(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-09
(54)【発明の名称】熱スイッチ
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20220802BHJP
H01F 6/04 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
F25B9/00 Z
H01F6/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576902
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2020069795
(87)【国際公開番号】W WO2021009140
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】102019119099.1
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521561570
【氏名又は名称】キウトラ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レグナト, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シュパレク, ヤン
(57)【要約】
本開示は、装置、装置を有するシステム、および装置を動作させる方法に関する。本開示は、具体的には、真空チャンバ、特に、多段断熱消磁冷凍機等の低温保持装置の真空チャンバの内側における使用のための、機械的熱スイッチに関する。本開示の目的は、真空チャンバの中への入熱を低減させることである。超低温における、特に、ミリケルビン範囲内での使用のために好適である、機械的熱スイッチを提供することが、別の目的である。本開示は、第1の熱デバイスと、第2の熱デバイスと、第1の熱デバイスおよび第2の熱デバイスを接続するように構成される、接続要素とを備える、装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、熱スイッチである装置であって、
第1の熱デバイスと、
第2の熱デバイスと、
前記第1の熱デバイスおよび前記第2の熱デバイスを解放可能に接続するように構成される接続要素であって、前記第1の熱デバイスと前記第2の熱デバイスとの間の前記接続は、少なくとも1つの弾性要素によって提供される帰還力を用いて解放可能である、接続要素と
を備える、装置。
【請求項2】
前記第1の熱デバイスは、前記接続要素を含み、特に、前記第2の熱デバイスは、前記第1の熱デバイスの接続要素を収容するように構成される収容空間を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接続要素は、可変の直径を有する、および/または、前記接続要素は、1つ以上のスリットを有する中空の円筒である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記接続要素の中に挿入可能であるプラグをさらに備える、請求項1-3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記プラグは、前記接続要素と前記第2の熱デバイスとの間に機械的接触を確立するために、前記接続要素の可変の直径を拡大するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記プラグは、その外側表面上に粘着防止コーティングを有し、特に、前記粘着防止コーティングは、ポリテトラフルオロエチレンと、硫化モリブデンとから成る群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記プラグを変位方向に対して平行に変位させるように構成される変位機構をさらに含み、特に、前記変位方向は、前記装置の垂直方向および長手方向軸のうちの少なくとも一方に対して平行である、請求項4-6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記変位機構は、前記プラグに接続される第1の端部と、アクチュエータに接続される第2の端部とを有する少なくとも1つの第1の糸またはロッドを含み、特に、前記少なくとも1つの第1の糸またはロッドは、前記第1の熱デバイスの内部を通して延在する、および/または、
前記変位機構は、前記少なくとも1つの弾性要素と、前記プラグに接続される第1の端部を有する少なくとも1つの第2の糸またはロッドとを含み、特に、前記少なくとも1つの弾性要素は、ばねである、および/または、前記少なくとも1つの第2の糸またはロッドは、前記第2の熱デバイスの内部を通して延在する、および/または、前記第2の熱デバイスは、前記第1の熱デバイスと前記少なくとも1つの弾性要素との間に位置する、および/または、
前記変位機構は、アンカを含み、前記少なくとも1つの第2の糸またはロッドの第2の端部は、前記アンカに接続され、特に、前記アンカは、前記プラグの変位方向に対して略平行に移動可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の熱デバイスは、第1の温度の第1の温度段として構成され、特に、前記第1の温度は、1K以上かつ4K以下であり、および/または、
前記第1の熱デバイスは、第2の温度の第2の温度段として構成され、特に、前記第2の温度は、1K以下である、
請求項1-8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置はさらに、前記第1の熱デバイスおよび前記第2の熱デバイスを支持するように構成される支持構造を含み、特に、前記支持構造は、第3の温度の第3の温度段として構成され、特に、前記第3の温度は、4K以上である、請求項1-9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の熱デバイスおよび/または前記第2の熱デバイスは、前記支持構造の内部内に配列される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第2の温度は、前記第1の温度より低い、および/または、前記第1の温度は、前記第3の温度より低い、および/または、前記第2の温度は、前記第3の温度より低い、請求項9-11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の熱デバイスを保持するように構成される第1の保持構造であって、特に、前記第1の保持構造は、前記第1の熱デバイスを懸吊状態において保持するように構成される、および/または、前記第1の保持構造は、少なくとも1つの第1の保持糸またはロッドを含み、特に、前記少なくとも1つの第1の保持糸またはロッドは、前記支持構造に接続される第1の端部と、前記第1の熱デバイスに接続される第2の端部とを有する、第1の保持構造、および/または、
前記第2の熱デバイスを保持するように構成される第2の保持構造であって、特に、前記第2の保持構造は、前記第2の熱デバイスを懸吊状態において保持するように構成される、および/または、前記第2の保持構造は、少なくとも1つの第2の保持糸またはロッドを含み、特に、前記少なくとも1つの第2の保持糸またはロッドは、前記支持構造に接続される第1の端部と、前記第2の熱デバイスに接続される第2の端部とを有する、第2の保持構造
をさらに備える、請求項1-12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記支持構造における第1の予引張機構であって、前記少なくとも1つの第1の保持糸またはロッドの第1の端部は、前記第1の予引張機構に接続される、第1の予引張機構、および/または、
前記支持構造における第2の予引張機構であって、前記少なくとも1つの第2の保持糸またはロッドの第1の端部は、前記第2の予引張機構に接続される、第2の予引張機構
をさらに備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
特に、断熱消磁冷凍機または多段断熱消磁冷凍機等の低温保持装置であるシステムであって、
真空チャンバと、
前記請求項のいずれか1項に記載の少なくとも1つの装置であって、特に、前記装置は、前記真空チャンバ内の温度面積を熱的に接続および接続解除するために構成される、少なくとも1つの装置と
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装置、装置を有するシステム、および装置を動作させる方法に関する。本開示は、具体的には、真空チャンバ、特に、多段断熱消磁冷凍機等の低温保持装置の真空チャンバの内側における使用のための、機械的熱スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
低温保持装置は、概して、低温保持装置内に搭載されるサンプルの低温を維持するために使用される。低温は、例えば、液体ヘリウム等の低温流体槽を使用することによって、達成され得る。しかしながら、液体ヘリウム等の冷却媒体は、低温保持装置内の外部および/または内部入熱に起因して持続的に蒸発し、したがって、定期的に補充される必要がある。これは、かなりの時間およびリソースを要求し、それによって、そのような低温保持装置の運用コストが、高くなる。
【0003】
