(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】不純物が少ない気体雰囲気での金属粉末に基づく製造方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B22F 12/70 20210101AFI20220803BHJP
B22F 10/32 20210101ALI20220803BHJP
B22F 10/85 20210101ALI20220803BHJP
B22F 10/77 20210101ALI20220803BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220803BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220803BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220803BHJP
B22F 12/90 20210101ALI20220803BHJP
B22F 10/00 20210101ALI20220803BHJP
【FI】
B22F12/70
B22F10/32
B22F10/85
B22F10/77
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B22F12/90
B22F10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021569902
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 CA2020050704
(87)【国際公開番号】W WO2020237359
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521510970
【氏名又は名称】エクイスフィアーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【氏名又は名称】芦北 智晴
(74)【代理人】
【識別番号】100207022
【氏名又は名称】小島 弘之
(72)【発明者】
【氏名】コンロン,マーティン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥートレ,ショーン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アザリ ドルチェ,カムラン
(72)【発明者】
【氏名】ハーフィズ,アブドラ モハマッド カリード
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ケネス ジェラルド
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA02
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA07
4K018AA14
4K018AA24
4K018AA40
4K018BA01
4K018BA02
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA08
4K018BA10
4K018BA13
(57)【要約】
製造チャンバを形成する密封容器と、前記製造チャンバ内に含まれ、金属系供給原料を加熱して変形/変換させる金属変形/変換ユニットと、不活性気体ラインを介して前記製造チャンバに動作的に接続され、前記製造チャンバに気体連通して前記製造チャンバ内に不活性気体を供給する不活性気体源と、前記製造チャンバに気体連通して、約100ppb未満の酸素分圧を有する精製された不活性気体が得られるように不活性気体を精製する少なくとも一つの気体精製ユニットとを含む、金属粉末に基づく製造システムが提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造チャンバを形成する密封容器;
前記製造チャンバ内に含まれ、金属系供給原料を加熱して変形/変換させる金属変形/変換ユニット;
不活性気体ラインを介して前記製造チャンバに動作的に接続され、前記製造チャンバに気体連通して前記製造チャンバ内に不活性気体を供給する不活性気体源;および
前記製造チャンバに気体連通して、約100ppb未満の酸素分圧を有する精製された不活性気体が得られるように不活性気体を精製する少なくとも一つの気体精製ユニット;
を含む、金属粉末に基づく製造システム。
【請求項2】
前記製造チャンバに気体連通して、前記製造チャンバ内に実質的な真空を作る真空ユニットをさらに含む、請求項1に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項3】
前記金属変形/変換ユニットが、付加製造ユニットを含む、請求項1または2に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項4】
前記金属変形/変換ユニットが、金属系粉末製造ユニットを含む、請求項1または2に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項5】
前記金属変形/変換ユニットが、粉末冶金ユニットを含む、請求項1または2に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項6】
前記金属変形/変換ユニットが、焼結炉を含む、請求項1または2に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項7】
前記金属変形/変換ユニットが、前記金属系供給原料を溶融させ、溶融した金属を少なくとも一つの最終3D部品に凝固させるように構成されている、請求項1または2に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項8】
前記の少なくとも一つの最終3D部品が、複数の粉末粒子を含む、請求項7に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項9】
前記金属変形/変換ユニットが、前記金属系供給原料をその融点未満の温度に加熱し、加熱された金属を冷却して少なくとも一つの最終3D部品にするように構成されている、請求項1または2に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項10】
前記不活性気体源が、アルゴン気体源、窒素源、およびヘリウム気体源のうち少なくとも一つを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項11】
前記の少なくとも一つの気体精製ユニットのうち少なくとも一つは、前記不活性気体源の下流で前記不活性気体ラインに取り付けられて、前記不活性気体源により供給された不活性気体を、前記製造チャンバ内に導入する前に約100ppb未満の酸素分圧を有する精製された不活性気体に精製する、請求項1~10のいずれか1項に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項12】
前記気体精製ユニットの下流で前記不活性気体ラインに取り付けられ、精製された不活性気体を、前記製造チャンバ内に導入する前に加熱するように構成された加熱ユニットをさらに含む、請求項11に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項13】
再循環スクラビングシステムをさらに含み、前記再循環スクラビングシステムは、前記容器内に形成された再循環気体入口および再循環気体出口の間に伸び、前記製造チャンバに気体連通している閉ループ再循環気体ライン;および前記閉ループ再循環気体ラインに取り付けられ、前記閉ループ再循環気体ラインに気体連通して、前記閉ループ再循環気体ライン内部を流れる不活性気体を約100ppb未満の酸素分圧を有する精製された不活性気体に精製する前記の少なくとも一つの気体精製ユニットの少なくとも一つを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項14】
前記再循環スクラビングシステムが、熱交換器をさらに含む、請求項13に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項15】
前記熱交換器は、前記再循環気体ライン内部を流れる不活性気体を冷却するために、前記の少なくとも一つの気体精製ユニットの上流に取り付けられている、請求項14に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項16】
前記再循環スクラビングシステムが、前記の少なくとも一つの気体精製ユニットの下流に取り付けられて、前記再循環気体ライン内部を流れる不活性気体を前記製造チャンバ内に導入する前に加熱する加熱ユニットをさらに含む、請求項13に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項17】
前記再循環スクラビングシステムが、前記再循環気体ラインに取り付けられた気体圧縮器をさらに含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項18】
前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータを監視する酸素関連センサアセンブリと、前記気体圧縮器および前記酸素関連センサアセンブリに動作的に接続され、前記酸素関連センサアセンブリによって監視された前記酸素関連パラメータに基づいて前記気体圧縮器の速度を変化させる制御器とをさらに含む、請求項17に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項19】
前記酸素関連センサアセンブリが酸素センサアセンブリを含み、前記酸素関連パラメータが酸素分圧である、請求項18に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項20】
前記酸素関連センサアセンブリは、ppm酸素センサおよびppb酸素センサを含み、前記ppb酸素センサは、監視された酸素の含量がppm検出閾値未満である時に作動する、請求項18に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項21】
精製された不活性気体の酸素分圧が、約50ppb未満である、請求項1~19のいずれか1項に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項22】
