(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】人体へ安全なトナー外添剤及びそれを用いて製造されたトナー
(51)【国際特許分類】
G03G 9/097 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
G03G9/097 374
G03G9/097 371
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571039
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 KR2020005093
(87)【国際公開番号】W WO2020242052
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0062963
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513018006
【氏名又は名称】ソッキョン エイ ティー シーオー エルティディー
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イム ヒョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ユ ヨンチョル
(72)【発明者】
【氏名】クォン オソン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジンソプ
(72)【発明者】
【氏名】キム サンゴン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ウンヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ ソヨン
(72)【発明者】
【氏名】ユ ヨング
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヒョンソク
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA09
2H500AA11
2H500CA34
2H500CA35
2H500CB06
2H500CB09
2H500EA03D
2H500EA31D
2H500EA42D
2H500EA43D
2H500EA44D
2H500EA47D
2H500EA52A
2H500EA52D
2H500EA55D
(57)【要約】
本発明は、スズ酸化物微粒子、複合スズ酸化物微粒子及びこれらの微粒子の混合物からなる群から選ばれるトナー外添剤であって、前記微粒子は、エネルギーバンドギャップが3.2~3.6eV、電気陰性度値(χ)が15~18、ブローオフ帯電量(μC/g)が-100~-150である(-)荷電微粒子であることを特徴とするトナー外添剤を提供する。本発明のトナー外添剤は、今までトナー外添剤として通常的に使用されてきたナノサイズ二酸化チタン粒子を代替することができ、使用中にトナーの表面から脱落したナノサイズ二酸化チタンの被爆により生じ得る悪影響から画像業界の労働者はもちろん、画像機械を使用する一般消費者の安全を保障することができ、人体に安全である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式SnaOb(式中、Snはスズ、Oは酸素、1.000≦a/b≦2.000)で示されるスズ酸化物微粒子、一般式MxSnyOz(式中、MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Ca、Mg、Sr、Ba、Zr、Ti、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Inから選ばれる1種以上の元素、Snはスズ、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、1.000≦z/y≦2.000)で示される複合スズ酸化物微粒子及びこれらの微粒子の混合物からなる群から選ばれるトナー外添剤であって、
前記微粒子は、エネルギーバンドギャップが3.2~3.6eV、電気陰性度値(χ)が15~18、ブローオフ帯電量(μC/g)が-100~-150である(-)荷電微粒子であることを特徴とするトナー外添剤。
【請求項2】
前記微粒子の一次粒子径が、1nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー外添剤。
【請求項3】
前記一次粒子が凝集した二次凝集体のサイズが、10μm以下である請求項1又は2に記載のトナー外添剤。
【請求項4】
前記スズ酸化物、前記複合スズ酸化物微粒子の比表面積が、5~200m
2/gの値を有する請求項1又は2に記載のトナー外添剤。
