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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-09
(54)【発明の名称】工作装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23D 47/00 20060101AFI20220802BHJP
   B23Q 11/06 20060101ALI20220802BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALI20220802BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20220802BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20220802BHJP
   F16D 125/40 20120101ALN20220802BHJP
【FI】
B23D47/00 C
B23Q11/06
B23Q17/09 H
B25F5/00 A
B25F5/00 G
F16D65/18
F16D125:40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572910
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(85)【翻訳文提出日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2020061609
(87)【国際公開番号】W WO2020249297
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】102019208438.9
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518407205
【氏名又は名称】フェストール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュネック・ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】ショック・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット・マルクス
【テーマコード(参考)】
3C029
3C040
3C064
3J058
【Fターム(参考)】
3C029CC01
3C040AA01
3C040DD01
3C040EE02
3C040FF05
3C064AA01
3C064AA03
3C064AA06
3C064AA08
3C064AB02
3C064AC01
3C064BA20
3C064BB24
3C064CB04
3C064DA07
3C064DA19
3C064DA29
3C064DA32
3J058AA43
3J058AA53
3J058AA58
3J058AA69
3J058AA79
3J058AA87
3J058BA13
3J058FA50
(57)【要約】
本発明は、工作装置(10)に関し、シャフト(2)と制動装置(12)とを備え、制動装置(12)は、特に制動ディスクとして構成された少なくとも1つの制動体(3)と制動部分(14)とを有し、工作装置(10)は、制動過程の範囲内で、制動装置(12)を解放状態から供給状態を介して制動状態にし、解放状態で、少なくとも1つの制動体(3)とシャフト(2)との間の相対回転不能な連結を提供し、これにより、少なくとも1つの制動体(3)が、解放状態で、シャフト(2)と一緒に回転し、供給状態で、少なくとも1つの制動体(3)とシャフト(2)との間の相対回転運動を提供し、相対回転運動が、制動部分(14)へ向かう少なくとも1つの制動体(3)の軸方向移動(31)に変換され、制動状態で、少なくとも1つの制動体(3)と制動部分(14)との接触によって、制動力をシャフト(2)に及ぼし、これにより、シャフト(2)が制動されるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作装置(10)であって、シャフト(2)と制動装置(12)とを備え、制動装置(12)は、特に制動ディスクとして構成された少なくとも1つの制動体(3)と制動部分(14)とを有し、工作装置(10)は、
制動過程の範囲内で、制動装置(12)を、解放状態から供給状態を介して制動状態にし、
解放状態で、少なくとも1つの制動体(3)とシャフト(2)との間の相対回転不能な連結を提供し、これにより、少なくとも1つの制動体(3)が、解放状態で、シャフト(2)と一緒に回転し、
供給状態で、少なくとも1つの制動体(3)とシャフト(2)との間の相対回転運動を提供し、相対回転運動は、制動部分(14)へ向かう少なくとも1つの制動体(3)の軸方向移動(31)に変換され、
制動状態で、少なくとも1つの制動体(3)と制動部分(14)との接触によって、制動力をシャフト(2)に及ぼし、これにより、シャフト(2)が制動される、
ように構成されている、工作装置(10)。
【請求項2】
シャフト(2)に連結された駆動可能な工具(1)を更に備え、これにより、工具(1)は、制動状態で、シャフト(2)と一緒に制動される、請求項1に記載の工作装置(10)。
【請求項3】
シャフト(2)は、相対回転運動時に、制動体(3)よりも高い回転速度を有する、請求項1又は2に記載の工作装置(10)。
【請求項4】
