(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】マスコット後退機構
(51)【国際特許分類】
B60R 13/00 20060101AFI20220803BHJP
【FI】
B60R13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573151
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 GB2020051362
(87)【国際公開番号】W WO2020249930
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】303063311
【氏名又は名称】ベントレー・モーターズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】モリニュー, デイビッド
【テーマコード(参考)】
3D024
【Fターム(参考)】
3D024BA06
3D024BA14
(57)【要約】
マスコット後退機構は、ほぼ円形の縁部をもつ接触領域の上に延在して、これを隠す非円形の外形形状を備えたマスコット基部(10)を有する。支持面(22)を備えた支持体(6)が、マスコット基部の接触領域に偏倚してこれに接触し、マスコット基部がほぼ円形の縁部を中心に支持体に対して回動する。この回動によって解放機構が作動し、マスコットが後退する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非円形の外形形状を備え、ほぼ円形の縁部をもつ接触領域上の基部に延在し、かつ使用時には隠れるマスコット基部と、支持面を備えた支持体と、マスコット基部の接触領域を弾性的に偏倚させ、これを支持面に接触させ、マスコットベースがほぼ円形の縁部を中心にして支持体を回動させる構成体とを有するマスコット後退機構。
【請求項2】
前記マスコット基部が全体として多角形状を有する請求項1に記載のマスコット後退機構。
【請求項3】
前記マスコット基部が細長い形状である請求項1または2のいずれかに記載のマスコット後退機構。
【請求項4】
前記ほぼ円形の縁部が角度のあるプロファイルを有する請求項1~3のいずれか一項に記載のマスコット後退機構。
【請求項5】
前記ほぼ円形の縁部が湾曲したプロファイルを有する請求項1~3のいずれか一項に記載のマスコット後退機構。
【請求項6】
前記接触領域および/または支持面が環状または円形である請求項1~5のいずれか一項に記載のマスコット後退機構。
【請求項7】
前記ほぼ円形の縁部が、前記マスコット基部と一体的に形成されている請求項1~6のいずれか一項に記載のマスコット後退機構。
【請求項8】
前記ほぼ円形の縁部が、前記マスコット基部に接続された回動部材に構成されている請求項1~6のいずれか一項に記載のマスコット後退機構。
【請求項9】
接触領域が偏倚し支持体表面に接触したときに、マスコット基部を支持体に対して所望位置に配置するように共働する各共働形成部を有する請求項1~8のいずれか一項に記載のマスコット後退機構。
【請求項10】
前記支持体が、前記マスコット基部の外形形状に対応する形状の開口を備え、前記接触領域が支持面に偏倚し、これに接触したときに、前記マスコット基部がこの開口に位置し、および/または開口に整合する構成の請求項1~9のいずれか一項に記載のマスコット後退機構。
【請求項11】
前記接触領域が支持面に偏倚し、これに接触したときに、前記マスコット基部の縁部と開口との間、および前記マスコット基部の下面と前記支持体との間にクリアランスが生成し、前記マスコット基部がほぼ円形の縁部を中心に前記支持体に対して回動する請求項10に記載のマスコット後退機構。
【請求項12】
前記支持体が台座を備え、前記開口を前記台座に形成する請求項10または11のいずれかに記載のマスコット後退機構。
【請求項13】
前記マスコット基部が前記支持体に対して十分に回動することにより、前記マスコット後退機構がマスコットを後退させる請求項1~12のいずれか一項に記載のマスコット後退機構。
【請求項14】
前記マスコット基部を部材に接続するか、あるいは付勢して部材に接触させ、マスコット基部の回動によってこの部材が移動する構成であって、この部材が動作時にラッチを接続するため、該部材を十分に移動させると、ラッチが開放し、このラッチが開放すると、支持体がマスコット配備位置からマスコット後退位置に移動する構成の請求項13に記載のマスコット後退機構。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のマスコット後退機構を備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスコット後退機構、特に自動車用マスコット後退機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両から突出する装飾品については、装着面にほぼ平行な面に特定の最小の力を加えると、後退、離脱、屈曲しなければならないことが規定されている。
