(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(54)【発明の名称】圧縮機及び冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F04C 18/356 20060101AFI20220801BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
F04C18/356 E
F04C29/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571640
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(85)【翻訳文提出日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2020099160
(87)【国際公開番号】W WO2021103525
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911201685.5
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519461059
【氏名又は名称】安徽美芝精密制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI MEIZHI PRECISION MANUFACTURING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 3, Taishan Road, Economic and Technological Development Zone, Wuhu, Anhui 241000, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】鄭礼成
(72)【発明者】
【氏名】江波
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA04
3H129AB03
3H129BB09
3H129BB44
3H129BB47
3H129CC16
3H129CC17
3H129CC32
(57)【要約】
【要約】圧縮機(100)及び冷凍装置を提供する。圧縮機(100)は、クランク軸(102)と、クランク軸(102)に設けられた接続構造(104)とを含み、接続構造(104)及び/又はクランク軸(102)には、接続構造(104)とクランク軸(102)との嵌合部分に位置し、接続構造(104)とクランク軸(102)の少なくとも1つを回避するように配置された回避部(106)が設けられている。当該圧縮機は、クランク軸(102)と、クランク軸(102)に接続された接続構造(104)とを含み、回避部(106)の設定により、クランク軸(102)と接続構造(104)との間の隙間が大きくなり、ひいてはクランク軸(102)が傾斜して変形する場合、回避部(106)は傾斜したクランク軸(102)を回避できるため、クランク軸(102)と接続構造(104)との接触が表面接触のように維持され、クランク軸(102)と接続構造(104)との間の油膜が破れないようにし、圧縮機(100)の信頼性を効果的に確保する。さらに、より細い軸径、より短い軸スリーブを採用することができ、クランク軸(102)と接続構造(104)との嵌合部分の摩擦損失を低減させ、圧縮機の性能を向上させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランク軸と、
前記クランク軸に設けられた接続構造とを含み、
前記接続構造及び/又は前記クランク軸には、前記接続構造と前記クランク軸との嵌合部分に位置し、前記接続構造及び前記クランク軸の少なくとも一方を回避するように配置された回避部が設けられている、圧縮機。
【請求項2】
前記クランク軸と前記接続構造との間に隙間があり、前記クランク軸の軸線方向に沿って、前記回避部に対応する前記隙間は、前記接続構造の中央から離れる方向に向かって大きくなる、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記圧縮機は、前記クランク軸の軸断面において、同一の軸方向高さでの、前記クランク軸の軸線の両側の前記隙間の和を、両側隙間として定義し、
前記回避部に対応する前記両側隙間の最小値をδ
0とし、前記回避部に対応する前記両側隙間の最大値と前記δ
0との差をδとし、前記回避部に対応する前記両側隙間が最小となる部分に対応する前記クランク軸の直径をDとし、前記クランク軸の軸線方向に沿って、前記回避部の長さをhとしたとき、
前記δと前記δ
0の商と、前記Dと前記hの商との積は、0.2以上5以下である、請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記回避部は、前記クランク軸の軸線方向に沿って順番に接続された複数の回避セグメントを含み、少なくとも1つの前記回避セグメントは、前記δと前記δ
0の商と、前記Dと前記hの商との積が0.2以上5以下を満たす、請求項3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記δと前記δ
0の商と、前記Dと前記hの商との積は、0.5以上2.5以下である、請求項3に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記hは2mm以上20mm以下である、請求項3に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記クランク軸の軸線方向に沿って、前記回避部の少なくとも一部に対応する前記隙間の大きさが線形的に変化する、請求項2~6のいずれか一項に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記回避部により形成された壁面は、テーパー面を含む、請求項7に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記圧縮機は、前記クランク軸の軸断面において、前記接続構造の中央から離れる方向に沿って、前記回避部の少なくとも一部により形成された壁面の接線と、前記クランク軸の軸線に垂直な方向との間の鋭角が徐々に小さくなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の圧縮機。
【請求項10】
前記回避部により形成された壁面は曲面を含む、請求項9に記載の圧縮機。
【請求項11】
前記クランク軸の軸線に垂直な断面において、前記回避部は環状である、請求項1~6のいずれか一項に記載の圧縮機。
