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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-09
(54)【発明の名称】昆虫繁殖装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 67/033 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
A01K67/033 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572465
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 NL2020050357
(87)【国際公開番号】W WO2020246880
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】62/858,339
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2023313
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520220755
【氏名又は名称】プロティックス ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】PROTIX B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン, ヤコ
(72)【発明者】
【氏名】スコル, ヘンドリクス アント
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲンス, バスティアーン フレデリック
(57)【要約】
本発明は昆虫繁殖装置に関する。本装置は、平坦な表面を伴う上壁16Aを有する又は凹状の内面伴う上壁を有する昆虫ケージ101と、洗浄液を保持するためのビン120と、洗浄液を受けるためにビンに接続されるとともに、第1の開口部11を通じ昆虫ケージに入っている第1の管3と、第1の管に結合されるとともに、昆虫ケージの内部に配置されて、昆虫ケージの内部に洗浄液を送達するように構成されるノズル14と、昆虫ケージにおいて、ケージの底壁に配置される及び/又は底壁と前記側壁とが交差する側壁部で、ケージの側壁に配置される、第1の開口とは異なる第2の開口12に結合されるとともに、昆虫ケージ内で昆虫を飼育することにおいて残存する洗浄液及び残骸を昆虫ケージから排出するように構成される第2の管4とを備える。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部床(17、17’)と、側壁と、上壁(16、16A)とを有する少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)と、
洗浄液を保持するためのビン(120)と、
前記洗浄液を受けるために前記ビン(120)に接続されるとともに、前記少なくとも1つの昆虫ケージの第1の開口(11、11A、11B、110)を通じて前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、301、401、601、701)に入っている、第1の管(3)と、
前記第1の管(3)に結合されるとともに、前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)の内部に配置されて、前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)の内部に前記洗浄液を送達するように構成されるノズル(14)と、
前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)の前記第1の開口(11、11A、11B、110)とは異なる前記少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口(12、12’)に結合され、前記少なくとも1つの昆虫ケージ内で昆虫を飼育することにおいて残存する前記洗浄液及び残骸を前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)から排出するように構成される第2の管(4)と、
を備える、昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項2】
少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)を備え、
前記上壁(16A)が前記昆虫ケージの内側から見て凹面を有する、請求項1に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)の前記第2の開口(12’)が、前記昆虫ケージの前記側壁が垂直に向けられるときに前記第2の開口(12’)が水平に対して前記昆虫ケージの最下点に配置されるように、前記底部床(17’)と前記第2の開口(12’)が設けられる前記側壁とが交差する前記側壁の部分において、前記昆虫ケージの側壁に配置される、請求項1又は2に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)の前記第2の開口(12)が、前記昆虫ケージの前記側壁が垂直に向けられるときに前記第2の開口(12)が水平に対して前記昆虫ケージの最下点に配置されるように、前記昆虫ケージの前記底部床(17)に配置される、請求項1又は2に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項5】
ガス乾燥機を更に備え、
前記ガス乾燥機が、
ガス流を発生させるための換気装置(150)と、
前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)内の前記ガス流を輸送するための前記昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)の第3の開口(122)、及び、前記少なくとも1つの昆虫ケージから前記ガスを放出するための前記昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)の第4の開口(123)に結合される第3の管と、
を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項6】
前記発生したガス流を加熱するためのヒータ(160)を更に備える、請求項5に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項7】
前記第2の管(4)と前記ビン(120)とに結合される液体除去装置(130)を備え、
前記液体除去装置(130)には、前記洗浄液を前記残骸から分離するとともに前記洗浄液を第5の管を通じて前記ビン(120)に送達するように構成されるフィルタが設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項8】
前記フィルタが、
前記洗浄液から前記残骸を分離するように構成される篩と、
前記篩によって分離された前記残骸を収集するように構成される残骸レセプタクル(140)と、
を備える、請求項7に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項9】
前記洗浄液が、水及び少なくとも1つの非発泡性洗剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項10】
前記洗浄液が、前記洗浄液の全体の0.5%~10%の量の前記非発泡性洗剤を含む、請求項9に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項11】
前記ノズル(14)が、螺旋状液体スプレーノズル、フルコーンノズル、デフレクタプレートノズル、固体ジェットノズル、及び、回転ヘッドを伴うノズルのうちの1つを備える流体ノズルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項12】
前記第1の開口(11、11A、11B、110)に結合されて、前記第1の開口(11、11A、11B、110)を開閉するように構成される第1の弁(10)と、
前記第2の開口(12、12’)に結合されて、前記第2の開口(12、12’)を開閉するように構成される第2の弁(18)と、
を更に備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項13】
前記第1の開口(11、11A、11B、110)と前記ビン(120)との間に配置されるとともに、所定の流量及び所定の液圧で洗浄液を前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)の内部に送達するように構成される第1のポンプ(102)を更に備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項14】
前記液圧が1.5バール~6バールの範囲内である、請求項13に記載の昆虫繁殖装置(100、110a、300、400、500、600、700)。
【請求項15】
前記洗浄液の量が毎分10リットル~500リットルの範囲内である、請求項13又は11に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項16】
前記第2の開口(12、12’)が少なくとも前記所定の流量の前記洗浄液を排出するように配置される、請求項13~15のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項17】
前記第2の開口(12、12’)と前記ビン(120)との間に配置されるとともに、前記洗浄液及び残骸を前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)から前記ビン(120)に排出するように構成される第2のポンプ(103)を更に備える、請求項13に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項18】
