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特表2022-535783半導体用放熱基板およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】半導体用放熱基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20220803BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H01L23/12 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571351
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 KR2020007026
(87)【国際公開番号】W WO2020242255
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0064286
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0176073
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521520669
【氏名又は名称】リ、ジョン ウン
【氏名又は名称原語表記】LEE, Jong Eun
【住所又は居所原語表記】308-ho, 107, Jiwon-ro, Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do 15418, Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ、ジョン ウン
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BB05
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA12
5F136GA17
(57)【要約】
【課題】厚い電極金属板に精密なパターン形成が可能であることはもちろん、絶縁耐力と剥離強度(Peel Strength)が向上した半導体用放熱基板およびその製造方法が提供される。
【解決手段】本発明の一実施形態による半導体用放熱基板は、パターンスペースが間毎に形成されて、互いに電気的に絶縁された複数の電極パターンを有する電極金属板と、前記電極金属板の下に配置されて、前記電極金属板から伝導された熱を拡散させる金属ベースと、前記電極金属板と前記金属ベースとの間に形成された絶縁層と、前記パターンスペースと前記複数の電極パターンで構成された電極パターングループの外側の周辺部を埋め、前記複数の電極パターンの側面に直接接触してこれらを支持するように形成された絶縁材充填部と、を含んで構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンスペースによって半導体素子が実装される電極パターンが形成された電極金属層と、
前記半導体素子から放出された熱を熱伝導によって拡散および発散する放熱体を構成する金属ベースと、
電気的絶縁性を呈し、前記電極金属層と前記金属ベースとの間に配置された絶縁層と、
前記金属ベースにおける前記絶縁層と接する面と前記電極金属層における前記絶縁層と接する面の少なくともいずれか一方に形成された溝と、前記溝内部が前記絶縁層と同一の素材で満たされた補強突起とを含み、
前記パターンスペースは、前記電極金属層の表面から垂直に切削加工された部分を含む、
半導体用放熱基板。
【請求項2】
前記パターンスペースは、前記電極金属層の底面より深く、前記絶縁層の底面より浅い深さに切削加工されて前記絶縁層を露出させる、
請求項1に記載の半導体用放熱基板。
【請求項3】
前記パターンスペースは、等方性エッチングによって形成された部分をさらに含む、
請求項1に記載の半導体用放熱基板。
【請求項4】
前記溝と前記補強突起は、断面がダブテール状である、
請求項1に記載の半導体用放熱基板。
【請求項5】
金属ベース上に形成された絶縁層または絶縁性のセラミックベース上に接合される電極金属層が電極パターンをなすようにパターンスペースを形成する半導体用放熱基板の製造方法において、
前記電極金属層をその一面から前記電極金属層の厚さより浅い所定の深さに切削し、残余部を残して溝パターンを形成する切削ステップと、
前記電極金属層が前記絶縁層または前記セラミックベースと接合された状態で、前記溝パターンに沿って残された前記残余部をエッチングして前記電極パターンを形成するエッチングステップと、を含み、
前記エッチングステップは、前記残余部が前記電極金属層においてこの前記絶縁層または前記セラミックベースと接合される面の反対側に配置されるように接合された状態で、前記残余部をエッチングする、
半導体用放熱基板の製造方法。
【請求項6】
金属ベース、絶縁層、および電極金属層が順に積層された形態で接合された多層放熱基板を形成する接合ステップと、
予め設計された電極パターンの形態によって、前記電極金属層の表面から前記電極金属層の底面より浅い深さの溝を切削加工して、互いに隣接した電極パターンの間に所定厚さの残余部が残された溝パターンを形成する切削ステップと、
前記残余部を完全にエッチングして前記絶縁層を露出させることにより、前記互いに隣接した電極パターンを電気的に絶縁させるエッチングステップと、を含み、
前記接合ステップは、前記絶縁層を介して前記電極金属層と前記金属ベースとを接合しかつ、前記接合ステップの前に、前記電極金属層または前記金属ベースにおいて前記絶縁層と接する面に溝を形成した後、真空ホットプレス工程を進行させて、接合と同時に前記絶縁層と連結された補強突起を形成する、
半導体用放熱基板の製造方法。
【請求項7】
前記溝および前記補強突起は、断面がダブテール状である、
請求項6に記載の半導体用放熱基板の製造方法。
【請求項8】
予め設計された電極パターンの形態によって、電極金属層の表面から前記電極金属層の底面より浅い深さの溝を切削加工して、互いに隣接した電極パターンの間に所定厚さの残余部が残された溝パターンを形成する切削ステップと、
金属ベース、絶縁層、および前記電極金属層を順に積層された形態で接合しかつ、前記電極金属層において平らな前記底面が前記絶縁層と接するようにする接合ステップと、
前記残余部を完全にエッチングして前記絶縁層を露出させることにより、前記互いに隣接した電極パターンを電気的に絶縁させるエッチングステップと、を含み、
