(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(54)【発明の名称】赤外線センシングシステムのための反射防止層、反射層および吸収層を有する硬化光学窓
(51)【国際特許分類】
C03C 17/34 20060101AFI20220801BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20220801BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20220801BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
C03C17/34 Z
G02B5/28
G02B5/26
G02B5/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571568
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020035497
(87)【国際公開番号】W WO2020247292
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ハート,シャンドン ディー
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,カール ウィリアム ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】コシク ウィリアムズ,カルロ アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ポールソン,チャールズ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】プライス,ジェイムズ ジョセフ
【テーマコード(参考)】
2H148
4G059
【Fターム(参考)】
2H148CA05
2H148CA13
2H148CA14
2H148CA23
2H148CA24
2H148FA05
2H148FA09
2H148FA16
2H148FA22
2H148FA24
2H148GA04
2H148GA18
2H148GA24
2H148GA33
2H148GA48
2H148GA62
4G059AA01
4G059AA08
4G059AC04
4G059AC07
4G059AC16
4G059EA05
4G059EA12
4G059EB04
4G059GA02
4G059GA04
4G059GA12
(57)【要約】
センシングシステムのための窓が提供される。この窓は、基板と、基板の第1の表面上に配設され、高屈折率材料と低屈折率材料との交互層を備え、高屈折率材料の屈折率が低屈折率材料の屈折率より高い積層薄膜と、積層薄膜で、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された少なくとも8GPaの最大硬度とを含む。この窓は、垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシングシステムのための窓であって、
屈折率、第1の表面および第2の表面を含み、前記第1の表面および前記第2の表面が基板の主面である基板と、
前記基板の前記第1の表面上に配設され、1つ以上の高屈折率材料と1つ以上の低屈折率材料との交互層を備え、前記1つ以上の高屈折率材料および前記1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ屈折率を有し、前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率より高い積層薄膜と、
前記積層薄膜で、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された少なくとも8GPaの最大硬度と
を含み、
前記積層薄膜の前記交互層の量、厚さおよび材料は、前記窓が
垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および
0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率
を有するように構成されている、窓。
【請求項2】
前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が、約1.7~約4.0であり、前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率が、約1.3~約1.6である、請求項1記載の窓。
【請求項3】
前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO
2を含み、前記1つ以上の高屈折率材料が、Si
3N
4を含む、請求項1または2記載の窓。
【請求項4】
前記積層薄膜で、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された最大硬度が、少なくとも12GPaである、請求項1から3までのいずれか1項記載の窓。
【請求項5】
前記1つ以上の高屈折率材料の層のうちの1つが、約500nm~約10,000nmの厚さを有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の窓。
【請求項6】
前記1つ以上の高屈折率材料の少なくとも1つの層が、前記積層薄膜の前記厚さの65%以上である、請求項1から5までのいずれか1項記載の窓。
【請求項7】
前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が
垂直入射またはほぼ垂直入射で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および
0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率
を有するように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の窓。
【請求項8】
前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、880nm~1580nmまたは850nm~1800nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率を有するように構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の窓。
【請求項9】
前記基板の前記第2の表面上に配設された第2の積層薄膜をさらに備え、前記第2の積層薄膜が、1つ以上の高屈折率材料と1つ以上の低屈折率材料との交互層を備え、前記1つ以上の高屈折率材料および前記1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ、屈折率を有し、前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が、前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率より高く、
前記積層薄膜および前記第2の積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率を有するように構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の窓。
【請求項10】
前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO
2を含み、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料が、アモルファスシリコンを含む、請求項9記載の窓。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第119条のもと、2019年6月5日に出願された米国仮特許出願第62/857,502号明細書の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、窓およびLiDARシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
光検知測距(「LiDAR」)システムは、レーザおよびセンサを含む。レーザは、レーザビームを放射し、このビームは、物体で反射する可能性がある。センサは、反射されたレーザビームを検出する。レーザビームは、視野を横切る物体を検出するために、パルス化されまたは放射範囲にわたって何らかの方法で分布される。検出された反射レーザビームの特性から、物体についての情報を解読することができる。レーザビームからの物体の距離を、レーザビームの放射から反射されたレーザビームの検出までの飛行時間から決定することができる。物体が移動している場合、物体の経路および速度を、反射されかつ時間の関数として検出される放射レーザビームの放射位置のシフトおよびドップラー周波数測定から決定することができる。
【0004】
自動車内のLiDARシステムおよび露出環境における他の赤外線センシングシステム、例えば、航空宇宙用途またはホームセキュリティ用途では、例えば、カバーレンズまたはカバーガラス窓を使用して、環境および種々のダメージソースから保護する必要がある。車両は、LiDARシステムについての別の潜在的用途であり、LiDARシステムは、運転補助、半自動運転または完全自動運転を可能にするための空間マッピング能力を提供する。このような用途では、レーザエミッタおよびセンサが、車両のルーフ上または車両の前方の低部に取り付けられる。可視光の範囲外の波長、例えば、905nmまたは1550nmを有する電磁放射を放出するレーザが、車両用LiDAR用途に考慮されている。レーザおよびセンサを、石および他の物体からの衝撃から保護するために、レーザおよびセンサと、レーザおよびセンサの視線にある外部環境との間に、窓が配置される。同様に、LiDARシステムの他の用途、例えば、航空宇宙用途およびホームセキュリティ用途のために、レーザ/センサと外部環境との間に、窓が配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、石および他の物体の衝突が窓を傷付け、窓に他の種類の損傷を引き起こし、これが、放射され反射されたレーザビームが窓で散乱し、このため、LiDARシステムの有効性を損なうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、窓に硬度および耐引っ掻き性を提供する材料の1つ以上の層を含む、窓用の積層薄膜によりその問題を解決する。このため、窓に衝突する石および他の物体により、LiDARセンサから放射され反射された電磁放射を散乱させてしまう窓に対する欠陥を生じにくく、したがって、その性能が改善される。加えて、積層薄膜は、異なる屈折率を有する材料の交互層(硬度および耐引っ掻き性を提供する材料を含む)をさらに含む。その結果、必要に応じて、交互層の数およびその厚さを、窓が1550nmの波長(および周囲の波長)の高い透過率および低い反射ならびに可視光波長の低い透過率および高い反射を有するように構成することができる。さらに、積層薄膜は、必要に応じて、可視光波長を吸収する1つ以上の層を含むことができる。
【0007】
本開示の実施形態によれば、窓が提供される。この窓は、屈折率、第1の表面および第2の表面を含み、第1の表面および第2の表面が基板の主面である基板と、基板の第1の表面上に配設され、1つ以上の高屈折率材料と1つ以上の低屈折率材料との交互層を含み、1つ以上の高屈折率材料および1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ屈折率を有し、1つ以上の高屈折率材料の屈折率が1つ以上の低屈折率材料の屈折率より高い積層薄膜と、積層薄膜で、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された少なくとも8GPaの最大硬度とを含む。積層薄膜の交互層の量、厚さおよび材料は、窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率を有するように構成されている。
【0008】
本開示の実施形態によれば、LiDARシステムが提供される。このLiDARシステムは、1550nmの波長を有する電磁放射を放出する電磁放射エミッタおよびセンサと、電磁放射の経路中にある窓とを含む。この窓は、屈折率、第1の表面および第2の表面を含み、第1の表面および第2の表面が基板の主面である基板と、基板の第1の表面上に配設され、1つ以上の高屈折率材料と1つ以上の低屈折率材料との交互層を含み、1つ以上の高屈折率材料および1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ屈折率を有し、1つ以上の高屈折率材料の屈折率が1つ以上の低屈折率材料の屈折率より高い積層薄膜と、積層薄膜で、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された少なくとも8GPaの最大硬度とを含む。積層薄膜の交互層の量、厚さおよび材料は、窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率を有するように構成されている。
【0009】
更なる特徴および利点は、以下の詳細な説明において説明されるであろうし、部分的には、その説明から、当業者に容易に明らかになるかまたは以下の詳細な説明、特許請求の範囲および添付の図面を含む、本明細書に記載された実施形態を実施することにより認識されるであろう。
【0010】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は両方とも単に例示的なものであり、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概観またはフレームワークを提供することを意図していると理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を示し、説明と共に、種々の実施形態の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】車両のルーフ上のLiDARシステムおよび車両の前方部の別のLiDARシステムを示す、外部環境における車両の側面図である。