工作装置(10)は、シャフト(2)に対して相対的に少なくとも1つの制動体(3)の回転を制動し、これにより、少なくとも1つの制動体(3)とシャフト(2)との間の相対回転運動が提供されるように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の工作装置(10)。
【請求項5】
工作装置(10)は、シャフト(2)の急激な回転速度変化、特に回転加速によって相対回転運動を生じさせるように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の工作装置(10)。
【請求項6】
解放モードで、相対回転不能な連結を提供するための連結機構を更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の工作装置(10)。
【請求項7】
連結機構は、解放モードで、摩擦接続によって、少なくとも1つの制動体(3)とシャフト(2)との間の相対回転不能な連結を提供するように構成されている、請求項6に記載の工作装置(10)。
【請求項8】
相対回転運動を軸方向移動に変換する変換機構を更に備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の工作装置(10)。
【請求項9】
変換機構は、ねじ山(4)を有し、工作装置(10)は、供給状態で、ねじ山(4)を用いて相対回転運動を軸方向移動(31)に変換するように構成されている、請求項8に記載の工作装置(10)。
【請求項10】
ねじ山(4)が、シャフト(2)に配置されている、請求項9に記載の工作装置(10)。
【請求項11】
少なくとも1つの制動体(3)は、第1の制動体(3A)と第2の制動体(3B)とを有し、工作装置(10)は、供給状態で、両制動体(3A、3B)とシャフト(2)との間の相対回転運動を提供するとともに、相対回転運動を、制動部分(14)へ向かう制動体(3A、3B)の互いに逆向きの軸方向運動(31A、31B)に変換するように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の工作装置(10)。
【請求項12】
第1のねじ山(4A)と第2のねじ山(4B)とを更に備え、工作装置(10)は、供給状態で、第1のねじ山(4A)を用いて、相対回転運動を、第1の制動体(3A)の軸方向移動(31A)に変換するとともに、第2のねじ山(4B)を用いて、相対回転運動を、第2の制動体(3B)の、第1の軸方向移動(31A)とは逆向きの第2の軸方向移動(31B)に変換するように構成されている、請求項11に記載の工作装置(10)。
【請求項13】
第1のねじ山(4A)は、第2のねじ山(4B)とは回転方向が異なる、請求項12に記載の工作装置(10)。
【請求項14】
制動部分(14)は、回転軸受(24)を有し、回転軸受(24)は、シャフト(2)を軸支する、請求項1から13のいずれか一項に記載の工作装置(10)。
【請求項15】
工作装置(10)は、起動部分(16)を備えるとともに、起動部分(16)と少なくとも1つの制動体(3)とを接触させ、これにより、少なくとも1つの制動体(3)とシャフト(2)との間の相対回転運動が提供されるように構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の工作装置(10)。
【請求項16】
工作装置(10)は、運転状態を把握し、把握された運転状態に基づいて制動過程を惹起するように構成されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の工作装置(10)。
【請求項17】
工作装置(10)は、運転状態として非常状態、特に工具(1)と人体との接触及び/又はキックバックを把握するように構成されている、請求項16に記載の工作装置(10)。
【請求項18】
工作装置(10)は、制動装置(12)を制動状態から解放状態に戻すように構成されている、請求項1から17のいずれか一項に記載の工作装置(10)。
【請求項19】
工作装置(10)のシャフト(2)を制動する方法であって、
特に制動ディスクとして構成された少なくとも1つの制動体(3)と制動部分(14)とを有する制動装置(12)を、解放状態から供給状態を介して制動状態にするステップを有し、解放状態では、少なくとも1つの制動体(3)が、
シャフト(2)に相対回転不能に連結されていて、これにより、少なくとも1つの制動体(3)が、シャフト(2)と一緒に回転し、供給状態では、少なくとも1つの制動体(3)とシャフト(2)との間の相対回転運動が、制動部分(14)へ向かう少なくとも1つの制動体(3)の軸方向移動(31)に変換され、制動状態では、少なくとも1つの制動体(3)が、制動部分(14)に接触し、シャフト(2)に制動力を及ぼし、これにより、シャフト(2)が制動される、方法。
【請求項20】
