(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(54)【発明の名称】エッチング組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20220801BHJP
H01L 21/308 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
H01L21/306 E
H01L21/308 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572089
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2020034617
(87)【国際公開番号】W WO2020247216
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガスケ、ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】水谷 篤史
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA26
5F043BB15
5F043BB28
5F043DD10
5F043GG02
(57)【要約】
本開示は、例えば半導体基板から窒化タンタル(TaN)を選択的に除去するのに、有用なエッチング組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)酸化剤、
(2)カルボキシ基を少なくとも2つ有するヒドロキシカルボン酸、
(3)アニオン性界面活性剤、及び
(4)水
を含み、
研磨剤を含まず、pHが約7~約10である、エッチング組成物。
【請求項2】
pHが約7~約9.5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸化剤が、過酸化物、過スルホン酸(persulfonic acid)若しくはその塩、オゾン、過カルボン酸(peroxycarboxylic acid)若しくはその塩、過リン酸(perphosphoric acid)若しくはその塩、過硫酸(persulfuric acid)若しくはその塩、過塩酸(perchloric acid)若しくはその塩、又は、過ヨウ素酸(periodic acid)若しくはその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記酸化剤が、過酸化水素又は過硫酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記酸化剤の量が前記組成物の約10重量%~約30重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシカルボン酸がクエン酸又は酒石酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシカルボン酸の量が前記組成物の約1重量%~約10重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記アニオン性界面活性剤がアルキルエトキシル化カルボン酸又はその塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記アニオン性界面活性剤が、下記式(I)の化合物又はその塩である、請求項1に記載の組成物:
【化1】
式(I)中、RはC
1~C
14のアルキルであり、nは1~14の範囲の整数である。
【請求項10】
前記界面活性剤の量が前記組成物の約0.001重量%~約5重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記水の量が前記組成物の約50重量%~約90重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
金属腐食防止剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記金属腐食防止剤がアゾール又はその塩を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記金属腐食防止剤が、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、4-アミノ―1,2,4-トリアゾール、3-アミノ―1,2,4-トリアゾール-5-チオール、1H-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-1-メタノール、5,6-ジメチル-1H-ベンゾトリアゾール、2-アミノ―1,3,4-チアジアゾール、1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、又はこれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記金属腐食防止剤の量が前記組成物の約0.01重量%~約10重量%である、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
キレート剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記キレート剤がホスホン酸又はその塩である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記キレート剤が、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、テトラメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、又はその塩である、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記キレート剤がポリアミノポリカルボン酸を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記キレート剤が、ブチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミンジプロピオン酸、1,6-ヘキサメチレン-ジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N-二酢酸、ジアミノプロパン四酢酸、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-四酢酸、ジアミノプロパノール四酢酸、又は(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
前記キレート剤の量が前記組成物の約0.01重量%~約10重量%である、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
pH調整剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記pH調整剤が塩基又は酸を含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記塩基が水酸化アルカリ又は水酸化アンモニウムである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記pH調整剤の量が前記組成物の約1重量%~約10重量%である、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
四級アンモニウム塩をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記四級アンモニウム塩が、(ラウリルジメチルアンモニオ)酢酸、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、又はベンジルドデシルジメチルアンモニウムブロミドである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記四級アンモニウム塩の量が前記組成物の約0.01重量%~約1重量%である、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
