(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(54)【発明の名称】無脊椎動物を飼育するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A01K 67/033 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
A01K67/033 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021571986
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 NL2020050355
(87)【国際公開番号】W WO2020246878
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520220755
【氏名又は名称】プロティックス ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】PROTIX B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】デ ゲルダー, ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン, マウリッツ ペトリュス マルア
(72)【発明者】
【氏名】アーツ, キース ウィルヘルムス ペトリュス
(72)【発明者】
【氏名】バゼルマンス, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, エリック ホランド
(57)【要約】
無脊椎動物を飼育するためのシステムおよび方法が、複数のスタック(6)に配置された複数の枠箱(4)を利用することによって提供され、各スタック(6)の各枠箱(4)は、第1の壁(46)の吸気開口部(48)から各枠箱を通って各枠箱(4)の第1の壁(46)とは反対側の第2の壁(46)の排気開口部(48)に至る空気流路(80)を画定する。複数の枠箱(4)は、気候制御室(2)内に配置される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無脊椎動物を飼育するためのシステムであって、前記システムが、
少なくとも1つのスタックに配置された複数の枠箱であって、前記スタックの各枠箱が、第1の壁の吸気開口部から各枠箱を通って前記第1の壁とは反対側の第2の壁の排気開口部に至る空気流路を画定する、複数の枠箱と、
人工気候室であって、
壁、床および天井によって囲まれた内部容積部と、
前記内部容積部において第1の方向に延びる、排気口の第1の列と、
前記内部容積部において排気口の前記第1の列に平行に延びる、排気口の第2の列と、
排気口の前記第1の列と前記第2の列との間に位置し、それらと平行に延び、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向において排気口の前記第1の列および前記第2の列から離間した、吸気口の列と、
排気口の前記第1の列と吸気口の前記列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第1のスタックと、
排気口の前記第2の列と吸気口の前記列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第2のスタックと、
枠箱の前記第1のスタックと前記第2のスタックとの間において複数の前記吸気口の各々から延びる導管であって、前記導管が、各スタックの前記複数の枠箱の吸気開口部と整列するように構成された複数の導管開口部を備える、導管と
を備える、人工気候室とを備え、
前記枠箱が、前記空気流路が前記第1の方向に対して垂直に向けられた状態で配置される、システム。
【請求項2】
前記人工気候室が、前記人工気候室とともに前記第1の方向に延びる少なくとも1つの軌道をさらに備え、前記軌道が、第1の壁および第2の壁と、それらの間に画定された通路とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記軌道が、排気口の前記第1の列と吸気口の前記列との間に配置され、前記システムが、好ましくは、吸気口の前記列と排気口の前記第2の列との間に配置された第2の軌道を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの軌道が、通路によって互いに隔てられた一対の壁を含み、前記通路が、前記第1の方向に対して垂直な前記第2の方向に延び、任意には、枠箱の前記少なくとも1つのスタックが、前記空気流路が前記第1の方向に延びるように前記軌道上に配置される、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
各軌道が、前記通路の上方に枠箱のスタックの列を支持するように構成される、請求項2、3または4に記載のシステム。
【請求項6】
各軌道が、2×2の配列で配置された枠箱の4つのスタックを含むパレットを支持するように構成される、請求項2~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記一対の壁が、互いに平行に配置された中実の対向壁を含む、請求項4に記載の、または請求項4に従属する場合の請求項5または6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記壁の各々が中実壁であり、前記通路を隣接する溝部から隔てる、請求項4または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記人工気候室が複数の吸気口および複数の排気口をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの前記吸気口および/または少なくとも1つの前記排気口が前記人工気候室の天井に設けられる、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記人工気候室が複数の副室に分割される、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
各副室が、第1の側壁および第2の側壁と、第1の軌道および第2の軌道とを有し、
前記第1の軌道が第1の溝部によって前記第1の壁から隔てられ、
前記第1の軌道が第2の溝部によって前記第2の軌道から隔てられ、
前記第2の軌道が第3の溝部によって前記第2の壁から隔てられる、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の吸気口が前記第2の溝部の上方に配置され、前記複数の排気口が前記第1の溝部および前記第3の溝部の上方に配置される、請求項9に従属する場合の請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記吸気開口部と前記排気開口部との間の圧力勾配を維持するように構成された制御システムをさらに備え、空気が前記吸気開口部から前記人工気候室を通って前記排気開口部の外に流出するように、前記吸気開口部の圧力が前記排気開口部の圧力よりも高い、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の枠箱のうちの少なくとも1つの中の少なくとも1つの環境条件を測定するように構成された少なくとも1つのセンサをさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの環境条件が、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、圧力、および空気流のうちの1つ以上を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのセンサが前記枠箱の基部に配置される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の吸気口がダクトに沿って配置され、前記ダクトが、気候制御された空気が主吸気口を介して供給されるように構成される、請求項9に記載の、または請求項9に従属する場合の請求項1~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記ダクトの高さHが変化しており、前記ダクトの前記高さが、前記主吸気口からの距離が増加するにつれて減少する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムが、前記ダクトと流体連通する導管をさらに備え、前記導管が、両側に沿った複数の孔を備える可撓性導管である、請求項18または19に記載のシステム。
【請求項21】
前記人工気候室が固定構造体に設けられる、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記人工気候室が、可搬式コンテナ、例えば輸送コンテナ、冷凍車、貨物トレーラに設けられる、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記制御システムが、少なくとも1つのセンサによって検出された環境条件に基づいて、次のパラメータ、すなわち、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、前記吸気口および/または前記排気口の圧力、および空気流のうちの少なくとも1つを調節するように構成される、請求項14に記載の、または請求項14に従属する場合の請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記人工気候室が、前記少なくとも1つの軌道の開口端部に隣接して前記第2の方向に延びる少なくとも1つのレールをさらに備える、請求項2に従属する場合の請求項1~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つの軌道が、前記通路に対する直立壁の内面に棚部を備え、前記棚部が、ロボット装置または有人リフト装置が前記棚部に沿って走行することができる走行路を提供する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つのレールが、前記通路の前記開口端部の手前で垂直方向にロボット装置を搬送するように構成され、任意には、前記ロボット装置が、前記レールに沿って移動するように構成されたフレームまたはキャリヤを備え、前記少なくとも1つの軌道に沿って、または前記棚部によって前記通路に形成された前記走行路に沿って移動するように構成されたロボットユニットを備える、請求項24または25に記載のシステム。
【請求項27】
前記人工気候室が、前記少なくとも1つの軌道に沿って移動するように構成された少なくとも1つのロボット装置をさらに備える、請求項2に従属する場合の請求項1~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
自由に移動し、かつ
1つ以上の枠箱を枠箱の前記第1のスタックおよび/もしくは前記第2のスタックに配置するか、または、
1つ以上の枠箱を枠箱の前記第1のスタックおよび/もしくは前記第2のスタックから取り出す
ように構成された少なくとも1つのロボット装置をさらに備える、請求項1~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
無脊椎動物を飼育するための方法であって、前記方法が、
(i)複数の枠箱を用意するステップであって、各枠箱が、第1の壁の第1の開口部と、前記第1の開口部とは反対側の第2の壁の第2の開口部とを有して、前記第1の開口部と前記第2の開口部との間に第1の空気流路を画定する、ステップと、
(ii)前記複数の枠箱の各枠箱の少なくとも一部に基質および第1の発育段階の複数の無脊椎動物を入れるステップと、
(iii)前記複数の枠箱を積み重ねるステップと、
(iii)内部容積部を含む人工気候室を用意するステップであって、
前記人工気候室が、
壁、床および天井によって囲まれた内部容積部と、
前記内部容積部において第1の方向に延びる、排気口の第1の列と、
