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特表2022-535396ポリマー及びそのポリマーを含む化粧品組成物
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  • 特表-ポリマー及びそのポリマーを含む化粧品組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(54)【発明の名称】ポリマー及びそのポリマーを含む化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/34 20060101AFI20220801BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220801BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220801BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
C08F220/34
A61Q19/00
A61Q17/04
A61K8/81
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571700
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(85)【翻訳文提出日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2020064506
(87)【国際公開番号】W WO2020244960
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/090001
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】19183810.1
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ラホルカー,プラフル・グラブ・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シーヨン
(72)【発明者】
【氏名】ペルマル,ラージクマール
(72)【発明者】
【氏名】シー,シェンユイ
(72)【発明者】
【氏名】バイドヤ,アシシュ・アナント
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,チェンジー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シャオシア
【テーマコード(参考)】
4C083
4J100
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC212
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC301
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC471
4C083AC532
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD091
4C083AD152
4C083AD411
4C083AD532
4C083AD631
4C083BB46
4C083CC03
4C083CC19
4C083DD31
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE16
4C083EE17
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100BA05Q
4J100BA08Q
4J100BA11H
4J100BA11P
4J100BA15H
4J100BA22P
4J100BA31P
4J100BA38P
4J100BA42P
4J100BA51H
4J100BC04H
4J100BC04P
4J100BC23H
4J100BC53P
4J100BC73P
4J100CA04
4J100CA31
4J100DA61
4J100DA71
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA35
4J100HA61
4J100HC09
4J100HC85
4J100JA61
(57)【要約】
本発明は、式Iのポリマー、式Iのポリマーを含む化粧品組成物、式Iのポリマーの合成方法;ならびに光応答的に利益を提供するための式Iのポリマーの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iによるポリマー。
【化1】
[式中、
R=R=H又は1~2個の範囲の炭素原子であり、
=R=H又は1~5個の範囲の炭素原子であり、
A=L-PR-L-Bであり、
ここで、L=-R-NH-COO-R-R又は-R-COO-R-Rであり、
ここで、Rは、1~6個の範囲の炭素原子であり、
は、1~4個の範囲の炭素原子であり、
は、硫黄であるか、又は、Rは-CH-CH-N(CH-CH)-に連結されたトリアジンであり、
PRは、光応答性物質であり、
は、カーボネート連結基であり、
Bは、有益剤であり、
はAであり、又は、Rは、-[CH-CH-O-]、-[CH-CH(R)-O-]及びそれらの混合物から選択される基であり、ここで、xは1~10の範囲であり、
m=1~10,000;及びn=1~10,000であり;そして
前記光応答性物質は、クマリン化合物及びヒドロキノン化合物からなる群から選択される。]
【請求項2】
又はRが、独立に1~2個の範囲の炭素原子である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
=-[CH-CH-O-]であり、ここで、xが1~5の範囲にある、請求項1又は2のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項4】
Lが、-R-NH-COO-CH-トリアジン-CH-CH-N(CH-CH)-である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項5】
前記有益剤が、冷却剤、香料、抗菌化合物及びそれらの混合物から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項6】
ポリマーが、
【化2】
である、式Iによるポリマー。
【請求項7】