(1)酸化剤、
(2)カルボキシ基を少なくとも2つ含むヒドロキシカルボン酸、及び
(3)水
を含み、
研磨剤を含まず、pHが約7~約10である、エッチング組成物。
【請求項30】
TaNフィーチャを含む半導体基板を請求項1の組成物と接触させて、前記TaNフィーチャの少なくとも一部を除去することを含む方法。
【請求項31】
接触工程後に、前記半導体基板をリンス溶媒でリンスすることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
リンス工程後に、前記半導体を乾燥させることをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記方法は、前記半導体基板における銅を実質的に除去しない、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
請求項30に記載の方法により形成され、半導体デバイスである、物品。
【請求項35】
前記半導体デバイスが集積回路である、請求項34に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エッチング組成物及びエッチング組成物を使用するプロセスに関する。特に、本開示は、金属導体(例えば銅)、バリア材、絶縁材(例えばlow-k誘電体材料)等の、他の露出している又は下に位置する材料の存在下で、窒化タンタル(TaN)を選択的にエッチングすることが可能なエッチング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体業界では、マイクロエレクトロニクスデバイス、シリコンチップ、液晶ディスプレイ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、及びプリント配線板等における電子回路及び電子部品の寸法の低減化及び密度の増加が急速に起きている。これらにおける集積回路が積層又は重ねられる際における回路層同士の間の絶縁層の厚さは不断に減少しており、フィーチャサイズはより小さくなってきている。フィーチャサイズの縮小に伴い、パターンはより小さくなり、デバイス性能パラメータはより厳しくより強固になっている。その結果、これまで許容することができた様々な問題が、フィーチャサイズが小さくなったために、これ以上許容することができないか、又はより大きな問題となっている。
【0003】
先進的な集積回路の製造においては、高密度化に伴う問題を最小限に抑え、かつ性能を最適化するために、high-k(高誘電率)絶縁膜及びlow-k(低誘電率)絶縁膜の両方、並びに各種バリア層材料が用いられている。
【0004】
窒化タンタル(TaN)は、半導体デバイス、液晶ディスプレイ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)及び印刷配線板等に、並びに、貴金属配線、アルミニウム(Al)配線及び銅(Cu)配線のグランド層(ground layer)及びキャップ層(cap layer)として、使用されている。半導体デバイスにおいては、バリア金属、ハードマスク、又はゲート材料として使用されることもある。
【0005】
これらの用途のためのデバイスを作製する際、TaNをエッチングする必要がしばしばある。TaNの様々な用途及びデバイス環境においては、他の層が接触しているか、又はその他の様式で、TaNがエッチングされるのと同時に他の層が露出する。これらの他の材料(例えば、金属導体、誘電体及びハードマーク(hard marks))の存在下におけるTaNの高選択性エッチングは、デバイスの歩留り及び長寿命化のために一般に必要である。TaNのエッチングプロセスはプラズマエッチングプロセスであってもよい。しかし、プラズマエッチングプロセスをTaN層に使用すると、ゲート絶縁層及び半導体基板のいずれか一方又は両方にダメージを与えるおそれがある。さらに、エッチングプロセスは、ゲート電極により露出したゲート絶縁層をエッチングすることにより、半導体基板の一部を除去するおそれがある。トランジスタの電気特性に対して負の影響となり得る。このようなエッチングダメージを避けるため、追加の保護デバイス製造工程を用いてもよいが、これには著しいコストがかかる。
【0006】
TaNに対するウェットエッチング法が知られている。このような方法には、エッチング剤を他の試薬と組み合わせて使用することが含まれ得る。しかし、シリコン系誘電体及び金属(例えばCu)と比しての選択性が十分ではなく、デバイスにおける他の露出金属も腐食又はエッチングを受けてしまうおそれがある。
【0007】
したがって、TaNのエッチング速度が高いが、エッチングプロセス中に露出する又はTa若しくはTaNと接触する他の半導体材料についてのエッチング及び腐食速度が低いエッチング液が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、特定のエッチング組成物により、半導体デバイス中に存在する金属導体層、ハードマスク層及びlow-k誘電体層と比較してTaNを選択的にエッチングすることが可能であるという予測できない発見に基づくものである。より具体的には、本開示は、銅、コバルト及び/又はルテニウムと比較してTaNを選択的にエッチングするための組成物及びプロセスに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本開示は、(1)酸化剤、(2)カルボキシ基を少なくとも2つ含むヒドロキシカルボン酸、(3)アニオン性界面活性剤、及び(4)水を含み、研磨剤(abrasive)を含まず、pHが約7~約10である、エッチング組成物を1つの特色とする。
【0010】
別の態様において、本開示は、(1)酸化剤、(2)カルボキシ基を少なくとも2つ含むヒドロキシカルボン酸、及び(3)水を含み、研磨剤を含まず、pHが約7~約10である、エッチング組成物を1つの特色とする。
【0011】
別の態様において、本開示は、TaNフィーチャを含む半導体基板を、本明細書に開示されるエッチング組成物と接触させて、上記TaNフィーチャの少なくとも一部を除去することを含む方法を1つの特色とする。
【0012】
さらに別の態様において、本開示は、上記の方法により形成され、半導体デバイス(例えば集積回路)である物品を1つの特色とする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書における定義によれば、特に断らない限り、表現された全てのパーセントは、組成物の総重量に対する重量パーセントであると理解されるべきである。特に断らない限り、周囲温度とは、約16~約27℃の間と定義される。
【0014】
本明細書における定義によれば、「水溶性(water-soluble)」物質(例えば、水溶性のアルコール、ケトン、エステル、エーテル、等々)とは、25℃で水中で0.5重量%以上(例えば、1重量%以上又は5重量%以上)の溶解度を有する物質を指す。
【0015】
互変異性化(tautomerization)とは本明細書においては、単結合と、隣接する二重結合との入れ替えを伴う水素原子又はプロトンの形式的な移動と定義される。トリアゾール環系における互変異性化の活性化エネルギーが低いので、トリアゾール化合物についての言及、記載及び権利請求には、トリアゾール化合物の互変異性体(tautomers)が含まれる。
【0016】
概して、本開示は、(1)酸化剤、(2)カルボキシ基を少なくとも2つ有するヒドロキシカルボン酸、(3)アニオン性界面活性剤、及び(4)水を含有し(例えば、含み、実質的にこれらから成り、又はこれらから成り)、研磨剤を含まず、pHが約7~約10である、エッチング組成物(例えば、TaNを選択的に除去するためのエッチング組成物)を1つの特色とする。