【請求項12】
前記クランク軸は、
同軸に設けられた第1の軸部及び第2の軸部を含む本体と、
前記本体に接続された偏心部とを含み、前記本体と前記偏心部とは偏心して設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の圧縮機。
【請求項13】
前記接続構造は、
前記第1の軸部に嵌合された第1の軸受と、
前記第2の軸部に嵌合された第2の軸受と、
前記偏心部に嵌合されたピストンとを含む、請求項12に記載の圧縮機。
【請求項14】
前記回避部が前記クランク軸に設けられる場合、前記回避部は前記第1の軸部の前記第2の軸部に近い部分に設けられ、及び/又は、前記回避部は前記第1の軸部の前記第2の軸部から離れた部分に設けられ、及び/又は、前記回避部は前記偏心部の前記第1の軸受に近い一端に設けられ、及び/又は、前記回避部は前記偏心部の前記第2の軸受に近い一端に設けられ、及び/又は、前記回避部は前記第2の軸部の前記偏心部に近い一端に設けられ、及び/又は
前記回避部が前記接続構造に設けられる場合、前記回避部は前記第1の軸受の前記第2の軸受に近い一端に設けられ、及び/又は、前記回避部は前記第1の軸受の前記第2の軸受から離れた一端に設けられ、及び/又は、前記回避部は前記ピストンの前記第1の軸受に近い一端に設けられ、及び/又は、前記回避部は前記ピストンの前記第2の軸受に近い一端に設けられ、及び/又は、前記回避部は前記第2の軸受の前記第1の軸受に近い一端に設けられる、請求項13に記載の圧縮機。
【請求項15】
シリンダキャビティを含むシリンダであって、前記ピストンが前記シリンダキャビティ内に設けられ、前記クランク軸が前記シリンダキャビティ内に挿設され、前記シリンダにベーン溝が設けられたシリンダと、
前記ベーン溝内に設けられ、前記ピストンと転動可能に接続されたベーンと、
前記第1の軸部に接続されたロータと、をさらに含む、請求項13に記載の圧縮機。
【請求項16】
前記圧縮機はインバータ圧縮機であり、及び/又は
前記圧縮機内に冷媒が充填されており、前記冷媒はジフルオロメタン又はプロパンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の圧縮機。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の圧縮機を含む、冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年11月29日に中国特許庁に提出された、出願番号が201911201685.5であり、発明の名称が「圧縮機及び冷凍装置」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てを援用することにより本願に取り入れる。
【0002】
本願は、冷凍装置の技術分野に関し、具体的には、圧縮機及び冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、
図1及び
図2に示すように、圧縮機100’はクランク軸102’を含み、クランク軸102’は、主軸部1020’と、副軸部1022’と、偏心部1024’とを含み、主軸受104’が主軸部1020’に嵌合され、二次軸受106’が副軸部1022’に嵌合され、シリンダ108’がシリンダキャビティを含み、ピストン114’がシリンダキャビティ内に設けられ、またピストン114’が偏心部1024’に嵌合され、ロータ110’が主軸部1020’に接続され、バランスブロック112’がロータ110’に設けられている。
図2に示すように、主軸部1020’と主軸受104’、副軸部1022’と二次軸受106’、偏心部1024’とピストン114’との嵌合部分が異常摩耗などの信頼性の問題を引き起こす可能性が最も高く、
図2におけるA’に示すのは主軸部1020’と主軸受104’の摩耗が生じやすい部分であり、嵌合部分のペアとなる部品の信頼性を確保するために、従来技術は太い軸径、より高い軸受しか採用できず、これにより、圧縮機100’の大型化、コストの上昇、及び摩擦損失の増加をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、従来技術又は関連技術に存在する技術的問題の1つを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本願の第1の態様は、圧縮機を提供する。
【0006】
本願の第2の態様は、冷凍装置を提供する。
【0007】
これに鑑みて、本願の第1の態様にて提供される圧縮機は、クランク軸と、クランク軸に設けられた接続構造とを含み、接続構造及び/又はクランク軸には、接続構造とクランク軸との嵌合部分に位置し、接続構造及びクランク軸の少なくとも一方を回避するように配置された回避部が設けられている。
【0008】
本願にて提供される圧縮機は、クランク軸と、クランク軸に接続された接続構造とを含み、接続構造及び/又はクランク軸には、接続構造又はクランク軸の少なくとも一方を回避するための回避部が設けられ、回避部の設置により、クランク軸と接続構造との間の隙間が大きくなり、ひいてはクランク軸が傾斜して変形する場合、回避部が傾斜したクランク軸を回避できるため、クランク軸と接続構造との接触が表面接触のように維持され、クランク軸と接続構造との間の油膜が破れないようにし、圧縮機の信頼性を効果的に確保する。さらに、より細い軸径、より短い軸スリーブを採用することができ、圧縮機の体積及びコストを削減し、クランク軸と接続構造との嵌合部分の摩擦損失を低減させ、圧縮機の性能を向上させる。
【0009】
なお、回避部は、接続構造及びクランク軸の少なくとも一方を回避し、すなわち、回避部は、クランク軸が傾斜した後、回避部に対応する部分のクランク軸と接続構造との接触が表面接触であることを確保するように、クランク軸の傾斜変形を回避する。
【0010】
また、本願にて提供される上記の圧縮機は、以下の付加的な技術的特徴をさらに有してもよい。
【0011】
上記技術的手段では、さらに、クランク軸と接続構造との間に隙間があり、クランク軸の軸線方向に沿って、回避部に対応する隙間は、接続構造の中央から離れる方向に向かって大きくなる。
【0012】
当該技術的手段では、クランク軸と接続構造との間に隙間があり、隙間内に潤滑油を分散させることができ、クランク軸の軸線方向に沿って、回避部に対応する隙間が接続構造の中央から離れる方向に向かって大きくなるため、これにより、クランク軸が傾斜して変形する時、徐々に大きくなる隙間がクランク軸に対して回避スペースを形成でき、クランク軸と接続構造との間の接触が表面接触となり、ひいては油膜の正常な作動を確保し、クランク軸と接続構造との間の摩耗を回避し、圧縮機の信頼性を向上させる。
