IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェイティー インターナショナル エス.エイ.の特許一覧

<>
  • 特表-シガリロ又はシガー 図1
  • 特表-シガリロ又はシガー 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】シガリロ又はシガー
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20220803BHJP
   A24C 1/26 20060101ALI20220803BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
A24D1/02
A24C1/26
A24B15/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568756
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2020065799
(87)【国際公開番号】W WO2020249504
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】19179968.3
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】JT INTERNATIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】プラムリッジ,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ミラネス,エルネスト
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
4B144
【Fターム(参考)】
4B043BB25
4B043BC02
4B043BC15
4B045AA41
4B045AB01
4B144CA03
(57)【要約】
本発明は、円筒形状を有し、細刻みタバコ葉を含むカットフィラーと、第1のシート材料からなるバインダと、タバコシート材料からなるラッパーとを含むシガリロ又はシガーに関し、カットフィラーの円筒状ロッドが、バインダ及びラッパーからなる二重層で回転並進形態で巻かれ、バインダは、内層としてカットフィラーに直接配置され、ラッパーは、外層としてバインダの外面に配置される。本発明は、バインダが、バインダ中の含有量が少なくとも15ppmである芳香族化合物ソラベチボンを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状を有し、細刻みタバコ葉を含むカットフィラー(2)と、第1のシート材料からなるバインダ(3)と、タバコシート材料からなるラッパー(4)とを含むシガリロ(1)又はシガーであって、カットフィラー(2)の円筒状ロッドが、バインダ(3)及びラッパー(4)からなる二重層で回転並進形態で巻かれ、前記バインダ(3)は、内層として前記カットフィラー(2)に直接配置され、前記ラッパー(4)は、外層として前記バインダ(3)の外面に配置され、
前記バインダ(3)は、前記バインダ中の含有量が少なくとも15ppmである芳香族化合物ソラベチボンを含むことを特徴とする、シガリロ(1)又はシガー。
【請求項2】
前記バインダ中の前記ソラベチボンの含有量が15ppm~120ppmであることを特徴とする、請求項1に記載のシガリロ(1)又はシガー。
【請求項3】
前記バインダ中の前記ソラベチボンの含有量が120ppmを超えることを特徴とする、請求項1に記載のシガリロ(1)又はシガー。
【請求項4】
前記バインダ(3)は、芳香族化合物を含有するフルーキュアードバージニアタバコからなることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のシガリロ(1)又はシガー。
【請求項5】
前記ラッパー(4)は、エアキュアードタバコからなることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のシガリロ(1)又はシガー。
【請求項6】
前記ラッパー(4)は、バーリータバコからなることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のシガリロ(1)又はシガー。
【請求項7】