上記の欠点を克服するために、極低温剤を含まない低温保持装置が、開発されている。極低温剤を含まない低温保持装置は、パルス管低温冷却器等の極低温剤を含まない閉サイクルシステムを採用してもよい。現代のパルス管低温冷却器は、最低1.2Kの温度を達成することができる。ケルビン未満の温度を達成するために、磁気冷却段が、極低温剤を含まない閉サイクルシステムに加えて使用されることができる。磁気冷却段は、最低数ミリケルビンの温度を達成し得る、断熱消磁冷凍機(ADR)であってもよい。ADRは、磁気熱量効果に基づく。媒体が、磁化されると、その磁気モーメントが、整合され、磁化の熱が、解放される。逆に、媒体が、消磁される場合、その温度が、降下する。
【0004】
特に、ケルビン未満の温度において、低温保持装置内への入熱は、極めて重要である。低温保持装置の内側は、外側から断熱される必要がある。本目的のために、真空チャンバ内への入熱、特に、ミリケルビン段等の低温段への入熱を低減させることが、有益であり得る。
【0005】
上記に照らして、当技術分野における問題のうちの少なくともいくつかを克服する、新しい装置、装置を有するシステム、および装置を動作させる方法が、有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に照らして、装置、装置を有するシステム、および装置を動作させる方法が、提供される。
【0007】
本開示の目的は、真空チャンバの中への入熱を低減させることである。超低温における、特に、ミリケルビン範囲内での使用のために好適である、機械的熱スイッチを提供することが、別の目的である。本開示のさらなる側面、利点、および特徴が、請求項、説明、および付随の図面から明白である。
【0008】
本開示のある側面によると、装置が、提供される。本装置は、第1の熱デバイスと、第2の熱デバイスと、第1の熱デバイスおよび第2の熱デバイスを接続するように構成される、接続要素とを含む。接続要素は、第1の熱デバイスおよび第2の熱デバイスを機械的かつ熱的に接続するように構成されてもよい。
【0009】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、接続要素は、第1の熱デバイスおよび第2の熱デバイスを解放可能に接続するように構成される。
【0010】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第1の熱デバイスは、接続要素を含む。
【0011】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第2の熱デバイスは、第1の熱デバイスの接続要素を収容するように構成される、収容空間を有する。
【0012】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、接続要素は、変形可能である、および/または可変の直径を有する。
【0013】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、接続要素は、中空の円筒である、および/または1つ以上のスリットまたはカットアウトを有する。例えば、接続要素は、1つ以上のスリットまたはカットアウトを有する、中空の円筒である。
【0014】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本装置はさらに、プラグを含む。
【0015】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、プラグは、接続要素の中に挿入可能である。
【0016】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、プラグは、接続要素と第2の熱デバイスとの間に機械的接触を確立するために、接続要素を変形させる、および/または接続要素の可変の直径を拡大するように構成される。
【0017】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、プラグは、その外側表面上に粘着防止コーティング(「非粘着コーティング」または「接着防止コーティング」としても公知である)を有する。例えば、粘着防止コーティングは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、例えば、テフロン(登録商標))と、硫化モリブデンとを含む群から選択される、少なくとも1つの材料を含んでもよい。
【0018】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、粘着防止コーティングは、硬質コーティングである。言い換えると、粘着防止コーティングは、真空グリース等の流体または潤滑剤ではない。
【0019】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本装置はさらに、プラグを第1の方向または変位方向に対して平行に変位させるように構成される、変位機構を含む。
【0020】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第1の方向または変位方向は、垂直方向および/または本装置の長手方向軸に対して略平行である。
【0021】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、変位機構は、プラグに接続される第1の端部と、アクチュエータに接続される、第2の端部とを有する、少なくとも1つの第1の糸またはロッドを含む。
【0022】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、少なくとも1つの第1の糸またはロッドは、第1の熱デバイスの内部を通して延在する。
【0023】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、変位機構は、少なくとも1つの弾性要素と、プラグに接続される第1の端部と、例えば、直接、またはアンカを介して間接的に、少なくとも1つの弾性要素に接続される、第2の端部とを有する、少なくとも1つの第2の糸またはロッドとを含む。
【0024】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、変位機構は、アンカを含む。少なくとも1つの弾性要素の第1の端部は、アンカに接続される、またはそれ対して当接する。随意に、少なくとも1つの弾性要素の第2の端部は、本装置の支持構造に接続される、またはそれに対して当接する。アンカは、プラグの変位方向に対して略平行な方向において移動可能であることができる。
【0025】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、少なくとも1つの弾性要素は、ばねである。
【0026】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、少なくとも1つの第2の糸またはロッドは、第2の熱デバイスの内部を通して延在する。
【0027】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第2の熱デバイスは、第1の熱デバイスと少なくとも1つの弾性要素との間に位置する。
【0028】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第1の熱デバイスおよび/または第2の熱デバイスは、円筒形状を有する。
【0029】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本装置はさらに、第1の熱デバイスおよび/または第2の熱デバイスを支持するように構成される、支持構造を含む。
【0030】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第1の熱デバイスは、第1の温度の第1の温度段として構成される、および/または第2の熱デバイスは、第2の温度の第2の温度段として構成される、および/または支持構造は、第3の温度の第3の温度段として構成される。
【0031】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第2の温度は、第1の温度より低い、および/または第1の温度は、第3の温度より低い、および/または第2の温度は、第3の温度より低い。
【0032】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第1の温度は、1K以上かつ4K以下である、および/または第2の温度は、1K以下である、および/または第3の温度は、4K以上である。
【0033】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本装置はさらに、第1の熱デバイスを保持するように構成される、第1の保持構造を含む。
【0034】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第1の保持構造は、第1の熱デバイスを懸吊状態において保持するように構成される。
【0035】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第1の保持構造は、少なくとも1つの第1の保持糸またはロッドを含む。
【0036】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、少なくとも1つの第1の保持糸またはロッドは、支持構造に接続される、第1の端部と、第1の熱デバイスに接続される、第2の端部とを有する。
【0037】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本装置はさらに、支持構造において第1の予引張機構を含む。
