2緩衝溝25dは、リングボディ25aの幅方向の中央部に形成された所定の幅及び深さの溝である。
【0038】
また第2緩衝溝25dの左右側には、多数の突出ブロック25bが形成されている。突出ブロック25bは、リングボディ25aの外周面に一体を成す六面体形の部材であって、リングボディ25aの円周方向に所定の間隔を成す。各突出ブロック25bの間の空間は、第1緩衝溝25cであって、ゴムやシリコーンが充填されず空いており、開放孔23cを介して側方向に開放される。
【0039】
前記第2緩衝溝25dを基準として左側に配列された突出ブロック25bの列と、右側に配列された突出ブロック25bの列、言い換えれば、左側列と右側列とは、相互に並んでおり、第2緩衝溝25dを挟んで平行に隔てられている。突出ブロック25bが、リングボディ25aの外周面に2列で平行に配列されるものである。
【0040】
特に、2列の並んだ突出ブロックの中で、一方側の列の突出ブロック25bは、他方側の列の第1緩衝溝25cに一対一で対応する。たとえば、左側列の突出ブロック25bと右側列の第1緩衝溝25d、左側列の第1緩衝溝25dと右側列の突出ブロック25bとが対応するわけである。つまり、左側列の突出ブロックに対して右側列の突出ブロックが半ピッチだけずれているものである。
【0041】
突出ブロック25bを前述のように形成した理由は、補強リング25の外側に緩衝空間25kを形成するためのことである。緩衝空間25kは、前記第1緩衝溝25cと第2緩衝溝25dであり、エアレスホイール20の走行中に衝撃が伝わるとき、ホイール本体23が十分に弾性変形し得るようにする。すなわち、図6bに示したように、ホイール本体23が矢印s方向に所望する分だけ弾性変形できるようにするものである。
【0042】
前記補強リング25を金型内に設置したまま、ゴムやシリコーンをインサート射出するにもかかわらず、第1緩衝溝25cおよび第2緩衝溝25dにゴムやシリコーンが充填されないことは、インサート射出成形法に従うからである。
【0043】
図5a~図5cは、図2に示したエアレスホイール20の射出作製方法を参考に説明するための図である。
【0044】
前記エアレスホイール20を作製するためには、多数の金型ピンAの形成されているインサート射出金型(図示せず)がなければならない。前記インサート射出金型が用意されたら、インサート射出金型を開放し、その内部にハブ21と補強リング25を定位置に置く。
【0045】
ハブ21及び補強リング25の位置付け済みであれば、インサート射出金型を閉じて金型ピンAが第1緩衝溝25cに挿入された後に第2緩衝溝25dを横切って対向するブロック25bに密着させる。金型ピンAは、すべての第1緩衝溝25cを充填し、第2緩衝溝25dをカバーした状態で待機する。
【0046】
この状態で用意された流動性ゴムを金型内に圧入してホイール本体23の外観を形成した後、ゴムが冷却されてからインサート射出金型を開放する。インサート射出金型が開放されるにつれ、それぞれの金型ピンAが補強リング25から分離されて、ホイール本体23の内部に第1、2緩衝溝25c、25dおよび開放孔23cが残るようになる。
【0047】
図6a及び図6bは、本発明の一実施形態に係るエアレスホイール20の緩衝方式を説明するための断面図である。
【0048】
同図に示したように、エアレスホイール20のホイール本体23の内部に補強リング25が埋め込まれている。補強リング25は、エアレスホイール20の構造的強度を補強する役割をし、特に、その周縁部に前記した第1、2緩衝溝25c、25dを有する。
【0049】
第1、2緩衝溝25c、25dは、走行中に路面から伝わった衝撃によって、ホイール本体23が矢印s方向に変形されることができる空間を提供する。第1、2緩衝溝25c、25d、すなわち、ホイール本体がs方向に後退する空間がなければ、ゴムそれ自体が持つ弾性限界内で若干の収縮ばかりするだけなので、衝撃減衰効率があまり高くない。
【0050】
図7は、本発明の一実施形態に係るエアレスホイールに内蔵され得る他の形態の補強リングを示す斜視図であり、図8は、図7の補強リングが内蔵されたエアレスホイールの切開斜視図である。
【0051】
以下、前述した符号と同じ符号は、同一の機能の同一の部材を指す。
【0052】
図面を参照すると、それぞれの突出ブロック25bの一部に拡張溝25eが形成されていることが分かる。拡張溝25eは、ホイール本体23を構成するゴムやシリコーンに対する突出ブロック25bの接触面積を拡大するための役目をする。図8に示したように、ホイール本体23の一部が拡張溝25eの内部に収容されている。突出ブロック25bに対するホイール本体23の面接面積が増加するので、補強リング25の外周部をカバーしている部分と、補強リング25との結合がより安定に維持され、これによって走行質感が向上する。
【0053】
図9は、図8に示したエアレスホイール20の作製方式を参考に説明するための部分断面図である。
【0054】
図9に示されているように、第1緩衝溝25cを介して完全に挿入された金型ピンAの先端面の前方に拡張溝25eが位置する。また、拡張溝25eの内部には、ホイール本体23を構成するゴムが充填されている。
【0055】
このように突出ブロック25bに拡張溝25eをさらに形成することによって、ホイール本体23の矢印s方向の弾性変形を防ぐ面積、すなわち、突出ブロック25bの水平面の面積が細くなるので、弾性変形がさらに容易に行われることができる。
【0056】
図10a及び図10bは、図8に示したエアレスホイールの断面構造及び緩衝方式を説明するための断面図である。
【0057】
図10aを参照すれば、前記拡張溝25eの内部にホイール本体23を構成するゴムが充填されており、緩衝空間25kは、空いたまま開放孔23cを介して側方向に開放されていることが分かる。
【0058】
前記構成を有するエアレスホイール20が、路面を走行しているうちに図10bに示したように、矢印s方向の衝撃を受けると、当該部分が弾性変形して第1、2緩衝溝25c、25dへ移動する。このように、ホイール本体23の外側部分が矢印s方向に変形し易いということは、緩衝効率が良いという意味である。
【0059】
図11は、本発明の一実施形態に係るエアレスホイールの緩衝動作を示す図である。
【0060】
同図に示したように、路面Gに沿って走行していたエアレスホイール20が障害物Zに遭遇して矢印P方向の衝撃を受けると、ホイール本体23の一部が、図6及び図10に示したように、矢印s方向に弾性変形して緩衝空間25kに瞬間的に挿入される。これによって、衝撃エネルギーが一次的に減衰する。
【0061】
これと同時に、残りの衝撃エネルギーは、緩衝スポーク23aに移動して除去される。緩衝スポーク23aは、言わば、矢印m方向に弾性変形して衝撃エネルギーを二次的に減衰することである。
【0062】
つまり、前述したように構成される本発明のエアレスホイール20は、衝撃減衰が2段階で行われ、特に、1次減衰時にホイール本体23の物理的弾性変形が十分に行われるので、その分だけ衝撃エネルギーの減衰効率が優れる。
【0063】
以上、本発明を具体的な実施形態を通じて詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で通常の知識を有する者によっていろいろ変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9
図10(a)】
図10(b)】
図11
【国際調査報告】