前記ラッパー(4)は、3%未満の総糖含有量を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載のシガリロ(1)又はシガー。
【請求項8】
前記カットフィラー(2)の前記細刻みタバコ葉は、アメリカンブレンドタバコ葉混合物からなることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のシガリロ(1)又はシガー。
【請求項9】
前記カットフィラー(2)の前記細刻みタバコ葉は、バージニアタバコからなることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のシガリロ(1)又はシガー。
【請求項10】
前記カットフィラー(2)の前記細刻みタバコ葉は、改良アメリカンブレンドタバコ葉混合物からなることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のシガリロ(1)又はシガー。
【請求項11】
前記カットフィラー(2)の前記細刻みタバコ葉は、改良バージニアタバコからなることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のシガリロ(1)又はシガー。
【請求項12】
シガリロ(1)又はシガーにおける、芳香族化合物ソラベチボンを含有するバインダ(3)の使用であって、前記バインダ(3)中の前記芳香族化合物ソラベチボンの含有量は少なくとも15ppmである、バインダ(3)の使用。
【請求項13】
前記バインダ(3)は、芳香族化合物ソラベチボンを含有するフルーキュアードバージニアタバコからなる、請求項13に記載のバインダ(3)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形状を有し、細刻みタバコ葉を含むカットフィラーと、第1のシート材料からなるバインダと、タバコシート材料からなるラッパーとを含むシガリロ又はシガーであって、カットフィラーの円筒状ロッドは、バインダ及びラッパーからなる二重層で回転並進形態で巻かれ、バインダは、内層としてカットフィラーに直接配置され、ラッパーは、外層としてバインダの外面に配置される、シガリロ又はシガーに関する。
【背景技術】
【0002】
シガリロ及びシガーは、紙巻きタバコと比較して非常に異なる味の体験を消費者に提供する。特に、紙巻きタバコの消費者の多くは、シガリロ又はシガーの味及び/又は感覚的体験を不快であると知覚する。それにも関わらず、そのような消費者は、喫煙物品をシガリロ又はシガーの形態で消費することを希望する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、製造が容易であって、標準的なシガリロ又はシガーの製造設備に適合し費用効果が高く、紙巻きタバコと比較して同様の感覚的体験を伴う、シガリロ又はシガーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の目的は、円筒形状を有し、細刻みタバコ葉を含むカットフィラーと、第1のシート材料からなるバインダと、タバコシート材料からなるラッパーとを含むシガリロ又はシガーであって、カットフィラーの円筒状ロッドが、バインダ及びラッパーからなる二重層で回転並進形態で巻かれ、バインダは、内層としてカットフィラーに直接配置され、ラッパーは、外層としてバインダの外面に配置される、シガリロ又はシガーによって達成される。本発明は、バインダが、バインダ中の含有量が少なくとも15ppmである芳香族化合物ソラベチボンを含むことを特徴とする。
【0005】
紙巻きタバコの消費者にとって、標準的なシガリロ又はシガーの否定的に知覚される感覚的体験は、主にラッパーによって決定される。標準的なシガリロ又はシガーのラッパーは、通常、エアキュアードタバコ葉からなる。このエアキュアードタバコ葉は、非常に強い、アンモニアのような味を含む。標準的なバインダは、紙、再構成タバコ(RTB)、又はダーク又はライトエアキュアードタバコからなる。このような標準的な紙又はRTBバインダは、紙巻きタバコの消費者に豊かな感覚的体験を提供しない。結果として、シガリロ及びシガーの全体的な感覚的体験は、主にラッパーによって決定される。ダーク又はライトエアキュアードタバコバインダは、ラッパーと同様に、より強い感覚的体験を提供する。ダーク又はライトエアキュアードタバコバインダを使用すると、標準的なシガリロ/シガー及び紙巻きタバコの消費者にとって不快な味が更に強くなる。
