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特表2022-535676ハイブリッドMR-PET及びMR-SPECT断層撮影装置用のダイポールアンテナアレイ、並びにそのダイポールアンテナアレイの使用、及びダイポールアンテナアレイを有するMR-PET又はMR-SPECT断層撮影装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】ハイブリッドMR-PET及びMR-SPECT断層撮影装置用のダイポールアンテナアレイ、並びにそのダイポールアンテナアレイの使用、及びダイポールアンテナアレイを有するMR-PET又はMR-SPECT断層撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
A61B5/055 350
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565961
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(85)【翻訳文提出日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 DE2020000092
(87)【国際公開番号】W WO2020244689
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】102019003949.1
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035448
【氏名又は名称】フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】チェ・チャンフン
(72)【発明者】
【氏名】フェルダー・イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ソクミン
(72)【発明者】
【氏名】ラーヒェ・クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シャー・ナディム・ヨーニ
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA18
4C096AB07
4C096AC03
4C096CC01
(57)【要約】
ハイブリッドMR-PET及びMR-SPECT断層撮影装置用のダイポールアンテナアレイ、並びにそのダイポールアンテナアレイの使用、及びダイポールアンテナアレイを有するMR-PET又はMR-SPECT断層撮影装置
本発明は、ハイブリッドMR-PET及びMR-SPECT断層撮影装置用のダイポールアンテナアレイ、そのダイポールアンテナアレイの使用、並びにダイポールアンテナアレイを有するMR-PET又はMR-SPECT断層撮影装置に関する。本発明によって、ダイポールアンテナ素子(1)は、一方の端部に折り畳み部(2)を有し、この折り畳み部は、湾曲部(3)、湾曲した領域(4)、並びにダイポールアンテナ素子(1)の長手方向へのダイポールアンテナ素子(1)の湾曲した領域(5)の投影部からなり、ダイポールアンテナ素子(1)は、空洞を少なくとも部分的に取り囲む、ダイポールアンテナアレイが提供される。ダイポールアンテナアレイは、本発明の主題でもあるMR-PET装置又はME-SPECT装置で使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのダイポールアンテナ素子を有するダイポールアンテナアレイにおいて、
ダイポールアンテナ素子(1)は、一方の端部に折り畳み部(2)を有し、
この折り畳み部は、湾曲部(3)、湾曲した領域(4)、並びにダイポールアンテナ素子(1)の長手方向へのダイポールアンテナ素子(1)の湾曲した領域(5)の投影部からなり、
ダイポールアンテナ素子(1)は、空洞を少なくとも部分的に取り囲む、
ことを特徴とするダイポールアンテナアレイ。
【請求項2】
折り畳み部(2)は、別の構成要素の少なくとも1つの接続を可能にするように形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項3】
接続部は、コンデンサ、電気接続線、同軸ケーブル、インダクタ、前置増幅器、整合回路、送信/受信スイッチ、対称ネットワーク、整合ネットワーク、又は離調回路との接続に適している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項4】
折り畳み部(2)の外側には接続部がない、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項5】
ダイポールアンテナ素子(1)の端部は、端部で、90°以上から180°までの角度で、折り畳まれている、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項6】