精製された不活性気体の酸素分圧が、約20ppb未満である、請求項1~19のいずれか1項に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項23】
前記製造チャンバの内部に位置し、前記製造チャンバと伝導性熱交換をして前記製造チャンバ内部に入っている不活性気体を加熱する加熱ユニットをさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項24】
前記気体精製ユニットが、収着剤が入っている気体不透過性ハウジングを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の金属粉末に基づく製造システム。
【請求項25】
不活性気体を気体精製ユニットに供給して、その酸素分圧を約100ppb未満に下げ、精製された不活性気体を得るステップ;
精製された不活性気体を、密封容器内に形成され、金属変形/変換ユニットを含む製造チャンバ内に導入するステップ;および
金属系供給原料を前記金属変形/変換ユニットで加熱し、精製された不活性気体が入っている前記製造チャンバ内において前記金属供給原料を少なくとも一つの最終部品に変形/変換するステップ;
を含む、金属変形/変換方法。
【請求項26】
精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入する前に、前記製造チャンバから気体を引き出して実質的に真空にするステップをさらに含む、請求項25に記載の金属変形/変換方法。
【請求項27】
不活性気体を供給するステップ、および精製された不活性気体を導入するステップが、
不活性気体を製造チャンバ内に供給するステップ;
前記製造チャンバ内の酸素分圧を監視するステップ;
前記製造チャンバ内の前記酸素分圧が約200ppb超である間、連続的に、前記製造チャンバから不活性気体を引き出し、引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げ、精製された不活性気体を得るステップ、および
その後、精製された不活性気体を製造チャンバ内に導入するステップを含む、請求項25または26に記載の金属変形/変換方法。
【請求項28】
精製された不活性気体が、不活性気体源と前記製造チャンバとの間に伸び、前記気体精製ユニットが取り付けられ、前記気体精製ユニットと気体連通している不活性気体ラインを介して実質的に真空下で前記製造チャンバ内に導入される、請求項25または26に記載の金属変形/変換方法。
【請求項29】
精製された不活性気体を、前記製造チャンバ内に導入する前に加熱するステップをさらに含む、請求項28に記載の金属変形/変換方法。
【請求項30】
金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料を溶融するステップを含む、請求項25~29のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項31】
金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料をその融点未満の温度に加熱するステップを含む、請求項25~29のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項32】
不活性気体を供給するステップが、アルゴン気体、窒素気体、およびヘリウム気体のうち少なくとも一つを供給するステップを含む、請求項25~31のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項33】
前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に前記製造チャンバから不活性気体を引き出すステップ;および引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げた後、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップをさらに含む、請求項25~32のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項34】
前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータを監視するステップ;および監視された前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータに基づいて、前記製造チャンバから引き出す不活性気体の流量を調整するステップをさらに含む、請求項33に記載の金属変形/変換方法。
【請求項35】
前記製造チャンバ内の総気体容積の最大100%(vol.)が、1分当たりに引き出される、請求項33または34に記載の金属変形/変換方法。
【請求項36】
引き出された不活性気体が、精製される前に冷却される、請求項33~35のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項37】
精製された不活性気体が、前記製造チャンバ内に導入される前に加熱される、請求項33~35のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項38】
前記気体精製ユニットを出て行く精製された不活性気体の酸素分圧が、約50ppb未満である、請求項25~37のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項39】
前記気体精製ユニットを出て行く精製された不活性気体の酸素分圧が、約20ppb未満である、請求項25~37のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項40】
前記製造チャンバ内に入っている不活性気体を加熱するステップをさらに含む、請求項25~39のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項41】
前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に、前記製造チャンバ内に入っている気体を排出させ、気体精製ユニットに不活性気体を供給し、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップをさらに含む、請求項25または26に記載の金属変形/変換方法。
【請求項42】
密封容器内に形成された製造チャンバ内の酸素関連パラメータを監視するステップ;
前記製造チャンバ内の前記酸素関連パラメータが所定の酸素閾値よりも大きければ、前記製造チャンバ内の前記酸素関連パラメータが所定の酸素閾値よりも大きい間、連続的に、前記製造チャンバから不活性気体を引き出し、引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げ、精製された不活性気体を得、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップ;および
前記製造チャンバ内の前記酸素関連パラメータが所定の酸素閾値以下であれば、前記製造チャンバ内に含まれる金属変形/変換ユニットで金属系供給原料を加熱し、前記金属系供給原料を少なくとも一つの最終部品に変形/変換するステップ;
を含む、金属変形/変換方法。
【請求項43】
前記酸素関連パラメータが前記酸素分圧であり、前記の所定の酸素閾値が約200ppbである、請求項42に記載の金属変形/変換方法。
【請求項44】
前記製造チャンバから気体を引き出して実質的に真空にするステップ;および不活性気体源から前記製造チャンバ内に不活性気体を供給するステップを、連続的に前記製造チャンバから不活性気体を引き出すステップの前に含む、請求項42または43に記載の金属変形/変換方法。
【請求項45】
不活性気体を前記製造チャンバ内に供給するステップが、不活性気体を前記製造チャンバ内に導入する前に、不活性気体を気体精製ユニットに供給して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げるステップをさらに含む、請求項43に記載の金属変形/変換方法。
【請求項46】
精製された不活性気体を、前記製造チャンバ内に導入する前に加熱するステップをさらに含む、請求項45に記載の金属変形/変換方法。
【請求項47】
金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料を溶融するステップを含む、請求項42~46のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項48】
金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料をその融点未満の温度に加熱するステップを含む、請求項42~46のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項49】
不活性気体を供給するステップが、アルゴン気体、窒素気体、およびヘリウム気体のうち少なくとも一つを供給するステップを含む、請求項43に記載の金属変形/変換方法。
【請求項50】
前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に前記製造チャンバから不活性気体を引き出すステップ;引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げるステップ;および、その後、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップをさらに含む、請求項42~49のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項51】
監視された前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータに基づいて、前記製造チャンバから引き出される不活性気体の流量を調整するステップをさらに含む、請求項50に記載の金属変形/変換方法。
【請求項52】
引き出された不活性気体が、精製される前に冷却される、請求項50または51に記載の金属変形/変換方法。
【請求項53】
精製された不活性気体が、製造チャンバ内に導入される前に加熱される、請求項50または51に記載の金属変形/変換方法。
【請求項54】
製造チャンバ内に導入された、精製された不活性気体の酸素分圧が約50ppb未満である、請求項42~53のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項55】
