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特表2022-535620電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造
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  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図1
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図2
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図2A
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図2B
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図3
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図4
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図5
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図6
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図7
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図8
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図9
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図10
  • 特表-電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-09
(54)【発明の名称】電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20220802BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20220802BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20220802BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H01F41/04 C
H01F27/28 147
H01F27/32 130
H01F30/10 C
H01F30/10 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505354
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2020087937
(87)【国際公開番号】W WO2021151610
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】20154715.5
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブストレオ,ジャンルカ
(72)【発明者】
【氏名】パバネッロ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】カルミグノト,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】ツァノール,ロベルト
【テーマコード(参考)】
5E043
5E044
5E062
【Fターム(参考)】
5E043AA04
5E043AB04
5E044CA01
5E044CA06
5E044CB01
5E044CB03
5E044CB09
5E062EE02
5E062FF01
(57)【要約】
電磁誘導装置の電気巻線の製造方法であって、-主延在方向(L)に沿って長手方向に延在する導体要素(2)と、前記導体要素の対応する横方向面に配置された1つまたは複数のスペーサバンド(3)とを備える導体構造(1)を提供するステップを含み、各スペーサバンドは、絶縁材料からなる支持構造(30)と、前記支持構造上に配置された絶縁材料からなるスペーサ要素(31)とを含み、前記スペーサ要素は、前記支持構造に沿って互いに離間しており、前記方法はさらに、-前記導体構造によって電気巻線(100)を形成するステップを含み、前記電気巻線は、巻線方向(DW)に沿って軸方向に延在し、前記巻線方向の周囲に配置された複数の巻回(101)を有し、前記電気巻線の各巻回は、前記導体要素の対応する長手方向部分によって形成され、前記スペーサ要素は、前記電気巻線の隣接する巻回の間の、前記巻回の対向する側部において挿入される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導装置の電気巻線(100)の製造方法であって、
-主延在方向(L)に沿って長手方向に延在する導体要素(2)と、前記導体要素の対応する横方向面に配置された1つまたは複数のスペーサバンド(3)とを備える導体構造(1)を提供するステップを含み、各スペーサバンドは、絶縁材料からなる支持構造(30)と、前記支持構造上に配置された絶縁材料からなるスペーサ要素(31)とを含み、前記スペーサ要素は、前記支持構造に沿って互いに離間しており、前記方法はさらに、
-前記導体構造によって電気巻線(100)を形成するステップを含み、前記電気巻線は、巻線方向(DW)に沿って軸方向に延在し、前記巻線方向の周囲に配置された複数の巻回(101)を有し、
