(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】可溶性補体受容体1型変異体コンジュゲートおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20220803BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20220803BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20220803BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20220803BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220803BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20220803BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20220803BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220803BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220803BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K16/00 ZNA
C07K14/47
A61P7/02
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K47/64
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573727
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 AU2020050600
(87)【国際公開番号】W WO2020248024
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521541826
【氏名又は名称】シーエスエル・イノベーション・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ハーディー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076CC14
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC21
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
sCR1変異体、およびa)標的に結合して標的によるかそれを通したシグナル伝達を阻害する抗原結合性ドメインを含むタンパク質;またはb)血液凝固因子に結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲート。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートであって、
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)標的に結合して該標的によるかそれを通したシグナル伝達を阻害する抗原結合性ドメインを含むタンパク質、
を含む前記sCR1コンジュゲート。
【請求項2】
sCR1変異体は
(i)配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列;
(ii)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
(iii)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;または
(iv)配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列
を含む、請求項1に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項3】
sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項4】
sCR1変異体は配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して増加した補体阻害活性を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項5】
sCR1変異体は古典的経路、レクチン経路および/または第二補体経路において配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して増加した補体阻害活性を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項6】
sCR1変異体は、
(i)LHR-AおよびLHR-B;
(ii)LHR-A、LHR-BおよびLHR-C;
(iii)LHR-BおよびLHR-C;ならびに
(iv)LHR-B、LHR-CおよびLHR-D
からなる群から選択される長い相同反復(LHR)領域を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項7】
抗原結合性ドメインは標的に結合するかまたは特異的に結合してシグナル伝達を中和する、請求項1~6のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項8】
標的は顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)またはG-CSF受容体(G-CSFR)である、請求項7に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項9】
タンパク質はG-CSFまたはG-CSFRに結合するかまたは特異的に結合してG-CSFシグナル伝達を中和する、請求項1~8のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項10】
タンパク質は抗体の抗原結合性ドメインを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項11】
タンパク質は
(i)単鎖Fv断片(scFv);
(ii)二量体scFv(二scFv);
(iii)ダイアボディ;
(iv)トリアボディ;
(v)テトラボディ;
(vi)Fab;
(vii)F(ab’)
2;
(viii)Fv;
(ix)抗体の定常領域、Fcまたは重鎖定常ドメイン(C
H)2および/またはC
H3に連結した(i)~(viii)のうちの1つ;または
(x)抗体
からなる群から選択される、請求項10に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項12】
タンパク質はG-CSFRに結合するかまたは特異的に結合してG-CSFシグナル伝達を中和するscFvを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項13】
タンパク質は、配列番号48のアミノ酸残基111~115、170~176、218~234および/または286~300から選択される1つまたは2つまたは3つまたは4つの領域の中の残基を含むエピトープに結合する、請求項1~12のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項14】
タンパク質は
(i)配列番号36に示すアミノ酸配列を含むV
Hおよび配列番号37に示すアミノ酸配列を含むV
L;
(ii)配列番号38に示すアミノ酸配列を含むV
Hおよび配列番号39に示すアミノ酸配列を含むV
L;または
(iii)配列番号46に示すアミノ酸配列を含むV
Hおよび配列番号47に示すアミノ酸配列を含むV
L
を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項15】
(i)配列番号49のアミノ酸42~1649に対応するアミノ酸配列;
(ii)配列番号50のアミノ酸42~1649に対応するアミノ酸配列;
(iii)配列番号51のアミノ酸42~1656に対応するアミノ酸配列;
(iv)配列番号52のアミノ酸42~1656に対応するアミノ酸配列;
(v)配列番号53のアミノ酸42~1648に対応するアミノ酸配列;または