【
図2】
図1のLiDARシステムのうちの一方の模式図であり、格納装置内の電磁放射エミッタおよびセンサと、電磁放射エミッタおよびセンサが窓を通って格納装置から出て、窓を通って反射された放射として戻る電磁放射を放出することを示す。
【
図3】
図2の領域IIIでとった
図2の窓の断面図であり、窓が基板と、基板の第1の表面上に積層薄膜と、基板の第2の表面上に第2の積層薄膜とを含むことを示す。
【
図4】
図3の領域IVでとった
図3の窓の断面図であり、積層薄膜が1つ以上の高屈折率材料と1つ以上の低屈折率材料との交互層を含み、1つ以上の低屈折率材料の層が外部環境に最も近い終端表面を提供することを示す。
【
図5】
図3の領域Vでとった
図3の窓の断面図であり、第2の積層薄膜が1つ以上の高屈折率材料と1つ以上の低屈折率材料との交互層を含み、1つ以上の低屈折率材料の層が電磁放射エミッタおよびセンサに最も近い終端表面を提供することを示す。
【
図6A】例示的な窓、具体的には実施例1に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図6B】例示的な窓、具体的には実施例1に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図6C】実施例1に関連するグラフであり、電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の窓での%反射率を示す。
【
図6D】実施例1に関連するグラフであり、電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の窓での%反射率を示す。
【
図7A】例示的な窓、具体的には実施例2に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図7B】例示的な窓、具体的には実施例2に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図7C】例示的な窓、具体的には実施例2に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図7D】実施例2に関連するグラフであり、電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の窓での%反射率を示す。
【
図7E】実施例2に関連するグラフであり、電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の窓での%反射率を示す。
【
図8A】例示的な窓、具体的には実施例3に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図8B】例示的な窓、具体的には実施例3に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図8C】例示的な窓、具体的には実施例3に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図8D】実施例3に関連するグラフであり、電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の窓での%反射率を示す。
【
図8E】実施例3に関連するグラフであり、電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の窓での%反射率を示す。
【
図9A】例示的な窓、具体的には実施例3Aに関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図9B】実施例3Aに関連するグラフであり、電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の窓での%反射率を示す。
【
図10A】例示的な窓、具体的には実施例4に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図10B】例示的な窓、具体的には実施例4に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図10C】例示的な窓、具体的には実施例4に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図10D】実施例4に関連するグラフであり、電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の窓での%反射率を示す。
【
図10E】実施例4に関連するグラフであり、電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の窓での%反射率を示す。
【
図11A】例示的な窓、具体的には実施例5に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図11B】例示的な窓、具体的には実施例5に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図11C】例示的な窓、具体的には実施例5に関連するグラフであり、窓を通る電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の%透過率を示す。
【
図11D】実施例5に関連するグラフであり、電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の窓での%反射率を示す。
【
図11E】実施例5に関連するグラフであり、電磁放射の波長および入射角の関数としての電磁放射の窓での%反射率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここから、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照するものとする。その例は、添付の図面に示されている。可能な限り、同じ参照符号は、同じかまたは同様の部分を指すように、図面全体にわたって使用されるであろう。
【0013】
ここから
図1を参照して、車両10は、1つ以上のLiDARシステム12を含む。1つ以上のLiDARシステム12を、車両10上または車両10内のどこにでも配設することができる。例えば、1つ以上のLiDARシステム12を、車両10のルーフ14上および/または車両10の前方部16に配設することができる。
【0014】
ここから
図2を参照して、1つ以上のLiDARシステム12はそれぞれ、当技術分野において公知のように、電磁放射エミッタおよびセンサ18を含み、これを、格納装置20内に格納することができる。電磁放射エミッタおよびセンサ18は、ある波長またはある波長範囲を有する電磁放射22を放出する。放出された放射22は、放出された電磁放射の経路内にある窓24を通って格納装置20から出る。外部環境26にある物体(図示せず)が、放出された放射22の経路内にある場合、放出された放射22は、物体で反射し、反射された放射28として電磁放射エミッタおよびセンサ18に戻るであろう。反射された放射28は、再度、窓24を通過して、電磁放射エミッタおよびセンサ18に到達する。実施形態において、放出された放射22および反射された放射28は、905nmもしくは1550nmの波長または905nmもしくは1550nmの波長のいずれかを含む範囲を有する。反射された放射28以外の電磁放射(例えば、可視スペクトルの波長を有する電磁放射、紫外線範囲の一部ならびに所望の905nmおよび/または1550nmの波長より短い赤外線範囲の一部)は、本明細書に記載されるように、窓24の光学特性に応じて、窓24を通過してもよいしまたは通過しなくてもよい。「可視スペクトル」は、人間の目に見える電磁スペクトルの部分であり、一般的には、約380nmまたは400nm~約700nmの範囲内の波長を有する電磁放射を指す。「紫外線範囲」は、約10nm~約400nmの波長を有する電磁スペクトルの部分である。電磁スペクトルの「赤外線範囲」は、約700nmから始まり、より長い波長に広がる。太陽は、一般に「太陽光」と呼ばれ、これらの範囲の3つ全てに入る波長を有する太陽電磁放射を生じる。
【0015】
ここから
図3を参照して、1つ以上のLiDARシステム12それぞれのための窓24は、基板30を含む。基板30は、第1の表面32および第2の表面34を含む。第1の表面32および第2の表面34は、基板30の主面である。第1の表面32は、外部環境26に最も近い。第2の表面34は、電磁放射エミッタおよびセンサ18に最も近い。放出された放射22は、第2の表面34に遭遇し、その後、第1の表面32に遭遇する。反射された放射28は、第1の表面32に遭遇し、その後、第2の表面34に遭遇する。基板30は、基板30の第1の表面32上に配設された積層薄膜36をさらに含み、一部の実施形態では、第2の積層薄膜38が、基板30の第2の表面34上に配設される。本明細書に記載された窓24は、車両用途に限定されず、本明細書にさらに記載されるように、改善された衝撃および光学性能を提供するのに窓24が有用であろう何等かの用途に使用することができると理解されたい。
【0016】
本明細書で使用する場合、「配設する」という用語は、当技術分野において公知の任意の方法を使用して、表面上に材料を被覆し、堆積させかつ/または形成することを含む。配設された材料は、本明細書で定義された層を構成することができる。「上に配設される」という表現は、材料が表面と直接接触するように表面上に材料を形成する事例を含み、また、材料が表面上に形成され、1つ以上の介在材料が配設された材料と表面との間にある事例も含む。介在材料は、本明細書で定義された層を構成してもよい。
【0017】
基板30は、ガラス基板であることができる。ガラス基板は、ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラスおよびアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスの組成を有することができるが、他のガラス組成が企図される。このようなガラス組成は、イオン交換プロセスにより化学的に強化することが可能である。一部の変形例では、この組成は、リチウムイオンを含まなくてもよい。
【0018】
基板30に適したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成は、アルミナ、少なくとも1つのアルカリ金属および一部の実施形態では、50モル%超のSiO2、他の実施形態では、少なくとも58モル%のSiO2およびさらに他の実施形態では、少なくとも60モル%のSiO2を含む。ここで、比(Al2O3+B2O3)/Σ改質剤(すなわち、改質剤の総和)は、1超である。式中、成分の比は、モル%で表され、改質剤は、アルカリ金属酸化物である。特定の実施形態では、この組成は、58~72モル%のSiO2;9~17モル%のAl2O3;2~12モル%のB2O3;8~16モル%のNa2Oおよび0~4モル%のK2Oを含み、ここで、比(Al2O3+B2O3)/Σ改質剤(すなわち、改質剤の総和)は、1超である。
【0019】
基板30に適した別のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成は、64~68モル%のSiO2;12~16モル%のNa2O;8~12モル%のAl2O3;0~3モル%のB2O3;2~5モル%のK2O;4~6モル%のMgOおよび0~5モル%のCaOを含み、ここで、66モル%≦SiO2+B2O3+CaO≦69モル%;Na2O+K2O+B2O3+MgO+CaO+SrO>10モル%;5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%;(Na2O+B2O3)-Al2O3≦2モル%;2モル%≦Na2O-Al2O3≦6モル%および4モル%≦(Na2O+K2O)-Al2O3≦10モル%である。
【0020】
基板30に適した別のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成は、2モル%以上のAl2O3および/もしくはZrO2または4モル%以上のAl2O3および/もしくはZrO2を含む。
【0021】
一例のガラス組成は、SiO2、B2O3およびNa2Oを含み、ここで、(SiO2+B2O3)≧66モル%およびNa2O≧9モル%である。実施形態において、この組成は、少なくとも6質量%の酸化アルミニウムを含む。更なる実施形態では、1つ以上のアルカリ土類酸化物の組成、例えば、アルカリ土類酸化物の含量は、少なくとも5質量%である。一部の実施形態では、適切な組成は、K2O、MgOおよびCaOのうちの少なくとも1つをさらに含む。特定の実施形態では、基板30の組成は、61~75モル%のSiO2;7~15モル%のAl2O3;0~12モル%のB2O3;9~21モル%のNa2O;0~4モル%のK2O;0~7モル%のMgOおよび0~3モル%のCaOを含む。
【0022】
基板30に適した更なる例示的な組成は、60~70モル%のSiO2;6~14モル%のAl2O3;0~15モル%のB2O3;0~15モル%のLi2O;0~20モル%のNa2O;0~10モル%のK2O;0~8モル%のMgO;0~10モル%のCaO;0~5モル%のZrO2;0~1モル%のSnO2;0~1モル%のCeO2;50ppm未満のAs2O3および50ppm未満のSb2O3を含み、ここで、12モル%≦(Li2O+Na2O+K2O)≦20モル%および0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0023】