【請求項5】
前記微粒子は、一般式SnaOb(式中、Snはスズ、Oは酸素、1.000≦a/b≦2.000)で示される組成比を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー外添剤。
【請求項6】
一般式MxSnyOzで示される前記複合スズ酸化物微粒子は、正方晶構造又は立方晶構造及びルチル結晶構造のいずれか一つ以上の構造であることを特徴とする請求項1に記載のトナー外添剤。
【請求項7】
前記M元素は、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Sb、Al、In、Ti、Zrからなる群から選ばれることを特徴とする請求項6に記載のトナー外添剤。
【請求項8】
一次粒子サイズが、1nm~200nmであるスズ酸化物微粒子、複合スズ酸化物微粒子の表面が、疎水性機能を示す疎水性物質で被覆されていることを特徴とするトナー外添剤。
【請求項9】
前記スズ酸化物微粒子、複合スズ酸化物微粒子は、下記一般式を有する表面処理剤で表面が処理され被覆されたことを特徴とする請求項8に記載のトナー外添剤。
(Y)m-Si-(X)n[Si:シリコーン、(Y+X=4)]
(Y)m-Ti-(X)n[Ti:チタン、(Y+X=4)]
(Y)m-Zr-(X)n[Zr:ジルコニウム、(Y+X=4)]
(Y)m-Al-(X)n[Al:アルミニウム、(Y+Z=3)]
Y:アルキル基、フェニル基、
X:アルコキシ基、クロリド、ブロミド、フルオリド
【請求項10】
前記スズ酸化物微粒子、複合スズ酸化物微粒子の表面に処理された表面処理剤の含量が、スズ酸化物微粒子の0.1~50重量%であることを特徴とする請求項8に記載のトナー外添剤。
【請求項11】
平均粒径3~8μmのトナー粒子の表面に疎水性能を有するスズ酸化物、複合スズ酸化物微粒子が、以下の範囲内でコーティングされていることを特徴とするトナー粒子。
スズ酸化物/トナー粒子=0.01~1(重量比)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境に優しいトナー外添剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、パソコンの高性能化及びネックワークの普及に伴い情報ネットワークシステムの出力機としてデジタルカラーコピー機、プリンターに対しては高画質化、生産性の向上、高い信頼性が求められている。その延長線上に多くのオン・デマンド印刷への市場がますます成長しつつある。また、温暖化問題、エネルギーと資源の枯渇などの問題に直面しており、持続可能な社会における企業責任など社会に対する貢献もまた求められていることから、製造時又は使用時における省資源、省エネによる環境への負荷を低減させる必要がある。
【0003】
この状況において、トナーにおいても主に高画質化のための小粒径化及び狭い粒度分布化、鮮明な発色、消費エネルギーの低減、生産性向上のために、より低温で定着が可能であることなど項目が求められている。
【0004】
このトナーの小口径化に伴いトナー外添剤である二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などのサイズもますます小さくなってきており、このような外添剤の使用量も次第に増加している実状である。これにより、有害性の論議があるナノサイズの二酸化チタンの使用による関連産業の労働者はもちろん、一般消費者に悪影響を与える可能性もある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Spotlighting CLH report for TiO2: Nano-safety perspective, Chemical Engineering Journal Vol. 340, 15 May 2018, Pages 192-195
【非特許文献2】Titanium dioxide in our everyday life; is it safe, Radiol Oncol 2011; 45(4): 227-247
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、画像材料産業界において、画像材料、具体的にはトナーの表面にコーティングされ、外添剤としての機能を果たしている目的として使用されている無機酸化物のうち、ナノサイズの二酸化チタン(TiO2)が使用されている。このナノサイズの二酸化チタン粒子がトナーの表面にコーティングされ、コピー機又はレーザープリンターの作動に伴って、トナーの表面から脱落されたナノサイズの酸化チタン粒子が人体へ悪影響を与えているという多くの関連文献があり、続いて、これに関する論文が発表されてきている。
【0007】