(vi)配列番号54のアミノ酸42~1648に対応するアミノ酸配列
を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項16】
可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートであって、
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)血液凝固因子に結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質
を含む前記sCR1コンジュゲート。
【請求項17】
sCR1変異体は
(i)配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列
(ii)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
(iii)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;または
(iv)配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列
を含む、請求項16に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項18】
sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列を含む、請求項16または17に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項19】
sCR1変異体は配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して増加した補体阻害活性を有する、請求項16~18のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項20】
sCR1変異体は古典的経路、レクチン経路および/または第二補体経路において配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して増加した補体阻害活性を有する、請求項16~19のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項21】
sCR1変異体は、
(i)LHR-AおよびLHR-B;
(ii)LHR-A、LHR-BおよびLHR-C;
(iii)LHR-BおよびLHR-C;および
(iv)LHR-B、LHR-CおよびLHR-D
からなる群から選択される長い相同反復(LHR)領域を含む、請求項16~20のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項22】
血液凝固因子は、第I因子、第II因子(プロトロンビン)/トロンビン、第III因子、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子および上述のいずれかの活性型からなる群から選択される、請求項16~21のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項23】
抗原結合性ドメインは血液凝固因子に結合するかまたは特異的に結合し、血液凝固因子の活性に拮抗し、および/またはその活性化に拮抗する、請求項16~22のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項24】
血液凝固因子は第XII因子および/または活性化第XII因子(FXIIa)である、請求項16~23のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項25】
タンパク質は第XII因子および/またはXIIa因子に結合するかまたは特異的に結合し、第XII因子/XIIaの活性に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗する、請求項16~24のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項26】
血液凝固因子は第XI因子および/または活性化第XI因子(FXIa)である、請求項16~23のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項27】
タンパク質は第XI因子および/またはXIa因子に結合するかまたは特異的に結合し、第XI因子/XIaの活性に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗する、請求項16~23または26のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項28】
タンパク質は抗体の抗原結合性ドメインを含む、請求項16~27のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項29】
タンパク質は
(i)単鎖Fv断片(scFv);
(ii)二量体scFv(二scFv);
(iii)ダイアボディ;
(iv)トリアボディ;
(v)テトラボディ;
(vi)Fab;
(vii)F(ab’)
2;
(viii)Fv;
(ix)抗体の定常領域、Fcまたは重鎖定常ドメイン(C
H)2および/またはC
H3に連結した(i)~(viii)のうちの1つ;または
(x)抗体
からなる群から選択される、請求項28に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項30】
タンパク質は第XII因子および/またはXIIa因子に結合するかまたは特異的に結合し、第XII因子/XIIaの活性に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗するscFvを含む、請求項16~25、28または29のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項31】
タンパク質は第XI因子および/またはXIa因子に結合するかまたは特異的に結合し、第XI因子/XIaの活性に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗するscFvを含む、請求項16~23または26~29のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項32】
タンパク質は
(i)配列番号56に示すアミノ酸配列を含むV
Hおよび配列番号57に示すアミノ酸配列を含むV
L;
(ii)配列番号58に示すアミノ酸配列を含むV
Hおよび配列番号59に示すアミノ酸配列を含むV
L;または
(iii)配列番号60に示すアミノ酸配列を含むV
Hおよび配列番号61に示すアミノ酸配列を含むV
L
を含む、請求項16~31のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項33】
(i)配列番号62のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列;
(ii)配列番号63のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列;または
(iii)配列番号64のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列
を含む、請求項16~32のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲート。
【請求項34】
可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートであって、
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)第XII因子および活性化第XII因子(FXIIa)に結合するかまたは特異的に結合するscFvを含むタンパク質
を含む前記sCR1コンジュゲート。
【請求項35】
可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートであって、
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)第XII因子または活性化第XII因子(FXIIa)に結合するかまたは特異的に結合するscFvを含むタンパク質
