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特表2022-535567調整可能かつ同時に複数の血管を圧迫する方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-09
(54)【発明の名称】調整可能かつ同時に複数の血管を圧迫する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/132 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
A61B17/132
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021572309
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(85)【翻訳文提出日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 CA2020050751
(87)【国際公開番号】W WO2020243825
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】62/858,064
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521530059
【氏名又は名称】レ ザントレプリーズ ナノステント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LES ENTREPRISES NANOSTENT INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】オリバー エフ バートランド
(72)【発明者】
【氏名】ラムセス ガラス
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド エレディア
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ゴメス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD33
(57)【要約】
血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を記載する。この装置は、少なくとも2つの空洞を有する本体を備えるフレームであって、少なくとも2つの空洞は本体を貫き、少なくとも2つの空洞に対応する患者の表面の周りに配置されるフレームを備える。少なくとも2つの圧迫部材が、対応する少なくとも2つの空洞に移動可能に嵌入され、フレームの一部は、圧迫部材の一部が嵌入され、その周りにヒンジ結合される空間を画定する。ヒンジ結合する部分に対向する少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの側面は、前記側面とフレームとの間の界面でフレームと解放可能に係合して、ヒンジ位置に応じて血管アクセスポイントに圧迫を適用するための所定のヒンジ位置に少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれを係止する係止機構を備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの空洞を有する本体を備えるフレームであって、前記少なくとも2つの空洞は本体を貫き、前記少なくとも2つの空洞に対応する患者の表面の周りに配置されるフレームと、
対応する前記少なくとも2つの空洞に移動可能に嵌入される少なくとも2つの圧迫部材と、を備え、
前記フレームの一部は、前記圧迫部材の一部が嵌入され、その周りにヒンジ結合される空間を画定しており、
ヒンジ結合する部分に対向する前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの側面は、前記側面と前記フレームとの間の界面で前記フレームと係合して、前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれによる調整可能で同時の圧迫を適用するための所定のヒンジ位置に前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれを係止する係止機構を備える、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置。
【請求項2】
前記係止機構は、下方向への動作のみを可能にするために非対称であるラチェット歯を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
歯を備える前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの前記側面は、それに沿って一定の曲率半径で湾曲している、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ、着用中の患者に快適性を提供するために、その底部に沿って一定の曲率半径を有する底面を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つの圧迫部材は剛性材料からなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの底面に沿ってパッドがさらに設けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記パッドは、前記パッドを透視するための窓を形成する孔を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記パッドは、前記パッドを透視するための窓を形成する透明な部分を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ、透視するための透明な材料からなる、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも2つの圧迫部材は、正確に2つの圧迫部材を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
血管アクセスポイントに調整可能な圧迫を適用するための装置において、
血管アクセスポイントに配置される空洞を形成する本体を含むフレームと、
前記空洞に移動可能に嵌入される圧迫部材と、
を備え、
前記フレームの一部は、前記圧迫部材の一部が嵌入され、周りにヒンジ結合される空間を画定しており、
ヒンジ結合する部分に対向する前記圧迫部材の側面は、歯を備え、
前記歯は前記歯とフレームとの間の界面でフレームと係合して、ヒンジ位置に応じて前記血管アクセスポイントに前記調整可能な圧迫を適用するための所定の前記ヒンジ位置に前記圧迫部材を係止する、装置。
【請求項12】
前記歯は、下方向の動きのみを可能にするために非対称のラチェット歯である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記歯を備える前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの前記側面は、それに沿って一定の曲率半径で湾曲している、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ、着用中の患者に快適性を提供するために、その底部に沿って一定の曲率半径を有する底面を備える、請求項11~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも2つの圧迫部材は剛性材料からなる、請求項11~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの底面に沿ってパッドをさらに備える、請求項11~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記パッドは、前記パッドを透視するための窓を形成する孔を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記パッドは、前記パッドを透視するための窓を形成する透明な部分を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記パッドは、薬学的に活性な物質が含浸された吸収性材料を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ、透視するための透明な材料からなる、請求項11~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記歯と前記フレームとの間の界面において、前記フレームは、前記歯を解放するために引き込みが可能な部分を備え、前記圧迫部材をヒンジで自由に動かすことができる、請求項11~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記フレームは、身体部位の形状に適応するよう円筒の一部の形状を提供するために、フレームの幅に沿って湾曲しており、その長さに沿っては湾曲していない底面を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