折り畳み部(2)は、丸み又は折れ曲がりによって実現されている、少なくとも1つの湾曲部(3)によって形成される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項7】
電気部品用の接続部は、折り畳み部(2)の湾曲した領域(5)及びダイポールアンテナ素子(1)への湾曲した領域(5)の投影部に分配されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項8】
ダイポールアンテナ素子(1)は、低い原子番号の金属からなる、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項9】
ダイポールアンテナ素子(1)の長手方向に垂直な断面は、ガンマ量子に対する吸収係数に急激な変化を生じないように形成されている、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項10】
ダイポールアンテナ素子(1)は、高周波電界の侵入深さの1から5倍に相当する厚さを有する、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項11】
ダイポールアンテナ素子(1)を3から16個有する、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項12】
少なくとも1つのダイポールアンテナ素子(1)が、両側の端部で折り畳まれている、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項13】
全ての折り畳み部(2)は、ダイポールアンテナアレイの同じ端部にある、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のダイポールアンテナアレイ。
【請求項14】
接続部を有するダイポールアンテナ素子の折り畳み部(2)がPET若しくはSPECT測定範囲の外側に位置するMR-PET又はMR-SPECT断層撮影装置におけるアンテナとしての、請求項1から13のいずれか1項に記載のダイポールアンテナアレイの使用。
【請求項15】
接続部を有するダイポールアンテナ素子の折り畳み部(2)が、PET又はSPECT測定範囲の外側に位置するアンテナとしての、請求項1から12のいずれか1項に記載のダイポールアンテナアレイを有するMR-PET又はMR-SPECT断層撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドMR-PET及びMR-SPECT断層撮影装置用のダイポールアンテナアレイ、そのダイポールアンテナアレイの使用、並びにダイポールアンテナアレイを有するMR-PET又はMR-SPECT断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッドMR-PET又はMR-SPECT装置による核磁気共鳴撮影のために、高周波アンテナが使用されていて、この高周波アンテナはマグネットボア内に、したがってPET又はSPECT測定範囲内に配置されている。MRT撮影がPET又はSPECT撮影と同時に実行される複合的な方法では、PET若しくはSPECT割合から結果として生じる測定成分を、可能な限り干渉なく維持する必要がある。
【0003】
MRTコイルは、高周波電磁放射線を送信及び/又は受信するために使用する。通常、そのMRTコイルは、アンテナの近接場において機能し、近接場と遠方場との間の遷移領域においても高磁場MRTで機能する。その結果、導電性構造、すなわちアンテナは、検査ボリュームの近くに配置しなければならない。
【0004】
MRTシステム及びPETシステム又はSPECTシステムとの複合化は、2つ以上のモダリティを同時に測定することを可能にするという利点を提供する。技術的には、これらのシステムが、MRTシステムのマグネットボア内で、シンチレーション結晶及び場合によっては評価電子回路を一体化することによって実施される。MRT測定の感度損失を最小限に維持するために、複合的なMR-PET又はMR-SPECTシステムが、PET/SPECT検出器リング内に、MRTコイルとも呼ばれることが多いMRTアンテナを配置する必要がある。これは、一方では、MRTで使用されている磁場とPET/SPECT検出器ユニットとの強い結合、そして他方では、挿入されているアンテナによるPET/SPECT測定のガンマ量子の吸収につながる。
【0005】
PET及びSPECTは、通常511 keVのエネルギーを有する対消滅量子(独語:Annihilationsquanten)、すなわちγ量子から、そのPET及びSPECTの信号を得る。これら信号は、走行する経路に沿って、その伝播経路内の物質によって、吸収又は散乱される。このため、PET/SPECTシステムへのMRTコイルの導入は、PET/SPECT測定の感度に悪影響を及ぼす。
【0006】
