IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノビオン ファーマシューティカルズ インクの特許一覧

<>
  • 特表-放出調節製剤およびその使用 図1
  • 特表-放出調節製剤およびその使用 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】放出調節製剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/40 20060101AFI20220803BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20220803BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220803BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
A61K31/40
A61P25/18
A61P25/24
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572445
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2020036084
(87)【国際公開番号】W WO2020247603
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】62/856,863
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/011,584
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500114922
【氏名又は名称】サノビオン ファーマシューティカルズ インク
【氏名又は名称原語表記】Sunovion Pharmaceuticals Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】淺田 拓海
(72)【発明者】
【氏名】ガルッピ,ジェラルド アール
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス,セス キャボット
(72)【発明者】
【氏名】丸山 芽含
(72)【発明者】
【氏名】トゥーンスワン,シリポーン
(72)【発明者】
【氏名】対馬 悠貴
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD38
4C076DD41C
4C076EE06
4C076EE32M
4C076EE38
4C076FF04
4C076FF05
4C076FF09
4C076FF31
4C076FF67
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC07
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA12
4C086ZA12
4C086ZA18
(57)【要約】
ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩を含む固体経口剤形の放出調節組成物、ならびに様々な疾患および障害の治療に使用されるそれらを含む医薬、ならびに、限定されるものではないが、投与レジメンを含む様々な疾患および障害の治療にそれらを使用する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体経口剤形の医薬組成物であって、固体経口剤形が、
ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩;および
固体経口剤形の総重量に対して約10%から約50%の量の持続放出性薬剤を含み、ここで、対象集団に投与した場合に、アミスルプリド10mg当たり約0.45ミリ秒(ms)未満の投与後12時間の期間での基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長を提供する、医薬組成物。
【請求項2】
基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、基準値に対する集団の平均の最大QTcF間隔延長である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.40ミリ秒(ms)未満である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.35ミリ秒(ms)未満である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.30ミリ秒(ms)未満である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、(a)アミスルプリド10mg当たり約0.25ミリ秒(ms)未満;または(b)アミスルプリド10mg当たり約0.20ミリ秒(ms)未満;または(c)アミスルプリド10mg当たり約0.15ミリ秒(ms)未満;または(d)アミスルプリド10mg当たり約0.10ミリ秒(ms)未満;または(e)アミスルプリド10mg当たり約0.05ミリ秒(ms)未満、または(f)アミスルプリド10mg当たり約0.02ミリ秒(ms)未満である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
固体経口剤形が錠剤である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩の量が、遊離塩基の重量で(a)約100mg;または(b)約150mg;または(c)約200mg;または(d)約250mg;または(e)約300mgである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
持続放出性薬剤が、マトリックス形成剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
マトリックス形成剤が、1つまたは複数のセルロースエーテルを含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
持続放出性薬剤が、(a)固体経口剤形の総重量に対して約30%から約50%;または(b)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約40%;または(c)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
持続放出性薬剤が、固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
固体経口剤形が、固体経口剤形の総重量に対して、
約35%から約55%のラセミアミスルプリド、
約10%から約50%の薬学的に許容される充填剤、および
約20%から約35%の持続放出性薬剤
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
統合失調症、統合失調症の陰性症状、持続性鬱病性障害(PDD)、治療抵抗性鬱病(TRD)、大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)、ならびに鬱病から選択される精神障害を治療する方法であって、請求項1に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項15】
精神障害が、1つまたは複数の統合失調症および統合失調症の陰性症状である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
精神障害が、1つまたは複数の大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
遊離塩基の重量でラセミアミスルプリドを1日当たり約100mgから約1200mgの総量で、固形経口剤形を1日1回投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
固体経口剤形の医薬組成物であって、固体経口剤形が、
200mgのラセミアミスルプリド;および
固体経口剤形の総重量に対して、約10%から約50%の量の持続放出性薬剤を含み、ここで、対象集団に投与した場合に、(a)約10ミリ秒(ms)未満;または(b)約9ミリ秒(ms)未満;または(c)約8ミリ秒(ms)未満;または(d)約7ミリ秒(ms)未満;または(e)約6ミリ秒(ms)未満;または(f)約5ミリ秒(ms)未満の投与後12時間の期間での基準値に対する集団の平均の最大QTcF間隔延長を提供する、医薬組成物。
【請求項19】
基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、基準値に対する集団の平均の最大QTcF間隔延長である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
固体経口剤形が錠剤である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
投与した固体経口剤形が、(a)約350ng/mL未満;(b)約300ng/mL未満;または(c)約250ng/mL未満の集団の幾何平均血漿Cmaxを提供する、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
持続放出性薬剤が、マトリックス形成剤を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項23】
マトリックス形成剤が、1つまたは複数のセルロースエーテルを含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
持続放出性薬剤が、(a)固体経口剤形の総重量に対して約30%から約50%;または(b)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約40%;または(c)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項25】
持続放出性薬剤が、固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項26】
統合失調症、統合失調症の陰性症状、持続性鬱病性障害(PDD)、治療抵抗性鬱病(TRD)、大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)、ならびに鬱病から選択される精神障害を治療する方法であって、請求項18に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項27】
精神障害が、1つまたは複数の統合失調症および統合失調症の陰性症状である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
精神障害が、1つまたは複数の大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
遊離塩基の重量でラセミアミスルプリドを1日当たり約100mgから約1200mgの総量で、固形経口剤形を1日1回投与することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
精神障害を治療する方法であって、ラセミアミスルプリドを、固体経口剤形として対象に投与することを含み、固体経口剤形が、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩、および固体経口剤形の総重量に対して約10%から約50%の量の持続放出性薬剤を含み、ここで、投与により、アミスルプリド10mg当たり約0.4ミリ秒(ms)未満の基準値に対する対象集団の平均の最大QT間隔延長が提供される、方法。
【請求項31】
基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、投与後12時間の期間での基準値に対する集団の平均の最大QTcF間隔延長である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.35ミリ秒(ms)未満である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.3ミリ秒(ms)未満である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.25ミリ秒(ms)未満である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
投与が1日1回である、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
固体経口剤形が錠剤である、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
遊離塩基の重量で1日当たり約100mgから約1200mgのアミスルプリドを投与する、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
精神障害が、統合失調症、統合失調症の陰性症状、持続性鬱病性障害(PDD)、治療抵抗性鬱病(TRD)、大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)、ならびに鬱病から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
精神障害が、1つまたは複数の統合失調症および統合失調症の陰性症状である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
精神障害が、1つまたは複数の大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
持続放出性薬剤が、マトリックス形成剤を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
マトリックス形成剤が、1つまたは複数のセルロースエーテルを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
持続放出性薬剤が、(a)固体経口剤形の総重量に対して約30%から約50%;または(b)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約40%;または(c)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量である、請求項30に記載の方法。
【請求項44】
持続放出性薬剤が、固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項45】
固体経口剤形が、固体経口剤形の総重量に対して、
約35%から約55%のラセミアミスルプリド、
約10%から約50%の薬学的に許容される充填剤、および
約20%から約35%の持続放出性薬剤
を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項46】
固体経口剤形の医薬組成物であって、固体経口剤形が、
ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩;および
固体経口剤形の総重量に対して、約10%から約50%の量の持続放出性薬剤を含み、ここで、二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、1時間後に約30%未満のアミスルプリドを放出し、3時間後に約30%超かつ約55%未満のアミスルプリドを放出し、6時間後に約50%超かつ約90%未満のアミスルプリドを放出する、医薬組成物。
【請求項47】
二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、1時間後に約20%未満のアミスルプリドを放出する、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、3時間後に約30%超かつ約50%未満のアミスルプリドを放出する、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項49】
二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、3時間後に約30%超かつ約40%未満のアミスルプリドを放出する、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項50】
二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、6時間後に約50%超かつ約80%未満のアミスルプリドを放出する、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項51】
二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、6時間後に約60%超かつ約90%未満のアミスルプリドを放出する、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項52】
二段階胃腸模擬溶出試験が、米国薬局方(USP)第711章溶出試験の装置2;USP41-NF36一般章<711>に記載されているものと実質的に一致するパドル装置で実施される、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項53】
固体経口剤形が錠剤である、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項54】
ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩の量が、遊離塩基の重量で(a)約100mg;または(b)約150mg;または(c)約200mg;または(d)約250mg;または(e)約300mgである、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項55】
持続放出性薬剤が、マトリックス形成剤を含む、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
マトリックス形成剤が、1つまたは複数のセルロースエーテルを含む、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項57】
持続放出性薬剤が、(a)固体経口剤形の総重量に対して約30%から約50%;または(b)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約40%;または(c)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量である、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項58】
持続放出性薬剤が、固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項59】
統合失調症、統合失調症の陰性症状、持続性鬱病性障害(PDD)、治療抵抗性鬱病(TRD)、大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)、ならびに鬱病から選択される精神障害を治療する方法であって、請求項46に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項60】
精神障害が、1つまたは複数の統合失調症および統合失調症の陰性症状である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
精神障害が、1つまたは複数の大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