ポリマーが、
【化3】
である式Iによるポリマー。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のポリマーを含む化粧品組成物。
【請求項9】
前記組成物がさらに、0.01~10重量%のUVA有機日焼け止めを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物がさらに、0.01~10重量%のUVB有機日焼け止めを含む、請求項8又は9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物がさらに、ナイアシンアミド、ビタミンB、12-ヒドロキシステアリン酸、グルタチオン前駆体、ガラルジン、4-アルキル置換レゾルシノール及びそれらの混合物からなる群から選択される美白剤を含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物がさらに、4~25重量%の脂肪酸を含む、請求項8~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記前記組成物がさらに、0.1~10重量%の石鹸を含む、請求項8~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
光応答的に皮膚に利益を提供するための組成物中における、式Iによるポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー及びそのポリマーを含む化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人々は、健康的なライフスタイルを楽しみたくて、しばしば自分自身と自分の体表面、例えば皮膚、毛髪を含む頭皮、腋窩、口腔のケアをしようとすることが多い。人々が望む傾向がある利点のいくつかには、健康で感染のない皮膚、ムラのない皮膚の色調、十分な保湿、及び日光に含まれる紫外線からの保護を含む。
【0003】
皮膚は生物の最外の保護カバーであり、体の中で最大の器官である。それは障壁として機能し、体を外部因子、例えば埃、汚れ、汚染及び日光に含まれる紫外線から保護する。皮膚はまた、有害又は潜在的に有害な微生物、例えば細菌、真菌及びウイルスが身体に侵入するのを防ぎ、それによって引き起こされ得る感染及び/又は他の病的影響を防ぐのに役立つ。しかし、最外で覆っているため、皮膚は常に前述の1以上の因子にさらされている。その結果、皮膚は1以上の状態、例えば乾燥、皺、弛緩した/垂れ下がった皮膚、染み、赤く炎症を起こした皮膚、肝斑、そばかす及び色素沈着の増加を発症しやすく、これにより、あまり好ましくない皮膚の色調ムラが生じ得る。
【0004】
そのような状態の発生を減らす方法の一つは、そのような状態を引き起こす因子への曝露を避けることである。しかしながら、多くの場合、因子、例えば日光への曝露を回避することは困難であり、時には不可避である。これらのような理由のために、消費者は、体の表面、例えば皮膚に適用されたときに、保湿、老化防止及び美白のような効果をもたらす有益剤を含む化粧品組成物に依存する傾向がある。
【0005】
しかしながら、すべてではないにしても多くのこれらの有益剤は、比較的短い貯蔵寿命を有し、及び/又は人の体の表面、例えば皮膚に適用された後、短い時間内に費やされてしまう傾向がある。したがって、有益剤は、それらが最も必要なときに利用できないか、利用できる量及び/又は活性が減少している傾向があり、そのために提供される効果が低下する。
【0006】
有益剤が最も必要とされる時にそれを利用可能とする技術がいくつか当業界で知られており、例えば、有益剤のカプセル化及び光応答性放出、すなわち、光への曝露に応答した有益剤の放出などがある。
【0007】
WO2012104262(Universidad de Sevilla)は、少なくとも一つの日焼け止め剤を含む1以上の第1の区画と、前記日焼け止め剤用の溶媒又は溶媒混合物を含むが前記第1の区画に存在する日焼け止め剤を実質的に全く含まない1以上の第2の区画を含む光応答性マイクロカプセルであって、前記第1の区画と前記第2の区画との間の境界が、有効量の紫外線及び/又は可視スペクトルの放射に曝露されると、前記日焼け止め及び/又は前記溶媒若しくは溶媒混合物に対して少なくとも部分的に透過性となる光応答性マイクロカプセルを開示している。さらなる主題は、当該マイクロカプセルを含む化粧品及び皮膚科組成物、当該マイクロカプセル及び組成物の製造方法、ならびに前記組成物を用いて皮膚及び/又は毛髪を紫外線から保護するための美容的及び皮膚科的方法に関する。
【0008】
US20050020459(Stowell)は、洗浄目的又は局所投与に使用される担体溶液と、分子内光転位を受けて芳香を放出することができる非芳香性光応答剤とを含む香料組成物を開示している。光応答性香料組成物は、光転位前の第1の芳香剤、光転位及び放出された芳香剤、前記第1及び前記第2の薬剤の組み合わせ、又は公知の芳香剤と組み合わせた上記のいずれかの剤を含み得る。
【0009】
WO1999007336(カリフォルニア工科大学)は、局所投与用の担体と、分子内光転位を受けて第2の日焼け止め剤を形成することができる光応答性の第1の日焼け止め剤とを含む日焼け止め組成物を開示している。第2の日焼け止め剤は、第1の日焼け止め剤よりも多くの紫外線を吸収する。日焼け止め組成物は、光転位前の第1の日焼け止め剤、光転位した第2の日焼け止め剤、第1及び第2の日焼け止め剤の組み合わせ、又は公知の日焼け止め剤と組み合わせた上記のいずれかを含み得る。
【0010】
US6956013(P&G)は、特定の式を有する光活性化プロアコードコンジュゲートを開示しており、[PHOTO]は、電磁放射線に曝露されるとプロアコード単位を放出することができる光解離性単位であり;Xは、酸素、窒素、硫黄から選択されるヘテロ原子であり;R及びRは、一緒になると、アルデヒド又はケトンの香料原料を含む部分であり;Rは、香料原料のアルコール、アミン又はチオ化合物を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2012104262
【特許文献2】US20050020459
【特許文献3】WO1999007336