基板30に適した更なる例示的なガラス組成は、63.5~66.5モル%のSiO2;8~12モル%のAl2O3;0~3モル%のB2O3;0~5モル%のLi2O;8~18モル%のNa2O;0~5モル%のK2O;1~7モル%のMgO;0~2.5モル%のCaO;0~3モル%のZrO2;0.05~0.25モル%のSnO2;0.05~0.5モル%のCeO2;50ppm未満のAs2O3および50ppm未満のSb2O3を含み、ここで、14モル%≦(Li2O+Na2O+K2O)≦18モル%および2モル%≦(MgO+CaO)≦7モル%である。
【0024】
基板30は、実質的に平面またはシート状であることができるが、他の実施形態では、湾曲したまたは他の形状のまたは彫刻された基板を利用することができる。基板30の長さおよび幅は、窓24に必要とされる寸法に従って変化させることができる。基板30を、種々の方法、例えば、フロートガラスプロセスおよびダウンドロープロセス、例えば、フュージョンドローおよびスロットドローを使用して形成することができる。基板30を、非強化状態で使用することができる。窓24に適した非強化基板30の市販の例は、Corning(登録商標)ガラスコード2320であり、これは、アルミノケイ酸ナトリウムガラス基板である。
【0025】
基板30を形成するガラスを、第1の表面32に隣接する領域および/または圧縮応力(「CS」)下にある第2の表面34に隣接する領域を有するように改質することができる。このような状況では、圧縮応力下にある領域が、第1の表面32および/または第2の表面34から圧縮の深さまで延在する。この圧縮応力の生成により、引張応力下にある中心領域がさらに生成される。この引張応力は、中心領域の中心で最大値を有する。この最大値は、中心(central)張力または中心(center)張力(CT)と呼ばれる。中央領域は、圧縮の深さの間に延在し、引張応力下にある。中央領域の引張応力は、圧縮応力下にある領域の圧縮応力を釣り合わせるかまたは相殺する。本明細書で使用する場合、「圧縮の深さ」および「DOC」という用語は、基板30内の応力が圧縮応力から引張応力に変化する深さを指す。圧縮の深さでは、応力は、正の(圧縮)応力から負の(引張)応力に交差するため、ゼロの値を有する。圧縮の深さは、基板30の第1および/または第2の表面32,34への鋭い衝撃により導入される傷の伝播から基板30を保護し、一方、圧縮応力は、圧縮の深さを通って成長して貫通する傷の可能性を最小限に抑える。実施形態において、圧縮の深さは、それぞれ少なくとも20μmである。実施形態において、領域内の最大圧縮応力CSの絶対値は、少なくとも200MPa、少なくとも400MPa、少なくとも600MPaまたは最大約1000MPaである。
【0026】
圧縮応力下にある領域を有する基板30についての詳細かつ精密な応力プロファイル(深さの関数としての応力)を抽出するための2つの方法が、同じ発明の名称を有し、2011年5月25日に出願された米国仮特許出願第61/489,800号明細書の優先権を主張する、2012年5月3日にDouglas Clippinger Allan et al.により出願された米国特許第9,140,543号明細書、発明の名称「Systems and Methods for Measuring the Stress Profile of Ion-Exchanged Glass」に開示されている。同出願の内容は、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【0027】
実施形態において、圧縮応力下にある基板30の領域を生成することは、基板30をイオン交換化学強化プロセスに供することを含む(化学強化(tempering)は、多くの場合、「化学強化(strengthening)」と呼ばれる)。イオン交換化学強化プロセスでは、基板30の第1および第2の表面32,34またはその付近のイオンは、通常、同じ原子価または酸化状態を有するより大きなイオンにより置き換えられまたは置換される。基材30がアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、アルカリホウケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスまたはアルカリケイ酸塩ガラスを含み、それらから本質的になりまたはそれらからなる実施形態では、ガラスの表層中のイオンおよびより大きなイオンは、一価のアルカリ金属カチオン、例えば、Na+(ガラス中にLi+が存在する場合)、K+、Rb+およびCs+である。代替的には、第1および第2の表面32,34またはその付近の一価のカチオンは、アルカリ金属カチオン以外の一価のカチオン、例えば、Ag+等に置き換えることができる。
【0028】
実施形態において、イオン交換プロセスは、基板30を、基板30内のより小さいイオンと交換されるより大きなイオンを含有する溶融塩浴に浸漬することにより行われる。浴組成および温度、浸漬時間、1つ以上の塩浴中へのガラスの浸漬回数、複数の塩浴の使用ならびに追加の工程、例えば、アニーリング、洗浄等を含むがこれらに限定されない、イオン交換プロセスについてのパラメータは、一般的には、基板30の組成ならびに強化作業により生じる基板30の所望の圧縮の深さおよび圧縮応力により決定されることが、当業者には理解されるであろう。例として、アルカリ金属含有ガラス基材のイオン交換は、より大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩および塩化物等(これらに限定されない)の塩を含有する少なくとも1つの溶融浴中に浸漬することにより達成することができる。実施形態において、溶融塩浴は、硝酸カリウム(0~100質量%)、硝酸ナトリウム(0~100質量%)および硝酸リチウム(0~12質量%)を含み、硝酸カリウムおよび硝酸ナトリウムは合計、88質量%~100質量%の範囲内の質量%を有する。実施形態において、溶融塩浴の温度は、典型的には、約350℃~約500℃の範囲にあり、一方、浸漬時間は、約15分~約40時間(約20分~約10時間を含む)の範囲にある。ただし、上記されたものとは異なる温度および浸漬時間を使用することもできる。基板30を、表面傷の影響を除去しまたは低減するために、酸研磨しまたは他の方法で処理することができる。
【0029】
基板30は、第1の表面32と第2の表面34との間の最短直線距離として定義される厚さ35を有する。実施形態において、基板30の厚さ35は、約100μm~約5mmである。1つ以上の実施形態によれば、基板30は、約100μm~約500μm(例えば、100、200、300、400または500μm)の範囲の物理的厚さ35を有することができる。他の実施形態では、厚さ35は、約500μm~約1000μm(例えば、500、600、700、800、900または1000μm)の範囲である。厚さ35は、約1mm超(例えば、約2、3、4または5mm)であることができる。1つ以上の特定の実施形態では、厚さ35は、2mm以下または1mm未満である。イオン交換に供された基板30に適した市販の組成物は、CSが約850MPa、DOCが約40μm、厚さ35が1.0ミリメートル(mm)のGorilla(登録商標)Glass、Corning(登録商標)コード#5318である。窓24に適した(イオン交換による)強化基板30の別の市販の例は、Corning(登録商標)ガラスコード2320であり、これは、アルミノケイ酸ナトリウムガラス基板である。
【0030】
ガラスの代わりにまたはガラスに加えて、基板30は、可視光吸収性のIR透過材料層を含みまたはそれとすることができる。このような材料の例は、赤外線透過性可視吸収アクリルシート、例えば、商品名Plexiglas(登録商標)IRアクリル3143(ePlastics)およびACRYLITE(登録商標)IRアクリル1146(CYRO)で市販されているものを含む。Plexiglas(登録商標)IRアクリル3143は、約700nm以下の波長を有する電磁放射に対する約0%(少なくとも10%未満、または1%未満)の透過率を有するが、800nm~約1100nm(905nmを含む)の範囲内の波長に対する約90%(85%超)の透過率を有する。
【0031】
1つ以上の実施形態では、基板30は、約1.45~約1.55の範囲の屈折率を示す。本明細書で使用する場合、「屈折率」は、1550nmの波長を有する電磁放射についての材料(ここでは基板30)の屈折率を指す。ここで、「屈折率(refractive index)」と「屈折率(index of refraction)」は、同義語として使用される。
【0032】
ここから
図4および
図5を参照して、積層薄膜36および利用される場合、第2の積層薄膜38は、1つ以上の高屈折率材料40と1つ以上の低屈折率材料42との一定量の交互層を含む。本明細書で使用する場合、「高屈折率」および「低屈折率」という用語は、互いに対する屈折率の値を指し、1つ以上の高屈折率材料40の屈折率は、1つ以上の低屈折率材料42の屈折率より高い。実施形態において、1つ以上の高屈折率材料40は、約1.7~約4.0の屈折率を有する。実施形態において、1つ以上の低屈折率材料42は、約1.3~約1.6の屈折率を有する。他の実施形態では、1つ以上の低屈折率材料42は、約1.3~約1.7の屈折率を有し、一方、1つ以上の高屈折率材料40は、約1.9~約3.8の屈折率を有する。1つ以上の高屈折率材料40のいずれかと、1つ以上の低屈折率材料42のいずれかとの屈折率の差は、約0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1.0以上、1.5以上、2.0以上、2.1以上、2.2以上またはさらに2.3以上であることができる。1つ以上の高屈折率材料40と1つ以上の低屈折率材料42の屈折率の差のために、交互層の量(数)およびそれらの厚さの操作により、窓24を通る一定範囲の波長の電磁放射の選択的透過および別個に、積層薄膜36からの一定範囲の波長の電磁放射の選択的反射を生じさせることができる。このため、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)は、1つ以上の高屈折率材料40および1つ以上の低屈折率材料42として選択される量、厚さおよび材料の関数として構成される所定の光学特性を有する薄膜光学フィルタである。
【0033】
1つ以上の低屈折率材料42として使用するのに適した材料の幾つかの例は、SiO2、Al2O3、GeO2、SiO、AlOxNy、SiOxNy、SiuAlvOxNy、MgO、MgAl2O4、MgF2、BaF2、CaF2、DyF3、YbF3、YF3およびCeF3を含む。1つ以上の低屈折率材料42として使用するための材料の窒素含量を、(AlOxNy、SiOxNyおよびSiuAlvOxNy等の材料において)最小限に抑えることができる。
【0034】
1つ以上の高屈折率材料40として使用するのに適した材料の幾つかの例は、アモルファスシリコン(a-Si)、SiNx、SiNx:Hy、AlNx、SiuAlvOxNy、Ta2O5、Nb2O5、AlN、Si3N4、AlOxNy、SiOxNy、HfO2、TiO2、ZrO2、Y2O3、Al2O3、MoO3およびダイヤモンド状カーボンを含む。高屈折率材料40のための材料の酸素含量は、特に、SiNxまたはAlNx材料において最小限に抑えることができる。AlOxNy材料は、酸素ドーピングされたAlNxであるとみなすことができる。すなわち、それらは、AlNx結晶構造(例えば、ウルツ鉱)を有することができ、AlON結晶構造を有する必要がない。1つ以上の高屈折率材料40として使用するための例示的な好ましいAlOxNy材料は、約0原子%~約20原子%の酸素または約5原子%~約15原子%の酸素を含むことができ、一方、30原子%~約50原子%の窒素を含むことができる。1つ以上の高屈折率材料40として使用するための例示的な好ましいSiuAlvOxNyは、約10原子%~約30原子%または約15原子%~約25原子%のケイ素、約20原子%~約40原子%または約25原子%~約35原子%のアルミニウム、約0原子%~約20原子%または約1原子%~約20原子%の酸素および約30原子%~約50原子%の窒素を含むことができる。前述の材料を、約30質量%まで水素化することができる。1つ以上の高屈折率材料40および1つ以上の低屈折率材料42の屈折率は、互いに対して相対的であるため、1つ以上の低屈折率材料42のために選択された材料の屈折率に応じて、1つ以上の高屈折率材料40には、同じ材料(例えば、Al2O3)が適切である場合があり、代替的には、1つ以上の高屈折率材料40のために選択された材料の屈折率に応じて、1つ以上の低屈折率材料42には、同じ材料(例えば、Al2O3)が適切である場合がある。
【0035】
実施形態において、積層薄膜36の1つ以上の低屈折率材料42は、SiO2の層からなり、積層薄膜36の1つ以上の高屈折率材料40は、Si3N4の層からなる。実施形態において、窓24は、第2の積層薄膜38を利用せず、積層薄膜36の1つ以上の低屈折率材料42は、SiO2の層からなり、積層薄膜36の1つ以上の高屈折率材料40は、Si3N4の層からなる。実施形態において、積層薄膜36の1つ以上の低屈折率材料42は、SiO2の層からなり、積層薄膜36の1つ以上の高屈折率材料40は、Si3N4の層からなり、一方、第2の積層薄膜38の1つ以上の低屈折率材料42は、SiO2の層からなり、第2の積層薄膜38の1つ以上の高屈折率材料40は、Si3N4の層からなる。実施形態において、積層薄膜36の1つ以上の低屈折率材料42は、SiO2の層からなり、積層薄膜36の1つ以上の高屈折率材料40は、Si3N4の層からなり、一方、第2の積層薄膜38の1つ以上の低屈折率材料42は、SiO2の層からなり、第2の積層薄膜38の1つ以上の高屈折率材料40は、アモルファスシリコン(a-Si)の層からなる。実施形態において、積層薄膜36の1つ以上の低屈折率材料42は、SiO2の層からなり、積層薄膜36の1つ以上の高屈折率材料40は、Si3N4の層からなり、一方、第2の積層薄膜38の1つ以上の低屈折率材料42は、SiO2の層からなり、第2の積層薄膜38の1つ以上の高屈折率材料40は、アモルファスシリコン(a-Si)の層およびSi3N4の層からなる。
【0036】
