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特表2022-535609抗CD19抗体薬物複合体とPI3K阻害剤又は二次薬剤を含む併用治療
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  • 特表-抗CD19抗体薬物複合体とPI3K阻害剤又は二次薬剤を含む併用治療 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-09
(54)【発明の名称】抗CD19抗体薬物複合体とPI3K阻害剤又は二次薬剤を含む併用治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20220802BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 31/69 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 31/502 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 31/52 20060101ALI20220802BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20220802BHJP
   A61K 31/5513 20060101ALI20220802BHJP
   C07D 235/16 20060101ALN20220802BHJP
   C07D 401/04 20060101ALN20220802BHJP
   C07D 237/32 20060101ALN20220802BHJP
   C07D 473/34 20060101ALN20220802BHJP
   C07D 519/00 20060101ALN20220802BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20220802BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K45/06
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 L
A61K31/4184
A61K31/454
A61K31/69
A61K31/502
A61K31/52
A61K47/65
A61K31/5513
C07D235/16
C07D401/04
C07D237/32
C07D473/34 311
C07D519/00 311
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573165
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2020065880
(87)【国際公開番号】W WO2020249528
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】1908233.8
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1908234.6
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517182365
【氏名又は名称】アーデーセー セラピューティクス ソシエテ アノニム
(71)【出願人】
【識別番号】506042265
【氏名又は名称】メディミューン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ザンマールキ,フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトーニ、フランチェスコ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C072
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063CC11
4C063DD07
4C063EE01
4C072MM01
4C072UU01
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF32
4C076FF34
4C084AA20
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C085AA21
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC22
4C086BC39
4C086BC50
4C086CB07
4C086CB11
4C086DA43
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、がん等の病態の治療のための併用治療に関する。特に、本開示は、抗CD19抗体薬物複合体(抗CD19 ADC)及びホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)阻害剤又は二次薬剤による治療を含む併用治療に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗CD19 ADCによる治療に適する個体を選択する方法であって、これまでPI3K阻害剤又は二次薬剤で治療されたことがある個体を抗CD19 ADCによる治療に選択する、方法。
【請求項2】
抗CD19 ADCによる治療に適する個体を選択する方法であって、PI3K阻害剤又は二次薬剤で治療中である個体を抗CD19 ADCによる治療に選択する、方法。
【請求項3】
個体が、PI3K阻害剤又は二次薬剤による治療又はさらなる治療に不応性である場合、治療に選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
個体の症状の治療方法であって、前記方法は、以下の:
(i)請求項1~3のいずれか一項に記載の方法による治療に適する個体を選択する工程;かつ
(ii)有効量の抗CD19 ADCを前記個体に投与する工程;
含む、方法。
【請求項5】
さらに、抗CD19 ADCを、PI3K阻害剤又は二次薬剤と併用投与する工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
有効量の抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤を個体に投与する工程を含む、個体における症状の治療方法。
【請求項7】
個体は、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法による治療に選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
PI3K阻害剤又は二次薬剤の投与前、投与時、又は投与後、に、抗CD19 ADCを投与することを含む、5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
治療は、さらに、化学療法剤を投与する工程を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
個体はヒトである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
個体に症状があるか、又は症状があると判定されたことがある、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
個体は、CD19又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞、例えばCD19+浸潤細胞を発現するがんであるか、又はであると判定されたことがある、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
個体は、PI3K阻害剤又は二次薬剤による治療中である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
個体は、PI3K阻害剤又は二次薬剤による治療を受けていたことがある、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
個体は、PI3K阻害剤又は二次薬剤による治療又はさらなる治療に不応性である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
治療は、抗CD19 ADC剤又はPI3K阻害剤若しくは二次薬剤のいずれかを用いた単独治療と比較して、効能が高い、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
抗CD19 ADCはADCx19又はADCT-402である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
症状は増殖性疾患である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
症状はがんである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病を含む群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
症状はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であり、場合によっては、前記DLBCLは再発性又は難治性である、請求項19記載の方法。
【請求項22】
二次薬剤はベンダムスチンである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
二次薬剤はレナリドミドである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
二次薬剤は、プロテアソーム阻害剤である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、又はサリノスポラミドAである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
プロテアソーム阻害剤はボルテゾミブである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
二次薬剤はPARP阻害剤(PARPi)である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
PARPiは、オラパリブ、CEP-9722、BMN-673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24-550/BSI-201、ベリパリブ(ABT-888)、ニラパリブ/MK-4827、BGB-290、3-アミノベンザミド、及びE7016から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
プロテアソーム阻害剤はオラパリブである、請求項27記載の方法。
【請求項30】
PI3K阻害剤は、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、タセリシブ、ブパリシブ、アルペリシブ、ウンブラリシブ、ダクトリシブ、又はボキサタリシブである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
PI3Kはイデラリシブである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
PI3Kはコピナリシブである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項4~32のいずれか一項に記載の方法で用いる抗CD19 ADC。
【請求項34】
請求項4~32のいずれか一項に記載の方法で用いる、抗CD19 ADCを含む、組成物。
【請求項35】
請求項5~32のいずれか一項に記載の方法で用いる、PI3K阻害剤又は二次薬剤。
【請求項36】
請求項5~32のいずれか一項に記載の方法で用いる、PI3K阻害剤又は二次薬剤を含む組成物。
【請求項37】
個体の疾患を治療する医薬の製造における抗CD19 ADCの使用であって、前記治療は請求項4~32のいずれか一項に記載の方法を含む、使用。
【請求項38】
個体の疾患を治療する医薬の製造におけるPI3K阻害剤又は二次薬剤の使用であって、前記治療は請求項4~32のいずれか一項に記載の方法を含む、使用。
【請求項39】
以下の:
抗CD19 ADCを含む第一の薬剤;
請求項4~32のいずれか一項に記載の方法による前記第一の薬剤の投与に関する指示を含む添付文書;
を含む、キット。
【請求項40】
さらに、以下の:
PI3K阻害剤又は二次薬剤を含む第二の薬剤;
を含む、請求項39に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、(1)2019年6月10日に出願された英国出願GB1908233.8、及び(2)2019年6月10日に出願された英国出願GB1908234.6の2つの出願に基づく優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は、がん等の病理学的状態の治療の併用治療に関する。特に、本開示は、抗CD19抗体薬物複合体(抗CD19 ADC)及びホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤又は二次薬剤による治療を含む併用治療に関する。
【背景技術】
【0003】
〔抗体療法〕
抗体療法は、がん、免疫学的及び血管新生疾患がある被験体の標的治療として確立されている(非特許文献1)。抗体薬物複合体(ADC)、すなわち免疫結合体を用いると、細胞毒性剤又は細胞増殖抑制剤、すなわち、がんの治療において腫瘍細胞を殺傷又は阻害する薬剤を局所的に送達し、薬物部位の腫瘍への送達及びそこでの細胞内蓄積を標的とするものの、当該非結合型薬物の全身投与は、正常細胞では許容できないレベルの毒性を生じうる(非特許文献2~10)。
【0004】
〔CD19〕
CD19は、B細胞の分化の初期において発現し、当該B細胞がトリガーされるまで発現して、最終的に分化させる、95kDaの膜受容体である(非引用文献11及び12)。当該CD19細胞外ドメインは、より小さい潜在的ジスルフィド結合ドメインによって分離された、2つのC2系免疫グロブリン(jG)様ドメインを包含する。CD19細胞質ドメインは、構造的にユニークであるが、ヒト、マウス、及びモルモットの間で高度に保存される(非特許文献13)。CD19は、Bリンパ球の細胞表面に見られるタンパク質複合体の部分である。当該タンパク質複合体としては、CD19、CD21(補体受容体、2型)、CD81(TAPA-1)、及びCD225(Leu-13)があげられる(非特許文献13)。
【0005】
CD19は、B細胞における膜貫通シグナルの重要な調節因子である。CD19の細胞表面密度の増減は、B細胞の発生と機能に影響を及ぼし、自己免疫や低ガンマグロブリン血症等の疾患をもたらす。CD19複合体は、B細胞膜上に存在する2つの別個のシグナル伝達複合体の架橋により、生体内での抗原に対するB細胞の応答を高める。膜IgMとCD19に結合した2つのシグナル伝達複合体は、異なるメカニズムでホスホリパーゼC(PLC)を活性化する。CD19とB細胞受容体の架橋により、PLCの活性化に必要なIgM分子の数が減少する。
CD19はまた、Arcファミリーキナーゼの増幅に特異化されたアダプタータンパク質として機能する(非特許文献14)。
【0006】
CD19の結合は、生じる架橋の量に応じて、B細胞の活性化及び増殖を即真及び抑制することが示されている(非特許文献12)。CD19は、B細胞リンパ腫の90%以上で発現しており、インビトロおよびインビボにおいて、リンパ腫の増殖に影響を及ぼすことが予測されている。
【0007】
〔抗CD19 ADCの治療的使用〕
抗CD19抗体からなる抗体医薬複合体(抗CD19-ADC)の、例えばがんの治療における有効性は確立されている-例えば、特許文献2及び3を参照のこと。抗CD19-ADCの効能、忍容性、および臨床的有用性をさらに向上させるために研究が続けられている。このため、本発明者らは、抗CD19 ADCを少なくとも1つのPI3K阻害剤又は二次薬剤と併用投与する臨床的に有利な併用治療を同定してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2014/05719号
【特許文献2】国際公開第2014/057117号
【特許文献3】国際公開第2016/166298号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Carter,P.(2006)Nature Reviews Immunology 6:343-357
【非特許文献2】Xie et al(2006)Expert.Opin.Biol.Ther.6(3):281-291;
【非特許文献3】Kovtun et al(2006)Cancer Res.66(6):3214-3121;
【非特許文献4】Law et al(2006)Cancer Res.66(4):2328-2337;
【非特許文献5】Wu et al(2005)Nature Biotech.23(9):1137-1145;
【非特許文献6】Lambert J.(2005)Current Opin.in Pharmacol.5:543-549;
【非特許文献7】Hamann P.(2005)Expert Opin.Ther.Patents15(9):1087-1103;
【非特許文献8】Payne,G.(2003)Cancer Cell3:207-212;
【非特許文献9】Trail et al(2003)Cancer Immunol.Immunother.52:328-337;
【非特許文献10】Syrigos and Epenetos(1999)Anticancer Research19:605-614
【非特許文献11】Pezzutto et al(1987),J.Immunol 138:2793
【非特許文献12】Tedder et al (1994)lmmunol Today 15:437
【非特許文献13】Fujimoto et al(1998)Semin Immunol.10:267
【非特許文献14】Hasegawa et al(2001)J Immunol 167:3190
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、個体に対する抗CD19 ADCとPI3K阻害剤又は二次薬剤の併用投与が予想外の臨床的利点をもたらすことを見出した。本発明者らは、さらに、抗CD19 ADCによる治療を受けていたか又は治療中の個体へ、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤を投与すると、治療効果が相乗的に高まることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、第一の態様では、本開示は、抗CD19 ADCによる治療に適する個体を選択する方法を提供し、ここで、当該個体は、PI3K阻害剤又は二次薬剤による治療を受けていたか、又は治療中の場合に、抗CD19 ADCによる治療に選択される。前記個体は、PI3K阻害剤又は二次薬剤での、治療、又はさらなる治療に不応性である場合、治療に選択されてよい。
【0012】
他の態様では、本開示は、個体における症状の治療方法を提供し、前記方法は、第一の態様の方法によって治療に適した個体を選択する工程、次いで、抗CD19 ADCの有効量を個体に投与する工程を含む。前記治療方法は、さらに、抗CD19 ADCをPI3K阻害剤又は二次薬剤と併用投与する工程を含む。
【0013】
他の態様では、本開示は、個体における症状の治療方法を提供し、前記方法は、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の有効量を個体に投与する工程を含む。前記個体は、第一の態様による方法による治療のために選択され得る。
【0014】
前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病、であってよい。
【0015】
抗CD19-ADCは、本明細書に記載されるようにADCX19であってよい。
【0016】
PI3K阻害剤としては、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、タセリシブ、ブパリシブ、アルペリシブ、ウンブラリシブ、ダクトリシブ、又はボキサタリシブがあげられる。好ましくは、PI3K阻害剤はイデラリシブ又はコパンリシブである。
【0017】
二次薬剤は、以下の:
(a)ベンダムスチン;
(b)レナリドミド;
(c)ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、又はサリノスポラミドA等のプロテアソーム阻害剤;又は
(d)オラパリブ、CEP-9722、BMN-673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24-550/BSI-201、ベリパリブ(ABT-888)、ニラパリブ/MK-4827、BGB-290、3-アミノベンザミド、及びE7016等のPARP阻害剤;
であってよい。当該個体はヒトであってよい。当該個体ががんに罹患している場合でも、又は、がんに罹患していることが決定されていてもよい。当該個体は、CD19+がん又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤B細胞等)であってよく、又はであることが決定されていてよい。
【0018】
開示された方法では、当該抗CD19 ADCは、当該PI3K阻害剤又は二次薬剤の投与前に、PI3K阻害剤又は二次薬剤の投与と同時に、又は当該PI3K阻害剤又は二次薬剤の投与後に投与されてよい。開示された方法は、さらに化学療法剤を当該個体に投与する工程を含んでよい。
【0019】
他の態様では、本開示は、本明細書に記載の治療方法で用いる、抗CD19 ADC、又は抗CD19 ADCを含む組成物を提供する。
【0020】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の治療方法で用いる、PI3K阻害剤又は二次薬剤、又はPI3K阻害剤又は二次薬剤を含む組成物を提供する。
さらなる態様では、本開示は、個体の症状障害を治療する医薬の製造における抗CD19 ADC又はPI3K阻害剤又は二次薬剤の使用を提供し、ここで、当該治療は、本明細書に記載される治療方法を含む。
【0021】
---------------------
他の態様では、本開示は、個体の症状の治療方法で用いる抗CD19 ADCを含む第1組成物を提供し、ここで、当該治療は、第1組成物を、PI3K阻害剤又は二次薬剤を含む第2組成物と併用投与する工程を含む。
【0022】
当該態様ではまた、個体の疾患を治療する方法で用いる、PI3K阻害剤又は二次薬剤を含む第1組成物を提供し、ここで、当該治療は、前記第1組成物を、抗CD19 ADCを含む第2組成物と併用投与する工程を含む。
【0023】
前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病、であってよい。
【0024】
抗CD19-ADCは、本明細書に記載されるようにADCX19であってよい。
【0025】
PI3K阻害剤としては、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、タセリシブ、ブパリシブ、アルペリシブ、ウンブラリシブ、ダクトリシブ、又はボキサタリシブがあげられる。好ましくは、PI3K阻害剤はイデラリシブ又はコパンリシブである。
【0026】
二次薬剤は、以下の:
(a)ベンダムスチン;
(b)レナリドミド;
(c)ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、又はサリノスポラミドA等のプロテアソーム阻害剤;又は
(d)オラパリブ、CEP-9722、BMN-673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24-550/BSI-201、ベリパリブ(ABT-888)、ニラパリブ/MK-4827、BGB-290、3-アミノベンザミド、及びE7016等のPARP阻害剤;
であってよい。当該個体はヒトであってよい。当該個体ががんに罹患している場合でも、又は、がんに罹患していることが決定されていてもよい。当該個体は、CD19+がん又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤B細胞等)であってよく、又はであることが決定されていてよい。
【0027】
当該第1組成物は、前記第2組成物の投与前、前記第2組成物の投与と同時に、又は、前記第2組成物の投与後に投与されてよい。
【0028】
当該治療は、さらなる化学療法剤を当該個体に投与することを含んでよい。
【0029】
---------------------
さらなる態様では、本開示は、個体の疾患を治療する医薬の製造における抗CD19-ADCの使用を提供し、ここで、当該医薬は抗CD19-ADCを含み、かつ、当該治療は、当該医薬をPI3K阻害剤又は二次薬剤を含む組成物と併用投与する工程を含む。
【0030】
当該態様ではまた個体の疾患を治療する医薬の製造におけるPI3K阻害剤又は二次薬剤の使用を提供し、ここで、当該医薬はPI3K阻害剤又は二次薬剤を含み、かつ、当該治療は、当該医薬を抗CD19-ADCを含む組成物と併用投与する工程を含む。
【0031】
前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病、であってよい。
【0032】
抗CD19-ADCは、本明細書に記載されるようにADCX19であってよい。
【0033】
PI3K阻害剤としては、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、タセリシブ、ブパリシブ、アルペリシブ、ウンブラリシブ、ダクトリシブ、又はボキサタリシブがあげられる。好ましくは、PI3K阻害剤はイデラリシブ又はコパンリシブである。
【0034】
二次薬剤は、以下の:
(a)ベンダムスチン;
(b)レナリドミド;
(c)ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、又はサリノスポラミドA等のプロテアソーム阻害剤;又は
(d)オラパリブ、CEP-9722、BMN-673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24-550/BSI-201、ベリパリブ(ABT-888)、ニラパリブ/MK-4827、BGB-290、3-アミノベンザミド、及びE7016等のPARP阻害剤;
であってよい。当該個体はヒトであってよい。当該個体ががんに罹患している場合でも、又は、がんに罹患していることが決定されていてもよい。当該個体は、CD19+がん又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤B細胞等)であってよく、又はであることが決定されていてよい。
当該医薬は、当該組成物の投与前、当該組成物の投与と同時に、又は、当該組成物の投与後に投与されてよい。
当該治療は、さらなる化学療法剤を当該個体に投与することを含んでよい。
【0035】
---------------------
本開示の他の態様では、以下の:
抗CD19 ADCを含む第一の薬剤;
本明細書に開示されるような治療方法により前記第一の薬剤を投与するための指示書を含む添付文書;
を含む、キットを提供する。当該キットは、さらに、PI3K阻害剤又は二次薬剤を含む第二の薬剤を含んでよい。
【0036】
本開示の他の態様では、以下の:
抗CD19 ADCを含む第一の薬剤;
PI3K阻害剤又は二次薬剤を含む第二の薬剤;及び場合によっては、
症状の治療のために、前記第一の薬剤を第二の薬剤と併用して、個体に投与するための指示書を含む添付文書;
を含む、キットを提供する。
【0037】
当該態様によりさらに、PI3K阻害剤又は二次薬剤を含む薬剤及び、症状の治療のために、個体に前記薬剤を抗CD19 ADCを含む組成物と併用投与するための指示書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。
【0038】
当該態様によりさらに、PI3K阻害剤又は二次薬剤を含む薬剤及び、症状の治療のために、個体に前記薬剤を抗CD19 ADCを含む組成物と併用投与するための指示書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。
【0039】
前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病、であってよい。
【0040】
抗CD19-ADCは、本明細書に記載されるようにADCX19であってよい。
【0041】
PI3K阻害剤としては、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、タセリシブ、ブパリシブ、アルペリシブ、ウンブラリシブ、ダクトリシブ、又はボキサタリシブがあげられる。好ましくは、PI3K阻害剤はイデラリシブ又はコパンリシブである。
【0042】
二次薬剤は、以下の:
(a)ベンダムスチン;
(b)レナリドミド;
(c)ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、又はサリノスポラミドA等のプロテアソーム阻害剤;又は
(d)オラパリブ、CEP-9722、BMN-673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24-550/BSI-201、ベリパリブ(ABT-888)、ニラパリブ/MK-4827、BGB-290、3-アミノベンザミド、及びE7016等のPARP阻害剤;
であってよい。当該個体はヒトであってよい。当該個体ががんに罹患している場合でも、又は、がんに罹患していることが決定されていてもよい。当該個体は、CD19+がん又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤B細胞等)であってよく、又はであることが決定されていてよい。
【0043】
前記抗CD19-ADCを含む前記薬剤又は組成物は、前記PI3K阻害剤又は二次薬剤を含む前記薬剤又は組成物の投与前に、前記PI3K阻害剤又は二次薬剤を含む前記薬剤又は組成物の投与と同時に、又は、前記PI3K阻害剤又は二次薬剤を含む前記薬剤又は組成物の投与後に投与されてよい。当該治療は、さらなる化学療法剤を当該個体に投与することを含んでよい。
【0044】
---------------------
さらにさらなる態様では、本開示は、抗CD19-ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤を含む組成物を提供する。
【0045】
本開示の当該態様ではさらに、個体における症状の治療方法が提供され、前記方法は、個体に有効量の抗CD19-ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤を含む組成物を投与する工程を含む。
【0046】
本開示の当該態様ではさらに、個体における症状の治療方法で用いられる抗CD19-ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤を含む組成物が提供される。
【0047】
本開示の当該態様ではさらに、個体における症状の治療のための薬剤の製造における抗CD19-ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤を含む組成物の使用が提供される。
【0048】
本開示の当該態様ではさらに、抗CD19-ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤を含む組成物及び症状の治療のための個体への前記薬剤の投与のための指示書のセットを含むキットが提供される。
【0049】
前記症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病、であってよい。
【0050】
抗CD19-ADCは、本明細書に記載されるようにADCX19であってよい。
【0051】
PI3K阻害剤としては、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、タセリシブ、ブパリシブ、アルペリシブ、ウンブラリシブ、ダクトリシブ、又はボキサタリシブがあげられる。好ましくは、PI3K阻害剤はイデラリシブ又はコパンリシブである。
【0052】
二次薬剤は、以下の:
(a)ベンダムスチン;
(b)レナリドミド;
(c)ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、又はサリノスポラミドA等のプロテアソーム阻害剤;又は
(d)オラパリブ、CEP-9722、BMN-673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24-550/BSI-201、ベリパリブ(ABT-888)、ニラパリブ/MK-4827、BGB-290、3-アミノベンザミド、及びE7016等のPARP阻害剤;
であってよい。当該個体はヒトであってよい。当該個体ががんに罹患している場合でも、又は、がんに罹患していることが決定されていてもよい。当該個体は、CD19+がん又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤B細胞等)であってよく、又はであることが決定されていてよい。
当該治療は、さらなる化学療法剤を当該個体に投与することを含んでよい。
【0053】
---------------------
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】用量漸増に関する図である。
図2】配列番号である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
〔抗体薬物複合体(ADC)〕
本開示は、ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の併用の改善された効力に関する。
ADCは薬物を標的部位に送達しうる。当該標的部位は、好ましくは増殖性細胞集団である。抗体は、増殖性細胞集団上に存在する抗原に対する抗体である一態様では、当該抗原は、非増殖性細胞集団において存在しないか、又は、存在しても、当該増殖性細胞集団、例えば、腫瘍細胞集団に存在する抗原の量と比較して、そのレベルが減少している。
【0056】
当該ADCは、当該表的部位で当該薬物を放出するように切断されてよいリンカーを含んでよい。当該薬物は、RelA、RelB、RelC、RelD又はRelEから選択される化合物でありうる。すなわち、当該結合体を用いて、化合物RelA、RelB、RelC、RelD又はRelEを標的部位に選択的に提供しうる。
当該リンカーは当該表的部位に存在する酵素により切断されてよい。
本開示は、具体的には、特許文献1及び本明細書に開示された抗CD19 ADCによる治療に関する。
【0057】
抗CD19 ADC
本明細書中で用いられる用語「抗CD19 ADC」又は「CD19-ADC」は、抗体成分が抗CD19抗体であるADCをいう。用語「PBD-ADC」は、当該薬物成分がピロロベンゾジアゼピン(PBD)弾頭であるACDをいう。用語「抗CD19 ADC」は、当該抗体成分が抗CD19 ADC抗体であり、かつ当該薬物成分がPBD弾頭である、ADCをいう。
【0058】
当該ADCは、式L-(Dの結合体を含んでよく、ここで、Dは、以下の式I又はIIである:
【0059】
【化1】