を含む前記sCR1コンジュゲート。
【請求項36】
可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートであって、
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)第XI因子および活性化第XI因子(FXIa)に結合するかまたは特異的に結合するscFvを含むタンパク質
を含む前記sCR1コンジュゲート。
【請求項37】
可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートであって、
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)第XI因子または活性化第XI因子(FXIa)に結合するかまたは特異的に結合するscFvを含むタンパク質
を含む前記sCR1コンジュゲート。
【請求項38】
組成物であって、請求項1~37のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートならびに医薬担体および/または賦形剤を含む前記組成物。
【請求項39】
対象で補体活性および/またはG-CSF活性を阻害することにおいて使用するための、請求項1~15のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
対象で補体活性および/またはG-CSF活性を阻害する方法であって、請求項1~15のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物を投与することを含む前記方法。
【請求項41】
対象で補体活性および/またはG-CSF活性を阻害するための医薬の製造における、請求項1~15のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物の使用。
【請求項42】
対象で補体活性を阻害すること、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗すること、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗することにおいて使用するための、請求項16~35のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物。
【請求項43】
対象で補体活性を阻害すること、および/または第XI因子/XIaの活性に拮抗すること、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗することにおいて使用するための、請求項16~31もしくは36~37のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物。
【請求項44】
対象で補体活性を阻害し、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗する方法であって、請求項16~35のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物を投与することを含む前記方法。
【請求項45】
対象で補体活性を阻害し、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗する方法であって、請求項16~31もしくは36~37のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物を投与することを含む前記方法。
【請求項46】
対象で補体活性を阻害し、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗するための医薬の製造における、請求項1~35のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物の使用。
【請求項47】
対象で補体活性を阻害し、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗するための医薬の製造における、請求項16~31もしくは36~37のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物の使用。
【請求項48】
対象で疾患または状態を治療または予防することにおける使用のための、請求項1~37のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物。
【請求項49】
対象で疾患または状態を治療または予防する方法であって、請求項1~37のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物を投与することを含む前記方法。
【請求項50】
対象で疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における、請求項1~37のいずれか1項に記載のsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物の使用。
【請求項51】
疾患または状態は補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害である、請求項48に記載の使用のためのsCR1コンジュゲートもしくは組成物、請求項49に記載の方法、または請求項50に記載の使用。
【請求項52】
対象は補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を患っているかまたはその危険がある、請求項39、42、43、48もしくは51のいずれか1項に記載の使用のためのsCR1コンジュゲートもしくは組成物、請求項40、44、45、49もしくは51のいずれか1項に記載の方法、または請求項41、46、47、50もしくは51のいずれか1項に記載の使用。
【請求項53】
補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、炎症性関節状態、炎症性関節炎、炎症性の目の状態、炎症性の肺の状態、炎症性神経学的状態、自己免疫性腸管障害、乾癬、がん(その血管新生を含む)またはその転移、固形臓器移植(例えば、肺および/または腎移植)、移植の前、その間または後の虚血再かん流損傷、遅延した移植機能、喘息およびその悪化形、好中球性皮膚症、好中球性皮膚病巣、再かん流による虚血性脳卒中、神経外傷性障害、体性外傷、虚血-再かん流損傷(心筋IRI、腸管IRI、肝臓IRIおよび/または膵臓IRIを含むIRI)、静脈、動脈または毛細管の血栓形成、心臓の血栓形成、接触媒介血栓炎症、ヒトまたは動物対象の血液を人工表面と接触させる間および/またはその後の血栓形成、間質性肺疾患、炎症、神経学的炎症性疾患、線維素溶解、血管新生、血栓炎症性疾患、FXII/FXII誘導キニン形成に関連した疾患、心房細動、急性冠動脈症候群(ACS)、急性四肢虚血、急性呼吸窮迫症候群(ARDS;または急性肺損傷)、ならびにループス腎炎(急性ループス腎炎または慢性ループス腎炎を含む)からなる群から選択される、請求項39、42、43、48、51もしくは52のいずれか1項に記載の使用のためのsCR1コンジュゲートもしくは組成物、請求項40、44、45、49、51もしくは52のいずれか1項に記載の方法、または請求項41、46、47、50~52のいずれか1項に記載の使用。
【請求項54】
sCR1コンジュゲートは好中球減少を誘導することなく対象で好中球の数を低減するのに十分な量で投与される、請求項39、48、51~53のいずれか1項に記載の使用のためのsCR1コンジュゲートもしくは組成物、請求項40、49、51~53のいずれか1項に記載の方法、または請求項41、50、51~53のいずれか1項に記載の使用。
【請求項55】
対象で補体活性および/またはG-CSF活性を阻害することにおいて使用するためのキットであって、
(a)請求項1~15のいずれか1項に記載の少なくとも1つのsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物;
(b)対象で補体活性および/またはG-CSF活性を阻害することにおいて該キットを使用するための説明書;および
(c)場合により、少なくとも1つのさらなる治療活性化合物または薬物
を含む前記キット。
【請求項56】
対象で補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を治療または予防することにおいて使用するためのキットであって、