前記製造チャンバ内に導入された、精製された不活性気体の酸素分圧が約20ppb未満である、請求項42~53のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項56】
前記製造チャンバ内に入っている不活性気体を加熱するステップをさらに含む、請求項42~55のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項57】
前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に、前記製造チャンバ内に入っている気体を排出させ、不活性気体を前記気体精製ユニットに供給し、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップをさらに含む、請求項45に記載の金属変形/変換方法。
【請求項58】
密封容器内に形成され、金属変形/変換ユニットを含む製造チャンバ内に不活性気体を導入するステップ;
不活性気体を、前記製造チャンバ内への導入の前および後の少なくとも一方に精製して、酸素分圧を約100ppb未満に下げ、精製された不活性気体を得るステップ;
精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップ;および
前記金属変形/変換ユニットで金属系供給原料を加熱して、精製された不活性気体が入っている前記製造チャンバ内において前記金属系供給原料を少なくとも一つの最終部品に変形/変換させるステップ;
を含む、金属変形/変換方法。
【請求項59】
不活性気体を前記製造チャンバ内に導入する前に、前記製造チャンバから気体を引き出して実質的に真空にするステップをさらに含む、請求項58に記載の金属変形/変換方法。
【請求項60】
製造チャンバ内において酸素関連パラメータを監視するステップをさらに含み;
精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップが、前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータが所定の酸素閾値未満になるまで行われる、請求項58または59に記載の金属変形/変換方法。
【請求項61】
前記酸素関連パラメータが酸素分圧であり、前記の所定の酸素閾値が約200ppbである、請求項59に記載の金属変形/変換方法。
【請求項62】
不活性気体を精製するステップが、前記製造チャンバ内への導入後に行われ、
不活性気体を精製するステップが、連続的に、前記製造チャンバから不活性気体を引き出し、引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げ、精製された不活性気体を得た後、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップを含む、請求項58に記載の金属変形/変換方法。
【請求項63】
不活性気体を精製するステップが、不活性気体源と前記製造チャンバとの間に伸び、気体精製ユニットが取り付けられ、気体精製ユニットと気体連通している不活性気体ラインを介して前記製造チャンバ内に導入される前に行われる、請求項58に記載の金属変形/変換方法。
【請求項64】
前記製造チャンバ内に導入される前に、精製された不活性気体を加熱するステップをさらに含む、請求項63に記載の金属変形/変換方法。
【請求項65】
金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料を溶融するステップを含む、請求項58~64のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項66】
金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料をその融点未満の温度に加熱するステップを含む、請求項58~64のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項67】
不活性気体を導入するステップが、アルゴン気体、窒素気体、およびヘリウム気体のうち少なくとも一つを導入するステップを含む、請求項58~66のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項68】
前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に前記製造チャンバから不活性気体を引き出すステップ;および引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満に下げた後、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップをさらに含む、請求項58~67のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項69】
前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータを監視するステップ;および監視された前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータに基づいて、前記製造チャンバから引き出される不活性気体の流量を調整するステップをさらに含む、請求項68に記載の金属変形/変換方法。
【請求項70】
引き出された気体が、精製される前に冷却される、請求項68または69に記載の金属変形/変換方法。
【請求項71】
精製された不活性気体が、前記製造チャンバ内に導入される前に加熱される、請求項68または69に記載の金属変形/変換方法。
【請求項72】
前記気体精製ユニットを出て行く精製された不活性気体の酸素分圧が約50ppb未満である、請求項63に記載の金属変形/変換方法。
【請求項73】
前記気体精製ユニットを出て行く精製された不活性気体の酸素分圧が約20ppb未満である、請求項63に記載の金属変形/変換方法。
【請求項74】
前記製造チャンバ内に入っている不活性気体を加熱するステップをさらに含む、請求項58~73のいずれか1項に記載の金属変形/変換方法。
【請求項75】
前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に、前記製造チャンバ内に入っている気体を排出させ、不活性気体を前記気体精製ユニットに供給し、精製された不活性気体を製造チャンバ内に導入するステップをさらに含む、請求項63に記載の金属変形/変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は、概して言えば、不純物が少ない気体雰囲気を有する製造チャンバを有する金属粉末に基づく製造システムに関し、詳しくは、金属系粉末製造システム、粉末冶金システム、および付加製造システムを含む金属粉末に基づく製造システムであって、所望の最終3D形状または物体を作るために、金属系供給原料がその融点付近またはその融点より高い温度で加熱された後に冷却または凝固される金属粉末に基づく製造システムに関する。また、本発明は、不純物が少ない気体雰囲気での金属粉末に基づく製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単一粉末粒子または固化成形バルク形態のような所望の最終3D形状または物体を作るために、金属をその融点付近またはその融点より高い温度で加熱した後に冷却または凝固する種々の製造方法があり、先進的な金属系製造法では、例えば、金属系原料から金属系粉末粒子を作る金属系粉末製造法、金属系粉末粒子を固化成形バルク形態に焼結する粉末冶金法、金属系粉末粒子を溶融/焼結/凝集して固化成形バルク形態を作る付加製造法(AM)がある。
【0003】
これらの製造法は、Al、Tiのような酸化感受性金属;Zn、Cu、Fe、Li、Ni、Au、Pd、Agのような(これらに限定されるものではない)反応感受性合金;および鋼鉄または他の鉄合金、SnPb、NdFeB、ZnPd、CoCr、黄銅系合金、銅系合金のような(これらに限定されるものではない)他の金属合金を多く用いる。その結果、製造工程の間、O2、H2O、CO2、CO、H2および総炭化水素(THC)を減少させるかまたは無くすことが好ましい。
【0004】
通常、このような製造法は、アルゴン系雰囲気またはヘリウム系雰囲気のような不活性気体雰囲気で行われる。しかし、不活性気体であっても不純物の含量(酸素、窒素、およびその他の非金属元素)を有する。不活性気体の不純物の含量は、製造法の生産性と収率にも、単一金属系粉末粒子または固化成形バルク形態の製造された金属部品の品質にも、影響を与えうる。不活性のレベルを特定しない不活性処理の第三者による定義が複数存在し、その用語は一般に不正確である。例えば、そのような加熱された金属に基づく製造システムは、ppm(百万分の一)オーダーの純度レベルで動作する。
【0005】
例えば、付加製造または粉末冶金のための金属系粉末粒子の製造時、不活性気体汚染物質は、金属系粉末粒子において酸化膜および/または包有物(inclusion)の形成、気孔、および水吸着を誘発し得る。原料の適用時、最終部品に気孔は勿論、酸化物または窒化物の包有物が含まれ得る。
【0006】
また、酸素、窒素、その他の非金属元素のような不純物は、効果的な界面活性剤であるため、(微粒子化などの場合の)単一粒子または(付加製造圧密などの場合の)溶融池を含めて、溶融金属の形状に影響を与える。
【0007】
この観点から、金属粉末に基づく製造方法および製造システムにおいて純度がさらに高い雰囲気が必要であり、これは、前述した先行技術の問題の一部を克服または最小化することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、前述した不足を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
包括的態様によれば、製造チャンバを形成する密封容器;前記製造チャンバ内に含まれ、金属を加熱して変形/変換させるように構成された金属変形/変換ユニット;不活性気体ラインを介して前記製造チャンバに動作的に接続され、前記製造チャンバに気体連通して前記製造チャンバ内に不活性気体雰囲気を生成する不活性気体源;および前記製造チャンバに気体連通して、不活性気体を約100ppb未満の酸素分圧に精製する少なくとも一つの気体精製ユニットを含む、金属粉末に基づく製造システムが提供される。一実施形態において、前記の金属粉末に基づく製造システムは、前記製造チャンバに気体連通して、前記製造チャンバ内に実質的な真空を作る真空ユニットをさらに含む。