ブレスレットを形成するバンドをさらに備え、前記フレームは前記バンドに固定されている、請求項1~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
バンドは開口部を備え、前記フレームは、前記フレームを前記バンドに固定するために前記開口部に挿入可能であり、前記フレームを前記バンドから取り外すために前記開口部から解放可能である、請求項1~23のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2019年6月6日に出願された米国仮特許出願第62/858,064号の利益または優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
開示される主題は、一般に、経橈骨カテーテルまたはインターベンションに使用される装置に関する。より具体的には、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
冠状血管または末梢血管の診断血管造影および経皮インターベンションを実行するための標準的なアクセス部位は大腿動脈であるが、橈骨動脈または尺骨動脈(手首からの動脈)の使用は過去10年間でより一般的になった。確かに、これらの血管は表在的であるという性質と寸法が小さいことで、はるかに大きく深い大腿動脈と比較して、重要な利点をもたらす。実際、シースやカテーテルなどの、血管に導入された機器を取り外した後、穿刺部位にある程度の圧力を維持することによって止血が可能である。したがって、大腿骨へのアクセスと比較して、手首の血管へのアクセスでは、血管の合併症とアクセス部位の出血のリスクが大幅に減少する。
【0004】
しかし、橈骨動脈または尺骨動脈のいずれかを介して手首アプローチを用いる場合に固有の警告または合併症は、止血の最中に血管が閉塞する可能性があるため、順行性の流れが一時的または永続的に中断される可能性があることである。非常に多くの場合、手および指5に流れを生じさせる二重または三重の動脈系があるため、この閉塞は無症状のままである。
【0005】
経橈骨カテーテルまたはインターベンション後の橈骨動脈閉塞(Radial Artery Occlusion: RAO)のリスクを軽減するために用いることができるいくつかの方法がある。これらは、薬理学的および非薬理学的方法として広く説明することができる。薬理学的方法は、手順の開始時に、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、ビバリルジンまたは同様の薬剤などの抗凝固剤を患者に投与することに依存している。患者は抗凝固療法を受けているため、止血が完了するまで血管を圧迫している間、RAOのリスクが低くなる。周術期RAOのリスクに影響を与える可能性のある、他の最も重要な非薬理学的要素は、診断血管造影手順またはバルーンおよび/またはステント留置によるインターベンションのいずれかを実行するために手術者が使用する、シースおよびカテーテルの寸法である。実際、シース/動脈の比率が大きいほど、周術期のRAOのリスクが高くなることは明確である。したがって、5Frシースおよびカテーテルを使用して実施される経橈骨手技は、6Frシースおよびカテーテルを使用する手技よりもRAOのリスクが少ない。
【0006】
RAOの発生率は非常に変動しやすく、退院時または処置後24時間以内の発生率は0%から33%の間であると報告されている。さらに、自発的な血管再開通は、フォローアップ中に、通常は最初の4週間以内に発生する可能性があることに留意すべきである。周術期RAOの病態生理学は、血管の圧迫による血流の遅さまたは流れの欠如と、最終的に部分的または完全な血管閉塞を引き起こす急性血栓症につながる血管損傷との関連性に関係している。
【0007】
したがって、RAOのリスクを大幅に低減する機構が必要である。
【発明の概要】
【0008】
複数の異なる血管、例えば、動脈および静脈、またはより一般的には2つ以上の動脈または血管に調整可能な圧力を加えるための医療機器および方法が提供される。この装置を使用して、器具の付いた血管および付いていない血管に対し、独立しているが同時に圧力をかけることができる。個々の異なる方法で各血管に圧力を加えることによる主な目標は、一方の血管の流れを減らし、もう一方の血管の流れを増やすことである。たとえば、ラチェット、機械的相互係止、双安定係止機構などのさまざまな機構により、特定の異なる血管内の圧力をさまざまな程度に正確に微調整することができる。潜在的な用途の一つは、一方の血管が損傷または穿刺されており、他方の血管の圧迫により、止血が完了するまで組織灌流を維持できる場合に、血管からの出血と失血を防ぐことである。これは、血管が近位に接続されている場合(つまり、近くに分岐点が存在する場合)に特に役立つ。
【0009】
一実施形態によれば、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置が提供され、この装置は以下を備える。
- 少なくとも2つの空洞を有する本体を備えるフレームであって、少なくとも2つの空洞は本体を貫き、少なくとも2つの空洞に対応する患者の表面の周りに配置されるフレーム。
- 対応する少なくとも2つの空洞に移動可能に嵌入される少なくとも2つの圧迫部材であって、フレームの一部は、圧迫部材の一部が嵌入され、その周りにヒンジ結合される空間を画定しており、ヒンジ結合する部分に対向する少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの側面は、前記側面とフレームとの間の界面でフレームと係合して、少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれによる調整可能で同時に圧迫を適用するための所定のヒンジ位置に少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれを係止する係止機構を備える、圧迫部材。
【0010】
一実施形態によれば、係止機構は、下方向への動作のみを可能にするために非対称であるラチェット歯を備える。
【0011】
一実施形態によれば、歯を備える少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの側面は、それに沿って一定の曲率半径で湾曲している。
【0012】
一実施形態によれば、少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ、着用中の患者に快適性を提供するために、その底部に沿って一定の曲率半径を有する底面を備える。
【0013】
一実施形態によれば、少なくとも2つの圧迫部材は剛性材料からなる。
【0014】
一実施形態によれば、少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの底面に沿ってパッドがさらに設けられる。
【0015】
一実施形態によれば、パッドは、パッドを透視するための窓を形成する孔を備える。
【0016】
一実施形態によれば、パッドは、パッドを透視するための窓を形成する透明な部分を備える。
【0017】
一実施形態によれば、少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ、透視するための透明な材料からなる。
【0018】
一実施形態によれば、少なくとも2つの圧迫部材は、正確に2つの圧迫部材を備える。
【0019】
別の態様によれば、血管アクセスポイントに調整可能な圧迫を適用するための装置が提供され、この装置は、以下を備える。
- 血管アクセスポイントに配置される空洞を形成する本体を含むフレーム。
- 空洞に移動可能に嵌入される圧迫部材であって、フレームの一部は、圧迫部材の一部が嵌入され、その周りにヒンジ結合される空間を画定しており、ヒンジ結合する部分に対向する圧迫部材の側面は、前記歯とフレームとの間の界面でフレームと係合して、ヒンジ位置に応じて血管アクセスポイントに調整可能な圧迫を適用するための所定のヒンジ位置に圧迫部材を係止する歯を備える、圧迫部材。
【0020】
一実施形態によれば、歯は、下方向の動きのみを可能にするために非対称のラチェット歯である。
【0021】
一実施形態によれば、歯を備える少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの側面は、それに沿って一定の曲率半径で湾曲している。
【0022】
一実施形態によれば、少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ、着用中の患者に快適性を提供するために、その底部に沿って一定の曲率半径を有する底面を備える。
【0023】
一実施形態によれば、少なくとも2つの圧迫部材は剛性材料からなる。
【0024】
一実施形態によれば、少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの底面に沿ってパッドがさらに設けられる。