通常、トナーの表面に外添剤として主に使用されている無機酸化物としては、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)などがある。しかし、実際のトナー製造時に外添剤として多く使用される無機酸化物は、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)である。前述した外添剤のうち、人体へ悪影響を与える恐れのある外添剤として‘ナノサイズの二酸化チタン(TiO2)’が挙げられている。
【0008】
二酸化チタン(TiO2)のナノサイズ粒子を使用してコーティングしたトナー粒子間の摩擦とコピー機やレーザープリンターにあるブラシなどの摩擦によって脱落される場合、脱落された二酸化チタンナノ粒子の影響により人体へ悪影響を与えるという危険性の警告に対して、本発明者らは、鋭意実験を行い、二酸化チタン粒子のトナーにおける役割を代替することができる物質を研究し、二酸化チタンナノ粒子を代替することができる代替物質の発明に至った。
【0009】
即ち、金属イオンの電気陰性度がTi+4イオンとほぼ類似し、ブローオフ帯電量(μC/g)が(-)電荷を有し、その量が-100~-150である酸化スズ(IV)ナノ粒子及び酸化スズ系ナノ粒子をコーティングすることで、人体へ及ぼす悪影響を源泉的に防止することができると判断した。
【0010】
そこで、本発明者らは、酸化スズ(IV)及び酸化スズ(IV)系ナノ粒子を合成に臨み、これをトナーにコーティングして、二酸化チタンナノサイズ粒子を代替しようとした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のトナー外添剤は、一般式SnaOb(式中、Snはスズ、Oは酸素、1.000≦a/b≦2.000)で示されるスズ酸化物微粒子、一般式MxSnyOz(式中、MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Ca、Mg、Sr、Ba、Zr、Ti、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Inから選ばれる1種以上の元素、Snはスズ、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、1.000≦z/y≦2.000)で示される複合スズ酸化物微粒子及びこれらの微粒子の混合物からなる群から選ばれるトナー外添剤であって、
【0012】
前記微粒子は、エネルギーバンドギャップが3.2~3.6eV、電気陰性度値(χ)が15~18、ブローオフ帯電量(μC/g)が-100~-150である(-)荷電微粒子であることを特徴とする。
【0013】
前記微粒子の一次粒子径が、1nm以上200nm以下であることを特徴とする。
前記一次粒子が凝集した二次凝集体のサイズが、10μm以下であることを特徴とする。
【0014】
前記スズ酸化物、前記複合スズ酸化物微粒子の比表面積が、5~200m2/gの値を有する。
【0015】
また、前記微粒子は、一般式SnaOb(式中、Snはスズ、Oは酸素、1.000≦a/b≦2.000)で示される組成比を有することを特徴とする。
【0016】
一般式MxSnyOzで示される前記複合スズ酸化物微粒子は、正方晶構造又は立方晶構造及びルチル結晶構造のいずれか一つ以上の構造であることを特徴とする。こここで、前記M元素は、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Sb、Al、In、Ti、Zrからなる群から選ばれることを特徴とする。
【0017】
一方、一次粒子サイズが、1nm~200nmであるスズ酸化物微粒子、複合スズ酸化物微粒子の表面が、疎水性機能を示す疎水性物質で被覆されていることを特徴とするトナー外添剤を提供する。
【0018】
前記スズ酸化物微粒子、複合スズ酸化物微粒子は、下記一般式を有する表面処理剤で表面が処理され被覆されたことを特徴とする。
(Y)m-Si-(X)n[Si:シリコーン、(Y+X=4)]
(Y)m-Ti-(X)n[Ti:チタン、(Y+X=4)]
(Y)m-Zr-(X)n[Zr:ジルコニウム、(Y+X=4)]
(Y)m-Al-(X)n[Al:アルミニウム、(Y+Z=3)]
Y:アルキル基、フェニル基、
X:アルコキシ基、クロリド、ブロミド、フルオリド
【0019】
ここで、前記スズ酸化物微粒子、複合スズ酸化物微粒子の表面に処理された表面処理剤の含量が、スズ酸化物微粒子の0.1~50重量%であることを特徴とする。
【0020】
一方、平均粒径3~8μmのトナー粒子の表面に疎水性能を有するスズ酸化物、複合スズ酸化物微粒子が、以下の範囲内でコーティングされていることを特徴とするトナー粒子を提供する。
スズ酸化物/トナー粒子=0.01~1(重量比)
【発明の効果】
【0021】