前記接合ステップは、前記絶縁層を介して前記電極金属層と前記金属ベースとを接合しかつ、前記接合ステップの前に、前記電極金属層または前記金属ベースにおいて前記絶縁層と接する面に溝を形成した後、真空ホットプレス工程を進行させて、接合と同時に前記絶縁層と連結された補強突起を形成する、
半導体用放熱基板の製造方法。
【請求項9】
前記溝および前記補強突起は、断面がダブテール状である、
請求項8に記載の半導体用放熱基板の製造方法。
【請求項10】
パターンスペースが間毎に形成されて、互いに電気的に絶縁された複数の電極パターンを有する電極金属板と、
前記電極金属板の下に配置されて、前記電極金属板から伝導された熱を拡散させる金属ベースと、
前記電極金属板と前記金属ベースとの間に形成された絶縁層と、
前記パターンスペースと前記複数の電極パターンで構成された電極パターングループの外側の周辺部を埋め、前記複数の電極パターンの側面に直接接触してこれらを支持するように形成された絶縁材充填部と、を含む、
半導体用放熱基板。
【請求項11】
前記絶縁層および前記絶縁材充填部は、互いに同一の電気絶縁性樹脂からなり、一体に形成された絶縁部を構成する、
請求項10に記載の半導体用放熱基板。
【請求項12】
前記電極金属板と前記金属ベースとの間の前記絶縁層内に埋め込まれた絶縁性セラミックメッシュをさらに含む、
請求項10に記載の半導体用放熱基板。
【請求項13】
前記金属ベースは、前記パターンスペースおよび前記周辺部の下の部分が前記複数の電極パターンの真下に位置した上面より低く切削された段差部をさらに含み、前記絶縁材充填部は、前記段差部の側面および底面と直接接触するように拡張された、
請求項10に記載の半導体用放熱基板。
【請求項14】
前記複数の電極パターンの側面に凹んで形成された第1切欠(notch)部または前記金属ベースの段差部の側面に凹んで形成された第2切欠(notch)部をさらに含み、前記絶縁材充填部は、前記第1切欠(notch)部または前記第2切欠(notch)部を埋めるように形成された、
請求項13に記載の半導体用放熱基板。
【請求項15】
複数の電極パターンと、前記複数の電極パターンの間毎に形成されて、これらを電気的に絶縁させるパターンスペースと、前記複数の電極パターンで構成された電極パターングループの外側を取り囲む周辺部とを有する半導体用放熱基板の製造方法において、
前記複数の電極パターンをなすこととなる電極金属板をその一面からその厚さより浅い所定の深さに切削し、残余部を残して前記パターンスペースおよび前記周辺部に対応する溝パターンを形成するステップと、
前記溝パターンが形成された前記電極金属板の一面およびそれと対面する金属ベースの一面のうち少なくとも前記電極金属板側に前記溝パターンが絶縁材で充填されるように絶縁性樹脂を印刷し、前記電極金属板と前記金属ベースとを前記絶縁性樹脂を介して接合するステップと、
前記残余部を除去して前記複数の電極パターンを互いに分離させるステップと、を含む、
半導体用放熱基板の製造方法。
【請求項16】
前記残余部の除去時に、前記残余部を切削加工して除去する、
請求項15に記載の半導体用放熱基板の製造方法。
【請求項17】
前記電極金属板と前記金属ベースとの接合時に、前記電極金属板の一面および前記金属ベースの一面それぞれに絶縁性樹脂を印刷し、これらの間に絶縁性セラミックメッシュを挿入したまま接合する、
請求項15に記載の半導体用放熱基板の製造方法。
【請求項18】
金属ベース、絶縁層、および電極金属板が順に積層された多層基板を形成するステップと、
前記多層基板を前記電極金属板側において前記金属ベースの上面より深い所定の深さに切削加工して、複数の電極パターンを定義するパターンスペースおよび前記複数の電極パターンで構成された電極パターングループの外側の周辺部に対応する溝パターンを形成するステップと、
前記溝パターンを絶縁性樹脂で充填し、硬化させて絶縁材充填部を形成するステップと、を含む、
半導体用放熱基板の製造方法。
【請求項19】
前記溝パターンの形成時に、前記複数の電極パターンの側面に凹んだ形状の第1切欠(notch)部または前記金属ベースの段差部の側面に凹んだ形状の第2切欠(notch)部を形成する、
請求項18に記載の半導体用放熱基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子実装用放熱基板、これを含む半導体モジュール、その製造方法に関する。より具体的には、本発明は、放熱板の機能と半導体素子実装用回路基板の機能を兼ねた放熱基板において、高電力半導体素子または高出力LEDなどの実装に適合するように厚い電極金属板を備えた放熱基板の製造方法およびそれによる構造的特徴に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電力産業分野では、太陽光発電や風力発電など新再生エネルギーの生成、貯蔵および活用に関する研究開発が活発に進められている。電気自動車のバッテリおよび電力系統をはじめとして多様な電気/電子機器の効率アップと安全性、そして省エネ問題についても活発な研究開発が進められている。それに用いられる核心部品は、パワーデバイスを活用したパワーモジュール、すなわち電力半導体モジュールである。照明分野においても自動車ヘッドライト、街灯、スマートファーム用植物生長などのように高い出力が必要な光源についても効率性と寿命に優れたLED光源を適用する傾向にある。
【0003】
これらのパワー系デバイスで使用される電流は数十~数百アンペア(Ampere)であり、また、電圧も数百~数千ボルト(Volt)で高電力(High-power)であるため、パワーモジュールから発生する熱が多く、その熱によるデバイスの誤動作と信頼性に問題が発生することがある。このような不良を防止するために、電力半導体素子から発生した熱をどのように迅速に放出させるかが大きな問題になっている。高出力LED光源モジュールの場合も、放熱は装置の寿命と効率性を決めつける決定的な要素である。
【0004】
従来の電力半導体用金属印刷回路基板の製造方法は、熱伝導度が高い金属基板と銅箔との間に絶縁層を挿入し、高温高圧で積層(Hot press)した後に、一般的な印刷回路基板の製造工程を経て製造する。従来の技術で製造した金属印刷回路基板(Metal PCB)の熱伝導度は一般的に3~5W/m.Kであり、十分な熱放出のために大きなヒートシンクを付着させなければならない。ここで、一般的な印刷回路基板の製造工程は、銅箔からなる層に回路電極パターンを形成するためにエッチングまたはメッキ工程を活用する。