【0025】
一実施形態によれば、パッドは、パッドを透視するための窓を形成する孔を備える。
【0026】
一実施形態によれば、パッドは、パッドを透視するための窓を形成する透明な部分を備える。
【0027】
一実施形態によれば、パッドは、薬学的に活性な物質が含浸された吸収性材料を備える。
【0028】
一実施形態によれば、少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ、透視するための透明な材料からなる。
【0029】
一実施形態によれば、歯とフレームとの間の界面において、フレームは、歯を解放するために引き込みが可能な部分を備え、圧迫部材をヒンジで自由に動かすことができる。
【0030】
一実施形態によれば、フレームは、身体部位の形状に適応するよう円筒の一部の形状を提供するために、フレームの幅に沿って湾曲しており、その長さに沿っては湾曲していない底面を有する。
【0031】
一実施形態によれば、ブレスレットを形成するバンドがさらに提供され、フレームはバンドに固定されている。
【0032】
一実施形態によれば、バンドは開口部を備え、フレームは、フレームをバンドに固定するために開口部に挿入可能であり、フレームをバンドから取り外すために開口部から解放可能である。
【0033】
本開示のさらなる特徴および利点は、添付の図面と組み合わせてなされる、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】一実施形態に従う、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す斜視図である。
図2】一実施形態に従う、リストバンドが開いた状態の装置を示す斜視図である。
図3】一実施形態に従う、一方の圧迫部材が係合しており、他方が解放されて開かれた状態で手首に取り付けられ、穿刺部位を示している、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す斜視図である。
図4】一実施形態に従う、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置のフレームを示す斜視図である。
図5】一実施形態に従う、圧迫部材が解放され、異なる角度で自由にヒンジ結合された、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す斜視図である。
図6】一実施形態に従う、圧迫部材の1つがフレームから取り外された状態で、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す斜視図である。
図7】一実施形態に従う、圧迫部材の1つが最大角度で広くヒンジ結合されている、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す斜視図である。
図8】一実施形態に従う、特定の範囲(底部、側面)にわたって局所的に一定である、異なる曲率半径を含む圧迫部材の1つを示す側面図である。
図9】一実施形態に従う、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す側面図であり、圧迫部材は両方とも係合しているが、わずかに異なる角度、したがって異なる圧力で係合している。
図10】一実施形態に従う、ラチェットの代わりに歯車の形態である、歯を変位させるためのウォーム歯車を含む、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す側面図である。
図11】一実施形態に従う、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す底面斜視図であり、圧迫部材は両方とも係合しており、観察のためにパッド内に窓を備えたパッドを含む。
図12】一実施形態に従う、手首に取り付けられ、両方の圧迫部材が独立して係合しており、それぞれの下で皮膚表面に独立した圧力を提供する、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す斜視図である。
図13】一実施形態に従う、両方の圧迫部材が同じ角度で係合している状態で、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す正面図である。
図14】一実施形態に従う、開口部に挿入されたフレームを備えたブレスレットとしての薄いバンドを備えた、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す正面斜視図である。
図15】一実施形態に従う、開口部に挿入されたフレームを備えたブレスレットとしての薄いバンドを備えた、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す底面斜視図である。
図16】一実施形態に従う、開口部に挿入されたフレームを備えたブレスレットとしての薄いバンドを備えた、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す背面斜視図である。
図17】一実施形態に従う、図14のフレームを示す斜視図である。
図18】一実施形態に従う、係止位置にある、図14のフレーム上のばね式スライドボタンおよびラチェット歯を示す拡大斜視図である。
図19】一実施形態に従う、係止解除位置にある、図14のフレーム上のばね式スライドボタンおよびラチェット歯を示す拡大斜視図である。
図20】一実施形態に従う、図17のフレームを示す分解斜視図である。
図21】一実施形態に従う、図17のフレームを示す別の分解斜視図である。
図22】一実施形態に従う、追加の部品を含まない図17のフレームを示す斜視図である。
図23】一実施形態に従う、図17に示される圧迫部材を示す分解斜視図である。
図24】一実施形態に従う、ブレスレット上に、フレーム用の開口部を含み、異なる開口部を有する、ブレスレットを形成するバンドを示す斜視図である。
図25】一実施形態に従う、ブレスレット上に、フレーム用の開口部を含み、異なる開口部を有する、ブレスレットを形成するバンドを示す斜視図である。
図26】一実施形態に従う、ブレスレット上に、フレーム用の開口部を含み、異なる開口部を有する、ブレスレットを形成するバンドを示す斜視図である。
図27】一実施形態に従う、ブレスレットを形成するように変形された図24に示したバンドを示す斜視図である。
図28】一実施形態に従う、図27のバンドをブレスレットとして、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置を示す斜視図である。
図29】一実施形態に従う、図18および19のばね式スライドボタンを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
添付の図面全体を通して、同様の特徴が同様の参照番号によって識別されることに留意されたい。
【0036】
最近の研究では、止血期間中に橈骨血流をある程度維持できれば、RAOのリスクが大幅に低下することが示されている。その技術は「開存止血」と呼ばれている。プロトコルは、アクセスに使用された血管に止血を行うために必要な最小限の圧力を加えることを含むため、かなり単純である。バンド、ゲージ、ブレスレット、プラスチックブラダーなどの止血装置を適用すると、手術者は、ドップラーなどの非侵襲的手法で直接、または器具の付いていない血管(すなわち、橈骨動脈にアクセスする場合は尺骨動脈)をしっかりと押しながら、1本の遠位指上のオキシメータプレチスモグラフィを測定して間接的に流れを評価することにより、順行性の流れが維持されていることを確認する。器具の付いていない血管に遠位の一時的、部分的または完全な閉塞を生成することにより、橈骨動脈の流れの加速を生み出し、流量を増加させる可能性があり(ref)、止血が達成されるまで、通常5時間未満(より頻繁には1~2時間)で橈骨動脈の流れを維持する。
【0037】
興味深いことに、器具の付いていない動脈を約60分間圧迫すると、閉塞した器具の付いた血管の再開通に役立つ可能性があることも示されている。したがって、尺骨動脈を1時間圧迫することは、診断血管造影および/またはインターベンション後に閉塞した橈骨動脈を安全に再開するための非薬理学的方法として役立つ可能性がある。
【0038】
カテーテル留置後のRAOの平均率は、止血中の順行性の流れを維持するための専用プロトコルがない場合、通常5%の範囲である。器具の付いていない動脈の同側圧迫なしで「開存止血」プロトコルを使用すると、経皮処置後30日でRAOのリスクが2~5%に減少し、止血が達成されるまで尺骨動脈の圧迫または閉塞によって開存止血のプロトコルが補完された場合、RAOは2%未満に減少する可能性がある。
【0039】
周術期のRAOを回避することは、潜在的な遠位手の虚血を回避するために重要であるだけでなく、追加の経皮処置の場合に繰り返しアクセスできるように、または冠状動脈バイパス移植手術(CABG)の場合に橈骨動脈セグメントの使用を可能性にするために、橈骨動脈の開存性を維持することも非常に重要である。橈骨動脈の開存性を維持することは、患者が慢性腎不全を患っており、血液透析を可能にするために動静脈瘻が必要となる可能性がある場合にも重要となり得る。