【特許文献4】US6956013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、カプセル化の技術には、例えば、そのようなカプセルを含む組成物の輸送及び/又は取り扱い時の機械的力による破損をカプセルが受けやすい等の欠点がある傾向がある。有益剤の光応答性放出の場合、先行技術は、有益剤又は他の化学物質と形成されたそれらの複合体が分子内転位を受けることを示している。これらの有益な薬剤それ自体、又は他の化学物質と形成されたそれらの複合体は小分子であることが多く、それらは良好な経皮送達(TDD)を示し、皮膚に容易に吸収される傾向がある。たとえば、有益剤、例えばメントールが消費者の皮膚に適用される場合、それは冷却効果をもたらす。しかしながら、このような冷却効果は、その時点で必要か否かとは無関係に得られるものである。さらに、メントールは、経皮送達の文脈で知られている浸透促進剤である(Wangら;2017,Int.J.Mol.Sci.18(12)2747)。
【0013】
いずれにせよ、有益剤は利用できないままであるか、それが最も必要とされるときに少ない量及び/又は低い活性で利用可能な状態のままであるため、消費者に提供される利益は少ないものである。
【0014】
したがって、最も必要とされるときに利益を提供するのに利益剤が利用可能であり続けられるようにするため、この問題の解決策を提供する必要がある。さらに、消費者に最大の利益を提供するために、利益剤が期待される量/活性で利用可能であり続けられるように解決策を提供する必要が存在する。
【0015】
このたび、光に曝露されると有益剤を放出する光吸収部分とともに有益剤が化学的に結合している新規ポリマーが発見された。そのポリマーは、その構造のおかげで、経皮送達に抵抗し、皮膚に容易に吸収されないことで、最も必要とされるときに利用可能であることで利益を提供できる状態に維持される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様において、本発明は、下記式Iによるポリマーに関し、
【化1】
【0017】
式中、
R=R=H又は1~2個の範囲の炭素原子であり、
=R=H又は1~5個の範囲の炭素原子であり、
A=L-PR-L-Bであり、
ここで、L=-R-NH-COO-R-R又は-R-COO-R-Rであり、
ここで、Rは、1~6個の範囲の炭素原子であり、
は、1~4個の範囲の炭素原子であり、
は、硫黄であるか、又は、Rは-CH-CH-N(CH-CH)-に連結されたトリアジンであり、
PRは、光応答性物質であり、
は、カーボネート連結基であり、
Bは、有益剤であり、
はAであり、又は、Rは、-[CH-CH-O-]、-[CH-CH(R)-O-]及びそれらの混合物から選択される基であり、ここで、xは1~10の範囲であり、
m=1~10,000;及びn=1~10,000であり;
ここで、前記光応答性物質は、クマリン化合物及びヒドロキノン化合物からなる群から選択される。
【0018】
第2の態様において、本発明は、式Iによるポリマーを含む化粧品組成物に関する。
【0019】
第3の態様において、本発明は、光応答的に皮膚に利益を提供するための組成物での式Iによるポリマーの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】メントールの光応答放出での得られたピーク面積測定値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の1態様の任意の特徴を、本発明の他の任意の態様で利用することができる。「含む(comprising)」という言葉は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「構成されている(composed of)」とは限らない。言い換えれば、列記された段階又は選択肢は網羅的である必要はない。動作例及び比較例を除いて、又は別断で明瞭に示されている場合を除き、材料の量又は反応条件、材料の物性、及び/又は使用を示す本説明における全ての数字は、「約」という単語によって修飾されているものと理解されるべきである。「x~y」の形式で表される数値範囲は、x及びyを含むものと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「x~y」の形式で記述される場合、異なるエンドポイントを組み合わせた全ての範囲も想到されることは明らかである。別断の断りがない限り、本明細書で使用される量は、組成物の総重量に基づく重量パーセントで表され、「重量%」と略される。ありとあらゆる例又は例示的な言語、例えば本明細書で提供される「のような(such as)」の使用は、単に本発明をより良く説明することを意図しているものであり、他の形で特許請求される本発明の範囲をいかなる形でも制限するものではない。
【0022】
本発明によるポリマー
本発明によるポリマーは、下記式Iのポリマーであり、
【化2】
【0023】
式中、
Rは、H又は1~2個の範囲の炭素原子であり、好ましくは、RはH原子であり、
は、H又は1~2個の範囲の炭素原子であり、好ましくは、RはH原子であり、
は、H又は1~5個の範囲の炭素原子であり、好ましくは、Rは、1~2個の範囲の炭素原子であり、
は、H又は1~5個の範囲の炭素原子であり、好ましくは、Rは、1~2個の範囲の炭素原子であり、
Aは、L-PR-L-Bであり、
ここで、Lは-R-NH-COO-R-R又は-R-COO-R-Rであり、好ましくは、Lは-R-NH-COO-R-Rであり、
ここで、Rは、1~6個の範囲の炭素原子であり、
は、1~4個の範囲の炭素原子であり、
は硫黄であり、又は、Rは-CH-CH-N(CH-CH)-に連結されたトリアジンであり、
PRは、クマリン化合物及びハイドロキノン化合物からなる群から選択される光応答性物質である。好ましくは、前記光応答性物質はクマリン化合物である。クマリン化合物及びヒドロキノン化合物の両方とも、置換されているか置換されていないことができる。
【0024】
は、炭酸塩リンカーであり、
Bは、好ましくは、冷却剤、香料、抗菌剤、及びそれらの混合物から選択される有益剤である。有益剤として使用可能な冷却剤の好ましい例には、メントールを含む。有益剤として使用され得る芳香剤の好ましい例には、サンタロール、リナロール、ネロール、シトロネラールを含む。有益剤として使用され得る抗菌剤の好ましい例には、チモール及びテルピネオールを含む。
【0025】
は、Aであり;又は、Rは、-[CH-CH-O-]、-[CH-CH(R)-O-]及びそれらの混合物から選択される基であり、ここで、xは、1~10の範囲であり、好ましくは、xは、1~5の範囲である。
【0026】
m=1~10,000、好ましくは1~5,000、より好ましくは1~1000であり;
n=1~10,000、好ましくは1~5,000、より好ましくは1~1,000である。
【0027】