【0003】
米国特許第4,061,303号明細書には、車両のラジエータ・シェルに取付けられたマスコットを自動的に後退させるための装置が開示されている。マスコットは、円形基部から立ち上がる。基部下側の縁部は平らで、基部下側に接続されたバネ負荷式ロッドによって環状の支持面上に押圧される。環状の支持面を囲んで仕上げ用リングを設ける。マスコットに横力が加わると、マスコットが傾き、円形基部の縁部が環状面および/または仕上げ用リングに蝶つがい付けされることになる。マスコットが蝶つがい付けされると、バネ負荷式ロッドがバネ力に抗して動く。ロッドが動くと、マスコットはラジエータ・シェル内に後退する機構が働く。基部が円形なので、どの方向にも同じような最小の横力が加わると、マスコットは後退する。後退機構は、マスコットを取付けた回動式レバーを有する。レバーの動きでマスコットが下向きに弧を描いてラジエータ・シェルに後退するが、マスコットの先端はラジエータ・シェルから突き出た状態になる。マスコットは、スパナでナットを回転させて手動で元の位置に戻る。
【0004】
この装置にはいくつかの欠点がある。円形基部が必要になるので、マスコットのデザインに制約がかかる。マスコットが後退する、真下の空間側部に対して、格納機構は相当量のスペースを占有する。格納後もマスコットの一部がラジエータ・シェルから突出し続けるため、見栄えが悪く、後退時においても改ざんや盗難に遭う。また、マスコットを完全に後退させるためには、後退機構にさらに余計なスペースが必要になる可能性が大きくなると考えられる。マスコットを元の位置に戻すには、人手が必要であり、不便である。
【0005】
本発明の実施形態の目的は、これら課題のなかの幾つかに対処することにある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様は、非円形の外形形状を備え、ほぼ円形の縁部をもつ接触領域上の基部に延在し、かつ使用時には隠れるマスコット基部と、支持面を備えた支持体と、マスコット基部の接触領域を弾性的に偏倚させ、これを支持面に接触させ、マスコットベースがほぼ円形の縁部を中心にして支持体を回動させる構成体とを有するマスコット後退機構が提供するものである。
【0007】
これにより、マスコット基部の形状を任意の非円形にすることが可能であり、かつ、マスコットを傾ける横力に対して、どの方向からも等しい感度で機構を応動することが可能である。
【0008】
マスコット基部は、例えば、棺形状のような正方形、矩形、菱形、台形または六角形などの全体として多角形の形状を有してもよい。形状は、湾曲したコーナーを有してもよく、細長い形状でもよい。
【0009】
ほぼ円形の縁部は、ディスクまたは隆起した円形面の縁部に形成された直角のような角のある輪郭を有してもよい。あるいは、ほぼ円形の縁部は、断面U字型の環状リングの表面、または表面に隆起したほぼ円形の隆起によるような、湾曲した輪郭を有する。
【0010】
接触領域および/または支持面は環状または円形であってもよい。接触領域は、ほぼ円形の縁部によってのみ形成してもよい。
【0011】
実質的な円形の縁部については、マスコット基部と一体的に形成されるか、またはマスコット基部に接続された回動(ピボット)部材で構成する。
【0012】
マスコット基部および支持体には、接触領域が偏倚し支持体表面に接触したときに、マスコット基部を支持体に対して所望位置に配置するように共働する各共働形成部を設けてもよい。形成部は、開口に受け入れられる非円形断面をもつ突出部、または回転整列するように一つ以上の追加の形成部をもつ対応する断面を有する円形通路内に受け入れられるほぼ断面U字形のリングなど、それぞれの雄/雌部材を備えてもよい。
【0013】
支持体は、マスコット基部の外形形状に対応した形状の開口を有し、接触領域が偏倚し支持体表面に接触したときに、マスコット基部が開口内に位置し、および/または開口と整列するように配置してもよい。この場合、接触領域が偏倚し支持体表面に接触したときに、マスコット基部の縁部と開口との間、およびマスコット基部の下側と支持体との間にクリアランスを設けることが好ましい。これにより、マスコット基部は、ほぼ円形の縁部を中心に支持体に対して相対的に回動可能である。
【0014】
支持体は台座を備えてもよく、また開口は台座に形成してもよい。
