(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】チャネルを有する成形構造
(51)【国際特許分類】
B81B 1/00 20060101AFI20220803BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20220803BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20220803BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20220803BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B81B1/00
B81C1/00
B41J2/14
B41J2/14 611
B41J2/14 605
B41J2/18
B41J2/16 507
B41J2/16 509
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572561
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 US2019039074
(87)【国際公開番号】W WO2020263234
(87)【国際公開日】2020-12-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チエン-ヒュア
(72)【発明者】
【氏名】カンビー,マイケル,ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】グロー,マイケル,ジー
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
3C081
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056HA05
2C056HA16
2C057AG32
2C057AG84
2C057AG88
2C057AP22
2C057AP31
3C081AA11
3C081AA17
3C081BA22
3C081BA23
3C081BA55
3C081CA03
3C081CA15
3C081DA10
3C081DA45
3C081EA07
3C081EA21
3C081EA27
3C081EA35
(57)【要約】
【課題】流体チャネルを有する成形構造を提供すること。
【解決手段】時折、半導体デバイスのようなデバイスが、成形構造に取り付けられることがある。成形構造は、貫通穴やチャネルを有する場合があり、その中を流体やガス(とりわけ)が通過する場合がある。貫通穴やチャネルを有する成形構造を作成するための多くのプロセスが存在する。例えば、ドライフィルムを利用したリソグラフィーのような積層プロセスを使用して、貫通穴やチャネルを有する成形構造を作成することができる。基板の接合及び/又は溶接を使用して、貫通穴やチャネルを有する成形構造を製造することもできる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電トレースとチャネルを含む成形構造であって、前記チャネルの1つの寸法が、10μmから200μmまで又はそれ以下である、成形構造と、
前記成形構造に結合され、前記チャネルに対応する開口部を含み、前記開口部の中を流体、電磁放射線、又はそれらの組み合わせが通過する、依存デバイスであって、前記成形構造の前記熱電トレースに対応する接点をさらに含む、依存デバイスと
とを含む、デバイス。
【請求項2】
チャネルの高さに対応する、前記チャネルの第2の寸法と、チャネルの幅に対応する前記1つの寸法と
を含み、
前記第2の寸法は、100μmから500μmまでを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
100μmから500μmまでのチャネル間隔を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記依存デバイスは、噴射ノズルを有する流体ダイを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
100μmから500μmまでのノズル間の間隔を含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
流体再循環チャネルを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記流体再循環チャネル内の流体の再循環を可能にする再循環構成要素を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
チップパッケージを製造する方法であって、
犠牲トレースを含む構造の上又は上方又は上方に成形材料を付与し、
前記成形材料の一部を除去して、前記犠牲トレースを露出させ、
前記犠牲トレースを除去して、前記成形材料内にチャネルを生成すること
を含む、方法。
【請求項9】
前記トレースの第1の寸法が、約10μmから約200μmまで又はそれ以下の範囲内にある、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
支持層の上又は上方に、前記犠牲トレースを含む構造を堆積させることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記成形材料の一部を除去することは、表面研削による除去を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記チップパッケージの周りにフォトレジストの層を付与し、
