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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】流体加熱システム用制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 23/19 20060101AFI20220803BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
G05D23/19 Z
H05B3/00 365G
G05D23/19 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572494
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 FR2020051101
(87)【国際公開番号】W WO2020260824
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】1907080
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン、フルニエ
(72)【発明者】
【氏名】レミ、カーリッチ
【テーマコード(参考)】
3K058
5H323
【Fターム(参考)】
3K058AA11
3K058AA14
3K058CA62
3K058CA63
3K058CB23
5H323AA06
5H323BB17
5H323CA04
5H323GG01
5H323KK07
5H323MM02
5H323NN02
5H323NN04
5H323QQ02
5H323SS02
5H323SS05
5H323TT10
(57)【要約】
本発明は制御装置に関し、この制御装置は、発熱体(101)への接続に適した第1電子スイッチ(2)および発熱体(101)への接続に適した第2電子スイッチ(3)と、第1電子スイッチ(2)と関連付けられた第1温度(T1)を測定するセンサおよびマイクロコントローラ(4)であって、マイクロコントローラ(4)は第1温度(T1)の測定値に応じて第1スイッチ(2)を開放または閉鎖するよう構成されている、センサおよびマイクロコントローラ(4)と、第2電子スイッチ(3)と関連付けられた第2温度(T2)を測定するセンサおよび論理制御モジュール(5)であって、論理制御モジュール(5)は測定された第2温度(T2)を閾値と比較するよう構成されているコンパレータ(6)を含んで比較結果に応じて第2スイッチ(3)を開放または閉鎖するよう構成されている、センサおよび論理制御モジュール(5)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の流体(F)、好ましくは液状流体を加熱するシステムであって前記流体(F)を加熱するよう構成されている少なくとも一つの発熱体(101)を含むシステムを制御する装置であって、
-前記発熱体(101)に接続可能な第1電子スイッチ(2)および前記発熱体(101)に接続可能な第2電子スイッチ(3)と、
-いずれも前記第1電子スイッチ(2)と関連付けられた第1温度(T1)を測定するセンサおよびマイクロコントローラ(4)であって、前記マイクロコントローラ(4)は前記第1温度(T1)の測定値に応じて前記第1スイッチ(2)を開放または閉鎖するよう構成されている、センサおよびマイクロコントローラ(4)と、
-いずれも前記第2電子スイッチ(3)と関連付けられた第2温度(T2)を測定するセンサおよび論理制御モジュール(5)であって、前記論理制御モジュール(5)は測定された前記第2温度(T2)を閾値と比較するよう構成されているコンパレータ(6)を含んで前記比較の結果に応じて前記第2スイッチ(3)を開放または閉鎖するよう構成されている、センサおよび論理制御モジュール(5)と、
を含む、制御装置(1)。
【請求項2】
前記モジュール(5)は、前記第2温度(T2)が閾値より高い場合に前記第2電子スイッチ(3)を開放するよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記マイクロコントローラ(4)と、測定された前記第2温度(T2)を前記マイクロコントローラ(4)へ伝達する、および/または前記第2電子スイッチ(3)を作動または停止させるよう構成されている前記論理制御モジュール(5)とを接続するデジタルカプラー(13)を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記マイクロコントローラ(4)は、前記第1温度と前記第2温度