請求項1から18のいずれか一項に記載の工作装置(10)を用いて実行する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトを備えた工作装置に関する。好適には、工作装置は、シャフトに連結された駆動可能な工具を備える。有利には、工具は、シャフトを介して駆動可能である。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第1234285号明細書には、制動機構を有するのこ盤が記載されている。制動機構は、少なくとも1つの爪を有し、爪は、回転するのこ刃を停止するためにのこ刃に係合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1234285号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、僅かな労力で運転できる工作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載の工作装置によって解決される。工作装置は、制動装置を備え、制動装置は、特に制動ディスクとして構成された少なくとも1つの制動体と制動部分とを有する。工作装置は、制動過程の範囲内で、制動装置を解放状態から供給状態を介して制動状態にするように構成されている。解放状態で、少なくとも1つの制動体は、シャフトに相対回転不能に連結されていて、これにより、少なくとも1つの制動体は、解放状態で、シャフトと一緒に回転する。供給状態で、少なくとも1つの制動体とシャフトとの間の相対回転運動が提供され、相対回転運動は、制動部分へ向かう制動体の軸方向移動に変換される。制動状態で、少なくとも1つの制動体は、制動部分に接触し、制動力をシャフトに及ぼすので、シャフトが制動される。有利には、シャフトの制動によって、工具が制動される。
【0006】
制動という用語は、本明細書の関連において、速度、特に回転速度の低下を意味する。制動は、有利には、停止状態まで行われる又は停止状態までは行われない。
【0007】
冒頭で掲示した欧州特許第1234285号明細書では、のこ刃を停止するために、爪が、のこ刃に係合される。その際、通常、のこ刃及び爪の破損が生じるので、のこ盤を引き続き運転できるようにするには、両方を交換しなければならない。
【0008】
これとは異なり、記載の工作装置では、工具及び/又は少なくとも1つの制動体が、有利には、工具の制動後でも破損されずに保持される及び/又は引き続き使用可能なままであるので、引き続き運転するために交換する必要はない。
【0009】
このような理由から、記載の工作装置は、僅かな労力で運転できる。
【0010】
有利な発展形態は、従属請求項の対象である。
【0011】
本発明は、さらに、工作装置のシャフトを制動する方法に関し、特に制動ディスクとして構成された少なくとも1つの制動体と制動部分とを有する制動装置を、解放状態から供給状態を介して制動状態にするステップを有し、解放状態では、少なくとも1つの制動体は、シャフトに相対回転不能に連結されていて、これにより、少なくとも1つの制動体は、シャフトと一緒に回転し、供給状態では、少なくとも1つの制動体は、少なくとも1つの制動体とシャフトとの間の相対回転運動によってもたらされる、制動部分へ向かう軸方向移動を実行し、制動状態では、少なくとも1つの制動体は、制動部分に接触するとともに、シャフトに制動力を及ぼすので、シャフトが制動される。
【0012】
好適な形態では、本明細書に記載の工作装置を用いて方法が実行される。
【0013】
例示的な更なる詳細及び例示的な実施の形態を、図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】工作装置の概略図である。
図2】解放状態の制動装置を示す。
図3】制動装置の断面図である。
図4】供給状態の制動装置を示す。
図5】制動状態の制動装置を示す。
図6】リセット機構を非作動位置で示す。
図7】リセット機構を作動位置で示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、図面に記入された方向「x」、「y」及び「z」が参照される。x方向、y方向及びz方向は、互いに直交方向に整向されている。x方向及びy方向は、水平方向と称してもよく、z方向は、鉛直方向と称してもよい。以下に述べる方向「半径方向」及び「軸方向」は、特にシャフト2の長手方向に対してと解するべきである。シャフト2の長手方向又は軸方向は、例示的にはx方向に対して平行に延在する。「軸方向移動」という用語は、特に、シャフト2の長手方向軸線に対して平行の移動を意味する。
【0016】
図1は、駆動可能な工具1を有する工作装置10を示す。工作装置10は、工具1に連結されたシャフト2を有し、シャフト2を介して、工具1は、的確に駆動可能である。
【0017】
工作装置10は、制動装置12を有する。制動装置12は、図2から図5に例示されている。制動装置12は、少なくとも1つの制動体3を有する。少なくとも1つの制動体3は、有利には制動ディスクとして構成されている。例示的には、制動装置12は、2つの制動体3、すなわち第1の制動体3Aと第2の制動体3Bとを有する。これに対して代替的に、制動装置12は、制動体3を1つだけ有してもよい。
【0018】
工作装置10は、制動部分14を更に有する。例示的には、制動部分14は、シャフト2の軸方向で2つの制動体3A、3Bの間に位置する。好適には、シャフト2は、制動部分14に回転可能に軸支されている。
【0019】
工作装置10は、制動過程の範囲内で、制動装置12を、解放状態から供給状態を介して制動状態にするように構成されている。
【0020】
解放状態は、図2及び図3に例示されている。解放状態では、少なくとも1つの制動体3が、シャフト2に相対回転不能に連結されているので、少なくとも1つの制動体3は、解放状態で、(シャフトの長手軸線を中心に)シャフト2と一緒に回転する。相対回転不能の連結は、特に、少なくとも1つの制動体3、好適には両制動体3A、3Bが、シャフト2が回転する状態で、シャフト2と一緒に(同一の回転速度で)回転し、シャフトが回転しない状態で、制動体3、好適には両制動体3A、3Bが、同様に回転しないようになっている。例示的には、両制動体3A、3Bは、シャフト2に相対回転不能に連結されていて、シャフト2が回転すると、シャフト2と一緒に回転する。工作装置10は、有利には、解放モードで相対回転不能な連結を提供する連結機構を有する。連結機構は、例示的には、摩擦接続によって相対回転不能な連結を提供するように構成されている。有利には、連結機構は、少なくとも1つの連結部分15、例示的にはナットを有し、連結部分15は、相対回転不能にシャフト2に取り付けられていて、解放状態で、少なくとも1つの制動体3に押し付けられていて、これにより、連結部分15と少なくとも1つの制動体3との間の摩擦接続が提供されるので、少なくとも1つの制動体3とシャフト2との間に相対回転不能な連結が与えられている。