前記第3の開口(122)に結合されて、前記第3の開口を開閉するように構成される第3の弁と、
前記第4の開口(123)に結合されて、前記第4の開口を開閉するように構成される第4の弁と、
を更に備える、請求項12を引用するときの、請求項17及び13に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項19】
前記第1の弁(10)及び前記第2の弁(18)並びに前記第1のポンプ(102)及び前記第2のポンプ(103)に接続され、第1の状態と第2の状態との間で切り替わるようになっているコントローラ(105)を更に備え、
前記第1の状態では、前記第1及び第2の弁(10、18)が閉じられ、前記第1及び第2のポンプ(102、103)がオフに切り替えられ、
前記第2の状態では、前記第1の弁(10)が開放されて前記第2の弁(18)が開放されるとともに、前記第1のポンプ(102)がONに切り替えられて前記第2のポンプ(103)がONに切り替えられる、請求項18に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項20】
前記コントローラ(105)が、更に、2分~180分、例えば20分~120分の期間にわたって前記第2の状態を維持するようになっている、請求項19に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項21】
前記ビン(120)と前記コントローラ(105)に接続される前記第1のポンプ(102)との間に配置されるヒータ(104)を更に備え、
前記ヒータ(104)は、更に、20℃~85℃の範囲内、特に25℃~65℃の範囲内、より具体的には31.5℃~32℃の範囲内の温度で前記洗浄液を前記第1のポンプ(102)に送達するようになっている、請求項19又は20に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項22】
前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)が、前記ケージの内面に丸みを帯びた角を有する略ブロック形状を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項23】
前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)が、好ましくはポリエチレンを含むポリマーブレンドから回転成形を使用して製造される、請求項1~22のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項24】
前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)が、30cm~250cmの幅、50cm~300cmの深さ、及び、10cm~160cmの高さ、例えば、30cm~150cmの幅、50cm~200cmの深さ、及び、10cm~60cmの高さの内寸を有するように更に構成される、請求項1~23のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項25】
前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)が、前記昆虫ケージの内部にテーパ状の底部床(17、17’)面を更に備え、前記昆虫ケージの前記側壁が垂直に向けられるときに前記第2の開口(12、12’)が水平に対して前記昆虫ケージの最下点に配置されるように前記テーパが方向付けられる、請求項1~24のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項26】
前記第2の開口(12、12’)が、3.5cm~8cmなどの2cm~14cm、例えば約5cmの幅を有するように構成される、請求項1~25のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項27】
前記洗浄液が、カリウム、アミン化合物、ケイ酸塩、リン酸塩、非イオン性及び両性の加湿剤及び錯化剤の混合物から成る、請求項1~26のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項28】
前記ノズル(14)が、ソリッドノズルに関しては240度~300度又は螺旋状ノズルに関しては90度~120度の噴射角と、ソリッドコーン又は球からのソリッドジェットとして配置されるスプレーパターンとを有するように更に構成される、請求項1~27のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項29】
前記ノズル(14)が、前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)の内容積部の中央に位置決めするように配置される、請求項1~28のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項30】
前記少なくとも1つの昆虫ケージ(101、101’、301、401、601、701)が更なるノズルを備え、前記ノズルが前記ケージの前記内容積部内の中心から外れて配置されている、請求項1~28のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項31】
水平方向又は垂直方向に互いに積み重ねられる2つの昆虫ケージ(101、101’、301、302、401、402、601、701)を備える、請求項1~30のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項32】
互いに水平に積み重ねられる2~800個の昆虫ケージ(101、101’、301、302、401、402、601、701)、及び/又は、互いに垂直に積み重ねられる2~15個の昆虫ケージ(101、101’、301、302、401、402、601、701)、例えば、5~350個の水平に積み重ねられる昆虫ケージ及び/又は3~7個の垂直に積み重ねられる昆虫ケージを備える、請求項1~30のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【請求項33】
長さ(l)×高さ(h)×幅(b)の昆虫ケージのスタックを備え、l、h及びbが2~500個の(l)ケージ、2~20個の(h)ケージ、及び、1~200個の(b)ケージに及ぶ、請求項1~30のいずれか一項に記載の昆虫繁殖装置(100、100a、300、400、500、600、700)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば昆虫がアメリカミズアブ(black soldier fly)である大規模産業昆虫繁殖等の昆虫繁殖に用いられる昆虫繁殖装置に関する。また、本発明は、昆虫繁殖ケージを洗浄するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業的及び経済的に実現可能な規模で昆虫を飼育及び繁殖させることは、例えば畜産業によって現在提供されているものと比較して、動物の脂質、脂肪、タンパク質、アミノ酸、脂肪酸などの代替供給源としてのその可能性について勢いを増している。しかしながら、昆虫飼育、特に昆虫の繁殖の現在の技術水準を小規模からそのような産業規模にすることは、実験室で現在行なわれている研究では直面しない課題を提起する。昆虫を飼育するための既知の方法は、例えば、労働集約的であり、せいぜい一握りの態様が自動化されているにすぎない。
【0003】
既知の昆虫繁殖装置をスケールアップする主な欠点の1つは、昆虫ケージを効果的に洗浄するための適切な方法又は手段がないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、経済的に実現可能な規模への拡大を考慮して、小規模昆虫飼育、特に昆虫の繁殖の前述の欠点の少なくとも幾つかに対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様において、この目的は、少なくとも1つの昆虫ケージと、洗浄液を保持するためのビンと、洗浄液を受けるためにビンに接続されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージの第1の開口を通じて少なくとも1つの昆虫ケージに入っている、第1の管と、第1の管に結合されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージの内部に配置されて、少なくとも1つの昆虫ケージの内部に洗浄液を送達するように構成されるノズルと、少なくとも1つの昆虫ケージの第1の開口とは異なる少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口に結合され、昆虫ケージ内で昆虫を飼育することにおいて残存する洗浄液及び残骸を少なくとも1つの昆虫ケージから排出するように構成される第2の管と、を備える昆虫繁殖装置によって達成される。
【0006】
好ましい実施形態は、少なくとも1つの昆虫ケージを備える本発明の昆虫繁殖装置であり、前記ケージの上壁は、昆虫ケージの内側から見て凹面を有する。
【0007】
一実施形態は、少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口が、昆虫ケージの側壁が垂直に向けられるときに第2の開口が水平に対して昆虫ケージの最下点に配置されるように、底部床と第2の開口が設けられる側壁とが交差する前記側壁の部分において、昆虫ケージの側壁に配置される、昆虫繁殖装置である。
【0008】
一実施形態は、少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口が、昆虫ケージの側壁が垂直に向けられるときに第2の開口が水平に対して昆虫ケージの最下点に配置されるように、昆虫ケージの底部床に配置される、昆虫繁殖装置である。
【0009】
一実施形態は、ガス流を発生させるための換気装置を備えるガス乾燥機と、少なくとも1つの昆虫ケージ内のガス流を輸送するための昆虫ケージの第3の開口、及び、少なくとも1つの昆虫ケージからガスを放出するための昆虫ケージの第4の開口に結合される第3の管とを更に備える、昆虫繁殖装置である。
【0010】