積層薄膜36または第2の積層薄膜38のいずれかにおける高屈折率材料40と低屈折率材料42との交互層の量は、特に限定されない。実施形態において、積層薄膜36内の交互層の数は、7以上または9以上である。実施形態において、第2の積層薄膜38内の交互層の量は、9以上、17以上、19以上または81以上である。実施形態において、基板30を含まない、窓24を集合的に形成する積層薄膜36および第2の積層薄膜38における交互層の量は、9以上、16以上、24以上、26以上またはさらに88以上である。一般的には、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)内の層の量が多いほど、窓24の透過率および反射率特性は、1つ以上の特定の波長または波長範囲に対してより狭く調整される。積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の交互層はそれぞれ、厚さを有する。
【0037】
反射された放射28は、まず、窓24と相互作用する際に、積層薄膜36の終端表面44に遭遇し、終端表面44は、外部環境26に対して開かれている場合がある。実施形態において、1つ以上の低屈折率材料42の層により、外部環境26における空気の屈折率により密接に一致するように終端表面44が提供され、このため、入射する電磁放射(反射された放射28であるか否かにかかわらず)の終端表面44での反射が低減される。終端表面44を提供する1つ以上の低屈折率材料42の層は、基板30から最も遠い積層薄膜36の層である。同様に、実施形態において、1つ以上の低屈折率材料42が、SiO2である場合、1つ以上の低屈折率材料42としてのSiO2の層は、典型的には、基板30の第1の表面32上に直接配設される。第1の表面32は、典型的には、高いモル%のSiO2を含むであろう。理論に束縛されるものではないが、基板30と、1つ以上の低屈折率材料42に隣接する層との両方におけるSiO2の共通性により、結合強度の増大が可能となると考えられる。
【0038】
放出された放射22は、まず、窓24と相互作用する際に、第2の積層薄膜38の終端表面48に遭遇する。実施形態において、1つ以上の低屈折率材料42の層により、格納装置20内の空気の屈折率により密接に一致するように終端表面48が提供され、このため、入射する放出された放射22の終端表面48での反射が低減される。終端表面48を提供する1つ以上の低屈折率材料42の層は、基板30から最も遠い第2の積層薄膜38の層である。同様に、実施形態において、1つ以上の低屈折率材料42が、SiO2である場合、1つ以上の低屈折率材料42としてのSiO2層は、基板30の第2の表面34上に直接配設される。
【0039】
比較的高い屈折率を有する材料は、同時に、耐引っ掻き性および耐衝撃性を提供する比較的高い硬度を有することができる。高い硬度を有し、高屈折率材料40とすることができる例示的な材料は、Si3N4である。高い硬度を有し、高屈折率材料40とすることができる他の例示的な材料は、SiNx、SiNx:HyおよびSiOxNyである。高屈折率材料40の厚さは、積層薄膜36の第2の層にあるか否かにかかわらず、窓24の耐引っ掻き性および/または耐損傷性を向上させるために最大にすることができる。高屈折率材料40の最大化された厚さの層の積層薄膜36内の厚さおよび位置を、積層薄膜36、しかして、全体としての窓24に所望のレベルの硬度および耐引っ掻き性を提供するように最適化することができる。窓24の異なる用途により、窓24に硬度および耐引っ掻き性を提供する層として機能する高屈折率材料40の最大厚さの層に対して異なる所望の厚さをもたらすことができる。例えば、車両10上のLiDARシステム12を保護する窓24は、オフィスビルにおいてLiDARシステム12を保護する窓24より高屈折率材料40の最大厚さの層に対して異なる厚さを必要とする場合がある。実施形態において、窓24に硬度および耐引っ掻き性を提供する層として機能する高屈折率材料40の最大厚さの層は、500nm~50000nm、例えば、500nm~10000nm、例えば、2000nm~5000nmの厚さを有する。実施形態において、この最大厚さの高屈折率材料40の厚さは、積層薄膜36の厚さの65%以上または85%以上または86%以上の厚さを有する。一般的には、窓24に硬度および耐引っ掻き性を提供する層として機能する高屈折率材料40の最大厚さの層は、常にそうというわけではないが、格納装置20により保護される第2の積層薄膜38ではなく、外部環境26に面する積層薄膜36の一部であろう。
【0040】
以下にさらに詳細に説明されるように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38(利用される場合)の残りの層の量、厚さおよび材料を、窓24に硬度および耐引っ掻き性を提供する層として機能する高屈折率材料40の最大厚さの層に対して選択された厚さにほとんど関係なく、所望の光学特性(所望の波長の透過率および反射率)を窓24に提供するように構成することができる。目標波長または波長範囲(すなわち、905nmおよび/または1550nm)の電磁放射の比較的低いまたは無視できる光吸収を有する材料が、最大厚さの層として使用される場合、窓24に硬度および耐引っ掻き性を提供する層として機能する高屈折率材料40の最大厚さの層の厚さにして、窓24全体の光学特性は非感受性である。例えば、Si3N4は、700nm~2000nmの波長範囲にある電磁放射を無視できる程度にしか吸収しない。
【0041】
この全体的な非感受性により、積層薄膜36における高屈折率材料40の最大厚さの層が、指定された硬度または耐引っ掻き性要件を提供するように予め決定された厚さを有することが可能となる。例えば、車両10のルーフ14で利用される窓24のための積層薄膜36は、車両10の前方部16で利用される窓24のための積層薄膜36とは異なる硬度および耐引っ掻き性要件を有し、このため、高屈折率材料40の最大厚さの層のための異なる厚さを有することができる。これは、積層薄膜36全体の透過率および反射率特性を全体として著しく変化させることなく達成することができる。
【0042】
高屈折率材料40の最大厚さの層を有する積層薄膜36、しかして、窓24の硬度を定量化することができる。一部の実施形態では、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された場合、高屈折率材料40の最大厚さの層を有する積層薄膜36で測定される窓24の最大硬度は、(終端表面44から測定される)50nm~1000nm、さらには、2000nm~5000nmの1つ以上の押し込み深さで、約8GPa以上、約10GPa以上、約12GPa以上、約14GPa以上、約15GPa以上、約16GPa以上または約18GPa以上であることができる。本明細書で使用する場合、「バーコビッチ圧子硬度試験」は、ダイヤモンドバーコビッチ圧子で表面を押し込むことにより、その表面上の材料の硬度を測定することを含む。バーコビッチ圧子硬度試験は、積層薄膜36の終端表面44をダイヤモンドバーコビッチ圧子により押し込んで、約50nm~約1000nmの範囲(または積層薄膜36の全厚さのいずれか少ない方)の押し込み深さまで、この押し込み深さ範囲全体またはこの押し込み深さ範囲のセグメント(例えば、約100nm~約600nmの範囲)に沿ってへこみを形成することと、このへこみから最大硬度を測定することとを含み、一般的には、Oliver, W. C.; Pharr, G. M. An improved technique for determining hardness and elastic modulus using load and displacement sensing indentation experiments. J. Mater. Res., Vol. 7, No. 6, 1992, 1564-1583およびOliver, W. C.; Pharr, G. M. Measurement of Hardness and Elastic Modulus by Instrument Indentation: Advances in Understanding and Refinements to Methodology. J. Mater. Res., Vol. 19, No. 1, 2004, 3-20に説明されている方法を使用する。本明細書で使用する場合、硬度は、最大硬度を指し、平均硬度を指さない。これらの硬度レベルにより、LiDARシステム12がその意図された目的で、例えば、車両10と共に使用される間に遭遇する砂、小石、破片および他の物体からの衝撃損傷に対する窓24の耐性が改善される。したがって、これらの硬度レベルにより、衝撃損傷が何等かの方法で生じるであろうLiDARシステム12の光散乱および性能の低下が低減されまたは防止される。
【0043】
実施形態において、終端表面44を提供する1つ以上の低屈折率材料42の層は、目的の電磁放射の1550nmの波長の20%未満またはさらに、10%未満の厚さを有する。実施形態において、終端表面44を提供する層の厚さは、150nm~310nmである。終端表面44を提供する層の厚さを最小限に抑えることにより、終端表面44を提供する1つ以上の低屈折率材料42の層の直下に提供される1つ以上の高屈折率材料40の最大厚さの層により提供される耐引っ掻き性および/または耐損傷性が向上する。言及されたように、実施形態において、窓24に硬度を付与する1つ以上の高屈折率材料40の最大厚さの層は、外部環境26からの積層薄膜36の第2の層、すなわち、窓24の終端表面44を提供する1つ以上の低屈折率材料42の層に隣接する層である。
【0044】
積層薄膜36は、厚さ46を有し、第2の積層薄膜38が利用される場合、第2の積層薄膜38は、厚さ50を有する。積層薄膜36の厚さ46は、1つ以上の高屈折率材料40の最大厚さの層を含むと仮定され、約1μm以上であることができ、一方、本明細書に記載された透過率および反射率特性をなお提供する。実施形態において、厚さ46は、約1μm~約10μmおよび約2800nm~約5900nmを含む1μm~50μm強の範囲にある。約1μmの下限は、窓24に硬度および耐引っ掻き性をなおも提供するほぼ最小厚さ46である。厚さ46の上限は、積層薄膜36の層を基板30上に配設するのに必要なコストおよび時間により制限される。加えて、厚さ46の上限は、積層薄膜36が基板30を反らせてしまうのを防止するために制限され、これは、基板30の厚さにより決まる。第2の積層薄膜38の厚さ50は、窓24に所望の透過率および反射率特性を付与するのに必要と考えられる任意の厚さとすることができる。実施形態において、第2の積層薄膜38の厚さ50は、約800nm~約7000nmの範囲にある。第2の積層薄膜38が、硬度および耐衝撃性を付与するために、1つ以上の高屈折率材料40の最大厚さの層を含む場合には、第2の積層薄膜38の厚さ50は、上記積層薄膜36に関連して記載されたように、より厚くすることができる。
【0045】
高屈折率材料40の最大厚さにより、窓24に硬度、耐衝撃性および耐引っ掻き性を付与することを通して、背景において上記検討された問題を解決する一方、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24を通る1550nmの波長を有する窓24を通る反射された放射28の透過率も最大化するように構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24を通る1500nm~1600nmの範囲内の波長を有する電磁放射の透過率も最大化するように構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射の75%超、80%超、90%超、92%超、94%超、95%超、98%超、98.5%超、99%超またはさらに、99.5%超の平均%透過率を有するように構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射の75%超、80%超、90%超、92%超、94%超、95%超、98%超、98.5%超、99%超またはさらに、99.5%超の平均%透過率を有するように構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24が垂直入射またはほぼ垂直入射で、905nmおよび1550nmの波長を有する電磁放射の75%超、80%超、90%超または92%超の平均%透過率を有するように構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24が垂直入射またはほぼ垂直入射で、880nm~1580nmまたは850nm~1800nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射の75%超、80%超または85%超の平均%透過率を有するように構成される。「透過率」という用語は、材料(例えば、窓24、基板30、積層薄膜36、第2の積層薄膜38またはその一部)を透過した所定の波長範囲内の入射光の%出力を指す。
【0046】
実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24を通る1550nmの波長を有する反射された放射28の窓24での反射率も最小化するように構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、1500nm~1600nmの範囲内の波長を有する電磁放射の窓24での反射率も最小化するように構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24が0°~8°、0~15°、0~25°またはさらに、0°~50°の範囲内の任意の入射角で、1550nmの波長を有する電磁放射の10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.8%未満、0.5%未満またはさらに、0.3%未満の平均%反射率を有するように構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24が0°~8°、0~15°、0~25°またはさらに、0°~50°の範囲内の任意の入射角で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射の10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.8%未満、0.5%未満またはさらに、0.3%未満の平均%反射率を有するように構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24が0°~8°、0~15°、0~25°の範囲内の任意の入射角で、905nmおよび1550nmの波長を有する電磁放射の10%未満または5%未満の平均%反射率を有するように構成される。「反射率」という用語は、材料(例えば、窓24、基板30、積層薄膜36またはそれらの一部)で反射される所定の波長範囲内の入射光の%出力として同様に定義される。
