(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】人間の深部体温を測定するための温度測定装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/01 20060101AFI20220803BHJP
G01K 13/20 20210101ALI20220803BHJP
【FI】
A61B5/01 100
G01K13/20 341G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573719
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2020066186
(87)【国際公開番号】W WO2020249665
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521541561
【氏名又は名称】エフドゥデ メディカル
【氏名又は名称原語表記】F2D MEDICAL
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】デステ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】フロジェ,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】コルバン,ジャン-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】メナール,バンジャマン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォプル,マクシム
【テーマコード(参考)】
2F056
4C117
【Fターム(参考)】
2F056HD01
2F056HD03
4C117XB01
4C117XB02
4C117XB04
4C117XC11
4C117XD13
4C117XD23
4C117XD24
4C117XD27
4C117XE06
4C117XE13
4C117XE14
4C117XE23
4C117XE26
4C117XE37
4C117XE76
4C117XH11
4C117XJ11
(57)【要約】
測定装置(3)は、着用者の腕に巻き付けることができる。測定装置は、第1の内面(31)上に、装置の第1のゾーン(Z33)において測定装置の外周線の少なくとも一部にわたって延在する少なくとも3つの皮膚温度センサ(33)と、第2の外面(32)上に、装置の第2のゾーン(Z34)において、脇下内またはその近くの温度を測定するための少なくとも1つの空洞温度センサ(34)とを備える。ゾーン(Z33、Z34)は、互いに少なくとも部分的に対向して、または実質的に隣接して配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間(102)の深部体温を決定する目的で複数の温度を測定するための装置であって、前記人間は、前記測定装置を着用しており、前記測定装置(3)は、第1の面(31)、および前記第1の面(31)の反対側の第2の面(32)を有し、前記測定装置(3)が人間自体に少なくとも部分的に巻き付けられ、軸(Z)を有する少なくとも1つの円筒状部分を形成する着用構成になることができるように構成され、前記第1の面(31)は、前記軸(Z)に向けて巻かれ、前記測定装置(3)は、その着用構成において、前記着用者(102)の身体の対応する脇下(101)の近傍で前記着用者(102)の腕(100)を少なくとも部分的に囲むように意図され、それにより前記測定装置(3)の前記軸(Z)が前記腕(100)の軸と実質的に一致するようになり、前記測定装置(3)の前記第1の面(31)は、次に前記着用者(102)の前記腕(100)の皮膚と接触し、前記測定装置(3)は、
前記着用者(102)の皮膚温度を測定するように構成された少なくとも3つの皮膚温度センサ(33)であって、前記皮膚温度センサ(33)は、前記測定装置(3)の第1のゾーン(Z33)において前記測定装置(3)の前記第1の面(31)に位置決めされ、前記着用構成において前記測定装置(3)の外周線の少なくとも一部にわたって実質的に延在する少なくとも3つの皮膚温度センサと、
前記着用者(102)の前記脇下(101)の温度を測定するように構成された少なくとも1つの空洞温度センサ(34)であって、前記空洞温度センサ(34)は、前記測定装置(3)の第2のゾーン(Z34)において前記測定装置(3)の前記第2の面(32)に配置される少なくとも1つの空洞温度センサと
を備え、
前記皮膚温度センサ(33)の前記第1のゾーン(Z33)および前記1つまたは複数の空洞温度センサ(34)の前記第2のゾーン(Z34)は、互いに少なくとも部分的に対向して、または実質的に隣接して配置され、前記第1および第2の面(31、32)に直交する平面内に突出する
ことを特徴とする、測定装置。
【請求項2】
前記空洞温度センサ(34)の数は、前記皮膚温度センサ(33)の数よりも少ないことを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記測定装置の前記第1の面は、前記第1の面と前記着用者の前記腕の前記皮膚との間に中間層を有さずに前記着用者の前記腕の前記皮膚と直接接触するように配置され、前記少なくとも3つの皮膚温度センサは、この第1の面に置かれ、前記装置の外部に向けられ、
前記測定装置の前記第2の面は、前記第2の面と前記着用者の前記脇下との間に中間層を有さずに前記着用者の前記脇下と直接接触するように配置され、前記少なくとも1つの空洞温度センサは、この第2の面に置かれ、前記装置の外部に向けられる
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記着用構成において、少なくとも90°にわたって角度を付けて延在することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
可撓性であり、巻回によって、未着用構成と前記着用構成との間で変形することができるように構成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記測定装置(3)は、実質的に平坦である未着用構成とすることができるように構成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記着用者(102)の前記腕(100)のすぐ近傍の周囲温度を測定するように構成された少なくとも1つの近位温度センサ(35)も備え、前記近位温度センサ(35)は、前記測定装置(3)の前記第2の面(32)上またはその近くに配置され、前記測定装置(3)の前記着用構成において、少なくとも90°だけ前記少なくとも1つの空洞温度センサ(34)に対して角度を付けてオフセットされることを特徴とし、前記装置はまた、前記未着用構成において、皮膚温度センサ(33)と前記少なくとも1つの近位温度センサ(35)との間の距離が10cmよりも大きいことを特徴とする、請求項5又は6に記載の測定装置。
【請求項8】
少なくとも1つの追加の物理化学的データセンサ(36)も備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項9】
前記皮膚温度センサ(33)が配置される前記第1のゾーン(Z33)は、細長いものであり、前記測定装置(3)の長手方向に延在し、前記皮膚温度センサ(33)は、前記第1の細長いゾーン(Z33)に整列して配置されるか、または互い違いに配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの空洞温度センサ(34)は、前記長手方向に前記皮膚温度センサ(33)の前記第1のゾーン(Z33)に対向して配置されることを特徴とする、請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
前記着用構成において、前記測定装置(3)の外周線に実質的に対応する長手方向(X)に細長いバンドの形態であり、前記バンドは、
前記方向(X)において、12cmを超える長さ(L)と、
前記着用構成における前記円筒の前記軸(Z)に実質的に平行な方向において、6cm未満の幅(l)と
を有し、
前記バンドは、長手方向中央軸(10)、横方向中央軸(11)、上縁部(12)、および下縁部(13)を有する
ことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項12】
前記皮膚温度センサ(33)および/または前記少なくとも1つの空洞温度センサ(34)は、前記バンドの前記長手方向中央軸(10)に実質的に沿って配置されることを特徴とする、請求項11に記載の測定装置。
【請求項13】
前記皮膚温度センサ(33)および/または前記少なくとも1つの空洞温度センサ(34)は、前記バンドの前記長手方向中央軸(10)に対して前記上縁部(12)の方向にオフセットされることを特徴とする、請求項11に記載の測定装置。
【請求項14】
前記皮膚温度センサ(33)および前記少なくとも1つの空洞温度センサ(34)を支持する細長いテープ(15)と、
電子基板(23)、および前記細長いテープ(15)に接続された電池(24)を含むケース(20)であって、前記ケースは、前記測定装置(3)が請求項7に記載のものである場合には前記少なくとも1つの近位温度センサ(35)を支持し、かつ/または前記測定装置(3)が請求項8に記載のものである場合には前記少なくとも1つの追加の物理化学的データセンサ(36)を支持するケースと
を備え、
前記ケース(20)および前記細長いテープ(15)は、例えばオーバーモールドによって、シリコーンなどの可撓性材料で覆われる
ことを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項15】
第1のセットのセンサ(S1)であって、
前記第1のセットのセンサの第1のゾーン(Z33-1)において前記測定装置(3)の前記第2の面(31)上またはその近くに位置決めされ、第1の長さ(L33-1)にわたって延在する少なくとも3つの皮膚温度センサ(33-1)と、
前記測定装置(3)の前記第1のセットのセンサの第2のゾーン(Z34-1)において前記測定装置(3)の前記第2の面(32)上またはその近くに配置され、前記第1のセットのセンサの前記第1のゾーン(Z33-1)に少なくとも部分的に対向して、または実質的に隣接し、前記第1および第2の面(31、32)に直交する平面内に突出する少なくとも1つの空洞温度センサ(34-1)と
を含む第1のセットのセンサと、
第2のセットのセンサ(S2)であって、
前記第2のセットのセンサの第1のゾーン(Z33-2)において前記測定装置(3)の前記第2の面(32)上またはその近くに位置決めされ、前記第1の長さ(L33-1)とは異なる第2の長さ(L33-2)にわたって延在する少なくとも3つの皮膚温度センサ(33-2)と、
前記測定装置(3)の前記第2のセットのセンサの第2のゾーン(Z34-2)において前記測定装置(3)の前記第1の面(31)上またはその近くに配置され、前記第2のセットのセンサの前記第1のゾーン(Z33-2)に少なくとも部分的に対向して、または実質的に隣接し、前記第1および第2の面(31、32)に直交する平面内に突出する少なくとも1つの空洞温度センサ(34-2)と
を含む第2のセットのセンサと
を備え、
前記装置は、前記第1のセットのセンサおよび前記第2のセットのセンサから一度に単一のセットのセンサを使用または作動させるように配置される
ことを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項16】
前記第1のセットの前記空洞温度センサ(34-1)の数は、前記第1のセットの前記皮膚温度センサ(33-1)の数よりも少なく、
前記第2のセットの前記空洞温度センサ(34-2)の数は、前記第2のセットの前記皮膚温度センサ(33-2)の数よりも少ない
ことを特徴とする、請求項15に記載の測定装置。
【請求項17】
さらに、前記測定装置(3)を受け入れるように意図された可撓性シース(27)を備え、前記シース(27)は、前記測定装置(3)の前記センサの各々に対向する窓(28)を有し、前記シース(27)は、前記着用者(102)の前記腕(100)と接触するように意図されたその面(29)上に、前記着用者(102)の前記腕(100)に貼り付けられるように意図された少なくとも1つの接着部分(30)を有することを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の測定装置(3)を含む、アセンブリ。
【請求項18】
前記接着部分(30)は、最初の使用前に剥がすことができる少なくとも1つのバンドによって覆われた接着層を備えることを特徴とする、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
人間の深部体温を決定するためのシステムであって、
請求項1~16のいずれか一項に記載の複数の温度を測定するための装置(3)、または請求項17もしくは18のいずれか一項に記載のアセンブリと、
前記測定装置(3)によって測定された温度データに基づいて、前記測定装置(3)の前記着用者(102)の前記深部体温を決定するように構成および/またはプログラムされた処理ユニット(2)と
を備えることを特徴とする、システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムによって実施される、人間の深部体温を決定するための方法であって、
a)前記決定システムの前記少なくとも3つの皮膚温度センサによって、時間tにおいてまたは期間pにわたって少なくとも1つの皮膚温度を測定するステップと、
b)前記測定および決定システムの前記測定装置の前記少なくとも1つの空洞温度センサによって、時間tにおいてまたは期間pにわたって少なくとも1つの空洞温度を測定するステップと、
