(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】バーコードパターンセグメント付きねじナット
(51)【国際特許分類】
F16B 37/00 20060101AFI20220803BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20220803BHJP
F16B 1/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
F16B37/00 Z
G06K19/06 093
G06K19/06 037
F16B1/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573418
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2020067500
(87)【国際公開番号】W WO2021001214
(87)【国際公開日】2021-01-07
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー, マルク
(57)【要約】
バーコードパターンセグメント付きねじナット
貫通穴と、貫通穴に突出する雌ねじと、貫通穴を囲む第1の面と、第1の面上に位置する少なくとも1つの第1のバーコードパターンと、を備える、ねじナット。本発明によれば、ねじナットは、第1の面上に位置する少なくとも3つの第1のバーコードパターンを備え、第1のバーコードパターンは、同一の内容を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじナット(1)であって、
-貫通穴(11)と、
-前記貫通穴(11)に突出する雌ねじ(12)と、
-前記貫通穴(11)を囲む第1の面(21)と、
-前記第1の面(21)上に位置する少なくとも1つの第1のバーコードパターン(31、32、33)と、を備え、
前記ねじナット(1)が、前記第1の面(21)上に位置する少なくとも3つの第1のバーコードパターン(31、32、33)を備え、前記第1のバーコードパターン(31、32、33)が、同一の内容を有することを特徴とする、ねじナット(1)。
【請求項2】
前記第1のバーコードパターン(31、32、33)が、同一であることを特徴とする、請求項1に記載のねじナット(1)。
【請求項3】
前記ねじナット(1)が、前記第1の面(21)上に位置する3つの第1のバーコードパターン(31、32、33)を備えることを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載のねじナット(1)。
【請求項4】
前記第1のバーコードパターン(31、32、33)が、前記第1の面(21)に円周方向に重複しない関係で配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のねじナット(1)。
【請求項5】
前記第1のバーコードパターン(31、32、33)の各々が、リングセグメント形状の外形を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のねじナット(1)。
【請求項6】
前記第1のバーコードパターン(31、32、33)が、等間隔に離間されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のねじナット(1)。
【請求項7】
前記第1のバーコードパターン(31、32、33)が、各々、前記ねじナット(1)の長手方向軸(99)の周りに120°以下の角度(α)で広がっていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のねじナット(1)。
【請求項8】
前記第1のバーコードパターン(31、32、33)が、各々、二次元バーコードを備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のねじナット(1)。
【請求項9】
ねじ棒(2)と、前記ねじ棒(2)に螺合する請求項1~8のいずれか一項に記載のねじナット(1)と、を備える、留め具の配置であって、前記ねじナット(1)の前記第1の面(21)が、前記ねじ棒(2)を囲んでいる、請求項1~8のいずれか一項に記載の留め具の配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文によるねじナットに関する。このようなねじナットは、貫通穴と、貫通穴に突出する、具体的には横方向に突出する雌ねじと、貫通穴を囲む第1の面と、第1の面上に位置する少なくとも1つの第1のバーコードパターンと、を備える。
【背景技術】
【0002】
EP2058530(B1)は、各々にコードが付けられたねじナットおよびボルトの設置システムを開示している。コードは、業者識別、部品番号、ロット番号、バッチ番号、材料、種類(サイズを含む場合がある)、日付、および他の種類の情報を提供してもよい。具体的には、それぞれのねじナットの後面にコードを適用してもよい。
【0003】
出願番号18170569.0を有する欧州特許出願では、拡張アンカーのアンカーボルトの後面に光学的に読み取り可能なコードを配設することを提案し、拡張アンカーは、光学的に読み取り可能なコードをハンマー打撃から保護するために、光学的に読み取り可能なコードを超えて後方に、アンカーボルトから突出する少なくとも1つのコード保護突起を有する。
【0004】
US2014/345110(A1)では、アンダーカットタイプの拡張アンカーについて記載している。拡張アンカーは、そのアンカーボルト上に印があり、この印は、設置中にアンカーボルトを拡張スリーブに対して移動させると見えるようになる。さらに、アンカーボルトの後面には、光学的に読み取り可能なコードを設けることができ、これにより、拡張アンカーを識別することができる。
【0005】
US2004/065154(A1)では、レーザーでねじ留め具上、またはねじ留め具に貼り付けたラベル上に付けられた二次元バーコードに言及している。
【0006】