【0006】
ラッパー及び/又はバインダの強い味、そして紙巻きタバコの消費者にとって望ましくない味を、相殺及び調和させるために、芳香族化合物ソラベチボンを含むバインダが使用される。ソラベチボンは甘い味を有し、それがラッパーの強い味を中和して調和させ、その結果、シガリロ及びシガーの感覚的体験が紙巻きタバコに類似したものになる。この改善された感覚的体験により、紙巻きタバコの消費者は、本発明によるシガリロ又はシガーの味を、紙巻きタバコと同様に体験することになり、したがって、本発明によるシガリロ及びシガーを心地よいものと知覚することになる。このことは、本発明が、紙巻きタバコの消費者の味覚要件に適合するシガリロ又はシガーを提供するので有利である。バインダ材料の交換は非常に単純なので、既存の標準的なシガリロ又はシガーの製造設備を用いて本発明を製造することが可能になる。これにより、本発明の費用効果の高い製造が可能になる。
【0007】
好ましくは、バインダ中のソラベチボンの含有量は少なくとも15ppmである。バインダ中のこの最小限の量のソラベチボンは、望ましい感覚的体験を実現するために必要である。このソラベチボン含有量により、ラッパーの強い味が十分にマスクされ調和されるので、紙巻きタバコのような味に慣れている紙巻きタバコの消費者が、シガリロ及びシガーの全体的な味を心地よいものと知覚することになる。
【0008】
別の実施形態によれば、バインダ中のソラベチボン含有量は15ppm~120ppmである。ソラベチボン含有量が最大120ppmである材料が良好な入手可能性を示す。したがって、この含有量の範囲により、ソラベチボンの最小含有量の存在が保証されながら、バインダ材料の幅広い入手可能性が保証される。抽出物の幅広い入手可能性により、費用効果の高い製造プロセスが保証される。
【0009】
別の実施形態によれば、バインダ中のソラベチボン含有量は120ppmを超える。
【0010】
バインダ中のソラベチボン含有量が高いと、シガリロ又はシガーの味への好ましい影響が更に強くなる可能性がある。この実施形態では、更に甘くマイルドな味を有するシガリロ又はシガーが提供される。これにより、更に甘くマイルドなシガリロ又はシガーを消費者に提供する可能性が開かれる。
【0011】
別の実施形態によれば、バインダは、芳香族化合物を含有するフルーキュアードバージニアタバコからなる。フルーキュアードバージニアタバコは自然にソラベチボンを含有する。ソラベチボンは、バージニアタバコ葉に自然に含まれている。フルーキュアードバージニアタバコは市販されている。本発明を製造するために必要な原材料が容易に入手可能なので、商業的な入手可能性は利点である。バインダ材料の変更のみが必要なため、フルーキュアードバージニアタバコも、シガリロ又はシガーの製造に容易に組み込むことができる。ある種類のタバコからなるバインダを用いてシガリロ又はシガーを製造する技術も広く知られている。したがって、標準のバインダ、例えばRTBバインダから、フルーキュアードバージニアタバコで作られたバインダへの変更を、設備や作業手順を何ら変更又は修正する必要なく、シガリロ又はシガーの製造において実現することは容易であろう。これにより、本発明を市場に投入するための投資を低くすることが保証され、それにより本発明は特に費用効果が高くなる。
【0012】
更に、フルーキュアードバージニアタバコは、市販されている自然栽培の製品である。これにより、製品に化学添加物を導入することなく、紙巻きタバコの消費者に対する感覚的体験が改善されたシガリロ又はシガーを実現することが可能になる。したがって、上記で提案された解決策は、製造プロセス中に何らかの人工又は天然の芳香族物質をシガリロ又はシガーに導入することよりも優れている。なぜなら、上記解決策は天然のタバコ製品の変更を意味し、これは多くの場合、消費者が望まないからである。
【0013】
広く入手可能なフルーキュアードバージニアタバコは、最大120ppmの含有量のソラベチボンを含む。所望の感覚的体験を実現するためのバインダ中のソラベチボンの最小量は15ppmである。これにより、最小限のソラベチボン含有量を有するバインダを実現するには、バインダ中の15~120ppmのソラベチボンの濃度間隔が最も費用効果が高くなる。好ましくは、少なくとも15ppmの、より高いソラベチボン含有量を有するフルーキュアードバージニアタバコ葉が選択される。
【0014】
