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特表2022-535974背もたれ角度調整機構及び幼児用乗り物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】背もたれ角度調整機構及び幼児用乗り物
(51)【国際特許分類】
   A47D 13/02 20060101AFI20220803BHJP
   A47C 1/022 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
A47D13/02
A47C1/022
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573574
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(85)【翻訳文提出日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 CN2019106188
(87)【国際公開番号】W WO2020248417
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】201920876249.7
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521221216
【氏名又は名称】明▲門▼(中国)幼童用品有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲海▼涛
【テーマコード(参考)】
3B099
【Fターム(参考)】
3B099AA08
3B099BA04
3B099CA37
(57)【要約】
背もたれ角度調整機構は、幼児用乗り物のシート本体(202)と背もたれ(203)との間に組み立てられるのに適しており、前記シート本体(202)は、幼児用乗り物のフレーム(201)に取り付けられ、前記背もたれ(203)は、前記シート本体(202)に回動可能に接続され、前記背もたれ角度調整機構は、少なくとも1つの固定部材(10)と、少なくとも1つの調整部材(20)と、を含み、前記固定部材(10)は、前記背もたれ(203)に固定され、前記調整部材(20)は、一端が前記シート本体(202)又は前記フレーム(201)に接続されて接続部(21)を形成し、他端が前記固定部材(10)を巻き掛けて操作部(22)を形成し、前記操作部(22)を操作することにより、前記調整部材(20)を駆動して前記固定部材(10)の上でスライドさせることで、背もたれの傾斜角度を調整する。前記背もたれ角度調整機構を含む幼児用乗り物をさらに開示する。前記背もたれ角度調整機構は、構造が単純で操作が容易であり、製造コストが効果的に低減され、幼児用乗り物に乗る乳幼児の快適性及び安全性が効果的に保証される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幼児用乗り物のシート本体と背もたれとの間に組み立てられるのに適した背もたれ角度調整機構であって、前記シート本体は、幼児用乗り物のフレームに取り付けられ、前記背もたれは、前記シート本体に回動可能に接続され、
前記背もたれ角度調整機構は、少なくとも1つの固定部材と、少なくとも1つの調整部材と、を含み、
前記固定部材は、前記背もたれに固定され、
前記調整部材は、一端が前記シート本体又は前記フレームに接続されて接続部を形成し、他端が前記固定部材を巻き掛けて操作部を形成し、
前記操作部を操作することにより、前記調整部材を駆動して前記固定部材の上でスライドさせ、
スライドする前記調整部材は、前記背もたれの傾斜角度が調整されるように、前記背もたれを前記シート本体に対して回動させる
ことを特徴とする背もたれ角度調整機構。
【請求項2】
前記調整部材は、
前記接続部と前記固定部材との間に接続される第1調整セクションと、
前記固定部材と前記操作部との間に接続される第2調整セクションと、を含み、
前記調整部材が前記固定部材の上でスライドすると、前記第1調整セクションの長さと前記第2調整セクションの長さとは、反比例して変化する
ことを特徴とする請求項1に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項3】
前記背もたれは、前記シート本体と比較的同一平面にある横臥状態と、前記シート本体に比較的垂直な直立状態と、を有し、
前記背もたれは、前記第1調整セクションが短から長に変更されると、前記直立状態から前記横臥状態に調整され、前記第1調整セクションが長から短に変更されると、前記横臥状態から前記直立状態に調整される
ことを特徴とする請求項2に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項4】
前記固定部材は、前記背もたれの中上部に固定され、
2つの前記調整部材は、前記固定部材に対称に巻き掛けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項5】