【0017】
本開示のエッチング組成物は、マイクロエレクトロニクス用途における使用に好適な酸化剤を少なくとも1種(例えば、2種、3種又は4種)含むことができる。好適な酸化剤の例としては、酸化性酸又はその塩(例えば、硝酸、過マンガン酸、又は過マンガン酸カリウム)、過酸化物(例えば、過酸化水素、ジアルキルペルオキシド類、過酸化水素尿素(urea hydrogen peroxide))、過スルホン酸(persulfonic acid)(例えば、ヘキサフルオロプロパン過スルホン酸(hexafluoropropanepersulfonic acid)、メタン過スルホン酸、トリフルオロメタン過スルホン酸、又はp-トルエン過スルホン酸)及びその塩、オゾン、過カルボン酸(peroxycaboxylic acid)(例えば、過酢酸)及びその塩、過リン酸(perphosphoric acid)及びその塩、過硫酸及びその塩(例えば、過硫酸アンモニウム又は過硫酸テトラメチルアンモニウム)、過塩素酸及びその塩(例えば、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム、又は過塩素酸テトラメチルアンモニウム)、並びに過ヨウ素酸及びその塩(例えば、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸アンモニウム、又は過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム)が挙げられるがこれらに限定されない。これらの酸化剤は一種のみを又は組み合わせて使用することが可能である。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記の少なくとも1種の酸化剤は、本開示のエッチング組成物の総重量の、約10wt%以上(例えば、約12wt%以上、約14wt%以上、約15wt%以上、約16wt%以上、約18wt%以上、又は約20wt%以上)から、約30wt%以下(例えば、約28wt%以下、約26wt%以下、約25wt%以下、約24wt%以下、約22wt%以下、又は約20wt%以下)であってもよい。論理に拘束されることは望まないものの、酸化剤は、(例えば、エッチング組成物中に溶解可能なTaOx型材料を形成することにより)半導体基板上のTaNの除去を容易化及び強化することが可能であると考えられる。
【0019】
いくつかの実施形態においては、本開示のエッチング組成物は、ヒドロキシカルボン酸を少なくとも1種(例えば、2種、3種、又は4種)含んでもよい。いくつかの実施形態においては、ヒドロキシカルボン酸は、カルボキシ基(COOH)を少なくとも2つ(例えば、3つ又は4つ)、及び/又はヒドロキシ基(OH)を少なくとも1つ(例えば、2つ又は3つ)含んでもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロキシカルボン酸は非芳香族及び/又は非環式(例えば環構造を有しない)であってもよい。例えば、ヒドロキシカルボン酸にはクエン酸又は酒石酸が含まれ得る。いくつかの実施形態においては、本明細書に記載されるヒドロキシカルボン酸からは、カルボキシ基を1つしか含まないヒドロキシカルボン酸(例えば、乳酸又はグリコール酸)は除外される。
【0020】
いくつかの実施形態においては、上記の少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸は、本開示のエッチング組成物の総重量の、約1wt%以上(例えば、約2wt%以上、約3wt%以上、約4wt%以上、又は約5wt%以上)から、約10wt%以下(例えば、約9wt%以下、約8wt%以下、約7wt%以下、約6wt%以下、又は約5wt%以下)であってもよい。論理に拘束されることは望まないものの、ヒドロキシカルボン酸は、半導体基板上のTaNの除去を促進することが可能であると考えられる。
【0021】
いくつかの実施形態において、本開示のエッチング組成物は、任意選択的に、アニオン性界面活性剤を少なくとも1種(例えば、2種、3種、又は4種)含んでもよい。いくつかの実施形態においては、アニオン性界面活性剤はアルキルエトキシル化カルボン酸又はその塩であってもよい。いくつかの実施形態において、アニオン性界面活性剤は下記の式(I)の化合物又はその塩であってもよい:
【化1】
ここで、RはC1~C14のアルキル(例えば、C2、C4、C6、C8、C10又はC12のアルキル)であり、nは1~14の範囲の整数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13)である。具体例としては、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)-α-(カルボキシメチル)-ω-(ヘキシルオキシ)(例えば、Rがヘキシルであり、nが3である式(I)の化合物)、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)-α-(カルボキシメチル)-ω-(オクトキシ)(例えば、Rがオクチルであり、nが8である式(I)の化合物)、又はこれらの塩若しくはこれらの組み合わせを挙げることができる。好適なアニオン性界面活性剤の市販品の例としては、花王株式会社(Kao Corporation, S.A)(バルセロナ、スペイン)から入手可能なAKYPOシリーズの製品(例えば、AKYPO LF 1、AKYPO LF 2、AKYPO LF 4、AKYPO LF 6、AKYPO RLM 25、AKYPO RLM 45 CA、又はAKYPO RLM 100)、又はHuntsman Performance Products社(ザ・ウッドランズ、テキサス、USA)から入手可能なEMPICOLシリーズの製品(例えば、EMPICOL CBJ、又はEMPICOL CED5)が挙げられる。いくつかの実施形態において、アニオン性界面活性剤はポリアクリル酸であってもよい。論理に拘束されることは望まないものの、式(I)の化合物におけるカルボン酸基及びポリアクリル酸は、塩基性条件において脱プロトン化して、アニオン界面活性剤を形成することが可能であると考えられる。
【0022】
いくつかの実施形態において、上記の少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、本開示のエッチング組成物の総重量の、約0.001wt%以上(例えば、約0.005wt%以上、約0.008wt%以上、約0.01wt%以上、約0.02wt%以上、約0.05wt%以上、又は約0.1wt%以上)から、約5wt%以下(例えば、約4wt%以下、約3wt%以下、約2wt%以下、約1wt%以下、約0.5wt%以下、約0.1wt%以下、又は約0.05wt%以下)であってもよい。論理に拘束されることは望まないものの、アニオン性界面活性剤は、エッチングプロセス中にエッチング組成物に曝される半導体基板上の銅の腐食又は除去を低減又は最小化することが可能であると考えられる。
【0023】
いくつかの実施形態において、本開示のエッチング組成物は、溶剤として(例えば、唯一の溶剤として)水を含んでもよい。いくつかの実施形態において、水は脱イオン化及び超純水化され、有機汚染物質を含まず、約4~約17メガオーム又は約17メガオーム以上の最小抵抗率を有するものであってもよい。いくつかの実施形態において、水の量は、エッチング組成物の総重量の、約50wt%以上(例えば、約55wt%以上、約60wt%以上、約65wt%以上、約70wt%以上、約75wt%以上、約80wt%以上、又は約85wt%以上)から、約90wt%以下(例えば、約85wt%以下、約80wt%以下、約75wt%以下、約70wt%以下、約65wt%以下、約60wt%以下、又は約55wt%以下)である。論理に拘束されることは望まないものの、水の量が組成物の90wt%より多い場合、そのことがTaNエッチング速度に悪影響を与え、エッチングプロセス中のTaNの除去が減少するであろうと考えられる。一方、論理に拘束されることは望まないものの、他の成分を溶解状態に維持し、エッチング性能の低下を避けるために、本開示のエッチング組成物はある程度の量の水(例えば、約50wt%以上)を含むべきであると考えられる。
