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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】修飾されたセルロース系繊維
(51)【国際特許分類】
   D06M 11/17 20060101AFI20220803BHJP
   D06M 13/463 20060101ALI20220803BHJP
   D06M 13/144 20060101ALI20220803BHJP
   D06M 101/06 20060101ALN20220803BHJP
   D06M 101/10 20060101ALN20220803BHJP
【FI】
D06M11/17
D06M13/463
D06M13/144
D06M101:06
D06M101:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571303
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(85)【翻訳文提出日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 CA2020050643
(87)【国際公開番号】W WO2020237347
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】62/855,162
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520367706
【氏名又は名称】バスト・ファイバ・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィニス,ジェイソン・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】プルモハマドバーゲル,アミン
【テーマコード(参考)】
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4L031AB31
4L031BA07
4L031DA05
4L033AB04
4L033AC02
4L033BA11
4L033BA86
4L033DA02
(57)【要約】
本開示は、複数の繊維を含む繊維材料を提供し、繊維は、天然若しくは合成セルロース系繊維又は天然若しくは合成タンパク質繊維であり、繊維はカチオン性化合物で処理されている。本開示はまた、繊維材料に第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を付与するための方法であって、繊維が天然若しくは合成セルロース系繊維又は天然若しくは合成タンパク質繊維である、複数の繊維を含む繊維材料を提供することと、任意に、繊維材料を塩基で前処理することと、繊維材料を少なくとも1つのカチオン性化合物で処理して、第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を付与することと、任意に、処理された繊維材料をポリマー又は樹脂でさらに処理することと、を含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維を含む繊維材料であって、前記繊維が天然若しくは合成セルロース系繊維又は天然若しくは合成タンパク質繊維であり、前記繊維が少なくとも1つのカチオン性化合物で処理されている、繊維材料。
【請求項2】
前記カチオン性化合物が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属又は遷移後金属の塩及びイオン液体のリストから選択される、請求項1に記載の繊維材料。
【請求項3】
前記カチオン性化合物が、アルミニウム、銅、亜鉛、マンガン又は鉄の塩である、請求項1に記載の繊維材料。
【請求項4】
前記カチオン性化合物が、スルフェート、サルファイト、アセテート、カーボネート、塩化物、水酸化物、ホスフェート及びニトレートからなる群から選択される塩である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項5】
前記カチオン性化合物がアルミニウム塩である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項6】
前記アルミニウム塩が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム及び酢酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項5に記載の繊維材料。
【請求項7】
前記カチオン性化合物が、イミダゾリウム、アンモニウム、ピロリジニウム、ピリジニウム及びホスホニウムからなる群から選択されるカチオンを含むイオン液体である、請求項1に記載の繊維材料。
【請求項8】
前記カチオン性化合物が、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含む、請求項7に記載の繊維材料。
【請求項9】
前記カチオン性化合物が、1つ以上の第四級アンモニウム基を含むポリマーである、請求項1に記載の繊維材料。
【請求項10】
前記ポリマーが、ジシアンジアミド、ホルムアルデヒド、塩化アンモニウムポリマーである、請求項9に記載の繊維材料。
【請求項11】
前記カチオン性化合物の乾燥アドオンが、前記乾燥繊維重量の最大約20%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項12】
前記カチオン性化合物の前記乾燥アドオンが、前記乾燥繊維重量の最大約10%である、請求項11に記載の繊維材料。
【請求項13】
前記繊維材料が、カルボキシメチルセルロースを実質的に含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項14】
前記繊維材料が、アルコール、塩基、第四級アンモニウム化合物及びポリマー又は樹脂のうちの1つ以上でさらに処理される、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項15】
前記繊維材料が、第四級アンモニウム化合物及びカーボネート又はバイカーボネート塩基のうちの1つ以上でさらに処理される、請求項14に記載の繊維材料。
【請求項16】
前記繊維材料が、カチオン性化合物で未処理の同じ繊維材料と比較して、第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を示す、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項17】
前記繊維材料が、塩化ベンザルコニウム溶液の紫外線スペクトルによって決定されるように、1000ppmの濃度の塩化ベンザルコニウム溶液中に前記繊維材料を室温で5分間浸漬した後の塩化ベンザルコニウム溶液中の40%を超える第四級アンモニウム化合物の保持を特徴とする、請求項16に記載の繊維材料。
【請求項18】
前記複数の繊維が、ビスコース、アセテート、レーヨン、リヨセル、綿、靭皮繊維及びそれらのブレンドからなる群から選択される天然又は合成セルロース系繊維を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項19】
前記繊維材料が、少なくとも約5重量%の量の靭皮繊維を含む、請求項18に記載の繊維材料。
【請求項20】
前記靭皮繊維が、ケナフ、イラクサ、スパニッシュブルーム、ジュート、竹、ラミー、麻、亜麻及びそれらのブレンドからなる群から選択される、請求項19に記載の繊維材料。
【請求項21】
前記繊維材料が、織布地、ニット若しくは不織布地又は前記布地のうちの2つ以上の複合体から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項22】
前記繊維材料が、マット、バット、ベール、タフト、ボウル、ボール及び束からなる群から選択されるバルク繊維形態であり、又はワイプ若しくはワイピングクロス、医療製品、健康及びウェルネス製品及び創傷ケア製品からなる群から選択される製品形態である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項23】
第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を繊維材料に付与するための方法であって、
(a)複数の繊維を含む繊維材料を提供することであって、前記繊維が、天然若しくは合成セルロース系繊維又は天然若しくは合成タンパク質繊維である、繊維材料を提供することと、
(b)任意に、前記繊維材料を塩基で前処理することと、
(c)前記繊維材料を少なくとも1つのカチオン性化合物で処理して、第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を付与することと、
(d)任意に、前記処理された繊維材料をポリマー又は樹脂でさらに処理することと、
を含む、方法。
【請求項24】
処理(c)が、0.1%~最大約40%wofの濃度で前記カチオン性化合物を含む処理液で前記繊維材料を処理することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
処理(c)が、少なくとも20%wofの濃度で前記カチオン性化合物を含む処理液で前記繊維材料を処理することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記繊維材料を少なくとも1つのカチオン性化合物で処理することが、前記繊維材料を、前記少なくとも1つのカチオン性化合物を含有する水溶液、スラリー、固体又はイオン液体で処理することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記カチオン性化合物が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び遷移金属又は遷移後金属の塩のリストから選択される、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記カチオン性化合物が、アルミニウム、銅、亜鉛、マンガン又は鉄の塩である、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記カチオン性化合物が、スルフェート、サルファイト、アセテート、カーボネート、塩化物、水酸化物、ホスフェート及びニトレートからなる群から選択される塩である、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記カチオン性化合物がアルミニウム塩である、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記アルミニウム塩が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム及び酢酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記カチオン性化合物が、イミダゾリウム、アンモニウム、ピロリジニウム、ピリジニウム及びホスホニウムからなる群から選択されるカチオンを含むイオン液体である、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記カチオン性化合物が、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記カチオン性化合物が、1つ以上の第四級アンモニウム基を含むポリマーである、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ポリマーが、ジシアンジアミド、ホルムアルデヒド、塩化アンモニウムポリマーである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記繊維材料が、カルボキシメチルセルロースを実質的に含まない、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記前処理(b)が、前記繊維材料をカーボネート又はバイカーボネートの塩基で処理することを含む、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記繊維材料が、前記カチオン性化合物で処理する前にアルコールでさらに処理される、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記アルコールが、エタノール又はイソプロピルアルコールである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記繊維材料が、少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物でさらに処理される、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記繊維材料が、前記少なくとも1つのカチオン性化合物及び前記少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物で同時に処理される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記カチオン性化合物で処理する前に、前記繊維材料を機械的又は化学的に処理して表面不純物を除去することをさらに含む、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記ポリマー又は樹脂が、液体中に分散している、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ポリマー又は樹脂が、ポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステル又はコ-ポリエステル、芳香族ポリエステル又はコ-ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ-e-カプロラクトン、熱可塑性デンプン、修飾デンプン、タンパク質又はキトサンである、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記繊維材料が不織布材料である、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
(a)ロール中に前記不織布材料を提供することと、
(b)前記カチオン性化合物が前記不織布材料と接触するように、前記カチオン性化合物を含む液体を含有するコーティングトレイを通して前記ロールから前記不織布材料を供給することと、
(c)前記不織布材料をカレンダ加工して過剰な液体を除去することと、
(d)前記不織布材料内の液体ホールドアップを減少させるために前記不織布材料を乾燥させて、処理された不織布材料を形成することと、
(e)任意に、前記処理された不織布材料をロール形態に巻き戻すことと、
を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記カチオン性化合物が、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド又はジシアンジアミド、ホルムアルデヒド、アンモニウムクロリドポリマーである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記液体中のカチオン性化合物の濃度が、前記液体の総重量に基づいて、約0.5%~約10重量%である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記処理された不織布材料中のカチオン性化合物の前記乾燥アドオンが、前記乾燥繊維重量の最大約20%である、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記不織布材料及び前記処理された不織布材料が、カルボキシメチルセルロースを実質的に含まない、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記不織布材料が、少なくとも約5重量%の靭皮繊維を含む、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース系繊維の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