【0040】
集中治療室では、手首レベル(橈骨または尺骨)の動脈を使用して、重症患者または手術中に動脈圧を監視することもできる。そのような場合、麻酔科医または集中治療医は動脈内カニューレを取付け、手術の際は数時間、また重要な患者の場合は数日間、その位置に保つことができる。ほとんどの場合、患者に抗凝固療法は行われず、RAOを回避するためにカニューレを取り外す際に特定の方法や専用の装置は使用されない。手動による圧迫は通常、出血が止まるまで適用され、再出血を防ぐために単純な包帯が数時間保持される。集中治療室で橈骨動脈に長時間カニューレを挿入した後、橈骨動脈閉塞が最大20%の割合で報告されている。
【0041】
器具の付いた血管を圧迫するための、またはシースおよびカテーテルの後に(例えば、米国特許第8,556,928号に記載されているような)単純な止血装置があるが、2つ以上の血管の圧力を同時に調整できる装置はない。Pancholy etalら(米国特許第9,510,838号および第9,642,628号)は、空気と注射器を使用して膨らませることができる2つのプラスチックブラダーを使用するブレスレットタイプの使用を提案しているが、我々は、この装置が安全で効果的な二重動脈圧迫を実行しないことを発見した。プラスチックブラダーによって加えられる圧力は動脈に直接負荷がかからず、その結果、患者に重大な不快感を与える可能性がある。最も重要なことは、器具の付いている血管と付いていない血管に対して、正確に、異なる圧力を個別に調整することを可能にしない点である。最後に、ブラダーを膨らませるための空気の使用は重大な漏出と関連している可能性があり、したがって止血中に器具の付いている動脈に維持される圧力および器具の付いていない動脈の圧力が、時間とともに変化し、したがって器具の付いている血管と付いていない血管の両方で、動脈の流れに影響する可能性がある。さらに、空気は圧縮性である。したがって、膨張した空気で満たされたブラダーによって加えられる圧力は、時間とともに変化する可能性があり、したがって、圧力は、出血を防ぐには不十分であるか、または器具の付いた血管内の圧力流を上げるのに効果がない可能性がある。
【0042】
本発明による装置は、そのような欠点に対処すべきものである。
【0043】
ここで、図1~13を参照し、一実施形態によれば、装置1は、止血を達成し、したがってアクセス部位の組織治癒を促進するために、カテーテル挿入アクセス部位の真上で、皮膚の表面に物理的圧力を加える。カテーテルを患者から取り外した後、圧力をかける。
【0044】
ここに示すほとんどの例は手首に関するものであるが、この装置は、患者の手首、脚、腕、前腕、胸、背中、太もも、またはその他の身体部分で使用することを意図としている。図1および2に示されるような装置は、その主要部品をバンド3またはストラップ4を備えた自己係止ブレスレットに組み立てることにより、身体に取り付けることができる。また、身体に取り付ける粘着パッド5に主要部品を組み付けることにより、身体に取り付けることもできる。
【0045】
この止血装置の使用例は、動脈の穿刺が発生する心臓血管カテーテル検査後の創傷閉鎖装置として使用することである。ただし、出血を止め治癒を促進する必要があるあらゆる種類の穿刺に使用できる。
【0046】
この装置の使用のより具体的な例は、橈骨アクセスカテーテル挿入後の手首領域の橈骨動脈の上の穿刺部位2の上部で患者の皮膚を圧迫することである(より具体的には図3に示されている)。ヒンジ式圧迫部材部品6、または好ましくは1つより多い(すなわち、2つまたはそれ以上)のヒンジ式圧迫部材部品を1つまたはそれ以上の部位で使用して、橈骨動脈の止血を促進することができる。
【0047】
ただし、橈骨動脈閉塞(RAO)と呼ばれる状態は、1つの動脈に対して単一の圧迫部品を長期間使用すると、そのような動脈が永久に崩壊し、使用できなくなったり、手の領域に潜在的な組織虚血を引き起こしたりすることに起因する場合がある。この崩壊は、不十分な内圧のために動脈が圧迫力を維持できないことが原因である可能性がある。
【0048】
RAOの臨床状態を予防および軽減するために、穿刺部位の皮膚表面に1つより多い、すなわち少なくとも2つの圧迫部材を使用することが有用である可能性があることを我々は発見した。したがって、好ましい実施形態に従う装置1は、複数のヒンジ式圧迫部材6を含み、これは、腕の中の複数の動脈間で流れおよび圧力を分配するために、異なるが隣接する場所に同時に使用され得る。例えば。第1の圧迫部材に加えて第2の圧迫部材で尺骨動脈を圧迫することにより、橈骨動脈内の流れと圧力の両方が増加し、それによって崩壊を防ぎ、したがってRAOのリスクを低減する。提案された装置がその少なくとも2つの圧迫部材およびそれらが圧力を加える方法のおかげで効率的に促進するこの効果は、開存止血と呼ばれる。
【0049】
物理的圧力は、治癒過程の有効性を改善するために、複数の血管のそれぞれに別個の差別化された方法で加えることができる。止血用の装置1は、経皮インターベンション後、穿刺部位2の上部に圧迫力を発揮する。この装置は、圧迫部材によって皮膚の上に圧迫力を加えることにより、出血を止め、アクセス創傷の治癒を促進するために、臨床医または医療提供者が使用することを目的としている。
【0050】
以下でさらに詳細に説明するように、一実施形態に従うラチェットタイプの機構が、楔形部品をその旋回点の周りに押し下げて圧迫を提供した後、その部品を所定の位置に係止して、皮膚表面に対応する場所で所望の一定レベルの圧力を維持するために使用される。
【0051】
複数の血管に同時に、すなわち皮膚上の2つの異なる近くの場所に同時に圧力を加える装置が記載されており、典型的には、位置の少なくとも1つが手首上の器具のアクセスポイントである。この装置は、圧力を各血管に独立して加えることを可能にし、その結果、例えば図3または5によく示されるように、皮膚上の各位置について、別個の独立した圧力を、異なるレベルにて、互いに独立して設定することを可能にする。図9はさらに、装置1の少なくとも2つからの各圧迫部材6が、(各圧迫部材6が、異なり別個であり、かつ、特定の角度でそれらを係合および係止するための機構であるため、他から独立していることを考慮に入れつつ)わずかに異なる位置で(ラチェット歯15によって)係合および係止され、それらのそれぞれが、係止される角度から生じる独自の独立した圧力を確実に適用することを非常によく示している。圧迫部材6が空洞8に移動可能に取り付けられている(すなわち、それらはヒンジ式であり、それによって垂直変位を実行できる)ため、角度、したがって圧力は、変更することができる。
【0052】
カテーテル挿入後に橈骨動脈アクセス部位に止血を得る好ましい例では、出血が止まるまで看護師または医師が圧力を加えるラチェットまたは相互係止機構によって中程度の圧力を加えることができ、その後、手術者は装置の係止機構(すなわち、第1の1個の圧迫部材6の係止機構)で圧力を維持することができる。
【0053】
次に、装置の第2の1個の圧迫部材6の第2の1つを使用して、操作者は、器具の付いていない動脈(すなわち、皮膚上の他の近くの場所)に圧力を加えることもできる。所望の圧力が得られると、圧力を維持するために、第1の係止機構とは異なる別個の(第2の)係止機構(すなわち、圧迫部材6の第2の係止機構または他の係止機構)を係合(または作動)させることができる。したがって、両方の動脈の係止機構が歯から外れるまで、操作者によって決定された圧力は、係止機構のいずれかが係合しても変化することなく維持される。これらの係止機構はまた、ラチェット機構を不注意に解放し、アクセス部位に圧力が加えられず、止血がまだ完了していない場合、即時の出血につながる可能性がある、患者によるそれらの操作を防ぐ。
【0054】
この機構により、器具の付いている血管と付いていない血管に同時に異なるレベルの圧力を加えることができる。ドップラーによる直接評価、または、橈骨動脈流のオキシメトリプレチスモグラフィー若しくはサーモグラフィーによる間接評価を使用して、手術者は、止血が完了するまで、患者の快適性と適切な手の灌流を維持しながら、橈骨動脈流を最大化し、尺骨動脈流を減少させるために、両方の動脈の装置で圧力を上げるか下げるかを決定できる。この好ましい実施形態では、装置は、主に、経橈骨カテーテル挿入後の橈骨動脈閉塞を防ぐために使用される。尺骨動脈が器具の付いている血管だった場合、操作を簡単に逆にすることができる。その場合、手術者は両側のラチェット機構と係止機構を使用して橈骨動脈と尺骨動脈の別々の圧力を決定するが、止血が達成されるまで尺骨動脈の血流を増やすために橈骨動脈に高い圧力がかかることが予想される。これらの2つの例は、止血中および止血後の動脈閉塞を防ぐために装置をどのように使用できるかを示している。
【0055】