c)前記測定装置は、ステップa)、b)で測定された温度データを、送信機を介して、本発明による前記測定および決定システムの前記処理ユニットを装備する受信機に送るステップと、
d)前記処理ユニットの前記受信機は、前記測定された温度データを受信し、前記温度データを記憶する前記処理ユニットのメモリに送信するステップであって、
前記処理ユニットは、各センサについての皮膚温度データを比較し、例えばこのセンサについて測定された温度の平均を使用して、時間tまたは期間pの間の各センサについての前記着用者の前記皮膚温度を決定し、
前記処理ユニットは、前記1つのまたは各空洞温度センサについて比較を行い、前記1つのまたは各センサについて、例えば各センサについて測定された前記温度の前記平均を使用して、時間tまたは期間pの間の前記空洞温度を決定する
ステップと、
e)各皮膚温度センサおよび前記1つのまたは各空洞温度センサについて保持された前記温度データの項目に基づいて、時間tまたは少なくとも1つの期間pにわたって、前記処理ユニットは、時間tまたは期間pの間の各センサについての前記温度データ、またはローリング観察期間P中に収集された各センサについての前記温度データに対応するセットのデータを使用して、前記着用者の前記深部体温を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項21】
請求項19に記載のシステムによって実施され、また、
ステップa)の後、好ましくは前記少なくとも3つの皮膚センサ(33)からの、またはそれによって測定された前記皮膚温度の中から最高値を選択することによって、単一の皮膚温度値を決定するステップa’)と、
ステップb)の後、好ましくは前記少なくとも1つの空洞温度センサ(34)からの、またはそれによって測定された前記空洞温度の中から最高値を選択することによって、単一の空洞温度値を決定するステップb’)と、
ステップa’で決定された前記単一の皮膚温度値およびステップb’で決定された前記単一の空洞温度値に基づいて、前記処理ユニット(2)は、前記人間の着用者の前記深部体温を決定するステップと
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項7に記載の装置を備える、請求項19に記載のシステムによって実施され、また、
前記少なくとも1つの近位温度センサ(35)によって、時間tにおいてまたは期間pにわたって少なくとも1つの近位温度を測定するステップFFFと、
好ましくは前記少なくとも1つの近位温度センサ(35)からの、またはそれによって測定された前記近位温度の中から最高値を選択することによって、単一の近位温度値を決定するステップFFF’と、
ステップa’で決定された前記単一の皮膚温度値、ステップb’で決定された前記単一の空洞温度値、およびステップFFF’で決定された前記単一の近位温度値に基づいて、前記処理ユニット(2)は、前記人間の着用者の前記深部体温を決定するステップと
を含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の深部体温を測定および決定するための装置の技術分野に関する。
施術者にとって重要な体温値は、「コア温度」または「コア体温」または「CBT」と呼ばれる深部体温である。それは身体の内部の温度であり、したがって血液および心臓、肝臓、腎臓、肺などの重要器官を含む。
【0002】
人間の深部体温は、外科手術中または特定の集中治療状況において患者に装備することを意図された侵襲性プローブなどの多数の種類のセンサによって測定することができる。それらは、例えば、経口経路を介して食道に位置されるように意図されたセンサ、または尿道経路を介して、もしくは血管内経路を介して、特に熱センサを備えたカテーテルを介して膀胱に位置されるセンサである。
【0003】
これらの異なる種類のセンサはすべて侵襲的であるため、使用が困難であり、患者の体内の病原体のベクトル化の原因となる可能性があり、このため、特定の場合に限定されている。特に日常的な病院ケアまたは在宅ケアにおける信頼性が高く保守可能な非侵襲的装置を作り出すことは、診断を確立するため、監視のためのプロトコルのため、または薬物を患者に適合させるためのプロトコルのための多くの医学的可能性を提供するので、深部体温を知り、監視することが実際に必要とされている。
したがって、深部体温を測定する必要なく、異なる周辺皮膚センサから再構築された情報の項目に基づいて深部体温の値を推測することによって、このデータの項目を得るための研究が行われてきた。
【0004】
この推定または推測が正確であるためには、そのような装置は、以下のことが必要である:
身体の各部分が体温調節メカニズムの影響を受けるという事実を考慮に入れ、したがって、身体の他の部分および深部体温とは異なる温度測定値を得ること;
各部位の温度が測定時のその特定の局所的条件に依存するという事実を考慮に入れること。実際、周辺の温度が測定されるとすぐに、選択された部位は必然的に非常に特定の条件にさらされる。例えば、耳介測定を行う場合、この測定は、測定が行われる耳に対して患者が横たわっているか否かによって影響を受けることがよく理解され、同様に、腕を測定する場合、測定温度は、腕がベッドカバーで覆われているか否かによって異なることがよく理解される;
測定部位の温度は測定時のその特定の身体的または生物学的活動に依存し、それにより、潜在的に身体の残りの部分とは無関係に、部位の温度を上昇または下降させることができるという事実を考慮に入れること。例えば、脳の温度、したがって頭部の温度は、脳の活動に応じて変化し、同様に、脇下の温度は、腕の筋肉群の活動の関数として変化する。これらの温度変動は局所的であるが、他の周辺部位にも影響を及ぼす。しかし、それらは深部体温に直接影響を及ぼさないように身体によって補償される。したがって、身体的活動、精神的活動、消化活動、および身体の特定の生物学的反応(局所炎症)は、誤解を招くような局所差を作り出す可能性がある。
【0005】
特に深部体温に影響を及ぼす上記に開示された要因に加えて、測定装置の特定の設計は、以下を考慮に入れることがすべて等しく重要な他の要件をもたらす:
着用された装置の人間工学的制約:着用された装置は、潜在的に数日間にわたって身体に着用された測定装置であるため、患者の不快感が可能な限り制限され、ユーザがとる姿勢および移動において可能な限りユーザが刺激を受けず、逆に、これらの姿勢および移動が装置の正しい動作を妨げないことを確実にする必要がある;
測定装置を装着するための手順における人間工学的制約:この意図は、この動作が容易かつ迅速であり、好ましくは患者のプライバシーを尊重することである;
装着中の精度の難しさ:堅牢なデータを提供するために、測定装置が正確かつ再現可能な方式で装着することができることが望ましい;
個体間の形態学的および生物学的変動:人間がその極端な多様性において考慮され、個体の発達の異なる段階を考慮に入れる場合、すべてに適した単一の測定装置を作り出すことは困難であることが容易に理解される(新生児から高齢者まで、拒食症の人または肥満で他の併存症のある人を含む、健康または病気の人)。しかし、バージョンの数を制限することが望ましく、したがって、各バージョンは可能な限り適合可能であることが望ましい。
【先行技術】
【0006】
温度測定装置は、米国特許出願公開第2011/243183号明細書の文献から、人の身体、特に額、後頭部、胸、または背中の中央に貼り付けることが可能なパッチの形態で知られている。このパッチは、連続的な温度監視を行うために、長期間にわたって身体の適所に留まることを意図している。
【0007】
本文献に記載の装置は、少なくとも2つの測定部を含む断熱支持体を備える。各測定部自体は、着用者の身体と接触する断熱支持体の内面に置かれた身体表面温度センサと、断熱支持体の外面に隣接する熱の放出を監視するための層と、前記層の外面に置かれた外気温度センサと、断熱支持体と前記層との間の界面における温度の中間センサとを含む。
これらの3つの温度センサ(すなわち、身体表面温度センサ、外気温度センサ、界面における温度の中間センサ)によって得られた測定値は、着用者の深部体温を決定するために使用される。
【0008】
この測定装置は、完全に満足できるものではない。特に、これは、着用者に対するパッチの位置決めに大きく依存する身体表面温度測定値を提供する。さらに、測定温度に影響を及ぼす外部パラメータの影響は、最適に考慮されていない。その結果、決定された深部体温が不正確になるリスクが生じる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の本開示および本発明の実施形態の説明において、「~するように構成される」および「~するように配置される」という表現は、同等の方式で使用される。
本発明の目的は、最終的に患者の監視および治療を改善することを目的として、正確で信頼性が高く効果的な方式で人間の深部体温を決定することを可能にしながら、上述の欠点のすべてまたは一部を克服することである。
【0010】
この目的のために、第1の態様によれば、本発明は、人間の深部体温を決定する目的で複数の温度を測定するための装置に関し、人間は、前記測定装置を着用しており、測定装置は、第1の面、および第1の面の反対側の第2の面を有し、測定装置が装置自体に少なくとも部分的に巻き付けられ、軸(Z)を有する少なくとも1つの円筒状部分を形成する着用構成になることができるように構成され、第1の面は、軸(Z)に向けて巻かれ、測定装置は、その着用構成において、着用者の対応する脇下の近傍で着用者の腕を少なくとも部分的に囲むように意図され、それにより測定装置の軸(Z)が前記腕の軸と実質的に一致するようになり、測定装置の第1の面は、次に着用者の腕の皮膚と接触する。
【0011】
本発明の一般的な定義によれば、測定装置は、
着用者の皮膚温度を測定するように構成された少なくとも3つの皮膚温度センサであって、皮膚温度センサは、測定装置の第1のゾーンにおいて測定装置の第1の面上またはその近くに位置決めされ、着用構成において測定装置の外周線の少なくとも一部にわたって実質的に延在し、好ましくは、
少なくとも3つの皮膚温度センサは、少なくとも3つの皮膚温度センサと着用者の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置され、および/または
測定装置の第1の面は、第1の面と着用者の腕の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置され、少なくとも3つの皮膚温度センサは、この第1の面に置かれ、本発明による装置の外部に向けられる
少なくとも3つの皮膚温度センサと、
着用者の前記脇下内またはその近くの温度を測定するように構成された少なくとも1つの空洞(cavity)温度センサであって、空洞温度センサは、測定装置の第2のゾーンにおいて測定装置の第2の面上またはその近くに配置され、好ましくは、
少なくとも1つの空洞温度センサは、少なくとも1つの空洞温度センサと着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置され、および/または
測定装置の第2の面は、第2の面と着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置され、少なくとも1つの空洞温度センサは、この第2の面に置かれ、本発明による装置の外部に向けられる
少なくとも1つの空洞温度センサと
を備え、
皮膚温度センサの前記第1のゾーンおよび1つまたは複数の空洞温度センサの前記第2のゾーンは、互いに少なくとも部分的に対向して、または実質的に隣接して配置され、前記第1および第2の面に直交する平面内に突出する。
【0012】
したがって、測定装置は、好ましくはこの腕の形状に密接に装着して、着用者の腕に巻き付けることができる。加えて、装置の第1の面上またはその近くに皮膚温度センサを位置決めすることにより、それらを着用者の皮膚に可能な限り密接に適用することが可能になる。したがって、本発明は、異なるセンサに基づいて特に正確かつ関連性のある方式で温度を測定することを可能にする。これらの異なるセンサの場所は、深部体温を推測するアルゴリズムに必要なデータを提供することができる。さらに、測定装置は、着用者の腕の適所に容易に留まることができ、患者の診断および長期監視に有用な温度測定を行うのに必要な時間にわたってそこに留まることができる。
【0013】
空洞温度センサの数は、好ましくは皮膚温度センサの数よりも少ない。
適所にあるとき、測定装置は、腕の外周線に沿って、着用者の腕に実質的に横方向に載置される。測定装置は、1回転未満で、または逆に1回転を超えて完全に巻き付けることができ、例えばそれ自体を重なり合わせるか、または着用者の腕の周りにヘリックスを形成することができると規定されている。例えば、着用構成では、測定装置は、少なくとも90°、好ましくは少なくとも180°、さらに良好には少なくとも270°、または360°を超えて角度を付けて(すなわち、円筒のZ軸周りに)延在することができる。所与の測定装置は、着用時に、着用者の腕の直径に応じてより大きいまたはより小さい角度巻回を覆うことができることに留意されたい。
【0014】
具体的には、外周線は、測定装置の巻回方向に対応し、測定装置の長さに対応することができる。外周線は、典型的には、測定装置によって形成された円筒の軸(Z)に直交する平面、すなわち着用者の腕の軸に直交する平面内に置かれ得る。
腕に測定装置を位置決めすることにはいくつかの利点があり、すなわち、測定装置は、肥満の人では程度が低いが、肉と脂肪の薄い層と同一平面に位置決めされ、歪みのない測定を可能にする(言い換えれば、動脈温度値のより正確な測定)。さらに、この位置決めは、着用者にとって許容できるほど快適であるという見込みを提示し、装置を装着もしくは取り外すために、または測定装置が設置される身体のゾーンの状態を調べるために別の人が合理的にアクセス可能である一方、着用者にとってこれらの動作の侵襲性を制限する。別の利点は、すべてのセンサが単一の装置上に一緒にグループ化されるため、設置が単純かつ迅速であることである。