【0005】
ところが、高電力半導体用放熱基板に従来の金属印刷回路基板の製造方法を適用するには無理が伴う。高電力半導体の実装のために電極金属板の厚さを厚くする場合、エッチングやメッキ方式では対応しにくいからである。実際に、当該技術分野において電極金属板の厚さが0.3mm以上であれば、エッチングやメッキ方式では採算性を維持しにくいと判断されるのが現状である。それだけでなく、電極パターンの断面プロファイルが悪化して絶縁破壊が起こりやすいという問題点がある。
【0006】
しかも、エッチングやメッキ工程は、有毒性化学物質や重金属物質の使用により環境汚染を誘発するという大きな問題がある。汚染物質の排出を最小化できる環境にやさしい製造方法とそれに適した放熱基板構造の開発が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第10-1336087号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためのものであって、厚さ0.2mm以上の厚い電極金属板を有する半導体用放熱基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、厚い電極金属板を有して優れた放熱性能を達成することはもちろん、絶縁耐力が向上し、高い剥離強度(Peel Strength)を有する構造を有する半導体用放熱基板を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明による半導体用放熱基板の製造方法は、厚い電極金属板を効果的にパターニングし、優れた絶縁性能、高い剥離強度を提供可能な半導体用放熱基板を環境にやさしくかつ効率的に製造できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題の解決のために、本発明の一実施形態による半導体用放熱基板は、パターンスペースによって半導体素子が実装される電極パターンが形成された電極金属層と、前記半導体素子から放出された熱を熱伝導によって拡散および発散する放熱体を構成する金属ベースと、電気的絶縁性を呈し、前記電極金属層と前記金属ベースとの間に配置された絶縁層と、前記金属ベースにおける前記絶縁層と接する面と前記電極金属層における前記絶縁層と接する面の少なくともいずれか一方に形成された溝と、前記溝内部が前記絶縁層と同一の素材で満たされた補強突起とを含み、前記パターンスペースは、前記電極金属層の表面から垂直に切削加工された部分を含んで構成される。
【0012】
前記パターンスペースは、前記電極金属層の底面より深く、前記絶縁層の底面より浅い深さに切削加工されて前記絶縁層を露出させるように構成される。
【0013】
前記パターンスペースは、等方性エッチングによって形成された部分をさらに含むことができる。
【0014】
前記溝と前記補強突起は、断面がダブテール状であってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態による半導体用放熱基板の製造方法は、金属ベース上に形成された絶縁層または絶縁性のセラミックベース上に接合される電極金属層が電極パターンをなすようにパターンスペースを形成する半導体用放熱基板の製造方法において、前記電極金属層をその一面から前記電極金属層の厚さより浅い所定の深さに切削し、残余部を残して溝パターンを形成する切削ステップと、前記電極金属層が前記絶縁層または前記セラミックベースと接合された状態で、前記溝パターンに沿って残された前記残余部をエッチングして前記電極パターンを形成するエッチングステップと、を含み、前記エッチングステップは、前記残余部が前記電極金属層においてこの前記絶縁層または前記セラミックベースと接合される面の反対側に配置されるように接合された状態で、前記残余部をエッチングするように構成される。
【0016】
本発明の一実施形態による半導体用放熱基板の製造方法は、金属ベース、絶縁層、および電極金属層が順に積層された形態で接合された多層放熱基板を形成する接合ステップと、予め設計された電極パターンの形態によって、前記電極金属層の表面から前記電極金属層の底面より浅い深さの溝を切削加工して、互いに隣接した電極パターンの間に所定厚さの残余部が残された溝パターンを形成する切削ステップと、前記残余部を完全にエッチングして前記絶縁層を露出させることにより、前記互いに隣接した電極パターンを電気的に絶縁させるエッチングステップと、を含み、前記接合ステップは、前記絶縁層を介して前記電極金属層と前記金属ベースとを接合しかつ、前記接合ステップの前に、前記電極金属層または前記金属ベースにおいて前記絶縁層と接する面に溝を形成した後、真空ホットプレス工程を進行させて、接合と同時に前記絶縁層と連結された補強突起を形成するように構成される。
【0017】
前記溝および前記補強突起は、断面がダブテール状であってもよい。
【0018】
本発明の一実施形態による半導体用放熱基板の製造方法は、予め設計された電極パターンの形態によって、電極金属層の表面から前記電極金属層の底面より浅い深さの溝を切削加工して、互いに隣接した電極パターンの間に所定厚さの残余部が残された溝パターンを形成する切削ステップと、金属ベース、絶縁層、および前記電極金属層を順に積層された形態で接合しかつ、前記電極金属層において平らな前記底面が前記絶縁層と接するようにする接合ステップと、前記残余部を完全にエッチングして前記絶縁層を露出させることにより、前記互いに隣接した電極パターンを電気的に絶縁させるエッチングステップと、を含み、前記接合ステップは、前記絶縁層を介して前記電極金属層と前記金属ベースとを接合しかつ、前記接合ステップの前に、前記電極金属層または前記金属ベースにおいて前記絶縁層と接する面に溝を形成した後、真空ホットプレス工程を進行させて、接合と同時に前記絶縁層と連結された補強突起を形成するように構成される。
【0019】
前記溝および前記補強突起は、断面がダブテール状であってもよい。
【0020】
本発明の一実施形態による半導体用放熱基板は、パターンスペースが間毎に形成されて、互いに電気的に絶縁された複数の電極パターンを有する電極金属板と、前記電極金属板の下に配置されて、前記電極金属板から伝導された熱を拡散させる金属ベースと、前記電極金属板と前記金属ベースとの間に形成された絶縁層と、前記パターンスペースと前記複数の電極パターンで構成された電極パターングループの外側の周辺部を埋め、前記複数の電極パターンの側面に直接接触してこれらを支持するように形成された絶縁材充填部と、を含んで構成される。