(式中、
Lは、CD19に結合する抗体である抗体(Ab)であり;
C2’とC3’の間に二重結合がある場合、R12は、以下の:
(ia)場合によっては、ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C1~7アルキル、C3~7ヘテロシクリル及びビス-オキシ-C1~3アルキレンを含む群から選択される、1又はそれ以上の置換基により置換されるC5~10アリール基;
(ib)C1~5飽和脂肪族アルキル;
(ic)C3~6飽和シクロアルキル;
(id)
【0060】
【化2】

(式中、R21、R22及びR23は各々、独立して、H、C1~3飽和アルキル、C2~3アルケニル、C2~3アルキニル及びシクロプロピルから選択され、R12基の炭素原子の総数は5個以下である);
(ie)
【0061】
【化3】

(式中、R25a及びR25bの一方がHであり、他方が、場合によっては、ハロ、メチル、メトキシ;ピリジルから選択される基により置換されるフェニル;及びチオフェニルから選択される);
(if)
【0062】
【化4】

(式中、R24は、H;C1~3飽和アルキル;C2~3アルケニル;C2~3アルキニル;シクロプロピル;場合によっては、ハロ、メチル、メトキシ;ピリジルで選択される基により置換されるフェニル;及びチオフェニルから選択される);
からなる群から選択され;
C2’とC3’の間に単結合がある場合、
12は、以下の:
【0063】
【化5】

(式中、R26a及びR26bは、独立して、H、F、C1~4飽和アルキル、C2~3アルケニルから選択され、当該アルキル及びアルケニル基は、場合によっては、C1~4アルキルアミド及びC1~4アルキルエステルから選択される基により置換されてよく;又は、R26a及びR26bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC1~4アルキルエステルから選択され);
及びRは、独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH、NHR、NRR’、ニトロ、MeSn及びハロから選択され;
ここで、R及びR’は、独立して、場合によっては、置換されたC1~12アルキル、C3~20ヘテロシクリル及びC5~20アリール基から選択され;
は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH、NHR、NRR’、ニトロ、MeSn及びハロから選択され;
R”は、C3~12アルキレン基であり、その鎖は、1又はそれ以上のヘテロ原子、例えばO、S、NRN2(ここで、RN2は、H又はC1~4アルキルである)、及び/又は芳香環、例えばベンゼン又はピリジンにより中断されてよく;
Y及びY’は、O、S又はNHから選択され;
6’、R7’、R9’は各々、R、R及びRと上記同じ基から選択され;
[式I]
L1’は、当該抗体(Ab)に結合するリンカーであり;
11aは、OH、ORであってRはC1~4アルキルであり、及びSOzMであって、zは2又は3であり、Mは一価の医薬的に許容されるカチオンである、から選択され;
20とR21はともに、それらが結合する窒素原子と炭素原子の間に二重結合を形成するか又は;
20は、H及びRから選択され、ここでRはキャッピング基であり;
21は、OH、OR及びSOzMから選択され;
C2とC3の間に二重結合がある場合、Rは、以下の:
(ia)場合によっては、ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C1~7アルキル、C3~7ヘテロシクリル及びビス-オキシ-C1~3アルキレンを含む群から選択される、1又はそれ以上の置換基により置換されるC5~10アリール基;
(ib)C1~5飽和脂肪族アルキル;
(ic)C3~6飽和シクロアルキル;
(id)
【0064】
【化6】

(式中、R11、R12及びR13は各々、独立して、H、C1~3飽和アルキル、C2~3アルケニル、C2~3アルキニル及びシクロプロピルから選択され、ここで、R基中の炭素原子の総数は5個以下である);
(ie)
【0065】
【化7】

(式中、R15a及びR15bの一方がHであり、他方が、場合によっては、ハロ、メチル、メトキシ;ピリジルから選択される基により置換されてよいフェニル及びチオフェニルから選択される);
(if)
【0066】
【化8】

(式中、R14は、H;C1~3飽和アルキル;C2~3アルケニル;C2~3アルキニル;シクロプロピル;場合によっては、ハロ、メチル、メトキシ;ピリジルで選択される基により置換されるフェニル;及びチオフェニルから選択される));
からなる群から選択され;
C2とC3の間に単結合がある場合、
は、
【0067】
【化9】

(式中、R16a及びR16bは、独立して、H、F、C1~4飽和アルキル、C2~3アルケニルから選択され、当該アルキル及びアルケニル基は、場合によっては、C1~4アルキルアミド及びC1~4アルキルエステルから選択される基により置換されてよく;又は、R16a及びR16bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC1~4アルキルエステルから選択される);
〔式II〕
22は、以下の式IIIa、式IIIb又は式IIIcであり:
(a)
【0068】
【化10】

(式中、Aは、C5~7アリール基であり、以下の:
(i)Qは単結合であり、かつ、Qは単結合及び-Z-(CH-から選択され、ここで、当該Zは、単結合、O、S及びNHから選択され、nは1~3である;か又は、
(ii)Qは-CH=CH-、かつ、Q2は単結合である;のいずれかである);
(b)
【0069】
【化11】

(式中、RC1、RC2及びRC3は、独立して、H及び非置換C1~2アルキルから選択される);
(c)
【0070】
【化12】

(式中、Qは、O-RL2’、S-RL2’及びNR-RL2’から選択され、Rは、H、メチル及びエチルから選択され、
Xは、O-RL2’、S-RL2’、CO-RL2’、CO-RL2’、NH-C(=O)-RL2’、NHNH-RL2’、CONHNH-RL2’
【0071】
【化13】

、NRL2’を含む群から選択され、ここで、Rは、H及びC1~4アルキルを含む群から選択され;
L2’は、抗体(Ab)に結合するリンカーであり;
10及びR11はともに、それらと結合している窒素原子と炭素原子との間に二重結合を形成するか又は;
10はHであり、R11はOH、OR及びSOzMから選択され;
30及びR31はともに、それらが結合している窒素原子と炭素原子との間に二重結合を形成するか又は、又は;
30はHであり、R31はOH、OR及びSOzMから選択される)である。
【0072】
ある実施形態では、L-RL1’又はL-RL2’は以下の基:
【0073】
【化14】

(式中、星印は、PBDへの接着点を示し、Abは抗体であり、Lは切断可能なリンカーであり、AはLを抗体に連結する連結基であり、Lは共有結合であるか、又は-OC(=O)-とともに自己非浸透性リンカーを形成する)である。
当該実施形態のいくつかでは、Lは酵素で切断されうる。
【0074】
当該ADCが、CD19発現がん治療で有用であることは以前に示されている(例えば、その全体が参照により本明細書に援用される特許文献2参照)。
【0075】
用語「抗CD19-ADC」としては、特許文献2に記載されたいかなる実施形態があげられる。特に、好ましい実施形態では、ADCには、以下の:
【0076】
【化15】

(式中、当該AbはCD19抗体であり、DARは、1~8である)である
化学構造があってよい。
【0077】
当該抗体は、配列番号1、2、3、4、5、又は6のいずれか1つの配列を有するVHドメインを含んでよく、場合によっては、さらに、配列番号7、8、9、10、11、又は12のいずれか1つの配列を有するVLドメインを含んでよい。
【0078】
ある態様では、抗CD19-ADCの抗体成分は、各々配列番号1及び配列番号7、配列番号2及び配列番号8、配列番号3及び配列番号9、配列番号4及び配列番号10、配列番号5及び配列番号11、又は配列番号6及び配列番号12の配列を有するVH及びVLドメインを含む抗体である。
【0079】
好ましい態様では、抗体は、アミノ酸配列が配列番号2によるVHドメインを含む。好ましい態様では、抗体は、アミノ酸配列が配列番号8によるVLドメインを含む。
好ましい実施形態では、当該抗体は、配列番号2の配列を有するVHドメイン及び配列番号8の配列を有するVLドメインを含む。
VH及びVLドメインは、CD19に連結する抗体抗原結合部位を形成するように対合してよい。
ある実施形態では、当該抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含むインタクト抗体であり、当該VHドメイン及びVLドメインは、配列番号2及び配列番号8の配列を有する。
【0080】
ある実施形態では、当該抗体は、配列番号13の配列を有する長鎖及び配列番号14の配列を有する軽鎖を含む。
ある実施形態では、当該抗体は完全ヒトモノクローナルIgG1抗体、好ましくは、IgG1,κである。
ある実施形態では、当該抗体は特許文献2に記載されたRB4v1.2抗体である。
ある態様では、抗体は、以下に記載される、修飾(又はさらなる修飾)された本明細書に記載される抗体である。ある実施形態では、抗体は、本明細書に開示された抗体はヒト化、脱免疫化、又は再表面化されている。
【0081】
本開示の当該態様との併用に好ましい抗CD19-ADCは、以下に記載する、ADCx19である。
本開示の当該態様との併用に第2の好ましい抗CD19-ADCは、ADCT-402(Loncastuximab tesirine)である。
【0082】
ADCx19
ADCx19は、切断可能なリンカーを介してピロロベンゾジアゼピン(PBD)弾頭に結合したヒトCD19に対するヒト化抗体から構成される抗体薬物複合体である。ADCX19の作用機序はCD19の結合に依存する。CD19特異的抗体は、抗体薬物複合体(ADC)を、CD19を発現する細胞に標的化する。結合すると、ADCは内部に取り込まれ、リソソームに輸送され、そこでプロテアーゼ感受性リンカーが切断され、遊離PBD二量体が標的細胞内に放出される。放出されたPBD二量体は、RNAポリメラーゼの直接的な阻害又は関連する転写因子の相互作用の阻害のため、配列選択的に転写を阻害する。PBD二量体は、DNA二重らせんを歪めず、ヌクレオチド除去修復因子が認識しない共有架橋を産生し、より有効期間が長くなり得る(Hartley 2011)。
それには、以下の:
【0083】
【化16】

化学構造がある。
【0084】
Abは、抗体RB4v1.2(完全ヒトヒトモノクローナルIgG1、各々配列番号2及び8であるVH及びVL配列を備えるK抗体)を表す。それは特許文献2(RB4v1.2-E)に記載されているように合成され、通常、DAR(薬物対抗体比)が2.0+/-0.3である。
【0085】
CD19の結合
本明細書で用いる「CD19に結合する」とは、抗体が、ウシ血清アルブミン等の非特異的パートナー(BSA、Genbank受託番号CAA76847版(version)番号CAA76847.1GI:3336842記録更新日2011年1月7日午後2時30分)よりも高い親和性でCD19に結合することを意味する。ある実施形態では、抗体は、生理学的条件で測定した場合、BSAに対する抗体の結合定数より少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10、10又は10倍高い結合定数(Ka)で、CD19と結合する。本開示の抗体は、高親和性でCD19に結合しうる。例えば、いくつかの実施形態では、当該抗体は、1×10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13又は10-14の1以下の、約10-6Mと等しいか又はそれ未満のKでCD19と結合しうる。
【0086】
ある実施形態では、CD19ポリペプチドは、Genbank受託番号. NP_001171569版番号NP_001171569.1 GI:296010921;記録更新日2012年9月10日午前12時43分に対応する。
一実施形態では、CD19ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank 受託番号. NM_001178098, 版番号 NM_001178098.1 Gi:296010920;記録更新日2012年9月10日午前12時43分に対応する。ある実施形態では、CD19ポリペプチドは、ユニプロット/Swiss-Prot 受託番号P15391.に対応する。
【0087】
〔PI3K阻害剤〕
脊椎動物のPI 3キナーゼ酵素クラスIファミリーには、約110kDaの4種類の異なるタンパク質(p110α、p110β、p110δ及びp110γ)が含まれる。すべてのクラスI酵素は、その構造的特徴の大部分と共通の基質特異性を共有している(RamehおよびCantley、1999;Fry、2001;Katsoら、2001)。生体外では、全てのクラスI PI 3-キナーゼはPtdInsをPtdIns(3)Pに、PtdIns(4)PをPtdIns(3,4)P2に、PtdIns(4,5)P2をPtdIns(3,4,5)P3へとリン酸化できる。生体内ではPtdIns(4,5)P2を好ましい脂質基質と見なすことができる。クラスI PI 3-キナーゼは、静止時では主に細胞質側に存在するが、刺激により受容体やアダプタータンパク質との相互作用を介して膜側に動員される。主に細胞膜で機能すると考えられているが、小胞膜や核膜で機能するクラスI PI 3-キナーゼの報告もある (Rameh and Cantley,1999;Fry,2001;Katso et al. 2001)。クラスI PI 3-キナーゼの細胞内での役割は多岐にわたり、多くの異なる種類の細胞において、多くのシグナル伝達系に応答して、細胞サイズ、運動性、生存および増殖に関連する証拠がある(Fry,2001 Katso et al.,2001)。クラスIファミリーは、その制御パートナーと活性化のメカニズムに基づいて、さらに2つのグループに分類される。
【0088】
PI3Kは当初、20年前にがん遺伝子との結合及び活性化RTKによって特徴づけられたが、(Zhao JJ et al.,2006の総説)、1990年代後半に、腫瘍抑制因子PTENがPI3-脂質ホスファターゼとして作用することが示されるまで、ヒトがんとの関連性は確立されなかった。最近の包括的ながんゲノム解析により、PI3K経路の複数の構成要素が、一般的なヒトのがんで頻繁に変異または変化していることが明らかになり、がんにおけるこの経路の重要性が強調されている(Wood LD, et al.、Science、2007;Samuels Y,et al.、Science、2004参照)。
【0089】
「ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤」(PI3K阻害剤)は、本明細書では、PI3Kに特異的に結合し、及び/又はPI3Kの生物学的活性を阻害するいかなる薬剤を意味するために用いられる。
【0090】
本明細書で用いる「PI3Kに結合する」とは、薬剤が、ウシ血清アルブミン等の非特異的パートナー(BSA、Genbank受託番号CAA76847版(version)番号CAA76847.1GI:3336842記録更新日2011年1月7日午後2時30分)よりも高い親和性でPI3Kに結合することを意味する。ある実施形態では、当該薬剤は、生理学的条件で測定した場合、BSAに対する当該薬剤の結合定数より少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10、10又は10倍高い結合定数(Ka)で、PI3Kと結合する。当該薬剤は、高親和性でPI3Kに結合しうる。例えば、いくつかの実施形態では、当該薬剤は、1×10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13又は10-14の1以下の、約10-6Mと等しいか又はそれ未満のKでPI3Kと結合しうる。
【0091】
本開示で用いるのに適するPI3K阻害剤は、以下の通りである:
a)コパンリシブ
【0092】
【化17】