【0010】
一実施形態において、前記金属変形/変換ユニットは、付加製造ユニット、金属系粉末製造ユニット、粉末冶金ユニット、および焼結炉を含む群から選択される。
【0011】
一実施形態において、前記金属変形/変換ユニットは、前記金属系供給原料を溶融させ、溶融した金属を少なくとも一つの最終3D部品に凝固させるように構成されている。
【0012】
一実施形態において、前記不活性気体源は、アルゴン気体源、窒素源、およびヘリウム気体源のうち少なくとも一つを含む。
【0013】
一実施形態において、前記の金属粉末に基づく製造システムは、閉ループ再循環気体ラインを介して前記製造チャンバに気体連通している気体精製ユニットを含む再循環スクラビング(scrubbing)システムをさらに含む。
【0014】
一実施形態において、前記の金属粉末に基づく製造システムは、閉ループ再循環気体ラインを介して前記製造チャンバに気体連通している前記の少なくとも一つの気体精製ユニットのうち少なくとも一つを含む再循環スクラビングシステムをさらに含む。
【0015】
一実施形態において、前記の少なくとも一つの気体精製ユニットのうち少なくとも一つが、前記不活性気体ラインを介して製造チャンバに気体連通しており、前記気体精製ユニットは、前記不活性気体源の下流に位置し、前記不活性気体源により供給された不活性気体を、製造チャンバ内に導入する前に約100ppb未満の酸素分圧に精製することができる。
【0016】
他の包括的態様によれば、金属を変形/変換する方法が提供される。この方法は、密封容器内に形成され、金属変形/変換ユニットを含む製造チャンバから気体を引き出して実質的に真空にするステップ;不活性気体をガス精製ユニットに供給して、酸素分圧を約100ppb未満に下げるステップ;精製された不活性気体を実質的な真空下で前記製造チャンバ内に導入するステップ;および前記金属変形/変換ユニットで金属を加熱して、金属系供給原料を少なくとも一つの最終部品に変形/変換するステップを含む。
【0017】
他の包括的態様によれば、金属を変形/変換する方法が提供される。この方法は、密封容器内に形成された製造チャンバ内の酸素分圧を監視するステップ;連続的に、前記製造チャンバから気体を引き出し、引き出された気体を精製してその酸素分圧を約100ppb未満となるまで下げ、精製された気体を前記製造チャンバ内に再注入するステップ;および、その後、前記製造チャンバ内に含まれる金属変形/変換ユニットで金属を加熱して、金属系供給原料を少なくとも一つの最終部品に変形/変換するステップを含む。
【0018】
さらに他の包括的態様によれば、金属を変形/変換する方法が提供される。この方法は、密封容器内に形成され、金属変形/変換ユニットを含む製造チャンバから気体を引き出すステップ;その後、不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップ;不活性気体を、前記製造チャンバ内への導入の前および後の少なくとも一方に精製して、酸素分圧を約100ppb未満に下げ、精製された不活性ガスを得るステップ;および前記金属変形/変換ユニットで金属を加熱して、精製された不活性気体が入っている前記製造チャンバ内において金属系供給原料を少なくとも一つの最終部品に変形/変換するステップを含む。
【0019】
一実施形態において、この方法が、前記製造チャンバ内の酸素分圧を約200ppb未満に維持するステップをさらに含む。この方法が、再循環スクラビングシステムを含む閉ループ再循環気体ライン内の製造チャンバ内部の幾らかの割合の気体容積を再利用することによって前記製造チャンバ内の酸素分圧を制御するステップをさらに含むことができる。前記製造チャンバ内の前記酸素分圧を制御するステップが、前記製造チャンバ内の前記酸素分圧を監視するステップと、前記閉ループ再循環気体ラインにおいて循環する気体容積の割合を調節するステップとを含むことができる。
【0020】
用語「加熱された金属に基づく製造方法および製造システム」は、金属源(または金属供給原料)をその融点付近またはその融点より高い温度に加熱した後に冷却または凝固させて、所望の最終3D形状/物体または少なくとも一つの最終部品を作る任意の製造方法および製造システムを包含することを意図している。
【0021】
前記金属源/金属系供給原料は、バルク形態または粒子形態であることができる。前記の少なくとも一つの最終部品は、単一粉末粒子または任意の他の適切な最終3D部品/物体であることができる。金属および金属系という用語は、純金属、合金、または他の添加剤(限定されるものではないが、例えば、結合剤、潤滑剤、セラミックナノ粒子など)を有する金属/合金を包含することを意図している。
【0022】
他の包括的態様によれば、製造チャンバを形成する密封容器;前記製造チャンバ内に含まれ、金属系供給原料を加熱して変形/変換させるように構成された金属変形/変換ユニット;不活性気体ラインを介して前記製造チャンバに動作的に接続され、前記製造チャンバに気体連通して前記製造チャンバ内に不活性気体を供給する不活性気体源;および前記製造チャンバに気体連通して、約100ppb未満の酸素分圧を有する精製された不活性気体が得られるように不活性気体を精製する少なくとも一つの気体精製ユニットを含む金属粉末に基づく製造システムが提供される。
【0023】
一実施形態において、前記金属粉末に基づく製造システムは、前記製造チャンバに気体連通して、前記製造チャンバ内に実質的な真空を作る真空ユニットをさらに含む。
【0024】
一実施形態において、前記金属変形/変換ユニットは、付加製造ユニット、金属系粉末製造ユニット、金属冶金ユニット、および焼結炉のうち少なくとも一つを含む。
【0025】
一実施形態において、前記金属変形/変換ユニットが、前記金属系供給原料を溶融させ、溶融した金属を少なくとも一つの最終3D部品に凝固させるように構成されている。前記の少なくとも一つの最終3D部品が、複数の粉末粒子を含むことができる。
【0026】
一実施形態において、前記金属変形/変換ユニットが、金属系供給原料をその融点未満の温度に加熱し、加熱された金属を冷却して少なくとも一つの最終3D部品にするように構成されている。
【0027】
一実施形態において、前記不活性気体源が、アルゴン気体源、窒素源、およびヘリウム気体源のうち少なくとも一つを含む。
【0028】
一実施形態において、前記の少なくとも一つの気体精製ユニットのうち少なくとも一つが、前記不活性気体源の下流で前記不活性気体ラインに取り付けられて、前記不活性気体源により供給された不活性気体を、前記製造チャンバ内に導入する前に約100ppb未満の酸素分圧を有する精製された不活性気体に精製する。前記の金属粉末に基づく製造システムは、前記気体精製ユニットの下流で前記不活性気体ラインに取り付けられ、精製された不活性気体を、前記製造チャンバ内に導入する前に加熱するように構成された加熱ユニットを含むことができる。
【0029】
一実施形態において、前記の金属粉末に基づく製造システムは、再循環スクラビングシステムをさらに含み、前記再循環スクラビングシステムは、前記容器内に形成された再循環気体入口および再循環気体出口の間に伸び、前記製造チャンバに気体連通している閉ループ再循環気体ライン;および前記閉ループ再循環気体ラインに取り付けられ、前記閉ループ再循環気体ラインに気体連通して、前記閉ループ再循環気体ライン内部を流れる不活性気体を約100ppb未満の酸素分圧を有する精製された不活性気体に精製する前記の少なくとも一つの気体精製ユニットの少なくとも一つを含む。前記再循環スクラビングシステムは、熱交換器をさらに含むことができる。前記熱交換器は、前記再循環気体ライン内部を流れる不活性気体を冷却するために、前記の少なくとも一つの気体精製ユニットの上流に取り付けることができる。前記再循環スクラビングシステムは、前記の少なくとも一つの気体精製ユニットの下流に取り付けられて、前記再循環気体ライン内部を流れる不活性気体を前記製造チャンバ内に導入する前に加熱する加熱ユニットをさらに含むことができる。前記再循環スクラビングシステムは、前記再循環気体ラインに取り付けられた気体圧縮器をさらに含むことができる。前記の金属粉末に基づく製造システムは、前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータを監視する酸素関連センサアセンブリと、前記気体圧縮器および前記酸素関連センサアセンブリに動作的に接続され、前記酸素関連センサアセンブリによって監視された前記酸素関連パラメータに基づいて前記気体圧縮器の速度を変化させる制御器とをさらに含むことができる。前記酸素関連センサアセンブリが酸素センサアセンブリを含むことができ、前記酸素関連パラメータが前記酸素分圧であることができる。前記酸素関連センサアセンブリは、ppm酸素センサおよびppb酸素センサを含むことができ、前記ppb酸素センサは、監視された酸素の含量がppm検出閾値未満である時に作動することができる。
【0030】
一実施形態において、精製された不活性気体の酸素分圧が、約50ppb未満または約20ppb未満である。
【0031】
一実施形態において、前記の金属粉末に基づく製造システムは、前記製造チャンバの内部に位置し、前記製造チャンバと伝導性熱交換をして前記製造チャンバ内部に入っている不活性気体を加熱する加熱ユニットをさらに含む。
【0032】
一実施形態において、前記の少なくとも一つの気体精製ユニットは、収着剤が入っている気体不透過性ハウジングを含む。
【0033】
他の包括的態様によれば、金属を変形/変換する方法が提供される。この方法は、不活性気体を気体精製ユニットに供給して、その酸素分圧を約100ppb未満に下げ、精製された不活性気体を得るステップ;精製された不活性気体を、密封容器内に形成され、金属変形/変換ユニットを含む製造チャンバ内に導入するステップ;および金属系供給原料を前記金属変形/変換ユニットで加熱し、精製された不活性気体が入っている前記製造チャンバ内において前記金属系供給原料を少なくとも一つの最終部品に変形/変換させるステップを含む。
【0034】
一実施形態において、この方法が、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入する前に、前記製造チャンバから気体を引き出して実質的に真空にするステップをさらに含む。
【0035】