【0015】
マスコット後退機構の場合、マスコット基部が支持体に対して十分に回動すると、マスコットが後退する構成であればよい。特に、マスコット基部については、マスコット基部を部材に接続するか、あるいは付勢して部材に接触させ、マスコット基部の回動によって部材を移動させるようにすればよい。この部材は動作時にラッチを接続するため、該部材を十分に移動させると、ラッチが開放し、このラッチが開放すると、支持体がマスコット配備位置からマスコット後退位置に移動する。この部材はケーブルを備えてもよく、ケーブルに接続してもよい。該部材はプッシュ・ロッドおよび/またはレバーを備えてもよく、またはそれらに接続してもよい。
【0016】
支持体は、マスコット配備位置とマスコット収納位置との間を移動するレバーに取付けてもよい。レバーは、平行リンクを形成するように構成してもよい。動作時、ラッチによってレバーをマスコット配備構成で保持し、ラッチ解放時、支持体がマスコット収納位置に移動することができる。
【0017】
弾性的な偏倚構成は、バネ、特にヘリカルばねのような弾性的な部材で構成することができる。マスコット基部が下向きに、あるいは上向きに偏倚し、接触領域を付勢して、これを支持表面に接触させる構成であればよい。
【0018】
本発明の第2態様は、軌道に移動可能に取り付けた支持体を有し、これによってマスコット配備位置とマスコット収納位置との間の移動を行うマスコット後退機構が提供するものである。
【0019】
トラックは、ラジエータ・シェルの頂部など、全体として水平な表面の開口の下に垂直に配置してもよく、これを介してマスコットを配備する。そのため、機構は開口の直下にスペースを確保でき、有利である。また、直線的な直立動作でマスコットを配備し、かつ後退せることができ、従来システムの曲線状経路よりも美的に好ましいと考えられる。
【0020】
マスコット後退機構は、支持体を軌道の一端に向かって弾性的に偏倚する偏倚要素を備えていてもよく、バネのような弾性部材で構成することができる。
【0021】
マスコット後退機構は、支持体を軌道にそって駆動するように配置された駆動機構を有する。一実施形態において、駆動機構は回動可能に接続した2つのレバーと、2つのレバーを互いに相対的に回動し、これによって支持体が軌道に対して移動する構成のアクチュエータとを備える。また、該機構は軌道に移動可能に取付けるキャリッジを備えてもよく、支持体を駆動するための解放可能なラッチを備えてもよい。ラッチは、支持体が駆動機構から解放されて軌道にそって移動できるように解放可能であってもよい。ラッチについては、支持体に取付けられ、そしてキャリッジと係合するように配置され、それによって、キャリッジが軌道にそって支持体を駆動することができる。解除されない限り、ラッチは、キャリッジが軌道にそって一方向にキャリッジを超えて移動できるが、反対方向には移動しないようにしてもよい。支持体に取付けられたマスコットが傾いた場合、ラッチを解放するように配置された解放機構を設けてもよい。
【0022】
支持体を軌道にそって移動させるために、任意の他の適当な駆動機構を採用してもよい。これは、ベルトまたはチェーン駆動、あるいはピストン/シリンダー組立体で構成してもよい。いずれの場合も、支持体に取付けたマスコットの傾きに応じて、解放機構によって駆動機構を支持体から切り離しできることが望ましい。
【0023】
マスコットが後退した開口を閉じるためにカバーを配置してもよい。このカバーはレバー機構に取付けてもよく、このレバーは支持体の駆動面(複数の場合もある)と当接する従動部材によって操作すればよい。
【0024】
マスコット後退機構は、支持体がマスコット収納位置に移動すると扉が閉位置に移動し、マスコット支持体が後退位置にある間は閉位置からの移動に対してロックするように構成してもよい。
【0025】
レバー機構は、支持体がマスコットをマスコット収納位置からマスコット配備位置に移動させるときに、カバーが下方かつ開口の片側に移動するように構成してもよい。これにより、マスコットが配備位置と収納位置の間で垂直方向に移動する。
【0026】
本発明の第1態様は、本発明の第2態様の特徴のいずれかまたはすべてを含めてもよく、その逆もまた然りである。
【0027】
本発明をより明確に理解してもらうために、以下にその一つかそれ以上の実施形態を、添付の図面を参照して、例示のみを目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】解除機構の動作を示す
図1に対応する図である。
【
図4】
図1のマスコットおよび回動部材の斜視図である。
【
図7】解放機構の動作を示す
図6に対応する図である。
【
図8】