前記支持層の一部をエッチングすること
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記犠牲トレースを含む構造は、リードフレーム又は金属蓄積層を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記成形材料は、エポキシ成形材料(EMC)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
200μm未満の寸法の埋め込み流体チャネルを有し、埋め込み熱導電性トレースをさらに含む、一体的エポキシ成形材料(EMC)パッケージと、
前記EMCパッケージに取り付けられた流体ダイであって、前記埋め込み熱導電性トレースに熱電気的に結合され、前記埋め込み流体チャネルに流体的に結合された流体ダイと
を含む、流体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
時折、半導体デバイスのようなデバイスが、成形構造に取り付けられることがある。成形構造は、貫通穴やチャネルを有する場合があり、その中を流体やガス(とりわけ)が通過する場合がある。貫通穴やチャネルを有する成形構造を作成するための多くのプロセスが存在する。例えば、ドライフィルムを利用したリソグラフィーのような積層プロセスを使用して、貫通穴やチャネルを有する成形構造を作成することができる。基板の接合及び/又は溶接を使用して、貫通穴やチャネルを有する成形構造を製造することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0002】
以下の図を参照して、様々な例を以下に説明する。
【
図1】チャネルを有する成形構造を含む例示的デバイスを示す図である。
【
図2】チャネルを有する例示的成形構造を示す図である。
【
図3】チャネルを有する成形構造と再循環チャネルを有する流体ダイとを含む例示的デバイスを示す図である。
【
図4】チャネルを有する成形構造を形成する例示的方法を示すフロー図である。
【
図5A】製造の一時点における例示的成形構造を示す断面図である。
【
図5B】製造の一時点における例示的成形構造を示す断面図である。
【
図5C】製造の一時点における例示的成形構造を示す断面図である。
【
図5D】製造の一時点における例示的成形構造を示す断面図である。
【
図6】成形構造を形成する例示的方法を示すフロー図である。
【
図7A】製造の一時点における例示的成形構造を示す断面図である。
【
図7B】製造の一時点における例示的成形構造を示す断面図である。
【
図7C】製造の一時点における例示的成形構造を示す断面図である。
【
図7D】製造の一時点における例示的成形構造を示す断面図である。
【
図7E】製造の一時点における例示的成形構造を示す断面図である。
【
図7F】製造の一時点における例示的成形構造を示す断面図である。
【
図7G】製造の一時点における例示的成形構造を示す断面図である。
【0003】
以下の詳細な説明では、説明の一部を形成する添付の図面を参照する。図面において、同様の符号は、全体を通して、対応する及び/又は類似する同様の部品を指していることがある。例示の単純化及び/又は明確化のために、図は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0004】
[詳細な説明]
電子デバイス、電気機械デバイス、流体デバイス、光学デバイスのようなデバイスは、種々の構成要素を使用して、所望の機能を有効化する場合がある。有効化構成要素は、チャネルを提供することにより、流体(とりわけ)が電子デバイスの流体噴射ダイまで流れることを可能にする場合がある。場合によっては、これらの有効化構成要素は、成形材料(「成形コンパウンド」とも呼ばれる)や成形構造から構成される場合がある。
【0005】
電子デバイスは、支持構成要素から流体を受け取ることに加えて、電子デバイスの他の構成要素から、電気信号も受け取る場合がある。例えば、電子デバイスの動作を制御するための電気信号(例えば、電気パルスの形をしている)が、電子デバイスとコントローラとの間の電気接続が可能なワイヤ又はトレースを介して、送信及び/又は受信される場合がある。
【0006】
さらに、実施形態によっては、熱伝導性の構成要素及び/又は流体を介して、熱エネルギー(例えば、熱の形をしている)が、流体噴射ダイから外に導かれることがある。トレースを介して電気信号を送信することに加えて(又はその代わりに)、トレースが熱伝導性であってもよく、したがって、トレースを使用して、熱が生成される点から別の場所へ熱が伝導される場合がある。したがって、電気エネルギーや熱エネルギーを伝導できるトレースは、本明細書では、単純化のために、熱電トレース又は熱電伝導トレースと呼ばれる。電気信号と熱エネルギーの両方の伝播が可能な構成要素は、金属やメタロイドに類似した性質を有する場合があるからである。
【0007】
場合によっては、成形支持構成要素は、埋め込み熱電トレースに加えて、チャネル、スロット、及び/又は貫通穴を含む場合がある。チャネルとは、成形構成要素内の空所であって、空所の中を流体、ガス、電磁放射線(EMR)(例えば、可視光)などが伝播できるものを指している。貫通穴とは、成形支持構造の1つ(又は複数)の表面に独立した開口部を有するチャネルであって、開口部の中を流体が流れることができるものを指している。スロットとは、成形支持構造の1つの表面に開口部を有するチャネルを指している。ただし、スロットが必ずしも2つである必要はない。例えば、スロットは、流体チャネルにつながっている場合があり、この流体チャネルが、別のスロット及び/又は貫通穴につながっている場合がある。単純化のために本開示は、「チャネル」という用語を一般的意味で使用しているが、これは、文脈によっては、貫通穴やスロットを指している場合もある。