【0024】
いくつかの実施形態において、本開示のエッチング組成物は、有機溶剤を少なくとも1種(例えば、2種、3種又は4種)含んでもよい。他の実施形態において、本開示のエッチング組成物は如何なる有機溶剤も含まない。
【0025】
いくつかの実施形態において、本開示のエッチング組成物は、任意選択的に、金属腐食防止剤を少なくとも1種(例えば、2種、3種又は4種)更に含んでもよい。好適な腐食防止剤の例としては、アゾール化合物(例えば、置換又は無置換のアゾール化合物)又はその塩が挙げられる。アゾール化合物の例としては、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物、チアジアゾール化合物、及びテトラゾール化合物が挙げられる。トリアゾール化合物としては、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、置換トリアゾール、及び置換ベンゾトリアゾールを挙げることができる。トリアゾール化合物の例としては、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-トリアゾール、又はC1~C8アルキル基(例えば、5-メチルトリアゾール)、アミノ基、チオール基、メルカプト基、イミノ基、カルボキシ基、及びニトロ基等の置換基で置換されたトリアゾール類が挙げられる。置換トリアゾール化合物の具体例としては、トリルトリアゾール、5-メチル-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,3-トリアゾール、1-アミノ-5-メチル-1,2,3-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール-5-チオール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、及び3-イソプロピル-1,2,4-トリアゾールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0026】
いくつかの実施形態において、上記の少なくとも1種の金属腐食防止剤は、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、及びヒドロキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で任意選択的に(optionally)置換されているベンゾトリアゾールを含んでもよい。例としては、ベンゾトリアゾール(又は1H-ベンゾトリアゾール)、5-アミノベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール(例えば、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)、5-フェニルチオール-ベンゾトリアゾール、ハロ―ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、Br又はI)(例えば、5-クロロベンゾトリアゾール、4-クロロベンゾトリアゾール、5-ブロモベンゾトリアゾール、4-ブロモベンゾトリアゾール、5-フルオロベンゾトリアゾール、及び4-フルオロベンゾトリアゾール)、ナフトトリアゾール、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、5-ニトロベンゾトリアゾール、4-ニトロベンゾトリアゾール、2-(5-アミノ-ペンチル)-ベンゾトリアゾール、1-アミノ-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-1-メタノール、ベンゾトリアゾール-5-カルボン酸、4-メチルベンゾトリアゾール、4-エチルベンゾトリアゾール、5-エチルベンゾトリアゾール、4-プロピルベンゾトリアゾール、5-プロピルベンゾトリアゾール、4-イソプロピルベンゾトリアゾール、5-イソプロピルベンゾトリアゾール、4-n-ブチルベンゾトリアゾール、5-n-ブチルベンゾトリアゾール、4-イソブチルベンゾトリアゾール、5-イソブチルベンゾトリアゾール、4-ペンチルベンゾトリアゾール、5-ペンチルベンゾトリアゾール、4-ヘキシルベンゾトリアゾール、5-ヘキシルベンゾトリアゾール、5,6-ジメチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-メトキシベンゾトリアゾール、5-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]-ベンゾトリアゾール、5-t-ブチルベンゾトリアゾール、5-(1’,1’-ジメチルプロピル)ベンゾトリアゾール、5-(1’,1’,3’-トリメチルブチル)ベンゾトリアゾール、5-n-オクチルベンゾトリアゾール、及び5-(1’,1’,3’,3’-テトラメチルブチル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0027】
イミダゾール化合物の例としては、2-アルキル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-アルキルイミダゾール、2-メチル-4(5)-ニトロイミダゾール、5-メチル-4-ニトロイミダゾール、4-イミダゾールメタノール塩酸塩(4-imidazolemethanol hydrochloride)、及び2-メルカプト-1-メチルイミダゾールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0028】
チアジアゾール化合物の一例としては、2-アミノ-1,3,4-チアジアゾールが挙げられる。
【0029】
テトラゾール化合物の例としては、1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-フェニル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、5,5’-ビス-1H-テトラゾール、1-メチル-5-エチルテトラゾール、1-メチル-5-メルカプトテトラゾール、及び1-カルボキシメチル-5-メルカプトテトラゾール、等々が挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態において、上記の少なくとも1種の金属腐食防止剤は、本開示のエッチング組成物の総重量の、約0.01wt%以上(例えば、約0.02wt%以上、約0.05wt%以上、約0.1wt%以上、約0.2wt%以上、約0.3wt%以上、約0.4wt%以上、又は約0.5wt%以上)から、約10wt%以下(例えば、約8wt%以下、約5wt%以下、約3wt%以下、約2.5wt%以下、約2wt%以下、約1.5wt%以下、約1wt%以下、約0.8wt%以下、又は約0.5wt%以下)であってもよい。論理に拘束されることは望まないものの、金属腐食防止剤は、エッチングプロセス中にエッチング組成物に曝される半導体基板上の銅の腐食又は除去を抑制又は最小化することが可能であると考えられる。
【0031】
いくつかの実施形態において、本開示のエッチング組成物は、キレート剤を少なくとも1種(例えば、2種、3種、又は4種)任意選択的にさらに含んでもよい。いくつかの実施例において、キレート剤としては、ホスホン酸又はその塩が挙げられ得る。このようなキレート剤の具体例としては、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)又はそのヘキサカリウム塩、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、テトラメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、又はその塩が挙げられる。