一実施形態は、発生したガス流を加熱するためのヒータ160を更に備える、本発明に係る昆虫繁殖装置である。
【0011】
本発明の第2の態様において、この目的は、底部床と、側壁と、上壁とを有し、上壁が、昆虫ケージの内部側から見て、凹面を有する、少なくとも1つの昆虫ケージと、洗浄液を保持するためのビンと、洗浄液を受けるためにビンに接続されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージの第1の開口を通じて少なくとも1つの昆虫ケージに入っている、第1の管と、第1の管に結合されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージの内部に配置されて、少なくとも1つの昆虫ケージの内部に洗浄液を送達するように構成されるノズルと、少なくとも1つの昆虫ケージの第1の開口とは異なる少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口に結合され、昆虫ケージ内で昆虫を飼育することによって残存する洗浄液及び残骸を少なくとも1つの昆虫ケージから排出するように構成される第2の管とを備える昆虫繁殖装置によって達成される。随意的に、第2の開口は、昆虫ケージの側壁に配置される。
【0012】
この構成は、洗浄液がノズルを介して内部に噴射される際に昆虫ケージに入り、洗浄液が内部から残骸を除去して第2の開口を介して排出されるため、1つ以上の昆虫ケージの効率的な洗浄を可能にする。
【0013】
ガス流を発生させるための換気装置を備えるガス乾燥機と、少なくとも1つの昆虫ケージ内のガス流を輸送するための昆虫ケージの第3の開口、及び、少なくとも1つの昆虫ケージからガスを放出するための昆虫ケージの第4の開口に結合される第3の管と、を昆虫繁殖装置が更に備えることが好ましい。随意的に、昆虫繁殖装置は、生成されたガス流を加熱するためのヒータを更に備え、それにより、加熱されたガスが輸送されて少なくとも1つの昆虫ケージの内部で流れることができる。
【0014】
一実施形態は、少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口が、昆虫ケージの側壁が垂直に向けられるときに第2の開口が水平に対して昆虫ケージの最下点に配置されるように、昆虫ケージの底部床に配置される、或いは代わりに、底部床と第2の開口が設けられる側壁とが交差する前記側壁の部分において、昆虫ケージの側壁に配置される、昆虫繁殖装置である。したがって、第2の開口は、一実施形態では、側壁と底部床とによって形成される縁部において、昆虫ケージの底部床と交差する前記側壁の部分で昆虫ケージの側壁に配置される。随意的に、第2の開口は、底部床又は側壁のいずれかにおいて、昆虫ケージの角に配置される。
【0015】
一実施形態は、少なくとも1つの昆虫ケージが、昆虫ケージの内部にテーパ状の底部床面を更に備え、昆虫ケージの側壁が垂直に向けられるときに第2の開口が水平に対して昆虫ケージの最下点に配置されるようにテーパが方向付けられる、昆虫繁殖装置である。
【0016】
昆虫を繁殖させるためのケージをきれいにすることは、採卵を成功させるための前提条件であり、したがって、前の昆虫繁殖サイクルからケージを再利用する場合、昆虫繁殖サイクルの開始時に昆虫ケージをきれいにする必要がある。廃棄しないと、例えば、成虫がこれらから、すなわち、蛹外骨格又は抜け殻から出現した後の蛹の残りを廃棄しないと、また、死んだ昆虫、糞便、未回収の卵及び未だ生きている昆虫を、ケージに新鮮な蛹を装填する前にケージから廃棄しないと、効率的な卵の収穫の機会を減らし、昆虫卵を収穫する能力を全く妨げる可能性さえある。すなわち、アメリカミズアブなどの卵を抱えた雌昆虫は、卵が孵化するための任意の適切な食物源の近傍で又は食物源において卵を産みたくなる(「卵形成」と呼ばれる)。抜け殻及び死んだ昆虫から出現する嗅覚誘引物質は、産卵にとって望ましい場所以外のケージの領域、すなわち、「産卵場所」において、卵を抱えたハエの産卵を促す。したがって、ケージを完全に洗浄しない最も可能性の高い結果は、最適以下の卵収集である。現在、昆虫ケージの徹底的な洗浄は、時間集約的及び労働集約的な活動であり、産業規模での昆虫繁殖及び卵収集の規模拡大を妨げている。当然のことながら、ケージの不十分な洗浄は、昆虫コロニーに悪影響を及ぼすために、新たな疾患、細菌、酵母及びカビなどの微生物の増殖のリスクももたらす。
【0017】
好ましい実施形態において、昆虫繁殖装置は、ガス流を発生させるための換気装置、随意的に、発生したガス流を加熱するためのヒータを備えるガス乾燥機と、少なくとも1つの昆虫ケージ内の(加熱された)ガス流を輸送するための昆虫ケージの第3の開口、及び、少なくとも1つの昆虫ケージからガスを輸送するための昆虫ケージの第4の開口に結合される第3の管とを更に備える。(加熱された)気体、例えば空気は、昆虫ケージの内部の迅速な乾燥を可能にする。
【0018】
更なる他の実施形態において、昆虫繁殖装置は、洗浄液を残骸から分離するとともに洗浄液を第5の管を通じてビンに送達するように構成されるフィルタが設けられた、第2の管とビンとに結合される液体除去装置を備える。この構成により、洗浄液のリサイクルが可能となる。
【0019】
一実施形態において、フィルタは、洗浄液から残骸を分離するように構成される篩と、篩によって分離された残骸を収集するように構成される残骸レセプタクルとを備える。
【0020】
更なる実施形態において、洗浄液は、水及び少なくとも1つの非発泡性洗剤を含む。
【0021】
更なる実施形態において、洗浄液は、洗浄液の全体の0.5%~10%の量の非発泡性洗剤を含む。
【0022】
更なる実施形態において、洗浄液は、カリウム、アミン化合物、ケイ酸塩、リン酸塩、非イオン性及び両性の加湿剤並びに錯化剤の混合物を含む。
【0023】
更なる実施形態において、ノズルは、螺旋状液体スプレーノズル、フルコーンノズル、デフレクタプレートノズル、固体ジェットノズル、及び、回転ヘッドを伴うノズルのうちの1つを備える流体ノズルである。効率的な洗浄のために、ノズルの1つを選択して昆虫ケージに取り付けることができる。
【0024】
一実施形態は、第1の開口に結合されて第1の開口を開閉するように構成される第1の弁と、第2の開口に結合されて第2の開口を開閉するように構成される第2の弁とを更に備える、昆虫繁殖装置である。
【0025】
更なる実施形態において、昆虫繁殖装置は、第1の開口とビンとの間に配置されるとともに、所定の流量及び所定の液圧で少なくとも1つの昆虫ケージの内部に洗浄液を送達するように構成される第1のポンプを更に備える。
【0026】
一実施形態では、第1のポンプによって輸送される洗浄液の圧力が1.5バール~6バールの範囲内である。
【0027】
一実施形態では、少なくとも1つの昆虫ケージ内に送達される洗浄液の量が毎分10~500リットルの範囲である。本発明者らは、アメリカミズアブ成虫などの昆虫ケージ内で昆虫を繁殖又は飼育した後、例えば昆虫ケージの内部で1日~5日間飼育された昆虫、残骸の量、及び、昆虫ケージの内部の任意の表面への前記残骸の付着の程度は、昆虫繁殖装置を適用することによって、1分当たり10~500リットルの洗浄液の量で2~180分の期間にわたってその後に昆虫ケージを洗浄することが、その後の昆虫繁殖ラウンドで用いるのに適した洗浄された昆虫ケージを提供するのに効果的で且つ十分であるような程度であることを確証した。
【0028】
一実施形態において、第2の開口は、前記第2の開口が10リットル/分~500リットル/分の排液範囲の量の洗浄液を排出するべく設定されるような断面積を有する、昆虫繁殖装置である。一実施形態は、第2の開口が少なくとも所定流量の洗浄液を排出するように配置される、本発明に係る昆虫繁殖装置である。
【0029】
更なる実施形態において、昆虫繁殖装置は、第2の開口とビンとの間に配置されるとともに、洗浄液及び残骸を少なくとも1つの昆虫ケージからビンに輸送するように構成される第2のポンプを更に備える。
【0030】
更なる実施形態において、昆虫繁殖装置は、第3の開口に結合されて第3の開口を開閉するように構成される第3の弁と、第4の開口に結合されて第4の開口を開閉するように構成される第4の弁とを更に備える。
【0031】
更なる実施形態において、昆虫繁殖装置は、第1の弁及び第2の弁並びに第1のポンプ及び第2のポンプに接続されるコントローラを更に備え、コントローラは、第1の状態と第2の状態との間を切り替えるようになっており、第1の状態では、第1の弁及び第2の弁が閉じられ、第1のポンプ及び第2のポンプがオフに切り替えられ、また、第2の状態では、第1の弁が開放し、第2の弁が開放そるとともに、第1のポンプがオンに切り替えられ、第2のポンプがオンに切り替えられ、また、コントローラは、更に、洗浄液を所定の流量及び圧力でノズルを通じて輸送するべく第1のポンプを制御するとともに、洗浄液及び残骸を第2の開口から液体除去装置に輸送するべく第2のポンプを制御するようになっている。
【0032】
更なる実施形態において、コントローラは、更に、2分~180分、例えば20~120分の期間にわたって第2の状態を維持するようになっている。一般的に、昆虫繁殖装置によって行なわれる洗浄サイクルは、30分~90分、例えば45分~75分、一般的には約1時間で完了される。昆虫繁殖装置は、1~150個の昆虫ケージを並行して洗浄でき、一般的には、2~100個の昆虫ケージ、例えば5~30個の昆虫ケージを同時に洗浄することができる。
【0033】
一実施形態において、昆虫繁殖装置はヒータを更に備え、ヒータは、25℃~65℃の範囲の温度、例えば31.5℃~32℃の範囲の温度など、20℃~85℃の範囲の温度で洗浄液を第1のポンプに送達するようになっている。更なる利点は、昆虫繁殖装置を構成するヒータが、約25℃などの15℃~31.5℃、及び、32℃~65℃、例えば約35℃又は50℃などの異なる温度で第1のポンプに洗浄液を供給するためにも適用可能であるという点である。これらの温度で適用される洗浄液は、昆虫ケージの内部の任意の表面から、第2の開口を介して、死んだ虫体、糞便、飲料水、他の残骸源を昆虫ケージの内部から効率的且つ十分に除去できるようにする。周囲温度より高い温度で洗浄液を適用することは、昆虫繁殖装置を適用することによる洗浄サイクルの終わりに、ケージの内部の(より速い)乾燥にも寄与する。一実施形態は、ビンとコントローラに接続される第1のポンプとの間に配置されるヒータを更に備え、ヒータが、更に、20℃~85℃の範囲、特に25℃~65℃の範囲、より具体的には31.5℃~32℃の範囲の温度で第1のポンプに洗浄液を送達するようになっている、本発明に係る昆虫繁殖装置である。