遊離塩基の重量でラセミアミスルプリドを1日当たり約100mgから約1200mgの総量で、固体経口剤形を1日1回投与することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
固体経口剤形の医薬組成物であって、固体経口剤形が、
ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩;および
固体経口剤形の総重量に対して、約10%から約50%の量の持続放出性薬剤を含み、ここで、米国薬局方(USP)第711章溶出試験の装置2;USP41-NF36一般章<711>溶出試験に記載されているパドル装置で、表4に記載されている二段階インビトロ溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、(a)図2におけるTab 1Dのプロファイル;または(b)図2におけるTab 2Dのプロファイルと実質的に同一の溶出プロファイルを有する、医薬組成物。
【請求項64】
固体経口剤形が錠剤である、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項65】
ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩の量が、遊離塩基の重量で(a)約100mg;または(b)約150mg;または(c)約200mg;または(d)約250mg;または(e)約300mgである、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項66】
持続放出性薬剤が、マトリックス形成剤を含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項67】
マトリックス形成剤が、1つまたは複数のセルロースエーテルを含む、請求項66に記載の医薬組成物。
【請求項68】
持続放出性薬剤が、(a)固体経口剤形の総重量に対して約30%から約50%;または(b)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約40%;または(c)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量である、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項69】
持続放出性薬剤が、固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項70】
統合失調症、統合失調症の陰性症状、持続性鬱病性障害(PDD)、治療抵抗性鬱病(TRD)、大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)、ならびに鬱病から選択される精神障害を治療する方法であって、請求項63に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項71】
精神障害が、1つまたは複数の統合失調症および統合失調症の陰性症状である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
精神障害が、1つまたは複数の大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)である、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
遊離塩基の重量でラセミアミスルプリドを1日当たり約100mgから約1200mgの総量で、固体経口剤形を1日1回投与することを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
固体経口剤形が、1つまたは複数の(a)充填剤;(b)結合剤;および(c)滑沢剤を含む、請求項1、18、30、46および63のいずれか一項に記載の固体経口剤形。
【請求項75】
滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムを含む、請求項75に記載の固体経口剤形。
【請求項76】
充填剤が、D-マンニトールを含み、固体経口剤形が、錠剤の総重量に対して約0.5%から約2%のポリビニルアルコールを含む結合剤を含む、請求項75に記載の固体経口剤形。
【請求項77】
錠剤が、顆粒外成分と混和した顆粒成分を含み、
顆粒成分が、ラセミアミスルプリドおよび結合剤を含み;および
顆粒外成分が持続放出性薬剤を含む、請求項7、20、36、53および64のいずれか一項に記載の固体経口剤形。
【請求項78】
顆粒成分が、1つまたは複数の(a)充填剤;および(b)結合剤を含む、請求項77に記載の医薬組成物。
【請求項79】
顆粒が、(a)約60重量%から約80重量%のアミスルプリド、約10%重量から約30重量%の充填剤、および約1%から約5%の結合剤;または(b)約70重量%から約80重量%のアミスルプリド、約20重量%から約25重量%の充填剤、および約1重量%から約5重量%の結合剤を含む、請求項78に記載の医薬組成物。
【請求項80】
顆粒成分が、顆粒成分の重量に対して、
約73重量%から約78重量%のアミスルプリド、
約10重量%から約12重量%のD-マンニトール、
約10重量%から約12重量%のアルファ化デンプン、および
約1重量%から約3重量%のポリビニルアルコール
を含む、請求項78に記載の医薬組成物。
【請求項81】
顆粒外成分が、1つまたは複数の(a)充填剤;(b)結合剤;および(c)滑沢剤を含む、請求項77に記載の医薬組成物。
【請求項82】
錠剤(顆粒と顆粒外成分)が、(a)錠剤の総重量に対して約20%から約70%の持続放出性薬剤の顆粒;または(b)錠剤の総重量に対して約10%から約50%の持続放出性薬剤を含む、請求項77に記載の医薬組成物。
【請求項83】
錠剤(顆粒と顆粒外成分)が、(a)錠剤の総重量に対して約6%から約60%の、顆粒および顆粒外の両方で組み合わせた量の充填剤;または(b)錠剤の総重量に対して約10%から約50%の、顆粒および顆粒外の両方で組み合わせた量の充填剤を含む、請求項77に記載の医薬組成物。
【請求項84】
錠剤(顆粒と顆粒外成分)が、錠剤の総重量に対して約1%から約2%の滑沢剤を含む、請求項77に記載の医薬組成物。
【請求項85】
滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、請求項84に記載の医薬組成物。
【請求項86】
錠剤(顆粒と顆粒外成分)が、
(a)錠剤の総重量に対して約30%から約50%のD-マンニトール、および錠剤の総重量に対して約20%から約35%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;または
(b)錠剤の総重量に対して約20%から約30%のD-マンニトール、および錠剤の総重量に対して約20%から約35%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;または
(c)錠剤の総重量に対して約10%から約20%のD-マンニトール、および錠剤の総重量に対して約20%から約35%のヒドロキシプロピルメチルセルロース
を含む、請求項77に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラセミアミスルプリドの放出調節医薬組成物、ならびにその方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アミスルプリドは、化学的分類ベンズアミドのメンバーであり、化学名4-アミノ-N-[(1-エチルピロリジン-2-イル)メチル]-5-エチルスルホニル-2-メトキシ-ベンズアミドを有する。アミスルプリドの化学構造は、以下の通りである。
【化1】
【0003】
統合失調症および鬱病を含む、精神医学的障害および気分障害のより優れた治療が必要とされている。
【0004】
ドーパミン受容体アンタゴニストは、精神障害を治療するために使用される薬物群の一つであるが、効果のあるD占有率の水準は、有害な副作用にも関連する。したがって、副作用、特にドーパミンD受容体占有率に関連する副作用がないまたは抑えられた治療効果をもたらす、中枢神経系薬物(CNS)、特に鬱病ならびに鬱病の要素を伴う疾患および障害の治療のための抗精神病薬物の必要性も存在する。
【0005】
ラセミアミスルプリドは、Solian(登録商標)の商品名で、1日当たりの推奨総投与量が400~800mgで、優勢な陰性症状を特徴とする患者を含む、陽性症状(例えば妄想、幻覚、思考障害)および/または陰性症状(例えば感情鈍麻、感情的および社会的引きこもり)が顕著な急性および慢性統合失調症を治療するための400mg錠剤および液剤として販売されている。しかし、振戦、硬直、運動低下、唾液分泌過多、アカシジア、ジスキネジアを含む運動関連有害事象は、400~800mg/日の投与量範囲のラセミ体のアミスルプリドのラベルで「ごく普通」として列挙される。そのような錐体外路症状は通常、ドーパミン受容体遮断を用いる抗精神病薬に関連する。典型的には、錐体外路症状は、高いドーパミン受容体占有率、例えば、約70~75%占有率で観察される。
【0006】
アミスルプリドに関連する他の副作用には、QT間隔延長、および乳汁漏出症、無月経、女性化乳房、乳房痛、勃起不全を引き起こし得るプロラクチンの増加が含まれる。QT間隔は、心室脱分極および後続の再分極の持続時間を表す。QT間隔延長は、心室性頻脈性不整脈を発症しやすい電気生理学的環境を生み出し、臨床的に最も重大なのは、心室細動および心突然死を引き起こし得るトルサードドポアンツ(TdP)である。1または1以上のQT延長薬物を摂取する患者は、それに付随して、TdPの危険性が上昇している。したがって、QT間隔延長などの副作用を抑えるより優れた抗精神病薬物および薬物製剤が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、有害事象を減少させ、およびより高い安全性プロファイルを有するアミスルプリド組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらのおよび他の目的は、ラセミアミスルプリド組成物の放出調節製剤が、アミスルプリド投与量が同一の即時放出製剤のものと実質的に同一の治療効果をもたらすが、副作用を抑えるという、本発明者らによる予期せぬ発見を活用する。様々な態様および実施態様において、アミスルプリドの総量が同一である即時放出製剤と比較して、薬物誘発性QT延長を抑えるアミスルプリドの放出調節製剤が提供される。
【0009】
本明細書で使用される、「AUC」、「Cmax」、「Cmin」、「Tmax」、および「QT間隔延長」という用語は、特に定めのない限り、本明細書で使用される場合、平均値(average)、平均値(mean)および幾何平均値を包含する。これは、例えば、本明細書における開示は必要な変更を加えて一般に適用可能であることが理解されるべきであるように、含まれていない「平均値(average)、平均値(mean)および/または幾何平均値」を言い表す説明における明快さのためである。
【0010】
様々な態様および実施態様において、実質的に同一のDドーパミン受容体アンタゴニズムおよび5-HTセロトニン受容体アンタゴニズムを有する即時放出製剤より少ない総量のアミスルプリドで治療効果をもたらすラセミアミスルプリド組成物の放出調節製剤が提供される。様々な態様および実施態様において、実質的に同一のDドーパミン受容体アンタゴニズムおよび5-HTセロトニン受容体アンタゴニズムを有する即時放出製剤と比較して、薬物誘発性QT延長を抑えるラセミアミスルプリド組成物の放出調節製剤が提供される。
【0011】
本発明者らは、対象の血漿におけるアミスルプリドのエナンチオマーの存在率は、脳のDドーパミン受容体占有率より低いことを見出した。本発明者らはまた、同等の脳のDドーパミン受容体占有率を示す即時放出製剤より低いアミスルプリド血漿濃度(例えばCmax、AUC、ならびにCmaxおよびAUCの両方)であるが、同一の脳のDドーパミン受容体占有率を達成できるアミスルプリドの放出調節医薬製剤を見出した。
【0012】
さらに、本発明者らは、アミスルプリドの治療指数を改善するアミスルプリドの放出調節医薬製剤を見出した。例えば、様々な態様および実施態様において、本発明者らは、即時放出製剤と実質的に類似した薬力学(例えば有効性)を備えるが、薬物動態が改善され(例えばより低いCmax)、かつ/または副作用が抑えられる(例えばQT延長が抑えられる)アミスルプリドの放出調節医薬製剤を見出した。
【0013】
R体およびS体のアミスルプリド異性体が異なる性質を有することはすでに見出されている。R異性体は、選択的セロトニンアンタゴニストである。対照的に、S異性体は、高度に選択的なDドーパミンアンタゴニストである。本発明者らは、Dドーパミン受容体および5-HT受容体に対して、互いに独立して特定のアンタゴニズム効果をもたらすように調整されたアミスルプリド組成物を使用する放出調節製剤を提供する。様々な態様および実施態様において、放出調節製剤に使用されるアミスルプリド組成物は、即時放出製剤中で、Dドーパミン受容体および5-HT受容体のアンタゴニズム活性を調整し、かつ、同等の総投与量のラセミアミスルプリドに関連する副作用を抑える能力をもたらすことがすでに示されている。放出調節製剤は、同等の総投与量のラセミアミスルプリドに関連する副作用をさらになお抑える。要するに、本発明者らは、統合失調症および鬱病の治療において、これらのラセミアミスルプリド組成物の同等の即時放出製剤と実質的に同一の効果を生じるが、様々な実施態様において副作用を抑えた、これらのラセミアミスルプリド組成物の放出調節製剤を見出した。
【0014】
様々な態様および実施態様において、放出調節製剤に使用されるラセミアミスルプリド組成物は、Dドーパミン受容体および5-HT受容体アンタゴニズム活性(それぞれ、S体アミスルプリドおよびR体アミスルプリドに関連する)が、同等の総投与量の同等の即時放出製剤よりも低い血中濃度レベルで達成できるように、有効医薬成分(すなわちアミスルプリドのエナンチオマー)の放出を調整する能力をもたらす。したがって、様々な態様および実施態様において、放出調節製剤は、同等のラセミアミスルプリド組成物の同等の即時放出製剤に関連する副作用を抑え、同等の総投与量のラセミアミスルプリドに関連する副作用をさらになお抑える。ラセミアミスルプリドに関連する副作用には、錐体外路症状(EPS)、アカシジア、鎮静、代謝パラメーター、例えば体重増加、グルコースおよび脂質、プロラクチン関連事象、性機能不全および躁鬱病が含まれるが、それらに限定されない。アミスルプリドの両方のエナンチオマーに関連する副作用には、QT延長が含まれるが、それらに限定されない。様々な態様および実施態様において、抑える程度は、Cmaxの低下により決定される。
【0015】
様々な態様および実施態様において、アミスルプリドの即時放出製剤に関連する望ましくない副作用を抑えることができる、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、および/またはそれらを用いる、様々な放出調節製剤、方法および医薬が提供される。様々な態様および実施態様において、放出調節製剤は、(S)-(-)-アミスルプリドに関連するより高いレベルのドーパミンD受容体遮断に関連する望ましくない副作用を抑える。様々な態様および実施態様において、放出調節製剤は、望ましくないアミスルプリド副作用である薬物誘発性QT延長を抑える。
【0016】
本発明者らは、D占有率に対する5-HT占有率の寄与により、様々な実施態様で定義されている固定用量のアミスルプリドのエナンチオマーの組み合わせの放出調節製剤が、優性な5-HT薬力学を用いて医師が対象を治療することを可能にしつつ、組み合わせ、また様々な実施態様で改善した、鬱病性障害における臨床的な効果に関して、用量反応性の根底にあるドーパミンD活性をなお維持しながら、同等の即時放出製剤に関連する1つまたは複数の副作用を抑えることで臨床的な効果を示すことを見出した。
【0017】
様々な態様および実施態様において、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩、および1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む、固体経口剤形の放出調節医薬組成物が提供される。1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤は、持続放出性薬剤を含み得る。
【0018】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物が対象集団に投与される場合、これにより、投与後12時間の期間で、アミスルプリド10mg当たり約0.45ミリ秒(ms)未満、約0.30ミリ秒(ms)未満、約0.20ミリ秒(ms)未満、約0.10ミリ秒(ms)未満、0.05ミリ秒(ms)未満または0.02ミリ秒(ms)未満の最大QT間隔延長をもたらす。
【0019】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物が対象集団に投与される場合、これにより、投与後12時間の期間で、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出組成物のものよりも少なくとも約75%、約65%、約60%、約55%または約50%短い最大QT間隔延長をもたらす。
【0020】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物が対象集団に投与される場合、これにより、投与後12時間の期間で、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出製剤のものよりも少なくとも約75%、約65%、約60%、約55%または約50%短い最大QT間隔延長をもたらす。
【0021】
様々な態様および実施態様において、固体経口剤形は、インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した場合、(a)約1時間後に約30%未満のアミスルプリドを放出し、約3時間後に約20%超かつ約60%未満のアミスルプリドを放出し、約6時間後に約30%超かつ約100%未満のアミスルプリド混合物を放出する;(b)約1時間後に約30%未満のアミスルプリドを放出し、約3時間後に約20%超かつ約60%未満のアミスルプリドを放出し、約6時間後に約30%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出する;(c)約1時間後に約20%未満のアミスルプリドを放出し、約3時間後に約20%超かつ約50%未満のアミスルプリドを放出し、約6時間後に約30%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出する;(d)約6時間後に約30%超かつ約50%未満のアミスルプリドを放出する;(e)約1時間後に約30%以下のアミスルプリドを放出し、約3時間後に約30%から約75%のアミスルプリドを放出し、約12時間後に約75%超のアミスルプリドを放出する;(f)1時間後に約30%未満のアミスルプリドを放出し、3時間後に25%超かつ約55%未満のアミスルプリドを放出し、6時間後に約45%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出する;または(g)約6時間後に約75%超のアミスルプリドを放出する。
【0022】