【0013】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、圧縮機は、クランク軸の軸断面において、同一の軸方向高さでの、クランク軸の軸線の両側の隙間の和を、両側隙間として定義し、回避部に対応する両側隙間の最小値をδ0とし、回避部に対応する両側隙間の最大値とδ0との差をδとし、回避部に対応する両側隙間が最小となる部分に対応するクランク軸の直径をDとし、クランク軸の軸線方向に沿った回避部の長さをhとしたとき、δとδ0の商と、Dとhの商との積は、0.2以上5以下である。
【0014】
当該技術的手段では、回避部は、接続構造の中央から端部へ徐々に大きくなるため、回避部に対応する両側隙間は最小値と最大値とを有し、回避部に対応する両側隙間の最小値はδ0であり、回避部に対応する両側隙間の最大値とδ0との差はδであり、回避部に対応する両側隙間が最小となる部分に対応するクランク軸の直径はDであり、クランク軸の軸線方向に沿って、回避部の長さはhである。回避部に対応するサイズは、クランク軸と接続構造との摩擦改善効果に影響するため、δとδ0の商と、Dとhの商との積を、0.2以上5以下に設定し、この場合、回避部によるクランク軸と接続構造との間の摩擦改善効果が最もよい。
【0015】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、回避部は、クランク軸の軸線方向に沿って順番に接続された複数の回避セグメントを含み、ここで、少なくとも1つの回避セグメントは、δとδ0の商と、Dとhの商との積が0.2以上5以下を満たす。
【0016】
当該技術的手段では、回避部は、複数の回避セグメントを含み、複数の回避セグメントは、軸方向に沿って順番に接続され、複数の回避セグメントのうち少なくとも1つの回避セグメントのサイズは、上記δとδ0の商と、Dとhの商との積が0.2以上5以下となる関係式を満たす。
【0017】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、δとδ0の商と、Dとhの商との積は、0.5以上2.5以下である。
【0018】
当該技術的手段では、δとδ0の商と、Dとhの商との積が、0.5以上2.5以下に設定された場合、クランク軸と接続構造との間の摩擦を改善する効果はより良好である。
【0019】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、hは2mm以上20mm以下である。
【0020】
当該技術的手段では、回避部の軸方向高さhを2mm≦h≦20mmに設定することで、回避部の加工を容易にし、また、クランク軸と接続構造との間の摩耗を低減することに役立つ。
【0021】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、クランク軸の軸線方向に沿って、回避部の少なくとも一部に対応する隙間の大きさが線形的に変化する。
【0022】
当該技術的手段では、クランク軸の軸線方向に沿って、回避部の少なくとも一部に対応する隙間の大きさが線形的に変化し、すなわち、圧縮機のクランク軸の軸断面において、クランク軸の軸線方向に沿って、接続構造の中央から離れる方向に、隙間の径方向の大きさが比例関係で変化する。
【0023】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、回避部により形成された壁面は、テーパー面を含む。
【0024】
当該技術的手段では、回避部により形成された壁面はテーパー面を含み、これにより、クランク軸と接続構造との間の隙間を軸方向に沿って線形的に変化させ、また、回避部の加工を容易にする。
【0025】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、圧縮機は、クランク軸の軸断面において、接続構造の中央から離れる方向に沿って、回避部の少なくとも一部により形成された壁面の接線と、クランク軸の軸線に垂直な方向との間の鋭角が徐々に小さくなる。
【0026】
当該技術的手段では、クランク軸の軸線方向において、回避部の少なくとも一部により形成された壁面の接線が、接続構造の中央から離れる方向に沿って徐々に水平になる傾向があり、すなわち、回避部により形成された壁面の接線と、クランク軸の軸線に垂直な方向との鋭角が徐々に小さくなり、これにより、回避部とクランク軸の撓み変形の形状をより一致させ、摩耗改善効果をさらに向上させる。
【0027】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、回避部により形成された壁面は曲面を含む。
【0028】
当該技術的手段では、回避部により形成された壁面は曲面を含み、これにより、回避部に対応する隙間の変化とクランク軸の撓み変形の形状をより一致させ、摩耗改善効果をさらに向上させる。
【0029】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、クランク軸の軸線に垂直な断面において、回避部は環状である。
【0030】
当該技術的手段では、回避部は環状であり、環状の回避部が、クランク軸が傾斜変形した場合にクランク軸のあらゆる方向に対して良好な回避効果を生み出し、ひいてはあらゆる方向においてクランク軸と接続構造との間の摩耗改善効果を向上させることができ、すなわち、あらゆる方向において摩耗の程度を軽減することができる。
【0031】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、クランク軸は、同軸に設けられた第1の軸部及び第2の軸部を含む本体と、本体に接続された偏心部とを含み、本体と偏心部とは偏心して設けられている。
【0032】
当該技術的手段では、クランク軸は、第1の軸部及び第2の軸部を含む本体と、偏心部とを含み、第1の軸部はモータのロータに接続されて偏心部を回転させ、偏心部は、回転することにより圧縮機の吸排気のプロセスを実現する。
【0033】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、接続構造は、第1の軸部に嵌合された第1の軸受と、第2の軸部に嵌合された第2の軸受と、偏心部に嵌合されたピストンとを含む。
【0034】
当該技術的手段では、接続構造は、第1の軸部に嵌合された第1の軸受と、第2の軸部に嵌合された第2の軸受と、ピストンとを含み、第1の軸受と第2の軸受によりクランク軸を固定し、ピストンは偏心部に嵌合され、偏心部は、回転することによりピストンを移動させ、ひいては圧縮機の吸排気のプロセスを実現する。
