(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(54)【発明の名称】自動車内装カバーガラス用途のためのキャリア上のフレーム
(51)【国際特許分類】
C03C 27/04 20060101AFI20220801BHJP
C03C 27/00 20060101ALI20220801BHJP
B32B 17/06 20060101ALI20220801BHJP
B32B 15/04 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
C03C27/04 D
C03C27/00
B32B17/06
B32B15/04 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571974
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 US2020035498
(87)【国際公開番号】W WO2020247293
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】デイヴ,ガウラフ
(72)【発明者】
【氏名】ラヨーニ,カレド
(72)【発明者】
【氏名】モーガン,ケネス スペンサー
(72)【発明者】
【氏名】プライス,マイケル ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ウィークス,ウェンデル ポーター
(72)【発明者】
【氏名】シュィ,ウェイ
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
4F100AB03B
4F100AB31B
4F100AG00A
4F100AG00B
4F100AK53B
4F100AR00B
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CB00C
4F100DD11A
4F100DG01B
4F100DH02B
4F100EC18
4F100GB33
4F100JA02B
4F100JK06
4F100YY00B
4G061AA06
4G061BA02
4G061CB04
4G061CD03
4G061CD16
4G061DA23
4G061DA29
4G061DA30
(57)【要約】
本明細書には、湾曲したガラス製品の実施形態が開示されている。湾曲したガラス物品は、第1の主面および第2の主面を有するガラスシートを含む。第2の主面は、第1の主面とは反対側にあり、第1の主面および第2の主面は、相互間に厚さを規定している。湾曲したガラス物品は、曲率を有しかつキャリア材料から形成されたキャリアを含む。キャリア材料は、8(10-6)/℃~40(10-6)/℃の熱膨張率(CTE)を有する。ガラスシートは、ガラスシートがキャリアの曲率に一致するように、キャリアに接着されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲したガラス物品であって、
第1の主面および第2の主面を備えるガラスシートであって、前記第2の主面は、前記第1の主面とは反対側にあり、前記第1の主面および前記第2の主面は、相互間に厚さを規定している、ガラスシートと、
曲率およびキャリア材料を含むキャリアであって、前記キャリア材料は、8(10
-6)/℃~40(10
-6)/℃の熱膨張率(CTE)を有する、キャリアと、
を備え、
前記ガラスシートは、前記ガラスシートが前記キャリアの前記曲率に一致するように、前記キャリアに接着されている、
湾曲したガラス物品。
【請求項2】
前記キャリアは、前記ガラスシートの第1の側面に沿った第1のストリップと、前記ガラスシートの第2の側面に沿った第2のストリップとを備える、請求項1記載の湾曲したガラス物品。
【請求項3】
前記キャリアは、前記第1のストリップから前記第2のストリップまで延びる少なくとも1つの補強ストリップをさらに備える、請求項2記載の湾曲したガラス物品。
【請求項4】
前記キャリア材料は、鋼合金である、請求項1から3までのいずれか1項記載の湾曲したガラス物品。
【請求項5】
前記キャリア材料は、繊維強化複合材料であり、前記繊維強化複合材料は、ガラス繊維およびエポキシ樹脂を含み、前記ガラス繊維は、前記繊維強化複合材料の0.38~0.52の体積分率を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の湾曲したガラス物品。
【請求項6】
前記キャリアは、前記ガラスシートの少なくとも1つの側面に接着されたセグメント化されたストリップを備える、請求項1から5までのいずれか1項記載の湾曲したガラス物品。
【請求項7】
前記セグメント化されたストリップは、前記キャリアを車両内装システムのフレームに接続するように構成された複数の戻り止めと、前記ガラスシートの前記第2の主面に接着された複数の結合面とを含み、前記セグメント化されたストリップは、その長さに沿ってジグザグ構造を形成している、請求項6記載の湾曲したガラス物品。
【請求項8】
前記セグメント化されたストリップは、前記キャリアを車両内装システムのフレームに接続するように構成されたフック部材と、前記ガラスシートの前記第2の主面に接着された複数の結合面と、前記セグメント化されたストリップの長さに沿って周期的に離間させられた複数のスロットとを含む、請求項6記載の湾曲したガラス物品。
【請求項9】
前記キャリアは、少なくとも1つのストリップを備え、前記少なくとも1つのストリップは、前記ガラスシートの前記第2の主面に接着された結合面と、前記キャリアを車両内装システムのフレームに結合するファスナを受け入れるように構成された複数の開口を備える取付け面とを有し、前記取付け面は、前記結合面に対して実質的に垂直に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の湾曲したガラス物品。
【請求項10】
前記ガラスシートが前記キャリアの前記曲率に一致するように、前記ガラスシートの前記第2の主面を前記キャリアに結合する接着剤をさらに備え、
前記接着剤は、結合強度を有し、
組み合わされた応力が、前記ガラスシートを前記曲率に一致させるための曲げ応力と、前記ガラスシートおよび前記キャリアを室温から75℃だけ加熱した結果として生じる膨張の差によって生じる剪断応力とを含み、
前記組み合わされた応力は、前記結合強度よりも小さい、
請求項1から9までのいずれか1項記載の湾曲したガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第119条のもと、2019年6月7日に出願された米国仮特許出願第62/858,664号明細書の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラス物品およびガラス物品を形成する方法、より詳細には、ガラスシートの熱膨張率と厳密に一致する熱膨張率を有するキャリアを備えたガラス物品を含む車両内装システムに関する。
【背景技術】
【0003】
車両内装は、曲面を含み、このような曲面にディスプレイを組み込むことができる。このような曲面を形成するために使用される材料は、通常、ポリマーに制限され、ポリマーは、ガラスのような耐久性および光学性能を示さない。そのため、特にディスプレイ用のカバーとして使用される場合には、湾曲したガラス基材が望ましい。このような湾曲したガラス基材を成形する熱成形などの既存の方法は、高コスト、光学的歪みおよび表面マーキングを含む欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、出願人は、費用対効果の高い形式で、ガラス熱成形プロセスに典型的に関連する問題なしに、湾曲したガラス基材を組み込むことができる車両内装システムの必要性を確認した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、本開示の実施形態は、湾曲したガラス物品に関する。湾曲したガラス物品は、第1の主面および第2の主面を有するガラスシートを含む。第2の主面は、第1の主面とは反対側にあり、第1の主面および第2の主面は、相互間に厚さを規定している。湾曲したガラス物品は、曲率を有しかつキャリア材料から形成されたキャリアも含む。キャリア材料は、8(10-6)/℃~40(10-6)/℃の熱膨張率(CTE)を有する。ガラスシートは、ガラスシートがキャリアの曲率に一致するように、キャリアに接着されている。
【0006】
別の態様によれば、本開示の実施形態は、湾曲したガラス物品に関する。湾曲したガラス物品は、第1の主面および第2の主面を備えるガラスシートを含み、第2の主面は、第1の主面とは反対側にある。第1の主面および第2の主面は、相互間に厚さを規定している。湾曲したガラス物品は、曲率を含むキャリアと、ガラスシートがキャリアの曲率に一致するように、ガラスシートの第2の主面をキャリアに結合する接着剤とをさらに含む。接着剤は、結合強度を有する。組み合わされた応力が、ガラスシートを曲率に一致させるための曲げ応力と、ガラスシートおよびキャリアを室温から75℃だけ加熱した結果として生じる膨張の差によって生じる剪断応力とを含む。組み合わされた応力は、結合強度よりも小さい。
【0007】
追加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に示され、部分的に、その説明から当業者に容易に明らかになるかまたは以下の詳細な説明、請求の範囲および添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって認識される。
【0008】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することが意図されていることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を構成している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の幾つかの態様を示しており、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【
図1】例示的な実施形態による、車両内装システムを備えた車両内装の斜視図である。
【
図2A】例示的な実施形態による、V字形のガラス物品の側面図である。
【
図2B】例示的な実施形態による、V字形のガラス物品の背面図である。
【
図3A】例示的な実施形態による、C字形のガラス物品の側面図である。
【
図3B】例示的な実施形態による、C字形のガラス物品の背面図である。
【
図4】例示的な実施形態による、キャリアの熱膨張率(CTE)の関数としての接着剤の剪断応力のグラフである。
【
図5】例示的な実施形態による、ガラスのCTEと比較した複合材料のCTEのグラフである。
【
図6】例示的な実施形態による、キャリア材料のCTEの関数としての接着剤の引張応力および剪断応力のグラフである。
【
図7】例示的な実施形態による、
図6にグラフ化された接着剤の応力の概略図である。
【
図8】例示的な実施形態による、ステンレス鋼および複合材料キャリアについてキャリア高さの関数としての撓みのグラフである。
【
図9】例示的な実施形態による、キャリアの原型を示す図である。
【
図10】例示的な実施形態による、キャリアの原型を示す図である。
【
図11A】例示的な実施形態による、セグメント化されたストリップキャリアの実施形態を示す図である。
【
図11B】例示的な実施形態による、セグメント化されたストリップキャリアの実施形態を示す図である。
【
図11C】例示的な実施形態による、セグメント化されたストリップキャリアの実施形態を示す図である。
【
図12A】例示的な実施形態による、セグメント化されたストリップキャリアの別の実施形態を示す図である。
【
図12B】例示的な実施形態による、セグメント化されたストリップキャリアの別の実施形態を示す図である。
【
図12C】例示的な実施形態による、セグメント化されたストリップキャリアの別の実施形態を示す。
【
図13A】例示的な実施形態による、V字形のガラス物品上に提供されるキャリアの実施形態を示す図である。
【
図13B】例示的な実施形態による、V字形のガラス物品上に提供されるキャリアの実施形態を示す図である。
【
図13C】例示的な実施形態による、V字形のガラス物品上に提供されるキャリアの実施形態を示す図である。
【
図14A】例示的な実施形態による、C字形のガラス物品上に提供されるキャリアの実施形態を示す図である。