様々な態様および実施態様において、固体経口剤形は、米国薬局方(USP)第711章溶出試験の装置2;USP41-NF36一般章<711>溶出試験に記載されているパドル装置での表4に記載されている二段階インビトロ溶出試験を使用して溶出性を試験した場合、(a)約1時間後に約30%未満のアミスルプリドを放出し、約3時間後に約20%超かつ約60%未満のアミスルプリドを放出し、約6時間後に約30%超かつ約100%未満のアミスルプリド混合物を放出する;(b)約1時間後に約30%未満のアミスルプリドを放出し、約3時間後に約20%超かつ約60%未満のアミスルプリドを放出し、約6時間後に約30%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出する;(c)約1時間後に約20%未満のアミスルプリドを放出し、約3時間後に約20%超かつ約50%未満のアミスルプリドを放出し、および約6時間後に約30%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出する;(d)約6時間後に約30%超かつ約50%未満のアミスルプリドを放出する;(e)約1時間後に約30%以下のアミスルプリドを放出し、約3時間後に約30%から約75%のアミスルプリドを放出し、および約12時間後に約75%超のアミスルプリドを放出する;(f)約1時間後に約30%未満のアミスルプリドを放出し、約3時間後に約25%超かつ約55%未満のアミスルプリドを放出し、約6時間後に約45%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出する;または(g)約6時間後に約75%超のアミスルプリドを放出する。
【0023】
本明細書で使用される、「二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験」という用語は、絶食状態のヒトの胃(段階1)および小腸(段階2)の溶液pH条件を模倣するように設計されたインビトロ試験を指す。第一段階のpHは約1.2から3.5であり、第二段階のpHは、約6から約7.4である。試験される試料(例えば錠剤、カプセル剤)は、第一段階の液体媒体に(胃における滞留時間を模倣するために)約1時間入れてから、媒体を(小腸のより高いpH環境への移行を模倣するために)第二段階のものに調整する。溶解媒体は、実質的に、米国薬局方(USP)第711章溶出試験の装置2;USP41-NF36一般章<711>溶出試験により記載されているもの、または、Ph.Eur.<2.9.3>およびUSP<711>と調和した日本薬局方(JP)一般試験<6.10>のパドル方法により記載されているものに沿って、パドル装置で試験中に撹拌される。パドル装置は、両方の段階において約50から約75rpmで動作し;両方の段階において溶出媒体の温度は、約37℃にて維持される。
【0024】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物が対象集団に投与される場合、その医薬組成物は、アミスルプリドのCminとCmaxとの間の変動を最小限に抑えるのに有効である。様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物は、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一の即時放出製剤即時放出製剤と比較して、アミスルプリドのCminとCmaxとの間の差を最小限に抑えるのに有効であり、Cminの値が、投与後約9時間のものである。
【0025】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物は、対象集団に投与される場合、約2未満、約1.9未満または約1.8未満であるアミスルプリドのCmax/Cminの集団平均比を得るのに有効であり、Cminの値は、投与後約9時間のものである。
【0026】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物が対象集団に投与される場合、(i)投与からTmaxまでのアミスルプリドの血漿濃度対時間の曲線下面積(AUC)(AUC0-Tmax)は、投与から48時間までの曲線下面積(AUC0-48)の約17%未満、約16%未満、約14%未満、または約12%未満であり;(ii)アミスルプリドのTmaxは、投与後約4から約6時間である。
【0027】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物が対象集団に投与される場合、これにより、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出医薬組成物により達成されるCmaxの約75%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、または約50%未満であるアミスルプリドの血漿Cmaxを提供する。様々な実施態様において、即時放出組成物は、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一の(R)-(+)-アミスルプリドおよび(S)-(-)-アミスルプリドを有する。
【0028】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物が対象集団に投与される場合、これにより、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出製剤により達成されるCmaxの約75%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、または約50%未満であるアミスルプリドの血漿Cmaxを提供する。様々な実施態様において、即時放出組成物は、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一の(R)-(+)-アミスルプリドおよび(S)-(-)-アミスルプリドを有する。
【0029】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物が、対象集団に投与される場合、これにより、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出組成物により達成されるCmaxの約75%未満、約65%未満、約55%未満、または約50%未満であるアミスルプリドの血漿Cmaxを提供し、そして、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出組成物により達成される投与後0から48時間のAUC(AUC0-48)の少なくとも約60%、少なくとも約70%または少なくとも約75%であるアミスルプリドのAUC0-48を提供する。
【0030】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物が、対象集団に投与される場合、これにより、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出製剤により達成されるCmaxの約75%未満、約65%未満、約55%未満、または約50%未満であるアミスルプリドの血漿Cmaxを提供し、そして、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出製剤により達成される投与後0から48時間のAUC(AUC0-48)の少なくとも約60%、少なくとも約70%または少なくとも約75%であるアミスルプリドのAUC0-48を提供する。
【0031】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物が対象集団に投与される場合、これにより、(a)放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出組成物により達成されるAUC0-48の少なくとも約60%、(b)放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出組成物により達成されるAUC0-48の少なくとも約70%、(c)放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出組成物により達成されるAUC0-48の少なくとも約75%、および/または(d)1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出組成物により達成されるAUC0-48の少なくとも約80%である、アミスルプリドの投与後0から48時間のAUC(AUC0-48)を提供する。
【0032】
様々な態様および実施態様において、放出調節医薬組成物が対象集団に投与される場合、これにより、(a)放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出製剤により達成されるAUC0-48の少なくとも約60%、(b)放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出製剤により達成されるAUC0-48の少なくとも約70%、(c)放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出製剤により達成されるAUC0-48の少なくとも約75%、および/または(d)1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出製剤により達成されるAUC0-48の少なくとも約80%である、アミスルプリドの投与後0から48時間のAUC(AUC0-48)を提供する。
【0033】
本発明のこれらのおよび他の目的、特徴および利点は、添付の表および図面を考慮して、以下で詳述されている本発明の様々な態様および実施態様の説明から明らかになる。
【0034】
本明細書で引用されている、公開されたすべての文書は、参照によりその全体を本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1A~1Bは、ラセミアミスルプリド、(R)-アミスルプリド、および(S)-アミスルプリドによる放射性リガンド結合活性の阻害についての様々な分析用インビトロデータを示す。図1Aは、ドーパミンD2受容体結合の阻害%に関するデータを示す。図1Bは、セロトニン5-HT7受容体結合の阻害%に関するデータを示す。
【0036】
図2図2は、表3Bのラセミアミスルプリドの様々な放出調節医薬マトリックス錠剤製剤についてのインビトロ溶出プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書における「一実施態様」、「ある実施態様」、「一態様」または「ある態様」への言及は、実施態様または態様に関連して記載されている項目、特徴、構造または特性が、本教示の少なくとも1つの実施態様または態様に含まれることを意味する。
【0038】
本明細書で使用される、「アミスルプリド」の記述は、明確にさらに限定されない限り、R-アミスルプリドおよびS-アミスルプリドの均等混合物、純粋なR-アミスルプリド、ならびに純粋なS-アミスルプリドを含む、任意のエナンチオマー比のアミスルプリドを指す。さらに、本明細書で使用される、「アミスルプリド」の記述は、明確にさらに限定されない限り、アミスルプリドの薬学的に許容される塩を含む。本明細書で使用される、「ラセミアミスルプリド」という用語は、(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリドの重量に対して実質的に50:50の混合物を指す。ラセミアミスルプリドは、商業的に購入できる、または等しい量の(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリドを組み合わせることにより調製できる。
【0039】
本明細書で使用される、「QT間隔」という語句は、Fridericiaの式QTcF=QT/√RRを使用して決定される心拍補正QT間隔を指し、すなわち本明細書の「QT間隔」は、QTcFを指す。本明細書で使用される、「QT間隔延長」という語句は、基準値のQTcF間隔に対するQTcF間隔の変化、すなわち(ΔQTcF)を指す。
【0040】
本明細書で使用される、「摂食状態」という用語は、食事摂取直後の代謝状態を指す。摂食状態の薬物動態学的パラメーター、例えば、Cmax、Tmax、AUCは、以下のように測定され得る。少なくとも10時間の夜間絶食後に、対象は、タンパク質、炭水化物および脂質からそれぞれ150、250および400~600カロリーを含む食事を摂取する。この食事は、薬物製品の投与約30分前に摂取されるべきであり、対象は、この食事を30分以下で食べるべきである。食料は、投与後少なくとも4時間は与えるべきではない。水は、薬物製品投与の1時間前後を除いて、必要に応じて与えてよい。
【0041】
本明細書で使用される、「薬学的に許容される塩」という用語は、正しい医学的判断の範囲内にあり過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトおよび下等動物の組織との接触での使用に好適であり、かつ妥当なベネフィット/リスク比に見合っている塩を指す。薬学的に許容される塩は、当技術分野にて周知である。例えば、S. M. Berge et al.は、詳細にはJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19で、薬学的に許容される塩について記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、好適な無機および有機の酸および塩基に由来するものを含む。薬学的に許容される非毒性酸付加塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸と、または有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸と形成される、あるいは当技術分野で使用される他の方法、例えばイオン交換を使用することにより形成される、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。薬学的に許容される対イオンは、医薬製剤の調製に好ましいが、他のアニオンは、合成中間体として完全に許容できる。
【0042】
本明細書で使用される、投与が想定される「対象」という用語は、医薬品の試験に使用されるヒト(すなわち、ある年齢群の男性または女性、例えば、小児対象(例えば、幼児、子供、青年)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人または高齢者))および/または他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);および哺乳動物を含むが、それに限定されない。
【0043】
特に明記されない限り、「含む(includes)」(または任意のそのバリエーション、例えば「含む(include)」、「含む(including)」)という文言は、限定されないことを意図している。例えば、「Aは、1、2および3を含む」は、Aは、1、2および3を含むが、それらに限定されないことを意味する。
【0044】
本明細書で使用される、「治療(treatment)」、「治療する(treat)」、および「治療すること(treating)」という用語は、疾患、病態または障害の1つまたは複数の兆候または症状を軽減すること、阻害すること、および/または低減させることを指す。様々な実施態様において、治療は、1つまたは複数の症状が発症した後で施されてもよい。治療はまた、症状が解消した後に、例えばその再発を防止する、または遅延させるために継続してもよい。
【0045】
本明細書で使用される、「遊離塩基に対して」という語句は、アミスルプリド(RおよびS-アミスルプリド)の量が、アミスルプリド遊離塩基の分子量を基準にして測定されることを指す。特に明記されない限り、本明細書に記載のアミスルプリドの重量は、遊離塩基を指す。
【0046】
本明細書に記載の化合物は、同位体を含み得る。同位体は、同一の原子番号を有するが、質量数が異なる原子を含む。例えば、水素の同位体は、三重水素および重水素を含む。いくつかの実施態様において、化合物の1個または複数の原子は、天然または非天然存在度の原子の同位体で置き換えられ得る、または置換され得る。いくつかの実施態様において、本開示の化合物における1個または複数の水素原子は、重水素に置き換えられ得る、または置換され得る。
【0047】
特に明記しない限り、本明細書で使用される、「約」という用語は、数値または値の範囲と一緒に使用される場合、挙げられている値または値の範囲の5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%または0.1%まで変動してよい。いくつかの実施態様において、数値または値の範囲は、5%まで変動する。
【0048】
特に明記しない限り、本明細書で使用される、「治療上有効な」という用語は、本発明の医薬組成物と一緒に使用される場合、例えば、研究者または医師により求められるまたは望まれる生物学的または医学的反応、例えば疾患、症候群、病態、愁訴、障害もしくは副作用の改善した治療、治癒、予防または排除、または疾患、愁訴もしくは障害の進行の低下を意味する。「治療上有効な量」という用語は、本発明の医薬組成物と一緒に使用される場合、治療的に有効である医薬または有効医薬成分の量を意味する。「治療上有効な血漿濃度」という用語は、本発明の医薬組成物と一緒に使用される場合、治療的に有効である有効医薬成分の血漿濃度を意味する。
【0049】
本明細書に明確に記載されていない他の略語は、当技術分野におけるその通常の意味を有する。
【0050】
本開示は、ラセミアミスルプリドを含む医薬組成物の放出調節製剤、ラセミアミスルプリドの放出調節製剤を含む、障害を治療するための医薬、ラセミアミスルプリドを含む医薬組成物の放出調節製剤で対象における障害を治療する方法、ならびに対象におけるドーパミンD活性およびセロトニン5-HT7活性を、ラセミアミスルプリドを含む放出調節製剤で阻害する方法に関する。
【0051】
様々な態様において、医薬および方法が治療する障害は、1つまたは複数の精神障害;例えば、統合失調症;急性統合失調症;慢性統合失調症;統合失調症の陽性症状(例えば妄想、幻覚、思考障害);統合失調症の陰性症状;持続性鬱病性障害(PDD);不安障害;強迫性障害;神経認知障害に関連する行動障害;行為障害;神経障害;薬物誘発性運動障害;および運動障害を含む。様々な態様において、医薬および方法が治療する病態は、術後悪心および嘔吐を含む。
【0052】
アミスルプリドは、単一の不斉中心を有し、結果として2つのエナンチオマー形態として存在する:R-4-アミノ-N-[(1-エチル-2-ピロリジニル)メチル]-5-(エチルスルホニル)-2-メトキシベンズアミド((R)-(+)-4-アミノ-N-[(1-エチルピロリジン-2-イル)メチル]-5-(エチルスルホニル)-2-メトキシベンズアミドとも呼ばれ、またIUPAC名で4-アミノ-5-(エタンスルホニル)-N-{[(2R)-1-エチルピロリジン-2-イル]メチル}-2-メトキシベンズアミドとも呼ばれる)、本明細書では(R)-(+)-アミスルプリドまたは(R)-アミスルプリドと略される;およびS-4-アミノ-N-[(1-エチル-2-ピロリジニル)メチル]-5-(エチルスルホニル)-2-メトキシベンズアミド((S)-(-)-4-アミノ-N-[(1-エチルピロリジン-2-イル)メチル]-5-(エチルスルホニル)-2-メトキシベンズアミドとも呼ばれ、IUPAC名で4-アミノ-5-(エタンスルホニル)-N-{[(2S)-1-エチルピロリジン-2-イル]メチル}-2-メトキシベンズアミドとも呼ばれる)、本明細書では(S)-(-)-アミスルプリドまたは(S)-アミスルプリドと略される。これらの2つのエナンチオマー形態は、以下の化学構造:
【化2】

【化3】

を有する。
【0053】
ドーパミンD関連副作用は、臨床経験から周知である。占有率が80%の閾値を超える場合、錐体外路副作用の発生率は上昇することが観察されており、試験により、約70~75%の占有率でさえ錐体外路副作用が発生することが示されている(G. Grunder, et al., Nature, 8, 198-202, (2009); Nyberg, et al., Am. J. Psychiatry, 156, 873-875 (1999); Farde, et al. Arch. Gen. Psychiatry, 49, 538-544 (1992))。しかし、極めて高いD2/3受容体占有率は、統合失調症の陽性症状に対する有効性に関連するだけではなく、一般的に必要とされており、ドーパミン受容体アンタゴニストの抗精神病効果は、60から80%の線条体D2/3受容体占有率の治療域内で発生すると考えられている(G. Grunder, et al., Nature, 8, 198-202, (2009))。
