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特表2022-535327熱処理によって非エナージェントバイオコールを製造するための方法および装置
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  • 特表-熱処理によって非エナージェントバイオコールを製造するための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(54)【発明の名称】熱処理によって非エナージェントバイオコールを製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C10B 53/02 20060101AFI20220801BHJP
   C10B 47/44 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
C10B53/02
C10B47/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560592
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 FI2020050226
(87)【国際公開番号】W WO2020208301
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】20195284
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521443900
【氏名又は名称】カーボフェックス オイ
【氏名又は名称原語表記】CARBOFEX OY
【住所又は居所原語表記】Tehdaskartanonkatu 25 Tampere Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】ツキアイネン,サンポ
【テーマコード(参考)】
4H012
【Fターム(参考)】
4H012JA03
(57)【要約】
本発明は、熱処理によって非エナージェントバイオコールを製造するための方法および装置に関する。原料(x)は、コンベヤ機構(3)によって処理空間(2)に搬送され、これによって熱分解ガス(y)は、燃焼室(4)からの熱伝達の結果としてコンベヤ機構(3)内に存在する原料(x)から発生する。非エナージェントバイオコール(x’)に含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)化合物の量は、水(z)をコンベヤ機構(3)の内部に送ることにより、水蒸気(z’)によって低減/排除される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理によって、ヒートシンクとして機能するような非エナージェントバイオコールを製造する方法であって、供給要素(1a)を用いて被処理原料(x)をコンベヤ機構(3)の内部に導入することを含み、コンベヤ機構(3)は、トムソン・コンバータ型の処理空間(2)内に存在し、処理空間(2)に対して閉じており、コンベヤ機構(3)は、処理空間(2)の長手方向(s)に、被処理原料(x)を処理空間(2)内に移動させ、それにより、処理空間(2)からコンベヤ機構(3)への熱伝達の結果として、コンベヤ機構(3)内にある被処理原料(x)から、熱分解ガスが生じ、熱分解ガスは、処理空間の燃焼室(4)内で熱分解ガスを燃焼させるためにコンベヤ機構(3)から離れるように導かれ、結果として生じる排ガス(y’)は、排出機構(5)によって処理空間(2)から除去され、生成された非エナージェントバイオコール(x’)は、さらなる処理のための排出要素(1b)を用いてコンベヤ機構(3)から除去され、それによって、熱分解ガス(y)は、最も好ましくは連続的に動作するガスバーナ機構(7)で燃焼され、処理空間(2)内のコンベヤ機構(3)のための熱伝達は、ガスバーナ機構(7)の炎から、および燃焼室(4)の壁から、の実質的に直接的な放射で行われ、さらに、熱分解ガス(y)は、熱分解ガス中に存在する熱を、処理空間(2)の長手方向sに移動している被処理原料(x)内に伝達するために、そして、冷却された熱分解ガス(y)をガスバーナ機構(7)に送るために、コンベヤ機構(3)の供給端部(I)に向かう処理スペースの長手方向(s)に関して向流でコンベヤ機構(3)内に導かれる、方法において、