【0038】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、少なくとも1つの第1の保持糸またはロッドの第1の端部は、第1の予引張機構に接続される。
【0039】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本装置はさらに、第2の熱デバイスを保持するように構成される、第2の保持構造を含む。
【0040】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第2の保持構造は、第2の熱デバイスを懸吊状態において保持するように構成される。
【0041】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第2の保持構造は、少なくとも1つの第2の保持糸またはロッドを含む。
【0042】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、少なくとも1つの第2の保持糸またはロッドは、支持構造に接続される、第1の端部と、第2の熱デバイスに接続される、第2の端部とを有する。
【0043】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本装置はさらに、支持構造において第2の予引張機構を含む。
【0044】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、少なくとも1つの第2の保持糸またはロッドの第1の端部は、第2の予引張機構に接続される。
【0045】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、第1の熱デバイスおよび/または第2の熱デバイスは、支持構造の内部内に配列される。例えば、支持構造は、第1の熱デバイスおよび/または第2の熱デバイスを囲繞してもよい。
【0046】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本装置は、第1の温度の面積および第2の温度の面積等、真空チャンバ内の(例えば、2つの異なる)温度面積または領域を熱的に接続および接続解除するために構成される。好ましくは、真空チャンバは、低温保持装置の真空チャンバである。
【0047】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本装置は、熱スイッチまたはヒートスイッチである。好ましくは、本装置は、機械的熱スイッチまたは機械的ヒートスイッチである。
【0048】
本開示のさらなる独立した側面によると、システムが、提供される。本システムは、本開示の実施形態による、真空チャンバと、装置とを含む。特に、本装置は、第1の熱デバイスと、第2の熱デバイスと、第1の熱デバイスおよび第2の熱デバイスを(機械的かつ熱的に)接続するように構成される、接続要素とを含んでもよい。
【0049】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本システムは、低温保持装置である。
【0050】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本システムは、断熱消磁冷凍機である。好ましくは、本システムは、多段断熱消磁冷凍機である。
【0051】
本開示のさらなる独立した側面によると、本開示の実施形態による、装置を動作させる方法が、提供される。本方法は、接続要素と、第1の熱デバイスと、第2の熱デバイスとの間に機械的接触を確立するステップを含む。
【0052】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、本方法は、少なくとも接続要素と第2の熱デバイスとの間の機械的接触を解放するステップを含む。
【0053】
実施形態はまた、開示される方法を行うための装置も対象とし、各説明される方法側面を実施するための装置部品も含む。これらの方法側面は、ハードウェアコンポーネント、適切なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータを用いて、その2つの任意の組み合わせによって、または任意の他の様式において実施されてもよい。さらに、本開示による実施形態はまた、説明される装置を動作させるための方法も対象とする。これは、本装置のあらゆる機能を行うための、方法側面も含む。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本開示の上記に列挙される特徴が詳細に理解され得る様式におけるように、上記に簡略的に要約される、本開示のより特定の説明が、実施形態を参照することによって、得られ得る。付随の図面は、本開示の実施形態に関し、以下に説明される。
【
図1】
図1は、本明細書に説明される実施形態による、装置の概略図を示す。
【
図2】
図2は、本明細書に説明される実施形態による、システムの概略図を示す。
【
図3】
図3は、本明細書に説明される実施形態による、装置を動作させる方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
その1つ以上の実施例が図に図示される、本開示の種々の実施形態が、ここで、詳細に参照されるであろう。図面の以下の説明において、同一の参照番号は、同一のコンポーネントを指す。概して、個々の実施形態に対する差異のみが、説明される。各実施例は、本開示の解説として提供され、本開示の限定であることを意図していない。さらに、一実施形態の一部として例証または説明される特徴は、他の実施形態に関して、またはそれと併せて使用され、さらにさらなる実施形態をもたらすことができる。本説明が、そのような修正と、変形例とを含むことが、意図される。
【0056】
低温および超低温において、真空チャンバの中への熱の伝達を低減させることが、有益であり得る。特に、熱漏出の発生を防止することが、有益である。
【0057】
ヒートスイッチとも呼ばれる、熱スイッチは、少なくとも2つの切り替え可能な熱伝導率を伴うデバイスである。したがって、それらは、特に、複数の段の冷却デバイス内の熱管理システムの重要な機能構成要素である。熱スイッチは、以下の基準によって特徴付けられる。
【0058】
切替比:「オン」伝導度と「オフ」伝導度の比率。概して、高い切替比が、所望され、最適なものは、非常に高い「オン」伝導度およびゼロの「オフ」伝導度である。実際のシステムでは、これは、達成可能ではないため、実際の熱スイッチは、非常に高い「オン」伝導度を呈しながら、最適ではない「オフ」伝導度を受け入れるように設計されてもよい。
【0059】
作動の種類:多くの熱スイッチ設計、例えば、機械式、電気機械式、電気熱量式、液晶、ガスギャップ、超伝導性等が、存在する。各タイプの熱スイッチは、所望の動作分野に応じて、利点と、欠点とを有する。
【0060】
動作温度:多くの熱スイッチは、使用される物理的効果が、ある温度範囲の外側においては、小さい、または存在していない場合があるため、ある温度レジーム内でのみ稼働する。一実施例は、スイッチ材料の超伝導相内で動作することが必要である、超伝導性熱スイッチである。
【0061】
機械的熱スイッチは、超低温における動作のために最適化されてもよい。概して、機械的熱スイッチは、ほぼ全ての温度範囲内での動作のために非常に好適であり、大部分の他の技術と比較して、優れた切替比を呈する。それらは、大型であり(それらは、良好な熱的接続を確実にするために、高い力を発生させる必要がある)、可動部品を含有する傾向にあるため、多くの用途において、より優れた代替物が、存在する。しかしながら、冷却システムの冷却出力が急速に減少し、熱伝導率が低い、低温レジーム(4K未満)では、機械的熱スイッチの高い切替比および低い「オフ」コンダクタンスが、非常に魅力的である。
【0062】
4Kにおいて、大部分の低温システムは、スイッチを動作させる間、可動部品によって生産された熱を吸収するために十分な冷却出力、および高い力を吸収する、丈夫な懸吊を提供するが、より低い温度において、これは、4Kを下回る動作温度において、瞬く間に問題となる。懸吊を通した熱漏出、アクチュエータ(例えば、シャフト)への接続、および切替において生産される熱の組み合わせは、より低温の冷凍機段の冷却出力より高い場合がある。
【0063】
本開示の実施形態は、これらの欠点を克服し、現在可能性として考えらえるものよりも優位に低い温度における、機械的熱スイッチの使用を可能にする。
【0064】
図1は、本明細書に説明される実施形態による、装置100の概略図を示す。
【0065】
装置100は、熱スイッチ、特に、機械的熱スイッチである。用語「機械的」は、熱的接続が、機械的接触を用いて達成される意味において理解されるべきである。機械的接続は、例えば、超伝導を使用し、熱的接続を提供する、超伝導性熱スイッチから機械的熱スイッチを区別する。
【0066】
装置100は、真空チャンバ、特に、低温保持装置の真空チャンバ内の2つの異なる温度面積または領域を熱的に接続および接続解除するために構成されてもよい。低温保持装置は、限定ではないが、断熱消磁冷凍機、特に、多段断熱消磁冷凍機であってもよい。
【0067】
ここで
図1に目を向けると、装置100は、第1の熱デバイス110と、第2の熱デバイス120と、第1の熱デバイス110および第2の熱デバイス120を接続するように構成される、接続要素130とを含む。接続要素130は、第1の熱デバイス110と第2の熱デバイス120との間に、機械的接触、したがって、熱的接触を提供するように構成される。
【0068】