【0054】
ドーパミンD関連副作用は、ラセミアミスルプリドでの臨床経験からも公知であり、錐体外路症状(EPS)、遅発性ジスキネジア(TD)、およびアカシジアを含む。(C. Coulouvrat et al., International Clinical Psychopharmacology, Vol 14, No. 4, 209-218 (1999))。一般に、約67%を超えるD占有率により、用量に応じて臨床的な効果に寄与する基本的な5-HT薬力学の能力を限定する副作用が生じると決定された(Farde, et al. Arch. Gen. Psychiatry, 49, 538-544 (1992)。D占有率の影響は年齢に関連し、EPS事象は、約60%の占有率の高齢アルツハイマー病患者で特に見られ;臨床的に有意義な反応は、43%の占有率で見られた(Reeves et al., Brain, 140, 1117-1127)。類似した結果は、一般に高齢患者でも得られた(Uchida et al., The American J. of Geriatic Pyschiatry, 22 (1) 1007-1016)。
【0055】
5-HT7受容体は、様々な薬理学的ツール(受容体特異的アゴニストおよびアンタゴニスト)を通して、またノックアウトモデルの使用を通して、睡眠の中枢制御および概日リズム、気分および認知に関与することが示されている。これらの同一の3つのドメインは、気分障害、例えば鬱病性障害、および精神障害で重大に損なわれることが多い。
【0056】
ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩の様々な放出調節製剤が本明細書で提供され、これは、同等の即時放出製剤と比較して、実質的に類似した、または改善した効き目が得られる一方、望ましくない副作用、例えば薬物誘発性QT延長および/またはより高いレベルのドーパミンD2受容体遮断に関連するものが抑制される。
【0057】
心臓の鼓動は、イオンベースの脱分極および再分極から生じる、心筋の興奮および収縮の正確にコントロールされた規則的な間隔の波による。脱分極および再分極中の電流は、電波を測定する特定の位置で体に配した導線により測定できる(心電図)。心電図におけるP波は、心房における脱分極の波を表す。心房全体が脱分極されるようになると、波はゼロへ戻り、0.1秒後、完全に脱分極した心室は、心電図(ECG)で見られるQRS複合体が生じる。QRS複合体の3つのピークは、電流が心室に広がる様式による。QRS複合体には、心室のT波または再分極が続く。QT間隔は、QRS複合体の始まりから標準ECGでのT波の終了までにより測定される。QT間隔は、心筋細胞の再分極相(または心室の脱分極および再分極)が完了するまでの持続時間を表す。QT間隔の延長により、心室性不整脈および急死に至るおそれがある。
【0058】
ラセミアミスルプリドは、QT間隔延長を誘発することが周知の薬物であり、これは、血漿中濃度で延長の実質的に直線的な増加を証明している(Taubel et al., Br. J. Clin. Pharmacology, 83, pp. 339-348 (2017)を参照されたい)。薬物誘発性QT延長に関連する危険も周知であり:「少なくとも500ミリ秒のQT間隔は、一般的に、トルサードドポアンツのより高い危険性と相互に関連付けられることを示すが、不整脈の危険性を含まないと考えられる、そのQT間隔の延長を下回る規定の閾値は存在しない」(Al-Khatib et al., JAMA, 289 (16), pp 2120-2127 (2003)を参照されたい)。したがって、副作用、例えばQT間隔延長を抑える、より優れたアミスルプリド製剤が必要とされている。
【0059】
様々な態様および実施態様において、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩を含む様々な放出調節製剤、方法および医薬が提供される。様々な態様および実施態様において、放出調節製剤は、(S)-(-)-アミスルプリドに関連するより高いレベルのドーパミンD2受容体遮断に関連する望ましくない副作用を抑える。様々な態様および実施態様において、放出調節製剤は、ラセミアミスルプリドに関連する薬物誘発性QT延長の望ましくない副作用を抑える。
【0060】
様々な態様および実施態様において、放出調節組成物が、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩、および1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体経口剤形で提供される。
【0061】
様々な態様および実施態様において、放出調節組成物が対象集団に投与される場合、これにより、投与後12時間の期間で、(a)アミスルプリド10mg当たり約0.45ミリ秒(ms)未満;(b)アミスルプリド10mg当たり約0.30ミリ秒(ms)未満;(c)アミスルプリド10mg当たり約0.20ミリ秒(ms)未満;(d)アミスルプリド10mg当たり約0.15ミリ秒(ms)未満;(e)アミスルプリド10mg当たり約0.10ミリ秒(ms)未満;(f)アミスルプリド10mg当たり約0.05ミリ秒(ms)未満;または(g)アミスルプリド10mg当たり約0.02ミリ秒(ms)未満の最大QT間隔延長を提供する。
【0062】
様々な態様および実施態様において、放出調節組成物は、同等の即時放出製剤のものに比べて、対象集団への投与後約12時間の期間での集団の平均の最大QT間隔延長を短縮することができる。
【0063】
例えば、様々な実施態様において、対象集団に投与された放出調節組成物は、放出調節組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出製剤のものよりも(a)少なくとも約75%、少なくとも約70%、少なくとも約65%、少なくとも約60%、少なくとも約55%または少なくとも約50%短い、投与後約12時間の期間での集団の平均の最大QT間隔延長をもたらす。
【0064】
QT間隔を測定する多彩な方法が医学分野で公知である。QT間隔は、心室脱分極および後続の再分極の持続時間を表す。本明細書では、以下の方法を使用して、「QT間隔延長」を判定する。心電図(ECG)は、デジタル12誘導Holter ECGデバイス(例えば、Mortara H12+、Mortara Instruments、Milwaukee、WI)を使用して、試料1000例/秒(1000HZ)のサンプリング速度で記録される。Holter ECGの記録は、評価される活性医薬成分(API)の投与の少なくとも約1時間前にスタートし、投与後少なくとも12時間、好ましくは24時間まで継続した。少なくとも以下の時点で、かつその時点の7分以内に10回のECG反復測定を行う:投与(基準値)45、30、および15分前、ならびに投与1、2、3、4、6、8、10、および12時間後(また適宜24時間後)。心拍は測定に影響を与え得るので、対象は、測定中に仰臥位である。
【0065】
本明細書における、APIでのQT間隔延長の判定は、形態学的異常、例えばP波、QRS複合体、ST部分、T波、U波、リズムおよび軸を呈するECGを排除すべきである。
【0066】
ECGは、資格要件を満たした心臓専門医により読まれ、かつ解釈されるべきである。QT間隔は、QRS複合体の開始(QRS複合体の最初の偏位)からT波が等電基準値へ戻る点まで測定される。T波の終了は、T波の下行部分(正のT波)と等電位線の交差点と同定される。T波が基準値に戻る前に、U波がT波に干渉する場合、QT間隔はT波とU波との間における底として測定される。T波の下行部分に対する第2の偏位が、T波またはU波の一部であるかどうかが明らかではない場合、QT間隔に含まれる(例えば、Panicker GK, et al.. "Intra- and interreader variability in QT interval measurement by tangent and threshold methods in a central electrocardiogram laboratory." J Electrocardiol. 2009; 42:348-52)を参照されたい。
【0067】
通常のリズム中に少なくとも3つの連続した複合体を伴う、単独の誘導における最初の5拍は、QTおよび先行するRR間隔を測定するために使用される。PR間隔およびQRS持続時間の測定は、適切な誘導で行われる。心拍(HR)は、平均RR値から計算される。QT間隔は、心拍との反比例関係を有し、心拍の増加を短縮する。QT間隔が心拍の変化に応じて変動するとき、心拍の補正式を使用して、QTc間隔として公知の補正値とは無関係に、測定QT間隔を心拍に変換する。QTc値は、60bpmの標準化された心拍でQT間隔を表すことを意図している。
【0068】
QT間隔値は、Fridericiaの式QTcF=QT/√RRを使用して、心拍の効果に対して補正される。所定の時点のQTcFは、その時点の平均QT値および平均RR間隔値から計算される。QT間隔延長は、計算したQTcF値を使用して、基準値からの平均変化と判定される。したがって、時点における「QT間隔延長」は、基準値からの平均QTcF変化(ΔQTcF)である。
【0069】
Bazett(QTcB)の式QTcB=QT/√RRは、別の慣用補正式の製剤であるが、Bazettの式は、心拍の効果に対して十分に補正せず、かつ高い心拍を過剰補正することが公知のため、Bazettの式の代わりにQTcFが、QT延長を評価するために本明細書で選択されたことが理解されるべきである(例えば、Davey P., "How to correct the QT interval for the effects of heart rate in clinical studies." J. Pharmacol Toxicol Methods.2002; 48; 3-9を参照されたい)。二重盲検臨床試験において、プラセボは、QTcFの基準値からの変化(ΔΔQTcF)を調整したが、基準値からの平均QTcF変化(ΔQTcF)は、判定に二重盲検プロトコルを必要としないので、ここで使用するために選択され、プラセボを活用しない通常の来院中のECG測定を必要としないことも理解されるべきである。
【0070】
放出調節製剤
【0071】
様々な態様および実施態様において、固体経口剤形の放出調節組成物は、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩、および1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0072】
アミスルプリドエナンチオマーが、ある重量で存在するといわれ、そのようなエナンチオマーのアミスルプリドが、薬学的に許容されるそれらの塩として提供される場合、その重量は、塩部分を除いたアミスルプリドエナンチオマー部分を指し、それが遊離塩基であると理解されるべきである。したがって、(R)-(+)-アミスルプリドと(S)-(-)-アミスルプリドの重量比が言及される場合、とりわけ、アミスルプリドエナンチオマーの1つのみが、薬学的に許容されるそれらの塩として存在する場合、またはアミスルプリドエナンチオマーが、別の薬学的に許容される塩として存在する場合、これは、いかなる塩部分も除いたアミスルプリド部分のみの重量比であることが理解されるべきである。
【0073】
様々な態様および実施態様において、放出調節組成物は、総量約5mgから約1000mg、約50mgから約750mg、約5mgから約15mg、約25mgから約50mg、約50mgから約300mgまたは約100mgから約300mgのアミスルプリドを含む。
【0074】
様々な態様および実施態様において、放出調節組成物は、遊離塩基の重量で総量約5mgから約15mg、約25mgから約50mg、約50mgから約100mg、約100mgから約1000mg、約150mgから約800mg、約100mgから約150mg、約150mgから約200mg、約200mgから約300mg、約300mgから約400mg、約400mgから約500mg、約600mgから約700mg、約700mgから約800mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mgまたは約800mgのアミスルプリドを含む。
【0075】
薬学的に許容される賦形剤は、1つまたは複数の結合剤、バルク剤、緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、希釈剤、増粘剤または粘度低下剤、乳化剤、懸濁剤、防腐剤、抗酸化剤、不透明剤、流動促進剤、加工助剤、着色料、甘味料、味覚マスキング剤、芳香剤、香味剤、希釈剤、および薬物の見栄えを洗練させる、または本明細書に記載されている放出調節組成物を含む医薬もしくは医薬製品の製造を助ける他の公知の添加剤を含むが、それらに限定されないことが理解されるべきである。担体および賦形剤の例は、例えば、Ansel, Howard C., et al., Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2004; Gennaro, Alfonso R., et al. Remington: The Science and Practice of Pharmacy. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2000; and Rowe, Raymond C. Handbook of Pharmaceutical Excipients. Chicago, Pharmaceutical Press, 2005で詳細に記載されている。
【0076】
様々な態様および実施態様において、放出調節組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバントまたはビヒクルを含み、固体経口剤形として製剤される。様々な実施態様において、固体経口剤形は、散剤、錠剤、カプレット剤またはカプセル剤の形態である。様々な実施態様において、固体経口剤形は、錠剤を含み、様々な実施態様において、固体経口剤形は、カプセル剤を含む。
【0077】
様々な実施態様において、放出調節組成物は、1日1回、2回、3回または4回で投与されるように(例えば活性成分量に関して)製剤化される。
【0078】
(R)-(+)-アミスルプリドおよび(S)-(-)-アミスルプリドのラセミ混合物の形態のアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩の総量は、単一の投与単位形態、例えば単一の錠剤、カプセル剤で得られる必要はないことが理解されるべきである。様々な実施態様において、放出調節組成物は、例えば、2つの投与単位形態の投与が、(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリドを組み合わせた所望の量のアミスルプリドの投与になるような投与単位形態で得られる。
【0079】
様々な態様および実施態様において、すべての賦形剤は、それぞれの米国薬局方(USP)、日本薬局方(JP)、日本医薬品添加物規格(JPE)、欧州薬局方(Ph.Eur.)および/または国民医薬品集(NF)モノグラフに準拠する。
【0080】
様々な実施態様において、放出調節組成物は、投与の容易さおよび投与量の均一性のため、投与単位形態で製剤化される。本明細書で使用される、「投与単位形態」という表現は、治療を受ける対象に適切な薬剤の物理的に個別の単位を指す。
【0081】
錠剤製剤
【0082】
様々な実施態様において、放出調節組成物は、顆粒内成分(顆粒)および顆粒外成分を含む錠剤の形態の固体経口剤形として得られ、顆粒内成分は;(a)ラセミアミスルプリド、および(b)1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含み;顆粒外成分は、持続放出性薬剤を含む。
【0083】
様々な実施態様において、顆粒は、約60重量%から約80重量%のラセミアミスルプリド、約10重量%から約30重量%の充填剤、約1重量%から約5重量%の結合剤を含み;すべての重量パーセンテージは、処理中に除去されるいかなる溶媒(例えば水)も除く。様々な実施態様において、得られた錠剤(顆粒と顆粒外成分)は、錠剤の総重量に対して約20%から約70%の顆粒、錠剤の総重量に対して約10%から約50%の持続放出性薬剤、ならびに、錠剤の総重量に対して約6%から約60%である組み合わせた量の顆粒外および顆粒内両方の充填剤を含む。様々な実施態様において、顆粒外および顆粒内両方の充填剤を組み合わせた量は、錠剤の総重量に対して約10%から約50%である。様々な実施態様において、得られた錠剤は、錠剤の総重量に対して約20%から約35%の持続放出性薬剤を含む。
【0084】
様々な実施態様において、顆粒は、合計約60重量%から約80重量%のラセミアミスルプリド、約10重量%から約30重量%の充填剤、約1重量%から約5重量%の結合剤を含み;すべての重量パーセンテージは、処理中に除去されるいかなる溶媒(例えば水)も除く。
【0085】
様々な実施態様において、顆粒は、約70重量%から約80重量%のラセミアミスルプリド、約20重量%から約25重量%の充填剤、約1重量%から約5重量%の結合剤を含み;すべての重量パーセンテージは、処理中に除去されるいかなる溶媒(例えば水)も除く。
【0086】
なおさらなる実施態様において、顆粒は、約75重量%のラセミアミスルプリド、約22重量%の充填剤、約3重量%の結合剤を含み;すべての重量パーセンテージは、処理中に除去されるいかなる溶媒(例えば水)も除く。
【0087】
様々な実施態様において、得られた錠剤(顆粒と顆粒外成分)は、錠剤の総重量に対して約20%から約70%の顆粒、錠剤の総重量に対して約10%から約50%の持続放出性薬剤、ならびに錠剤の総重量に対して約6%から約60%の組み合わせた量の顆粒外および顆粒内両方の充填剤を含む。様々な実施態様において、得られた錠剤は、錠剤の総重量に対して約20%から約35%の持続放出性薬剤を含む。
【0088】
様々な実施態様において、組み合わせた量の顆粒外および顆粒内両方の充填剤は、錠剤の総重量に対して約10%から約50%である。いくつかの実施態様において、得られた錠剤(顆粒と顆粒外成分)は、錠剤の総重量に対して約20%から約70%の顆粒、錠剤の総重量に対して約10%から約50%の持続放出性薬剤、約0%から約60%の顆粒外充填剤、および錠剤の総重量に対して約0%から約2%の滑沢剤を含む。様々な実施態様において、得られた錠剤は、錠剤の総重量に対して、約20%から約35%の持続放出性薬剤を含む。
【0089】
様々な実施態様において、得られた錠剤(顆粒と顆粒外成分)は、錠剤の総重量に対して約45%から約65%の顆粒、錠剤の総重量に対して約10%から約35%の持続放出性薬剤、および錠剤の総重量に対して約0%から約40%の顆粒外充填剤、および錠剤の総重量に対して約0%から約2%の滑沢剤を含む。様々な実施態様において、得られた錠剤は、錠剤の総重量に対して、約20%から約35%の持続放出性薬剤を含む。
【0090】
様々な態様および実施態様において、顆粒における充填剤および結合剤の組み合わせた重量パーセンテージの合計に対するラセミアミスルプリドの重量パーセンテージの比は、約3:1である。
【0091】
様々な態様において、顆粒外の充填剤および持続放出性薬剤の組み合わせた重量パーセンテージの合計に対するラセミアミスルプリドの重量パーセンテージの比は、約1:1から1:0.8である。
【0092】
様々な態様および実施態様において、造粒顆粒は、約180ミクロンから約250ミクロン、約170ミクロンから約190ミクロン、約175ミクロンから約185ミクロン、約180ミクロンから約205ミクロン、約205ミクロンから約220ミクロンまたは約220ミクロンから約240ミクロンのD50粒径を示す。