一実施形態において、前記の不活性気体を供給するステップ、および精製された不活性気体を導入するステップが、不活性気体を製造チャンバ内に供給するステップ;前記製造チャンバ内の酸素分圧を監視するステップ;前記製造チャンバ内の前記酸素分圧が約200ppb超である間、連続的に、前記製造チャンバから不活性気体を引き出し、引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げ、精製された不活性気体を得るステップ、および、その後、精製された不活性気体を製造チャンバ内に導入するステップとを含む。
【0036】
一実施形態において、精製された不活性気体は、不活性気体源と前記製造チャンバとの間に伸び、前記気体精製ユニットが取り付けられ、前記気体精製ユニットと気体連通している不活性気体ラインを介して実質的に真空下で前記製造チャンバ内に導入される。この方法は、精製された不活性気体を、前記製造チャンバ内に導入する前に加熱するステップをさらに含むことができる。
【0037】
一実施形態において、金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料を溶融するステップを含む。他の一実施形態において、金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料をその融点未満の温度に加熱するステップを含む。
【0038】
一実施形態において、不活性気体を供給するステップが、アルゴン気体、窒素気体、およびヘリウム気体のうち少なくとも一つを供給するステップを含む。
【0039】
一実施形態において、この方法は、前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に前記製造チャンバから不活性気体を引き出すステップ;および引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げた後、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップをさらに含む。この方法は、前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータを監視するステップ;および監視された前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータに基づいて、前記製造チャンバから引き出す不活性気体の流量を調整するステップをさらに含むことができる。一実施形態において、製造チャンバ内の総気体容積の最大100%(vol.)が1分当たりに引き出される。一実施形態において、引き出された不活性気体が、精製される前に冷却される。一実施形態において、精製された不活性気体が、前記製造チャンバ内に導入される前に加熱される。
【0040】
一実施形態において、前記気体精製ユニットを出て行く精製された不活性気体の酸素分圧は、約50ppb未満または約20ppb未満である。
【0041】
一実施形態において、この方法は、前記製造チャンバ内に入っている不活性気体を加熱するステップをさらに含む。
【0042】
一実施形態において、この方法は、前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に、前記製造チャンバ内に入っている気体を排出させ、不活性気体を気体精製ユニットに供給し、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップをさらに含む。
【0043】
さらに他の包括的態様によれば、金属を変形/変換する方法が提供される。この方法は、密封容器内に形成された製造チャンバ内の酸素関連パラメータを監視するステップ;前記製造チャンバ内の前記酸素関連パラメータが所定の酸素閾値よりも大きければ、前記製造チャンバ内の前記酸素関連パラメータが所定の酸素閾値よりも大きい間、連続的に、前記製造チャンバから不活性気体を引き出し、引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げ、精製された不活性気体を得、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップ;および前記製造チャンバ内の前記酸素関連パラメータが所定の酸素閾値以下であれば、前記製造チャンバ内に含まれる金属変形/変換ユニットで金属系供給原料を加熱し、前記金属系供給原料を少なくとも一つの最終部品に変形/変換するステップを含む。前記酸素関連パラメータは前記酸素分圧であり、前記の所定の酸素閾値は約200ppbであることができる。
【0044】
一実施形態において、この方法は、前記製造チャンバから気体を引き出して実質的に真空にするステップ;および不活性気体源から前記製造チャンバ内に不活性気体を供給するステップを、連続的に前記製造チャンバから不活性気体を引き出すステップの前に含む。不活性気体を前記製造チャンバ内に供給するステップは、不活性気体を前記製造チャンバ内に導入する前に、不活性気体を気体精製ユニットに供給して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げるステップをさらに含むことができる。この方法は、精製された不活性気体を、前記製造チャンバ内に導入する前に加熱するステップをさらに含む。
【0045】
一実施形態において、金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料を溶融するステップを含む。他の一実施形態において、金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料をその融点未満の温度に加熱するステップを含む。
【0046】
一実施形態において、不活性気体を供給するステップが、アルゴン気体、窒素気体、およびヘリウム気体のうち少なくとも一つを供給するステップを含む。
【0047】
一実施形態において、この方法は、前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に前記製造チャンバから不活性気体を引き出すステップ;引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げるステップ;および、その後、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップをさらに含む。この方法が、監視された前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータに基づいて、前記製造チャンバから引き出される不活性気体の流量を調整するステップをさらに含むことができる。一実施形態において、引き出された不活性気体は、精製される前に冷却される。一実施形態において、精製された不活性気体は、前記製造チャンバ内に導入される前に加熱される。
【0048】
一実施形態において、前記気体精製ユニットを出て行く精製された不活性気体の酸素分圧は、約50ppb未満または約20ppb未満である。
【0049】
一実施形態において、この方法は、前記製造チャンバ内に入っている不活性気体を加熱するステップをさらに含む。
【0050】
一実施形態において、この方法が、前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に、前記製造チャンバ内に入っている気体を排出させ、不活性気体を前記気体精製ユニットに供給し、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップをさらに含む。
【0051】
さらに他の包括的態様によれば、金属を変形/変換する他の方法が提供される。この方法は、密封容器内に形成され、金属変形/変換ユニットを含む製造チャンバ内に不活性気体を導入するステップ;不活性気体を、前記製造チャンバ内への導入の前および後の少なくとも一方に精製して、酸素分圧を約100ppb未満に下げ、精製された不活性ガスを得るステップ;精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップ;および前記金属変形/変換ユニットで金属系供給原料を加熱して、精製された不活性気体が入っている前記製造チャンバ内において前記金属系供給原料を少なくとも一つの最終部品に変形/変換させるステップを含む。
【0052】
一実施形態において、この方法が、不活性気体を前記製造チャンバ内に導入する前に、前記製造チャンバから気体を引き出して実質的に真空にするステップをさらに含む。
【0053】
一実施形態において、この方法が、前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータを監視するステップをさらに含み、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップが、前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータが所定の酸素閾値未満になるまで行われる。前記酸素関連パラメータは前記酸素分圧であり、前記の所定の酸素閾値は約200ppbであることができる。
【0054】
一実施形態において、不活性気体を精製するステップが、前記製造チャンバへの導入後に行われ;不活性気体を精製するステップが、連続的に、前記製造チャンバから不活性気体を引き出し、引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満の酸素分圧に下げ、精製された不活性気体を得た後、精製された不活性気体を前記製造チャンバ内に導入するステップを含む。
【0055】
一実施形態において、不活性気体を精製するステップが、不活性気体源と前記製造チャンバとの間に伸び、気体精製ユニットが取り付けられ、気体精製ユニットと気体連通している不活性気体ラインを介して前記製造チャンバ内に導入される前に行われる。この方法は、製造チャンバ内に導入される前に、精製された不活性気体を加熱するステップをさらに含むことができる。
【0056】
一実施形態において、金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料を溶融するステップを含む。他の一実施形態において、金属系供給原料を加熱するステップが、前記金属系供給原料をその融点未満の温度に加熱するステップを含む。
【0057】
一実施形態において、不活性気体を供給するステップが、アルゴン気体、窒素気体、およびヘリウム気体のうち少なくとも一つを供給するステップを含む。
【0058】