前記電気巻線(100)の各巻回(101)は、前記導体要素(2)の対応する長手方向部分(2E、2F)によって形成され、
前記スペーサ要素(31)は、前記電気巻線(100)の隣接する巻回の間の、前記巻回(101)の対向する側部(101A、101B)において介在され、
前記スペーサ要素(31)は、5~10mmの幅および2mmの高さを有する、電磁誘導装置の電気巻線(100)の製造方法。
【請求項2】
前記スペーサ要素(31)は、前記電気巻線(100)が形成されるときに、隣接する巻回と接合することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スペーサ要素(31)は、絶縁材料の成形パッドによって形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記絶縁材料の成形パッド(31)は、前記支持構造(30)に接着されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記絶縁材料の成形パッド(31)は表面(31B)を有し、その上に接着材料の層(310B)が堆積されることを特徴とする、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記スペーサ要素(31)は、絶縁材料の成形領域によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記絶縁材料の成形領域(31)は、前記支持構造(30)上に堆積されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各スペーサバンド(3)は、前記支持構造(30)の同じ支持面(30A)上に配置されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
各スペーサバンド(3)は、前記支持構造(30)の対向する支持面(30A、30B)上に配置されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
各スペーサバンド(3)は、前記支持構造(3)を貫通し、前記支持構造(30)の対向する表面(30A、30B)から突出するように構成されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
各スペーサバンド(3)は、前記支持構造(3)と一体に形成されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
各スペーサバンド(3)は、前記支持構造(30)上に無作為に配置されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
各スペーサバンド(3)は、所定の幾何学的パターンに従って前記支持構造(30)上に配置されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記スペーサバンド(3)は、接着によって、または前記導体要素の周囲に巻かれた絶縁エンクロージャ要素によって、前記導体要素(2)に固定されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記導体要素(2)は、連続転位導体であることを特徴とする、先行する請求項の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項16】
前記電磁誘導装置は、送配電網用の電気変換器であることを特徴とする、先行する請求項の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項17】
電磁誘導装置の電気巻線(100)を製造するための導体構造(1)であって、
-主延在方向(L)に沿って長手方向に延在する導体要素(2)と、
-前記導体要素の対応する横方向面に配置された1つまたは複数のスペーサバンド(3)とを備え、各スペーサバンドは、絶縁材料からなる支持構造(30)と、前記支持構造上に配置された絶縁材料からなるスペーサ要素(31)とを含み、前記スペーサ要素は、前記支持構造に沿って互いに離間しており、
前記導体構造(1)は、前記巻線方向に沿って軸方向に延在し、前記電気巻線方向の周囲に配置された複数の巻回(101)を有する電気巻線(100)を形成するように意図され、
前記電気巻線(100)の各巻回(101)は、前記導体要素(2)の対応する長手方向部分(2E、2F)によって形成され、
前記スペーサ要素(31)は、前記電気巻線(100)の隣接する巻回の間の、前記巻回(101)の対向する側部(101A、101B)において介在され、
前記スペーサ要素(31)は、5~10mmの幅および2mmの高さを有する、導体構造(1)。
【請求項18】
電磁誘導装置用の電気巻線(100)であって、請求項17に記載の導体構造(1)を含むことを特徴とする、電気巻線(100)。
【請求項19】
送配電網用の電磁誘導装置であって、請求項18に記載の電気巻線(100)を含むことを特徴とする、電磁誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、送配電網のための電磁誘導装置、例えば電力変圧器の分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造に関する。
【背景技術】
【0003】
電磁誘導装置の電気巻線は、産業レベルでは様々な方法に従って製造され得る。
広く使用されている方法は、電気巻線が巻線方向の周囲に配置された複数の隣接する巻回を有するように、前記巻線方向の周囲に導体を巻線することからなる。
【0004】