図1の機構を軌道および駆動機構に取付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】マスコット収納位置にある、
図8の構成の正面図である。
【
図11】マスコット収納位置とマスコット配備位置との間の一部における
図8の構成の正面図である。
【
図12】マスコット配備位置にある、
図8の構成の正面図である。
【
図13】マスコットカバー機構と共に、マスコット配備位置にある
図8の構成の斜視図である。
【
図14】
図13のマスコットカバー機構を示す展開斜視図である。
【
図15】マスコット配備位置にある、
図13の構成の正面図である。
【
図16】マスコット配備位置とマスコット収納位置との間の、
図13の構成の正面図である。
【
図17】マスコット配備位置とマスコット収納位置との間の、
図13の構成の正面図である。
【
図18】マスコット収納位置にある、
図13の構成の正面図である。
【
図19】マスコットを配備した車両のラジエータ・シェルの上部の斜視図である。
【
図21】本機構の動作を示す、別なマスコット後退機構の断面図である。
【
図23】
図21の後退可能なマスコット機構の最上部を示す断面図である。
【
図25】車両のラジエータ・シェルに取り付けた、
図21のマスコット後退機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の記載において、上、下、頂部、底部などの用語は添付図面に示す向きにおける装置を指すために使用するもので、該向きは使用状態における向きであり、それ以外の限定を意図しているわけではない。図面全体を通して、同じ参照符号は同じ部材や要素を示すもので、それ以外の限定を意図するものではない。
【0030】
まず
図1~
図20を参照して説明すると、これら図面には、
図13に最適例が示されているマスコット後退機構1を示す。この機構1は、自動車のラジエータ・シェルにマスコット2を取付けるためのものであり、操作時にマスコット2をラジエータ・シェルの開口3を介して突出させる
図19に示す配備位置と、開口3を介してマスコット2をラジエータ・シェルに引き込む位置との間で移動させ、ラジエータ・シェルの開口3をカバー4で閉じる構成である。この機構により、ユーザはマスコット2を配備位置と収納位置の間で選択的に移動させることができ、マスコット2に少なくとも最小限の横力、すなわち、マスコット2が取付けられている面とほぼ平行な面内の成分を少なくとも有する力がかかると、マスコット2を配備位置から収納位置へ自動的に移動させることができる。
【0031】
後退機構1は、車両ラジエータ・シェルの開口3の下に全体として垂直に取付けるトラック5を備え、支持体6はトラック5すなわち軌道に移動可能に取付ける。駆動機構7はトラック5と支持体6に取付け、作動時に支持体6がトラック5上を上下に移動する構成である。支持体6はマスコット2を支持し、マスコット2が傾いたときに支持体6を駆動機構7から解放する解放機構を備え、引込みばね36によって与えられる力によって増強された状態で、重力の影響下支持体6がトラック5上を下方に移動する。カバー4はカバー配備機構に取付ける。この配備機構が支持体6と相互作用し、支持体6のトラック5の底部に向かう移動時に、カバー4がラジエータ・シェルの開口3を閉じ、支持体6のトラック5の頂部に向かう移動時に開口3を開く。
【0032】
次に、図示の後退機構1についてより詳細に説明する。
【0033】
マスコット2は、様式化された前向きの大文字Bを成し、その後部から二枚の羽が延びている。羽については、少なくとも部分的に半透明の材料で形成する。ランプまたはランプ8(LEDなど)は、文字Bの後方に配置され、翼を照明する。
【0034】
また、マスコット2は、文字Bの底部の後方から下方かつ後方に延びる台座9を有し、文字Bから離れるに従って、台座9は太くなり、基部10に延入する。基部10は全体として台形の外形形状を有し、角部が丸みを帯び、下面が平坦である。
【0035】
ランプ8に電線11を接続し、電線11はランプ8から文字Bと台座9を通り、下方と後方に延在し、基部10の底面を通ってマスコット2本体から出て、ラジエータ・シェル内の電源(図示せず)に接続し、それによってランプ8が点灯する。
【0036】
基部10の底面からは、全体として円筒形コラム12が延在する。半径方向に突出する4つのタブ13が、コラム12の周囲に等間隔で配置され、十字形を形成する。各タブ13の底面は全体として矩形で、下端部はコラム12の底部と同一平面上にある。各タブ13の頂部は三角形である。二つの鏡面対向の短い横方向に延びるタブと、二つの鏡面対向の長い縦方向に延びるタブとがある。
【0037】