本発明による組成物(当該組成物)は、本発明によるポリマーを含む化粧品組成物である。
【0028】
当該組成物は、好ましくは、0.001~10重量%、より好ましくは0.01~8重量%、さらにより好ましくは0.1~6重量%、さらにより好ましくは0.1~4重量%、さらにより好ましくは1~3重量%の本発明によるポリマーを含む。
【0029】
好ましくは、当該組成物は、UVA線を吸収し、それらが表面、例えば使用者の皮膚に到達するのを防ぐUVA有機日焼け止めをさらに含む。
【0030】
当該組成物で使用できるUVA有機日焼け止めの例には、ジベンゾイルメタン化合物、ビスジスリゾール二ナトリウム(Neo Heliopan(登録商標) APとして市販)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(Uvinul(登録商標) A Plusとして市販)、エカムスル(Mexoryl SXとして市販)及びアントラニル酸メチル、そしてさらには水溶性日焼け止め類、例えばベンゾフェノン-4、ビスジスリゾール二ナトリウム及び二ナトリウムフェニルdoベンズイミダゾールテトラスルホネートを含む。
【0031】
好ましくは、当該組成物においてUVA日焼け止めとして使用され得るUVA有機日焼け止めは、ジベンゾイルメタン化合物から選択される。
【0032】
組成物中のUVA有機日焼け止めとして使用できるジベンゾイルメタン化合物の日焼け止めの例には、4-tert-ブチル-4′-メトキシジベンゾイルメタン(BMDM;Parsol(登録商標)1789又はアボベンゾンとして市販)、2-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイル-メタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4′-ジイソプロピル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4′-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4′-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4′-メトキシジベンゾイルメタン又は2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4′-メトキシ-ジベンゾイルメタンを含む。
【0033】
最も好ましくは、UVA有機日焼け止めとして使用できるジベンゾイルメタン化合物はBMDMである。
【0034】
組成物に組み込まれる場合、UVA有機日焼け止めは、組成物に、好ましくは0.01~10重量%、より好ましくは0.1~7重量%、さらにより好ましくは1~5重量%、さらにより好ましくは1~3.5重量%であり、さらにより好ましくは1~3重量%、さらにより好ましくは1~2.5重量%組み込まれていても良い。
【0035】
好ましくは、当該組成物は、UVB線を吸収し、それが表面、例えば使用者の皮膚に到達するのを防ぐUVB有機日焼け止めをさらに含む。
【0036】
当該組成物で使用できるUVB有機日焼け止めの例には、桂皮酸、サリチル酸、ジフェニルアクリル酸及びそれらの誘導体の種類からの化合物を含む。このような化合物の例には、サリチル酸2-エチルヘキシル(Octisalate(商標名)として市販)、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(Homosalate(商標名)として市販)、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(NeoHelipan(登録商標) AVとして市販)、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(OCR;Octocrylene(商標名)として市販)、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(Oxybenzone(商標名)として市販)、4-メトキシケイ皮酸2-エチル-ヘキシル(MCX;Parsol MCX(商標名)として市販)及びそれらの混合物を含む。水溶性UVB有機日焼け止めの例には、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸を含む。
【0037】
好ましくは、当該組成物で使用され得るUVB有機日焼け止めは、OCR、MCX及びそれらの混合物から選択される。
【0038】
当該組成物に組み込まれる場合、UVB有機日焼け止めは、組成物中に、好ましくは0.01~10重量%、より好ましくは0.1~7重量%、さらにより好ましくは1~5重量%、さらにより好ましくは1~3.5重量%、さらにより好ましくは1~3重量%、さらにより好ましくは1~2.5重量%組み込まれていても良い。
【0039】
好ましくは、当該組成物はさらに、1以上の美白剤を含む。これらの美白剤は、ナイアシンアミド、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンA、グルタチオン前駆体、レゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、4-アルキル置換レゾルシノール、例えばブチルレゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、グラブリジン、ガラルジン、アダパレン、アロエ抽出物、乳酸アンモニウム、アルブチン、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、クエン酸エステル、デオキシアルブチン、1,3-ジフェニルプロパン誘導体、2,5-ジヒドロキシ安息香酸及びそれの誘導体、2-(4-アセトキシフェニル)-1,3-ジチアン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジチアン、エラグ酸、グルコピラノシル-1-アスコルビン酸、グルコン酸、グリコール酸、緑茶抽出物、4-ヒドロキシ-5-メチル-3[2H]-フラノン、4-ヒドロキシアニソール及びそれの誘導体、4-ヒドロキシ安息香酸誘導体、ヒドロキシカプリル酸、アスコルビン酸イノシトール、乳酸、レモン抽出物、リノール酸、リン酸マグネシウムアスコルビル、5-オクタノイルサリチル酸、サリチル酸、3,4,5-トリヒドロキシベンジル誘導体、アセチルグルコサミン、ピテラ抽出物、シンホワイト、パントテン酸カルシウム(メラノブロック)、セピホワイト、大豆抽出物(ボーマンビルク阻害剤)、12-ヒドロキシステアリン酸及びそれらの混合物から選択することができる。当該組成物で使用される場合、12-ヒドロキシステアリン酸は、皮膚美白剤として使用され、脂肪酸としては使用されない。