臨床的に承認されている装置で、最大7T、又は1.5T及び3T(これはプロトンに対して約300MHz(7T)、128MHz(3T)、若しくは64MHz(1.5T)の共振周波数に対応する)で動作する先行技術によるMRTの波長に基づき、検査ボリュームへの効率的なカップリングを保証するため、まっすぐなダイポールが長すぎる。したがって、非特許文献1に記載されているように、使用されているダイポールアンテナを短縮するため、構成要素、例えばインダクタが、ダイポールアンテナに挿入される。通常、そのように短縮されているダイポールアンテナも、ダイポールの中央で接続される。しかしながら、これら全ての手段は、PET/SPECT測定ボリュームにおける電子部品及び追加の導電構造のような高吸収性材料によって、PET/SEPCTγ量子の追加の吸収若しくは散乱をもたらす。ダイポール素子の中心接続は、PET/SPECT感応領域に同軸線及び集中した構成要素などのさらなる構成要素を組み立てる。MRTにおいては、長いダイポール素子の使用が、2つの観点でマイナスの効果をもたらす。一方では、それらは、測定体積を制限し、例えば、頭部画像化のために望まれるように、小さい直径を有するダイポールの円筒状の配置は、肩領域における広がった解剖学的構造によって幾何学的に制限され得る。更に、まっすぐなダイポールアンテナは、磁気軸線に沿って大きい感度領域をもたらし、この感度領域は、しばしば、切り替え可能な勾配場の均一な領域を超え、従って、MRT画像における信号の折り返しをもたらすことができる。
【0007】
MRTアンテナは、核医学モダリティの感度を低下させないために、PET及び/又はSPECTエネルギー範囲において、量子に対するガンマ量子吸収を可能な限り小さくする必要がある。
【0008】
ドイツの特許である特許文献1は、折り畳まれていて、折り畳み部において接続部を有するダイポールアンテナが開示されている。
【0009】
したがって、MR-PET又はMR-SPECT装置で測定する場合、検査ボリューム若しくは空間的な測定範囲に導入する材料の量を可能な限り少なくする必要がある。MRT-PET/SPECT測定の品質を改善する必要があり、複合的なMR-PET/SPECT装置によって、別個の構成要素のMRT、PET、及びSPECTによる測定とほぼ同一の品質を得る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許発明第000010322186号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「Kurze Antennen: Entwurf und Berechnung verkuerzter Sende- und Empfangsantennen」 出版社:Franckh、1986年、ページ数:408ページ、ISBN3440054691
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の課題は、1つのモダリティのための装置に対して、複合的なシステムにおける、特に干渉のない、若しくは感度の低下が可能な限り少ない、MR-PETデータ若しくはMR-SPECTデータの撮影を可能にすることである。MR-PET若しくはMR-SPECT測定のPET若しくはSPECT割合に関して、先行技術による複合的なMR-PET又はMR-SPECT測定のための装置に対して、増加した感度を有する撮影が可能になるべきであり、その際、アーチファクトが可能な限り少なく、特に折り返しがMRT画像に生じないはずである。この課題の技術的な解決策は、安価で容易に実施することができなければならない。検出しなければならないγ線若しくは他の光子の、減衰及び/又は散乱は、最小化しなければならない。例えば、7テスラ若しくは7テスラより大きい超高磁場並びに3テスラ以上の高磁場のような、より高いB磁場は、より使いやすくすべきである。9.4テスラ、10.5テスラ、11.7テスラ、14テスラ、さらに20テスラの磁界も、例として挙げることができる。γ量子の後方散乱及び吸収は、低減若しくは回避しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の前提部及び並列に配列された請求項に基づいて、この課題は、本発明によるとこれらの請求項の特徴とする部分で特定されている特徴事項によって解決される。
【0014】
本発明によるダイポールアンテナアレイ及びダイポールアンテナ配置により、干渉のないMRT-PET/SPECT画像(このMRT-PET/SPECT画像では、特にMRT画像で折り返し又はアーチファクトがない)を生成することが可能である。本発明によるMR-PET/SPECT断層撮影装置の複合的な構成要素は、個々の構成要素MR、PET及びSPECTを有するような品質とほぼ同一な品質を持つ。γ線の減衰又は散乱は、低減される。例えば、7テスラ、若しくは9.4テスラ、10.5テスラ、11.7テスラ、14テスラだけでなく20テスラなどの7テスラより大きい超高磁場のような、並びに3テスラ以上の高磁場のようなより高いB磁場の使用が、より利用しやすくなる。MR-PET若しくはMR-SPECT測定のPET若しくはSPECT割合に関して、先行技術によるMR-PET又はMR-SPECT装置におけるこれらの構成要素に対する測定の感度を高める撮影が可能になる。ダイポールアンテナの物理的な規模が短縮される。本発明による課題の解決策は、安価であり、技術的に容易に実施することができる。