b)イデラリシブ
【0093】
【化18】

c)デュベリシブ
【0094】
【化19】

d)タセリシブ
【0095】
【化20】

e)ブパリシブ
【0096】
【化21】

f)アルペリシブ
【0097】
【化22】

g)アンブラリシブ
【0098】
【化23】

h)ダクトリシブ
【0099】
【化24】

i)ヴォクスタリシブ
【0100】
【化25】

好ましくは、PI3K阻害剤はイデラリシブ又はコパンリシブである。最も好ましくは、PI3K阻害剤はイデラリシブである。
【0101】
---------------------
〔二次薬剤〕
抗腫瘍免疫を増強する薬剤の最近の開発により、広範囲のがんの治療が急速に変化してきた。しかしながら、これらの治療は全てのがんに有効ではなく、応答が持続しないことも多く、多くの患者が治療による利益をほとんど、又は全く受けていない。がん領域では、一般に、最終的にがん患者を治癒させることができるのは、免疫療法と他の治療選択肢との併用しかないと考えられている。
【0102】
ADCは、様々な種類のがんにおいて忍容性と活性が高く、奏効率や治療の持続性を高める併用治療の1つの構成要素となる可能性が高いと考えられる。本開示の目的は、ADCを二次薬剤と併用することである。
【0103】
本明細書に記載される二次薬剤は、免疫腫瘍(IO)薬であってよい。
免疫腫瘍(IO)薬は、がんとの闘病に身体の免疫系を用いるがん治療の一種であり、それにより抗腫瘍反応の耐久性が向上することが示されている。IO剤としては、PD1阻害剤、PD-L1阻害剤、CLTL4阻害剤、GITRアゴニスト、OX40アゴニストなど様々な種類があげられるが、これらに限定されない。単剤免疫療法では治癒せず、最終的に再発する患者が相当数いるため、代替IO薬又は異なる治療様式との併用治療が必要とされている(KS Peggs et al.,2009,Clinical and Experimental Immunology,157:9-19[doi:10.1111/j.1365-2249.03912.x];DM Pardol 2012[doi:10.1038/nrc3239]を参照)。
【0104】
免疫原性細胞死(ICD)は、死細胞抗原(死にゆく細胞が放出するもの)に対する免疫反応を刺激する特殊な細胞死の形態であり、適応免疫応答を誘導して抗がん剤治療の効果を高める最良の方法の一つと考えられている。この過程は最適でない場合があり、治療目的のために細胞死の免疫原性を完全に回復させることを試みる併用戦略が必要である。ICDを誘発する抗悪性腫瘍剤としては、アントラサイクリン系薬剤(ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン等)、アルキル化剤(オキサリプラチン、シクロホスファミドなど)、トポイソメラーゼII阻害剤ミトキサントン、プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ等があげられ、これらはICDを誘発することができる。
【0105】
PBD弾頭を含む抗体薬物複合体は、従来の化学療法と比較して標的性が高く、オーリスタチン系ADCで示されているように、浸潤T細胞への抗原提示を高めることが期待されるため、併用パートナーとして特に適していると考えられる。
【0106】
したがって、ADCをIOと併用すると、ADCは標的を発現している腫瘍を直接死滅させ、迅速に抗腫瘍活性をもたらす一方、ADCによる細胞死に起因する免疫原性の細胞死により、IOを単剤投与した場合と比較して、より強力で耐久性のある適応免疫応答が促進されうる。
【0107】
抗CD19 ADCが二次薬剤と相乗的に機能することを示すために、CD19(+)細胞系のパネルを抗CD19 ADC及び二次薬剤の濃度を各々変化させて共処理する。陰性対照として、同じパネルの細胞株を、様々な濃度の二次物質、又は様々な濃度の抗CD19 ADCとビヒクルで処理する。インキュベーション後、表面CD19の量(フローサイトメトリーにより決定)及び併用時の生体外細胞毒性(MTSアッセイにより決定)の2つのパラメータを測定する。細胞毒性の測定には、ウェルごとにMTSを添加し、37℃で4時間インキュベートすることにより、細胞生存率を測定する。細胞生存率は、未処理の対照と比較して計算される。細胞毒性相乗効果は、影響を受けた画分に細胞生存率データを変換し、CalcuSyn解析プログラムを用いて併用指標を計算して算出する。
二次薬剤は、以下の:
(a)ベンダムスチン;
(b)レナリドミド;
(c)ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、又はサリノスポラミドA等のプロテアソーム阻害剤;又は
(d)オラパリブ、CEP-9722、BMN-673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24-550/BSI-201、ベリパリブ(ABT-888)、ニラパリブ/MK-4827、BGB-290、3-アミノベンザミド、及びE7016等のPARP阻害剤;
であってよい。
【0108】
これらのクラスの二次薬剤を各々以下により詳細に記載する。
ベンダムスチン
ベンダムスチンは二官能性のメクロレタミン誘導体で、他の分子と共有結合する求電子性のアルキル基を形成することができる。
ベンダムスチンは、アルキル化剤としての機能により、DNA塩基間の鎖内及び鎖間の架橋を誘導し、細胞死をもたらす。
活性細胞、静止細胞のいずれにも活性を示す。ベンダムスチンは、リツキシマブ又はリツキシマブを含むレジメンによる治療中又は治療後6カ月以内に進行した慢性リンパ性白血病(CLL)及び緩慢性B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療に用いられることが示される。
【0109】
【化26】

レナリドミド
レナリドマイドは、免疫調節作用と血管新生作用が強化されたサリドマイド類似化合物であるが、サリドマイド特有の有害事象はほとんどない。
骨髄異形成症候群(MDS)では、主にIPSSの低リスクおよび中リスク-1の設定で用いられている。いくつかの試験で、これらの疾患群に赤血球と細胞遺伝学的反応をともにもたらしうることが示されている。5q 染色体異常の患者を対象とした臨床試験では、レナリドミド治療により、67%の患者で赤血球輸血が不要となった。さらに、45%の患者が細胞遺伝学的に完全寛解を達成し、28%が細胞遺伝学的に軽度の寛解を達成した。この結果は、核型の複雑さとは無関係であった。レナリドマイドは、髄芽細胞数が増加しているdel(5q)患者においても、長期の寛解をもたらす可能性がある。非del(5q)患者では、低リスクおよび中リスクが確認された患者の43%が輸血自立または治療前の赤血球輸血量の50%以上の減少を達成した。
【0110】
有害事象はよく見られるが管理可能であり、好中球減少や血小板減少、そう痒症、発疹、下痢などがあげられる。レナリドマイドは、MDS治療薬として不可欠な薬剤であることが証明されている。サイトカイン、脱メチル化剤、チロシンキナーゼ阻害剤、又は化学療法との併用治療が研究されており、低リスクと高リスクの両方のMDSにおいてさらなる利益を示す可能性がある(Giagounidis et al.,Ther Clin Risk Manag.2007 Aug;3(4):553-562を参照)。
【0111】
【化27】

プロテアソーム阻害剤
プロテアソームは、細胞内のタンパク質を分解する巨大なタンパク質複合体であり、その分解には代謝エネルギーが必要である。ユビキチンの重合は、プロテアソームと協調して働くことが知られており、多くの標的タンパク質の分解シグナルとして機能し、タンパク質の分解は、E1(ユビキチン活性化)、E2(ユビキチン結合)、E3(ユビキチン連結)酵素等のタンパク質ネットワークの協調作用により、ユビキチンの数コピー(4つ以上のユビキチン分子)からなる鎖の共有結合により開始される。重合したユビキチン鎖は、標的タンパク質をプロテアソームへ輸送するシグナルとして機能し、そこで基質がタンパク質分解される。タンパク質を正確に選択するために、このカスケードシステムには多数の酵素(例えば、ヒトでは2種類のE1タンパク質、約30種類のE2タンパク質、500種以上のE3)が動員される。E3タンパク質のセットは非常に多様であるが、これは各E3酵素が通常ユビキチン化のためのタンパク質基質を選択的に認識するからである(Tanaka 2009,Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci.2009 Jan;85(1):12-36、及びその引用を参照されたい)。
【0112】
ユビキチンプロテアソーム系(UPS)は、短寿命の制御タンパク質や構造的に異常なタンパク質を分解することにより、細胞周期、シグナル伝達、細胞死、免疫応答、代謝、タンパク質品質制御、発達等のほとんどすべての基本的細胞過程を制御する。
【0113】
これらのタンパク質調節過程はがんにおいても重要であり、プロテアソームは発がんの重要な調節因子である。がんは、がん幹細胞説によれば、ごく一部のがん幹細胞(別称、腫瘍形成細胞)から派生した様々な細胞を含む。これらの細胞には、様々ながんを増殖させる機能があり、静注療法後に腫瘍を再増殖させるサブセットを構成する。プロテアソームは、がん幹細胞の細胞過程に関与するものの、他のがん細胞と比較してがん幹細胞の細胞過程において機能が低下していることが明らかにされている。特に、プロテアソームは、がん細胞及びがん幹細胞の特徴である増殖及び多能性において関与することが報告されている(Voutadakisら、Tumor Biology,Mar.2017を参照)。
【0114】
本明細書では、「プロテアソーム阻害剤」とは、プロテアソーム成分に特異的に結合する、及び/又はプロテアソーム成分の生物学的活性を阻害するいかなる薬剤を意味するように用いられる。
本明細書で用いる「CD19に結合する」とは、当該薬剤が、ウシ血清アルブミン等の非特異的パートナー(BSA、Genbank受託番号CAA76847版(version)番号CAA76847.1GI:3336842記録更新日2011年1月7日午後2時30分)よりも高い親和性でプロテアソーム成分に結合することを意味する。ある実施形態では、当該薬剤は、生理学的条件で測定した場合、BSAに対する抗体の結合定数より少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10、10又は10倍高い結合定数(Ka)で、プロテアソーム成分と結合する。本開示の抗体は、高親和性でプロテアソーム成分に結合しうる。例えば、いくつかの実施形態では、当該薬剤は、1×10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13又は10-14の1以下の、約10-6Mと等しいか又はそれ未満のKでプロテアソーム成分と結合しうる。
【0115】
本開示で用いるのに適するプロテアソーム阻害剤は、以下の通りである:
a)ボルテゾミブ
【0116】
【化28】

b)カルフィルゾミブ(carfilzomib)
【0117】
【化29】

c)イクサゾミブ(Ixazomib)
【0118】
【化30】

d)オプロゾミブ
【0119】
【化31】

e)サリノスポラミドA
【0120】
【化32】

PARP阻害剤
ポリ(アデノシン二リン酸[ADP])リボースポリメラーゼ(PARP)は、DNA転写、DNA損傷応答、ゲノム安定性維持、細胞周期制御、細胞死など、幅広い細胞機能に関わる酵素ファミリーである。PARP-1は、このグループの中で最も多く存在し、最もよく特徴付けられているタンパク質である。腫瘍学においては、塩基除去修復(BER)経路を介した一本鎖DNA切断(SSB)の修復に不可欠な機能が高い関心を集め、いくつかのPARP-1阻害剤(PARPi)が開発され(オラパリブ、CEP-9722、タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ、ベリパリブ及びニラパリブを含むが、これらに限定されない)臨床試験が行われている。がん治療薬において、PARPiはDNA損傷の修復を阻害することで主に作用し、最終的に細胞死を引き起こす。
【0121】
PARPは、DNA結合ドメイン、カスパーゼ切断ドメイン、自動修飾ドメイン、触媒ドメインの4つの注目すべきドメインから構成される。DNA結合ドメインは、2つのジンクフィンガーモチーフから構成される。DNA結合ドメインは、損傷したDNA(塩基対が切り取られた状態)が存在すると、DNAと結合し、構造変化を誘発する。この結合は、他のドメインとは独立して起こることが示されている。これは、PARPのカスパーゼ切断阻害に基づくプログラム細胞死モデルにおいて不可欠である。自動修飾ドメインは、触媒作用の後、タンパク質をDNAから遊離させる機能を担う。また、切断による不活性化においても重要な機能を担う。
【0122】
PARPは、細胞核に存在する。主な機能は、代謝、化学、放射線によって誘発される一本鎖DNA切断(SSB)を検出し、SSBの修復に関与する酵素機構にシグナルを送ることによって、即時に細胞応答を開始させることである。PARPは一本鎖切断を検出すると、DNAに結合して構造を変化させ、アデノシン二リン酸リボース(ポリ(ADP)リボース、PAR)鎖の合成を開始し、他のDNA修復酵素へのシグナルとして機能する。標的酵素には、DNAリガーゼIII(LigIII)、DNAポリメラーゼベータ(polβ)、X線相互補完遺伝子1(XRCC1)などの足場タンパク質が含まれる。修復後、PAR鎖はポリ(ADP-リボース)グリコヒドロラーゼ(PARG)を介して分解される。
【0123】
ADPリボース単量体を生成するためには、基質としてNAD+が必要である。PARPが過剰に活性化されると、グルコースの酸化が阻害されるため、細胞内のNAD+が枯渇し、ATP枯渇と壊死細胞死を進行させると考えられてきた。しかし、最近になって、ヘキソキナーゼ活性の阻害が解糖の欠陥につながることが示唆された。(Andrabi, PNAS 2014参照)。なお、PARPはプログラム細胞死の際にカスパーゼ3の切断によって不活性化されることを以下に記す。
【0124】
PARP酵素は、炎症性遺伝子の発現を含む多くの細胞機能において必須である。PARP1は、TNFに応答して、平滑筋細胞によるICAM-1遺伝子の発現を誘導するために必要である。
【0125】
PBDは、放線菌が発見した天然由来の抗腫瘍性抗生物質の一種である。PBD二量体は、DNAの二本の鎖を架橋することにより細胞毒性作用を発揮し、その結果、複製を阻害し、腫瘍細胞を死滅させる。重要なことは、PBD二量体によって形成される架橋は、DNA構造を比較的歪めないため、正常組織とは対照的にヒト腫瘍でしばしば障害されるDNA修復機構に隠されていることである。
【0126】
PBD系のADCとPARPi(オラパリブ、CEP-9722、タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ、ベリパリブ、ニラパリブを含むがこれらに限定されない)の併用は、PBDダイマーにより誘導されたDNA損傷の修復がPARP阻害によりブロックされ、結果としてDNA損傷の蓄積ががん細胞の細胞死を誘導する点で有利に機能する。
【0127】
PBD系ADCとPARPiによる固形がん由来細胞株の治療には相加的又は相乗的な抗腫瘍効果があることを示すために、固形がん由来細胞株のパネルに各ADCとPARPiの濃度範囲を設定して治療する。インキュベーション後、併用のインビトロ細胞毒性(CellTiter-Glo(登録商標)又はMTSアッセイで決定)を測定する。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを、影響を受ける分画に変換し、CalcuSyn解析プログラムを用いて併用指標を計算することにより算出される。
【0128】
「PARP阻害剤」とは、PARP活性を低下させる化学化合物又は生体分子を意味する。
【0129】
例えばPARP活性の阻害の程度を検討するため、所定の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイでは、活性化剤又は阻害剤の候補物質で処理され、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料は相対的な活性値として100%を割り当てる。対照に対する相対活性値が約90%以下、通常85%以下、より通常80%以下、最も通常75%以下、一般に70%以下、より通常65%以下、最も通常60%以下、通常55%以下、通常50%以下、より通常45%以下、最も通常40%以下、好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、なお一層好ましくは25%以下、最も好ましくは20%以下である場合、阻害は達成された、とする。
【0130】
本開示で用いるのに適するPARPiは、以下の通りである。
a)オラパリブ
【0131】
【化33】