【0015】
本発明の特徴によれば、測定装置は、上腕動脈での皮膚温度値を得る目的で、好ましくは腋窩の近傍で、人間の腕に着用される腕バンドの形態である。上腕骨頭の端部の近傍におけるこの位置決めは、腕の内面の皮膚の表面に適切に装着された温度センサと上腕動脈の大部分との間の近接を可能にする。有利には、腕バンドは、腕の周り全体に位置決めされ得るか、または腕の横方向部分の一部のみを覆う、すなわち、着用者の腕を部分的にのみ囲むことができる。
【0016】
本発明において、「皮膚温度」という用語は、着用者の皮膚に可能な限り近くで測定された温度、好ましくは皮膚上で測定された温度を意味する。
皮膚温度センサは、好ましくは、大きな血流によって血液が供給されるゾーンに位置決めされ、その目標部分は心臓に最も近く、有利には重要器官にも近く、外部温度に大きく依存する温度の測定を回避する。
【0017】
皮膚温度センサが着用構成において測定装置の外周線の少なくとも一部にわたって延在することを確実にすることによって、所望のゾーン、この場合は上腕動脈の周囲、およびそれに可能な限り対向するゾーンにおいて測定された複数の皮膚温度を得ることが可能である。これにより、変動現象が測定を妨げるにもかかわらず、上腕動脈の温度の有意な測定値を得ることが可能になり、これについては以下の段落で説明する。上腕動脈の温度のこれらの有意な測定値を得ることは、深部体温を推測するためのアルゴリズムにおけるデータの重要な項目である。
【0018】
複数の皮膚温度センサ、より具体的には少なくとも3つの皮膚温度センサを備える測定装置を有することの利点は、皮膚の最も高温の点を位置特定することが困難であり、時間の関数として移動することが可能であるという観察から得られる。より具体的には、人の間の変動が大きく、問題の温度差が非常に小さい(身体のこの部分では、1cmだけ離れた円周上の2点間の差は0.2°未満であることが多い)ため、最も高温の点を位置特定することは最初は困難である。この最も高温の点は、様々な現象に起因して、すなわち、身体的活動、特に二頭筋の活動に起因して、熱源または冷熱源に対して、特に胴体に対して特定の幾何学的場所を作り出す姿勢に起因して、最後に、着用者の腕の場所に起因して経時的に移動することが可能であり、これは垂直、傾斜、または水平であり、物体によって多かれ少なかれ成形され得、伝導ならびに肉および動脈の内部位置に影響を与え、また、動脈から肉を通ってセンサゾーンまで至る熱の拡散にも直接影響を及ぼす。
【0019】
したがって、このゾーンの温度シーケンスを利用可能にし、それらの経時的な変化を分析するために、いくつかの皮膚測定点を有することがより賢明である。この複数の皮膚温度センサは、皮膚センサ群を形成する。さらに、複数のセンサを使用することにより、皮膚温度データの項目を裏付け、着用者の深部体温を決定するためのアルゴリズムに提供されるデータのさらなる精度および信頼性のために項目を改良することが可能になる。この利点は、温度センサが合理的な価格であるため、大幅な価格上昇なしに得られることに留意されたい。
【0020】
好ましくは少なくとも5つの皮膚温度センサ、例えば7つの皮膚温度センサを設けることが可能である。皮膚温度センサの数を増やすことにより、異なる点での皮膚温度測定値に基づいて決定される温度の精度を高めることが可能になる。
好ましくは、装置は、皮膚センサから得られる温度を連続的に収集し、第1のステップでは、重要となる皮膚温度センサの中からの最高測定温度の値が存在する。実際、特に姿勢が変化するとき、または着用者の活動が経時的に変化し、筋肉温度の特定の上昇につながるとき、最高測定温度値が時間tにおいて第1のセンサによって測定され、時間t+nにおいて第2のセンサによって測定されることが可能であることに留意されたい。
【0021】
第2のステップでは、複数のこれらのセンサのうちの端部位置に置かれる皮膚温度センサの中に最高温度がないという事実を検証することが重要である。これは、着用者に対する測定装置の正しい適合に関する指標を与える。したがって、最高温度が2つの端部位置のうちの1つに置かれる皮膚温度センサによって測定される場合、周辺で測定可能な最高温度がセンサ群のセンサのいずれによっても測定されないという懸念が十分にあり得る。このような条件が続くと、動脈の実際の温度に対して真に使用可能なデータが得られず、したがって深部体温を正確に推測することができないリスクが高くなる。装置の不十分な位置決めの後、または測定期間にわたる装置のスライドの後、または装置の極端な運動もしくは環境条件の後、または着用者の特定の形態に従って、着用者への測定装置の不十分な適合が特に観察され得ることに留意されたい。原因にかかわらず、これらの条件が続く場合、これは測定の品質を危険にさらす可能性があり、装置に対する警告を引き起こす可能性がある。
【0022】
これを回避するために、センサは、十分な長さ、例えば成人の腕に対して少なくとも50mm程度の長さを覆うことが好ましいことも経験的に観察されている。これにより、最高温度が端部センサの1つに位置される位置になるリスクを制限することが可能になる。
この目的のために、2つの隣接するセンサ間の約10mmの距離は、ゾーンを正しく覆い、重大なエラーを回避することを可能にすることが経験的に観察されている。
皮膚温度測定は、非常に正確かつ非常に信頼性が高くなければならない。したがって、高解像度アナログ-デジタル変換器を統合した、人間の健康のための専門的な温度センサが好まれてきた。
【0023】
本発明において、「空洞温度」という用語は、着用者の開いた空洞、この場合は脇下の周りの領域の温度を意味する。空洞温度は、一般に、主に着用者自身の身体によって生成されるが、着用者と物理的に接触している別の人の身体、冷却または加熱バッグ、太陽などの他の温度源からも生じ得る。本発明による測定装置は、複数の空洞温度センサを含むことができる。
測定装置の動作中、測定装置の温度および測定温度の誤解を招くような増減を引き起こす熱源または冷熱源が存在する可能性がある。
【0024】
同様の原因はまた、皮膚温度センサの周りの身体のゾーンの温度の増減を引き起こす可能性があるが、身体のこの部分の温度のこの非常に現実的な増減は、しばしば表面的であるだけであり、実際には着用者の深部体温にほとんどまたは全く影響を及ぼさないため、誤解を招くことも多い。
【0025】
これらの情報源の中で、まず何よりも、着用者自身の身体の胴体が、伝導、発散、および任意選択で対流、すなわち、別の個人の身体、衣服またはバッグ、着用者が設置される支持体(マットレス、レールなど)、空気、冷却または加熱バッグ、太陽などの任意の他の体外熱源または冷熱源によって測定装置を加熱または冷却することができることに留意されたい。
【0026】
測定装置内の少なくとも1つの空洞温度センサの使用は、胴体によって引き起こされる温度変動を特に考慮に入れること、より一般的には、外部熱源または外部冷熱源の存在を考慮に入れること、およびこれらの状況を考慮に入れ、より関連性の高い深部体温を得るように外部温度変化(外因性)と身体自体の温度変化(内因性)とを区別するために、計算に測定値を使用することを可能にする。
【0027】
さらに、1つまたは複数の空洞温度のこの測定は、着用者の位置を考慮に入れることを可能にする。したがって、空洞温度が皮膚温度よりもはるかに低い場合、この空洞(ここでは脇下)は十分に開いており、したがって着用者の手足(ここでは腕)は身体または発熱する身体から十分に離れていると考えられる。逆に、空洞温度が皮膚温度に実質的に等しい場合、そこから空洞温度センサが着用者の皮膚の近傍に先験的にあると推論することが可能になる。ここでは説明のために単純なデータに縮小されているこれらの要素は、システムのアルゴリズムにとって重要な入力情報の項目である本質的に連続的な変数であり、より高い精度および信頼性で深部体温を決定することを可能にする。
【0028】
これらの要素は、非常に複雑である。したがって、例えば、空洞がほぼ閉じた温かいパジャマの存在および脇下のいくらかの発汗が想像される場合、この構成は、複数の熱的効果、すなわち、パジャマの材料による装置からの胴体の相対的な断熱、脇下から装置に向かう発散、脇下の自然な蒸発散およびパジャマを通じた蒸発、パジャマと皮膚との間の自然な対流などを有する。1つまたは複数の空洞センサの目的は、皮膚センサによって行われる測定値を補正するために、これらの現象のすべてに対して包括的な情報を提供することであることを理解されたい。非常に正確であることは、空洞センサの役割ではない。空洞センサは、補正を行う。
【0029】
測定装置は、いくつかの空洞温度センサを含むことができる。これらのセンサの数は、少なくとも3つとすることができる。
精度の要件は、空洞温度測定の方が皮膚温度測定よりも低い。したがって、熱電対またはサーミスタなどのより単純なセンサを選択することが可能であり、これらは実装がより簡単であり、より低コストである。
センサが延在する「ゾーン」とは、検討中のセンサのすべてを可能な限り取り囲む、好ましくは実質的に長方形の表面を意味する。
【0030】
上述したように、皮膚温度センサが配置される第1のゾーン、および空洞温度センサが配置される第2のゾーンは、互いに少なくとも部分的に対向して、前記第1および第2の面に直交する平面内に突出することができる。これは、測定装置の厚さ方向において、これらの第1および第2のゾーンが完全に重ね合わされるか、またはこれらの第1および第2のゾーンの部分的な被覆が存在することを意味する。
【0031】
変形例では、第1および第2のゾーンは、前記第1および第2の面に直交する平面内に実質的に隣接して突出することができる。これは、前記突出平面で見ると、第1および第2のゾーンが重ね合わされておらず、互いに近接したままであるか、または接続されてさえいる間に互いに対してオフセットされることを意味する。「近い」とは、前述の突出(すなわち、第1のゾーンおよび第2のゾーンのこれらの突出部を接続する最小セグメントの長さ)に沿った第1および第2のゾーンの間の分離距離が、3cm未満、好ましくは1.5cm未満、または0.8cm未満、またはさらには0.5mm未満であることを意味する。前記突出平面で見ると、第1および第2のゾーンは、軸(Z)に平行に、または軸(Z)に直交して、またはその両方でオフセットすることができる。
【0032】
可能な実施形態によれば、測定装置は可撓性であり、好ましくは巻回によって、未着用構成と着用構成との間で変形することができるように構成される。この可撓性により、測定装置は、一方では容易に位置決めされ、他方では載置される腕の形状に密接に装着することが可能になる。行われる皮膚温度測定の品質が、大幅に改善される。
【0033】
具体的には、その可撓性により、測定装置は、着用者の身体の異なる凸形状または凹形状に適合することができる。測定装置は、特に、顕著な二頭筋を有する腕、栄養失調の腕、過体重の人の腕、弾力性に欠ける皮膚の薄い高齢者の腕などに位置決めすることができる。さらに、測定装置は、折り目を生成することができる異なる位置、例えば横臥位置を占める着用者に位置決めすることができる。
好ましくは、測定装置は、着用者に対する止血帯効果を回避するために、特にその長手方向(腕の周辺に対応する)において実質的に非伸縮性である。
【0034】
可能な実施形態によれば、測定装置は、実質的に平坦である未着用構成とすることができるように構成される。変形例では、測定装置は、その未着用構成では、既に円筒に巻き付けられている可能性がある。この円筒の直径は、着用構成よりも大きくすることができ、したがって、着用構成に測定装置を載置するために追加の巻回が必要である。あるいは、この円筒の直径は、把持効果または止血帯効果がほとんどまたは全く生成されない限り、着用構成よりも小さくすることができる。有利には、着用構成における測定装置の直径を調整し、着用者の腕に装着させることができる。
【0035】
測定装置はまた、着用者の腕のすぐ近傍の周囲温度を測定するように構成された少なくとも1つの近位温度センサを備えることができ、1つまたは複数の近位温度センサは、測定装置の第2の面上またはその近くに配置される。近位温度センサ(または近位温度センサ群の中心)は、測定装置の着用構成において、少なくとも90°だけ空洞温度センサまたは空洞温度センサ群の軸に対して角度を付けてオフセットすることができる(すなわち、円筒のZ軸周り)。好ましくは、上述の角度オフセットは、約180°である。言い換えれば、近位温度センサは、好ましくは、測定装置の着用構成において、少なくとも1つの空洞温度センサと実質的に直径方向に対向するように位置決めされる。このような載置は、着用者の体熱の影響を最小限に抑えながら、近位温度の信頼できる測定値を得ることを可能にする。
【0036】
好ましくは、未着用構成では、皮膚温度センサと少なくとも1つの近位温度センサとの間の距離は、10cmよりも大きく、かつ/または20cm未満である。
好ましくは、少なくとも1つの近位温度センサは、第2の面に置かれ、本発明による装置の外部に向けられる。
言い換えれば、好ましくは、近位温度センサは、外側に向けられた腕の面に配置され、したがって胴体に向けられないように埋め込まれ、一方、1つまたは複数の空洞温度センサは、それらの部分について、胴体に向けられた腕の面に配置されることが確実にされる。
【0037】
本発明において、「近位温度」という用語は、測定装置の周囲の直近の環境で測定され、着用者の直近の環境で温度情報の項目を取得することを意味する。この温度は、特に、着用者による熱の損失、環境からの熱の利得または損失、および患者によって使用される衣服、シート、カバーの特徴の関数として変化する。
【0038】