公知のように、一般に、電磁誘導装置用の電気巻線は、巻回間の絶縁媒体(例えば、絶縁流体または固体鋳造樹脂)の通過を確実にするために、軸方向および径方向チャネルを有する。
【0005】
従来、電気巻線の軸方向チャネルは、巻線方向に平行に配向された絶縁ブロックを配置することによって得られ、電気巻線の隣接する巻回間に介在し、巻線方向に関して径方向に配向された絶縁スペーサは、径方向チャネルを画定するように配置される。
【0006】
現在技術のほとんどの従来の解決策によれば、上述の絶縁スペーサは、巻線プロセス中に、隣接する巻回の各対の間に手動で挿入される。
【0007】
より最近の製造方法によれば、絶縁スペーサは、電気巻線の巻回を形成するように意図される導体の好適な横方向面に沿って固定される。次に、このようにして得られた導体構造体を巻線方向に巻く。このようにして、絶縁スペーサは、前記電気巻線の隣接する巻回の各対の間に位置をとる。
【0008】
電磁誘導装置用の現在技術の電気巻線は、概して、かなり満足のいく方法でそれらの機能を実行する。しかしながら、対処すべきいくつかの重要な局面が依然として存在する。
【0009】
動作中、電気巻線は、特に径方向チャネルが存在する領域において、変形した巻回を呈することが多い。
【0010】
基本的に、この現象は、動作中、電気巻線がその巻線方向に実質的に平行な方向に沿って非常に大きな圧縮力を受けるという事実に起因する。
【0011】
上述の技術的問題は、巻線構造全体の危険な不均衡状態をもたらす可能性があり、これは、例えば、短絡電流が電気巻線に沿って流れ、電気巻線が非常に大きな機械的応力を受ける場合など、特定の動作状態においてその崩壊を引き起こす可能性がある。DE 26 53 315 Aは、コイル導体の軸方向絶縁および離隔のための絶縁ならびに離隔体に関し、絶縁ならびに離隔体は、導体間の空間を部分的に充填し、導体の曲率に調整可能な直立絶縁ストライプによって形成される。WO 2019/238558 A1は、複数平行導体の長手方向において複数平行導体の側面に適用されるバンドに関する。バンドは、ストリップ上に長手方向に分散して配置されたスペーサプレートからなる。複数平行導体は、ストリップおよびスペーサプレートとともに、ラッピングでラッピングされる。CN 209 496 640 Uは、転位導体用のオイルダクトベルトを開示している。オイルダクトベルトは、絶縁層と、絶縁層上に配置された絶縁オイルダクトストリップとを備える。絶縁オイルダクトストリップは、間隔をあけて順次配置された複数の隔離ブロックを備え、すべての隣接する2つの隔離ブロックの間に第1のオイル通路チャネルが形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の主な目的は、電磁誘導装置の電気巻線を製造するための方法および導体構造であって、上述の重要な局面を克服または軽減することを可能にする方法および導体構造を提供することである。
【0013】
この目的の範囲内で、本発明の別の目的は、高い構造上の均衡および機械的応力に対する高い抵抗を有する電気巻線を得ることを可能にする、電気巻線を製造するための方法および導体構造を提供することである。本発明の別の目的は、産業レベルで実施するのが比較的容易かつ安価である、電気巻線を製造するための方法および導体構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的およびこれらの目的は、以下の説明および添付の図面からより明らかになる他の目的とともに、本発明によれば、請求項1の電磁誘導装置の電気巻線の製造方法および関連する従属請求項によって達成される。
【0015】
一般的な定義において、本発明による方法は、
-主延在方向に沿って長手方向に延在する導体要素と、前記導体要素の対応する横方向面に配置された1つまたは複数のスペーサバンドとを備える導体構造を提供するステップを含む。各スペーサバンドは、絶縁材料で形成された支持構造と、前記支持構造上に配置された絶縁材料で形成されたスペーサ要素とを含む。前記スペーサ要素は、前記支持構造に沿って互いに離間している。前記方法はさらに、
-前記導体構造によって電気巻線を形成するステップを含む。前記電気巻線は、巻線方向に沿って軸方向に延在し、前記巻線方向の周囲に配置された複数の巻回を有する。
【0016】
本発明によれば、前記電気巻線の各巻回は、前記導体要素の対応する長手方向部分によって形成される。
【0017】
本発明によれば、前記スペーサ要素は、前記電気巻線が形成されるときに、前記電気巻線の隣接する巻回の間の、前記巻線の対向する側部において挿入される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記スペーサ要素は、前記電気巻線が形成されるときに、隣接する巻回の表面と接合するように配置される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記スペーサ要素は、絶縁材料の成形パッドによって形成される。
【0020】
好ましくは、前記絶縁材料の成形パッドは、前記支持構造上に接着される。
好ましくは、前記絶縁材料の成形パッドは、接着材料の層が堆積される表面を有する。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記スペーサ要素は、絶縁材料の成形領域によって形成される。
【0022】
好ましくは、前記絶縁材料の成形領域は、前記支持構造上に堆積される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、各スペーサバンドは、前記支持構造の同じ支持面上に配置されたスペーサ要素を含む。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、各スペーサバンドは、前記支持構造の対向する支持面上に配置されたスペーサ要素を含む。