【0032】
いくつかの実施形態において、キレート剤には、ポリアミノポリカルボン酸又はその塩が含まれ得る。ポリアミノポリカルボン酸は、アミノ基を少なくとも2つ(例えば、3つまたは4つ)及びカルボキシ基を少なくとも2つ(例えば、3つ又は4つ)含んでもよい。このようなキレート剤の具体例としては、ブチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸、1,6-ヘキサメチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N-二酢酸、ジアミノプロパン四酢酸、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-四酢酸、ジアミノプロパノール四酢酸、及び(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸が挙げられる。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記の少なくとも1種のキレート剤は、本開示のエッチング組成物の総重量の、約0.01wt%以上(例えば、約0.02wt%以上、約0.05wt%以上、約0.1wt%以上、約0.2wt%以上、約0.3wt%以上、約0.4wt%以上、又は約0.5wt%以上)から、約10wt%以下(例えば、約8wt%以下、約5wt%以下、約3wt%以下、約2.5wt%以下、約2wt%以下、約1.8wt%以下、約1.5wt%以下、約1wt%以下、約0.8wt%以下、又は約0.5wt%以下)であってもよい。論理に拘束されることは望まないものの、キレート剤は、半導体基板上の金属(例えば、銅)と複合体と形成し、エッチングプロセス中にエッチング組成物に曝されるこのような金属の除去を抑制又は最小化することを可能とすると考えられる。また、キレート剤は、酸化剤(例えば、過酸化物)の安定化を補助し得ると考えられる。
【0034】
いくつかの実施形態において、本開示のエッチング組成物は、pH調整剤(例えば、酸又は塩基)を少なくとも1種(例えば、2種、3種又は4種)任意選択的にさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、pH調整剤は、金属イオン(例えば、アルカリイオン)を含む塩基であってもよい。このような金属含有塩基の例としては、NaOH又はKOH等のアルカリ水酸化物が挙げられる。いくつかの実施形態において、pH調整剤は、例えば水酸化アンモニウム(すなわち、NH4OH)等の、金属イオンを含まない塩基であってもよい。いくつかの実施形態において、本開示のエッチング組成物が塩基性のpH調整剤を少なくとも2種含む場合、主たるpH調整剤は上述のアルカリ水酸化物又は水酸化アンモニウムであってもよく、副次的な塩基性のpH調整剤は四級水酸化アンモニウム(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)又は水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)等の水酸化テトラアルキルアンモニウム)又はアミジン(例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン(DBN))であってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、pH調整剤は、スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸)又はカルボン酸(例えば、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸)等の有機酸であってもよい。いくつかの実施形態において、pH調整剤は無機酸(例えば、ハロゲン化水素)ではない。
【0036】
概して、本開示のエッチング組成物におけるpH調整剤の量は、エッチング組成物のpHを所望の値に調整するのに十分な量とすることができる。いくつかの実施形態において、pH調整剤は、エッチング組成物の総重量の、約1wt%以上(例えば、約1.5wt%以上、約2wt%以上、約2.5wt%以上、約3wt%以上、約3.5wt%以上、約4wt%以上、約4.5wt%以上、又は約5wt%以上)から、約10wt%以下(例えば、約9wt%以下、約8wt%以下、約7.5wt%以下、約7wt%以下、約6wt%以下、又は約5wt%以下)であってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、本開示のエッチング組成物は、テトラアルキルアンモニウム塩等の四級アンモニウム塩を少なくとも1種(例えば、2種、3種、又は4種)任意選択的にさらに含んでもよい。好適な四級アンモニウム塩の例としては、(ラウリルジメチルアンモニオ)酢酸((lauryldimethylammonio)acetate)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、又はベンジルドデシルジメチルアンモニウムブロミドが挙げられる。
【0038】
概して、本開示のエッチング組成物における四級アンモニウム塩は、エッチング組成物の総重量の、約0.01wt%以上(例えば、約0.02wt%以上、約0.04wt%以上、約0.05wt%以上、約0.06wt%以上、約0.08wt%以上、約0.1wt%以上、約0.2wt%以上、約0.3wt%以上、約0.4wt%以上、又は約0.5wt%以上)から、約1wt%以下(例えば、約0.9wt%以下、約0.8wt%以下、約0.75wt%以下、約0.7wt%以下、約0.6wt%以下、又は約0.5wt%以下)であってもよい。論理に拘束されることは望まないものの、四級アンモニウム塩は、エッチングプロセス中にエッチング組成物に曝される金属の除去を抑制又は最小化することができると考えられる。
【0039】
いくつかの実施形態において、本開示のエッチング組成物のpHは、約7以上(例えば、約7.2以上、約7.4以上、約7.5以上、約7.6以上、約7.8以上、約8以上、約8.2以上、約8.4以上、約8.5以上、又は約9以上)であり、及び/又は約10以下(例えば、約9.8以下、約9.6以下、約9.5以下、約9.4以下、約9.2以下、約9以下、約8.5以下、又は約8以下)であってもよい。論理に拘束されることは望まないものの、pHが7よりも低いエッチング組成物は十分なTaNエッチング速度を有しないと考えられる。さらに、pHが10よりも高いエッチング組成物は、強い塩基性により、過剰なCuエッチングをもたらし、組成物中の特定の成分が機能することを妨げ、及び/又は組成物中の特定の成分を分解するおそれがあると考えられる。
【0040】
さらに、いくつかの実施形態において、本開示のエッチング組成物は、更なる腐食防止剤、界面活性剤、更なる有機溶剤、殺生物剤(biocides)、及び消泡剤等の添加剤を任意選択(optional)成分として含有してもよい。好適な消泡剤の例としては、ポリシロキサン消泡剤(例えば、ポリジメチルシロキサン)、ポリエチレングリコールメチルエーテルポリマー、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドコポリマー、及びグリシジルエーテルキャップ化アセチレン性ジオールエトキシレート(例えば、参照により本開示に取り込まれる米国特許第6,717,019号に記載されているもの)が挙げられる。好適な界面活性剤の例は、カチオン性、アニオン性、ノニオン性又は両親媒性であってよい。
【0041】