b)CEP-9722
【0132】
【化34】

c)BMN-673/タラゾパリブ
【0133】
【化35】

d)ルカパリブ
【0134】
【化36】

e)イニパリブ/SAR24-550/BSI-201
【0135】
【化37】

f)ベリパリブ(ABT-888)
【0136】
【化38】

g)ニラパリブ/MK-4827
【0137】
【化39】

h)BGB-290
【0138】
【化40】

i)3-アミノベンズアミド
【0139】
【化41】

j)E7016
【0140】
【化42】

好ましくは、二次薬剤はオラパリブ又はベンダムスチンである。
【0141】
---------------------
本開示の併用の有利な特性
抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤はともに、単独で単一薬剤として用いる場合、たとえば、がん治療に、臨床的有用性が実証されている。しかしかしながら、本明細書に記載されているように、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の併用は、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤単独のいずれかによる治療よりも、以下の1又はそれ以上の利点がもたらされることが期待される:
1)より広い範囲がん治療に効果がある
2)がん等の耐性又は難治性の症状、かつ、寛解期間を経て再発したがん等の症状に罹患した個人の効果的治療、
3)治療に対する奏効率の向上、及び/又は
4)治療の持続性の向上。
【0142】
本明細書で用いられる、より広範囲のがんの効果的な治療を意味するのは、当該併用治療後、より広範囲の認識されているがん種で完全な奏効が観察されることを意味する。すなわち、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤単独では完全に奏効しないことが以前に報告されているがん種で完全奏効が観察される。
【0143】
本明細書で用いられるような耐性、難治性、又は再発性症状の効果的な治療とは、当該併用治療後、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤単独での治療に対して部分的または完全に耐性又は難治性である個体(例えば、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の単独治療後に奏効がないか、又は部分的な奏効しか示さない個体、又は症状が再発した個体)において完全な奏効が観察されることを意味する。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の併用による治療後の完全奏効は、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤単独による治療に対して部分的又は完全に耐性又は難治性である個体の少なくとも10%で観察される。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の併用治療後の完全奏効は、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の単独治療に対して部分的又は完全に耐性又は難治性である個体の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の個体で観察される。
【0144】
本明細書で使用される治療に対する奏効率の向上とは、併用治療の後は、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の単独治療の後に観察されるよりも、より高い比率の個体で完全奏効が観察されることを意味する。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の併用治療後の完全奏効は、治療された個体の少なくとも10%で観察される。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の併用治療後の完全奏効は、治療された個体の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%で観察される。
【0145】
本明細書で用いられるような治療の持続性の向上は、併用治療された個体における完全奏効の平均持続期間が、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の単独治療後に完全奏効を達成する個体よりも長いことを意味する。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の併用治療後の完全奏効の平均持続期間は、少なくとも6ヶ月である。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤の併用治療後の完全奏効の平均持続期間は、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年、少なくとも10年、少なくとも15年、または少なくとも20年である。
本明細書における「完全奏効」とは、個体における疾患の臨床的証拠がないことを意味する。
証拠は、当技術分野の適当な方法、例えばCT若しくはPETスキャン、又は適当な場合には生検を用いて評価することができる。完全奏効を達成するのに必要な投与数は、1回、2回、3回、4回、5回、10回またはそれ以上であってよい。いくつかの実施形態では、個体は、最初の投与量の投与後6ヶ月以内、3ヶ月以内、1ヶ月以内、2週間以内、または1週間以内等、初回投与から投与後1年以内に完全奏効を達成する。
【0146】
治療される疾患
本明細書中に記載される併用治療には、抗がん活性を利用するものがあげられる。特に、特定の態様では、治療としては、すなわちリンカーにより共有結合的に、PBD薬物部位、すなわち毒素、に結合した抗体があげられる。薬物が抗体に結合していない場合、当該PBD薬物には細胞毒性効果がある。PBD薬物部位の生物学的活性は、すなわち抗体への結合により調節される。本開示の抗体薬物複合体(ADC)は、細胞障害性薬剤の有効量を選択的に、より高い選択性、すなわち少ない投与有効量で、腫瘍組織に送達することを達成する。
【0147】
したがって、ある態様では、本開示は、治療に用いるCD19を結合する抗CD19 ADCの投与を含む、複合療法を提供し、ここで、当該方法は、標的タンパク質の発現に基づいて被験体を選択することを含む。
【0148】
一態様では、本開示は、当該療法が、当該使用に適すると決定された被験体で当該使用に適することを特定するラベルを備える併用治療を提供する。当該ラベルは、当該治療が、CD19の過剰発現等のCD19が発現する被験体での使用に適すると特定しうる。当該ラベルは、被験体が特定がん種であると特定しうる。
【0149】
がんは、非ホジキンリンパ腫等のリンパ腫であってよい。当該ラベルは、当該被験体がCD19+リンパ腫であると特定しうる。
【0150】
さらなる態様では、また、増殖性疾患の治療において用いる本明細書に記載されるような併用治療が提供される。本開示の他の態様では、増殖性疾患の治療のための医薬の製造における複合体の使用が提供される。
【0151】
当業者であれば、候補となる複合療法が、いかなる特定の細胞種の増殖性疾患を治療するか否かを容易に決定しうる。例えば、特定の化合物がもたらす活性の評価に便利に用いられうるアッセイを以下に記載する。
【0152】
本明細書に記載された併用治療は、増殖性疾患の治療に用いられうる。用語「増殖性疾患」は、インビトロ又はインビボにかかわらず、望ましくない又は制御されていない、過剰又は異常な細胞増殖、例えば、新形成性または過形成性の増殖に関する。
【0153】
増殖状態の例としては、良性、前悪性、及び悪性の細胞増殖があげられるが、これらに限定されず、これらには、新生物及び腫瘍(例えば、組織細胞腫、神経膠腫、星細胞腫、骨腫)、がん(例えば、肺がん、小細胞肺がん、消化管がん、大腸がん、結腸がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、精巣がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、膵臓がん、脳がん、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、メラノーマ)、リンパ腫、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害(例えば、結合組織)、およびアテローム性動脈硬化症があげられるが、これらに限定されない
関連するがんとしては、白血病及び卵巣がんがあげられるが、これらに限定されない。
【0154】
いかなる細胞種も治療しうるが、これには、肺、消化管(例えば、大腸、結腸があげられる)、乳房(乳腺)、卵巣、前立腺、肝臓(肝性)、腎臓(腎性)、膀胱、膵臓、脳及び皮膚があげられるが、これらに限定されない。
【0155】
具体的に関連がある増殖性疾患としては、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病があげられる。[Fielding A.,Haematologica.2010 Jan;95(1):8-12]
本開示の併用治療は、例えば、腫瘍抗原の過剰発現により特徴づけられる、様々な疾患又は症状の治療に用いられうることが意図される。例示的な症状又は高増殖性疾患には、良性又は悪性の腫瘍;白血病、血液学的悪性腫瘍、及びリンパ系悪性腫瘍があげられる。その他としては、自己免疫疾患及び移植片対宿主病(GVHD)を含む、神経細胞性、グリア性、星細胞性、視床下部、腺性、マクロファガル性、上皮性、間質性、胚盤胞性、炎症性、血管新生性及び免疫性の疾患があげられる。
【0156】
一般に、治療される疾患又は症状は、がん等の高増殖性疾患である。本明細書で治療されるがんの例としては、上皮性悪性腫瘍、リンパ腫、芽球腫、肉腫、及び白血病又はリンパ系悪性腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。当該がんのより具体的な例としては、扁平上皮がん(例えば、上皮性扁平上皮がん)、小細胞肺がん、非小細胞肺がんを含む肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、腹膜がん、肝細胞がん、消化管がんを含む消化管又は胃のがん、膵臓がん、膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、肝がん、肝腫、乳がん、結腸がん、直腸がん、大腸がん、子宮内膜がん、子宮体がん、唾液腺がん、腎臓がん、腎性がん、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝がん、肛門がん、陰茎がん、及び頭頸部がんがあげられる。
【0157】
併用治療を治療に用いることができる自己免疫疾患としては、リウマチ性疾患(関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、SLEやループス腎炎等のループス、多発性筋炎/皮膚筋炎、クリオグロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群、及び乾癬性関節炎等)、変形性関節症、自己免疫性の消化管及び肝臓の疾患(炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎及びクローン病等)、自己免疫性胃炎及び悪性貧血、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、及びセリアック病)血管炎(チュルグ=ストラウス血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、ポリアータ炎等のANCA関連血管炎)、自己免疫性神経障害(多発性硬化症、ミオクローヌス症候群、重症筋無力症、視神経脊髄炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び自己免疫性多発神経障害等)、腎障害(糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、及びベルガー病等)、自己免疫性皮膚疾患(例えば、乾癬、じんま疹、じんましん、尋常性天疱瘡、水疱性天疱瘡、及び皮膚エリテマトーデス等)、血液障害(血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、輸血後紫斑病、及び自己免疫性溶血性貧血等)、動脈硬化症、ぶどう膜炎、自己免疫性聴覚疾患(例えば、内耳疾患及び難聴等)、ベーチェット病、レイノー症候群、臓器移植、移植片対宿主病(GVHD)、並びに自己免疫性内分泌疾患(インスリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、自己免疫性甲状腺疾患(例えば、バセドウ病及び甲状腺炎)等の糖尿病関連自己免疫疾患)があげられる。より好ましい当該疾患としては、例えば、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、ANCA関連血管炎、ループス、多発性硬化症、シェーグレン症候群、バセドウ病、IDDM、悪性貧血、甲状腺炎、及び糸球体腎炎があげられる。
【0158】
ある態様では、当該被験体は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病から選択される増殖性疾患である。[Fielding A.,Haematologica.2010 Jan;95(1):8-12]
ある態様では、当該被験体は、びまん性大細胞B細胞リンパ腫である。
【0159】
患者の選択
ある態様では、治療投与前に、当該併用治療による治療に適すると考えられる個体が選択される。
本明細書で用いられる、治療に適すると考えられる個体とは、当該治療から利益を得ること、又は治療に奏効すること、が期待される個体である。個体は、がんであるか、またはその疑いがあるか、またはそのリスクがある。個体は、がん診断を受けていてよい。特に、個体がリンパ腫に罹患している、又はその疑いがある、又はそのリスクがあってよい。いくつかの場合、個体は、CD19を発現する腫瘍関連非腫瘍細胞、例えばCD19を発現する浸潤細胞を有する固形がんであるか、又はであることが疑われているか、又はであるリスクがあってよい。
【0160】
いくつかの態様では、個体は、CD19の発現量または発現パターンに基づいて選択される。ある態様では、当該選択は、細胞表面におけるCD19の発現に基づいて行われる。
【0161】
ある態様では、当該標的はPI3Kである。
ある態様では、当該選択は、PI3Kの発現に基づく。
いくつかの態様では、当該選択は、細胞表面におけるCD19及びPI3Kの両方のレベルに基づく。
いくつかの場合、関心ある具体的な組織における当該評定の発現が測定される。例えば、リンパ組織又は腫瘍組織の試料中である。
【0162】
いくつかの場合、当該標的の全身的発現が決定される。例えば、血液、血漿、血清又はリンパ液等の循環流体の試料中である。
いくつかの態様では、当該個体は、試料中の標的発現の存在に起因して、治療に適した個体として選択される。それらの場合、標的発現のない個体は、治療に適さないと考えられる。
【0163】
他の態様では、標的発現のレベルは、治療に適する個体の選択に用いられる。当該標的の発現レベルが閾値レベルを超える場合、個体は治療に適すると判断される。
【0164】
いくつかの態様では、試料中のCD19及び/又は細胞中のCD19の存在は、当該個体が、抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤を含む併用治療に適することを示す。他の態様では、CD19及び/又は発現の量は、当該個体が治療に適することを示すには、閾値レベルを超えていなければならない。いくつかの態様では、対照と比較してCD19及び/又は局在が試料中で変化するという観察は、当該個体は治療に適することが示される。
【0165】
いくつかの態様では、リンパ節又は結節外部位から得られた細胞が、CD19に対する抗体と反応する場合、及び/又はIHCにより判断される場合、当該個体は治療に適することが示される。
【0166】
ある態様では、患者は、試料中の全細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上がCD19を発現する場合、治療に適すると判断される。本明細書に開示されるある態様では、試料中の細胞の少なくとも10%がCD19を発現する場合、患者は治療に適すると判断される。
【0167】
いくつかの態様では、患者は、試料中の全細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%以上の細胞がCD19を発現する場合、治療に適すると決定される。本明細書に開示されるいくつかの態様では、患者は、試料中の細胞の少なくとも10%が発現する場合、治療に適すると判断される。
【0168】
いくつかの態様では、当該個体は、現在又は以前の治療レジームに基づき、治療に適すると選択される。
いくつかの実施形態では、当該個体がPI3K阻害剤又は二次薬剤で治療されたことがある場合、当該個体は、抗CD19 ADCでの治療に適すると選択される。いくつかの実施形態では、当該個体が、PI3K阻害剤又は二次薬剤で治療されている場合、当該個体は抗CD19 ADCでの治療に選択される。いくつかの場合、PI3K阻害剤又は二次薬剤による治療(又はさらなる治療)に耐性である場合、当該個体は治療に選択される。ある場合、PI3K阻害剤はイデラリシブ又はコパンリシブであってよい。ある場合、二次薬剤はベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド、オラパリブであってよい。当該個体が、PI3K阻害剤又は二次薬剤による治療を受けている、又は受けたことがある実施形態では、抗CD19 ADCは、PI3K阻害剤又は二次薬剤と併用して、又はPI3K阻害剤又は二次薬剤を継続的に投与せずに、投与されてよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、当該抗CD19 ADCは、PI3K阻害剤又は二次薬剤と併用して、選択された個体に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD19 ADCは、PI3K阻害剤又は二次薬剤を継続的に投与せずに、選択された個体に投与されてよい。好ましくは、PI3K阻害剤はイデラリシブ又はコパンリシブである。
好ましくは、二次薬剤はオラパリブ又はベンダムスチンである。
【0170】
本明細書中の用語「PI3K阻害剤(又は二次薬剤)による治療(又はさらなる治療)に不応性」は、単独治療として投与された場合、症状(例えば、がん)がPI3K阻害剤又は二次薬剤の投与に奏効しないか、又は奏効しなくなったことを意味する。いくつかの実施形態では、難治性NHLである個体は、Cheson at al.2014(South Asian J Cancer.2014Jan-Mar;3(1):66-70)に開示された奏効基準を用いて同定される。当該文献では、非奏効者は、(i)いかなる以前に同定された異常結節の直径の総和積が直下から50%を超える増加、又は(ii)治療中又は治療終了時に、いかなる新たな病変の出現;のいずれかが存在する個体として定義される。いくつかの実施形態では、難治性白血病である個体は、1回の完全な治療サイクルを完了した安定な疾患又は進行性疾患である個体、又は2又はそれ以上の完全な治療サイクルの後に部分奏効を達成した個体として同定される。
【0171】
試料
試料は、以下の:血液の量;フィブリン血栓及び血球を除去した後に得られた血液の流体部分を含む個体の血液に由来する血清の量;膵液の量;組織試料又は生検;又は、前記個体から分離された細胞;を含むか、又はそれに由来してよい。
【0172】
試料は、いかなる組織又は体液から採取されてよい。ある態様では、当該試料は、組織試料、生検、切除、又は前記個体から単離された細胞であるか、又はそれに由来してよい。
【0173】
ある態様では、当該試料は、組織試料である。当該試料は、癌性腫瘍組織等の腫瘍組織の試料であってよい。当該試料は、腫瘍生検により得られたものであってよい。ある態様では、当該試料は、リンパ病変試料又はリンパ節生検等のリンパ組織試料である。いくつかの態様では、当該試料は皮膚生検である。
【0174】
いくつかの態様では、当該試料は体液、より好ましくは体内循環する体液から採取される。すなわち、当該試料は、血液試料又はリンパ液試料であってよい。いくつかの態様では、当該試料は、尿試料又は唾液試料である。
【0175】
いくつかの実施形態では、当該試料は、血液試料又は血液由来試料である。当該血液由来試料は、個体の血液の選択された画分、例えば、選択された細胞含有画分又は血漿画分又は血清画分であってよい。
【0176】
選択された細胞含有画分は、白血球(WBC)、特に末梢血単核球(PBC)及び/又は顆粒球、及び/又は赤血球(RBC)を含む、関連する細胞種を含んでよい。すなわち、本開示による方法は、白血球、末梢血単核細胞、顆粒球及び/又は赤血球において、血液中の第1標的ポリペプチド又は核酸を検出する工程を含んでよい。
【0177】
試料は、新鮮であってよく、又は保存されてよい。例えば、保存組織は、個体の初期診断時、又は再発時の生検であってよい。特定の態様では、当該試料は新鮮な生検である。
【0178】
当該第1標的ポリペプチドは、CD19であってよい。
【0179】
個体ステイタス
個体は、動物、哺乳類、胎生哺乳類、有袋類(例えば、カンガルー、ウォンバット)、一頭類(例えば、アヒル科カモノハシ)、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ類(例えば、マウス)、ラゴモルフ(例えば、ウサギ)、鳥類(例えば、鳥類)、イヌ科(例えば、イヌ)、ネコ科(例えば、ネコ)、ウマ科(例えば、馬)、ブタ科(例えば、豚)、ヒツジ科(例えば、羊)、ウシ科(例えば、牛)、霊長類、類人猿(例えば、猿や類人猿)、サル科(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、ジボン)、またはヒトのいずれであってよい。
【0180】
さらに、当該個体は、そのいずれの発生形態であってよく、例えば、胎児であってよい。ある好ましい実施形態では、個体はヒトである。本明細書において、用語「被験体」、「患者」及び「個体」は、互換的に用いられる。
【0181】
本明細書に開示されるいくつかの態様では、個体は、がんであるか、又はその疑いがあるか、又はがんのリスクがあると同定されている。本明細書に開示されるいくつかの態様では、個体は、既にがんの診断を受けている。当該個体は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病との診断を受けていてよい。[Fielding A.,Haematologica.2010 Jan;95(1):8-12]
いくつかの場合、当該個体は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病との診断を受けていてよい。[Fielding A.,Haematologica.2010 Jan;95(1):8-12]
いくつかの場合、当該個体は、CD19+を発現する浸潤細胞を含む固形がんとの診断を受けている。
【0182】
当該個体は、そのがんに対する治療的処置を受けているか、又は受けたことがある。当該被験体は、以前にADCX19を服用しても、又はしていなくてもよい。いくつかの場合、当該がんは、非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫である。
【0183】
当該個体は、PI3K阻害剤又は二次薬剤による治療を受けている、又は受けたことがあってよい。いくつかの場合、当該個体は、PI3K阻害剤又は二次薬剤による治療(又はさらなる治療)に不応性であってよい。ある場合、PI3K阻害剤はイデラリシブ又はコパンリシブである。ある場合、二次薬剤はベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド、オラパリブであってよい。当該個体が、PI3K阻害剤又は二次薬剤による治療を受けている、又は受けたことがある実施形態では、抗CD19 ADCは、PI3K阻害剤又は二次薬剤と併用して、又はPI3K阻害剤又は二次薬剤を継続的に投与せずに、投与されてよい。
【0184】
対照
いくつかの態様では、個体における標的発現は、対照における標的発現と比較される。対照は、染色の妥当性の支持、及び実験的アーティファクトの同定に有用である。
【0185】
いくつかの場合、対照は、対照試料又は対照データセットであってよい。当該対照は、既知の適合性の程度を有する個体から以前に得られた試料であってよい。当該対照は、対照試料を分析して得られたデータセットであってよい。
【0186】
対照は、標的分子が存在するか、若しくは高レベルで発現していることが知られている正の対照、又は標的分子が存在しないか、若しくは低レベルで発現していることが知られている負の対照であってよい。
【0187】
対照は、治療から利益を得ることが知られている個体から採取された組織の試料であってよい。当該組織は、試験される試料と同種であってよい。例えば、個体からの腫瘍組織の試料は、以前に治療に奏効した個体など、治療に適していることが知られている個体からの腫瘍組織の対照試料と比較されてよい。
【0188】
いくつかの実施形態では、対照は、試験試料と同じ個体から得られた試料であってよいが、健常が公知の組織から得られた試料であってよい。このように、個体からのがん組織の試料は、非がん組織試料と比較されてよい。いくつかの場合、当該対照は、細胞培養試料である。
いくつかの場合、抗体とのインキュベーションの前に検査試料を分析して、その試料に固有のバックグラウンド染色のレベルを決定する。
いくつかの場合、アイソタイプ対照が用いられる。アイソタイプ対照は、標的特異的抗体と同じクラスの抗体を用いるものの、試料に対する免疫反応性はない。当該対照は、標的特異的抗体の非特異的相互作用の識別に有用である。
【0189】
当該方法は、形態学及び免疫組織化学の血液病理学者による解釈を含んでよく、検査結果の正確な解釈が確実となる。例えば、CD19及び/又はPI3Kの発現量を分析する場合、当該方法は、検査試料において、発現が細胞質成分を含む膜染色として観察されることの確認工程を含んでよい。当該方法は、ノイズに対する標的シグナルの比率が閾値レベルを超えていることの確認工程を含み、それにより、特異的なバックグラウンドシグナルと非特異的なバックグラウンドシグナルとが、明確に識別されうる。
【0190】
治療方法
本明細書において状態を治療するという文脈で用いられる用語「治療」は、一般に、ヒト又は動物(例えば、獣医学的適用において)のいずれの場合でも、何らかの所望の治療効果が達成される、例えば、状態の進行の抑制が達成される、治療及び治療に関連し、かつ、進行の速度の低下、進行速度の停止、状態の退行、状態の改善、及び状態の治癒があげられる。予防手段(すなわち、予防(prophylaxis)、予防(prevention))としての治療もまた、含まれる。
【0191】
本明細書で用いられる用語「治療的有効量」又は「有効量」は、所望の治療レジメンにより投与された場合に、合理的な利益/リスク比に見合った、いくつかの所望の治療効果をもたらすのに有効である活性化合物、又は活性化合物を含む材料、組成物、又は投与量の量を意味する。同様に、本明細書で用いられる用語「予防的有効量」は、所望の治療レジメンにより投与された場合に、合理的な利益/リスク比に見合った、所望の予防的効果をもたらすのに有効な、活性化合物、又は活性化合物を含む材料、組成物又は投与量の量を意味する。
【0192】
本明細書は、治療方法を開示する。治療を必要とする被験体に、治療的有効量の抗CD19 ADC及びPI3K阻害剤又は二次薬剤を投与する工程を含む治療方法も、また提供される。用語「治療的有効量」とは、被験体に利益を呈示するのに十分な量である。当該利益は、少なくとも1つの症状の少なくとも改善であってよい。実際の投与量、及び投与速度及び時間的経過は、治療される個体の性質及び重症度に依存する。治療法の処方、例えば投与量の決定は、開業医や他の医師の責任の範囲内にある。被験体は、本明細書に開示された方法により治療を受ける適格性の決定のために試験されてよい。当該治療方法は、本明細書に開示された方法により、被験体が治療を受ける適格性があるかを決定する工程を含んでよい。
【0193】
抗CD19 ADCは、抗CD19抗体を含む。当該抗CD19抗体は、RB4v1.2抗体であってよい。ADCは、PBDダイマーである薬物を含んでよい。当該ADCは、ADCx19であってよい。当該ADCは、特許文献1に開示されたADCであってよい。
【0194】
PI3K阻害剤としては、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、タセリシブ、ブパリシブ、アルペリシブ、ウンブラリシブ、ダクトリシブ、又はボキサタリシブがあげられる。好ましくは、PI3K阻害剤はイデラリシブ又はコパンリシブである。
【0195】
二次薬剤は、以下の:
(a)ベンダムスチン;
(b)レナリドミド;
(c)ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、又はサリノスポラミドA等のプロテアソーム阻害剤;又は
(d)オラパリブ、CEP-9722、BMN-673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24-550/BSI-201、ベリパリブ(ABT-888)、ニラパリブ/MK-4827、BGB-290、3-アミノベンザミド、及びE7016等のPARP阻害剤;
であってよい。
【0196】
治療としては、抗CD19 ADC/PI3K阻害剤又は二次薬剤の併用を単独で、又は他の治療剤とのさらなる併用で、治療されるべき状態に依存して、同時に又は順次投与することがあげられる。
抗CD19 ADC+PI3K阻害剤の併用による治療の例としては、以下の:
(1) イデラリシブ又はコパンリシブのようなPI3K阻害剤で治療された、又は治療中の個人の同定;
(2) ADCx19等の抗CD19 ADCの個体への投与;及び場合によっては、
(3) 抗CD19 ADCと併用して(例えば、ADCと同時に、又はADCの後に)イデラリシブ又はコパンリシブ等のPI3K阻害剤の個体への投与;
があげられる。
【0197】
抗CD19 ADCと二次薬剤の併用による治療の例としては、以下の:
(1) ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド、オラパリブ等の二次薬剤で治療された、又は治療中の個人の同定;
(2) ADCx19等の抗CD19 ADCの個体への投与;及び場合によっては、
(3) 抗CD19 ADCと併用して(例えば、ADCと同時に、又はADCの後に)ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド、又はオラパリブ等の二次薬剤の個体への投与;
があげられる。
【0198】
治療及び治療の例としては、化学療法(化学療法剤等の薬剤を含む活性剤の投与);手術;及び、放射線療法があげられるが、これらに限定されない。
「化学療法剤」とは、作用機序にかかわらず、がんの治療に有用な化学化合物である。化学療法剤のクラスとしては、アルキル化剤、抗代謝拮抗剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞毒性/抗腫瘍性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、抗体、光増感剤、及びキナーゼ阻害剤があげられるが、これらに限定されない。化学療法剤としては、「標的治療」に用いられる化合物や従来の化学療法に用いられる化合物があげられる。
【0199】
化学療法剤の例としては、以下の:
レナリドミド(REVLIMID(登録商標)、セルジーン)、ボリノスタット(ZOLINZA(登録商標)、メルク)、パノビノスタット(FARYDAK(登録商標)、ノバルティス)、モセチノスタット(MGCD0103)、エベロリムス(ZORTRESS(登録商標)、CERTICAN(登録商標)、ノバルティス)、ベンダムスチン(TREAKISYM(登録商標)、RIBOMUSTIN(登録商標)、LEVACT(登録商標)、TREANDA(登録商標)、ムンディファーマインターナショナル)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、ジェネンテック/OSIファーマ)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、サノフィ-アベンティス)、5-FU(フルオロウラシル、5-フルオロウラシル、CAS No.51-21-8)、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標)、リリー)、PD-0325901(CAS No.391210-10-9,ファイザー)、シスプラチン(シス-ジアミン、ジクロロ白金(II)、CAS No.15663-27-1)、カルボプラチン(CAS No.41575-94-4)、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、ブリストルマイヤーズスクッブオンコロジー、プリンストン)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、ジェネンテック)、テモゾロミド(4-メチル-5-オキソ-2,3,4,6,8-ペンタザビシクロ[4.3.0]ノナ-2,7,9-トリエン-9-カルボキサミド)CAS No.85622-93-1、TEMODAR(登録商標)、TEMODAL(登録商標)、シェリングプラウ、タモキシフェン((Z)-2-[4-(1,2-ジフェニルブタ-1-エニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエタンアミン、NOLVADEX(登録商標)、ISTUBAL(登録商標)、VALODEX(登録商標)、及びドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標))、Akti-1/2、HPPD、及びラパマイシンがあげられる。
【0200】
化学療法剤のさらなる例としては、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、サノフィ)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、ミレニアム・ファーム)、スーテント(SUNITINIB(登録商標)、SU11248、ファイザー)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、ノバルティス)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、ノバルティス)、XL-518(Mek阻害剤、エクセリクシ、国際公開第O2007/04515号)、ARRY-886(Mek阻害剤、AZD6244、アレイバイオファーマ、アストラゼネカ)、SF-1126(PI3K阻害剤、セマフォファーマシューティカル)、BEZ-235(PI3K阻害剤、ノバルティス)、XL-147(PI3K阻害剤、エクセリクシ)、PTK787/ZK 222584(ノバルティス)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、アストラゼネカ)、ロイコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、ワイス)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、グラクソスミスクライン)、ロナファリニブ(SARASAR(登録商標)、SCH 66336、シェリングプラウ)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、バイエルラボ)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、アストラゼネカ)、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標)、CPT-11、ファイザー)、チピファルニブ(ZARNESTRA(商標)、ジョンソンエンドジョンソン)、ABRAXANE(商標)(クレモフォールフリー)、)、パクリタキセルのアルブミン設計ナノ粒子製剤(アメリカンファーマシューティカルパートナーズ、シャウボーグ,イリノイ州)、バンデタニブ(rINN,ZD6474,ZACTIMA(登録商標),アストラゼネカ)、クロランブシル、AG1478,AG1571(SU 5271;スーゲン)、テムシロリムス(TORISEL(登録商標),ワイス)、パゾパニブ(グラクソスミスクライン)、カンホスファミド(TELCYTA(登録商標),テリク)、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標),NEOSAR(登録商標))、ブスルファン、インポスルファン、及びピポスルファン等のアルキルスルホネート;ベンゾドパ、カルボクオン、メトレドパ及びウレドパ等のアジリン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアミン;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体のトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(アドゼルシン、カルゼルシン及びビゼルシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコディチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸オキシド、メルファラン、ノベビキン、フェンエステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード等の窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びランヌスチン等のニトロソウレア;エネジイン系抗生物質(例えば、カリケアマイシン、カリケアマイシンガンマ1I、カリケアマイシンオメガI1(Angew Chem.Intl.Engl.1994 33:183-186)等の抗体;ダイネミシン、ダイネミシンA;クロドロネート等のビスホスホネート;エスペラミン;同様に、ネオカルジノスタチン発色団及び関連する発色タンパク質エネジン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、ネモルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC等のマイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ユベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート等の葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等のピリミジン類似体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗副腎剤;フロリン酸等のフロリン酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルチン;ヂアジコン;エルフォルニチン;酢酸エリプティニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダニン;メイタンシン、アンサミトシン等のメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)ポリサッカリド複合体(JHS Natural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン、2,2’ ,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチン等のプラチナ類似体;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELOD(登録商標)、ロシュ);イバンドロン酸;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド;及び上記のいずれかの医薬上許容される塩、酸及び誘導体があげられる。CHP(ドキソルビシン、プレドニゾン、シクロホスファミド)又はCHOP(ドキソルビシン、プレドニゾン、シクロホスファミド、ビンクリスチン)等の薬物を併用しうる。
【0201】
「化学療法剤」の特定としては、以下の:
(i)抗エストロゲン薬及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)等の腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン薬であって、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)、クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミファイン)があげられる;(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害薬であって、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(メゲストロール酢酸塩)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン、ファイザー、ホルメスタニー、ファメスタニー、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;ノバルティス)及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;アストラゼネカ);(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロライド、ゴセレリン等の抗アンドロゲン剤、並びにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)MEK阻害剤等のプロテインキナーゼ阻害剤(国際公開第2007/04515号);(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に異常細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-α、Raf及びH-Ras、例えば、オブリメルセン(GENASENSENSE(登録商標)、ゲンタ株式会社);(vii)VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤等のリボザイム;(viii)遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUCTIN(登録商標)及びVAXID(登録商標)、PROLEUKIN(登録商標)rIL-2、トポイソメラーゼ1阻害剤、例えば、LURTOTECAN(登録商標)、ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)抗血管新生剤、例えば、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、ジェネンテック)、並びに医薬的に許容される上記いずれかの塩、酸及び誘導体;があげられる。
【0202】
また、「化学療法剤」の特定としては、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、ジェネンテック)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、イムクローン)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、アムジェン)、ペルツズマブ(PERJETM、OMNITARG(商標)、2C4、ジェネンテック)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、ジェネンテック)、MDX-060(Medarex)及び抗体薬物複合体であるゲムツズマブオゾガミシン(MYLOTARG(登録商標)、ワイス)等の治療用抗体も含まれる。
【0203】
本開示の結合体と併用される化学療法剤としての治療可能性があるヒト化モノクローナル抗体としては、アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネウズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セトリズマブペゴール、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガミシン、イノツズマブオゾガミシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクツズマブ、ペルツズマブ、ペセテリズマブ、ラリズマブ、レスリズマブ、レスシビズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テトリバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ、セルモロイキン、ツクシツズマブ、ウマビツズマブ、ウルトキサズマブ、及びビジリツズマブがあげられる。
【0204】
本開示による組成物は好ましくは医薬組成物である。本開示による、および本開示に用いる医薬組成物は、活性成分、すなわち、複合体化合物、及び、医薬的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤、又は当業者に公知の他の材料を含んでよい。当該物質は非毒性、かつ、有効成分の効能を阻害しないものでなければならない。担体又は他の材料の正確な性質は、経口、又は例えば皮膚、皮下、若しくは静脈内注射による投与経路によるであろう。
【0205】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、粉末剤又は液体剤でありうる。錠剤は、固体担体又はアジュバントを含みうる。液体医薬組成物は、一般に、水、石油、動植物油、鉱油又は合成油等の液体担体を含む。生理食塩水、デキストロース若しくは他の糖類溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール等のグリコールが含まれうる。カプセルは、ゼラチン等の固体担体を含んでよい。
【0206】
静脈内、皮膚若しくは皮下注射、又は罹患部位への注射の場合、当該活性成分は、発熱物質を含まず、pH、等張性及び安定性が適当である、非経口的に許容される水溶液の形態であろう。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液等の等張ビヒクルを用いて適当な溶液を調製することができる。必要に応じて、保存剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤及び/又は他の添加剤が含まれてもよい。
【0207】
〔投与量〕
抗CD19 ADC及び/又はPI3K阻害剤若しくは二次薬剤の適当な投与量(用量)、及びこれらの活性成分を含む組成物は、被験体ごとに異なることが当業者によって理解されるであろう。最適投与量の決定には、一般に、リスク又は有害な副作用に対する治療的利益のレベルを調整する必要がある。選択された投与量レベルは、これらに限定されるわけではないが、特定の化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排泄速度、治療期間、併用される他の薬物、化合物、及び/又は物質、状態の重症度、並びに対象の種、性、年齢、体重、状態、全身状態、及び既往歴を含む種々の因子に依存する。化合物の量及び投与経路は、最終的には医師、獣医師又は臨床医の裁量によるが、一般に、実質的な有害な又は劇的な副作用を誘発せず、所望の効果を達成する作用部位で局所濃度を達成するように投与量を選択する。
【0208】
ある態様では、抗CD19 ADCの用量は、被験体から得られた試料中で観察されるCD19の発現によって決定される。すなわち、試料中のCD19の発現のレベル又は局在は、より高用量又はより低用量の抗CD19 ADCが必要であることの指標となりうる。例えば、CD19の発現レベルが高い場合、より高い用量の抗CD19 ADCが適当であることを示しうる。ある場合、CD19の発現レベルが高い場合、抗CD19 ADC及び他の薬剤の投与が必要であることを示しうる。例えば、抗CD19 ADCの化学療法剤との複合投与である。CD19の発現レベルが高い場合、より積極的な治療法が示唆される。
【0209】
ある態様では、PI3K阻害剤又は二次薬剤の用量は、対象から得られた試料中で観察される発現により決定される。すなわち、試料中の発現のレベル又は局在は、より高用量又はより低用量のPI3K阻害剤又は二次薬剤が必要であることの指標となりうる。例えば、PI3Kの発現レベルが高い場合、より高用量のPI3K阻害剤又は二次薬剤が適当であることを示しうる。ある場合、PI3Kの発現レベルが高い場合、PI3K阻害剤又は二次薬剤及び他の薬剤の投与が必要であることを示しうる。例えば、PI3K阻害剤又は二次薬剤と化学療法剤との複合投与である。PI3Kの発現レベルが高い場合、より積極的な治療法が示唆される。
【0210】
投与は、治療過程を通して一投与量を、連続的又は間欠的に(例えば、適当な間隔で分割された用量で)で行うことができる。投与の最も有効な手段及び用量を決定する方法は当業者に周知であり、治療に用いられる処方、治療目的、治療される標的細胞、及び治療される被験体により異なる。単回投与又は複数回投与は、治療する医師、獣医師、又は臨床医が選択する用量レベル及びパターンで行うことができる。
【0211】
一般に、各活性化合物の適当な投与量は、被験体の体重1kg/日当たり約100ng~約25mg(より典型的には約1μg~約10mg)の範囲である。当該活性化合物が塩、エステル、アミド、プロドラッグ等である場合、投与量は親化合物に基づいて計算されて、用いられる実際の量は比例して増加する。
一実施形態では、各活性化合物は、以下の:約100mg、1日3回投与計画により、ヒト被験体に投与される。一実施形態では、各活性化合物は、約150mg、1日2回の投与計画により、ヒト被験体に投与される。
一実施形態では、各活性化合物は、約200mg、1日2回の投与計画により、ヒト被験体に投与される。
しかしながら、一実施形態では、各複合体化合物は、以下の:約50mg又は約75mg、3回又は4回/日投与計画により、ヒト被験体に投与される。
一実施形態では、各複合体化合物は、約100mg又は約125mg、1日2回の投与計画により、ヒト被験体に投与される。
【0212】
ADCを担持するPBDである抗CD19 ADCの、上記投与量は、複合体(PBD部分及び抗体に対するリンカーを含む)又は、例えばリンカーの切断後に放出される化合物の量、をもたらすPBD化合物の有効量に適用することができる。
【0213】
抗CD19 ADCは、抗CD19抗体を含む。当該抗CD19抗体は、RB4v1.2抗体であってよい。ADCは、PBDダイマーである薬物を含んでよい。当該ADCは、ADCx19であってよい。当該ADCは、特許文献1に開示されたADCであってよい。
【0214】
PI3K阻害剤としては、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、タセリシブ、ブパリシブ、アルペリシブ、ウンブラリシブ、ダクトリシブ、又はボキサタリシブがあげられる。好ましくは、PI3K阻害剤はイデラリシブ又はコパンリシブである。
【0215】
二次薬剤は、以下の:
(a)ベンダムスチン;
(b)レナリドミド;
(c)ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、又はサリノスポラミドA等のプロテアソーム阻害剤;又は
(d)オラパリブ、CEP-9722、BMN-673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24-550/BSI-201、ベリパリブ(ABT-888)、ニラパリブ/MK-4827、BGB-290、3-アミノベンザミド、及びE7016等のPARP阻害剤;
であってよい。
抗体
本明細書中の用語「抗体」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、無傷抗体(「全長」抗体とも記載される)及び抗体断片を、それらが所望の生物学的活性、例えば、CD19への結合能を示す限り、最も広い意味で用いられ、かつ、特異的に包含する。(Miller et al (2003)Jour.of Immunology170:4854-4861)。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラ、であってよく、又は、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、馬若しくはラクダ等の他の種に由来しうる。
【0216】
抗体は、特異的抗原を認識し、それに結合しうる免疫系により生成されるタンパク質である。(Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,NewYork)。標的抗原には、一般に、エピトープともいう、多数の結合部位があり、複数の抗体上の相補性決定領域(CDR)により認識される。異なるエピトープ特異的に結合する抗体の構造は異なる。すなわち、1つの抗原には、対応する抗体が1を超える。抗体は、全長免疫グロブリン分子又は全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、関連する標的の抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位又はその部分を含む分子を含んでよく、当該標的としては、がん細胞又は自己免疫疾患と関連する自己免疫抗体を産生する細胞があげられるが、これらに限定されない。免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子のいかなる系(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)若しくはサブクラス、又はアロタイプ(例えば、ヒトG1m1、G1m2、G1m3、非G1m1[すなわち、G1m1以外のいかなるアロタイプ]、G1m17、G2m23、G3m21、G3m28、G3m11、G3m5、G3m13、G3m14、G3m10、G3m15、G3m16、G3m6、G3m24、G3m26、G3m27、A2m1、A2m2、Km1、Km2、Km2、及びKm3)でありえる。当該免疫グロブリンは、ヒト、マウス、又はウサギ由来を含む、いかなる種に由来しうる。
【0217】
「抗体断片」とは、全長抗体の部分、一般に、その抗原結合領域又は可変領域を包含する。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びscFv断片;ダイアボディ;線状抗体;Fab発現ライブラリー、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR (相補性決定領域)、及び、がん細胞抗原、ウイルス抗原又は微生物抗原、単鎖抗体分子に免疫特異的に結合する上記のいずれかのエピトープ結合断片によって産生される断片;並びに抗体断片から形成される多特異的抗体があげられる。
【0218】
本明細書中で用いられる用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体をいい、つまり、集団を含む個々の抗体は、少量で存在しうる天然突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、極めて特異的であり、1つの抗原性エピトープに指向する。さらに、異なる決定因子(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定因子に指向する。当該特異性、及び、モノクローナル抗体は、他の抗体により汚染されずに合成できる点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体の特徴を示し、いかなる特定の方法による抗体の生産が必要であると解釈されることはない。例えば、本開示により用いられるモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975) Nature 256:495により最初に記載されたハイブリドーマ法か、又は、組換えDNA法(米国特許第4816567号参照)により作製しうる。当該モノクローナル抗体はまた、Clackson et al(1991)Nature,352:624-628;Marks et al(1991)J.Mol.Biol.,222:581-597に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから、又は、単離しうる。又は完全ヒト免疫グロブリン系を担持するトランスジェニックマウス(Lonberg(2008)Curr.Opinion20(4):450-459)から、単離されてよい。
【0219】
本明細書中のモノクローナル抗体は、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の部分が、特定の種に由来する、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるか又はそれと相同である一方で、その鎖の残部は、それらが所望の生物学的活性を示す限り、他の種に由来する、又は他の抗体クラス若しくはサブクラスに属する他の抗体における対応する配列と同一であるか又はそれと相同である、「キメラ」抗体、並びに当該抗体の断片を含む(米国特許第4816567号;及びMorrison et al(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855)。キメラ抗体としては、非ヒト霊長類(例えば、旧世界サル又は類人猿)に由来する可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
【0220】
本明細書における「完全抗体」とは、VLドメイン及びVHドメイン、並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を含む。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体であってよい。完全抗体には、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物学的活性をいう、1又はそれ以上の「エフェクター機能」があってよい。
抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合;補体依存性細胞傷害性; Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC);食作用;及びB細胞受容体及びBCR等の細胞表面受容体の下方制御があげられる。
【0221】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、完全抗体は、異なる「クラス」に割り当てうる。完全抗体には、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5つの主要なクラスがあり、かつ、これらのいくつかは、さらに、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2等の「サブクラス」(アイソタイプ)に分けることができる。様々なクラスの抗体に対応する重鎖定常ドメインは、各々、α、δ、ε、γ、及びμという。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び3次元構造は、周知である。
【0222】
本開示の原理を例示する実施形態及び実験は、添付の図面を参照して、ここで議論される。
本開示は、当該組み合わせが明らかに許容されない、又は明示的に回避される場合を除き、記載された態様及び好ましい特徴の組み合わせを含む。
本明細書で用いられる項目見出しは、構成的な目的のためでしかなく、説明される主題を限定すると解釈すべきではない。
本開示の態様及び実施形態は、添付の図面を参照して、例示的に示される。さらなる態様及び実施形態は、当業者に明らかであろう。本開示で言及されている全ての文書は、参照により本明細書に援用される。
文脈上他に要求されない限り、以下の特許請求の範囲を含め、本明細書全体を通じて用語、「含む」及びその変形は、記載された整数、工程、又は整数若しくは工程の群を含むが、整数、工程、又は整数若しくは工程の群を除外するものではないことを意味すると理解される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられるように、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が他のことを明確に指示しない限り、複数の基準を含むことに留意されたい。範囲は、本明細書中では、ある特定の値から「約」として、及び/又は別の特定の値から「約」として表現することができる。当該範囲が表現される場合、別の実施形態は、ある特定の値及び/又は他の特定の値を含む。同様に、値が近似として表現される場合、先行する「約」を用いて、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。
【0223】
いくつかの実施形態
以下に、本開示のいくつかの特定の実施形態について説明する。
【0224】
1.ADC×19、ADCT-402又はADCT-402による治療に適する個体を選択する方法であって、ここで、イデラリシブ又はコパンリシブで治療されたことがある個体を、ADC×19又はADCT-402による治療に選択する、方法。
2.ADC×19又はADCT-402による治療に適する個体を選択する方法であって、イデラリシブ又はコパンリシブで治療中の個体をADC×19又はADCT-402での治療に選択する、方法。
3.イデラリシブ又はコパンリシブによる、治療又はさらなる治療に不応性である個体が選択される、1又は2に記載の方法。
4.個体の症状の治療方法であって、前記方法は、以下の:
(i) 1~3のいずれか一項に記載の方法による治療に適する個体を選択する工程;かつ
(ii)有効量のADC×19又はADCT-402を前記個体に投与する工程;
を含む、方法。
5.さらに、イデラリシブ又はコパンリシブと、ADCx19又はADCT-402を併用投与する工程を含む、4に記載の方法。
6.個体の症状の治療方法であって、有効量のADCx19又はADCT-402及びイデラリシブ又はコパンリシブを前記個体に投与する工程を含む、方法。
7.個体は、1~3のいずれか一項に記載の方法による治療のために選択される、6に記載の方法。
8.イデラリシブ又はコパンリシブの投与前、投与時、又は投与後に、ADCx19又はADCT-402を投与することを含む、5~7のいずれか一項に記載の方法。
9.治療は、さらに、化学療法剤を投与する工程を含む、1~8のいずれか一項に記載の方法。
10.個体はヒトである、1~9のいずれか一項に記載の方法。
11.個体に症状があるか、又は症状があると判定されたことがある、1~10のいずれか一項に記載の方法。
12.個体は、CD19又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤細胞等)を発現するがんであるか、又はであると判定されたことがある、11に記載の方法。
13.個体は、イデラリシブ又はコパンリシブによる治療中である、1~12のいずれか一項に記載の方法。
14.個体はイデラリシブ又はコパンリシブによる治療を受けたことがある、1~13のいずれか一項に記載の方法。
15.個体は、イデラリシブ又はコパンリシブによる、治療、又はさらなる治療に不応性である、1~14のいずれか一項に記載の方法。