被処理非エナージェントバイオコール(x’)に含まれるPAH化合物の量は、コンベヤ機構(3)の内部に水(z)を供給することによる水蒸気(z’)によって低減/排除され、水(z)は、蒸気流(z’)を運ぶためのコンベヤ機構(3)の排出端部(II)から、熱分解ガス(y)と一緒に、コンベヤ機構(3)の供給端部(I)に向かう処理空間(2)の長手方向(s)に関して向流で、コンベヤ機構(3)の内部に導かれる、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
生成される熱分解ガス(y’)は、被処理原料(x)を供給する(1a)前に、処理空間(2)の長手方向(s)において除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生成される非エナージェントバイオコール(x’)には、コンベヤ機構(3)から取り出される前に、水蒸気の作用によってクラックを生じさせ、冷却されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
被処理原料(x)は、コンベヤ機構(3)を用いて処理空間(2)内で処理され、コンベヤ機構は、それに対して過剰圧力下にあり、環境に対して実質的に気密である供給要素(1a)および排出要素(1b)を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
生成されるべき非エナージェントバイオコール(x’)への添加剤の供給が、コンベヤ機構(3)に送られる水(z)との混和によって実施されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
熱処理を用いて非エナージェントバイオコールを製造する装置であって、
被処理原料を長手方向に内部で移動させるためのトムソン・コンバータ型処理空間(2)内にあり、かつトムソン・コンバータ型処理空間(2)に対して閉じているコンベヤ機構(3)の内部に被処理原料を導入するための供給要素(1a)と、
熱分解ガス(y)を、処理空間の燃焼室(4)で熱分解ガスを燃焼させるために、コンベヤ機構から離れるように導くためのフロー機構(8)であって、熱分解ガス(y)は、処理空間からコンベヤ機構(3)への熱伝達の結果としてコンベヤ機構(3)内に存在する被処理原料(x)から発生する、フロー機構(8)と、
結果として発生する燃料ガス(y’)を処理空間から除去するための排出機構(5)と、
生成された非エナージェントバイオコール(x’)を、さらなる処理のためにコンベヤ機構から除去するための排出要素(1b)と、
熱分解ガス(y)を燃焼させるための、最も好ましくは、連続的に動作するガスバーナ機構(7)と、を含み、
これにより、処理空間(2)内のコンベヤ機構(3)の熱伝達は、ガスバーナ機構(7)の炎および燃焼室(4)の壁からの実質的に直接的な放射で起こるように構成され、さらに、熱分解ガス(y)は、コンベヤ機構(3)内において、熱分解ガスに存在する熱を、反対方向(s)に移動している被処理原料x内に伝達するために、そして冷却された熱分解ガス(y)をガスバーナ機構(7)に送るために、コンベヤ機構(3)の供給端部(I)に向かって向流で導かれる装置において、
装置はさらに、コンベヤ機構(3)の内部に水(z)を導くための供給機構(1c)であって、生成される非エナージェントバイオコール(x‘)に含まれるPAH化合物の量を水蒸気によって減少/排除するための供給機構(1c)を含み、供給機構(1c)は、水(z)を、実質的に、蒸気流(z’)を運ぶためにコンベヤ機構の排出端部(II)に、熱分解ガス(y)と共同で、コンベヤ機構の供給端部(I)に向かう処理空間の長手方向sに対して向流で導くように構成される、ことを特徴とする装置。
【請求項7】
供給機構(1c)が、被処理原料(x)を供給(1a)する前に、処理空間(2)の長手方向(s)に、生成される熱分解ガス(y’)を排出するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