【0024】
本発明の他の実施形態によれば、各スペーサバンドは、前記支持構造を貫通し、前記支持構造の対向する表面から突出するように構成されたスペーサ要素を含む。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、各スペーサバンドは、前記支持構造と一体に形成されたスペーサ要素を含む。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、各スペーサバンドは、前記支持構造上に無作為に配置されたスペーサ要素を含む。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、各スペーサバンドは、所定の幾何学的パターンに従って前記支持構造上に配置されたスペーサ要素を含む。
【0028】
好ましくは、前記スペーサバンドは、接着によって、または前記導体要素の周囲に巻かれた絶縁エンクロージャ要素によって、前記導体要素に固定される。
【0029】
好ましくは、前記導体要素は、連続転位導体である。
さらなる態様において、本発明は、以下の請求項17に記載の電磁誘導装置の電気巻線を製造するための導体構造に関する。
【0030】
本発明による導体構造は、
-主延在方向に沿って長手方向に延在する導体要素と、
-前記導体要素の対応する横方向面に配置された1つまたは複数のスペーサバンドとを備える。各スペーサバンドは、絶縁材料で形成された支持構造と、前記支持構造上に配置された絶縁材料で形成されたスペーサ要素とを含む。前記スペーサ要素は、前記支持構造に沿って互いに離間している。
【0031】
本発明によれば、前記電気巻線の各巻回は、前記導体要素の対応する長手方向部分によって形成される。
【0032】
本発明によれば、前記スペーサ要素は、前記電気巻線が形成されるときに、前記電気巻線の隣接する巻回の間の、前記巻線の対向する側部において挿入される。
【0033】
さらに別の態様では、本発明は、以下の請求項18に記載の電磁誘導装置用の電気巻線に関する。
【0034】
さらに別の態様では、本発明は、以下の請求項19に記載の送配電網用の電磁誘導装置に関する。
【0035】
好ましくは、前記電磁誘導装置は、送配電網用の変圧器である。
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の説明および添付の図面を参照するとより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による製造方法および導体構造に用いられる導体要素を概略的に示す図である。
図2A】本発明による製造方法によって得られる電磁誘導装置用の電気巻線を概略的に示す図であって、電気巻線の巻回部分の対向図を概略的に示す。
図2B】本発明による製造方法によって得られる電磁誘導装置用の電気巻線を概略的に示す図であって、電気巻線の巻回部分の対向図を概略的に示す。
図3】本発明のいくつかの実施形態による導体構造を概略的に示す図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による導体構造を概略的に示す図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、導体構造に含まれるスペーサバンドのいくつかの詳細を概略的に示す図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、導体構造に含まれるスペーサバンドのいくつかの詳細を概略的に示す図である。
図7】本発明の別の実施形態による導体構造を概略的に示す図である。
図8】本発明の別の実施形態による、導体構造に含まれるスペーサバンドのいくつかの詳細を概略的に示す図である。
図9】本発明の別の実施形態による導体構造を概略的に示す。
図10】本発明の別の実施形態による導体構造を概略的に示す。
図11】本発明の別の実施形態による導体構造を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
上述の図を参照すると、本発明は、送配電網用の電磁誘導装置(図示せず)の電気巻線100の製造方法に関する。
【0038】
このような電磁誘導装置は、送配電網用の変圧器、例えば電力変圧器または配電変圧器であってもよい。
【0039】
本発明による製造方法は、電気巻線100を形成するよう意図される導体構造1を提供するステップを含む。
【0040】
導体構造1は、主延在方向Lに沿って長手方向に延在する導体要素2を含む(図1)。
好ましくは、導体要素2は、導電性材料を含む細長い直方体状である。
【0041】
好ましくは、導体要素2は、形状化された断面(例えば、矩形または正方形の断面)、対向する第1および第2の横方向面2A、2B、ならびに対向する第3および第4の横方向面2C、2Dを有する。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、導体要素2は、連続転位導体である。
この場合、導体要素2は、図1に示す構造に従って製造されてもよい。
【0043】
本発明のこの実施形態によれば、導体要素2は、前記導体要素の延在方向Lに沿って並んで配置される導体の2つ以上の積層21、22を含む。
【0044】
積層導体20は、上述の積層21、22の間で交互する部分を有する。このように、積層導体20の部分は、導体要素2の長手方向の全延在に沿って、あらゆる可能な断面位置を交互に占める。
【0045】
積層導体20は、絶縁材料によって少なくとも部分的に覆われてもよい。
導体要素2は、前記導体の延在方向Lに沿って導体の積層21,22間に配置された絶縁セパレータ23を含んでもよい。
【0046】