前記内部容積部において排気口の前記第1の列に平行に延びる、排気口の第2の列と、
排気口の前記第1の列と前記第2の列との間に位置し、それらと平行に延び、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向において排気口の前記第1の列および前記第2の列から離間した、吸気口の列と、
排気口の前記第1の列と吸気口の前記列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第1のスタックと、
排気口の前記第2の列と吸気口の前記列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第2のスタックと、
枠箱の前記第1のスタックと前記第2のスタックとの間において複数の前記吸気口の各々から延びる導管であって、前記導管が、各スタックの前記複数の枠箱の吸気開口部と整列するように構成された複数の導管開口部を備える、導管と
を備える、ステップと、
(iv)枠箱の少なくとも1つのスタックを配置するステップであって、前記空気流路が前記第1の方向に対して垂直に向けられ、かつ前記第2の方向に向けられた状態で、前記枠箱が配置される、ステップと、
(v)前記吸気口と前記排気口との間に圧力差を加えるステップと
を含む、方法。
【請求項30】
前記人工気候室が、前記人工気候室とともに前記第1の方向に延びる少なくとも1つの軌道をさらに備え、前記軌道が、第1の壁および第2の壁と、それらの間に画定された通路とを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの軌道が、排気口の前記第1の列と吸気口の前記列との間に配置され、前記システムが、好ましくは、吸気口の前記列と排気口の前記第2の列との間に配置された第2の軌道を備える、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの軌道が、通路によって互いに隔てられた一対の壁を含み、前記通路が、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に延び、任意には、枠箱の前記少なくとも1つのスタックが、前記空気流路が前記第1の方向に延びるように前記軌道上に配置される、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記一対の壁が、互いに平行に配置された中実の対向壁を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記壁の各々が中実壁であり、前記通路を隣接する溝部から隔てる、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、複数の吸気口および複数の排気口を用意するステップと、前記第1の方向に互いに整列した吸気口と排気口との間に少なくとも1つのスタックを配置するステップとをさらに含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、少なくとも1つのセンサを使用して、前記複数の枠箱のうちの1つ以上の中の環境条件を検知するステップをさらに含み、前記検知された環境条件が、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、圧力、および空気流のうちの1つ以上を含むことができる、請求項29~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記枠箱内の検知された環境条件に基づいて、次のパラメータ、すなわち、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、前記吸気口および/または前記排気口の圧力、および空気流のうちの少なくとも1つを制御するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、枠箱の複数のスタックを前記軌道に沿って列状に配置するステップをさらに含み、各スタックが、前記第2の方向において隣接するスタックに当接する、請求項30に従属する場合の請求項29~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記スタックが2×2の配列で配置される、請求項29~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの軌道に沿って移動するようにロボット装置を動作させるステップをさらに含み、前記ロボット装置が、
枠箱の少なくとも1つのスタックを前記軌道に沿って移動させ、
前記通路内の環境条件を検出し、
前記通路の上方に積み重ねられた少なくとも1つの枠箱から情報を読み取る
ように構成される、請求項29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
自由に移動し、かつ
1つ以上の枠箱を枠箱の前記第1のスタックおよび/もしくは前記第2のスタックに配置するか、または、
1つ以上の枠箱を枠箱の前記第1のスタックおよび/もしくは前記第2のスタックから取り出す
ようにロボット装置を動作させるステップをさらに含む、請求項29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記方法が、前記通路の開口端部の手前で前記第2の方向にロボット装置を搬送するステップをさらに含み、前記人工気候室が、前記少なくとも1つの軌道の開口端部に隣接して前記第2の方向に延び、前記ロボット装置を搬送するように構成された少なくとも1つのレールを備え、任意には、前記ロボット装置が、前記レールに沿って移動するように構成されたフレームまたはキャリヤを備え、前記少なくとも1つの軌道に沿って、または棚部によって前記通路に形成された走行路に沿って移動するように構成されたロボットユニットを備える、請求項30に従属する場合の請求項29~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記通路に対する直立壁の内面に棚部を備える前記少なくとも1つの軌道によって提供される前記走行路に沿って、ロボット装置または有人リフト装置を走行させるステップをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
請求項1~28のいずれか一項に記載のシステムおよび/または請求項29~43のいずれか一項に記載の方法で使用するように構成された無脊椎動物飼育用枠箱であって、前記枠箱が、基部と、前記基部の外周を画定する直立側壁および直立端壁と、前記枠箱の前記基部に配置された少なくとも1つのセンサ取付領域とを備える、無脊椎動物飼育用枠箱。
【請求項45】
前記基部が、前記枠箱の前記基部に配置された複数のセンサをさらに備える、請求項44に記載の無脊椎動物飼育用枠箱。
【請求項46】
前記枠箱が、その上縁面に少なくとも1つの突起をさらに備え、下縁領域に少なくとも1つの対応する凹部をさらに備え、前記凹部が、前記枠箱に積み重ねられた別の枠箱の突起を受けるように構成される、請求項44または45に記載の無脊椎動物飼育用枠箱。
【請求項47】
前記枠箱が、取り外し可能な識別タグ、例えばRFIDタグを受けるように構成された第1の受け部をさらに備える、請求項44~46のいずれか一項に記載の無脊椎動物飼育用枠箱。
【請求項48】
前記枠箱が、前記枠箱の反対側で対応する位置に配置された第2の受け部をさらに備え、それにより、前記枠箱が垂直軸線を中心に180度回転された場合に、前記第2の受け部の位置が前記第1の受け部の位置に対応するようになっている、請求項47に記載の無脊椎動物飼育用枠箱。
【請求項49】
前記第2の受け部が、識別タグ、例えばRFIDタグを含む、請求項48に記載の無脊椎動物飼育用枠箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気候制御された環境において、無脊椎動物、より具体的には昆虫を飼育するための方法およびシステムに関する。本発明はまた、方法およびシステムで使用するための枠箱に関する。
【背景技術】
【0002】
昆虫およびその幼虫は、動物性タンパク質飼料として使用することができ、この目的のために、昆虫を大規模に飼育することが望ましい場合がある。昆虫の大規模な生産および/または繁殖を行うためのシステムは、当技術分野で公知である。
【0003】
例えば、米国特許第5,158,497号明細書は、飛行する昆虫の制御された交配のための照明付きドームを開示している。国際公開第2014/171829号は、気候制御された環境において昆虫を繁殖させるための方法およびシステムを記載している。システムおよび方法は、昆虫および/または幼虫を収容するように構成された複数の積み重ねられた枠箱と、枠箱を通る空気流を制御するためのシステムとを含む。
【0004】
既知のシステムに関連する問題は、不適切な、もしくは一貫性のない気候制御、昆虫の封じ込めの問題、限られた観察能力、および破壊的な昆虫もしくは幼虫の「這い出し」(幼虫および/または昆虫が指定された領域から逃げる)を含む場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、昆虫飼育のための改良されたシステム、方法および枠箱を提供することによって、上述の問題の1つ以上を解決しようとするものである。
【0006】
したがって、本発明の第1の態様では、無脊椎動物を飼育するためのシステムが提供され、このシステムは、
少なくとも1つのスタックに配置された複数の枠箱であって、スタックの各枠箱が、第1の壁の吸気開口部から各枠箱を通って第1の壁とは反対側の第2の壁の排気開口部に至る空気流路を画定する、複数の枠箱と、
人工気候室であって、
壁、床および天井によって囲まれた内部容積部と、
内部容積部において第1の方向1STに延びる、排気口の第1の列と、
内部容積部において排気口の第1の列に平行に延びる、排気口の第2の列と、
排気口の第1の列と第2の列との間に位置し、それらと平行に延び、排気口の第1の列および第2の列から第1の方向1STに対して垂直な第2の方向2NDにおいて離間した、吸気口の列と、
排気口の第1の列と吸気口の列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第1のスタックと、
排気口の第2の列と吸気口の列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第2のスタックと、
枠箱の第1のスタックと第2のスタックとの間において複数の吸気口の各々から延びる導管であって、前記導管が、各スタックの複数の枠箱の吸気開口部と整列するように構成された複数の導管開口部を備える、導管と
を備える、人工気候室とを備え、
枠箱は、空気流路が第1の方向1STに対して垂直に向けられた状態で配置される。
【0007】
本発明のシステムは、昆虫、例えば生きている昆虫の幼虫、例えばアメリカミズアブ(black soldier fly,BSF)の幼虫などを成長させるための、厳密に制御されかつ自動化された環境を可能にする。特に、このシステムは、各枠箱内の環境条件の正確な制御を実現し、それによって各枠箱内の昆虫の規則的で一貫した予測可能な成長を保証し、したがって枠箱の各スタックの昆虫の一貫した予測可能な成長を保証する。
【0008】
本発明の第2の態様では、無脊椎動物を飼育するための方法が提供され、この方法は、
(i)複数の枠箱を用意するステップであって、各枠箱が、第1の壁の第1の開口部と、第1の開口部とは反対側の第2の壁の第2の開口部とを有して、第1の開口部と第2の開口部との間に第1の空気流路を画定する、ステップと、
(ii)複数の枠箱の各枠箱の少なくとも一部に基質および第1の発育段階の複数の無脊椎動物を入れるステップと、
(iii)複数の枠箱を積み重ねるステップと、
(iii)内部容積部を含む人工気候室を用意するステップであって、
人工気候室が、
壁、床および天井によって囲まれた内部容積部と、
内部容積部において第1の方向1STに延びる、排気口の第1の列と、
内部容積部において排気口の第1の列に平行に延びる、排気口の第2の列と、