【0021】
解放状態では、シャフト2は、有利には回転自在であり、特に制動装置12によって制動されない。例えば、制動装置12は、通常運転時、すなわち特にシャフト2と工具1とが回転して、例えば工具1を用いて工作物11が加工されるとき、解放状態を占める。
【0022】
工作装置10は、制動装置12を解放状態から供給状態にするように構成されている。
【0023】
図4は、制動装置12を供給状態で示す。供給状態では、少なくとも1つの制動体3、好適には両制動体3A、3Bと、シャフト2との間の相対回転運動が提供される。好適には、シャフト2は、相対回転運動時に、制動体3よりも高い回転速度を有する。相対回転運動は、特に、少なくとも1つの制動体3、好適には両制動体3A、3Bが、シャフト2に対して相対的に回転を制動されることによって提供される。このことは、例示的に、起動部分16が少なくとも1つの制動体3に接触させられることによって行われる。少なくとも1つの制動体3の制動によって、少なくとも1つの制動体3とシャフト2との間の相対回転不能な連結が解除されるので、少なくとも1つの制動体3は、もはや相対回転不能にシャフト2に連結されておらず、シャフト2に対して相対的に回転する。有利には、シャフト2は、供給状態で、少なくとも1つの制動体3よりも、特に両制動体3A、3Bよりも速く回転する。
【0024】
相対回転運動を提供するために工作装置10が制動体3を制動する前述の形態に対して代替的に又は付加的に、工作装置10は、シャフト2の急激な回転速度変化、特にシャフト2の回転加速によって相対回転運動が惹起されるように構成してもよい。
【0025】
少なくとも1つの制動体3、好適には2つの制動体3A、3Bと、シャフト2と間の相対回転運動は、制動部分14へ向かう、少なくとも1つの制動体3、好適には両制動体3A、3Bの軸方向移動31に変換される。好適には、少なくとも1つの制動体3は、少なくとも1つの制動体3が制動部分14に接触するまで、軸方向移動を行う。軸方向移動31は、x方向に対して平行に延在する。好適には、軸方向移動31は、直線移動である。
【0026】
例示的には、軸方向移動31は、特に、シャフト2に配置されたねじ山4によって提供される。ねじ山4に、少なくとも1つの制動体3が係合する。要するに、ねじ山4を介して、有利には、少なくとも1つの制動体3とシャフト2との間の相対回転運動が、少なくとも1つの制動体3とシャフト2との間の相対軸方向移動に変換される。
【0027】
図5は、制動装置12を制動状態で示す。制動状態では、少なくとも1つの制動体3、好適には両制動体3A、3Bが、制動部分14に至る。少なくとも1つの制動体3が、制動部分14に接触し、制動力をシャフト2に及ぼすので、シャフト2が制動され、これにより工具1も制動される。
【0028】
少なくとも1つの制動体3と制動部分14との間の接触によって、少なくとも1つの制動体3と制動部分14との間の(更なる)相対回転運動が、特に少なくとも1つの制動体3と制動部分14との間の摩擦接続によって阻止される。さらに、少なくとも1つの制動体3と制動部分14との間の接触によって、制動部分14へ向かう少なくとも1つの制動体3の更なる軸方向移動が、特に少なくとも1つの制動体3と制動部分14との間の形状接続によって阻止される。
【0029】
少なくとも1つの制動体3とシャフト2との間の運動連結に基づいて、すなわち少なくとも1つの制動体3とシャフト2との間の相対回転運動と相対軸方向移動との間の、例示的にはねじ山4によって提供される連結に基づいて、シャフト2は、制動体3の軸方向移動が継続するときにだけ、引き続き制動体3に対して相対回転できる。したがって、制動体3の軸方向移動を阻止することによって、制動体3とシャフト2との相対回転運転が阻止される。その際、制動体3と制動部分14との間の相対回転運動の前述の阻止に基づいて、制動部分14に対して相対的なシャフト2の回転運動も停止される。制動部分14は、有利には、工作装置10の定位置の部分である。したがって、シャフト2は、有利には工具1も、工作装置10の定位置の部分に対して相対的に停止される。
【0030】
制動装置12は、特にセルフロック式に及び/又は自己倍力式に構成されている。制動体3A、3Bが制動部分14に接触すると直ちに、シャフト2が更に回転することによって、シャフト2への制動効果が増大される。特に、制動体3A、3Bは、シャフト2が更に回転することによって、制動部分14に対してより強く押圧されるので、特に制動体3A、3Bとシャフト2との間の摩擦接続が、ひいては制動作用が増大される。
【0031】
有利には、制動状態で、第1の制動体3Aからシャフト2に及ぼされる軸方向力と第2の制動体3Bからシャフト2に及ぼされる軸方向力とが、互いに相殺される。好適には、第1の制動体3Aと第2制動体3Bとは、軸方向移動が行われると、同時に制動部分14に衝突する。
【0032】
以下に、更に例示的な詳細を説明する。
【0033】
先ず、工作装置10について説明する。
【0034】