【0035】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、回避部がクランク軸に設けられる場合、回避部は第1の軸部の第2の軸部に近い部分に設けられ、及び/又は、回避部は第1の軸部の第2の軸部から離れた部分に設けられ、及び/又は、回避部は偏心部の第1の軸受に近い一端に設けられ、及び/又は、回避部は偏心部の第2の軸受に近い一端に設けられ、及び/又は、回避部は第2の軸部の偏心部に近い一端に設けられる。
【0036】
当該技術的手段では、回避部がクランク軸に設けられる場合、回避部は、第1の軸部の第2の軸部に近い部分、第1の軸部の第2の軸部から離れた部分、偏心部の第1の軸受に近い一端、偏心部の第2の軸受に近い一端、第2の軸部の偏心部に近い一端のいずれか1つ又はその組み合わせに設けられる。
【0037】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、回避部が接続構造に設けられる場合、回避部は第1の軸受の第2の軸受に近い一端に設けられ、及び/又は、回避部は第1の軸受の第2の軸受から離れた一端に設けられ、及び/又は、回避部はピストンの第1の軸受に近い一端に設けられ、及び/又は、回避部はピストンの第2の軸受に近い一端に設けられ、及び/又は、回避部は第2の軸受の第1の軸受に近い一端に設けられる。
【0038】
当該技術的手段では、回避部が接続構造に設けられる場合、回避部は、第1の軸受の第2の軸受に近い一端、第1の軸受の第2の軸受から離れた一端、ピストンの第1の軸受に近い一端、ピストンの第2の軸受に近い一端、第2の軸受の第1の軸受に近い一端のいずれか1つ又はその組み合わせに設けられる。
【0039】
当然のことながら、回避部は、接続構造及びクランク軸に同時に設けられることもできる。
【0040】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、圧縮機は、シリンダキャビティを含むシリンダであって、ピストンがシリンダキャビティ内に設けられ、クランク軸がシリンダキャビティ内に挿設され、シリンダにベーン溝が設けられたシリンダと、ベーン溝内に設けられ、ピストンと転動可能に接続されたベーンと、第1の軸部に接続されたロータと、をさらに含む。
【0041】
当該技術的手段では、圧縮機はさらに、シリンダと、ベーンと、ロータとを含み、ロータは第1の軸部に接続され、シリンダはシリンダキャビティを有し、ピストンはシリンダキャビティ内に設けられ、またクランク軸はシリンダキャビティ内に挿設されている。シリンダにはベーン溝がさらに設けられ、ベーンはベーン溝内に設けられ、且つピストンと回転可能に接続され、圧縮機の吸排気のプロセスを実現する。
【0042】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、圧縮機は、インバータ圧縮機である。
【0043】
当該技術的手段では、圧縮機をインバータ圧縮機であり、接続構造又はクランク軸に回避部を設けることによりインバータ圧縮機の信頼性を向上させることができ、当然のことながら、圧縮機は定速圧縮機であってもよい。
【0044】
上記いずれかの技術的手段では、さらに、圧縮機内に冷媒が充填されており、冷媒はジフルオロメタン又はプロパンである。
【0045】
当該技術的手段では、圧縮機内に冷媒が充填されており、冷媒の吸熱、放熱プロセスにより冷凍装置の冷房又は暖房が実現され、具体的には、冷媒はジフルオロメタン又はプロパンであり、当然のことながら、冷媒は他の冷媒であってもよい。
【0046】
本願の第2の態様にてさらに提供される冷凍装置は、上記いずれかの技術的手段にて提供される圧縮機を含む。
【0047】
本願の第2の態様にて提供される冷凍装置は、上記いずれかの技術的手段にて提供される圧縮機を含むため、上記圧縮機の全ての有益な効果を有する。
【0048】
具体的には、冷凍装置は、パイプラインを介して圧縮機と連通する熱交換器を含み、冷媒はパイプラインを流れることができる。
【0049】
本願の付加的な態様及び利点は、以下の説明から明らかになり、又は本願を実施することで理解されるであろう。
【0050】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面と併せた実施例の説明から明らかになり、理解しやすくなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】関連技術における圧縮機の構造概略図を示す。
【
図2】関連技術における圧縮機のもう1つの構造概略図を示す。
【
図3】本願の一実施例に係るテーパー面の回避部の構造概略図を示す。
【
図4】本願の一実施例に係る回避部と最小油膜厚さとの間のグラフ関係図を示す。
【
図5】本願の一実施例に係るもう1つのテーパー面の回避部の構造概略図を示す。
【
図6】本願の一実施例に係る曲面の回避部の構造概略図を示す。
【
図7】本願の一実施例に係るもう1つの曲面の回避部の構造概略図を示す。
【
図8】本願の1つの具体的な実施例に係る圧縮機の構造概略図を示す。
【
図9】本願のもう1つの具体的な実施例に係る圧縮機の構造概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明確にするため、以下は図面及び具体的な実施形態を参照し、本願をより詳細に説明する。なお、矛盾がない場合、本願の実施例及び実施例の特徴は、相互に組み合わせることができる。
【0053】
以下の説明において多くの具体的な詳細を説明して本願を十分に理解するが、本願はまたここで説明した以外の他の形態を採用して実施することができ、したがって、本願の保護範囲は以下に開示された具体的な実施例に限定されるものではない。
【0054】
以下は
図3~
図9を参照して本願のいくつかの実施例に記載の圧縮機100及び冷凍装置について説明する。
【0055】
(実施例1)
図3に示すように、本願の一実施例によれば、本願は、クランク軸102及び接続構造104を含む圧縮機100を提供する。
【0056】
具体的には、接続構造104はクランク軸102に設けられ、接続構造104及び/又はクランク軸102には、接続構造104とクランク軸102との嵌合部分に位置し、接続構造104及びクランク軸102の少なくとも1つを回避するように配置される回避部106が設けられる。
【0057】
本願にて提供される圧縮機100は、クランク軸102と、クランク軸102に接続される接続構造104とを含み、接続構造104及び/又はクランク軸102には、接続構造104及びクランク軸102の少なくとも1つを回避するための回避部106が設けられ、回避部106の設置により、クランク軸102と接続構造104との間の隙間108が大きくなり、ひいてはクランク軸102が傾斜して変形する場合、回避部106が傾斜したクランク軸102を回避できるため、クランク軸102と接続構造104との接触が表面接触のように維持され、クランク軸102と接続構造104との間の油膜が破れないようにし、圧縮機100の信頼性を効果的に確保し、さらに、より細い軸径、より短い軸スリーブを採用することができ、圧縮機100の体積及びコストを削減し、クランク軸102と接続構造104との嵌合部分の摩擦損失を低減させ、圧縮機100の性能を向上させる。