橈骨動脈閉塞がシースまたはカニューレの除去後早期に診断された場合、装置は治療装置としても適用できる。その場合、手術者は、器具の付いている血管内の圧力灌流を増加させるために、器具の付いていない動脈に最大(閉塞または半閉塞)圧力を加える可能性がある。手術者は、最大圧力(1~2 cmの領域あたり、200グラムから最大5キログラムの範囲の力)を適用するか、直接または間接の方法を使用して、器具の付いている血管と付いていない血管の血流を評価して圧力を決定するかを選択できる。
【0056】
器具の付いている血管と付いていない血管に高度な精度と安定性で別々の制御された圧力を加えるために、装置はそれらの別々の機構に基づいて構築することができる。
【0057】
装置の他の部品が固定される主支持構造、またはフレーム7が提供される。フレーム7は、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金などの剛性金属材料、またはABS、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、PVC、ナイロン若しくは他の任意の生体適合性ポリマー材料などのポリマー材料でできていてもよい。主支持構造7はまた、独立気泡または連続気泡発泡体またはエラストマーゴムなどの可撓性材料から作ることもできる。主支持構造またはフレーム7は、他の部品が固定される主フレームとして機能する。フレーム7は、周辺部分および中間部分を画定する中実体を有し、フレーム7の外形は、規則的または不規則な、長方形、円形、またはその他の任意の多角形であり得る。図4に示すように、主支持構造またはフレーム7は、1つまたはそれ以上の長方形または多角形の空洞8(その間の部分は、身体に属するいわゆる中間部分である)または中空形状を有して、図4に示すように、空洞8の特別に画定された個別の領域に1つまたはそれ以上の圧迫部材6を配置できるようにする。空洞はフレームを通り(上から下へ)、上部からアクセスでき、下部の患者の皮膚表面に到達する。
【0058】
一実施形態に従う装置1は、ヒンジ機構9を介してフレーム7に組み立てられる1つまたはそれ以上の圧迫部材6を備える。フレーム7のヒンジ機構9は、図4に示すように、ヒンジ軸37に沿って開口を有するフレーム7の本体の一部を含み、圧迫部材6は、図5に示すように、その位置にヒンジ機構9を有し、圧迫部材6をヒンジ可能にする、すなわち、それらは、そのヒンジ軸37を中心にヒンジできる(すなわち、それらは、その旋回軸を中心に回転することができる)。ピン、ロッド、または他の任意の要素は、ヒンジ軸37を具体化することができるか、そうでなければ、圧迫部材6の側面部分は、フレーム7の本体のヒンジ機構9とスナップフィット関係で挟止できるように、その点でわずかに大きくてもよい。ヒンジ機構9は、圧迫部材6がはめ込まれ、その周りに続いてヒンジで固定される空間を画定するフレーム7の部分である。
【0059】
圧迫部材6は、フレーム7の任意の点に配置することができるヒンジ旋回点9の周りを自由に回転する。これらの部品の動きにより、部品は患者の皮膚に対して圧迫される。圧迫部材6は、恒久的に取り付けられるか、または支持構造から取り外し可能(図6に示される構成10)であり、再利用することができる。機構は180度以上回転可能であり(図7に示す構成11)、装置の残りの部分を取り外すことなく、皮膚表面を露出させ、止血が達成されたことを確認することができる。
【0060】
実施形態に応じて、圧迫部材6は、剛性ポリマー(または他の剛性材料)、または可撓性ポリマー(または他の可撓性材料)で作製することができ、不透明または透明にすることができる。圧迫部材6が透明である実施形態では、そのような透明性によって、心臓カテーテル検査後の穿刺部位22の上部への装置の適切かつ正確な位置決めが可能となるであろう。言い換えれば、図3に示すように、穿刺部位2は、圧迫部材6が係合する場合でも、外側から見ることができる。
【0061】
圧迫部材6の底部形状は、一定の曲率半径を有する圧迫部材底面13であり、その動きが、一定の幾何学的パターンで穿刺部位2を含む体表面を圧迫することを可能にし、したがって、突然の形状の変化または鋭い領域が存在しないため、患者の快適性を最大化する。図8は、圧迫部材底面13が湾曲していることをよく示しており、圧迫部材6のこの領域が一定の曲率半径を有することが分かる。曲率半径は、圧迫部材6の側面で変化するが、底面13に対応して、その底部では実質的に一定のままである。その一定の曲率半径を特徴とする底面13は、穿刺部位2および穿刺部位2の周囲を覆うのに十分な長さでなければならない。例えばヒンジ点14の近くなどの、圧迫部材6の他の部分は、同じ曲率半径を有する必要はない。側面はまた、それ独自の一定の曲率半径を有するラチェット歯15を有する。したがって、特定の範囲(下、側面)で局所的に一定の、異なる曲率の半径が存在する。好ましくは、曲率半径が圧迫部材のこれらの特定の領域間で変化する場合、患者の不快感を引き起こす可能性のある凹凸を回避するために、変化は滑らかでなければならない(例えば、曲率半径は絶えず定期的に変化すべきである)。
【0062】
一実施形態に従う圧迫部材6は、ヒンジ点14の反対側の端部に、係止機構を有する。一実施形態に従う係止機構は、ラチェット歯15を含むラチェットタイプの係止機構である。他の実施形態によればそれは(図10に示され、代替の実施形態に関連して以下でさらに簡単に説明される)ウォームギア16を備える歯車タイプの係止機構である。
【0063】
ラチェット歯15を含む圧迫部材6の側面は湾曲しており、ヒンジ点9はその側面の曲率半径の中心を画定している。この湾曲した形状により、ラチェット歯15は、圧迫部材の機械的変形なしに同じ距離で歯の係合が発生するので、一定の力で係止機構に係合することができ、したがって、任意の所与の位置または角度でのばね式係合機構17によって同じレベルの力が発揮される。この同じレベルの係止力により、医療従事者は、歯のトラック全体にわたる解放スライドボタンの動作によって係止機構を解放する際、同じレベルの力を感じることができる。
【0064】
圧迫部材6の底部における圧迫部材底面13の曲率半径は、30~100mmの間であり、患者の快適性を最大にするために一定の半径である。圧迫部材の任意の位置で患者の皮膚に対して同じ形状を維持するには、一定の曲率半径が必要である。より大きな半径は、圧迫力がより均等に分散されるため、患者に最大の快適性を提供するであろう。
【0065】
皮膚に加えられる圧迫力は、圧迫部材の動きと、その後の圧迫部材6の所定の位置への保持によって引き起こされる。医療従事者は、圧迫部材を押し、それが移動してラチェットの歯と係合し、圧迫部材6の側面にある界面18で一方向の移動を可能にする。複数の圧迫部材6を使用して、皮膚の複数の領域に圧迫力を加えることができ、各圧迫部材は互いに独立して機能する。したがって、各圧迫部材は、皮膚表面に独自の所望のレベルの力を発揮することができる。
【0066】
一方向の方向移動は、ラチェットの歯を非対称にすることによって得られる。ラチェット歯15の各歯は、図8に示すように、圧迫部材の側面から延びる2つの表面を含む三角形の形状を有する。圧迫部材6の回転中心はヒンジ点14であり、圧迫部材6の側面の曲率半径の中心を画定する。各歯について、歯の第1の側(上側)はヒンジ点14の方向に真っ直ぐであり、歯の反対側(下側)は(図8に示された)半径軸Rに対して傾斜している。 この非対称性により、一方向の移動(下方向のみ)が可能になり、ラチェットの歯が外れている場合にのみ上向きの移動が可能になる。
【0067】
ラチェットの歯は、開いたり、または再調整したりして、別の係止位置に再係合するために、解放可能である必要がある。一実施形態によれば、図9に示されるように、ラチェット歯15は、その界面18において、解放ボタン21の係止歯からラチェット歯を外すことによって係止界面を取り外す、ばね式解放ボタン20を作動させることによって、(すなわち、それらの間に距離を作り、それによって歯の間の接触を取り除き、それによって解放を達成することによって)外すことができる。しかしながら、好ましくは、この機構の作用は、歯の迅速な解放および再係合を促進するために、限られた移動距離22のみを有する。以下でさらに説明するように、ウォームギア機構23またはねじ型24の部品など、ラチェット歯を徐々に解放するための追加の制御機構があり得る。
【0068】
圧迫部材6は、動作時にラチェット歯15を外すばね式スライドボタン20を使用することにより、フレーム7がまだ患者の所定の位置にある間に、ラチェット歯15から完全に解放することができる。この機能は、医療従事者が装置全体を取り外すことなく完全な止血が達成されたかどうかを評価および確認するのに役立つ。
【0069】
圧迫部材6は、剛性材料または可撓性材料から作られていてもよい。圧迫部材6を皮膚表面に押し付けることにより、所望の圧力が提供される。圧迫部材6は、図示のとおり、膨張可能または著しく変形可能ではない。
【0070】
好ましい実施形態によれば、透明な材料を使用することにより、皮膚上のアクセス部位の視覚化を助ける。最も高い圧迫力は、皮膚上のアクセス部位(すなわち、穿刺部位2)の上部に配置されるべきであろう。圧迫部材の透明性により、アクセス部位を視覚化できるため、装置の適切な配置に役立つ。
【0071】