排気口の第1の列と第2の列との間に位置し、それらと平行に延び、排気口の第1の列および第2の列から第1の方向に対して垂直な第2の方向2NDにおいて離間した、吸気口の列と、
排気口の第1の列と吸気口の列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第1のスタックと、
排気口の第2の列と吸気口の列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第2のスタックと、
枠箱の第1のスタックと第2のスタックとの間において複数の吸気口の各々から延びる導管であって、前記導管が、各スタックの複数の枠箱の吸気開口部と整列するように構成された複数の導管開口部を備える、導管と
を備える、ステップと、
(iv)枠箱の少なくとも1つのスタックを配置するステップであって、空気流路が第1の方向1STに対して垂直に向けられた状態で、枠箱が配置される、ステップと、
(v)吸気口と排気口との間に圧力差を加えるステップと
を含む。
【0009】
本発明の方法は、上述のシステムと同じ利点を提供し、すなわち、昆虫、例えば生きている昆虫の幼虫、例えば0~5日齢のBSF幼虫、または4~20日齢、例えば5~16日齢のBSF幼虫などの昆虫を成長させる厳密な制御および自動化を可能にする。本方法は、各枠箱内の環境条件の正確な制御を実現し、それによって各枠箱内の昆虫の規則的で一貫した予測可能な成長を保証し、したがって枠箱の各スタックの昆虫の一貫した予測可能な成長を保証する。
【0010】
したがって、本発明のシステムおよび方法を考慮すると、適切で一貫した気候制御が実現され、封じ込めの問題が排除されるかまたは大幅に低減され、観察能力が十分となるかまたは改善され、昆虫/幼虫の「這い出し」が防止されるかまたは緩和されるという点で、従来技術においてしばしば遭遇する問題に対処し、解決することができる。
【0011】
本発明の第3の態様では、上述のシステムおよび/または上述の方法で使用するように構成された無脊椎動物飼育用枠箱が提供され、枠箱は、基部と、基部の外周を画定する直立側壁および直立端壁と、枠箱の基部内の少なくとも1つのセンサ取付領域とを備える。
【0012】
本発明の無脊椎動物飼育用枠箱は、枠箱内の環境条件のより正確な監視を可能にし、したがって、枠箱は、適切で一貫した気候制御を達成するための上述のシステムおよび/または方法における使用に理想的に適している。さらに、枠箱は、昆虫/幼虫の「這い出し」を防止するため、および枠箱から這い出す幼虫によるシステムの汚染を防止するための上述のシステムおよび/または方法での使用に理想的に適している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の図面に示すように、本発明をいくつかの非限定的で例示的な例を参照して説明する。
【
図1A】複数の枠箱を含む、本発明の一実施形態による人工気候室を示す図である。
【
図1B】複数の吸気口18および排気口20を含む、本発明の一実施形態による
図1Aに示す人工気候室の上面図である。
【
図1C】枠箱4またはパレット8が軌道10上に配置されていない、本発明の一実施形態による
図1Aに示す人工気候室の内部容積部の上面図である。
【
図2B】通路を画定する2つの壁と、壁によって画定された空間内を移動するように構成されたロボット装置とを含む軌道の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による人工気候室を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による例示的なシステム1が
図1Aおよび
図1Bに示されており、
図1Aは、複数の枠箱4を収容するように構成された人工気候室2の正面図を示しており、
図1Bは、前記人工気候室2の上面図を示している。枠箱4はスタック6に配置される。図示の実施形態では、枠箱の各スタックはパレット8上に載置される。各パレット8は、2×2の配置で枠箱4の4つのスタックを受ける。しかし、パレット8は、5つより多い枠箱のスタックまたは4つ未満の枠箱のスタックを備えることができることが理解されよう。
【0015】
各パレット8は、通路14によって互いに隔てられた一対の直立壁12を含む軌道10上に載置される。直立壁12は、通路14の上方でパレット8を支持するように構成される。軌道10は、例えばパレット8を列状に配置することによって、1つ以上のパレット8を受けるように構成される。
【0016】
各軌道10は、溝部16によって、隣接する軌道10から隔てられている。各溝部16は、一対の直立壁12の一方を形成する直立壁12によって、隣接する通路14から隔てられている。このようにして、各々が溝部16によって互いに隔てられた一連の平行な軌道10を形成することができ、パレット8の各列の下に通路14が形成される。
【0017】
パレット8が省略され、枠箱4のスタックが軌道10上、例えば直立壁12上に直接載置されるように、システム1を構成することができることが理解されよう。しかし、このような実施形態では、枠箱の寸法は、軌道10を形成する直立壁12上に載置されるように、通路14の幅に十分にかかるものでなければならない。代替的には、通路10にまたがり、上方の枠箱6のスタックを支持するように、枠箱4を隣接する縁部44および/または46(例えば
図3Aを参照)に沿って互いに固定することができる。
【0018】
図1に示すように、人工気候室2は、略密閉容積を含む。室2へのアクセスは、開口部、例えば窓、ドア、アクセスシャフトを介して可能である。しかし、室2は、全てのアクセス位置(例えば、ドア、窓、ハッチ)が閉じられている場合、好ましくは略密閉容積である。室2は、固定建造物内の内部空間とすることができ、または可搬式構造体、例えば輸送コンテナ、冷凍車、貨物トレーラ、貨物航空機の内部容積部とすることができる。
【0019】
各室2は、複数の多列の積み重ねられた枠箱4を備えることができる。人工気候室2は、枠箱4内の気候条件を管理し、かつ制御するように構成された換気または気候制御システム84で構成される。枠箱内に保管された幼虫および/または昆虫を同一もしくは同様の速度で発育させるようにするために、枠箱4内の気候条件(例えば、温度、湿度)が厳密に制御される。
【0020】
気候制御システム1は、好ましくは、室2に気候制御された空気を導入するように構成された少なくとも1つの吸気口18と、室2から空気を抽出するように構成された少なくとも1つの排気口20とを備える。
【0021】
吸気口18は、好ましくは枠箱の第1の側に設けられ、排気口20は、好ましくは枠箱4の第2の側に設けられる。枠箱4のスタックの第1の側に吸気口18を設け、枠箱4のスタックの反対側に排気口20を設けることによって、枠箱4を通るかまたは横切る気候制御された空気の流れを達成することができる。
【0022】
また、
図3Aに示し、以下でより詳細に説明するように、交互に積み重ねられた複数の枠箱4を含むスタック6において、枠箱4の側壁の開口部48は、スタック6を通って、好ましくは等間隔で延びる複数の空気流通路80aを形成する。
【0023】
図1Aおよび
図1Bに示す実施形態では、複数の吸気口18および排気口20が室2の天井22を介して設けられている。室2は、各々が2つの軌道10を備える複数の副室2a、2bに細分化される。室2a、2bの細分化は、軌道10の間、例えば2つの軌道10ごとに壁、セパレータ、またはカーテンなどの仕切り24を設けることによって達成することができる。好ましくは、仕切り24は溝部16によって軌道10から離間している。したがって、例えば、各室2a、2bは、第1の壁26と、第1の溝部28と、第1の軌道30と、第2の溝部32と、第2の軌道34と、第3の溝部36と、第2の壁24、例えば仕切り24と、後壁100(前壁100は図示せず)とを備える。
【0024】
図1Aに示すように、枠箱4は、吸気口18が第1の軌道30と第2の軌道34との間で第2の溝部32の上方に設けられるように配置される。換言すれば、吸気口18は、枠箱4の第1のスタック6aと枠箱4の第2のスタック6bとの間の空間に開口している。排気口20は、例えば、枠箱4のスタック6bと仕切り24との間の第3の溝部36の上方、および枠箱4のスタック6aと第1の壁26との間の第1の溝部28の上方に設けられる。したがって、排気口20は、軌道34と第2の壁24との間、および軌道30と第1の壁26との間の空間に開口している。吸気口18および排気口20をこのように配置することによって、気候制御された空気を、積み重ねられた枠箱4の列の間に導入し、続いて各枠箱4を通って、枠箱4のスタックの反対側に配置された排気口20に向かって引き出すことができる。枠箱を通る空気流を、
図2を参照してより詳細に説明する。
【0025】
図1Aおよび
図2Aに示すように、気候制御された空気を、吸気口18から溝部16に向かって延びる導管38を介して吸気口18から枠箱4に送達することができる。導管38は、好ましくは(以下でより詳細に説明する)枠箱の開口部と整列した一連の開口部40を備える。導管38は、剛性導管、またはホースもしくは吹き流しなどの可撓性導管であってもよい。
【0026】
図1Cでは、
図1Aおよび
図1Bに示す人工気候室の内部容積部の上面図が示されており、パレットおよび枠箱は壁12または棚部14aに配置されていない。通路14の間に位置する導管38、ならびに軌道10の方向に対して垂直に延びる流路80aが示されている。当業者は、側壁24および26ならびに前壁100および後壁100の相対的位置が考慮される場合、軌道10、枠箱を支持するスタック、および軌道10の方向に対して垂直に延びる流路80aに送達するための空気開口部40を備える導管38の組合せの相対的向きは、空気流80が本明細書で概説する方向に壁12または棚部14a上に積み重ねられた枠箱の上を通って流れることができるように、空気流路80aが軌道10の方向に対して垂直に延びる限り、自由に確立され得ることを理解するであろう。図面の例示的な実施形態では、側壁は通路14および溝部16と基本的に平行に延びているが、好ましくは、前壁および後壁は通路の方向に対して基本的に垂直に向けられている。同様に好ましい向きでは、前壁および後壁は通路14および溝部16と本質的に平行に延びているが、側壁は通路の方向に対して本質的に垂直に向けられている。
【0027】
図2Aに示すように、吸気口側82からその排気口側83への、枠箱4を通る空気の安定した流れ80を確実にするために、好ましくは、枠箱の吸気口側82と排気口側83との間に圧力差が生成され、排気口側83の圧力はより低くなる。例示的な実施形態では、枠箱4の吸気口側82は導管38に近接して配置される。吸気口18と排気口20との間に圧力差を加えることによって、圧力差を生成することができる。
【0028】
図1に示す人工気候室2は、好ましくは、各室2または各副室2a、2b内の条件を測定し、それに応じて吸気口18と排気口20との間の圧力差を制御するように構成された制御システム84をさらに備える。室2および/または各副室2a、2bはまた、枠箱4および/または室2もしくは副室2a、2b内の温度および湿度を検出し、それに応じて、吸気口18を通って送達される空気の温度および/または湿度を制御するように構成されたセンサ85を備えることができる。
【0029】
ここで、システム1のさらなる詳細を、例えば2×2で配置される枠箱4のスタック6の3次元図を示している
図2を参照して説明する。
【0030】
図2Aに示すように、各パレット8は、2×2の配置で、枠箱4の4つのスタック6を支持する。各枠箱4は、基部42と、4つの直立壁、すなわち2つの対向側壁44と、2つの対向端壁46とを備える。
【0031】
一対の対向端壁46(
図3Aを参照)は、開口部48もしくは切り欠き48を備える。対向する開口部48もしくは切り欠き48の間の経路80aは、枠箱4の上またはそれを通る空気流路80aを画定する。
【0032】