別の実施形態によれば、ラッパーはエアキュアードタバコからなる。ソラベチボンを含むバインダと組み合わせることにより、所望の紙巻きタバコのような感覚的体験がシガリロ又はシガーで実現される。ラッパーとしてのエアキュアードタバコは十分に実証済みのラッパー材料であるため、本実施形態は容易に実現できる。したがって、このラッパー材料は、シガリロ又はシガーの標準的な製造プロセスに適合している。エアキュアードタバコは一般に、発酵性の又はアンモニアのような味がする。エアキュアードタバコも、その視覚的外観ゆえにラッパー材料を使用する。なぜなら、ラッパーはシガリロ又はシガーの最外層であり、したがってシガリロ又はシガーの構造的外観及び色を決定するからである。ソラベチボンを含むバインダが甘い味をもたらすと共に、より均衡し調和した全体的な味がシガリロ又はシガーで実現され、一方で、シガリロ又はシガーの視覚的外観は、標準的なシガリロ又はシガーと比較して変更されない。
【0015】
別の実施形態によれば、ラッパーはバーリータバコからなる。ソラベチボンを含むバインダと組み合わせることにより、バーリータバコラッパーは、所望の紙巻きタバコのような感覚的体験をシガリロ又はシガーにもたらす。バーリータバコも広く入手可能なので、本実施形態の生産のための原料は容易に提供され得る。バーリータバコは一般に、ナッツ及び/又はチョコレートのような特徴を伴うアンモニアのような味がする。ソラベチボンを含むバインダが甘い味をもたらすと共に、より均衡し調和した全体的な味がシガリロ又はシガーで実現される。
【0016】
ラッパーとしてのエアキュアードタバコ又はバーリータバコの使用に応じて、僅かに異なる全体的な味のプロファイルが実現される。両方の実施形態は、並べて製造できる。これにより、消費者は好みに応じて特定の味のプロファイルを選択できる。
【0017】
別の実施形態によれば、ラッパーは3%未満の総糖含有量を有する。バインダ中のソラベチボンと共に、ラッパー中のこの糖含有量が3%未満であることにより、所望の紙巻きタバコのような、シガリロ又はシガーの感覚的体験が、更に改善されることになる。
【0018】
別の実施形態によれば、カットフィラーの細刻みタバコ葉は、アメリカンブレンドタバコ葉混合物からなる。アメリカンブレンドタバコは紙巻きタバコ用に広く使用されている。バインダ中のソラベチボンに加えて、アメリカンブレンドタバコは、紙巻きタバコのような、シガリロ又はシガーの感覚的体験に、寄与することになる。アメリカンブレンドカットフィラーの味は、コクがあり、風味が強く、滑らかで、フルーティーな、ナッツのような、キャラメルのような甘い特徴を含む。アメリカンブレンドカットフィラーは、高いレベルのタバコの味を提供する。これが、シガリロ又はシガーの全体的な味に中~高程度の影響を及ぼす。アメリカンブレンドタバコは、ラッパーによる味への影響を更に低減させる。ラッパーからのアンモニアの特徴は打ち消されている。これにより、シガーのような香りが低減され、シガリロ又はシガーは、紙巻きタバコのように全体的な味になる。また、アメリカンブレンドカットフィラーは、バインダ及びラッパーと組み合わせると、ビターチョコレート、ナッツ、及びキャラメルの甘さの特徴を有する個々の全体的な味のプロファイルを生成する。
【0019】
別の実施形態によれば、カットフィラーの細刻みタバコ葉は、バージニアタバコからなる。バージニアタバコは、紙巻きタバコで広く使用されているタバコの種類である。したがって、バージニアタバコは、紙巻きタバコのような、シガリロ又はシガーの感覚的体験に、寄与することになる。バージニアタバコはまた、カットフィラーとしてアメリカンブレンドタバコを使用する場合と比較して、シガリロ又はシガーに、異なる感覚的体験をもたらすことになる。バージニアタバコは、甘さを伴う自然なタバコの味を含む。バージニアタバコは香りが高い。バージニアタバコは、シガリロ又はシガーの全体的な味に中程度の影響を及ぼす。カットフィラーとしてのバージニアタバコは、ラッパー及びバインダと組み合わせると、アンモニアの特徴をマスクすることによりラッパーの影響を均衡させる。したがって、カットフィラーとしてのバージニアタバコは、シガリロ又はシガーの全体的な味が紙巻きタバコのようになることに更に寄与する。また、バージニアタバコは、チョコレートのような特徴を強め、他のカットフィラーと比較して個々の全体的な味のプロファイルを生成する。これにより、様々なカットフィラー材料を使用した様々な種類のシガリロ又はシガーを提供することが可能になり、これらは全て、紙巻きタバコのような全体的な味を有する。これにより、紙巻きタバコのような全体的な味を提供しながら、より個人向けにカスタマイズされた感覚的体験を消費者に提供することが可能になる。