【0093】
様々な態様および実施態様において、ブレンドした顆粒と顆粒外成分は、約180ミクロンから約250ミクロン、約80ミクロンから約120ミクロン、約90ミクロンから約110ミクロン、約180ミクロンから約205ミクロン、約205ミクロンから約220ミクロンまたは約220ミクロンから約240ミクロンのD50粒径を示す。
【0094】
なおさらなるいくつかの態様および実施態様において、ブレンドした顆粒と顆粒外成分は5~15kNの圧縮力で圧縮され、硬度約70Nから約170Nを有する錠剤を製造する。
【0095】
200mgマトリックス錠剤製剤の様々な実施態様において、(R)-アミスルプリド、(S)-アミスルプリドおよびD-マンニトールは、スクリーンミルで別々に砕塊する。砕塊した(R)-アミスルプリド、砕塊した(S)-アミスルプリド、砕塊したD-マンニトール、および部分アルファ化デンプンを、高せん断湿式造粒機で、部分加水分解ポリビニルアルコールの水溶液を噴霧することにより造粒され、湿潤顆粒は、スクリーンミルを通過させて、分粒した顆粒を得る。D-マンニトールおよびヒプロメロースを、分粒した顆粒とブレンダー中でブレンドする。続いて、ステアリン酸マグネシウムを、顆粒とブレンダー中でブレンドする。ブレンドした顆粒は、ロータリープレスで、コア錠剤に圧縮される。
【0096】
様々な実施態様において、充填剤の例としては、D-マンニトール、リン酸二カルシウム 二塩基性、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、およびトウモロコシデンプンが挙げられるが、それらに限定されない。1種以上の充填剤を、本発明の錠剤に使用できること、および顆粒中の充填剤は、錠剤の顆粒外成分中に使用されるものと同一であっても異なっていてもよいことが理解されるべきである。
【0097】
様々な実施態様において、結合剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、部分加水分解ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールおよびメチルセルロースが挙げられるが、それらに限定されない。
【0098】
様々な実施態様において、持続放出性薬剤の例としては、ヒドロキスプロピルセルロース(HPC)およびヒプロメロース(別名ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))が挙げられるが、それらに限定されない。1種以上の持続放出性薬剤を、本発明の錠剤に使用できることは理解されるべきである。
【0099】
様々な実施態様において、滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリルフマル酸ナトリウムが挙げられるが、それらに限定されない。
【0100】
様々な実施態様において、放出調節錠剤は、表1に明記されているものに実質的に従った組成を有する。表1の錠剤はそれぞれ、200mgのラセミアミスルプリド、および様々な量の持続放出性薬剤を含む。
【表1】
【0101】
様々な実施態様において、放出調節錠剤は、表2に明記されているものに実質的に一致する組成を有する。表2の錠剤はそれぞれ、200mgのラセミアミスルプリド、および様々な量の持続放出性薬剤を含む。
【表2】
【0102】
様々な実施態様において、放出調節錠剤は、表3Aに明記されているものに実質的に従った組成を有する。表3Aの錠剤はそれぞれ、200mgのラセミアミスルプリド、および様々な量の持続放出性薬剤を含む。
【表3】
【0103】
様々な態様および実施態様において、放出調節組成物は、表4および本願明細書に明記されている二段階インビトロ溶出試験を使用して試験した場合、(a)2時間後に約40%以下のアミスルプリドを放出し、約12時間未満で約80%超のアミスルプリドを放出する;(b)1時間後に約40%未満のアミスルプリドを放出し、3時間後に約20%超かつ約60%未満のアミスルプリドを放出し、6時間後に約30%超かつ100%未満のアミスルプリドを放出する;(c)1時間後に約30%未満のアミスルプリドを放出し、3時間後に約20%超かつ約60%未満のアミスルプリドを放出し、6時間後に約30%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出する;(d)1時間後に約20%未満のアミスルプリドを放出し、3時間後に約20%超かつ約50%未満のアミスルプリドを放出し、および6時間後に約30%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出する;(e)6時間後に約30%超かつ約50%未満のアミスルプリドを放出する;(f)約3時間後に約30%から75%のアミスルプリドを放出し、約12時間後に約75%超のアミスルプリドを放出する;(g)1時間後に約30%未満のアミスルプリドを放出し、3時間後に25%超かつ約55%未満のアミスルプリドを放出し、6時間後に約45%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出する;または(h)約6時間後に約75%超のアミスルプリドを放出する。
【0104】
様々な実施態様において、放出調節組成物は、表4および本願明細書に明記されている二段階インビトロ溶出試験を使用して試験した場合、図2におけるTab 1D(表3C)、または図2におけるTab 2D(表3C)に対するものと実質的に一致する放出プロファイルを有する。
【表4】

【表5】

【表6】
【0105】
図2における表3Bの放出調節(MR)製剤のインビトロ溶出プロファイルは、米国薬局方(USP)第711章溶出試験の装置2;USP41-NF36一般章<711>溶出試験により記載されているものに実質的に従ったパドル装置を使用して得られた。装置は、表4に記載されているように動作させた。アミスルプリドの放出は、媒体から得た1.5mlの試料から判定し、Kinetex Biphenyl、4.6×100mm、2.6μm(P/N:00D-4622-E0)カラムおよび図に指し示されている時点で280nmにセットしたUV検出器を用いるHPLCを使用して分析した。
【0106】
本明細書に記載されている放出調節錠剤を調製するために、多彩な手順を使用できる。例えば、表1~3Aおよび3Bの放出調節錠剤は、以下のように調製することができる。活性医薬成分((R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリド)およびD-マンニトール(Pearitol 50C)は、スクリーンミルで別々に砕塊する。砕塊したAPI、砕塊したD-マンニトールおよび部分アルファ化デンプンは、高せん断湿式造粒機で、部分加水分解ポリビニルアルコールの水溶液を噴霧すること、および湿潤顆粒にスクリーンミルを通過させ、流動床造粒機で乾燥させることにより造粒する。得られた顆粒は、次いでスクリーンミルを通過させて、分粒した顆粒を得ることができる。D-マンニトール(Pearitol 100SD)およびヒプロメロースを、次いで分粒した顆粒とブレンダー中でブレンドする。続いて、ステアリン酸マグネシウムを顆粒とブレンダー中でブレンドする。ブレンドした顆粒は、次いでロータリープレスでコア錠剤に圧縮する。
【0107】
より具体的には、活性医薬成分((R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリド)と様々な賦形剤を混合して顆粒を形成する前に、(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリドを別々に砕塊する。砕塊は、丸棒インペラー、およびスクリーンサイズ1.397mm(055R)を有し、スペーサーサイズが0.200の円形孔スクリーンで構成されており、インペラーを743min-1の低い回転速度で動作させるPowrex(Quadro)Co mill QC-194Sを用いることができる。D-マンニトールも類似した手順により砕塊することができる。
【0108】
造粒は、ストレートタイプ35°のブレード(400rpmで回転)、60mm×3プレートのクロススクリュー(3000rpmで回転)、30NL/min(ブレード)、20NL/min(クロススクリュー)の封入空気圧、2流体ノズルスプレーガン(サイズが1.0mmのスプレーガンノズルを有し、10g/minの噴霧速度、0.03MPaの噴霧空気圧で動作させる、およびプロセスにおいて様々な工程で必要に応じて設定される温度コントロールジャケットで構成されるPowrex FM-VG-05(総容量:5L)造粒機を使用して達成することができる。
【0109】
結合剤は、最初に、精製水に入れた10%固形濃縮物を調製し、80℃超で加熱し、部分加水分解ポリビニルアルコールをプロペラ混合機により温水に溶解する。さらに必要に応じて、他の賦形剤を組み合わせる前に砕塊することができる。
【0110】
表1~3Aおよび3Bのものに実質的に一致する、顆粒および錠剤を製造するために、スプレーガンを経由した導入に向けて結合剤を添加し、砕塊したマンニトール、部分アルファ化デンプン、砕塊したAPI(例えば砕塊したラセミアミスルプリド、または砕塊した(R)-アミスルプリド、および砕塊した(S)-アミスルプリド)をプラスチック袋中で軽く混合する。得られた混合物を造粒機の容器に添加し、1min.ブレンドし、次いで噴霧器により結合剤の噴霧をスタートする。噴霧後、容器、ブレード、クロススクリュー、蓋の表面に接着した顆粒を含む容器中のすべての顆粒を刮ぎ取り、乾燥での水の損失を判定する。
【0111】
得られた顆粒を、次いで、顆粒外成分と組み合わせる前に、湿式分粒する。顆粒は、丸棒インペラー、およびスクリーンサイズ:3.962mm(156R)を有し、スペーサーサイズが0.225の円形孔スクリーンで構成されており、インペラーを900min-1の低い回転速度で動作させるPowrex(Quadro)Co mill QC-194Sを使用して湿式分粒することができる。顆粒を手作業で2~3minかけて供給する(300gスケールの供給)。
【0112】
湿式分粒した顆粒は、次いで、80℃の吸気温度を有する0.7~1.0m/hrの吸気流を用いたPowrex FD-MP-01(総容量:0.6~3L)を使用して乾燥させる。湿式分粒した顆粒を容器に添加し、乾燥をスタートさせる。排気温度が40℃に達した際に乾燥を止め、顆粒を水の損失について試験する;乾燥での損失(LOD)はNMT2.0%にすべきである。
【0113】
顆粒および顆粒外成分は、Tsutsui scientific instrument S-3(V-blender、総容量:2L)を以下のように使用してブレンドすることができる。分粒した顆粒をブレンダーの容器に添加し、次いで持続放出性薬剤(例えばヒプロメロース)、および充填剤(例えば、D-マンニトール)を添加し、材料を40rpmで15minブレンドする。ブレンドした顆粒の一部を除去し、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)と混合し、混合物に適切なふるい(例えば850μmふるい)を通過させ、ふるい分けした混合物をブレンダー容器へ戻し、40rpmで5minブレンドする。
【0114】
表1~3Aおよび3Bの錠剤は、次いで11mmのWR(22.0R、5.5R)ツーリングを有し、20rpmの圧縮速度、および約NLT 100Nの硬度を有する錠剤を生成するように調整した圧縮力で動作させるロータリープレスKikusui VEL2を使用して形成することができる。
【0115】
多微粒子カプセル剤(MUPS)製剤
【0116】
様々な態様および実施態様において、放出調節組成物が、複数種のコーティングした微粒子を含むカプセル剤の形態の固体経口剤形として得られ;微粒子成分は、(a)実質的に鏡像異性的に純粋な(R)-アミスルプリドのコーティング微粒子、および(b)実質的に鏡像異性的に純粋な(S)-アミスルプリドのコーティング微粒子を含み、RおよびSアミスルプリド微粒子は、遊離塩基の重量に対して約50:50のR:Sアミスルプリドの比で、カプセル剤中で組み合わせられる。
【0117】
様々な実施態様において、(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリド粒子のコーティングは、実質的に同一であり、様々な実施態様において、(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリド粒子のコーティングは異なる。様々な実施態様において、微粒子は、粒子の総重量に対して約8%から約60%、約10%から約45%または約15%から約30%を占める1つまたは複数のポリマーコーティングでコーティングされる。
【0118】
ポリマーコートの重量パーセンテージは、未コーティング粒子の重量のパーセンテージのように、ポリマーコーティング(例えばポリマー+可塑剤)の重量としても記載され得ることが理解されるべきである。したがって、様々な実施態様において、放出調節組成物は、複数種のコーティング微粒子を含むカプセル剤の形態の固体経口剤形として得られ;微粒子成分は、(a)実質的に鏡像異性的に純粋な(R)-アミスルプリドのコーティング微粒子および(b)実質的に鏡像異性的に純粋な(S)-アミスルプリドのコーティング微粒子を含み、RおよびSアミスルプリド微粒子は、アミスルプリド遊離塩基の重量に対して、約50:50のR:Sアミスルプリドの比で、カプセル剤中で組み合わせられる。様々な実施態様において、(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリドのコーティングは、実質的に同一であり、様々な実施態様において、(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリド粒子のコーティングは異なる。様々な実施態様において、微粒子は、未コーティング粒子の重量に対して、約10%から約60%、約10%から約45%または約15%から約35%を占める1つまたは複数のポリマーコーティングでコーティングされる。
【0119】
様々な実施態様において、微粒子は、APIに加えて結合剤を含み、滑沢賦形剤を含んでもよく、組み合わせたAPI、結合剤および滑沢剤微粒子は、1つまたは複数のポリマーでコーティングする。様々な実施態様において、APIは、コーティング粒子の総重量の約35%から約65%を占め、結合剤は、コーティング粒子の総重量の約8%から約20%、様々な実施態様において約9%から約15%を占め、滑沢賦形剤は、コーティング粒子の総重量の約8%から約20%、様々な実施態様において、約9%から約15%を占め、ポリマーコーティングは、粒子の総重量に対して約10%から約45%を占める。
【0120】
様々な実施態様において、微粒子は、APIに加えて結合剤を含み、滑沢賦形剤を含んでもよく、組み合わせたAPI、結合剤および滑沢剤微粒子は、1つまたは複数のポリマーでコーティングされる。様々な実施態様において、APIは、未コーティング粒子の総重量の約40%から約85%(また、様々な実施態様において、未コーティング粒子の総重量の約65%から約75%)を占め、結合剤は、未コーティング粒子の総重量の約8%から約20%、様々な実施態様において約9%から約15%を占め、滑沢賦形剤は、未コーティング粒子の総重量の約8%から約20%、様々な実施態様において約9%から約15%を占め、ポリマーコーティングは、未コーティング粒子重量に対して約10%から約60%、様々な実施態様において未コーティング粒子重量に対して約10%から約45%、様々な実施態様において未コーティング粒子重量に対して約15%から約35%を占める。
【0121】
様々な実施態様において、APIとポリマーコーティングの比は、約1:0.5から1:0.6である。様々な実施態様において、APIと結合剤の比は、約1:0.2から1:0.25である。様々なさらなる実施態様において、API対ポリマーコーティングの比は、約1:0.5から1:0.6であり、APIと結合剤の比は、約1:0.2から1:0.25である。
【0122】
様々な実施態様において、結合剤の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、部分加水分解ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、コポリビドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール-アクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー、酢酸ビニル-ビニルピロリドンコポリマー、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコール-グラフトコポリマー、アルファ化デンプン、デキストリン、デキストラン、プルラン、アルギン酸、ゼラチン、ペクチン、およびそれらの1つまたは複数の混合物が挙げられるが、それらに限定されない。様々な実施態様において、1つまたは複数のヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールが使用される。
【0123】
様々な実施態様において、滑沢賦形剤の例としては、微粒子化タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、含水二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、重質無水ケイ酸、二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、および酸化チタンが挙げられるが、それらに限定されない。様々な実施態様において、1つまたは複数のタルク、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリルフマル酸ナトリウムが使用される。
【0124】
様々な実施態様において、ポリマーコーティングは、1つまたは複数の水不溶性ポリマー、および1つまたは複数のポリマーと混合される1つまたは複数の可塑剤を含む。様々な実施態様において、水不溶性ポリマーの例としては、エチルセルロース、アセチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、エチルアクリレートおよび酢酸ビニル樹脂が挙げられるが、それらに限定されない。様々な実施態様において、可塑剤の例としては、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトールソルビタン溶液、トリアセチン、グリセリン、グリセリン脂肪酸、シリコーン油、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、セバシン酸ジブチル、三酢酸グリセリン、およびアセチル化モノグリセリドが挙げられるが、それらに限定されない。様々な実施態様において、1つまたは複数のエチルセルロースおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーRSがポリマーであり、クエン酸トリエチルが可塑剤である。様々な実施態様において、ポリマーコーティングは、エチルセルロースおよびクエン酸トリエチルの混合物を含み、エチルセルロースとクエン酸トリエチルの重量比は、約3:1から約5:1、様々な実施態様において約4:1の範囲である。
【0125】
この多微粒子カプセル剤製剤中で、微粒子を含有するR-アミスルプリドおよびS-アミスルプリドが製剤され、別々にコーティングされ、次いで十分な量のR-アミスルプリド微粒子およびS-アミスルプリド微粒子がカプセル剤中で組み合わせられて、望ましいラセミアミスルプリドが得られることが理解されるべきである。コーティングした微粒子中におけるアミスルプリドのパーセンテージが、R-アミスルプリド微粒子とS-アミスルプリド微粒子との間で異なる場合(異なる未コーティング微粒子製剤および/または異なる量のポリマーコーティングに起因し得るため)、微粒子は、それぞれの微粒子中におけるアミスルプリドの重量に基づいて組み合わせられることが理解されるべきである。