例えば、接続要素130は、第1の熱デバイス110および第2の熱デバイス120を解放可能に接続するように構成されてもよい。特に、装置100は、閉鎖状態と、開放状態とを有するように構成されてもよい。閉鎖状態において、接続要素130は、第1の熱デバイス110と第2の熱デバイス120との間に、機械的接触、したがって、熱的接触を提供する。開放状態において、接続要素130は、解放され、第1の熱デバイス110と第2の熱デバイス120との間に機械的接触を提供しない。言い換えると、開放状態において、少なくとも接続要素130、および第1の熱デバイス110、および/または第2の熱デバイス120の間には、機械的接触が、存在しない。それによって、第1の熱デバイス110および第2の熱デバイス120は、相互から断熱されることができ、異なる温度において保持されることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1の熱デバイス110は、接続要素130を含む。第2の熱デバイス120は、第1の熱デバイス110の接続要素130を収容するように構成される、収容空間122を有してもよい。接続要素130は、装置100の閉鎖状態において、収容空間122の内壁124に接触してもよく、装置100の開放状態において、収容空間122の内壁124に接触しない場合がある。開放状態において、収容空間122の内壁124と接続要素130との間には、間隙が、存在してもよい。間隙は、0.5mm以上、好ましくは、1mm以上、より好ましくは、2mm以上でもよい。加えて、または代替として、間隙は、5mm以下、好ましくは、3mm以下、好ましくは、2mm以下、より好ましくは、1mm以下であることができる。間隙は、水平方向2において画定されてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態によると、第1の熱デバイス110および/または第2の熱デバイス120および/または接続要素130および/または収容空間124は、円筒形状を有する。用語「円筒」は、一般的に、円形の底部形状と、円形の上側形状と、上側円および下側円を接続する、湾曲した表面積またはシェルとを有するものとして受け入れられるものとして理解されることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、接続要素130および収容空間124は、円筒形状等の対応する形状を有する。しかしながら、本開示は、それに限定されず、接続要素130および収容空間124は、円筒形状以外の形状を有することができる。
【0072】
第1の熱デバイス110および/または第2の熱デバイス120および/または接続要素130および/または収容空間124は、個別の長手方向の軸を有することができる。特に、第1の熱デバイス110は、第1の長手方向軸を有してもよい、および/または第2の熱デバイス120は、第2の長手方向軸を有してもよい、および/または接続要素130は、第3の長手方向軸を有してもよい、および/または収容空間124は、第4の長手方向軸を有してもよい。第1から第4の長手方向の軸のうちの1つ以上のもの、好ましくは、第1から第4の長手方向の軸の全てが、相互と一致してもよい。円筒形状が、提供される場合、長手方向軸/複数の軸は、個別の円筒の円筒軸に対応してもよい。
【0073】
第1から第4の長手方向軸は、一般的に、「装置100の長手方向軸10」と称され得る。第1から第4の長手方向の軸は、特に、装置100が、真空チャンバの内側において搭載されると、垂直方向1に対して略平行であり得る。
【0074】
用語「垂直方向」または「垂直配向」は、「水平方向」または「水平配向」を区別するために理解される。すなわち、「垂直方向」または「垂直配向」は、例えば、装置100の第1から第4の軸および/または長手方向軸10の略垂直な配向に関し、厳密な垂直方向または垂直配向からの数度、例えば、最大10°またはさらに最大15°の逸脱は、依然として、「略垂直方向」または「略垂直配向」として見なされる。垂直方向は、重力に対して略平行であることができる。
【0075】
いくつかの実施形態によると、接続要素130は、変形可能であってもよい。例えば、接続要素130は、可変の直径を有してもよい。接続要素130の可変の直径は、長手方向軸10に対して略垂直の方向において画定されることができる。例えば、接続要素130の可変の直径は、水平方向2において画定されることができる。可変の直径は、開放状態における第1の値と、閉鎖状態における第2の値とを有してもよい。第1の値は、第2の値より小さくてもよい。言い換えると、接続要素130の直径は、接続要素130が、第2の熱デバイス120に接触しないように、開放状態において小さく(より小さく)てもよい。さらに、接続要素130の直径は、接続要素130が、第2の熱デバイス120に接触するように、閉鎖状態において大きく(より大きく)てもよい。いくつかの実施形態では、閉鎖状態の第2の値は、本質的に、収容空間124の内径に対応してもよい。
【0076】
可変の直径を提供するために、接続要素130は、1つ以上のスリットまたはカットアウトを有してもよい。例えば、接続要素130は、1つ以上のスリットまたはカットアウトを有する、中空の円筒であってもよい。1つ以上のスリットまたはカットアウトは、装置100の長手方向軸10に対して略平行である、長手方向の拡張部を有してもよい。スリットまたはカットアウトの数は、2つ以上、好ましくは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれを上回ってもよい。
【0077】
いくつかの実施形態によると、装置100はさらに、プラグ140を含む。プラグ140は、例えば、下方から、接続要素130の中に挿入可能であってもよい。プラグ140は、接続要素130と第2の熱デバイス120との間に機械的接触を確立するために、接続要素130の可変の直径を変形させる、および/または拡大するように構成されてもよい。
【0078】
プラグ140は、円錐台形状等の円錐形状を有してもよい。円錐体は、第1の側(例えば、上側または上部側)と、第2の側(例えば、下側または底部側)と、第1の側および第2の側を接続する、側面とを有してもよい。第1の側の直径は、第2の側の直径より小さくてもよい。プラグ140は、第1の側から、接続要素130の中に挿入可能であってもよい。プラグ140が、接続要素130の中に挿入されると、接続要素130の直径は、増大してもよい。プラグ140が、接続要素130から除去されると、接続要素130の直径は、減少してもよい。
【0079】
いくつかの実装では、プラグ140は、その外側表面上に粘着防止コーティング(「非粘着コーティング」または「接着防止コーティング」としても公知である)を有してもよい。例えば、粘着防止コーティングは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、例えば、テフロン(登録商標))と、硫化モリブデンとを含む群から選択される、少なくとも1つの材料を含んでもよい。粘着防止コーティングは、プラグの本体140を被覆する(またはその上にコーティングされる)、材料層であってもよい。プラグの本体140は、銅、銀、または金等の異なる材料から作製されてもよい。粘着防止コーティングは、プラグ140を接続要素130の中に挿入する、または接続要素130からプラグ140を除去するとき、摩擦に起因する発熱を低減させることができる。
【0080】
いくつかの実装では、装置100はさらに、プラグ140を第1の方向または変位方向に対して略平行に変位させるように構成される、変位機構を含む。第1の方向または変位方向は、垂直方向1および/または装置100の長手方向軸10に対して略平行であってもよい。
【0081】
用語「略平行」は、例えば、長手方向軸10および変位方向の略平行な配向に関し、厳密な平行配向からの数度、例えば、最大5°またはさらに最大10°の逸脱は、依然として、「略平行」であると見なされる。
【0082】
いくつかの実施形態によると、変位機構は、プラグ140に接続される第1の端部(例えば、その第1の側)と、アクチュエータ(図示せず)に接続される第2の端部とを有する、少なくとも1つの第1の糸152を含む。少なくとも1つの第1の糸152は、第1の熱デバイス110の内部を通して延在してもよい。アクチュエータは、電気モータおよび/またはステッパモータ等のモータであってもよい。アクチュエータは、少なくとも1つの第1の糸152を変位方向において移動させる、例えば、巻上および/または引動し、プラグ140を接続要素130に向かって、移動させ、したがって、閉鎖状態にするように構成されてもよい。少なくとも1つの第1の糸152は、第1の熱デバイス110の内部を通して延在してもよい。
【0083】
いくつかの実施形態によると、変位機構は、少なくとも1つの弾性要素156と、少なくとも1つの第2の糸154とを含んでもよい。少なくとも1つの弾性要素156は、ばねであってもよい。少なくとも1つの第2の糸154は、第2の熱デバイス120の内部を通して延在してもよい。加えて、または代替として、第2の熱デバイス120は、第1の熱デバイス110と少なくとも1つの弾性要素154との間に位置してもよい。
【0084】
少なくとも1つの第2の糸154の第1の端部は、プラグ140(例えば、その第2の側)に接続されてもよく、少なくとも1つの第2の糸154の第2の端部は、例えば、直接、またはアンカ158を介して間接的に、少なくとも1つの弾性要素156の第1の端部に接続されてもよい。例えば、少なくとも1つの弾性要素156の第1の端部は、少なくとも1つの第2の糸154の第2の端部が接続される、アンカ158に対して当接してもよい。少なくとも1つの弾性要素156の第2の端部が、支持構造160に対して当接してもよい。したがって、少なくとも1つの弾性要素158は、支持構造160とアンカ158との間に差し込まれてもよい。