【0020】
別の実施形態によれば、カットフィラーの細刻みタバコ葉は、改良アメリカンブレンドタバコ葉混合物からなる。そのような混合物は、ある種類の葉の一部を追加する及び/又は取り去ることにより、シガリロ又はシガーの感覚的体験を様々な好みに適合させる可能性を更に開くことになる。そのような混合物は紙巻きタバコでは頻繁に使用され、シガリロ又はシガーの味が紙巻きタバコのようになることに寄与することになる。
【0021】
別の実施形態によれば、カットフィラーの細刻みタバコ葉は、改良バージニアタバコからなる。改良バージニアタバコもまた、紙巻きタバコに広く使用されている。したがって、改良バージニアタバコは、シガリロ又はシガーの感覚的体験が紙巻きタバコのようになることに寄与することになる。ここでも、この種類のカットフィラーは、アメリカンブレンドタバコ、バージニアタバコ、又は改良アメリカンブレンドタバコ葉混合物と比較して僅かに異なる味を提供する。結果として、シガリロ又はシガーの感覚的体験を地域の嗜好に適合させることができる。様々な実施形態を同時に市場に提供することも容易に可能である。この実施形態は全て、製造プロセスに大きな変更を加えることなく、バインダ中にソラベチボンを含むが、異なるカットフィラー材料を含み、したがって僅かに異なる感覚的体験をもたらす。カットフィラー材料だけを交換すればよい。これは、標準的なシガリロ又はシガーと比較すると感覚的体験において、ある種の共通の側面をそれぞれ有するが、互いに比較すると味がそれぞれ僅かに異なる、様々な種類の又はブランドの紙巻きタバコに非常に類似している。これにより、消費者は、個人的嗜好の要件にも適合する、紙巻きタバコのような感覚的体験を伴うシガリロ又はシガーを選択することが可能になる。
【0022】
本発明の目的はまた、バインダ中の含有量が少なくとも15ppmである芳香族化合物ソラベチボンを含むバインダをシガリロ又はシガーで使用することにより実現される。ソラベチボンを含むそのようなバインダの使用は非常に有利である。なぜなら、バインダがシガリロ又はシガーのラッパーからの強い味を相殺し、標準的なシガリロ又はシガーの感覚的体験よりも紙巻きタバコの感覚的体験をより好む消費者にとって、より紙巻きタバコのような感覚的体験を生み出すからである。バインダを変更し、標準的なシガリロ又はシガーのようにシガリロ又はシガーのラッパー及びカットフィラーをそのまま維持するだけで、標準的なシガリロ又はシガーの製造設備を使用できるので、本発明は製造が非常に容易である。製造を開始するために必要な更なる投資はない。これにより、本発明の実現が容易になり、費用効果が高くなる。
【0023】
別の実施形態によれば、芳香族化合物ソラベチボンを含有するフルーキュアードバージニアタバコからなるバインダが使用される。バインダにソラベチボンを付与するために、フルーキュアードバージニアタバコの使用が有利である。なぜなら、このタバコは自然にソラベチボンを含むからである。このことは、バインダ材料にソラベチボンを人工的に添加するのに、追加の製造工程が不要なことを意味する。また、このタバコは純粋に天然生産物である。したがって、人工物質及び/又は化学物質を添加することなく、芳香族化合物ソラベチボンをシガリロ又はシガーに導入することが可能である。フルーキュアードバージニアタバコも市販されている。これにより、シガリロ又はシガーの製造のための原材料の継続的な供給が保証される。
【0024】
ソラベチボンは、甘い風味又は香りを生成する物質である。ソラベチボンの分子式は次のとおりである。
【0025】
【化1】
【0026】
ソラベチボン(C1522O)は、フルーキュアードバージニアタバコにおいて自然に生成される。ソラベチボンは、タバコ植物自体によって生成されるストレス化合物である。ソラベチボンは、タバコ植物中で代謝産物及びフィトアレキシンとして機能する。葉に含まれるソラベチボンのレベルは、生長段階において、物理的損傷、UV照射、温度、含水量、タバコモザイクウイルス(TMV)の感染、キュウリモザイクウイルス(CMV)の感染、更なる植物病害、タバコ立枯病、及び/又はバクテリア代謝産物の影響を受ける。好ましくは、ソラベチボン含有量が可能な限り高いが、少なくとも15ppmのソラベチボンを含むフルーキュアードバージニアタバコが使用される。使用済みフルーキュアードバージニアタバコの味覚プロファイル、及び/又はシガリロ若しくはシガーの全体的な味覚プロファイルは、フレーバー分析によって制御され得る。