近位温度センサ、または近位温度センサ群の中心を、着用者の身体の外部に向け、空洞温度センサ群、または皮膚温度センサのうちの少なくとも1つの実質的に反対側に載置することにより、着用者の身体からの熱入力によって限定的に影響を受ける近位温度値を得ることが可能になる。当然のことながら、この位置決めは、着用者の腕の円周に依存し、したがって近位温度センサは、着用者の身体上でさらに前方(すなわち、胃に向かって)またはさらに後方(すなわち、背中に向かって)にあることが可能である。
【0039】
さらに、測定装置を腕に位置決めする場合、脇下の近傍では、上腕動脈に対向するゾーンは血管が少なく、脂肪が多い。このため、身体の温度の内部変動に対する反応性が低い。したがって、近位温度センサによって測定された温度は、全体として身体のすぐ近傍の熱環境の特定の測定値をもたらす。
【0040】
言い換えれば、未着用構成では、皮膚温度センサ(例えば皮膚温度センサの中心)と少なくとも1つの近位温度センサ(例えば近位温度センサの中心)との間の距離は、着用者の腕の円周の半分に実質的に等しく、好ましくは10cmよりも大きく、かつ/または20cm未満、例えば10~20cmである。
【0041】
角度値は、所与の腕の周辺測定値に変換することができ、その逆も可能である。例えば、脇下の根元における成人の腕の平均周囲が28cmであると考えられる場合、皮膚温度センサの中心が近位温度センサの中心から14cmの距離にあると有利に決定することが可能である。これらの条件下では、したがってこれらの2つのセンサ群の中心は、好ましい位置である28cmの周囲を有する腕を有する着用者に対して正確に反対側に載置される。この同じ測定装置を使用して、異なるサイズの腕、例えば20cmの周囲を有する腕を有する着用者に装備する場合、その上腕動脈と正反対の点は10cmに置かれる。皮膚温度センサ群の中心を動脈の上にして測定装置が設置されると仮定すると、前述の構成による近位温度センサ群の中心の位置は、理論上の目標点から4cmであり、測定装置の装着方向に応じて許容可能な前後のオフセットを作り出す。これらの値は角度で表すこともでき、皮膚温度センサの中心は、近位温度センサの中心と14cm/20cm×360°=252°の角度を形成し、前後のオフセットは、4cm/20cm×360°、すなわち72°である。
【0042】
測定装置は、身体の周囲の温度の推定値を可能な限り正しく得るために、複数の近位温度センサを含むことができる。本発明の特徴によれば、複数の近位温度センサは、好ましくは測定装置の長手方向軸に沿って整列した少なくとも2つの温度センサを備える。測定装置は、少なくとも3つの近位温度センサを装備するように設けることができる。1つまたは複数の近位温度センサの機能は、皮膚温度センサによって上腕動脈で行われる温度測定値を補正することを可能にする温度測定値を提供することであり、この機能は、単一の近位温度センサによって十分に確実にすることができる。
【0043】
正確な近位測定の要件は、皮膚温度測定の場合よりも低い。したがって、熱電対またはサーミスタなどのより単純なセンサを選択することが可能であり、これらは実装がより簡単であり、より低コストである。
測定装置はまた、追加の物理化学的データの少なくとも1つのセンサを備えることができる。問題のセンサのタイプに応じて、センサは、測定装置の第1の面上もしくはその近くに配置し(この場合、少なくとも1つの物理化学的データセンサは、好ましくは第1の面に置かれ、本発明による装置の外部に向けられ、かつ/または少なくとも1つの物理化学的データセンサと着用者の腕の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置される)、または測定装置の第2の面上もしくはその近くに配置することができる(この場合、少なくとも1つの物理化学的データセンサは、好ましくは第2の面に置かれ、本発明による装置の外部に向けられる)。
【0044】
物理化学的データセンサによる機能の追加は、本発明による測定装置によって行われる測定値の取得を状況化することによって強化し、それにより環境的原因または着用者の特定の状態に起因する推測プロセス温度測定値から測定値を除去するか、またはそれに含めることを可能にする。
【0045】
本発明によれば、1つまたは複数の追加の物理化学的データセンサは、着用者の心拍数およびオキシメトリを測定するように構成されたフォトプレチスモグラフであり得る。有利には、フォトプレチスモグラフは、測定装置の第1の面に位置決めすることができ、着用者の皮膚と接触するように意図される。フォトプレチスモグラフは、中央皮膚温度センサのすぐ近傍に配置することができる。この位置決めは、このゾーンの皮膚への血液の供給がより多くなるため、測定品質を高めることを可能にするので有利である。
【0046】
着用構成における測定装置の外周線の少なくとも一部に沿って編成された皮膚温度センサの載置に適合するために、皮膚温度センサ群の中心にフォトプレチスモグラフを配置することが可能であるが、存在する2つのタイプのセンサが互いに妨げられないように十分にオフセットされる。このため、上腕動脈の上に中央皮膚センサを有する着用者に装置を設置することによって、フォトプレチスモグラフは動脈の上に適切な方式で置かれ、心拍数またはオキシメトリを効果的に測定することができる。
【0047】
代替的または追加的に、追加の物理化学的データセンサは、着用者の身体によって分泌される汗または発汗のレベルを測定するように構成されたガルバノメータであり得る。ガルバノメータは、低強度の電流を測定し、身体の排泄物を確認し、前記排泄物の物理化学的組成を決定することを可能にする少なくとも2つのセンサを備えることができる。
【0048】
ガルバノメータセンサは、着用者の皮膚と接触して、測定装置の第1の面に位置決めされる。好ましくは、ガルバノメータセンサは、近位温度センサ群の中心の領域に位置決めされるが、装置の反対側の面に置かれる。このゾーンにおける発汗は、身体の一般的な発汗の反映であり、これは着用者の状態に関する一般的な情報を有するために重要である。
【0049】
代替的または追加的に、ガルバノメータセンサを皮膚温度センサ群の領域に位置することができ、これにより、脇下ゾーンに特有の発汗を捉えることが可能になる。
代替的または追加的に、追加の物理化学的データセンサは、着用者の身体の運動学的活動に関する情報の項目を得るように構成された3軸加速度計、ジャイロスコープ、またはGPSとすることができる。
【0050】
可能な実施形態によれば、皮膚温度センサが配置される前記第1のゾーンは、細長いものであり、測定装置の長手方向に延在し、皮膚温度センサは、前記細長いゾーンに整列して配置されるか、または互い違いに配置される。これは、空洞温度センサにも適用することができる。
【0051】
互い違いの載置は、減少した部分のセンサの数の密度を増加させることを可能にし、したがって、あるセンサから別のセンサへのカロリーの伝達を制限しながら、より正確でより信頼性の高い測定値を得ることを可能にする。さらに、この互い違いの載置により、各センサは、整列した位置決めと比較してあまり大きく異ならない測定値を収集する。
少なくとも1つの空洞温度センサは、好ましくは長手方向に実質的に中心に位置して、皮膚温度センサの前記第1のゾーンに対向して配置することができる。
一実施形態によれば、1つまたは複数の空洞温度センサは、必ずしも皮膚温度センサに対向することなく、前記ゾーンに対向することができる。
【0052】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの空洞温度センサは、皮膚温度センサの数が奇数であるとき、少なくとも1つの皮膚温度センサに対向して、好ましくは中央皮膚温度センサに対向して配置される。好ましくは、このセンサは、皮膚温度センサがすべて非常に類似した機械的環境(外部および互いに類似した隔離および熱伝達挙動を有する類似の材料の状況)に埋め込まれ、空洞温度センサによる測定の妨げを制限するように、皮膚温度センサのラインに対して少し偏心していると決定される。このような載置により、上腕動脈ゾーンの皮膚温度データを正確に収集することが可能になる。
【0053】
一実施形態によれば、長手方向に測定装置の各端部に配置され、好ましくは皮膚温度センサ群の中央センサに対して対称に配置された2つの近位温度センサを設けることが可能である。この配置によれば、近位温度センサ群は、特に測定装置が未着用構成で実質的に平坦であるとき、互いに広く離間することができる2つの部位に分布される。しかし、測定装置が着用構成にあるとき、近位温度センサは、測定装置の巻回に続いて互いに近傍に位置される。
【0054】
可能な実施形態によれば、各空洞温度センサは、皮膚温度センサに対向して位置決めされる。皮膚温度センサの軸は、空洞温度センサの軸からオフセットされてもされなくてもよい。
好ましくは、空洞温度センサは、皮膚温度センサが配置される測定装置のゾーン全体に分布される。
【0055】
本発明の特徴によれば、皮膚温度センサおよび/または空洞温度センサおよび/または近位温度センサは、少なくとも45mmの長手方向の寸法を有する測定装置の少なくとも一部にわたって分布される。
【0056】
センサの構成、例えば50mmにわたって分布される7つは、測定装置の直径に応じて変化し得る。例えば、乳児の腕には35mmにわたって分布された5つのセンサ、または非常に高いBMIを有する成人の着用者には80mmにわたって分布された11個のセンサを設けることが可能である。
本発明の特徴によれば、皮膚温度センサおよび/または空洞温度センサおよび/または近位温度センサは、測定装置の長手方向軸上に整列される。
本発明の特徴によれば、皮膚温度センサおよび/または空洞温度センサおよび/または近位温度センサは、同一の中心間距離で規則的に離間される。
【0057】
本発明の特徴によれば、皮膚温度センサおよび/または空洞温度センサおよび/または近位温度センサは、測定装置のそれぞれの面に互い違いにまたはある角度で配置される。
可能な実施形態によれば、測定装置は、着用構成において、測定装置の外周線に実質的に対応する長手方向(X)に細長いバンドの形態であり、バンドは、
方向(X)において、好ましくは12cmを超える、さらに良好には15cmを超える、または20cmを超える長さと、
着用構成における円筒の軸(Z)に実質的に平行な方向において、好ましくは6cm未満、さらに良好には4cm未満、例えば3cm程度の幅と
を有し、
バンドは、長手方向中央軸、横方向中央軸、上縁部、および下縁部を有する(測定装置が着用されるとき、着用者は、腕を身体に沿わせて、基準解剖学的姿勢にある、すなわち、特に立っている)。
第1の面および第2の面のうちの少なくとも1つの面は、未着用構成において平坦な表面を有することができる。
皮膚温度センサおよび/または少なくとも1つの空洞温度センサは、バンドの長手方向中央軸に実質的に沿って配置することができる。
【0058】
変形例では、皮膚温度センサおよび/または少なくとも1つの空洞温度センサは、バンドの長手方向中央軸に対して上縁部の方向にオフセットすることができる。この載置の利点は、空洞温度センサを可能な限り脇下の近くに載置することができることである。これはまた、皮膚温度センサにとって重要であり得る。実際、脇下の近傍では、上腕動脈は腕の皮膚の下で同一平面にあるが、脇下から離れたところでは、腕のより深いところに位置される。
測定装置はまた、
皮膚温度センサおよび少なくとも1つの空洞温度センサを支持する細長いテープと、
電子基板、および細長いテープに接続された電池を含むケースであって、ケースは、存在する場合、好ましくは少なくとも1つの近位温度センサを支持し、かつ/または好ましくは少なくとも1つの追加の物理化学的データセンサを支持するケースと
を備えることができ、
ケースおよび細長いテープは、例えばオーバーモールドによって、可撓性材料で覆われる。
【0059】
前記可撓性材料は、エラストマまたは医療グレードのシリコーンであってもよく、これにより、測定装置の着用者の快適性を改善し、分離することなく、着用者の皮膚との均一な接触を確実にすることが可能になる。本発明において、「医療グレードのシリコーン」とは、生体適合性について試験され、医療用途への使用に適した材料を意味する。
【0060】
例えば、ショアA35の医療グレードのシリコーンの射出成形を行うことが可能である。この例によれば、測定装置は、2.5mmに実質的に等しい厚さを有することができ、センサを備える電子機器は、幅10mmおよび厚さ0.20mmのカプトンテープに一体化される。
テープは、センサのための支持体を形成し、また、電子接続要素を一体化する。
測定装置はまた、その第1の面および/またはその第2の面に、有利には洗浄可能な衛生コーティングを有することができる。それはまた、着用者の腕に貼り付けられるように意図された接着部分を備えることができる。
【0061】
可能な実施形態によれば、測定装置は、
第1のセットのセンサであって、
第1のセットのセンサの第1のゾーンにおいて測定装置の第1の面上またはその近くに位置決めされ、第1の長さにわたって延在する少なくとも3つの皮膚温度センサであって、好ましくは、第1のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサは、第1のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサと着用者の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置され、および/または測定装置の第1の面は、第1の面と着用者の腕の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置され、第1のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサは、この第1の面に置かれ、本発明による装置の外部に向けられる少なくとも3つの皮膚温度センサと、