工作装置10は、例示的には鋸である。工具1は、有利には、回転のこ刃である。有利には、工作装置10は、丸のこ盤である。これに対して代替的に、工作装置10は、他の工作装置として構成されてもよい。特に、工作装置10は、固定式の又は半固定式の機械として構成されてよい。さらに、工作装置10は、手持ち式の機械、特に手持ち式の工作機械として構成されてよい。好適には、工作装置10は、マイタソー、プランジソー、安全ガード付きソー、バンドソー、ジグソー、ルータ及び/又はアングルグラインダとして構成されている。工作装置10は、特に電動工具である。
【0035】
工作装置10は、例示的には工具1と、シャフト2と、駆動ユニット5と、アクチュエータユニット6と、制御ユニット7とを有する。さらに、工作装置10は、有利には、支持構造8及び/又は載置面9を有する。
【0036】
支持構造8は、例示的にはハウジングとして構成されている。支持構造8には、有利には、駆動ユニット5、アクチュエータユニット6及び/又は制御ユニット7が内設されている。
【0037】
載置面9は、例示的には支持構造8の上面に配置されている。載置面9は、工作物11が工具1によって加工される間に工作物11を載置するのに用いられる。例示的には、載置面9は、xy平面をなす。例示的には、工具1は、載置面9から外へ、特にz方向に突出する。
【0038】
駆動ユニット5は、例示的には回転駆動部として、特に電気的な回転駆動部として構成されている。駆動ユニット5は、工具1を駆動する、特に工具1を好適には時計回り方向に回転させるのに用いられる。工具1は、シャフト2を介して駆動ユニット5に連結されている。駆動ユニット5は、シャフト2を駆動する、特に回転させるように構成されていて、それを介して同様に工具1が駆動される。例示的には、工具1は、シャフト2に相対回転不能に結合されているので、工具1は、回転するシャフト2と一緒に回転する。
【0039】
シャフト2は、特に工作装置10の駆動系のシャフトである。シャフト2及び工具1は、支持構造8に対して有利には回転可能に軸支されている。
【0040】
シャフト2は、その長手軸線でもって、x方向に対して平行に整向されている。例示的には、シャフト2は、円筒形の基本構造を有する。工具1の回転軸線は、有利にはx方向に対して平行に整向されている。例示的には、シャフト2と工具1とは、互いに同軸に整向されている。
【0041】
アクチュエータユニット6は、有利には、以下に詳説するように、制動装置12を解放状態から供給状態にするのに用いられる。
【0042】
制御ユニット7は、有利には、駆動ユニット5に駆動ユニット制御信号を供給し、これにより、駆動ユニット5による工具1の駆動を惹起するように構成されている。制御ユニット7は、有利には、さらに、アクチュエータユニット6にアクチュエータユニット制御信号を供給し、これにより、アクチュエータユニット6が制動装置12を供給状態にするように構成されている。制御ユニット7は、有利には、さらに、運転状態を把握して、把握された運転状態に基づいて、特にアクチュエータユニット6にアクチュエータユニット制御信号を供給する及び/又は駆動ユニット5に制御信号を供給することによって制動過程を惹起するように構成されている。運転状態は、特に非常状態である。非常状態は、特に、ユーザが例えば工具及び/又は工作物によって負傷し得る、ユーザにとって潜在的に危険な状況である。制御ユニット7は、有利には、工具1と人体、例えば指との接触の検出に基づいて非常状態を把握するように構成されている。
【0043】
好適には、工作装置10、特に制御ユニット7は、工具1に電気的な検出信号を供給し、検出信号の変化に基づいて非常状態を把握するように構成されている。有利には、工作装置10、特に制御ユニット7は、工具1に、容量結合によって電気的な検出信号を供給するように構成されている。有利には、工作装置10、特に制御ユニット7は、容量変化に基づいて、非常状態、特に工具1と人体との接触を把握するように構成されている。非常状態の把握を例示的にはどのように実現できるのかについての更なる詳細は、欧州特許第1234285号明細書に記載されている。
【0044】
制御ユニット7は、好適には、さらに、非常状態としてキックバックを把握するように構成されている。「キックバック」という用語は、特に、工作装置10によって工作物11が加工されている間に、工作装置10と工作物11との間に突発的に予期しない力が発生し、この力によって、工作装置10及び/又は工作物11が動かされる状態を意味する。
【0045】
工作装置10は、有利には、キックバックを把握するために、センサ装置、例えば加速度センサ及び/又は力センサ、特に歪みゲージ配列を有する。この種のセンサ装置は、例えば、国際公開第2019/020307号に記載されている。
【0046】
工作装置10は、有利には、制動過程の実行によって、有利には、工作物11の加工が行われる又は行える、工具1の駆動されている、特に回転している状態から、工具1を5ms以内に停止するように構成されている。
【0047】
図2から図5を参照して、以下に、制動装置12について詳説する。
【0048】
有利には、制動装置12は、工作装置10に組み付けられている。制動装置12は、特に(好適には制御ユニット7及び/又はアクチュエータユニット6を介して)作動状態に切り替えられるブレーキである。制動装置12は、特に可逆に構成されているので、制動装置12は、制動状態から解放状態に(そしてそこから有利には再び制動状態に)戻せて、好適にはそのために制動装置12の構成要素を交換する必要がない。
【0049】