の測定値の差分の絶対値が閾値より大きい場合に前記第1電子スイッチ(2)を開放するよう構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記論理制御モジュール(5)は、前記第1温度(T1)を閾値と比較する別のコンパレータ(15)を含み、前記第1温度(T1)が閾値より高い場合に前記第2電子スイッチ(3)を開放するよう構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記論理制御モジュール(5)は、前記第1温度(T1)と前記第2温度(T2)の安定性を確認する手段(16)を含み、前記第1温度が前記第2温度と異なる場合に前記第2電子スイッチ(3)を開放するよう構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
スイッチング電源(12)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
発熱体(101)および請求項1~7のいずれか一項に記載の制御装置を含む、流体、特に液体を加熱するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の、特に電気自動車やハイブリッド車用の流体、好ましくは液体を加熱するシステム用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の方法では、流体、好ましくは液体を加熱するそのようなシステムは発熱体とチャンバを含み、流体がチャンバ内の前記電気素子により加熱されるように形成される。
【0003】
発熱体を制御する装置は、概して高電圧が供給される少なくとも一つのパワートランジスタを含み、このトランジスタのゲートは低電圧が供給される回路により駆動される。高電圧は例えば350Vのオーダーであり、一方、低電圧は12Vのオーダーである。
【0004】
パワートランジスタが故障した場合、加熱装置は連続動作しうるが、これは水が沸騰して蒸発し始めた場合には、特にISO26262標準の観点で、受け入れ難い火事の危険性を引き起こす。
【0005】
本発明の目的は、この欠点を是正することである。
【発明の概要】
【0006】
自動車用の流体、好ましくは液状流体を加熱するシステムであって前記流体を加熱するよう構成されている少なくとも一つの発熱体を含むシステムを制御する装置が提供され、この制御装置は、発熱体に接続可能な第1電子スイッチおよび発熱体に接続可能な第2電子スイッチと、いずれも第1電子スイッチと関連付けられた第1温度を測定するセンサおよびマイクロコントローラであって、前記マイクロコントローラは第1温度の測定値に応じて第1スイッチを開放または閉鎖するよう構成されている、センサおよびマイクロコントローラと、いずれも第2電子スイッチと関連付けられた第2温度を測定するセンサおよび論理制御モジュールであって、前記論理制御モジュールは測定された第2温度を閾値と比較するよう構成されているコンパレータを含んで比較結果に応じて第2スイッチを開放または閉鎖するよう構成されている、センサおよび論理制御モジュールと、を含む。
【0007】
別の態様によれば、モジュールは、第2温度が閾値より高い場合に第2電子スイッチを開放するよう構成される。
【0008】
別の態様によれば、モジュールは、マイクロコントローラと、測定された第2温度をマイクロコントローラへ伝達する、および/または第2電子スイッチを作動または停止させるよう構成されている論理制御モジュールとを接続するデジタルカプラーを含む。
【0009】
別の態様によれば、マイクロコントローラは、測定された第1温度と第2温度の値の差分の絶対値が閾値より大きい場合に第1電子スイッチを開放するよう構成される。
【0010】
別の態様によれば、論理制御モジュールは、第1温度を閾値と比較する別のコンパレータを含み、第1温度が閾値より高い場合に第2電子スイッチを開放するよう構成される。
【0011】
別の態様によれば、論理制御モジュールは、第1温度と第2温度の安定性を確認する手段を含み、第1温度が第2温度と異なる場合に第2電子スイッチを開放するよう構成される。
【0012】
別の態様によれば、装置はスイッチング電源を含む。
【0013】
別の態様によれば、発熱体および上述したような制御装置を含む、流体、特に液体を加熱するシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
他の特徴、詳細、および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を分析することで明らかとなるであろう。