前記固定部材と前記調整部材とは、一対一に対応するように設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項6】
前記固定部材は、前記背もたれの中上部に固定され、
前記調整部材の首尾両端は、それぞれ前記シート本体又は前記フレームの両側に接続されて2つの前記接続部を形成し、
前記調整部材の中央端は、前記固定部材を巻き掛けて前記操作部を形成する
ことを特徴とする請求項5に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項7】
2つの前記固定部材は、前記背もたれに対称に固定され、
各前記固定部材には、前記調整部材が巻き掛けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項8】
複数の前記固定部材は、前記背もたれに平行に且つ離隔して配置され、
複数の前記調整部材は、複数の前記固定部材に一対一に対応するように巻き掛けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項9】
前記固定部材には、ガイド溝が設けられ、
前記調整部材は、前記ガイド溝に挿入されるとともに、前記ガイド溝内でスライド可能である
ことを特徴とする請求項5に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項10】
前記ガイド溝は、前記背もたれの長手方向に平行又は垂直な方向に沿って配置されることができる
ことを特徴とする請求項9に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項11】
前記ガイド溝は、弧状溝である
ことを特徴とする請求項9に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項12】
前記調整部材が前記ガイド溝から離脱されないように、前記ガイド溝内に設けられる少なくとも1つの離脱防止部材をさらに含む
ことを特徴とする請求項9に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項13】
前記離脱防止部材は、前記ガイド溝の比較的中央に位置するとともに、前記ガイド溝の切り欠きから突出し、
前記離脱防止部材には、前記ガイド溝に連通する挿通穴が設けられる
ことを特徴とする請求項12に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項14】
前記調整部材のスライド方向を制限するために、前記ガイド溝内に設けられる少なくとも1つの位置制限部材をさらに含む
ことを特徴とする請求項9に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項15】
前記背もたれは、前記位置制限部材が前記接続部と比較的同一平面になるように前記操作部を操作する場合、前記シート本体に対してより直立している位置まで調整される
ことを特徴とする請求項14に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項16】
前記固定部材は、互いに接続される位置決め部及びガイド部を含み、
前記位置決め部は、前記背もたれに固着され、
前記ガイド部及び前記位置決め部は、互いに平行又は垂直に設けられ、
前記ガイド溝は、前記ガイド部に設けられる
ことを特徴とする請求項9に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項17】
前記位置決め部と前記ガイド部とは、一体式構造である
ことを特徴とする請求項16に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項18】
少なくとも1つのロック部材をさらに含み、
前記調整部材の他端は、前記固定部材を巻き掛けてから前記ロック部材を通過して前記操作部を形成し、
前記ロック部材は、前記第1調整セクション及び前記第2調整セクションを調整された長さ位置にロックさせるためのものである
ことを特徴とする請求項2に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項19】
少なくとも2つの前記調整部材は、前記ロック部材に挿通される
ことを特徴とする請求項18に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項20】
前記調整部材は、ロープベルトである
ことを特徴とする請求項1に記載の背もたれ角度調整機構。
【請求項21】
幼児用乗り物であって、
フレームと、
前記フレームに接続されるシート本体と、
前記シート本体に枢着された背もたれと、
前記背もたれと前記シート本体との間又は前記背もたれと前記フレームとの間に接続される請求項1~20のいずれか1項に記載の背もたれ角度調整機構と、を含む
ことを特徴とする幼児用乗り物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、幼児用乗り物の分野に関し、特に背もたれ角度調整機構及びこの背もたれ角度調整機構を有する幼児用乗り物に関する。
【背景技術】
【0002】