コンベヤ機構(3)を含み、コンベヤ機構(3)は、処理空間(2)に収容され、それに対して過剰圧力下にあり、環境に対して実質的に気密である供給要素(1a)および排出要素(1b)を備えることを特徴とする請求項6または7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理によって、非エナージェント(energent;エネルギ性)、すなわち機能的である、たとえば、いわゆるカーボンシンクとしてのバイオコールを製造するための独立請求項の前文に述べられた方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトムソン・コンバータ型装置の使用は、装置内の処理空間に存在する1以上のスクリュコンベヤに、被処理原料を供給することに基づいており、被処理原料は、同時に間接的に加熱されながら、上記コンベヤによって処理空間の長手方向に運ばれる。コンベヤ内の原料は、コンベヤから被処理原料への熱伝達によって炭化され、コンベヤの第2の端部から、炭化された原料を処理空間の外に送り出す回収コンベヤ上に排出される。このような解決手段では、スクリュコンベヤ内で生成された熱分解ガスは、被処理原料の進行方向において、かつ被処理原料に沿って、スクリュコンベヤの排出端部から回収室内に移動し、そこからさらに接続導管に沿って、燃焼のためのスクリュコンベヤ空間の下方にある燃焼炉に移動する。燃焼炉からスクリュコンベヤ空間内に排ガスが排出され、排ガスに含まれる熱が対流熱伝達によってスクリュコンベヤに送られた後、排出機構によって処理空間から取り除かれるようになっている。
【0003】
上記のタイプの装置を作動させるには、熱分解ガスが燃焼して、その後にプロセスがいわゆる自立的方法で機能することを可能にするための実際の炭化プロセスを開始する前に、燃焼炉をその全体において、たとえばその中で燃焼可能な固体燃料によって、十分に高い温度まで加熱する必要がある。したがって、この解決手段は、特に初期起動の点で、手間と時間がかかる。
【0004】
前述のタイプの解決手段は、現在、燃焼炉にたとえば補助炎を維持するための灯油バーナが備えられているような実施態様において利用可能であり、1つのさらなる実施態様では、熱分解ガスが、スクリュコンベヤ機構の走行方向とは反対の方向に搬送され、燃焼炉内に導かれて、前述のバーナ炎で燃やされる。
【0005】
前述のタイプの装置で現在最も顕著な欠点は、スクリュコンベヤの加熱に適用される間接的または対流式の熱伝達の結果として、「体積効率[W/m]」が低いことである。まず第一に、実際の連続炭化プロセスが開始され得るまでの装置のためのコールドスタート時間がかなり長くなる。一方で、炉の空間を予熱するためには、固体燃料を長時間使用するか、あるいは熱分解ガスを燃焼させるための別の燃料で生成された連続的な補助炎を使用する必要があるという本質的な欠点がある。したがって、現在の技術では、合理的な投資および運用コストで実施可能な炭素分離プロセスを提供することができない。
【0006】
たとえば、国際特許出願WO2011/004073には、熱処理によって炭素を分離するための方法が開示されており、この方法では、被処理物質は、実質的にトムソン・コンバータ型である処理空間に接続されたコンベヤ機構に、供給機構によって移動させられる。被処理物質は、処理空間において、その空間に対して閉鎖されたコンベヤ機構によって、処理空間の長手方向に移動させられ、これによって、処理空間から、コンベヤシステム内に含まれる被処理物質内への熱伝達によって形成された熱分解ガスが、コンベヤシステム内において、搬送方向とは反対方向に搬送され、処理空間に設けられた燃焼空間で熱分解ガスを燃焼させるためにコンベヤシステム外に排出される。形成された排ガスは、排出機構によって処理空間から排出され、熱処理された物質は、さらなる処理のためにコンベヤ機構から排出要素によって排出される。この点において、熱分解ガスは、第一に、連続的なガスバーナ機構によって燃焼され、第二に、処理空間内でのコンベヤシステムの熱伝達は、実質的に、ガスバーナ機構の炎からの直接放射および燃焼空間の壁からの直接放射によって行われる。
【0007】
しかしながら、この解決手段でも、含まれるPAH化合物が十分に低いレベルになるような方法で非エナージェントバイオコールの製造はできない。
【発明の概要】
【0008】
本発明に従う方法および装置の目的は、前述の問題に関する決定的な改善を提供し、それによって、利用可能な先行技術を実質的に向上させることである。この目的を達成するために、本発明の方法および装置は、それに向けられた独立請求項の特徴項に示されていることによって主に特徴付けられる。
【0009】