植物から供給されるセルロース系繊維は、伝統的なテキスタイル織物及びニット布地の両方、並びに不織テキスタイルを生成するために長い間使用されてきた。一般に、天然セルロース系繊維は、3つの基本的なタイプ:綿及びカポックなどの種繊維、アバカ及びサイザルなどの葉繊維並びに亜麻、麻、ジュート及びケナフなどの靭皮繊維である。種繊維は、柔軟性が知られており、綿繊維の長さと組み合わせて、特に衣料用の糸及び布地の製造に非常に望まれている。靭皮及び葉の繊維は、一般に、より粗くて堅いため、歴史的に、縄索、網製品及びマット材料のためにより多く使用される傾向があった。
【0003】
化学的タンパク質繊維である動物の毛及び繊維、並びに絹と共に、天然に存在するセルロース系繊維は、何世紀にもわたってテキスタイル加工のための繊維の供給源であった。そして、それらの世紀を通して、テキスタイル及び繊維の開発は、新しい若しくは増強された特性を提供するために、又は加工効率を改善するためにこれらの材料を修飾するという要望によって動機付けられてきた。この多くは、繊維特性を改善するために繊維加工又は畜産を改善するための機械的手段に依存していたが、染色などによる繊維の審美性、及び天然繊維の表面に関連する特定の化学物質を除去するための精練又はレッティングなどによる柔軟性を改善するために化学も使用された。
【0004】
天然繊維で実現可能であったものを超える特性及び経済性を有する繊維の必要性及び科学的関心の両方が依然として存在した。1846年のレーヨンの発明は、合成繊維開発の始まりとなった。本発明のプロンプトとして自然を使用して、再生セルロースであるレーヨンは、絹繊維のより費用効果の高い代替物であるように開発された。1900年には、石油化学製品に基づく合成繊維の開発により、いくつかの主要な例を挙げると、ポリアミド、ポリエステル、ポリアラミド及びポリオレフィン繊維のような産業変化の発明がもたらされた。ポリマー化学に特有の特性を有する合成繊維のリストは、人間産業の全範囲にわたって一般的に使用される繊維系材料の拡大を裏付けている。それに伴い、何世紀にもわたって使用されてきたテキスタイルタイプの製品、並びに20世紀及び21世紀の技術需要によって生み出された新しい製品が改善されている。
【0005】
合成繊維及び天然繊維の開発は、それらの繊維を利用して生成された製品のための拡張的な設計オプションを提供してきたが、繊維の物理的性能に悪影響を与えることなくそれらの繊維の表面活性を有利に変えるそれらの繊維の表面の修飾の必要性及び関心が依然としてある。例えば、セルロース系繊維は、それらの繊維に由来する製品に消毒機能を提供するために使用される第四級アンモニウム化合物と適合しない。さらに、セルロース系繊維は、特に可燃性であり、特定の表面処理がこれらの繊維の難燃性を高めることが知られている。しかしながら、歴史的に注目されている繊維用の難燃性処理化学物質の多くは、環境及び健康に悪影響を及ぼすことが知られており、したがって、繊維化学及びユーザの健康の両方に適合する化学物質は、業界において価値がある。
【0006】
したがって、当技術分野では、そのように処理された繊維の物理的又は審美的特性に悪影響を及ぼさない化学的表面処理を用いて特定の繊維に複数の性能特徴を付与する手段が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の特定の実施形態の態様では、天然又は合成セルロース系繊維及びこれらの繊維を一部に使用して製造された製品は、単繊維成分として、又は他の合成若しくは天然繊維とのブレンドとして、処理されたセルロース系繊維の表面活性を変えるカチオン性化合物溶液で処理され得る。本発明のさらなる態様では、処理は、特定の実施形態では、水及び洗剤洗浄によるすすぎに対する耐久性がある。
【0008】
本発明の特定の実施形態のさらなる態様では、処理されたセルロース系繊維のそのような修飾された表面化学は、処理カチオンが、例えば、ミョウバン又は酢酸アルミニウムである場合に収斂剤として作用するなど、望ましい官能基として現れ得る。そのような効果は、限定されないが、血管収縮を促進することによって血液凝固を助長するなど、皮膚又は創傷と接触したときにそれらの繊維から生成される繊維及び生成物に特定の好都合な機能を提供する。
【0009】
本発明の特定の実施形態のさらなる態様は、そのように処理されたセルロース系繊維の表面活性が、それらの繊維と第四級アンモニウム化合物(QAC)との相溶性を高めることである。靭皮繊維を含む未処理の天然又は合成セルロース系繊維は、QACと負に反応し、QACの殺菌効果を中和する。本開示の特定の実施形態の処理された繊維及びそれらの繊維から生成された製品は、そのような機能が、製品が接触する表面を消毒する目的で製品をワイピングするのに有用である場合、QACの消毒機能が実質的に影響されないことを可能にする。
【0010】
靭皮繊維は、よく知られたセルロース系繊維であり、種々の製品に使用されているが、機械的又は化学的手段によってこれらの繊維にクリンプを課すことは、クリンプされた靭皮繊維から製造された製品に一定の審美的及び性能上の利点を有することが発見されている。したがって、本発明の特定の実施形態の一態様では、靭皮繊維が利用される場合、これらの靭皮繊維は、カチオン性化合物処理の前又は後のいずれかにクリンプを課すように処理されている。そのような靭皮繊維には、ケナフ、イラクサ、スパニッシュブルーム、竹、ラミー、麻及び亜麻が含まれるが、これらに限定されない。クリンプを課すための手段は、化学的又は機械的であってもよい。
【0011】
本発明の特定の実施形態のさらなる態様は、記載された靭皮繊維が、植物源から回収されるときに個々の繊維を束にして一緒に接着する天然ペクチンが、不織布地を生成するための不織布地形成工程において使用されるときに靭皮繊維が個別化されるのに十分な程度で除去されるように処理されていることである。
【0012】
本発明の特定の実施形態のさらなる態様では、カチオン性化合物処理を使用して、動物の毛、ファー又は羊毛、絹(クモなどの様々な昆虫又はクモ類によって生成された絹及び合成絹を含む)を含むがこれらに限定されない天然又は合成タンパク質繊維の表面化学又は表面挙動も修飾し得る。
【0013】
本発明の特定の実施形態の製品は、そのようなベール、ボウル、ボール、タフト、マット、バット及びウェブのバルク形態の繊維、並びに製織、編み、編組及び不織布を含むよく知られた手段から生成された単一の布地を含み得るがこれらに限定されない。不織布という用語は、限定するものではないが、ウェットレイド、エアレイド、熱結合、化学結合及び接着結合を含むがこれらに限定されない関連する結合手段を有するドライレイドを含むがこれらに限定されない種々の布地形成技術を包含すると理解される。本発明は、1つ以上の成分を含み得る複合体及び複合生成物構築物を想定する。これらの複合体及び複合生成物構築物において、複数の成分が、本明細書中にリストされる2つ以上のタイプの組成物又は構築物から取り出され得る。
【0014】
特定の実施形態では、本発明は、そのように処理された繊維に特定の機能性を付与するカチオン性化合物によるセルロース系繊維の表面処理に関する。より具体的には、本発明は、ミョウバン又は酢酸アルミニウムで処理され、それによって繊維及びこれらの繊維を含有する製品に収斂機能を提供するセルロース系繊維に関し、そのような機能は、特定のスキンケア及び創傷ケア製品に有用であり得る。特定の他の利点は、第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性などのカチオン性化合物溶液によるセルロース系繊維の処理に関連し、特定の実施形態では、これらの繊維を用いて作製された繊維及び製品に消毒機能を提供し、場合によってはある程度の難燃性を提供する。タンパク質繊維は、同じタイプのカチオン性化合物溶液表面処理に関連する同様の官能化を示すことが見出されている。
【0015】
本開示は、以下の実施形態を含むがこれらに限定されない。
【0016】
実施形態1:複数の繊維を含む繊維材料であって、前記繊維が天然若しくは合成セルロース系繊維又は天然若しくは合成タンパク質繊維であり、前記繊維がカチオン性化合物及びアルコールのうちの1つ以上で処理されている、繊維材料。
【0017】
実施形態2:処理された繊維が、処理前の繊維と比較して、改善された収斂特性、第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性及び改善された難燃性のうちの1つ以上を示す、実施形態1に記載の繊維材料。
【0018】
実施形態3:カチオン性化合物処理が、繊維重量の最大20%のカチオン性化合物の乾燥アドオンを提供する、実施形態1又は2に記載の繊維材料。
【0019】
実施形態4:カチオン性化合物が溶液の形態であり、カチオン性化合物の濃度が、溶液の総重量に基づいて、少なくとも0.0001重量%及びカチオン性化合物の飽和限界まで、又は最大99.99重量%である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0020】
実施形態5:カチオン性化合物が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、並びにアルミニウム、銅、亜鉛、マンガン及び鉄などの遷移金属又は遷移後金属の塩のリストから選択される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0021】
実施形態6:カチオン性化合物が、スルフェート、サルファイト、アセテート、カーボネート、塩化物、水酸化物、ホスフェート及びニトレートからなる群から選択される塩である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0022】
実施形態7:カチオン性化合物がアルカリ塩であり、水に溶解したときに、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム又は炭酸カルシウムなどの塩基性溶液を生成する、実施形態1~6のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0023】
実施形態8:カチオン性化合物が酸性塩であり、水に溶解したときに、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、又は塩化アンモニウムなどの酸性溶液を生成する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0024】
実施形態9:カチオン性化合物が中性塩であり、水に溶解したときに、塩化ナトリウムなどの塩基性溶液も酸性溶液も生成しない、実施形態1~8のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0025】
実施形態10:カチオン性化合物が第四級アンモニウム化合物である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0026】
実施形態11:前記第四級アンモニウム化合物が、構造NR の正に帯電した多原子イオンを有し、各Rが、水素、アルキル基及びアリール基、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セタルコニウム、塩化セチルピリジニウム、セトリモニウム、セトリミド、塩化ドファニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム及び臭化ドミフェンからなる群から独立して選択される、実施形態1~10のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0027】
実施形態12:カチオン性化合物が界面活性剤である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0028】
実施形態13:界面活性剤が、第一級、第二級又は第三級アミンなどのカチオン性頭部基を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0029】
実施形態14:カチオン性化合物が、ミョウバン又は酢酸アルミニウムを含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0030】
実施形態15:複数の繊維がアルコールで前処理され、続いてカチオン性化合物処理される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0031】
実施形態16:アルコールがエタノールである、実施形態1~15のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0032】
実施形態17:複数の繊維がポリマー又は樹脂で後処理される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0033】
実施形態18:ポリマー又は樹脂が、石油又は再生可能資源のいずれか、例えば、ポリヒドロキシアルカノエート(例えば、PHB)、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリブチレンサクシデート)及びコポリエステル、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンアジペートテレフタレート)及びコポリエステル、ポリエステルアミド、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ-e-カプロラクトン、熱可塑性デンプン、修飾デンプン、タンパク質並びにキトサンに由来する、実施形態1~17のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0034】
実施形態19:ポリマー又は樹脂が、水などの液体に分散している、実施形態1~18のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0035】
実施形態20:ポリマー又は樹脂が、熱可塑性又は熱硬化性のいずれかである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0036】
実施形態21:複数の繊維が、ビスコース、アセテート、レーヨン、リヨセル及び綿からなる群から選択される天然又は合成セルロース系繊維である、実施形態1~20のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0037】
実施形態22:複数の繊維が、2つ以上の繊維タイプのブレンドである、実施形態1~21のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0038】
実施形態23:繊維ブレンドが、5重量%~100重量%の天然又は合成セルロース系繊維である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0039】
実施形態24:繊維ブレンドが、非セルロース系繊維である最大95重量%の天然繊維又は合成繊維を含有し得る、実施形態1~23のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0040】
実施形態25:複数の繊維が、約1mmを超える平均長さを有する、実施形態1~24のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0041】
実施形態26:複数の繊維が、カチオン性化合物で処理する前に表面不純物を除去するために、機械的又は化学的に処理されている、実施形態1~25のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0042】