【0021】
前記絶縁層および前記絶縁材充填部は、互いに同一の電気絶縁性樹脂からなり、一体に形成された絶縁部を構成することができる。
【0022】
前記電極金属板と前記金属ベースとの間の前記絶縁層内に埋め込まれた絶縁性セラミックメッシュをさらに含むことができる。
【0023】
前記金属ベースは、前記パターンスペースおよび前記周辺部の下の部分が前記複数の電極パターンの真下に位置した上面より低く切削された段差部をさらに含み、前記絶縁材充填部は、前記段差部の側面および底面と直接接触するように拡張される。
【0024】
この時、前記複数の電極パターンの側面に凹んで形成された第1切欠(notch)部または前記金属ベースの段差部の側面に凹んで形成された第2切欠(notch)部をさらに含み、前記絶縁材充填部は、前記第1切欠(notch)部または前記第2切欠(notch)部を埋めるように形成される。
【0025】
本発明の一実施形態による半導体用放熱基板の製造方法は、複数の電極パターンと、前記複数の電極パターンの間毎に形成されて、これらを電気的に絶縁させるパターンスペースと、前記複数の電極パターンで構成された電極パターングループの外側を取り囲む周辺部とを有する半導体用放熱基板の製造方法において、前記複数の電極パターンをなすこととなる電極金属板をその一面からその厚さより浅い所定の深さに切削し、残余部を残して前記パターンスペースおよび前記周辺部に対応する溝パターンを形成するステップと、前記溝パターンが形成された前記電極金属板の一面およびそれと対面する金属ベースの一面のうち少なくとも前記電極金属板側に前記溝パターンが絶縁材で充填されるように絶縁性樹脂を印刷し、前記電極金属板と前記金属ベースとを前記絶縁性樹脂を介して接合するステップと、前記残余部を除去して前記複数の電極パターンを互いに分離させるステップと、を含んで構成される。
【0026】
前記残余部の除去時に、前記残余部を切削加工して除去することができる。
【0027】
前記電極金属板と前記金属ベースとの接合時に、前記電極金属板の一面および前記金属ベースの一面それぞれに絶縁性樹脂を印刷し、これらの間に絶縁性セラミックメッシュを挿入したまま接合することができる。
【0028】
本発明の一実施形態による半導体用放熱基板の製造方法は、金属ベース、絶縁層、および電極金属板が順に積層された多層基板を形成するステップと、前記多層基板を前記電極金属板側において前記金属ベースの上面より深い所定の深さに切削加工して、複数の電極パターンを定義するパターンスペースおよび前記複数の電極パターンで構成された電極パターングループの外側の周辺部に対応する溝パターンを形成するステップと、前記溝パターンを絶縁性樹脂で充填し、硬化させて絶縁材充填部を形成するステップと、を含んで構成される。
【0029】
前記溝パターンの形成時に、前記複数の電極パターンの側面に凹んだ形状の第1切欠(notch)部または前記金属ベースの段差部の側面に凹んだ形状の第2切欠(notch)部を形成することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、厚さ0.2mm以上の厚い電極金属板を有する半導体用放熱基板およびこれを効率的に生産できる製造方法が提供される。
【0031】
本発明によれば、厚い電極金属板を有して優れた放熱性能を達成することはもちろん、絶縁耐力が向上し、高い剥離強度(Peel Strength)を有する構造を有する半導体用放熱基板を提供することができる。
【0032】
また、本発明によれば、厚い電極金属板を効果的にパターニングし、優れた絶縁性能、高い剥離強度を提供可能な半導体用放熱基板を効率的に製造できる半導体用放熱基板の製造方法が提供される。
【0033】
さらに、本発明によれば、環境汚染を誘発するエッチングおよびメッキ工程を排除し、これを有毒性化合物、重金属化合物などの使用や排出のない機械加工工程に代替することにより、環境にやさしい工程で半導体用放熱基板を製造可能にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施例による電力半導体モジュールを示す図。
図2】本発明の一実施例による半導体用放熱基板の電極パターニング工程を示す図。
図3】本発明の一実施例として切削機械を用いた電極パターニング工程を示す図。
図4】本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す図。
図5】本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す図。
図6】本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す図。
図7】本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す図。
図8】本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す図。
図9】本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す図。
図10】本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す図。
図11】本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す図。
図12】本発明の一実施例による半導体用放熱基板が適用された電力半導体モジュールを示す図。
図13】本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す図。
図14】前記図13の半導体用放熱基板を製造する工程を示す図。
図15】本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す図。
図16】前記図15の半導体用放熱基板を製造する工程を示す図。
図17】本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す図。
図18】前記図17の半導体用放熱基板を製造する工程を示す図。
図19】本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の多様な実施例を説明する。実施例により本発明の技術的思想がより明確に理解されるであろう。また、本発明は、以下に説明された実施例に限定されるものではなく、本発明の属する技術的思想の範囲内で多様な形態に変形可能である。一方、同一の図面符号は、本発明の観点から共通した特性を有する構成要素であることを示すものであって、一つの図面に関する説明で言及されたものと同一の図面符号を有する構成要素に関する説明は、他の図面に関する説明では省略可能である。本明細書において、上、下、上面、底面などの方向は、参照された図面に示された方向を基準とする。