人体へ悪影響を与える可能性の高い‘ナノサイズの酸化チタン(TiO2)’の使用を抑制しようとする画像業界の自発的な動きがあり、これに対する対策として本出願人は、人体へ悪影響を与えない‘ナノサイズの酸化スズ(IV)’を開発することで、これを用いて安全性が確保されたトナーを開発することができる機会を得た。結論的に、トナー業界において、外添剤として使用されている‘ナノサイズの酸化チタン(TiO2)’を使用しないことで、トナー産業界でトナーを製造する製造業者の労働者及び画像材料、特にトナーを消耗品として使用するコピー機やレーザープリンターを使用する一般消費者の安全を確保することができる。
【0022】
画像材料、特にトナーの外添剤として使用されている二酸化チタンナノサイズ粒子は、人体への有害性の原因として注目されており、トナーを消耗品として使用するコピー機、レーザープリンターなどの印刷機器から生じ得る二酸化チタンナノサイズ粒子の脱落から誘発され得る一般消費者の有害被爆の可能性を源泉的に遮断することによって、一般消費者の健康とトナー関連産業に従事する労働者らの安全と健康を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】トナーの外添剤として用いられた酸化スズ微粒子のFE-SEMデータである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、酸化スズ(IV)及び酸化スズ(IV)系ナノサイズ粒子を合成について詳細に説明する。しかし、本発明の内容は、詳細説明に開示されたものに限定されない。
【0025】
通常、スズ酸化物微粒子、複合スズ酸化物微粒子の合成に使用されるスズ酸化物の原料としては、主に、スズ酸ナトリウム(Na2SNO3)、スズ酸カリウム(K2SnO3)、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、水酸化スズ(Sn(OH)2)、水酸化スズ(Sn(OH)4)、フッ化スズ(SnF2)、ジメトキシスズ(II)、ジエトキシスズ(II)、ジエトキシスズ(II)、ジプロポキシスズ(II)、テトラメトキシスズ(IV)、テトラエトキシスズ(IV)、テトラプロポキシスズ(IV)等を使用することができ、また、複合スズ酸化物に使用される原料としては、スズ酸ナトリウム(Na2SNO3)、スズ酸カリウム(K2SnO3)、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、水酸化スズ(Sn(OH)2)、水酸化スズ(Sn(OH)4)、フッ化スズ(SnF2)、ジメトキシスズ(II)、ジエトキシスズ(II)、ジエトキシスズ(II)、ジプロポキシスズ(II)、テトラメトキシスズ(IV)、テトラエトキシスズ(IV)、テトラプロポキシスズ(IV)などのスズ化合物、アルミン酸ナトリウム(NaAlO2)、塩化アルミニウム(AlCl3)、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3)、酢酸アルミニウム、メトキシアルミニウム、エトキシアルミニウム、プロポキシアルミニウム、イソプロポキシアルミニウムに代表されるアルミニウム化合物、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、水酸化カルシウム、メトキシカルシウム、エトキシカルシウムなどのカルシウム化合物、塩化セシウム、硝酸セシウム、水酸化セシウム、フッ化セシウム、メトキシセシウム、エトキシセシウム、セシウム金属などのセシウム化合物、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、メトキシマグネシウム、エトキシマグネシウムなどのマグネシウム化合物、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、メトキシストロンチウム、エトキシストロンチウムなどのストロンチウム化合物、塩化バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム、フッ化バリウム、メトキシバリウム、エトキシバリウムなどのバリウム化合物、塩化インジウム、硝酸インジウム、水酸化インジウム、フッ化インジウム、メトキシンジウム、エトキシンジウム、プロポキシインジウム、イソプロポキシインジウムなどのインジウム化合物、塩化アンチモン、硝酸アンチモン、水酸化アンチモン、フッ化アンチモン、メトキシアンチモン、エトキシアンチモンなどのアンチモン化合物、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(II)、水酸化鉄(III)、フッ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、メトキシ鉄、エトキシ鉄などの鉄化合物、塩化チタン(III)、塩化チタン(IV)、オキシ塩化チタン(TiOCl2)、メトキシチタン、エトキシチタン、プロポキシチタン、イソプロポキシチタンなどのチタン化合物、塩化ジルコニウム(IV)、オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2)、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)、メトキシジルコニウム、エトキシジルコニウム、プロポキシジルコニウム、イソプロポキシジルコニウム、ブトキシジルコニウム、イソブトキシジルコニウムなどのジルコニウム化合物などを使用することができる。