【0034】
更なる実施形態は、少なくとも1つの昆虫ケージがケージの内面に丸みを帯びた角を有するようになっている、昆虫繁殖装置である。
【0035】
一実施形態は、少なくとも1つの昆虫ケージがケージの内面に丸みを帯びた角を有する略ブロック形状を成す、昆虫繁殖装置である。
【0036】
更なる実施形態において、少なくとも1つの昆虫ケージは、好ましくはポリエチレンを含むポリマーブレンドから回転成形を使用して製造される。ポリエチレンを含むポリマーブレンドの利点は、昆虫繁殖装置が作動しているときに、水滴及び洗浄液の液滴を、これらの液滴が昆虫ケージの上壁の(昆虫ケージの内部から見て)凹面にも昆虫ケージの本質的に垂直に向いた側壁にも付着して蓄積しない程度まで放出できるポリマーの有益な能力である。これにより、水を含む洗浄液は、昆虫ケージの内面に付着せず、表面には残らないが、昆虫ケージの底部床17に向かって流れ、その後、昆虫ケージの内部から洗浄液を排出するための排液管として作用する第2の開口へ流れる。このようにして、洗浄液の液滴が昆虫ケージの内面に残るリスクは、昆虫ケージ内で昆虫を繁殖させる新しいサイクルにおいて洗浄液に昆虫が晒されないように対処され、そうしなければ、洗浄液は昆虫にとって危険であり、及び/又は、こぼれた洗浄液に虫が沈む可能性がある。昆虫繁殖装置を適用することによって洗浄サイクル中及び洗浄サイクル後にケージの内部に液滴が蓄積するのを防ぐための第2の対策は、洗浄液が昆虫ケージを通じてフラッシングされた後のガス乾燥機の適用である。洗浄されたケージを通じて流れる加熱ガスなどのガスは、昆虫ケージの内壁を効率的に更に乾燥させる。
【0037】
更なる実施形態において、少なくとも1つの昆虫ケージは、幅30cm~250cm、深さ50cm~300cm、及び、高さ10cm~160cm、例えば、幅30cm~150cm、深さ50cm~200cm、及び、高さ10cm~60cmの内寸を有するように更に構成される。当業者であれば分かるように、洗浄効率が十分である限り、これらの範囲外の寸法のいずれかを有する昆虫ケージも昆虫繁殖装置への組み込みに関して適用可能である。すなわち、より大きな寸法を有する昆虫ケージは、240分など、2~180分よりも長い洗浄サイクル期間を必要とする場合があり、及び/又は、洗浄液の量は、毎分550~1000リットルなど、毎分500リットルを超える範囲内であり、その結果、第2の開口は、前記第2の開口が毎分500リットルを超える排出範囲内の量の洗浄液を排出するべく設定されるような断面積を有する。上記のように、昆虫繁殖は、本発明の特定の実施形態では、少なくとも所定流量の洗浄液を排出するようになっている第2の開口を有する。
【0038】
一実施形態は、少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口が、昆虫ケージの側壁が垂直に向けられるときに第2の開口が水平に対して昆虫ケージの最下点に配置されるように、昆虫ケージの前記底部床に配置される、昆虫繁殖装置である。一実施形態は、少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口が、昆虫ケージの側壁が垂直に向けられるときに第2の開口が水平に対して昆虫ケージの最下点に配置されるように、底部床と第2の開口が設けられる側壁とが交差する前記側壁の部分において、昆虫ケージの側壁に配置される、昆虫繁殖装置である。したがって、第2の開口は、昆虫繁殖装置が動作しているときに常に水平に対して最下点である。このようにして、場合によっては洗浄液の残りの膜を洗い流すために、洗浄液、及び、随意的には洗浄サイクル後に昆虫ケージを通じてフラッシングされる水は、昆虫ケージの側壁を越えて、底部床を越えて、昆虫ケージから第2の開口を通じて効率的且つ適切に流れる。
【0039】
更なる実施形態において、少なくとも1つの昆虫ケージは、第2の開口に結合される表面上にテーパ面を更に備える。したがって、一実施形態は、少なくとも1つの昆虫ケージが、昆虫ケージの内部にテーパ状の底部床面を更に備え、昆虫ケージの側壁が垂直に向けられるときに第2の開口が水平に対して昆虫ケージの最下点に配置されるようにテーパが方向付けられる、昆虫繁殖装置である。当業者であれば分かるように、テーパ状の底部床と、排液管として作用する第2の開口へ向けられるテーパの方向との組み合わせは、昆虫ケージの内部から外方への洗浄液又は水などの液体の効率的な排水に寄与する。
【0040】
更なる実施形態において、第2の開口は、2cm~14cm、好ましくは3cm~10cm、より好ましくは約5cmの幅を有するように構成される。したがって、一実施形態は、第2の開口が2cm~14cm、例えば3.5cm~8cm、例えば約5cmの幅を有するように構成される、昆虫繁殖装置である。例えば約4~6cmの幅を有する第2の開口は、昆虫ケージの底部床又は側壁の第2の開口に向けて昆虫ケージの側壁上にわたって及び底部床上にわたって、例えテーパ状の底部床面上にわたって流れている残骸が架橋するのを防ぎ、それにより、昆虫繁殖装置を適用することによってケージの洗浄中に第2の開口が残骸で詰まるのを防ぐ。
【0041】
上記のように、一実施形態において、昆虫繁殖装置に適用される洗浄液は、カリウム、アミン化合物、ケイ酸塩、リン酸塩、非イオン性及び両性の加湿剤及び錯化剤の混合物を含み、また、例えば、洗浄液は、カリウム、アミン化合物、ケイ酸塩、リン酸塩、非イオン性及び両性の加湿剤及び錯化剤の混合物から成る。本発明者らは、これらの化合物を含む又はこれらの化合物から成る洗浄液が、該洗浄液が昆虫繁殖装置と共に適用されるときに、昆虫を飼育するために使用される昆虫ケージの効率的且つ十分な洗浄をもたらすことを立証した。
【0042】
更なる実施形態において、ノズルは、ソリッドノズルの場合には240°~300°、好ましくは約270°、又は、螺旋状ノズルの場合には90°~120°の噴射角と、ソリッドコーン又は球からのソリッドジェットとして配置されるスプレーパターンとを有するように更に構成される。一般に、本発明者らは、そのようなノズルのいずれかを使用することにより昆虫洗浄装置で洗浄液を適用することによって、そのようなノズルが、示されたスプレー角度の範囲で洗浄液を噴射及びフラッシングするように構成され、昆虫繁殖に使用された後であって次の昆虫飼育の開始前に洗浄を必要とする昆虫ケージが、効率的且つ十分に洗浄されることを立証した。
【0043】
更なる実施形態において、ノズルは、少なくとも1つの昆虫ケージの内容積部の中心に配置されるように配置される。
【0044】
異なる実施形態では、昆虫繁殖装置が、昆虫ケージの内容積部内に、更なるノズルを備え、両方のノズルが中心から外れて配置される。
【0045】
更なる実施形態において、昆虫繁殖装置は、互いに積み重ねられる少なくとも2つの昆虫ケージを備える。この構成では、空間効率の良い配置を得ることができるように、複数の昆虫ケージを水平方向又は垂直方向に配置することができる。一実施形態は、水平方向又は垂直方向に互いに積み重ねられる2つの昆虫ケージを備える昆虫繁殖装置である。更なる実施形態は、互いに水平方向に積み重ねられる2~800個の昆虫ケージ及び/又は互いに垂直方向に積み重ねられる2~15個の昆虫ケージ、例えば、水平方向に積み重ねられる5~350個の昆虫ケージ及び/又は垂直方向に積み重ねられる3~7個の昆虫ケージ、例えば、水平方向に積み重ねられる5~350個の昆虫ケージ×垂直方向に積み重ねられる3~7個の昆虫ケージを備える、昆虫繁殖装置である。例えば、昆虫ケージの第2の開口が、昆虫ケージの側壁が垂直に向けられるときに第2の開口が水平に対して昆虫ケージの最下点に配置されるように、底部床と第2の開口が設けられる側壁とが交差する前記側壁の部分において、昆虫ケージの側壁に配置される、昆虫ケージは、垂直方向での空間効率が良い積み重ねに適している。第2の開口が昆虫ケージの側面に配置されると、第2の管が側方を向き、それにより、昆虫ケージの下方の空間がこの第2の管によって占有されるのが防止される。一般に、昆虫ケージは、垂直方向に隣接する昆虫ケージが5cm~40cm、例えば約10cm又は15cmを隔てて離間されるように垂直に積み重ねられる。したがって、更なる実施形態は、長さ(l)×高さ(h)×幅(b)の昆虫ケージのスタックを備え、l、h及びbが2~500個の(l)ケージ、2~20個の(h)ケージ、及び、1~200個の(b)ケージに及ぶ、本発明に係る昆虫繁殖装置である。本発明の昆虫繁殖装置を構成されるそのような多数の昆虫ケージは、アメリカミズアブなどの昆虫の経済的に実現可能な繁殖を可能にし、すなわち、例えば卵の収量及び生産量は十分に高く、また、ケージは、多数のその後の繁殖サイクルのために再利用可能であり、この時点で、本発明の昆虫繁殖装置の動作によって達成される幾つかの利点を挙げると、自動化された洗浄サイクルを介することにより、労働集約的な手動洗浄を必要とせずに、洗浄が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の昆虫繁殖装置の第1の実施形態を示す。
図2A】本発明の昆虫ケージの一実施形態を示す。
図2B】本発明の昆虫ケージの一実施形態を示す。
図3】2つ以上のケージを備える昆虫繁殖装置の一実施形態を示す。
図4】昆虫繁殖装置の一実施形態を示す。
図5】ガス乾燥機を伴う昆虫繁殖装置の一実施形態を示す。
図6】昆虫ケージの内部の底面の一実施形態を示す。
図7A】昆虫ケージの一実施形態を示す。
図7B】昆虫ケージの一実施形態を示す。
図8A】昆虫ケージの一実施形態を示す。
図8B】昆虫ケージの内部に入るノズルにおいて拡大された図8Aの昆虫ケージの抜粋を示す。
図9A】昆虫ケージの第2の開口12’が昆虫ケージの底部床と接続する前記側壁の部分において昆虫ケージの側壁に配置される、本発明の昆虫ケージを備える昆虫繁殖装置の一実施形態を示す。
図9B】昆虫ケージの第2の開口12’が昆虫ケージの底部床と接続する前記側壁の部分において昆虫ケージの側壁に配置される、昆虫ケージの一実施形態を示す。
図9C】昆虫ケージの第2の開口12’が昆虫ケージの底部床と接続する前記側壁の部分において昆虫ケージの側壁に配置される、昆虫ケージの一実施形態を示し、昆虫ケージの上壁16Aは、昆虫ケージの内部側から見て、凹面を有する。