【0008】
チャネルを有する成形デバイスのそのような1つの例を依存デバイスと組み合わせて使用する方法を説明するために、インクジェット印刷装置(例えば、着色剤や薬剤のような印刷液を分配するためのもの)の例を、限定なく説明する。明確化のために、チャネルを有する成形デバイスの概念を、インクジェット印刷装置に適用する場合があるが、それらは、他の文脈にも関連する場合があり、例えば、生物医学的用途のためのマイクロ流体デバイス、EMRの検知や送信のための光伝搬デバイス、及びガス検知装置にも関連する場合がある。
【0009】
したがって、例えばインクジェット印刷装置の場合、流体噴射装置(例えば、プリントヘッド)を使用して、印刷液(例えば、インク、着色剤、薬剤)を基板上に分配することができる。流体噴射装置は、流体噴射ノズルのアレイを有する流体ダイ(例えば、依存デバイス)を含む場合があり、印刷液の液滴は、流体噴射ノズルを通して基板に向けて吐出される。流体ダイは、チャネルを有する成形デバイス(例えば、チクレット)に取り付けられる場合があり、印刷液は、チャネルを通って流れる場合があり、例えば、流体ダイに向かって及び/又は流体ダイから外へ流れる場合がある。したがって、成形デバイスは、流体ダイと連携して動作し、印刷液の吐出を可能にする。これは例えば、流体ダイに流体を供給すること、流体を再循環させること(例えば、顔料の蓄積を減らすために)、流体ダイに熱保護を提供すること(例えば、流体ダイが抵抗素子を流れる電流パルスに応答して流体を吐出して熱が生成される場合等に、例えば流体ダイから熱を取り去ること)などによって可能になる。
【0010】
別の例を考察すると、生物医学的用途に使用されるマイクロ流体工学の領域では、マイクロ流体ダイ(例えば、依存デバイス)が、成形材料から構成された、チャネルを有する支持構成要素に取り付けられる場合がある。この場合、チャネルは、流体及び固体(例えば、血液、血漿など)をマイクロ流体ダイの所望の部分に向けて導くために使用される場合がある。
【0011】
これらの場合及び他の場合に、デバイスのサイズを縮小することが望ましい場合がある。例えば、小さなダイに複数の試験装置を含めることを可能にする等のために、より小さな生物医学装置が欲しい場合がある。より小さなデバイスによれば、より少量の流体を使用した生物医学的試験も可能になる場合がある。また、デバイスが小さいほど、1つのウェーハからより多くのダイを製造できるようになる等のため、全体的コストも削減できる場合がある。当然ながら、流体デバイスのサイズを縮小したい理由は、他にも多数ある。
【0012】
流体デバイスのサイズの縮小を図る1つの態様は、成形構成要素内のチャネルサイズを縮小することであってもよい。例えば、半導体製造プロセスを使用して約20nm(及びそれ以下)のノードサイズを実現することは可能かもしれないが、対応するサイズのチャネルを成形材料内に実現すると、従来の積層製造プロセス及び/又は機械加工プロセスの使用に、複雑さと困難な課題が生じる可能性がある。実際、成形構成要素内にチャネルを形成することは、たとえ数十マイクロメートル(μm)又は数百(μm)の範囲であっても、困難であるか、費用がかかる場合がある。例えば、成形構成要素内に約5μmから500μmまでのチャネルを機械加工することは、現在のところ可能でない可能性がある。
【0013】
インクジェット噴射装置の例に戻ると、流体噴射ノズルの密度を増加させたいという要望がある場合がある。しかしながら、流体ダイに接続された成形構成要素内の流体チャネルのサイズにより、可能なノズル密度は、制限される場合がある。例えば、成形構成要素内に約5μmから500μmまでの流体チャネルを有することが望ましい場合がある。
【0014】
上記を念頭に置いて、本説明は、約数十μmから数百μmまでのチャネルを有するデバイス及び構成要素を生成することが可能なプロセスを提案する。
【0015】
一実施形態において、そのようなチャネルサイズは、例えば、犠牲材料の使用によって実現することができ、犠牲材料の上又は上方には、成形材料が堆積される。その後、犠牲材料を除去(例えば、エッチングで)すると、成形構造内に所望の寸法のチャネルが残される。したがって、例えば、成形構成要素内に約数十μmから数百μmまでのチャネルを形成することができる。場合によっては、犠牲材料を使用して、10μm未満のチャネルを実現可能な場合もある。
【0016】
場合によっては、成形構成要素内にチャネルを作成するためのこのアプローチによって、成形構成要素内に他の構造を作成することもできる。例えば、熱電トレースに加えて、犠牲材料の埋め込みトレースが使用されてもよく、それら両方を成形材料内に封入することができる。熱電トレースを残して、犠牲材料は、(例えば、エッチングで)除去されてもよい(例えば、フォトレジストの層を使用して熱電トレースを保護しながら犠牲材料を除去することによって)。こうして、最終的に得られる成形デバイスを、流体(チャネルを介して)、ならびに熱エネルギー及び/又は電気信号(熱電トレースを介して;場合によっては、熱エネルギーもチャネルを介して伝搬する場合がある)の伝搬に適したものにすることができる。
【0017】
明らかなように、このようなアプローチは、所望の寸法を有するチャネルを有する成形構成要素の製造に望ましい場合がある。
【0018】