導体要素2は、積層導体20の周りに巻かれた絶縁バンドまたはメッシュ(図示せず)を含んで、巻回動作中にこれら積層導体20を適所に維持してもよい。
【0047】
しかしながら、本発明の他の実施形態によれば、導体要素2は、異なる構成(公知のタイプであってもよい)を有してもよい。
【0048】
例えば、それは、単一の導体であってもよく、複数の導体が並んで配置されていてもよく、撚り合わされた導体の束であってもよい。
【0049】
さらなる例として、導体要素2は、1つもしくは複数の導電性バーによって、または1つもしくは複数の導電性箔もしくはディスクによって形成されてもよい。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態(図示せず)によれば、導体構造1は、導体要素2を外側から覆うように配置された絶縁材料の1つまたは複数の層(図示せず)を含む。
【0051】
このような絶縁材料は、公知のタイプの解決策に従って構成することができる。例えば、それは、紙、ポリエステル材料、アラミドまたは安定化PE材料、ガラス繊維材料など含む材料の群において選択され得る。
【0052】
導体構造1は、導体要素2の同じ対応する横方向面2Aまたは2Bに配置された1つまたは複数のスペーサバンド3を含む。
【0053】
各スペーサバンド3は、絶縁材料で形成された支持構造30と、絶縁材料で形成され、前記支持構造上に配置された複数のスペーサ要素31とを含む。
【0054】
好都合には、各スペーサバンド3のスペーサ要素31は、支持構造30に沿って互いに離間されて、好適な空いた領域32を画定する(図3図4図7)。
【0055】
本発明の方法によれば、導体構造1が得られると、前記導体構造によって電気巻線100を形成するステップが実行される。
【0056】
電気巻線100は、巻線方向DWに沿って軸方向に延在する(図2)。
好ましくは、例えば、導体構造を好適な曲げ装置によって曲げることができる場合、電気巻線100を形成するステップは、導体構造1を巻線方向DWの周りに巻回することを含む。
【0057】
代替的な実施形態によれば、例えば導体構造を曲げることができない場合、電気巻線100を形成するステップは、導体構造1の分離された部分を機械的に接続して電気巻線100を形成するステップを含んでもよい。
【0058】
電気巻線100は、巻線方向DWの周りに配置された複数の隣接する巻回101を有する(図2)。
【0059】
各巻回101は、巻線構造1に含まれる導体要素2の対応する長手方向部分によって形成される。
【0060】
電気巻線100において、導体要素2の第1および第2の横方向面2A、2Bは、巻線方向DWに対して垂直に位置決めされ、前記巻線方向に対して径方向に延在する、各巻回101の対向する第1および第2の側部101A、101Bを形成する。
【0061】
一方、導体要素2の第3および第4の横方向面2C、2Dは、巻線方向DWと平行に位置し、巻線方向と平行かつ同軸に延在する、各巻回101の第3および第4の側部101C、101Dを形成する(図2A図2B)。
【0062】
電気巻線1では、導体要素2の第1および第2の表面2A、2Bに沿った位置決めのため、スペーサ要素31は、隣接する巻回101の間の、これら巻回の第1および第2の側部101A、101Bにおいて挟まれる。
【0063】
このようにして、スペーサ要素31は、前記巻線方向DWに垂直な径方向平面上にある(図2)。
【0064】
スペーサ要素31によって画定される空いた領域32は、電気巻線100の径方向チャネル104を形成し、これは、隣接する巻回101間の絶縁媒体(例えば、絶縁流体または固体鋳造樹脂)の通過を確実にする。
【0065】
本発明の重要な態様は、電気巻線100においては、隣接する巻回101の各対の間に介在し、前記巻回の側部101A、101Bに沿って分布するスペーサ要素31が、実質的に均一な機械的支持を巻回101に提供し、電気巻線100の安定した構造的均衡を保証することにある。
【0066】
特許請求される本発明によって提供される解決策は、最適な構造的均衡を保証するので、圧縮力に対する電気巻線100の全体的な抵抗を大幅に改善することが分かった。
【0067】
したがって、電磁誘導装置の動作中に、電気巻線100の巻回の変形現象が発生するのを防止または顕著に軽減することができる。
【0068】
好ましくは、各スペーサバンド3の支持構造30は、低減された厚み(例えば、数ミリメートル)と2つの対向する主支持面30A、30Bとを有する絶縁材料の細長い要素によって形成される。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態によれば、各スペーサバンド3の支持構造30は、絶縁材料のストリップによって形成されてもよい。
【0070】
本発明の他の実施形態によれば、各スペーサバンド3の支持構造30は、絶縁材料の成形要素によって形成されてもよい。
【0071】
本発明のさらに別の実施形態によれば、各スペーサバンド3の支持構造30は、絶縁材料のメッシュによって形成されてもよい。
【0072】
好ましくは、支持構造30に用いられる絶縁材料は、紙、プラスチック材料、ガラス繊維材料、ナイロン系材料を含む材料の群から選択される。
【0073】
好ましくは、支持構造30は、電気巻線100の動作中に熱の通過に有利に働くように穴あきまたはネット構造を有している。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態(図3図4)によれば、スペーサバンド3は、支持構造30の同じ支持面30Aに配置されたスペーサ要素31を有する。この場合、支持構造30の反対側の支持面30Bは、導体要素2の横方向面2A、2B上に置かれるように意図される。
【0075】
本発明の他の実施形態(図示せず)によれば、スペーサバンド3は、支持構造30の対向する支持面30A、30Bの両方に配置されたスペーサ要素31を有する。