【0047】
実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、紫外線範囲および可視スペクトル内の波長、例えば、300nm~600nm、300nm~650nmおよび300nm~700nmの範囲内または範囲全体にわたる波長を有する電磁放射の(a)窓24を通る透過率を最小にし、かかる電磁放射の(b)窓24での反射率を最大にしかつ/またはかかる電磁放射を(c)吸収するようにさらに構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、紫外線範囲内、可視スペクトル内および1500nm未満または850nm未満の赤外線範囲の一部の波長、例えば、300nm~850nm、300nm~900nmまたは300nm~1500nmの範囲内の波長を有する電磁放射の(a)窓24を通る透過率を最小にし、かかる電磁放射の(b)窓24での反射率を最大にしかつ/またはかかる電磁放射を(c)吸収するようにさらに構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24が垂直入射またはほぼ垂直入射で、300nm~600nm、300nm~650nm、300nm~700nmまたは300nm~950nmの範囲内の波長を有する電磁放射の10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.8%未満、0.5%未満、0.2%未満またはさらに、0.15%未満の平均%透過率を有するようにさらに構成される。実施形態において、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料は、窓24が300nm~600nm、300nm~650nm、300nm~700nm、300nm~950nm、400nm~700nm、500nm~700nmまたは550nm~700nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対して、0°~8°、0°~15°または0°~25°の範囲内の任意の入射角にわたって、80%超または90%超、95%超またはさらに97%超の平均%反射率を有するようにさらに構成される。これらの実施形態により、LiDARシステム12の格納装置20への窓24を通した温度上昇太陽光の透過が防止されまたは低下する。これにより、LiDARシステム12の性能が改善される。加えて、これらの実施形態により、LiDARシステム12の動作に不必要な波長、例えば、1450nm~1550nm(または850nm~950nmならびに1450nmおよび1550nm)の範囲外の波長の電磁放射の透過を防止されまたは低下する。これにより、電磁放射エミッタおよびセンサ18と干渉するノイズが低減され、このため、LiDARシステム12の性能が改善される。
【0048】
上記言及されたように、本発明者らは、アモルファスシリコン(a-Si)が1つ以上の高屈折率材料40として使用するのに特に適した材料であることを発見した。アモルファスシリコン(a-Si)は、比較的高い屈折率(1550nmで約3.77)を有するのに加えて、紫外線範囲および可視光範囲では比較的高い光吸収性を有するが、900~1800nmの範囲では許容可能な光吸収性を有する。波長の関数として、より完全な屈折率および光吸収データが、以下に提供される。アモルファスシリコン(a-Si)の層の厚さおよび量は、積層薄膜36および第2の積層薄膜38(利用される場合)の他の層と共に、紫外線範囲および可視光範囲における電磁放射の低い%透過率(部分的には、それらの波長範囲におけるアモルファスシリコンの光吸収による)を有するが、赤外線範囲の所望の部分における高い%透過率を有する窓24を提供することができる。以下の例およびアモルファスシリコン(a-Si)または同様の光吸収特性を有する一部の他の材料を利用しない他の実施形態では、主に光学干渉を利用して、所望の光学特性(例えば、300nm~700nmの範囲の低い透過率および/または高い反射率、一方、1550nmまたは1550nmを含む一部の範囲の高い透過率および低い反射率)を有する窓24を提供することができる。以下の例およびアモルファスシリコン(a-Si)または同様の光吸収特性を有する一部の他の材料を利用する他の実施形態は、光吸収および光干渉を利用して、所望の光学特性を有する窓24を提供する。このため、アモルファスシリコン(a-Si)または同様の光吸収特性を有する一部の他の材料を利用する実施形態は、アモルファスシリコン(a-Si)または同様の光吸収特性を有する一部の他の材料を利用しない実施形態より、積層薄膜36および第2の積層薄膜38における層が少ない所望の光学特性を有する窓24を提供することができる。実施形態において、第2の積層薄膜38は、1つ以上の高屈折率材料40のうちの1つとしてアモルファスシリコン(a-Si)の1つ以上の層を含むが、積層薄膜36は含まない。
【0049】
実施形態において、窓24は、可視光領域内の波長(例えば、450nm~650nmまたは380nm~700nm)の%透過率を5%未満または3%未満またはさらに、1%未満に低下させるための有機染料をさらに含む。可視領域内の波長を吸収するが、905nmおよび1550nmを透過する有機染料の例は、Adam Gates & Companyから商品名800nm Long PassおよびAG-300-800nm Inkで入手可能なものを含む。ただし、アモルファスシリコン(a-Si)または同様の光吸収特性を有する一部の他の材料を積層薄膜36および/または第2の積層薄膜38における1つ以上の高屈折率材料40のうちの1つとして使用することにより、有機染料の使用を不要にすることができる。さらに、アモルファスシリコン(a-Si)の層は、積層薄膜36および/または第2の積層薄膜38の他の層と同じスパッタリングプロセスを使用して、積層薄膜36および/または第2の積層薄膜38に直接一体化することができ、このため、有機染料を窓24に一体化するより窓24のより簡易な製造を提供することができる。
【0050】
積層薄膜36および第2の積層薄膜38の層(すなわち、高屈折率材料40および低屈折率材料42の層)を、不連続堆積または連続堆積プロセスを含む、当技術分野において公知の任意の方法により形成することができる。1つ以上の実施形態では、この層を、連続堆積プロセスのみを使用してまたは代替的には、不連続堆積プロセスのみを使用して形成することができる。
【実施例】
【0051】
下記実施例は全て、積層薄膜36(および利用される場合、第2の積層薄膜38)の層の量、厚さおよび材料を、窓24が入射電磁放射の波長および入射角の関数として所望の平均%透過率および平均%反射率を有するように構成することができる方法を示すために、コンピュータ容易化モデリングを使用してモデル化された例である。
【0052】
積層薄膜36の高屈折率材料40と低屈折率材料42との各交互層ならびに基板30の屈折率(n)および光吸収(k)を、波長の関数として、分光エリプソメトリーを用いて測定した。Si
3N
4、SiO
2、アモルファスシリコン(a-Si)およびアルミノケイ酸塩ガラス基板(Corningコード2320)の屈折率および光吸収を、以下の表Aに提供する。これらの材料は、高屈折率材料40、低屈折率材料42および基板30として、下記実施例で利用される。
【0053】
【0054】
ついで、このようにして測定された屈折率を使用して、透過および反射スペクトルを計算した。モデル化された実施例には、便宜上、それらの記述表において単一の屈折率値を使用し、これは、約1550nmの波長における屈折率分散曲線から選択された点に対応する。
【0055】
実施例1-実施例1の窓24は、アルミノケイ酸塩ガラス(Corningコード2320)の基板30の第1の表面32上に積層薄膜36を含んだ。積層薄膜36は、低屈折率材料42としてのSiO
2と、高屈折率材料40としてのSi
3N
4との9つの交互層を含んだ。積層薄膜36の層の厚さは、
図6A~
図6Dに示された%透過率および%反射率を提供するために、以下の表1に示されるように構成される。
【0056】
【0057】
図6Aから明らかなように、積層薄膜36の量、厚さおよび材料は、実施例1の窓24が50°までの全ての入射角で、1300nm~1800nmのおよその波長範囲に対して90%超、50°までの全ての入射角で、850nm~1800nmのおよその波長範囲に対して70%超の%透過率を有するよう構成されている。%透過率は、300nm~850nmのおよその範囲内の波長に対して、波長の関数として広く変動する。
図6Bから明らかなように、積層薄膜36の量、厚さおよび材料は、実施例1の窓24が25°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して95.5%超および25°までの全ての入射角で、1500nm~1800nmの波長範囲に対して95%超の%透過率を有するように構成されている。基板30の第1の面32のみが、積層膜36を有することが留意される。窓24は、基板30の第2の表面34上に第2の積層薄膜38を含まない。非被覆の第2の表面34は、約4%の%反射率を有し、このため、窓24を通る可能性のある最高%透過率は、約96%である。
【0058】
図6Cから明らかなように、積層薄膜36の量、厚さおよび材料は、実施例1の窓24が50°までの全ての入射角で、1150nm~1800nmのおよその波長範囲に対して10%未満の積層薄膜36の終端表面44での%反射率を有するように構成されている。%反射率は、300nm~850nmのおよその範囲内の波長に対して、波長の関数として広く変動する。
図6Dから明らかなように、積層薄膜36の量、厚さおよび材料は、実施例1の窓24が50°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して1.25%未満および25°までの全ての入射角で、1500nm~1800nmのおよその波長範囲に対して0.75%未満の積層薄膜36の終端表面44での%反射率を有するように構成されている。
【0059】
実施例2-実施例2の窓24は、アルミノケイ酸塩ガラス(Corningコード2320)の基板30の第1の表面32上の積層薄膜36と、基板30の第2の表面34上の第2の積層薄膜38とを含んだ。積層薄膜36は、低屈折率材料42としてのSiO
2と、高屈折率材料40としてのSi
3N
4との7つの交互層を含んだ。第2の積層薄膜38は、低屈折率材料42としてのSiO
2と、高屈折率材料40としてのSi
3N
4との81の交互層を含んだ。積層薄膜36および第2の積層薄膜38の層の厚さは、
図7A~
図7Eに示された%透過率および%反射率を提供するために、以下の表2に示されるように構成される。高屈折率材料40としての高硬度材料Si
3N
4の最大厚さの層(5000nm)は、積層薄膜36の第2の層であり、窓24の終端表面44を提供する積層薄膜36の最外層に隣接する。基板30の第1の表面32および第2の表面34が両方とも、それぞれ積層薄膜36および第2の積層薄膜38により覆われているため、提供される%反射率値は、窓24全体の両側からの反射率についてのものであり、提供される%透過率値は、窓24全体を通る透過率についてのものである(実施例3~5についても同様である)。
【0060】
【0061】
【0062】
図7Aから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例2の窓24が50°までの全ての入射角で、850nm~1800nmのおよその波長範囲に対する80%超の%透過率を有し、一方、25°までの全ての入射角で、380nm~750nmのおよその波長範囲に対する約15%未満の%透過率を有するように構成されている。
図7Bから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例2の窓24が25°までの全ての入射角で、400nm~650nmのおよその波長範囲に対する5%未満の%透過率を有するように構成されている。
図7Cから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例2の窓24が25°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して99.5%超および8°までの全ての入射角で、1500nm~1670nmの波長範囲に対して98%超の%透過率を有するように構成されている。
【0063】
図7Dから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例2の窓24が(a)50°までの全ての入射角で、850nm~1800nmのおよその波長範囲に対して20%未満、一方、(b)50°までの全ての入射角で、400nm~700nmのおよその波長範囲に対して70%超および(c)25°までの全ての入射角で、450nm~700nmの波長範囲に対して90%超の窓24での%反射率を有するように構成されている。