測定装置の第1のセットのセンサの第2のゾーンにおいて測定装置の第2の面上またはその近くに配置され、第1のセットのセンサの第1のゾーンに少なくとも部分的に対向して、または実質的に隣接し、前記第1および第2の面に直交する平面内に突出する少なくとも1つの空洞温度センサであって、好ましくは、第1のセットの少なくとも1つの空洞温度センサは、第1のセットの少なくとも1つの空洞温度センサと着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置され、および/または測定装置の第2の面は、第2の面と着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置され、第1のセットの少なくとも1つの空洞温度センサは、この第2の面に置かれ、本発明による装置の外部に向けられる少なくとも1つの空洞温度センサと
を含む第1のセットのセンサと、
第2のセットのセンサであって、
第2のセットのセンサの第1のゾーンにおいて測定装置の第2の面上またはその近くに位置決めされ、好ましくは第1の長さとは異なる第2の長さにわたって延在する少なくとも3つの皮膚温度センサであって、好ましくは、第2のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサは、第2のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサと着用者の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置され、および/または測定装置の第2の面は、第2の面と着用者の腕の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置され、第2のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサは、この第2の面に置かれ、本発明による装置の外部に向けられる少なくとも3つの皮膚温度センサと、
測定装置の第2のセットのセンサの第2のゾーンにおいて測定装置の第1の面上またはその近くに配置され、第2のセットのセンサの第1のゾーンに少なくとも部分的に対向して、または実質的に隣接し、前記第1および第2の面に直交する平面内に突出する少なくとも1つの空洞温度センサ。好ましくは、第2のセットの少なくとも1つの空洞温度センサは、第2のセットの少なくとも1つの空洞温度センサと着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置され、および/または測定装置の第1の面は、第1の面と着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置され、第2のセットの少なくとも1つの空洞温度センサは、この第1の面に置かれ、本発明による装置の外部に向けられる少なくとも1つの空洞温度センサと
を含む第2のセットのセンサと
を備える。
【0062】
装置は、好ましくは、第1のセットのセンサおよび第2のセットのセンサから一度に単一のセットのセンサを使用または作動させるように配置される。
好ましくは、
第1のセットの空洞温度センサの数は、第1のセットの皮膚温度センサの数よりも少なく、
第2のセットの空洞温度センサの数は、第2のセットの皮膚温度センサの数よりも少ない。
したがって、測定装置は、
第1の面が着用者の腕に向けられる第1の位置(この場合、使用されるのは第1のセットのセンサである)、
または第2の面が着用者の腕に向けられる第2の位置(この場合、使用されるのは第2のセットのセンサである)
のいずれかで着用者に載置することができる。
【0063】
具体的には、第1のセットの皮膚温度センサが第2のセットの皮膚温度センサと比較して異なる長さにわたって延在することを提供するという事実は、汎用測定装置を有することを可能にする。より具体的には、第1のセットは、第1の範囲の周囲値の周囲を有する腕に適合させることができ、第2のセットは、第1の範囲とは異なる第2の範囲の周囲値の周囲を有する腕に適合させることができる。したがって、その形態または構築にかかわらず、実質的に任意の着用者に使用することができるように単一の装置を提供することができる。
【0064】
第2の態様によれば、本発明は、上述のような測定装置と、さらに、測定装置を受け入れるように意図された可撓性シースとを含むアセンブリに関し、シースは、好ましくは、測定装置のセンサの各々に対向する窓を有し、シースは、着用者の腕と接触するように意図されたその面上に、着用者の腕に貼り付けられるように意図された少なくとも1つの接着部分を有する。
接着部分は、例えば、最初の使用前に剥がすことができる少なくとも1つのバンドによって覆われた接着層を備える。
【0065】
あるいは、測定装置は、例えばポリウレタンまたは低密度シリコーンから作製された非接着性粘着材料の一部を含むことができ、前記部分は、着用者の腕に位置決めされるように意図される。この部分は清浄可能であるという利点を有し、その粘着性は接着剤ほど強くなく、それによって測定装置を位置決めされた腕から取り外すことを困難にすることがない。非接着性粘着材料のこの部分の粘着は、一般に、接着剤の粘着性ほど強くはなく、この部分は、腕上の測定装置を安定させるが、確実に測定装置の2つの端部を接続するために、例えば看護師によって持ち込まれた接着バンドで仕上げられなければならない。
【0066】
第3の態様によれば、本発明は、人間の深部体温を決定するためのシステムであって、
複数の温度を測定するための装置、または上述のようなアセンブリと、
前記測定装置によって測定された温度データに基づいて、測定装置の着用者の深部体温を決定するように構成および/またはプログラムされた処理ユニットと
を備えるシステムに関する。
推測値は、経験を使用して構築された対応表を参照するアルゴリズムによって求めることができる。
【0067】
本発明の特徴によれば、測定装置は、測定された温度測定情報を受信機に送信するように構成された少なくとも1つの送信機を備える。送信機は、温度測定情報を送信するためのアンテナとすることができる。
測定装置は、決定された深部体温を表示するための要素を備えることができ、表示要素は、インジケータスクリーンおよび/または1つまたは複数の光インジケータ、例えば有色または無色のエレクトロルミネッセンスダイオードとすることができる。1つまたは複数の光インジケータは、例えば、測定装置の1つまたは複数の動作状態に関する情報を与えることを可能にする。
【0068】
処理ユニットは、好ましくはキャッシュメモリである少なくとも1つのメモリを備えることができ、測定装置によって規則的または不規則な時間間隔で測定された温度データを収集し、それらを記憶することを可能にする。
処理ユニットは、測定装置に位置決めされた送信機、例えば送信アンテナと協働するように構成および/またはプログラムされた受信機を備えることができる。受信機は、受信した温度データを記憶するために処理ユニットのメモリと通信するように構成および/またはプログラムすることができる。
【0069】
処理ユニットは、測定装置によって行われた測定に基づいて処理ユニットによって決定された少なくとも深部体温を表示するように構成された、表示装置を備えることができる。表示装置は、生の温度データおよびそれらの測定間隔を表示するように構成することができる。システムの表示装置は、測定装置の表示要素とは異なり、別個であってもよい。
通信は、例えばブルートゥースによって有線または無線方式で行うことができる。
処理ユニットは、好ましくは、後述するステップd)および/またはe)および/またはg)および/またはh)および/またはi)を実施するように配置および/またはプログラムされる。
【0070】
本発明の主題はまた、人間の深部体温を決定するための方法であり、前記方法は、本発明による決定システムによって実施され、方法は、
a)本発明による決定システムの少なくとも3つの皮膚温度センサによって、時間tにおいてまたは期間pにわたって少なくとも1つの皮膚温度を測定するステップと、
b)本発明による測定および決定システムの測定装置の少なくとも1つの空洞温度センサによって、時間tにおいてまたは期間pにわたって少なくとも1つの空洞温度を測定するステップと、
c)測定装置は、ステップa)、b)で測定された温度データを、送信機を介して、本発明による測定および決定システムの処理ユニットを装備する受信機に送るステップと、
d)処理ユニットの受信機は、測定された温度データを受信し、温度データを記憶する処理ユニットのメモリに送信するステップであって、
処理ユニットは、各センサについての皮膚温度データを比較し、例えばこのセンサについて測定された温度の平均を使用して、時間tまたは期間pの間の各センサについての着用者の皮膚温度を決定し、
処理ユニットは、1つのまたは各空洞温度センサについて比較を行い、1つのまたは各センサについて、例えば各センサについて測定された温度の平均を使用して、時間tまたは期間pの間の空洞温度を決定する
ステップと、
e)各皮膚温度センサおよび1つのまたは各空洞温度センサについて保持された温度データの項目に基づいて、時間tまたは少なくとも1つの期間pにわたって、処理ユニットは、例えば対応表を使用して、ならびに/または決定木の森および/もしくはニューラルネットワークに基づいて決定モデルを適用して、時間tまたは期間pの間の各センサについての温度データ、またはローリング観察期間(rolling observation period)P中に収集された各センサについての温度データに対応するセットのデータを使用して、着用者の深部体温を決定するステップと
を含む。
【0071】
方法は、ステップa)および/またはb)および/またはその後のステップa)およびb)と並行して行われ、時間tにおいてまたは期間pにわたって少なくとも1つの近位温度を測定することからなるステップf)を含むことができる。この場合、ステップd)は、好ましくは、1つのまたは各近位温度センサについて単一の値を得る目的で、近位温度測定値の処理によって終了する。したがって、1つのまたは各近位温度センサについて、処理ユニットは、値を比較し、例えば各センサについて測定された温度の平均を使用して、時間tまたは期間pの間のこのセンサについての近位温度を決定する。次いで、処理e)は、深部体温を決定するために、このデータまたはこれらのデータの項目を統合して他の温度値を補完する。
【0072】
本発明の特徴によれば、深部体温は、1つまたは複数の追加の物理化学的データセンサから生じる追加のパラメータの関数として処理ユニットによって決定することができる。
好ましくは、深部体温の決定は、ステップa)、b)、f)で行われた測定に基づいて、および生理学的覚醒を特徴付けるデータに基づいて行うことができ、前記データは、フォトプレチスモグラフおよび/またはガルバノメータによって測定される。
【0073】
さらにより好ましくは、深部体温の決定は、ステップa)、b)、f)で行われた測定に基づいて、かつ生理学的覚醒を特徴付けるデータに基づいて、かつ例えば3軸加速度計によって測定された位置決めデータに基づいて行うことができる。
好ましくは、深部体温の決定は、一連のステップa)、ステップb)、ステップf)が行われ、生理学的覚醒を特徴付けるセットのデータがこの同じ期間Pにわたって収集される、好ましくはローリング期間P中に行われた測定に基づいて実行することができる。
【0074】
本発明の特徴によれば、着用者の深部体温が時間tまたは少なくとも1つの期間pにわたって決定された後、処理ユニットは、ステップg)の間、決定された深部体温を表示するように表示装置に指示することができる。
処理ユニットは、決定された深部体温に基づいて、ステップh)の間、例えば、測定された深部体温を処理ユニットのメモリに統合されたデータベースまたはノモグラムに基づく状態と相関させることによって、着用者の状態を決定するように構成および/またはプログラムすることができる。着用者の状態とは、例えば、健康状態、発熱状態、または重篤状態を意味する。
本発明の特徴によれば、着用者の状態は、ステップi)の間、着用者の状態を表示する表示装置に処理ユニットによって通信することができる。
【0075】
本発明による方法はまた、
ステップa)の後、好ましくは少なくとも3つの皮膚センサからの、またはそれによって測定された皮膚温度の中から最高値を選択することによって、単一の皮膚温度値を決定するステップa’)と、
ステップb)の後、好ましくは少なくとも1つの空洞温度センサからの、またはそれによって測定された空洞温度の中から最高値を選択することによって、単一の空洞温度値を決定するステップb’)と、
ステップa’で決定された単一の皮膚温度値およびステップb’で決定された単一の空洞温度値に基づいて、処理ユニットは、人間の着用者の深部体温を決定するステップと
を含むことができる。
【0076】
本発明による方法はまた、
少なくとも1つの近位温度センサによって、時間tにおいてまたは期間pにわたって少なくとも1つの近位温度を測定するステップFFFと、
好ましくは少なくとも1つの近位温度センサからの、またはそれによって測定された近位温度の中から最高値を選択することによって、単一の近位温度値を決定するステップFFF’と、
ステップa’で決定された単一の皮膚温度値、ステップb’で決定された単一の空洞温度値、およびステップFFF’で決定された単一の近位温度値に基づいて、処理ユニットは、人間の着用者の深部体温を決定するステップと
を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
本発明は、非限定的な例として与えられ、添付の概略図を参照して説明される、本発明による実施形態に関する以下の説明によってよりよく理解されるであろう。添付の概略図を、以下に列挙する。
【
図1】その第2の面の側から見た、未着用構成における本発明の一実施形態による測定装置の上面図である。
【
図2】その第1の面の側から見た、未着用構成における
図1の測定装置の上面図である。
【
図3】測定装置の内部構成要素を透視して示す、
図1と同様の図である。
【
図4】未着用構成における
図1の測定装置の部分側面図である。
【
図5】細長いテープおよびケースを示す、
図1の測定装置の一部の分解斜視図である。