制動装置12は、例示的には、シャフト2と、制動体3と、制動部分14と、連結部分15と、起動部分16とを有する。シャフト2は、その長手軸線でもって、x方向に対して平行に整向されている。シャフト2は、制動体3と連結部分15とを通して、そして有利には制動部分14をも通して延在する。制動体3は、x方向に分配して配置されている。制動体3は、特に、シャフト2に対して同軸にかつ互いに同軸に整向されている。制動部分14は、x方向に制動体3同士の間に配置されている。制動部分14と制動体3とは、共にx方向に連結部分15同士の間に配置されている。制動部分14と制動本体3と連結部分15とは、互いにx方向に重畳しない。起動部分16は、特に半径方向に、シャフト2から離間して配置されている。
【0050】
解放状態(図2及び3参照)では、シャフト2と連結部分15と制動体3とが、互いに相対回転不能に連結されている。例えば、制動体3は、解放状態で、摩擦接続及び/又は形状接続に基づいて、シャフト2に結合されている。シャフト2は、解放状態では、制動部分14に対して回転自在である。制動体3は、解放状態では、制動部分14に接触しない。起動部分16は、解放状態では、制動体3に接触しない。
【0051】
供給状態(図4参照)では、シャフト2と制動体3とは、互いに相対回転不能に連結されていない。シャフト2は、制動体3に対して相対回転できる。有利には、シャフト2と、制動体3、特に両制動体3A、3Bとが、供給状態で、同一の回転方向に回転する。シャフト2は、供給状態では、制動部分14に対して引き続き回転自在である。制動体3は、供給状態では、制動部分14に接触しない。起動部分16は、解放状態で、有利には制動体3に接触する。
【0052】
制動状態(図5参照)では、制動体3及びシャフト2が、相対回転不能に制動部分14に連結されている。さらに、制動体3は、制動状態で、制動部分14に接触する。
【0053】
以下に、制動体3について詳説する。
【0054】
例示的には、第1の制動体3Aと第2の制動体3Bとの2つの制動体3が存在する。代替的な形態によれば、単一の制動体3が存在する、すなわち代替的な形態では、第1の制動体3A又は第2の制動体3Bは存在しない。
【0055】
2つの制動体3A、3Bは、有利には、互いに対応して構成されている。制動体3に関する説明は、特に両制動体3A、3Bに当てはまる。さらに、第1の制動体3Aに関する説明は、有利には第2の制動体3Bにも相応に当てはまる。
【0056】
制動体3A、3Bは、例示的には制動ディスクとして構成されている。第1の制動体3Aは、第1の制動ディスクと称してもよく、第2の制動体3Bは、第2の制動ディスクと称してもよい。
【0057】
制動体3は、有利には、互いに別個の部材である。特に、両制動体3A、3Bは、互いに分かれてシャフト2上を移動する。
【0058】
各制動体3A、3Bは、例示的には、シャフト2に対して同軸に整向された各々のディスク部分18を有する。各ディスク部分18の、制動部分14に面する側の端面に、例示的には、各々の接触領域17、特に面状の接触領域、例えば制動パッドが設けられている。制動部分14に面する側の端面は、x方向に対して垂直に整向されている。制動状態では、各制動体3A、3Bの各々の接触領域17が、制動部分14に当接する。両制動体3A、3Bの接触領域17は、例示的には、互いに向き合うように整向されている。
【0059】
各制動体3A、3Bは、例示的には、シャフト2に対して同軸に整向された各々の円筒部分19を更に有する。各円筒部分19は、各々のディスク部分18の、制動部分14とは反対の側の端面に配置されている。
【0060】
各制動体3A、3Bは、その制動部分14とは反対の側の端面でもって、特に各々の円筒部分19の、制動部分14とは反対の側の端面でもって、各々の連結部分15に接触する。これにより、有利には、特に摩擦接続によって、シャフト2に対して相対回転不能な連結が提供される。
【0061】
各制動体3A、3Bは、有利には、各々の制動体ねじ山22A、22Bを有する。各制動体3A、3Bは、各々の制動体ねじ山22A、22Bを介してシャフト2に係合する。制動体ねじ山22A、22Bは、有利には、雌ねじ山として構成されている。各制動体ねじ山22A、22Bは、有利には、各々の制動体3A、3Bの中央に、特に各々のディスク部分18及び/又は円筒部分19の中央に配置された貫通部に配置されている。
【0062】
以下に、シャフト2について詳説する。
【0063】
シャフト2は、例示的には、駆動スピンドルとして構成されている。好適には、シャフト2は、ねじ山付きシャフトとして構成されている。シャフト2は、有利には、トルク剛性的にモータシャフト及び/又は工具1に結合されている。
【0064】
シャフト2は、例示的には、第1のねじ山4Aを有する。第1のねじ山4Aは、第1の制動体3Aに、特に第1の制動体ねじ山22Aに係合する。
【0065】
シャフト2は、有利には、第2のねじ山4Bを更に有する。第2のねじ山4Bは、第1のねじ山4Aに対してx方向にずらして配置されている。第2のねじ山4Bは、第2の制動体3Bに、特に第2の制動体ねじ山22Bに係合する。
【0066】
第1のねじ山4Aは、第2のねじ山4Bとは回転方向が異なる。好適には、第1のねじ山4Aの回転方向は、第2のねじ山4Bの回転方向に対して逆向きである。有利には、第1のねじ山4Aは、右ねじ山であり、第2のねじ山4Bは、左ねじ山である。代替的には、第1のねじ山4Aは、左ねじ山であり、第2のねじ山4Bは、右ねじ山である。
【0067】
図示の形態では、制動装置12は、2つのねじ山4A、4Bを有する。代替的な実施の形態によれば、特に単一の制動体3を有する形態では、制動装置は、単一のねじ山4A又は4Bを有する。