【0076】
本発明のさらに他の実施形態によれば、スペーサバンド3は、支持構造30の厚みを貫通し、支持構造30の対向する支持面30A、30Bから突出するスペーサ要素31を有する(図7)。
【0077】
原則として、スペーサ要素31は、任意の所望のレイアウトに従って支持構造の支持面30Aおよび/または30B上に配置され得る。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態(図3図7)によれば、スペーサバンド3は、無作為に配列されたスペーサ要素31を有する。
【0079】
本発明の他の実施形態(図4)によれば、スペーサバンド3は、所定の幾何学的パターンに従って配置されたスペーサ要素31を有する。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態によれば(特に、スペーサ要素31が、支持構造30の同じ支持面30A上に配置される場合)、スペーサバンド3は、接着によって導体要素2に固定される。
【0081】
各スペーサバンド3は、導体要素2の導体に、または前記導体要素の絶縁層に、または前記導体要素を取り囲む追加の絶縁バンドもしくはメッシュに、直接固定することができる。
【0082】
接着剤は、支持構造30の支持面30B(スペーサ要素が配置される支持面30Aの反対側)および/または導体要素2の対応する横方向面2A、2Bに、公知の方法で、例えば、噴霧、ブラッシング、ダスチングによって、浸漬によって、またはUV放射もしくは熱によって活性化可能なプリプレグフィルムを適用することによって、適用されてもよい。
【0083】
高温(例えば、250℃まで)に耐えるように設計された特別な接着剤を使用してもよい。
【0084】
上記の解決策は非常に有利である。1つまたは複数のスペーサバンド3を接着することにより、これらのスペーサバンドの起こり得る望ましくない位置ずれを防止または低減することができる。そのようなスペーサ部分3A、3Bの位置ずれは、電磁誘導装置の動作中に巻線巻回に及ぼされる接線方向の力によって生じ得る(この現象は、電気巻線の「スパイラル化」とも呼ばれる)か、または製造中に生じ得る。
【0085】
本発明の他の実施形態(特に、スペーサ要素31が、支持構造30の支持面30A、30Bの両方に配置されるか、または支持構造30を通過する場合)によれば、スペーサバンド3は、例えばガラス繊維材料またはポリエステルで形成された追加の絶縁エンクロージャ(例えば、導体要素2と1つもしくは複数のスペーサテープ3とによって形成されるアセンブリの周りに巻かれた絶縁バンドまたはメッシュによって形成される)によって導体要素2に固定することができる。
【0086】
また、この場合、1つまたは複数のスペーサテープ3は、導体要素2の導体20上に、または前記導体の絶縁層上に、または前記導電体を取り囲む絶縁テープもしくはメッシュ上に、直接固定されてもよい。
【0087】
原則として、スペーサ要素31は、必要に応じて任意の形状を有することができる。例として、それらは、円形、多角形、または不規則な形状さえ有してもよい。
【0088】
一般に、支持構造30上のスペーサ要素31の選択されたサイズおよび分布密度は、製造される巻線100のタイプ(例えば、巻線100が受ける応力の大きさおよび/またはその冷却要件)に依存する。
【0089】
しかしながら、好ましくは、スペーサ要素31は、それらが配置される支持構造30の幅に対して比較的小さいサイズを有する。例として、それらは、5~10mmの幅および2mmの高さを有し得る。
【0090】
一般に、支持構造30およびスペーサ要素31は、好適な製造プロセスによって組み付けられる別々の要素である。
【0091】
本発明の好ましい実施形態によれば、スペーサ要素31は、電気巻線100が形成されるときに、隣接する巻回101の表面と接合するように配置される。
【0092】
以下でよりよく論じられるように、この解決策は、上述の「スパイラル現象」に起因する起こり得る望ましくない位置ずれを防止または低減するのに非常に有効である。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態によれば、スペーサ要素31は、絶縁材料の成形パッドによって形成される(図5図6図8)。
【0094】
好ましくは、そのような絶縁材料は、プレス板紙、プラスチック材料、ガラス繊維材料、ナイロン系材料を含む材料の群において選択される。
【0095】
好ましくは、絶縁材料の成形パッド31は、支持構造30上に接着される。
好ましくは、絶縁材料の成形パッド31が支持構造30の支持面30Aまたは30B上に配置されるとき、絶縁材料の成形パッド31は、支持構造30の支持面30Aまたは30B上に位置することを意図されたベース面31Aと、ベース面31Aの反対側の上面31Bとを有する(図5図6)。
【0096】
好ましくは、絶縁材料の成形パッド31は、それらのベース面31Aで、支持構造30の支持面30Aまたは30Bに接着される。これは、各成形パッド31のベース面31A上、および/または各成形パッド31が位置決めされることが意図される支持面30A、30Bの対応する領域上に、接着材料(例えばエポキシ樹脂)の好適な層310Aを堆積させることによって、得ることができる。
【0097】
好ましくは、絶縁材料の成形パッド31が支持構造30を通過するとき、絶縁材料の成形パッド31は、対向する自由表面31A、31Bと、絶縁材料の成形パッド31が支持構造30と接着材料の好適な層310Aで接着される横方向面とを有する(図8)。
【0098】
好ましくは、成形パッド31は、接着材料(例えばエポキシ樹脂)の追加の層310Bが堆積される少なくとも表面31A、31Bを含む。
【0099】