枠箱4は、2つの枠箱4にまたがる2つの空気流路80aが形成されるように、2×2の配列を基準にして同じ向きに配置される。例えば、第1の枠箱4aおよび第2の枠箱4bは、第1の流路80aを画定するように整列したそれぞれの開口部/切り欠き48とともに配置され、第3の枠箱4cおよび第4の枠箱4dは、第2の流路80aを画定するように整列したそれぞれの開口部48とともに配置される。第1の枠箱4aおよび第2の枠箱4bは、2つの平行な流路80aが形成されるように、第3の枠箱4cおよび第4の枠箱4dに隣接して配置される。
【0033】
積み重ねられた枠箱81の列内の枠箱4は、流路80aが軌道10に対して垂直に延びるように配置される。
図1Aおよび
図2Aに示すように、これにより、整列した開口部48が、スタック6、81の吸気口側82、すなわち吸気口18が配置されている場所と、スタック6、81の排気口側83、すなわち排気口20が配置されている場所との間に流路80aを提供するように、枠箱4を向けることができる。
図1に示す配置は、2つの軌道10の間に配置された吸気口18と、2つの軌道10の配置の両側に配置された排気口20とを示しているが、当業者は、(排気口20が、
図1に示す第2の溝部32の上方に配置され、吸気口18が、第1の溝部28および第3の溝部36の上方に配置される)逆の配置が可能であることを理解するであろう。
【0034】
しかし、
図1に示す配置は、圧力から低圧への圧力差が枠箱間の容積に反比例するので図示の例では好ましく、例えば、
図1に示す枠箱4間の容積は、枠箱4の両側の容積よりも小さく、したがって圧力差は制御が容易であり、かつ維持するために必要なエネルギーが少なくてもよい。
【0035】
図2Aに示すように、枠箱4は、対向端壁46の開口部48が整列するように、一連のスタック81に積み重なるように構成される。
図3Aに示す実施形態では、枠箱4は細長い断面を有し、対向側壁44は長さLを有し、対向端壁46は長さWを有し、WはL未満である。開口部48は枠箱4の対向端壁46内に形成され、枠箱は、先述した流路80aを形成するようにスタック81内に縦一列に配置される。
【0036】
開口部48が備わっていない枠箱4の対向側壁44は、好ましくは、一体化した対向側壁を開口部のない枠箱4のスタックに設けるために、それらが上方の枠箱と嵌合/協働するように構成される。このような構成は、枠箱4を通るかまたは越える空気流が、開口部/切り欠き48の間に画定された流路80aに制限されるようにする。
【0037】
枠箱4のみを通る空気流をさらに制限するために、パレット8および/または枠箱4が載置される軌道10の直立壁12は、好ましくは中実壁12を備える。パレット8と直立壁12との間の密閉は必要ではないが、実質的に開口部のない中実壁を設けることによって、枠箱4内の気候制御に寄与しない吸気口側と排気口側との間の枠箱4の下の流路の容積を減少させるか、または排除することさえできる。
【0038】
図2Aに示すように、枠箱4のスタック6が載置される直立壁12は枠箱4の下に延びる通路14をもたらす。好適には、枠箱4の下の通路14は、様々な理由から枠箱4の下の容積へのアクセスを可能にしてもよい。例えば、自動制御型もしくは遠隔制御型ロボット装置86、86a(
図2A、
図2B)は、枠箱4の下の通路14を通って移動することができる。通路14の長さに沿って状態を監視するようにロボット装置86、86aを構成することができる(例えば、ロボット装置にはセンサ89が設けられている)。代替的または付加的に、枠箱4のスタック6を回収するようにロボット装置86、86aを構成することができる。通路14はまた、有人リフト装置が通路14に沿って操縦されることを可能にすることが理解されよう。
【0039】
軌道14は、直立壁12の内面12aに、すなわち通路14に対して内側に棚部14aをさらに備えることができ、この棚部14aは、ロボット装置86または有人リフト装置がそれに沿って走行することができる走行路を提供する。このような走行路は、ロボット装置86、86aが室2の床Fの上方の通路14に沿って走行することを可能にすることができ、またはロボット86、86aを所定の経路の範囲内にとどめることができる。
【0040】
軌道10を形成する中実の直立壁12は、逃げた幼虫もしくは昆虫が枠箱スタック6の下の通路14に入るのを防止するというさらなる利点を提供することができる。空気流路80aが通路14に対して垂直になるように各枠箱4が向けられているので、開口部48を通って各枠箱4から逃げる昆虫および/または幼虫は、溝部16内に落下し、直立壁12間の通路14内には落下しない。溝部16は中実壁12によって通路14から隔てられているので、逃げた昆虫および/または幼虫は溝部16に閉じ込められ、そこから容易に取り除くことができる。
【0041】
直立壁12は、いくつかの実施形態では通路14と溝部16との間に水密閉を形成してもよい。これにより、溝部16と軌道14の直立壁12の下の通路14との間を流れる洗浄液なしで、溝部16を洗浄することができる。これは、さらに、枠箱4の下の通路14にデトリタス、幼虫、幼虫の死骸、破片、洗浄液などがないように保つこと、および枠箱4のスタック6の下の通路14内を走行するロボット86、86aもしくは有人リフト装置と、デトリタス、幼虫、破片、幼虫の死骸、洗浄液などとの接触を回避するのに役立つことができる。ロボット(および/または有人リフト装置)がこのような廃棄物に接触するのを回避することは、ロボットの動作時間を延ばし、ロボットが損傷するのを防止し、ロボットの性能が妨げられるのを防止する。さらに、前記廃棄物と接触していない清浄なロボットでは、ロボット制御により持ち上げられて輸送された枠箱4が前記廃棄物で汚染される危険性が回避される。
【0042】
通路14および溝部16は、それぞれの端部で開口することができ、または端部が閉じた状態で形成されることができることが理解されよう。多くの実施形態では、端部が開いた通路14および/または溝部16は、例えば清掃/洗浄のため、またはロボット86、86aおよび/またはリフト装置がアクセスするために、人工気候室2の床Fからのアクセスを容易にするので好ましい。
【0043】
少なくとも1つの例示的な実施形態では、人工気候室2は、通路14に対して垂直に延び、ロボット装置86、86aが通路14間を移動することを可能にするように構成された1つ以上のレール52をさらに備えてもよい。例えば人工気候室2は、開口端部を有する通路14に対して垂直に延びるレールまたは一対のレール52をさらに備えることができる。レール52を、通路14の開口端部の手前で、(第2もしくは代替の)ロボット装置87を垂直方向に搬送するように構成することができる。第2の、または代替のロボット装置87は、レールに沿って移動するように構成されたフレーム88またはキャリヤ88と、棚部14aによって通路14に形成された走行路に沿って移動するように構成されたロボットユニット86aとを備えることができる。
【0044】
有利な実施形態では、本発明のシステム1は、自由に移動し、1つ以上の枠箱4を枠箱4のスタック6に配置するか、または1つ以上の枠箱4を枠箱4のスタック6から取り出すように構成されたロボット装置86、86a、87を備えることが考えられる。このロボット装置86、86a、87は、1つの枠箱/複数の枠箱を、室2内で任意の望ましい(プログラム可能な)経路に沿って、例えば水平方向および/または垂直方向に移動させる自由に移動可能な倉庫のようなロボットと見なされてもよい。例示的な実施形態では、このようなロボット装置86、86a、87は、最大自由度のために操縦可能な車輪90、90a上を移動してもよい。
【0045】
図1および
図2に示すように、複数の導管38は、気候制御された空気を、吸気口18から配置が2×2である枠箱4内の開口部48に直接送達するように構成されてもよい。各導管38は、複数の開口部40を有する可撓性壁、例えばポリマー壁を備える吹き流し部を備えることができる。導管38は、好ましくは、人工気候室2の天井に設けられた吸気口18から溝部16の床/底に向かって延びる。導管38は、好ましくは、枠箱4のスタックの開口部48の各スタックに隣接して設けられるように配置される。好適には、導管38の開口部40は、好ましくは枠箱4の個々の開口部48と整列するように離間している。このようにして、気候制御された空気を導管38から枠箱4の開口部48に供給することができる。
【0046】
図1に示すように、枠箱4の各スタック6は、好ましくは最上部の枠箱4Tの上縁部が人工気候室2の天井22に隣接して配置されるように構成される。最上部の枠箱の上縁部4Uは、好ましくは、人工気候室2の天井22から50mm以内、より好ましくは天井22から30mm以内、さらに好ましくは人工気候室2の天井から20mm以内に配置される。これにより、人工気候室2内の死容積を減少させることができ、したがって、室2内の気候制御をさらに改善することができる。さらに、天井22と枠箱の各スタックの最上部との間の空間を最小にすることによって、空気が(枠箱を通過することなく)枠箱を通過して流れることができる空間が最小になる。これにより、枠箱4のスタックの両側の圧力差および/または温度差を維持するのに役立つことができるので、システムの効率を改善することができる。
【0047】
ここで、本発明の枠箱4を、
図3A~
図3Bを参照してより詳細に説明する。
図3Aは、本発明の例示的な実施形態による単一の枠箱4の斜視図を示している。
図3Aに示すように、枠箱4は、枠箱4に閉鎖された底部を提供する基部42を備える。直立壁44、46は、枠箱4の対向側壁44および端壁46を提供するように基部42の縁部から延びている。枠箱4の最上部は開いているが、当業者は、枠箱4の最上部に最上部を閉じる/覆うための蓋4Lを設けることもできることを理解するであろう。例示的な実施形態では、枠箱4は略長方形の断面を有する。
【0048】
開口部48は対向端壁46内に形成され、開口部48は貫通孔として形成されてもよく、すなわち端壁46の材料によって全ての側面が囲まれてもよい。代替的には、
図3Aに示すように、開口部48は、枠箱4の基部42に向かって延びる端壁46の上縁部に凹部もしくは切り欠きとして形成されてもよい。
【0049】
開口部48は、好ましくは端壁46の幅の少なくとも50%、より好ましくは端壁46の幅の少なくとも80%にわたって延びる。さらに、開口部48は、好ましくは枠箱4の高さの25mmから100mmの間、より好ましくは50mmから100mmの間に延びる。
【0050】
枠箱の基部42は、好ましくは、滑らかであるかまたは略滑らかであり、隆起部または凹部がない。滑らかとは、基部が130度未満、より好ましくは150度、さらに好ましくは160度または170度の角度を有する頂点で交わる平面を含まないことを意味する。好ましくは、角度が付いた頂点は、(基部42が壁44、46を接合する場合を除いて)基部42において排除され、基部42が単一の平面内に延びていない実施形態では、異なる平面内に延びる表面間の任意の遷移部は湾曲しており、例えば丸みを帯びた角部である。このような構成は、枠箱の洗浄および衛生を容易にすることができる。
【0051】
基部42は、枠箱4内の温度、湿度、酸素濃度、乾物含量などの様々な条件を測定するように構成されたセンサ52のための1つ以上の取付点50をさらに備えることができる。
図2および
図3Aに示す例では、枠箱4ごとに8つのセンサ取付点50が示されているが、当業者であれば、8つ未満のセンサ取付点50を設けることができることを理解するであろう。
【0052】
8つを超えるセンサ取付点50を含む実施形態も可能である。センサ52の取付点50は、センサ52を配置することができる基部42の下面の開口部を備えることができる。有利な実施形態では、センサ52は、それらが取り付けられている枠箱4eの下および/または枠箱4bの中の状態を測定するように構成されてもよい。
【0053】
少なくとも一実施形態では、センサ取付点50は、基部42から枠箱4の内部容積部内に延びる空洞を備える。センサ52を取り付けることができる枠箱4の内部容積部内に延びる空洞を設けることによって、センサ52は、枠箱に含まれるバイオマス内の状態をより正確に測定することができる。複数のセンサ52を、枠箱4の基部42内に配置することができ、好ましくは等間隔に配置することができ、枠箱4内に分布するバイオマス全体の状態を測定することができるように基部42を横切って配置することができる。
【0054】