図1は、例として、10μmから200μmまでのチャネルを有する成形構造102を含むことができる例示的デバイス100を示している。そのような寸法のチャネルを生成するためのプロセスについては、以下で詳しく説明される。他の寸法(例えば、10μm未満の寸法や200μmより大きい寸法など)の成形デバイスも、本明細書及び請求の範囲の主題によって企図されていることは明らかである(明示的に否定されていない限り)。
【0019】
図1は、成形構造102に取り付けられた例示的依存デバイス104も示している。本明細書で使用される場合、「依存デバイス」という用語は、成形デバイス又は成形構成要素に依存して機能を有効化するデバイス又は構成要素を指している。例えば、印刷液を基板上に吐出するための流体ダイ(例えば、インクジェット印刷装置用)の事例では、流体ダイは「依存デバイス」に対応し、成形デバイスは、流体ダイが取り付けられる相手方の成形チクレットに対応する。この例では、成形チクレットは、チャネル108及び開口部112を介して、流体ダイへ及び/又は流体ダイから印刷液を運ぶことによって、印刷液の吐出を可能にする。例えば、開口部は、流体供給穴に対応する場合がある。流体供給穴は、流体ダイの噴射室に向かって及び/又は噴射室から外へ流体を運ぶことができる。また、成形チクレットは、場合によっては、熱電信号も運ぶことができる(例えば、熱電トレース106及び熱電接点110を介して)。これによって例えば、噴射装置(例えば、サーマルインクジェットデバイスの場合は抵抗器、又は圧電インクジェットデバイスの場合は圧電膜など)の作動が可能になり、及び/又は、流体ダイの噴射室から熱エネルギーを運び去ることが可能になる。チャネル108を使用して熱エネルギーを放散する例として、流体は、チャネル108を通って流れることができ、流体は、流体ダイの第1の部分から流体ダイの第2の部分へと熱エネルギーを取り去ることができる。
【0020】
生物医学的マイクロ流体デバイスの事例では、マイクロ流体ダイは、依存デバイス(例えば、依存デバイス104)に対応し、成形構造102は、成形支持構成要素に対応する。流体は、成形支持構成要素を通って、マイクロ流体ダイへ及び/又はマイクロ流体ダイから流れることができる。印刷液を吐出するための流体ダイの場合と同様に、この例における成形デバイスは、成形デバイス内のチャネル(例えば、チャネル108)に部分的に依存して、生物医学的マイクロ流体ダイの動作を有効化することができる。明らかであるように、このような依存デバイスは、他の多くの場合にも使用することができ、例えば、発光ダイオード(LED)を有するチップをサポートする成形デバイスであって、その中を電気信号及び/又はEMRが伝搬することができる成形デバイスや、センサーデバイスをサポートする成形デバイスであって、その中を電気信号、ガス及び/又は液体が伝搬することができ、センサーデバイスによって検知される成形デバイスなどにも、使用することができる。
【0021】
成形構造102は、低い熱膨張係数(低いGTE)を有する材料から構成される場合がある。材料の例としては(限定しないが)、エポキシ成形材料(EMC)や、熱可塑性材料(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスルホン(PSU)、液晶ポリマー(LCP)など)が挙げられる。一実施形態では、成形構造102は、20ppm/℃以下の範囲のような低いCTEを有する材料(前記のうちの1つなど)を含む場合がある。例えば、ある場合には、12ppm/℃以下のCTEのような低いCTEを有する材料(前記のうちの1つなど)が選択される場合がある。
【0022】
以下でさらに詳しく説明するように、成形構造102の材料は、犠牲材料及び/又は熱電トレースを有する構造の上又は上方に付与される場合がある。例えば、犠牲材料は、所望の材料(例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)など)のトレースの形をしている場合がある。一例では、例えば、犠牲構造は、支持構造に付与される場合がある。別の例では、犠牲材料を含む部分を有するリードフレーム構造が使用される場合もある。次に、その構造の上又は上方に、成形材料を付与することができる。
【0023】
成形構造102は、一体的な形態であってもよい。本明細書で使用される場合、一体構造とは、接着結合を破壊したり、材料を切断したり、他の方法で構成要素を破壊したりすることなく複数の部分に分解することができない構成要素を指している。例えば、EMCを使用することで、成形プロセスの一部として、熱電トレース106やチャネル108が形成された一体的成形構造102を形成することができる。
【0024】
図1に戻ると、例示的成形構造102は、図示のように、例示的依存デバイス104に接続される場合がある。例えば、成形構造102は、依存デバイス104(破線で示される)の接点110(例えば、熱電接点)に繋がっている熱電トレース106を含む場合がある。同様に、チャネル108は、依存デバイスの開口部112に連通している場合がある(破線で示されるように)。
【0025】
前述のように、一実施形態では、熱電トレース106とチャネル108の両方が、成形構造102内に埋め込まれる場合がある。ただし、他の例では、チャネル108は、成形構造102内に埋め込まれるが、熱電接点110は、成形構造102(図示せず)の外部にある熱電トレースに繋がっている場合がある。
【0026】