【
図7a】シースの面を示す、本発明の一実施形態による測定装置を受け入れるためのシースの斜視図である。
【
図7b】シースの反対側の面を示す、
図7aと同様の図である。
【
図8】着用構成における
図1の測定装置の断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態による測定および決定システムの概略図であり、装置は着用構成にある。
【
図10】未着用構成における、本発明による装置の一実施形態の変形例の部分斜視図である。
【
図11】未着用構成における、本発明による装置の別の実施形態の変形例の部分斜視図である。
【
図12】未着用構成における、本発明による装置のさらに別の実施形態の変形例の部分斜視図である。
【
図13a】未着用構成における、別の実施形態による測定装置の第1の面の概略図である。
【
図13b】未着用構成における、
図13aの測定装置の第2の面の概略図である。
【
図13c】第1の位置にある、着用構成における
図13aの測定装置を示す図である。
【
図13d】第2の位置にある、着用構成における
図13aの測定装置を示す図である。
【0078】
これらの実施形態は決して限定的ではないため、この特徴の選択が技術的利点を与えるのに、または先行技術の状態に関して本発明を区別するのに十分である場合、(この選択がこれらの他の特徴を含む語句内で分離されている場合であっても)記載または図示される他の特徴とは別に、本発明の変形例は、以下に記載または図示される特徴の選択のみを含むと考えることができる。この選択は、この部分だけで技術的利点を与えるのに、または先行技術の状態に関して本発明を区別するのに十分である場合、構造上の詳細のない、および/または構造上の詳細の一部のみを有する、少なくとも1つの、好ましくは機能的な特徴を含む。
【詳細な説明】
【0079】
図1~
図6は、本発明の一実施形態による複数の温度を測定するための装置3を部分的に示す。
図1~
図4では、測定装置3は、図示された非限定的な例では、測定装置3が実質的に平坦であるその未着用構成で示されており、
図8および
図9では、測定装置3は、少なくとも部分的にそれ自体の上に巻き付けられ、軸(Z)を有する少なくとも1つの円筒状部分を形成するその着用構成で示されている。
【0080】
着用構成では、
図9に示されるように、測定装置3は、着用者の身体に対応する脇下101の近傍で、着用者102の腕100を横方向に少なくとも部分的に囲み、その結果、測定装置3の軸(Z)は、前記腕100の軸と実質的に一致する。
図示の実施形態では、測定装置3は、腕100の円周および測定装置3のサイズに完全にまたは部分的に応じて、人間の腕を囲む腕バンドである。
測定装置3は、第1の面31(
図2に見える)と、第1の面31の反対側の第2の面32(
図1に見える)とを備える。
着用構成では、
図8に見られるように、測定装置3の第1の面31は軸(Z)に向けて巻かれ、第1の面31は、着用者の腕100の皮膚と接触する。
【0081】
図1~
図4に示されるように、測定装置3は、着用構成において、測定装置3の外周線および腕100の周りの外周線に実質的に対応する長手方向(X)に細長いバンドの形態であってもよい。測定装置3が未着用構成において実質的に平坦である実施形態では、面31、32は、未着用構成において(X、Z)に平行な平面内に実質的に置かれる。
軸(Y)は、軸(X)および(Z)と直交するものとして定義される。
3つの軸(X)(Y)、および(Z)は、互いに直交している。
【0082】
バンドは、長手方向中央軸10、横方向中央軸11、上縁部12、および下縁部13を有する(測定装置3の着用位置を基準として、着用者は、基準解剖学的姿勢にある)。「上縁部」および「下縁部」という用語は、説明を簡単にする目的で使用され、図、特に測定装置3が着用者の右腕に着用される
図9を参照してここで使用されることが規定されている。しかし、同じ測定装置3を逆の載置で着用者の左腕に載置することができ、その場合、上縁部は、下縁部の下に位置される。
【0083】
本発明によれば、着用者の左腕に測定装置を設置することが望ましい場合がある。装置は、有利には、上縁部が下縁部の下方に位置される程度まで、身体の前後軸に沿って巻くことができる。このオプションの利点は、左腕上の装置の載置操作が身体の矢状面に関して右腕上の載置操作と正確に対称的であることであり、これは介護者にとって実際の人間工学的および認知的利点であり、加えてすべてのセンサは、身体の矢状面に関して先行する場所と対称的な身体上の場所に位置決めされる。
【0084】
あるいは、装置を巻くことなく右腕から左腕に通過させることが可能であるが、当然のことながら、左腕の上腕動脈に対向して中心に位置した皮膚センサを位置決めするために、Z軸の周りで装置自体を巻くことが可能である。この代替案は、センサが潜在的に矢状面内の身体の対称ゾーンに位置決めされないため、結果の一貫性のために前述の代替案よりも利益が少ない。
バンドは、方向(X)における、好ましくは12cmを超える、さらに良好には15cmを超える、またはさらには20cmを超える長さLと、着用構成における円筒の軸(Z)に実質的に平行な方向において、約3cmの幅lとを有する。
【0085】
図3、
図5、および
図6に見られるように、測定装置3は、方向(X)に細長いテープ15と、ベース21およびベース21に組み付けることができるカバー22で形成することができるケース20とを備える。ケース20は、電子基板23、および細長いテープ15に接続された電池24を含む。テープ15は、
図4に示されるように、方向(Y)に厚さeを有する。
【0086】
本発明によれば、測定装置3は、着用者102の皮膚温度を測定するように構成された複数の皮膚温度センサ33、より具体的には少なくとも3つの皮膚温度センサ33を備える。皮膚温度センサ33は、測定装置3の第1の面31上またはその近くに位置決めされ、着用構成において測定装置3の外周線の少なくとも一部にわたって延在する。
【0087】
少なくとも3つの皮膚温度センサは、少なくとも3つの皮膚温度センサと着用者の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置される。
測定装置の第1の面は、第1の面と着用者の腕の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置され、少なくとも3つの皮膚温度センサは、この第1の面に置かれ、装置3の外部に向けられる。
【0088】
図2に示される例では、測定装置3は、7つの皮膚温度センサ33を備える。当然のことながら、本発明は、この例にも特定の数のセンサにも限定されない。それにもかかわらず、センサの数が多いほど、皮膚温度測定はより正確になる。
さらに、測定装置3は、着用者102の脇下101内またはその近くの温度を測定するように構成された少なくとも1つの空洞温度センサ34を備える。空洞温度センサ34は、ここでは単一であり、これに限定されるものではないが、測定装置3の第2の面32上またはその近くに配置される。空洞温度センサ34は、外部に向けられ、脇下101に向けられ、したがって着用者の特定の位置では、脇下101の温度条件によって影響を受ける。いくつかの空洞温度センサ34を設けることにより、空洞温度のより正確な測定値を得ることが可能になる。
【0089】
少なくとも1つの空洞温度センサは、少なくとも1つの空洞温度センサと着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置される。
測定装置の第2の面は、第2の面と着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置され、少なくとも1つの空洞温度センサは、この第2の面に置かれ、装置3の外部に向けられる。
空洞温度センサ(34)の数は、皮膚温度センサ(33)の数よりも少ない。
具体的には、細長いテープ15は、皮膚温度センサ33および空洞温度センサ34のための支持体を形成し、また、これらのセンサと電子基板23との間の電子接続要素を一体化する。
【0090】
図6では、空洞温度センサ34は、皮膚温度センサ33と同じ平面内であるが、中心がずれたタブ上に見ることができる。この構成は、タブを180°にわたって巻くことを可能にし、したがって、測定装置3の第2の面32、したがって皮膚温度センサ33の反対側に空洞温度センサ34を置くことを可能にする。
【0091】
測定装置3はまた、着用者102の腕100のすぐ近傍の周囲温度を測定するように構成された少なくとも1つの近位温度センサ35を含むことができる。近位温度センサ35は、測定装置3の第2の面32上またはその近くに配置される。いくつかの近位温度センサ35を設けることにより、周囲温度のより正確な測定値を得ることが可能になる。
少なくとも1つの近位温度センサは、第2の面に置かれ、装置3の外部に向けられる。
【0092】
少なくとも1つの近位温度センサは、少なくとも1つの近位温度センサと空気との間に中間層を有さずに装置3を取り囲むこの空気と直接接触するように配置される。
未着用構成では、皮膚温度センサ(33)のうちの1つ(または皮膚温度センサ(33)のうちの1つもしくは皮膚温度センサの中心に置かれる点)と少なくとも1つの近位温度センサ(35)(または近位温度センサ(35)のうちの1つもしくは近位温度センサの中心に置かれる点)との間の距離は、10cmよりも大きい(かつ/または20cm未満)。
【0093】
測定装置3はまた、着用者の心拍数およびオキシメトリを測定するように構成されたフォトプレチスモグラフなどの少なくとも1つの追加の物理化学的データセンサ36を含むことができ、これは測定装置3の第1の面31上または近くに配置し(この場合、少なくとも1つの物理化学データセンサは、第1の面に置かれ、装置3の外部に向けられ、かつ/または少なくとも1つの物理化学的データセンサと着用者の腕の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置される)、または測定装置3の第2の面32の上または近くに配置することができる(この場合、少なくとも1つの物理化学的データセンサは、第2の面に置かれ、装置3の外部に向けられ、かつ/または少なくとも1つの物理化学的データセンサと空気との間に中間層を有さずに装置3を取り囲むこの空気と直接接触するように配置される)。
【0094】
実際には、近位温度センサ35および追加の物理化学的データセンサ36は、それぞれカバー22およびベース21上のケース20のレベルに載置することができる。
さらに、任意選択で、測定装置3は、着用者の身体によって分泌される汗または発汗のレベルを測定するように構成されたガルバノメータ37のセンサ(2つのセンサを備える)を備える。
ケース20および細長いテープ15は、例えばオーバーモールドによって、シリコーンなどの可撓性材料から作製されたスリーブ25で覆われる。
【0095】
したがって、測定装置3は可撓性であり、その未着用構成、例えば平坦な構成から円筒状の着用構成に変形することができるように構成される。この変形は、典型的には、長手方向中央軸10を直線形状から実質的に円形形状に通過させるように(または変形例では、円形部分、ヘリックス状、または螺旋状に)巻回し、湾曲させることによって行われる。したがって、測定装置3は、着用者の形態に適合し、腕100の形状に密接に装着することができる。
【0096】
皮膚温度センサ33は、測定装置3の第1のゾーンZ33に配置される。一実施形態によれば、第1のゾーンZ33は、細長いものであり、測定装置3の長手方向(X)に延在する。
図1の実施形態では、皮膚温度センサ33は、整列して配置される。図示されていない変形例によれば、皮膚温度センサ33は、前記第1のゾーンZ33に互い違いに配置され得る。
例として、第1のゾーンZ33の長さL33は、5cm程度とすることができる。
1つまたは複数の空洞温度センサ34は、測定装置3の第2のゾーンZ34に配置される。
【0097】
皮膚温度センサ33の第1のゾーンZ33および1つまたは複数の空洞温度センサ34の第2のゾーンZ34は、
図1の場合のように、互いに完全に対向して配置され、平面(X、Z)内に突出することができる。
図1に見られるように、空洞温度センサ34は、長手方向Xにおいて、この第1のゾーンZ33に対向して実質的に中心に位置して配置することができる。
【0098】
別の変形例によれば、皮膚温度センサ33の第1のゾーンZ33および1つまたは複数の空洞温度センサ34の第2のゾーンZ34は、互いに部分的にのみ対向して配置され、平面(X、Z)内に突出し、特定の重なりを有することができる。
さらに別の変形例によれば、皮膚温度センサ33の第1のゾーンZ33と、1つまたは複数の空洞温度センサ34の第2のゾーンZ34を分離することができる。それらは、好ましくは、
図12の場合のように、平面(X、Z)内に実質的に隣接して突出することができる。
近位温度センサ35は、好ましくは、
図8に見られるように、測定装置3の着用構成において、空洞温度センサ34と実質的に直径方向に対向するように位置決めされる。
【0099】
本発明はまた、
図7aおよび
図7bに示される、測定装置3を受け入れるためのシース27を提供する。可撓性材料から作製されたこのシース27は、測定装置3を保護し、衛生上の考慮事項(シースは使い捨てまたは洗浄可能であり得る)に対応し、着用者102に対する測定装置3の位置決めを容易にすることを可能にする。
【0100】
シース27は、好ましくは、受け入れる測定装置3のセンサ33、34、35、36、37の各々に対向する窓28、またはセンサ群に対向する単一の窓を有する。さらに、シースは、着用者102の腕100と接触するように意図されたその面29上に、着用者102の腕100に貼り付けられるように意図された少なくとも1つの接着部分30を有することができる。例えば、接着部分30は、測定装置の位置決めの前に剥がすことができる少なくとも1つのバンドによって覆われた接着層を備える。