【0027】
本発明の更なる利点、目的、及び特徴を、添付の図面を参照する以下の記載において、あくまで一例として説明する。図面において、異なる実施形態における類似の構成要素は、同一の参照記号を示す場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】シガリロ(1)又はシガーの概略図である。
図2】バインダ(3)の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、シガリロ(1)を参照する。しかしながら、シガリロ(1)を参照する場合、シガリロ(1)の代わりにシガーの可能な実施形態が常に含まれる。
【0030】
図1はシガリロ1の概略図を示す。シガリロ1は、2つの底面1a、1bの中心を通って突出する長手方向軸Lを持つ円筒形状を有する。カットフィラー2は、シガリロ1とほぼ同じ円筒形状を有するが、直径は僅かに小さい。バインダ3及びラッパー4は、カットフィラー2の円筒状ロッドの周りに回転並進形態で巻かれている。回転並進形態とは、バインダ3及びラッパー4が、2つの成分からなる移動でカットフィラーの円筒状ロッドに巻かれることを意味する。第1の成分は、長手方向軸Lの周りのバインダ3及び/又はラッパー4の回転である。第2の成分は、長手方向軸Lに平行な方向へのバインダ3及び/又はラッパー4の並進である。2つの成分の重ね合わせにより、バインダ3及び/又はラッパー4の回転-並進移動が実現される。カットフィラーの周りのバインダ3とラッパー4のこの配置は螺旋に類似している。
【0031】
第1の層として、バインダ3が、カットフィラー2の周りに巻かれる。ラッパー4は、第2の層として、バインダ3及びカットフィラー2の周りに巻かれる。これにより、バインダ3は、カットフィラー2及びラッパー4に直接接触するように配置される。バインダ3は、シガリロ1の中心に向かって配置されたバインダ3の内側5において、カットフィラーと直接接触している。バインダ3は、バインダ3の外側6において、ラッパー4と直接接触している。ラッパー4は、バインダ3と直接接触するように配置されている。ラッパー4は、ラッパー4の内側7において、バインダ3と直接接触している。ラッパー4の外側8は、シガリロ1の外面を示す。換言すれば、バインダ3及びラッパー4は、カットフィラー2を取り囲む二重層で配置されている。バインダ3は二重層の内層を意味し、ラッパー4は二重層の外層を意味する。
【0032】
ソラベチボンを含むバインダ3を使用することにより、ソラベチボンは二重層中に配置される。ソラベチボンは主に、ラッパー4の強い味の影響を調和させるために必要なので、ラッパー4に非常に近いソラベチボンのこの位置は、例えばソラベチボンを含むカットフィラー2と比較して有益である。
【0033】
完成したシガリロでは、バインダ3及びラッパー4は、カットフィラーを取り囲む二重層を形成する。バインダ3及びラッパー4の追加材料の厚さが、カットフィラー2のロッドの僅かに小さい円筒形状に追加されて、シガリロ1の全体の円筒形状になる。
【0034】
図2は、バインダ3の詳細図を示す。バインダ3は、好ましくは常に同様の形状を有する。これにより、シガリロ製造用の機械の使用が簡略化されることになる。しかしながら、バインダ3としてタバコ葉をまるごと使用することも可能である。シガリロ1の外面はラッパー4の外側8によって形成され、ラッパー4はバインダ3を完全に覆うので、バインダ3の視覚的外観は無視できる。
【0035】
本出願人は、本出願明細書に開示された全ての特徴が、先行技術に照らして、個別に又は組み合わせて新規である限り、それらの特徴を本発明の本質的な特徴であるものとして特許請求する権利を保有する。更に、図では、個別に有利であり得る特徴が記載されていることに留意されたい。当業者であれば、図に開示された特定の特徴は、この図の更なる特徴を取り入れなくても有利であり得ることを直ぐに認識するであろう。更に、当業者であれば、1つ又は様々の図に開示された多様な特徴の組み合わせから利点が発展し得ることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0036】
1 シガリロ
1a、1b ベース面
2 カットフィラー
3 バインダ
4 ラッパー
5 バインダの内側
6 バインダの外側
7 ラッパーの内側
8 ラッパーの外側
L 長手方向軸
図1
図2
【国際調査報告】