図9D】昆虫ケージの底部床と接続する前記側壁の部分において昆虫ケージの側壁に配置される昆虫ケージの第2の開口12’を昆虫ケージが備える、昆虫ケージの内部における底面の一実施形態を示す。
図10】昆虫ケージの底部床と接続する前記側壁の部分において昆虫ケージの側壁に配置される昆虫ケージの第2の開口12’を昆虫ケージが備える、昆虫ケージの内部における底面の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、特定の実施形態に関して及び特定の図面に関連して説明されるが、本発明は、それに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。描かれた図面は、単なる概略図であり、非限定的である。図面において、幾つかの要素のサイズは、例示目的のために誇張されて縮尺通りに描かれない場合がある。寸法及び相対寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に必ずしも対応しない。
【0048】
更に、明細書本文及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、類似の要素間を区別するために使用され、必ずしも連続的又は時間的な順序を表わすためではない。これらの用語は、適切な状況下で置き換え可能であり、また、本発明の実施形態は、本明細書中で説明され又は例示される以外の順序で動作し得る。
【0049】
更に、明細書本文及び特許請求の範囲における上端、下端、上方、下方などの用語は、説明目的で使用されており、必ずしも相対的な位置を説明するためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で置き換え可能であり、また、本明細書中で説明される本発明の実施形態は、本明細書中で説明され又は例示される以外の向きで動作し得る。
【0050】
更に、様々な実施形態は、「好ましい」又は「例を挙げると」又は「例えば」又は「特に」と称されるが、本発明の範囲を限定するものとしてではなく、本発明を実施できる典型的な態様として解釈されるべきである。
【0051】
請求項で使用される「備える」という用語は、その後に列挙される要素又はステップに限定されると解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを排除しない。この用語は、言及されたような述べられた特徴、整数、ステップ、又は、構成要素の存在を指定するものとして解釈される必要があるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、又は、構成要素、或いは、これらのグループの存在又は付加を排除しない。したがって、「A及びBを備える装置」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみから成る装置に限定されるべきではなく、むしろ本発明に関しては、装置の唯一の列挙された構成要素がA及びBであり、更に、特許請求の範囲は、それらの構成要素の同等物を含むものとして解釈されるべきである。
【0052】
本発明は、昆虫ケージの大規模な洗浄を可能にする昆虫繁殖装置である。昆虫繁殖装置を使用すると、手で昆虫ケージを洗浄する必要がない、すなわち、必要な労力が少なくなる。更に、本発明の昆虫繁殖装置によれば、複数の昆虫ケージを洗浄することが、例えば、洗浄サイクルの強度及びケージごとの手順のタイミングに関して制御可能になる。本発明の昆虫繁殖装置の重要な利点は、流体に対して不透過性であり、昆虫の産業規模の繁殖に適用可能な昆虫ケージの洗浄に使用するためのその適用性及び適合性である。更に、現在適用されている昆虫を繁殖させるためのケージは繁殖サイクル後に手作業で洗浄することができないため、本発明の昆虫繁殖装置は、その後に飼育される昆虫の群の間で汚染が発生しないように、各繁殖サイクル後に洗浄されたケージを提供できる能力の問題を解決し、また、これは本発明の昆虫繁殖装置の一部ではないケージでは不可能である、ケージが繁殖サイクルの間に自動洗浄時に再利用可能であるという問題、を解決する。
【0053】
図1及び図2は、本発明の第1及び第2の実施形態に係る昆虫繁殖装置100を示す。昆虫繁殖装置は、洗浄液を保持するためのビン120を有する昆虫ケージ101を備える。昆虫ケージ101の第1の開口11には、ビン120から管3が接続される。第1の管3に結合されたノズル14は、昆虫ケージの内部に配置され、洗浄液を昆虫ケージの内部に送達するように構成される。第2の管4は、昆虫ケージ101の第2の開口12をビン120に接続する。
【0054】
洗浄液は、昆虫ケージの内面を洗浄するために、ビンから第1の管を通じて少なくとも1つの昆虫ケージの内側に配置されたノズル(矢印6)に流れる。洗浄プロセス中、洗浄液は、昆虫ケージ内に存在していた前述のような死んだ昆虫及び未回収の卵などの残骸を回収する。次いで、洗浄液と残骸とのこの混合物を、昆虫ケージの内部から第2の管を通じて、例えばビン120(矢印5の方向)に排出することができる。一実施形態では、ビン120と昆虫ケージ101との間に配置されたポンプ102は、所定の流量及び所定の液圧の少なくとも一方で洗浄液を昆虫ケージの内部に送達するように構成される。
【0055】
そのような昆虫繁殖装置の例は、少なくとも1つの昆虫ケージと、洗浄液を保持するためのビンと、洗浄液を受けるためにビンに接続されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージの第1の開口を通じて少なくとも1つの昆虫ケージに入っている、第1の管と、第1の管に結合されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージの内部に配置されて、少なくとも1つの昆虫ケージの内部に洗浄液を送達するように構成されるノズルと、少なくとも1つの昆虫ケージの第1の開口とは異なる、少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口に結合され、昆虫ケージ内で昆虫を飼育することにおいて残存する洗浄液及び残骸を少なくとも1つの昆虫ケージから排出するように構成される第2の管と、を備える昆虫繁殖装置である。
【0056】
図2A図2Bは、本発明の2つの実施形態に係る昆虫繁殖装置における昆虫ケージ101を示す。昆虫ケージ101は閉じた上壁16、16Aを有し、上壁は平坦で湾曲していない形状(図2A、上壁16)を有する又は好ましくは凹形状(図2B、上壁16A)を有する(昆虫ケージの内部から見て)。図2A図2Bは、洗浄液の流れ19を概略的に示しており、それにより、前記コロニーの死滅後の昆虫コロニーのあらゆる残留物が、丸い角のケージ101の内面15から除去される。そのような残留物としては、糞便、死んだ昆虫、産卵場所の外側で産卵された卵、蛹外骨格、死んだ蛹など(残骸)が挙げられる。上壁16Aの凹形状(昆虫ケージの内部から見て)に起因して、ケージ内に残った洗浄液をフラッシングするための水である洗浄液が、上壁16Aの内側の表面に液滴として付着することがない。代わりに、プラスチック、すなわちポリマー上壁16、16Aの曲率は、洗浄液及び水が上壁の内側からケージの側壁に向かって排出され、続いて排液管を通ってケージから排出されるようなものである。すなわち、洗浄液の液滴及び水滴は、上壁の内側に付着することができず、代わりに、側壁を越えて(テーパ状の)底壁に向かって流れ、排液管に入ることができる。このように、洗浄サイクル後に液体がケージ内に留まることはなく、洗浄後のケージの乾燥は、洗浄液滴又は水滴によって占められる上壁と比較してより速い。更に、洗浄サイクル後に液体が存在する危険性が低減され、それにより、昆虫が洗浄液の液滴及び/又は液滴中に沈む可能性があるサイズの液滴に昆虫が晒されない。更に、(昆虫ケージの内部から見た)上壁16Aの凹形状に起因して、廃棄物、汚れ、昆虫残留物、糞便などを含む洗浄液がケージの内部から効率的に除去され、ケージが昆虫の繁殖に使用されるときに廃棄されるべき前記廃棄物を含む液滴がケージ内に存在するリスクが低減される。したがって、凹状の上壁16A(図2B;昆虫ケージの内部から見て)を有する洗浄ケージを使用することによって、新たに繁殖する昆虫を汚染するリスクが低減される。また、上壁16Aの凹形状(昆虫ケージの内部から見た場合)に起因して、上壁16A及び昆虫ケージの各角において、卵を抱えた雌昆虫が産卵することが防止される。このような上壁の凹形状の更なる利点は、昆虫繁殖装置の洗浄作業の効率への寄与である。
【0057】
この実施形態において、洗浄液は、例えば昆虫がケージ内で死亡した後に昆虫ケージ101を通して流すことができる。一実施形態において、洗浄液は水である。別の実施形態において、洗浄液は、水と少なくとも1つの洗剤との混合物を含む。昆虫繁殖装置を用いた洗浄に使用される洗浄液に適用される好ましい洗剤は、非発泡性洗剤であるが、発泡性洗剤も洗浄液に適用可能である。一実施形態において、洗浄液は、洗浄液の0.5%~10%の量の非発泡性洗剤を含む。一実施形態において、洗浄液は、洗浄液の全体の1.5%未満の量の非発泡性洗剤を含む水溶液である。更なる実施形態において、洗浄液は、洗浄液の全体の約1.0%の量の非発泡性洗剤を含む水溶液である。
【0058】
流体ノズル14は、螺旋水スプレーノズル、フルコーンノズル、1つ又は2つのフルコーンノズル、デフレクタプレートノズル、ソリッドジェットノズルとすることができる。ノズル14は、例えば、ケージ101の底壁の第1の開口11に対して、ノズルと管3とを接続する管9の遠位端に配置される。昆虫ケージ内の位置は、動作時、昆虫ケージの内側の全表面が洗浄液19と接触する、すなわち、例えば約3バールの圧力で、例えば約50分間、約10リットル/分~500リットル/分、好ましくは30リットル/分~180リットル/分、より好ましくは60リットル/分~80リットル/分の速度で洗浄液19が放出されるような位置であり、それにより、例えば、昆虫ケージが約100.000cm~1.000.000cm、好ましくは約900.000cmの内容積部を有する場合、例えば500リットル~25.000リットル、例えば約3.500リットルの好ましい量の水と洗剤との混合物などの所定量の洗浄液で昆虫ケージが洗浄される。一実施形態において、ノズルは、低速で回転することができ、螺旋状ノズルよりも少ない流体/分を放出することができる回転ヘッドである。