【0068】
工作装置10は、各制動体3A、3Bとシャフト2との間の相対回転運動30を、制動要素14へ向かう各制動体3A、3Bの軸方向移動31A、31Bに変換するように構成されている。工作装置10は、特に、供給状態で、両制動体3A、3Bを、両制動体3A、3Bとシャフト2との間の相対回転運動30によって、制動部分14へ向かう逆向きの軸方向移動31A、31Bにするように構成されている。有利には、制動体3A、3Bは、軸方向移動31A、31Bが実行されると、互いに接近移動する。
【0069】
軸方向移動31A、31Bへと相対回転運動30を変換するために、工作装置10は、変換機構を有し、変換機構は、例示的には、ねじ山4A、4Bと制動体ねじ山22A、22Bとによって形成される。第1のねじ4Aと第1の制動体ねじ山22Aとの係合によって、第1の制動体3Aは、第1の制動体3Aとシャフト2との間の相対回転運動時に、制動部分14へ向かう第1の軸方向移動31Aにもたらされる。第1の軸方向移動31Aは、例示的には、x方向に対して逆並行に延在する。第2のねじ4Bと第2の制動体ねじ22Bとの係合によって、第2の制動体3Bは、第2の制動体3Bとシャフト2との間の相対回転運動時に、制動部分14へ向かう第2の軸方向移動31Bにもたらされる。第2軸方向移動33Bは、例示的にはx方向に対して平行に延在する。
【0070】
次に、制動部分14について説明する。
【0071】
制動部分14は、例示的には、支持構造8の一部である、又は支持構造8に、特にハウジングとして構成された支持構造8に相対回転不能に結合されている。制動部分14は、特に定位置の部分である。有利には、制動部分14は、シャフト2と一緒に回転しない。制動部分24は、制動状態でシャフト2に作用する力及び/又はトルクを導出するように構成されている。
【0072】
制動部分14は、例示的には、板状の基本形状を有する。制動部分14は、特に制動ブロック及び/又は軸受ブロックとして構成されている。制動部分14の最大面積の面は、例示的には、x方向に対して垂直に整向されている。制動部分14は、第1の制動面21Aを有し、第1の制動面21Aは、第1の制動体3Aに面していて、制動状態で、第1の制動体3Aに接触する。制動部分14は、第2の制動面21Bを更に有し、第2の制動面21Bは、第2の制動体3Bに面していて、制動状態で、第2の制動体3Bに接触する。第1の制動面21Aと第2の制動面22Bとは、反対の方向を向いている。
【0073】
制動部分14は、例示的には、貫通部を有し、貫通部を通ってシャフト2がガイドされている。有利には、制動部分14は、回転軸受24、特にシャフト2を軸支する転がり軸受を有する。
【0074】
以下に、連結部分15について詳説する。
【0075】
連結部分15は、解放状態で、制動体3A、3Bとシャフト2との間の相対回転不能の連結を提供するのに用いられる。連結部分15は、特に、相対回転不能な連結を、解除可能な相対回転不能な連結として提供するように構成されている。
【0076】
例示的には、2つの連結部分15が存在する。代替的な形態では、特に単一の制動体3を有する形態では、好適には、単一の連結部分15が存在する。
【0077】
連結部分15は、有利には、シャフト2上に配置されていて、特にシャフト2に取り付けられている。例示的には、連結部分15は、それぞれナットとして構成されていて、シャフト2に螺着されている。代替的な形態によれば、連結部分15は、シャフト2の一部である。
【0078】
各連結部分15は、特に、各々の端面でもって、各々の制動体3A、3Bに接触する。有利には、各連結部分15は、特に軸方向に各々の制動体3A、3Bに押し付けられている。各々の連結部分15と各々の制動体3A、3Bとの間の接触によって、摩擦接続が提供され、摩擦接続によって、同様に、各々の制動体3A、3Bとシャフト2との間の相対回転不能な連結が提供される。
【0079】
以下に、起動部分16について詳説する。
【0080】
起動部分16は、制動体3A、3Bを作動させるために用いられ、これにより、制動体3A、3Bとシャフト2との間の相対回転運動が提供される。特に、起動部分16は、制動体3A、3Bの回転を接触により制動するために用いられる(これに対してシャフト2は有利には回転し続ける)。
【0081】
起動部分16は、例示的には、2つの作動部分32、すなわち第1の制動体3Aを作動させるための第1の作動部分32Aと、第2の制動体3Bを作動させるための第2の作動部32Bとを有する。起動部分16は、例示的には、U字形に構成されていて、この場合、作動部分32は、各々の脚部によって形成される。
【0082】
起動部分16は、有利には、アクチュエータユニット6によって、制動体3へ向かう起動移動にもたらされ、これにより、制動体3が作動させられる。起動移動は、とりわけ、特にシャフト2の半径方向の起動部分16の直線移動を含む。起動移動は、特に制動体3に対して相対的な起動部分16の移動である。
【0083】
アクチュエータユニット6は、有利には、電気的なアクチュエータを有し、これにより、起動部分16を起動移動させる。有利には、アクチュエータユニット6は、ソレノイド及び/又はピエゾユニットを有し、これにより、起動部分16を起動移動させる。これに対して代替的に又は付加的に、アクチュエータユニット6は、空圧シリンダを有し、これにより、起動部分16を起動移動させる。
【0084】