【0040】
好ましくは、組成物において使用され得る美白剤は、ナイアシンアミド、ビタミンB6、12-ヒドロキシステアリン酸、グルタチオン前駆体、ガラルジン、4-アルキル置換レゾルシノール及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0041】
4-アルキル置換レゾルシノールにおけるアルキル基は、直鎖アルキル又は分枝アルキルであり得る。例えば、アルキル基は、4-プロピルレゾルシノールの場合のように直鎖アルキルであることができ、又はそれは、4-イソプロピルレゾルシノールの場合のように分岐アルキルであることができる。4-アルキル置換レゾルシノールの例には、4-メチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール(ER)、4-プロピルレゾルシノール、IPR、4-ブチルレゾルシノール、4-ペンチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール(HR)、4-ヘプチルレゾルシノール、4-オクチルレゾルシノール及びそれらの混合物を含む。好ましい4-アルキル置換レゾルシノールは、ER、HR及びそれらの混合物である。
【0042】
当該組成物に組み込まれる場合、1以上の美白剤は、組成物中、好ましくは0.001~15重量%、より好ましくは0.01~10重量%、さらにより好ましくは0.1~5重量%、さらにより好ましくは0.25~5重量%の量で存在し得る。
【0043】
好ましくは、当該組成物はさらに脂肪酸を含む。石鹸と一緒に組成物中に存在する場合、脂肪酸は、いわゆるバニシングクリーム効果を提供し、すなわち、ヒトの皮膚に適用されると、組成物が皮膚上で消失して、組成物の目立った筋を全く残さない。
【0044】
好ましくは、当該組成物は、10~30、より好ましくは12~25、さらにより好ましくは14~20、さらにより好ましくは16~18個の範囲の炭素原子を有する脂肪酸を含む。
【0045】
当該組成物で使用できる脂肪酸の例には、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸及びそれらの混合物を含む。
【0046】
好ましくは、使用され得る脂肪酸は、ステアリン酸又はパルミチン酸又はそれらの混合物である。本発明における脂肪酸は、好ましくは、実質的に(一般に約90~95%)、55:45~45:55の比率でのステアリン酸とパルミチン酸との混合物であるヒストリック(hystric)酸である。
【0047】
当該組成物に組み込まれる場合、脂肪酸は、好ましくは4~25重量%、より好ましくは6~22重量%、さらにより好ましくは8~20重量%、さらにより好ましくは10~19重量%、さらにより好ましくは12~18重量%の量で存在し得る。
【0048】
好ましくは、当該組成物は石鹸をさらに含む。当該組成物中において脂肪酸と組み合わせて存在する場合、石鹸はバニシング効果を提供する。
【0049】
本発明の石鹸は、一般に、当該組成物中に存在する脂肪酸のイン・サイツ中和によって製造される。したがって、石鹸は、当該組成物中の脂肪酸の鎖長に相当する炭素鎖長を有することが好ましい。石鹸は、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いて脂肪酸から形成される。その二つのうち、水酸化カリウムがより好ましい。したがって、石鹸は好ましくはカリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)である。
【0050】
当該組成物に組み込まれる場合、石鹸は、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは1~8重量%、さらにより好ましくは2~7重量%、さらにより好ましくは3~6重量%の量で存在し得る。
【0051】
好ましくは、当該組成物は、9~20、好ましくは10~19、より好ましくは12~18、さらにより好ましくは13~17、さらにより好ましくは15~17の範囲の親水性親油性バランス(HLB)値を有するノニオン性界面活性剤をさらに含む。
【0052】
HLBは、HLB=20×Mh/Mであるグリフィン法を用いて計算され、ここで、Mhは分子の親水性部分の分子量であり、そして、Mは分子全体の分子量であり、0~20の任意のスケールで結果を与えるものである。各種界面活性剤についての代表的な値を以下に示す。
【0053】
値<10:脂溶性(水不溶性)
値>10:水溶性
4~8の値は、消泡剤を示す。
【0054】
7~11の値は、W/O(油中水型)乳濁液を示す。
【0055】
12~16の値は、水中油型乳濁液を示す。
【0056】
11~14の値は、湿潤剤を示す。
【0057】
12~15の値は洗剤の代表的値である。
【0058】
16~20の値は、可溶化剤又はヒドロトロープを示す。
【0059】
好ましくは、9~20の範囲のHLB値を有するノニオン性界面活性剤は、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、ノニオン性界面活性剤は、少なくとも9個のアルキレンオキサイド基、好ましくは少なくとも9個のエチレンオキサイド基を有するものである。
【0060】
当該組成物中のノニオン性界面活性剤として使用できる脂肪アルコールエトキシレートの例には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=16.9;Brij(登録商標) 35として市販)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(HLB=16;Brij(登録商標) 58として市販)、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル(HLB=18.8;Brij(登録商標) 700として市販)及びLaureth-9(C12EO9;HLB=14.3;Brij(登録商標) L9として市販)を含む。
【0061】
当該組成物中のノニオン性界面活性剤として使用できるアルキルフェノールエトキシレートの例には、オクチルフェノールエトキシレート(HLB=15.5;Triton(商標名) X165として市販)、オクチルフェノールエトキシレート(HLB=17.6;Triton(商標名) X405として市販)及びオクチルフェノールエトキシレート(HLB=18.4;Triton(商標名) X705として市販)を含む。