【0126】
したがって、表10および11におけるカプセル剤製剤の絶対重量は、望ましいラセミアミスルプリドR:S比を含む最終的な多微粒子カプセル剤中の様々な成分の絶対重量を指し示さないことが理解されるべきである。しかし、表10および11の組成は、それぞれの微粒子における様々な成分、表5では様々な実施態様における多微粒子カプセル剤の微粒子成分のR-アミスルプリド微粒子、および表6ではS-アミスルプリド微粒子の相対比を確かに示す。
【0127】
様々な実施態様において、放出調節多微粒子カプセル剤は、表5に明記されているものに実質的に従ったR-アミスルプリド微粒子の相対成分組成を有し;すなわち、多微粒子カプセル剤中のR-アミスルプリド微粒子における様々な成分の重量比は、表5に明記されている比(絶対重量ではない)に実質的に従う。
【0128】
様々な実施態様において、本発明は、表6に明記されているものに実質的に従ったS-アミスルプリド微粒子の相対成分組成を有する放出調節多微粒子医薬カプセル剤を提供し;すなわち、多微粒子カプセル剤中のS-アミスルプリド微粒子における様々な成分の重量比は、表6に明記されている比(絶対重量ではない)に実質的に従う。
【表7】

【表8】
【0129】
表10および11の製剤を含む微粒子についての粒径分布は、表12および13でそれぞれ示されている。これらの粒径分布は、ふるい分析を使用して判定し;微粒子は、微粒子を個別のサイズ範囲に分けるために振とうするワイヤーメッシュふるいの積層(BS 410およびISP 3310-1規格、ならびに表12および13の1列目で指し示されている公称開口サイズに準拠する)を通して移動させる。
【表9】

【表10】
【0130】
様々な実施態様において、放出調節多微粒子カプセル剤は、表9に明記されているものに実質的に従った組成物を有する。表9の錠剤はそれぞれ、200mgまたは100mgの(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリドを50:50のR:S比で、および微粒子の場合は様々な量のポリマーコーティングを含む。本明細書に記載されている場合、多微粒子カプセル剤は、適切な量のポリマーでコーティングした(R)-アミスルプリド微粒子およびポリマーでコーティングした(S)-アミスルプリド微粒子を、カプセル剤内で組み合わせることにより生成される。
【表11】
【0131】
本明細書に記載されている放出調節カプセル剤を調製するために、多彩な手順を使用できる。例えば、表9の放出調節カプセル剤を作るために使用される表5の(R)-アミスルプリド微粒子、表6の(S)-アミスルプリド微粒子、ならびに実質的に鏡像異性的に純粋な(R)-アミスルプリドのコーティング微粒子および実質的に鏡像異性的に純粋な(S)-アミスルプリドのコーティング微粒子は、以下のように調製した。コーティングされていない実質的に鏡像異性的に純粋な(R)-アミスルプリド微粒子およびコーティングされていない実質的に鏡像異性的に純粋な(S)-アミスルプリド微粒子は、同一の手順を別々に使用して調製し;また、別々にコーティングして、同一の手順を使用した放出調節微粒子を調製した。
【0132】
未コーティング微粒子は、以下のように調製した。有効医薬成分((R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリド)を、スクリーンミルで別々に砕塊し、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)をふるい分け振とう機で別々に砕塊した。砕塊した原薬微粒子原料をそれぞれ、砕塊したヒドロキシプロピルセルロースおよび微粒子化タルク(滑沢剤)と別々に組み合わせ、ブレンドし、次いで高せん断湿式造粒機で精製水を噴霧して、湿潤微粒子を作ることにより造粒し、湿潤微粒子を次いで流動床造粒機中で乾燥させた。得られた乾燥微粒子をふるい分け振とう機でふるい分けて、即時放出(IR)微粒子を得た。得られた乾燥IR微粒子を次いでコーティングして(それぞれ別々のエナンチオマー)、各エナンチオマーの放出調節(MR)微粒子を調製した。
【0133】
より具体的には、活性医薬成分((R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリド)と様々な賦形剤を混合して顆粒を形成する前に、(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリドを別々に砕塊した。砕塊は、丸棒インペラー、およびスクリーンサイズ1.143mmを有する円形孔スクリーンで構成されており、インペラーを743min-1の低い回転速度で動作させるPowrex(Quadro)Co mill QC-194Sを用いた。ヒドロキシプロピルセルロースの砕塊は、150mmφのふるいを有し、ふるいメッシュサイズが150μmおよび500μmのIIDAふるい分け振とう機(ES-65)を、230rpmで回転させ、130rpmでタッピングする振とうレベル、およびふるい分け合計時間10分で用いた。
【0134】
造粒は、ストレートタイプ35°のブレード(400rpmで回転)、60mm×3プレートのクロススクリュー(3000rpmで回転)、20NL/min(ブレード)、10NL/min(クロススクリュー)の封入空気圧、2流体ノズルスプレーガン(サイズが0.5mm IDのスプレーガンノズルを有し、ノズルチップからエアキャップまでの長さが0.5mm、4g/minの噴霧速度、0.08MPaの噴霧空気圧で動作させる)で構成されているPowrex FM-VG-05(総容量:5L)造粒機を使用して達成した。温度コントロールジャケットは、プロセスにおいて様々な工程で必要に応じて使用および設定できることが理解されるべきである。
【0135】
造粒するための手順は、以下の通りであった。タルクを造粒機の容器に添加し、1分ブレンドした。適正な比率でふるい分けたヒドロキシプロピルセルロースを、プラスチック袋中の砕塊したAPI((R)-アミスルプリドまたは(S)-アミスルプリド)に添加し、軽く混合した。得られた混合物を造粒機の容器(タルクを含有する)に添加し、3分ブレンドした。結合剤(精製水)の噴霧を次いでスタートさせ、以下の量で噴霧し、以下の11種のアリコートをブレンドした:50g噴霧したアリコート1;50g噴霧したアリコート2;25g噴霧したアリコート3;0g噴霧したアリコート4(5minブレンドした);15g噴霧したアリコート5、0g噴霧したアリコート6(5minブレンドした);15g噴霧したアリコート7;0g噴霧したアリコート8(5minブレンドした);0g噴霧したアリコート9(3minブレンドした);0g噴霧したアリコート10(2minブレンドした);および0g噴霧したアリコート11(2minブレンドした)。噴霧後、容器、ブレード、クロススクリュー、および蓋の表面に接着した顆粒を含む、容器中のすべての顆粒を刮ぎ取り、11種のアリコートの噴霧およびブレンド、ならびに刮ぎ取る工程を繰り返した。すでに言及されているように、このプロセスは、API((R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリド)のそれぞれに対して別々に実行する、すなわち所定のバッチは、実質的に単一のアミスルプリドエナンチオマーのみを含有することが理解されるべきである。
【0136】
造粒後、生じた微粒子は、0.79~0.91m/minの吸気流および80℃の吸気温度で動作させるPowrex FD-MP-01(総容量:0.6~3L)を使用して乾燥させた。湿潤微粒子を容器に添加し、乾燥をスタートさせた。排気温度が40℃に達した際に乾燥を止め、微粒子を水の損失について試験し;乾燥での損失(LOD)はNMT2.0%にすべきである。
【0137】
乾燥させた微粒子は、次いで、150mmφのふるいを有し、ふるいメッシュサイズが106μmおよび500μmのIIDAふるい分け振とう機(ES-65)を、230rpmで回転させ、130rpmでタッピングする振とうレベル、およびふるい分け合計時間10分で使用して(それぞれのエナンチオマーで別々に)ふるい分けた。得られた即時放出微粒子を次いでコーティングして、MR微粒子を調製した。
【0138】
具体的には、単一のエナンチオマーのIR微粒子を、0.77~0.94m/minの吸気流、0.2MPaのSPCパルス空気圧、2流体ノズルスプレーガン(サイズが1.2mm IDのスプレーガンノズルを有し、ノズルチップからエアキャップまでの長さが2.0mm、4g/minの噴霧速度、0.2MPaの噴霧空気圧で動作させる)で構成されている650gバッチにて、Powrex/FD-MP-01/SPC(総容量:0.6~3L)ガス懸濁液/流動床装置でコーティングして、予熱により初期入口温度を67℃、また、36~40℃の範囲を呈する出口目標温度を38℃とした。予熱後、特定のエナンチオマーのIR微粒子を、容器に添加し、造粒および噴霧をスタートした。コーティング量を重量によりモニターし(必要な場合は)、噴霧量が望ましいコーティングレベルに達した際に造粒機を止めた。すでに言及されているように、このプロセスは、API((R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリド)のそれぞれに対して別々に実行する、すなわち所定のバッチは、実質的に単一のアミスルプリドエナンチオマーのみを含有することが理解されるべきである。
【0139】
コーティング微粒子は、次いで、金属トレイおよびトレイ上の1.5cm厚の微粒子層を有し、60℃にて動作させるTABAI/perfect oven PH-400(直接加熱、トレイおよびトラックを有する静止固体床乾燥機)を使用して乾燥させ、18時間乾燥させた。乾燥に続いて、微粒子を、500μmのふるいで手作業にてふるい分けた。
【0140】
(R)-(+)-アミスルプリドおよび(S)-(-)-アミスルプリド
【0141】
放出調節製剤は、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0142】
様々な実施態様において、(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリドを組み合わせた総量は、約5mg、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、750mg、800mg、900mgまたは1000mgである。様々な実施態様において、1回投与されると、または治療サイクルで投与されると、(R)-(+)-アミスルプリドおよび(S)-(-)-アミスルプリドを組み合わせた総量は、約50~1000mg、約200~750mg、約50~100mgまたは約5~15mgの範囲である。
【0143】
様々な実施態様において、(R)-アミスルプリドおよび(S)-アミスルプリドを組み合わせた量は、遊離塩基の重量で約:5mg、10mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、または1000mgである。
【0144】
治療方法
【0145】
医薬および放出調節組成物は、対象における精神障害、対象における神経障害、または神経障害および精神障害の両方を治療するために使用でき、かつ/またはそれらを治療する医薬を製造するために使用でき、障害は、持続性鬱病性障害(PDD)、統合失調症、急性統合失調症;慢性統合失調症;統合失調症の陽性症状(例えば妄想、幻覚、思考障害);および統合失調症の陰性症状を含む。
【0146】
様々な態様において、医薬および放出調節組成物は、術後悪心および嘔吐を治療するために使用でき、かつ/またはそれらを治療および/または管理する医薬を製造するために使用できる。
【0147】
様々な態様および実施態様において、対象において精神障害を治療する方法であって、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩、および1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体経口剤形の放出調節組成物を対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0148】
治療方法の様々な実施態様において、
【0149】
(1)対象集団に投与された、放出調節組成物は、(a)投与後12時間の期間で、アミスルプリド10mg当たり約0.45ミリ秒(ms)未満;(b)アミスルプリド10mg当たり約0.30ミリ秒(ms)未満;(c)アミスルプリド10mg当たり約0.20ミリ秒(ms)未満;(d)アミスルプリド10mg当たり約0.15ミリ秒(ms)未満;(e)アミスルプリド10mg当たり約0.10ミリ秒(ms)未満;(f)アミスルプリド10mg当たり約0.05ミリ秒(ms)未満;もしくは(g)アミスルプリド10mg当たり約0.02ミリ秒(ms)未満の集団の平均の最大QT間隔延長をもたらす;ならびに/または
【0150】
(2)例えば表5および添付のテキストに記載されている二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した、固体経口剤形は、(a)1時間後に約40%未満のアミスルプリド、3時間後に約20%超かつ約60%未満のアミスルプリド剤、および6時間後に約30%超かつ100%未満のアミスルプリドを放出し;(b)1時間後に約30%未満のアミスルプリド、3時間後に約20%超かつ約60%未満のアミスルプリド、および6時間後に約30%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出し;(c)1時間後に約20%未満のアミスルプリド、3時間後に約20%超かつ約50%未満のアミスルプリド、および6時間後に約30%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出し;(d)6時間後に約30%超かつ約50%未満のアミスルプリドを放出し;(e)約3時間後に約30%から75%のアミスルプリド、および約12時間後に約75%超のアミスルプリドを放出し;(f)1時間後に約30%未満のアミスルプリド、3時間後に25%超かつ約55%未満のアミスルプリド、6時間後に約45%超かつ約75%未満のアミスルプリドを放出し;または(g)約6時間後に約75%超のアミスルプリドを放出する;ならびに/または
【0151】
(3)対象集団に投与された、放出調節組成物は、アミスルプリドのCminからCmaxの変動を最小限に抑えるのに有効である;ならびに/または
【0152】
(4)精神障害の治療に使用される放出調節組成物が、放出調節医薬組成物と1日当たりの総量が同一のアミスルプリドを有する即時放出組成物と比較して、アミスルプリドのCminとCmaxとの間の差を最小限に抑えるのに有効であり、Cminの値は、投与後約9時間のものである;ならびに/または
【0153】
(5)対象集団に投与された、放出調節組成物は、約2未満、約1.9未満もしくは約1.8未満であるアミスルプリドのCmax/Cminの比を提供するのに有効であり、Cminの値は、投与後約9時間のものである;ならびに/または
【0154】
(6)対象集団に投与された、放出調節組成物は、(i)投与からTmaxまでのアミスルプリドの血漿濃度対時間の曲線下面積(AUC)(AUC0~Tmax)が、投与から48時間までの曲線下面積(AUC0-48)の約17%未満、約16%未満、約14%未満、もしくは約12%未満であり;(ii)アミスルプリドのTmaxは、投与後約4から約6時間である;ならびに/または
【0155】
(7)対象集団に投与された、放出調節組成物は、(i)放出調節組成物と1日当たりの総量が同一であるアミスルプリドを有する即時放出製剤により達成されるCmaxの約75%未満、70%、65%、60%、55%もしくは50%であるアミスルプリドの血漿Cmaxを提供する。
【0156】
様々な実施態様において、障害は、1つまたは複数の、持続性鬱病性障害(PDD)、統合失調症、急性統合失調症;慢性統合失調症;統合失調症の陽性症状(例えば妄想、幻覚、思考障害);および統合失調症の陰性症状である。
【0157】
治療サイクル
【0158】
治療サイクルのアミスルプリドの投与量は、複数の投与レジメンで与えられ得ることが理解されるべきである。例えば、様々な実施態様において、複数の投与レジメンは、2つ以上の放出調節投与単位形態を実質的に同時に投与;2つ以上の放出調節投与単位形態を順次投与;2つ以上の放出調節投与単位形態を互いに一定期間内に、様々な実施態様において、互いに4から48時間以内に投与;およびそれらの組み合わせを含む。
【0159】
様々な実施態様において、治療サイクルは毎日であり、(a)1日1回;(b)1日2回;(c)1日3回;または(d)1日4回投与する。様々な実施態様において、治療サイクルは2日間ごとである。
【0160】
様々な実施態様において、治療サイクルは毎日であり、ラセミアミスルプリドの総量は、治療サイクルで約200mgである。様々な実施態様において、治療サイクルは毎日であり、ラセミアミスルプリドの総量は、治療サイクルで約400mgである。
【0161】
障害
【0162】
The Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Ed., 以下「DSM-5」)、American Psychiatric Association、2013年刊行は、参照により本明細書に組み込まれ、様々な疾患および障害の診断に関して当業者が信頼する標準的な診断系を示している。
【0163】
様々な態様において、医薬および方法が治療する疾患または障害は、1つまたは複数の精神障害;例えば統合失調症;急性統合失調症;慢性統合失調症;統合失調症の陽性症状(例えば妄想、幻覚、思考障害);統合失調症の陰性症状;持続性鬱病性障害(PDD);不安障害;強迫性障害;神経認知障害に関連する行動障害;行為障害;神経障害;薬物誘発性運動障害;および運動障害を含む。様々な態様において、医薬および方法が治療する病態は、術後悪心および嘔吐を含む。
【0164】
様々な実施態様において、神経学的または精神医学的疾患または障害は、1つまたは複数の、統合失調症、急性統合失調症;慢性統合失調症;統合失調症の陽性症状(例えば妄想、幻覚、思考障害);統合失調症の陰性症状、持続性鬱病性障害(PDD);および治療抵抗性鬱病(TRD)である。
【0165】
様々な実施態様において、神経学的または精神医学的疾患または障害は、統合失調症(妄想型、解体型、緊張型または鑑別不能型)、統合失調症様障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般的な医学的状態による精神障害および物質誘発性または薬物誘発性(例えば、フェンシクリジン、ケタミンおよび他の解離性麻酔薬、アンフェタミンおよび他の覚醒剤ならびにコカイン)精神障害、精神病障害、感情障害に関連する精神病、短期反応性精神病、統合失調感情型精神病、「統合失調症スペクトラム」障害、例えば統合失調質もしくは統合失調型パーソナリティ障害、または統合失調症の陽性、陰性および認知症状ならびに他の精神病の両方を含む精神病(例えば大鬱病、アルツハイマー病および外傷後ストレス症候群)に関連する病気;急性ストレス障害、広場恐怖症、全般不安症、強迫性障害、ならびに身体醜形障害、ためこみ症、抜毛症、および皮膚むしり症を含む関連障害、パニック発作、パニック障害、外傷後ストレス障害、分離不安障害、社会恐怖症、限局性恐怖症、物質誘発不安性障害と一般的な医学的状態による不安を含む不安障害;物質関連障害および嗜癖行動(物質誘発性せん妄、持続性認知症、持続性健忘障害、精神障害または不安障害;アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静剤、睡眠薬または精神安定剤を含む物質の耐性、依存または中止を含む);摂食障害、例えば肥満、神経性過食症、異食症および強迫性摂食障害;持続性鬱病性障害(PDD)、大鬱病性障害(MDD)、補助的処置としてのMDD、不安性苦痛を伴う大鬱病性障害、混合性の特徴を伴うMDD(MDD-MF)、メランコリー型の特徴を伴うMDD、非定型の特徴を伴うMDD、気分と一致する精神病性の特徴を伴うMDD、気分と一致しない精神病性の特徴を伴うMDD、緊張病を伴うMDD、分娩前後の発症を伴う、季節性パターンを伴うMDD、処治療抵抗性鬱病(TRD)、および持続性鬱病性障害(気分変調症)を含むが、それらに限定されない鬱病性障害、ならびに抑鬱気分(悲しみ)、集中低下、不眠、疲労、食欲障害、過剰な罪悪感および自殺思考に関連する鬱病性障害、月経前症候群(PMS)および月経前不快気分障害(PDD)、一般的な医学的状態による気分障害および物質誘発性気分障害と;不眠、中途覚醒、時差ぼけ、過眠症、カタプレキシー、睡眠時無呼吸、閉塞性睡眠時無呼吸、REM睡眠行動障害、レストレスレッグ症候群、周期性四肢運動障害、概日リズム睡眠障害、睡眠相後退障害、夢遊病、夜驚症、夜尿症、急速眼球運動睡眠行動障害、交代勤務睡眠障害、日中の過剰な眠気、非24時間睡眠覚醒障害、睡眠時麻痺およびナルコレプシーを含む睡眠障害から選択される。