さらに、アクチュエータユニット6は、起動部分16を起動移動させるために、他の態様で構成されたアクチュエータ、特に圧電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、形状記憶合金アクチュエータ(SMAアクチュエータ)、高分子アクチュエータ(EAPアクチュエータ)、磁気形状記憶アクチュエータ(MSNアクチュエータ)、空圧アクチュエータ、液圧アクチュエータ、パイロアクチュエータ、機械アクチュエータ、電歪アクチュエータ及び/又は熱アクチュエータを有してよい。
【0085】
工作装置10は、好適には、起動部分16を起動移動させ、これにより、起動部分16を制動体3に接触させ、これにより、制動装置12が解放状態から供給状態に切り替わるように構成されている。
【0086】
好適には、工作装置10は、作動部分16を、把握された運転状態、特に非常状態に基づいて起動移動させるように構成されている。
【0087】
制動装置12がアクチュエータユニット6によって起動させられる説明した形態に対して代替的に又は付加的に、工作装置10は、制動装置12が別の形で、すなわちアクチュエータユニットによってではない形で起動させられるように構成されてもよい。例えば、制動装置12は、瞬間的に作動できる。これは、例えば、駆動ユニット5の回転数が、特に対応する調整部によって変化されることによって達成できる。駆動ユニット5をシャフト2に連結することによって、これにより、シャフト2の回転数も変化される。シャフト2の急激な回転速度変化、特に加速と、制動体3の慣性とによって、シャフト2と制動体3との間にモーメントが生じ、このモーメントによって、制動体3が解放状態から解除され、有利には、さらに、シャフト2と制動体3との間の相対速度の変化がもたらされる。
【0088】
工作装置10は、例示的には、軸受部分25を更に有し、軸受部分25に、シャフト2が、特に半径方向に及び/又は軸方向に軸支されている。例示的には、シャフト2は、その一端で、軸受部分25に軸支されている。軸受部分25は、回転軸受26、例示的には転がり軸受を有する。
【0089】
以下に、工作装置10の例示的な運転を説明する。
【0090】
有利には、工具1が、駆動ユニット5によって駆動される。工作物11が、駆動されている工具1によって加工される。加工時、工具1とユーザの体との接触が生じる。制御ユニット7は、この接触を非常状態として把握し、これに基づいて制動装置12を起動させる。アクチュエータユニット6が、起動部分16を起動移動させ、これにより、制動体3を作動させ、これにより、制動装置12を解放状態から供給状態にする。制動体3とシャフト2との間で相対回転運動が生じ、相対回転運動は、制動部分14までの制動体3の軸方向移動31A、31Bに変換される。例示的には、制動体3は、軸方向移動31A、32Bが行われると、互いに接近移動する。制動装置12は、制動体3が制動部分14に接触すると、制動状態にある。制動体3と制動部分4との接触によって、シャフト2及び工具1は、停止状態になるまで制動される。制動は、特に5ms以内で行われる。
【0091】
有利には、制動装置12が、特に自動的に工作装置10及び/又は手動の作動によって解放状態に戻される。工具1は、再び駆動ユニット5によって駆動される。工作物11又は別の工作物が、次いで、工具1によって加工される。有利には、工具1及び/又はシャフト2の制動と新たな加工との間に、工具1及び/又は制動体3の交換が行われない。
【0092】
好ましい形態によれば、工作装置10は、制動装置12を、特にアクチュエータユニット6及び/又は他のアクチュエータユニットによって解放状態に戻すように構成されている。好適には、工作装置10は、制動装置12を、リセットコマンドに応答して解放状態に戻すように構成されている。リセットコマンドは、好適には、ユーザによって、例えば入力装置、特にキーを介して工作装置10に入力される。
【0093】
図6及び図7は、有利には工作装置10の一部であるリセット機構40を示す。リセット機構40は、制動装置12を解放状態に戻すのに用いられる。例示的には、リセット機構は、リセット要素接触部分42を具備するリセット要素41、例えばレバーを有し、リセット要素接触部分42は、特に直線移動によって、制動体3の制動体接触部分、例えば円筒部分19に接触でき、有利には制動体接触部分に形状接続に基づいて結合される。次いで、リセット要素41の(特に手動でもたらされる)回転運動によって、制動体3が、回転運動させられ、そうして解放状態に戻される。図6では、リセット機構40は、リセット接触部分42が制動体接触部分に接触しない非作動状態にある。図7では、リセット機構40は、作動状態にあり、作動状態では、リセット接触部分42が、制動体接触部分に接触する。
【0094】
これに対して代替的に又は付加的に、工作装置10は、制動装置を、工具1及び/又はシャフト2及び/又はシャフト2に機械的に連結された操作要素、例えばレバーの手動の作動を介して、解放状態に戻せるように構成されている。これに対して代替的に又は付加的に、工作装置10は、制動装置を、制動体3及び/又は制動体3に機械的に連結された操作要素、例えばレバーの手動の作動を介して、解放状態に戻せるように構成されている。
【0095】
工作装置は、有利には、アングル装置として、例えばアングルグラインダ、アングルドライバ又はアングルドリルとして構成されてもよい。
【0096】
有利には、工作装置は、第1のシャフト、例えば駆動シャフトと、第2のシャフト、例えば被駆動シャフトとを有する。第1のシャフトと第2のシャフトとは、好ましくは、変向ジョイントを介して互いに連結されている。有利には、第1シャフト又は第2シャフトは、制動装置によって制動される前述のシャフトである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】