基部42の開口部は枠箱4の内部容積部と直接連通することができ、または、カバー層をセンサと枠箱4の内部容積部との間に配置することができる。センサ52は、
図1を参照して上述した制御システム84および/またはセンサ85と有線もしくは無線で通信することができる。枠箱4を通る空気の流量、吸気口18などを通って供給される空気の温度および/または湿度を調節するために、センサ52によって検出された条件を使用することができる。本発明による枠箱4は、一体型センサもしくは取外し可能なセンサ52で構成することができる。
【0055】
代替的には、センサ52および/またはセンサ85の入力とは無関係に、設定値に従って動作するように制御システム84を構成することができる。代わりに、制御ユニットに直接フィードバックループを提供することなく、センサ52を人工気候室2内の状態を監視するために使用することができる。
【0056】
図3Aおよび
図3Bにさらに示すように、各枠箱4は、略平坦もしくは平坦な上縁部54を備えてもよい。対向側壁44の各々は、側壁44の上縁部54から延びる少なくとも1つ(好ましくは2つ)の直立突起56をさらに備えてもよい。
【0057】
側壁44の下縁部58は、好ましくは、枠箱4が整列して積み重ねられた場合に下方の枠箱4eの上縁部54に形成された直立突起56を受けるように構成された凹部60を備える。この配置は、枠箱4の整列、したがって枠箱の開口部48同士、および導管38内の開口部40との位置合せを確実にする。
【0058】
図3Bを参照して、枠箱4は、識別タグ、例えば無線周波数識別(RFID)タグのための受け部62をさらに備えてもよい。RFIDタグを、受け部62に取り外し可能に取り付けることができる。受け部62は、識別タグを受けて保持することが可能な任意の形態をとることができる。タグは、受け部62において摺動し、押し込まれ、または磁気的に保持されてもよい。
【0059】
突起56は、好ましくは、枠箱4が(突起56を基準にして)垂直軸線を中心に少なくとも2回の回転対称性を有するように、枠箱4の対向側壁44に配置される。換言すれば、側壁44が互いに整列している限り、枠箱が一体に積み重なるように、少なくとも2つの突起56を枠箱4上に配置することができる。
【0060】
同様に、受け部62は、好ましくは、枠箱が(受け部62に対して)垂直軸線を中心に少なくとも2回の回転対称性を有するように、枠箱4の側壁44に配置される。換言すれば、少なくとも2つの受け部62が設けられ、側壁44、すなわち下縁部58の各々に1つずつ設けられ、受け部60は、側壁44が整列している限り、それらが枠箱4上の相対位置にあるように配置される。
図3Bに示す例では、受け部62は、図示のように側壁44を正面に見る人の視点から、側壁44の右側に設けられている。対向側壁44には、対向側壁44を正面に見る人の視点から、側壁44の右側にも受け部62が設けられている。これにより、識別タグが、枠箱4のスタックで、および枠箱4のスタックの一定の位置で常に見えるようにすることができる。
【0061】
枠箱4は、剛性および構造安定性を提供する構造外層と、滑らかな内面を提供するように構成された内装表皮もしくは層とを有する二重層構造を含むことができる。滑らかな内面はまた、幼虫および/または昆虫が枠箱4から逃げるか、または枠箱4内の隙間および凹部に留まる危険性を低減することができる。
【0062】
枠箱4の寸法を、人工気候室2の要件、軌道10の構成、ならびに飼育される幼虫および/または昆虫の発育段階に従って選択することができる。例えば、典型的には0~5日齢または0~4日齢の新生アメリカミズアブ幼虫の飼育のために構成された枠箱4は、長さ400mm、幅300mmおよび高さ100mmを有することができる。当業者は、他の寸法も可能であることを理解するであろう。例えば、典型的には3~25日齢または5~16日齢のアメリカミズアブ幼虫の飼育のために構成された枠箱は、長さ800mm、幅550mmおよび高さ180mmを有することができる。
【0063】
ここで
図4を参照して、枠箱4のない人工気候室2の例示的な実施形態が示されている。
【0064】
図4に示すように、室2は、複数の細長い副室2a、2bを備え、各々が平行な軌道10のセットを備える。複数の細長い副室2a、2bは、互いに隣接して設けられている。各軌道10は、閉鎖端部64から開口端部66まで延びる。レール52は、開口端部66に隣接して配置されてもよい。レール52は、ロボット装置87などの電子装置を軌道10間で運ぶように構成されてもよく、任意には、枠箱のスタック6の下の軌道10に沿って移動するためのロボットユニット86aを備える。
【0065】
吸気口18および排気口20は、各副室2a、2bの天井22、すなわち天井22a、22bに設けられている。
図4に示すように、吸気口18には、複数の吸気口18がそれに沿って配置されるダクト68を介して気候制御された空気が供給される。ダクト68は、ダクト68と流体連通する主吸気口70によって供給される。
【0066】
ダクト68は長さPを有し、軌道10の長さに沿って延びる。ダクト68は、一対の軌道10ごとに1つずつ設けられている。主吸気口70は、ダクト68の長さのほぼ半分に設けられてもよい。ダクト68の高さは、主吸気口70との接続部で最大となり、ダクト68が主吸気口70からその対向端部68a、68bに向かって延びるにつれて減少する。ダクト68のこのように次第に減少する高さは、ダクト68が主吸気口70から離れるように延びるにつれて、ダクト68の容積を減少させる。この容積の減少は、ダクト68の長さに沿った圧力降下を低減することができ、それによって、空気流がダクト68の長さに沿って配置された複数の吸気口18にわたって分配される際のその一貫性を改善する。
【0067】
軌道10の長さに沿って設けられた複数のダクト68とともに同様のシステムを使用できることが理解されよう。各ダクト68には、それ自体の主吸気口70が設けられてもよく、主吸気口70との接続部に最大高さを含むことができ、高さは、ダクト68が吸気口70から閉鎖端部に向かって延びるにつれて減少する。ダクト68が主吸気口70から離れるように延びるにつれて、ダクト68の他の寸法を変化させることによって同様の容積減少を達成できることが理解されよう。このような構成もまた、本発明の範囲内である。
【0068】
複数の排気口20もまた
図4に示されており、排気口20は、一対の軌道10の両側で各副室2a、2bの天井22a、22bに配置されている(
図1も参照)。排気口20は空隙72と連通しており、空隙72は主排気口74と連通している。
【0069】
枠箱4を通る空気流80は異なる方法で制御されてもよいことが理解されよう。例えば唯一の制御されたパラメータは、枠箱4を通る空気流80であってもよい。これは、吸気口18と排気口20との間に圧力差を生成することによって制御することができる。このような圧力差は、(例えば大気圧を超える)正圧を吸気口18に加えることによって、および/または(例えば大気圧を下回る)負圧を排気口20に加えることによって加えることができる。
【0070】
あるいは、吸気口18または排気口20の一方は、大気圧の領域と流体連通していてもよく、吸気口18または排気口20の他方は、必要な圧力差を与えるように(大気圧を超えるかまたは下回るように)制御される。
【0071】
吸気口18を通って人工気候室2、例えば副室2a、2bに入る空気の温度および/または湿度を制御することによって、気候をさらに制御することができる。枠箱4を通る空気流80および/または温度および/または湿度を、一定水準に維持することができ、あるいは、それらを周期的に、独立して、または個別に変化させることができる。各人工気候室2または副室2a、2bに望ましい正確なパラメータは、昆虫種、昆虫の発育段階、および現在の生産速度要件に依存し、それに応じて当業者が選択することができる。典型的には、室2、2a、2b内に積み重ねられた枠箱4内で飼育された昆虫種はBSFであり、典型的には、前記BSFの発育段階は、例えば孵化後0日から5日の間、または孵化後0日から4日の間の新生幼虫段階であるか、または例えば孵化後4日から20日の間の幼虫段階である。
【0072】
空気流80(および/または送達される空気の温度および/または湿度)を、センサ52および/またはセンサ85によって測定された環境条件に基づいてさらに制御することができる。制御ユニットもしくは制御システム84を、供給された空気をリアルタイムで、またはセンサ52によって検出された条件に基づいて所定の間隔で調整するように構成することができる。設定された水準に応じて、全ての副室2a、2b内の条件を所定の範囲内に維持するように、コントローラを構成することができる。代替的には、制御ユニットもしくは制御システム84を、センサ情報を用いずに副室2a、2bへの空気供給を制御するように構成することができる。代わりに、条件が所定の設定水準から逸脱した場合に警告を発するために、センサ52を使用することができる。
【0073】
副室2a、2b内の条件を個別に制御することができる。この配置は、各発育段階を通して幼虫および/または昆虫が飼育される際のその一貫性を改善することができる。多くの場合、多数の昆虫および/または幼虫が同じ速度で成長することが好ましい。したがって、各副室2a、2b内の条件を独立して測定することができ、各副室2a、2b内の幼虫および/または昆虫の発育速度を可能な限り調和させるために、空気流および気候制御を適切に調整することができる。
【0074】
室2は、複数の副室2a、2bを収容してもよく、それぞれが異なる発育段階または異なる種および/または異なるペースの発育のために最適化される。このような実施形態では、このような各室2a、2bで使用される枠箱4は、幼虫および/または昆虫の発育段階および/または種を示すようにインデックス付けされた異なる色を含んでもよい。枠箱4の色分けは、例えば気候制御システムおよび/または在庫管理情報にフィードバックを提供することができる光学センサ89を備えるロボット装置86、86a、87によって、種および/または発育段階の自動検出を可能にすることができる。
【0075】
したがって、要約すると、本発明の第1の態様は無脊椎動物を飼育するためのシステムに関し、このシステムは、
少なくとも1つのスタックに配置された複数の枠箱であって、スタックの各枠箱が、第1の壁の吸気開口部から各枠箱を通って第1の壁とは反対側の第2の壁の排気開口部に至る空気流路を画定する、複数の枠箱と、人工気候室であって、壁、床および天井によって囲まれた内部容積部と、内部容積部において第1の方向に延びる、排気口の第1の列と、内部容積部において排気口の第1の列に平行に延びる、排気口の第2の列と、排気口の第1の列と第2の列との間に位置し、それらと平行に延び、第1の方向に対して垂直な第2の方向において排気口の第1の列および第2の列から離間した、吸気口の列と、排気口の第1の列と吸気口の列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第1のスタックと、排気口の第2の列と吸気口の列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第2のスタックと、枠箱の第1のスタックと第2のスタックとの間において複数の吸気口の各々から延びる導管であって、前記導管が、各スタックの複数の枠箱の吸気開口部と整列するように構成された複数の導管開口部を備える、導管とを備える、人工気候室とを備え、枠箱は、空気流路が第1の方向に対して垂直に向けられた状態で配置される。
【0076】
一実施形態は本発明によるシステムであり、人工気候室は、人工気候室とともに第1の方向に延びる少なくとも1つの軌道をさらに備え、前記軌道は、第1の壁および第2の壁と、それらの間に画定された通路とを備える。
【0077】
一実施形態は本発明によるシステムであり、軌道は、排気口の第1の列と吸気口の列との間に配置され、システムは、好ましくは、吸気口の列と排気口の第2の列との間に配置された第2の軌道を備える。
【0078】
一実施形態は、本発明によるシステムであり、少なくとも1つの軌道は通路によって互いに隔てられた一対の壁を含み、前記通路は第1の方向に対して垂直な第2の方向に延び、任意には、枠箱の少なくとも1つのスタックは、空気流路が第1の方向に延びるように軌道上に配置される。