(a)請求項1~15のいずれか1項に記載の少なくとも1つのsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物;
(b)対象で補体活性および/またはG-CSF活性を阻害することにおいて該キットを使用するための説明書;および
(c)場合により、少なくとも1つのさらなる治療活性化合物または薬物
を含む前記キット。
【請求項57】
対象で補体活性を阻害すること、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗すること、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗することにおいて使用するためのキットであって、
(a)請求項16~35のいずれか1項に記載の少なくとも1つのsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物;
(b)対象で補体活性を阻害すること、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗すること、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗することにおいて該キットを使用するための説明書;および
(c)場合により、少なくとも1つのさらなる治療活性化合物または薬物
を含む前記キット。
【請求項58】
対象で補体活性を阻害すること、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗すること、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗することにおいて使用するためのキットであって、
(a)請求項16~31もしくは36~37のいずれか1項に記載の少なくとも1つのsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物;
(b)対象で補体活性を阻害すること、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗すること、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗することにおいて該キットを使用するための説明書;および
(c)場合により、少なくとも1つのさらなる治療活性化合物または薬物
を含む前記キット。
【請求項59】
対象で補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を治療または予防することにおいて使用するためのキットであって、
(a)請求項16~35のいずれか1項に記載の少なくとも1つのsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物;
(b)対象で補体活性を阻害すること、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗すること、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗することにおいて該キットを使用するための説明書;および
(c)場合により、少なくとも1つのさらなる治療活性化合物または薬物
を含む前記キット。
【請求項60】
対象で補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を治療または予防することにおいて使用するためのキットであって、
(a)請求項1~31もしくは36~37のいずれか1項に記載の少なくとも1つのsCR1コンジュゲートまたは請求項38に記載の組成物;
(b)対象で補体活性を阻害すること、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗すること、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗することにおいて該キットを使用するための説明書;および
(c)場合により、少なくとも1つのさらなる治療活性化合物または薬物
を含む前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、2019年6月12日に出願の「Soluble complement receptor type I variant conjugates and uses thereof」と題されたオーストラリア特許出願第2019902044号、および2019年6月12日に出願の「Soluble complement receptor type I variant conjugates and uses thereof」と題されたオーストラリア特許出願第2019902053号の優先権を主張する。その両方の全内容はここに参照により組み入れられる。
【0002】
配列表
本出願は、電子フォーマットで配列表とともに出願される。配列表の全内容はここに参照により組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、可溶性補体受容体1型変異体コンジュゲートおよびその使用に関連する。
【背景技術】
【0004】
先天性免疫系は外来の抗原に応答する体の第1の非特異的防御系の1つであり、化学因子の産生、補体カスケードの活性化、および適応的免疫系を通して感染部位へ免疫細胞を動員する役割をし、加えて感染因子への物理的および化学的障壁として作用する。
【0005】
先天性免疫系の一部として、補体系は宿主を補体関連の傷害から保護しながら外来微生物の排除で役割を果たす、いくつかの細胞表面および可溶性のタンパク質で構成される。補体系の活性化は、血管透過性の増加、食細胞の化学向性、炎症性細胞の活性化、外来粒子のオプソニン化、細胞の直接的殺滅および組織傷害につながる。
【0006】
好中球は哺乳動物において最も豊富なタイプの顆粒球および最も豊富な(60%~70%)タイプの白血球であり、先天性免疫系の重要な構成成分である。好中球は、感染部位に移動し、微生物を摂取して微生物を死滅させる酵素を放出することによって感染症との闘いを助ける、先天性免疫系の最初の細胞型の1つである。
【0007】
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は、好中球集団の増大および成熟を促進する。G-CSFは、顆粒球産生の主要な調節因子である。G-CSFは骨髄間質細胞、内皮細胞、マクロファージおよび線維芽細胞によって産生され、産生は炎症性刺激によって誘導される。G-CSFはG-CSF受容体(G-CSFR)を通して作用し、それは初期の骨髄前駆体、成熟した好中球、単球/マクロファージ、TおよびBリンパ球ならびに内皮細胞で発現される。G-CSFまたはG-CSFRが欠損したマウスは著しい好中球減少を示し、定常状態の顆粒球生成におけるG-CSFの重要性を実証する。G-CSFは好中球の産生および放出を増加させ、造血幹細胞および前駆細胞を動員し、成熟した好中球の分化、寿命およびエフェクター機能をモジュレートする。G-CSFは、単球/マクロファージ数の増大、食細胞機能の増強ならびに炎症性サイトカインおよびケモカイン産生の調節を含めて、マクロファージに対して効果を発揮することもできる。G-CSFは内皮前駆細胞を動員して、血管新生を誘導または促進することも示されている。
【0008】
先天性免疫系は対象の保護で重要であるが、この系の調節不全は疾患につながる可能性がある。この調節不全の間に、血液凝固系は先天性免疫系とともに働く。凝固カスケードの活性化は、病原体伝播を制限し、病原体殺滅を支える。
【0009】
正常な血液凝固は、フィブリン形成および血小板凝集に最終的につながる凝固因子(または、凝集因子)カスケードの活性化を含む複雑な生理的および生化学的プロセスを含む、哺乳動物生物学で高度に保存されたプロセスである。血液凝固カスケードは「外因性の」経路、凝固開始の一次手段、およびフィブリンクロットの安定化に寄与する「内因性の」経路を含む。
【0010】
凝固カスケードに関与する大半の凝固因子は、酵素前駆体として知られるタンパク質分解酵素の前駆体である。これらの酵素は非活性型で血液中を循環し、それらが活性化される(例えばタンパク分解性切断によって)場合に凝固カスケードに参加するだけである。
【0011】