【0101】
図9は、人間の深部体温を決定するためのシステム1を示している。システム1は、測定装置3、ならびに前記測定装置3によって測定された温度データに基づいて、測定装置3の着用者102の深部体温を決定するように構成および/またはプログラムされた処理ユニット2を備える。
【0102】
処理ユニット2は、例えば、アナログおよび/またはデジタル電子回路、および/またはコンピュータの中央処理ユニット、および/またはマイクロプロセッサ、および/またはソフトウェア手段を備える。
処理ユニット2および測定装置3は、互いに通信するように構成および/またはプログラムされ、特に、測定装置3は、測定された温度データを処理ユニット2に送信するように構成され、処理ユニット2は、測定された温度データを受信してそれらを分析し、これらのデータの項目に基づいて、測定装置3の着用者の深部体温を決定する。
処理ユニット2と通信するために、測定装置3は、例えば、
図9に示すように、測定された温度測定情報の項目を処理ユニット2の受信機41に送信するように構成された送信機38を備える。送信機38は、温度測定情報を送信するためのアンテナとすることができる。
【0103】
さらに、測定装置3は、決定された深部体温を表示するための要素39を備えることができ、表示要素39は、インジケータスクリーンおよび/または1つまたは複数の光インジケータ、例えば有色または無色のエレクトロルミネッセンスダイオードとすることができる。処理ユニット2によって決定された深部体温は、送信機/受信機である送信機38によって測定装置3、特に表示要素39に通信される。
具体的には、送信機38および表示要素39は、測定装置3のケース20の上または中に配置することができる。
【0104】
一実施形態によれば、処理ユニット2は、少なくとも1つのメモリ22を備え、前記メモリ22は、好ましくは、測定装置によって規則的または不規則な時間間隔で測定された温度データを収集し、それらを記憶することを可能にするキャッシュメモリである。さらに、処理ユニット2は、測定装置3に位置決めされた送信機38、例えば送信アンテナと協働するように構成された受信機41を備えることができる。受信機41は、好ましくは送信機でもあり、受信した温度データを記憶するために処理ユニット2のメモリ22と通信するように構成される。
【0105】
本発明によるシステム1は、測定装置3によって生成された測定値に基づいて処理ユニット2によって決定された少なくとも深部体温を表示するように構成された表示装置4をさらに備えることができる。
電子機器の高度に統合されたバージョンでは、処理ユニット2が測定装置3に統合されることを提供することが可能である。
センサの異なる配置が、
図10~
図12に示されている。
第1の配置を、
図10に示す。
この配置によれば、皮膚温度センサ33は、第1の面31上の軸(Y)に沿って、測定装置3の長手方向中央軸10の突出に対応する軸10a上に整列される。
【0106】
さらに、皮膚温度センサ33が見られるゾーンZ33に対向するいくつかの空洞温度センサ34(例えば3つ)を設けることができる。点線で示される空洞温度センサ34は、第2の面32上の軸(Y)に沿って、測定装置3の長手方向中央軸10の突出に対応する軸10b上に整列させることができる。
【0107】
したがって、(X、Z)に平行な突出平面において軸(Y)に沿って突出すると、ゾーンZ33およびZ34は、互いに少なくとも部分的に対向する、すなわち、少なくとも部分的に重ね合わされる。重ね合わせは、完全でなくてもよい。例えば、
図10に見られるように、ゾーンZ34は、軸(X)に沿ってゾーンZ33を越えて、ゾーンZ33の両側に延在する。逆の位置、すなわち、ゾーンZ33が軸(X)に沿ってゾーンZ34を超えて延在する位置も想定することができる。
【0108】
例えば、前記突出平面で見ると、軸(X)に沿って、第1のゾーンZ33に対して中心に位置して位置決めされた第1の空洞温度センサ34と、第1のゾーンZ33の両側および端部のすぐ近傍に位置決めされた2つの空洞温度センサ34とが存在することができる。
さらに、近位温度センサ35(例えば、2つの数)は、上述の軸10b上に整列させることができる。近位温度センサは、例えば、軸(X)に沿って測定装置3の一端部に配置され、ゾーンZ33およびZ34は、軸(X)に沿って測定装置3の他端部に配置される。当然のことながら、本発明は、この載置に限定されない。
【0109】
測定装置の2つの端部にある2つのサブ群に位置された近位温度センサを含む(ユーザの腕に配置された)測定装置のこの「着用構成」では、2つのサブ群は、互いに近付けられるか、集合するか、または重ね合わされ、単一の群のみを形成する。
別の配置が、
図11に示される。
【0110】
この配置によれば、ゾーンZ33、Z34およびセンサ33、34によって形成された群は、
図10を参照して上述したものと同一である。一方、
図11の実施形態では、この群は、軸(X)に沿って測定装置3の実質的に中心に位置するように置かれる。
測定装置3の各端部には、近位温度センサ35が設けられる。2つの近位温度センサ35はまた、上述の軸10bに置かれる。未着用構成における測定装置3の2つの端部におけるそれらの場所は、測定装置3が、その直径が測定装置3が設けられ寸法決めされた範囲の一部を形成する腕に位置決めされる限り、着用構成において、2つの近位温度センサ35が両方ともゾーンZ33の中心と実質的に直径方向に対向するように位置決めされることを意味する。
【0111】
第3の配置が、
図12に示される。
この配置では、皮膚温度センサ33は、
図10のように構成される。追加の物理化学的データセンサ36および少なくとも1つのガルバノメータの少なくとも2つのセンサ37もまた、追加の物理化学的データセンサ36の両側に配置された第1の面31および実質的に軸10aに設けられる。センサ群36、37は、軸(X)に沿って、ゾーンZ33が置かれる端部とは反対側の測定装置3の端部の近くに配置することができる。
【0112】
ここでは2つの数である、1つまたは複数の空洞温度センサ34も設けられる。
図12の実施形態では、空洞温度センサ34は、第2の面32に置かれ、軸10bに平行であり、軸(Z)に沿って軸10bからオフセットされた軸10c上に整列される。軸10cは、下縁部13の方向に軸10bからオフセットすることができる。
【0113】
したがって、軸(Y)に沿って突出すると、(X、Z)に平行な突出平面において、ゾーンZ33およびZ34は、方向(Z)において互いにオフセットされる。センサ33、34の寸法および軸10bと軸10cとの間のオフセットに応じて、軸(Z)に沿ってゾーンZ33とZ34との間に一定の重なりがあり得るか、またはゾーンZ33およびZ34が軸(Z)に沿って隣接し得るか、またはゾーンZ33およびZ34が軸(Z)に沿って互いに離間し得る。さらに、
図12に示す実施形態では、第2のゾーンZ34も軸(X)に沿って第1のゾーンZ33に対してオフセットされる。例えば、前記突出平面で見て、軸(X)上に突出する相対的な位置決めのみを考慮すると、センサ36、37の方向において、
図10の配置とは異なり、必ずしも中心に位置するわけではないが、第1のゾーンZ33のレベルに位置決めされた第1の空洞温度センサ34と、ゾーンZ33から距離を置いて位置決めされた第2の空洞温度センサ34とが存在することができる。この載置は、非限定的である。
【0114】
測定装置3はまた、1つまたは複数の近位温度センサ35を含むことができる。図示の実施形態では、軸10cに配置された単一の近位温度センサ35が、軸(X)に沿って、ゾーンZ33とは反対側の測定装置3の端部に設けられる。
ここで、本発明の別の実施形態を示す
図13a~
図13dを参照する。この実施形態によれば、着用者の腕の2つの異なる位置に対して、1つの同じ測定装置上の2つの完全なセットのセンサを組み合わせることができる。位置の選択は、測定装置が着用者の腕に設置された瞬間に確立され、それに従って一方の面または他方の面が皮膚と接触して載置される。
【0115】
図13aおよび
図13bに図式的に示されるように、測定装置3は、第1のセットのセンサS1および第2のセットのセンサS2を備える。
第1のセットのセンサS1は、
第1のゾーンZ33-1において測定装置の第1の面31上またはその近くに位置決めされ、第1の長さL33-1にわたって延在する少なくとも3つの皮膚温度センサ33-1であって、第1のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサは、第1のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサと着用者の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置され、および/または測定装置の第1の面は、第1の面と着用者の腕の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置され、第1のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサは、この第1の面に置かれ、装置3の外部に向けられる少なくとも3つの皮膚温度センサ33-1と、
第2のゾーンZ34-1において測定装置3の第2の面32上またはその近くに配置された少なくとも1つの空洞温度センサ34-1であって、第1のセットの少なくとも1つの空洞温度センサは、第1のセットの少なくとも1つの空洞温度センサと着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置され、および/または測定装置の第2の面は、第2の面と着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置され、第1のセットの少なくとも1つの空洞温度センサは、この第2の面に置かれ、装置3の外部に向けられる少なくとも1つの空洞温度センサ34-1と、
好ましくは、測定装置3の第2の面32上またはその近くに配置された近位温度センサ35-1と
を備える。
【0116】
さらに、既に説明したように、ゾーンZ33-1およびZ34-1は、互いに少なくとも部分的に対向して、または実質的に隣接しており、第1および第2の面31、32に直交する平面内に突出する。
第2のセットのセンサS2は、
第1のゾーンZ33-2において測定装置3の第2の面32上またはその近くに位置決めされ、第1の長さL33-1とは有利には異なる第2の長さL33-2にわたって延在する少なくとも3つの皮膚温度センサ33-2。図示の実施形態では、L33-2は、L33-1未満である。さらに、隣接する皮膚温度センサ間に異なる間隔が存在する可能性があり、それに応じて、これらのセンサは、第1のセットS1または第2のセットS2に属し、第2のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサは、第2のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサと着用者の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置され、および/または測定装置の第2の面は、第2の面と着用者の腕の皮膚との間に中間層を有さずに着用者の腕の皮膚と直接接触するように配置され、第2のセットの少なくとも3つの皮膚温度センサは、この第2の面に置かれ、装置3の外部に向けられる少なくとも3つの皮膚温度センサと
第2のゾーンZ34-2において測定装置3の第1の面31上またはその近くに配置された少なくとも1つの空洞温度センサ34-2であって、第2のセットの少なくとも1つの空洞温度センサは、第2のセットの少なくとも1つの空洞温度センサと着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置され、および/または測定装置の第1の面は、第1の面と着用者の脇下との間に中間層を有さずに着用者の脇下と直接接触するように配置され、第2のセットの少なくとも1つの空洞温度センサは、この第1の面に置かれ、装置3の外部に向けられる少なくとも1つの空洞温度センサ34-2と
好ましくは、測定装置3の第1の面31上またはその近くに配置された近位温度センサ35-2と
を備える。
【0117】
装置は、第1のセットのセンサおよび第2のセットのセンサから一度に単一のセットのセンサを使用または作動させるように構成され、第1のセットのセンサおよび第2のセットのセンサから一度に単一のセットのセンサが作動されて少なくとも1つの温度を測定し、一方、第1のセットのセンサおよび第2のセットのセンサからの他のセットのセンサは非アクティブであり、1つまたは複数の温度を測定するために使用されない。
【0118】
装置3および/またはシステム1(より具体的には、電子的および/もしくはソフトウェア手段23ならびに/または処理ユニット2)は、それぞれ31または32のいずれの面がユーザの腕を向いているか、およびそれぞれ32または31のいずれの面がユーザの脇下を向いているかを決定し、
面31がユーザの腕を向いており、面32がユーザの脇下を向いている場合、第1のセットのセンサを作動させ、第2のセットのセンサを停止させ、
面32がユーザの腕の向いており、面31がユーザの脇下を向いている場合、第2のセットのセンサを作動させ、第1のセットのセンサを停止させる
ように配置および/またはプログラムされる。
【0119】
装置3および/またはシステム1(より具体的には、電子的および/もしくはソフトウェア手段23ならびに/または処理ユニット2)は、面31および32の中から、ユーザの脇下を向いた面を面であるとして割り当て、
(その通常の使用では、装置3が腕に固定されたままである間、腕は脇下から定期的に分離されるため)より高い振幅および/またはより高い時間周波数で(センサ33-1、33-2、34-1、および/または34-2によって)測定された温度変動を有し、かつ/または