【0015】
MRT-PET/SPECTという用語は、以下では、MRT-PET及びMRT-SPECTの両方の実施形態を意味され得ることを示す。
【0016】
本発明の有利な形態は、従属請求項に記載されている。
【0017】
以下では、本発明によるダイポールアンテナアレイが、限定的に解釈されることなく、その一般的な形態で説明される。
【0018】
本発明によって、少なくとも一方の側で折り畳まれている少なくとも2つのダイポールアンテナ素子が、少なくとも部分的に空洞を囲むように互いに結合されているダイポールアンテナアレイが提供される。
【0019】
一つの実施形態では、本発明によるダイポールアンテナアレイのダイポールアンテナ素子は、一方の端部で、有利には90°以上から180°までの角度で、折り畳まれている。その際、ダイポールアンテナアレイが接続されている接続部および構成要素は、PET/SPECTリングのPETセンサ又はSPECTセンサを配置する回転軸に沿った領域によって与えられているPET-SPECTセンサの測定範囲外の折り畳み部に位置する。さらなる実施形態では、一つのダイポールアンテナ素子は、両端部でも折り畳まれている。
【0020】
PET-SPECT測定範囲外、特にダイポールアンテナ素子の折り畳み部における接続部及び構成要素の接続は、PET/SPECT測定範囲内で測定の干渉が起きないという結果をもたらす。好ましくは、この場合、PET/SPECT測定範囲の外側で、さらなる電子部品、例えば、整合回路、送信スイッチ/受信スイッチ、又は前置増幅器なども、PET/SPECT測定に影響を及ぼすことなく、アンテナの給電点の近くに配置することもできる。γ量子は、もはやPET/SPECT測定範囲内に位置するデバイス部品から吸収されなくなり、これらの部品でγ量子の散乱を防止する。典型的には、γ量子は、511keVのエネルギーを有する。
【0021】
ダイポールアンテナアレイの折り畳み部は、ダイポールアンテナアレイの空間的な規模が短縮されているという結果をもたらし、ハイブリッドMR-PET/SPECT装置の限定された自由なボリュームでは有利である。同時に、機能的な折り畳み部、例えば「J」の形態では、この領域においてダイポールアンテナアレイから放射される電磁場が、幾何学的に逆並列で流れる電流によって低減されることになる。これによって、給電点の近傍において構成要素へのダイポールの結合が減少し、及び、防止すべきである、この領域において核磁気共鳴の励起が減少する。特に、ダイポールアンテナの折り畳まれている領域での核磁気共鳴の励起を防止することによって、例えば折り返しによるMRT画像におけるアーチファクトを防止することができる。
【0022】
PET/SPECT測定範囲の外側に位置するダイポールアンテナアレイのダイポールアンテナ素子の折り畳み部は、ダイポールアンテナアレイによって形成されるダイポールの電力適合電気接続を可能にする。これにより、電気接続点を正しく選択することによって、コンデンサの使用下での電力適合接続が可能となる。接続点の合理的な選択は、当業者が知っていることである。
【0023】
接続がPET/SPECT測定範囲の空間的に近くにある場合、PET/SPECT測定範囲へのγ量子の後方散乱は、より少数の構成要素を使用することによって低減することができる。
【0024】
ダイポールアンテナ素子の折り畳まれている領域は、湾曲部、湾曲した長手領域、及びダイポールアンテナ素子の長さに対して湾曲した領域の垂直な投影部の領域を含む。
【0025】
湾曲部は、弓形、楕円、又は他の幾何学的な湾曲の形態における丸みであってもよい。本発明による角度を含むダイポールアンテナアレイの折れ曲がり(独語:Knick)も可能である。湾曲部は、少なくとも2つの部分的な湾曲部から組み立ててもよい。
【0026】
湾曲した部分は、90°以上及び180°の角度での湾曲部に続いて、ダイポールアンテナの長手方向に対して戻る部分である。
【0027】
ダイポールアンテナ素子の長さに対して湾曲した領域の垂直な投影の領域は、長手方向において湾曲部の前に位置するダイポールアンテナ素子の部分であり、及びびダイポールアンテナ素子の長手方向に対して垂直である、湾曲している領域の投影される部分である。
【0028】
ダイポールアンテナ素子の2つの端部は終点、即ち、直線部分の端部及び湾曲した領域の端部であり、並びに、ダイポールアンテナ素子の両側の端部に折り畳み部がある実施形態の場合には、2つの折り畳み部の終点である。
【0029】
本発明によるダイポールアンテナアレイ又はダイポールアンテナ素子の測定範囲は、湾曲部を有さない終点と、長手方向への湾曲した部分の終点の投影によって生じる点との間のダイポールアンテナアレイの長さに沿った範囲内であってもよい。ダイポールアンテナ素子の両方の端部が折り畳まれている一つの実施形態では、測定範囲が、それぞれ湾曲している部分の終点の、長手方向への投影によって生じる点の間に位置することができる。この測定範囲は、ダイポールアンテナアレイ又はダイポールアンテナ素子の上述の長手部分の少なくとも一部の領域であってもよく、及びMR-PET若しくはME-SPECT装置の設計又は磁界などの外部要因にも依存する。この場合、送信機及び受信機として利用可能な長手部分である。更に、ダイポールアンテナ素子若しくはダイポールアンテナアレイの測定範囲は、折ダイポールアンテナ素子若しくはダイポールアンテナアレイにおける畳み部のない部分の少なくとも一部の領域である。