【0059】
好ましくは、螺旋状ノズル又はソリッドジェットノズルなどの昆虫繁殖装置における適用のための好ましいノズルに関する技術的詳細及び性能詳細は、以下の通りである。
流量範囲:2.5バールで60L/分~100L/分、好ましくは約80L/分;
噴射角:ソリッドノズルに関しては240°~300°、好ましくは約270°、又は、螺旋状ノズルに関しては120°~90°;及び
スプレーパターン:フルコーン又は球からのソリッドジェット。
【0060】
一実施形態において、本発明の昆虫繁殖装置は、昆虫ケージの内容積部の中央に配置された単一のノズル14を備える。ノズルは、例えば金属又はポリマー製の剛性管又はチューブ3に結合され、前記管又はチューブは、上から昆虫ケージの上壁を通って、又は下から昆虫ケージの床17の開口11を通ってケージ内容積部に入る。或いは、管又はチューブは、ケージの側壁の開口を通って昆虫ケージに入る。昆虫ケージ内容積部の中央にノズルを配置されることは、洗浄の効率に寄与する。一実施形態において、昆虫ケージは、少なくとも2つのノズル、好ましくは昆虫ケージの内容積部の中心から外れて、例えば昆虫ケージの深さの25%~75%に配置される床の位置に配置された2つのノズルを備える。この構成では、洗浄サイクル中に動作中の2つのノズルは、排液管の近く及び排液管に洗浄液又は水のサイクロンを生成する。
【0061】
昆虫ケージには、第2の開口12内に配置される少なくとも1つ、好ましくは単一の床排液管を設けることができる。床の円形の排液管開口の直径は、2cm~14cm、好ましくは3cm~10cm、より好ましくは約5cmとすることができる。好ましくは、昆虫ケージは、丸みを帯びた角20を伴うブロック形状を有する。開口の側面に凹部又は隆起部が存在することに加えて、排液管の開口とケージの床との間の縁部は鋭くなっている。この実施形態では、卵のための、例えば隆起部の下方の、凹部の、床の高さより下方の開口の認知されたシェルターを設けることが防止されるので、卵を抱えた雌昆虫、例えば卵を抱えた雌のアメリカミズアブは、開口又は開口のすぐ近くに卵を堆積させることが防止されるのが分かる。
【0062】
床排液管は、昆虫ケージを洗浄することによって排液管280が詰まらないように構成される。一実施形態では、ボール弁は排出流体中に存在する微粒子によって詰まる傾向が少ないので、昆虫ケージの排液管はボール弁7を備える。或いは、バタフライ弁を適用することができる。
【0063】
昆虫ケージ内の排液管280は、昆虫ケージの床部の中央に配置される。或いは、昆虫ケージの内部の排液管は、角など、昆虫ケージの床の中心から外れて配置することができる。一実施形態では、昆虫繁殖装置は、昆虫ケージの床に複数の排液管を設けることができる。更なる実施形態では、昆虫ケージの床部はテーパ状であり、ケージの側壁の位置から床排液管の方向に下降する傾斜量を有する。これにより、洗浄サイクル中に洗浄液の排液路8が確保される。一実施形態では、昆虫ケージには、床面の中心から外れて配置された少なくとも1つの排液開口12を設けることができる。例えば、ケージの洗浄中に流体を排出するための1つ以上の開口、例えば2つの開口は、ケージの側壁から5cm~20cmに配置されるケージの床の一部に配置される。洗浄液を排出するための2つ以上の開口が昆虫ケージの床に設けられる場合、開口は前記床面内で均等に離間され得る。一実施形態では、昆虫繁殖装置は、昆虫ケージの第2の開口とビン120との間に配置された第2のポンプ103を更に備え、第2のポンプは、洗浄液及び残骸を少なくとも1つの昆虫ケージ101からビン120に輸送するように構成される。
【0064】
一実施形態では、昆虫繁殖装置は、一般的には、1.5バール~6バール、好ましくは2バール~3バールの圧力で昆虫ケージの第1の開口から出る洗浄液で昆虫ケージの内部を洗浄する。
【0065】
昆虫繁殖装置は、一般的には、昆虫ケージのバッチを20分~120分、好ましくは30分~90分、より好ましくは40分~60分洗浄し、各バッチは2~20個のケージ、好ましくは4個のケージを備える。平均して、好ましくは、昆虫繁殖装置は、一般的には、1時間当たり5~20個のケージ、例えば1時間当たり約8~14個のケージ、好ましくは1時間当たり約11個のケージを洗浄する。
【0066】
本発明の一実施形態では、昆虫ケージは、昆虫ケージの第1の開口11に結合されて第1の開口を開閉するように構成された第1の弁10と、昆虫ケージの第2の開口に結合されて第2の開口を開閉するように構成された第2の弁18とを備える。
【0067】
一実施形態では、昆虫繁殖装置は、第1の弁及び第2の弁と、第1のポンプ及び第2のポンプとに接続されたコントローラ105を備え、コントローラは、第1の状態と第2の状態とを切り替えることができる。第1の状態では、第1及び第2の弁10、18が閉じられ、第1及び第2のポンプ102、103がオフに切り替えられる。この第1の状態は、昆虫ケージが洗浄を必要とせず、洗浄液を昆虫ケージ内に送達又は昆虫ケージから排出することができない場合に相当する。第2の状態では、第1の弁が開き、第2の弁が開き、第1のポンプがオンに切り替えられ、第2のポンプがオンに切り替えられる。第2の状態では、洗浄液が昆虫ケージ内に送達され、洗浄液及び残骸が昆虫ケージから洗い流される。
【0068】
一実施形態では、昆虫繁殖装置は、ビン120と第1のポンプ102との間に配置されたヒータ104を備える。ヒータは、31.5℃~32℃の範囲の温度で第1のポンプに供給される洗浄液を加熱するように構成される。
【0069】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る4つの昆虫ケージ301、302、303、304を備えた昆虫繁殖装置300を示す。4つの昆虫ケージは全て同じビン120に接続される。しかしながら、昆虫繁殖装置のケージの総数は4つに限定されない。この実施形態における昆虫ケージは、前述のもの、例えば昆虫ケージ101と同様である。上壁16を有する昆虫ケージであって、上壁は、例えば昆虫ケージの内部から見て凹面を有する。
【0070】
更に、コントローラは、昆虫ケージの第1及び第2の弁並びに第1及び第2のポンプを制御するように構成される。
【0071】
コントローラは、1つ以上のケージを同時に又はバッチで又は個別に洗浄するように更に構成することができ、これにより、労力への依存が低減され、洗浄ステップ中の速度が向上する。
【0072】
昆虫繁殖装置が複数のケージを有する一実施形態では、昆虫繁殖装置は、2ケージ/時~50ケージ/時、好ましくは5ケージ/時~25ケージ/時、より好ましくは8ケージ/時~16ケージ/時の洗浄能力を有することができる。一実施形態では、昆虫繁殖装置は、少なくとも2つのケージを同時に、好ましくは少なくとも4つのケージを同時に、より好ましくは少なくとも10個のケージを同時に、最も好ましくは少なくとも20個のケージを同時にバッチ式で洗浄するための洗浄能力を有することができる。
【0073】
例えば、昆虫繁殖装置は、昆虫を繁殖させるための気候室などの昆虫飼育室に、約100個の水平方向及び垂直方向に積み重ねられた昆虫ケージを備えてもよく、洗浄の目的で昆虫ケージを移動させる必要なく洗浄することができる。一般的には、昆虫繁殖装置は、垂直に積み重ねられた2~10個の昆虫ケージを備えてもよく、一般的には、約20~500個の昆虫ケージなど、水平に積み重ねられた数十~数百個の昆虫ケージを備えてもよい。
【0074】
一般的には、昆虫繁殖装置を備えた積み重ねられた昆虫ケージは、昆虫ケージの内面に丸みを帯びた角を有する(以下、「丸角ケージ」と称される)。このような丸角ケージは、卵を抱えた雌昆虫が昆虫ケージの角で産卵するのを防ぐのに寄与する。そのような丸角内側ケージ壁の利点は、昆虫繁殖装置の洗浄作業の効率への寄与である。
【0075】
昆虫繁殖装置を備えた丸角ケージは、好ましくは回転成形によって製造される。回転成形は、特に滑らかな側壁、上部及び床の内面を有するケージを提供する。このような平滑面は、昆虫繁殖装置の洗浄効率に寄与する。
【0076】
一実施形態では、本発明の繁殖装置を備えた丸角ケージは、ポリマー又はポリマーブレンドで作られ、好ましくはケージはポリエチレンを含むポリマーブレンドで作られる。一実施形態では、本発明の繁殖装置を備えた丸角ケージはポリエチレン製である。一実施形態では、前記丸角ケージは、本発明にしたがってポリエチレンのブレンドを回転成形することによって作製される。一実施形態では、前記丸角ケージは、本発明にしたがって中密度ポリエチレンを回転成形することによって作製される。一実施形態では、本発明の繁殖装置を備えた丸角ケージはポリプロピレン製である。
【0077】
一般的には、本発明の昆虫繁殖装置を備えた複数の昆虫ケージは、500~50.000匹、例えば1.000~20.000匹の成虫の飼育に適した内部サイズを有する。一般的には、アメリカミズアブなどの成虫を飼育し、それに由来する卵を収集するための丸角ケージは、30cm~300cm(幅)、50cm~400cm(深さ)、及び、10cm~200cm(高さ)、例えば、30cm~220cm(幅)、50cm~300cm(深さ)、及び、10cm~150cm(高さ)、又は、例えば、30cm~150cm(幅)、50cm~200cm(深さ)、及び、10cm~100cm(高さ)の内寸を有する。好ましくは、本発明の昆虫繁殖装置を備えたそのような丸角ケージは、実質的にブロック形状であり、一般的には以下の寸法、すなわち、約120cm(幅)、約50cm(高さ)、170cm(深さ)、又は、例えば約160cm(幅)、約90cm(高さ)、220cm(深さ)を有する。約110cmの幅、約70cmの高さ、及び、約160cmの深さ、又は、例えば、約140cmの幅、約80cmの高さ、及び、約200cmの深さを有するケージが好ましい。
【0078】
昆虫ケージを1つずつ従来のように洗浄するには、労力の平均で約6分~最大12分、一般的には約10分かかる。本発明の自動化されて制御可能な昆虫繁殖装置を適用することにより、単一の昆虫ケージを洗浄するのに必要な時間は、例えば4ケージ~20ケージを同時に洗浄するために平均して40分~60分に短縮される。更に、昆虫繁殖装置は複数のケージを同時に洗浄することができるため、手作業で個別にケージを洗浄する場合と比較して、ケージの洗浄に要する時間が大幅に改善する。