さらに、上記のように、一部の実施形態では、熱電トレース106は、熱電接点110に信号を運ぶこと以外の目的に使用可能な電気及び/又は熱の伝導トレースに対応する場合がある。例えば、トレース106は、依存デバイス104から熱エネルギーを放散させることができる場合がある。また、例示的デバイス100は、上記のように、熱の制御や放散にも使用される場合がある。例えば、依存デバイス104は、通常動作中(例えば、電流が半導体デバイスのトレースや種々の構成要素の中を移動するとき)に、熱エネルギー(例えば、熱)を生成する可能性がある半導体デバイスに対応する場合がある。依存デバイス104は、デバイスから熱エネルギーを除去するために、その構造内にマイクロ流体チャネルを有する場合があり、マイクロ流体チャネルの中を流体が流れる場合がある。熱エネルギー放散流体は、開口部112を介して依存デバイス104に出入りすることができる。例えば、冷却流体が、チャネル108を通って移動し、開口部112に入る場合がある。冷却流体は、依存デバイス104から熱エネルギーを抽出し、抽出した熱エネルギーを開口部112及びチャネル108を通して運び出すことができる。
【0027】
いずれにしても、チャネル108は、犠牲材料を使用して成形構造102内に形成されることができ、犠牲材料はその後除去されるため、チャネル108の1つの寸法は、10μmから200μmまで又はそれ以下である場合がある。
【0028】
上記を念頭に置くと、成形構造102が、印刷液を吐出するための流体ダイや他の何かと組み合わせて使用されるか否かにかかわらず、上記のように、10μmから200μmまでの寸法のチャネルを有することが望ましい場合がある。このようなチャネル寸法は、例えば、依存デバイス104の開口部112を依存デバイス104内に通常よりも密に配置することが可能になるため、有益である場合がある。
【0029】
したがって、例示的デバイス(例えば、デバイス100)は、依存デバイス(例えば、依存デバイス104)に接続された成形構造(例えば、成形構造102)を含む場合がある。成形構造は、熱電トレース(例えば、熱電トレース106)及びチャネル(例えば、チャネル108)を含む場合がある。チャネルの1つの寸法は、10μmから200μmまで又はそれ以下である。依存デバイスは、チャネルに対応する開口部(例えば、開口部112)を有する場合があり、開口部の中を流体、電磁放射線、又はそれらの組み合わせが通過する。依存デバイスは、成形構造の熱電トレースに対応する接点(例えば、熱電接点110)をさらに含む場合がある。上記のように、依存デバイスは、例えば噴射ノズルを介して印刷液を吐出するために、流体噴射ダイを含む場合がある。
【0030】
図2に目を向けると、
図2は、例示的成形構造202の一部を示す断面図であり、チャネル(例えば、チャネル208)の異なる態様が示されている。この時点で、類似の要素及び/又は構成要素を示すために、要素の符号付けが行われていることに留意されたい(例えば、X00:100、200、300等の構造及び/又は動作は、X02:102、202、302等に類似している場合がある)。例えば、
図2の成形構造202は、
図1の成形構造102に類似している場合がある。もちろん、場合によっては、類似の要素及び/又は構成要素の構造及び/又は動作は、類似しているが、それでもなお違いがあることがある。したがって、類似の要素及び/又は構成要素といった表示は、明示的に言及されていない限り、限定的な意味で行われること(例えば、後続の図における構造及び/又は構成要素を先に示した要素の構造及び/又は構成要素に限定することや、その逆)を意図していない。例えば、
図2に関連して説明されるチャネル208の構造(例えば、特定の配置、形状、材料など)は、他の図に示されるチャネルの構造を制限することを意図していない。同様に、
図2に関連して説明されるチャネル208の動作も、他の図に示されるチャネルの構造を制限することを意図していない。例えば、
図2のチャネル208の寸法は、別の図(例えば、
図3)に示される実施形態のデバイスに適用される場合があるが、他の図に示される類似の要素は、他の実施形態もサポートする場合があり、他の実施形態では、寸法が異なる場合もある。
【0031】
図2は、いくつかのチャネル208を示している。図示のように、一実施形態において、チャネル208は、成形構造202内に山形のような配置で配置される場合がある。チャネル208は、いくつかの分離構造210によって分離される場合がある。チャネル208は、依存デバイスの開口部(例えば、依存デバイス104の開口部112)に対応するように(例えば、流体通信するように)、成形構造202内に配置される場合がある。
【0032】
図2は、いくつかの例示的チャネル寸法D
1~D
5を示している。
図2は、特定形態のチャネルを示しているが、チャネル208が円筒形であるような他の実施形態も企図されている。当業者には明らかであるように、チャネル208が円筒型である実施形態では、一辺の幅、長さ、及び/又は深さを説明するのではなく、幅や長さは、代わりに直径などで表される場合がある。
図2に戻ると、チャネル208の幅が、D
1として示されている。一例において、D
1は、約5~10μmに対応する場合がある。上記のように、従来の製造及び機械加工の技術は、そのような小さいサイズのチャネル幅を実現できないことがある。別の例では、D
1は、約15~20μmの幅であってもよい。もちろん、それらの技術は、もっと幅の広いチャネルの製造が可能であり、例えば、約100、200、300、400、500μm、又はそれ以上のチャネルの製造が可能である。したがって、一部の請求項におけるように、場合によっては、10から200μmまでの範囲の1つの寸法が、関心のあるチャネル寸法として使用される場合がある。例えば、流体噴射装置(例えば、印刷装置)の例では、10から200μmまでの範囲が、関心の対象になることがある。もちろん、例によっては、範囲はもっと狭くても、もっと広くてもよい。例えば、6~8μmの直径を有する可能性がある赤血球をテストするための生物医学装置の例では、約10~20μmのチャネル寸法が望ましいことがある。また、チャネル(例えば、チャネル208)が様々な寸法であってもよい実施形態もある。この場合も、生物医学診断装置の例では、チャネルの第1のサブセットが、第1の流体又はテストに対応する第1の幅を有する場合があり、チャネルの第2のサブセットが、第2の流体又はテストに対応する第2の幅を有する場合などがある。