マスコット2を台座14に取付け、次に台座14を支持体6上に取り付ける。台座14は、マスコット2の基部10の外形形状に対応する丸みを帯びたコーナーをもつ外形、およそ台形状の本体を有する。フランジ15は、台座14本体の下縁部の外側を取り囲むように延在する。ラジエータ・シェルの開口3の形状は、台座14の形状に対応している。マスコット2を配備位置に移動するために、支持体6が軌道上の最上位置に移動すると、台座14本体が開口3から部分的に突出する。フランジ15は開口3の寸法を僅かに超え、ラジエータ・シェル内に留まる。
【0038】
台座14は、そこを貫通して延在する通路の枠組みを設定するものである。台座の頂部は僅かに凹んでいる。この凹みの中には、コーナーが丸くなった全体として台形の開口3があり、この開口3は、台座14の外形とマスコット2の基部10の外形の両方に全体として対応する形状であり、かつ整合している。開口3はマスコット2の基部10より僅かに大きく、全周に僅かなクリアランスが存在した状態で、マスコット2の基部10を開口3内に受け取ることができる。台座14はさらに、台形開口の縁部の下に間隔を置いた位置で通路内に突出するリング16枠組みを設定するものである。このリング16は逆U字型の断面をもち、直径方向に対向する側面位置で開口して一部球状の凹形状になり、全体として円形の開口の枠組みを設定するものである。
【0039】
マスコット2のコラム12は、リング16を貫通し、そこで回動部材17に接続する。回動部材17は、中央の全体として円形の開口の枠組を設定する環状体を備えている。リブ18が開口内に延入し、より小さな中央の実質円形の開口の枠組を設定し、そこから等間隔で四つの放射状のスロットが延在し、その中にマスコット2のコラム12とタブ13が入って、マスコット2を回動部材17に回転可能に固定している。回動部材は平らな環状の基部をもち、その中央の開口の直径はコラム12の直径の約半分である。ファスナー19は、回動部材17の中央開口を通って、コラム12の中央開口に延在し、コラム、従ってマスコット2を回動部材17に固定する。回動部材17の環状本体の頂部は、僅かにドーム状であり、リング16の下側に回動可能に嵌合し、二つの直径方向に対向する部分球状形成部を備える。環状本体の底部には、ほぼ円形縁部をもつ半径方向外側に延在するフランジ15がある。フランジ15の下側、およびピボット部材の残りは、フランジ15の周縁にある隆起したほぼ円形の隆起部20を除いて、ほぼ平坦である。これがほぼ円形縁部を備える接触エリアになる。マスコット2の基部10の下面と回動部材17の頂面との間の間隔は、マスコット2が台座14の中で浮遊する程度である。
【0040】
ファスナー21が台座を支持体6の頂部に固定する。支持体6を貫通する通路があり、その頂部にプランジャー22を収容する。プランジャー22は全体として円筒形の下部をもち、その上から平らな頂部に向かって直径が大きくなる円錐体部があり、そこから半径方向のフランジ15が突出して中央凹部を囲むほぼ平らな環状の支持面を形成する。カウンターボア付きのブラインドボアは、プランジャー22の底部からその長軸にそって上に延在する。プランジャー22は、各々がプランジャー22と支持体6に回動可能に連結された2つの湾曲した垂直リンク23によって支持体6内で支持され、プランジャー22が支持体6内の通路内で軸方向に上下に移動できる構成である。
【0041】
プランジャー22のカウンターボアには、ヘリカルバネ24を配置し、これがプランジャー22と支持体6との間に支承されて、プランジャー22を上方に付勢し、回動部材17に接触する。これにより、回動部材17の頂部を付勢し、これが台座14のリング16に接触する。これにより、
図1に示すように、マスコット2の基部10は、台座14内で横方向にも縦方向にも正確に配置され、基部の頂部は、台座14の開口3の縁部とほぼ同一平面か僅かに凹み、基部10の底部とリング16の頂部との間にはクリアランスが生じる。
【0042】
細長い円筒形のプッシュ・ロッド25は、プランジャー22のブラインドボアに嵌合し、ヘリカルバネ24を通って延在し、ピボット27で支持体6に回動可能に取付けられたベル・クランクのほぼ水平に延びるアーム26に当接する。ベル・クランクは直立アーム28を備える。直立アーム28上の突出部によって設けたヘリカルバネ29は、これと支持体6との間に位置し、直立アーム28偏倚させてこれを支持体6から離間し、従って水平アーム26をプッシュ・ロッド25に対して偏倚させる。支持体6から離間している直立アーム28の反対側には、下方のほぼ水平面と、一方が他方よりも急な傾斜をもつ二つの横並びの傾斜面によって構成される上面とをもつラッチ部材30がある。
【0043】