図7Eから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例2の窓24が(a)25°までの全ての入射角で、1500nm~1600nmの波長範囲に対して2%未満、(b)25°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して0.5%未満および(c)50°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して10%未満の窓24での%反射率を有するように構成されている。
【0064】
実施例3-実施例3の窓24は、アルミノケイ酸塩ガラス(Corningコード2320)の基板30の第1の表面32上の積層薄膜36と、基板の第2の表面34上の第2の積層薄膜38とを含んだ。積層薄膜36は、低屈折率材料42としてのSiO
2と、高屈折率材料40としてのSi
3N
4との7つの交互層を含んだ。第2の積層薄膜38は、低屈折率材料42としてのSiO
2と、高屈折率材料40としてのアモルファスシリコン(a-Si)との9つの交互層を含んだ。紫外線範囲および可視光吸収アモルファスシリコン(a-Si)を使用することにより、アモルファスシリコンを使用しない場合(例えば、実施例2)より、積層薄膜36および第2の積層薄膜38においてより少ない層を有する窓24を通るそれらの波長の%透過率の顕著に大きな抑制が可能となる。アモルファスシリコン(a-Si)が利用されるが、窓24は、依然として、LiDARシステム12に関連する905nmおよび1550nmの波長の合理的に高い%透過率を有する。積層薄膜36および第2の積層薄膜38の層の厚さは、
図8A~
図8Eに記載された%透過率および%反射率を提供するために、以下の表3に記載されているように構成される。高屈折率材料40としての高硬度材料Si
3N
4の最大厚さの層(5000nm)は、積層薄膜36の第2の層であり、窓24の終端表面44を提供する積層薄膜36の最外層に隣接する。
【0065】
【0066】
図8Aから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例3の窓24が1050nm~1800nmのおよその波長範囲に対して、(a)50°までの全ての入射角で75%超、(b)50°までの全ての入射角で80%超および(c)50°までの全ての入射角で、1300nm~1800nmのおよその波長範囲に対して90%超、一方、(d)約50°までの全ての入射角で、300nm~700nmのおよその波長範囲に対して約10%未満の%透過率を有するように構成されている。
図8Bから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例3の窓24が(a)約50°までの全ての入射角で、300nm~650nmのおよその波長範囲に対して2%未満、(b)約8°までの全ての入射角で、300nm~700nmのおよその波長範囲に対して2%未満、(c)約25°までの全ての入射角で、300nm~600nmの波長範囲に対して0.2%未満、(d)25°までの全ての入射角で、300nm~575nmの波長範囲に対して0.15%未満および(e)25°までの全ての入射角で、300nm~680nmの波長範囲に対して2%未満の%透過率を有するように構成されている。
図8Cから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例3の窓24が(a)50°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して94%超、(b)25°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して98.5%超、(c)50°までの全ての入射角で、1500nm~1600nmの波長範囲に対して94.5%超および(d)25°までの全ての入射角で、1500nm~1600nmの波長範囲に対して98%超の%透過率を有するように構成されている。
【0067】
図8Dから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例3の窓24が(a)50°までの全ての入射角で、800nm~1800nmのおよその波長範囲に対して20%未満および(b)50°までの全ての入射角で、1250nm~1800nmのおよその波長範囲に対して10%未満、一方、(b)50°までの全ての入射角で、450nm~650nmのおよその波長範囲に対して50%超および(c)8°までの全ての入射角で、約450nm~約700nmの波長範囲に対して約65%超の窓24での%反射率を有するように構成されている。
図8Eから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例3の窓24が(a)25°までの全ての入射角で、1500nm~1600nmの波長範囲に対して1%未満、(b)25°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して0.5%未満および(c)50°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して4.5%未満の窓24での%反射率を有するように構成されている。
【0068】
実施例3A-実施例3Aの窓24は、アルミノケイ酸塩ガラス(Corningコード2320)の基板30の第1の表面32上の積層薄膜36と、基板の第2の表面34上の第2の積層薄膜38とを含んだ。積層薄膜36は、低屈折率材料42としてのSiO
2と、高屈折率材料40としてのSi
3N
4との7つの交互層を含んだ。第2の積層薄膜38は、低屈折率材料42としてのSiO
2と、高屈折率材料40としてのアモルファスシリコン(a-Si)との9つの交互層を含んだ。積層薄膜36および第2の積層薄膜38の層の厚さは、
図9A~
図9Bに記載された%透過率および%反射率を提供するために、以下の表3Aに記載されているように構成される。このため、実施例3Aの窓24は、高屈折率材料40としての高硬度材料Si
3N
4の最大厚さの層が実施例3において5000nm厚であるのに代えて、2000nm厚である点を除いて、実施例3の窓24と同一である。この層は、依然として、積層薄膜36の第2の層であり、窓24の終端表面44を提供する積層薄膜36の最外層に隣接する。実施例3および3Aは、特定の用途のための機械的性能およびコスト目標に応じて達成することができる設計の柔軟性(透過率および反射率基準を依然として達成しながら、高屈折率材料40の最大厚さの層の厚さを変化させる)を実証する。
【0069】
【0070】
図9Aから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例3Aの窓24が(a)50°までの全ての入射角で、約1000nm~1800nmのおよその波長範囲に対して80%超および(b)50°までの全ての入射角で、1300nm~1800nmのおよその波長範囲に対して90%超、一方、(c)約50°までの全ての入射角で、300nm~約700nmのおよその波長範囲に対して約10%未満の%透過率を有するように構成されている。
【0071】
図9Bから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例3Aの窓24が(a)50°までの全ての入射角で、800nm~1800nmのおよその波長範囲に対して20%未満および(b)50°までの全ての入射角で、1250nm~1800nmのおよその波長範囲に対して10%未満、一方、(b)50°までの全ての入射角で、450nm~650nmのおよその波長範囲に対して50%超および(c)8°までの全ての入射角で、約450nm~約675nmの波長範囲に対して約65%超の窓24での%反射率を有するように構成されている。
【0072】
実施例4-実施例4の窓24は、アルミノケイ酸塩ガラス(Corningコード2320)の基板30の第1の表面32上の積層薄膜36と、基板の第2の表面34上の第2の積層薄膜38とを含んだ。積層薄膜36は、低屈折率材料42としてのSiO
2と、高屈折率材料40としてのSi
3N
4との7つの交互層を含んだ。第2の積層薄膜38は、低屈折率材料42としてのSiO
2と、高屈折率材料40としてのアモルファスシリコン(a-Si)またはSi
3N
4のいずれかとの19の交互層を含んだ。紫外線範囲および可視光吸収アモルファスシリコン(a-Si)およびSi
3N
4を高屈折率材料40として使用することにより、反射率と吸収率とが同時に組み合わさって、紫外線範囲および可視光範囲において%透過率が顕著に低くなり、一方、1550nmでの%透過率が高くなる。積層薄膜36および第2の積層薄膜38の層の厚さは、
図10A~
図10Eに記載された%透過率および%反射率を提供するために、以下の表4に記載されているように構成される。高屈折率材料40としての高硬度材料Si
3N
4の最大厚さの層(5000nm)は、積層薄膜36の第2の層であり、窓24の終端表面44を提供する積層薄膜36の最外層に隣接する。
【0073】
【0074】
図10Aから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例4の窓24が(a)50°までの全ての入射角で、1400nm~1800nmの波長範囲に対して90%超、一方、(b)8°までの全ての入射角で、300nm~950nmの波長範囲に対して10%未満の%透過率を有するように構成されている。
図10Bから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例4の窓24が(a)25°までの全ての入射角で、300nm~700nmの波長範囲に対して0.5%未満、(b)50°までの全ての入射角で、300nm~600nmの波長範囲に対して0.2%未満および(c)10°までの全ての入射角で、300nm~650nmの波長範囲に対して0.15%未満の%透過率を有するように構成されている。
図10Cから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例3の窓24が(a)25°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して98%超および(b)50°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して92.5%超の%透過率を有するように構成されている。
【0075】
図10Dから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例4の窓24が50°までの全ての入射角で、1350nm~1800nmの波長範囲に対する10%未満の窓24での%反射率を有するように構成されている。
図10Eから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例4の窓24が(a)8°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して0.3%未満、(b)25°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して1%未満および(c)50°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して6.5%未満の窓24での%反射率を有するように構成されている。
【0076】
実施例5-実施例5の窓24は、アルミノケイ酸塩ガラス(Corningコード2320)の基板30の第1の表面32上の積層薄膜36と、基板の第2の表面34上の第2の積層薄膜38とを含んだ。積層薄膜36は、低屈折率材料42としてのSiO
2と、高屈折率材料40としてのSi
3N
4との7つの交互層を含んだ。第2の積層薄膜38は、低屈折率材料42としてのSiO
2と、高屈折率材料40としてのアモルファスシリコン(a-Si)またはSi
3N
4のいずれかとの17の交互層を含んだ。紫外線範囲および可視光吸収アモルファスシリコン(a-Si)およびSi
3N
4を高屈折率材料40として使用することにより、反射率と吸収率とが同時に組み合わさって、紫外線範囲および可視光範囲において%透過率が顕著に低くなり、一方、905nm、1550nmの両方での%透過率が高くなりかつ905nmでの反射率が低くなる。積層薄膜36および第2の積層薄膜38の層の厚さは、
図11A~
図11Eに記載された%透過率および%反射率を提供するために、以下の表5に記載されているように構成される。高屈折率材料40としての高硬度材料Si
3N
4の最大厚さの層(5000nm)は、積層薄膜36の第2の層であり、窓24の終端表面44を提供する積層薄膜36の最外層に隣接する。
【0077】
【0078】
図11Aから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例5の窓24が(a)50°までの全ての入射角で、800nm~1800nmの波長範囲に対して75%超および(b)25°までの全ての入射角で、300nm~650nmの波長範囲に対して10%未満の%透過率を有するように構成されている。
図11Bから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例5の窓24が(a)25°までの全ての入射角で、300nm~620nmの波長範囲に対して0.8%未満および(b)50°までの全ての入射角で、300nm~約575nmの波長範囲に対して0.8%未満の%透過率を有するように構成されている。
図11Cから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例5の窓24が(a)25°までの全ての入射角で、850nm~980nmの波長範囲に対して88%超、(b)25°までの全ての入射角で、1500nm~1700nmの波長範囲に対して88%超、(c)25°までの全ての入射角で、870nm~970nmおよび1530nm~1680nmの波長範囲に対して90%超、(d)25°までの全ての入射角で、895nm~945nmおよび1545nm~1650nmの波長範囲に対して92%超、(e)50°までの全ての入射角で、905nmの波長に対して83%超および(f)50°までの全ての入射角で、1550nmの波長に対して88%超の%透過率を有するように構成されている。
【0079】