【0062】
当該組成物中のノニオン性界面活性剤として使用できるポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの例には、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=13.3;Tween(登録商標) 21として市販)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=16.7;Tween(登録商標) 20として市販)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート;(HLB=15.6;Tween(登録商標) 40として市販)及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(HLB=14.9;Tween(登録商標) 60として市販)を含む。
【0063】
より好ましくは、当該組成物中に存在し得る9~20の範囲のHLB値を有するノニオン性界面活性剤は、15.5より高いHLBを有する飽和炭素鎖を有する脂肪アルコールエトキシレートである。
【0064】
好ましくは、当該組成物は、0.5~5重量%、より好ましくは1~4重量%、さらにより好ましくは2~3重量%の、9~20の範囲のHLBを有するノニオン性界面活性剤を含む。
【0065】
好ましくは、当該組成物は、第1の態様のポリマー以外の1以上のポリマーをさらに含む。これらのポリマーは、当該組成物の増粘剤として作用し、当該組成物の官能特性を改善する。そのポリマーは、好ましくは、下記の種類:
-アクリレート/R-メタクリレートコポリマー、例えばアクリレート/steareth-20メタクリレートコポリマー(Aculyn(商標名) 22として市販)及びアクリレート/beheneth-25メタクリレートコポリマー(Aculyn(商標名) 28として市販)、
-アクリレート/R-メタクリレートクロスポリマー、例えば、アクリレート/steareth-20メタクリレートクロスポリマー(Aculyn(商標名) 88として市販)、
-アクリレートコポリマー(Aculyn(商標名) 33として市販)、
-アクリレート/R-アルキルアクリレートクロスポリマー、例えば、アクリレート/C10-C30アルキルアクリレートクロスポリマー(Pemulen(商標名) TR-2として市販)、
-アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウムとビニルピロリドンとのコポリマー(Aristoflex(登録商標) AVCとして市販)、
-アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムとビニルピロリドンとのコポリマー(Aristoflex(登録商標) AVSとして市販されています);及び
-アクリロイルジメチルタウレートとR-アルキルアクリレート及びメチルアクリレートとのクロスポリマー、例えば、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/beheneth-25メタクリレートクロスポリマー(Aristoflex(登録商標) HMB及びAristoflex(登録商標) BLVとして市販)
から選択される。
【0066】
好ましくは、当該組成物は、0.1~5重量%、より好ましくは0.5~4.5重量%、さらにより好ましくは1~4重量%、さらにより好ましくは1.5~3.5重量%、さらにより好ましくは2~3重量%の第1の態様のポリマー以外のポリマーを含む。
【0067】
好ましくは、当該組成物は、美容的に許容されるビヒクル(水を含む)を含む。好ましくは、美容的に許容されるビヒクルは、5~99.9重量%、より好ましくは10~95重量%、さらにより好ましくは15~90重量%、さらにより好ましくは20~80重量%、さらにより好ましくは25~75重量%;さらにより好ましくは、30~70重量%の量で当該組成物中に存在し得る。
【0068】
好ましくは、当該組成物は、1以上の増粘剤をさらに含む。当該組成物に組み込むことができる増粘剤の例には、ポリアクリレート(Carbopol(登録商標) 980、Carbopol(登録商標) 1342及びUltrez(登録商標)増粘剤などのCarbomer等)、多糖類(キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、カラギーナン及びスクレロチウムガムを含む)、セルロース(カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシメチルセルロースを含む)を含む。
【0069】
好ましくは、当該組成物はさらに溶媒を含む。当該組成物で使用できる溶媒の例には、エチルアルコール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びそれらの混合物を含む。
【0070】
好ましくは、当該組成物は、0.05~10重量%、より好ましくは0.3~2重量%の範囲の量の増粘剤を含む。
【0071】
好ましくは、当該組成物は、潜在的に有害な微生物の増殖に対して保護するための防腐剤をさらに含む。当該組成物中の防腐剤として使用できる成分の例には、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、及び様々な四級アンモニウム化合物を含む。より好ましくは、当該組成物において防腐剤として使用できる成分は、安息香酸ナトリウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、メチルイソチアゾリノン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、エチルヘキシルグリセリン、ベンジルアルコール、アルカンジオール類及びそれらの混合物である。防腐剤としての使用に適したアルカンジオールは、ヒドロキシ基で隣接置換されたC-C12アルカンである。例示的な例には、1,2-オクタンジオール(カプリリルグリコール)、2,3-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ヘキサンジオール、3,4-オクタンジオール、それらの混合物を含み、カプリリルグリコールが代表的には最も好ましい。
【0072】
当該組成物中に存在する場合、防腐剤は、好ましくは0.001~5重量%、より好ましくは0.01~3重量%、最も好ましくは0.02~2重量%の量で添加される。