【0015】
図1】第1実施形態に係る、加熱システムの制御装置を模式的に示す。
図2図1の制御装置のコンパレータを模式的に示す。
図3】第2実施形態に係る、加熱システムの制御装置を模式的に示す。
図4】第3実施形態に係る、加熱システムの制御装置を模式的に示す。
図5】第1変形に係る図4の制御装置を示す。
図6】第2変形に係る図4の制御装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面および以下の説明は、基本的に特定の性質の要素を含む。それゆえ、それらの要素は本開示をより良く理解するのに役立ちうるだけでなく、該当する場合にはその定義にも寄与しうる。
【0017】
本明細書の残りの部分で、同一である要素、または同一の機能を実行する要素は同じ参照符号を用いて指定される。本明細書では、簡潔とするためにこれらの要素は各実施形態において詳細には記載されない。むしろ、変形実施形態の間の差異のみが詳細に記載される。
【0018】
図で分かるように、本発明の一主題は、自動車用の流体100、好ましくは液状流体を加熱するシステム用の制御装置1である。
【0019】
加熱システム100は発熱体101を含む。発熱体101は、有利には、スクリーン印刷されたトラック(track)式、シーズ抵抗式、または正の温度係数を持つタイプの発熱抵抗Rを含む円筒形加熱管である。
【0020】
また、加熱システム100はチャンバ102を含み、液状流体F、例えばグリコール・水混合液がこのチャンバ102を通って流れ、発熱体101がこのチャンバ102に浸漬され、その結果、流体Fがチャンバ102内の発熱体101により加熱される。
【0021】
第1実施形態は、図1および図2を参照して説明される。
【0022】
図1で分かるように、制御装置1は、第1電子スイッチ2と第2電子スイッチ3を含む。
【0023】
好ましくは、第1スイッチ2および第2スイッチ3はIGBTパワートランジスタ(IGBTはInsulated Gate Bipolar Transistor(絶縁ゲート型バイポーラートランジスタ)を意味する)である。
【0024】
また、制御装置1は、第1スイッチ2と関連付けられ、第1スイッチ2を開放または閉鎖するよう構成されているマイクロコントローラ4も含む。
【0025】
例えば、マイクロコントローラ4は、特に12Vのオーダーのいわゆる低電圧をトランジスタ2のゲートへ印加してトランジスタ2を閉鎖し、ゼロ電圧を印加してトランジスタ2を開放する。
【0026】
また、制御装置1は、例えばPTC型またはNTC型の、第1温度T1を測定する温度センサも含む。温度T1は、加熱システム100を通って流れる流体の温度を直接的または間接的に求めるためにチャンバ102の中、または近くで測定される。
【0027】
マイクロコントローラ4は、T1が閾値より高い場合にトランジスタ2を開放するよう構成される。
【0028】
また、図1および図2で分かるように、制御装置1は、第2電子スイッチ3用の論理制御モジュール5を含む。
【0029】
論理制御モジュール5は、より少ない信号処理段階を含むという点でマイクロコントローラとは異なることに留意されたい。特に、このモジュールはアナログ/デジタル変換器を含まない。加えて、後述されるように、電流源とこのモジュールが含むコンパレータの間に直接接続が存在する。論理制御モジュールは、そのプログラム(ソフトウェア)に従って動作するマイクロコントローラとは異なり、設計された機能のみを有する。
【0030】
先行技術とは異なり、論理制御モジュール5により、第2マイクロコントローラを必要とすることなく、安全のために冗長性を与えることが可能となる。したがって、特定の信号処理段階は除去されて、これにより制御装置がよりロバストになる。
【0031】
モジュール5は、測定された第2温度T2を閾値と比較するよう構成されているコンパレータ6と、コンパレータ5に接続されて比較結果に応じて第2スイッチ3を開放または閉鎖するよう構成されている、トランジスタ3のゲートを制御する手段7とを含む。
【0032】
また、制御装置1は、例えばPTC型またはNTC型の、第2温度T2を測定する温度センサも含む。温度T2は、加熱システム100を通って流れる流体の温度を直接的または間接的に求めるためにチャンバ102の中、または近くで測定される。
【0033】
ゲート制御手段7は、T2が閾値より高い場合にトランジスタ3を開放するよう構成される。
【0034】
図1で分かるように、トランジスタ2、3は、HV+およびHV-(HVは高電圧を意味する)で示される2つの電位の間の発熱体101へ直列に接続されて、いわゆる高電圧回路8を形成する。電圧HV+は、例えば350Vのオーダーである。