本発明の方法および装置によって得られる最も重要な利点として注目すべきは、その動作原理の単純さおよび有効性、その実施に適した機器の在庫、およびその使用を含むことである。本発明により、非常に少量のPAH化合物を含む、最良の場合には全くPAH化合物を含まない非エナージェントバイオコールを製造することが可能であり、これは、コンベヤシステムに供給される水から発生する水蒸気を利用して、被処理原料をコンベヤシステム内で熱処理することによって達成することができる。本発明は、まず第一に、環境に対して実質的に気密な、供給および排出要素を備えた、連続的に動作するコンベヤ機構を使用することによって、技術的に極めて簡単かつ効率的に実施可能である。それによって、コンベヤ機構内の熱分解ガスへの酸素供給を防止することができ、それによって、熱分解ガスは、コンベヤ機構の供給端部に向かって、コンベヤ機構の内部を長手方向に移動する被処理原料に対して向流原理で移動するので、その熱は反対方向に移動する被処理原料に導かれ、熱分解ガスは効果的に冷却され、その結果、熱分解ガスを理想的な温度で燃焼用ガスバーナに導くことができる。
【0010】
処理空間内で十分に大きな容積の燃焼室を利用することによって、第一に、EUの廃棄物焼却基準で要求されている850℃より高い温度で、2秒間の滞留時間で排ガスを燃焼させることが可能になる。さらに、燃焼室後部に現在存在する条件は、SNCR(選択的無触媒還元)窒素反応にとって好ましい条件、すなわち800~1100℃の温度および酸化雰囲気である。
【0011】
本発明の方法で構築された装置は、コンベヤ機構への熱伝達が処理空間内でガスバーナの炎から直接放射熱で行われる(放射熱伝達は温度の4乗に比例する)ので、最適な体積効率を有しており、このことは、第一に、コンベヤ機構の表面温度が、ガス炎からの直接放射によって、対流熱伝達よりもかなり急速に上昇するので、非エナージェントバイオコール製造プロセスの開始を促進する。したがって、本発明により、現在利用可能なものよりもサイズがかなり小さく、よりコンパクトな装置を組み立てることが可能であり、その投資コスト、サービスおよびメンテナンスコストが、当然ながら、従来の解決手段のものよりも決定的に手頃なものとなる。
【0012】
本発明の方法および装置に関する他の好ましい実施形態は、それに向けられた従属請求項に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の方法で機能する装置の一般的な動作原理を描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明において、本発明の方法で機能する装置の一般的な動作原理を描いた添付図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明は、第一に、熱処理によって、ヒートシンクとして機能するような非エナージェントバイオコールを製造するための方法に関し、該方法は、供給要素1aを用いて、被処理原料xをコンベヤ機構3の内部に導入することを含み、コンベヤ機構3は、トムソン・コンバータ型の処理空間2内に存在し、処理空間2に対して閉じており、コンベヤ機構3は、処理空間2の長手方向sにおいて、被処理原料xを処理空間2内に移動させ、それにより、処理空間2からコンベヤ機構への熱伝達の結果として、コンベヤ機構3内にある被処理原料xから、熱分解ガスyが生じ、熱分解ガスは、処理空間2の燃焼室4内で熱分解ガスを燃焼させるためにコンベヤ機構3から離れるように導かれる。結果として生じる排ガスy’は、排出機構5によって処理空間から除去され、生成された非エナージェントバイオコールx’は、さらなる処理のための排出要素1bを用いてコンベヤ機構から除去される。特に、添付の典型的な処理のフローチャートを参照すると、熱分解ガスyは、最も好ましくは連続的に動作するガスバーナ機構7によって燃焼させられ、処理空間2内のコンベヤ機構3のための熱伝達は、ガスバーナ機構7の炎から、および燃焼室4の壁から、実質的に直接的な放射で行われる。さらに、熱分解ガスyは、熱分解ガス中に存在する熱を、処理空間の長手方向sに移動している被処理原料x内に伝達するために、そして、冷却された熱分解ガスyをガスバーナ機構7に送るために、コンベヤ機構3の供給端部Iに向かう処理空間の長手方向sに関して向流で、コンベヤ機構3内に導かれる。被処理非エナージェントバイオコールx’に含まれるPAH化合物の量は、コンベヤ機構3の内部に水zを供給することにより、水蒸気z’によって低減/排除され、水zは、蒸気流z’を運ぶために、コンベヤ機構3の排出端部IIから、熱分解ガスyと一緒に、コンベヤ機構の供給端部Iに向かう処理空間の長手方向sに関して向流で、コンベヤ機構3の内部に導かれる。
【0016】