概して、本開示のエッチング組成物は、比較的高いTaN/金属(例えば、銅)エッチング選択性(すなわち、金属エッチング速度に対するTaNエッチング速度の比が高い)を有し得る。いくつかの実施形態において、エッチング組成物のTaN/金属エッチング選択性は、約2以上(例えば、約3以上、約4以上、約5以上、約6以上、約7以上、約8以上、約9以上、約10以上、約15以上、約20以上、約30以上、約40以上、又は約50以上)であり、及び/又は約500以下(例えば、約100以下)であってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、本開示のエッチング組成物は、上記の添加剤成分の1種又は複数(1よりも多い場合には任意の組み合わせ)を特に含まないようにしてもよい。このような成分は、有機溶剤、pH調整剤、ポリマー(例えば、カチオン性又はアニオン性ポリマー)、脱酸素剤(oxygen scavengers)、四級アンモニウム塩若しくは四級水酸化アンモニウム、アミン、アルカリ性塩基(CsOH及びRbOH等)、消泡剤以外の界面活性剤、消泡剤、フッ素含有化合物、研磨剤(例えば、カチオン性研磨剤又はアニオン性研磨剤)、ケイ酸塩、ヒドロキシカルボン酸(例えば、ヒドロキシ基を2つよりも多く含むもの)、カルボン酸及びポリカルボン酸(例えば、アミノ基を含む又は含まないもの)、シラン(例えば、アルコキシシラン)、環状化合物(例えば、アゾール(ジアゾール、トリアゾール、又はテトラゾール等))、トリアジン、及び環を少なくとも2つ含む環状化合物(例えば、置換若しくは無置換のナフタレン、又は置換若しくは無置換のビフェニルエーテル)、緩衝剤、非アゾール腐食防止剤、並びに塩(例えば、ハロゲン塩又は金属塩(例えば、ハロゲン化金属))からなる群より選択される。
【0043】
本開示のエッチング組成物は、成分同士を単に混合することにより調製することが可能である、あるいはキット中の2つの組成物をブレンドすることにより調製することが可能である。キット中の第1の組成物は、酸化剤(例えば、H2O2)の水溶液であってもよい。キット中の第2の組成物は、2つの組成物をブレンドすることにより本開示の所望のエッチング組成物が得られるように、本開示のエッチング組成物の残りの成分を所定の比率で濃縮した形態で含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、本開示は、TaNフィーチャ(例えば、TaN膜又は層)を少なくとも1つ含む半導体基板をエッチングする方法を1つの特色とする。いくつかの実施形態において、TaNフィーチャは、Cu、Co及び/又はRuが充填されたビア(via)又はトレンチの周りの(例えば、厚さが約1nmである)ライナー又はバリア、又は、Cu、Co及び/又はRuが充填されたビア又はトレンチの側壁をコーティングするフィルムであってもよい。TaNを含み、充填金属/ライナー/バリアの順で配置された材料を有するフィーチャの例としては、Cu/TaN/TaN、Cu/Ta/TaN、Cu/Co/TaN、及びCo/Ru/TaNが挙げられる。TaNを含み、充填金属/バリアの順で配置された材料を有するフィーチャの例としては、Co/TaNが挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記少なくとも1つのTaNフィーチャを含む半導体基板を、本開示のエッチング組成物と接触させて、上記TaNフィーチャの少なくとも一部を除去することを含んでもよい。上記方法は、上記接触工程後に半導体基板をリンス溶液でリンスすること、及び/又は上記リンス工程後に半導体基板を乾燥させることをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法の利点の一つは、エッチングプロセス中にエッチング組成物に曝される半導体基板上の金属(例えば、Cu)を実質的に除去しないということである。
【0046】
いくつかの実施形態において、上記エッチング方法は、以下の工程を含む:
(A)TaNフィーチャを含む半導体基板を提供すること、
(B)上記半導体基板を本開示に記載されているエッチング組成物と接触させること、
(C)上記半導体基板を1種又は複数種の好適なリンス溶媒でリンスすること、及び
(D)任意選択的に(optionally)、上記半導体基板を(例えば、上記リンス溶媒を除去するが、半導体基板の一体性を損なわない任意の好適な手段により)乾燥すること。
【0047】
本明細書に記載されている半導体基板(例えば、ウェハ)は、典型的には、シリコン、シリコンゲルマニウム、III-V族化合物(例えば、GaAs)、又はこれらの任意の組み合わせから構成される。半導体基板は、追加的に、相互接続フィーチャ(interconnect features)等の露出した集積回路構造(例えば、金属線及び誘電体材料)を含んでもよい。相互接続フィーチャに使用される金属及び金属合金としては、アルミニウム、銅と合金化したアルミニウム、銅、チタン、タンタル、コバルト、シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、及びタングステンが挙げられるがこれらに限定されない。また、半導体基板は層間誘電体(interlayer dielectric)(ILD)、ポリシリコン、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコンカーバイド、酸化チタン、及び炭素ドープシリコン酸化物の層も含んでいてよい。
【0048】
半導体基板は、任意の好適な方法によりエッチング組成物と接触させてよく、このような方法としては、エッチング組成物をタンク中に配置して半導体基板をこのエッチング組成物中に浸漬及び/又は沈めること、エッチング組成物を半導体基板上にスプレー塗布すること、エッチング組成物を半導体基板上に流すこと、又はこれらの任意の組み合わせ等がある。
【0049】
本開示のエッチング組成物は、約85℃以下(例えば、約20℃~約80℃、約55℃~約65℃、又は約60℃~約65℃)の温度で効果的に使用することが可能である。この範囲内ではTaNのエッチング速度は温度と共に上昇するので、より高温でのプロセスはより短時間で行うことができる。反対に、エッチング温度がより低いと、典型的にはより長いエッチング時間が必要となる。
【0050】
エッチング時間は、用いられる特定のエッチング方法、厚さ、及び温度に応じて幅広く変動し得る。浸漬バッチ型プロセスでエッチングを行う場合、好適な時間範囲は、例えば、約10分以下(例えば、約1分~約7分、約1分~約5分、又は約2分~約4分)である。単一ウェハプロセスについてのエッチング時間は、約30秒~約5分(例えば、約30秒~約4分、約1分~約3分、又は約1分~約2分)の範囲であってもよい。
【0051】
本開示のエッチング組成物のエッチング能をさらに高めるために、機械的撹拌手段を用いることができる。好適な撹拌手段の例としては、エッチング組成物を基板上で循環させること、エッチング組成物を基板上に流す又はスプレーすること、及びエッチングプロセス中に超音波又はメガソニック撹拌することが挙げられる。地面に対する半導体基板の向きは如何なる角度であってもよい。水平又は垂直の向きが好ましい。
【0052】
エッチングに続いて、半導体基板を好適なリンス溶媒で約5秒から約5分間、撹拌手段有り又は無しでリンスすることができる。異なるリンス溶媒を用いる複数のリンス工程を用いてもよい。好適なリンス溶媒の例としては、脱イオン(DI)水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N-メチルピロリジノン、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらに代えて又はこれらに加えて、pH>8である水性リンス剤(希水酸化アンモニウム水溶液等)を用いてもよい。リンス溶媒の例としては、希水酸化アンモニウム水溶液、DI水、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールが挙げられるがこれらに限定されない。リンス溶媒は、本明細書に記載されているエッチング組成物を付与するのに使用されるものと同様の手段を用いて付与することが可能である。エッチング組成物は、リンス工程を開始する前に半導体基板から除去されていてもよいか、又は、リンス工程の開始時には半導体基板と依然として接触していてもよい。いくつかの実施形態において、リンス工程で用いられる温度は16℃~27℃の間である。