【0026】
このような原料を使用して加水分解工程及び水熱工程を通してスズ酸化物微粒子、複合スズ酸化物微粒子を製造し、このような微粒子の凝集を最小化するために、凍結乾燥、真空乾燥法、スプレードライ法等を介して乾燥し、このように得られた微粒子の表面に疎水性を与えるために、一般式(Y)m-Si-(X)n、(Y)m-Ti-(X)n、(Y)m-Zr-(X)n、(Y)-Al-(X)nに代表される表面処理剤を処理した疎水性スズ酸化物微粒子、疎水性微粒子スズ酸化物微粒子などを製造することができる。
【0027】
このとき、表面処理剤として用いられる有機化合物表面処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、ヘキサデシルメチルジクロロシラン、ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、ヘキサデシルジメチルクロロシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、ドデシルジメチルジメトキシシラン、ドデシルジメチルジエトキシシラン、ドデシルジメチルクロロシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリクロロシラン、デシルメチルジメトキシシラン、デシルメチルジエトキシシラン、デシルメチルジクロロシラン、デシルジメチルメトキシシラン、デシルジメチルエトキシシラン、デシルジメチルクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシランなどのシランカップリング化合物、ヘキサデシルトリメトキシチタン、ヘキサデシルトリエトキシチタン、ヘキサデシルトリクロロチタン、ヘキサデシルメチルジメトキシチタン、ヘキサデシルメチルジエトキシチタン、ヘキサデシルメチルジクロロチタン、ヘキサデシルジメチルメトキシチタン、ヘキサデシルジメチルエトキシチタン、ヘキサデシルジメチルクロロチタン、ドデシルトリメトキシチタン、ドデシルトリエトキシチタン、ドデシルトリクロロチタン、ドデシルジメチルジメトキシチタン、ドデシルジメチルジエトキシチタン、ドデシルジメチルクロロチタン、デシルトリメトキシチタン、デシルトリエトキシチタン、デシルトリクロロチタン、デシルメチルジメトキシチタン、デシルメチルジエトキシチタン、デシルメチルジクロロチタン、デシルジメチルメトキシチタン、デシルジメチルエトキシチタン、デシルジメチルクロロチタン、ジメチルジメトキシチタン、ジメチルジエトキシチタン、ジメチルジクロロチタン、トリメチルメトキシチタン、トリメチルエトキシチタン、トリメチルクロロチタンなどのチタンカップリング化合物、ヘキサデシルトリメトキシジルコニウム、ヘキサデシルトリエトキシジルコニウム、ヘキサデシルトリクロロジルコニウム、ヘキサデシルメチルジメトキシジルコニウム、ヘキサデシルメチルジエトキシジルコニウム、ヘキサデシルメチルジクロロジルコニウム、ヘキサデシルジメチルメトキシジルコニウム、ヘキサデシルジメチルエトキシジルコニウム、ヘキサデシルジメチルクロロジルコニウム、ドデシルトリメトキシジルコニウム、ドデシルトリエトキシジルコニウム、ドデシルトリクロロジルコニウム、ドデシルジメチルジメトキシジルコニウム、ドデシルジメチルジエトキシジルコニウム、ドデシルジメチルクロロジルコニウム、デシルトリメトキシジルコニウム、デシルトリエトキシジルコニウム、デシルトリクロロジルコニウム、デシルメチルジメトキシジルコニウム、デシルメチルジエトキシジルコニウム、デシルメチルジクロロジルコニウム、デシルジメチルメトキシジルコニウム、デシルジメチルエトキシジルコニウム、デシルジメチルクロロジルコニウム、ジメチルジメトキシジルコニウム、ジメチルジエトキシジルコニウム、ジメチルジクロロジルコニウム、トリメチルメトキシジルコニウム、トリメチルエトキシジルコニウム、トリメチルクロロジルコニウムなどのジルコニウム化合物、ヘキサデシルジメトキシアルミニウム、ヘキサデシルジエトキシアルミニウム、ヘキサデシルジクロロアルミニウム、ヘキサデシルメチルメトキシアルミニウム、ヘキサデシルメチルエトキシアルミニウム、ヘキサデシルメチルクロロアルミニウム、ヘキサデシルジメトキシアルミニウム、ヘキサデシルジエトキシアルミニウム、ヘキサデシルジクロロアルミニウム、ドデシルジメトキシアルミニウム、ドデシルジエトキシアルミニウム、ドデシルジクロロアルミニウム、ドデシルメチルメトキシアルミニウム、ドデシルメチルエトキシアルミニウム、ドデシルメチルクロロアルミニウム、デシルジメトキシアルミニウム、デシルジエトキシアルミニウム、デシルジクロロアルミニウム、デシルメチルメトキシアルミニウム、デシルメチルエトキシアルミニウム、デシルメチルクロロアルミニウム、デシルメチルメトキシアルミニウム、デシルメチルエトキシアルミニウム、デシルメチルクロロアルミニウム、ジメチルメトキシアルミニウム、ジメチルエトキシアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウムなどのアルミニウム化合物などを使用することができる。
【0028】
<実施例>
1.酸化スズ(IV)ナノサイズ粒子の合成及び疎水性コーティング
(1)スズ酸ナトリウム(Na2SnO3)を1mol/Lになるように秤量し、純水にスズ酸ナトリウム(Na2SnO3)粉末をゆっくり加え、撹拌機を使用してよく溶解した。
(2)工程(1)で得られたスズ酸ナトリウム溶液に、予め作られた1mol/L硝酸(HNO3)をゆっくり加え、最終的に全体溶液のpHを3~3.5に調整した。
(3)以後、得られた水酸化スズ(Sn(OH)4)を得、純水とエチルアルコールを用いて不要なイオン種をすべて除去した。
(4)以後、得られた水和物を対流乾燥機に入れ、60℃、24時間乾燥を行った。
(5)乾燥された水酸化スズを200℃、2時間熱処理することで、比表面積が168m2/gの酸化スズ(IV)を合成した。
(6)工程(5)で得られた酸化スズ(IV)ナノサイズ粒子の表面に、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどの疎水コーティングを行って、疎水性酸化スズ(IV)ナノサイズ粒子を得た。
(7)工程(6)で得たブローオフ試験時、(-)130mVの値を得た。
(8)工程(7)で得られた疎水性酸化スズ(IV)ナノサイズ粒子と疎水性シリカなど、従来に使用されている添加剤を従来のトナー製造方法に従って画像材料、トナーの表面に外添処理を行い、以後、製造されたトナーの物性評価結果は、従来の二酸化チタン(IV)ナノサイズ粒子を使用するときとほぼ同等水準を得た。
即ち、人体へ与える有害性の議論となる二酸化チタン(IV)ナノサイズ粒子を代替することができる酸化スズ(IV)ナノサイズ粒子を開発した。
【0029】
2.複合スズ酸化物微粒子の合成及び疎水性コーティング
(1)スズ酸ナトリウム(Na2SnO3)を1mol/Lになるように秤量し、アルミン酸ナトリウム(NaAlO2)を0.01mol/Lになるように秤量し、純水にスズ酸ナトリウム(Na2SnO3)粉末及びアルミン酸ナトリウムをゆっくり加え、撹拌機を使用してよく溶解した。このとき、純水の温度を約60℃に調整した。
(2)工程(1)で得られたスズ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの混合溶液に、予め作られた1mol/L硝酸(HNO3)をゆっくり加え、最終的に全体溶液のpHを3~3.5に調整した。
(3)以後、得られた水酸化アルミニウム(Al(OH)3)-水酸化スズ(Sn(OH)4)複合水酸化物を得、純水とエチルアルコールを用いて不要なイオン種をすべて除去した。
(4)以後、得られた複合水和物を対流乾燥機に入れ、60℃、24時間乾燥を行った。
(5)乾燥された水酸化アルミニウム(III)-水酸化スズ(IV)の複合水酸化物を300℃、2時間熱処理することで、比表面積が110m2/gの酸化アルミニウム(III)-酸化スズ(IV)複合酸化物の微粒子を合成した。
(6)工程(5)で得られた酸化アルミニウム(III)-酸化スズ(IV)複合酸化物ナノサイズ粒子の表面に、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、デシルトリメトキシシランなどの疎水コーティングを行って、疎水性酸化アルミニウム(III)-酸化スズ(IV)複合酸化物ナノサイズ粒子を得た。
(7)工程(6)で得たブローオフ試験時、(-)140mVの値を得た。
(8)工程(7)で得られた疎水性酸化アルミニウム(III)-酸化スズ(IV)複合酸化物ナノサイズ粒子と疎水性シリカなど従来に使用されている添加剤を従来のトナー製造方法に従って画像材料、トナーの表面に外添処理を行い、以後、製造されたトナーの物性評価結果は、従来の二酸化チタン(IV)ナノサイズ粒子を使用するときとほぼ同等水準を得た。
【0030】
即ち、人体へ与える有害性の議論となる二酸化チタン(IV)ナノサイズ粒子を代替することができる酸化アルミニウム(III)-酸化スズ(IV)複合酸化物ナノサイズ微粒子を得ることができた。
【国際調査報告】