添付の工程フローチャートを参照すると、本発明の方法を適用する際には、被処理原料xの供給1aより前に、熱分解ガスy’の除去が、処理空間2の長手方向sに行われることが特に重要である。上記の操作を誤った順序で行うと、処理の使い勝手が大幅に損なわれ、これによって、たとえば上記の操作に関わるパイプが詰まりやすくなり、処理を高容量で稼動させる場合には、塊がガスパイプ内に生じてしまうことがある。さらに、本発明の方法を健全に運用するためには、コンベヤ機構内の被処理原料の表面レベルを注意深く制御することが特に重要であり、これは特に圧力およびタール蓄積の管理の観点から、絶対に必要である。また、温度および湿度の観点から、熱分解ガスの管理も重要である。なぜなら、水が供給されなければ、被処理原料が乾燥している限り、実際にはガス管がすぐに詰まってしまうからである。被処理原料を湿らせることは、実際には困難な作業であり、そしてさらに、結果的にその生成能力の一部が失われた処理となるが、これは、添付された処理のフローチャートにあるように、その湿度および温度を管理するために熱分解ガスy’に水ミストzを供給することによって回避される。
【0017】
熱分解ガスyと一緒に蒸気流z’を、コンベヤ機構の供給端部Iに向かう処理空間の長手方向sに対して向流で導くことによって、水蒸気と被処理原料との間にできる限りの効果的な処理が提供され、それによって、本発明の方法のさらに好ましい実施形態では、製造されるべき非エナージェントバイオコールx’にはクラックが入り、コンベヤ機構3から除去される前に水蒸気の作用によって冷却されることになる。
【0018】
本発明の方法に関するさらなる好ましい実施形態では、被処理原料xは、コンベヤ機構3を用いて処理空間2内で処理され、コンベヤ機構は、それ自身にとっては過剰圧力下にあり、環境に対して実質的に気密である供給要素1a、および排出要素1bを備える。これは、好ましくは、1またはそれ以上の電気モータ駆動で無段階に調整可能な、たとえば可変速度駆動の、スクリュコンベヤ3aなどを使用することによって実施される。
【0019】
被処理原料をコンベヤ機構3に供給する場合に、特に、第一に、連続的な方法で行うために、上方からの被処理原料の供給を実行するための、他方で、処理ガスがコンベヤ機構の内部からまたは処理空間から環境に制御されない方法で放出されないようにするための、たとえば、フィンランド特許第119125号による方法および供給システムを利用することが可能である。
【0020】
さらに別の好ましい実施形態では、コンベヤ機構3は、処理空間2内に導入された直後に、コンベヤ機構と同方向の関係にある、処理空間の入口壁2aに取り付けられた1またはそれ以上のガスバーナ7;7aによって最も効果的に加熱される。
【0021】
さらに、好ましい実施形態では、1またはそれ以上のスクリュコンベヤ3aなどのコンベヤ機構3の搬送能力は、特に、コンベヤ機構3の供給端部Iからその排出端部IIに向かって被処理原料xの層厚を減らすために、処理空間の長手方向sにおいて変更することができる。したがって、コンベヤ機構3は、好ましくは、たとえば、その上流側端部は小さいピッチとされ、その下流側端部は大きいピッチとされたスクリュコンベヤ3aで実施される。
【0022】
さらに、別個の燃焼空気ファンを持つ、1またはそれ以上の並列のガスバーナ7aのようなガスバーナ機構7のための空気供給を実施することも可能である。他方で、好適には、ガスバーナ7aに接続して、たとえば、放射ノズルによって熱分解ガスyをガスバーナに吸い込むための放射ファンを利用することもさらに可能である。
【0023】
さらに、好ましい実施形態では、本発明の方法によって、たとえば添付した、処理のフローチャートで示されるように、別々の供給要素1aによって、コンベヤ機構内に、互いに類似しない原料x,wを持ち込むことによって、それらの原料を処理し、スクリュコンベヤ3aによって処理空間に向かってそれらの原料が押し出されながら、互いに混合されてその場所から送り出されることが可能である。この文脈においては、当然ながら、様々な原料が別個の混合空間で互いに混合され、単一の供給要素でコンベヤ機構3に送り出されるような方法で行われることも可能である。
【0024】
さらに別の好ましい実施形態では、燃焼室4に、尿素スプレー、アンモニア水などのアンモニア含有媒体を供給するための付加的なノズル機構1sを使用することによって、たとえば、いわゆるSNCR(選択的無触媒還元)法で実施される窒素還元が処理空間で実行される。上記のノズル機構をガス炎燃焼ゾーンの終わりを示す位置に配置することにより、ノズル機構によって噴霧された媒体が蒸発し、これにより生じるアンモニアは、混合され、有意な窒素反応に十分な長さの時間で煙道ガスに影響を与える。さらに、本発明の方法では、好ましくは、たとえばラムダセンサーを用いて、燃焼に過剰な空気が恒常的に供給されることがさらに保証される。