一実施形態において、この方法が、前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に前記製造チャンバから不活性気体を引き出すステップ;および引き出された不活性気体を精製して、その酸素分圧を約100ppb未満に下げた後、精製された不活性気体を製造チャンバ内に導入するステップを含む。この方法が、前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータを監視するステップ;および監視された前記製造チャンバ内の酸素関連パラメータに基づいて、前記製造チャンバから引き出される不活性気体の流量を調整するステップをさらに含む。一実施形態において、引き出された不活性気体は、精製される前に冷却される。一実施形態において、精製された不活性気体は、前記製造チャンバ内に導入される前に加熱される。一実施形態において、前記気体精製ユニットを出て行く精製された不活性気体の酸素分圧は、約50ppb未満または約20ppb未満である。
【0059】
この方法が、前記製造チャンバ内に入っている不活性気体を加熱するステップをさらに含むことができる。
【0060】
一実施形態において、この方法が、前記金属系供給原料を加熱する間、連続的に、前記製造チャンバ内に入っている気体を排出させ、不活性気体を前記気体精製ユニットに供給し、精製された不活性気体を製造チャンバ内に導入するステップをさらに含む。
【0061】
本明細書において、用語「金属粉末に基づく製造方法および製造システム」は、金属源(または金属供給原料)または最終部品として金属粉末を含んだ全ての製造方法および製造システムを包含することを意図しており、金属系粉末が最終部品として製造される製造方法および製造システムを包含する。前記用語は、金属源/金属系供給原料としての金属系粉末が、粉末冶金および付加製造を含めて、所望の最終3D形状/物体/部品(すなわち、最終部品)に変形/変換される製造方法および製造システムも包含する。最終3D形状/物体/部品は、単一の物体/部品であるか、または一緒になって粉末をなす複数の単一粒子であることができる。
【0062】
本明細書において、用語「付加製造」は、結合剤噴射、レーザ焼結、粉末床溶融結合合、指向性エネルギー堆積、材料押出などを含む。
【0063】
本開示の目的において、「高純度」気体は、個々の汚染物質レベルが約100ppb(10億分の1)未満の気体を意味する。また、酸素分圧(または他の汚染物質分圧)に言及する際、それは、例えば、酸素センサまたは酸素センサアセンブリを介して直接的に、または酸素レベルまたは汚染物質レベルを導出または推定できる他の変数から間接的に測定され得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】第1実施形態による金属粉末に基づく製造システムのブロック図である。
【
図2】再循環気体流を含む第2実施形態による金属粉末に基づく製造システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
粉末冶金または付加製造により、金属系粉末を生成するか、またはよりバルキーな3D物体/部品(すなわち、単一粒子よりも大きい部品または物体)に変換するのに使用可能な金属粉末に基づく製造システム20の実施形態が
図1に示されている。金属粉末に基づく製造システム20において、金属源(または供給原料)は、その融点付近またはその融点より高い温度に加熱された後、所望の最終3D形状または部品を作るように冷却/凝固される。前述したように、最終3D形状または部品は、単一物体/部品であるか、または共に粉末(金属粉末または金属系粉末とも呼ぶ)を形成する複数の単一金属系粒子であることができる。
【0066】
この製造システム20は、製造チャンバ24を形成する壁27を有する容器22を含む。製造チャンバ24の内部に金属変形/変換ユニット26が存在する。容器22は、壁27を介して、気体漏れと出入りができないように密封される。よって、気体出入りは、後ほど詳しく説明されるように、特定の気体出入り口においてのみ可能である。後述するが、製造チャンバ24の内部は、不純物が少ない気体雰囲気を維持する。少なくとも不純物の含量と関わり、製造チャンバ24内の気体雰囲気を制御または調節することができる。
【0067】
気体不純物(または汚染物質)は、酸素、水分、窒素、および一酸化炭素、炭化水素(メタンを含む)などのようなその他の非金属元素のうち少なくとも一つを含み、これらは、加熱/溶融金属と作用し、最終部品の特性に有害である。ここで、気体純度は、気体雰囲気中の不純物の含量を意味する。気体純度は、特定の不純物の含量または総不純物の含量の観点から決定されることができる。例えば、酸素の含量の観点からの気体純度は、酸素分圧の観点から測定される。気体純度は、選択された不純物(例えば、酸素、水分および窒素)に対する総不純物の含量の観点からも決定することができる。
【0068】
金属変形/変換ユニット26は、金属系粉末製造ユニット、粉末冶金ユニット、および/または付加製造ユニットを含み、ここで、金属系供給原料は、その融点付近またはその融点より高い温度に加熱された後、所望の最終3D部品を作るように冷却または凝固され、このような部品は、単一粉末粒子または固化成形バルク3D形態(または最終3D部品/物体)であることができる。よって、金属変形/変換ユニット26において、金属系供給原料は、添加される結合剤、潤滑剤、セラミックナノ粒子のような追加要素の存在または不在下で他の形状に変形/変換される。
【0069】
密封容器22に存在する金属変形/変換ユニット26は、金属を金属系粉末粒子(金属系粒子または粉末粒子ともいう)に原子化するように構成された金属系粉末製造ユニットである。粒子とは、粉末冶金または粉末に基づく付加製造の分野で用いられる平均直径約10μm~約125μmの粉末粒子と見ることができる。
【0070】
金属系粉末製造ユニットは、金属系原料(または金属系供給原料)を溶融し、溶融した金属を微細液滴に壊した後に粉末粒子に凝固させる。
【0071】
密封容器22に存在する金属変形/変換ユニット26が、固化成形バルク3D形態を生産する3Dプリンタであってもよい。3Dプリンタは、薄い金属系粉末層を連続的に溶かして最終3D部品を作る。プリンティング工程中に結合剤のような添加剤を添加することができる。
【0072】
また、密封容器22に存在する金属変形/変換ユニット26が、圧縮された金属系粉末を融点付近に加熱して粒子内拡散を促進し、粒子間を結合して固体質量(または最終3D部品/物体)を得るための焼結炉であってもよい。
【0073】
この製造システム20は、アルゴン、窒素、ヘリウムのような一つ以上の不活性気体源28、および不活性気体ライン31を介して製造チャンバ24に気体連通している一つ以上の気体精製ユニット30をさらに含む。不活性気体源28により供給された気体は、製造チャンバ24に注入される前に、精製ユニット30で精製されて不純物を除去する。
図1の製造システム20は、それぞれ異なる不活性気体を含有する2個の不活性気体源28、および2個の気体精製ユニット30を有し、気体精製ユニット30が不活性気体源28それぞれに気体連通している。2個の不活性気体源28および気体精製ユニット30は類似しており、以下では一つのセットのみを説明する。
【0074】
気体精製ユニット30は、製造チャンバ24に対して不活性気体源28の下流に位置する。よって、不活性気体ライン31は、気体が通る不活性気体源と精製ユニットとの間に伸びる複数の連続的な不活性気体導管を含む。例えば、第1不活性気体導管は、不活性気体源と気体精製ユニット30との間に存在する。
【0075】
気体精製ユニット30は、酸素、水分、一酸化炭素、炭化水素(メタンを含む)、その他の汚染物質から不活性気体(窒素、アルゴンまたはその他の不活性気体)を精製する。気体精製ユニット30は、不活性気体ラインに連結されたポート(port)を有する不透過性ハウジングを含む。適切なフィルタ、吸着剤(または金属ゲッター)および触媒が精製ユニットハウジングに入っている。例えば、EntegrisのGateKeeper(登録商標) Inert Gas Purifiers、PallのGaskleen(登録商標) II Purifier、NuPure CorporationのEliminator(登録商標)、本願において参照した米国特許5,902,561に紹介されたものが使用できる。
【0076】
気体精製ユニット30は、周辺(室温)温度で作動し、連続的な気体流を処理する。
【0077】
精製ユニットハウジングに含まれた吸着剤は、多孔性本体を有し、少なくとも一部は、遷移金属および/またはゼオライトからなる。吸着剤は、反応性合金の粉末を含んでもよい。
【0078】
精製ユニット30を出て行く気体純度は、少なくとも一つの汚染物質に対して約100ppb未満であるが、約50ppb未満や、約10ppb未満であってもよい。
【0079】
この製造システム20が気体精製ユニット30の下流に気体精製ユニット30と通る質量流制御器33をさらに有することができる。図示された実施形態においては、不活性気体ライン31ごとに自らの質量流制御器33が存在する。質量流制御器33は、不活性気体ライン31における気体の流れを測定および制御する。質量流制御器のセットポイントを製造チャンバ24に入る不活性気体の流量を調整および制御するように変更してもよい。
【0080】
図1の実施形態においては、2個の質量流制御器33から出た不活性気体が合わさった後に容器22の製造チャンバ24に入り、容器壁27に形成された気体入口の数が減って、製造チャンバ24からの気体漏れの可能性が減る。質量流制御器33の下流に延び、容器22の製造チャンバ24と連通する単一不活性気体ライン31に制御バルブ35が設けられる。不活性気体ライン31は、容器壁27に形成された不活性気体入口32を介して容器22に連結される。
【0081】
図1の製造システム20は、2個の不活性気体ライン31が制御バルブ35の上流において並んで伸び、ラインごとに不活性気体源28および気体精製ユニットが一つずつ存在する。しかし、不活性気体源28および気体精製ユニット30が一つずつ存在する不活性気体ラインが一つであるか、一つ以上の不活性気体源28の下流に設けられた一つの気体精製ユニット30に気体を供給する不活性気体源28が一つ以上であってもよい。例えば、不活性気体ラインが一つであり、質量流制御器33および制御バルブ35のうち一つのみが存在してもよい。
【0082】
また、2個以上の不活性気体源28および/または気体精製ユニット30が並列または直列に配置されてもよい。並列の際、(不活性気体源28よりも気体精製ユニット30が少ない場合)不活性気体導管が気体精製ユニット30の上流または下流に連結されることができる。また、気体精製ユニット30それぞれが容器壁27に形成された不活性気体入口32それぞれに連結された不活性気体導管を有しており、容器22に不活性気体入口32が2個以上であってもよい。