【0058】
なお、回避部106は、接続構造104及びクランク軸102の少なくとも1つを回避し、すなわち、回避部106は、クランク軸102が傾斜した後、回避部106に対応する部分のクランク軸102と接続構造104との接触が表面接触であることを確保するように、クランク軸102の傾斜変形を回避する。
【0059】
具体的には、回避部106が設けられていない場合、クランク軸102が傾斜して変形する場合、クランク軸102と接続構造104との間の接触が線接触となり、一部の油膜が破れ、クランク軸102と接続構造104とが直接金属接触してしまい、摩耗を引き起こしやすくなり、回避部106が設けられた後、クランク軸102が傾斜して変形する場合、クランク軸102と接続構造104との間の接触が依然として表面接触であり、油膜の正常な作動を確保し、クランク軸102と接続構造104との間の摩耗の程度を軽減し、圧縮機100の信頼性を向上させる。
【0060】
具体的には、回避部106が接続構造104に設けられる場合、回避部106の形状は、対応する傾斜した後のクランク軸102の外側壁の形状と一致し、回避部106がクランク軸102に設けられる場合、クランク軸102が傾斜した後、回避部106の形状は接続構造104の内側壁の形状と一致する。
【0061】
具体的には、回避部106は、接続構造104の端部、及び/又は、クランク軸102の接続構造104の端部に対応する部分に設けられる。
【0062】
具体的には、回避部106は、接続構造104の端部の周方向、及び/又は、クランク軸102の接続構造の端部に対応する部分の周方向に設けられる。
【0063】
具体的には、回避部106が接続構造104に設けられる場合、回避部106の少なくとも一部は接続構造104の内側壁に位置する。
【0064】
(実施例2)
図3に示すように、本願の一実施例によれば、上記実施例で限定された特徴を含み、さらに、クランク軸102と接続構造104との間に隙間108があり、クランク軸102の軸線方向に沿って、回避部106に対応する隙間108が接続構造104の中央から離れる方向に向かって大きくなる。
【0065】
当該実施例では、クランク軸102と接続構造104との間に隙間108があり、隙間108内に潤滑油を分散させることができ、クランク軸102の軸線方向に沿って、回避部106に対応する隙間108が接続構造104の中央から離れる方向に向かって大きくなるため、これにより、クランク軸102が傾斜して変形する時、徐々に大きくなる隙間108がクランク軸102に対して回避スペースを形成でき、クランク軸102と接続構造104との間の接触が表面接触となり、ひいては油膜の正常な作動を確保し、クランク軸102と接続構造104との間の摩耗を回避し、圧縮機100の信頼性を向上させる。
【0066】
具体的には、接続構造104は、2つの端部と、2つの端部の間に配置された中央部とに分割されてもよい。回避部106に対応する隙間108は、クランク軸102が傾斜して変形する時の形状に適応するように、接続構造104の中央から離れる方向に徐々に大きくなっている。
【0067】
具体的には、回避部106が接続構造104に設けられる場合、回避部106は、接続構造104の端部に設けられ、クランク軸102の軸線方向において、接続構造104の中央から離れる方向に沿って、回避部106は、接続構造104の径方向外側に傾斜して設けられ、回避部106がクランク軸102に設けられる場合、回避部106は、クランク軸102の接続構造104の端部に対応する部分に位置し、クランク軸102の軸線方向において、接続構造104の中央から離れる方向に沿って、回避部106は、クランク軸102の軸線方向に傾斜している。
【0068】
(実施例3)
本願の一実施例によれば、上記実施例で限定された特徴を含み、さらに、圧縮機100は、クランク軸102の軸断面において、同一の軸方向高さでの、クランク軸102の軸線の両側の隙間108の和を、両側隙間108として定義したとき、回避部106に対応する両側隙間108の最小値はδ0であり、回避部106に対応する両側隙間108の最大値とδ0との差はδであり、回避部106に対応する両側隙間108が最小となる部分に対応するクランク軸102の直径はDであり、クランク軸102の軸線方向に沿って、回避部106の長さはhであり、ここで、δとδ0の商と、Dとhの商との積は、0.2以上5以下である。
【0069】
当該実施例では、回避部106は、接続構造104の中央から端部へ徐々に大きくなるため、回避部106に対応する両側隙間108は最小値と最大値とを有し、回避部106に対応する両側隙間108の最小値はδ0であり、回避部106に対応する両側隙間108の最大値とδ0との差はδであり、回避部106に対応する両側隙間108が最小となる部分に対応するクランク軸102の直径はDであり、クランク軸102の軸線方向に沿って、回避部106の長さはhであり、回避部106に対応するサイズは、クランク軸102と接続構造104との摩擦改善効果に影響するため、δとδ0の商と、Dとhの商との積を、0.2以上5以下に設定し、この場合、回避部106によるクランク軸102と接続構造104との間の摩擦改善効果が最もよい。
【0070】
具体的には、δ0/2は回避部106に対応する両側隙間108の半分であり、δ/2は回避部106に対応する両側隙間108の最大値とδ0との差の半分である。
【0071】
具体的には、同じ軸方向高さで、接続構造104の内側壁の直径とクランク軸102の直径との差は、両側隙間108である。
【0072】
さらに、δとδ0の商と、Dとhの商との積は、0.5以上2.5以下である。
【0073】
当該実施例では、δとδ0の商と、Dとhの商との積が、0.5以上2.5以下であるように設定される場合、クランク軸102と接続構造104との間の摩擦を改善する効果はより良好である。
【0074】
具体的には、
図4に示すように、
図4は、回避部106のサイズが最小油膜厚さに及ぼす影響のグラフであり、横軸は対数座標を採用し、クランク軸102と接続構造104との間の油膜運搬能力は、最小油膜厚さによって特徴付けることができ、最小油膜厚さが大きいほど、油膜運搬能力が強くなり、クランク軸102と接続構造104との間で摩耗する可能性が低くなる。
【0075】
さらに、hは2mm以上20mm以下である。
【0076】