【0033】
場合によっては、チャネル208の幅(例えば、D1)とチャネル208の高さ(例えば、D3)との間に、対応関係がある場合がある。例えば、ある例では、D1は約20μmであり、D3は約100μmである場合がある。別の例では、D1は約30μmであり、D3は約200μmである場合などがある。寸法間の様々な対応関係は、選択された材料(例えば、材料によっては、構造的安定性を得るためにさらなる厚みを必要とするものがある)、使用状況(例えば、赤血球の例に関して上述したように、一部の寸法は、デバイスが使用される状況によって規定される場合がある)、製造上の制約(例えば、犠牲材料の幅が狭くなるほど、犠牲材料の高さを維持することが困難になる可能性がある)等に基づく場合がある。
【0034】
チャネルのもう一つの寸法は、D2として表される分離構造214の幅である場合がある。寸法D1及びD3と同様に、分離構造214の幅も、成形構造202が使用される状況や、成形構造202の形成に使用される材料などに依存する場合がある。一例では、D2は、50μm~100μmの寸法を含む場合がある。例えば、流体噴射装置の例では、流体噴射ノズルの配置密度を高くすることが望ましい場合がある。したがって、ある状況では、約90μmの幅D2を達成することが、関心の対象になる場合がある。他の例では、D2の様々な寸法(90μmよりも大きい寸法や小さい寸法など)が、関心の対象になる場合がある。例えば、別の成形構造202は、約30μmのD2を有する場合がある。
【0035】
次に、D4は、チャネル間の寸法を表しており、一実施形態では、100μmから500μmまでであってもよい。もちろん、D4は、寸法D1及びD2に依存している。実際、場合によっては、D4は、D1とD2の合計になる。したがって、D1が約20μmであり、D2が約90μmである実施形態では、D4は、約110μmになる。
【0036】
例えば流体噴射装置の場合、D
4は、ノズル間の間隔に対応する場合があり、これについては、以下でさらに詳しく説明される。もちろん、D
4とノズル間の間隔との間には、例えば、噴射室に対するノズルの配置や特定のノズル構造に基づいて、違いがあってもよい(例えば、一部の例では、ノズルは、隣接ノズルに対してオフセットされる場合などがある)。例えば、
図3に関連して説明されることになるように(
図3は、再循環経路を有する流体ダイを表している)、ノズルは、各チャネル208と流体的に連通していない場合がある。例えば、第1のチャネル208は、依存デバイスへ流体を送達するための流体経路に対応する場合があり、隣接チャネル208は、依存デバイスから別の場所へ流体を送達するための流体経路に対応する場合がある。
【0037】
D5は、例示的成形構造202のさらに別の寸法である。この場合も、D5の寸法は、成形構造202の使用目的や成形構造202を構成する材料に依存する場合がある。例えば、一部の用途では、成形構造202に構造的支持を提供するために、D5をD3よりも厚くすることが望ましい場合がある。ただし、他の例では、成形構造202が構造的支持を提供できる他の構成要素に取り付けられる場合があり、したがって、D5は、D3よりも薄くできる場合がある。例えば、D3が約100μmである流体噴射装置では、D5を約50μmにする場合がある。
【0038】
明らかなように、成形構造202の様々な部分の様々な寸法は、様々なニーズに応じて変更されてよい。ただし、すでに説明したように、成形構造内に小さな寸法(特に、D
1、D
2、及びD
4)を実現するプロセスには、従来の製造及び機械加工のアプローチでは克服できない可能性がある困難な課題と複雑さがある。そのため、本明細書で説明するアプローチ及び方法(例えば、成形構造から除去されことになる犠牲トレースの使用など)は、様々な異なる状況で関心の対象になり得る。次の図、
図3では、流体噴射装置の特定の例示的状況について説明する。流体噴射装置のサイズが縮小され、及び/又は流体噴射ノズルの密度が増加したときに遭遇する困難な課題及び複雑さを克服する目的で、請求の範囲の主題がどのように関心の対象になるのかを例示するためである。もちろん、この説明は、請求の範囲の主題の潜在的利益を説明するために提供されるものであり、限定的な意味で解釈されてはならないことを理解されたい。
【0039】
図3は、成形構造302及び流体ダイ304(本明細書の他の場所では、より一般的に、依存デバイスと呼ばれる)を含む例示的流体デバイス300を示している。図示のように、成形構造302は、上で説明したものと同様に、いくつかのチャネル308を含む。チャネル308は、上側部分と下側部分に破線で分割されていることに留意されたい。これは、流体ダイ304の開口部312と連通している上側部分を、ある開口部から別の開口部までの(
図3において紙面に出入りするz方向の)(例えば、
図2に示されているような)長さに広がっていることがある種々の下側部分と一緒に図示するために行われている。以下で説明するように、流体は、チャネル308の下側部分に入り(例えば、流体供給源から)、開口312に向かって上側部分に流れ込むことができる。
【0040】
成形構造302は、成形熱電トレース306をさらに含む。本明細書に記載されたアプローチを使用すれば、一体構造の成形構造302に熱電トレースを成形することと、チャネル(例えば、流体チャネル)を形成することとの両方が可能になる場合がある。その結果、流体ダイ304及び成形構造302の外部における外部熱電接続(例えば、トレース又はワイヤ)への依存が低減されるため、これは関心の対象になり得る。