第XII因子(FXII、ハーゲマン因子)は、内因性の凝固カスケードの開始のための必須の凝固タンパク質である。活性化FXII(FXIIa)を産生するFXIIの活性化は、第XI因子から第XIa因子への、およびC1エステラーゼ(C1r、C1s)、C1および古典的補体カスケードの巨大分子複合体の第1の構成成分の活性化につながる。FXIの活性化はトロンビン生成および止血経路をもたらす一連のタンパク分解反応につながり、他方、補体系の活性化は、血管透過性の増加、食細胞の化学向性、炎症性細胞の活性化、外来粒子のオプソニン化、細胞の直接的殺滅および組織傷害につながる。
【0012】
内因性凝固カスケードの活性化および古典的補体系の活性化におけるその役割にもかかわらず、第XII因子の欠乏症は出血異常と関連していない。しかし、これらの経路の調節不全は重大な状態につながる可能性があり、FXIIおよび補体欠乏症の両方は病的血栓形成および脳卒中と関連することが示されている。
【0013】
凝固ホメオスタシスの維持において第XII因子の調節および内因性の凝固経路がそうであるように、先天性免疫系は疾患における免疫系で明らかに重要である。しかし、これらの両方の系は多数のタンパク質によって制御され、その多くは異なっている、かつ非冗長性の作用を有する。例えば、補体受容体1型(CR1)は、補体活性化の主要な調節因子である。CR1(C3b/C4b受容体としても知られる)は、赤血球、マクロファージ/単球、顆粒球、B細胞、一部のT細胞、脾臓濾胞性樹状細胞および糸球体足細胞に存在する膜結合タンパク質である。少量の可溶性CR1(sCR1)が、細胞表面CR1から切断される。この可溶性分子の組換え版が以前に生成され、TP10として知られている。CR1はC3活性化の負の調節因子であり、したがって、sCR1は古典的、レクチンおよび第二経路の各々を阻害することができる。補体系の調節不全は、虚血-再かん流損傷、喘息、アレルギー、がんおよび自己免疫性疾患、例えば、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群(SS)、抗リン脂質症候群(APS)、慢性関節リウマチ(RA)、血管炎、多発性硬化症および皮膚筋炎と関連することが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、疾患、例えば補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害における複数の経路を標的化することが可能である治療法を開発する必要性が残されている。向上した活性、例えば増加した補体阻害活性および/または増加した半減期を有するそのような治療法の必要性が当技術分野にあることが、当業者にとって明白になる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の作成において、発明者は、抗原結合性ドメインを含むタンパク質(例えば、G-CSFシグナル伝達を阻害するタンパク質または第XII因子/第XIIa因子の活性化および/または活性に拮抗するタンパク質)にコンジュゲートされている、可溶性補体受容体1型(sCR1)トランケーション変異体、例えば、1つまたはそれ以上の長い相同反復(LHR)領域(すなわち、LHR-A、LHR-B、LHR-Cおよび/またはLHR-D)に対応する規定のアミノ酸配列を含む変異体を作製した。発明者は、sCR1コンジュゲートの場合、発現生成物は可溶性であり、高いレベルでおよび予想されたサイズで発現されることを見出した。発明者は、補体阻害活性についてsCR1コンジュゲートの効果を研究した。重要なことに、発明者は、抗原結合性ドメインを含むタンパク質(例えば、G-CSFシグナル伝達を阻害するタンパク質または第XII因子/第XIIa因子の活性化および/または活性に拮抗するタンパク質)へのsCR1変異体のコンジュゲーションが、補体経路阻害の効力に対して悪影響を及ぼさないことを見出した。
【0016】
発明者による所見は、sCR1変異体および標的に結合して標的によるまたはそれを通したシグナル伝達を阻害する抗原結合性ドメインを含むタンパク質を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートの根拠を提供する。
【0017】
発明者による所見は、sCR1変異体および血液凝固因子に結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートの根拠も提供する。
【0018】
発明者による所見は、sCR1コンジュゲートを対象へ投与することを含む、対象で補体活性を阻害する方法の根拠も提供する。さらに、発明者による所見は、対象で障害、例えば、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を治療または予防する方法の根拠を提供する。
【0019】
本開示は、以下を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを提供する:
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)標的に結合して標的を阻害するかそれに拮抗する抗原結合性ドメインを含むタンパク質。
【0020】
本開示は、以下を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを提供する:
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)標的に結合して標的によるかそれを通したシグナル伝達を阻害する抗原結合性ドメインを含むタンパク質。
【0021】
本開示は、以下を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートも提供する:
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)血液凝固因子に結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質。
【0022】
本開示は、以下を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートも提供する:
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)血液凝集因子の酵素前駆体に結合して血液凝固因子の活性化に拮抗する抗原結合性ドメインを含むタンパク質。
【0023】
一例では、sCR1変異体は以下を含む:
(i)配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸残基1393~1971が欠如している);
(ii)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸残基940~1971が欠如している);
(iii)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸残基1~489および1393~1971が欠如している);または
(iv)配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸残基1~489が欠如している)。
【0024】
一例では、sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸残基1393~1971が欠如している)を含む。
【0025】
一例では、sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;(例えば、配列番号1のアミノ酸残基940~1971が欠如している)を含む。
【0026】
一例では、sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸残基1~489および1393~1971が欠如している)を含む。
【0027】
一例では、sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸残基1~489が欠如している)を含む。
【0028】
一例では、sCR1変異体は以下からなる:
(i)配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列;
(ii)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
(iii)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;または
(iv)配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列