16.治療は、ADCx19若しくはADCT-402又はイデラリシブ又はコパンリシブのいずれかによる単独治療と比較して、効能が高い、1~15のいずれか一項に記載の方法。
17.症状は増殖性疾患である、1~16のいずれか一項に記載の方法。
18.症状はがんである、17に記載の方法。
19.症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病を含む群から選択される、18に記載の方法。
20.4~19のいずれかの方法で用いられるADCx19又はADCT-402。
21.段落4~19のいずれか一項に記載の治療方法で用いる、ADCx19又はADCT-402を含む、組成物。
22.5~19のいずれかの方法で用いる、イデラリシブ又はコパンリシブ。
23.5~19のいずれかの方法で用いる、イデラリシブ又はコパンリシブを含む組成物。
24.個体の疾患を治療する医薬の製造におけるADCx19又はADCT-402の使用であって、前記治療は4~19のいずれかの方法を含む、使用。
25.個体の疾患を治療する医薬の製造におけるイデラリシブ又はコパンリシブの使用であって、前記治療は5~19のいずれかの方法を含む、使用。
26.以下の:
ADCx19又はADCT-402を含む第一の薬剤;
1又は4~19のいずれか一項に記載の方法による前記第一の薬剤の投与に関する指示を含む添付文書;を含む、キット。
27.さらに、以下の:
イデラリシブ又はコパンリシブを含む、二次薬剤;を含む、26に記載のキット。
---------------------
以下のパラグラフは、本開示の抗CD19 ADC+二次薬剤の態様のいくつかの特定の実施形態を記載する:
1.ADC×19、ADCT-402又はADCT-402による治療に適する個体を選択する方法であって、ここでベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブで治療されたことがある個体を、ADC×19又はADCT-402による治療に選択する、方法。
2.ADCx19又はADCT-402による治療に適した個体を選択する方法であって、個体が、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブよる治療中の場合、ADCx19又はADCT-402による治療に選択される、方法。
3.個体が、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブによる治療又はさらなる治療に耐性である場合、前記個体を選択する1又は2に記載の方法。
4.個体の症状の治療方法であって、前記方法は、以下の:
(i) 1~3のいずれか一項に記載の方法による治療に適する個体を選択する工程;かつ
(ii)有効量のADC×19又はADCT-402を前記個体に投与する工程;
含む、方法。
5.さらに、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブと、ADCx19又はADCT-402を併用投与する工程を含む、4に記載の方法。
6.個体の症状の治療方法であって、有効量のADCx19又はADCT-402及びベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブを前記個体に投与する工程を含む、方法。
7.個体は、1~3のいずれか一項に記載の方法による治療のために選択される、6に記載の方法。
8.ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブの投与前、投与、又は投与後、に、ADCx19又はADCT-402を投与することを含む、5~7のいずれか一項に記載の方法。
9.治療は、さらに、化学療法剤を投与する工程を含む、1~8のいずれか一項に記載の方法。
10.個体はヒトである、1~9のいずれか一項に記載の方法。
11.個体に症状があるか、又は症状があると判定されたことがある、1~10のいずれか一項に記載の方法。
12.個体は、CD19又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤細胞等)を発現するがんであるか、又はであると判定されたことがある、11に記載の方法。
13.個体が、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブによる治療を受けている、1~12のいずれか一項に記載の方法。
14.個体が、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブによる治療を受けていた、1~13のいずれか一項に記載の方法。
15.個体が、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブによる治療、又はさらなる治療に耐性である、1~14のいずれか一項に記載の方法。
16.治療は、ADCx19若しくはADCT-402又は、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド若しくはコパンリシブのいずれかを単独で用いた単独治療と比較して、効能が高い、1~15のいずれか一項に記載の方法。
17.症状は増殖性疾患である、1~16のいずれか一項に記載の方法。
18.症状はがんである、17に記載の方法。
19.症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病を含む群から選択される、18に記載の方法。
20.4~19のいずれかの方法で用いられるADCx19又はADCT-402。
21.4~19のいずれか一項に記載の治療方法で用いる、ADCx19又はADCT-402を含む、組成物。
5~19のいずれかの方法で用いる、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブ。
23.5~19のいずれかの方法で用いる、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブを含む組成物。
24.個体の疾患を治療する医薬の製造におけるADCx19又はADCT-402の使用であって、前記治療は4~19のいずれかの方法を含む、使用。
25.個体の疾患を治療する医薬の製造におけるベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブの使用であって、前記治療は5~19のいずれかの方法を含む、使用。
26.以下の:
ADCx19又はADCT-402を含む第一の薬剤;
1又は4~19のいずれか一項に記載の方法による前記第一の薬剤の投与に関する指示を含む添付文書;
を含む、キット。
27.さらに、以下の:ベンダムスチン、ボルテゾミブ、レナリドミド又はコパンリシブを含む二次薬剤を含む、26に記載のキット。
【0225】
発明の記載(1)
1.抗CD19 ADCによる治療に適する個体を選択する方法であって、個体が抗PI3K剤による治療を受けたことがある場合、前記個体を抗CD19 ADCによる治療に選択する、方法。
2.抗CD19 ADCによる治療に適する個体を選択する方法であって、個体が抗PI3K剤による治療中の場合、前記個体を抗CD19 ADCによる治療に選択する、方法。
3.個体が、前記抗PI3K剤による治療又はさらなる治療に不応性である場合、前記治療に選択される、1又は2に記載の方法。
4.個体の症状の治療方法であって、前記方法は、以下の:
(i) 1~3のいずれか一項に記載の方法による治療に適する個体を選択する工程;かつ
(ii)有効量の抗CD19 ADCを前記個体に投与する工程;
含む、方法。
5.治療方法は、さらに、抗CD19 ADCを抗PI3K剤と併用投与する工程を含む、4に記載の方法。
6.個体における症状の治療方法であって、CD19 ADC及び抗PI3K剤の有効量を前記個体に投与する工程を含む、方法。
7.個体は、1~3のいずれか一項に記載の方法による治療のために選択される、6に記載の方法。
8.抗PI3K剤の投与前、投与時、又は投与後に、抗CD19 ADCを投与することを含む、5~7のいずれか一項に記載の方法。
9.治療は、さらに、化学療法剤を投与する工程を含む、1~8のいずれか一項に記載の方法。
10.個体はヒトである、1~9のいずれか一項に記載の方法。
11.個体に症状があるか、又は症状があると判定されたことがある、1~10のいずれか一項に記載の方法。
12.個体は、CD19又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤細胞等)を発現するがんであるか、又はであると判定されたことがある、11に記載の方法。
13.個体が、抗PI3K剤による治療中である、1~12のいずれか一項に記載の方法。
14.個体が抗PI3K剤による治療を受けていたことがある、1~13のいずれか一項に記載の方法。
15.個体が、抗PI3K剤による治療、又はさらなる治療に不応性である、1~14のいずれか一項に記載の方法。
16.治療は、抗CD19 ADC又は抗PI3K剤のいずれかを単独で用いた単独治療と比較して、効能が高い、1~15のいずれか一項に記載の方法。
17.抗CD19 ADCはADCx19である、1~3のいずれか1項に記載の方法。
17a.抗CD19 ADCはADCT-402である、1~3のいずれか1項に記載の方法。
18.症状は増殖性疾患である、1~16のいずれか一項に記載の方法。
19.症状はがんである、18に記載の方法。
20.症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病を含む群から選択される、19に記載の方法。
20a.症状は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であり、場合によっては、前記DLBCLは再発性又は難治性である、19記載の方法。
21.PI3K阻害剤は、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、タセリシブ、ブパリシブ、アルペリシブ、ウンブラリシブ、ダクトリシブ、又はボキサタリシブである、1~21のいずれか一項に記載の方法。
22.PI3Kはイデラリシブである、1~9のいずれか一項に記載の方法。
23.PI3Kはコパンリシブである、1~9のいずれか一項に記載の方法。
24.4~23のいずれか一項による治療方法に用いる、抗CD19-ADC。
25.4~23のいずれか一項による治療方法に用いる、抗CD19-ADCを含む、組成物。
26.5~23のいずれか一項による治療方法に用いる、抗PI3K剤。
27.4~23のいずれか一項による治療方法に用いる、抗PI3K剤を含む、組成物。
28.個体の症状を治療する医薬の製造における抗CD19 ADCの使用であって、前記治療が、4~23のいずれか一項に記載の方法を含む、使用。
29.個体の症状を治療する医薬の製造における抗PI3K剤の使用であって、前記治療が、5~23のいずれか一項に記載の方法を含む、使用。
30.以下の:
抗CD19 ADCを含む第一の薬剤;
4~23のいずれか一項に記載の方法による前記第一の薬剤の投与に関する指示を含む添付文書;
を含む、キット。
31.さらに、以下の:
抗PI3K剤を含む第2薬剤;
を含む、30に記載のキット。
【0226】
発明の記載(2)
1.抗CD19 ADCによる治療に適する個体を選択する方法であって、個体が二次薬剤による治療を受けたことがある場合、前記個体を抗CD19 ADCによる治療に選択する、方法。
2.抗CD19 ADCによる治療に適する個体を選択する方法であって、個体が二次薬剤の治療中である場合、前記個体を抗CD19 ADCによる治療に選択する、方法。
3.個体が、二次薬剤による治療又はさらなる治療に不応性である場合、治療に選択される、1又は2に記載の方法。
4.個体の症状の治療方法であって、前記方法は、以下の:
(i) 1~3のいずれか一項に記載の方法による治療に適する個体を選択する工程;かつ
(ii)有効量の抗CD19 ADCを前記個体に投与する工程;
含む、方法。
5.治療方法は、さらに、抗CD19 ADCを二次薬剤と併用投与する工程を含む、4に記載の方法。
6.個体における症状の治療方法であって、抗-CD19 ADC及び二次薬剤の有効量を前記個体に投与する工程を含む、方法。
7.個体は、1~3のいずれか一項に記載の方法による治療のために選択される、6に記載の方法。
8.二次薬剤の投与前、投与時、又は投与後、に、抗CD19 ADCを投与することを含む、5~7のいずれか一項に記載の方法。
9.治療は、さらに、化学療法剤を投与する工程を含む、1~8のいずれか一項に記載の方法。
10.個体はヒトである、1~9のいずれか一項に記載の方法。
11.個体に症状があるか、又は症状があると判定されたことがある、1~10のいずれか一項に記載の方法。
12.個体は、CD19又はCD19+腫瘍関連非腫瘍細胞(CD19+浸潤細胞等)を発現するがんであるか、又はであると判定されたことがある、11に記載の方法。
13.個体が二次薬剤による治療中である、1~13のいずれか一項に記載の方法。
14.個体が二次薬剤による治療を受けていた、1~13のいずれか一項に記載の方法。
15.個体が、二次薬剤による治療、又はさらなる治療に不応性である、1~14のいずれか一項に記載の方法。
16.治療は、抗CD19 ADC又は二次薬剤のいずれかを単独で用いた単独治療と比較して、効能が高い、1~15のいずれか一項に記載の方法。
17.抗CD19 ADCはADCx19である、1~3のいずれか1項に記載の方法。
17a.抗CD19 ADCはADCT-402である、1~3のいずれか1項に記載の方法。
18.症状は増殖性疾患である、1~16のいずれか一項に記載の方法。
19.症状はがんである、18に記載の方法。
20.症状は、増殖性疾患、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、及び辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含む、非ホジキンリンパ腫、かつ、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異型(HCL-v)、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病(ALL)等の白血病を含む群から選択される、19に記載の方法。
20a.症状はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であり、場合によっては、前記DLBCLは再発性又は難治性である、19記載の方法。
21.二次薬剤はベンダムスチンである、1~21のいずれか一項に記載の方法。
22.二次薬剤はレナリドミドである、1~20のいずれか一項に記載の方法。
23.二次薬剤は、プロテアソーム阻害剤である、1~20のいずれか一項に記載の方法。
24.プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、又はサリノスポラミドAである、23に記載の方法。
25.プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブである、23に記載の方法。
26.二次薬剤はPARP阻害剤(PARPi)である、1~20のいずれか一項に記載の方法。
27.PARPiは、オラパリブ、CEP-9722、BMN-673/タラゾパリブ、ルカパリブ、イニパリブ/SAR24-550/BSI-201、ベリパリブ(ABT-888)、ニラパリブ/MK-4827、BGB-290、3-アミノベンザミド、及びE7016から選択される、26に記載の方法。
28.プロテアソーム阻害剤はオラパリブである、26記載の方法。
29.4~28のいずれか一項による治療方法に用いる、抗CD19-ADC。
30.4~28のいずれか一項による治療方法に用いる、抗CD19-ADCを含む、組成物。
31.5~28のいずれか一項による治療方法に用いる、二次薬剤。
32.4~28のいずれか一項による治療方法に用いる、二次薬剤を含む、組成物。
33.個体の症状を治療する医薬の製造における抗CD19 ADCの使用であって、前記治療が、4~28項のいずれか一項に記載の方法を含む、使用。
34.個体の症状を治療する医薬の製造における二次薬剤の使用であって、前記治療が、5~28項のいずれか一項に記載の方法を含む、使用。
35.以下の:
抗CD19 ADCを含む第一の薬剤;
1又は4~28のいずれか一項に記載の方法による前記第一の薬剤の投与に関する指示を含む添付文書;
を含む、キット。
36.さらに、以下の
二次薬剤を含む第2薬剤;
:を含む、35に記載のキット。
【0227】
〔実施例〕
以下の実施例では:
-実施例での使用に適したCD19を発現する細胞株としては、Ramos、Daudi、Raji、WSU-DLCL及びNALM-6細胞があげられる。
-疾患A-びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/DLBCは、リンパ系のB細胞から発生する侵攻性の非ホジキンリンパ腫である。
それは非ホジキンリンパ腫の最大のサブグループである。
-疾患B-マントル細胞リンパ腫/MCLはまれなB細胞NHLであり、60歳以上の男性に最も多くみられる。
この疾患は侵攻性(増殖が速い)であるが、ある患者ではより緩徐な(増殖が遅い)態様で進行する場合もある。
MCLは全NHLの約5%を占める。
-疾患C-濾胞性リンパ腫/FLはかなり緩徐進行性のNHLで、生存期間は長いが、治癒が達成されることはきわめて困難であり、より侵攻性のリンパ腫に転換する場合もある。
【実施例1】
【0228】
別個の実験で、CD19を発現する細胞株を、エトポシド(陰性対照)及びオキサリプラチン(陽性対照)、1μg/mL抗CD19 ADC(PBD二量体弾頭があるCD19を標的とするADC)、1μg/mL抗CD19(ADC中の抗体)及び1μg/mLのB12-SG3249(抗CD19 ADCと同じPBD弾頭がある非結合対照ADC)と共に0、6、24及び48時間インキュベートする。
インキュベーション後、細胞を洗浄し、さらに24時間ヒト樹状細胞(DC)に供給する。その後、DCの活性化を、DC集団上のCD86の表面発現の増加(フローサイトメトリーにより測定)により、及びIL-8及びMIP2のDC媒介放出を測定することにより、測定する。
【実施例2】
【0229】
本試験の目的は、本併用治療の安全性、忍容性、薬理学的及び臨床的活性の予備的評価である。
研究のために選択したがんの種類は以下のとおりである:疾患A、疾患B、及び疾患C
両剤とも、単剤での効能を示すエビデンスが以下のとおり、存在する:
・抗CD19 ADC (例えば、特許文献1、3、国際公開第2014/057122号及び国際公開第2016/166307号を参照)
・PI3K阻害剤又は二次薬剤(KS Peggs et al.2009,Clinical and Experimental Immunology,157:9-19[doi:10.1111/j.1365-2249.2009.03912.x]を参照)
本試験の主な目的は、上記薬剤の併用の安全性の検討であり、安全である場合、今後の試験に適した用量とレジメンの特定である。本試験ではまた、各併用治療が臨床利益の見込みを示唆するような薬理学的変化を腫瘍に誘発するかを評価する。
さらに、抗CD19 ADC又はPI3K阻害剤又は二次薬剤の単剤による治療では、公表データと比較して、併用による奏効率及び奏効持続性が高まる可能性を示す予備的なエビデンスが得られるであろう。
各疾患群には、PI3K阻害剤又は二次薬剤による治療歴のある患者のサブセットが含まれ、併用治療がPI3K阻害剤又は二次薬剤に対する抵抗性を克服できるかを検討する。各疾患については、承認された分子診断検査に基づいて患者を除外することは一般的には支持されておらず、特定の分子選択を適用する意図はない。
【0230】
抗CD19 ADC開始用量の設定根拠
ADCについてすでに確立されているRDE(ug/kgを3週間ごとに投与)を、本試験の全患者に用いる。
患者の安全性を確保するため、用いる開始用量はRDEを下回るが、当該開始用量は、試験ADC1で患者の利益が依然として実証されている用量であり、このことは、当該用量で登録された患者は参加により少なくとも何らかの利益が得られることを示唆する。
【0231】
PI3K阻害剤又は二次薬剤の開始用量の理論的根拠
PI3K阻害剤又は二次薬剤(ug/kgを3週間ごとに投与)について既に確立されているRDEを、本試験の全患者に用いる。患者の安全性を確保するため、用いる開始用量はRDEを下回るが、当該開始用量は、試験SA1で患者の利益が依然として実証されている用量であり、このことは、当該用量で登録された患者は参加により少なくとも何らかの利益が得られることを示唆する。
【0232】
目的と関連エンドポイント
【0233】
【表1】
〔研究計画〕
本第Ib相多施設共同非盲検試験では、疾患A、疾患B、疾患Cの患者を対象に抗PI3K剤又は二次薬剤との併用による安全性、忍容性、薬物動態(PK)、薬力学(PD)及び抗腫瘍活性を評価する。
試験は、用量漸増部分と、その後の用量漸増部分から構成される。
用量漸増は、患者の安全性を保証するため、ADC及び抗PI3K剤又は二次薬剤のいずれの開始用量を減らして開始する(各推奨第II相用量又は認可用量と比較する)。当該開始用量は、各化合物のRDEの33%(又は50%)とする。その後、最初に、抗PI3K剤又は二次薬剤の用量をRDE又は認可用量に達するまで増量するか、又は、忍容性の理由から必要に応じて低用量で投与する。その後、併用治療のRDEに達するまで、ADCの用量を増量する。これを、以下に示す:
【0234】
【表2】
併用剤の安全性が確認された場合、他の患者を対象とした試験を実施し、当該用量における安全性及び忍容性を確認しうる。各化合物の用量をさらに調整することができ、及び/又はレジメンを変更しうる。
【0235】