【0041】
流体ダイ304は、
図1に関連してすでに説明したものに類似するいくつかの要素を含む。例えば、流体ダイ304は、熱電接点310及び開口部312を含む。熱電接点310は、電流パルスを噴射装置(例えば、抵抗器、圧電素子など)に送信して印刷液の吐出を発生させるといった、流体ダイ304の動作を可能にする場合がある。また、熱電接点310によれば、例えば熱電トレース306を介して、熱エネルギーの放散も可能になる場合がある。そして、開口部312によれば、ノズル316に対する流体的連通が得られる。例えば、印刷液は、開口部312を通って入り、噴射室に流れ込み、そこから印刷液は吐出される場合がある。場合によっては、流体ダイ304は、噴射室から別の場所へ印刷液を送達するための再循環チャネル318を含む場合がある。一部の実施形態では、印刷液は、ポンプ又は他の流体の流れを誘発する構成要素によって循環される場合がある。例えば、再循環構成要素320は、噴射室から再循環チャネル318を通って出力流体チャネルへと流体を移動させることができる例示的要素を示している。
【0042】
図3は、流体ダイ304のノズル316も示している。印刷液は、ノズル316を介して吐出される場合がある。D
6は、ノズル間の間隔として示され、ノズル間ピッチとも呼ばれる。一部の実施形態では、D
6は、例えば、凡そ約90μm及び500μmである場合がある。
【0043】
図4は、成形構造(例えば、
図3の成形構造302)を形成する例示的方法400を示している。
図5A~
図5Dを参照しながら方法400について説明する。
【0044】
405では、犠牲トレースを有する構造の上又は上方に、成形材料を付与する。
図5Aは、例示的犠牲トレース522を含む構造524を示している。一実施形態において、構造524は、リードフレーム構造であってもよい。別の実施形態において、構造524は支持層を含み、その上に犠牲トレースが配置されてもよい(例えば、金属の蓄積)。非限定的な例として、犠牲トレースは、Cu又はNiを含む場合がある。犠牲トレース522は、約10μmから約200μmまで又はそれ以下の範囲内であってもよい。また、
図5Bは、
図5Aの構造524の上又は上方に配置された、成形構造502を形成している成形材料526を示している。上記のように、成形材料526は、いくつかの形態を有することができ、例えば、EMCのような低GTE材料の形態を有する場合がある。
【0045】
方法400に戻ると、410では、成形材料の一部を除去する。
図5Cは、(
図5Bからの)成形材料526の除去された部分528を示している。成形材料の一部を除去することで、犠牲トレース522の一部を露出させることができる。一実施形態では、成形材料の一部の除去は、表面研削によって行われる場合がある。
【0046】
方法400の415では、犠牲トレースが露出された状態で、犠牲トレースを成形材料内から除去することができる。エッチングプロセスを使用することができ、例えば、化学エッチングを使用して犠牲トレース522を除去することができる。
図5Dは、犠牲トレース522を除去して、チャネル508が生成された後の成形構造502を示している。
【0047】
図6は、犠牲トレースを除去することによって形成されたチャネルを有する成形構造(例えば、成形構造302)を形成するための例示的方法600を示している。この例では、犠牲トレースは、支持構成要素の上又は上方に蓄積される(例えば、リードフレームの使用とは対照的である)。
【0048】
605では、支持層(例えば、
図7Aの支持層730)の上又は上方に、犠牲トレース(例えば、
図7Aの犠牲トレース722)を含む構造を堆積させる。支持層730の例は、金属及びメタロイド(例えば、Cuコーティングされた鋼板)を含む場合がある。犠牲トレース722は、Cuコーティングされた鋼板上へのドライフィルムレジストの積層、犠牲トレースパターンを画定するための直接レーザー書き込み、犠牲金属を堆積させるための電気めっき、及びその後のドライフィルムレジストの剥離によって構築することができる。もちろん、前述のように、他の実施形態では、605に関連して説明したように、犠牲トレースを構築する代わりに、犠牲トレースを含む構造(例えば、
図5Aの構造524)がリードフレーム構造を含み、その上に成形材料が付与されてもよい。
【0049】
610では、ブロック605からの支持層及び犠牲トレースの上又は上方に、成形材料(例えば、
図7Bの成形材料726)を付与する。
図7Bは、支持層730及び犠牲トレース722の上又は上方に配置された成形材料726を示している。もちろん、他の成形材料配置も、請求の範囲の主題によって企図されている。成形材料726は、上記のように、EMCのような低CTE材料を含む場合がある。
【0050】
615では、成形材料の一部を除去する。
図7Cは、成形材料726の上部が除去され、犠牲トレース722の上部が露出された状態を示している。上記のように、成形材料726の除去は、表面研削によって行われる場合がある。
【0051】
620では、成形材料から犠牲トレースを除去する。
図7Dは、成形材料726内に配置されたチャネル708を示している。犠牲トレース722を除去するプロセスは、犠牲材料を除去するが、成形材料726を残すように選択された化学エッチングの使用を含む場合がある。もちろん、上記のように、一部の実施形態では、犠牲トレース722と熱電トレースとの両方が、成形材料726内に埋め込まれる場合がある。そのような場合、埋め込まれた熱電トレースは、保護層(例えば、フォトレジスト)の付与によって、除去(例えば、化学エッチング)から保護される場合がある。残りの成形材料726、チャネル708、及び支持層730は、チップパッケージ(例えば、EMCチップパッケージ)と呼ばれる場合がある。
【0052】
625では、フォトレジスト(例えば、
図7Eのフォトレジスト層732)をチップパッケージに付与する。
図7Eに示されるように、フォトレジスト層732は、チップパッケージを完全に覆わなくてもよい。実際、支持層730の一部は、覆われないまま、すなわち、露出されたまま残される場合があり、これによって、支持層の一部を除去できることになる。
【0053】
630では、支持層の一部をエッチングする。
図7Fは、支持層730の除去された部分734を示している。例えば、流体噴射装置の例では、流体ダイ(例えば、
図3の流体ダイ304)は、支持層730の一部734が除去された後のその空間内で、成形構造702に取り付けられる場合がある。次に、フォトレジスト層732を除去すると、
図7Gに示されるように、完成した成形構造702が残る。
【0054】
上記から明らかなように、本説明は、犠牲材料を使用して成形構造内にチャネルを形成するためのアプローチを提供する。
【0055】
本説明では、有形の構成要素(及び/又は、同様に有形の材料)を説明する状況のような特定の語法の文脈では、「上」であるか「上方」であるかの区別がある。一例として、この後者の例では、基板の「上」への物質の堆積とは、堆積された物質と基板との間にある中間物質(例えば、中間プロセスの実行中に形成された中間物質)のような中間物質なしの直接的で物理的な有形の接触を伴う堆積を指している。基板の「上方」への堆積とは、基板の「上」への堆積を含むと理解される可能性があるものの(厳密に言えば「上」であることは、「上方」であるとも表現できるため)、それでもなお、堆積された物質と基板との間に中間物質のような媒介物が存在し、堆積された物質が必ずしも基板と直接的で物理的かつ有形に接触しているとは限らない状況を含むものと理解される。
【0056】
適当な特定の語法の文脈では、例えば有形の材料及び/又は有形の構成要素を説明する際に、「下」にあることと「下方」にあるとの間にも、同様の区別がなされる。そのような特定の語法の文脈では、「下」とは常に、物理的かつ有形の接触を示すことを意図しているが(今説明した「上」と同様)、「下方」とは、直接物理的かつ有形の接触がある状況を含む可能性があるものの、必ずしも直接物理的かつ有形の接触を意味するわけではなく、例えば中間物質のような媒介物が存在する状況も含む可能性がある。このように、「上」とは、「すぐ上」を意味するものと理解され、「下」とは、「すぐ下」を意味するものと理解される。
【0057】
前述のように、「上方」と「下方」のような用語も、当然ながら同様の形で理解される。これらの用語は、説明を容易にするために使用され、必ずしも請求の範囲の主題の範囲を制限することを意図していない。一例として、例えば、「上方」という用語は、請求の範囲が、実施形態の上下関係が正常である状況(例えば、実施形態の上下関係が逆さまである状況と対比して)に限定されることを示唆することを意味するものではない。一例をあげれば、成形構造(例えば、
図2の成形構造202)の例えば様々な時点(例えば、製造中)での向きは、必ずしも最終製品の向きに対応していなくてもよい。したがって、一例として、ある対象が、該当する請求の範囲内に特定の向き(例えば、逆さま)で記載されている場合、後者も同様に、該当する請求の範囲内に別の向きで含まれると解釈されることが意図されている。逆も同様であり、このことは、該当する請求の範囲の文言が、たとえ別の解釈をされる恐れがある場合であっても当てはまる。もちろん、ここでも、特許出願の明細書では常にそうであるように、特定の説明の文脈及び/又は語法から、合理的な推論の導出に関する有用な指針が得られる。
【0058】
特に明記しない限り、本開示の文脈において、「又は」という用語が、A、B、又はCのようなリストを関連付けるために使用された場合、これはA、B、及びCを意味すること(ここでは包括的意味で使用されている)だけでなく、A、B、又はC(ここでは排他的意味で使用されている)を意味することも意図している。この理解によれば、「及び」は、包括的意味で使用され、A、B、及びCを意味することを意図している。これに対し、「及び/又は」は、前述の意味のすべてが意図されていることを明確にするために、十分慎重に使用されることがあるが、このような語法は必須ではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」のような用語は、例えば異なる構成要素のような異なる態様を区別するために使用される。これは、特に明記しない限り、数値制限を提供したり特定の順序を示唆したりするものではない。同様に、「に基づく」という用語及び/又はこれに類する用語は、必ずしも網羅的な因子のリストを伝えることを意図するものではなく、必ずしも明示的に説明されていない他の因子の存在も許容することを意図するものと理解される。
【0059】
前述の説明では、請求の範囲の主題の様々な態様が説明されている。説明のために、量、システム、及び/又は構成のような詳細が、例として示された。他の例では、請求の範囲の主題を曖昧にしないように、周知の特徴については、省略され、及び/又は単純化された。本明細書には特定の特徴が図示及び/又は説明されているが、当業者には、多くの修正、置換、変更、及び/又は均等が思い浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、あらゆる修正及び/又は変更を、請求の範囲の主題に包含されるものとしてカバーすることを意図していることを理解されたい。
【国際調査報告】