圧迫部材の材料は、透明のままであるが、血液が圧迫部材6との皮膚の界面に存在する場合、それが暗く見えるように、任意の色で着色することができる。
【0072】
一実施形態によれば、図11に示されるように、圧迫部材6は、圧迫部材6と患者の皮膚との間の界面13において吸収性であり得る、適切な緩衝材(例えば、発泡体、クッションまたは布の形態の材料)で作られた柔軟パッド25を備える。この材料は、使用時に患者から出る過剰な血液を吸収するために利用できる。好ましくは、材料は、高吸収性セルロース発泡体または任意の他のタイプの生体適合性で滅菌可能な吸湿性発泡体で作られていてもよい。柔軟パッド25は、圧迫部材6の底面13全体を覆っていても、いなくてもよい。吸収性発泡体または緩衝材は、パッド25(発泡体で作ることができる)の任意の特定の位置に任意の形状の窓26を有して、医療従事者の観点から(すなわち、圧迫部材6の上から)穿刺部位22を適切に視覚化することができる。柔軟パッド25は、任意の適切な取り付け方法(例えば、接着剤による取り付け、縫い付け、ワイヤーによる取り付け、釘付け、ねじ込み、はんだ付けなど)を用いて、圧迫部材の底面13に固定される。存在する場合、それは患者の快適性を高め、アレルギー誘発性を減らし、装置の使用中に患者が出血した場合の吸収性を可能にする。一実施形態によれば、柔軟パッド25は吸収性であり、装置が装着された際に患者の皮膚への適用のための薬学的に活性な物質を含浸させることができる。
【0073】
一実施形態によれば、圧迫部材6は、主フレームが使い捨てでない部品として残っている場合に、交換可能であり、未使用のものと交換することができる。
【0074】
一実施形態によれば、圧迫部材ラチェット歯15とばね式解放ボタン20との間の運動は、ばね式解放ボタン20とラチェット歯15との間の相対運動中に各ラチェット歯が前進する際に、それらの間の界面での係合のため、また使用されるべき剛性材料のため、クリック音を発生させる。この効果音は、医療従事者が患者の皮膚に対して装置をどれだけ圧迫したかについての可聴フィードバックを提供する。このクリック音は、調整された圧力が変更されている場合に医療従事者に通知されることを保証する。これは、設置時だけでなく、着用時にも当てはまる。例えば、流体を備えたバルーンを含む従来技術の機構を使用すると、圧力は時間とともに変化する可能性があり(例えば、所望の圧力を提供する流体の温度が時間とともに変化する場合)、着用時間にわたるこの連続的な変化について誰にも通知されない。本装置では、圧迫部材6を特定の位置に係止するラチェット機構が安定した位置を提供し、したがって時間の経過とともに安定した圧力を提供し、誤ってこの位置が変化した場合、クリック音が発せられ、近くの人員または着用者に通知することにより、修正を適用することができる。
【0075】
図1~7および図12図13によく示されている、その対称性のために、この装置の設計は両手利き用であり、ラチェットの歯が患者に対して遠位または近位を向くように、任意の腕および任意の方向27で使用できる。また、図13に示すように、フレーム7(具体的には、バンド3だけでなくフレーム7)は、フレーム7の長さに沿ってではなく、フレーム7の幅に沿って湾曲して凹んでいる内面(または底面)を有しており、それは、フレーム7の内面が円筒の一部の形状を有し、それにより、腕、前腕若しくは手首、または円筒形状を有する他の任意の適切な身体部位の形状に適合されることを意味する。したがって、フレーム7の上面は、その幅に沿って湾曲し、凸状である。
【0076】
一実施形態によれば、主支持構造またはフレーム7は、長方形、円形、または複数の多角形の開放スロットを有する。開放スロットは、それらの壁の内側に、それらのヒンジ軸37で圧迫部材を組み立てることを可能にするヒンジ機構を有する。圧迫部材6は、ヒンジまたは旋回点37の周りを自由に回転し、主支持構造との干渉によってのみ制限される。
【0077】
1つまたはそれ以上の圧迫部材6が装置アセンブリ内に存在し得、それらは互いに独立して機能し得る。
【0078】
一実施形態によれば、装置は、止血が望まれる患者の手首または任意の他の解剖学的部分の周りに配置される、好ましくは自己接着材料または接着部材で作られた可撓性バンド3を有する。一実施形態によれば、患者の快適性を高めるため、バンドは幅が広く、圧力を任意の方向に均一に分散させる、少なくとも15mmの幅でなければならない。バンドは、主要構造のバンドスロットに巻き付けるか、主要構造の上部に接着手段で直接取り付けることにより、直接取り付けられる。
【0079】
この装置の1つの利点は、ヒンジ軸37と、圧迫部材6がそのヒンジ軸37の周りにヒンジ接続部分またはヒンジ点14を有する事実のおかげでレバー効果を使用することである。施術者が圧迫部材6を押すと、その回転の旋回点からより離れた距離で力を加えることができ、その後、施術者が圧迫部材6を患者の皮膚に押し付けることが容易になる(力はヒンジ14、37から遠位に圧迫部材6に適用され、レバーを提供する)。この効果は、力がラチェット歯15を含む部分にはるかに接近して加えられると仮定すると、医療従事者の指によって加えられる大きな力を必要とせずに装置を使いやすくする。装置が医療従事者によって指で押されている際、圧迫部材によって患者に加えられる圧迫力のレベルについて、医療従事者に自然な触覚フィードバックを提供する。すなわち、施術者が圧縮部材6を下に移動させるために必要な力が大きければ大きいほど、その位置で皮膚表面に加えられる圧力は大きくなる。
【0080】
他の実施形態によれば、他の異なる機構を装置の別個の部分で使用することができる。
【0081】
体積変位:この代替の実施形態では、密閉された環境の無毒の滅菌流体を含む剛性構造は、ブラダー型部材を膨張させる構造内の構造内のチャネルを通って移動され、したがって、手首の器具の付いているおよび付いていない血管アクセスポイントに圧力を加えることができる。調整可能なピストン動作により、流体の変位レベル、したがって血管に適用される最終圧力を決定できる。
【0082】
ラチェット機構:上記のラチェット機構により、プラスチック、ポリマー、または金属などの剛性または半剛性材料で構成される主要構造は、相互係止機構の有無にかかわらず、ラチェット機構を備えた少なくとも1つのくさび部品を備えたアセンブリを形成する。これらの楔形部品は、2つの例示的な方法で変位させることができる。すなわち、主要構造を通して配置されたピンの周りの動き、または線形並進運動のいずれかである。ラチェットの歯は、一方向または直線の並進運動を可能にし、したがって、所望の位置からの後方への変位を防ぐ。部品が移動すると、アクセス部位に圧力がかかり、変化する可能性がある。
【0083】
ウォームギア機構:ウォームギア機構を用いて、図10に示すように、プラスチック、ポリマー、金属などの剛性または半剛性の材料で構成される主要構造が、ウォームギアの歯16を備えた少なくとも1つの楔形部品を備えたアセンブリを形成する。ウォームシャフト116は歯車の歯の隣に配置され、ウォームシャフトの軸方向の動きは、歯付き楔の楔の変位を生みだし、アクセス部位での圧力を調整する。
【0084】
ピニオンラック機構:ピニオンラック機構では、プラスチック、ポリマー、金属などの剛性または半剛性の材料で構成される主要構造が、複数の歯車の歯(ラック)を含む少なくとも1つの楔形部品を備えたアセンブリを形成する。ピニオンギアがラックの隣に配置され、ピニオンの動きによって楔が変位し、アクセス部位での微調整を行う。
【0085】
干渉変位:干渉変位機構により、プラスチック、ポリマー、または金属などの剛性または半剛性材料で構成される主要構造は、複数の歯を含む少なくとも1つの部品を備えたアセンブリを形成する。2つの部品は、(垂直アセンブリを含む他の実施形態とは対照的に)主要構造に平行である。ユーザは部品に個別に圧力を加えてピンの周りの動きを作り、楔の横方向の形状により、機械的変形またはスライド変位機構のいずれかによって、主要構造の下部の干渉変位が作られる。
【0086】
スクリュー:スクリュー機構では、プラスチック、ポリマー、金属などの剛性または半剛性の材料で構成される主要構造が、スクリュータイプの機構を使用して線形並進変位を持つ複数の部品を保持する。実際の動きは、ねじのピッチに応じて微調整された直線的な並進運動を作る。
【0087】
バンド調整:バンド調整機構により、プラスチック、ポリマー、金属などの剛性または半剛性の材料で構成される主要構造は、剛性、半剛性、または可撓性シリコーンゴムで作られた固定の圧迫構造を保持する。バンドの両端は、主要構造に平行に挿入される。2つのバンドは、スロットの側面の1つに歯車の歯が付いたスロット付きラック形状になっている。バンドの2つの端部を主部品に反対方向に挿入すると、各スロットラックの歯車の歯も反対方向を向く。主要部品に組み込まれたピニオンギアは、バンドのスロット付きラックの歯の内側に入りる。微調整ノブは、ピニオンギアに接続されている。ノブの動きはピニオンギアの動きを生み出し、バンドの直線的な並進運動を生み出し、回転方向に応じてバンドを近づけたり遠ざけたりする。これにより、ループバンドの直径を縮小または拡大して、下方向の圧力を生みだしたり、または、ノブの動きを微調整して、圧力を緩和したりすることができる。