【0083】
図1の製造システム20が制御バルブ35の下流、すなわち、制御バルブ35と不活性気体入口32との間に間接熱交換器のような気体加熱ユニット70をさらに含む。気体加熱ユニット70が、例えば、制御バルブ35上流の不活性気体ライン31に提供されることができる。不活性気体源28と不活性気体入口32との間に気体加熱ユニット70が存在しなくてもよい。よって、作動した気体加熱ユニット70は、精製された不活性気体が製造チャンバ24に入る前に加熱する。気体加熱ユニット70が、製造チャンバ内に入る不活性気体の温度を調整および制御してもよい。製造チャンバ24に入る前の不活性気体の温度を不活性気体の入口温度といえる。気体加熱ユニット70は、制御器に動作的に接続された気体ヒータアクチュエータを含み、制御器は、不活性気体ライン31および/または製造チャンバ24の内部に設けられた一つ以上の温度センサに動作的に接続されることができる。再生熱交換器のような液体/気体または不連続(または断続的)熱交換器が使用されてもよい。
【0084】
図1の実施形態において、真空ポンプのような真空ユニット34が、制御バルブ37が取り付けられた真空気体ライン36と容器壁27の真空ポート38を介して製造チャンバ24に気体連通してもよい。
【0085】
容器22に動作的に接続され、製造チャンバ24内部の圧力、温度および酸素の含量をそれぞれ監視する圧力センサ39、温度センサ(
図2の153)および酸素センサ40a、40bを含む監視アセンブリも製造システム20に存在する。図示されたものよりも多いかまたは少ないセンサが製造システム20に存在することができる。
【0086】
図1において、圧力センサ39は、2個の質量流制御器33にデータ通信するように動作的に接続された圧力センサ制御器である。データ通信は、破断線で示される。よって、製造チャンバ24に入った不活性気体流量が、圧力センサ39により製造チャンバ24で監視された圧力データに基づいて調整および制御される。
【0087】
製造チャンバ24内部の酸素の含量を監視するために容器22に動作的に接続された酸素センサアセンブリ40は、2個の酸素センサを含む。酸素センサアセンブリは、相対的に高い酸素の含量(単位、ppm)を測定する第1酸素センサ40aと、相対的に低い酸素の含量(単位、ppb)を測定する第2酸素センサ40bとを含むことができる。低含量酸素センサ40bを保護するために、このセンサは、酸素の含量がppm検出閾値未満の場合にのみ作動する。バルブ41は、酸素センサアセンブリ40と製造チャンバ24との間の気体ライン43に取り付けられる。後ほど詳しく説明するが、バルブ41は、真空ユニット34が製造チャンバ24を真空にさせるように動作する際に閉じられ、金属変形/変換ユニット26が動作する際に開かれる。
【0088】
他の製造システム(図示せず)において、ppbレベルまで酸素の含量を監視する一つの酸素センサのみ、例えば、低含量酸素センサ40bのみが存在してもよい。
【0089】
酸素センサアセンブリは、製造チャンバ24内の酸素の含量と関わる情報を誘導可能な他のセンサアセンブリに代替されるかまたは共に使用されてもよい。例えば、窒素センサアセンブリおよび/または水分センサアセンブリおよび/または二酸化炭素センサアセンブリから酸素の含量を誘導または推定することができる。このような全てのセンサアセンブリが、酸素センサアセンブリの代わりにまたは共に使用されることができる。
【0090】
図1の製造システム20は、安全バルブ45およびチャンバリフィルバルブ(chamber refilling valve)47を有し、これらの二つのバルブ45、47の両方とも容器22に動作的に接続され、製造チャンバ24と通る。リフィルバルブ47は、密封容器22に存在する金属変形/変換ユニット26が作動する際に閉じられる。金属変形/変換作業の終わりに、リフィルバルブ47が開かれ、製造チャンバ24を周辺空気でリフィルする。
【0091】
製造チャンバ24に精製された不活性気体が連続的に供給される実施形態において、リフィルバルブ47が少なくとも部分的に開かれる。よって、製造チャンバ24は、バルブ47を介して、計量可能な流量で周辺に気体を徐々に排出することができる。このような実施形態において、製造チャンバ24内部の圧力は、周辺圧力よりも若干高く維持されなければならない。
【0092】
図1の製造システム20の製造チャンバ24の内部に加熱ユニット72が存在するが、加熱ユニット72が製造チャンバ24の内部ではなく、付近に存在してもよい。熱交換器であってもよい加熱ユニット72は、製造チャンバ24内の精製された不活性気体および周辺を加熱する。気体加熱ユニット70のように、加熱ユニット72は、製造チャンバ24内部の不活性気体の温度を調節および制御することができる。制御器に気体ヒータ作動器が動作的に接続され、制御器は、製造チャンバ24内部の気体温度を検知する温度センサに動作的に接続されることができる。一方、製造チャンバ24の内部または近くに加熱ユニットが存在しなくてもよい。
【0093】
図2の他の製造システム120は再循環スクラビングシステム142を有し、他の特徴は製造システム20と類似している。
【0094】
再循環スクラビングシステム142は、再循環気体入口148および再循環気体出口149が容器壁127に形成され、製造チャンバ124と通る閉ループ再循環気体ライン146を含む。再循環スクラビングシステム142の再循環気体入口148から再循環気体出口149まで閉ループ再循環気体ライン146に沿って順に濾過器150、圧縮器152、気体ライン146において循環する気体を冷却する熱交換器154および気体精製ユニット156が存在し、この精製ユニットは、前述した気体精製ユニット30、130と類似している。再循環スクラビングシステム142は、閉ループ再循環気体ライン146および気体精製ユニット156内で循環する連続気体流を生成する。熱交換器154は、圧縮器152における圧縮により気体ライン146において循環する気体に追加され、製造チャンバ124内部の溶融金属工程により生じた熱を除去する。
【0095】
一方、濾過器150および熱交換器154のうち少なくとも一つが省略されてもよい。
【0096】
再循環スクラビングシステム142の気体精製ユニット156の下流、すなわち、気体精製ユニット156と不活性気体入口149との間に熱交換器のような加熱ユニット174がさらに存在する。気体加熱ユニット149は、気体ライン146に沿って他の位置に存在することができる。よって、作動した気体加熱ユニット174は、製造チャンバ124に入る前の精製された不活性気体を加熱する。気体加熱ユニット174が、製造チャンバ124に入った不活性気体の温度を調整および制御してもよい。気体ヒータ作動器が制御器に動作的に接続され、制御器は、不活性気体ライン146および/または製造チャンバ124の内部に設けられた温度センサに動作的に接続されることができる。気体加熱ユニット174が存在しなくてもよい。
【0097】
再循環スクラビングシステム142の目的は、不純物の含量を無くすかまたは最小化し、製造工程の間、製造チャンバ124内部の気体雰囲気を連続的に精製することにある。不活性気体は、製造チャンバ124に入り、気体精製ユニット130により精製されるが、酸素およびその他の汚染物質は、製造チャンバ124内で拡散して増加し得る。よって、再循環スクラビングシステム142は、再循環気体流を生成し、製造チャンバ124の気体は、再進入前に排出および精製される。再循環スクラビングシステム142により、製造チャンバ124の不活性気体の含量は、容器122の製造チャンバ124内に拡散する酸素およびその他の不純物から連続的にスクラビングされる。
【0098】
分当たりの総気体容積の最大100%(vol.)、すなわち、製造チャンバ124に入っている気体容積がリサイクルされるところ、製造チャンバ124から排出され、製造チャンバ124に戻る前に気体精製ユニット156に送られる。一方、分当たりの総気体容積の1~50%(vol.)、5~20%(vol.)または10~20%(vol.))が再循環スクラビングシステム142を介してリサイクルされてもよい。再循環スクラビングシステム142を介してスクラビングされた気体の百分率が、酸素センサアセンブリ140から得た読取値に比例して変わってもよい。
【0099】
酸素関連センサアセンブリ、すなわち、酸素の含量を誘導可能な酸素センサアセンブリ140および再循環スクラビングシステム142に制御器(図示せず)が動作的に接続されてもよい。酸素センサアセンブリ140のデータに合わせて圧縮器152の速度を変え、閉ループ再循環気体ライン146内のリサイクルされた気体流量を調節する。製造チャンバ124内の酸素の含量が増加すれば再循環気体流が増加し、その逆も同様である。
【0100】
または、不活性気体源128と製造チャンバ124との間に気体精製ユニット130なしに両者が直接気体連通し、不活性気体源128が未精製不活性気体で製造チャンバ124を直接充填してもよい。未精製不活性気体は、再循環スクラビングシステム142の気体精製ユニット156で精製されることができる。よって、製造チャンバ124内の金属変形/変換前に再循環スクラビングシステム142が作動し、製造チャンバ内部の不活性気体を精製する。製造チャンバ124内の気体雰囲気の汚染レベルが酸素分圧100ppb未満のような所定の閾値未満になるまで再循環スクラビングシステム142が作動してもよい。
【0101】
製造システム20のように、製造システム120は、複数の作動器およびセンサを備えた監視アセンブリを含み、このアセンブリは、不活性気体源128および気体精製ユニット130に気体が通るように連結された質量流制御器133、不活性気体ライン131に設けられた制御バルブ135、安全バルブ145、リフィルバルブ147、および容器122に動作的に接続され、製造チャンバ124内部の圧力、温度および酸素の含量をそれぞれ監視する圧力センサ139、温度センサ153および酸素センサ140a、140bを含む。
図1における説明のように、質量流制御器133および制御バルブ135は、図示された実施形態とは異なってもよい。
【0102】
製造チャンバ124との間にバルブ141が存在する気体ライン143に取り付けられた酸素センサアセンブリ140は、酸素センサアセンブリ40と類似し、2個の酸素センサ、すなわち、ppmセンサ140aおよびppbセンサ140bを有する。しかし、二つのシステム20、120が異なる種類の酸素センサを有してもよい。
図1で説明されたように、システムは、酸素の含量をppbレベルで監視する一つの酸素センサである低含量酸素センサ40bおよび酸素センサアセンブリを有することができ、このアセンブリは、製造チャンバ124内の酸素の含量と関わる情報を酸素関連センサから誘導可能な他のセンサアセンブリを代替するかまたは共に使用されてもよい。