【
図14B】例示的な実施形態による、C字形のガラス物品上に提供されるキャリアの実施形態を示す図である。
【
図15A】例示的な実施形態による、車両内装システムのフレームに取り付けられた
図14Aおよび
図14Bのキャリアを示す図である。
【
図15B】例示的な実施形態による、車両内装システムのフレームに取り付けられた
図14Aおよび
図14Bのキャリアを示す図である。
【
図16】例示的な実施形態による、ガラス物品を製造するためのキャリア上での冷間成形に適したガラスシートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、様々な実施形態を詳細に参照し、その例は添付の図面に示されている。一般に、様々な実施形態は、湾曲したガラス表面を有する車両内装システムに関する。本明細書において論じられる実施形態では、湾曲したガラス表面は、ガラスをその湾曲した形状に保持するキャリアに結合されたガラスシートを含む。さらに、キャリアは、自動車内装システムのフレームに取り付けられるように構成されている。有利には、キャリアは、最大で約10mmの幅、より具体的には最大で約2mmの幅であるベゼル(すなわち、非ディスプレイ領域)を規定し、ガラス表面の大部分を、後側に取り付けられたディスプレイを見るために利用できるようにしている。キャリアは、小さくかつこのような小さなベゼル幅を有することができる。なぜならば、冷間曲げされたガラスとキャリアとの間の応力が最適化され、ガラスシートがキャリアから剥離する可能性が大幅に低減されるからである。特に、キャリアの熱膨張率(CTE)は、ガラスのCTEに一致させられており、これにより、ガラスシートとキャリアとの間の全応力の熱応力成分によって、ガラスシートが、ガラスシートをキャリアに結合する接着剤を剪断することはない。キャリアの様々な実施形態およびキャリアを車両フレームに取り付けるための構成が本明細書に開示されている。これらの実施形態は、限定としてではなく、例示として提供されている。
【0011】
一般に、車両内装システムは、湾曲したディスプレイ表面および湾曲した非ディスプレイガラスカバーなど、透明であるように設計された様々な異なる曲面を含んでよい。ガラス材料から湾曲した車両表面を形成することは、車両内装において従来見られる典型的な湾曲したプラスチックパネルと比較して多くの利点を提供する。例えば、ガラスは、通常、プラスチックカバー材料と比較して、ディスプレイ用途やタッチスクリーン用途などの多くの湾曲したカバー材料用途において、向上した機能およびユーザエクスペリエンスを提供すると考えられる。
【0012】
図1は、車両内装システム100,200,300の3つの異なる実施形態を含む例示的な車両内装1000を示している。車両内装システム100は、光学的に結合されたディスプレイ130を含む曲面120を備えた、センターコンソールベース110として示されたフレームを含む。車両内装システム200は、光学的に結合されたディスプレイ230を含む曲面220を備えた、ダッシュボードベース210として示されたフレームを含む。ダッシュボードベース210は、通常、光学的に結合されたディスプレイを含んでもよい計器盤215を含む。車両内装システム300は、曲面320および光学的に結合されたディスプレイ330を備えた、ホイールベース310として示されたフレームを含む。1つ以上の実施形態では、車両内装システムは、アームレスト、ピラー、背もたれ、フロアボード、ヘッドレスト、ドアパネルまたは曲面を含む車両の内装のあらゆる部分であるフレームを含む。その他の実施形態では、フレームは、自立型ディスプレイ(すなわち、車両の一部に恒久的に接続されていないディスプレイ)のためのハウジングの一部である。実施形態では、光学的に結合されたディスプレイ130,230,330は、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LDC)またはプラズマディスプレイのうちの少なくとも1つである。
【0013】
本明細書に記載のガラス物品の実施形態は、車両内装システム100,200および300のそれぞれにおいて使用することができる。さらに、本明細書に記載のガラス物品は、車両内装システム100,200および/または300における使用のためを含む、本明細書に説明されたディスプレイ実施形態のうちのいずれかのための湾曲したカバーガラスとして使用されてよい。さらに、様々な実施形態において、車両内装システム100,200および300の様々な非ディスプレイ構成要素は、本明細書で論じられたガラス物品から形成されてよい。幾つかのこのような実施形態では、本明細書で論じられたガラス物品は、ダッシュボード、センターコンソール、ドアパネルなどのための非ディスプレイカバー表面として使用されてよい。このような実施形態では、ガラス材料は、その重量、美的外観などに基づいて選択されてよく、ガラス構成要素を隣接する非ガラス構成要素と視覚的に一致させるために、パターン(例えば、ブラッシュドメタルの外観、木目調の外観、革の外観、着色された外観など)を備えたコーティング(例えば、インクまたは顔料コーティング)が提供されてよい。特定の実施形態では、このようなインクまたは顔料コーティングは、デッドフロントまたはカラーマッチング機能を提供する透明度レベルを有してよい。
【0014】
実施形態では、曲面120,220,320は、一般に、
図2Aおよび
図2Bに示されたV字形であるかまたは
図3A~
図3Bに示されたC字形である。まず
図2Aを参照すると、V字形の物品10の実施形態の側面図が示されている。V字形のガラス物品10は、ガラスシート12を含む。ガラスシート12は、第1の主面14および第2の主面16を有する。車両において、第1の主面14は、車両の乗員に面し、第2の主面16は、V字形のガラス物品10の後面であり、この後面には、ディスプレイ(例えば、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、LCDディスプレイまたはプラズマディスプレイ)が、例えば、光学的に透明な接着剤を使用して取り付けられてよい。第2の主面16は、第1の主面14とは反対側にあり、第1の主面14および第2の主面16は、ガラスシート12の厚さTを規定している。第1の主面14および第2の主面16は、副面18によって結合されている。
【0015】
図2Aに見られるように、ガラスシート12は、第1の平坦部分22aと第2の平坦部分22bとの間に配置された湾曲領域20を有する。実施形態では、湾曲領域20は、20mm~10mの曲率半径Rを有する。さらに、
図2Aに示したように、湾曲領域20は、凹面状の湾曲を規定しているが、その他の実施形態では、湾曲領域20は代わりに凸面状の湾曲である。
図2AのV字形の物品10の場合、接着剤24は、湾曲領域20の第2の主面16に塗布されている。接着剤24は、キャリア26をガラスシート12に取り付ける。
【0016】
実施形態では、接着剤24は感圧接着剤を含む。接着剤24に使用するのに適した例示的な感圧性接着剤は、3M(商標)VHB(商標)(ミネソタ州セントポールの「3M」から入手可能)またはtesa(登録商標)(ドイツ、ノルダーシュテットのtesa SEから入手可能)のうちの少なくとも1つを含む。実施形態では、接着剤24は液体接着剤を含む。例示的な液体接着剤は、強化エポキシ、可撓性エポキシ、アクリル、シリコーン、ウレタン、ポリウレタンおよびシラン変性ポリマーを含む。特定の実施形態では、液体接着剤は、EP21TDCHT-L0(ニュージャージー州ハッケンサックのMasterbond(登録商標)から入手可能)、「3M」Scotch-Weld(商標)エポキシDP460オフホワイト(ミネソタ州セントポールの「3M」から入手可能)などの1つ以上の強化エポキシを含む。その他の実施形態では、液体接着剤は、「Masterbond」EP21TDC-2LO(ニュージャージー州ハッケンサックの「Masterbond」から入手可能)、「3M」「Scotch-Weld」Epoxy2216 B/A Gray(ミネソタ州セントポールの「3M」から入手可能)および「3M」「Scotch-Weld」Epoxy DP125などの、1つ以上の可撓性エポキシを含む。さらに他の実施形態では、液体接着剤は、LORD(登録商標)Adhesive 410/Accelerator 19 2/「LORD」AP 134 Primer、「LORD」Adhesive 852/「LORD」Accelerator 25GB(両方ともノースカロライナ州ケーリーのLORD Corporaitonから入手可能である)、DELO PUR SJ9356(ドイツヴィンダッハのDELO Inductrial Adhesivesから入手可能である)、Loctite(登録商標)AA4800、「Loctite」HF8000.TEROSON(登録商標)MS9399および「TEROSON」MS 647-2C(これらの4つは、ドイツ、デュッセルドルフのHenkel AG & Co.KGaAから入手可能である)などの、1つ以上のアクリルを含む。さらに他の実施形態では、液体接着剤は、「3M」「Scotch-Weld」Urethane DP640および「3M」「Scotch-Weld」Urethane DP640などの1つ以上のウレタンを含み、更なる実施形態では、液体接着剤は、Dow Corning(登録商標)995(ミシガン州ミッドランドのDow Corning COrporationから入手可能である)などの1つ以上のシリコーンを含む。
【0017】
さらに、実施形態では、より良好な接着のためにガラスシート12およびキャリア26の表面を準備するために、プライマを塗布することができる。プライマを塗布することに加えてまたはその代わりに、実施形態では、接着剤24とキャリア26との間のより良好な接着を提供するために、キャリア26が粗面化されてよい。さらに、実施形態では、金属およびガラス表面のために、プライマに加えてまたはプライマの代わりにインクプライマが使用されてよい。インクプライマは、接着剤24と、インクで覆われた表面との間のより良好な接着を提供するのに役立つ(例えば、デッドフロント用途のための上記の顔料設計)。プライマの例は、「3M」「Scotch-Weld」Metal Primer 3901(ミネソタ州セントポールの「3M」から入手可能)である。その他の市販のプライマも、本開示での使用に適しており、結合される表面および結合を生じるために使用される接着剤に基づいて選択することができる。
【0018】
接着剤24および冷間成形プロセス(以下に記載される)を介して、キャリア26は、ガラスシート12を湾曲した形状に保持する。キャリア26はまた、
図1の車両内装システム100,200,300などの車両内装システムのフレームに取り付けられるように構成されている。
図2Bに示したように、キャリア26は、キャリア26が接着剤24から延びる距離に対応する高さHを有する。実施形態では、高さHは、5mm~20mm、より具体的には8mm~12mmである。
【0019】
図2Bは、V字形のガラス物品10の背面、すなわち第2の主面16を示している。
図2Bに示したように、キャリア26は、ガラスシート12の第1の側面30に沿った第1のストリップ28と、ガラスシート12の第2の側面34に沿った第2のストリップ32とを含む。実施形態では、キャリア26のストリップ28,32は、湾曲領域20の幅全体に適用されており、実施形態では、キャリア26は、
図2Aに示したように、平坦部分22a,22bへ延びてよい。
図2Bに見られるように、ガラスシート12は、キャリア26によって実質的に遮られない。特定の実施形態では、キャリア26は、ガラスシート12の一部の上にベゼル36を規定している。本明細書で使用される場合、「ベゼル」は、ディスプレイ(例えば、第2の主面16に取り付けられたディスプレイ)を見るために使用することができないガラスシート12の量を指す。実施形態では、ベゼル36の幅W
bは、最大で10mm、より具体的には最大で5mm、最も具体的には最大で2mmである。
【0020】
図3Aは、C字形のガラス物品40の実施形態を示している。C字形のガラス物品40も、ガラスシート12を含む。
図2Aおよび
図2BのV字形のガラス物品10のように、
図3AのC字形のガラス物品40のガラスシート12は、厚さTを規定しかつ副面18によって接合された第1の主面14および第2の主面16を有する。C字形のガラス物品40も、湾曲領域20および平坦部分22a,22bを有する。V字形のガラス物品10と比較して、C字形のガラス物品40は、大幅に大きい湾曲領域20と、大幅に小さい平坦部分22a,22bとを有する。