図5の実施形態では、接着材料の追加の層310Bは、各成形パッド31の上面31B上に都合よく堆積される(図6)。
【0100】
図8の実施形態では、接着材料の追加の層310Bは、各成形パッド31の対向する表面31A、31Bの両方に、またはそれらの1つにのみ(この場合、その表面は導体2に対して遠位位置にある)、都合よく堆積させることができる。成形パッド31の少なくともある表面上に追加の層を配置することは、電気巻線100が形成されると、各成形パッド31の、それが間に位置決めされる隣接する両方の巻回101への接合を(好適な熱処理によって)得ることを可能にするので、非常に有利である。
【0101】
したがって、この解決策は、電気巻線100の全体的な構造的強度をさらに改善することを可能にする。特に、この解決策は、上述の「スパイラル現象」に起因する起こり得る望ましくない位置ずれを防止または低減するのに非常に有効である。
【0102】
好ましくは、成形パッド21を支持構造30に接着するために用いられる接着材料310Aは、周囲温度で接合する。
【0103】
好ましくは、上述の硬化温度(例えば100~140℃)は、前記接合温度(例えば周囲温度)よりも高い。
【0104】
絶縁材料の成形パッド31は、手動で、または、好ましくは、公知のタイプであり得る好適な設備によって、支持構造上に配置され得る。
【0105】
接着材料の層310A、301Bは、手動で(例えば、好適な工具を用いて)、または、好ましくは、公知のタイプであり得る好適な産業設備を用いて配置され得る。
【0106】
好ましくは、成形パッド31の少なくとも表面31A、31Bを覆うために用いられる接着材料310Bは、それが(例えば、隣接する巻回101の表面と)接合する接合温度と、そのような絶縁材料が硬化する硬化温度とを有する。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態によれば、スペーサ要素31は、絶縁材料の成形領域によって形成される(図9)。
【0108】
好ましくは、そのような絶縁材料は、接着材料(例えば、エポキシ樹脂)、またはより一般的には、好適なプラスチック材料である。
【0109】
好ましくは、成形領域31に用いられる絶縁材料は、そのような絶縁材料が(例えば、支持構造30の支持面30A、30Bおよび隣接する巻回101の表面と)接合する接合温度と、そのような絶縁材料が硬化する硬化温度とを有する。
【0110】
好ましくは、上述の硬化温度(例えば、100~140℃)は、前記接合温度(例えば、周囲温度)よりも高い。
【0111】
本発明のこれらの実施形態によれば、スペーサ要素31(この場合、絶縁材料の成形領域によって形成される)は、電気巻線100が形成されるときに、隣接する巻回101の表面と接合するように配置されることも明らかである。
【0112】
好ましくは、絶縁材料の成形領域31は、例えば液滴の形態で、支持構造30の支持面30A、30B上に堆積される。
【0113】
絶縁材料の成形領域31は、手動で(例えば、好適な工具を用いて)、または好ましくは、公知のタイプであり得る好適な産業設備を用いて配置され得る。
【0114】
絶縁材料の成形領域31は、支持構造30上に堆積されるときに異なる厚みを有し得るので、堆積後に平坦化プロセスをさらに受けてもよい。これにより、成形領域31の厚みを好適に均等化することができる。
【0115】
本発明の他の実施形態(図示せず)によれば、支持構造30およびスペーサ要素31は、例えば鋳型プロセスによって一体に形成される。
【0116】
またこの場合、スペーサ要素31は、接着材料(例えばエポキシ樹脂)の追加の層が堆積される少なくともある表面を有してもよい。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態(図10)によれば、導体構造1は、導体要素2の同じ横方向面2A、2B上にこの導体要素の全長に沿って配置された単一のスペーサテープ3を含む。この場合、スペーサ要素3は、導体要素2の全長に沿って同じ横方向面2A、2B上に連続的に分布することになる。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態によれば、導体構造1は、導体要素2の同じ横方向面2A、2Bに配置された複数のスペーサバンド3を含む。
【0119】
好ましくは、各スペーサテープ3は、電気巻線100の巻回101を形成するように意図される、導体要素2の対応する長手方向部分の少なくとも横方向面2A、2Bに配置される(図11)。
【0120】
好ましくは、スペーサバンド3は、主延在方向Lに沿って導体要素2の選択された長手方向部分2Eに配置され、長手方向部分2Eは、スペーサバンドが存在しない長手方向部分2Fと交互になっている。
【0121】
好都合には、各長手方向部分2E、2Fは、(主延在方向Lに沿って測定して)電気巻線100の巻回101の長さに等しい長さを有する。
【0122】
本発明による方法および導体構造は、関連する利点を提供する。
本発明による方法および導体構造は、高い構造的均衡、および機械的応力、特に圧縮応力に対する高い抵抗を有する電気巻線を得ることを可能にする。
【0123】
これにより、故障事象または短絡事象があっても、動作中の電気巻線の巻回の変形を防止または低減することができ、その結果、動作中の電磁誘導装置の信頼性が著しく向上する。
【0124】
本発明による方法および導体構造は、産業レベルにおいて、現行技術の公知の解決策に対して競争力のあるコストで実施するのが比較的容易である。
図1
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導装置の電気巻線(100)の製造方法であって、