併用治療の用量漸増は、最初の(又は最初の2つの)治療サイクルで観察された用量制限毒性(DLT)に基づくベイズのロジスティック回帰モデル(BLRM)に基づいて行う。BLRMの使用は、がん患者における最大耐用量(MTD)/拡張推奨用量(RDE)を推定する確立された方法である。適応BLRMは、本試験に参加する将来の患者におけるDLTのリスクをコントロールするため、過量対照による漸増(EWOC)の原則に従う。小規模なデータセットに対するベイズ反応適応モデルの使用は、FDA及びEMEAに承認され(「小規模集団における臨床試験に関するガイドライン」、2007年2月1日)、多くの文献(Babbら、1998年、Neuenschwanderら、2008年)によって支持されている。
【0236】
試験責任医師及び試験依頼者は、用量漸増安全コール(DESC)において、患者の忍容性及び安全性情報(該当する場合、DLTリスクのBLRM要約を含む)のレビュー、並びに決定時点で入手可能なPK、PD及び予備的活動情報に基づき、新たな用量の組み合わせを決定する。
【0237】
併用治療のMTD/RDEが決定したら、本試験の拡張部を開始して、安全性、忍容性及び予備的有効性をさらに評価しうる。
【0238】
《IOとの併用に関して、腫瘍における免疫浸潤の変化は、標的疾患症状における併用治療後でもまた、特徴づけられるであろう。》
本研究における当該薬剤医薬に関するこれまでの利用可能な臨床経験を考慮すると、多くの場合、大規模用量レベル又は投与スケジュールを試験せずに、配合剤の用量を同定しうると考えられる。併用治療の薬力学的活性の評価のため、ベースライン時及び約2サイクルの治療後に再度腫瘍生検を受けるよう患者に指示する。
【0239】
《IOコンボについて:リンパ球及びマクロファージを含む免疫細胞による腫瘍浸潤の変化の程度は、潜在的利益に関する決定に寄与するであろう。》
〔用量漸増部分〕
本試験の用量漸増期には、患者に、ADCの用量を固定して静脈内投与して治療し、抗PI3K剤又は二次薬剤の用量を増量する。その後、ADCの用量を(異なるコホートで)増量する一方で、抗PI3K剤又は二次薬剤の用量を一定に保つ。
【0240】
疾患A、疾患B又は疾患Cの患者2~約3~4例を、MTD/RDEの測定が決定されるまで、各漸増コホートで治療する。
【0241】
第2例目の患者を用量レベル1に登録する前に、24時間観察を行う。各用量レベルでのDLT観察期間は、IO治療の所轄官庁から、1サイクル(3週間)又は2サイクル(6週間)のいずれかと義務付けられており、その後、次コホートの次用量レベルに移行するか、現行の用量レベルに留保するか、又は以前の用量レベルに漸減するかを決定する。用量レベル1からの漸減はない。投与量の漸増は認められない。
【0242】
いずれの用量レベルにおいても、初回サイクルまでに2例以上の患者に完全なDLT情報が得られない限り、用量漸増は認められない。用量漸増は、目標DLT率30%、等価間隔20%~35%のmCRMを用い、用量漸増-過量対照(EWOC)と用量スキップなしの場合に決定する。
【0243】
患者を、積極的に登録しているコホートに割り付ける。1サイクルの治療終了後に、各併用治療で用量漸増を実施する。有害事象及び臨床検査値を含む安全性評価は、DLTを同定するため、登録されたすべての患者について綿密にモニタリングする。単一のMTD/RDEが特定され、疾患特異的なMTD/RDEは確立しない。
【0244】
mCRMは、用量漸増運営委員会(DESC)の監督下で、DEに対して実施される。DESCは、入手可能なすべての安全性データを検討した上で、増量された各用量を確認する。また、その用量レベル及び以前の用量レベルの患者から得られたPKデータも、意思決定の参考となる。DESCは、新たに出現したPK、PD、毒性又は奏効のデータに基づいてMTDを決定する前に、用量漸増を中止してよい。
【0245】
試験に参加した患者のうち少なくとも1例が部分奏効以上を達成した場合、又はRDEの決定のためにDESCがPK又はPDデータをさらに評価する必要があると判断した場合、用量にかかわらず、追加の患者を組み入れて、安全性及び忍容性をさらに評価することができる。
【0246】
用量漸増は、3コホート(又は少なくとも6例の患者)が連続して同じ用量レベルに割り付けられた後に中止する。MTDに達しない場合、増量の推奨用量(RDE)が決定される。MTD/RDEを決定する前に、最低6例の患者が併用治療で治療されていなければならない。
【0247】
用量漸増中は、患者から対で腫瘍生検を行うことを意図する。当該生検を解析すれば、併用治療の用量と薬力学的活性との関係をより良く理解しうる。
【0248】
〔用量漸増運営委員会による安全監視〕
ADC Therapeuticsと試験責任医師で構成されるDESCは、DE中に継続的に患者の安全性をレビューし、mCRMが規定する用量漸増スケジュールに修正が必要かどうかを判断する。安全性観察に加えて、薬物動態及び/又は薬力学データも意思決定に役立つ。中間用量は、ADC Therapeuticsと試験責任医師の合意の上で割り当てることができる。DESCは、第2期間中、引き続き監督を行うことができる。正式なデータ安全性監視委員会(DSMB)は使用しない。
【0249】
〔用量拡大部分〕
MTD/RDEが宣言されると、用量拡大部分が開始される場合がある。拡大部分の主目的は、MTD/RDEにおける試験薬の安全性及び忍容性をさらに評価し、単剤の効能の既存データと比較した併用治療の効能を予備的に理解することである。
【0250】
重要な探索目的の1つは、治療に奏効した腫瘍内の免疫浸潤の変化の評価である。これは、MTD/RDEで治療された患者のうち、少なくとも10組の評価可能な生検(生検標本には分析に十分な腫瘍が含まれる必要がある)を組み合わせて、患者から採取した対の腫瘍生検で評価する。これが不可能な場合は、当該生検組織の採取を中止してよい。少なくとも10~20例の患者を各試験群で治療することが計画されている。
【0251】
疾患ごとに、複数の異なる試験群が開設される。増量にあたっては、計9群の試験群を設けることができる。当該群のいずれかに登録できない場合、当該群への登録は、10~20例の目標が達成される前に、中止してよい。
【0252】
各治療群では、抗PI3K剤又は二次薬剤による治療を受けたことがあり、かつ過去の単独投与(すなわち、併用投与ではない)で増悪した患者は、最大約6例である。併用により、抗PI3K剤又は二次薬剤の単回投与による前治療抵抗性を克服する見込みがある場合、この数字を高めることができる。
【0253】
〔患者集団〕
本試験は、上記のとおり、疾患A、疾患B又は疾患Cが進行している成人患者を対象に実施する。試験責任医師又は被指名人は、以下のすべての選択基準を満たし、かつ、除外基準のいずれにも該当しない患者のみが本試験において治療されることを保証しなければならない。
【0254】
〔選択基準〕
本研究に適格な患者は、以下のすべての基準を満たす必要がある:
1.いかなる手順の前に、書面による同意を得なければならない
2.年齢 18歳
3.進行/転移がんであり、RECIST第1.1版で測定可能な病変がある患者であって、標準治療にもかかわらず進行した患者若しくは標準治療に不耐容の患者、又は標準治療が存在しない患者。患者は以下の:
疾患A
疾患B
疾患C
のいずれかの群に適合しなければならない
4.ECOG Performance Status 0-1(又は2 TBC)
5.TBC:患者には、生検に適した病変部位があり、治療施設のガイドラインによる腫瘍生検の候補となる必要がある。患者は、ベースライン時及び本試験の治療期間中に再度、新たに腫瘍生検を受ける意思がなければならない。
6.抗PI3K剤又は二次薬剤又はその関連化合物(すなわち、同じMOA)による前治療が認められている。
【0255】
〔除外基準〕
本研究に適格な患者は、以下のいずれの基準も満たしてはならない:
1.他のモノクローナル抗体(ADCと同一骨格のモノクローナル抗体、又は該当する場合は同一IOモノクローナル抗体)に対する重度の過敏症反応の既往歴
2.ADC同様、モノクローナル抗体骨格に対する血清ADA陽性である既知の病歴
3.中枢神経系(CNS)疾患のみ(該当する場合)
4.症候性のCNS転移又は軟髄膜疾患のエビデンス(脳MRI又は以前に確認された脳脊髄液(CSF)細胞診)
これまで治療された無症候性CNS転移は、最終治療(全身性抗がん療法及び局所放射線療法)が投与開始日の8週間以上前に完了している場合は、低用量ステロイドの使用が許容される以外は、許容される。
【0256】
孤立性硬膜転移のある患者が適格である。
5.臨床検査値が以下の値の範囲外である患者:
血清クレアチニン≦1.5×ULN(基準値上限)。血清クレアチニン>1.5の場合、患者は、クレアチニンクリアランス(Cockcroft-Gault式を用いて算出又は測定)>60mL/分/1.73mの場合に適格である
総ビリルビン>ULNの1.5倍。ただし、総ビリルビン>ULNの3.0倍又は直接ビリルビン>ULNの1.5倍の場合は除外。
【0257】
アラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)がULNの3倍を超える患者。ただし、肝臓に腫瘍浸潤が認められ、ALTがULNの5倍を超える患者は除外
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)がULNの3倍を超える患者。ただし、肝臓に腫瘍浸潤を認める患者は除く。ASTがULNの5倍を超える患者は除外
好中球絶対数<1.0×10e9/L
血小板数<75×10e9/L
ヘモグロビン(Hgb)<8g/dL
適当な補充療法にもかかわらず、カリウム、マグネシウム、カルシウム又はリン酸塩の異常性>CTCAEグレード1
6.心機能疾患又は臨床的に重大な心疾患であって、以下のいずれかを含む:
降圧薬の併用又は非併用である、治療を要するうっ血性心不全(NYHAグレードIII又はIV)又は収縮期血圧(SBP)160mmHg及び/又は拡張期血圧(DBP)100mmHgで特定されるコントロール不良の高血圧等の臨床的に重大な及び/又はコントロール不良の心疾患
先天性QT延長症候群であって、Fridericia補正を用いたスクリーニング心電図上のQTcF>470msec(女性)、又は>450msec(男性)
3ヵ月未満の急性心筋梗塞又は不安定狭心症(試験登録の数ヵ月前)
臨床的に重大な心機能疾患を伴う弁膜症
症候性心膜炎
既往又は進行中の心筋症
心エコー図(ECHO)又は多重ゲート収集(MUGA)スキャンにより測定された左室駆出率(LVEF)<40%
心室性、上室性、結節性不整脈、伝導異常等の臨床的に重大な心不整脈の既往又は存在(TBC修飾語:要ペースメーカー、又は薬物療法による制御なし)
心房細動の不安定性(心室応答速度>100bpm)
注:心房細動が安定している患者は、他の心臓除外基準に該当しない場合には、登録しうる
完全左脚ブロック(LBBB)、二束ブロック
臨床的に重要ないかなるST部分及び/又はT波異常
7.治療中止の原因となったこれまでのIO療法に起因する毒性。当該の毒性が当該治療の中止の原因とならなかった場合であって、医薬関連の皮膚発疹又は内分泌疾患の補充療法で適当に治療された患者は、除外しない。
8.活動性、既知の自己免疫疾患の、又はその疑いのある患者。白斑、I型糖尿病、ホルモン補充のみが必要な自己免疫疾患による残存性甲状腺機能低下症、全身治療が必要ない乾癬、又は外的誘因がなければ再発しないと予想される疾患である被験体は、当該誘因が回避できる場合に限り、登録が許可される。
9.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、活動性B型肝炎ウイルス(HBV)又はC型肝炎ウイルス(HCV)感染
適格であるためには、検査をすることは必須でない。患者が未診断のHCV(例えば、注射薬の使用歴)のリスクがある場合、HCV検査を考慮すべきである。
10.本研究での治療以外の悪性疾患。当該除外の例外としては、治癒的に治療され、試験治療前2年以内に再発しなかった悪性腫瘍、基底細胞がん及び扁平上皮皮膚がんが完全に切除されたもの、無痛性と考えられ、治療が必要なかった悪性腫瘍、上皮内がんを完全に切除されたもの等である。
11.試験薬の初回投与から2週間以内の全身性抗がん療法。マイトマイシンCやニトロソウレア等、重大な遅発性毒性をともなう細胞毒性剤については、4週間をウォッシュアウト期間とする。CTLA-4拮抗薬等の抗がん免疫療法を受けている患者には、休薬期間として6週間が示される。
12.活動性下痢CTCAEグレード2又は慢性下痢を伴う疾患(過敏性腸症候群、炎症性腸疾患等)
13.CTCAEグレード2の毒性(脱毛症、末梢神経疾患及び耳毒性を除く、CTCAEグレード3以上の場合は除外)の存在
14.全身性抗生物質療法が必要な活動性感染症
15.上部消化管の活動性潰瘍又は消化管出血
16.活動性出血性素因又は経口抗ビタミンK薬(低用量ワルファリン及びアスピリン又は同等薬を除く、INRが2.0以下の場合)
17.活動性自己免疫疾患、自己免疫に起因すると考えられる運動神経疾患、及び他の中枢神経系自己免疫疾患
18.免疫抑制剤の併用又は副腎皮質ホルモン剤の長期投与が必要な患者:
副腎機能低下症の症状における補充用量ステロイド
ステロイド外用剤、吸入剤、点眼剤、点眼薬
19.試験薬投与開始後4週間以内の感染症(インフルエンザ、水痘、肺炎球菌等)に対する生ワクチンの使用(生ワクチンの使用は、試験期間を通して認められない)
20.造血コロニー刺激因子(G-CSF、GMCSF、M-CSF等)の使用(試験薬投与開始前2週間未満)。赤血球系刺激剤は、試験薬の初回投与の少なくとも2週間前に開始されていれば使用してよい。
21.試験薬の初回投与から2週間以内の大手術(NB縦隔鏡検査、中心静脈アクセス装置の挿入、又は栄養チューブの挿入は大手術とはみなされない)
22.試験薬の初回投与から2週間以内の放射線療法。ただし、骨痛や局所的に疼痛のある腫瘍や腫瘤の治療等、限定領域への緩和的放射線治療を除く。治療に対する奏効の評価を可能にするため、患者には放射線照射を受けていない測定可能な病変が残存していなければならない
23.試験薬の初回投与から2週間以内の介入的な試験への参加
24.安全性の懸念、臨床試験手順の遵守又は試験結果の解釈により、試験責任医師の判断で患者の臨床試験への参加を妨げるような医学的状態
25.試験薬投与中及び研究治療をやめてから90日間はコンドームを使用しない性的に活発な男性であり、当該期間は子供をもうけるべきでない。精液媒介薬物送達を防ぐため、精管切除を受けた男性もコンドームを使用する必要がある
26.妊娠後から妊娠終了までの女性の状態を妊娠と定義する場合の妊婦又は授乳中の女性で、hCG検査で陽性であることが確認されたもの。内分泌腫瘍のまれな症例では、患者のhCG値が正常範囲を超えるが妊娠はみられない。当該症例では、妊娠を除外するため、血清hCG検査(上昇がない結果)及び膣/骨盤の超音波検査を再度実施すべきである。結果を確認し、医療担当者と協議の上、当該患者を本試験に登録しうる
27.妊娠の可能性がある女性。ただし、試験薬投与期間中及び試験薬の最終投与後90日間、極めて有効な避妊方法を用いていない場合は、生理学的に妊娠可能なすべての女性と定義する。効果の高い避妊方法としては以下があげられる:
完全避妊(これが患者の望ましい通常の生活様式と一致する場合。定期的な禁欲(例えば、カレンダー法、排卵法、症状体温法、排卵後の方法)及び膣外射精は、避妊方法として許容されない
女性の避妊手術(子宮摘出の有無にかかわらず外科的両側卵巣摘出術を受けたことがある)、子宮全摘出術又は卵管結紮術を、試験治療を受ける少なくとも6週間以上前に受けたことがある。卵巣摘出術単独の場合、術後のホルモンレベルの評価によって女性の生殖状態が確認された場合のみ
男性の不妊手術(スクリーニングの少なくとも6ヵ月前)。女性患者の場合、精管結紮した男性パートナーがその患者の唯一のパートナーでなければならない
子宮内避妊器具(IUD)若しくは子宮内避妊器具(IUS)又は、効能が同等である(不成功率<1%)である他のホルモン避妊、例えば、ホルモン膣輪又は経皮的ホルモン避妊方法の、経口(エストロゲン及びプロゲステロン)、注射又は移植が併用されるホルモン療法の使用。
【0258】
経口避妊薬を使用する場合、女性は試験薬投与前に、同じ錠剤の服用で最低3ヵ月間は安定していなければならない。
【0259】
適当な臨床プロファイル(例えば、適当な年齢、血管運動症状の既往歴)である、自然(自然)無月経が12ヵ月間認められた女性、又は少なくとも6週間前に両側卵巣摘出術(子宮摘出術の有無にかかわらず)又は卵管結紮術を受けた女性は、閉経後であり、妊娠の可能性がないとみなされる。卵巣摘出術のみの場合、フォローアップのホルモンレベルの評価により、女性の生殖状態が確認された場合に限り、出産の可能性はないと考えられる。
【0260】
〔用量制限毒性及び用量変更ガイドライン〕
用量制限毒性(DLT)とは、21日間のDLT評価期間中に、試験責任医師の判断により、少なくともADCと関連する可能性が考えられる以下の事象のいずれかと定義される。原疾患又は他の病因に明確かつ直接的に関連する毒性は、この定義から除外される。
【0261】
〔DLTの定義〕
血液学的DLTは以下のように定義される:
グレード3又は4 発熱性好中球減少症又は好中球減少症感染症
グレード4 7日を超えて持続する好中球減少
グレード4 血小板減少症
グレード3 臨床的に重大な出血を伴う血小板減少症、又はグレード3 血小板輸血が必要な血小板減少症
グレード3 輸血が必要な貧血
グレード4 貧血
非血液学的DLTは、以下のように定義される:
グレード4 非血液学的毒性
グレード3 最適な支持療法又は医学的介入にもかかわらず、非血液学的毒性の3日を超える持続
Hyの法則(AST及び/又はALTがULNの3倍を超え、ビリルビンがULNの2倍を超え、胆汁うっ滞(血清アルカリホスファターゼ(ALP)活性<ULNの2倍)の初期所見がなく、かつ、ウイルス性A型、B型、C型肝炎、既往又は急性肝疾患、観察された損傷を引き起こす可能性のある他の薬物等の、トランスアミナーゼ及び血清総ビリルビンの増量併用を説明できる他の理由がない場合)
グレード3又はそれ以上 過敏症/輸血関連反応(前投薬にかかわらず)。適当な臨床管理により発現後8時間以内に消失するグレード3の過敏症/輸血関連反応は、DLTとはみなされない
駆出率がベースライン時から40%未満又は20%を超える低下
グレード4 腫瘍崩壊症候群(グレード3のTLSは、不可逆的な末端臓器損傷につながらない限りDLTを構成しない)
以下の病態は非血液学的DLTとはみなされない:
グレード3 7日以内の疲労
グレード3 治療に反応し、グレード3の有害事象では3日以内にグレードが1以上改善されるか又はグレード1以下の有害事象では7日以内に改善するような前投薬がない、下痢、悪心又は嘔吐。
【0262】
AST又はALTの上昇がULNの5倍以上であるが、ULNの8倍以下で、ビリルビンの上昇を伴わず、発症後5日以内にグレード2以下に低下する。
【0263】
グレード3 血清リパーゼ又は血清アミラーゼが7日間以内で、膵炎の臨床徴候又は症状がない場合
適当な医学的管理によりDLTから回復又は安定した患者は、試験依頼者と協議の上、試験責任医師の判断により治療を継続してよい。
【0264】
〔用量改変〕
特定の毒性管理ガイドラインを以下の表に示す。表で規定されていない事象の管理は、以下が試験責任医師への指針となる場合がある。
【0265】
【表3】
【実施例3】
【0266】
方法
ADCx19の濃度を上昇させながら96時間暴露した細胞株のMTT増殖アッセイとIC50の算出を行った。
ピアソン相関(r):IC50と細胞表面CD19発現レベル(Quantum Simply Cellular microspheresによる絶対蛍光定量;非絶対、PMID 29298756のデータ)及びRNAレベル(Illumina HT-12 arraysおよびHTG EdgeSeq Oncology Biomarker Panel、PMID 29066507のデータ)について計算した。
【0267】
96時間後の相乗効果は、2つの活性化B細胞様(ABC)DLBCL(OCI-LY-3、TMD8)及び2つの胚中心(GCB)DLBCL(VAL、WSU-DLCL2)に対するChou-Talalay combination index(CI)(相乗CI<0.9、相加CI=0.9-1.1、相乗/無利益CI> 1.1)によって評価した。
【0268】
結果
ADCx19 IC50中央値は、48のB細胞リンパ腫株で4 pM(95%C.I、2-10pM)であり、CD19発現パターンに基づいて予測されるように、9つのT細胞リンパ腫株(3.5nM;95%C.I、0.8-11nM)で800倍以上高かった。B細胞リンパ腫に焦点を当てると、生体外活性は、細胞表面タンパク質レベル[(絶対定量、n=40、r -0.37 P 0.02;非絶対定量、n=42、-0.48、P 0.001)及びRNAレベル[(アレイ、n=39、-0.69 P<0.001;HTG、n=31、-0.73 P 0.001)]で測定した標的発現と相関した。DLBCLでは、BCL2及びMYC転座又はTP53不活化の存在はADCx19に対する感受性に影響を及ぼさなかった。
【0269】
その後、ADCx19をGCB及びABCDLBCL細胞株でPI3K阻害剤のイデラリシブ及びコパンリシブのいずれかと併用した。ADCx19とイデラリシブを併用すると、すべての細胞株で相乗作用が得られた。コパンリシブ(OCI-LY-3、VAL)で試験した細胞株の半数で相乗作用が観察された。
【0270】
データは以下の表の通りである。
【0271】
併用治療: ADCx19+イデラリシブ
細胞株: OCI-LY3
RRID細胞受入識別子: CVCL_8800
【0272】
【表4】
細胞株: TMD8
RRID細胞受入識別子: CVCL_A442
参考: Tohdaら、Leuk.研究30:1385-1390(52006)30:1385-1390(2006)