【0073】
好ましくは、当該組成物は、ビタミン類及びフラボノイド類をさらに含む。ビタミンの例には、ビタミンB、ビタミンC、リン酸アスコルビル及びビオチン、ビタミンA(レチノール)、パルミチン酸ビタミンA、テトライソパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルナトリウム、ビタミンE(トコフェロール)、酢酸ビタミンE及びDL-パンテノールを含む。特に好適なビタミンB誘導体は、パルミチン酸ピリドキシンである。好ましいフラボノイド類の例には、グルコシルヘスペリジン及びルチンを含む。
【0074】
好ましくは、当該組成物は、ビタミン類又はフラボノイド類を、合計で又は個別に、0.001~10重量%、より好ましくは0.01~5重量%、さらにより好ましくは0.1~3重量%の量で含む。
【0075】
好ましくは、当該組成物は、ハーブ抽出物をさらに含む。ハーブ抽出物の例には、ザクロ、白樺(BetulaAlba)、緑茶、カモミール、甘草、ボスウェリアセラータ、オリーブ(Olea Europaea)葉、アルニカ花、ラバンデュラ・アングスティフォリア、及びそれらの抽出物の組み合わせを含む。その抽出物は、それぞれ親水性又は疎水性である溶媒中で運ばれる水溶性又は水不溶性のいずれかであることができる。水とエタノールが好ましい抽出溶媒である。
【0076】
好ましくは、当該組成物は、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色剤、収斂剤、芳香剤、乳白剤、コンディショナー、剥離剤、pH調節剤及び皮膚治癒剤を含む各種の他の任意の成分をさらに含む。
【0077】
当該組成物は、好ましくは、粉末、フレーク、ローション、クリーム、ジェル又はムースの形態で製剤される。より好ましくは、当該組成物は、クリーム又はローションの形態で、最も好ましくはクリームの形態で製剤される。
【0078】
当該組成物は、リーブオン又はウォッシュオフタイプの組成物であることができる。当該組成物は、好ましくは、リーブオンタイプの組成物である。
【0079】
本発明の組成物の包装は、パッチ、瓶、チューブ、ロールボールアプリケータ、推進剤駆動エアゾル装置、圧搾容器又は蓋付きジャーであることができる。
【0080】
さらに、本発明はまた、第1の態様のポリマーを合成する方法に関する。
【0081】
合成経路は、クマリン化合物及びヒドロキノン化合物、好ましくはクマリン化合物からなる群から選択される光応答性物質(PR)の選択に依存することが見出された。クマリン化合物及びヒドロキノン化合物の両方とも、置換されていても置換されていなくても良い。
【0082】
したがって、光応答性物質がクマリン化合物である第1の態様のポリマーの合成方法は、以下の段階を含む;
【0083】
i.7-アミノ4-メチルクマリン(化合物1)を、ジクロロメタン(DCM)中、0℃でピリジンの存在下に塩化トシル(TsCl)と反応させて、化合物2:
【化3】
を得る;
【0084】
ii.化合物2を、アセトニトリル(CHCN)中、還流条件下で、ヨウ化カリウム及び炭酸セシウムの存在下に二臭化エチレンと反応させて、化合物3:
【化4】
を得る;
【0085】
iii.化合物3を、0℃で濃硫酸と反応させて化合物4:
【化5】
を得る;
【0086】
iv.化合物4を、アセトニトリル(CHCN)中、還流条件下で、炭酸カリウムの存在下にヨウ化エチルと反応させて、化合物5:
【化6】
を得る;
【0087】
v.化合物5を、p-キシレン中還流条件下で、二酸化セレン(SeO)の存在下に酸化し、後処理手順後に得られた反応混合物を、メタノール中の還元剤水素化ホウ素ナトリウムで処理して化合物6:
【化7】
を得る;
【0088】
vi.化合物6を、N,N-ジメチルホルムアミド溶媒(DMF)中、ヨウ化ナトリウムの存在下でアジ化ナトリウム(NaN)と反応させて、化合物10:
【化8】
を得る;
【0089】
vii.化合物7を、テトラヒドロフラン(THF)中、ラウリン酸ジブチルスズ(DBTL)の存在下で化合物8(プロパルギルアルコール)と反応させて、化合物9:
【化9】
を得る[上記のこの段階(vii)は、段階(i)~(vi)が実行される前又は後に実行することができる。];
【0090】
viii.化合物9を、臭化銅(I)及びペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)の存在下で化合物10と反応させて、化合物11:
【化10】
を得る;
【0091】
ix.化合物12(クロロギ酸4-ニトロフェニル)を、ジクロロメタン中、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)の存在下で、好ましくはメントールのような冷却剤、サンタロール、リナロール、ネロール、シトロネラールのような芳香化合物、又はチモール若しくはテルピネオールのような抗菌剤であり得る有益剤(B)と反応させて、化合物14:
【化11】
を得る[上記のこの段階(ix)は、段階(i)~(vi)、段階(vii)、及び段階(viii)の実行前又は実行後に実行できる。];
【0092】
x.化合物14を、ジクロロメンタン(DCM)中、室温で4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下に化合物11と反応させて、化合物15:
【化12】
を得る;
【0093】
xi.最後に、化合物15及び化合物16を、テトラヒドロフラン(THF)中、V-70(2,2′-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)の助けを得て重合させて、式Iによる化合物:
【化13】
を得る。
【0094】
あるいは、光応答性物質がヒドロキノン化合物である、第1の態様のポリマーの合成方法は、以下の段階を含む;
【0095】
段階1:
2,5ジメチルヒドロキノン(化合物1h)を、メタノール中で水素化ホウ素ナトリウムによって還元して、化合物2h:
【化14】
を得る;
【0096】
段階2:
化合物2hを、化合物3hと反応させて化合物4h:
【化15】
を得る;
【0097】
段階3:
化合物4hを、酢酸の存在下で臭素と反応させて化合物5h:
【化16】
を得る;
【0098】
段階4:
化合物5hを、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N′-エチルカルボジイミド(EDC・HCl)及びジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下に、好ましくはメントールのような冷却剤、サンタロール、リナロール、ネロール、シトロネラールのような芳香化合物、又はチモール若しくはテルピネオールのような抗菌剤であり得る有益剤(B)と反応させて、化合物6h:
【化17】
を得る;
【0099】
段階5:
化合物6hを、2-メルカプトエタノール及び炭酸カリウムと反応させて化合物7h:
【化18】
を得る;
【0100】
段階6:
化合物7hを、化合物8hと反応させて、式Iによる化合物:
【化19】
を得る。
【0101】
第3の態様において、本発明は、光応答的に利益を提供するための組成物での式Iによるポリマーの使用に関する。提供される可能性のある利益は、選択される利益剤に基づくものであることは理解されよう。たとえば、メントールのような冷却剤を有益剤に選択した場合、冷却効果が提供される。同様に、有益剤が芳香分子である場合、芳香が送達される。
【0102】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供されている。これらの実施例は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0103】
実施例1:光応答性物質がクマリン化合物である式Iによるポリマー
【化20】
【0104】
実施例2:光応答性物質がヒドロキノン化合物である式Iによるポリマー
【化21】
【0105】
実施例3:式Iによるポリマー
【化22】
【0106】
実施例4:本発明のポリマーを含む化粧品組成物
【表1】
【0107】
実施例5:光源への曝露時の有益剤の放出の定量
有益剤、例えばメントールの放出の定量を、次のように実施した。メントール溶液(100ppm;L-メントール;99%、Sigma Aldrich)30μL及び式Iによるポリマー(100ppm)30μLを、Linomat 5アプリケータを用いてHPTLCプレート(MerckからのHPTLCシリカゲル6o F254プレート)に適用し、最大2時間にわたり光に曝露し(9W LED灯);そのプレートについて上昇クロマトグラフィー(移動相ヘキサン(8):酢酸エチル(2))を行った。p-アニスアルデヒド溶液で誘導体化した後、HPLTC装置(CAMAG TLC Scanner 3)を用いてプレートを510~520nmで走査して、得られたピーク面積測定値は図1に示したようなものであることが認められた。
【0108】
実施例6:光応答性物質がクマリン化合物である式Iによるポリマーの合成
光応答性物質がクマリン化合物であるように選択された場合、式Iによるポリマーを、以下の段階を用いて合成した。
【0109】
i.7-アミノ4-メチルクマリン(化合物1)を、ジクロロメタン(DCM)中、0℃でピリジンの存在下に塩化トシル(TsCl)と反応させて、化合物2を得る。
【化23】
【0110】
ii.化合物2を、アセトニトリル(CHCN)中、還流条件下で、ヨウ化カリウム及び炭酸セシウムの存在下に二臭化エチレンと反応させて、化合物3を得る。
【化24】
【0111】
iii.化合物3を、0℃で濃硫酸と反応させて化合物4を得る。
【化25】
【0112】
iv.化合物4を、アセトニトリル(CHCN)中、還流条件下で、炭酸カリウムの存在下にヨウ化エチルと反応させて、化合物5を得る。
【化26】
【0113】
v.化合物5を、p-キシレン中還流条件下で、二酸化セレン(SeO)の存在下に酸化し、後処理手順後に得られた反応混合物を、メタノール中の還元剤水素化ホウ素ナトリウムで処理して化合物6を得る。
【化27】
【0114】
vi.化合物6を、N,N-ジメチルホルムアミド溶媒(DMF)中、ヨウ化ナトリウムの存在下でアジ化ナトリウム(NaN)と反応させて、化合物10を得る。
【化28】
【0115】
vii.化合物7を、テトラヒドロフラン(THF)中、ラウリン酸ジブチルスズ(DBTL)の存在下で化合物8(プロパルギルアルコール)と反応させて、化合物9を得る。
【化29】
【0116】
段階(vii)は、段階(i)~(vi)が実行される前又は後に実行することができる。
【0117】
viii.化合物9を、臭化銅(I)及びペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)の存在下で化合物10と反応させて、化合物11を得る。
【化30】
【0118】
ix.化合物12(クロロギ酸4-ニトロフェニル)を、ジクロロメタン中、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)の存在下でメントール(有益剤B)と反応させて、化合物14を得る。
【化31】
【0119】
x.化合物14を、ジクロロメンタン(DCM)中、室温で4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下に化合物11と反応させて、化合物15を得る。
【化32】
【0120】
xi.化合物15及び化合物16を、テトラヒドロフラン(THF)中、V-70(2,2′-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)の助けを得て重合させて、式Iによるポリマーを得る。
【化33】
【0121】
実施例7:光応答性物質がヒドロキノン化合物である式Iによるポリマーの合成
光応答性物質がヒドロキノン化合物であるように選択された場合、式Iによるポリマーを、以下の段階を用いて合成した。
【0122】
段階1:
2,5ジメチルヒドロキノン(化合物1h)を、メタノール中で水素化ホウ素ナトリウムによって還元して、化合物2hを得る。
【化34】
【0123】
段階2:
化合物2hを、化合物3hと反応させて化合物4hを得る。
【化35】
【0124】
段階3:
化合物4hを、酢酸の存在下で臭素と反応させて化合物5hを得る。
【化36】
【0125】
段階4:
化合物5hを、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N′-エチルカルボジイミド(EDC・HCl)及びジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下にメントール(有益剤B)と反応させて、化合物6hを得る。
【化37】
【0126】
段階5:
化合物6hを、2-メルカプトエタノール及び炭酸カリウムと反応させて化合物7hを得る。
【化38】
【0127】
段階6:
化合物7hを、化合物8hと反応させて、式Iによる化合物を得る。
【化39】
図1
【国際調査報告】