-主延在方向(L)に沿って長手方向に延在する導体要素(2)と、前記導体要素の対応する横方向面に配置された1つまたは複数のスペーサバンド(3)とを備える導体構造(1)を提供するステップを含み、各スペーサバンドは、絶縁材料からなる支持構造(30)と、前記支持構造上に配置された絶縁材料からなるスペーサ要素(31)とを含み、前記スペーサ要素は、前記支持構造に沿って互いに離間しており、前記方法はさらに、
-前記導体構造によって電気巻線(100)を形成するステップを含み、前記電気巻線は、巻線方向(DW)に沿って軸方向に延在し、前記巻線方向の周囲に配置された複数の巻回(101)を有し、
前記電気巻線(100)の各巻回(101)は、前記導体要素(2)の対応する長手方向部分(2E、2F)によって形成され、
前記スペーサ要素(31)は、前記電気巻線(100)の隣接する巻回の間の、前記巻回(101)の対向する側部(101A、101B)において介在され、
前記スペーサ要素(31)は、5~10mmの幅および2mmの高さを有する、電磁誘導装置の電気巻線(100)の製造方法。
【請求項2】
前記スペーサ要素(31)は、前記電気巻線(100)が形成されるときに、隣接する巻回と接合することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スペーサ要素(31)は、絶縁材料の成形パッドによって形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記絶縁材料の成形パッド(31)は、前記支持構造(30)に接着されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記絶縁材料の成形パッド(31)は表面(31B)を有し、その上に接着材料の層(310B)が堆積されることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記スペーサ要素(31)は、絶縁材料の成形領域によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記絶縁材料の成形領域(31)は、前記支持構造(30)上に堆積されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各スペーサバンド(3)は、前記支持構造(30)の同じ支持面(30A)上に配置されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
各スペーサバンド(3)は、前記支持構造(30)の対向する支持面(30A、30B)上に配置されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
各スペーサバンド(3)は、前記支持構造(30)を貫通し、前記支持構造(30)の対向する表面(30A、30B)から突出するように構成されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
各スペーサバンド(3)は、前記支持構造(30)と一体に形成されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
各スペーサバンド(3)は、前記支持構造(30)上に無作為に配置されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
各スペーサバンド(3)は、所定の幾何学的パターンに従って前記支持構造(30)上に配置されたスペーサ要素(31)を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記スペーサバンド(3)は、接着によって、または前記導体要素の周囲に巻かれた絶縁エンクロージャ要素によって、前記導体要素(2)に固定されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記導体要素(2)は、連続転位導体であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記電磁誘導装置は、送配電網用の電気変換器であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
電磁誘導装置の電気巻線(100)を製造するための導体構造(1)であって、
-主延在方向(L)に沿って長手方向に延在する導体要素(2)と、
-前記導体要素の対応する横方向面に配置された1つまたは複数のスペーサバンド(3)とを備え、各スペーサバンドは、絶縁材料からなる支持構造(30)と、前記支持構造上に配置された絶縁材料からなるスペーサ要素(31)とを含み、前記スペーサ要素は、前記支持構造に沿って互いに離間しており、
前記導体構造(1)は、線方向に沿って軸方向に延在し、前記巻線方向の周囲に配置された複数の巻回(101)を有する電気巻線(100)を形成するように意図され、
前記電気巻線(100)の各巻回(101)は、前記導体要素(2)の対応する長手方向部分(2E、2F)によって形成され、
前記スペーサ要素(31)は、前記電気巻線(100)の隣接する巻回の間の、前記巻回(101)の対向する側部(101A、101B)において介在され、
前記スペーサ要素(31)は、5~10mmの幅および2mmの高さを有する、導体構造(1)。
【請求項18】
電磁誘導装置用の電気巻線(100)であって、請求項17に記載の導体構造(1)を含むことを特徴とする、電気巻線(100)。
【請求項19】
送配電網用の電磁誘導装置であって、請求項18に記載の電気巻線(100)を含むことを特徴とする、電磁誘導装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
好ましくは、成形パッド31を支持構造30に接着するために用いられる接着材料310Aは、周囲温度で接合する。
【国際調査報告】