(センサ33-1、33-2、34-1、および/または34-2によって)測定された最高温度を有する
ように配置および/またはプログラムされる。
【0120】
したがって、装置3および/またはシステム1(より具体的には、電子的および/もしくはソフトウェア手段23ならびに/または処理ユニット2によって)で実施される本発明による方法では、それぞれ32または31のいずれの面がユーザの腕を向いているか、およびそれぞれ32または31のいずれの面がユーザの脇下を向いているか、
面31がユーザの腕を向いており、面32がユーザの脇下を向いている場合、第1のセットのセンサの作動、および第2のセットのセンサの停止、
面32がユーザの腕を向いており、面31がユーザの脇下を向いている場合、第2のセットのセンサの作動、および第1のセットのセンサの停止、
好ましくは、面31および32の中から、面であるとしてユーザの脇下を向いた面の割り当て、
(その通常の使用では、装置3が腕に固定されたままである間、腕は脇下から定期的に分離されるため)より高い振幅および/またはより高い時間周波数で(センサ33-1、33-2、34-1、および/または34-2によって)測定された温度変動を有すること、ならびに/または
(センサ33-1、33-2、34-1、および/または34-2によって)測定された最高温度を有すること
の決定が存在する。
【0121】
図に示されるように、第1のセットの空洞温度センサ(34-1)の数は、第1のセットの皮膚温度センサ(33-1)の数よりも少なく、
図に示されるように、第2のセットの空洞温度センサ(34-2)の数は、第2のセットの皮膚温度センサ(33-2)の数よりも少ない。
さらに、既に説明したように、ゾーンZ33-2およびZ34-2は、互いに少なくとも部分的に対向して、または実質的に隣接しており、第1および第2の面31、32に直交する平面内に突出する。
【0122】
図13aにおいて、ゾーンZ34-2およびZ33-1は、図面を明確にするために、方向Zにおいて互いに対してオフセットされることに留意されたい。しかし、この配置は限定的であると考えるべきではなく、ゾーンZ34-2およびZ33-1は、少なくとも部分的に重ね合わせて配置することができる。
図13bにも、同じコメントが当てはまる。さらに、所与のゾーン内のセンサの数、それらの相対的な分離、およびセンサの異なるゾーンの相対的な載置は、非限定的な例として示されている。
【0123】
有利には、ゾーンZ33-1の軸およびゾーンZ34-2の軸は、2つのゾーンに共通の1つまたは複数の温度センサを有するために重ね合わせることができる。同様に、ゾーンZ33-2の軸およびゾーンZ34-1の軸は、有利には、2つのゾーンに共通の1つまたは複数の温度センサを有するために重ね合わせることができる。これらの構成は、得られた値の精度に関しては同等であるが、同じ情報が捉えられるため、経済的な観点からは、より少ないセンサしか必要とされないという真の利点を有する。
さらに、センサ36、37は図示されていないが、これは必ずしもそれらが存在しないことを意味しない。
言い換えれば、
図13a~
図13dの測定装置3では、2つのレイアウトの温度センサが組み合わされている。これにより、1つの同じ測定装置3で、広範囲の腕径に適合することができる。
【0124】
図13aおよび
図13bの平坦な未着用構成に示されている測定装置3は、2つの異なる位置に従って、その着用構成に巻き付けることができる。
図13cに示される第1の位置では、第1の面31は、着用者の腕に向けられる。この場合、第1のセットのセンサS1が使用される。
図13dに示される第2の位置では、第2の面32は、着用者の腕に向けられる。この場合、第2のセットのセンサS2が使用される。
【0125】
したがって、
図13cの第1の位置にある測定装置3は、例えば、20cm~28cmの円周を有する腕を対象とすることができ、同じ測定装置3を
図13dに示される第2の位置に巻くことができ、有利には、その円周が28cm~40cmである腕に装備することができる。セットの各々におけるセンサS1、S2の配置は、これらの2つの形態学的範囲に適合するように構成される。
【0126】
したがって、介護者が、腕が第1の範囲の周囲値に含まれる周囲を有する患者に対処しているとき、センサは皮膚側に第1の面31を装着させることを選択し、介護者が、腕が第2の範囲の周囲値に含まれる周囲を有する患者に対処しているとき、センサは皮膚側に第2の面32を装着させることを選択する。2つの位置において、測定装置3は、着用者に完全に適合され、必要な精度を有する測定値を提供する。
【0127】
当然のことながら、第2の周囲範囲に必要な測定を行うために、センサの数を最適化し、第1の周囲範囲の面に埋め込まれた温度センサを使用することが可能である。
これらの2つのセットのセンサS1、S2は、測定装置3上に共存し、独立していることに留意されたい。例えば、1つの面が脇下の最上部に載置され、1つの面が少し下に載置される装置、または1つの面が特に左脇下に、もう1つの面が特に右脇下に載置される装置などを提供することが可能である。
【0128】
皮膚温度測定は、非常に正確かつ非常に信頼性が高くなければならない。したがって、高解像度アナログ-デジタル変換器を統合した、人間の健康のための専門的な温度センサ33が好ましい。
正確な空洞温度測定の要件は、皮膚温度測定の場合よりも低い。したがって、熱電対またはサーミスタなどのより単純なセンサ34を選択することが可能であり、これらは実装がより簡単であり、より低コストである。
より簡単にするために、センサ33、34、および35は同一であり、本説明では、特に33、34、35で示される各温度センサは、MAXIMによって製造された「MAX30205 人体温度センサ」で示される温度センサである。
【0129】
前述したような装置3の任意の変形例を含む前述したようなシステム1に実装された、人間の深部体温を決定するための本発明による方法の一実施形態は、
a)本発明による決定システムの少なくとも3つの皮膚温度センサ33によって、時間tにおいてまたは期間pにわたって少なくとも1つの皮膚温度を測定するステップと、
b)本発明による測定および決定システムの測定装置の少なくとも1つの空洞温度センサ34によって、時間tにおいてまたは期間pにわたって少なくとも1つの空洞温度を測定するステップと、
c)測定装置3は、ステップa)、b)で測定された温度データを、送信機38を介して、本発明による測定および決定システムの処理ユニット2を装備する受信機41に送るステップと、
d)処理ユニットの受信機41は、測定された温度データを受信し、温度データを記憶する処理ユニットのメモリ22に送信するステップであって、
処理ユニット2は、各センサ33についての皮膚温度データを比較し、例えばこのセンサ33について測定された温度の平均を使用して、時間tまたは期間pの間の各センサ33についての着用者の皮膚温度を決定し、
処理ユニット2は、1つのまたは各空洞温度センサ34について比較を行い、1つのまたは各センサ34について、例えば各センサ34について測定された温度の平均を使用して、時間tまたは期間pの間の空洞温度を決定する
ステップと、
e)各皮膚温度センサ33および1つのまたは各空洞温度センサ34について保持された温度データの項目に基づいて、時間tまたは少なくとも1つの期間pにわたって、処理ユニット2は、例えば対応表を使用して、ならびに/または決定木の森および/もしくはニューラルネットワークに基づいて決定モデルを適用して、時間tまたは期間pの間の各センサについての温度データ、またはローリング観察期間P中に収集された各センサについての温度データに対応するセットのデータを使用して、着用者の深部体温を決定するステップと
を含む。
【0130】
方法は、ステップa)および/またはb)および/またはその後のステップa)およびb)と並行して行われ、時間tにおいてまたは期間pにわたって少なくとも1つの近位温度を測定することからなるステップf)を含むことができる。この場合、ステップd)は、1つのまたは各近位温度センサ35について単一の値を得る目的で、近位温度測定値の処理によって終了する。したがって、1つのまたは各近位温度センサ35について、処理ユニット2は、値を比較し、例えば各センサ35についての測定温度の平均を使用して、時間tまたは期間pの間のこのセンサ35についての近位温度を決定する。次いで、処理e)は、深部体温を決定するために、他の温度値に加えてこのデータまたはこれらのデータの項目を統合する。
【0131】
前述したような装置3の任意の変形例を含む前述したようなシステム1に実装された、人間の深部体温を決定するための本発明による方法の一実施形態は、以下のステップを含む:
前述のステップa)。
特に本発明による決定システムの少なくとも3つの皮膚センサ33からの、またはそれによって測定された皮膚温度の中から最高値を選択することによって、単一の皮膚温度値を決定するステップa’、ステップa’は、測定装置3または処理ユニット2によって行われる。
前述のステップb。
特に本発明による測定および決定システムの測定装置の少なくとも1つの空洞温度センサ34からの、またはそれによって測定された空洞温度の中から最高値を選択することによって、単一の空洞温度値を決定するステップb’、ステップb’は、測定装置3または処理ユニット2によって行われる。
【0132】
本発明による測定および決定システムの測定装置の少なくとも1つの近位温度センサ35によって、時間tにおいてまたは期間pにわたって少なくとも1つの近位温度を測定するステップFFF。
特に本発明による測定および決定システムの測定装置の少なくとも1つの近位温度センサ35からの、またはそれによって測定された近位温度の中から最高値を選択することによって、単一の近位温度値を決定するステップFFF’、ステップFFF’は、測定装置3または処理ユニット2によって行われる。
【0133】
ステップa’で決定された単一の皮膚温度値およびステップb’で決定された単一の空洞温度値、ステップFFF’で決定された単一の近位温度値に基づいて、処理ユニット2は、例えば対応表を使用して、ならびに/または決定木の森および/もしくはニューラルネットワークに基づいて決定モデルを適用して、時間tまたは期間pの間に収集された皮膚温度、空洞温度、および近位温度データの単一の項目、またはローリング観察期間P中の皮膚温度、空洞温度、および近位温度データに対応するセットのデータを使用して、着用者の深部体温を決定する。
【0134】
深部体温は、前述のように、1つまたは複数の追加の物理化学的データセンサから生じる追加のパラメータの関数として処理ユニット2によって決定することができる。
好ましくは、深部体温の決定は、ステップa)、b)、f)で行われた測定に基づいて、および生理学的覚醒を特徴付けるデータに基づいて行うことができ、前記データは、フォトプレチスモグラフおよび/またはガルバノメータによって測定される。
【0135】
さらにより好ましくは、深部体温の決定は、ステップa)、b)、f)で行われた測定に基づいて、かつ生理学的覚醒を特徴付けるデータに基づいて、かつ例えば3軸加速度計によって測定された位置決めデータに基づいて行うことができる。
好ましくは、深部体温の決定は、一連のステップa)、ステップb)、ステップf)が行われ、生理学的覚醒を特徴付けるセットのデータがこの同じ期間Pにわたって収集される、好ましくはローリング期間P中に行われた測定に基づいて実行することができる。
【0136】
本発明の特徴によれば、着用者の深部体温が時間tまたは少なくとも1つの期間pにわたって決定された後、処理ユニット2は、ステップg)の間、決定された深部体温を表示するように表示装置4に指示することができる。
処理ユニット2は、決定された深部体温に基づいて、ステップh)の間、例えば、測定された深部体温を処理ユニット2のメモリに統合されたデータベースまたはノモグラムに基づく状態と相関させることによって、着用者の状態を決定するように構成および/またはプログラムすることができる。着用者の状態とは、例えば、健康状態、発熱状態、重篤状態を意味する。
【0137】
本発明の特徴によれば、着用者の状態は、ステップi)の間、着用者の状態を表示する表示装置4に処理ユニット2によって通信することができる。
各測定ステップの間、装置3は、好ましくは、着用者102の腕100を少なくとも部分的に囲むその着用構成において、
好ましくは、着用者102の身体の対応する脇下101の近傍で、および/または
好ましくは、測定装置3のZ軸が前記腕100の軸と実質的に一致するように、および/または
好ましくは、測定装置3の第1の面31が着用者102の腕100の皮膚と接触して
ユーザ102によって着用される。
pの値は、好ましくは、センサ33および/または34および/または35について同じである。
Pの値は、pの値と異なる。
Pの値は、pの値よりも大きい。
Pの値は、好ましくはpの値よりも少なくとも3倍大きく、好ましくはpの値よりも少なくとも5倍大きく、好ましくはpの値よりも少なくとも10倍大きい。
pの値は、好ましくは1秒以上、好ましくは5秒以上、好ましくは10秒以上である。
Pの値は、好ましくは30秒以上、好ましくは1分以上である。
【0138】
典型的には、選択される取得周波数は、すべての温度センサについて1Hzである。各温度センサについて、値は30秒ごとに抽出され、したがってp=30’’である。選択されたローリング期間Pは5分であり、言い換えれば、10個の期間pが使用され、したがって中央温度値を推測するために、各センサについて10個の値の記録が使用される。
介護者が取るべき行動を予想するのを助けるために観察された一般的な傾向を介護者に示すために、次の数分間の温度値を予測することを目的とする予測アルゴリズムを推測アルゴリズムに追加することが可能である。
当然のことながら、本発明は、添付の図に記載および表された実施形態に限定されない。特に、様々な要素の構成の観点から、または同等の技術を置換することによって修正が可能であるが、本発明の保護範囲を超えることはない。
【国際調査報告】