ベビーカー、ベビーシート及び安全シート等の幼児用乗り物は、通常、シート本体と背もたれとを有し、現在、市場には2つの一般的な幼児用乗り物があり、1つは、背もたれが調整できない比較的シンプルな幼児用乗り物であり、このタイプの幼児用乗り物は、背もたれとシート本体とが固定して設けられており、背もたれの傾斜角度が調整できないので、異なる使用要件を十分に満たすことができず、これにより、使用の快適性が低減され、適応性が低い。もう1つの幼児用乗り物は、シート本体に対する背もたれの傾斜角度が調整可能であるが、それに対する調整機構の構造が比較的複雑であり、製造コストが高く、且つ操作が煩雑であるので、幼児用乗り物全体の構造が比較的複雑になり、且つ操作が不便になり、ユーザの使用に影響を及ぼす。
したがって、上記の問題を克服するために、構造が単純で、操作が便利で、コストが低くて、且つ背もたれに対する調整を実現することができる背もたれ角度調整機構、及びこの背もたれ角度調整機構を有する幼児用乗り物が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、幼児用乗り物に乗る乳幼児の快適性を保証するために、構造が単純で、操作が便利で、コストが低くて、且つ背もたれに対する調整を実現することができる背もたれ角度調整機構を提供することである。
【0004】
本発明の別の目的は、幼児用乗り物に乗る乳幼児の快適性を保証するために、構造が単純で、操作が便利で、コストが低くて、且つ背もたれに対する調整を実現することができる背もたれ角度調整機構が設けられた幼児用乗り物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を実現するために、本発明は、幼児用乗り物のシート本体と背もたれとの間に組み立てられるのに適した背もたれ角度調整機構を提供し、シート本体は、フレームに取り付けられ、背もたれは、シート本体に回動可能に接続され、背もたれ角度調整機構は、少なくとも1つの固定部材と、少なくとも1つの調整部材と、を含み、固定部材は、背もたれに固定され、調整部材の一端は、シート本体又はフレームに接続されて接続部を形成し、調整部材の他端は、固定部材を巻き掛けて操作部を形成し、操作部を操作することにより、調整部材を駆動して固定部材の上でスライドさせ、スライドする調整部材は、背もたれをシート本体に対して回動させて背もたれの傾斜角度を調整する。
【0006】
好ましくは、調整部材は、接続部と固定部材との間に接続される第1調整セクションと、固定部材と操作部との間に接続される第2調整セクションと、を含み、調整部材が固定部材の上でスライドすると、第1調整セクションの長さと第2調整セクションの長さとは、反比例して変化する。
【0007】
好ましくは、背もたれは、シート本体と比較的同一平面にある横臥状態と、シート本体に比較的垂直な直立状態と、を有し、第1調整セクションが短から長に変更されると、背もたれは、直立状態から横臥状態に調整され、第1調整セクションが長から短に変更されると、背もたれは、横臥状態から直立状態に調整される。
【0008】
好ましくは、固定部材は、背もたれの中上部に固定され、2つの調整部材は、固定部材に対称に巻き掛けられる。
【0009】
好ましくは、固定部材と調整部材とは、一対一に対応するように設けられる。
【0010】
好ましくは、固定部材は、背もたれの中上部に固定され、調整部材の首尾両端は、それぞれシート本体又はフレームの両側に接続されて2つの接続部を形成し、調整部材の中央端は、固定部材を巻き掛けて操作部を形成する。
【0011】
好ましくは、2つの固定部材は、背もたれに対称に固定され、各固定部材には、調整部材が巻き掛けられる。
【0012】
好ましくは、複数の固定部材は、背もたれに平行に且つ離隔して配置され、複数の調整部材は、複数の固定部材に一対一に対応するように巻き掛けられる。
【0013】
好ましくは、固定部材には、ガイド溝が設けられ、調整部材は、ガイド溝に挿入されるとともに、ガイド溝内でスライド可能である。
【0014】
好ましくは、ガイド溝は、背もたれの長手方向に平行又は垂直な方向に沿って配置されることができる。
【0015】
好ましくは、ガイド溝は、弧状溝である。
【0016】
好ましくは、固定部材は、少なくとも1つの離脱防止部材をさらに含み、離脱防止部材は、ガイド溝内に設けられて調整部材がガイド溝から離脱されることを防止する。
【0017】
好ましくは、離脱防止部材は、ガイド溝の比較的中央に位置し、且つガイド溝の切り欠きから突出し、離脱防止部材には、ガイド溝に連通する挿通穴が設けられる。
【0018】
好ましくは、固定部材は、少なくとも1つの位置制限部材をさらに含み、位置制限部材は、調整部材のスライド方向を制限するために、ガイド溝内に設けられる。
【0019】
好ましくは、位置制限部材が接続部と比較的同一平面になるように操作部を操作する場合、背もたれは、シート本体に対してより直立している位置まで調整される。
【0020】
好ましくは、固定部材は、互いに接続される位置決め部とガイド部とを含み、位置決め部は、背もたれに固着され、ガイド部と位置決め部とは、互いに平行又は垂直に設けられ、ガイド溝は、ガイド部に設けられる。
【0021】