【0053】
任意選択的に(optionally)、半導体基板はリンス工程後に乾燥される。当該技術分野において既知である任意の好適な乾燥手段を使用することができる。好適な乾燥手段の例としては、スピン乾燥、半導体基板を横切るように乾燥ガスを流すこと、半導体基板をホットプレート又は赤外線ランプ等の加熱手段で加熱すること、マランゴニ乾燥、ロタゴニ(rotagoni)乾燥、イソプロピルアルコール(IPA)乾燥、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。乾燥時間は、用いられる具体的な方法に左右されるが、典型的には30秒~数分間程度である。
【0054】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているエッチング方法は、上述の方法により得られる半導体基板から半導体デバイス(例えば、半導体チップ等の集積回路デバイス)を形成することをさらに含む。
【実施例】
【0055】
以下の実施例を参照して本開示をより詳細に説明するが、以下の実施例は例示目的のものである。以下の実施例は、本開示の範囲を限定するものであると解釈すべきではない。
【0056】
特に断りのない限り、列挙されているパーセントはいずれも重量基準(wt%)である。試験中の制御された撹拌は、特に断りのない限り、300rpmで1インチの攪拌子を用いて行われた。
【0057】
<基本手順1>
[配合物のブレンド]
エッチング組成物のサンプルを、撹拌しながら、計算された量の溶媒に配合物の残りの成分を添加することにより調製した。均一な溶液が達成された後に、任意選択的(optional)な添加剤を、使用する場合には、添加した。
【0058】
<基本手順2>
[材料及び方法]
ブランケットテストクーポンを、基本手順3に記載されている手順に従い、基本手順1により調製された試験溶液中でエッチング及び材料適合性(materials compatibility)について評価した。
【0059】
膜上でのブランケット膜エッチング速度の測定は、市販されているパターン無し300mm直径のウェハを、0.5インチ×1.0インチの評価用テストクーポンにダイスカットしたものを用いて行われた。試験に使用されたブランケット膜材料は、(1)シリコン基板上に堆積された厚さ約500Åの窒化タンタル(TaN)膜、(2)シリコン基板上に堆積された厚さ約1500Åの銅(Cu)膜、(3)シリコン基板上に堆積された厚さ約200又は350Åの酸化タンタル(TaOx)膜、(4)シリコン基板上に堆積された厚さ約350Åのルテニウム(Ru)膜、及び(5)シリコン基板上に堆積された約2000Åのコバルト(Co)膜であった。
【0060】
ブランケット膜テストクーポンを処理前及び処理後の厚さについて測定し、ブランケット膜エッチング速度を決定した。処理前及び処理後に、CDE-RESMAP 4点プローブを使用して、TaN、Cu、Co及びRu膜の厚さを測定した。ESM-300エリプソメータ(J.A.Woolam社(リンカーン、ネブラスカ))を使用して、処理前及び処理後にTaOx膜の厚さを測定した。更なる膜厚測定値を、Rigaku SmartLabX線回析計を使用してX線反射率測定法により収集した。
【0061】
パターン形成されたテストクーポンを、基本手順3に記載されている手順に従い、基本手順1により調製された試験溶液中でエッチング及び材料適合性について評価した。
【0062】
パターン形成されたテストクーポンCu/Ta(3nm)/TaN(3nm)/ILDを、材料適合性及び/又はエッチング応答について評価した。次いで、処理後のテストクーポンについて走査電子顕微鏡(SEM)による評価を行った。処理後のクーポンから得たSEM画像を、事前に撮られた処理前のSEM画像セットと比較して、パターン形成されたテストデバイスフィーチャについての各試験配合物の材料適合性及びエッチング応答を評価した。
【0063】
<基本手順3>
(ビーカー試験でのエッチング評価)
全ブランケット膜エッチング試験を、サンプル溶液100gを含む250mL容ガラスビーカー内で、300rpmで連続撹拌しながら、蒸発損失を最小限に抑えるために常時Parafilm(登録商標)カバーをした状態で、20℃~85℃の間で行った。一方の側において試験溶液に曝されたブランケット金属又は誘電膜を有する全てのブランケットテストクーポンをダイアモンドスクライブにより、おおよそ0.5インチ×1インチの長方形のビーカースケールテスト用のテストクーポンサイズにダイスカットした。個々の各テストクーポンは、4インチ長のプラスチック製ロックピンセットクリップ1個を使用して所定位置に保持された。一端面でロックピンセットクリップにより保持されたテストクーポンを、上記250mL容ガラスビーカー内に吊り下げ、試験溶液をプロセス温度で300rpmで連続撹拌しながら、試験溶液100g中に浸漬した。各テストクーポンを撹拌中の溶液中に置いた直後、上記250mL容ガラスビーカーの上部をParafilm(登録商標)でカバーして再封止した。処理時間(基本手順3Aに記載)が経過するまで、テストクーポンを撹拌中の溶液中に静的に保持した。試験溶液中での処理時間が経過した後、サンプルクーポンを250mL容ガラスビーカーからすぐに取り出し、基本手順3Aに従いリンスした。最後のDIリンス工程の後、全てのテストクーポンを、携帯型(hand held)窒素ガスブロアーを用いたフィルターろ過済み窒素ガス吹付ステップに供し、全てのDI水残存分を強制的に除去して、試験測定用の最終的な乾燥サンプルを製造した。
【0064】
<基本手順3A(ブランケットテストクーポン)>
基本手順3に従う処理時間(すなわち、TaNについては5又は6分間、Cu、Ru、Co及びTaOxについては10又は20分間)の直後に、クーポンを、およそ1リットル/分の越流率とした1000mLの体積の超高純度脱イオン(DI)水に、20℃で30秒間、さらにその後、穏やかに撹拌しながら30秒間浸漬した。この処理は、基本手順3に従って完了した。
【0065】
<基本手順3B(パターン形成されたテストクーポン)>
2.5~3分間(実験に応じて決まる)の処理時間の直後に、パターン形成されたテストクーポンを、20℃で20秒間、穏やかに撹拌しながらイソプロピルアルコール(IPA)又は超高純度脱イオン水に浸漬して処理後リンスを行った。この処理は、基本手順3に従って完了した。
【0066】
<実施例1>
配合物例1~47(FE-1~FE-47)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を56~67℃としたこと以外は、基本手順2及び3に従ってブランケットテストクーポンを使用して評価した。配合物の概要を表1に示し、試験結果の概要を表2に示す。
【0067】
【0068】
【0069】
表2に示される通り、配合物FE-1~FE-47は、試験条件下で、比較的高いTaNエッチング速度及び/又はTaN/Cuエッチング選択性を示した。また、これらの配合物のほとんどは、H2O2を添加する前には透明であり(すなわち、沈殿物がなく)、H2O2を添加した後も透明であり、プロセス温度でもまだ透明であった。さらに、これらの配合物のほとんどは、TaN膜及びCu膜をエッチングするのに使用した場合、発泡が全く生じないか、又は低度の発泡であった。
【0070】
<実施例2>
配合物例48~50(FE-48~FE-50)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を65℃とした以外は、基本手順2及び3に従ってブランケットテストクーポンを使用して評価した。上記配合物及び試験結果の概要を表3に示す。
【0071】
【0072】