【0030】
特に、ダイポールアンテナ素子又はダイポールアンテナアレイのPET又はSPECT測定範囲では、インダクタ、コンデンサ、接続線、同軸ケーブル、又は前置増幅器などの接続部がない。
【0031】
好ましくは、接続部又は構成要素が、ダイポールアンテナ素子若しくはダイポールアンテナアレイの折り畳み部に、少なくとも部分的にある。
【0032】
好ましくは、すべての接続部及び構成要素は、ダイポールアンテナアレイ若しくはダイポールアンテナ素子の折り畳み部にある。その結果、PET若しくはSPECT撮影でより良好な画質が達成される。
【0033】
例えば、一つの好ましい実施形態では、同軸ケーブルは、それらの端部が、折り畳み部の湾曲した領域に、及びダイポールアンテナ素子の長さ方向に対する湾曲した領域の垂直な投影の領域に分配されているように接続することができる。それによって、電気的接続点の正確な選択によって、簡単なコンデンサを使用する電力適合接続も可能にする。
【0034】
ダイポールアンテナアレイ若しくはダイポールアンテナ素子が折り畳まれている角度は、90°及び180°の範囲内の任意の所望の値を有してもよい。例えば、95°、100°、115°、120°・・・165°、170°、175°、又は179°であってもよい。
【0035】
ダイポールアンテナアレイの一つのダイポールアンテナ素子は、その終点間の長さが共振周波数での波長のλ/2に相当する。λ/2についての物理的長さは、ダイポールアンテナアレイ若しくはダイポールアンテナ素子上のダイポール形状の電流分布が維持される動作モードが保持される限り、より低い値又はより高い値に応じて相違してもよい。
【0036】
好ましくは、ダイポールアンテナ素子は、γ線に対する吸収係数に急激な変化が生じない断面を、例えば円形状又は楕円形状の断面を有する。これにより、PET/SPECT画像再構成でのアーチファクトを防止することができる。
【0037】
好ましくは、本発明によるダイポールアンテナアレイのダイポールアンテナ素子が、薄型に形成されている。本発明の意味での薄さとは、ダイポールアンテナ素子への高周波場の1から5の侵入深さに対応するダイポールアンテナ素子の厚さを意味する。
【0038】
好ましくは、ダイポールアンテナアレイ若しくはダイポールアンテナ素子は、電気伝導材料からなり、好ましくはアルミニウムなどの原子番号の小さい金属からなる。アルミニウムの場合のように、低い原子番号をもつダイポールアンテナ素子材料を使用すると、PET/SPECT測定における干渉及び記録されている画像におけるアーチファクトが防止又は低減されるという結果もある。ダイポールアンテナアレイのための導体材料の材料選択は、導電率と低い原子番号との間の妥協案である。
【0039】
有利には、本発明によるダイポールアンテナアレイは、例えばMRT測定範囲を拡大するために、マルチチャネルMRTコイルを組み合わせることができる。
【0040】
本発明によれば、少なくとも2つのダイポールアンテナ素子は、空洞を画定するように支持体を介してアレイにまとめられている。実際の使用では、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、又はそれ以上のダイポールアンテナ素子が、好ましくは円筒形である空洞を取り囲んでもよく、ダイポールアンテナ素子は、仮想的に囲んだ円筒形に半径方向間隔で配置されている。このように配置されているダイポールアンテナ素子の上述の数は、実際の見地によってのみ制限されている。
【0041】
使用されるダイポールアンテナ素子の数は、磁場の強度又は検査すべき対象物の寸法に依存し得る。例えば、8個のダイポールアンテナ素子は、9.4テスラで頭部を撮影する場合に有利であり得る。人体全体を検査する場合、16個のダイポールアンテナ素子が有利であり得る。使用されているB磁界が高いほど、ダイポールアンテナ素子間で干渉する結合が大きくなり、従って、好ましくはダイポールアンテナアレイ内で相互接続されるダイポールアンテナ素子をより少なくする。しかしながら、ダイポールアンテナ素子間の干渉する結合は、技術的手段によっても低減することができる。これらは当業者に知られている。
【0042】
この場合、ダイポールアンテナアレイのダイポールアンテナ素子の折り畳み部は、長手方向の反対側の端部に分散させられ得るが、すべての湾曲した端部が長手方向の同じ側で配置されているようにダイポールアンテナ素子を支持体内に配置することが好ましい。このようにして、すべての接続部又は構成要素は、ダイポールアンテナアレイの同じ端部にある。その結果、すべてのケーブルは、キャリアハウジングから同じ方向へ引きだすことができる。