図3Aに見られるように、キャリア26は、接着剤24によって第2の主面16に取り付けられている。湾曲領域20は、前述の実施形態よりも大幅に大きいので、
図3Bに示したように、キャリア26は、実質的に各側面30,34の全体に沿って延びている。しかしながら、キャリア26のストリップ28,32によって規定されたベゼル36は、最大で10mm、より具体的には最大で5mm、最も具体的には最大で2mmのままである。
【0021】
上記のように、V字形のガラス物品10およびC字形のガラス物品40の両方のキャリア26は、ガラスシート12のCTEに一致するCTEを有する材料から形成されている。一致するCTEは、ガラスシート12とキャリア26との間の熱膨張の差の結果として接着剤24に発生する熱応力を低減する。
図4は、キャリア26のCTEの関数として、接着剤24に発生する剪断応力のグラフを示している。ガラスシート12は、約8(10
-6)/℃のCTEを有する。したがって、実施形態では、キャリア26は、約8(10
-6)/℃~約40(10
-6)/℃、より具体的には約8(10
-6)/℃~約22(10
-6)/℃、さらにより具体的には約8(10
-6)/℃~約15(10
-6)/℃、最も具体的には約8(10
-6)/℃~約15(10
-6)/℃のCTEを有するように選択される。
【0022】
図4に示したように、CTEがガラスCTEからさらに増加するにつれて、接着剤における剪断応力が増大する。例えば、アルミニウムまたはマグネシウムのキャリア26はそれぞれ23(10
-6)/℃または26(10
-6)/℃のCTEを有し、75℃の温度変化において生じる剪断応力はそれぞれ約1MPaおよび1.2MPaである。鋼のキャリア26は約10(10
-6)/℃のCTEを有し、75℃の温度変化において生じる剪断応力は約0.2MPaである。一般に、自動車業界での熱信頼性試験の最低温度は、室温(20℃)からの75℃の温度変化である95℃であるため、75℃の温度変化が使用された。選択されたキャリア材料に基づいて、剪断応力と曲げ応力との組合せに耐えることができるように接着剤が選択される。したがって、実施形態では、アルミニウムまたはマグネシウムのキャリア26とともに使用される接着剤24は、鋼のキャリア26とともに使用される接着剤よりも高い結合強度を有する必要がある。
【0023】
以下の表1は、0.6MPaの結合強度を有する接着剤と組み合わせて使用される様々なキャリア材料を考察している。
【0024】
【0025】
表1を作成する際に、ある仮定がなされた。接着剤にかかる総応力は、ガラスシートをキャリアに適合させて曲げ続けるための曲げ応力と、ガラスシート12とキャリア26とのCTEの不一致によって引き起こされる剪断応力との合計であると推定された。曲げ応力の場合、C字形のガラス物品40は、より大きな湾曲領域20により、より大きな曲げ応力を有する。C字形のガラス物品40の最大曲げ応力は、最大ガラス曲げ力を、1mmのベゼル36を備える面積で割ったものとして推定された。最大曲げ力は、200Nであるように計算され、面積は1000mm2であったため、最大曲げ応力は0.2MPaであった。V字形の曲げ物品10の最大曲げ応力は、より小さな湾曲領域20により、0.2MPaより小さいと仮定することができる。剪断応力は、75℃の温度変化について計算され、表1の4列目に示されている。したがって、総応力の推定値は、表1における各材料の剪断応力に0.2MPaの曲げ応力を加えたものである。表1の5列目は、総応力(応力)が、接着剤の強度(強度)よりも小さいかどうかを考察している。表1の目的のために、接着剤は、0.6MPaの強度を有すると仮定された(これは、ポリウレタン構造用接着剤(例えば、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手可能なBETASEAL(商標)X2500Plus)の長期強度に対応する)。5列目(応力<強度)に基づいて、キャリア26のための適切な材料は、コバール(Fe-Ni-Co合金)と、試験された2つのステンレス鋼とを含む。アルミニウム、マグネシウムおよびプラスチックのキャリア材料は全て、剪断応力を生じたが、この剪断応力は、最大曲げ応力と組み合わされたとき、接着剤の長期強度を超える。したがって、キャリアとしてアルミニウムまたはマグネシウムを使用するために、より強力な接着剤が使用されなければならない。表1の6列目は、フレームに使用される材料のコストを考察している。見られるように、ステンレス鋼は、従来使用されていたアルミニウムおよびマグネシウム合金と同じ範囲のコストを有し、これは、ステンレス鋼のキャリア材料への切り替えも経済的に実用的であることを示している。
【0026】
実施形態では、キャリア26は、接着剤が、剪断応力および曲げ応力の組合せよりも大きい結合強度を有するように選択された場合、8(10-6)/℃~40(10-6)/℃のCTEを有するあらゆる材料から形成することができる。したがって、鋼(特にステンレス鋼、亜鉛めっき鋼およびその他の耐食性鋼)、鉄ニッケル合金、アルミニウムおよびその合金ならびにマグネシウムおよびその合金を含む様々な金属材料を使用することができる。さらに、キャリア材料は、プラスチック、または以下で説明するように、複合材料であることができる。このように、キャリア材料および接着剤を様々な材料から選択することができ、これは、設計および経済的な柔軟性を可能にする。
【0027】
別の実施形態では、キャリア材料は、繊維強化プラスチック複合材料であってよい。例えば、キャリア材料は、エポキシ樹脂に埋め込まれたガラス繊維を備える複合材料を含んでよい。ガラス繊維は、720GPaのヤング率と、5(10
-6)/℃のCTEとを有する。エポキシ樹脂は、35GPaのヤング率と、57.5(10
-6)/℃のCTEとを有する。複合材料のCTEは、ガラス繊維とエポキシ樹脂の相対量に依存する。
図5は、様々なガラス繊維の割合を有する複合材料の長手方向CTEのグラフを示している。複合材料に期待されるように、繊維の割合が増加するにつれて、長手方向CTEは減少する(より低いCTE材料が存在する場合)。
図5は、複合材料のCTEミスマッチが、約8(10
-6)/℃のCTEを有するガラスシートとの使用のために許容できるゾーンを示している。実施形態では、許容可能な繊維体積分率は、約0.38~0.52である。実施形態では、複合材料の繊維成分は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維またはグラファイト繊維のうちの少なくとも1つを含む。実施形態では、複合材料のプラスチック成分は、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、ポリプロピレンまたはフェノール樹脂のうちの少なくとも1つを含む。さらに、実施形態では、繊維は、ガラスシート12の側面30,34に沿っていてよいキャリア26の長手方向軸線に沿って整列させられてよい。
【0028】
図6は、キャリア材料のCTEの関数としての応力のグラフを示している。特に、
図6は、体積応力張力成分と体積応力剪断成分の両方を示している。接着剤24の比応力が
図7に示されている。
図7では、張力成分は、開放応力、すなわち、接着剤24に張力をかけるキャリアからのガラスシートの引張りと見なすことができる。剪断成分は、接着剤24に剪断を生じる、ガラスシート12とキャリア26との間のCTE不一致に関連する。
図6に戻ると、グラフは、キャリア材料のCTEが増大するにつれて、張力成分および剪断成分の両方の大きさが増大することを示している。
図6のグラフは、750mmの長さ、150mmの幅、2300mmの曲率半径および10mmのキャリア26の高さHを有するガラスシート12に関連する応力を考慮している。
【0029】
図8は、キャリア高さHの関数としての、キャリア26に結合されたガラスシート12の撓みのグラフを示している。撓みは、ガラスシート12とキャリア26との間のCTEの不一致に関連し、その結果、加熱されたときにガラスシート12およびキャリア26の不均一な膨張を生じる。不均一な膨張により、(通常)キャリア26はガラスシート12よりも大きく膨張し、要素の組合せをガラスシート12に向かって撓ませる。
図8では、この撓みは、キャリア高さHの関数としてモデル化された。見られるように、ステンレス鋼および複合キャリアの両方について、キャリア高さHが増加するにつれて、撓みは減少する。
【0030】
図9~
図15は、ガラスシート12に取り付けられたキャリア26の様々な実施形態を示している。
図9および
図10は、原型のV字形のガラス物品10を示している。
図9に見られるように、V字形のガラス物品10は、
図2Aおよび
図2Bに示されたものと実質的に同様である。すなわち、キャリア26は、ガラスシート12の第1の側面30に沿った第1のストリップ28と、ガラスシート12の第2の側面34に沿った第2のストリップ32とを含む。図示された実施形態では、V字形のガラス物品10は接着剤24を含み、接着剤24は、従来のように、従来のキャリア26をガラスシート12に接合するためにガラスシート12に塗布される。見られるように、接着剤24は、本開示によるキャリア26のために必要とされるよりも大きな従来のベゼル幅W
cを規定している。実際、キャリア26のストリップ28,32の下側に提供されない接着剤の全ては、本開示の実施形態によれば、除去することができ、ガラスシートのディスプレイ領域を実質的に増大させる。
【0031】
図10は、キャリア26の別の実施形態を示している。キャリア26は、第1のストリップ28および第2のストリップ32を含むが、第1のストリップ28と第2のストリップ32との間に配置された第3のストリップ42も含む。キャリア26は、第1のストリップ28から第3のストリップ42を通って第2のストリップ32まで延びる複数の補強ストリップ44も含む。
図10に示したように、3つの補強ストリップ44が存在する。しかしながら、その他の実施形態では、より多いまたはより少ない補強ストリップ44、例えば、1~20の補強ストリップ44(例えば、C字形のガラス物品40の湾曲領域20全体にわたって周期的に配置されている)が存在してよい。
図10は、第1のストリップ28および第2のストリップ32に形成された複数の開口46も示している。これらの開口46は、例えば、キャリア10を車両内装システムのフレームに取り付けるためのプッシュファスナを受け入れるように構成されている。
【0032】
図11A~
図11Cは、キャリア26の別の実施形態を示している。キャリア26は、第1のストリップ28または第2のストリップ32のいずれか、あるいは(
図11Cに示したように)第1のストリップ28および第2のストリップ32の両方として使用することができるセグメント化されたストリップ48を含む。セグメント化されたストリップ48は、セグメント化されたストリップ48の長さに沿って複数の戻り止め50を形成している。セグメント化されたストリップ48は、セグメント化されたストリップ48をガラスシート12に接着するための複数の結合面52も形成している。
図11Bに見られるように、セグメント化されたストリップ48は、戻り止め50を備える側において、結合面52を備える側とは異なる膨張を可能にするジグザグ構造を有する。したがって、内装車両システムのフレームの膨張はガラスシートに伝達されず、ガラスシートの膨張も内装車両システムのフレームに伝達されない。
【0033】
図12A~Cは、キャリア26の第1のストリップ28および第2のストリップ32のいずれかまたは両方として使用可能なセグメント化されたストリップ48の別の実施形態を示している。セグメント化されたストリップ48は、セグメント化されたストリップ48をガラスシート12に取り付けるための結合面52を含むが、
図12A~
図12Cのセグメント化されたストリップは、車両内装システムのフレームの対応する構造と係合するように構成されたフック部材54も含む。セグメント化されたストリップ48は、フック部材54の側および結合面52の側において膨張の差を可能にする複数のスロット56を含む。
【0034】
図13A~
図13Cは、V字形のガラス物品10上のキャリア26の別の実施形態を示している(ただし、キャリア26は、C字形のガラス物品40とともに使用することもできる)。