好ましくは、位置決め部とガイド部とは、一体式構造である。
【0022】
好ましくは、本発明に係る背もたれ角度調整機構は、少なくとも1つのロック部材をさらに含み、調整部材の他端は、固定部材を巻き掛けてからロック部材を通過して操作部を形成し、ロック部材は、第1調整セクション及び第2調整セクションを調整された長さ位置にロックするためのものである。
【0023】
好ましくは、少なくとも2つの調整部材は、ロック部材に挿通される。
【0024】
好ましくは、調整部材は、ロープベルトである。
【0025】
本発明は、フレームと、前記フレームに接続されるシート本体と、前記シート本体に枢着された背もたれと、背もたれとシート本体との間又は背もたれとフレームとの間に接続される背もたれ角度調整機構と、を含む幼児用乗り物をさらに提供する。
【0026】
従来技術に比べて、本発明に係る背もたれ角度調整機構は、少なくとも1つの固定部材及び少なくとも1つの調整部材を含み、固定部材は、背もたれに固定され、調整部材の一端は、シート本体又はフレームに接続されて接続部を形成し、調整部材の他端は、固定部材を巻き掛けて操作部を形成し、操作部を操作することにより、調整部材を駆動して固定部材の上でスライドさせ、スライドする調整部材により背もたれをシート本体に対して回動させることにより、背もたれの傾斜角度を調整して異なる使用ニーズを満たすことができる。本発明に係る背もたれ角度調整機構は、構造が単純で操作が容易であり、製造コストが効果的に低減され、これにより、背もたれは、寄りかかり可能な直立状態と支持可能な横臥状態とをスムーズに切り替えることができ、さらに、この背もたれ角度調整機構を有する幼児用乗り物に乗る乳幼児の快適性及び安全性が効果的に保証される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の幼児用乗り物の模式図である。
図2】本発明の背もたれ角度調整機構が幼児用乗り物に取り付けられる模式図である。
図3】本発明の調整部材の模式図である。
図4図2におけるA部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の技術的内容、構造的特徴、実現された目的及び効果を詳細に説明するために、実施形態と併せて添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図1を参照すると、本発明は、背もたれ角度調整機構100及びこの背もたれ角度調整機構100を有する幼児用乗り物200を開示する。前記幼児用乗り物200は、例えば、ベビーカー、スリーピングボックス、ベビーベッド、ベビーキャリア及び安全シート等を含むが、これらに限定されない。具体的に、本実施例では、本発明に開示された幼児用乗り物200は、ベビーカーであり、前記ベビーカーは、フレーム201と、フレーム201に接続されるシート本体202と、シート本体202に枢着された背もたれ203と、背もたれ203とシート本体202との間又は背もたれ203とフレーム201との間に接続される背もたれ角度調整機構100と、を含み、フレーム201の前側及び後側には、前輪204及び後輪205がさらに接続されている。背もたれ203は、背もたれ角度調整機構100を介してシート本体202に対して回動することにより、シート本体202上での傾斜角度を調整して異なる使用要件を満たすことができる。本発明の好ましい実施例に提案された背もたれ角度調整機構100によれば、背もたれ203をシート本体202上で前後方向に回動させることにより、背もたれ203は、シート本体202と比較的同一平面にある横臥状態、及びシート本体202に比較的垂直な直立状態を有するようになり、これにより、乳幼児が幼児用乗り物200に横になったり座ったりするのに便利である。ここで、図1の背もたれ203は、横臥状態にあり、勿論、背もたれ203は、横臥状態と直立状態との間の傾斜状態に調整されることもできる。
【0030】
図2を参照すると、本発明に開示された背もたれ角度調整機構100は、少なくとも1つの固定部材10及び少なくとも1つの調整部材20を含む。固定部材10は、背もたれ203に固定される。調整部材20の一端は、シート本体202又はフレーム201に接続されて接続部を形成し、調整部材20の他端は、固定部材10を巻き掛けて操作部22を形成する。操作部22を操作することにより、調整部材20を駆動して固定部材10の上でスライドさせる。スライドする調整部材20は、背もたれ203をシート本体202に対して回動させることによって、背もたれ203の傾斜角度を調整する。ここで、調整部材20は、接続部21と固定部材10との間に接続される第1調整セクション20aと、固定部材10と操作部22との間に接続される第2調整セクション20bと、を含む。調整部材20の接続部21は、シート本体202又はフレーム201に固着されるが、調整部材20全体の長さは変化しないので、調整部材20が固定部材10の上でスライドすると、第1調整セクション20aの長さと第2調整セクション20bの長さとは、反比例して変化し、両者の長さの変化によって背もたれ203の傾斜角度を調整する。第1調整セクション20aが短から長に変更される(第1調整セクション20aの長さが長くなる)と、背もたれ203は、直立状態から横臥状態に調整され、第1調整セクション20aが長から短に変更される(第1調整セクション20aの長さが短くなる)と、背もたれ202は、横臥状態から直立状態に調整される。好ましくは、調整部材20は、ロープベルトであり、構造が単純であり、且つコストが低く、製造コストが効果的に低減されることができる。