当該実施例では、回避部106の軸方向高さhを2mm≦h≦20mmに設定することで、回避部106の加工を容易にし、また、クランク軸102と接続構造104との間の摩耗を低減することに役立つ。
【0077】
(実施例4)
図5及び
図7に示すように、本願の一実施例によれば、上記実施例で限定された特徴を含み、さらに、回避部106は、クランク軸102の軸線方向に沿って順番に接続された複数の回避セグメントを含み、ここで、少なくとも1つの回避セグメントは、δとδ
0の商と、Dとhの商との積が0.2以上5以下を満たす。
【0078】
当該実施例では、回避部106は複数の回避セグメントを含み、複数の回避セグメントは軸方向に沿って順番に接続され、複数の回避セグメントのうち少なくとも1つの回避セグメントのサイズは、上記δとδ0の商と、Dとhの商との積が0.2以上5以下となる関係式を満たす。
【0079】
なお、回避セグメントは、δとδ0の商と、Dとhの商との積が0.2以上5以下となる関係式を満たし、すなわち、回避セグメントに対応する両側隙間108の最小値をδ0とし、回避セグメントに対応する両側隙間108の最大値とδ0との差をδとし、回避セグメントに対応する両側隙間108が最小となる部分に対応するクランク軸102の直径をDとし、クランク軸102の軸線方向に沿って、回避セグメントの長さはhであり、回避セグメントに対応するδ、δ0、D及びhが上記限定された関係式を満たす。
【0080】
具体的には、クランク軸102の軸線方向に沿って、回避部106は接続構造104の端部に設けられ、複数の回避部の傾斜角度は同一でも異なっていてもよく、さらに、複数の回避部同士は滑らかに接続されている。
【0081】
(実施例5)
図3及び
図5に示すように、本願の一実施例によれば、上記いずれか1つの実施例で限定された特徴を含み、さらに、クランク軸102の軸線方向に沿って、回避部106の少なくとも一部に対応する隙間108の大きさが線形的に変化する。
【0082】
当該実施例では、クランク軸102の軸線方向に沿って、回避部106の少なくとも一部に対応する隙間108の大きさが線形的に変化し、すなわち、圧縮機100のクランク軸102の軸断面において、クランク軸102の軸線方向に沿って、接続構造104の中央から離れる方向から隙間108の径方向の大きさが比例関係で変化する。
【0083】
さらに、回避部106により形成される壁面は、テーパー面を含む。
【0084】
当該実施例では、回避部106により形成される壁面はテーパー面を含み、これにより、クランク軸102と接続構造104との間の隙間108を軸方向に沿って線形的に変化させ、また、回避部106の加工を容易にする。
【0085】
(実施例6)
図6及び
図7に示すように、本願の一実施例によれば、上記いずれか1つの実施例で限定された特徴を含み、さらに、圧縮機100は、クランク軸102の軸断面において、接続構造104の中央から離れる方向に沿って、回避部106の少なくとも一部により形成される壁面の接線と、クランク軸102の軸線に垂直な方向との間の鋭角が徐々に小さくなる。
【0086】
当該実施例では、クランク軸102の軸線方向において、回避部106の少なくとも一部により形成される壁面の接線が、接続構造104の中央から離れる方向に沿って徐々に水平になる傾向があり、すなわち、回避部106により形成される壁面の接線と、クランク軸102の軸線に垂直な方向との鋭角が徐々に小さくなり、これにより、回避部106とクランク軸102の撓み変形の形状をより一致させ、摩耗改善効果をさらに向上させる。
【0087】
具体的には、接続構造104の中央から離れる軸方向に向かって、回避部106に対応する隙間108の拡大速度は、徐々に速くなる。
【0088】
さらに、回避部106により形成される壁面は曲面を含む。
【0089】
当該実施例では、回避部が106により形成される壁面は曲面を含み、これにより、回避部106に対応する隙間108の変化とクランク軸102の撓み変形の形状をより一致させ、摩耗改善効果をさらに向上させる。
【0090】
図3に示すように、回避部106はクランク軸102に設けられ、回避部106はクランク軸102の直径の変化により実現され、すなわち、クランク軸102の回避部106が設けられた後の直径を小さくなるようにし、回避部106にクランク軸102がテーパー状に形成し、これにより、回避部106が設けられる部分、クランク軸102と接続構造104との間の隙間108が軸方向に沿って線形的に変化する。
【0091】
図5に示すように、回避部106は接続構造104に設けられ、回避部106は接続構造104の直径の変化により実現され、すなわち、接続構造104の内側壁の回避部106が設けられた後の直径を大きくなるようにし、回避部106に接続構造104の内側壁がテーパー状に形成し、これにより、回避部106が設けられる部分、クランク軸102と接続構造104との間の隙間108が軸方向に沿って線形的に変化する。
【0092】
図6及び
図7に示すように、クランク軸102の撓み変形が大きい場合、摩耗改善効果をさらに向上させるために、回避部106を曲面のように設置してもよく、移動ペアの中央から離れる軸方向(接続構造104の中央から離れる方向)に向かって、回避部106に対応する隙間108の拡大速度を徐々に速くなるようにし、すなわち、回避部106の接線とクランク軸102の軸線とが徐々に平行になり、回避部106に対応する隙間108の変化をクランク軸102の撓み変形の形状により一致させることができ、摩耗改善効果をさらに向上させる。
【0093】
具体的には、クランク軸102及び接続構造104に同時に回避部106を設けることができる。回避部106により形成される壁面はテーパー面及び曲面を含む。
【0094】
(実施例7)
本願の一実施例によれば、上記いずれか1つの実施例で限定された特徴を含み、さらに、クランク軸102の軸線に垂直な断面において、回避部106は環状である。
【0095】
当該実施例では、回避部106は環状であり、環状の回避部106が、クランク軸102が傾斜変形した場合にクランク軸102のあらゆる方向に対して良好な回避効果を生み出し、ひいてはあらゆる方向においてクランク軸102と接続構造104との間の摩耗改善効果を向上させることができ、すなわち、あらゆる方向において摩耗の程度を軽減することができる。
【0096】
(実施例8)
図8及び
図9に示すように、本願の一実施例によれば、上記いずれか1つの実施例で限定された特徴を含み、さらに、クランク軸102は、同軸に設けられた第1の軸部1020及び第2の軸部1022を含む本体と、本体に接続された偏心部1024とを含み、本体と偏心部1024とは偏心して設けられる。
【0097】
当該実施例では、クランク軸102は、第1の軸部1020及び第2の軸部1022を含む本体と、偏心部1024とを含み、第1の軸部1020はモータのロータ114に接続されて偏心部1024を回転させ、偏心部1024は、回転することにより圧縮機100の吸排気のプロセスを実現する。