【0088】
ローラークランプ:ローラークランプ機構により、プラスチック、ポリマー、または金属などの剛性または半剛性材料で構成される主要構造は、ローラークランプアセンブリの形態をとることができる複数の部品を保持する。ローラークランプアセンブリは、線形ラチェットスロットに組み立てられたフライホイールを含み、フライホイールの回転は、ユーザがホイールを回転させると、斜めの動きで下方向に進行する。フライホイールが下に移動すると、アクセスサイトの上部に圧力がかかる。
【0089】
双安定係止機構:双安定係止機構は、プラスチック、ポリマー、または金属ホールドなどの剛性または半剛性材料から構成される主要構造と、双安定係止機構の形態をとることができる複数の部品とを備える。双安定係止機構は、圧力を誘発するために関心領域に向かって変位することができる2つの部品を含む。変位した楔にはネスティングされた双安定レバーがあり、そのようなレバーに十分な力が加えられると、係止機構が係合し、楔が主要構造に対して静止した状態を維持する。
【0090】
係止機構:係止機構は、プラスチック、ポリマー、または金属ホールドなどの剛性または半剛性材料から構成される主要構造と、双安定係止機構の形態をとることができる複数の部品とを備える。双安定係止機構は、圧力を誘発するために関心領域に向かって変位することができる2つの部品を含む。各部品は、ネストされたノブを備えた楔で構成されており、ノブが十分に回転すると、係止機構が係合し、楔が主要構造に対して静的に維持される。
【0091】
同様の機構が装置の両方の部分に使用でき、または異なる機構の組み合わせが好ましい可能性があることを強調する必要がある。全体的な目的は、穿刺部位領域が一方側にあり、器具の付いていない血管は同側となるよう、皮膚表面の1~2cm上に、200グラムから最大5キログラムの力が加えられた結果として、ユーザが、別々であるが同時に圧力を加えることが可能とならなければならないという点のままである。
【0092】
所望により、装置は、皮膚との界面表面のレベルで、患者の快適性を改善し得るポリマー、発泡体、布、シリコーンゴムで作られたコーティングを含むか、または、止血もしくは治癒過程を加速して穿刺部位を迅速に閉鎖する可能性のある、凝固促進剤、抗生物質、麻酔薬、もしくは任意の有機または非有機材料などの治療用薬理学的化合物を含むことができる。好ましい実施形態では、界面表面は、親水性連続気泡発泡体などの高吸収性材料でコーティングまたは被覆することができる。
【0093】
別の実施形態は、装置が、温度に感応性のあるサーモクロミック顔料を界面表面に含むことができ、圧力が加えられる血管が、温度に基づく色分けによって示される実質的な血流を維持するかどうかを示すことができる。実際、適切な灌流を伴う組織は、虚血性または灌流が不十分な組織よりも温度が高いことが示されている。
【0094】
図14~16および24~28は、可撓性材料、例えば、エラストマーでできており、それによって薄く、それによって可撓性であるブレスレットを形成するバンド3を示している。これにより、バンド3を任意の形状とし、次に、変形を可能にする、材料の可撓性な特性およびバンド3の薄さを利用して、バンド3を変形させ、身体部位を囲むことによって、手首または他の身体部位をバンド3で囲むことができる。
【0095】
図3は、フレーム7が、バンド3(すなわち、ブレスレット)をフレーム7に固定するためにバンド3が挿入されるスリットを含むことができることを示しているが、両方の要素は、異なる方法で一緒に固定することができる。例えば、図14-16および図24~28に示すとおり、バンド3が、フレーム7がはめ込まれて固定される開口部31を含むことができることを示している。
【0096】
図18~29、特に図18~19および29を参照し、ばね29(またはより一般的には、圧迫または引張状態で荷重がかけられた付勢部材)によってばね荷重がかけられる、ばね荷重式のスライドボタン20を含むラチェット機構が示されている。ばね29は、剛性であり、ばねを受け入れてばね式スライドボタン20を押すピン28によって所定の位置に保持され、ピン28は、ラチェット歯15に対して押し付けられて、それらを所定の位置に保持する。ばねは壁71、72の間の所定の位置に保持され、第1の壁(71)はフレーム7に属し、第2の壁(72)はばね式スライドボタン20に属し、その内部でばねが圧迫される空洞を形成する。ピン28は、それが移動することができる壁71の開口部のおかげで自由に動くことができる。
【0097】
ばね式スライディングボタン20は、ユーザが操作するための部分(すなわち、ボタン)を含み、ばね式のスライディングボタン20は、ばねに対して作用して再調整を行うことにより、ラチェット歯から引き離すことができる。この引き戻し動作は、図18(ラチェットの歯と噛み合っている係止されたばね仕掛けのスライドボタン20)と比較して、図19(ラチェットの歯から外れた係止解除されたばね式スライドボタン20)に示されている。ばね仕掛けのスライドボタン20は、係止のためにラチェット歯15に押し付けられる。ボタンがユーザによって引っ張られていない際、壁71、72の間で圧迫されたばねは、係止のために、ばね式のスライドボタン20を再びラチェット歯15に向かって押す。
【0098】
図20-27では、パーツは互いに取り外し可能であり、逆に、一緒に再組み立てすることができる。例えば、フレーム7は、開口部31に解放可能に挿入可能であり、したがって、バンド3から取り外し可能である。これは、フレーム7および/またはバンド3を個別に滅菌して再利用できることを意味する。同じことが、フレーム7に解放可能に接続されている圧迫部材6にも当てはまり(図20)。例えば、ヒンジ点9は、圧迫部材6をフレーム7から取り外すことを可能にしながら、ヒンジの動きを可能にする開放フックを含むことができる。この場合も、フレーム7および/または圧迫部材6は、独立して滅菌および再利用できることを意味する。一実施形態によれば、柔軟パッド25は、柔軟パッド25を廃棄するために圧迫部材6から取り外し可能であり、したがって、圧迫部材6は、独立して滅菌され、再利用され得る。
【0099】
好ましい実施形態は上記して説明され、添付の図面に示されているが、本開示から逸脱することなく改変を行うことができることは当業者には明らかであろう。そのような改変は、本開示の範囲に含まれる可能性のある変形と見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2021-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの空洞を有する本体を備えるフレームであって、前記少なくとも2つの空洞は本体を貫き、前記少なくとも2つの空洞に対応する患者の表面の周りに配置されるフレームと、
対応する前記少なくとも2つの空洞に移動可能に嵌入される少なくとも2つの圧迫部材と、を備え、
前記フレームの一部は、前記圧迫部材の一部が嵌入され、その周りに前記圧迫部材の前記一部がヒンジ結合される空間を画定しており、
前記圧迫部材の前記一部がヒンジ結合する部分に対向する前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの側面は、前記側面と前記フレームとの間の界面で前記フレームと係合して、前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれによる調整可能で同時の圧迫を適用するための所定のヒンジ位置に前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれを係止する係止機構を備え
前記少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ底面を備え、前記底面は前記少なくとも2つの圧迫部材の底部に沿って一定の曲率半径を有し、着用中の患者に快適性を提供する、血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置。
【請求項2】
前記係止機構は、下方向への動作のみを可能にするために非対称であるラチェット歯を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
歯を備える前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの前記側面は、それに沿って一定の曲率半径で湾曲している、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの圧迫部材は剛性材料からなる、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの底面に沿ってパッドがさらに設けられる、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記パッドは、前記パッドを透視するための窓を形成する孔を備える、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記パッドは、前記パッドを透視するための窓を形成する透明な部分を備える、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ、透視するための透明な材料からなる、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つの圧迫部材は、正確に2つの圧迫部材を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