【0029】
一例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列からなるか、または配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸残基1393~1971が欠如している)を含む。発明者は、そのようなsCR1変異体が配列番号1のアミノ酸42~1971を含むsCR1変異体と比較して向上した補体阻害活性を有することを示した。アミノ酸1393~1971のCR1領域はC1qおよびマンノース結合性レクチン(MBL)に結合し、その除去は、補体阻害活性に有害であるかまたは影響を及ぼさないことが合理的に予想することができたので、この所見は予想外であった。
【0030】
一例では、sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列からなる。
【0031】
一例では、sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列からなる。
【0032】
一例では、sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列からなる。
【0033】
一例では、sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸1~1971に対応するアミノ酸配列からなることもそれを含むこともない。
【0034】
一例では、sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸42~1971に対応するアミノ酸配列からなることもそれを含むこともない。
【0035】
一例では、本開示のsCR1変異体は、本明細書に開示されるいずれかの配列の1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠失または挿入を場合により含む。本開示で使用するのに好適なアミノ酸置換は当業者に明らかになり、天然に存在する置換および工学操作された置換を含む。
【0036】
一例では、本開示のsCR1変異体は、本明細書に開示される配列と比較して1つまたはそれ以上の保存的アミノ酸置換を含む。一部の例では、sCR1変異体は、10以下の、例えば、9または8または7または6または5または4または3または2または1つの保存的アミノ酸置換を含む。
【0037】
一例では、本開示のsCR1変異体は、1つまたはそれ以上の非保存的アミノ酸変化を含む。例えば、非保存的アミノ酸置換は、本開示のsCR1変異体の半減期を増加させ、免疫原性を低減し、および/または阻害活性を増加させる。一例では、sCR1変異体は、6または5または4または3または2または1より少ない非保存的アミノ酸置換を含む。
【0038】
一例では、本開示のsCR1変異体は、本明細書に開示される配列と少なくとも約85%または約90%または約95%または約97%または約98%または約99%同一である配列を含む。
【0039】
一例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸残基1393~1971が欠如している)と少なくとも約85%または約90%または約95%または約97%または約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含む。例えば、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列と約85%同一であるアミノ酸配列を含む。一例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列と約90%同一であるアミノ酸配列を含む。別の例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列と約95%同一であるアミノ酸配列を含む。さらなる例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列と約97%同一であるアミノ酸配列を含む。一例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列と約98%同一であるアミノ酸配列を含む。別の例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列と約99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0040】
一例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列と少なくとも約85%または約90%または約95%または約97%または約98%または約99%同一であるアミノ酸配列からなる。例えば、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列と約85%同一であるアミノ酸配列を含む。別の例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列と約90%同一であるアミノ酸配列を含む。別の例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列と約95%同一であるアミノ酸配列を含む。さらなる例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列と約97%同一であるアミノ酸配列を含む。一例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列と約98%同一であるアミノ酸配列を含む。別の例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列と約99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0041】
一例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列と少なくとも約85%または約90%または約95%または約97%または約98%または約99%同一であるアミノ酸配列からなる。例えば、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列と約85%同一であるアミノ酸配列を含む。別の例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列と約90%同一であるアミノ酸配列を含む。別の例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列と約95%同一であるアミノ酸配列を含む。さらなる例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列と約97%同一であるアミノ酸配列を含む。一例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列と約98%同一であるアミノ酸配列を含む。別の例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列と約99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0042】
一例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列と少なくとも約85%または約90%または約95%または約97%または約98%または約99%同一であるアミノ酸配列からなる。例えば、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列と約85%同一であるアミノ酸配列を含む。別の例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列と約90%同一であるアミノ酸配列を含む。別の例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列と約95%同一であるアミノ酸配列を含む。さらなる例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列と約97%同一であるアミノ酸配列を含む。一例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列と約98%同一であるアミノ酸配列を含む。別の例では、sCR1変異体は、配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列と約99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0043】