【0098】
さらに、接続構造104は、第1の軸部1020に嵌合される第1の軸受1040と、第2の軸部1022に嵌合される第2の軸受1042と、偏心部1024に嵌合されるピストン1044とを含む。
【0099】
当該実施例では、接続構造104は、第1の軸部1020に嵌合される第1の軸受1040と、第2の軸部1022に嵌合される第2の軸受1042と、ピストン1044とを含み、第1の軸受1040と第2の軸受1042によりクランク軸102を固定し、ピストン1044は偏心部1024に嵌合され、偏心部1024は、回転することによりピストン1044を移動させ、ひいては圧縮機100の吸排気のプロセスを実現する。
【0100】
さらに、回避部106がクランク軸102に設けられた場合に、回避部106は第1の軸部1020の第2の軸部1022に近い部分に設けられ、及び/又は、回避部106は第1の軸部1020の第2の軸部1022から離れた部分に設けられ、及び/又は、回避部106は偏心部1024の第1の軸受1040に近い一端に設けられ、及び/又は、回避部106は偏心部1024の第2の軸受1042に近い一端に設けられ、及び/又は、回避部106は第2の軸部1022の偏心部に近い一端に設けられる。
【0101】
当該実施例では、回避部106がクランク軸102に設けられる場合、回避部106は第1の軸部1020の第2の軸部1022に近い部分、第1の軸部1020の第2の軸部1022から離れた部分、偏心部1024の第1の軸受1040に近い一端、偏心部1024の第2の軸受1042に近い一端、第2の軸部1022の偏心部1024に近い一端のいずれか1つ又はその組み合わせに設けられる。
【0102】
さらに、回避部106が接続構造104に設けられた場合に、回避部106は第1の軸受1040の第2の軸受1042に近い一端に設けられ、及び/又は、回避部106は第1の軸受1040の第2の軸受1042から離れた一端に設けられ、及び/又は、回避部106はピストン1044の第1の軸受1040に近い一端に設けられ、及び/又は、回避部106はピストン1044の第2の軸受1042に近い一端に設けられ、及び/又は、回避部106は第2の軸受1042の第1の軸受1040に近い一端に設けられる。
【0103】
当該実施例では、回避部106が接続構造104に設けられる場合、回避部106は、第1の軸受1040の第2の軸受1042に近い一端、第1の軸受1040の第2の軸受1042から離れた一端、ピストン1044の第1の軸受1040に近い一端、ピストン1044の第2の軸受1042に近い一端、第2の軸受1042の第1の軸受1040に近い一端のいずれか1つ又はその組み合わせに設けられる。
【0104】
当然のことながら、回避部106は、接続構造104及びクランク軸102に同時に設けられることもできる。
【0105】
さらに、圧縮機100はさらに、シリンダキャビティを含むシリンダ110であって、ピストン1044がシリンダキャビティ内に設けられ、クランク軸102がシリンダキャビティ内に挿設され、シリンダ110にベーン112の溝が設けられるシリンダと、ベーン112の溝内に設けられ、ピストン1044と転動可能に接続されるベーン112と、第1の軸部1020に接続されるロータ114とを含む。
【0106】
当該実施例では、圧縮機100はさらに、シリンダ110と、ベーン112と、ロータ114とを含み、ロータ114は第1の軸部1020に接続され、シリンダ110はシリンダキャビティを有し、ピストン1044はシリンダキャビティ内に設けられ、またクランク軸102はシリンダキャビティ内に挿設される。シリンダ110にはベーン112の溝がさらに設けられ、ベーン112はベーン112の溝内に設けられ、且つピストン1044と回転可能に接続され、圧縮機100の吸排気のプロセスを実現する。
【0107】
さらに、圧縮機100は、インバータ圧縮機である。
【0108】
当該実施例では、圧縮機100はインバータ圧縮機であり、接続構造104又はクランク軸102に回避部106を設けることによりインバータ圧縮機の信頼性を向上させることができ、当然のことながら、圧縮機100は定速圧縮機であってもよい。
【0109】
さらに、圧縮機100内に冷媒が充填されており、冷媒はジフルオロメタン又はプロパンである。
【0110】
当該実施例では、圧縮機100内に冷媒が充填されており、冷媒の吸熱、放熱プロセスにより冷凍装置の冷房又は暖房が実現され、具体的には、冷媒はジフルオロメタン又はプロパンであり、当然のことながら、冷媒は他の冷媒であってもよい。
【0111】
(実施例9)
本願の1つの具体的な実施例によれば、
図8及び
図9に示すように、圧縮機100は、クランク軸102、第1の軸受1040、第2の軸受1042、シリンダ110、ピストン1044、ベーン112、及びロータ114に設けられたバランスブロック116などの部材を含み、上記部材は吸気キャビティ及び圧縮キャビティを形成し、モータのロータ114がクランク軸102を回転させることにより、吸気キャビティの容積を増大させ、圧縮キャビティの容積を減らし、吸排気のプロセスを実現する。クランク軸102は、第1の軸部1020と、第2の軸部1022と、偏心部1024とを含み、第1の軸部1020と第1の軸受1040、第2の軸部1022と第2の軸受1042、偏心部1024とピストン1044は、それぞれ3つのスライド軸受を形成し、スライド軸受の軸部(第1の軸部1020、第2の軸部1022又は偏心軸)と接続構造104(第1の軸受1040、第2の軸受1042又はピストン1044)との間には隙間108があり、通常運転時に潤滑油が満たされる。上記3つのスライド軸受は異常摩耗が多発する。具体的には、ロータ114の回転時に発生する遠心力と、モータ自体の磁気引張力とにより、ロータ114の中央がモータの軸線からずれて振れが発生し、これに応じて、クランク軸102の上端が撓み変形して、クランク軸102の第1の軸部1020と第1の軸受1040の上端が線接触し、油膜の一部が破れ、クランク軸102の第1の軸部1020と第1の軸受1040とが直接金属接触してしまい、摩耗が発生する。同様に、クランク軸102の偏心軸が吸気キャビティ及び圧縮キャビティのガス力によって撓み変形し、第1の軸部1020と第1の軸受1040の下縁、第2の軸部1022と第2の軸受1042の上縁、偏心軸とピストン1044の上下縁が直接金属接触して異常摩耗を招くおそれがある。このため、クランク軸102の傾斜変形のため、各スライド軸受の縁に通常の油膜を形成することは困難であり、それによって局部的な金属接触が発生して摩耗を招く。