実施形態27:前記カチオン性化合物がミョウバンを含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0043】
実施形態28:ミョウバンが硫酸アルミニウムカリウムである、実施形態1~27のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0044】
実施形態29:繊維材料が、織布、ニット若しくは不織布地又は前記布地のうちの2つ以上の複合体から選択される、実施形態1~28のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0045】
実施形態30:繊維材料が、マット、バット、ベール、タフト、ボウル、ボール及び束からなる群から選択されるバルク繊維形態である、実施形態1~29のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0046】
実施形態31:繊維材料が、2つ以上の成分の複合体の形態であり、各成分が、複数の繊維又は布地の形態であり得る、実施形態1~30のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0047】
実施形態32:繊維材料が、ワイプ又はワイピングクロス、医療製品、健康及びウェルネス製品並びに創傷ケア製品からなる群から選択される、実施形態1~31のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0048】
実施形態33:カチオン性化合物の存在が、複数の繊維の水リンス及び洗剤洗浄に対する耐久性がある、実施形態1~32のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0049】
実施形態34:天然又は合成セルロース系繊維が、少なくとも約5重量%の靭皮繊維を含み、前記靭皮繊維が化学的又は機械的にクリンプされている、実施形態1~33のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0050】
実施形態35:繊維材料が、ビスコース、アセテート、レーヨン、リヨセル、綿、亜麻、麻、ジュート、ラミー、竹、イラクサ、スパニッシュブルーム、ケナフ植物を含むがこれらに限定されない1つ以上の天然又は合成セルロース系繊維とブレンドされ、前記靭皮繊維の含有量が少なくとも5重量%である、実施形態1~34のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0051】
実施形態36:繊維材料が、非セルロース性である1つ以上の天然又は合成繊維とブレンドされ、前記靭皮繊維の含有量が少なくとも5重量%である、実施形態1~35のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0052】
実施形態37:天然又は合成タンパク質繊維が、動物の毛、ウール、ファー及びシルクからなる群から選択される、実施形態1~36のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0053】
実施形態38:天然又は合成セルロース系繊維が、リグノセルロース系繊維、例えば、約0.001重量%~約50重量%のリグニン濃度を有する繊維である、実施形態1~37のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0054】
実施形態39:繊維材料に第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を付与するための方法であって、繊維が天然若しくは合成セルロース系繊維又は天然若しくは合成タンパク質繊維である、複数の繊維を含む繊維材料を提供することと、繊維材料をカチオン性化合物及びアルコールのうちの1つ以上で処理して、第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を付与することと、任意に、処理された繊維材料をポリマー又は樹脂でさらに処理することと、を含む、方法。
【0055】
実施形態40:処理ステップが、繊維重量の最大20%のカチオン性化合物の乾燥アドオンを提供する、実施形態39に記載の方法。
【0056】
実施形態41:カチオン性化合物が溶液の形態であり、カチオン性化合物の濃度が少なくとも0.0001重量%であり、カチオン性化合物の飽和限界までである、実施形態39又は40に記載の方法。
【0057】
実施形態42:カチオン性化合物がアルカリ塩であり、水に溶解したときに、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム又は炭酸カルシウムなどの塩基性溶液を生成する、実施形態39~41のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
実施形態43:塩基性溶液のpHが、前記処理ステップの前又は間に約7~約12に調整される、実施形態39~42のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
実施形態44:カチオン性化合物が酸性塩であり、水に溶解したときに、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム又は塩化アンモニウムなどの酸性溶液を生成する、実施形態39~43のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
実施形態45:酸性溶液のpHが、前記処理ステップの前又は間に約4~約7に調整される、実施形態39~44のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
実施形態46:カチオン性化合物が中性塩であり、水に溶解したときに、塩化ナトリウムなどの塩基性溶液も酸性溶液も生成しない、実施形態39~45のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施形態47:溶液のpHが、前記処理ステップの前又は間に約5~約9に調整される、実施形態39~46のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
実施形態48:処理ステップ(b)が、最初に繊維材料をアルコールで処理し、次いで繊維材料をカチオン性化合物で処理することを含む、実施形態39~47のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態49:カチオン性化合物が、カチオン性界面活性剤、第四級アンモニウム化合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩並びにアルミニウム、銅、亜鉛、マンガン及び鉄の塩からなる群から選択される、実施形態39~48のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態50:複数の繊維を含む繊維材料であって、前記繊維が、天然若しくは合成セルロース系繊維又は天然若しくは合成タンパク質繊維であり、前記繊維が、少なくとも1つのカチオン性化合物で処理されている、繊維材料。
【0066】
実施形態51:カチオン性化合物が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属又は遷移後金属の塩及びイオン液体のリストから選択される、実施形態50に記載の繊維材料。
【0067】
実施形態52:カチオン性化合物が、アルミニウム、銅、亜鉛、マンガン又は鉄の塩である、実施形態50又は51に記載の繊維材料。
【0068】
実施形態53:カチオン性化合物が、スルフェート、サルファイト、アセテート、カーボネート、塩化物、水酸化物、ホスフェート及びニトレートからなる群から選択される塩である、実施形態50~52のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0069】
実施形態54:カチオン性化合物がアルミニウム塩である、実施形態50~53のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0070】
実施形態55:アルミニウム塩が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム及び酢酸アルミニウムからなる群から選択される、実施形態50~54のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0071】
実施形態56:カチオン性化合物が、イミダゾリウム、アンモニウム、ピロリジニウム、ピリジニウム及びホスホニウムからなる群から選択されるカチオンを含むイオン液体である、実施形態50~55のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0072】
実施形態57:カチオン性化合物が、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含む、実施形態50~56のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0073】
実施形態58:カチオン性化合物が、1つ以上の第四級アンモニウム基を含むポリマー(オリゴマー及びコポリマーを含む)である、実施形態50~57のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0074】
実施形態59:ポリマーが、ジシアンジアミド、ホルムアルデヒド、塩化アンモニウムのポリマーである、実施形態50~58のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0075】
実施形態60:カチオン性化合物の乾燥アドオンが、乾燥繊維重量の最大約20%である、実施形態50~59のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0076】
実施形態61:カチオン性化合物の乾燥アドオンが、乾燥繊維重量の最大約10%(最大約5%、又は最大約2.5%、又は最大約1.0%、又は最大約0.5%など)である、実施形態50~60のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0077】
実施形態62:繊維材料が、カルボキシメチルセルロースを実質的に(又は完全に)含まない、実施形態50~61のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0078】
実施形態63:繊維材料が、アルコール、塩基、第四級アンモニウム化合物及びポリマー又は樹脂のうちの1つ以上でさらに処理される、実施形態50~62のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0079】
実施形態64:繊維材料が、第四級アンモニウム化合物及びカーボネート又はバイカーボネート塩基のうちの1つ以上でさらに処理される、実施形態50~63のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0080】
実施形態65:繊維材料が、カチオン性化合物で未処理の同じ繊維材料と比較して、第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を示す、実施形態50~64のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0081】
実施形態66:繊維材料が、塩化ベンザルコニウム溶液の紫外線スペクトルによって決定されるように、1000ppmの濃度の塩化ベンザルコニウム溶液中に室温で5分間繊維材料を浸漬した後の塩化ベンザルコニウム溶液中の40%を超える(又は50%又は60%又は70%又は80%又は90%)第四級アンモニウム化合物の保持を特徴とする、実施形態50~65のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0082】
実施形態67:複数の繊維が、ビスコース、アセテート、レーヨン、リヨセル、コットン、靭皮繊維及びそれらのブレンドからなる群から選択される天然又は合成セルロース系繊維を含む、実施形態50~66のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0083】
実施形態68:繊維材料が、繊維材料の総乾燥重量に基づいて、少なくとも約5重量%(例えば、少なくとも約10%又は20%又は30%又は40%又は50%又は60%又は70%又は80%又は90%)の量の靭皮繊維を含む、実施形態50~67のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0084】
実施形態69:靭皮繊維が、ケナフ、イラクサ、スパニッシュブルーム、ジュート、竹、ラミー、麻、亜麻及びそれらのブレンドからなる群から選択される、実施形態50~68のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0085】
実施形態70:繊維材料が、織布、ニット若しくは不織布地又は前記布地のうちの2つ以上の複合体から選択される、実施形態50~69のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0086】
実施形態71:繊維材料が、マット、バット、ベール、タフト、ボウル、ボール及び束からなる群から選択されるバルク繊維形態であり、又はワイプ若しくはワイピングクロス、医療製品、健康及びウェルネス製品、並びに創傷ケア製品からなる群から選択される製品形態である、実施形態50~70のいずれか1つに記載の繊維材料。
【0087】
実施形態72:繊維材料に第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を付与するための方法であって、繊維が天然若しくは合成セルロース系繊維又は天然若しくは合成タンパク質繊維である、複数の繊維を含む繊維材料を提供することと、任意に、繊維材料を塩基で前処理することと、繊維材料を少なくとも1つのカチオン性化合物で処理して、第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を付与することと、任意に、処理された繊維材料をポリマー又は樹脂でさらに処理することと、を含む、方法。
【0088】
実施形態73:カチオン性化合物で処理することが、0.1%~最大約40%wof(例えば、約5%~約30%又は約10%~約25%)の濃度のカチオン性化合物を含む処理液で繊維材料を処理することを含む、実施形態72に記載の方法。
【0089】
実施形態74:少なくとも20%wof(又は少なくとも25%又は少なくとも30%又は少なくとも35%又は少なくとも40%)の濃度のカチオン性化合物を含む処理液で繊維材料を処理することを含む、実施形態72又は73に記載の方法。
【0090】
実施形態75:少なくとも1つのカチオン性化合物で繊維材料を処理することが、少なくとも1つのカチオン性化合物を含む水溶液、スラリー、固体又はイオン液体で繊維材料を処理することを含む、実施形態72~74のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態76:カチオン性化合物が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び遷移金属又は遷移後金属の塩のリストから選択される、実施形態72~75のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
実施形態77:カチオン性化合物が、アルミニウム、銅、亜鉛、マンガン又は鉄の塩である、実施形態72~76のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態78:カチオン性化合物が、スルフェート、サルファイト、アセテート、カーボネート、塩化物、水酸化物、ホスフェート及びニトレートからなる群から選択される塩である、実施形態72~77のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
