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  • 特表-タイヤに着色層を堆積させる方法 図1
  • 特表-タイヤに着色層を堆積させる方法 図2A
  • 特表-タイヤに着色層を堆積させる方法 図2B
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  • 特表-タイヤに着色層を堆積させる方法 図5
  • 特表-タイヤに着色層を堆積させる方法 図6A
  • 特表-タイヤに着色層を堆積させる方法 図6B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】タイヤに着色層を堆積させる方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/72 20060101AFI20220803BHJP
   B60C 13/00 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
B29D30/72
B60C13/00 A
B60C13/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573598
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 FR2020050991
(87)【国際公開番号】W WO2020249902
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】1906277
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ジャケ エレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジャブール ワリド
【テーマコード(参考)】
3D131
4F215
【Fターム(参考)】
3D131BC47
3D131BC57
3D131GA01
4F215AH20
4F215VD09
4F215VL22
(57)【要約】
本発明は、加硫処理されたタイヤサイドウォール部の表面上に少なくとも1つの着色層を堆積させる方法に関する。この方法は、前記サイドウォール部の全体又は前記タイヤのサイドウォール部の少なくとも一部にインクジェットによって着色層をつけ、乾燥させた後に、第1のパターンを形成するように選択的に着色層を除去することを特徴とする。本発明は、この方法の完了時に取得されるタイヤにも関する。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫処理されたタイヤのサイドウォール部(3)の表面を処理する方法であって、
前記タイヤの前記サイドウォール部(3)の全体又は前記サイドウォール部(3)の少なくとも一部にインクジェットによって着色層(5)をつけるステップと、乾燥させた後に、
第1のパターン(6)を形成するように、前記着色層(5)を選択的に除去するステップと、を有している、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記着色層(5)は、少なくとも1つの色を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記着色層(5)は、前記サイドウォール部(3)の少なくとも一部にわたって、前記着色層の厚みの100%~150%を含む深さまで除去される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記着色層(5)は、化学的手段及び/又は機械的摩耗及び/又はレーザーによって除去される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記サイドウォール部上に、光を捕捉できる構造又はマイクロオリフィス又はマイクロストライエーションを含む、前記第1のパターン(6)とは対照的な第2のパターン(7)が形成される、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
マイクロオリフィス形態の前記第2のパターン(7)は、複数の開口部と、該開口部を分離する中間ゾーンとを含み、前記開口部は、前記パターンの少なくとも60%を占め、前記開口部は、前記第2のパターン(7)内に1mm2当たり5つの開口部に少なくとも等しい密度に従って分布し、前記開口部は、0.03mm~0.5mmを含む同等の直径を有する、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
マイクロストライエーション形態の前記第2のパターン(7)は、最大0.5mmのピッチで配置された複数の実質的に平行なブレードを含み、各ブレードは、0.03mm~0.05mmを含む平均幅を有する、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のパターン(7)は、レーザー及び/又は機械加工及び/又は化学的手段によって取得される、
請求項5ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のパターン(7)は、前記第1のパターン(6)内又は前記第1のパターン(6)の近傍に配置される、
請求項5ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項によって得られる、
ことを特徴とするタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの表面に少なくとも1つの着色層を堆積させる方法、及びこの方法によって得られるタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、地面に接触するように意図されたトレッド部と、2つのサイドウォール部と、リムに接触するように意図された2つのビード部とを含み、2つのビード部が2つのサイドウォール部によってトレッド部に接続され、旋回軸(revolution axis)がタイヤの回転軸(rotation axis)である、トーラス形状(shape of a torus)の構造体である。
【0003】
中国特許出願第103740171号(application CN103740171A)では、タイヤに塗料を付着させた後に紫外線によって加硫処理することが知られている。残念ながら、この種の方法では、揮発性溶剤を含む塗料を使用する必要がある。
【0004】