血管アクセスポイントに調整可能な圧迫を適用するための装置において、
前記血管アクセスポイントに配置される空洞を形成する本体を含むフレームと、
前記空洞に移動可能に嵌入される圧迫部材と、
を備え、
前記フレームの一部は、前記圧迫部材の一部が嵌入され、周りに前記圧迫部材の前記一部がヒンジ結合される空間を画定しており、
前記圧迫部材の前記一部がヒンジ結合する部分に対向する前記圧迫部材の側面は、歯を備え、
前記歯は前記歯とフレームとの間の界面で前記フレームと係合して、ヒンジ位置に応じて前記血管アクセスポイントに前記調整可能な圧迫を適用するための所定の前記ヒンジ位置に前記圧迫部材を係止し、
前記圧迫部材は、少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ、前記少なくとも2つの圧迫部材の底部に沿って一定の曲率半径を有する底面を備え、着用中の患者に快適性を提供する、装置。
【請求項11】
前記歯は、下方向の動きのみを可能にするために非対称のラチェット歯である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記歯を備える前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの前記側面は、それに沿って一定の曲率半径で湾曲している、請求項1または1に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも2つの圧迫部材は剛性材料からなる、請求項1~1のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの底面に沿ってパッドをさらに備える、請求項1~1のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記パッドは、前記パッドを透視するための窓を形成する孔を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記パッドは、前記パッドを透視するための窓を形成する透明な部分を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記パッドは、薬学的に活性な物質が含浸された吸収性材料を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも2つの圧迫部材はそれぞれ、透視するための透明な材料からなる、請求項1~1のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記歯と前記フレームとの間の界面において、前記フレームは、前記歯を解放するために引き込まれる部分を備え、前記圧迫部材をヒンジで自由に動かす、請求項118のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記フレームは、身体部位の形状に適応するよう円筒の一部の形状を提供するために、フレームの幅に沿って湾曲している底面を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
ブレスレットを形成するバンドをさらに備え、前記フレームは前記バンドに固定されている、請求項1~2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
バンドは開口部を備え、前記フレームは、前記フレームを前記バンドに固定するために前記開口部に挿入可能であり、前記フレームを前記バンドから取り外すために前記開口部から解放可能である、請求項1~2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
少なくとも2つの空洞を有する本体を備えるフレームであって、前記少なくとも2つの空洞は本体を貫き、前記少なくとも2つの空洞に対応する患者の表面の周りに配置されるフレームと、
対応する前記少なくとも2つの空洞に移動可能に嵌入される少なくとも2つの圧迫部材と、を備え、
前記フレームの一部は、前記圧迫部材の一部が嵌入され、周りに前記圧迫部材の前記一部がヒンジ結合される空間を画定しており、
前記圧迫部材の前記一部がヒンジ結合する部分に対向する前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの側面は、前記側面と前記フレームとの間の界面で前記フレームと係合して、前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれによる調整可能で同時の圧迫を適用するための所定のヒンジ位置に前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれを係止する係止機構を備え、
前記係止機構はラチェット歯を備え、
前記ラチェット歯を備える前記少なくとも2つの圧迫部材のそれぞれの前記側面は、前記圧迫部材に沿って一定の曲率半径で湾曲している、
血管アクセスポイントに調整可能かつ同時に圧迫を適用するための装置。
【請求項24】
血管アクセスポイントに調整可能な圧迫を適用するための装置において、
前記血管アクセスポイントに配置される空洞を形成する本体を含むフレームと、
前記空洞に移動可能に嵌入される圧迫部材と、
を備え、
前記フレームの一部は、前記圧迫部材の一部が嵌入され、周りに前記圧迫部材の前記一部がヒンジ結合される空間を画定しており、
前記圧迫部材の前記一部がヒンジ結合する部分に対向する前記圧迫部材の側面は歯を備え、前記歯は前記歯と前記フレームとの間の界面で前記フレームと係合して、ヒンジ位置に応じて前記血管アクセスポイントに調整可能な圧迫を適用するための所定の前記ヒンジ位置に前記圧迫部材を係止し、
前記歯がラチェット歯であり、
前記歯を備える前記圧迫部材は、前記圧迫部材に沿って一定の曲率半径で湾曲している、装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
しかし、橈骨動脈または尺骨動脈のいずれかを介して手首アプローチを用いる場合に固有の警告または合併症は、止血の最中に血管が閉塞する可能性があるため、順行性の流れが一時的または永続的に中断される可能性があることである。非常に多くの場合、手および指に流れを生じさせる二重または三重の動脈系があるため、この閉塞は無症状のままである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
ここに示すほとんどの例は手首に関するものであるが、この装置は、患者の手首、脚、腕、前腕、胸、背中、太もも、またはその他の身体部分で使用することを意図としている。図1および2に示されるような装置は、その主要部品をバンド3またはストラップ4を備えた自己係止ブレスレットに組み立てることにより、身体に取り付けることができる。また、身体に取り付ける粘着パッドに主要部品を組み付けることにより、身体に取り付けることもできる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
ラチェットの歯は、開いたり、または再調整したりして、別の係止位置に再係合するために、解放可能である必要がある。一実施形態によれば、図9に示されるように、ラチェット歯15は、その界面18において、解放ボタン21の係止歯からラチェット歯を外すことによって係止界面を取り外す、ばね式解放ボタン20を作動させることによって、(すなわち、それらの間に距離を作り、それによって歯の間の接触を取り除き、それによって解放を達成することによって)外すことができる。しかしながら、好ましくは、この機構の作用は、歯の迅速な解放および再係合を促進するために、限られた移動距離のみを有する。以下でさらに説明するように、ウォームギア機構16またはねじ型の部品など、ラチェット歯を徐々に解放するための追加の制御機構があり得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
図1~7および図12図13によく示されている、その対称性のために、この装置の設計は両手利き用であり、ラチェットの歯が患者に対して遠位または近位を向くように、任意の腕および任意の方向で使用できる。また、図13に示すように、フレーム7(具体的には、バンド3だけでなくフレーム7)は、フレーム7の長さに沿ってではなく、フレーム7の幅に沿って湾曲して凹んでいる内面(または底面)を有しており、それは、フレーム7の内面が円筒の一部の形状を有し、それにより、腕、前腕若しくは手首、または円筒形状を有する他の任意の適切な身体部位の形状に適合されることを意味する。したがって、フレーム7の上面は、その幅に沿って湾曲し、凸状である。
【国際調査報告】