【0031】
固定部材10は、調整部材20に一対一に対応するように設けられることができる。固定部材10及び調整部材20の数がいずれも1つである場合、固定部材10は、背もたれ203の中上部に固定される。調整部材20の首尾両端は、それぞれシート本体202又はフレーム201の両側に接続されて2つの接続部21を形成し、調整部材20の中央端は、固定部材10を巻き掛けて操作部22を形成することができる。片手で操作部22を引っ張ることにより、背もたれ203に対する調整作業を実現することができるので、構造が単純で操作が便利である。勿論、固定部材10の数が1つであり、且つ固定部材10が背もたれ203の中上部に固定される場合、調整部材20の数は、2つに設けられることもでき、2つの調整部材20は、固定部材10に対称に巻き掛けられ、2つの調整部材20の接続部21は、シート本体202又はフレーム201の両側に対称に接続され、2つの調整部材20の操作部22は、固定部材10を対称に巻き掛けており、2つの操作部22を引っ張ることにより、背もたれ203に対する調整を実現することもできる。
【0032】
図2に示すように、本発明の好ましい実施例では、背もたれ203に対する調整の安定性及び滑らかさを確保するために、固定部材10の数は、2つであってもよい。2つの固定部材10は、背もたれ203の2つのエッジに対称に固定される。各固定部材10には、調整部材20が巻き掛けられる。調整部材20は、シート本体202又はフレーム201に接続される。対称に設けられる2つの固定部材10及び2つの調整部材20により背もたれ203が調整される際に加えられる力がより均一になり、背もたれ203に対する調整がより安定してスムーズになる。勿論、固定部材10の数が2つである場合、調整部材20の数は、1つであってもよく、調整部材20の首端がシート本体202又はフレーム201の一側に接続されて接続部21を形成した場合、調整部材20の尾端が2つの固定部材10を順次に巻き掛けて2つの固定部材の間に操作部22を形成した後、調整部材20の尾端は、さらにシート本体202又はフレーム201の相対的な他側に接続されて別の接続部21を形成する。片手で操作部22を引っ張ることにより、背もたれ203に対する調整作業を実現することができるので、背もたれ203に対する調整が安定して便利である。また、固定部材10の数は、複数であってもよく、複数の固定部材10は、背もたれ203に平行に且つ離隔して配置され、複数の調整部材20は、複数の固定部材10に一対一に対応するように巻き掛けられ、複数の調整部材20は、それぞれシート本体202又はフレーム201に接続され、多点で引っ張るようにすることで、背もたれ203全体に加えられる力がより均一になり、これにより、調整がより安定してスムーズになり、幼児用乗り物200を使用する快適性及び安全性がさらに向上される。
【0033】
図2図4と併せると、調整部材20の挿通及びスライドを容易にするために、固定部材10にはガイド溝10aが設けられ、調整部材20は、ガイド溝10aに挿入されて、ガイド溝10a内でスライドすることができる。ガイド溝10aは、背もたれ203の長手方向に平行又は垂直な方向に沿って配置されることができる。好ましくは、ガイド溝10aは、弧状溝である。具体的に、固定部材10は、互いに接続される位置決め部11とガイド部12とを含み、位置決め部11は、背もたれ203にネジにより固定接続され、ガイド溝10aは、ガイド部12に設けられ、ガイド部12と位置決め部11とは、互いに平行又は垂直に設けられることにより、ガイド溝10aは、背もたれ203の長手方向に平行又は垂直な方向に沿って配置される。好ましくは、位置決め部11とガイド部12とは、一体式構造であることにより、構造が単純化される上で、組立工程が最適化され、製造コストがさらに削減される。
【0034】
引き続き図3及び図4を参照すると、固定部材10は、少なくとも1つの離脱防止部材13をさらに含み、離脱防止部材13は、調整部材20がガイド溝10aから離脱されることを防止するために、ガイド溝10a内に設けられる。具体的に、離脱防止部材13は、ガイド溝10aの比較的中央に位置し、且つガイド溝10aの切り欠きから突出し、離脱防止部材13には、ガイド溝10aに連通する挿通穴13aが設けられる。調整部材20は、ガイド溝10aの一側からガイド溝10aに進入して、挿通穴13aを通過してからガイド溝10aの他側から引き出すことができ、これにより、引張時に調整部材20がガイド溝10aから離脱されることを効果的に回避することができる。好ましくは、離脱防止部材13は、ガイド溝10aの2つの溝壁が切り欠きから離れる方向に突出して掛けられることにより形成されることができ、離脱防止部材13とガイド溝10aとが一体式で設けられることにより、構造をさらに単純化することができる。