実施形態79:カチオン性化合物がアルミニウム塩である、実施形態72~78のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
実施形態80:アルミニウム塩が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム及び酢酸アルミニウムからなる群から選択される、実施形態72~79のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態81:カチオン性化合物が、イミダゾリウム、アンモニウム、ピロリジニウム、ピリジニウム及びホスホニウムからなる群から選択されるカチオンを含むイオン液体である、実施形態72~80のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
実施形態82:カチオン性化合物が、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含む、実施形態72~81のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
実施形態83:カチオン性化合物が、1つ以上の第四級アンモニウム基を含むポリマー(オリゴマー及びコポリマーを含む)である、実施形態72~82のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
実施形態84:ポリマーが、ジシアンジアミド、ホルムアルデヒド、塩化アンモニウムのポリマーである、実施形態72~83のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
実施形態85:繊維材料が、カルボキシメチルセルロースを実質的に含まない(又は完全に含まない)、実施形態72~84のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
実施形態86:前処理(b)が、繊維材料をカーボネート又はバイカーボネート塩基で処理することを含む、実施形態72~85のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施形態87:繊維材料が、カチオン性化合物で処理する前にアルコールでさらに処理される、実施形態72~86のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
実施形態88:アルコールが、エタノール又はイソプロピルアルコールである、実施形態72~87のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
実施形態89:繊維材料が、少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物でさらに処理される、実施形態72~88のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
実施形態90:繊維材料が、少なくとも1つのカチオン性化合物及び少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物で同時に処理される、実施形態72~89のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
実施形態91:カチオン性化合物で処理する前に、繊維材料を機械的又は化学的に処理して表面不純物を除去することをさらに含む、実施形態72~90のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
実施形態92:ポリマー又は樹脂が液体中に分散している、実施形態72~91のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
実施形態93:ポリマー又は樹脂が、ポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステル若しくはコポリエステル、芳香族ポリエステル若しくはコポリエステル、ポリエステルアミド、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ-e-カプロラクトン、熱可塑性デンプン、修飾デンプン、タンパク質又はキトサンである、実施形態72~92のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
実施形態94:繊維材料が不織布材料である、実施形態72~93のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態95:ロール中に不織布材料を提供することと、カチオン性化合物が不織布材料と接触するように、カチオン性化合物を含む液体を含有するコーティングトレイを通してロールから不織布材料を供給することと、不織布材料をカレンダ加工して過剰な液体を除去することと、不織布材料内の液体ホールドアップを減少させるために不織布材料を乾燥させて、処理された不織布材料を形成することと、任意に、処理された不織布材料をロール形態に巻き戻すことと、を含む、実施形態72~94のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施形態96:カチオン性化合物が、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド又はジシアンジアミド、ホルムアルデヒド、塩化アンモニウムポリマーである、実施形態72~95のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
実施形態97:液体中のカチオン性化合物の濃度が、液体の総重量に基づいて、約0.5重量%~約10重量%(例えば、約0.5%~約5%又は約1%~約4%又は約5%未満又は約4%未満)である、実施形態72~96のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
実施形態98:処理された不織布材料中のカチオン性化合物の乾燥アドオンが、乾燥繊維重量の最大約20%(最大約15%又は最大約10%又は最大約5%など)である、実施形態72~97のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
実施形態99:不織布材料及び処理された不織布材料が、カルボキシメチルセルロースを実質的に含まない(又は完全に含まない)、実施形態72~98のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施形態100:不織布材料が、少なくとも約5重量%の靭皮繊維(例えば、少なくとも約10%又は20%又は30%又は40%又は50%又は60%又は70%又は80%又は90%)を含む、実施形態72~99のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本発明は、そのような特徴又は要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされているかどうかにかかわらず、上述の実施形態のうちの2つ、3つ、4つ又はそれ以上の任意の組み合わせ、並びに本開示に記載の任意の2つ、3つ、4つ又はそれ以上の特徴又は要素の組み合わせを含む。本開示は、その様々な態様及び実施形態のいずれかにおいて、開示された発明の任意の分離可能な特徴又は要素が、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、組み合わせ可能であることが意図されていると見なされるべきであるように、全体的に読まれることが意図されている。本発明の他の態様及び利点は、以下から明らかになるであろう。
【0117】
本発明の実施形態の理解を提供するために、添付の図面を参照する。図面は、例示にすぎず、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載の開示は、例として示されており、添付の図面に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1】実施例1で試験された様々な繊維の残存QACパーセンテージを示すグラフである。
図2】実施例2で試験した様々な繊維の残存QACパーセンテージを示すグラフである。
図3】実施例3で試験した様々な繊維の残存QACパーセンテージを示すグラフである。
図4】実施例4で試験した様々な繊維の残存QACパーセンテージを示すグラフである。
図5】実施例5で試験した様々な繊維の残存QACパーセンテージを示すグラフである。
図6】実施例6で試験した様々な繊維の残存QACパーセンテージを示すグラフである。
図7】実施例7で試験した様々な繊維の残存QACパーセンテージを示すグラフである。
図8】実施例8で試験した様々な繊維の残存QACパーセンテージを示すグラフである。
図9】実施例9で試験した様々な繊維の残存QACパーセンテージを示すグラフである。
図10】実施例10で試験した様々な繊維の残存QACパーセンテージを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0119】
定義
以下の定義は、本発明の特許請求の範囲及び明細書の解釈に使用するために提示される。「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、「含む(including)」、「含むがこれらに限定されない(including but not limited to)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」などの用語は、特許請求される発明に関連して限定的又は排他的であると見なされるべきではない。「A」及び「an」は、要素又は構成要素に先行するときに指示列挙と見なされない。「発明」、「本発明(present invention)」又は「本発明(instant invention)」という用語は、限定的な用語ではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載及び論じられたすべての態様を伝え、組み込むために使用される。量の修飾語として使用される「約」という用語は、テキスタイル科学及び工学の分野の当業者に知られているように、測定及び取り扱い手順において生じることが知られており、理解されているような変形を指す。技術用語及び参考文献の追加の定義を以下に示す。
【0120】
セルロース系及びセルロース系繊維は、セルロースの化学的エーテル又はエステルである天然繊維又は合成繊維を指す。そのような天然繊維は、植物の樹皮、木材、葉、茎又は種子から得られる。合成セルロース系繊維は、消化された木材パルプから製造され、これらの繊維に特定の特性を与えるセルロース分子への置換側基を含み得る。
【0121】
靭皮繊維は、ジュート、ケナフ、亜麻、麻及びラミーを含むがこれらに限定されない、特定の植物の茎からの師部又は靭皮から得られる。靭皮繊維は、初期に個々の繊維の束として回収され、ペクチンによって接着され、その後、靭皮繊維がさらに加工されることを可能にするためにある程度除去されなければならない。
【0122】
クリンプは、繊維のうねりの自然発生的なより、又は合成繊維のクリンピングなどの化学的若しくは機械的手段によって誘発される同じ特性である。特定の周波数へのクリンプの付与は、繊維長さの単位当たりのクリンプの数によって定義される。
【0123】
天然繊維は、植物、動物又は鉱物から直接供給されるものであり、そのような繊維は、繊維をテキスタイル製造目的に有用にするために特定の前処理を必要とし得ることに留意されたい。合成繊維は、天然に存在し、持続可能に供給される原料又は石油由来の原料を使用して、重合工程によって生成されるものである。
【0124】
ステープル繊維は、不連続な長さを有する繊維であり、天然繊維又は合成繊維であり得る。連続繊維は、絹又は特定の合成繊維紡糸工程からのものなど、長さを測定することが不確定又は困難である。任意の長さの繊維を別々の長さに切断し得、その切断された生成物は、ステープル繊維と呼ばれる。
【0125】
エアレイド(airlaid)は、エアレイド(air laid)と呼ばれることもあるが、短繊維又は長繊維のステープル繊維又はこれらのブレンドを使用して繊維マット又はバットを生成するための工程である。この工程では、空気を使用して、工程の繊維開口部及び整列セクションから繊維を移送し、次いで繊維マット又はバットが収集される成形表面にそれらの繊維を搬送し、次いで、エアレイド不織布地を生成するために結合又は圧密化のさらなるステップに供する。
【0126】
ドライレイドは、カーディングなどの機械的な繊維の開口及び整列を使用する工程によって繊維マット又はバットを生成するための方法であり、繊維マット又はバットは、空気によってではなく機械的手段によってコンベヤ表面に移送され、繊維マット又はバットは、次いで、結合又は圧密化してドライレイド不織布地を生成するさらなるステップに供される。
【0127】
ウェットレイド(wetlaid)は、ウェットレイド(wet laid)と呼ばれることもあるが、製紙と同様の手段によって繊維シートを生成するための方法であり、繊維は、水性媒体に懸濁され、ウェブは、コンベアベルト又は有孔ドラム上で懸濁液を濾過することによって形成される。最終用途及び布地を生成するために使用される繊維に応じて、布地の最終特性を実現するためにいくつかの結合又は圧密化手段が必要とされ得る。
【0128】
繊維マット又はバットの結合又は圧密化は、不織布地を生成するための様々な技術の中で一般的な加工ステップである。結合又は圧密化の手段は、一般的に、機械的、熱的又は接着性であると見なされ、これらの各項目の下にいくつかの別個の方法論が存在する。一般に、機械的手段は、所望の物理的特性を生成するために繊維間の絡み合いを作り出すことに依存し、ニードルパンチ及び水流交絡は、それらの手段の非排他的な例である。熱結合は、圧力の有無にかかわらず熱を加えると、熱可塑性材料が冷却されて固化したときに、繊維の一部が互いに軟化して変形し、並びに/又は交差する点で溶融して繊維間及び繊維同士に固体付着を形成するように、布地に含まれる少なくともいくつかの繊維の熱可塑性を使用する。接着剤は、いくつかの形態の接着剤の適用を使用して、交差する点で繊維間及び繊維同士の物理的結合を作り出すことを意味し、そのような手段は、液体接着剤、乾燥接着剤及びホットメルト接着剤を非排他的に含む。これらの接着剤は、スプレー及びフォームとして、又はディップアンドスクイーズ若しくはグラビアロールを含むが、これらに限定されない当技術分野で知られた方法によってマット又はバットに適用され得る。
【0129】
繊維又は布地に対する重量パーセンテージ(例えば、「%wof」として表される繊維の重量パーセンテージ)は、所与の固形成分の重量を繊維又は布地の総重量で割ったものであり、乾燥繊維又は布地の総重量のパーセンテージとして表される。
【0130】
強度対重量比は、布地についての正規化された引張強度値の式であり、布地の引張強度は、試料布地間若しくは試料布地同士又は布地の等級間の坪量差の影響なしに、同様の布地に対して考慮することができる。坪量のみが所与の布地についての引張強度値に影響を及ぼし得るので、強度対重量比は、そのメトリックの有用性の非排他的な例として、特定の繊維を含むこと又は工程パラメータの変化によってもたらされる布地の強度への影響の評価を可能にする。
【0131】
Loft(ロフト)は、布地についてのバルク及び弾力性の特性に依存している。技術的な用語では、バルクは密度の逆数であるが、一般的な使用では、バルクは単純な布地の厚さと同等である。弾性は、面荷重を印加した後の体積の損失を伴う永久圧縮に耐える布地の能力である。
【0132】
抗菌効果は、製品自体のバイオバーデンとして、又は製品が二次若しくは三次材料又は製品を洗浄若しくは消毒するために使用されるとして、細菌、ウイルス又は真菌の汚染を低減する製品の能力を考慮したものである。抗菌機能の特性は、種々の化学材料及び生化学材料を利用するいくつかの方法でテキスタイル布地に付与することができる。
【0133】