【0043】
ダイポールアンテナ素子を一つにまとめる手段としての支持体の場合、一つの簡単な実施形態では、内側若しくは外側でダイポールアンテナ素子と接続される2つのリングであってもよく、又はダイポールアンテナ素子は、固定されているようにリング内のボアを通って延在することもできる。
【0044】
支持リングがPET-SPECT測定範囲の測定範囲内で突出しない場合に、有利である。
【0045】
ダイポールアンテナ素子が固定する手段によって取り付けられている円筒体は、支持体としても機能することができる。
【0046】
好ましくは、支持体は、μが空気にほぼ対応する非磁性材料で作られ、好ましくはプラスチックで作られる。
【0047】
支持体によってまとめられているダイポールアンテナアレイ若しくはダイポールアンテナ素子の一部又は全領域は、MRT測定に使用することができる。その結果、MRTのための測定範囲は、PET/SPECTシステムの測定範囲よりも大きく、又は等しく、又は小さくしてもよい。
【0048】
ダイポールアンテナ素子の折り畳み部では、様々なデバイス素子を接続され得る。
【0049】
例えば、給電線は、整合ネットワークを介して接続され得る。この場合、対称ネットワークは、整合回路と一緒に直接、又は整合ネットワークを介して、接続され得る。適応回路と共に、離調回路も設置され得る。
【0050】
本発明は、さらに、先述した課題を解決する、本発明による先述のコイル配置を有する、一体型のPET又はSPECTシステムを有する、磁気共鳴断層撮影法システム、特に高磁場/超高磁場磁気共鳴断層撮影法システム、磁気共鳴分光法システム又は核磁気共鳴分光法システムに関する。
【0051】
さらに、本発明は、一体化されたPET若しくはSPECTシステムを有する、磁気共鳴断層撮影法、特に高磁場/超高磁場磁気共鳴断層撮影法、磁気共鳴分光法、又は核磁気共鳴分光法の場合、高周波送信機及び/又は受信機コイルとして上述の本発明によるダイポールアンテナアレイの使用に関する。
【0052】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して、本発明によるコイル配置の一つの実施形態を、以下の説明から明らかにする。
【0053】
本発明は、図中で例示される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】いくつかの領域又はいくつかの部分が記載されているダイポールアンテナアレイを示す。
図2】接続部が記載されているダイポールアンテナアレイを示す。
図3】本発明による6個のダイポールアンテナが配置されているダイポールアンテナアレイを示す。
図4】長手方向におけるダイポールアンテナアレイの平面図を示す。
図5】長手方向におけるダイポールアンテナアレイの平面図を示す。
図6】球形ファントムの拡大図を示す。
図7】頭部の画像を示す。
図8】頭部を測定する患者と測定装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、湾曲部3と、湾曲した領域4と、湾曲した領域5の投影部とを備える折り畳み部2を有するダイポールアンテナ素子1を示す。湾曲した領域の終点は参照符号6をもち、ダイポールアンテナアレイの長い側の終点は参照符号7をもつ。
【0056】
図2では、同軸ケーブル8が内側ケーブル9によって、(湾曲した領域5の投影部であるダイポールアンテナ素子1の部分に接続している)コンデンサ10に接続されているダイポールアンテナ素子1が記載されている。同軸ケーブル8の外側ケーブル11は、湾曲した領域4に接続している。
【0057】
図3は、互いに円筒状に配置されている帯状のダイポールアンテナ素子1a~1fを有するダイポールアンテナアレイ10を長手方向から見た図で示す。
【0058】
図4は、湾曲した領域4a、4b、・・・、4fと、湾曲した領域5a、5b、・・・、5fの投影部を見ることができる、ダイポールアンテナアレイ10の長手方向からみた平面図を示す。
【0059】
図5では、ダイポールアンテナアレイ10が、湾曲した領域4a、4b、・・・4fと湾曲した領域の投影部とが支持体の円筒の周面に沿って配置されている断面図として記載される。
【0060】
図6は、本発明によるダイポールアンテナアレイ10を使用した場合の、線形アンテナと比較した、球形ファントム内の磁場を軸方向及びサジタル方向で示す。
【0061】
図7は、本発明によるダイポールアンテナアレイ10を使用した場合の、軸方向及びサジタル方向での頭部内の磁場の分布を示す。
【0062】
図8は、頭部を測定すべき患者がいるMR-PET、若しくはMR-SPECT装置を示す。図では、傾斜磁場コイル12、12aを備える磁石11、11aが記載されている。MR-PET装置の場合のPETモジュール、MR-SPECT装置の場合のSPECTモジュールが、参照符号13、13aとで示される。ダイポールアンテナアレイの構成要素であるダイポールアンテナ素子は、参照符号1、1aである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】