【0079】
一実施形態は本発明によるシステムであり、各軌道は、通路の上方に枠箱のスタックの列を支持するように構成される。
【0080】
一実施形態は本発明によるシステムであり、各軌道は、2×2の配列で配置された枠箱の4つのスタックを含むパレットを支持するように構成される。
【0081】
一実施形態は本発明によるシステムであり、一対の壁は、互いに平行に配置された中実の対向壁を含む。
【0082】
一実施形態は本発明によるシステムであり、壁の各々は中実壁であり、通路を隣接する溝部から隔てる。
【0083】
一実施形態は本発明によるシステムであり、人工気候室は複数の吸気口および複数の排気口をさらに備える。
【0084】
一実施形態は本発明によるシステムであり、少なくとも1つの吸気口および/または少なくとも1つの排気口は人工気候室の天井に設けられる。
【0085】
一実施形態は本発明によるシステムであり、人工気候室は複数の副室に分割される。
【0086】
一実施形態は本発明によるシステムであり、各副室は、第1の側壁および第2の側壁と、第1の軌道および第2の軌道とを有し、第1の軌道は第1の溝部によって第1の壁から隔てられ、第1の軌道は第2の溝部によって第2の軌道から隔てられ、第2の軌道は第3の溝部によって第2の壁から隔てられる。
【0087】
一実施形態は本発明によるシステムであり、複数の吸気口は第2の溝部の上方に配置され、複数の排気口は第1の溝部および第3の溝部の上方に配置される。
【0088】
一実施形態は本発明によるシステムであり、吸気開口部と排気開口部との間の圧力勾配を維持するように構成された制御システムをさらに備え、空気が吸気開口部から人工気候室を通って排気開口部の外に流出するように、吸気開口部の圧力は排気開口部の圧力よりも高い。
【0089】
一実施形態は本発明によるシステムであり、複数の枠箱のうちの少なくとも1つの中の少なくとも1つの環境条件を測定するように構成された少なくとも1つのセンサをさらに備える。
【0090】
一実施形態は本発明によるシステムであり、少なくとも1つの環境条件は、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、圧力および空気流のうちの1つ以上を含む。
【0091】
一実施形態は本発明によるシステムであり、少なくとも1つのセンサは枠箱の基部に配置される、本発明によるシステムである。
【0092】
一実施形態は本発明によるシステムであり、複数の吸気口はダクトに沿って配置され、ダクトは、気候制御された空気が主吸気口を介して供給されるように構成される。
【0093】
一実施形態は本発明によるシステムであり、ダクトの高さHが変化しており、ダクトの高さは、主吸気口からの距離が増加するにつれて減少する。
【0094】
一実施形態は本発明によるシステムであり、システムは、ダクトと流体連通する導管をさらに備え、導管は、両側に沿った複数の孔を備える可撓性導管である。
【0095】
一実施形態は本発明によるシステムであり、人工気候室は固定構造体に設けられる。
【0096】
一実施形態は本発明によるシステムであり、人工気候室は可搬式コンテナ、例えば輸送コンテナ、冷凍車、貨物トレーラに設けられる。
【0097】
一実施形態は本発明によるシステムであり、制御システムは、少なくとも1つのセンサによって検出された環境条件に基づいて、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、吸気口および/または排気口の圧力、および空気流などのパラメータのうちの少なくとも1つを調節するように構成される。
【0098】
一実施形態は本発明によるシステムであり、人工気候室は、少なくとも1つの軌道の開口端部に隣接して第2の方向に延びる少なくとも1つのレールをさらに備える。
【0099】
一実施形態は本発明によるシステムであり、少なくとも1つの軌道は、通路に対する直立壁の内面に棚部を備え、この棚部は、ロボット装置または有人リフト装置がそれに沿って走行することができる走行路を提供する。
【0100】
一実施形態は本発明によるシステムであり、少なくとも1つのレールは、通路の開口端部の手前で垂直方向にロボット装置を搬送するように構成され、任意には、ロボット装置は、レールに沿って移動するように構成されたフレームまたはキャリヤを備え、少なくとも1つの軌道に沿って、または棚部によって通路に形成された走行路に沿って移動するように構成されたロボットユニットを備える。
【0101】
一実施形態は本発明によるシステムであり、人工気候室は、少なくとも1つの軌道に沿って移動するように構成された少なくとも1つのロボット装置をさらに備える。一実施形態は本発明によるシステムであり、自由に移動し、かつ1つ以上の枠箱を枠箱の第1のスタックおよび/もしくは第2のスタックに配置するか、または、1つ以上の枠箱を枠箱の第1のスタックおよび/もしくは第2のスタックから取り出すように構成された少なくとも1つのロボット装置をさらに備える。
【0102】
本発明はまた、無脊椎動物を飼育する方法を提供し、本方法は、複数の枠箱4を用意するステップと、各枠箱4の少なくとも一部に基質および第1の発育段階の複数の無脊椎動物を入れるステップと、枠箱4を通る複数の平行な空気流路80aを形成するために、前記枠箱を上述のように人工気候室2に配置するステップとを含む。
【0103】
本方法は、複数の吸気口18を枠箱4の前記スタック6の第1の側に、および排気口20を枠箱4の前記スタック6の反対側に設けることによって、好ましくは温度および湿度が制御された空気流80を、前記枠箱4によって形成された前記空気流路80aに通すステップをさらに含む。
【0104】
任意には、本方法は、枠箱4のスタックに配置された少なくとも1つのセンサ52を用いて、スタック6の環境条件を測定するステップをさらに含む。好適には、スタック6を通る空気流80を、センサ52によって検出された状態に基づいて変更することができる。追加的または代替的に、人工気候室2、2a、2b内のスタック6を取り囲む容積内の環境条件は、本発明の方法に従って、枠箱4の外側の、人工気候室内に配置された少なくとも1つのセンサ85で測定される。追加的または代替的に、人工気候室2、2a、2b内のスタック6を取り囲む容積内の環境条件は、本発明の方法に従って、ロボット86、86a、87に配置された少なくとも1つのセンサ89で測定される。
【0105】
本方法は、複数の枠箱のスタック6の下方で第1の方向1STに延びる通路14を用意するステップと、第1の方向1STに対して垂直な前記空気流路80aを含む前記スタック6を配置するステップとをさらに含む。本発明による方法のさらに任意かつ有利なステップは、例示的なシステムの上述の説明から明らかになるであろう。
【0106】
上述のシステム1と同様に、本発明の方法は、自由に移動して1つ以上の枠箱4を枠箱4のスタック6に配置するか、または1つ以上の枠箱4を枠箱4のスタックから取り出すように、ロボット装置86、87を動作させるステップをさらに含んでもよい。このようなロボット装置86、87は、1つ以上の枠箱4を、人工気候室2内の任意の望ましい(プログラム可能な)経路に沿って移動させ、かつ操作することができる自由に移動可能な倉庫ロボットのように動作する。一実施形態では、ロボット装置86、86a、87は、最大自由度を達成するための操縦可能な車輪90、90aを有してもよい。ロボット装置87は、レールに沿って移動するように構成されたフレーム88またはキャリヤ88と、棚部14aによって通路14内に形成された走行路に沿って移動するように構成されたロボットユニット86aとを備えることができる。
【0107】
本発明の人工気候室2および人工気候室2を備える本発明のシステム1は、本発明の方法に適用するのに特に適している。
【0108】
本発明の枠箱4は、本発明の方法に適用するのに特に適している。
【0109】
本発明の枠箱4は、本発明の人工気候室での使用および本発明の人工気候室での使用に特に適している。
【0110】
したがって、要約すると、本発明の第2の態様は無脊椎動物を飼育するための方法に関し、この方法は、
(i)複数の枠箱を用意するステップであって、各枠箱が、第1の壁の第1の開口部と、第1の開口部とは反対側の第2の壁の第2の開口部とを有して、第1の開口部と第2の開口部との間に第1の空気流路を画定する、ステップと、
(ii)複数の枠箱の各枠箱の少なくとも一部に基質および第1の発育段階の複数の無脊椎動物を入れるステップと、
(iii)複数の枠箱を積み重ねるステップと、
(iii)内部容積部を含む人工気候室を用意するステップであって、
人工気候室が、
壁、床および天井によって囲まれた内部容積部と、
内部容積部において第1の方向に延びる、排気口の第1の列と、
内部容積部において排気口の第1の列に平行に延びる、排気口の第2の列と、
排気口の第1の列と第2の列との間に位置し、それらと平行に延び、第1の方向に対して垂直な第2の方向において排気口の第1の列および第2の列から離間した、吸気口の列と、
排気口の第1の列と吸気口の列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第1のスタックと、
排気口の第2の列と吸気口の列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第2のスタックと、
枠箱の第1のスタックと第2のスタックとの間において複数の吸気口の各々から延びる導管であって、前記導管が、各スタックの複数の枠箱の吸気開口部と整列するように構成された複数の導管開口部を備える、導管と
を備える、ステップと、
(iv)枠箱の少なくとも1つのスタックを配置するステップであって、空気流路が第1の方向に対して垂直に向けられ、かつ第2の方向に向けられた状態で、枠箱が配置される、ステップと、
(v)吸気口と排気口との間に圧力差を加えるステップと
を含む。
【0111】
一実施形態は本発明の方法であり、人工気候室は、人工気候室とともに第1の方向に延びる少なくとも1つの軌道をさらに備え、前記軌道は、第1の壁および第2の壁と、それらの間に画定された通路とを備える。
【0112】
一実施形態は本発明の方法であり、少なくとも1つの軌道は、排気口の第1の列と吸気口の列との間に配置され、システムは、好ましくは、吸気口の列と排気口の第2の列との間に配置された第2の軌道を備える。
【0113】
一実施形態は、本発明の方法であり、少なくとも1つの軌道は通路によって互いに隔てられた一対の壁を含み、前記通路は第1の方向に対して垂直な第2の方向に延び、任意には、枠箱の少なくとも1つのスタックは、空気流路が第1の方向に延びるように軌道上に配置される。
【0114】
一実施形態は本発明の方法であり、一対の壁は、互いに平行に配置された中実の対向壁を含む。
【0115】
一実施形態は本発明の方法であり、壁の各々は中実壁であり、通路を隣接する溝部から隔てる。
【0116】
一実施形態は本発明の方法であり、本方法は、複数の吸気口および複数の排気口を用意するステップと、第1の方向に互いに整列した吸気口と排気口との間に少なくとも1つのスタックを配置するステップとをさらに含む。
【0117】
一実施形態は本発明による方法であり、本方法は、少なくとも1つのセンサを使用して、複数の枠箱のうちの1つ以上の中の環境条件を検知するステップをさらに含み、検知された環境条件は、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、圧力および空気流のうちの1つ以上を含むことができる。
【0118】
一実施形態は本発明による方法であり、枠箱内の検知された環境条件に基づいて、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、吸気口および/または排気口の圧力、および空気流などのパラメータのうちの少なくとも1つを制御するステップをさらに含む。
【0119】
一実施形態は本発明の方法であり、本方法は、枠箱の複数のスタックを軌道に沿って列状に配置するステップをさらに含み、各スタックは、第2の方向において隣接するスタックに当接する。
【0120】
一実施形態は本発明の方法であり、スタックは2×2の配列で配置される。
【0121】