【0079】
手による昆虫ケージの従来の洗浄は、約150リットル~250リットルの洗浄液、すなわちケージ当たり少なくとも1つの洗剤、好ましくは非発泡洗剤を含む水、又は水を必要とし、昆虫ケージあたり平均約200リットルを必要とする。好ましくは、非発泡性洗剤は、例えばEcofoamであり、好ましくは、洗浄液全体の約1、0%の量のEcofoamである。本発明の昆虫繁殖装置を適用することにより、単一のケージを洗浄するのに必要な洗浄液又は水の量が約60リットル~150リットルに減少し、例えば、本発明に係る昆虫ケージ当たり約70リットル~140リットル、より好ましくは昆虫ケージ当たり80リットル~昆虫ケージ当たり130リットル、例えば昆虫ケージ当たり約90リットル又は昆虫ケージ当たり約110リットルの好ましい量になる。一般的には、本発明によれば、螺旋状ノズルヘッドなどのノズルは、本発明によれば、約1時間、好ましくは約80リットル/分の期間にわたって約60リットル/分~90リットル/分の水又は洗浄液を送達する。
【0080】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る4つの昆虫ケージ401、410、403、404を有する昆虫繁殖装置400を示す。この実施形態における昆虫ケージは、前述のもの、例えば昆虫ケージ101、301~304と同様である。また、本実施形態では、昆虫繁殖装置による昆虫ケージの洗浄に用いた洗浄液の少なくとも一部を再利用する。
【0081】
好ましくは、洗浄液又は水の10%~100%、例えば25%~80%が再使用される。一実施形態では、例えば、洗浄液の100%が、約64個のケージなどの28~136個のケージの洗浄に再使用され、前記ケージが4個のケージのバッチで同時に洗浄され、その後、例えば、水の100%が、約64個のケージなどの28~136個のケージのすすぎに再使用され、前記ケージがこの場合も4個のケージのバッチで同時に洗浄される。水又は洗浄液を再利用する目的で、昆虫繁殖装置400は、液体除去装置130を更に備える。液体除去装置130は、フィルタ、メッシュ、スクリーン、好ましくはメッシュなどの固体粒子分離部材、及び/又は遠心分離装置などの固体粒子分離部材を備える。一実施形態において、本発明の昆虫繁殖装置のフィルタは、洗浄後の液体を微粒子から分離するための傾斜した篩を備える。そのような傾斜した篩は、水平に対して角度αで傾斜した篩であり、それにより、昆虫ケージを洗浄した後に収集された水又は洗浄液などの流体が篩を通過し、粒子が篩の上に残り、前記粒子が、例えば残骸レセプタクル140に向かって篩の角度勾配を滑り落ちる。
【0082】
昆虫ケージを洗浄した後に収集された使用済みの水又は洗浄液を、例えば糞便、未収集卵、死んだ虫、蛹などに由来する固体粒子から除去した後、前記除去された流体は、その後の洗浄サイクルで再使用するために、ケージ洗浄システムに少なくとも部分的に再導入される。随意的に、微粒子から除去された水又は洗浄液は、洗浄サイクルに再導入される前に、例えば溶解又は分散した汚染物から最初に更に洗浄される。このような洗浄ステップは、例えば、ランプ篩であり、それにより、抜け殻等は、洗浄液が篩を通って落下して再使用される間に、ランプ上で篩にかけられ、収集領域にスライドする。固体粒子から溶液を分離することを含むこのような洗浄ステップは、本発明の昆虫ケージ洗浄機を使用してケージの第1のバッチを用いた洗浄サイクル中に水又は洗浄液が適用されて、洗浄液がケージの更なるバッチを用いた洗浄サイクルで再使用される場合に不可欠である。随意的に、洗浄サイクルでの使用後に洗浄された洗浄液又は水は、次の洗浄ステップで適用される前に最初に貯蔵される。したがって、随意的に、本発明の昆虫繁殖装置は、液体タンクを更に備える。
【0083】
本発明の昆虫繁殖装置の多くの利点の1つは、刺激物との接触のリスクの低減に関して、2つのその後の繁殖サイクルの間に昆虫ケージの洗浄を含む昆虫の飼育に関与する作業者に提供される安全性である。昆虫繁殖装置は閉鎖系であるため、洗浄液中に存在する洗剤の環境への暴露が制限され、昆虫飼育室内の安全な作業環境に寄与する。
【0084】
また、蛹期から交配後の成虫及び産卵した卵を抱えた雌昆虫の死亡までの昆虫の飼育サイクルの1回目以降に昆虫ケージを使用する前は、適用した昆虫ケージの内面は、水等の液滴が除去された乾燥した内面であることが好ましい。
【0085】
図5は、本発明に係る第3の実施形態の昆虫繁殖装置500を示す。この実施形態における昆虫ケージは、前述のもの、例えば昆虫ケージ101、301~304、401、403、404、410と同様である。昆虫繁殖装置は、昆虫ケージが洗浄された後、各昆虫ケージの内部を乾燥させるガス乾燥機を更に備える。好ましくは、昆虫ケージの内部は、昆虫ケージの洗浄後に空気で乾燥される。一実施形態では、昆虫繁殖装置500は、換気装置150と、随意的にエアヒータ160とを更に備える。換気装置150はガス流を生成し、ガスはその後、随意的にヒータ160で加熱される。次いで、ガス又は加熱されたガスは、昆虫ケージの第3の開口122を通って昆虫ケージ401、403、404、410に空気を供給するために第3の管を通って移送される。昆虫ケージの第4の開口123は、ガスを換気装置150に戻すために使用される。
【0086】
一実施形態では、昆虫ケージは、第3の開口に結合されて第3の開口を開閉するように構成される第3の弁と、第4の開口に結合されて第4の開口を開閉するように構成される第4の弁とを更に備える。
【0087】
図6は、昆虫ケージ101の内部底部床17を示し、この床はテーパ床17である。昆虫ケージは、(昆虫ケージの内部から見て)凹面を有する上壁などの閉じた上壁16(図示せず)を有する。床は、ここでは基本的に床の中央に配置される開口11と、ここでは基本的に昆虫ケージの丸い角20又はその近くに配置される、底部床17の第2の開口12とを備える。残骸を含む洗浄液の排液路8などの流体の排液は、昆虫ケージの内側の全ての側面及び位置から、テーパ状の床面に沿って、第2の開口12が底部床17内に配置される角に向かって導かれる。この内部底部床17は、本明細書で前述した実施形態では、昆虫ケージ301~304、401、403、404、410に設けることもできる。
【0088】
図7A図7Bは、昆虫ケージ601を備える、本発明に係る第4及び更なる実施形態の昆虫繁殖装置600を示す。昆虫繁殖装置は、少なくとも昆虫ケージ601を取り囲み、前記ケージは、それぞれ管9a及び9bを介して管3a及び3bに接続された2つのノズル14a及び14bを備え、管3a及び3bは、それぞれ弁10a及び10bを更に備える。昆虫ケージの上壁16Aは、例えば、凹面(図7B;昆虫ケージの内部から見て)を有する壁であり、これは好ましい実施形態である。或いは、昆虫ケージの上壁16は、例えば、平坦な非湾曲面(図7A;昆虫ケージの内部から見て)を有する壁である。
【0089】
図8Aは、少なくともケージ701を備える、本発明に係る第5の実施形態の昆虫繁殖装置700を示す。昆虫繁殖装置は、昆虫ケージ701を備え、前記昆虫ケージは、昆虫ケージの内側の底部17の表面又はその近くに配置されたノズル140を取り囲む。ノズル140は、底部床17の開口110を取り囲むコネクタ900を介して管30に接続される。管30は、開口110内又はその近くに配置された弁99を備える。洗浄液は、管30を通って方向6で昆虫ケージ701に入り、昆虫ケージ内の洗浄液の流れ19が概略的に示されている。図8Bは、昆虫ケージ701の内部のノズル140と、洗浄液のリザーバ(図示せず)に接続された管30との間の接続の一例を示す。接続はコネクタ900を介する。昆虫ケージ701の床17は、開口110を囲む凸部を有する。床17の突出部は、昆虫ケージの(テーパ状の)床17の主面に対して、開口110の方向で斜め上方に延在する部分17bを備える。床17の突出部は、開口110を囲み、水平に向けられた突出部分17aを更に備える。部分17bは、床部17の主面部分と、開口110を囲む突出部分17aとを接続する。突出部分17aは、1つ以上の貫通孔を備える。コネクタ900は、床17の突出部分17aの貫通孔と連通する貫通孔が設けられたフランジ801a、801bを備える。コネクタ900は、床の突出部分17aの貫通孔とコネクタ900の鍔部801a、801bの貫通孔とに設けられたボルト802a、802bによって、管30とノズル140とを接続する。この構成は、隆起部、空洞、縁部、棚部などが存在せず、ノズル140を備える滑らかな床17をもたらし、該床下では、そうでなければ残骸が蓄積する可能性があり、及び/又は、そうでなければ、例えば、卵を抱えたアメリカミズアブなどの昆虫が産卵する場合があり、すなわち、昆虫ケージ内の望ましくない位置で卵を産む可能性がある。すなわち、コネクタ900は、昆虫ケージの滑らかな内面に設けられ、望ましくない位置に堆積した残骸又は卵の蓄積を防止する。ノズル140は、例えば、ケージ701の底壁の第1の開口110に対して、ノズルと管30とを接続する管9の遠位端に代替的に配置される。そして、コネクタ900は、管30と管9とを接続する。
【0090】
図9A及び図9B並びに図9B及び図9Dは、本発明の第6の更なる実施形態に係る昆虫繁殖装置100aを示す。昆虫繁殖装置は、洗浄液を保持するためのビン120を備えた昆虫ケージ101’を備える。ビン120から昆虫ケージ101’の第1の開口11に管3が接続されている。第1の管3に結合されたノズル14は、昆虫ケージの内部に配置され、洗浄液を昆虫ケージの内部に送達するように構成される。第2の管4は、昆虫ケージ101’の第2の開口12’をビン120に接続する。昆虫ケージの上壁16Aは、例えば、凹面(図9B;昆虫ケージの内部から見て)を有する壁であり、これは好ましい実施形態である。或いは、昆虫ケージの上壁16は、例えば、平坦な非湾曲面(図9C;昆虫ケージの内部から見て)を有する壁である。
【0091】
洗浄液は、昆虫ケージの内面を洗浄するために、ビンから第1の管を通じて少なくとも1つの昆虫ケージの内側に配置されたノズル(矢印6)に流れる。洗浄プロセス中、洗浄液は、昆虫ケージ内に存在していた前述のような死んだ昆虫及び未回収の卵などの残骸を回収する。次いで、洗浄液と残骸とのこの混合物を、昆虫ケージの内部から第2の管を通じて、例えばビン120(矢印5の方向)に排出することができる。一実施形態では、ビン120と昆虫ケージ101’との間に配置されたポンプ102は、所定の流量及び所定の液圧の少なくとも一方で洗浄液を昆虫ケージの内部に送達するように構成される。