図11Dから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例5の窓24が(a)50°までの全ての入射角で、700nm~1800nmの波長範囲に対して25%未満および(b)25°までの全ての入射角で、1550nm波長に対して7%未満の窓24での%反射率を有するように構成されている。
図11Eから明らかなように、積層薄膜36および第2の積層薄膜38の量、厚さおよび材料は、実施例5の窓24が(a)8°までの全ての入射角で、850nm~950nmの波長範囲に対して1%未満および(b)25°までの全ての入射角で、905nmの波長に対して0.5%未満の窓24での%反射率を有するように構成されている。
【0080】
態様(1)は、センシングシステムのための窓であって、屈折率、第1の表面および第2の表面を含み、前記第1の表面および前記第2の表面が基板の主面である基板と、前記基板の前記第1の表面上に配設され、1つ以上の高屈折率材料と1つ以上の低屈折率材料との交互層を備え、前記1つ以上の高屈折率材料および前記1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ屈折率を有し、前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率より高い積層薄膜と、前記積層薄膜で、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された少なくとも8GPaの最大硬度とを含み、前記積層薄膜の前記交互層の量、厚さおよび材料は、前記窓が、垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率を有するように構成されている、窓に関する。
【0081】
態様(2)は、前記基板が、圧縮応力下にある前記第1の表面に隣接する領域を有し、前記圧縮応力の最大絶対値が、少なくとも600MPaである、態様(1)記載の窓に関する。
【0082】
態様(3)は、前記基板が、ガラス基板である、態様(1)または(2)記載の窓に関する。
【0083】
態様(4)は、前記基板が、約100μm~約5mmの厚さを有する、態様(1)から(3)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0084】
態様(5)は、1550nmの波長を有する電磁放射に対する前記基板の前記屈折率が、約1.45~約1.55である、態様(1)から(4)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0085】
態様(6)は、前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が、約1.7~約4.0であり、前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率が、約1.3~約1.6である、態様(1)から(5)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0086】
態様(7)は、前記1つ以上の高屈折率材料のいずれかと、前記1つ以上の低屈折率材料のいずれかとの前記屈折率の差が、約0.5以上である、態様(1)から(6)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0087】
態様(8)は、前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記1つ以上の高屈折率材料が、Si3N4を含む、態様(1)から(7)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0088】
態様(9)は、前記基板から最も遠い前記積層薄膜の層が、前記窓の終端表面材料を形成し、前記窓の前記終端表面材料が、前記低屈折率材料を含み、前記1つ以上の低屈折率材料の層が、前記基板の前記第1の表面上に直接配設されている、態様(1)から(8)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0089】
態様(10)は、前記積層薄膜で、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された最大硬度が、少なくとも12GPaである、態様(1)から(9)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0090】
態様(11)は、前記1つ以上の高屈折率材料の層のうちの1つが、約500nm~約10,000nmの厚さを有する、態様(1)から(10)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0091】
態様(12)は、前記1つ以上の高屈折率材料の少なくとも1つの層が、前記積層薄膜の前記厚さの65%以上である、態様(1)から(11)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0092】
態様(13)は、前記基板から最も遠い前記積層薄膜の前記層が、前記窓の終端表面材料を形成し、前記窓の前記終端表面材料が、前記低屈折率材料を含み、前記終端表面材料が、約150nm~約310nmの厚さを有する、態様(1)から(12)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0093】
態様(14)は、前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料が、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率を有するように構成されている、態様(1)から(13)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0094】
態様(15)は、前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料が、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、905nmおよび1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率ならびに0°~8°の範囲内の任意の入射角で、905nmおよび1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率を有するように構成されている、態様(1)から(14)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0095】
態様(16)は、前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料が、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、880nm~1580nmまたは850nm~1800nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率を有するように構成されている、態様(1)から(15)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0096】
態様(17)は、前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料が、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、300nm~600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%透過率および0°~8°の範囲内の任意の入射角で、300nm~600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する80%超の平均%反射率を有するように構成されている、態様(1)から(16)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0097】
態様(18)は、前記基板の前記第2の表面上に配設された第2の積層薄膜をさらに備え、前記第2の積層薄膜が、前記1つ以上の高屈折率材料と前記1つ以上の低屈折率材料との交互層を備え、前記1つ以上の高屈折率材料および前記1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ、屈折率を有し、前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が、前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率より高く、前記積層薄膜および前記第2の積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率を有するように構成されている、態様(1)から(17)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0098】
態様(19)は、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料のいずれかと、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料のいずれかとの前記屈折率の差が、約2.0以上である、態様(18)記載の窓に関する。
【0099】
態様(20)は、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料が、アモルファスシリコンを含む、態様(18)または(19)記載の窓に関する。
【0100】
態様(21)は、前記積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料が、Si3N4を含み、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料が、アモルファスシリコンを含む、態様(18)から(20)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0101】
態様(22)は、前記積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料が、Si3N4を含み、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料が、アモルファスシリコンおよびSi3N4を含む、態様(18)から(20)までのいずれか1つに記載の窓に関する。
【0102】
態様(23)は、1550nmの波長を有する電磁放射を放出する電磁放射エミッタおよびセンサと、前記電磁放射の経路中にある窓とを備え、前記窓は、屈折率、第1の表面および第2の表面を含み、前記第1の表面および前記第2の表面が基板の主面である基板と、前記基板の前記第1の表面上に配設され、1つ以上の高屈折率材料と1つ以上の低屈折率材料との交互層を備え、前記1つ以上の高屈折率材料および前記1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ屈折率を有し、前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率より高い積層薄膜と、前記積層薄膜で、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された少なくとも8GPaの最大硬度とを含み、前記積層薄膜の前記交互層の量、厚さおよび材料は、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率を有するように構成されている、LiDARシステムに関する。
【0103】
態様(24)は、前記窓が、前記基板の前記第2の表面上に配設された第2の積層薄膜をさらに備え、前記第2の積層薄膜が、前記1つ以上の高屈折率材料と前記1つ以上の低屈折率材料との交互層を備え、前記1つ以上の高屈折率材料および前記1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ、屈折率を有し、前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が、前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率より高く、前記積層薄膜および前記第2の積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率を有するように構成されている、態様(23)記載のLiDARシステムに関する。
【0104】
態様(25)は、前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料が、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率を有するように構成されている、態様(23)または(24)記載のLiDARシステムに関する。
【0105】
態様(26)は、前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、905nmおよび1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率ならびに0°~8°の範囲内の任意の入射角で、905nmおよび1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率を有するように構成されている、態様(23)から(25)までのいずれか1つに記載のLiDARシステムに関する。
【0106】
態様(27)は、前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、880nm~1580nmまたは850nm~1800nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率を有するように構成されている、態様(23)から(26)までのいずれか1つに記載のLiDARシステムに関する。