細胞株: VAL
RRID細胞受入識別子: CVCL_1819
【0273】
【表5】
細胞株: WSU-DLCL2
RRID細胞受入識別子: CVCL_1902
【0274】
【表6】
併用治療: ADCx19+コパンリシブ
細胞株: OCI-LY3
RRID細胞受入識別子: CVCL_8800
【0275】
【表7】
細胞株: TMD8
RRID細胞受入識別子: CVCL_A442
参考: Tohdaら、Leuk.研究30:1385-1390(2006)30:1385-1390(2006)
細胞株: VAL
RRID細胞受入識別子: CVCL_1819
【0276】
【表8】
細胞株: WSU-DLCL2
RRID細胞受入識別子: CVCL_1902
【0277】
【表9】
結論
ADCx19の強力な単剤での生体外抗リンパ腫活性は、その標的発現と相関しており、現在進行中の再発/難治性DLBCLを対象とした臨床試験を支持す。新規のイデラリシブとコパンリシブの併用データは、妥当な臨床的相乗効果を示す。
【実施例4】
【0278】
方法
ADCx19の濃度を上昇させながら96時間暴露した細胞株のMTT増殖アッセイとIC50を算出した。ピアソン相関(r):IC50と細胞表面CD19発現レベル(Quantum Simply Cellular microspheresによる絶対蛍光定量;非絶対、PMID 29298756のデータ)及びRNAレベル(Illumina HT-12 arraysおよびHTG EdgeSeq Oncology Biomarker Panel、PMID 29066507のデータ)について計算した。96時間後の相乗効果は、2つの活性化B細胞様(ABC)DLBCL(OCI-LY-3、TMD8)および2つの胚中心(GCB)DLBCL(VAL、WSU-DLCL2)に対するChou-Talalay combination index(CI)(相乗CI<0.9、相加CI0.9-1.1、相乗/無益CI> 1.1)により評価した。
【0279】
結果
B細胞リンパ腫48株におけるADCx19のIC50の中央値は4 pM(95%C.I, 2-10 pM)であり、CD19発現パターンから予想されるように、T細胞リンパ腫9株では800倍以上高かった(3.5 nM; 95%C.I, 0.8-11 nM)。B細胞リンパ腫に焦点を当てると、ADCx19の生体外活性は、細胞表面タンパク質レベル(絶対定量、n=40、r -0.37 P 0.02; 非絶対定量、n=42、- 0.48 P 0.001) およびRNAレベル(アレイ、n=39、- 0.69 P <0.001; HTG、n=31、- 0.73 P 0.001) の両方で測定した標的発現に相関があった。DLBCLでは、BCL2およびMYC転座の存在、またはTP53不活性化は、ADCx19に対する感受性に影響を及ぼさなかった。
【0280】
その後、GCB及びABCDLBCL細胞株で、ADCx19をプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(ABCのみ)、化学療法剤ベンダムスチン、及びPARP阻害剤オラパリブと併用した。
ベンダムスチンとの相乗作用は、OCI-LY-3以外のすべての細胞株で達成された。
相乗作用は、オラパリブ(VAL、WSU-DLCL2)で試験した細胞株の半数で観察された。
2つのABC DLBCL (TMD8、OCI-LY-3)において、ADCT-402にボルテゾミブ及びレナリドミドを追加しても有益性は認められなかった。
【0281】
データは以下の表の通りである。
併用: ADCx19+ベンダムスチン
細胞株: OCI-LY3
RRID細胞受入識別子: CVCL_8800
【0282】
【表10】
細胞株: TMD8
RRID細胞受入識別子: CVCL_A442
参考: Tohdaら、Leuk.研究30:1385-1390(2006)30:1385-1390(2006)
【0283】
【表11】
細胞株: VAL
RRID細胞受入識別子: CVCL_1819
【0284】
【表12】
細胞株: WSU-DLCL2
RRID細胞受入識別子: CVCL_1902
【0285】
【表13】
併用: ADCx19+オラパリブ
細胞株: OCI-LY3
RRID細胞受入識別子: CVCL_8800
【0286】
【表14】
細胞株: TMD8
RRID細胞受入識別子: CVCL_A442
参考: Tohdaら、Leuk.研究30:1385-1390(2006)30:1385-1390(2006)

細胞株: VAL
RRID細胞受入識別子: CVCL_1819
【0287】
【表15】
細胞株: WSU-DLCL2
RRID細胞受入識別子: CVCL_1902
【0288】
【表16】
ADCx19+ボルテゾミブの併用
細胞株: OCI-LY3
RRID細胞受入識別子: CVCL_8800
【0289】
【表17】
細胞株: TMD8
RRID細胞受入識別子: CVCL_A442
参考: Tohdaら、Leuk.研究30:1385-1390(2006)30:1385-1390(2006)
【0290】
【表18】
ADCx19+レナリドミドの併用
細胞株: OCI-LY3
RRID細胞受入識別子: CVCL_8800
【0291】
【表19】
細胞株: TMD8
RRID細胞受入識別子: CVCL_A442
参考: Tohdaら、Leuk.研究30:1385-1390(2006)30:1385-1390(2006)
【0292】
【表20】
結論
ADCx19の強力な単剤での生体外抗リンパ腫活性は、その標的発現と相関しており、現在進行中の再発・難治性DLBCLを対象とした臨床試験を支持する。新規のイデラリシブとコパンリシブの併用データは、妥当な臨床的相乗効果を示す。
図1
図2
【配列表】
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【国際調査報告】