【0092】
そのような昆虫繁殖装置の例は、少なくとも1つの昆虫ケージと、洗浄液を保持するためのビンと、洗浄液を受けるためにビンに接続されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージの第1の開口を通じて少なくとも1つの昆虫ケージに入っている、第1の管と、第1の管に結合されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージの内部に配置されて、少なくとも1つの昆虫ケージの内部に洗浄液を送達するように構成されるノズルと、少なくとも1つの昆虫ケージの第1の開口とは異なる、少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口に結合され、側壁が垂直に向けられた状態で昆虫ケージが方向付けられるときに第2の開口が水平に対して昆虫ケージの最下点に配置されるように、底部床17’の近傍の側壁部において昆虫ケージの側壁に第2の開口12’が配置され、昆虫ケージ内で昆虫を飼育することにおいて残存する洗浄液及び残骸を少なくとも1つの昆虫ケージから排出するように第2の開口12’が構成される、第2の管と、を備える昆虫繁殖装置である。昆虫ケージ101’の上壁16Aは、凹面(図9B;昆虫ケージの内部から見て)を有し、その結果、昆虫ケージの内部の前記凹面上に噴射又は凝縮された洗浄液又は水は、昆虫ケージの内面に付着せず、代わりに凹面上を昆虫ケージの側壁に向かって流れ、次いで(テーパ状の)床底部17’上をケージの側壁の底部に配置される排液用の第2の開口12’に向かって流れ、床底部17’上を流れる液体は、昆虫ケージの内部の最下点、すなわち開口12’に導かれる。残骸を含む洗浄液の排液路8及び8’などの流体の排液は、昆虫ケージの内側の全ての側面及び位置から、テーパ状の床面に沿って、角に向かって導かれ、角の近傍で第2の開口12’が側壁内に配置され、そこで、前記側壁が底部床17’と接続する。また、上壁16Aの凹形状(昆虫ケージの内部から見た場合)により、上壁16A及び昆虫ケージの各角において、卵を抱えた雌昆虫が産卵することが防止される。このような上壁の凹形状の更なる利点は、昆虫繁殖装置の洗浄作業の効率への寄与である。
【0093】
図9Dは、昆虫ケージ101の内部底部床17’を示し、この床はテーパ床17’である。昆虫ケージは、好ましい実施形態である凹面16A(図9B;昆虫ケージの内部から見て)を有する又は本質的に平坦な非湾曲面16(図9C;昆虫ケージの内部から見て)を有する上壁など、閉じた上壁16、16A(図示せず)を有する。床は、ここでは基本的に床の中心に配置された開口11と、ここでは基本的に昆虫ケージの丸い角又はその近くに配置された第2の開口12’とを備え、底部床17’と側壁は交差する。残骸を含む洗浄液の排液路8などの流体の排液は、昆虫ケージの内側の全ての側面及び位置から、テーパ状の床面に沿って、角に向かって導かれ、角の近傍で第2の開口12’が底部床17’内に配置される。また、この内部底部床17’は、本明細書で前述した実施形態では、昆虫ケージ301~304、401、403、404、410に設けることもできる。
【0094】
図10は、昆虫ケージ101’の内部底部床17’を示し、この床はテーパ床17’である。昆虫ケージは、好ましい実施形態である凹面(昆虫ケージの内部から見て)を有する又は本質的に平坦な非湾曲面16(昆虫ケージの内部から見て)を有する上壁16Aなどの閉じた上壁16、16A(図示せず)を有する。床には、ここでは床17’の中心から外れて配置された2つの開口11a及び11bと、ここでは本質的に昆虫ケージの丸い角20又はその近くに、昆虫ケージの側壁に、及び床17’と側壁が交差する床17’に配置された第2の開口12’とが設けられる。残骸を含む洗浄液の排液路8及び8’などの流体の排液は、昆虫ケージの内側の全ての側面及び位置から、テーパ状の床面に沿って、角に向かって導かれ、角の近傍で第2の開口12’が側壁内に配置され、そこで、前記側壁が底部床17’と交差する。側壁として配置された排水用の第2の開口12’と組み合わされたこの内部底部床17’は、本明細書で前述した実施形態では昆虫ケージ301~304、401、403、404、410内に設けることもでき、このとき第2の開口12は第2の開口12’に置き換えられる。
【0095】
本発明を以下のように要約することができる。
【0096】
I.底部床17、17’と、側壁と、上壁16、16Aとを有し、上壁16Aが、昆虫ケージの内部側から見て、凹面を有する、少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701と、
洗浄液を保持するためのビン120と、
洗浄液を受けるためにビン120に接続されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージの第1の開口11、11A、11B、110を通じて少なくとも1つの昆虫ケージ101、301、401、601、701に入っている、第1の管3と、
第1の管3に結合されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701の内部に配置されて、少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701の内部に洗浄液を送達するように構成されるノズル14と、
少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701の第1の開口11、11A、11B、110とは異なる少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口12、12’に結合され、昆虫ケージ内で昆虫を飼育することにおいて残存する洗浄液及び残骸を少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701から排出するように構成される第2の管4と、
を備える昆虫繁殖装置100、100a、300、400、500、600、700の提供。
【0097】
II.底部床17、17’、側壁、及び、上壁16、16Aを有する少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701と、
洗浄液を保持するためのビン120と、
洗浄液を受けるためにビン120に接続されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージの第1の開口11、11A、11B、110を通じて少なくとも1つの昆虫ケージ101、301、401、601、701に入っている、第1の管3と、
第1の管3に結合されるとともに、少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701の内部に配置されて、少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701の内部に洗浄液を送達するように構成されるノズル14と、
少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701の第1の開口11、11A、11B、110とは異なる少なくとも1つの昆虫ケージの第2の開口12、12’に結合され、昆虫ケージ内で昆虫を飼育することによって残存する洗浄液及び残骸を少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701から排出するように構成される第2の管4と、
を備え、
少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701の第2の開口12、12’が、昆虫ケージの側壁が垂直に向けられるときに第2の開口12、12’が水平に対して昆虫ケージの最下点に配置されるように、昆虫ケージの底部床17、17’に配置され、又は、底部床17、17’と第2の開口12’が設けられる側壁とが交差する前記側壁の部分において、昆虫ケージの側壁に配置される、
昆虫繁殖装置100、100a、300、400、500、600、700の提供。
【0098】
本発明に係る昆虫繁殖装置100、100a、300、400、500、600、700は、ガス流を発生させるための換気装置150を備えたガス乾燥機と、少なくとも1つの昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701内の前記ガス流を輸送するための昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701の第3の開口122、及び、少なくとも1つの昆虫ケージからガスを放出するための昆虫ケージ101、101’、301、401、601、701の第4の開口123に結合される第3の管とを備えてもよく、昆虫繁殖装置は、随意的に、発生したガス流を加熱するためのヒータ160を更に備える。
【0099】
本発明の昆虫繁殖装置の提供に起因して、本発明の昆虫繁殖装置を動作させることは、この時点で、大規模な産業的昆虫飼育、例えば昆虫繁殖を可能にし、この場合、例えば、本発明に係る昆虫繁殖装置100、100a、300、400、500、600、700は、長さ(l)×高さ(h)×幅(b)の昆虫ケージのスタックを備え、l、h及びbは、2~500個の(l)ケージ、2~20個の(h)ケージ、及び、1~200個の(b)ケージに及ぶ。一般的には、例えばケージのスタックは100×10×50(l×h×b)昆虫ケージを包含する。
【0100】
本発明を幾つかの実施形態に関して説明してきたが、本明細書を読んで図面を検討すると、本発明の代替、修正、置換、及び、均等物が当業者に明らかになると考えられる。本発明は、例示された実施形態に決して限定されない。添付の特許請求の範囲によって規定される範囲から逸脱することなく、変更を行なうことができる。本明細書中に記載される本発明の実施形態は、別段に明記されなければ、組み合わせて及び協働して動作できる。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
【国際調査報告】