【0166】
精神障害は、認知、感情もしくは気分または挙動の最も統合的な側面の異常をきたす識別可能な症状により特徴付けられる脳の病態である。これらの障害は、症状の重症度、持続時間、および機能損傷において変動し得る。精神障害は、世界中で何百万人も苦しめており、生産性の損失により人に多大な苦痛をもたらし、経済的負担を生じる。気分障害は、広汎性気分障害、精神運動機能不全、および植物性症状により特徴付けられる異種性障害のグループと定義されることが多い精神障害の一タイプである。自殺は、気分障害患者において最も重篤な合併症であり、未治療の気分障害患者の15から25%の死亡原因であり;認められていない、または不十分に処置された鬱病は、自殺既遂全体の50から70%に寄与する。
【0167】
本明細書で使用される、「気分障害」という用語は、鬱病、大鬱病、大鬱病性障害、軽度鬱病、精神病を伴わない重度鬱病、精神病を伴う重度鬱病、メランコリー(以前は内因性鬱病)、非定型鬱病、気分変調性障害および躁鬱病を含む。
【0168】
様々な実施態様において、神経学的または精神医学的疾患または障害は、鬱病障害、例えば持続性鬱病性障害(PDD)、大鬱病性障害(MDD)、混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)および治療抵抗性鬱病(TRD)である。
【0169】
鬱病は、感情障害であり、その病因は、単一のある原因または理論では説明できない。残念ながら、抗鬱薬を用いた治療に対して最適以下の臨床的反応を示す鬱病患者に対する処置の選択肢は限定される。抗鬱薬治療を開始した患者のおよそ30パーセント(30%)は、鬱病を処置するために普通に使用される第一選択抗鬱剤に対して最適以下または遅延した臨床的反応を示す。
【0170】
典型的には、患者が、抗鬱薬を用いた治療の数週間後に最適以下または遅延した臨床的反応を呈する場合、臨床家の最初のアプローチは、抗鬱薬の用量を増加させることである。用量を増加した後でも患者の反応が不満足なままの場合、多くの臨床家がとる最も普通のアプローチは、a)別の抗鬱薬に切り替えること;またはb)第2の抗鬱薬を加えること;またはc)作用剤、例えば炭酸リチウム、甲状腺ホルモン(トリヨードサイロニン)、覚醒剤、モダフィニル、非定型抗精神病薬、ブスピロンもしくはピンドロールを投与することによる増強療法を試みることである。
【0171】
その完全な症候群の発現において、臨床的鬱病は、エピソードの経過に応じ、エピソード間の残存徴候の程度が変動する大鬱病性障害として現れる。気分は、典型的には抑鬱され、過敏になり、かつ/または不安になる。患者は、しかめ面で、口角が下を向き、姿勢が悪く、目を合わさず、会話がそっけない(または欠如する)ことでみすぼらしく見えることがある。病的な気分は、罪悪感への執着、自虐的な考え、集中力低下、優柔不断、日常生活への関心の低下、社会的引きこもり、無力感、絶望、ならびに死亡および自殺思考の繰り返しを伴うことがある。睡眠障害は普通である。一部では、病的な気分は、涙も出ないほど深く;患者は、苦悩、喜びおよび楽しみを含む通常の感情を経験できず、世界が味気なくなり、活気がなくなりつまらなく感じると訴える。
【0172】
メランコリー(以前は内因性鬱病)は、著しい(思考および活動の)精神運動性遅延または激越(例えば、落ち着きのなさ、手をもむ、スピーチの精神的負荷)、体重減少、不合理な罪悪感、および楽しみを経験する能力の喪失により特徴付けられる。気分および活動は日ごとに変動し、朝は最低である。大半のメランコリー患者は、真夜中または早朝における入眠困難、複数回の覚醒および不眠を訴える。性欲は、低下する、または失われることが多い。無月経が生じ得る。無食欲および体重減少は、やつれおよび電解質バランスの二次的な乱れを引き起こし得る。
【0173】
非定型鬱病では、反植物性特徴が臨床症状より優勢であり;これらは、不安恐怖症の症状、夜間の悪化、初期不眠症、日中に及ぶことが多い過眠症、および体重増加を伴う食欲異常亢進を含む。
【0174】
気分変調性障害(別名持続性鬱病性障害)では、鬱症状は、典型的には、児童期または青年期において知らない間に始まり、数年または数十年にわたり断続的または低グレードの経過をたどり;大鬱病エピソードは、これを複雑にし得る(二重鬱病)。純粋な気分変調症では、抑鬱徴候は、閾値以下のレベルで発生し、抑鬱気質のもの:習慣的に暗い、悲観的、ユーモアがないまたは楽しむことができない;受動的および無気力;内向的;懐疑的、過剰に批判的または不平不満;自己批判的、自責的および自己中傷的;ならびに不備、失敗および否定的な事象に対する執着とかなり共通点がある。
【0175】
TRDは、少なくとも2つの抗鬱薬の十分な用量および持続時間の適切な経過に十分に反応しない大鬱病性障害(MDD)のケースを説明するために、臨床的精神医学で使用される用語であることが理解されるべきである。
【0176】
様々な実施態様において、鬱病性障害は、急性自殺傾向または自殺観念に関連する。米国食品医薬品局は、抗鬱薬が、鬱病性障害、例えばMDDを有する一部の小児、青年および若年成人(年齢24歳まで)において、自殺念慮および行動の危険性を増加させるおそれがあることを指し示す「ブラックボックス」ラベル警告を採用した。様々な実施態様において、本発明の組成物および方法は、鬱病性障害、例えばMDDを有する小児、青年および/または若年成人における自殺念慮および/または行動の危険性を上昇させないと考えられる。様々な実施態様において、本発明は、自殺念慮および/または行動の危険性を上昇させることなく小児、青年および/または若年成人における鬱病性障害(例えばMDD)の1つまたは複数の症状に対する医薬を提供し、それを処置する方法を提供する。
【0177】
様々な実施態様において、神経学的または精神医学的疾患または障害は、統合失調症である。統合失調症は、原因不明の障害であり、通常、成人期早期に最初に現れ、特徴、例えば精神病症状、一過性の進展および発現、ならびに/または社会行動および専門能力の劣化により顕著になる。特徴的な精神病性症状は、思考内容(例えば、多重的、断片的、支離滅裂、不信的もしくは単純妄想的内容または迫害観念)および心理(例えば、連想性の喪失、空想奔逸、不可解に至るまでの支離滅裂)の障害、ならびに知覚(例えば幻覚)、感情(例えば、表在性または不適切な感情)、自己知覚、意志、衝動および/または人間関係の障害、ならびに精神運動性障害(例えば緊張病)である。他の症状もこの障害に関連する。統合失調症はサブグループ:妄想および幻覚および思考欠如障害、解体性行動、ならびに感情平坦化により特徴付けられる妄想型;思考障害および平坦化した感情が共存し「破瓜型統合失調症」とも名付けられている解体型;目立つ精神運動性障害が明白であり、症状が、緊張病性昏迷および蝋屈症を含み得る緊張型と;精神病性症状が存在するが、妄想型、解体型または緊張型の基準を満たさなかった鑑別不能型に分類される。統合失調症の症状はそれ自体、通常、3つの広いカテゴリー:陽性、陰性および認知症状として現れる。陽性症状は、通常の経験の「過剰」、例えば幻覚および妄想を表すものである。陰性症状は、患者が通常の経験の欠如、例えば快感消失および社会的相互行為の喪失に苦しむものである。認知症状は、統合失調症患者における認知障害、例えば持続した注意の欠如および意思決定の欠陥に関する。
【0178】
したがって、様々な実施態様において、神経学的または精神医学的疾患または障害は、1つまたは複数の、統合失調型(パーソナリティ)障害、妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症様障害、統合失調症、物質/薬物誘発性精神障害、別の医学的状態による精神障害、他の特定の統合失調症スペクトラムおよび他の精神障害、特定されていない統合失調症スペクトラム、ならびに他の精神障害である。
【0179】
様々な実施態様において、神経学的または精神医学的疾患または障害は、不安障害である。不安障害は、通常は状況に対する過剰反応として一般化され、注目されない恐怖、心配および困惑により特徴付けられる。不安障害は、恐怖、不安もしくは忌避行動、および関連する認知的観念を誘発する対象の状況またはタイプが異なる。不安は、認識される将来的脅威に対する感情的応答であるが、恐怖は、認識されるまたは現実の即時の脅威に関連するという点で、恐怖とは異なる。これらは、関連した思考または信念の内容の点でも異なる。不安障害の例としては、分離不安障害、選択的緘黙症、限局性恐怖症、社交不安症(社会恐怖症)、パニック障害、パニック発作特定用語、広場恐怖症、全般不安症、物質/薬物誘発性不安障害、別の医学的状態による不安障害、病気不安障害、社会的(語用論的)コミュニケーション障害、他の特定の不安障害、および特定されていない不安障害;反応性アタッチメント障害、脱抑制型対人交流障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害、および適応障害を含むストレス要因関連障害が挙げられる。
【0180】
様々な実施態様において、神経学的または精神医学的疾患または障害は、不眠、中途覚醒、時差ぼけ、過眠症、カタプレキシー、睡眠関連障害(例えば、睡眠時無呼吸、不眠、ナルコレプシー、カタプレキシー)、閉塞性睡眠時無呼吸、REM睡眠行動障害、レストレスレッグ症候群、周期性四肢運動障害、概日リズム睡眠障害、睡眠相後退障害、夢遊病、夜驚症、夜尿症、急速眼球運動睡眠行動障害、交代勤務睡眠障害、日中の過剰な眠気、非24時間睡眠覚醒障害、睡眠麻痺およびナルコレプシーを含むが、それらに限定されない精神医学的状態により生じる睡眠障害を含む睡眠障害である。
【0181】
様々な実施態様において、神経学的および/または精神医学的疾患または障害は、強迫性障害および関連障害(例えば、身体醜形障害、ためこみ症、抜毛症、皮膚むしり症)である。
【0182】
様々な実施態様において、神経学的および/または精神医学的疾患または障害は、反抗挑戦性障害、間欠性爆発性障害、行為障害、反社会性パーソナリティ障害、放火癖、窃盗癖を含む破壊、衝動制御および行為障害、他の特定の破壊、衝動制御および行為障害、特定されていない破壊、衝動制御および行為障害である。
【0183】
様々な実施態様において、組成物、製剤、方法および医薬は、他の治療法と組み合わせて使用され得る。好適な治療法は、精神療法、認知行動療法、電気痙攣療法、経頭蓋磁気刺激、迷走神経刺激および脳深部刺激を含むが、それらに限定されない。
【0184】
態様、実施態様および特徴は、以下の実施例からさらに理解され得、実施例は、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0185】
実施例1:ドーパミンD2およびセロトニン5-HT7親和性のインビトロアッセイ
【0186】
放射リガンド結合技術(Eurofins Panlabs、Inc.)により、ヒトチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において組換え発現したドーパミンD受容体への親和性について、アミスルプリドエナンチオマーおよびラセミアミスルプリドを試験した。受容体のBmax値は1.6pモル/mgタンパク質であった。放射リガンドは0.16nM濃度での[3H]スピペロンであり、解離定数0.090nM(Kd、同一実験条件下での過去の値)であった。インキュベーションバッファーは50mMトリス-HCl、pH7.4、1.4mMアスコルビン酸、0.001%BSA、および150mM NaClであった。実験下のアミスルプリド化合物(例えば、エナンチオマーのアミスルプリドおよびラセミアミスルプリド)をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、最終濃度1%となるようにアッセイウェルに加えた。アミスルプリドエナンチオマーおよびラセミアミスルプリドによる特異的結合の阻害パーセント値を、10マイクロモルから最終濃度3nMまで下げた12段階希釈で生成した。各濃度を2回反復で試験した。ドーパミンD2受容体に対するアミスルプリドエナンチオマー親和性およびラセミアミスルプリド親和性は3回の独立した実験の平均に基づく。チェン-プルソフ方程式および試験化合物の観察されたIC50、アッセイに利用した放射リガンドの濃度、ならびにリガンドのKdに対する過去の値(実験的に得た)を用いて親和性を計算した。
【0187】
放射リガンド結合技術(Eurofins Panlabs、Inc.)によりヒトCHO-K1細胞において組換え発現したセロトニン5-HT受容体への親和性について、アミスルプリドエナンチオマーおよびラセミアミスルプリドを試験した。受容体のBmax値は0.95pモル/mgタンパク質であった。放射リガンドは5.5nM濃度での[3H]リゼルギン酸ジエチルアミド(LSD)であり、解離定数7.40nM(Kd、同一実験条件下での過去の値)であった。インキュベーションバッファーは50mMトリス-HCl、pH7.4、10mM MgCl、0.5mM EDTAであった。実験下のアミスルプリド化合物(例えば、エナンチオマーのアミスルプリドおよびラセミアミスルプリド)をDMSOに溶解し、最終濃度1%となるようにアッセイウェルに加えた。アミスルプリドエナンチオマーおよびラセミアミスルプリドによる特異的結合の阻害パーセント値を、10マイクロモルから最終濃度3nMまで下げた12段階希釈で生成した。各濃度を2回反復で試験した。セロトニン5-HT7受容体に対するアミスルプリドエナンチオマー親和性およびラセミアミスルプリド親和性は3回の独立した実験の平均に基づく。チェン-プルソフ方程式および試験化合物の観察されたIC50、アッセイに利用した放射リガンドの濃度、ならびにリガンドのKdに対する過去の値(実験的に得た)を用いて親和性を計算した。
【0188】
特異的結合の阻害パーセントを、試験薬物濃度(すなわち、(R)-アミスルプリド(S)-アミスルプリド、およびラセミアミスルプリド)の関数として決定した。反対のエナンチオマーに存在する、組み合わせた臨床的効果に対する可能性と共に、はっきりと異なる薬理学的活性が存在することが発見された。
【0189】
図1Aによれば、(R)-アミスルプリド(下向きの三角形)、(S)-アミスルプリド(上向きの三角形)、およびラセミアミスルプリド(丸)に対する実施例1のドーパミンD2結合の阻害%に関するデータが示されている。垂直のバーは3回の独立した決定からの±1標準偏差を表す。図1Aは、(S)-エナンチオマーがドーパミンD受容体に対するより強力なエナンチオマーであることを例示している。
【0190】
図1Bによれば、(R)-アミスルプリド(下向きの三角形)、(S)-アミスルプリド(上向きの三角形)、およびラセミアミスルプリド(丸)に対する実施例1のセロトニン5-HT7結合の阻害%に関するデータが示されている。垂直のバーは3回の独立した決定からの±1標準偏差を表す。図1Bは、(R)-エナンチオマーがセロトニン5-HT受容体への結合の阻害においてより強力であることを例示している。
【0191】
表10は、ラセミの放射リガンド結合によりインビトロで決定されたnMでの阻害定数(Ki)値を要約している。ヒトドーパミンD受容体またはヒトセロトニン5-HT受容体はそれぞれCHO細胞またはCHO-K1細胞に発現した。平均の標準誤差は複数の、独立した決定に基づき提示されている。
【表12】
【0192】
実施例1は、アミスルプリドの5-HT7アンタゴニズムは(R)-エナンチオマーにほとんど排他的に存在するので、(R)-エナンチオマーはセロトニン5-HT7受容体に対して極めて立体選択的であり、ラセミアミスルプリドのD2アンタゴニズムは主に(S)-エナンチオマーに存在するので、(S)-エナンチオマーはドーパミンD2受容体に対して極めて立体選択的であることを示している。さらに1Aによれば、(S)-アミスルプリドのD2アンタゴニズムは、(R)-アミスルプリドの約20倍であると決定され、さらに図1Bによれば、(R)-アミスルプリドの5-HT7アンタゴニズムは(S)-アミスルプリドの約300倍であると決定された。
【0193】
本発明は、以下の態様および実施態様も含む。以下の態様および実施態様は、説明および参照の便宜上、数字参照符号を伴って列挙されており、そのような数字列挙および参照符号は、限定的な意味で解釈されることを意味していない。
【0194】
実施態様1、固体経口剤形の医薬組成物であって、固体経口剤形が、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩;および
固体経口剤形の総重量に対して、約10%から約50%の量の持続放出性薬剤を含み、ここで、対象集団に投与した場合に、アミスルプリド10mg当たり約0.45ミリ秒(ms)未満の投与後12時間の期間での基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長を提供する、医薬組成物。
【0195】
実施態様2、基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、基準値に対する集団の平均の最大QTcF間隔延長である、実施態様1の医薬組成物。
【0196】
実施態様3、基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.40ミリ秒(ms)未満である、実施態様1の医薬組成物。
【0197】
実施態様4、基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.35ミリ秒(ms)未満である、実施態様1の医薬組成物。
【0198】
実施態様5、基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.30ミリ秒(ms)未満である、実施態様1の医薬組成物。
【0199】
実施態様6、基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、(a)アミスルプリド10mg当たり約0.25ミリ秒(ms)未満;または(b)アミスルプリド10mg当たり約0.20ミリ秒(ms)未満;または(c)アミスルプリド10mg当たり約0.15ミリ秒(ms)未満;または(d)アミスルプリド10mg当たり約0.10ミリ秒(ms)未満;または(e)アミスルプリド10mg当たり約0.05ミリ秒(ms)未満、または(f)アミスルプリド10mg当たり約0.02ミリ秒(ms)未満である、実施態様1の医薬組成物。
【0200】
実施態様7、固体経口剤形が錠剤である、実施態様1の医薬組成物。
【0201】
実施態様8、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩の量が、遊離塩基の重量で(a)約100mg;または(b)約150mg;または(c)約200mg;または(d)約250mg;または(e)約300mgである、実施態様7の医薬組成物。
【0202】
実施態様9、持続放出性薬剤が、マトリックス形成剤を含む、実施態様1の医薬組成物。
【0203】
実施態様10、マトリックス形成剤が、1つまたは複数のセルロースエーテルを含む、実施態様9の医薬組成物。
【0204】
実施態様11、持続放出性薬剤が、(a)固体経口剤形の総重量に対して約30%から約50%;または(b)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約40%;または(c)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量である、実施態様1の医薬組成物。