図13Aに見られるように、キャリア26は、実質的にガラスシート12の周囲を取り囲んで延びている。キャリア26は、取付けストリップ60に接続された結合ストリップ58を含む。図示の実施形態では、結合ストリップ58は、取付けストリップ60に対して実質的に垂直に(例えば、10°以内で)配置される。結合ストリップ58は、接着剤24によってガラスシート12に取り付けられるように構成されている。
図13A~
図13Cの実施形態では、取付けストリップ60は、複数の開口62を含み、キャリア26を車両内装システムのフレームに結合するために、これらの複数の開口62を通ってファスナ64を挿入することができる。
【0035】
図14Aおよび
図14Bは、C字形のガラス物品40上のキャリア26の別の実施形態を示している(ただし、キャリア26は、V字形のガラス物品10とともに使用することもできる)。
図14Aに示したように、キャリア26は、ガラスシート12の側面30,34において第1のストリップ28および第2のストリップ32を含む。
図14Bに見られるように、ストリップ28のエッジ66は、ガラスシート12の第2の主面16に接着されている。
図14Bは、ストリップ28の高さHがストリップ28の厚さTsを大幅に超えることも示している。上記のように、より大きな高さH(例えば、少なくとも10mm)は、CTE不一致の結果としての撓みの量を減少させ、小さな厚さ(例えば、2mm未満)は、C字形のガラス物品40のベゼル36を減少させる。ストリップ28は、複数の開口62を含み、キャリア26を車両内装システムのフレームに結合するために、これらの複数の開口62を通ってファスナ64を挿入することができる。
図15Aおよび
図15Bは、車両内装システムのフレーム68に取り付けられた
図14Aおよび
図14Bのキャリア26を示している。
図14Bに示したように、ストリップ28の開口62を通って挿入されたファスナ64は、フレーム68に配置された対応する嵌合穴70と係合する。
【0036】
上で簡単に述べたように、ガラスシート12は、冷間成形法を介してキャリア26に結合される。冷間成形とは、湾曲領域20が、ガラスの軟化温度よりも低い温度でガラスシート12に導入されることを意味する。より具体的には、冷間成形は、200℃未満、100℃未満または室温でさえも行われる。冷間成形中に、ガラスシート12をキャリア26の形状に一致させるためにガラスシート12に圧力が加えられる。圧力は、真空圧、機械プレス、ローラなどの様々な異なる方法で加えられてよい。実施形態では、圧力は、接着剤24が硬化するまで(少なくともキャリア26からのガラスシート12の剥離を防止するのに十分に)ガラスシート12上に維持される。その後、ガラスシート12は、キャリア26に結合され、ガラス物品は、車両内装システムの一部として出荷および/または設置されてよい。
【0037】
次の段落では、ガラスシート12の様々な幾何学的特性およびガラスシートの組成が提供される。
図16を参照すると、ガラスシート12は、厚さT1を有し、この厚さT1は、実質的に一定であり、第1の主面14と第2の主面16との間の距離として規定される。様々な実施形態では、T1は、ガラスシートの平均厚さまたは最大厚さを指してよい。さらに、ガラスシート12は、厚さT1に対して直交する、第1または第2の主面14,16のうちの一方の第1の最大寸法として規定された幅W1と、厚さおよび幅の両方に対して直交する、第1または第2の主面のうちの一方の第2の最大寸法として規定された長さL1とを含む。その他の実施形態では、W1およびL1は、それぞれ、ガラスシート12の平均幅および平均長さであってよく、その他の実施形態では、W1およびL1は、それぞれ、ガラスシート12の最大幅および最大長さであってよい(例えば、可変の幅または長さを有するガラスシート14の場合)。
【0038】
様々な実施形態において、厚さT1は2mm以下であり、具体的には0.3mm~1.1mmである。例えば、厚さT1は、約0.1mm~約1.5mm、約0.15mm~約1.5mm、約0.2mm~約1.5mm、約0.25mm~約1.5mm、約0.3mm~約1.5mm、約0.35mm~約1.5mm、約0.4mm~約1.5mm、約0.45mm~約1.5mm、約0.5mm~約1.5mm、約0.55mm~約1.5mm、約0.6mm~約1.5mm、約0.65mm~約1.5mm、約0.7mm~約1.5mm、約0.1mm~約1.4mm、約0.1mm~約1.3mm、約0.1mm~約1.2mm、約0.1mm~約1.1mm、約0.1mm~約1.05mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約0.95mm、約0.1mm~約0.9mm、約0.1mm~約0.85mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.75mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mm~約0.65mm、約0.1mm~約0.6mm、約0.1mm~約0.55mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約0.4mmまたは約0.3mm~約0.7mmの範囲であってよい。その他の実施形態では、T1は、この段落に記載されている正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0039】
様々な実施形態において、幅W1は、5cm~250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cmまたは約5cm~約75cmの範囲である。その他の実施形態では、W1は、この段落に記載されている正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0040】
様々な実施形態では、長さL1は、約5cm~約1500cm、約50cm~約1500cm、約100cm~約1500cm、約150cm~約1500cm、約200cm~約1500cm、約250cm~約1500cm、約300cm~約1500cm、約350cm~約1500cm、約400cm~約1500cm、約450cm~約1500cm、約500cm~約1500cm、約550cm~約1500cm、約600cm~約1500cm、約650cm~約1500cm、約650cm~約1500cm、約700cm~約1500cm、約750cm~約1500cm、約800cm~約1500cm、約850cm~約1500cm、約900cm~約1500cm、約950cm~約1500cm、約1000cm~約1500cm、約1050cm~約1500cm、約1100cm~約1500cm、約1150cm~約1500cm、約1200cm~約1500cm、約1250cm~約1500cm、約1300cm~約1500cm、約1350cm~約1500cm、約1400cm~約1500cmまたは約1450cm~約1500cmの範囲である。その他の実施形態では、L1は、この段落に記載された正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0041】
様々な実施形態において、ガラスシート12の1つ以上の曲率半径(例えば、
図2Aおよび
図3Aに示されるR)は、約20mm以上である。例えば、Rは、約20mm~約10,000mm、約30mm~約10,000mm、約40mm~約10,000mm、約50mm~約10,000mm、約60mm~約10,000mm、約70mm~約10,000mm、約80mm~約10,000mm、約90mm~約10,000mm、約100mm~約10,000mm、約120mm~約10,000mm、約140mm~約10,000mm、約150mm~約10,000mm、約160mm~約10,000mm、約180mm~約10,000mm、約200mm~約10,000mm、約220mm~約10,000mm、約240mm~約10,000mm、約250mm~約10,000mm、約260mm~約10,000mm、約270mm~約10,000mm、約280mm~約10,000mm、約290mm~約10,000mm、約300mm~約10,000mm、約350mm~約10,000mm、約400mm~約10,000mm、約450mm~約10,000mm、約500mm~約10,000mm、約550mm~約10,000mm、約600mm~約10,000mm、約650mm~約10,000mm、約700mm~約10,000mm、約750mm~約10,000mm、約800mm~約10,000mm、約900mm~約10,000mm、約950mm~約10,000mm、約1000mm~約10,000mm、約1250mm~約10,000mm、約20mm~約1400mm、約20mm~約1300mm、約20mm~約1200mm、約20mm~約1100mm、約20mm~約1000mm、約20mm~約950mm、約20mm~約900mm、約20mm~約850mm、約20mm~約800mm、約20mm~約750mm、約20mm~約700mm、約20mm~約650mm、約20mm~約600mm、約20mm~約550mm、約20mm~約500mm、約20mm~約450mm、約20mm~約400mm、約20mm~約350mm、約20mm~約300mmまたは約20mm~約250mmの範囲であってよい。その他の実施形態では、R1は、この段落に記載された正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0042】
車両内装システムの様々な実施形態は、列車、自動車(例えば、乗用車、トラック、バスなど)、船舶(ボート、船、潜水艦など)および航空機(例えば、ドローン、飛行機、ジェット機、ヘリコプターなど)の車両に組み込まれてよい。
【0043】
強化ガラスの特性
上記のように、ガラスシート12は強化されてよい。1つ以上の実施形態では、ガラスシート12は、表面から圧縮深さ(DOC)まで延びる圧縮応力を含むように強化されてよい。圧縮応力領域は、引張応力を示す中央部分によってバランスがとられている。DOCでは、応力は正の(圧縮)応力から負の(引張)応力に移行する。
【0044】
様々な実施形態において、ガラスシート12は、圧縮応力領域と引張応力を示す中央領域とを形成するために、物品の部分間の熱膨張率の不一致を利用することによって機械的に強化されてよい。幾つかの実施形態では、ガラスを、ガラス転移点より高い温度に加熱し、次に急速に急冷することによって、ガラスシートが熱的に強化されてよい。
【0045】
様々な実施形態において、ガラスシート12は、イオン交換によって化学的に強化されてよい。イオン交換プロセスでは、ガラスシートの表面におけるまたはその近くのイオンが、同じ原子価または酸化状態を有するより大きなイオンに置き換えられる(またはそれと交換される)。ガラスシートがアルカリアルミノケイ酸塩ガラスを含む実施形態では、物品の表面層のイオンおよびより大きなイオンは、Li+、Na+、K+、Rb+およびCs+などの一価アルカリ金属カチオンである。その代わりに、表面層における一価カチオンは、Ag+などのアルカリ金属カチオン以外の一価カチオンで置き換えられてよい。このような実施形態では、ガラスシート中に交換された一価のイオン(または陽イオン)が応力を生じる。
【0046】
イオン交換プロセスは、通常、ガラスシート内の小さなイオンと交換される、より大きなイオンを含む溶融塩浴(または2つ以上の溶融塩浴)にガラスシートを浸すことによって行われる。水性塩浴が利用されてもよいことに留意すべきである。さらに、浴の組成は、複数のタイプのより大きなイオン(例えば、Na+およびK+)または単一のより大きなイオンを含んでよい。浴の組成および温度、浸漬時間、塩浴(または複数の浴)へのガラスシートの浸漬の回数、複数の塩浴の使用、アニーリング、洗浄などの追加のステップ、を含むがこれらに限定されない、イオン交換プロセスのパラメータは、一般に、ガラスシートの組成(物品の構造および存在するあらゆる結晶相を含む)および強化の結果として生じるガラスシートの所望のDOCおよびCSによって決定されることが、当業者によって認められるであろう。例示的な溶融浴組成は、より大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩および塩化物を含んでよい。典型的な硝酸塩は、KNO3、NaNO3、LiNO3、NaSO4およびそれらの組合せを含む。溶融塩浴の温度は、通常、約380℃~約450℃の範囲であり、浸漬時間は、ガラスシートの厚さ、浴温度およびガラス(または一価イオン)の拡散性に応じて、約15分~約100時間の範囲である。しかしながら、上記とは異なる温度および浸漬時間が使用されてもよい。