【0035】
図2及び図4を参照すると、固定部材10は、少なくとも1つの位置制限部材14をさらに含み、位置制限部材14は、ガイド溝10a内の調整部材20のスライド方向を制限するために、ガイド溝10a内に設けられる。ここで、位置制限部材14は、調整部材20の引出す角度を制限して調整を容易にするために、ガイド溝10aの引出端に設けられることができる。勿論、位置制限部材14はまた、調整部材20の挿通を容易にするために、ガイド溝10aの進入端に設けられることもできる。具体的に、位置制限部材14は、ガイド溝10aの切り欠きの方向と同一平面上にあり、且つ位置制限部材14とガイド溝10aの底壁とは、平行に且つ離隔して設けられることにより、底壁と位置制限部材14との間に挿入された調整部材20が、常にガイド溝10aの方向に沿ってスライドするように制限される。調整部材20の操作部22を操作すると、調整部材20が固定部材10の上でスライドすることにより、背もたれ203をシート本体202に対して回動させ、背もたれ203が回動して、位置制限部材14と調整部材20の接続部21とが比較的同一平面になるまで固定部材10を回動させると、この時、背もたれ203は、シート本体202に対してより直立している位置に調整される。なお、従来技術では、背もたれは、一般的に、それ自身とシート本体202との枢着点と同一平面になる位置にのみ調整されることができるが、多くの場合、背もたれとシート本体とは完全に垂直ではない。しかしながら、本発明では、背もたれ203が固定部材10の比較的前側に位置するので、固定部材10の位置制限部材14が、接続部21と比較的同一平面になるまで回動すると、背もたれ203は、実際にはより前傾し、本発明に係る背もたれ203は、シート本体202に対してより直立している。
【0036】
図2を参照すると、本発明に係る背もたれ角度調整機構100は、少なくとも1つのロック部材30をさらに含む。調整部材20の他端は、固定部材10を巻き掛けてからロック部材30を通過することにより操作部22を形成する。ロック部材30は、第1調整セクション20a及び第2調整セクション20bを調整された長さ位置にロックさせるためのものである。具体的に、少なくとも2つの調整部材20は、ロック部材30に挿通されることができるので、構造を単純化するとともに、同期引張作業を実現することができ、調整がより容易になる。なお、ロック部材30の構造は、従来の技術であり、調整部材20を引っ張ったりロックしたりすることを実現できればよいが、ここでは詳細な説明を省略する。勿論、本発明は、ロック部材30が設けられていない場合、調整部材20及び固定部材10に係合可能な係合構造を設けることにより、背もたれ203に対する調整を実現することもできる。また、単に調整部材20を引っ張ってから結び目を結んで位置決めすればよいものとして単純化することもできる。
【0037】
従来技術に比べて、本発明に係る背もたれ角度調整機構100は、少なくとも1つの固定部材10及び少なくとも1つの調整部材20を含み、固定部材10は、背もたれ203に固定され、調整部材20の一端は、シート本体202又はフレーム201に接続されて接続部21を形成し、調整部材20の他端は、固定部材10を巻き掛けて操作部22を形成し、操作部22を操作することにより、調整部材20を駆動して固定部材10の上でスライドさせ、スライドする調整部材20により背もたれ203をシート本体202に対して回動させることにより、背もたれ203の傾斜角度を調整して異なる使用要件を満たすことができる。本発明に係る背もたれ角度調整機構100は、構造が単純で操作が容易であり、製造コストが効果的に低減され、これにより、背もたれ203は、寄りかかり可能な直立状態と支持可能な横臥状態とをスムーズに切り替えることができ、さらに、前記背もたれ角度調整機構100を有する幼児用乗り物200に乗る乳幼児の快適性及び安全性が効果的に保証される。
【0038】
上記に開示されているのは、本発明の好ましい実施例にすぎず、勿論、これによって本発明の特許請求の範囲を制限することはできないので、本発明の特許請求の範囲に従って行われた同等の変更は、依然として本発明の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-12-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
ベビーカー、ベビーシート及び安全シート等の幼児用乗り物は、通常、シート本体と背もたれとを有し、現在、市場には2つの一般的な幼児用乗り物があり、1つは、背もたれが調整できない比較的シンプルな幼児用乗り物であり、このタイプの幼児用乗り物は、背もたれとシート本体とが固定して設けられており、背もたれの傾斜角度が調整できないので、異なる使用要件を十分に満たすことができず、これにより、使用の快適性が低減され、適応性が低い。もう1つの幼児用乗り物は、シート本体に対する背もたれの傾斜角度が調整可能であるが、それに対する調整機構の構造が比較的複雑であり、製造コストが高く、且つ操作が煩雑であるので、幼児用乗り物全体の構造が比較的複雑になり、且つ操作が不便になり、ユーザの使用に影響を及ぼす。
【国際調査報告】