一実施形態は本発明の方法であり、少なくとも1つの軌道に沿って移動するようにロボット装置を動作させるステップをさらに含み、ロボット装置は、枠箱の少なくとも1つのスタックを軌道に沿って移動させ、通路内の環境条件を検出し、通路の上方に積み重ねられた少なくとも1つの枠箱から情報を読み取るように構成される。
【0122】
一実施形態は本発明の方法であり、1つ以上の枠箱を枠箱の第1のスタックおよび/もしくは第2のスタックに自由に移動させて配置するか、または、1つ以上の枠箱を枠箱の第1のスタックおよび/もしくは第2のスタックから取り出すように、ロボット装置を動作させるステップをさらに備える。
【0123】
一実施形態は本発明による方法であり、本方法は、通路の開口端部の手前で第2の方向にロボット装置を搬送するステップをさらに含み、人工気候室は、少なくとも1つの軌道の開口端部に隣接して第2の方向に延び、ロボット装置を搬送するように構成された少なくとも1つのレールを備え、任意には、ロボット装置は、レールに沿って移動するように構成されたフレームまたはキャリヤを備え、少なくとも1つの軌道に沿って、または棚部によって通路に形成された走行路に沿って移動するように構成されたロボットユニットを備える。
【0124】
一実施形態は本発明による方法であり、通路に対する直立壁の内面に棚部を備える少なくとも1つの軌道によって提供される走行路に沿って、ロボット装置または有人リフト装置を走行させるステップをさらに含む。
【0125】
要約すると、本発明のさらなる態様は、本発明のシステムおよび/または本発明の方法で使用するように構成された無脊椎動物飼育用枠箱に関し、枠箱は、基部と、基部の外周を画定する直立側壁および直立端壁と、枠箱の基部に配置された少なくとも1つのセンサ取付領域とを備える。
【0126】
一実施形態は、本発明による無脊椎動物飼育用枠箱であり、基部は、枠箱の基部に配置された複数のセンサをさらに備える。
【0127】
一実施形態は、本発明による無脊椎動物飼育用枠箱であり、枠箱は、その上縁面に少なくとも1つの突起をさらに備え、下縁領域に少なくとも1つの対応する凹部をさらに備え、凹部は、枠箱に積み重ねられた別の枠箱の突起を受けるように構成される。
【0128】
一実施形態は、本発明による無脊椎動物飼育用枠箱であり、枠箱は、取り外し可能な識別タグ、例えばRFIDタグを受けるように構成された第1の受け部をさらに備える。
【0129】
一実施形態は、本発明による無脊椎動物飼育用枠箱であり、枠箱は、枠箱の反対側で対応する位置に配置された第2の受け部をさらに備え、それにより、枠箱が垂直軸線を中心に180度回転された場合に、第2の受け部の位置が第1の受け部の位置に対応するようになっている。
【0130】
一実施形態は、本発明による無脊椎動物飼育用枠箱であり、第2の受け部は、識別タグ、例えばRFIDタグを含む。
【0131】
上述の開示された実施形態は、本発明の例示的な構成であり、様々な形態で実施することができることが理解されよう。したがって、本明細書に開示される特定の構造的かつ機能的詳細は、限定として解釈されるべきではない。むしろ、本明細書に記載の例は、本発明を実施することができる例示的な方法を説明することを意図している。
【0132】
当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく変更を行うことができることを理解するであろう。
【0133】
また、本明細書で使用される用語および語句は、限定を意図するものではなく、むしろ、本発明の理解可能な説明を提供することを意図している。
【0134】
本開示で使用される「1つの(a)」および「1つの(an)」という用語は、1つまたは2つ以上を意味することを意図している。本明細書で使用される「複数」という用語は、2つ、または3つ以上として定義される。
【0135】
本明細書で使用される、含むおよび/または有するという用語は、「含むが、これに限定されない」ことを意味することを意図しており、特定の特徴および/またはステップを含むシステム、装置または方法は、追加の特徴および/またはステップを含んでもよい。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、特許請求の範囲または本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0136】
本明細書に記載の本発明の実施形態は、別段の指定がない限り、組合せおよび協働で動作することができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無脊椎動物を飼育するためのシステムであって、前記システムが、
人工気候室(2)と、少なくとも
2つのスタック
(6)に配置された複数の枠箱
(4)とを備え、スタックの各枠箱が、第1の壁
(46)の吸気開口部
(48)から各枠箱を通って前記第1の壁とは反対側の第2の壁
(46)の排気開口部
(48)に至る空気流路
(80)を画定する、
システムにおいて、
前記人工気候室
が、
壁、床および天井によって囲まれた内部容積部と、
前記内部容積部において第1の方向に延びる、排気口
(20)の第1の列と、
前記内部容積部において排気口の前記第1の列に平行に延びる、排気口
(20)の第2の列と、
排気口の前記第1の列と前記第2の列との間に位置し、それらと平行に延び、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向において排気口の前記第1の列および前記第2の列から離間した、吸気口
(18)の列と、
排気口の前記第1の列と吸気口の前記列との間の空間に配置された枠箱
(4)の少なくとも1つの第1のスタック
(6)と、
排気口
(20)の前記第2の列と吸気口
(18)の前記列との間の空間に配置された枠箱
(4)の少なくとも1つの第2のスタック
(6)と、
枠箱の前記第1のスタックと前記第2のスタックとの間において複数の前記吸気口の各々から延びる導管
(38)であって、前記導管が、各スタック
(6)の前記複数の枠箱
(4)の吸気開口部
(48)と整列するように構成された複数の導管開口部
(40)を備える、導管
(38)と
を備
え、
前記枠箱
(4)が、前記空気流路
(80)が前記第1の方向に対して垂直に向けられた状態で配置され
、
前記人工気候室が、前記人工気候室とともに前記第1の方向に延びる少なくとも1つの軌道(10)をさらに備え、前記軌道が、第1の壁(12)および第2の壁(12)と、それらの間に画定された通路(14)とを備え、
枠箱(4)の前記スタック(6)が、任意でパレット上に配置され、軌道(10)上に載置されることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記軌道
(10)が、排気口
(20)の前記第1の列と吸気口
(18)の前記列との間に配置され、前記システムが、好ましくは、吸気口
(18)の前記列と排気口
(20)の前記第2の列との間に配置された第2の軌道
(10)を備える、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの軌道
(10)が、通路によって互いに隔てられた一対の壁
(12)を含み、前記通路が、前記第1の方向に対して垂直な前記第2の方向に延び、任意には、枠箱
(4)の前記少なくとも1つのスタック
(6)が、前記空気流路
(80)が前記第1の方向に延びるように前記軌道
(10)上に配置される、請求項
1または
2に記載のシステム。
【請求項4】
各軌道
(10)が、前記通路の上方に枠箱のスタック
(6)の列を支持するように構成される、請求項
1、
2または
3に記載のシステム。
【請求項5】
各軌道
(10)が、2×2の配列で配置された枠箱の4つのスタック
(6)を含むパレットを支持するように構成される、請求項
1~
4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記一対の壁
(12)が、互いに平行に配置された中実の対向壁を含む、請求項
3に記載の、または請求項
3に従属する場合の請求項
4または
5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記壁
(12)の各々が中実壁であり、前記通路
(14)を隣接する溝部
(16)から隔てる、請求項
3または
6に記載のシステム。
【請求項8】
前記人工気候室
(2)が複数の吸気口
(18)および複数の排気口
(20)をさらに備える、請求項1~
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの前記吸気口
(18)および/または少なくとも1つの前記排気口
(20)が前記人工気候室
(2)の天井
(22)に設けられる、請求項1~
8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記人工気候室
(2)が複数の副室
(2a)に分割される、請求項1~
9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
各副室
(2a)が、第1の側壁および第2の側壁と、第1の軌道
(10)および第2の軌道
(10)とを有し、
前記第1の軌道
(10)が第1の溝部
(32)によって前記第1の壁から隔てられ、
前記第1の軌道
(10)が第2の溝部
(28)によって前記第2の軌道
(10)から隔てられ、
前記第2の軌道
(10)が第3の溝部
(36)によって前記第2の壁から隔てられる、
請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の吸気口
(18)が前記第2の溝部
(32)の上方に配置され、前記複数の排気口
(20)が前記第1の溝部
(28)および前記第3の溝部
(36)の上方に配置される、請求項
8に従属する場合の請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記吸気開口部
(18)と前記排気開口部
(20)との間の圧力勾配を維持するように構成された制御システム
(1)をさらに備え、空気が前記吸気開口部から前記人工気候室
(2)を通って前記排気開口部の外に流出するように、前記吸気開口部の圧力が前記排気開口部の圧力よりも高い、請求項1~
12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の枠箱
(4)のうちの少なくとも1つの中の少なくとも1つの環境条件を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ
(52)をさらに備える、請求項1~
13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの環境条件が、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、圧力、および空気流のうちの1つ以上を含む、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのセンサ
(52)が前記枠箱
(4)の基部に配置される、請求項
14に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の吸気口
(18)がダクト
(68)に沿って配置され、前記ダクトが、気候制御された空気が主吸気口
(70)を介して供給されるように構成される、請求項
8に記載の、または請求項
8に従属する場合の請求項1~
16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記ダクト
(68)の高さHが変化しており、前記ダクトの前記高さが、前記主吸気口
(70)からの距離が増加するにつれて減少する、請求項
17に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムが、前記ダクト
(68)と流体連通する導管
(38)をさらに備え、前記導管が、両側に沿った複数の孔
(40)を備える可撓性導管である、請求項
17または
18に記載のシステム。
【請求項20】
前記人工気候室