【0047】
1つ以上の実施態様では、ガラスシートは、約370℃~約480℃の温度を有する、100%NaNO3、100%KNO3またはNaNO3およびKNO3の組合せの溶融塩浴に浸漬されてよい。幾つかの実施形態では、ガラスシートは、5%~90%のKNO3および約10%~約95%のNaNO3を含む、溶融混合塩浴に浸漬されてよい。1つ以上の実施態様では、ガラスシートは、第1の浴に浸漬された後、第2の浴に浸漬されてよい。第1および第2の浴は、互いに異なる組成および/または温度を有してよい。第1および第2の浴への浸漬時間は変化してよい。例えば、第1の浴への浸漬は、第2の浴への浸漬よりも長くてよい。
【0048】
1つ以上の実施形態では、ガラスシートは、約420℃よりも低い温度(例えば、約400℃または約380℃)を有するNaNO3およびKNO3(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む溶融混合塩浴に、約5時間未満またはさらには約4時間以下だけ浸漬させられてよい。
【0049】
イオン交換条件は、「スパイク」を提供するようにまたは結果として得られるガラスシートの表面におけるまたはその近くの応力分布の傾きを増大させるように、調整することができる。スパイクは、より大きな表面CS値を生じてよい。このスパイクは、単一の浴または複数の浴によって達成することができ、浴は、本明細書で説明されたガラスシートにおいて使用されるガラス組成の独特の特性により、単一の組成または混合された組成を有する。
【0050】
2つ以上の一価イオンがガラスシート内へ交換される1つ以上の実施形態では、異なる一価イオンは、ガラスシート内の異なる深さに交換されてよい(かつ異なる深さにおいてガラスシート内に異なる大きさの応力を生じる)。応力を生じるイオンの、結果として生じる相対的な深さを決定することができ、これらの深さは、応力分布の様々な特性を生じることができる。
【0051】
CSは、Orihara Industrial Co, Ltd.(日本)によって製造されたFSM-6000などの市販の機器を使用する表面応力計(FSM)などの、当技術分野で知られている手段を使用して測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存する。次に、SOCは、ファイバーおよび4点曲げ法ならびにバルクシリンダー法などの当技術分野で知られている方法によって測定され、ファイバーおよび4点曲げ法は両方とも、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題されたASTM規格C770-98 (2013)に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に援用される。本明細書で使用される場合、CSは、圧縮応力層内で測定された最も高い圧縮応力値である「最大圧縮応力」であってよい。幾つかの実施形態では、最大圧縮応力は、ガラスシートの表面に位置する。その他の実施形態では、最大圧縮応力は、表面下のある深さで生じてよく、圧縮分布に「埋もれたピーク」の外観を与える。
【0052】
DOCは、強化方法および条件に応じて、FSMによって、または散乱光偏光器(SCALP)(エストニア、タリンに所在のGlastress Ltd.から入手可能なSCALP-04散乱光偏光器など)によって測定されてよい。ガラスシートがイオン交換処理によって化学的に強化される場合、どのイオンがガラスシート内へ交換されるかに応じて、FSMまたはSCALPが使用されてよい。ガラスシートにおける応力が、ガラスシートにカリウムイオンを交換することにより生じる場合、DOCを測定するためにFSMが使用される。応力が、ガラスシートにナトリウムイオンを交換することにより生じる場合、DOCを測定するためにSCALPが使用される。ガラスシートにおける応力が、ガラス中にカリウムイオンおよびナトリウムイオンの両方を交換することにより生じる場合、DOCはSCALPによって測定される。なぜならば、ナトリウムの交換深さがDOCを示し、カリウムイオンの交換深さが、(圧縮から引張への応力の変化ではなく)圧縮応力の大きさの変化を示しているからである。このようなガラスシートにおけるカリウムイオンの交換深さは、FSMによって測定される。中央張力、すなわちCTは、最大引張応力であり、SCALPによって測定される。
【0053】
1つ以上の実施形態では、ガラスシートは、(本明細書に記載されるように)ガラスシート12の厚さT1の割合として記載されるDOCを示すように強化されてよい。例えば、1つ以上の実施形態では、DOCは、約0.05T1以上、約0.1T1以上、約0.11T1以上、約0.12T1以上、約0.13T1以上、約0.14T1以上、約0.15T1以上、約0.16T1以上、約0.17T1以上、約0.18T1以上、約0.19T1以上、約0.2T1以上、約0.21T1以上であってよい。幾つかの実施形態では、DOCは、約0.08T1~約0.25T1、約0.09T1~約0.25T1、約0.18T1~約0.25T1、約0.11T1~約0.25T1、約0.12T1~約0.25T1、約0.13T1~約0.25T1、約0.14T1~約0.25T1、約0.15T1~約0.25T1、約0.08T1~約0.24T1、約0.08T1~約0.23T1、約0.08T1~約0.22T1、約0.08T1~約0.21T1、約0.08T1~約0.2T1、約0.08T1~約0.19T1、約0.08T1~約0.18T1、約0.08T1~約0.17T1、約0.08T1~約0.16T1または約0.08T1~約0.15T1の範囲であってよい。幾つかの例では、DOCは、約20μm以下であってよい。1つ以上の実施形態では、DOCは、約40μm以上であってよい(例えば、約40μm~約300μm、約50μm~約300μm、約60μm~約300μm、約70μm~約300μm、約80μm~約300μm、約90μm~約300μm、約100μm~約300μm、約110μm~約300μm、約120μm~約300μm、約140μm~約300μm、約150μm~約300μm、約40μm~約290μm、約40μm~約280μm、約40μm~約260μm、約40μm~約250μm、約40μm~約240μm、約40μm~約230μm、約40μm~約220μm、約40μm~約210μm、約40μm~約200μm、約40μm~約180μm、約40μm~約160μm、約40μm~約150μm、約40μm~約140μm、約40μm~約130μm、約40μm~約120μm、約40μm~約110μmまたは約40μm~約100μm)。その他の実施形態では、DOCは、この段落に記載されている正確な数値範囲のいずれか1つに含まれる。
【0054】
1つ以上の実施形態では、強化ガラスシートは、約200MPa以上、300MPa以上、400MPa以上、約500MPa以上、約600MPa以上、約700MPa以上、約800MPa以上、約900MPa以上、約930MPa以上、約1000MPa以上または約1050MPa以上のCS(ガラスシート内の表面またはある深さにおいて見られてよい)を有してよい。
【0055】
1つ以上の実施形態では、強化ガラスシートは、約20MPa以上、約30MPa以上、約40MPa以上、約45MPa以上、約50MPa以上、約60MPa以上、約70MPa以上、約75MPa以上、約80MPa以上または約85MPa以上の最大引張応力または中心張力(CT)を有してよい。幾つかの実施形態では、最大引張応力または中心張力(CT)は、約40MPa~約100MPaの範囲であってよい。その他の実施形態では、CSは、この段落に記載されている正確な数値範囲内にある。
【0056】
ガラス組成
ガラスシート12において使用するのに適したガラス組成は、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラスおよびアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスを含む。
【0057】
別段の定めがない限り、本明細書に開示されるガラス組成は、酸化物ベースで分析されるモルパーセント(モル%)で記載されている。
【0058】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約66モル%~約80モル%、約67モル%~約80モル%、約68モル%~約80モル%、約69モル%~約80モル%、約70モル%~約80モル%、約72モル%~約80モル%、約65モル%~約78モル%、約65モル%~約76モル%、約65モル%~約75モル%、約65モル%~約74モル%、約65モル%~約72モル%または約65モル%~約70モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のSiO2を含んでよい。
【0059】
1つ以上の実施態様では、ガラス組成は、約4モル%よりも大きいまたは約5モル%よりも大きい量のAl2O3を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約7モル%超~約15モル%、約7モル%超~約14モル%、約7モル%~約13モル%、約4モル%~約12モル%、約7モル%~約11モル%、約8モル%~約15モル%、約9モル%~約15モル%、約10モル%~約15モル%、約11モル%~約15モル%または約12モル%~約15モル%およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のAl2O3を含む。1つ以上の実施態様では、Al2O3の上限は、約14モル%、14.2モル%、14.4モル%、14.6モル%または14.8モル%であってよい。
【0060】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、アルミノケイ酸塩ガラス物品として、またはアルミノケイ酸塩ガラス組成を含むものとして説明される。このような実施形態では、ガラス組成またはそれから形成された物品は、SiO2およびAl2O3を含み、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスではない。これに関して、ガラス組成またはそれから形成された物品は、約2モル%以上、2.25モル%以上、2.5モル%以上、約2.75モル%以上、約3モル%以上の量のAl2O3を含む。
【0061】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、B2O3(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1~モル%~約4モル%、約0.1モル%~約3モル%、約0.1モル%~約2モル%、約0.1モル%~約1モル%、約0.1モル%~約0.5モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のB2O3を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、B2O3を実質的に含まない。
【0062】
本明細書で使用される場合、組成の成分に関して「実質的にない」という語句は、最初のバッチ処理中にその成分が組成に能動的または意図的に添加されないが、約0.001モル%未満の量で不純物として存在してよいことを意味する。
【0063】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、選択的に、P2O5(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、最大で2モル%、1.5モル%、1モル%または0.5モル%でかつこれらを含む非ゼロ量のP2O5を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は実質的にP2O5を含まない。
【0064】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約8モル%以上、約10モル%以上または約12モル%以上の、R2Oの総量(これは、Li2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oなどのアルカリ金属酸化物の総量である)を含んでよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%または11モル%~約13モル%の範囲ならびにその間の全ての範囲および部分範囲のR2Oの総量を含む。1つ以上の実施態様では、ガラス組成は、Rb2O、Cs2OまたはRb2OおよびCs2Oの両方を実質的に含まなくてよい。1つ以上の実施形態では、R2Oは、Li2O、Na2OおよびK2Oのみの総量を含んでよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、Li2O、Na2OおよびK2Oから選択された少なくとも1つのアルカリ金属酸化物を含んでよく、アルカリ金属酸化物は、約8モル%以上の量で存在する。