【0103】
製造システム20のように、製造システム120は、制御バルブ137が取り付けられた真空気体ライン136を介して製造チャンバ124に通る真空ポンプのような真空ユニット134、および容器壁127に形成された真空ポート138を有する。システム20、120に再循環スクラビングシステム142が存在すれば、真空気体ライン136および制御バルブ137を含む真空ユニット134が存在しなくてもよい。よって、製造チャンバ124に不活性気体が供給され、製造チャンバ124内の不純物の含量が閾値未満になるまで、不活性気体が再循環スクラビングシステム142を循環することができる。例えば、製造チャンバ124内の酸素分圧が約200ppb未満になるまで、不活性気体が再循環スクラビングシステム142を循環することができる。次に、製造チャンバ124に存在する金属系供給原料が金属変形/変換ユニット126により加熱される。
【0104】
図1~2で説明された製造システムを用いて金属を製造/変形/変換するためのプロセスが提供され、この際、容器22、122の製造チャンバ24、124内部の気体雰囲気の純度を製造過程で監視および/または制御する。
【0105】
真空システム34、134を用いて、製造チャンバ24、124を先に真空にした後、不活性気体源28、128を用いて、アルゴン、窒素、ヘリウムのような高純度不活性気体を再充填する。製造チャンバ24、124に入る前に、不活性気体源28、128により供給された不活性気体は、不純物レベルを下げるように気体精製ユニット30、130で精製される。一方、製造チャンバ124を充填した不活性気体が再循環スクラビングシステム142を用いて精製されてもよい。この場合、真空システムが省略されることができる。
【0106】
製造チャンバ24、124を真空にする際、約1200Pa未満、約100Pa未満、または約5Pa未満に真空化することができる。真空システムの真空ポンプが2個以上であり、第1真空ポンプは第1閾値(例えば、約5Pa)未満に、第2真空ポンプは第1閾値に達した後の他の閾値(例えば、約0.1Pa未満)に真空化するのに使用されることができる。
【0107】
不純物レベルを例えば少なくとも一つの汚染物質に対して約200ppbまたは約100ppbの閾値未満に下げるか、または、少なくとも一つの汚染物質に対する気体純度が実施形態により約50ppb未満または約10ppb未満であってもよい。製造チャンバ24、124に供給された不活性気体の精製は、金属の変形/変換のために製造チャンバ24、124内部の金属温度を高める前に行わなければならない。不活性気体の精製は、製造された粉末粒子または固化成形バルク3D形態の汚染物質レベルを下げる。
【0108】
金属変形/変換ユニット26、126の作動中の製造チャンバ24、124の不活性気体の含量は、一般的に、少なくとも一つの汚染物質レベルに対して約200ppb未満に維持される。他の実施形態において、気体純度は、少なくとも一つの汚染レベルに対して約100ppb未満である。気体精製ユニット30、130を出て行く不活性気体の不純物の含量と、製造チャンバ24、124内の不活性気体の不純物の含量との差は、主に作動中に容器122の製造チャンバ124内に拡散する酸素および他の不純物のためである。前述したように、製造チャンバ24、124内の不活性気体の不純物の含量は、連続的に減少および/または維持されることができる。または、製造チャンバ24、124内の不活性気体の不純物の含量が、酸素センサ140および圧縮器152で制御されてもよい。
【0109】
したがって、金属を変形/変換する過程で、不活性気体を気体精製ユニットに供給し、酸素分圧を約100ppb未満に下げ、精製された不活性気体を得る。精製された不活性気体は、製造チャンバ内に供給され、その後、金属系供給原料は、金属変形/変換ユニットで加熱され、少なくとも一つの最終部品に変形/変換されることができる。
【0110】
したがって、金属を変形/変換する過程で、酸素関連パラメータを製造チャンバ内において監視することができる。酸素関連パラメータが製造チャンバ内の所定の酸素閾値よりも高ければ、不活性気体を製造チャンバから連続的に引き出し、酸素分圧を約100ppb未満に下げた精製気体を製造チャンバ内に送る。酸素関連パラメータが製造チャンバ内において所定の酸素閾値以下である場合、その後、製造チャンバ内の金属系供給原料が金属変形/変換装置で加熱され、少なくとも一つの最終部品に変形/変換されることができる。
【0111】
一方、不活性気体が、密封容器内に形成され、金属変形/変換ユニットを備えた製造チャンバ内に導入され;酸素分圧を約100ppb未満に下げ、精製された不活性気体を得るために、製造チャンバ内に導入する以前または以後に不活性気体を精製し;精製された不活性気体が製造チャンバ内に存在してもよい。次いで、金属系供給原料が金属変形/変換ユニットで加熱され、少なくとも一つの最終部品に変形/変換されることができる。
【0112】
または、精製された不活性気体を製造チャンバ内に入れる前に製造チャンバ内の気体を引き出し、製造チャンバを真空にしてもよい。金属系供給原料を加熱する前に、製造チャンバ内の気体を連続的に引き出して精製した後、製造チャンバ内の酸素関連パラメータが所定の閾値未満になるまで製造チャンバ内に再導入することができる。酸素関連パラメータが酸素分圧であり、閾値が200ppbであることができる。または、精製ユニットで精製された不活性気体の酸素分圧が約100ppb未満であってもよい。また、精製された不活性気体が製造チャンバ内に導入される前に加熱されるか、または精製される前に冷却されてもよい。
【0113】
また、不活性気体源と製造チャンバとの間の不活性気体ラインに気体精製ユニットが位置し、不活性気体源の不活性気体を精製させて製造チャンバ内に導入してもよい。精製された不活性気体が製造チャンバ内に導入される前に加熱されてもよい。
【0114】
金属系供給原料が金属変形/変換ユニットで加熱される間、製造チャンバ内の不活性気体は、金属変形/変換途中に低い不純物レベルを維持するように、製造チャンバから連続的に出て精製された後に再導入されてもよい。または、精製ユニットで生成された、精製された不活性気体の酸素分圧が約100ppb未満であることができる。または、精製された不活性気体が製造チャンバ内に再導入される前に加熱されるか、または精製される前に冷却されてもよい。また、酸素関連パラメータが製造チャンバで監視され、製造チャンバから出た不活性気体の流量が監視された酸素関連パラメータに基づいて調整されてもよい。
【0115】
また、金属系供給原料が金属変形/変換ユニットで加熱される間、製造チャンバ内の気体が連続的且つ単独で周辺に排出され、精製された不活性気体が不活性気体源から製造チャンバ内に連続的に供給されてもよい。
【0116】
金属系供給原料が金属変形/変換ユニットで加熱される間、製造チャンバ内の不活性気体が加熱されてもよい。
【0117】
前述したように、密封容器22、122内の金属変形/変換ユニット26、126は、金属を粒子化する。製造チャンバ24、124内の高純度雰囲気は、粒子の球状化に助力をし、酸化物または汚染物質の含有可能性を下げる。
【0118】
密封容器22、122内の金属変形/変換ユニット26、126が、酸化物の形成を下げて機械的特性を改善した固化成形バルク3D形態を作る焼結炉であってもよい。
【0119】
密封容器22、122内の金属変形/変換ユニット26、126が固化成形バルク3D形態を作る3Dプリンタである場合、製造チャンバ24、124内の高純度雰囲気が溶融物の均一性を維持し、最終3D部品内の酸化物または汚染物質の含量を減らすのに役立ることができる。
【0120】
アルミニウムをはじめとする多くの金属は、遥かに高い融点を有する酸化物を形成することが知られている。これは、溶融金属のドロップ(drop)がリジッドな酸化膜を形成し、溶融金属が表面張力により形状が変わるのを防止することを意味する。これは、酸化物層が数オングストローム厚さ、すなわち、酸化物分子層が数個だけであっても起こる。溶融金属の反応性が高いため、溶融金属に接する全ての酸素分子がくっついて酸化物を形成すると見ることができる。よって、製造チャンバ24、124の高純度雰囲気は、製造チャンバ内部の酸素および他の不純物の含量を制限して酸化物の形成を防止するため、液滴(droplet)が十分に球状化される前には、完全な酸化物層を形成することができない。
【0121】
層を形成する時間は、気体の圧力と直接な関わりがあることが知られている。製造チャンバ24、124は、製造工程の開始前にアルゴン、窒素またはヘリウムのような高純度不活性気体で充填されるため、不活性気体の圧力は無視することができる。よって、酸化物の単層を形成する時間を計算する際、酸素分圧だけを考慮するべきである。製造チャンバ24、124内の酸素分圧は、約200ppb未満、または約100ppb未満でなければならない。
【0122】
密封容器22内の金属変形/変換ユニット26、126がアルミニウムを粉末に粒子化する金属系粉末製造ユニットである際、製造チャンバ24、124内の酸素分圧の最大閾値が次のように決定されてもよい:球状粉末を製造するために、粉末の形成および凝固中に粉末粒子における酸化物層の形成が防止されなければならない。Lamb1932[Lamb、H.1932、流体力学、6版、ケンブリッジ大学出版部]は、液滴球状化のための減衰時間をργ2/{μ(l-1)(2l+1)}に推定した。全ての振動を推定するのに5減衰時間が必要であると推定した。50μmのアルミニウム液滴を製造する場合、全ての振動を無くして球状粉末粒子を得るのにかかった時間が約1100μsである。すなわち、1100μs以上の間、粉末粒子に酸化物の単層が形成されるのを避けなければならない。品質の管理のために、このような推定時間に(実験により定めた)安全率を乗じる。例えば、11msを得るのに安全率10を選択することができる。
【0123】
Sayer 1999[SAYER、M.& MANSINGH、A.MEASUREMENT、INSTRUMENTATION AND EXPERIMENT DESIGN IN PHYSICS AND ENGINEERING、PHI Learning、1999]によれば、1気圧分圧で単層を形成するのに3ns程度かかり、それを15msにのばすのに200ppbの分圧が必要である。100ppbの条件で、68μmの液滴には2倍がかかる。
【0124】
以上で説明した方法/工程は、前述した順序や任意の適当な順序で行われることができる。
【国際調査報告】