一例では、本開示のsCR1変異体は、配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して増加した補体阻害活性を有する。例えば、本開示のsCR1変異体の補体阻害活性は、配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して少なくとも約1.5倍、または約2倍、または約3倍、または約3.5倍、または約4倍、または約5倍、または約6倍、または約8倍、または約10倍増加する。
【0044】
sCR1変異体および/またはsCR1コンジュゲートの阻害活性を決定する方法は当業者に明らかになり、および/または本明細書に記載される。一例では、補体阻害活性は、in vitroアッセイを使用して決定される。例えば、補体活性は酵素免疫測定法(例えば、Wieslab(登録商標)補体アッセイキットなどの補体活性化を測定する免疫測定法)を使用して測定される。例えば、補体阻害活性は、補体活性化の間に産生される抗原またはエピトープ(例えば、C5b-9またはC5b-C9に存在するエピトープ)に特異的な標識抗体を使用して決定される。一例では、マイクロタイタープレートのウェルは、古典的、レクチンまたは第二経路の特異的活性化因子でコーティングされる。一例では、sCR1変異体および/またはコンジュゲートは、正常なヒト血清および適当なアッセイ希釈剤(すなわち、古典的、レクチンまたは第二経路の特異的活性化を確保するための適当なブロッキング構成成分を含む希釈剤)とインキュベートされ、古典的、レクチンまたは第二経路の特異的活性化因子でコーティングされたマイクロタイタープレートウェルに加えられ、形成されるC5b-9複合体の量がC5b-9に対する特異的アルカリ性ホスファターゼ標識抗体を使用して検出される。一例では、産生される補体活性化生成物(すなわち、C5b-9)の量は、補体経路の機能的活性に比例する。一例では、半最大阻害濃度(すなわち、IC50)が決定される。例えば、sCR1変異体のIC50が決定され、配列番号2に示す配列を含むsCR1のIC50と比較される。別の例では、補体阻害活性は、溶血アッセイ(例えば、古典経路(すなわち、CH50)および第二経路(ApH50)阻害アッセイ)を使用して決定される。
【0045】
一例では、sCR1変異体は、古典経路、レクチン経路および/または第二補体経路において配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して増加した補体阻害活性を有する。
【0046】
一例では、sCR1変異体は、古典補体経路において配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して増加した阻害活性を有する。例えば、古典補体経路における本開示のsCR1変異体の阻害活性は、配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して少なくとも1.25倍、または約1.5倍、または約1.75倍、または約2倍、または約2.5倍、または約3倍、または約3.5倍、または約4倍、または約5倍増加する。
【0047】
一例では、本開示のsCR1変異体は、古典的補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において配列番号2に示す配列を含むsCR1より低いIC50を有する。例えば、本開示のsCR1変異体は、古典的補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約1.0nM、例えば約0.95nM、または約0.90nM、または約0.85nM、または約0.80nM、または約0.75nM、または約0.70nMより低いIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、古典的補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.85nM~0.90nM、例えば約0.88nMのIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、古典的補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.65nM、または約0.60nM、または約0.55nM、または約0.50nM、または約0.45nM、または約0.40nM、または約0.35nM、または約0.30nM、または約0.25nM、または約0.20nM、または約0.15nMまたは約0.10nMより低いIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、古典的補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.35nM~0.45nM、例えば約0.40nMのIC50を有する。
【0048】
一例では、sCR1コンジュゲートは、古典経路、レクチン経路および/または第二補体経路において本開示の未コンジュゲートsCR1変異体と比較して増加した補体阻害活性を有する。
【0049】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、古典補体経路において本開示の未コンジュゲートsCR1変異体と比較して増加した阻害活性を有する。例えば、古典補体経路における本開示のsCR1コンジュゲートの阻害活性は、本開示の未コンジュゲートsCR1変異体と比較して少なくとも1.25倍、または約1.5倍、または約1.75倍、または約2倍、または約2.5倍、または約3倍、または約3.5倍、または約4倍、または約5倍増加する。
【0050】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、古典的補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において本開示の未コンジュゲートsCR1変異体より低いIC50を有する。一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、古典的補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約1.0nM未満、例えば約0.95nM、または約0.90nM、または約0.85nM、または約0.80nM、または約0.75nM、または約0.70nM、または約0.65nM、または約0.60nMのIC50を有する。一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、古典的補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.75nM~0.80nM、例えば約0.78nMのIC50を有する。一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、古典的補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.60nM~0.65nM、例えば約0.63nMのIC50を有する。一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、古典的補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.65nM、または約0.60nM、または約0.55nM、または約0.50nM、または約0.45nM、または約0.40nM、または約0.35nM、または約0.30nM、または約0.25nM、または約0.20nM、または約0.15nM、または約0.10nMより低いIC50を有する。例えば、約0.48nM。
【0051】
一例では、sCR1変異体は、レクチン補体経路において配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して増加した阻害活性を有する。例えば、レクチン補体経路における本開示のsCR1変異体の阻害活性は、配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して少なくとも1.25倍、または約1.5倍、または約1.75倍、または約2倍、または約2.5倍、または約3倍、または約3.5倍、または約4倍、または約5倍増加する。