【0065】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約8モル%以上、約10モル%以上または約12モル%以上の量のNa2Oを含む。1つ以上の実施形態では、組成は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%または11モル%~約16モル%ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲のNa2Oを含む。
【0066】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約4モル%未満のK2O、約3モル%未満のK2Oまたは約1モル%未満のK2Oを含む。幾つかの例では、ガラス組成は、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3.5モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2.5モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0モル%~約0.2モル%、約0モル%~約0.1モル%、約0.5モル%~約4モル%、約0.5モル%~約3.5モル%、約0.5モル%~約3モル%、約0.5モル%~約2.5モル%、約0.5モル%~約2モル%、約0.5モル%~約1.5モル%または約0.5モル%~約1モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のK2Oを含んでよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、実質的にK2Oを含まなくてよい。
【0067】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、実質的にLi2Oを含まない。
【0068】
1つ以上の実施形態では、組成中のNa2Oの量は、Li2Oの量よりも大きくてよい。幾つかの例では、Na2Oの量は、Li2OおよびK2Oの組み合わされた量よりも大きくてよい。1つ以上の代替的な実施形態では、組成中のLi2Oの量は、Na2Oの量またはNa2OおよびK2Oの組み合わされた量よりも大きくてよい。
【0069】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0モル%~約2モル%の範囲のROの総量(これは、CaO、MgO、BaO、ZnOおよびSrOなどのアルカリ土類金属酸化物の総量である)を含んでよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成は、最大で約2モル%の非ゼロ量のROを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0モル%~約1.8モル%、約0モル%~約1.6モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1.4モル%、約0モル%~約1.2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.8モル%、約0モル%~約0.5モル%ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のROを含む。
【0070】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約1モル%未満、約0.8モル%未満または約0.5モル%未満の量のCaOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は実質的にCaOを含まない。
【0071】
幾つかの実施形態では、ガラス組成は、約0モル%~約7モル%、約0モル%~約6モル%、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0.1モル%~約7モル%、約0.1モル%~約6モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約1モル%~約7モル%、約2モル%~約6モル%または約3モル%~約6モル%ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のMgOを含む。
【0072】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のZrO2を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲のZrO2を含む。
【0073】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のSnO2を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲のSnO2を含む。
【0074】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、ガラス物品に色または色合いを与える酸化物を含んでよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成は、ガラス物品が紫外放射に曝されたときにガラス物品の変色を防ぐ酸化物を含む。このような酸化物の例は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、WおよびMoの酸化物を含むが、これらに限定されない。
【0075】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、Fe2O3として表されるFeを含み、Feは、最大で約1モル%(および約1モル%を含む)の量で存在する。幾つかの実施形態では、ガラス組成は実質的にFeを含まない。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のFe2O3を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲のFe2O3を含む。
【0076】
ガラス組成がTiO2を含む場合、TiO2は、約5モル%以下、約2.5モル%以下、約2モル%以下または約1モル%以下の量で存在してよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成は、実質的にTiO2を含まなくてよい。
【0077】
例示的なガラス組成は、約65モル%~約75モル%の範囲の量のSiO2、約8モル%~約14モル%の範囲の量のAl2O3、約12モル%~約17モル%の範囲の量のNa2O、約0モル%~約0.2モル%の範囲の量のK2Oおよび約1.5モル%~約6モル%の範囲の量のMgOを含む。選択的に、SnO2が、本明細書にさもなければ開示された量で含まれてよい。前記ガラス組成の段落はおおよその範囲を表すが、その他の実施形態では、ガラスシート12は、上記の正確な数値範囲のいずれか1つに該当するあらゆるガラス組成から形成されてよいことが理解されるべきである。
【0078】
本開示の態様(1)は、湾曲したガラス物品であって、第1の主面および第2の主面を備えるガラスシートであって、第2の主面は、第1の主面とは反対側にあり、第1の主面および第2の主面は、相互間に厚さを規定している、ガラスシートと、曲率およびキャリア材料を含むキャリアであって、キャリア材料は、8(10-6)/℃~40(10-6)/℃の熱膨張率(CTE)を有する、キャリアと、を備え、ガラスシートは、ガラスシートがキャリアの曲率に一致するように、キャリアに接着されている、湾曲したガラス物品に関する。
【0079】
本開示の態様(2)は、キャリアは、ガラスシートの第1の側面に沿った第1のストリップと、ガラスシートの第2の側面に沿った第2のストリップとを備える、態様(1)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0080】
本開示の態様(3)は、キャリアは、第1のストリップから第2のストリップまで延びる少なくとも1つの補強ストリップをさらに備える、態様(2)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0081】
本開示の態様(4)は、キャリア材料は、鋼合金である、態様(1)から(3)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0082】
本開示の態様(5)は、鋼合金は、ステンレス鋼合金または亜鉛めっき鋼合金である、態様(4)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0083】
本開示の態様(6)は、キャリア材料は、繊維強化複合材料である、態様(1)から(3)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0084】
本開示の態様(7)は、繊維強化複合材料は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維またはグラファイト繊維のうちの少なくとも1つを含み、繊維強化複合材料は、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルケトンケトン、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリプロピレンまたはフェノール樹脂のうちの少なくとも1つを含む、態様(6)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0085】
本開示の態様(8)は、繊維強化複合材料は、ガラス繊維およびエポキシ樹脂を含み、ガラス繊維は、繊維強化複合材料の0.38~0.52の体積分率を含む、態様(7)記載の湾曲したガラス製品に関する。
【0086】
本開示の態様(9)は、湾曲したガラス物品は、V字形である、態様(1)から(8)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0087】
本開示の態様(10)は、湾曲したガラス物品は、C字形である、態様(1)から(8)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0088】
本開示の態様(11)は、曲率は、20mm~10,000mmの半径を有する、態様(1)から(10)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス製品に関する。
【0089】
本開示の態様(12)は、ガラスシートは、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラスおよびアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスのうちの少なくとも1つを含む、態様(1)から(11)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0090】
本開示の態様(13)は、ガラスシートは、0.4mm~2.0mmの厚さを有する、態様(1)から(12)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0091】
本開示の態様(14)は、第1の主面または第2の主面のうちの少なくとも一方は、表面処理を含む、態様(1)から(13)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0092】
本開示の態様(15)は、表面処理は、色合いフィルム、顔料設計、アンチグレア処理、反射防止コーティングおよび清掃容易コーティングのうちの少なくとも1つである、態様(14)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0093】