第四級アンモニウム化合物(QAC)は、利用可能な最も広く使用されている抗菌処理の1つであり、良好な安定性及び表面活性、低臭気及び他の洗浄剤との反応性、並びに良好な毒性結果を有する。QACは、ほとんどの細菌、並びにいくつかのウイルス形態及び特定の真菌に対して活性である。さらに、QACは、布地構造中の繊維の表面を含む表面に容易に適用され、そこでそれらの表面によって保持され、洗浄又は消毒の目的で繊維から他の表面に転写され得る。合成繊維表面は、QACと本質的に非反応性であることが知られているが、靭皮繊維を含むいくつかのセルロース系繊維はQACと反応し、それにより、それらの繊維がワイピング材料として意図された布地に使用される場合、殺菌剤及び洗浄剤としてのQACの有効性を低下させる。一般に、QACは、構造NR の正に帯電した多原子イオンを有し、各Rは、水素、アルキル基及びアリール基、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セタルコニウム、塩化セチルピリジニウム、セトリモニウム、セトリミド、塩化ドファニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム及び臭化ドミフェンからなる群から独立して選択される。
【0134】
カチオン性化合物は、本発明の目的のために、1つ以上のカチオン性基を特徴とし、化学構造中に少なくとも1つの正に帯電した基を有する任意の化学物質及びポリマー(オリゴマー及びコポリマーを含む)である。そのような化合物は、水溶液若しくはスラリー、固体又はイオン液体の形態を含む種々の形態で提供することができる。カチオン性化合物を含有する溶液の例には、ミョウバン溶液、酢酸アルミニウム溶液(例えば、アルミニウムエタノエート、アルミニウムトリアセテート、アルミニウムジアセテート、アルミニウムモノアセテートなど)、並びにポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(一般的に「PDDA」及び/又は「ポリDADMAC」及び/又は「ポリクオタニウム-6」と呼ばれる)が含まれるが、これらに限定されない。一般に、カチオン性処理材料は、全体として、少なくとも1つのカチオン性化合物が存在する限り、カチオン性又は中性であることを特徴とし得る。ミョウバンは、カチオン性化合物の一例であり、ミョウバンは、アルミニウムとカリウムとの水和二重スルフェートである。しかしながら、ミョウバン溶液は、典型的には、その中にAl3+カチオンが存在するにもかかわらず中性である。酢酸アルミニウムの溶液は、硫酸アルミニウム四水和物及び酢酸カルシウム一水和物の市販の粉末混合物から形成されるときがある。酢酸アルミニウムなどのいくつかのカチオン性化合物は、水への溶解度が限られているため、本発明を実施するために特定の水溶性レベルは、必要とされない。特定の実施形態では、カチオン性化合物は、消毒剤として使用するための本明細書に記載の任意のQACを含む、1つ以上の第四級アンモニウム基の存在を特徴とする。
【0135】
一般に、カチオン性化合物のタイプ及びそれらのカチオン性化合物を含有する溶液は、変動し得る。例えば、溶液は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、スルフェート、サルファイト、アセテート、カーボネート、塩化物、水酸化物、ホスフェート及びニトレート、並びにアルミニウム、銅、亜鉛、マンガン及び鉄の塩からなる群から選択されるカチオン性化合物を含有し得る。いくつかの実施形態では、溶液は、アルカリ塩であり、水に溶解したときに、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム又は炭酸カルシウムなどの塩基性溶液を生成するカチオン性化合物を含有し得る。いくつかの実施形態では、溶液は、酸性塩であり、水に溶解したときに、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム又は塩化アンモニウムなどの酸性溶液を生成するカチオン性化合物を含有し得る。いくつかの実施形態では、溶液は、中性塩であり、水に溶解したときに、塩化ナトリウムなどの塩基性溶液も酸性溶液も生成しないカチオン性化合物を含有し得る。いくつかの実施形態では、溶液は、カチオン性界面活性剤、例えば、第一級、第二級及び/又は第三級アミンなどのカチオン性頭部基を有する界面活性剤を含有し得る。いくつかの実施形態では、カチオン性化合物は、例えば、典型的には室温でイオン性及び液体(液体電解質、イオン性融液、イオン性流体又は液体塩としても知られている)であるイオン液体、例えば、イミダゾリウム、アンモニウム、ピロリジニウム、ピリジニウム及びホスホニウムを含むそのような液体のカチオンを含み得る。イオン液体は、ポリイオン液体、ポリクオタニウム、カチオン性ポリマー又はカチオン性高分子電解質としても知られる重合イオン液体を含むことができる。
【0136】
特定の実施形態では、カチオン性化合物は、正に帯電したポリマー(オリゴマー及びコポリマーを含む)の形態である。例えば、そのようなカチオン性ポリマーは、1つ以上の第四級アンモニウム基、又はイミダゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム若しくはホスホニウム基などの1つ以上の他のカチオンを含み得る。一実施形態では、カチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム基で修飾されたデンプンなどのカチオン性デンプンである。いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマーの数平均分子量は、約100~約500,000Daであり得る。特定の実施形態では、繊維材料全体にわたるポリマーの分散を高めるために、より低いポリマー分子量を利用することが有利であり得る。分子量の例示的な範囲は、約100,000Da未満、又は約75,000Da未満、又は約50,000Da未満、又は約10,000Da未満、又は約5,000Da未満(例えば、約100~約100,000Da若しくは約100Da~約50,000Da若しくは約100Da~約25,000Da)を含み得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、カチオン性化合物は、アミン(例えば、NR構造を含有するか、又はそれに由来し、各R基は、水素、アルキル又はアリールの任意の組み合わせである)、アミン誘導体、アミノ基、グアニジン、グアニジン誘導体、シアノグアニジン、シアノグアニジン誘導体、グアニジンシアノポリマー及び誘導体、塩化アンモニウムを含むグアニジンシアノポリマー、並びに塩化アンモニウム及びホルムアルデヒドを含むグアニジンシアノポリマーを含有するか、又はこれらに由来する任意の化学物質、ポリマー、コポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリアミン、ポリアミンのコポリマー、カチオン性ポリアミン、ポリアミド、ポリアミドのコポリマー又はカチオン性ポリアミドとして特徴付けることができる。特定の実施形態では、ポリマーは、ジメチルアミン-エピクロロヒドリンコポリマー又はポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド若しくはPHMBとしても知られる)である。カチオン性化合物の例は、LEVOGEN及びSUPERFLOCなどの商品名で、フィンランド、ヘルシンキのKemira Oyjから入手可能である。
【0138】
特定の一実施形態では、カチオン性化合物は、Kemira Oyjから入手可能なLEVOGENである。この化学物質は、CAS番号55295-98-2を有し、ジシアンジアミド(すなわち、シアノグアニジン)残基、ホルムアルデヒド残基及び塩化アンモニウム残基を含む正に帯電したコポリマーである。他の名称には、ジシアンジアミド、ホルムアルデヒド、塩化アンモニウムポリマー及びグアニジン、シアノ、塩化アンモニウム及びホルムアルデヒドを有するポリマーが含まれる。
【0139】
繊維系製品の難燃性は、化学剤又は仕上げ剤で処理されて、それらを火炎源が衝突したときの燃焼に耐えるようにするものである。
【0140】
収斂剤は、接触時に皮膚細胞又は顔の毛穴及び血管などの他の身体組織の収縮を引き起こす。一般に、収斂特性を有する繊維又は布地は、皮膚又は創傷と接触すると、限定されないが、血管収縮を促進することによって血液凝固を促進するなど、特定の好都合な機能を提供することができる。
【0141】
乾燥アドオンは、水分が除去され、処理された生成物が乾燥状態になった後に処理された材料上に残存する処理化学物質の残留量を表す用語である。それは、一例として、化学的処理のグラム/未処理の材料のグラム、処理後の添加重量のグラム、又は未処理の重量に基づいて増加した重量のパーセンテージとして表され得る。
【0142】
耐久性のある、又は耐久性は、前記繊維材料又は繊維系製品の単回使用後に非機能性でも不活性化でもないレベルまで枯渇しない繊維又は製品特性の修飾に関する。
【0143】
処理方法
本開示の一態様は、限定されないが、ミョウバン、酢酸アルミニウム及びPDDAなどのカチオン性化合物での処理を介するセルロース又はタンパク質繊維(及び布地などのそれらの繊維から形成された製品)の表面修飾に関する。上記のように、靭皮繊維を含む未処理の天然又は合成セルロース又はタンパク質繊維は、QACと負に反応し、QAC殺菌効果の少なくとも一部を中和する。しかしながら、そのような処理(例えば、カチオン性化合物を含有する溶液を用いて)は、そのように処理された繊維の表面活性又は反応性の変化を課す。本発明者らは、セルロース系繊維又はタンパク質繊維をQACで二次的に首尾よく処理する能力など、他の処理との改善された相溶性を含む、そのような処理に関連する特定の有利な特徴及び性能機能を実現した。例えば、特定の実施形態では、処理された繊維及びそれらの繊維から生成された製品は、QACの消毒機能が実質的に影響を受けないか、さらには改善されることを可能にする。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態は、特に繊維材料に第四級アンモニウム化合物(QAC)との改善された相溶性を付与するための方法に関する。例えば、そのような方法は、本明細書に記載の複数の繊維(例えば、天然又は合成セルロース系繊維、天然又は合成タンパク質繊維、靭皮繊維など)を含む繊維材料を提供することと、カチオン性化合物(例えば、ミョウバン、酢酸アルミニウム及び/又はPDDA)を含有する溶液で繊維材料を処理することと、を含み得る。繊維又は繊維を含有する製品を処理する手段は、例えば、カチオン性化合物を含有する溶液をキスロール若しくはグラビアロール(例えば、コーティングの形態で)、浸漬槽又はスプレーで適用し、その後にプレスロール又は真空ステップを行って過剰な水分を除去するなど、当技術分野で知られたものを含み得る。初期のプレスロール又は真空ボックスの前又は後のいずれかに水リンスを適用することも可能であり、水適用ステップに続いて追加の水分除去ステップが続く。処理は、繊維又は製品を使用のためのさらなる加工又は包装の準備ができるレベルまで水分を除去する乾燥ステップの前に、複数のすすぎ及び水分除去ステップを含み得る。いくつかの実施形態では、カチオン性化合物は、それらが湿潤形態である場合、本発明の繊維又は繊維系製品に固体としても適用され得る。
【0145】
カチオン性化合物は、様々な量で繊維又は繊維系製品に適用され得る。例えば、処理液(例えば、溶液又はスラリー)中のカチオン性化合物の濃度は変動し得る。例えば、カチオン性化合物を含有する溶液の濃度は、溶液の総重量に基づいて、少なくとも約0.0001重量%かつ最大約99.99重量%のカチオン性化合物であり得る。いくつかの実施形態では、カチオン性化合物を含有する溶液の濃度は、少なくとも約1重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%又は少なくとも約90重量%のカチオン性化合物であり得る。
【0146】
処理液中のカチオン性化合物の濃度は、%wofとして表すこともできる。例えば、繊維又は繊維系製品は、約0.1%~最大約10%wof、最大約20%wof、最大約30%wof又は最大約40%wofの濃度のカチオン性化合物で処理され得る。いくつかの実施形態では、例えば、繊維又は繊維系製品は、約1%~約50%wof、約10%~約40%wof又は約20%~約30%wofの濃度のカチオン性化合物で処理され得る。特定の実施形態では、カチオン性化合物の濃度は、少なくとも約1%wof、少なくとも約5%wof、少なくとも約10%wof、少なくとも約15%wof又は少なくとも約20%wofである。処理液内のカチオン性化合物への言及は、カチオン性化合物が化合物形態でのみ存在することを示唆しないことに留意されたい。カチオン性化合物は、処理液(例えば、水溶液)中で完全に、又は部分的にイオン化することができる。
【0147】
処理及び乾燥後の繊維構造内のカチオン性化合物の量は、乾燥アドオンと呼ばれることがあり、繊維材料のタイプ及び構造並びにカチオン性化合物のタイプ及び構造に基づいて有意に変動し得る。特定の実施形態では、乾燥アドオンは、繊維材料の最大約20乾燥重量%、例えば、繊維材料の約0.1~約15乾燥重量%である。特定の実施形態では、乾燥アドオンは、繊維材料の約15乾燥重量%未満、例えば、約10乾燥重量%未満又は約5乾燥重量%未満又は約2.5乾燥重量%未満又は約1.0乾燥重量%未満又は約0.5乾燥重量%未満である。
【0148】
いくつかの実施形態では、例えば、加工キヤー(例えば、繊維、ヤーンなどを含有する大きなバットなど)において、繊維を洗浄するために使用されるのと同じ装置を利用して、繊維をカチオン性化合物で処理し得る。そのような実施形態では、カチオン性化合物を含有する溶液は、バッチ工程中に、例えば、洗浄サイクルの最後に追加される追加の段階として、繊維にコーティングとして適用され得る。そのような実施形態では、洗浄された繊維は、繊維洗浄段階後に加工キヤー中で直接コーティングされ得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、繊維は、例えば、カチオン性化合物を含有する溶液が、移動するコンベアベルト上にある間に繊維に適用されるように、霧化又はスプレートンネル中で処理され得る。例えば、カチオン性化合物を含有する溶液は、空気式及び/又はコンベヤトンネル中で繊維上に噴霧又は霧化され得る(例えば、コーティング溶液を含有する蒸気は、少なくとも部分的に囲まれたトンネル中に存在し得る)。
【0150】
いくつかの実施形態では、繊維は、不織布材料の形成中に水流交絡水系で処理され得る。一般に、水流交絡と呼ばれる不織布形成プラットフォームは、繊維を交絡させるために高圧水ジェットに依存する。いくつかの実施形態では、カチオン性化合物を含有する溶液は、水流交絡システム内の再循環水に添加され、繊維が水流交絡しているときに繊維に直接適用され得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、繊維は、毛織物産業で一般的に使用されるような給油チャンバ中で処理され得る。例えば、オイルは、一般的に、不織布地を形成する前にそれらの繊維を潤滑するために、給油チャンバ中の繊維に適用される。一般に、給油チャンバ中での繊維の処理は、加工される繊維上のカチオン性化合物の自動的かつ連続的な分布地を有利に提供することができることに留意されたい。例えば、コーティング溶液は、スプレーノズルによって繊維上に均一に分配され得る。いくつかの実施形態では、カチオン性化合物溶液の量は、例えば、異なる繊維ブレンド組成物に従って調整することができる。
【0152】