【0107】
態様(28)は、前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料が、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、300nm~600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%透過率および0°~8°の範囲内の任意の入射角で、300nm~600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する80%超の平均%反射率を有するように構成されている、態様(23)から(27)までのいずれか1つに記載のLiDARシステムに関する。
【0108】
当業者には、特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、種々の修正および変形を行うことができることが明らかであろう。
【0109】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0110】
実施形態1
センシングシステムのための窓であって、
屈折率、第1の表面および第2の表面を含み、前記第1の表面および前記第2の表面が基板の主面である基板と、
前記基板の前記第1の表面上に配設され、1つ以上の高屈折率材料と1つ以上の低屈折率材料との交互層を備え、前記1つ以上の高屈折率材料および前記1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ屈折率を有し、前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率より高い積層薄膜と、
前記積層薄膜で、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された少なくとも8GPaの最大硬度と
を含み、
前記積層薄膜の前記交互層の量、厚さおよび材料は、前記窓が
垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および
0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率
を有するように構成されている、窓。
【0111】
実施形態2
前記基板が、圧縮応力下にある前記第1の表面に隣接する領域を有し、前記圧縮応力の最大絶対値が、少なくとも600MPaである、実施形態1記載の窓。
【0112】
実施形態3
前記基板が、ガラス基板である、実施形態1または2記載の窓。
【0113】
実施形態4
前記基板が、約100μm~約5mmの厚さを有する、実施形態1から3までのいずれか1つに記載の窓。
【0114】
実施形態5
1550nmの波長を有する電磁放射に対する前記基板の前記屈折率が、約1.45~約1.55である、実施形態1から4までのいずれか1つに記載の窓。
【0115】
実施形態6
前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が、約1.7~約4.0であり、前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率が、約1.3~約1.6である、実施形態1から5までのいずれか1つに記載の窓。
【0116】
実施形態7
前記1つ以上の高屈折率材料のいずれかと、前記1つ以上の低屈折率材料のいずれかとの前記屈折率の差が、約0.5以上である、実施形態1から6までのいずれか1つに記載の窓。
【0117】
実施形態8
前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記1つ以上の高屈折率材料が、Si3N4を含む、実施形態1から7までのいずれか1つに記載の窓。
【0118】
実施形態9
前記基板から最も遠い前記積層薄膜の層が、前記窓の終端表面材料を形成し、前記窓の前記終端表面材料が、前記低屈折率材料を含み、前記1つ以上の低屈折率材料の層が、前記基板の前記第1の表面上に直接配設されている、実施形態1から8までのいずれか1つに記載の窓。
【0119】
実施形態10
前記積層薄膜で、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された最大硬度が、少なくとも12GPaである、実施形態1から9までのいずれか1つに記載の窓。
【0120】
実施形態11
前記1つ以上の高屈折率材料の層のうちの1つが、約500nm~約10,000nmの厚さを有する、実施形態1から10までのいずれか1つに記載の窓。
【0121】
実施形態12
前記1つ以上の高屈折率材料の少なくとも1つの層が、前記積層薄膜の前記厚さの65%以上である、実施形態1から11までのいずれか1つに記載の窓。
【0122】
実施形態13
前記基板から最も遠い前記積層薄膜の前記層が、前記窓の終端表面材料を形成し、前記窓の前記終端表面材料が、前記低屈折率材料を含み、前記終端表面材料が、約150nm~約310nmの厚さを有する、実施形態1から12までのいずれか1つに記載の窓。
【0123】
実施形態14
前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が
垂直入射またはほぼ垂直入射で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および
0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率
を有するように構成されている、実施形態1から13までのいずれか1つに記載の窓。
【0124】
実施形態15
前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が
垂直入射またはほぼ垂直入射で、905nmおよび1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率ならびに
0°~8°の範囲内の任意の入射角で、905nmおよび1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率
を有するように構成されている、実施形態1から14までのいずれか1つに記載の窓。
【0125】
実施形態16
前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、880nm~1580nmまたは850nm~1800nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率を有するように構成されている、実施形態1から15までのいずれか1つに記載の窓。
【0126】
実施形態17
前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が、
垂直入射またはほぼ垂直入射で、300nm~600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%透過率および
0°~8°の範囲内の任意の入射角で、300nm~600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する80%超の平均%反射率
を有するように構成されている、実施形態1から16までのいずれか1つに記載の窓。
【0127】
実施形態18
前記基板の前記第2の表面上に配設された第2の積層薄膜をさらに備え、前記第2の積層薄膜が、前記1つ以上の高屈折率材料と前記1つ以上の低屈折率材料との交互層を備え、前記1つ以上の高屈折率材料および前記1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ、屈折率を有し、前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が、前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率より高く、
前記積層薄膜および前記第2の積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率を有するように構成されている、実施形態1から17までのいずれか1つに記載の窓。
【0128】
実施形態19
前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料のいずれかと、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料のいずれかとの前記屈折率の差が、約2.0以上である、実施形態18記載の窓。
【0129】
実施形態20
前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料が、アモルファスシリコンを含む、実施形態18または19記載の窓。
【0130】
実施形態21
前記積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料が、Si3N4を含み、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料が、アモルファスシリコンを含む、実施形態18から20までのいずれか1つに記載の窓。
【0131】
実施形態22
前記積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料が、Si3N4を含み、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の低屈折率材料が、SiO2を含み、前記第2の積層薄膜の前記1つ以上の高屈折率材料が、アモルファスシリコンおよびSi3N4を含む、実施形態18から20までのいずれか1つに記載の窓。
【0132】
実施形態23
1550nmの波長を有する電磁放射を放出する電磁放射エミッタおよびセンサと、
前記電磁放射の経路中にある窓と
を備え、
前記窓は、
屈折率、第1の表面および第2の表面を含み、前記第1の表面および前記第2の表面が基板の主面である基板と、
前記基板の前記第1の表面上に配設され、1つ以上の高屈折率材料と1つ以上の低屈折率材料との交互層を備え、前記1つ以上の高屈折率材料および前記1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ屈折率を有し、前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率より高い積層薄膜と、
前記積層薄膜で、バーコビッチ圧子硬度試験により測定された少なくとも8GPaの最大硬度と
を含み、
前記積層薄膜の前記交互層の量、厚さおよび材料は、前記窓が
垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および
0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率
を有するように構成されている、
LiDARシステム。
【0133】
実施形態24
前記窓が、前記基板の前記第2の表面上に配設された第2の積層薄膜をさらに備え、前記第2の積層薄膜が、前記1つ以上の高屈折率材料と前記1つ以上の低屈折率材料との交互層を備え、前記1つ以上の高屈折率材料および前記1つ以上の低屈折率材料がそれぞれ、屈折率を有し、前記1つ以上の高屈折率材料の前記屈折率が、前記1つ以上の低屈折率材料の前記屈折率より高く、
前記積層薄膜および前記第2の積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率を有するように構成されている、実施形態23記載のLiDARシステム。
【0134】
実施形態25
前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が
垂直入射またはほぼ垂直入射で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率および
0°~8°の範囲内の任意の入射角で、1500nm~1600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率
を有するように構成されている、実施形態23または24記載のLiDARシステム。
【0135】
実施形態26
前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が
垂直入射またはほぼ垂直入射で、905nmおよび1550nmの波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率ならびに
0°~8°の範囲内の任意の入射角で、905nmおよび1550nmの波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%反射率
を有するように構成されている、実施形態23から25までのいずれか1つに記載のLiDARシステム。
【0136】
実施形態27
前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が垂直入射またはほぼ垂直入射で、880nm~1580nmまたは850nm~1800nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する75%超の平均%透過率を有するように構成されている、実施形態23から26までのいずれか1つに記載のLiDARシステム。
【0137】
実施形態28
前記積層薄膜の前記交互層の前記量、前記厚さおよび材料は、前記窓が、
垂直入射またはほぼ垂直入射で、300nm~600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する10%未満の平均%透過率および
0°~8°の範囲内の任意の入射角で、300nm~600nmの範囲内の任意の波長を有する電磁放射に対する80%超の平均%反射率
を有するように構成されている、実施形態23から27までのいずれか1つに記載のLiDARシステム。
【国際調査報告】