本開示の態様(16)は、キャリアは、ガラスシートの少なくとも1つの側面に接着されたセグメント化されたストリップを備える、態様(1)から(15)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0094】
本開示の態様(17)は、セグメント化されたストリップは、キャリアを車両内装システムのフレームに接続するように構成された複数の戻り止めと、ガラスシートの第2の主面に接着された複数の結合面とを含み、セグメント化されたストリップは、その長さに沿ってジグザグ構造を形成している、態様(16)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0095】
本開示の態様(18)は、セグメント化されたストリップは、キャリアを車両内装システムのフレームに接続するように構成されたフック部材と、ガラスシートの第2の主面に接着された複数の結合面と、セグメント化されたストリップの長さに沿って周期的に離間させられた複数のスロットとを含む、態様(16)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0096】
本開示の態様(19)は、キャリアは、少なくとも1つのストリップを備え、少なくとも1つのストリップは、ガラスシートの第2の主面に接着された結合面と、キャリアを車両内装システムのフレームに結合するファスナを受け入れるように構成された複数の開口を備える取付け面とを有し、取付け面は、結合面に対して実質的に垂直に配置されている、態様(1)から(15)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0097】
本開示の態様(20)は、ガラスシートの第2の主面に取り付けられた少なくとも1つのディスプレイをさらに備える、態様(1)から(19)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0098】
本開示の態様(21)は、少なくとも1つのディスプレイは、発光ダイオードディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイのうちの少なくとも1つを含む、態様(20)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0099】
本開示の態様(22)は、湾曲したガラス物品であって、
第1の主面および第2の主面を備えるガラスシートであって、第2の主面は、第1の主面とは反対側にあり、第1の主面および第2の主面は、相互間に厚さを規定している、ガラスシートと、曲率を含むキャリアと、ガラスシートがキャリアの曲率に一致するように、ガラスシートの第2の主面をキャリアに結合する接着剤と、を備え、接着剤は、結合強度を有し、組み合わされた応力が、ガラスシートを曲率に一致させるための曲げ応力と、ガラスシートおよびキャリアを室温から75℃だけ加熱した結果として生じる膨張の差によって生じる剪断応力とを含み、組み合わされた応力は、結合強度よりも小さい、湾曲したガラス物品に関する。
【0100】
本開示の態様(23)は、組み合わされた応力は、1.4MPa以下である、態様(22)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0101】
本開示の態様(24)は、結合強度は、最大で0.6MPaである、態様(22)または(23)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0102】
本開示の態様(25)は、キャリアは、8(10-6)/℃~40(10-6)/℃の熱膨張率を有するキャリア材料を含む、態様(22)から(24)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0103】
本開示の態様(26)は、キャリア材料は、鋼合金である、態様(25)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0104】
本開示の態様(27)は、キャリア材料は、鉄ニッケル合金、アルミニウムおよびその合金またはマグネシウムおよびその合金のうちの1つである、態様(25)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0105】
本開示の態様(28)は、鋼合金は、ステンレス鋼合金または亜鉛めっき鋼合金である、態様(26)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0106】
本開示の態様(29)は、キャリア材料は、繊維強化複合材料である、態様(25)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0107】
本開示の態様(30)は、繊維強化複合材料は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維またはグラファイト繊維のうちの少なくとも1つを含み、繊維強化複合材料は、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルケトンケトン、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリプロピレンまたはフェノール樹脂のうちの少なくとも1つを含む、態様(29)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0108】
本開示の態様(31)は、繊維強化複合材料は、ガラス繊維およびエポキシ樹脂を含み、ガラス繊維は、繊維強化複合材料の0.38~0.52の体積分率を含む、態様(30)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0109】
本開示の態様(32)は、湾曲したガラス物品は、V字形である、態様(22)から(31)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0110】
本開示の態様(33)は、湾曲したガラス物品は、C字形である、態様(22)から(31)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0111】
本開示の態様(34)は、曲率は、20mm~10,000mmの半径を有する、態様(22)から(33)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0112】
本開示の態様(35)は、ガラスシートは、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラスおよびアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスのうちの少なくとも1つを含む、態様(22)から(34)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0113】
本開示の態様(36)は、ガラスシートは、0.4mm~2.0mmの厚さを有する、態様(22)から(35)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0114】
本開示の態様(37)は、第1の主面または第2の主面のうちの少なくとも一方は、表面処理を含む、態様(22)から(36)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0115】
本開示の態様(38)は、表面処理は、色合いフィルム、顔料設計、アンチグレア処理、反射防止コーティングおよび清掃容易コーティングのうちの少なくとも1つである、態様(37)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0116】
本開示の態様(39)は、キャリアは、ガラスシートの少なくとも1つの側面に接着されたセグメント化されたストリップを備える、態様(22)から(38)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0117】
本開示の態様(40)は、セグメント化されたストリップは、キャリアを車両内装システムのフレームに接続するように構成された複数の戻り止めと、ガラスシートの第2の主面に接着された複数の結合面とを含み、セグメント化されたストリップは、その長さに沿ってジグザグ構造を形成している、態様(22)から(39)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0118】
本開示の態様(41)は、セグメント化されたストリップは、キャリアを車両内装システムのフレームに接続するように構成されたフック部材と、ガラスシートの第2の主面に接着された複数の結合面と、セグメント化されたストリップの長さに沿って周期的に離間させられた複数のスロットとを含む、態様(39)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0119】
本開示の態様(42)は、キャリアは、少なくとも1つのストリップを備え、少なくとも1つのストリップは、ガラスシートの第2の主面に接着された結合面と、キャリアを車両内装システムのフレームに結合するファスナを受け入れるように構成された複数の開口を備える取付け面とを有し、取付け面は、結合面に対して実質的に垂直に配置されている、態様(22)から(41)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0120】
本開示の態様(43)は、ガラスシートの第2の主面に取り付けられた少なくとも1つのディスプレイをさらに備える、態様(22)から(42)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0121】
本開示の態様(44)は、少なくとも1つのディスプレイは、発光ダイオードディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイのうちの少なくとも1つを含む、態様(43)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0122】
別段の明示的な定めがない限り、本明細書に記載されている方法は、そのステップが特定の順序で実行されることを要求すると解釈されることは決して意図していない。したがって、方法の請求項が、そのステップによって辿られるべき順序を実際に記載していない場合またはステップが特定の順序に限定されることが請求項または詳細な説明に別段具体的に記載されていない場合、特定の順序が推測されることは決して意図していない。さらに、本明細書において使用される場合、冠詞「a」は、1つまたは2つ以上の構成要素または要素を含むことを意図しており、1つだけを意味すると解釈されることを意図していない。
【0123】
開示された実施形態の思想または範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることは当業者には明らかであろう。実施形態の思想および実体を組み込んだ開示された実施形態の修正、コンビネーション、サブコンビネーションおよび変更は、当業者に想起され得るので、開示された実施形態は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内の全てを含むと解釈されるべきである。
【0124】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0125】
実施形態1
湾曲したガラス物品であって、
第1の主面および第2の主面を備えるガラスシートであって、前記第2の主面は、前記第1の主面とは反対側にあり、前記第1の主面および前記第2の主面は、相互間に厚さを規定している、ガラスシートと、
曲率およびキャリア材料を含むキャリアであって、前記キャリア材料は、8(10-6)/℃~40(10-6)/℃の熱膨張率(CTE)を有する、キャリアと、
を備え、
前記ガラスシートは、前記ガラスシートが前記キャリアの前記曲率に一致するように、前記キャリアに接着されている、
湾曲したガラス物品。
【0126】
実施形態2
前記キャリアは、前記ガラスシートの第1の側面に沿った第1のストリップと、前記ガラスシートの第2の側面に沿った第2のストリップとを備える、実施形態1記載の湾曲したガラス物品。