上記のように、繊維は、ウェットレイド技術を使用して布地に形成され得る。そのような実施形態では、カチオン性化合物を含有する溶液は、ウェットレイド形成システムの混合タンク中の繊維に適用され得る。一般に、ウェットレイド形成は、水中に分散された短切断繊維(例えば、混合タンク中)を使用し、次いで、これが有孔スクリーン上を流れて不織布基材を形成する。したがって、カチオン性化合物を含有する溶液は、不織布基材を形成する前に混合タンクに添加され得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、繊維は、カレンダ又は浸漬トレイで処理され得る。そのような実施形態では、繊維は、それらの繊維を含む布地又は不織布材料の形成後にカチオン性化合物を含有する溶液で処理され得る。例えば、いくつかの実施形態では、布地は、液体コーティングが不織布地の片面又は両面に直接適用されるカレンダプレスを通過してもよい。いくつかの実施形態では、不織布地は、例えば、コーティングが不織布地の片面又は両面に直接適用されるように、コーティング溶液を含有する浸漬トレイを通過してもよい。いずれの実施形態においても、コーティングされた布地は、次いで、当技術分野で一般的に知られている従来の技術を使用して乾燥及び圧延することができる。
【0154】
一般に、上述の処理方法は、繊維に直接適用されてもよく、又は複数の繊維をその中に含む既に形成された繊維系製品(例えば、織布地若しくは不織布地、ワイプ若しくはクロス、医療製品、創傷ケア製品、リネンなど)に適用されてもよい。特定の一実施形態では、例えば、既に形成された布地ロールを、カチオン性化合物を含有する溶液で処理して、QACとのその相溶性を改善し得る。まず、布地ロールは、従来の方法を使用して巻き出し、コーティング工程に供することができる。例えば、未処理の布地を、例えば、約0.5~約5秒の滞留時間でカチオン性化合物を含有する溶液を含有するコーティングトレイに通す。本明細書において上記で記載されるようなカチオン性化合物を含有する任意の溶液が、コーティング溶液としての使用に好適であり得る。例えば、カチオン性コーティング溶液は、ミョウバン、酢酸アルミニウム、LEVOGEN、SUPERFLOC及び/又はPDDAを含み得る。いくつかの実施形態では、カチオン性化合物(例えば、PDDAなどのカチオン性ポリマー)の溶液濃度は、カレンダ加工後の布地特性及び布地液体ホールドアップに応じて、約0.05重量%~約10重量%であり得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、コーティングされた布地は、例えば、余分なコーティング溶液が圧力及び/又は機械的力の印加によって除去されるカレンダ加工ステップにさらに供され得る。典型的には、カレンダ加工後の布地液体ホールドアップの量は、コーティング溶液の濃度及び布地特性に応じて、繊維の約50%~約400重量%であり得る。
【0156】
いくつかの実施形態では、コーティングされカレンダ加工された布地は、任意に、例えば、液体ホールドアップが減少する乾燥ステップに供されてもよい。当技術分野で典型的に使用される任意のタイプの乾燥機構が、コーティングされた布地を乾燥させるのに好適であり得る。いくつかの実施形態では、乾燥後の布地の液体ホールドアップの量は、布地特性及び使用される乾燥ユニットの特定のタイプに応じて、繊維の約1重量%~約15重量%であり得る。いくつかの実施形態では、コーティングされ、カレンダ加工され、乾燥された布地を再圧延することができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、繊維又は繊維系製品は、カチオン性化合物を含有する溶液で処理する前にアルコールで前処理され得る。一般に、この前処理に使用されるアルコールのタイプは、変動し得る。いくつかの実施形態では、例えば、アルコール前処理は、エタノール又はイソプロピルアルコールで繊維又は繊維系製品を処理することを含み得る。アルコールによる前処理は、殺菌効果を高めることができ、及び/又は繊維若しくは繊維系製品の収斂特性を増加し得ることに留意されたい。処理溶液中のアルコールの濃度は、典型的には、処理溶液の総重量に基づいて、少なくとも約70重量%である。
【0158】
いくつかの実施形態では、繊維又は繊維系製品は、塩基で前処理されてもよい。一般に、この前処理に使用される塩基のタイプは変動し得る。いくつかの実施形態では、繊維又は繊維系製品は、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(NaCO)などからなる群から選択される塩基で前処理され得る。特定の実施形態では、塩基は、カーボネート(例えば、炭酸カリウム若しくは炭酸ナトリウムのようなアルカリ金属カーボネート)、又は重炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属バイカーボネートを含むバイカーボネートから選択される。塩基による前処理は、特定の実施形態では、カチオン性化合物溶液のコーティング効力(例えば、繊維へのコーティングの接着)を改善し、並びに繊維に洗浄/精練効果を提供することができることに留意されたい。さらに、特定の実施形態では、炭酸ナトリウムなどの塩基での前処理は、特に、繊維又は繊維系製品のQAC相溶性を改善することができることに留意されたい。処理溶液中の塩基の例示的な濃度は、処理溶液の総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%である。
【0159】
いくつかの実施形態では、繊維又は繊維系製品は、任意に、ポリマー又は樹脂で後処理されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー又は樹脂は、石油又は再生可能資源、例えば、ポリヒドロキシアルカノエート(例えば、PHB)、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリブチレンサクシデート)及びコポリエステル、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンアジペートテレフタレート)及びコポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミン及びポリアミンのコポリマー、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ-e-カプロラクトン、熱可塑性デンプン、修飾デンプン(カチオン性デンプンを含む)、タンパク質並びにキトサンに由来する。いくつかの実施形態では、ポリマー又は樹脂は、後処理の前に水などの液体に分散されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー又は樹脂は、熱可塑性又は熱硬化性のいずれかである。そのような繊維後処理は、特定の実施形態では、繊維又は布地の洗浄に耐えるカチオン性化合物処理の能力における改善などによって、カチオン性化合物処理の耐久性を改善することができる。本明細書に記載のクラス内の特定のポリマー例は、正に帯電することができ、したがって、カチオン性化合物処理として使用することもできることに留意されたい。処理溶液中のポリマー又は樹脂の例示的な濃度は、処理溶液の総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%である。
【0160】
繊維及び/又は繊維系製品をカチオン性化合物で処理した後、消毒機能を提供するために、QAC溶液を処理された繊維又は繊維系製品に適用し得る。繊維又は繊維系製品(例えば、布地)のQAC処理は、例えば、繊維/布地処理の前にQAC溶液を、カチオン性化合物を含有する溶液と組み合わせることなどによって、カチオン性化合物処理と同時に行うこともできる。QAC溶液による繊維(又はそれから作製された製品)の処理は、カチオン性化合物処理に関して上述したのと同じ工程段階で行うことができる。
【0161】
一般に、消毒機能を追加する目的で、QAC溶液は、処理された繊維に様々な量及び/又は濃度で適用することができる。例えば、QAC溶液は、約500ppm~約3000ppm(例えば、約1000ppm~約2600ppm)の第四級アンモニウム化合物、例えば、本明細書で上述した第四級アンモニウム化合物のいずれかなどを含み得る。
【0162】
本明細書に記載のカチオン性化合物で処理された繊維材料は、改善されたQAC相溶性を有すると特徴付けることができ、これは実施例1に記載され、一般にSlopek,et al.,Adsorption of alkyl-dimethyl-benzyl-ammonium chloride on differently pretreated non-woven cotton substrates,Textile Research Journal 81(15)1617-1624(2011)に記載されているように測定することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。QAC相溶性についてのこの実験室試験は、繊維材料の浸漬後の塩化ベンザルコニウム溶液のUVスペクトルを比較すること及びこのUVスペクトルを標準溶液のUVスペクトルと比較することを含む。この比較を使用して、繊維材料浸漬後の溶液中のQAC濃度の変化を決定し、溶液中の第四級アンモニウム化合物保持の%として表すことができる。本開示の特定の実施形態では、処理された繊維材料は、塩化ベンザルコニウム溶液の紫外線スペクトルによって決定されるように、1000ppmの濃度の塩化ベンザルコニウム溶液中に繊維材料を室温で5分間浸漬した後、塩化ベンザルコニウム溶液中に少なくとも約40%の第四級アンモニウム化合物の保持を提供することを特徴とすることができる。特定の実施形態では、上記の試験後のQAC保持率は、少なくとも約50%又は少なくとも約60%又は少なくとも約70%又は少なくとも約80%又は少なくとも約90%である。
【0163】
本明細書で論じられる任意の処理方法は、互いに独立して、又はそれらの任意の組み合わせで使用することができることに留意されたい。例えば、本明細書に記載の単一の治療方法を使用してもよく、又は複数の治療方法を組み合わせて使用してもよい(例えば、繊維若しくは繊維系製品及びQAC溶液は両方とも、互いに接触する前にカチオン性化合物を含有する溶液で前処理され得る)。いくつかの実施形態では、上記の1つ以上の追加の前処理は、独立して、又は複数の組み合わせで組み込まれてもよい。一般に、繊維から布地を形成する前、布地の形成中、及び/又は布地の形成後に、任意の処理又は前処理方法を繊維に適用し得る。
【0164】
本明細書に記載の様々な処理ステップは、本明細書で特に指示しない限り、大気圧又は最大約3バールの高圧で実行することができる。加えて、本明細書に記載の様々な処理ステップは、典型的には、約室温(例えば、25℃)~約130℃の温度で実行される。
【0165】
上記のように、本明細書で提供される様々な処理方法(例えば、QAC溶液の適用前の繊維/繊維系製品の処理、又は繊維/繊維系製品への適用前のQAC溶液の処理)及びそれらの組み合わせは、特定の実施形態では、セルロース系繊維をQAC処理と実質的に適合させる。そのようなQAC処理は、そのように処理された繊維及び製品に消毒機能を提供し、例えば、製品がワイプ又はワイピングクロスである場合、有用性を高めることができる。そのような製品は、そのようなワイプによって接触される任意の表面を洗浄又は消毒するために使用され得る。これはまた、本発明に従って処理される繊維及び繊維系製品の有用性及び有用性の非限定的な例である。
【0166】
本発明に従って処理された繊維及び繊維系製品に付与された特性及び機能性は、特定の実施形態では、水によるすすぎ及び前記処理後の洗剤洗浄に対する耐久性がある。さらに、特定の実施形態では、本明細書で論じられる方法のいずれかを使用して処理された繊維及び/若しくは繊維系製品は、再利用可能であるとして特徴付けられてもよく、並びに/又はすすぎ後に様々な機能性(例えば、QAC保持及び/若しくは殺菌機能など)を保持してもよい。
【0167】
本発明は、特定の実施形態では、そのように処理されたセルロース又はタンパク質繊維が、顔用などのパーソナルクレンジングワイプ、又は包帯、スポンジ、ワイプ若しくは創傷カバーなどの創傷からの血流の停止を助ける目的の医療製品に使用される場合に収斂特性を示し得ることを想定する。これらは例にすぎず、この機能に関する本発明の有用性を限定するものとは見なされない。
【0168】
ミョウバン、酢酸アルミニウム及び/又はPDDAなどの特定のカチオン性化合物で処理された繊維及び/又は繊維系製品は、特定の実施形態では、そのような処理からある程度のレベルの難燃性を得ることができる。このモードでは、そのように処理された、又はそのように処理された繊維を利用して生成された製品は、火炎源によって衝突された場合に、発火に対する向上した耐性を実証し得る。
【0169】
繊維材料
本明細書に記載の処理及び/又は方法のいずれかでの使用に好適な繊維のタイプは、天然若しくは合成セルロース、天然若しくは合成タンパク質繊維、又はそれらの組み合わせであり得る。好適な天然又は合成セルロース系繊維の例には、ビスコース、アセテート、レーヨン、リヨセル、綿及び麻、亜麻、ラミー、ジュート、竹、イラクサ、ケナフ及びスパニッシュブルームなどの靭皮繊維が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、天然又は合成セルロース系繊維は、リグノセルロース系繊維、例えば、約0.0001重量%~約50重量%のリグニン濃度を有する繊維などであり得る。好適な天然又は合成タンパク質繊維の例としては、動物の毛、ウール、ファー、シルクなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0170】
いくつかの実施形態では、繊維は、複数の繊維の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、複数の繊維は、2つ以上の繊維タイプのブレンドを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、繊維ブレンドは、約5重量%~約100重量%の天然又は合成セルロース系繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、繊維ブレンドは、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%の天然又は合成セルロース系繊維を含み得る。いくつかの実施形態では、繊維ブレンドは、最大約95重量%の非セルロース系天然又は合成繊維を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、繊維ブレンドは、最大10重量%、最大20重量%、最大30重量%、最大40重量%、最大50重量%、最大60重量%、最大70重量%、最大80重量%、又は最大90重量%の非セルロース系天然又は合成繊維を含み得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、天然又は合成セルロース系繊維は、少なくとも約5重量%の靭皮繊維を含み得る。いくつかの実施形態では、天然又は合成セルロース系繊維は、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%又は少なくとも約90重量%の靭皮繊維を含み得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、本開示で利用される靭皮繊維は、例えば、表面不純物を除去するために、機械的又は化学的洗浄によって個別化することができる。いくつかの実施形態では、機械的又は化学的に洗浄された繊維は、約1mm~約100mmのステープル長を有し得る。靭皮繊維の機械的洗浄は、スカッチング又は脱皮と呼ばれる工程中に行われる。この工程中に、植物の茎を破壊し、梳かして、ヘミセルロース、ペクチン、リグニン及び一般的な残屑などの非繊維成分を除去する。例えば、靭皮繊維のベールを機械に巻き出し、次いでブレーカロールがステムを分割して繊維束を露出させ得る。さらに、回転コームを使用して、繊維が次に別々の収集領域に排出されるように、すべてのごみ及び非繊維材料の繊維を洗浄し得る。除皮質は、回転コームの代わりにピンシリンダを利用する同様の工程である。機械的洗浄は、靭皮繊維を個別化し、化学的洗浄よりも少ないペクチンを除去する。化学的洗浄は、例えば、キヤー中で行うことができる。
【0173】