【0085】
いくつかの実装では、アンカ158は、プラグ140の変位方向および/または長手方向軸10に対して略平行な方向において移動可能であることができる。プラグ140が、移動するとき、アンカ158は、同一の方向において移動してもよい。
【0086】
アクチュエータは、例えば、保持力を提供することによって、閉鎖状態において、少なくとも1つの第1の糸152を介して、プラグ140を保持するように構成されてもよい。例えば、少なくとも1つの第1の糸152を巻解することによって、保持力が、解放されると、少なくとも1つの弾性要素156は、復元力を提供し、これは、プラグ140を接続要素130から離れるような変位方向において移動させ、したがって、開放状態にしてもよい。
【0087】
上記の説明では、少なくとも1つの第1の糸152および少なくとも1つの第2の糸154は、実施例として提供される。他の実施形態では、少なくとも1つの第1のロッドが、少なくとも1つの第1の糸152の代わりに提供されてもよい。加えて、または代替として、少なくとも1つの第2のロッドが、少なくとも1つの第2の糸154の代わりに提供されてもよい。少なくとも1つの第1のロッドおよび/または少なくとも1つの第2のロッドは、ねじ山付きロッドであることができるが、それに限定されるものではない。
【0088】
少なくとも1つの第1のロッドおよび/または少なくとも1つの第2のロッドは、低熱伝導率を有する材料から作製されてもよい。丈夫なロッドを使用することは、プラグが、(スイッチを閉鎖するように)引動され、(スイッチを開放するように)押動され得るため、少なくとも1つの弾性要素156および少なくとも1つの第2のロッドの使用を伴わなくとも熱スイッチを作動させることを可能にする。
【0089】
本開示では、糸は、フィラメント、ともに捻転されるフィラメントの群、または短い繊維を連続的撚線に紡績および捻転させることによって形成される、フィラメント状の長さとして理解されることができる。それと対照的に、ロッドは、一直線かつ丈夫なスティックとして理解されることができる。
【0090】
いくつかの実施形態によると、装置100はさらに、第1の熱デバイス110および/または第2の熱デバイス120および/または少なくとも1つの弾性要素156等の変位機構の少なくとも一部を支持するように構成される、支持構造160を含んでもよい。第1の熱デバイス110および/または第2の熱デバイス120は、支持構造160の内部内に配列されてもよい。例えば、支持構造160は、第1の熱デバイス110および/または第2の熱デバイス120を囲繞してもよい。いくつかの実装では、少なくとも1つの弾性要素154は、支持構造160の下側または底部側等、支持構造160の外側において提供されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、第1の熱デバイス110は、第1の温度の第1の温度段として構成されてもよい、および/または第2の熱デバイス120は、第2の温度の第2の温度段として構成されてもよい、および/または支持構造160は、第3の温度の第3の温度段として構成されてもよい。第2の温度は、第1の温度より低くてもよい、および/または第1の温度は、第3の温度より低くてもよい、および/または第2の温度は、第3の温度より低くてもよい。
【0092】
例えば、第1の温度は、1K以上かつ4K以下である、および/または第2の温度は、1K以下である、および/または第3の温度は、4K以上である。3段構成は、最も冷たい段、すなわち、第2の熱デバイスへの入熱を低減させる。それによって、より低温が、最も冷たい段において達成されることができる。さらに、低温は、より安定して維持されることができる。
【0093】
いくつかの実施形態によると、装置100は、第1の熱デバイス110を保持するように構成される、第1の保持構造170を含む。加えて、または代替として、装置100は、第2の熱デバイス120を保持するように構成される、第2の保持構造180を含む。第1の保持構造170および第2の保持構造180は、相互から本質的に断熱されるような、独立した構造であることができる。
【0094】
いくつかの実装では、第1の保持構造170は、第1の熱デバイス110を懸吊状態において保持するように構成される。加えて、または代替として、第2の保持構造180は、第2の熱デバイス120を懸吊状態において保持するように構成される。それによって、第1の熱デバイスとその周囲との間の接触、および/または第2の熱デバイス120とその周囲との間の接触が、最小限化されることができ、それによって、ひいては、入熱が、低減されることができる。
【0095】
第1の保持構造170は、少なくとも1つの第1の保持糸172を含んでもよい。少なくとも1つの第1の保持糸172は、支持構造160に接続される第1の端部と、第1の熱デバイス110に接続される第2の端部とを含んでもよい。加えて、または代替として、第2の保持構造180は、少なくとも1つの第2の保持糸182を含んでもよい。少なくとも1つの第2の保持糸182は、支持構造160に接続される第1の端部と、第2の熱デバイス120に接続される第2の端部とを有する。保持糸は、第1の熱デバイス110と支持構造160との間、そして第2の熱デバイス120と支持構造160との間の熱伝導を最小限化し得る。
【0096】
いくつかの実装では、少なくとも1つの第1の保持糸172および/または少なくとも1つの第2の保持糸182は、本装置の長手方向軸10に対して略平行に延在してもよい。少なくとも1つの第1の保持糸172の数は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはさらにそれを上回ってもよい。同様に、少なくとも1つの第2の保持糸182の数も、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはさらにそれを上回ってもよい。保持糸172、182は、それぞれ、第1の熱デバイス110および第2の熱デバイス120の外周の周囲に等距離に配列されてもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の保持構造170および/または第1の第2の保持構造180は、それぞれ、第1の熱デバイス110および第2の熱デバイス120の周囲に対称的に配列される。
【0098】
例えば、1つ以上の第1の保持糸172(例えば、3つの第1の保持糸)が、第1の熱デバイス110から、第1の方向に沿って(例えば、上向きに)、支持構造160の第1の部分162まで延在してもよい。加えて、1つ以上のさらなる第1の保持糸172(例えば、3つのさらなる第1の保持糸)が、第1の熱デバイス110から、第1の方向の反対の第2の方向において(例えば、下向きに)、支持構造160の第2の部分164まで延在してもよい。
【0099】
同様に、1つ以上の第2の保持糸182(例えば、3つの第1の保持糸)も、第2の熱デバイス120から、第1の方向に沿って(例えば、上向きに)、支持構造160の第2の部分164まで延在してもよい。加えて、1つ以上のさらなる第2の保持糸182(例えば、3つのさらなる第2の保持糸)が、第2の熱デバイス120から、第1の方向の反対の第2の方向において(例えば、下向きに)、支持構造160の第3の部分166まで延在してもよい。
【0100】
上向きおよび下向きに延在する、第1および/または第2の保持糸172、182は、それぞれ、第1の熱デバイス110および第2の熱デバイス120の外周の周囲に交互に配列されてもよい。
【0101】
いくつかの実装では、第1の部分162、第2の部分164、および第3の部分166は、長手方向軸10に沿って順次配列される、リングであってもよい。いくつかの実施形態によると、スペーサが、第1の部分162と第2の部分164との間、そして第2の部分164と第3の部分166との間に提供されることができる。
【0102】
いくつかの実施形態によると、装置100は、支持構造160において第1の予引張機構174を含む。少なくとも1つの第1の保持糸172の第1の端部は、第1の予引張機構174に接続されてもよい。それによって、少なくとも1つの第1の保持糸172は、第1の熱デバイス110の移動を限定するように引張されることができる。特に、少なくとも1つの第1の保持糸172は、長手方向軸10および/またはプラグ10の変位方向に沿った移動を防止することができる。少なくとも1つの第1の保持糸172が、変位方向に沿った移動を防止するため、いくつかの実装では、水平方向2等の変位方向に対して垂直の方向のための固定手段は、必要とされない。複数の第1の予引張機構174が、支持構造160の第1の部分162および/または第2の部分164における好適な位置に提供されることができる。
【0103】
いくつかの実施形態によると、装置100は、支持構造160において第2の予引張機構184を含む。少なくとも1つの第2の保持糸182の第1の端部は、第2の予引張機構184に接続されてもよい。それによって、少なくとも1つの第2の保持糸182は、第2の熱デバイス120の移動を限定するように引張されることができる。特に、少なくとも1つの第2の保持糸182は、長手方向軸10および/またはプラグ10の変位方向に沿った移動を防止することができる。少なくとも1つの第2の保持糸182が、変位方向に沿った移動を防止するため、いくつかの実装では、水平方向等の変位方向に対して垂直の方向のための固定手段は、必要とされない。複数の第2の予引張機構184が、支持構造160の第2の部分164および/または第3の部分166における好適な位置に提供されることができる。
【0104】