【0035】
図1に示されるように、制御装置1は、電源11に接続された変圧器12を既知の方法で含むいわゆるフライバックスイッチング電源を含み、マイクロコントローラ4、モジュール5、およびトランジスタ2、3への電力供給を可能とする低電圧回路9を含む。
【0036】
電源は低電圧であると言われており、5V~20V、例えば12Vや15Vから成る電圧を供給する。
【0037】
やはり図1に示されるように、制御装置1は、マイクロコントローラ4とモジュール5の間にデジタルカプラー13も含む。
【0038】
この第1実施形態によれば、デジタルカプラー13によりマイクロコントローラ4とモジュール5の間の通信が保証され、その結果、マイクロコントローラ4はモジュール5を介して第2トランジスタ3を駆動する。これを行うため、モジュールは、温度T2の信号とカプラー13を介してマイクロコントローラ4により送信されるオン/オフ信号とのAND論理を含む。
【0039】
したがって、故障の場合は、温度T1および/または温度T2は閾値より高くなり、第1トランジスタ2および/または第2トランジスタ3はそれぞれマイクロコントローラ4とモジュール5により開放されるので、火事の危険性を抑えることが可能となる。
【0040】
第2実施形態は、図3を参照して説明される。
【0041】
第2実施形態の制御装置1の要素1~13は、図1を参照して既に説明された。また、加熱システムの要素100~102も既に説明された。
【0042】
図3で分かるように、制御装置1は、デジタルカプラー13を介して温度T2をマイクロコントローラ4へ送信するアナログデジタル変換器14を含む。物理バスはI2Cバス(I2CはInter-Integrated Circuitを意味する)、またはSPIバス(SPIはSerial Peripheral Interfaceを意味する)とすることもできる。
【0043】
この場合、有利には、マイクロコントローラ4は温度T1とT2の安定性を確認して、T1およびT2が不安定な(これらの差分がゼロに設定されうる閾値より絶対値で大きい)場合に第1トランジスタ2を開放するよう構成されうる。
【0044】
第3実施形態は、図4図6を参照して説明される。
【0045】
第3実施形態の制御装置1の要素1~14は、図3を参照して既に説明された。また、加熱システムの要素100~102も既に説明された。
【0046】
図4に示されるように、そのデューティ比(duty cycle)が温度T1に応じて変調されるPWM信号(PWMはPulse Width Modulation(パルス幅変調)を意味する)が、カプラー13を介してマイクロコントローラ4からモジュール5へ送信される。
【0047】
図5において、モジュール5はコンパレータ6に加えて、PWM信号により第1温度T1を比較するよう構成されているコンパレータ15を含む。コンパレータ15はトランジスタ3のゲートを制御する手段7に接続され、その結果、第2トランジスタ3はT1が閾値より高い、またはT2が閾値より高い場合に開放される。
【0048】
図6において、モジュール5はコンパレータ6および15に加えて、温度T1とT2を比較する手段16を含み、この手段16はトランジスタ3のゲートを制御する手段7に接続され、その結果、第2トランジスタ3は温度T1およびT2がゼロに設定されうる閾値と異なる場合に開放される。
【0049】
図6で分かるように、手段16は第1減算器17、第2減算器18、およびコンパレータ19を含む。
【0050】
第1減算器17は、正の入力として信号T1を、負の入力として信号T2を有し、一方で第2減算器は正の入力として信号T2を、負の入力として信号T1を有し、これにより、コンパレータ19内で2つの温度の差分を閾値Δと比較することが可能となる。
【0051】
したがって、この変形によれば、トランジスタ3のゲートを制御する手段7は、
-温度T1が閾値より高い場合、
-温度T2が閾値より高い場合、および/または、
-温度T1とT2が異なる場合、
に第2トランジスタ3を開放する。
【0052】
装置1は、有利には、図1図3図4に示されるように、制御装置1の動作に関する他の情報を伝達するために、電源11により供給されて低電圧回路9とマイクロコントローラ4の間に設置されるデジタルカプラー20を含むことに留意されたい。
【0053】
したがって、本発明によりパワートランジスタの故障を確実に検出することが可能となり、これにより関連する加熱システムを保護し、このシステムが装備された自動車の乗員を守ることが可能となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】