表3に示される通り、FE-48(pH調整剤としてKOHを含有)は、試験条件下で、比較的高いTaNエッチング速度及び比較的低いCuエッチング速度(すなわち、比較的高いTaN/Cuエッチング選択性)を示した。一方、FE-49及びFE-50(pH調整剤として、金属フリーな塩基であるTMAH及びDBUを含有)は両方とも、試験条件下で、比較的低いTaNエッチング速度を示した。
【0073】
<実施例3>
配合物例51~55(FE-51~FE-55)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を60℃とした以外は、基本手順2及び3に従ってブランケットテストクーポンを使用して評価した。上記配合物及び試験結果の概要を表4に示す。
【0074】
【0075】
表4に示される通り、FE-55によりCuが酸化されたものの、FE-51、FE-54及びFE-55(pH調整剤として、KOH、NAOH及びNH4OHを含有)は、試験条件下で、比較的高いTaNエッチング速度及び比較的低いCuエッチング速度(すなわち、比較的高いTaN/Cuエッチング選択性)を示した。さらに、試験した他の2つの配合物FE-52及びFE-53は、試験条件下で、比較的高いTaN/Cuエッチング選択性を示した。
【0076】
<実施例4>
配合物例56~58(FE-56~FE-58)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を65℃とした以外は、基本手順2及び3に従ってブランケットテストクーポンを使用して評価した。上記配合物及び試験結果の概要を表5に示す。
【0077】
【0078】
表5に示される通り、FE-56(比較的pHが低い)は、試験条件下で、比較的低いTaNエッチング速度及び比較的高いCuエッチング速度(すなわち、比較的低いTaN/Cuエッチング選択性)を示した。対照的に、試験した他の2つの配合物FE-57及びFE-58は、試験条件下で、比較的高いTaNエッチング速度及び比較的低いCuエッチング速度(すなわち、比較的高いTaN/Cuエッチング選択性)を示した。
【0079】
<実施例5>
配合物例59~63(FE-59~FE-63)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を65℃とした以外は、基本手順2及び3に従ってブランケットテストクーポンを使用して評価した。上記配合物及び試験結果の概要を表6に示す。
【0080】
【0081】
表6に示される通り、FE-59及びFE-61(カルボキシ基を2つ以上有するα-ヒドロキシカルボン酸を含有)は、試験条件下で、比較的高いTaNエッチング速度及び比較的低いCuエッチング速度(すなわち、比較的高いTaN/Cuエッチング選択性)を示した。
【0082】
<実施例6>
配合物例64~67(FE-64~FE-67)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を65℃とした以外は、基本手順2及び3に従ってブランケットテストクーポンを使用して評価した。上記配合物及び試験結果の概要を表7に示す。
【0083】
【0084】
表7に示される通り、FE-65~FE-67(クエン酸を含有)は、試験条件下で、比較的高いTaNエッチング速度及び比較的低いCuエッチング速度(すなわち、比較的高いTaN/Cuエッチング選択性)を示した。一方、FE-64(クエン酸を含有しない)は、試験条件下で、比較的低いTaNエッチング速度及び比較的低いTaN/Cuエッチング選択性を示した。
【0085】
<実施例7>
配合物例68~70(FE-68~FE-70)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を65℃とした以外は、基本手順2及び3に従ってブランケットテストクーポンを使用して評価した。上記配合物及び試験結果の概要を表8に示す。
【0086】
【0087】
表8に示される通り、FE-69及びFE-70(アニオン性界面活性剤を含有)は、FE-68(アニオン性界面活性剤を含まない)と比較して、比較的高いTaNエッチング速度及び比較的低いCuエッチング速度(すなわち、比較的高いTaN/Cuエッチング選択性)を示した。
【0088】
<実施例8>
配合物例71~73(FE-71~FE-73)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を65℃とした以外は、基本手順2及び3に従ってブランケットテストクーポンを使用して評価した。上記配合物及び試験結果の概要を表9に示す。
【0089】
【0090】
表9に示される通り、FE-71~FE-73(どれもアニオン性界面活性剤を含有)は、比較的高いTaNエッチング速度及び比較的低いCuエッチング速度(すなわち、比較的高いTaN/Cuエッチング選択性)を示した。
【0091】
<実施例9>
配合物例74~77(FE-74~FE-77)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を65℃とした以外は、基本手順2及び3に従って評価した。上記配合物及び試験結果の概要を表10に示す。
【0092】
【0093】
表10に示される通り、FE-74~FE-77(どれもアニオン性界面活性剤としてポリアクリル酸を含有)は、比較的高いTaNエッチング速度及び比較的低いCuエッチング速度(すなわち、比較的高いTaN/Cuエッチング選択性)を示した。
【0094】
<実施例10>
配合物例78~91(FE-78~FE-91)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を65℃とした以外は、基本手順2及び3に従ってブランケットテストクーポンを使用して評価した。FE-78~FE-91は、DTPAを0.7%、クエン酸を5.5%、AKYPO LF4を0.3%、KOH、H2O2を20%、アゾール添加剤を0~2含み、残りは水であった。アゾール添加剤及び試験結果の概要を表11に示す。
【0095】
【0096】
表11に示される通り、FE-79~FE-91(トリアゾールを少なくとも1種含有)は、試験条件下で、FE-78(トリアゾールを含有しない)と比較して、比較的高いTaNエッチング速度及び比較的低いCuエッチング速度(すなわち、比較的高いTaN/Cuエッチング選択性)を示した。さらに、FE-83~FE-91(トリアゾールを2種含有)は、試験条件下で、概して、FE-79~FE-82(トリアゾールを1種含有)と比較して、より高いTaN/Cuエッチング選択性を示した。
【0097】
<実施例11>
配合物例92~95(FE-92~FE-95)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を65℃とした以外は、基本手順2及び3に従ってブランケットテストクーポンを使用して評価した。配合物及び試験結果の概要を表12に示す。
【0098】
【0099】
表12に示される通り、FE-93~FE-95(どれもテトラアルキルアンモニウム塩を含有)は、試験条件下で、FE-92(テトラアルキルアンモニウム塩を含有しない)よりも高いTaN/Cuエッチング選択性を示した。
【0100】
<実施例12>
配合物例96~98(FE-96~FE-98)を基本手順1に従って調製し、エッチング温度を65℃とした以外は、基本手順2及び3に従ってブランケットテストクーポン及びパターン形成されたテストクーポンを使用して評価した。配合物及び試験結果の概要を表13に示す。
【0101】
【0102】
本発明を、特定の実施形態を参照して詳細に説明してきたが、改変及びバリエーションについても、記載及び特許請求されている趣旨及び範囲に包含されることは理解されるであろう。
【0103】
<関連出願の参照>
本願は、2019年6月3日に出願された米国仮出願第62/856,213号の優先権を主張するものであり、該米国仮出願の内容はその全体が参照により取り込まれる。
【国際調査報告】