トラック5は、細長い矩形体を有し、その中に細長い矩形開口があり、開口の長辺側は矩形体の長い外縁部と平行である。支持体6上の4つのランナー31は、トラック5の反対側の外縁部に摺動可能に取付け、ラッチ部材30がトラック5に向かって突出した状態で、トラック5を上下に移動できる構成である。対向する内縁部には、トラック5を上下に走行するキャリッジ32を取付ける。キャリッジ32は、ラッチ部材30を受け取る凹部33の枠組を設定する本体を備えている。凹部33は、ラッチ部材に締り嵌めする。ラッチ部材30を凹部33に受け取ると、支持体6はキャリッジ32と共にトラック5を上下に移動する。
【0044】
キャリッジ32は、駆動機構の一部を構成する。第1の細長い駆動クランク34は、一端がキャリッジ32に回動可能に接続する。その反対端では、スプライン・シャフトが、電気モーターおよびギアボックス・アセンブリ35の出力ドライブに接続する。モーター及びギアボックス・アセンブリ35はハウジングを有し、出力ドライブはハウジングの一端に位置する。ハウジングは第2クランクを形成し、出力ドライブが位置するのと反対端部でトラック5に回動可能に接続する。モーターの作動により、二つのクランク34、35が互いに相対的に回動し、キャリッジ32をトラック5にそって駆動する。ギアボックスは、キャリッジ32を軌道にそった任意の所望位置にロックするように、セルフロック式である(または、ブレーキを設けることもできる)。
【0045】
引込みばね36の一端は支持体6に、他端は支持体6の最下位の下の車両内の固定位置に接続し、支持体6を下方に偏倚させる。
【0046】
カバー4はプラグの形態をとり、ラジエータ・シェルの開口3に締り嵌めする構成で、その下縁部には開口3の大きさを僅かに超えるフランジ37が延在する。このカバー4は、
図13および
図14に最適例を示すカバー機構に取付ける。
【0047】
カバー機構は、一種の4棒リンケージを備える。このリンケージは一対の上方リンク38と、下方リンク39と、駆動レバー40とからなる。それぞれは、一端を車両内のそれぞれの固定位置に回動可能に取付けたレバーからなり、駆動レバー40は上方リンク38の下に取付けた下方リンク39の下に取付ける。カバー4は、カバー4の下側から延在する細長いアームからなるキャリヤ41に取付ける。キャリヤ41の自由端は、下方リンク39の自由端に回動可能に連結されている。上方アームの自由端はその両端の間のキャリヤ41上の先端に回動可能に接続する。駆動レバー40の自由端、駆動リンクの一端に回動可能に接続し、その反対端部は上方リンク38の一つの長さ沿ったほぼ中間点に回動可能に接続する。
【0048】
リンケージについては、駆動レバー40が回動して、支持体6から離間すると、キャリヤ41がカバー4を、これがラジエータ・シェル内の開口3に着座する配備位置から外に出てその片側に下向きに移動し、またはその逆に移動するように構成する。
【0049】
駆動レバー40は、細長く円弧状である。固定回動部41からレバーにそって約3分の1の点に突起したアームがあり、このアームには、アームの回動接続部の回転軸と平行な回転軸をもつ従動ホイール43を取付ける。従動ホイール43については、支持体6の側面の隣接する駆動面44に当接するように配置し、支持体の側面と支持体6の一部を形成するガイド壁45との間に規定されるチャネルに受け入れられるサイズになっている。側壁すなわち駆動面44は、支持体6の基部からの高さの約4分の3にわたってほぼ垂直に延在し、そして水平部分へと湾曲する。ガイド壁45は、側壁44と平行かつこれから離間し、湾曲部の周囲および湾曲部の両側に短く延在する。支持体6の駆動面44とガイド壁45は、支持体6がトラック5を上下に移動すると、駆動レバー40が円弧を描いて移動するような形状である。
【0050】
マスコット2が
図10、
図13、
図18に示した収納位置にあるとき、キャリッジ32と支持体6は、トラック5上の最下方位置にある。マスコット2と台座14はラジエータ・シェルに引き込まれ、そして開口3はカバー4によって閉じられる。この状態で、従動ホイール43は、支持体6の駆動面44の水平部分とガイド壁45の下方面との間に捕捉される。これにより、駆動レバー40の移動が起こらず、その結果カバー4を所定位置にロックする。
【0051】
マスコット2を配備するために、モータードライブ32が作動すると、キャリッジ32がトラック5を上方に移動する。ラッチ部材30が支持体6の凹部33に受け取られているため、キャリッジ32により支持体6がトラック5を上方に移動する。
図17および
図16に示すような支持体6の初期動作が生じると、駆動レバー40が回動し、従動ホイール43が支持体6の駆動面44の垂直部分を押圧している場合には、カバー4が開口3の外に出、この開口3から離れる。モーターの運転を継続すると、支持体6は、
図8、