【0036】
図1は、本発明の一実施例による電力半導体モジュールを示す。
【0037】
(a)にて、発明の一実施例による電力半導体モジュールMは、半導体用放熱基板101と、電力半導体素子301とを含む。前記電力半導体素子301は、前記半導体用放熱基板101の上面の電極パターン31上に実装され、ワイヤボンディング302により電気的に連結される。
【0038】
(b)は、前記(a)に表示されたI-I’断面を示す。前記半導体用放熱基板101は、図面の下から金属ベース10と、絶縁層20と、電極金属層30とで構成される。前記金属ベース10は、銅、アルミニウムなどの熱伝導性に優れた金属からなり、前記絶縁層20は、電気絶縁性の合成樹脂、酸化物または窒化物を含んで構成される。前記絶縁層20は、電気絶縁性以外にも、熱伝導性および耐熱性に優れた素材からなることが好ましく、粘着あるいは接着性を有して前記金属ベース10と前記電極金属層30とを接合させる役割を兼ねることもできる。電極金属層30は、銅、銅-マンガン合金など、比抵抗が低く、熱伝導性に優れた金属からなってもよい。電極パターン31は、前記電極金属層30の一部分が底まで削除されて前記絶縁層20を露出させるパターンスペース32によって形成される。ここで、前記電極金属層30の厚さは、0.2mm以上であることが好ましい。
【0039】
図2は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板の電極パターニング工程を示す。
【0040】
(a)は、大量生産工程の例として、大面積の多層放熱基板Bの上面を構成する電極金属層30に、それぞれの半導体モジュールに対応する回路パターンがアレイ状に多数配置されるように、固定深さ切削機械Eで前記電極金属層30をパターニングする様子を示す。
【0041】
(b)は、固定深さ切削機械Eの構成を詳しく示す(具体的な構成に関する説明は大韓民国登録特許公報第10-1336087号参照)。一定の深さdを維持しながら切削することにより、パターンスペースをなす溝パターン32Eを形成する。
【0042】
図3は、本発明の一実施例として切削機械を用いた電極パターニング工程を示す。
【0043】
本図面は、第1実施例による半導体用放熱基板M0の製造方法を示す。金属ベース10、絶縁層20、および電極金属層30が下から順に積層された状態で、固定深さ切削機械Eを用いて前記電極金属層30の厚さより深く絶縁層20だけを露出させる深さのパターンスペース32を形成する。
【0044】
図4は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す。本図面は、第2実施例による半導体用放熱基板M1の製造方法を示す。
【0045】
(a)図3の実施例と同様に、金属ベース10、絶縁層20、および電極金属層30が下から順に積層された多層放熱基板101を形成し、電極金属層30の上面に電極パターン形態のマスクパターン41を形成する。
【0046】
(b)固定深さ切削機械Eを用いてマスクパターン41が印刷されていない部分に、パターンスペースに対応する溝パターン32Eを形成する。この時、前記溝パターン32Eの底に0.05mm~0.1mmである厚さtの残余部を残す。
【0047】
(c)エッチングにより前記溝パターンの底の残余部を除去して、絶縁層20を露出させる。各モジュールに対応するように多層放熱基板101を切断すると、半導体用放熱基板M1が完成する。
【0048】
図5は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す。本図面は、第3実施例による半導体用放熱基板M1の製造方法を示す。
【0049】
(a)電極金属層30の上面に、固定深さ切削機械Eを用いて溝パターン32Eを形成する。この時、前記溝パターン32Eの底に所定厚さtの残余部320を残す。ここで、所定の厚さtは、図4の実施例の通りである。前記とは別途に、金属ベース10の上面に絶縁層20が積層された基板を用意する。
【0050】
(b)前記(a)にて溝パターン32Eが形成された電極金属層30を、金属ベース10の上面に絶縁層20が積層された基板上に接合する。接合には、真空ホットプレス工法が適用可能である。熱伝導性に優れた接着剤を用いた接着も可能であり、前記絶縁層20が接着層としての機能を有することもできる。
【0051】
(c)エッチングにより溝パターンの底の残余部320を除去して、絶縁層20を露出させる。各モジュールに対応するように放熱基板を切断すると、半導体用放熱基板M1が完成する。
【0052】
図6は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す。本図面は、第4実施例による半導体用放熱基板M2の製造方法を示す。
【0053】
(a)前記図5の実施例と同様に、電極金属層30に溝パターン32Eを形成し、所定厚さtの残余部321を残す。図5(a)と異なる点は、マスクパターン42の反対側面を固定深さ切削機械Eで加工するという点である。同じくこれとは別途に、金属ベース10の上面に絶縁層20が積層された基板を用意する。
【0054】
(b)金属ベース10と絶縁層20とが積層された基板上に、前記(a)にて溝パターン32Eが形成された電極金属層30を接合する。この時、前記溝パターンが形成された面が絶縁層20と接するようにし、マスクパターン42と残余部321のある面が上面をなすようにする。
【0055】
(c)マスクパターン42が形成された面から露出した残余部321をエッチングにより削除する。エッチングの代わりに、前記固定深さ切削機械Eを用いて前記残余部321を追加的に切削してもよい。この場合、前記固定深さ切削機械Eの切削深さは、前記残余部321の厚さtより深く、前記パターンスペース32の深さを超えないようにする。その結果、パターンスペース32を介して絶縁層20の露出した構造が形成される。各モジュールに対応するように多層放熱基板を切断すると、半導体用放熱基板M2が完成する。
【0056】
図7は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す。本図面は、第5実施例による半導体用放熱基板M3の製造方法を示す。
【0057】