図3に示すように、本願にて提供される実施例では、接続構造104又はクランク軸102と接続構造104との嵌合部分に回避部106が設けられ、接続構造104とクランク軸102との間に隙間108があり、回避部106に対応する接続構造104とクランク軸102部分との隙間108が移動ペアの中央から離れる軸方向に向かって大きくなるため、これにより、クランク軸102が撓み変形した後、元の金属接触部位は依然として表面接触を維持することができ、通常の油膜が確立され、それによって摩耗を回避し、圧縮機100の信頼性を大幅に向上させる。
【0112】
具体的には、クランク軸102又は接続構造104に旋削などにより一部を削除して回避部106を形成したり、クランク軸102とクランク軸102に設けられた回避部106とを一体に製造したり、接続構造104と接続構造104に設けられた回避部106とを一体に製造したりすることができる。
【0113】
具体的には、回避部106に対応する両側隙間108の最小値はδ
0であり、回避部106に対応する両側隙間108の最大値とδ
0との差はδであり、回避部106に対応する両側隙間108が最小となる部分に対応するクランク軸102の直径はDであり、クランク軸102の軸線方向に沿って、回避部106の長さはhであり、δとδ
0の商と、Dとhの商との積は、0.2以上5以下である。
図4に示されるのは、スライド軸受の回避部106のサイズが最小油膜厚さに及ぼす影響のグラフであり、横軸は対数座標を採用し、スライド軸受の油膜運搬能力は、最小油膜厚さによって特徴付けることができ、最小油膜厚さが大きいほど、油膜運搬能力が強くなり、スライド軸受が摩耗しにくくなり、
図4から分かるように、回避部106のサイズは、δとδ
0の商と、Dとhの商との積は、0.2以上5以下となる関係式を満たす場合、摩耗改善効果が最もよい。
【0114】
さらに、δとδ0の商と、Dとhの商との積は、0.5以上2.5以下であり、hは2mm以上20mm以下である。
【0115】
(実施例10)
図8に示すように、本願の1つの具体的な実施例によれば、本願にて提供される圧縮機100は、第1の軸部1020、第2の軸部1022、及び偏心部1024を含むクランク軸102と、第1の軸部1020に嵌合される第1の軸受1040、第2の軸部1022に嵌合される第2の軸受1042、及び偏心部1024に嵌合されるピストン1044を含む接続構造104とを含む。本実施例では、回避部106は、クランク軸102に設けられ、具体的には、第1の軸部1020の第1の軸受1040の上端と下端に対応する部分、第2の軸部1022の第2の軸受1042の上端に対応する部分、及び偏心軸のピストン1044の上端と下端に対応する部分のそれぞれに回避部106が設けられ、回避部106の形状はテーパー面であり、いずれの回避部106の具体的なサイズも、δとδ
0の商と、Dとhの商との積が0.2以上5以下であることを満たす。ここで、
図8のh1、h2、h3、h4、h5は、それぞれ回避部106の軸方向高さである。
【0116】
(実施例11)
図9に示すように、本願の1つの具体的な実施例によれば、本願にて提供される圧縮機100は、第1の軸部1020、第2の軸部1022、及び偏心部1024を含むクランク軸102と、第1の軸部1020に嵌合される第1の軸受1040、第2の軸部1022に嵌合される第2の軸受1042、及び偏心部1024に嵌合されるピストン1044を含む接続構造104とを含む。本実施例では、回避部106は、接続構造104に設けられ、具体的には、回避部106は第1の軸受1040の上端と下端、第2の軸受1042の上端、及びピストン1044の上端と下端に設けられ、回避部106の形状は曲面であり、いずれの回避部106の具体的なサイズも、δとδ
0の商と、Dとhの商との積が0.2以上5以下であることを満たす。ここで、
図9のh1、h2、h3、h4、h5は、それぞれ回避部106の軸方向高さである。
【0117】
(実施例12)
本願の第2の態様にてさらに提供される冷凍装置は、上記いずれかの実施例にて提供される圧縮機100を含む。
【0118】
本願の第2の態様にて提供される冷凍装置は、上記いずれかの実施例にて提供される圧縮機100を含むため、圧縮機100の全ての有益な効果を有する。
【0119】
具体的には、冷凍装置は、パイプラインを介して圧縮機100と連通する熱交換器を含み、冷媒はパイプラインを流れることができる。
【0120】
なお、本願では、「複数」とは、特に明記しない限り、2つ以上を意味する。用語「取り付け」、「連結」、「接続」及び「固定」などは、広い意味で理解されるべきであり、例えば、「接続」は、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体接続であってもよく、「連結」は、直接連結又は仲介者を介して間接的に連結されてもよい。当業者にとって、本願における上記の用語の特定の意味は、特定の状況に応じて理解することができる。
【0121】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「具体的な実施例」などの用語の説明は、当該実施例や例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例や例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語に対する概略的な説明は、必ずしも同じ実施例や例を指すとは限らない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例や例において適切な方式で組み合わせることができる。
【0122】
上記は、本願の好ましい実施例にすぎず、本願を限定するために使用されるものではない。当業者にとって、本願は、様々な修正及び変更を行うことができる。本願の精神と原則内で行われる任意の修正、同等の置換、及び改善などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0123】
図1及び
図2における符号と部材名称との対応関係は、以下のとおりである。
100’…圧縮機、102’…クランク軸、1020’…主軸部、1022’…副軸部、1024’…偏心部、104’…主軸受、106’…二次軸受、108’…シリンダ、110’…ロータ、112’…バランスブロック、114’…ピストン。
【0124】
図3~
図9における符号と部材名称との対応関係は、以下のとおりである。
100…圧縮機、102…クランク軸、1020…第1の軸部、1022…第2の軸部、1024…偏心部、104…接続構造、1040…第1の軸受、1042…第2の軸受、1044…ピストン、106…回避部、108…隙間、110…シリンダ、112…ベーン、114…ロータ、116…バランスブロック。
【国際調査報告】