【0025】
本発明のさらに好ましい実施形態では、添加剤の非エナージェントバイオコールx’への供給は、コンベヤ機構3に送られる水zと混和することによって実施される。
【0026】
一方、本発明は、前述の方法を実施するための装置にも関し、この装置は、
トムソン・コンバータ型処理空間2内にあり、トムソン・コンバータ型処理空間2に対して閉じているコンベヤ機構3の内部に被処理原料を導入するための供給要素1aであって、処理スペース2は、処理空間内に被処理原料を処理空間の長手方向sに移動するためである、供給要素1aと、
熱分解ガスyを、処理空間の燃焼室4で熱分解ガスを燃焼させるために、コンベヤ機構から離れるように導くためのフロー機構8であって、熱分解ガスは、処理空間からコンベヤ機構3への熱伝達の結果としてコンベヤ機構3内に存在する被処理原料xから発生する、フロー機構8と、
結果として発生する燃料ガスy’を処理空間から除去するための排出機構5と、
生成された非エナージェントバイオコールx’を、さらなる処理のためにコンベヤ機構から除去するための排出要素1bと、
熱分解ガスyを燃焼させるための、最も好ましくは連続的に動作するガスバーナ機構7と、を含み、
これにより、処理空間2内のコンベヤ機構3のための熱伝達は、ガスバーナ機構7の炎および燃焼室4の壁からの実質的に直接的な放射で起こるように構成される。さらに、コンベヤ機構3内の熱分解ガスyの流れは、熱分解ガスに存在する熱を、反対方向sに移動している被処理原料x内に伝達するために、そして冷却された熱分解ガスyをガスバーナ機構7に送るために、コンベヤ機構の供給端部Iに向かって向流で行われる。装置はさらに、コンベヤ機構3の内部に水zを導くための、および、水蒸気z‘によって、生成されるべき非エナージェントバイオコールx’に含まれるPAH化合物の量を減少/排除するための供給機構1cを含み、供給機構1cは、水を、コンベヤ機構3の内部に、実質的には、蒸気流z‘を運ぶためのコンベヤ機構の排出端部IIに、熱分解ガスyと共同で、コンベヤ機構の供給端部Iに向かった処理空間の長手方向sに導くように構成される。
【0027】
添付された、処理のフローチャートを参照すると、本発明の好ましい実施形態では、熱分解ガス用の排出管1a’が、被処理原料供給機構1aの長手方向の上流に配設されている。添付された、処理のフローチャートでは、さらに、熱分解ガスy’の水分および温度を調整するために、熱分解ガスy’に水ミストを供給するための供給機構1eが示されている。さらに、本装置は、好ましくは、生成された非生成バイオコールx’を、好ましくは向流原理で実施される水/水蒸気循環で冷却するための冷却機構1dを含む。
【0028】
本装置のさらに好ましい実施形態では、本装置は、コンベヤ機構3を含み、コンベヤ機構3は、処理空間2内に収容され、それに対して過剰圧にあり、環境に対して実質的に気密である供給および排出要素1a,1bを備え、それに関連する利点はすでに上述したとおりである。
【0029】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的な概念の範囲内で、意図された用途やアプリケーションに応じて変化させることができることは明らかである。したがって、まず明らかなのは、燃焼処理に関しては、たとえば、熱分解ガスの燃焼に必要な酸素分析器および温度センサを用いて、および/または、たとえば、予熱バーナなどを用いて、従来の制御技術および自動化を利用して、本方法を実施することができるということである。同様に、被処理原料の処理のために、たとえばスクリュコンベヤ機構の動作を無段階に調節することによって、最適な炭化および最終温度を可能にするための必要な監視機構を、スクリュコンベヤ機構に設けることが可能である。本発明の方法を適用する装置には、好ましくはさらに、光学式火炎監視分析器と、たとえば、図面に従った「トーチ管」12とを設けることが可能であり、この「トーチ管」12は、コンベヤ機構に接続され、必要なら、別のバーナで燃焼させることにより熱分解ガスをこの「トーチ管」12によって放出することができ、それによりトーチ管は、装置の迅速な緊急スイッチオフを可能にするリリーフバルブとして機能する。
図1
【国際調査報告】