(a)ヒートシンクとしてセラミックベース11が適用される。セラミックベース11上に電極金属層30が接合された構造の多層放熱基板を備え、電極金属層30の上面にマスクパターン41を形成する。セラミックベース11は、窒化アルミニウム(AlN)、炭化シリコン(SiC)などの素材からなってもよく、前記セラミックベース11と電極金属層30との接合には、DCB(Direct Copper Bonding)、AMB(Active Metal Brazing)などのすでに商用化された技術が適用可能である。
【0058】
固定深さ切削機械Eを用いて溝パターン32Eを形成する時、所定深さtの残余部320を残す。切削ツールが電極金属層30を貫通してセラミックベース11と直接接触しないようにマージンをおいたのである。
【0059】
(b)上面からのエッチングにより前記残余部320を除去し、パターンスペース32を介してセラミックベース11を露出させる。各モジュールに対応するように多層放熱基板を切断すると、半導体用放熱基板M3が完成する。
【0060】
図8は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す。本図面は、第6実施例による半導体用放熱基板M3の製造方法を示す。
【0061】
(a)前述した図5(a)と同様に、電極金属層30の上面にマスクパターン41が形成された状態で、固定深さ切削機械Eを用いて溝パターン32Eを形成しかつ、前記溝パターン32Eの底に所定厚さtの残余部320を残す。これとは別途に、セラミックベース11を用意する。セラミックベース11の素材については、前記図7の実施例で説明した通りである。
【0062】
(b)前記(a)にて底に残余部320が残るように溝パターン32Eが形成された電極金属層30を前記残余部320側がセラミックベース11に接するようにして互いに接合する。接合には同じく、前述したDCBまたはAMBなどの技術が適用可能である。
【0063】
(c)前述した図7(b)と同様に、マスクパターン41がある上面からのエッチングにより残余部を除去する。各モジュールに対応するように多層放熱基板を切断すると、半導体用放熱基板M3が完成する。
【0064】
図9は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板の製造方法を示す。本図面は、第7実施例による半導体用放熱基板M4の製造方法を示す。
【0065】
(a)まず、前述した図6(a)と同様に、マスクパターン42の反対側面を固定深さ切削機械Eで加工して電極金属層30に溝パターン32Eを形成し、所定厚さtの残余部321を残す。それとは別途に、セラミックベース11を用意する。
【0066】
(b)前記セラミックベース11上に前記溝パターン32E側がセラミックベース11を向き、その反対側である上面に前記マスクパターン42と残余部321が位置した状態で、前記セラミックベース11と前記電極金属層30とを接合する。接合技術は、前記図8の実施例で説明した通りである。
【0067】
(c)その後、エッチングにより残余部321削除する。エッチングの代わりに、前記固定深さ切削機械Eを用いて前記残余部321追加的に切削してもよい。この場合、前記固定深さ切削機械Eの切削深さは、前記残余部321の厚さtより深く、パターンスペース32の深さを超えないようにする。各モジュールに対応するように多層放熱基板を切断すると、半導体用放熱基板M4が完成する。
【0068】
図10は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す。
【0069】
本実施例による半導体用放熱基板M5は、金属ベース12にヒートシンク構造物Hが一体に形成されたという点に特徴がある。電極金属層30および絶縁層20は、前述した図3図6の実施例のいずれか1つと同様の方法で形成される。一方、前記金属ベース12の代わりに、ヒートシンク構造物が一体に形成されたセラミックベースが採用されてもよい。
【0070】
一方、前述した実施例において、パターンスペース32と電極パターン31との境界をなす段差部の断面プロファイルは、前記電極金属層30の表面側から前記絶縁層20またはセラミックベース11が露出した面に至るまで前記2つの面に対して垂直であるか、ほぼ垂直に近く形成される。
【0071】
図3図6または図9の実施例において、エッチング工程なしに、前記固定深さ切削機械Eだけでパターンスペース32が形成された場合は、前記段差部が実質的に垂直に形成され、図4図9の実施例でエッチング工程により残余部320、321を削除する場合も、前記残余部の厚さtが0.1mm未満であって、電極金属層30のごく一部分に相当するため、等方性ウェットエッチング工程により残余部を削除しても、前記段差部と前記絶縁層20またはセラミックベース11との出会う部分の曲率半径(R)は0.1mm以下に形成される。したがって、パターンスペース32を挟んで隣接した2つの電極パターン31の間に優れた絶縁特性を得ることができる。
【0072】
図11は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す。
【0073】
本実施例による半導体用放熱基板M6は、金属ベース10の絶縁層20と接する面と電極金属層30の前記絶縁層20と接する面のいずれか一方または両方ともに、断面がダブテール状の補強突起21、23がさらに備えられる。前記補強突起21、23は、図示のように、断面がダブテール状の溝が前記絶縁層20と同一の素材で満たされて形成される。前記絶縁層20の素材として、電気絶縁性および熱伝導性に優れたエポキシ樹脂などが適用可能である。
【0074】
本実施例による半導体用放熱基板M6の製造過程で、前記金属ベース10および/または前記電極金属層30にダブテール状の溝を加工し、前記金属ベース10と前記電極金属層30との間にエポキシ樹脂を介在させて、真空ホットプレス工程によりこれらを接合することにより、前記補強突起21、23を形成することができる。
【0075】
このように形成された前記補強突起21、23は、前記金属ベース10をなす素材と前記電極金属層30をなす素材との間で線膨張係数の差があっても、それによってこれらの層と前記絶縁層20との間の境界面が剥離されるのを防止することができる。
【0076】
図12は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板が適用された電力半導体モジュールを示す。
【0077】