機械的に洗浄された繊維は、繊維からペクチンの一部が除去されており、本願により、ペクチンが低減されていると見なされる。ペクチン/汚染物質の残留レベルは、地理的地域及び生育期によって変動し、繊維の自然の戻り及び繊維が供される回転コーム/ピン付きローラの数に依存する。靭皮繊維を機械的に洗浄することは一般的であり、ペクチン低減繊維のグレードは、当業者に知られている。
【0174】
靭皮繊維の化学的洗浄は、いくつかの方法:撥水、化学的洗浄又は酵素的洗浄で行われる。靭皮繊維を化学的に洗浄するための工程は、いくつかの実施形態では、ペクチン、リグニン及び他の非セルロース系材料を除去するために化学的に精練されると言われることがある。撥水と呼ばれる自然な化学的洗浄がプール又は流れの中で行われ、それによって靭皮繊維茎が数日~1週間又はそれ以上の期間にわたって水中に置かれる。天然の微生物は、繊維からペクチンを除去し、繊維からヘミセルロースを放出し、清浄で、ペクチンが低減され、個別化された靭皮繊維をもたらす。化学的洗浄は、より速い工程であり、機械的に洗浄された靭皮繊維に対して、大気圧よりも高く、80℃~130℃の範囲の温度で作業することができる機器を有する産業施設において実行される。靭皮繊維は、熱、圧力及び苛性ソーダ又は他の洗浄剤に供され、ペクチン及びリグニンを迅速に除去する。酵素洗浄は、苛性ソーダ及び他の化学薬剤の一部をペクチナーゼ又はプロテアーゼなどの酵素で置き換えた化学洗浄と非常に類似している。洗浄後、靭皮繊維は、任意に、遠心分離機及び/又は空気乾燥機を介して、例えば、約2重量%~約20重量%の予め設定された含水量まで脱水される。洗浄された靭皮繊維が脱水されない実施形態では、それらは飽和溶液の形態で提供されてもよく、任意に、繊維の任意のクリンピングの前に所望の含水量まで乾燥させてもよい。
【0175】
化学的に洗浄された靭皮繊維は、業界によってペクチンを実質的に含まないと見なされる。参照により本明細書に組み込まれるBaer et al.の米国特許出願公開第2014/0066872号明細書は、実質的にペクチンを含まない繊維が由来する天然に存在する繊維のペクチン含有量の10重量%~20重量%未満を有するものとして、実質的にペクチンが低減された繊維を記載している。
【0176】
本発明のセルロース系繊維又はセルロース系繊維系製品が靭皮繊維を含むか、又はそれに基づく場合、本発明者らは、特定の実施形態では、これらの天然の直線繊維にクリンプを課すことが、これらの繊維から生成された製品における望ましい審美的及び性能的特徴にとって重要であり得ることを決定した。したがって、本発明の靭皮繊維は、有利には、1センチメートル当たり少なくとも約1つのクリンプの課されたレベルのクリンプを有する。いくつかの実施形態では、クリンプされた靭皮繊維は、1センチメートル当たり約1~約10個のクリンプを含み得る。その中にクリンプを課すための様々な手段が好適であり得、例えば、クリンプを課すための手段は、本質的に機械的又は化学的であり得る。例えば、クリンピング方法は、例えば、1センチメートル当たり約1~約10個のクリンピングを有するクリンプされた靭皮繊維を提供するために、靭皮繊維の繊維マットを一対の加熱されたクリンピングロールと接触させることを含み得、一対の加熱されたクリンピングロールは、繊維マットの上面に近接して配置され、繊維マットの底面に近接して配置された第2のクリンピングロールに対向する第1のクリンピングロールを含む。
【0177】
特定の実施形態では、本開示で利用される繊維材料が、カルボキシメチル化又はカルボキシメチルセルロース(CMC)での処理などによるアニオン性表面処理を実質的に含まないことが有利である。例えば、本開示の繊維材料の特定の実施形態は、0.20mol/kg未満のアニオン性部分の乾燥繊維(例えば、0.15mol/kg未満の乾燥繊維又は0.10mol/kg未満の乾燥繊維)を有することを特徴とすることができる。本開示の特定の実施形態は、約0.5乾燥重量%未満のCMC、又は約0.1乾燥重量%未満のCMC、又は0.0乾燥重量%のCMCなどのCMCを実質的に含まないことを特徴とすることができる。特定の実施形態では、本開示で利用される繊維材料は、繊維材料に意図的に添加されたCMCを意味する外因性CMCを実質的に含まない(例えば、上記のレベルを参照されたい)又は完全に含まないことを特徴とすることができる。特定の実施形態では、CMCの含有又は存在に対するこれらの制限は、出発材料として使用される繊維材料及び本明細書に記載の処理のいずれかの後の処理された繊維材料の両方に適用される。アニオン性部分及びCMC濃度の決定は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Kuehn et al.の米国特許出願公開第2019/0257029号明細書に記載されている。
【0178】
いくつかの実施形態では、本発明の繊維は、上述のように、繊維形態で、又は繊維系製品に組み込まれた繊維として処理され得る。いくつかの実施形態では、そのような繊維は、ベール、束、マット、バット、ウェブ、ボウル、ボール又はタフトなどのバルク形態の処理された繊維として有用であり得る。例示的な繊維系製品は、布地、布地の複合体、バルク繊維構成要素又はバルク繊維構成要素を有する他の複合体を含み得る。後者の例は、スワブ又は止血鉛筆であり得る。いくつかの実施形態では、繊維系製品は、織布地、ニット若しくは不織布地又は前記布地のうちの2つ以上の複合体を含み得る。いくつかの実施形態では、繊維系製品は、2つ以上の構成要素の複合体の形態であってもよく、例えば、各構成要素は、複数の繊維若しくは布地、又はそれらの組み合わせの形態であってもよい。
【0179】
有用な製品のタイプの中で、その望ましい性能特徴がカチオン性化合物溶液処理に関連するものは、排他的ではないが、ワイプ、ワイピングクロス、衣類、衣類の構成要素、テキスタイル系家庭用製品、リネン、包帯、創傷ケア及び外科用スポンジ並びにワイプ及び創傷閉鎖製品である。
【0180】
上記は、本発明の原理の例を提供すると見なされる。本発明に対してなされ得る変更の範囲は、先行技術によって課され、本明細書の特許請求の範囲に記載されるものを超えて限定されない。
【0181】
実験
一般に、以下の実施例は、本明細書に記載の様々な処理並びに/又は方法を使用して処理された様々なセルロース系繊維(例えば、麻及び亜麻繊維など)の試験を記載する。実施例及び図で言及される「QAC」及び「Quat」という用語は、交換可能であることを意味し、一般に、実施例で利用される第四級アンモニウム化合物を指す。
【0182】
[実施例1]
処理及び未処理の繊維(亜麻及び麻)のQAC保持を決定するために試験を実施した。まず、亜麻及び麻繊維を、5%wofの炭酸ナトリウム溶液を使用して、90℃で1時間、炭酸ナトリウムで前処理した。この前処理をすべての試験繊維に適用した。次いで、前処理した繊維の特定の試料を、20%wofの酢酸アルミニウム溶液を使用して、50℃で1時間、酢酸アルミニウムで処理した。次いで、過剰な溶液を除去し、繊維を冷たい水道水で1分間すすいだ。次いで、繊維を乾燥させた。処理された及び未処理の亜麻及び麻の両方の1グラムの繊維試料を10mlの2600ppmのQAC溶液(塩化ベンザルコニウム)に浸漬し、密封バイアル中のQAC溶液中に静置した。2週間後、繊維試料をQAC溶液から除去した。
【0183】
バルク溶液中のQACの濃度は、一般にSlopek,et al.,Adsorption of alkyl-dimethyl-benzyl-ammonium chloride on differently pretreated non-woven cotton substrates,Textile Research Journal 81(15)1617-1624(2011)に記載されているように、紫外可視(UV-vis)分光光度計を使用して、各実験実行終了時の溶液の紫外(UV)スペクトルを標準溶液の紫外(UV)スペクトルと比較することによって決定した。試験は、Varian Inc.,USAから入手可能なCary 50 UV-Vis分光光度計を使用して実施した。標準的なQAC溶液を作り出し、それを使用して、QAC濃度を263nmでの吸光度に関連付ける検量線を開発した。次いで、繊維処理後の各実験試料溶液を263nmでの吸光度と検量線と比較して、QAC濃度を得た。QAC浸漬後の各繊維試料を手で絞って、必要に応じて同伴QAC溶液を除去して、少なくとも5mLのQAC溶液試験試料を確実にした。すべての試験を室温(25℃)で実施した。
【0184】
バルク溶液から排出され、したがって試験された繊維に吸収されたQACのパーセンテージは、以下の式(1)によって計算することができる:
【0185】
【数1】
式中、%EはQACの消耗率であり、Aは初期(繊維浸漬前)のQAC溶液の吸光度であり、Aは繊維浸漬後のQAC溶液の吸光度である。100から%Eを減算することにより、溶液中に残存するQACパーセンテージが提供され、これを本明細書では「残存Quat」と呼ぶ。
【0186】
図1は、処理された麻/亜麻繊維、未処理の麻/亜麻繊維についての残存QACパーセンテージを示し、それらを合成繊維で作製されたQuat用の市販のCHICOPEE使い捨てタオル(SUDS(商標)ブランド使い捨てタオル)と比較する。図1に実証されるように、残存QACパーセンテージは、市販製品と比較した場合、処理された麻及び処理された亜麻繊維試料の両方についてより高かった。これは、カチオン性化合物による繊維処理が未処理の繊維と比較してQAC相溶性を大幅に改善し、カチオン性化合物処理によって提供されるQAC相溶性のレベルも、QAC化合物と共に使用するために市販されている市販品と比較して良好であったことを示している。いかなる動作理論にも束縛されないが、靭皮繊維などのセルロース系繊維は、そのような繊維の表面の負に帯電した性質のためにかなりの量のQAC化合物を引きつけて結合するので、QAC化合物との相溶性を欠くと考えられる。この結合は、QAC化合物で処理された繊維材料が、例えば、表面ワイプとして使用される場合、消毒剤としてのQACの有効性を低下させる。したがって、この試験では、低レベルの残存Quatは、繊維材料内での有意なQAC化合物の結合、したがってQAC化合物の消毒機能との不十分な相溶性の指標である。
【0187】
[実施例2]
酢酸アルミニウムで処理する前に、炭酸ナトリウムで麻及び亜麻繊維を前処理する効果を決定するために試験を実施した。繊維(亜麻及び麻)を炭酸ナトリウム(ソーダ灰)で前処理した後、酢酸アルミニウムで処理した。5%wofの炭酸ナトリウム溶液を使用して90℃で1時間前処理を実施した。過剰な溶液を除去し、繊維を冷たい水道水で10分間すすいだ。酢酸アルミニウム溶液による処理を、実施例1に記載したのと同じ手順で達成した。1000ppmのQAC濃度及び5分の接触時間を使用して、実施例1と同じ手順に従ってQAC相溶性を調査した。
【0188】
図2は、未処理の繊維(QAC接触前にいずれの種類の前処理もされていない)、酢酸アルミニウムで処理されているが、炭酸ナトリウムで前処理されていない繊維及び炭酸ナトリウムで前処理された後に酢酸アルミニウムで処理された繊維についての残存QACパーセンテージを示す。図2に実証されるように、炭酸ナトリウムによる前処理後に残存QACパーセンテージがより高くなっており、炭酸ナトリウムによる前処理がQAC相溶性を改善できることを実証している。
【0189】
[実施例3]
未処理の繊維、処理された繊維及び市販の合成繊維におけるQAC保持に対するQAC濃度の効果を分析するために試験を実施した。亜麻繊維を実施例1に記載したのと同じ手順で処理した。500ppm、1000ppm及び2600ppmの異なるQAC濃度を使用して、5分の接触時間で、実施例1に記載したのと同じ手順に従ってQAC相溶性を調査した。
【0190】
図3は、処理された繊維及び未処理の繊維の初期QAC濃度レベルのそれぞれにおける残存QACパーセンテージを示し、それらを合成繊維で作製されたQuat用の市販のCHICOPEE使い捨て分配システムタオル(SUDS(商標)ブランドの使い捨てタオル)と比較する。図3に実証されるように、処理された繊維は、すべてのQAC濃度レベルで未処理及び市販の合成繊維の両方と比較した場合、溶液中のQAC保持の増加を示した。
【0191】
[実施例4]
市販の合成繊維と比較して、処理された亜麻繊維について異なるQAC接触期間後のQAC保持を決定するために試験を実施した。亜麻繊維を実施例1に記載したのと同じ手順で処理した。QAC相溶性を、実施例1に記載したのと同じ手順に従って、1000ppmのQAC濃度で1、5、10、30、60、120及び180分間の溶液放置時間にわたって調査した。
【0192】
図4は、処理された繊維の時間の関数としての残存QACパーセンテージを示し、それらを合成繊維で作製されたQuat用の市販のCHICOPEE使い捨て分配システムタオル(SUDS(商標)ブランドの使い捨てタオル)と比較する。図4に実証されるように、処理された繊維は、市販の合成繊維と比較した場合、各接触時間で溶液中のQAC保持の増加を示した。
【0193】
[実施例5]
酢酸アルミニウムで処理した亜麻繊維におけるQAC保持に対する酢酸アルミニウム濃度の効果を決定するために試験を実施した。亜麻繊維を、実施例1に記載したのと同じ手順で、異なる濃度の酢酸アルミニウム溶液(1、5、10、20及び40%wof)で処理した。1000ppmのQAC濃度及び5分間の接触時間について、実施例1に記載したのと同じ手順に従ってQAC相溶性を調査した。
【0194】
図5は、様々な濃度の酢酸アルミニウム溶液で処理した繊維の残存QACパーセンテージを示す。図5に実証されるように、処理された繊維の溶液中のQAC保持は、一般に、酢酸アルミニウム濃度の増加と共に増加し、約20%wofの濃度で開始して明らかに横ばいになった。
【0195】
[実施例6]
処理された繊維及び未処理の繊維の両方に対する異なるQAC溶液の有効性を決定するために試験を実施した。実施例1に記載したのと同じ手順に従って、亜麻繊維を5%wofの酢酸アルミニウム溶液で処理した。3つの異なるQAC溶液:純粋な1000ppmのQAC溶液(塩化ベンザルコニウム)、1000ppmのQAC溶液中の3重量%のPDDA及び1000ppmのQAC溶液中の2重量%の硫酸アルミニウムカリウム(溶液の総重量に基づく重量パーセンテージ)における未処理及び処理された亜麻繊維の両方のQAC相溶性を調査した。5分の接触時間を使用して、実施例1に記載したのと同じ手順を使用してQAC相溶性を調査した。
【0196】
図6は、QAC溶液がカチオン性化合物(Quatのみ)で前処理されておらず、QAC溶液が3%のPDDAで前処理されており、QAC溶液が2%の硫酸カリウムアルミニウムで前処理されている、処理された及び未処理の亜麻繊維の残存QACパーセンテージを示す。図6に実証されるように、硫酸カリウムアルミニウム又はPDDAのいずれかによるQAC溶液の前処理は、亜麻繊維の浸漬後のQAC溶液中のQAC保持を増加させ、これは繊維が酢酸アルミニウムでも処理された場合にさらに増加した。これは、カチオン性化合物をQAC溶液に混合すると、処理された繊維のQAC相溶性を高めることができることを実証している。
【0197】
[実施例7]
亜麻繊維に対する異なる処理の有効性を決定するために試験を実施した。亜麻繊維を、実施例1に記載したのと同じ手順を使用して、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸アルミニウム及びPDDAを使用して処理した。1000ppmのQAC濃度及び5分間の接触時間について、実施例1に記載したのと同じ手順を使用してQAC相溶性を調査した。
【0198】
図7は、異なる繊維処理を使用した場合の残存QACパーセンテージを示し、それらを合成繊維で作製されたQuat用の市販のCHICOPEE使い捨て分配システムタオル(SUDS(商標)ブランドの使い捨てタオル)と比較する。図7に実証されるように、溶液中のQAC保持は、調査された4つの処理すべてで増加し、特に、酢酸アルミニウム及びPDDAで処理された繊維のQAC保持は、市販の合成繊維に匹敵した。
【0199】
[実施例8]