図11、
図12に示す位置を経て、
図12、
図13、
図19に示すように、マスコット2および台座14がラジエータ・シェルの開口3から出る最上方位置まで上昇する。この位置でモーターを停止し、マスコット2および台座14を所定の位置にロックする。あるいは(または加えて)、モーターによってレバーをオーバーセンター位置(over-centerposition)まで駆動してもよい。
【0052】
マスコット2は、ユーザ・コマンドに応答して配備してもよいし、エンジンを始動したり、イグニッション・スイッチを特定の位置に回したりするなど、車両が動作状態になったときに自動的に配備するようにしてもよい。
【0053】
例えば、車両を離れるときなど、マスコット2を収納したい場合は、逆の手順で収納する。モーターが作動して、キャリッジ32と支持体6がトラック5を下降し、マスコット2をラジエータ・シェル内に後退させる。支持体6がその行程の最下点に達すると、駆動レバー40の従動輪43が支持体6のガイド壁45と側壁44の間に取り込まれ、レバー40が回動し、カバー4が戻り、開口3を塞ぐ。
【0054】
配備時、マスコット2が任意の方向に十分な横力を受けると、例えば
図2に示すように、マスコット2が傾き、回動部材17の円形またはほぼ円形の縁部が台座14のリング16およびプランジャー22の頂部に対して回動する。マスコット2の基部10はマスコットと共に傾き、基部の下方に移動した部分は基部10とリング16の頂部との間のクリアランス内に移動するが、台座14との接触は発生しない。回動部材17の回動は、プランジャー22をバネ24の作用に抗して下方に付勢する。次に、プッシュ・ロッド25がベル・クランク26を押し下げ、ラッチ部材30をキャリッジ32の凹部33から引き出す。これにより、支持体6はキャリッジ32から解放され、重力と後退ばね36の複合的な影響下で軌道を自由に下降できる。これにより、マスコット2が引込まれ、支持体が最下方位置まで最終移動する間にカバー4が閉じ、ロックされる。したがって、マスコット2は、人や物に衝突した場合に、あるいはいたずらされた場合に、速やかに後退する。
【0055】
この状態では、支持体6はトラック5の底部に降下し、一方キャリッジ32は頂部に留まる。マスコット2の再配備時には、モーターを作動し、キャリッジ32をトラック5の底部まで駆動する。キャリッジ32がラッチ部材30の角度を有する側部に接触すると、ラッチ部材30がばね29に対して偏向する。これにより、キャリッジ32は、ラッチ部材がばね29によって凹部33に付勢される最下方位置に達するまで、ラッチ部材30上を通過できる。ラッチ部材30の上側に二つの異なる傾斜面を設けると、ラッチ部材が後退せずに凹部33から出るリスクを低減しつつ、凹部33への復帰を容易にする。その後、モーターを逆回転させて、今度は支持体6と共にキャリッジ32を上方に駆動することができる。この動作は、ユーザがマスコット2を収納位置に選択してから配備位置を再選択することで達成することができる。あるいは、マイクロ・スイッチのような検出器を採用して、ラッチ部材30が解放されたときを検出し、これに応答して、モーターによってキャリッジ32をその最も低い位置まで駆動し、必要な場合は、マスコット2を再配備できるように支持体6に係合させることができる。
【0056】
マスコット後退機構1の別な実施形態を
図21~
図25に示す。この実施形態においても、マスコット2は、二枚の羽根を備える大文字Bの形態を有するが、全体が不透明であり、照明されない。文字Bは、湾曲したコーナーをもつ全体として六角形の棺形状の基部2に取付けられている。
【0057】
基部2の下側には、僅かに隆起した平坦なほぼ円形の領域46があり、その中心から、突出するテーパー形成部が延在し、この形成部は、延在する開口を有する丸みを帯びたコーナー(形成部)47を備える。
【0058】
マスコット2は、支持体6に締め付けられた台座14に取り付ける。この台座14はマスコット10の基部10と同じ形状の上面に開口を有し、台座14は基部10を収容できるサイズを有するため、台座14が周囲に小さなクリアランスをもつ状態で台座14の隣接面と同じ高さになる。開口3は凹部33内に位置する。この凹部33の基部10を通る丸みを帯びたコーナーをもつ正方形の開口を形成する。この開口はコーナーボア内において開口する。ほぼ円形の外縁部をもつ、平坦な頂壁48がボア端部の正方形の開口周囲に延在し、開口の枠組を設定する。支持体6は台座14のカウンターボアと係合するボア49を有する。
【0059】