また、欧州特許第2,522,496号(EP2,522,496 A1)からは、タイヤのサイドウォール部の表面にストリップ状の着色ゴムをつけた後にこの組み合わせを硬化させて、被覆されたストリップ状のゴムの高さの隆起を取得する方法も知られている。しかしながら、この種の方法では、加硫処理されていないタイヤを使用する必要があり、多くの異なる製造段階を含むという不利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願第103740171号明細書
【特許文献2】欧州特許第2,522,496号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、タイヤを車両の車体の色と調和させてこのようなタイヤを装備した車両集団(fleet of vehicles)の識別を容易にする目的で、識別可能であるとともに視覚的にも目立つタイヤの取得を可能にする方法も必要とされ続けている。
【0007】
従って、本発明は、加硫処理されたタイヤサイドウォール部の表面を処理する方法を目的とする。この方法は、前記サイドウォール部の全体又は前記タイヤのサイドウォール部の少なくとも一部にインクジェットによって着色層をつけ、乾燥させた後に、第1のパターンを形成するように選択的に着色層を除去することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による方法は、とりわけ少ない段階数を通じて単純に実装され、非常に細かく規則正しい着色層をつけることを可能にするという利点を有する。この方法の別の利点は、サイドウォール部上に異なるコントラストを生み出すことができ、従ってこの種のコーティングをつける可能性の幅を広げることができる点である。この方法の最後の利点は、車両の車体の色と同一色又はこれとは異なる色とすることができる着色層をつける点である。
【0009】
本発明の別の目的は、上述したような方法によって得られるタイヤである。
【0010】
着色層は、少なくとも1つの色を含むことが好ましい。
【0011】
着色層は、前記サイドウォール部の少なくとも一部にわたって、前記着色層の厚みの、両端値を含めて100%~150%の深さまで除去されることが好ましい。
【0012】
着色層は、化学的手段及び/又は機械的摩耗及び/又はレーザーによって除去されることが好ましい。
【0013】
前記サイドウォール部上には、光を捕捉できる構造又はマイクロオリフィス又はマイクロストライエーション(micro-striations)を含む、前記第1のパターンとは対照的な第2のパターンが形成されることが好ましい。
【0014】
マイクロオリフィス形態の前記第2のパターンは、複数の開口部と、これらの開口部を分離する中間ゾーンとを含み、開口部は、パターンの少なくとも60%を占め、これらの開口部は、前記第2のパターン内に1mm2当たり5つの開口部に少なくとも等しい密度に従って分布し、これらの開口部は、両端値を含めて0.03mm~0.5mmの相当直径を有することが好ましい。
【0015】
マイクロストライエーション形態の前記第2のパターンは、最大0.5mmのピッチで配置された複数の実質的に平行なブレードを含み、各ブレードは、両端値を含めて0.03mm及び0.05mmの平均幅を有することが好ましい。
【0016】
マイクロオリフィス及びマイクロストライエーションの各々は、表面の少なくとも4分の1が両端値を含めて5μm及び30μmの平均粗度を有する壁部を有することが好ましい。
【0017】
第2のパターンは、レーザー及び/又は機械加工及び/又は化学的手段によって取得されることが好ましい。
【0018】
第2のパターンは、前記第1のパターン内に又は前記第1のパターンの近傍に配置されることが好ましい。
【0019】
以下、概略的であって必ずしも縮尺通りではない以下の図を用いて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】先行技術のタイヤの概略的部分図である。
図2A】本発明によって取得されるタイヤの概略的部分図である。
図2B】本発明によって取得されるタイヤの概略的部分図である。
図3】本発明の第1の変形例によって取得されるタイヤの概略的部分図である。
図4】本発明の第2の変形例によって取得されるタイヤの概略的部分図である。
図5】本発明の第3の変形例によって取得されるタイヤの概略的部分図である。
図6A】本発明の第4の変形例によって取得されるタイヤの概略的部分図である。
図6B】本発明の第4の変形例によって取得されるタイヤの概略的部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1では、地面に接触するように意図されたトレッド部2と、2つのサイドウォール部3と、リムに接触するように意図された2つのビード部4とを含み、2つのビード部4が2つのサイドウォール部3によってトレッド部2に接続された、部分的に示す一般参照番号1のタイヤを見ることができる。
【0022】
図2Aには、サイドウォール部3の一部に着色層5がつけられた本発明によるタイヤを示す。タイヤのサイドウォール部3は、着色層をつける前に清浄化されて脱脂され、その後に赤外線ランプを使用して約90°に加熱される。着色層5は水性インクであり、インクジェットノズルを含む回転機械を使用してつけられる。印刷中には、タイヤを回転させながらノズルを並進させる。インクは、タイヤのサイドウォール部3につけられた直後に赤外線ランプによって乾燥される。次にタイヤを冷却し、その後にこの被覆面に両端値を含めて15~20Wの定格出力のレーザービームをあて所定の方法でインクを除去して、図2Bに示すような第1のパターン6を形成する。インクは、インクを有するサイドウォール部3の全ての領域にわたって約120%の深さに修正される。
【0023】
図3に、第2のパターン7を含む第1のパターン6を示す。この第2のパターン7は、それぞれが約0.04mmの平均幅を有する、最大0.5mmのピッチで配置された複数の実質的に平行なブレードを含む。このパターン7は、ベルベットの印象と同様の印象を与える。
【0024】
図4に示すように、第1のパターン6は、情報の保存を可能にするQRコード(登録商標)の形態を取ることができる。このパターンは、着色層の明確に規定された除去によって取得される。図5には、図4のQRコード(登録商標)のデザインに1mm2当たり6つの開口部に等しい密度のマイクロストライエーションから成る第2のパターン7を追加したものを示しており、これらの開口部は、このベルベットの印象を与える0.04mmに等しい相当直径を有する。
【0025】
図6A及び図6Bには、第1のパターン6及び第2のパターン7を含む、本発明に従って取得される第1のパターンの変形例をそれぞれ示しており、これらのパターンはいずれも多色であり、色のグラデーションを表すことができる異なる色のインクを含む。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】