85%のFlax及び15%のTENCEL(商標)リヨセル繊維の布地に対する異なる処理の有効性を決定するために試験を実施した。3重量%の溶液濃度を使用して、実施例1に記載したのと同じ手順を使用して、PDDA及びKemira Oyjから入手可能なLEVOGENカチオン性ポリマーを使用して布地を処理した。処理は、25℃で1時間行った。400ppmのQAC濃度及び5分間の接触時間について、実施例1に記載したのと同じ手順を使用してQAC相溶性を調査した。繊維浸漬後の各試験液中のQAC濃度は、Micro Essential Laboratory Inc.から入手可能なQuat試験片(Hydrion QT-10)を使用して測定した。
【0200】
図8は、異なる繊維処理を使用した場合の残存QACパーセンテージを示し、それらを合成繊維で作製されたQuat用の市販のCHICOPEE使い捨て分配システムタオル(SUDS(商標)ブランドの使い捨てタオル)と比較する。図8に実証されるように、溶液中のQAC保持は、調査された両方の処理で増加し、特に、LEVOGENで処理された繊維のQAC保持は、市販の合成繊維よりも良好であった。
【0201】
[実施例9]
綿布地に対する異なる処理の有効性を決定するために試験を実施した。3重量%の溶液濃度を使用して、実施例1に記載したのと同じ手順を使用して、PDDA及びKemira Oyjから入手可能なLEVOGENカチオン性ポリマーを使用して布地を処理した。処理は、25℃で1時間行った。400ppmのQAC濃度及び5分間の接触時間について、実施例1に記載したのと同じ手順を使用してQAC相溶性を調査した。繊維浸漬後の各試験液中のQAC濃度は、Micro Essential Laboratory Inc.から入手可能なQuat試験片(Hydrion QT-10)を使用して測定した。
【0202】
図9は、異なる繊維処理を使用した場合の残存QACパーセンテージを示し、それらを合成繊維で作製されたQuat用の市販のCHICOPEE使い捨て分配システムタオル(SUDS(商標)ブランドの使い捨てタオル)と比較する。図9に実証されるように、溶液中のQAC保持は、調査された両方の処理で増加し、特に、LEVOGENで処理された繊維のQAC保持は、市販の合成繊維よりも良好であった。
【0203】
[実施例10]
亜麻及び麻繊維試料に対する異なる処理の有効性を決定するために試験を実施した。3重量%の溶液濃度を使用して、実施例1に記載したのと同じ手順を使用して、Kemira Oyjから入手可能なLEVOGENカチオン性ポリマーを使用して、亜麻及び麻を処理した。処理は、25℃で1時間行った。400ppmのQAC濃度及び5分間の接触時間について、実施例1に記載したのと同じ手順を使用してQAC相溶性を調査した。繊維浸漬後の各試験液中のQAC濃度は、Micro Essential Laboratory Inc.から入手可能なQuat試験片(Hydrion QT-10)を使用して測定した。
【0204】
図10は、異なる繊維処理を使用した場合の残存QACパーセンテージを示し、それらを合成繊維で作製されたQuat用の市販のCHICOPEE使い捨て分配システムタオル(SUDS(商標)ブランドの使い捨てタオル)と比較する。図10に実証されるように、溶液中のQAC保持は、調査された処理によって増加し、LEVOGENで処理された繊維のQAC保持は、市販の合成繊維よりも良好であった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維を含む繊維材料であって、前記繊維が天然若しくは合成セルロース系繊維又は天然若しくは合成タンパク質繊維であり、前記繊維が少なくとも1つのカチオン性化合物で処理されており、
複数の繊維が、約1mmを超える平均長さを有し、かつ、繊維材料の総重量に基づいて、少なくとも約5重量%の量の靭皮繊維を含む、繊維材料。
【請求項2】
前記カチオン性化合物が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属又は遷移後金属の塩及びイオン液体のリストから選択される、請求項1に記載の繊維材料。
【請求項3】
前記カチオン性化合物が、アルミニウム、銅、亜鉛、マンガン又は鉄の塩である、請求項1に記載の繊維材料。
【請求項4】
前記カチオン性化合物が、スルフェート、サルファイト、アセテート、カーボネート、塩化物、水酸化物、ホスフェート及びニトレートからなる群から選択される塩である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項5】
前記カチオン性化合物がアルミニウム塩である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項6】
前記アルミニウム塩が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム及び酢酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項5に記載の繊維材料。
【請求項7】
前記カチオン性化合物が、イミダゾリウム、アンモニウム、ピロリジニウム、ピリジニウム及びホスホニウムからなる群から選択されるカチオンを含むイオン液体である、請求項1に記載の繊維材料。
【請求項8】
前記カチオン性化合物が、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含む、請求項7に記載の繊維材料。
【請求項9】
前記カチオン性化合物が、1つ以上の第四級アンモニウム基を含むポリマーである、請求項1に記載の繊維材料。
【請求項10】
前記ポリマーが、ジシアンジアミド、ホルムアルデヒド、塩化アンモニウムポリマーである、請求項9に記載の繊維材料。
【請求項11】
前記カチオン性化合物の乾燥アドオンが、前記乾燥繊維重量の最大約20%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項12】
前記カチオン性化合物の前記乾燥アドオンが、前記乾燥繊維重量の最大約10%である、請求項11に記載の繊維材料。
【請求項13】
前記繊維材料が、カルボキシメチルセルロースを実質的に含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項14】
前記繊維材料が、アルコール、塩基、第四級アンモニウム化合物及びポリマー又は樹脂のうちの1つ以上でさらに処理される、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項15】
前記繊維材料が、第四級アンモニウム化合物及びカーボネート又はバイカーボネート塩基のうちの1つ以上でさらに処理される、請求項14に記載の繊維材料。
【請求項16】
前記繊維材料が、カチオン性化合物で未処理の同じ繊維材料と比較して、第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を示す、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項17】
前記繊維材料が、塩化ベンザルコニウム溶液の紫外線スペクトルによって決定されるように、1000ppmの濃度の塩化ベンザルコニウム溶液中に前記繊維材料を室温で5分間浸漬した後の塩化ベンザルコニウム溶液中の40%を超える第四級アンモニウム化合物の保持を特徴とする、請求項16に記載の繊維材料。
【請求項18】
前記複数の繊維が、ビスコース、アセテート、レーヨン、リヨセル、綿、靭皮繊維及びそれらのブレンドからなる群から選択される天然又は合成セルロース系繊維を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項19】
前記靭皮繊維が、ケナフ、イラクサ、スパニッシュブルーム、ジュート、竹、ラミー、麻、亜麻及びそれらのブレンドからなる群から選択される、請求項に記載の繊維材料。
【請求項20】
前記繊維材料が、織布地、ニット若しくは不織布地又は前記布地のうちの2つ以上の複合体から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項21】
前記繊維材料が、マット、バット、ベール、タフト、ボウル、ボール及び束からなる群から選択されるバルク繊維形態であり、又はワイプ若しくはワイピングクロス、医療製品、健康及びウェルネス製品及び創傷ケア製品からなる群から選択される製品形態である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維材料。
【請求項22】
第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を繊維材料に付与するための方法であって、
(a)複数の繊維を含む繊維材料を提供することであって、前記繊維が、天然若しくは合成セルロース系繊維又は天然若しくは合成タンパク質繊維である、繊維材料であって、複数の繊維が、約1mmを超える平均長さを有し、かつ、繊維材料の総重量に基づいて、少なくとも約5重量%の量の靭皮繊維を含む繊維材料を提供することと、
(b)任意に、前記繊維材料を塩基で前処理することと、
(c)前記繊維材料を少なくとも1つのカチオン性化合物で処理して、第四級アンモニウム化合物との改善された相溶性を付与することと、
(d)任意に、前記処理された繊維材料をポリマー又は樹脂でさらに処理することと、
を含む、方法。
【請求項23】
処理(c)が、0.1%~最大約40%wofの濃度で前記カチオン性化合物を含む処理液で前記繊維材料を処理することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
処理(c)が、少なくとも20%wofの濃度で前記カチオン性化合物を含む処理液で前記繊維材料を処理することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記繊維材料を少なくとも1つのカチオン性化合物で処理することが、前記繊維材料を、前記少なくとも1つのカチオン性化合物を含有する水溶液、スラリー、固体又はイオン液体で処理することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記カチオン性化合物が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び遷移金属又は遷移後金属の塩のリストから選択される、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記カチオン性化合物が、アルミニウム、銅、亜鉛、マンガン又は鉄の塩である、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記カチオン性化合物が、スルフェート、サルファイト、アセテート、カーボネート、塩化物、水酸化物、ホスフェート及びニトレートからなる群から選択される塩である、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記カチオン性化合物がアルミニウム塩である、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記アルミニウム塩が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム及び酢酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記カチオン性化合物が、イミダゾリウム、アンモニウム、ピロリジニウム、ピリジニウム及びホスホニウムからなる群から選択されるカチオンを含むイオン液体である、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記カチオン性化合物が、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記カチオン性化合物が、1つ以上の第四級アンモニウム基を含むポリマーである、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記ポリマーが、ジシアンジアミド、ホルムアルデヒド、塩化アンモニウムポリマーである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記繊維材料が、カルボキシメチルセルロースを実質的に含まない、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記前処理(b)が、前記繊維材料をカーボネート又はバイカーボネートの塩基で処理することを含む、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記繊維材料が、前記カチオン性化合物で処理する前にアルコールでさらに処理される、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記アルコールが、エタノール又はイソプロピルアルコールである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記繊維材料が、少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物でさらに処理される、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記繊維材料が、前記少なくとも1つのカチオン性化合物及び前記少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物で同時に処理される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記カチオン性化合物で処理する前に、前記繊維材料を機械的又は化学的に処理して表面不純物を除去することをさらに含む、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ポリマー又は樹脂が、液体中に分散している、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記ポリマー又は樹脂が、ポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステル又はコ-ポリエステル、芳香族ポリエステル又はコ-ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ-e-カプロラクトン、熱可塑性デンプン、修飾デンプン、タンパク質又はキトサンである、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記繊維材料が不織布材料である、請求項2225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
(a)ロール中に前記不織布材料を提供することと、
(b)前記カチオン性化合物が前記不織布材料と接触するように、前記カチオン性化合物を含む液体を含有するコーティングトレイを通して前記ロールから前記不織布材料を供給することと、
(c)前記不織布材料をカレンダ加工して過剰な液体を除去することと、
(d)前記不織布材料内の液体ホールドアップを減少させるために前記不織布材料を乾燥させて、処理された不織布材料を形成することと、
(e)任意に、前記処理された不織布材料をロール形態に巻き戻すことと、
を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記カチオン性化合物が、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド又はジシアンジアミド、ホルムアルデヒド、アンモニウムクロリドポリマーである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記液体中のカチオン性化合物の濃度が、前記液体の総重量に基づいて、約0.5%~約10重量%である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記処理された不織布材料中のカチオン性化合物の前記乾燥アドオンが、前記乾燥繊維重量の最大約20%である、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記不織布材料及び前記処理された不織布材料が、カルボキシメチルセルロースを実質的に含まない、請求項45に記載の方法。
【国際調査報告】