発明の一実施例による半導体用放熱基板101が適用された電力半導体モジュールM7は、電力半導体素子301を含む。前記電力半導体素子301は、前記半導体用放熱基板102の上面に形成された複数の電極パターン31の少なくとも1つの電極パターン上に実装され、ワイヤボンディング302により電気的に連結される。一方、これとは異なる形態の例として、電力半導体素子は、複数の入出力端子またはパッド電極を備え、これらが前記半導体用放熱基板102の複数の電極パターン31上に表面実装(SMT)されてもよい。前記複数の電極パターン31は、電極パターンと電極パターンとの間のパターンスペース32および複数の電極パターンで構成された電極パターングループの周辺部に充填された絶縁体によって取り囲まれたアイランド状に形成される。
【0078】
図13は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す。本図面は、前記図12のII-II’断面に対応する半導体用放熱基板の断面図である。
【0079】
前記半導体用放熱基板M7は、図面の下から金属ベース10と、絶縁層20を含む絶縁部21と、電極金属板30から形成された複数の電極パターン31とを含んで構成される。前記複数の電極パターン31の間には、隣接した電極パターンの間を互いに電気的に絶縁させるパターンスペース32が配置される。前記パターンスペース32および前記複数の電極パターン31で構成された電極パターングループの周辺部は、絶縁材で充填される。
【0080】
前記金属ベース10は、銅、アルミニウムなどの熱伝導性に優れた金属からなる。前記金属ベース10は、厚い金属板または金属ブロックからなってもよい。一方、図示しないが、前記金属ベース10の底面などには、外部との接触面積を拡張して熱発散効果を高めるための放熱フィン構造物が形成される。
【0081】
前記絶縁部21は、前記金属ベース10と前記電極金属板30との間の絶縁層20と前記パターンスペース32および複数のパターン電極31の周辺部に絶縁体が充填された絶縁材充填部で構成される。前記絶縁層20は、電気絶縁性の合成樹脂、酸化物または窒化物を含んで構成される。前記絶縁層20は、電気絶縁性以外にも、熱伝導性および耐熱性に優れた素材からなることが好ましく、粘着あるいは接着性を有して前記金属ベース10と前記電極金属板30とを接合させる役割を兼ねることもできる。前記絶縁材充填部は、前述した絶縁層20と同一の素材からなり、前記絶縁部21が一体に形成される。前記絶縁部21を形成するものとして、前記のように電気絶縁性と熱伝導性および耐熱性などの条件を満たす素材にエポキシ系の合成樹脂が挙げられる。
【0082】
電極金属板30は、銅、銅-マンガン合金、アルミニウム、ニッケルなど、比抵抗が低く、熱伝導性および加工性に優れた金属からなってもよい。前記電極パターン31は、前記電極金属板30の一部分が底まで削除されて前記絶縁層20を露出させる絶縁スペース32によって区画される。
【0083】
ここで、前記電極金属板30の厚さTは、0.2mm以上であることが好ましい。また、前記絶縁層20の厚さをt1、前記周辺部および絶縁スペース32の絶縁体の厚さをt2、そして前記絶縁層20の底面から前記電極パターン31の上面までの高さをHとする時、これらは互いに次のような関係を有する。
【0084】
<式1>t1<t2≦H
【0085】
つまり、前述した周辺部および絶縁スペース32に充填された絶縁体の高さは、前記電極パターン31の底面より高く、前記電極パターン31の上面より低いか等しいように形成されることが好ましい。このような構造は、前記複数の電極パターン31間の絶縁耐力はもちろん、半導体用放熱基板101と外部回路との間の絶縁耐力も向上させることができる。また、絶縁材充填部に前記電極パターン31の少なくとも一部が埋め込まれている構造であるので、前記複数の電極パターン31に対する剥離強度を向上させる。
【0086】
図14は、前記図13の半導体用放熱基板を製造する工程を示す。
【0087】
まず、(a)に示されるように、電極金属板30の一面にエンドミルなどの切削ツールを用いた切削加工(ミリング)により、前述したパターンスペースおよび周辺部に対応する一定の深さの溝パターン330を形成する。前記溝パターン330の深さは、前記電極金属板30の厚さより浅くして、前記溝パターン330の底に残余部331を残す。前記残余部331は、平面的にみると、前記パターンスペースおよび前記周辺部に対応する部分の全部に対して残すことができる。また、前記残余部331の厚さは、0.2mm未満であることが好ましく、より好ましくは0.05mm~0.1mmの厚さに形成される。
【0088】
(b)に示されるように、金属ベース10の上面に絶縁性樹脂200、例えば、エポキシ樹脂を印刷し、前記溝パターン330が形成された面に前記と同一の絶縁性樹脂200が印刷された状態でひっくり返して、前記絶縁性樹脂200が塗布された2つの面が互いに向かい合うように配置する。
【0089】
(c)に示されるように、前記(b)工程で用意された部材を真空ホットプレス工程により接合する。その結果、前述のように、2つの部材の互いに向かい合う面それぞれに印刷された絶縁性樹脂200は、一体に硬化して絶縁部21を形成する。
【0090】
ただし、前記(b)、(c)の例とは異なり、前記金属ベース10の上面と前記電極金属板30における溝パターン330の形成された面のいずれか1つの面に十分な厚さに絶縁性樹脂200を塗布し、これらを互いに接合してもよい。
【0091】
次に、(d)に示されるように、前述した残余部331、すなわち、前述した溝パターン330によって区画された複数の電極パターン31が薄い厚さに互いに連結されている部分をエッチング(Etching)またはミリング(Milling)により除去してパターンスペース32を形成する。そして、図面に表示されたカッティングラインCTに沿ってカッティングすることにより、単一モジュール単位の半導体用放熱基板を完成する。
【0092】
図15は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す。
【0093】
本実施例による半導体用放熱基板M8は、絶縁部22内に絶縁性メッシュ25を含むという点から、前述した図13の実施例による半導体用放熱基板101と差異があり、残りの部分は同一である。前記絶縁性メッシュ25は、固形の無機絶縁材、例えば、セラミック材質のメッシュであってもよい。前記絶縁性メッシュ25は、前記絶縁部22の残りの部分をなす絶縁性素材より比抵抗が高く、熱伝導度が高いセラミック材質からなり、電極パターン31と金属ベース10との間の絶縁耐力および熱伝導率を向上させるのに寄与することができる。また、前記絶縁部22の熱膨張を抑制したり、機械的強度を高めるのにも寄与することができる。