形成部47は台座14の正方形開口に受け取られる大きさであり、この開口に位置するため、受け取られたさいにはこの形成部がマスコットの向きおよび位置を設定する。従って、マスコットの基部10が基部10内の対応する形状の開口内において横方向に正確に位置し、マスコット上の隆起した円形領域が平坦な壁部48によってセンタリングされかつ支持されるため、基部10を台座14に対して垂直方向に正確に設けることができる。
【0060】
リンクロッド50は形成部47の開口部を介して延在し、ボア49内に配置された円筒形プラグ51の頂端部を介して開口に接続する。プラグの底部に向かって、その直径が段々大きくなって肩部を形成し、圧縮バネ52が肩部と台座14のカウンターボアの端部との間でプラグ上に延在するため、基部10が下向きに偏倚し、円形領域46を付勢し、壁部48にこれが接触する。
【0061】
プラグ51の底部に向かって、第二の開口部がある。ケーブル53はこの開口部を介して延在し、支持体6のボアの下端部から下向きにさらに延在し、支持体6に接続されたシースに延入する。シースされたこのケーブルが動作時に開放レバーに接続すると、円形ガイドの周囲に反時計方向に延在する。
【0062】
支持体6は、それぞれが支持体6および取り付け部55に回動可能に接続された上下のアーム56によって固定式取付け部55に取り付け、平行リンケージを形成する。このリンケージによって、支持体が
図21に示す高いマスコット配備位置から低いマスコット収納位置まで移動する。平行リンケージがあるため、支持体は2つの位置の間で円弧状に移動した状態でも、直立状態を維持することになる。
【0063】
解放レバー54については、アームが取付け部55に接続する点から支持部6に接続する点まで距離の約1/3の点において平行リンケージの下部アームに回動自在に取り付け、これの自由端はフックを形成するため、後退機構がマスコット配備位置にある場合に、このフックが上部アームの取り付け部55の回動式接続部から延在するロッド57に係合できる。これによって平行リンケージの2つのアームが結合し、後退機構をマスコット配備位置にロックする。
【0064】
回動点からフック側にあるレバーの反対側まで変位した位置においてケーブルシースを取付け部55に接続し、かつケーブルを解放レバーに接続するため、ケーブルをシースに後退させると、解放レバー54が移動し、ロッド57から離間する。
【0065】
使用中、マスコット2に十分な横力が加わると、
図21に示すように、あらゆる方向へ、ほぼ円形の領域46の縁部にある基部10は、壁48の頂部に対して動く隆起した円形領域46の縁部を中心に回動することになる。これは、台座14の凹部により、基部10の一部が凹部内に移動可能であることによる。この回動により、リンクロッド40が上方に付勢され、次にプラグ51がばね52の作用に抗して移動し、ケーブル53がそのシースを通し介して支持体6のボア49に引き込まれる。これにより、解放レバー54が回転し、ロッド57との係合が解除され、アーム56が移動し、従って支持体6が重力の影響を受けて下方に移動し、マスコット2が収納位置に移動可能となる。支持体6と取付け部55との間に作用するバネおよび/またはダンパー組立体58が、この動作を強化及び/又は制御してもよい。
【0066】
この実施形態は、マスコット2を展開位置に戻すためのアクチュエータを備えてもよく、これを手動で実現してもよい。
【0067】
以上、一つまたは複数の実施形態について、単に例として説明した。添付した請求の範囲によって与えられる保護の範囲から逸脱することなく、多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 マスコット後退機構
2 マスコット
3 ラジエータ・シェルの開口
4 カバー
5 トラック(軌道)
6 支持体
7 駆動機構
8 ランプ
9 台座
10 基部
11 電線
12 全体として筒状のコラム
13 タブ
14 台座
15 フランジ
16 リング
17 回動部材
18 リブ
19 ファスナー
20 隆起部
21 ファスナー
22 プランジャー
23 垂直リンク
24 ヘリカルバネ
25 プッシュ・ロッド
26 アーム
27 ピボット
28 直立アーム
29 ヘリカルバネ
30 ラッチ部材
31 ランナー
32 キャリッジ
33 凹部
34 第1の細長い駆動クランク
35 電気モーターおよびギアボックス・アセンブリ
36 引込みばね
37 フランジ
38 上方リンク
39 下方リンク
40 駆動レバー
41 細長いアーム(キャリヤ)
43 従動ホイール
44 駆動面
45 ガイド壁
46 僅かに隆起した平坦なほぼ円形領域
47 丸みを帯びたコーナー
48 平坦な頂壁
49 ボア
50 リンクロッド
51 円筒形プラグ
52 圧縮ばね
53 ケーブル
54 解放レバー
55 固定された取付け部
56 上下のアーム
57 ロッド
58 ばね及び/又はダンパー組立体
【国際調査報告】