【0127】
実施形態3
前記キャリアは、前記第1のストリップから前記第2のストリップまで延びる少なくとも1つの補強ストリップをさらに備える、実施形態2記載の湾曲したガラス物品。
【0128】
実施形態4
前記キャリア材料は、鋼合金である、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0129】
実施形態5
前記鋼合金は、ステンレス鋼合金または亜鉛めっき鋼合金である、実施形態4記載の湾曲したガラス物品。
【0130】
実施形態6
前記キャリア材料は、繊維強化複合材料である、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0131】
実施形態7
前記繊維強化複合材料は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維またはグラファイト繊維のうちの少なくとも1つを含み、前記繊維強化複合材料は、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルケトンケトン、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリプロピレンまたはフェノール樹脂のうちの少なくとも1つを含む、実施形態6記載の湾曲したガラス物品。
【0132】
実施形態8
前記繊維強化複合材料は、ガラス繊維およびエポキシ樹脂を含み、前記ガラス繊維は、前記繊維強化複合材料の0.38~0.52の体積分率を含む、実施形態7記載の湾曲したガラス製品。
【0133】
実施形態9
前記湾曲したガラス物品は、V字形である、実施形態1から8までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0134】
実施形態10
前記湾曲したガラス物品は、C字形である、実施形態1から8までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0135】
実施形態11
前記曲率は、20mm~10,000mmの半径を有する、実施形態1から10までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス製品。
【0136】
実施形態12
前記ガラスシートは、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラスおよびアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1から11までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0137】
実施形態13
前記ガラスシートは、0.4mm~2.0mmの厚さを有する、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0138】
実施形態14
前記第1の主面または前記第2の主面のうちの少なくとも一方は、表面処理を含む、請求項1から13までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0139】
実施形態15
前記表面処理は、色合いフィルム、顔料設計、アンチグレア処理、反射防止コーティングおよび清掃容易コーティングのうちの少なくとも1つである、実施形態14記載の湾曲したガラス物品。
【0140】
実施形態16
前記キャリアは、前記ガラスシートの少なくとも1つの側面に接着されたセグメント化されたストリップを備える、実施形態1から15までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0141】
実施形態17
前記セグメント化されたストリップは、前記キャリアを車両内装システムのフレームに接続するように構成された複数の戻り止めと、前記ガラスシートの前記第2の主面に接着された複数の結合面とを含み、前記セグメント化されたストリップは、その長さに沿ってジグザグ構造を形成している、実施形態16記載の湾曲したガラス物品。
【0142】
実施形態18
前記セグメント化されたストリップは、前記キャリアを車両内装システムのフレームに接続するように構成されたフック部材と、前記ガラスシートの前記第2の主面に接着された複数の結合面と、前記セグメント化されたストリップの長さに沿って周期的に離間させられた複数のスロットとを含む、実施形態16記載の湾曲したガラス物品。
【0143】
実施形態19
前記キャリアは、少なくとも1つのストリップを備え、前記少なくとも1つのストリップは、前記ガラスシートの前記第2の主面に接着された結合面と、前記キャリアを車両内装システムのフレームに結合するファスナを受け入れるように構成された複数の開口を備える取付け面とを有し、前記取付け面は、前記結合面に対して実質的に垂直に配置されている、実施形態1から15までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0144】
実施形態20
前記ガラスシートの前記第2の主面に取り付けられた少なくとも1つのディスプレイをさらに備える、実施形態1から19までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0145】
実施形態21
前記少なくとも1つのディスプレイは、発光ダイオードディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイのうちの少なくとも1つを含む、実施形態20記載の湾曲したガラス物品。
【0146】
実施形態22
湾曲したガラス物品であって、
第1の主面および第2の主面を備えるガラスシートであって、前記第2の主面は、前記第1の主面とは反対側にあり、前記第1の主面および前記第2の主面は、相互間に厚さを規定している、ガラスシートと、
曲率を含むキャリアと、
前記ガラスシートが前記キャリアの前記曲率に一致するように、前記ガラスシートの前記第2の主面を前記キャリアに結合する接着剤と、
を備え、
前記接着剤は、結合強度を有し、
組み合わされた応力が、前記ガラスシートを前記曲率に一致させるための曲げ応力と、前記ガラスシートおよび前記キャリアを室温から75℃だけ加熱した結果として生じる膨張の差によって生じる剪断応力とを含み、
前記組み合わされた応力は、前記結合強度よりも小さい、
湾曲したガラス物品。
【0147】
実施形態23
前記組み合わされた応力は、1.4MPa以下である、実施形態22記載の湾曲したガラス物品。
【0148】
実施形態24
前記結合強度は、最大で0.6MPaである、実施形態22または23記載の湾曲したガラス物品。
【0149】
実施形態25
前記キャリアは、8(10-6)/℃~40(10-6)/℃の熱膨張率を有するキャリア材料を含む、実施形態22から24までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0150】
実施形態26
前記キャリア材料は、鋼合金である、実施形態25記載の湾曲したガラス物品。
【0151】
実施形態27
前記キャリア材料は、鉄ニッケル合金、アルミニウムおよびその合金またはマグネシウムおよびその合金のうちの1つである、実施形態25記載の湾曲したガラス物品。
【0152】
実施形態28
前記鋼合金は、ステンレス鋼合金または亜鉛めっき鋼合金である、実施形態26記載の湾曲したガラス物品。
【0153】
実施形態29
前記キャリア材料は、繊維強化複合材料である、実施形態25記載の湾曲したガラス物品。
【0154】
実施形態30
前記繊維強化複合材料は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維またはグラファイト繊維のうちの少なくとも1つを含み、前記繊維強化複合材料は、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルケトンケトン、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリプロピレンまたはフェノール樹脂のうちの少なくとも1つを含む、実施形態29記載の湾曲したガラス物品。
【0155】
実施形態31
前記繊維強化複合材料は、ガラス繊維およびエポキシ樹脂を含み、前記ガラス繊維は、前記繊維強化複合材料の0.38~0.52の体積分率を含む、実施形態30記載の湾曲したガラス物品。
【0156】
実施形態32
前記湾曲したガラス物品は、V字形である、実施形態22から31までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0157】
実施形態33
前記湾曲したガラス物品は、C字形である、実施形態22から31までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0158】
実施形態34
前記曲率は、20mm~10,000mmの半径を有する、実施形態22から33までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0159】
実施形態35
前記ガラスシートは、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラスおよびアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスのうちの少なくとも1つを含む、実施形態22から34までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0160】
実施形態36
前記ガラスシートは、0.4mm~2.0mmの厚さを有する、実施形態22から35までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0161】
実施形態37
前記第1の主面または前記第2の主面のうちの少なくとも一方は、表面処理を含む、実施形態22から36までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0162】
実施形態38
前記表面処理は、色合いフィルム、顔料設計、アンチグレア処理、反射防止コーティングおよび清掃容易コーティングのうちの少なくとも1つである、実施形態37記載の湾曲したガラス物品。
【0163】
実施形態39
前記キャリアは、前記ガラスシートの少なくとも1つの側面に接着されたセグメント化されたストリップを備える、請求項22から38までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0164】
実施形態40
前記セグメント化されたストリップは、前記キャリアを車両内装システムのフレームに接続するように構成された複数の戻り止めと、前記ガラスシートの前記第2の主面に接着された複数の結合面とを含み、前記セグメント化されたストリップは、その長さに沿ってジグザグ構造を形成している、実施形態39記載の湾曲したガラス物品。
【0165】
実施形態41
前記セグメント化されたストリップは、前記キャリアを車両内装システムのフレームに接続するように構成されたフック部材と、前記ガラスシートの前記第2の主面に接着された複数の結合面と、前記セグメント化されたストリップの長さに沿って周期的に離間させられた複数のスロットとを含む、実施形態39記載の湾曲したガラス物品。
【0166】
実施形態42
前記キャリアは、少なくとも1つのストリップを備え、前記少なくとも1つのストリップは、前記ガラスシートの前記第2の主面に接着された結合面と、前記キャリアを車両内装システムのフレームに結合するファスナを受け入れるように構成された複数の開口を備える取付け面とを有し、前記取付け面は、前記結合面に対して実質的に垂直に配置されている、実施形態22から41までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0167】
実施形態43
前記ガラスシートの前記第2の主面に取り付けられた少なくとも1つのディスプレイをさらに備える、実施形態22から42までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0168】
実施形態44
前記少なくとも1つのディスプレイは、発光ダイオードディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイのうちの少なくとも1つを含む、実施形態43記載の湾曲したガラス物品。
【国際調査報告】