【0094】
図16は、前記図15の半導体用放熱基板を製造する工程を示す。
【0095】
まず、(a)には、前述した図14(b)のように、電極金属板30の溝パターン330が形成された面と金属ベース10の上面にそれぞれ絶縁性樹脂200が印刷された状態で、向かい合う絶縁性樹脂200の間に前記絶縁性メッシュ25が配置された状態が示される。
【0096】
(b)には、前記のような状態で真空ホットプレス工程を進行させて、前記絶縁部22内に前記絶縁性メッシュ25が介在したまま前記電極金属板と前記金属ベース10とが接合され、前述した図14(d)のようなエッチングまたはミリング工程により残余部が除去されて複数の電極パターン31とパターンスペース32および周辺部が形成された様子が示される。そして、カッティングラインCTに沿ってカッティングされると、本実施例による半導体用放熱基板が完成する。
【0097】
図17は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す。
【0098】
本実施例による半導体用放熱基板M9は、絶縁部23における複数の電極パターン31間のパターンスペース322をなす部分と前記複数の電極パターン31の外側の周辺部をなす部分が次のような構造に形成される。第一、絶縁部23の上面が前記複数の電極パターン31の上面と同じ高さに形成される。第二、当該部分における前記絶縁部23の底面が前記金属ベース11の厚さ方向に拡張される。すなわち、前記金属ベース11の上面における前記電極パターン31の底面と対面する部分を除いた残りの部分が所定の深さに掘られて絶縁体で充填された構造を有する。
【0099】
言い換えれば、電極パターン31の厚さをT、電極パターン31と金属ベース11との間の絶縁層の厚さをt1、そして前記絶縁部23中のパターンスペース322および前記周辺部に対応する部分の厚さをt3とする時、下記式のような関係が成立する。
【0100】
<式2>T+t1<t3
【0101】
このような構造の半導体用放熱基板103では、電極パターン31の側面が絶縁部23に全部埋め込まれて、前述した図13の実施例と同様に、複数の電極パターン31間および外部導電体との絶縁耐力が向上することはもちろん、電極パターン31の剥離強度も向上する。また、前記絶縁部23におけるパターンスペース322および周辺部が前記金属ベース11の上面に形成された段差部と噛み合って支持されるので、横方向の荷重に強く、金属と絶縁体との間の熱膨張率の差による変形や破損も防止できる。このような構造によって、前記絶縁部23と前記金属ベース11との間の剥離強度も向上する。
【0102】
図18は、前記図17の半導体用放熱基板を製造する工程を示す。
【0103】
(a)に示されるように、金属ベース10、絶縁層20、および電極金属板30が下から順に積層された多層基板を用意する。このような多層基板は、前述した実施例と同様に、金属ベース10と電極金属板30の向かい合う2つの面の間に絶縁性樹脂を印刷あるいは塗布し、真空ホットプレス工程によりこれらを接合することにより設けられる。
【0104】
(b)に示されるように、前記電極金属板30の表面から切削加工、例えば、エンドミルツールを用いたミリング加工を行って、前記複数の電極パターン31間のパターンスペース322および前記複数の電極パターン31で構成された電極パターングループの外側の周辺部を前記金属ベース10の上面よりも深く切削することにより、溝パターンを形成する。すなわち、前記電極金属板30の厚さTと前記絶縁層20の厚さt1とを合わせたものよりも深く切削して、前記金属ベース11の上部に前記電極パターン31の底面と対面する部分より低い段差部111を形成する。
【0105】
その後、(c)に示されるように、切削された部分である前記溝パターンに絶縁性樹脂を充填し、硬化させて絶縁材充填部201を形成する。前記絶縁材充填部201は、前述した絶縁層20と同一の絶縁性素材で形成される。これにより、絶縁部23において前記絶縁層20と前記絶縁材充填部201とは一体をなす。カッティングラインCTに沿ってカッティングすると、1つの半導体モジュールのための半導体用放熱基板が完成する。
【0106】
図19は、本発明の一実施例による半導体用放熱基板を示す。
【0107】
本実施例による半導体用放熱基板M10は、切削加工により前記電極パターン31の側面に形成された第1切欠部312を含むという点、および/または前記金属ベース12の段差部121の側面に形成された第2切欠部122を含むという点から、前記図6の実施例による半導体用放熱基板103と差異がある。これとともに、前記第1切欠部312および/または前記第2切欠部122を満たして形成された絶縁材充填部202の構造に差異があるという点を除き、本実施例の残りの構成は、前述した図6の実施例と同一である。
【0108】
ここで、前記第1切欠部312および前記第2切欠部122は、前記電極パターン31および前記金属ベース12の上/下面に垂直をなす前記側面から内側に凹んで形成される。前記第1および第2切欠部312、122は、図7(b)を参照して前述した切削工程で、一般的なエンドミルの代わりに、溝パターンおよび切欠部の形状に合わせて製作されたフォームツール(Form Tool)を用いて切削することにより形成することができる。前記切欠部は、溝パターンと同時に形成されてもよく、溝パターンの形成後に形成されてもよい。前記フォームツールを用いた切削加工は、前記金属ベース12に平行な方向に行われる。
【0109】
本実施例による半導体用放熱基板104は、前記第1切欠部312および前記第2切欠部122を両方とも含んでもよく、いずれか1つだけを含んで構成されてもよい。前記第1切欠部312および前記第2切欠部122は、絶縁材充填部202の側面がそれぞれ前記電極パターン31および前記金属ベース12に噛み合うようにすることにより、前記半導体用放熱基板104の剥離強度を大きく向上させる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、放熱板の機能と半導体素子実装用回路基板の機能を兼ねた放熱基板の製造に利用可能である。本発明による半導体用放熱基板は、電力半導体素子または高出力LEDなどが含まれた半導体モジュールの製造に活用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】