上記の説明では、少なくとも1つの第1の保持糸172および少なくとも1つの第2の保持糸182は、実施例として提供される。他の実施形態では、少なくとも1つの第1の保持ロッドが、少なくとも1つの第1の保持糸172の代わりに提供されてもよい。加えて、または代替として、少なくとも1つの第2の保持ロッドが、少なくとも1つの第2の保持糸182の代わりに提供されてもよい。少なくとも1つの第1の保持ロッドおよび/または少なくとも1つの第2の保持ロッドは、ねじ山付きロッドであることができるが、それに限定されるものではない。少なくとも1つの第1の保持ロッドおよび/または少なくとも1つの第2の保持ロッドは、低熱伝導率を有する材料から作製されてもよい。
【0105】
開放および閉鎖プロセスの動作が、
図1を参照して以下に説明される。
【0106】
熱スイッチを閉鎖するために、アクチュエータが、少なくとも1つの第1の糸152(「作動糸」)を引動し、プラグ140(「ばね変位器」)を、例えば、第1の温度における第1の熱デバイスに向かって移動させ、それによって、接続要素130(「伝達ばね」)を変形させ、接続要素130を第2の温度における第2の熱デバイス120の中にプレスする。糸アンカ158が、プラグ140に並んで移動され、少なくとも1つの弾性要素156(「伸縮ばね」)を圧縮する。呈される力は、糸懸吊部170、180および支持構造160によって吸収される。
【0107】
熱スイッチを開放するために、アクチュエータが、少なくとも1つの第1の糸152を解放し、少なくとも1つの弾性要素156が、拡張し、切替アセンブリをその元の開放状態に戻るように移行させることを可能にする。
【0108】
本機構は、可動部品によって発生された熱の大部分のものを、例えば、支持構造160に接続される、熱槽に排出し、それによって、低温面積によって吸収される熱を最小限化し得る。加えて、帰還力が、局所的に発生されるため、(細い)糸が、アクチュエータに接続し、熱漏出をさらにもっと低減させるために使用されることができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、熱スイッチは、3つの主要な温度面積または領域、すなわち、第1の熱デバイス110における第1の温度(T1)と、第2の熱デバイス120における第2の温度(T2)と、支持構造160における第3の温度(T3)とを含む、またはそれらから成る。
【0110】
支持構造160は、十分な冷却出力の熱槽の温度にあり得る一方、熱スイッチは、T1およびT2において、2つの他の温度面積を接続/接続解除する。T1およびT2における熱デバイスは、糸懸吊部によって支持構造160から独立して懸吊される。糸は、予引張機構(引張アセンブリ)によって予引張され、2つの熱デバイス110、120の間に自動的整合を提供する。T1における第1の熱デバイスは、その下端において、T2における第2の熱デバイス120内の孔の中に嵌入する、「伝達ばね」を有し、1ミリメートル幅未満のみの間隙を残すように機械加工される。切替機構は、糸上に着座する、プラグ140を含む、またはそれから成る。本糸の一側は、アクチュエータ(例えば、電動モータ)に接続される一方、他側は、糸アンカ158に接続される。
【0111】
スイッチを閉鎖するために、アクチュエータが、作動糸を引動し、ばね変位器をT1に向かって移動させ、それによって、伝達ばねを変形させ、これをT2における、対応する部分の中にプレスする。糸アンカが、ばね変位器に並んで移動され、伸縮ばねを圧縮する。呈される力は、糸懸吊部および支持構造160によって吸収される。スイッチを開放するために、アクチュエータが、作動糸を解放し、伸縮ばねが、拡張し、切替アセンブリをその元の開放状態に戻るように移行させることを可能にする。
【0112】
糸は、対称的な懸吊要素であってもよい。第1の熱デバイス110および/または第2の熱デバイス120は、例えば、3つの上向き、3つの下向きの6つの懸吊糸によって懸吊されてもよい。
【0113】
図2は、本明細書に説明される実施形態による、システム300の概略図を示す。システム300は、極低温剤を含まない低温保持装置等の低温保持装置であることができる。システム300は、本開示の実施形態の真空チャンバ310と、装置100とを含む。
【0114】
真空チャンバ310は、真空を含有するように構成される、内部空間312を有する。真空チャンバ310は、内部空間312を外側から、本質的に気密、真空機密、熱不透過性、および/または放射線不透過性の状態にシールする。随意に、真空チャンバ310は、内部空間312を外側から電気的に絶縁してもよい。
【0115】
真空は、概して、本質的に物質のない空間として理解される。本願の全体を通して使用されるような、用語「真空」は、特に、技術的真空、すなわち、大気圧をはるかに下回るガス状圧力を伴う領域として理解される。真空チャンバ310の内側における真空は、高真空または超高真空であることができる。ターボポンプおよび/または低温ポンプ(図示せず)等の1つ以上の真空発生源が、真空を発生させるために、真空チャンバ310に接続されることができる。
【0116】
いくつかの実施形態によると、システム300が、低温または超低温においてサンプル20の1つ以上の物理的特性を測定するために、提供され得る。1つ以上の物理的特性は、限定ではないが、磁化、抵抗率、および伝導性を含み得る。随意に、サンプルの1つ以上の物理的特性は、外部磁場および/または圧力等の外部条件下で測定されることができる。サンプル20が、サンプル移送機構30を使用して、真空部310の中に装填され、真空チャンバから装填解除されてもよい。
【0117】
システム300は、内側空間と、真空係止部とを有する、アクセスポート320を含んでもよい。真空係止部は、閉鎖状態において、内部空間312をアクセスポート320の内側空間から、本質的に真空機密の状態でシールしてもよく、開放状態において、内部空間312へのアクセスを可能にしてもよい。
【0118】
例えば、真空係止部は、閉鎖されることができ、それに取り付けられるサンプル20を有する、サンプル保持器は、例えば、大気圧下で、アクセスポート320の内側空間内に設置されることができる。アクセスポート320の内側空間は、外側からシールされることができ、技術的真空が、内側空間内に発生されることができる。次いで、真空係止部が、開放され、真空チャンバ310の内部空間312およびアクセスポート320の内側空間を接続することができる。サンプル保持器が、サンプル移送機構30を使用して、真空チャンバ310の中に挿入されることができる。サンプル保持器が、基部330に機械的に取り付けられることができ、サンプル保持器が、サンプル移送機構30から解放されることができ、サンプル移送機構30が、内側空間312から除去されることができる。真空係止部が、閉鎖されることができ、システム300が、サンプル保持器上のサンプルを検査するために、動作されることができる。
【0119】
システム300は、真空チャンバの内側において、5mK~300Kの範囲内、特に、5mK~250Kの範囲内、特に、5mK~200Kの範囲内、特に、5mK~150Kの範囲内、特に、5mK~100Kの範囲内、より具体的には、5mK~約70Kの範囲内の温度を提供するように構成されることができる。いくつかの実装では、本システムが、低温保持装置である場合でも、室温までの温度が、サンプルに関する測定を行うために、提供されることができる。
【0120】
本明細書に説明される他の実施形態と組み合わせられ得る、いくつかの実施形態によると、システム300は、断熱消磁冷凍機、特に、多段断熱消磁冷凍機である。多段断熱消磁冷凍機は、1K以下、特に、500mK以下、特に、100mK以下、特に、50mK以下において動作するように構成されてもよい。しかしながら、上記に述べられるように、本開示は、それに限定されず、システム300は、より高温、すなわち、1K以上、例えば、最大で室温においても動作されることができる。
【0121】
図3は、本明細書に説明される実施形態による、装置を動作させる方法400のフローチャートを示す。
【0122】
方法400は、ブロック410において、接続要素と、第1の熱デバイスと、第2の熱デバイスとの間に機械的接触を確立するステップを含む。いくつかの実装では、方法400はさらに、ブロック420において、少なくとも接続要素と第2の熱デバイスとの間の機械的接触を解放するステップを含む。
【0123】
本明細書に説明される実施形態によると、本装置を動作させる方法が、本装置の対応するコンポーネントと通信する、CPUと、メモリと、ユーザインターフェースと、入力および出力手段とを有し得る、コンピュータプログラム、ソフトウェア、コンピュータソフトウェア製品、および相互に関連するコントローラを用いて行われることができる。
【0124】
前述のものは、本開示の実施形態を対象とするが、本開示の他のおよびさらなる実施形態も、その基本的範囲から逸脱することなく、考案され得、その範囲は、続く請求項によって決定される。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置
(100)であって、
第1の熱デバイス
(110)と、
第2の熱デバイス
(120)と、
少なくとも1つの弾性要素(156)と、
可変の直径を有し、前記第1の熱デバイス
(110)および前記第2の熱デバイス
(120)を解放可能に接続するように構成される接続要素
(130)であって、前記第1の熱デバイス
(110)と前記第2の熱デバイス
(120)との間の前記接続は、
前記少なくとも1つの弾性要素
(156)によって提供される帰還力を用いて解放可能である、接続要素
(130)と
、