US6843628(B1)では、外部から読み取り可能な情報記憶要素を含む固定装置、例えば、ねじ留め具またはナットを開示し、情報記憶要素は、機械可読であり、光学的に読み取り可能な情報を含むように構成されており、情報記憶要素は、二次元および三次元の光学的に読み取り可能なコードのうちの少なくとも1つを含む。
【0007】
US2002/033267(A1)では、少なくとも1つの留め要素に関連する識別手段に含まれる識別データを読み込むためのトランシーバを備える、手持ち式電動工具を示している。識別手段は、バーコードとすることができる。
【0008】
F.Bergamasco,A.Albarelli,E.Rodola,and A.Torsello,「Rune-tag:A high accuracy fiducial marker with strong occlusion resilience」,in IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR),2011,pages 113-120では、リング形状のマーカーパターンについて記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、特に汎用性が高く、特に光学データの読み出しを簡単にすることができ、同時に特に信頼性が高く、製造が簡単なデータ入りねじナットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1によるねじナットによって達成される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を指す。
【0011】
本発明によれば、ねじナットは、第1の面上に位置する少なくとも3つの第1のバーコードパターンを備え、第1のバーコードパターンは、同一の内容、すなわちデータ内容を有する。
【0012】
本発明は、ねじナットをねじ棒に設置したときに、ねじ棒がナット面の視界を妨害する可能性があり、バーコードがねじナットの面に配設された場合、バーコードリーダの面倒な位置合わせを必要とする可能性があるという知見に基づいている。この知見に基づいて、本発明は、それぞれの面にバーコードパターンを複製することを提案する。特に、同じナット面、すなわち第1の面に同一のデータ内容を有する少なくとも3つの第1のバーコードパターンを提供することが提案されている。したがって、特に良好なアクセス可能性を付与するように、バーコードパターンを配置することが可能である。特に、少なくとも1つのバーコードが大部分の上部視野角で完全にアクセス可能となるようにバーコードパターンを配置することが可能であり得、これにより、特に汎用性が高く、かつ、特に簡単なデータアクセスが可能になる。バーコードは、ねじ棒ではなくナット面に提供されているため、例えば、設置中の機械的損傷からも特に十分保護され、また、特に簡単に適用できるため、製造が容易になる。
【0013】
第1のバーコードパターンが位置している第1の面はリング形状であり、貫通穴を囲んでいる。ねじナットは、例えば、取り付け部品をねじ棒に取り付けるために使用することができる。好ましくは、第1の面は、取り付け部品とは別の方を向いている。また、ねじナットは、貫通穴を囲む第2の面を有することもできる。この第2の面は、取り付け部品に対して作用することができる。ねじナットは、工具の係合を駆動するための駆動面を有することができる例えば、ねじナットは六角ナットであり得、この場合、6つの駆動面を有する。駆動面は、各々、第1の面を第2の面と接続することができる。
【0014】
貫通穴は、ねじナットの長手方向軸に沿って延在しており、具体的には貫通穴は、長手方向軸と同軸である。特に、長手方向軸は、雌ねじの軸である。第1の面および/または第2の面は、好ましくは、ねじナットの長手方向軸に対して少なくともほぼ半径方向に延在しており、かつ/または駆動面は、ねじナットの長手方向軸に少なくともほぼ平行に延在している。
【0015】
円周方向、軸方向、および/または半径方向について言及する場合、これは、特にねじナットの長手方向軸を指す。
【0016】
ねじナットには、追加のバーコードパターンを付けることができる。例えば、ねじナットは、第2の面上に位置する少なくとも3つの第2のバーコードパターンを備えることができ、第2のバーコードパターンは、同一の内容を有し、第1および第2のバーコードパターンの内容は、同一である。これにより、2つの代替構成でねじナットをねじ棒に取り付けることができ、両方の構成でバーコード情報にアクセス可能となる。また、ナット、場合によっては第1の面にも、内容が異なる追加のバーコードパターンが存在することもできる。具体的には、第1のバーコードパターン、第2のバーコードパターン、および/または追加のバーコードパターンの各々は、完全なバーコードを含む。
【0017】
第1のバーコードパターンが同一であることが特に好ましい。この場合、第1のバーコードパターンは同じである。しかしながら、これらは異なる位置および/または向きに配置される。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ねじナットは、正確には、第1の面上に位置する3つの第1のバーコードパターンを備える。したがって、第1の面に同一の内容を有する3つの第1のバーコードパターンが存在しており、それ以上は存在しない。したがって、例えば、第1の面にこの内容を有する第4または第5のバーコードパターンは存在しない。正確に3つの第1のバーコードパターンを使用することにより、ねじナットがねじ棒に位置しているときでもアクセス可能な状態のまま、第1のバーコードパターンを特に大きくすることが可能になり、これにより、特に信頼性の高いバーコードの読み出しが可能になる。
【0019】
好ましくは、第1のバーコードパターンは、円周方向にオフセットされている。第1のバーコードパターンは、第1の面で円周方向に(特にねじナットの長手方向軸に対して円周方向に)重複しない関係で配置されることが特に有利である。したがって、個々の第1のバーコードパターンは、円周方向、すなわち、雌ねじの長手方向軸および/またはねじ軸を輪状に囲む方向で、互いに重複しない。言い換えると、第1の面には3つ以上の仮想的なセクタが存在し、セクタは、長手方向軸から始まり、第1のバーコードパターンの各々は、これらのセクタのうちの1つのみを占める。これにより、第1の面のバーコード被覆率が向上し得、少ない労力でバーコードの可読性がさらに向上する。