【0205】
実施態様12、持続放出性薬剤が、固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、実施態様1の医薬組成物。
【0206】
実施態様13、固体経口剤形が、固体経口剤形の総重量に対して、約35%から約55%のラセミアミスルプリド、約10%から約50%の薬学的に許容される充填剤、および約20%から約35%の持続放出性薬剤を含む、実施態様1の医薬組成物。
【0207】
実施態様14、統合失調症、統合失調症の陰性症状、持続性鬱病性障害(PDD)、治療抵抗性鬱病(TRD)、大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)、ならびに鬱病から選択される精神障害を治療する方法であって、実施態様1の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0208】
実施態様15、精神障害が、1つまたは複数の統合失調症および統合失調症の陰性症状である、実施態様14の方法。
【0209】
実施態様16、精神障害が、1つまたは複数の大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)である、実施態様14の方法。
【0210】
実施態様17、遊離塩基の重量でラセミアミスルプリドを1日当たり約100mgから約1200mgの総量で、固形経口剤形を1日1回投与することを含む、実施態様14の方法。
【0211】
実施態様18、固体経口剤形の医薬組成物であって、固体経口剤形が、200mgのラセミアミスルプリド;および固体経口剤形の総重量に対して、約10%から約50%の量の持続放出性薬剤を含み、ここで、対象集団に投与した場合に、(a)約10ミリ秒(ms)未満;または(b)約9ミリ秒(ms)未満;または(c)約8ミリ秒(ms)未満;または(d)約7ミリ秒(ms)未満;または(e)約6ミリ秒(ms)未満;または(f)約5ミリ秒(ms)未満の投与後12時間の期間での基準値に対する集団の平均の最大QTcF間隔延長を提供する、医薬組成物。
【0212】
実施態様19、基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、基準値に対する集団の平均の最大QTcF間隔延長である、実施態様18の医薬組成物。
【0213】
実施態様20、固体経口剤形が錠剤である、実施態様18の医薬組成物。
【0214】
実施態様21、投与した固体経口剤形が、(a)約350ng/mL未満;(b)約300ng/mL未満;または(c)約250ng/mL未満の集団の幾何平均血漿Cmaxを提供する、実施態様20の医薬組成物。
【0215】
実施態様22、持続放出性薬剤が、マトリックス形成剤を含む、実施態様18の医薬組成物。
【0216】
実施態様23、マトリックス形成剤が、1つまたは複数のセルロースエーテルを含む、実施態様22の医薬組成物。
【0217】
実施態様24、持続放出性薬剤が、(a)固体経口剤形の総重量に対して約30%から約50%;または(b)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約40%;または(c)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量である、実施態様18の医薬組成物。
【0218】
実施態様25、持続放出性薬剤が、固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、実施態様18の医薬組成物。
【0219】
実施態様26、統合失調症、統合失調症の陰性症状、持続性鬱病性障害(PDD)、治療抵抗性鬱病(TRD)、大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)、ならびに鬱病から選択される精神障害を治療する方法であって、実施態様18の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0220】
実施態様27、精神障害が、1つまたは複数の統合失調症および統合失調症の陰性症状である、実施態様26の方法。
【0221】
実施態様28、精神障害が、1つまたは複数の大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)である、実施態様26の方法。
【0222】
実施態様29、遊離塩基の重量でラセミアミスルプリドを1日当たり約100mgから約1200mgの総量で、固形経口剤形を1日1回投与することを含む、実施態様26の方法。
【0223】
実施態様30、精神障害を治療する方法であって、ラセミアミスルプリドを、固体経口剤形として対象に投与することを含み、固体経口剤形が、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩、および固体経口剤形の総重量に対して、約10%から約50%の量の持続放出性薬剤を含み、ここで、投与により、アミスルプリド10mg当たり約0.4ミリ秒(ms)未満の基準値に対する対象集団の平均の最大QT間隔延長が提供される、方法。
【0224】
実施態様31、基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、投与後12時間の期間での基準値に対する集団の平均の最大QTcF間隔延長である、実施態様30の方法。
【0225】
実施態様32、基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.35ミリ秒(ms)未満である、実施態様30の方法。
【0226】
実施態様33、基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.3ミリ秒(ms)未満である、実施態様30の方法。
【0227】
実施態様34、基準値に対する集団の平均の最大QT間隔延長が、アミスルプリド10mg当たり約0.25ミリ秒(ms)未満である、実施態様30の方法。
【0228】
実施態様35、投与が1日1回である、実施態様30の方法。
【0229】
実施態様36、固体経口剤形が錠剤である、実施態様30の方法。
【0230】
実施態様37、遊離塩基の重量で1日当たり約100mgから約1200mgのアミスルプリドを投与する、実施態様30の方法。
【0231】
実施態様38、精神障害が、統合失調症、統合失調症の陰性症状、持続性鬱病性障害(PDD)、治療抵抗性鬱病(TRD)、大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)、ならびに鬱病から選択される、実施態様37の方法。
【0232】
実施態様39、精神障害が、1つまたは複数の統合失調症および統合失調症の陰性症状である、実施態様38の方法。
【0233】
実施態様40、精神障害が、1つまたは複数の大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)である、実施態様38の方法。
【0234】
実施態様41、持続放出性薬剤が、マトリックス形成剤を含む、実施態様30の方法。
【0235】
実施態様42、マトリックス形成剤が、1つまたは複数のセルロースエーテルを含む、実施態様41の方法。
【0236】
実施態様43、持続放出性薬剤が、(a)固体経口剤形の総重量に対して約30%から約50%;または(b)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約40%;または(c)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量である、実施態様30の方法。
【0237】
実施態様44、持続放出性薬剤が、固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、実施態様30の方法。
【0238】
実施態様45、固体経口剤形が、固体経口剤形の総重量に対して、約35%から約55%のラセミアミスルプリド、約10%から約50%の薬学的に許容される充填剤、および約20%から約35%の持続放出性薬剤を含む、実施態様30の方法。
【0239】
実施態様46、固体経口剤形の医薬組成物であって、固体経口剤形が、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩;および
【0240】
固体経口剤形の総重量に対して、約10%から約50%の量の持続放出性薬剤を含み、ここで、二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、1時間後に約30%未満のアミスルプリドを放出し、3時間後に約30%超かつ約55%未満のアミスルプリドを放出し、6時間後に約50%超かつ約90%未満のアミスルプリドを放出する、医薬組成物。
【0241】
実施態様47、二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、1時間後に約20%未満のアミスルプリドを放出する、実施態様46の医薬組成物。
【0242】
実施態様48、二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、3時間後に約30%超かつ約50%未満のアミスルプリドを放出する、実施態様46の医薬組成物。
【0243】
実施態様49、二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、3時間後に約30%超かつ約40%未満のアミスルプリドを放出する、実施態様46の医薬組成物。
【0244】
実施態様50、二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、6時間後に約50%超かつ約80%未満のアミスルプリドを放出する、実施態様46の医薬組成物。
【0245】
実施態様51、二段階インビトロ胃腸模擬溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、6時間後に約60%超かつ約90%未満のアミスルプリドを放出する、実施態様46の医薬組成物。
【0246】
実施態様52、二段階胃腸模擬溶出試験が、米国薬局方(USP)第711章溶出試験の装置2;USP41-NF36一般章<711>に記載されているものと実質的に一致するパドル装置で実施される、実施態様46の医薬組成物。
【0247】
実施態様53、固体経口剤形が錠剤である、実施態様46の医薬組成物。
【0248】
実施態様54、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩の量が、遊離塩基の重量で(a)約100mg;または(b)約150mg;または(c)約200mg;または(d)約250mg;または(e)約300mgである、実施態様53の医薬組成物。
【0249】
実施態様55、持続放出性薬剤が、マトリックス形成剤を含む、実施態様54の医薬組成物。
【0250】
実施態様56、マトリックス形成剤が、1つまたは複数のセルロースエーテルを含む、実施態様55の医薬組成物。
【0251】
実施態様57、持続放出性薬剤が、(a)固体経口剤形の総重量に対して約30%から約50%;または(b)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約40%;または(c)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量である、実施態様46の医薬組成物。
【0252】
実施態様58、持続放出性薬剤が、固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、実施態様46の医薬組成物。
【0253】
実施態様59、統合失調症、統合失調症の陰性症状、持続性鬱病性障害(PDD)、治療抵抗性鬱病(TRD)、大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)、ならびに鬱病から選択される精神障害を治療する方法であって、実施態様46の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0254】
実施態様60、精神障害が、1つまたは複数の統合失調症および統合失調症の陰性症状である、実施態様59の方法。
【0255】
実施態様61、精神障害が、1つまたは複数の大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)である、実施態様60の方法。
【0256】
実施態様62、遊離塩基の重量でラセミアミスルプリドを1日当たり約100mgから約1200mgの総量で、固体経口剤形を1日1回投与することを含む、実施態様59の方法。
【0257】
実施態様63、固体経口剤形の医薬組成物であって、固体経口剤形が、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩;および
固体経口剤形の総重量に対して、約10%から約50%の量の持続放出性薬剤を含み、ここで、米国薬局方(USP)第711章溶出試験の装置2;USP41-NF36一般章<711>溶出試験に記載されているパドル装置で、表4に記載されている二段階インビトロ溶出試験を使用して溶出性を試験した固体経口剤形が、(a)図2におけるTab 1Dのプロファイル;または(b)図2におけるTab 2Dのプロファイルと実質的に同一の溶出プロファイルを有する、医薬組成物。
【0258】
実施態様64、固体経口剤形が錠剤である、実施態様63の医薬組成物。
【0259】
実施態様65、ラセミアミスルプリド、または薬学的に許容されるそれらの塩の量が、遊離塩基の重量で(a)約100mg;または(b)約150mg;または(c)約200mg;または(d)約250mg;または(e)約300mgである、実施態様63の医薬組成物。
【0260】
実施態様66、持続放出性薬剤が、マトリックス形成剤を含む、実施態様63の医薬組成物。
【0261】
実施態様67、マトリックス形成剤が、1つまたは複数のセルロースエーテルを含む、実施態様66の医薬組成物。
【0262】
実施態様68、持続放出性薬剤が、(a)固体経口剤形の総重量に対して約30%から約50%;または(b)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約40%;または(c)固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量である、実施態様63の医薬組成物。
【0263】
実施態様69、持続放出性薬剤が、固体経口剤形の総重量に対して約20%から約35%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、実施態様63の医薬組成物。
【0264】
実施態様70、統合失調症、統合失調症の陰性症状、持続性鬱病性障害(PDD)、治療抵抗性鬱病(TRD)、大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)、ならびに鬱病から選択される精神障害を治療する方法であって、実施態様63の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0265】
実施態様71、精神障害が、1つまたは複数の統合失調症および統合失調症の陰性症状である、実施態様70の方法。
【0266】
実施態様72、精神障害が、1つまたは複数の大鬱病性障害(MDD)および混合性の特徴を伴う大鬱病性障害(MDD-MF)である、実施態様70の方法。
【0267】
実施態様73、遊離塩基の重量でラセミアミスルプリドを1日当たり約100mgから約1200mgの総量で、固体経口剤形を1日1回投与することを含む、実施態様70の方法。
【0268】
実施態様74、固体経口剤形が、1つまたは複数の(a)充填剤;(b)結合剤;および(c)滑沢剤を含む、実施態様1、18、30、46および63のいずれか1つの固体経口剤形。
【0269】
実施態様75、滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムを含む、実施態様75の固体経口剤形。
【0270】
実施態様76、充填剤が、D-マンニトールを含み、固体経口剤形が、錠剤の総重量に対して約0.5%から約2%のポリビニルアルコールを含む結合剤を含む、実施態様75の固体経口剤形。
【0271】
実施態様77、錠剤が、顆粒外成分と混和した顆粒成分を含み、顆粒成分が、ラセミアミスルプリドおよび結合剤を含み;および顆粒外成分が持続放出性薬剤を含む、実施態様7、20、36、53および64のいずれか1つの固体経口剤形。
【0272】
実施態様78、顆粒成分が、1つまたは複数の(a)充填剤;および(b)結合剤を含む、実施態様77の医薬組成物。
【0273】
実施態様79、顆粒が、(a)約60重量%から約80重量%のアミスルプリド、約10%重量から約30重量%の充填剤、および約1%から約5%の結合剤;または(b)約70重量%から約80重量%のアミスルプリド、約20重量%から約25重量%の充填剤、および約1重量%から約5重量%の結合剤を含む、実施態様78の医薬組成物。
【0274】
実施態様80、顆粒成分が、顆粒成分の重量に対して、約73重量%から約78重量%のアミスルプリド、約10重量%から約12重量%のD-マンニトール、約10重量%から約12重量%のアルファ化デンプン、および約1重量%から約3重量%のポリビニルアルコールを含む;実施態様78の医薬組成物。
【0275】
実施態様81、顆粒外成分が、1つまたは複数の(a)充填剤;(b)結合剤;および(c)滑沢剤を含む、実施態様77の医薬組成物。
【0276】
実施態様82、錠剤(顆粒と顆粒外成分)が、(a)錠剤の総重量に対して約20%から約70%の持続放出性薬剤の顆粒;または(b)錠剤の総重量に対して約10%から約50%の持続放出性薬剤を含む、実施態様77の医薬組成物。
【0277】
実施態様83、錠剤(顆粒と顆粒外成分)が、(a)錠剤の総重量に対して約6%から約60%の、顆粒および顆粒外の両方で組み合わせた量の充填剤;または(b)錠剤の総重量に対して約10%から約50%の、顆粒および顆粒外の両方で組み合わせた量の充填剤を含む、実施態様77の医薬組成物。
【0278】
実施態様84、錠剤(顆粒と顆粒外成分)が、錠剤の総重量に対して約1%から約2%の滑沢剤を含む、実施態様77の医薬組成物。
【0279】
実施態様85、滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、実施態様84の医薬組成物。
【0280】
実施態様86、錠剤(顆粒と顆粒外成分)が、(a)錠剤の総重量に対して約30%から約50%のD-マンニトール、および錠剤の総重量に対して約20%から約35%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;または(b)錠剤の総重量に対して約20%から約30%のD-マンニトール、および錠剤の総重量に対して約20%から約35%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;または(c)錠剤の総重量に対して約10%から約20%のD-マンニトール、および錠剤の総重量に対して約20%から約35%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、実施態様77の医薬組成物。
【0281】
本発明は、特定の実施態様に関して記載されているが、この記載は、限定的な意味で解釈されることを意味しない。本発明はこのように記載されており、同発明を多くの手法で変化させてよいことは明らかである。そのようなバリエーションは本発明の精神および範囲からの逸脱とされず、すべてのそのような改変、代用物、および等価物は、当業者に明らかなように、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
【国際調査報告】