前記接続要素(130)の中に挿入可能であり、前記接続要素(130)と前記第2の熱デバイス(120)との間に機械的接触を確立するために、前記接続要素(130)の前記可変の直径を拡大するように構成されるプラグ(140)と
を備える、装置
(100)。
【請求項2】
前記第1の熱デバイス
(110)は、前記接続要素
(130)を含み
、前記第2の熱デバイス
(120)は、前記第1の熱デバイス
(110)の接続要素
(130)を収容するように構成される収容空間を有する、請求項1に記載の装置
(100)。
【請求項3】
前記接続要素
(130)は、1つ以上のスリットを有する中空の円筒である、請求項1または2に記載の装置
(100)。
【請求項4】
前記プラグ
(140)は、その外側表面上に粘着防止コーティングを有し
、前記粘着防止コーティングは、ポリテトラフルオロエチレンと、硫化モリブデンとから成る群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項
1-3のいずれか1項に記載の装置
(100)。
【請求項5】
前記プラグ
(140)を変位方向に対して平行に変位させるように構成される変位機構をさらに含み
、前記変位方向は、前記装置
(100)の垂直方向および長手方向軸のうちの少なくとも一方に対して平行である、請求項
1-4のいずれか1項に記載の装置
(100)。
【請求項6】
前記変位機構は、前記プラグ
(140)に接続される第1の端部と、アクチュエータに接続される第2の端部とを有する少なくとも1つの第1の糸
(152)またはロッドを含み
、前記少なくとも1つの第1の糸
(152)またはロッドは、前記第1の熱デバイス
(110)の内部を通して延在する
、請求項
5に記載の装置
(100)。
【請求項7】
前記変位機構は、前記少なくとも1つの弾性要素(156)と、前記プラグ(140)に接続される第1の端部を有する少なくとも1つの第2の糸(154)またはロッドとを含み、
前記少なくとも1つの弾性要素(156)は、ばねであり、
前記少なくとも1つの第2の糸(154)またはロッドは、前記第2の熱デバイス(120)の内部を通して延在し、
前記第2の熱デバイス(120)は、前記第1の熱デバイス(110)と前記少なくとも1つの弾性要素(156)との間に位置する、
請求項5または6に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記変位機構は、アンカ(158)を含み、前記少なくとも1つの第2の糸(154)またはロッドの第2の端部は、前記アンカ(158)に接続され、前記アンカ(158)は、前記プラグ(140)の変位方向に対して平行に移動可能である、請求項7に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記第1の熱デバイス
(110)は、第1の温度の第1の温度段として構成され
、前記第1の温度は、1K以上かつ4K以下であり
、
前記第
2の熱デバイス
(120)は、第2の温度の第2の温度段として構成され
、前記第2の温度は、1K以下である、
請求項1-8のいずれか1項に記載の装置
(100)。
【請求項10】
前記装置
(100)はさらに、前記第1の熱デバイス
(110)および前記第2の熱デバイス
(120)を支持するように構成される支持構造
(160)を含み
、前記支持構造
(160)は、第3の温度の第3の温度段として構成され
、前記第3の温度は、4K以上である、請求項1-9のいずれか1項に記載の装置
(100)。
【請求項11】
前記第1の熱デバイス
(110)およ
び前記第2の熱デバイス
(120)のうちの少なくとも一方は、前記支持構造
(160)の内部内に配列される、請求項10に記載の装置
(100)。
【請求項12】
前記第2の温度は、前記第1の温度より低い、および/または、前記第1の温度は、前記第3の温度より低い、および/または、前記第2の温度は、前記第3の温度より低い、請求項9-11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の熱デバイス
(110)を保持するように構成される第1の保持構造
(170)であって
、前記第1の保持構造
(170)は、前記第1の熱デバイス
(110)を懸吊状態において保持するように構成され
、前記第1の保持構造
(170)は、少なくとも1つの第1の保持糸
(172)またはロッドを含み
、前記少なくとも1つの第1の保持糸
(172)またはロッドは、前記支持構造
(160)に接続される第1の端部と、前記第1の熱デバイス
(110)に接続される第2の端部とを有する、第1の保持構造
(170)と、
前記第2の熱デバイス
(120)を保持するように構成される第2の保持構造
(180)であって
、前記第2の保持構造
(180)は、前記第2の熱デバイス
(120)を懸吊状態において保持するように構成され
、前記第2の保持構造
(180)は、少なくとも1つの第2の保持糸
(182)またはロッドを含み
、前記少なくとも1つの第2の保持糸
(182)またはロッドは、前記支持構造
(160)に接続される第1の端部と、前記第2の熱デバイス
(120)に接続される第2の端部とを有する、第2の保持構造
(180)と
をさらに備える、請求項
10に記載の装置
(100)。
【請求項14】
前記支持構造
(160)における第1の予引張機構
(174)であって、前記少なくとも1つの第1の保持糸
(172)またはロッドの第1の端部は、前記第1の予引張機構
(174)に接続される、第1の予引張機構
(174)と、
前記支持構造
(160)における第2の予引張機構
(184)であって、前記少なくとも1つの第2の保持糸
(182)またはロッドの第1の端部は、前記第2の予引張機構
(184)に接続される、第2の予引張機構
(184)と
をさらに備える、請求項13に記載の装置
(100)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
実施形態はまた、開示される方法を行うための装置も対象とし、各説明される方法側面を実施するための装置部品も含む。これらの方法側面は、ハードウェアコンポーネント、適切なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータを用いて、その2つの任意の組み合わせによって、または任意の他の様式において実施されてもよい。さらに、本開示による実施形態はまた、説明される装置を動作させるための方法も対象とする。これは、本装置のあらゆる機能を行うための、方法側面も含む。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
特に、熱スイッチである装置であって、
第1の熱デバイスと、
第2の熱デバイスと、
上記第1の熱デバイスおよび上記第2の熱デバイスを解放可能に接続するように構成される接続要素であって、上記第1の熱デバイスと上記第2の熱デバイスとの間の上記接続は、少なくとも1つの弾性要素によって提供される帰還力を用いて解放可能である、接続要素と
を備える、装置。
(項目2)
上記第1の熱デバイスは、上記接続要素を含み、特に、上記第2の熱デバイスは、上記第1の熱デバイスの接続要素を収容するように構成される収容空間を有する、項目1に記載の装置。
(項目3)
上記接続要素は、可変の直径を有する、および/または、上記接続要素は、1つ以上のスリットを有する中空の円筒である、項目1または2に記載の装置。
(項目4)
上記接続要素の中に挿入可能であるプラグをさらに備える、項目1-3のいずれか1項に記載の装置。
(項目5)
上記プラグは、上記接続要素と上記第2の熱デバイスとの間に機械的接触を確立するために、上記接続要素の可変の直径を拡大するように構成される、項目4に記載の装置。
(項目6)
上記プラグは、その外側表面上に粘着防止コーティングを有し、特に、上記粘着防止コーティングは、ポリテトラフルオロエチレンと、硫化モリブデンとから成る群から選択される少なくとも1つの材料を含む、項目4または5に記載の装置。
(項目7)
上記プラグを変位方向に対して平行に変位させるように構成される変位機構をさらに含み、特に、上記変位方向は、上記装置の垂直方向および長手方向軸のうちの少なくとも一方に対して平行である、項目4-6のいずれか1項に記載の装置。
(項目8)
上記変位機構は、上記プラグに接続される第1の端部と、アクチュエータに接続される第2の端部とを有する少なくとも1つの第1の糸またはロッドを含み、特に、上記少なくとも1つの第1の糸またはロッドは、上記第1の熱デバイスの内部を通して延在する、および/または、
上記変位機構は、上記少なくとも1つの弾性要素と、上記プラグに接続される第1の端部を有する少なくとも1つの第2の糸またはロッドとを含み、特に、上記少なくとも1つの弾性要素は、ばねである、および/または、上記少なくとも1つの第2の糸またはロッドは、上記第2の熱デバイスの内部を通して延在する、および/または、上記第2の熱デバイスは、上記第1の熱デバイスと上記少なくとも1つの弾性要素との間に位置する、および/または、
上記変位機構は、アンカを含み、上記少なくとも1つの第2の糸またはロッドの第2の端部は、上記アンカに接続され、特に、上記アンカは、上記プラグの変位方向に対して略平行に移動可能である、項目7に記載の装置。
(項目9)
上記第1の熱デバイスは、第1の温度の第1の温度段として構成され、特に、上記第1の温度は、1K以上かつ4K以下であり、および/または、
上記第1の熱デバイスは、第2の温度の第2の温度段として構成され、特に、上記第2の温度は、1K以下である、
項目1-8のいずれか1項に記載の装置。
(項目10)
上記装置はさらに、上記第1の熱デバイスおよび上記第2の熱デバイスを支持するように構成される支持構造を含み、特に、上記支持構造は、第3の温度の第3の温度段として構成され、特に、上記第3の温度は、4K以上である、項目1-9のいずれか1項に記載の装置。
(項目11)
上記第1の熱デバイスおよび/または上記第2の熱デバイスは、上記支持構造の内部内に配列される、項目10に記載の装置。
(項目12)
上記第2の温度は、上記第1の温度より低い、および/または、上記第1の温度は、上記第3の温度より低い、および/または、上記第2の温度は、上記第3の温度より低い、項目9-11のいずれか1項に記載の装置。
(項目13)
上記第1の熱デバイスを保持するように構成される第1の保持構造であって、特に、上記第1の保持構造は、上記第1の熱デバイスを懸吊状態において保持するように構成される、および/または、上記第1の保持構造は、少なくとも1つの第1の保持糸またはロッドを含み、特に、上記少なくとも1つの第1の保持糸またはロッドは、上記支持構造に接続される第1の端部と、上記第1の熱デバイスに接続される第2の端部とを有する、第1の保持構造、および/または、
上記第2の熱デバイスを保持するように構成される第2の保持構造であって、特に、上記第2の保持構造は、上記第2の熱デバイスを懸吊状態において保持するように構成される、および/または、上記第2の保持構造は、少なくとも1つの第2の保持糸またはロッドを含み、特に、上記少なくとも1つの第2の保持糸またはロッドは、上記支持構造に接続される第1の端部と、上記第2の熱デバイスに接続される第2の端部とを有する、第2の保持構造
をさらに備える、項目1-12のいずれか1項に記載の装置。
(項目14)
上記支持構造における第1の予引張機構であって、上記少なくとも1つの第1の保持糸またはロッドの第1の端部は、上記第1の予引張機構に接続される、第1の予引張機構、および/または、
上記支持構造における第2の予引張機構であって、上記少なくとも1つの第2の保持糸またはロッドの第1の端部は、上記第2の予引張機構に接続される、第2の予引張機構
をさらに備える、項目13に記載の装置。
(項目15)
特に、断熱消磁冷凍機または多段断熱消磁冷凍機等の低温保持装置であるシステムであって、
真空チャンバと、
上記項目のいずれか1項に記載の少なくとも1つの装置であって、特に、上記装置は、上記真空チャンバ内の温度面積を熱的に接続および接続解除するために構成される、少なくとも1つの装置と
を備える、システム。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(100)であって、
第1の熱デバイス(110)と、
第2の熱デバイス(120)と、
少なくとも1つの弾性要素(156)と、
可変の直径を有
する接続要素(130)であって、前記接続要素(130)は、前記第1の熱デバイス(110)および前記第2の熱デバイス(120)を解放可能に接続するように構成され
ており、前記第1の熱デバイス(110)と前記第2の熱デバイス(120)との間
の接続は、前記少なくとも1つの弾性要素(156)によって提供される帰還力を用いて解放可能である、接続要素(130)と、
前記接続要素(130)の中に挿入可能であ
るプラグ(140)であって、前記接続要素(130)と前記第2の熱デバイス(120)との間に機械的接触を確立するために、前記接続要素(130)の前記可変の直径を拡大するように構成され
ているプラグ(140)と
を備える、装置(100)。
【請求項2】
前記第1の熱デバイス(110)は、前記接続要素(130)を含み、前記第2の熱デバイス(120)は、前記第1の熱デバイス(110)の
前記接続要素(130)を収容するように構成され
ている収容空間を有する、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記接続要素(130)は、1つ以上のスリットを有する中空の円筒である、請求項1または
請求項2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記プラグ(140)は、その外側表面上に粘着防止コーティングを有し、前記粘着防止コーティングは、ポリテトラフルオロエチレン
と硫化モリブデンとから成る群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1
~3のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記装置(100)は、前記プラグ(140)を変位方向に対して平行に変位させるように構成され
ている変位機構をさらに含み、前記変位方向は、前記装置(100)の垂直方向および長手方向軸のうちの少なくとも一方に対して平行である、請求項1
~4のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記変位機構は
、少なくとも1つの第1の糸(152)またはロッドを含み
、前記少なくとも1つの第1の糸(152)またはロッドは、前記プラグ(140)に接続され
ている第1の端部と、アクチュエータに接続され
ている第2の端部とを有
し、前記少なくとも1つの第1の糸(152)またはロッドは、前記第1の熱デバイス(110)の内部を通して延在する、請求項5に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記変位機構は、前記少なくとも1つの弾性要素(156)
と少なくとも1つの第2の糸(154)またはロッドとを含み
、前記少なくとも1つの第2の糸(154)またはロッドは、前記プラグ(140)に接続され
ている第1の端部を有
し、
前記少なくとも1つの弾性要素(156)は、ばねであり、
前記少なくとも1つの第2の糸(154)またはロッドは、前記第2の熱デバイス(120)の内部を通して延在し、
前記第2の熱デバイス(120)は、前記第1の熱デバイス(110)と前記少なくとも1つの弾性要素(156)との間に位置する
、請求項5または
請求項6に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記変位機構は、アンカ(158)を含み、前記少なくとも1つの第2の糸(154)またはロッドの第2の端部は、前記アンカ(158)に接続され
ており、前記アンカ(158)は、前記プラグ(140)の変位方向に対して平行に移動可能である、請求項7に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記第1の熱デバイス(110)は、第1の温度の第1の温度段として構成され
ており、前記第1の温度は、1K以上かつ4K以下であり、
前記第2の熱デバイス(120)は、第2の温度の第2の温度段として構成され
ており、前記第2の温度は、1K以下である
、請求項1
~8のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記装置(100)は
、前記第1の熱デバイス(110)および前記第2の熱デバイス(120)を支持するように構成され
ている支持構造(160)を
さらに含み、前記支持構造(160)は、第3の温度の第3の温度段として構成され
ており、前記第3の温度は、4K以上である、請求項1
~9のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記第1の熱デバイス(110)および前記第2の熱デバイス(120)のうちの少なくとも一方は、前記支持構造(160)の内部
に配列され
ている、請求項10に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記第2の温度は、前記第1の温度より低い、および/または、前記第1の温度は、前記第3の温度より低い、および/または、前記第2の温度は、前記第3の温度より低い、請求項9
~11のいずれか1項に記載の装置
(100)。
【請求項13】
前記装置(100)は、第1の保持構造(170)と第2の保持構造(180)とをさらに備え、
前記第1の保持構造(170)は、前記第1の熱デバイス(110)を保持するように構成され
ており、前記第1の保持構造(170)は、前記第1の熱デバイス(110)を懸吊状態において保持するように構成され
ており、前記第1の保持構造(170)は、
複数の第1の保持糸(172)またはロッドを含み、前記
複数の第1の保持糸(172)またはロッドは、前記支持構造(160)に接続され
ている第1の端部と、前記第1の熱デバイス(110)に接続され
ている第2の端部とを有
し、
前記第2の保持構造(180)は、前記第2の熱デバイス(120)を保持するように構成され
ており、前記第2の保持構造(180)は、前記第2の熱デバイス(120)を懸吊状態において保持するように構成され
ており、前記第2の保持構造(180)は、
複数の第2の保持糸(182)またはロッドを含み、前記
複数の第2の保持糸(182)またはロッドは、前記支持構造(160)に接続され
ている第1の端部と、前記第2の熱デバイス(120)に接続され
ている第2の端部とを有する
、請求項10に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記装置(100)は、
前記支持構造(160)における第1の予引張機構(174)であって、前記
複数の第1の保持糸(172)またはロッドの
前記第1の端部は、前記第1の予引張機構(174)に接続され
ている、第1の予引張機構(174)と、
前記支持構造(160)における第2の予引張機構(184)であって、前記
複数の第2の保持糸(182)またはロッドの
前記第1の端部は、前記第2の予引張機構(184)に接続され
ている、第2の予引張機構(184)と
をさらに備える、請求項13に記載の装置(100)。
【国際調査報告】