(2)が固定構造体に設けられる、請求項1~
19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記人工気候室
(2)が、可搬式コンテナ、例えば輸送コンテナ、冷凍車、貨物トレーラに設けられる、請求項1~
20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記制御システム
(1)が、少なくとも1つのセンサによって検出された環境条件に基づいて、次のパラメータ、すなわち、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、前記吸気口および/または前記排気口の圧力、および空気流のうちの少なくとも1つを調節するように構成される、請求項
13に記載の、または請求項
13に従属する場合の請求項1~
21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記人工気候室
(2)が、前記少なくとも1つの軌道の開口端部に隣接して前記第2の方向に延びる少なくとも1つのレール
(52)をさらに備える
、請求項1~
22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの軌道が、前記通路
(14)に対する直立壁
(12)の内面に棚部
(14a)を備え、前記棚部が、ロボット装置
(86)または有人リフト装置が前記棚部に沿って走行することができる走行路を提供する、請求項
23に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つのレール
(14)が、前記通路
(14)の前記開口端部の手前で垂直方向にロボット装置
(86)を搬送するように構成され、任意には、前記ロボット装置
(86)が、前記レールに沿って移動するように構成されたフレーム
(88)またはキャリヤ
(88)を備え、前記少なくとも1つの軌道
(10)に沿って、または前記棚部
(14a)によって前記通路に形成された前記走行路に沿って移動するように構成されたロボットユニットを備える、請求項
23または
24に記載のシステム。
【請求項26】
前記人工気候室
(2)が、前記少なくとも1つの軌道
(10)に沿って移動するように構成された少なくとも1つのロボット装置
(86)をさらに備える
、請求項1~
25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
自由に移動し、かつ
1つ以上の枠箱
(4)を枠箱の前記第1のスタック
(6)および/もしくは前記第2のスタック
(6)に配置するか、または、
1つ以上の枠箱を枠箱の前記第1のスタックおよび/もしくは前記第2のスタックから取り出す
ように構成された少なくとも1つのロボット装置
(86)をさらに備える、請求項1~
26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
無脊椎動物を飼育するための方法であって、前記方法が、
(i)複数の枠箱
(4)を用意するステップであって、各枠箱が、第1の壁
(46)の第1の開口部
(48)と、前記第1の開口部
(48)とは反対側の第2の壁
(46)の第2の開口部
(48)とを有して、前記第1の開口部と前記第2の開口部との間に第1の空気流路
(80)を画定する、ステップと、
(ii)前記複数の枠箱の各枠箱の少なくとも一部に基質および第1の発育段階の複数の無脊椎動物を入れるステップと、
(iii)前記複数の枠箱を積み重ねるステップと、
(iii
)人工気候室
(2)を用意するステップであって、
前記人工気候室
(2)が、
壁、床および天井によって囲まれた内部容積部と、
前記内部容積部において第1の方向に延びる、排気口
(20)の第1の列と、
前記内部容積部において排気口の前記第1の列に平行に延びる、排気口
(20)の第2の列と、
排気口の前記第1の列と前記第2の列との間に位置し、それらと平行に延び、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向において排気口の前記第1の列および前記第2の列から離間した、吸気口
(18)の列と、
排気口の前記第1の列と吸気口の前記列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第1のスタック
(6)と、
排気口の前記第2の列と吸気口の前記列との間の空間に配置された枠箱の少なくとも1つの第2のスタック
(6)と、
枠箱の前記第1のスタックと前記第2のスタックとの間において複数の前記吸気口の各々から延びる導管
(38)であって、前記導管が、各スタックの前記複数の枠箱の吸気開口部
(48)と整列するように構成された複数の導管開口部
(40)を備える、導管
(38)と
、
前記人工気候室とともに前記第1の方向に延びる少なくとも1つの軌道(10)であって、第1の壁(12)および第2の壁(12)と、それらの間に画定された通路(14)とを備える軌道(10)と
を備える、ステップと、
(iv)枠箱の少なくとも1つのスタック
(6)を
前記軌道(10)上に配置するステップであって、前記空気流路が前記第1の方向に対して垂直に向けられ、かつ前記第2の方向に向けられた状態で、前記枠箱が配置される、ステップと、
(v)前記吸気口と前記排気口との間に圧力差を加えるステップと
を含む、方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの軌道
(10)が、排気口
(20)の前記第1の列と吸気口
(18)の前記列との間に配置され、前記システムが、好ましくは、吸気口
(18)の前記列と排気口
(20)の前記第2の列との間に配置された第2の軌道
(10)を備える、請求項
28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの軌道
(10)が、通路
(14)によって互いに隔てられた一対の壁
(12)を含み、前記通路が、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に延び、任意には、枠箱の前記少なくとも1つのスタック
(6)が、前記空気流路
(80)が前記第1の方向に延びるように前記軌道上に配置される、請求項
29または
30に記載の方法。
【請求項31】
前記一対の壁
(12)が、互いに平行に配置された中実の対向壁を含む、請求項
30に記載の方法。
【請求項32】
前記壁
(12)の各々が中実壁であり、前記通路
(14)を隣接する溝部
(16)から隔てる、請求項
30または
31に記載の方法。
【請求項33】
前記方法が、複数の吸気口
(18)および複数の排気口
(20)を用意するステップと、前記第1の方向に互いに整列した吸気口と排気口との間に少なくとも1つのスタック
(6)を配置するステップとをさらに含む、請求項
30~
32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、少なくとも1つのセンサ
(52)を使用して、前記複数の枠箱
(4)のうちの1つ以上の中の環境条件を検知するステップをさらに含み、前記検知された環境条件が、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、圧力、および空気流のうちの1つ以上を含むことができる、請求項
28~
33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記枠箱内の検知された環境条件に基づいて、次のパラメータ、すなわち、温度、湿度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、前記吸気口および/または前記排気口の圧力、および空気流のうちの少なくとも1つを制御するステップをさらに含む、請求項
34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、枠箱の複数のスタック
(6)を前記軌道に沿って列状に配置するステップをさらに含み、各スタックが、前記第2の方向において隣接するスタックに当接する
、請求項
28~
35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記スタック
(6)が2×2の配列で配置される、請求項
28~
36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1つの軌道
(10)に沿って移動するようにロボット装置
(86)を動作させるステップをさらに含み、前記ロボット装置が、
枠箱の少なくとも1つのスタック
(6)を前記軌道に沿って移動させ、
前記通路
(14)内の環境条件を検出し、
前記通路の上方に積み重ねられた少なくとも1つの枠箱
(4)から情報を読み取る
ように構成される、請求項
28~
37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
自由に移動し、かつ
1つ以上の枠箱
(4)を枠箱の前記第1のスタック
(6)および/もしくは前記第2のスタック
(6)に配置するか、または、
1つ以上の枠箱を枠箱の前記第1のスタックおよび/もしくは前記第2のスタックから取り出す
ようにロボット装置
(86)を動作させるステップをさらに含む、請求項
28~
38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記方法が、前記通路
(14)の開口端部の手前で前記第2の方向にロボット装置
(86)を搬送するステップをさらに含み、前記人工気候室
(2)が、前記少なくとも1つの軌道
(10)の開口端部に隣接して前記第2の方向に延び、前記ロボット装置を搬送するように構成された少なくとも1つのレール
(52)を備え、任意には、前記ロボット装置が、前記レールに沿って移動するように構成されたフレーム
(88)またはキャリヤ
(88)を備え、前記少なくとも1つの軌道に沿って、または棚部
(14a)によって前記通路
(14)に形成された走行路に沿って移動するように構成されたロボットユニットを備える
、請求項
28~
39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記通路
(14)に対する直立壁
(12)の内面に棚部
(14a)を備える前記少なくとも1つの軌道
(10)によって提供される前記走行路に沿って、ロボット装置
(86)または有人リフト装置を走行させるステップをさらに含む、請求項
40に記載の方法。
【請求項42】
請求項1~
27のいずれか一項に記載のシステムおよび/または請求項
28~
41のいずれか一項に記載の方法で使用する
のに適した無脊椎動物飼育用枠箱
(4)において、前記枠箱
(4)が、基部と、
開口部(48)を有していない長さLの直立側壁
(44)、および
Lよりも短い長さWの直立端壁
(46)と、前記枠箱の前記基部に配置された少なくとも1つのセンサ取付領域
(50)とを備え、
前記直立側壁(44)および前記直立端壁(46)が、前記基部の外周を画定し、また、その上縁面(54)に少なくとも1つの突起(56)を画定し、下縁領域(58)に少なくとも1つの対応する凹部(60)を画定し、前記凹部が、前記枠箱が積み重ねられた別の枠箱の突起を受けるように構成されることを特徴とする、無脊椎動物飼育用枠箱。
【請求項43】
前記基部が、前記枠箱の前記基部に配置された複数のセンサ
(52)をさらに備える、請求項
42に記載の無脊椎動物飼育用枠箱。
【請求項44】
前記枠箱が、取り外し可能な識別タグ、例えばRFIDタグを受けるように構成された第1の受け部
(62)をさらに備える、請求項
42または43に記載の無脊椎動物飼育用枠箱。
【請求項45】
前記枠箱が、前記枠箱の反対側で対応する位置に配置された第2の受け部
(62)をさらに備え、それにより、前記枠箱が垂直軸線を中心に180度回転された場合に、前記第2の受け部の位置が前記第1の受け部の位置に対応するようになっている、請求項
44に記載の無脊椎動物飼育用枠箱。
【請求項46】
前記第2の受け部が、識別タグ、例えばRFIDタグを含む、請求項
45に記載の無脊椎動物飼育用枠箱。
【国際調査報告】