【0020】
好ましくは、第1のバーコードパターンの各々は、リングセグメント形状の外形を有する。したがって、第1のバーコードパターンの外形は、第1の面のリング形状に従うことができ、第1の面の特に高い被覆率を可能にし、したがって、バーコードパターンの特に良好な可読性を可能にする。リングセグメントが湾曲する軸は、好ましくはねじナットの長手方向軸である。
【0021】
第1のバーコードパターンは、有利には、等間隔に離間されている。したがって、隣接する第1のバーコードパターン間の距離は常に同じである。これは、被覆率および可読性の観点から有利であり得る。
【0022】
第1のバーコードパターンは、各々、ねじナットの長手方向軸の周りに120°以下の角度で広がっていることが特に好ましい。したがって、第1のバーコードパターンの各々は、ねじナットの長手方向軸から見たときに120°以下の開口角度を有する。これにより、ねじナットがねじ棒に装着されているときでも、バーコードの可読性が特に良好になる。
【0023】
第1のバーコードパターンは、例えば、各々、一次元バーコード、すなわち、線形バーコードを含むことができるが、好ましくは、これらは、各々、二次元バーコード、すなわち、マトリックスバーコードを含む。第1のバーコード寸法は、ねじナットの長手方向軸に対して円周方向に延在し、第2のバーコード方向は、ねじナットの長手方向軸に対して半径方向に延在することができる。特に、バーコードは、ルーン文字タグパターンに基づくことができる。
【0024】
本発明はまた、ねじ棒と、本明細書に記載のように、ねじ棒に螺合するねじナットと、を備える、留め具の配置も備え、ねじナットの第1の面は、ねじ棒を囲んでいる。したがって、ねじナットは、意図したとおりに設置される。
【0025】
本発明のねじナットに関連して本明細書に記載される特徴はまた、本発明の留め具の配置に関連して使用することもでき、本発明の留め具の配置に関連して本明細書に記載される特徴はまた、本発明のねじナットに関連して使用することもできる。
【0026】
本発明は、添付の図面に概略的に図示される好ましい例示的な実施形態を参照して以下により詳細に説明され、以下に提示される例示的な実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲内で個々にまたは任意の組み合わせで実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】ねじナットの一実施形態の、わずかに傾斜した上面図である。
【
図2】
図1のねじナット上に配置された第1のバーコードパターンの上面図である。
【
図3】
図1のねじナットを含む留め具の配置である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1~
図3は、ねじナットの一例を示す。ねじナット1は、第1の面21と、第2の面22と、を有し、第1の面21および第2の面22は、反対方向を向いている。ねじナット1は、ねじナット1の長手方向軸99に沿って延在する貫通穴11によって貫通されている。第1の面21は、リング形状であり、貫通穴11を囲んでいる。第2の面22もまた、リング形状であり、貫通穴11を囲んでいる。リング形状の第1の面21、リング形状の第2の面22、および貫通穴11は、長手方向軸99と同軸に配置されている。第1の面21および第2の面22は、両端でねじナット1の範囲を定める。
【0029】
ねじナット1はまた、第1の面21と第2の面22との間に延在する工具の係合を駆動するための駆動面25を有する。本実施形態では、駆動面25は平坦であるが、より複雑な幾何学的形状を有することもできる。例として、示されているナットは六角ナットであり、したがって、六角形の配置で配置された6つの駆動面25を有する。
【0030】
ねじナット1は、貫通穴11に突出し、かつ貫通穴11に沿って延在する雌ねじ12を有する。雌ねじ12のねじ軸は、長手方向軸99である。
【0031】
図3は、ねじナット1およびねじ棒2を含む留め具の配置を示している。ねじナット1は、ねじ棒2に装着されており、ねじナット1の雌ねじ12は、ねじ棒2の雄ねじとねじ係合されている。
【0032】
第1の面21には、3つの第1のバーコードパターン31、32、33が提供されている。第1のバーコードパターン31、32、33の各々は、リングセグメント形状の外形を有し、第1のバーコードパターン31、32、33は、一緒になって、同軸方式で長手方向軸99を囲むリングを形成している。第1のバーコードパターン31、32、33は、円周方向に重複せず、等間隔に離間され、すなわち、隣接する第1のバーコードパターン対は、常に同じ円周距離を有する。本実施形態では、第1のバーコードパターン31、32、33は、各々、ねじナット1の長手方向軸99の周りにほぼ120°の角度αで広がっている。
【0033】
第1のバーコードパターン31、32、33の各々は、バーコード、本例では二次元バーコードを含む。第1のバーコードパターン31、32、33は、異なる場所および異なる角度に配置されているが、同一の内容を有し、本実施形態では同一である。したがって、第1のバーコードパターン31、32、33のどれが読み出されても、これは常に同じデータをもたらす。第1のバーコードパターン31、32、33の空間的に分散された配置により、ねじナット1がねじ棒2に装着され、ねじ棒2が第1のバーコードパターン31、32、33のうちの1つまたは2つを部分的に被覆しているときであっても、第1のバーコードパターン31、32、33のうちの少なくとも1つが、重ね合わせた上部半球から完全に目に見えることを確保することができる。
図3の留め具の配置および視野角の場合、ラベル付けされた第1のバーコードパターン33は、ねじ棒2によって被覆されているが、バーコードパターン32、好ましくはバーコードパターン31も、読み出しのためにアクセス可能である。
【国際調査報告】