【0052】
一例では、本開示のsCR1変異体は、レクチン補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において配列番号2に示す配列を含むsCR1より低いIC50を有する。例えば、本開示のsCR1変異体は、レクチン補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.60nM、または約0.55nM、または約0.50nMより低いIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、レクチン補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.50nM~0.60nM、例えば約0.547nMのIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、レクチン補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.50nM、または約0.45nM、または約0.40nM、または約0.35nM、または約0.30nMより低いIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、レクチン補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.40nM~0.45nM、例えば約0.43nMのIC50を有する。
【0053】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、レクチン補体経路において本開示の未コンジュゲートsCR1変異体と比較して増加した阻害活性を有する。例えば、レクチン補体経路における本開示のsCR1コンジュゲートの阻害活性は、本開示の未コンジュゲートsCR1変異体と比較して少なくとも1.25倍、または約1.5倍、または約1.75倍、または約2倍、または約2.5倍、または約3倍、または約3.5倍、または約4倍、または約5倍増加する。
【0054】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、レクチン補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において本開示の未コンジュゲートsCR1変異体より低いIC50を有する。一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、レクチン補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.70nM、または約0.60nM、または約0.55nM、または約0.50nM、または約0.45nMより低いIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、レクチン補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.50nM~0.60nM、例えば約0.53nMまたは約0.55nMのIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、レクチン補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.45nM~0.50nM、例えば約0.46nMのIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、レクチン補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.50nM、または約0.45nM、または約0.40nM、または約0.35nM、または約0.30nMより低い、例えば約0.37nMのIC50を有する。
【0055】
一例では、sCR1変異体は、第二補体経路において配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して増加した阻害活性を有する。例えば、第二補体経路における本開示のsCR1変異体の阻害活性は、配列番号2に示す配列を含むsCR1と比較して少なくとも1.25倍、または約1.5倍、または約1.75倍、または約2倍、または約2.5倍、または約3倍、または約3.5倍、または約4倍、または約5倍増加する。
【0056】
一例では、本開示のsCR1変異体は、第二補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において配列番号2に示す配列を含むsCR1より低いIC50を有する。例えば、本開示のsCR1変異体は、第二補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.75nM、または約0.70nM、または約0.65nM、または約0.60nM、または約0.55nM、または約0.50nM、または約0.45nM、または約0.40nM、または約0.35nM、または約0.30nM、または約0.25nMより低いIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、第二補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.35nM~約0.40nM、例えば約0.38nMのIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、第二補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.25nM~約0.30nM、例えば約0.27nMのIC50を有する。
【0057】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、第二補体経路において本開示の未コンジュゲートsCR1変異体と比較して増加した阻害活性を有する。例えば、第二補体経路における本開示のsCR1コンジュゲートの阻害活性は、本開示の未コンジュゲートsCR1変異体と比較して少なくとも1.25倍、または約1.5倍、または約1.75倍、または約2倍、または約2.5倍、または約3倍、または約3.5倍、または約4倍、または約5倍増加する。
【0058】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、第二補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において本開示の未コンジュゲートsCR1変異体より低いIC50を有する。一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、第二補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.75nM、または約0.70nM、または約0.65nM、または約0.60nM、または約0.55nM、または約0.50nM、または約0.45nM、または約0.40nM、または約0.35nM、または約0.30nM、または約0.25nMより低いIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、第二補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.35nM~約0.40nM、例えば約0.368nMのIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、第二補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約0.45nM~約0.50nM、例えば約0.479nMのIC50を有する。一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、第二補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約75pM、または約70pM、または約65pM、または約60pM、または約55pM、または約50pM、または約45pM、または約40pM、または約35pM、または約30pM、または約25pMより低いIC50を有する。一例では、本開示のsCR1変異体は、第二補体アッセイ(例えば、Wieslab補体アッセイ)において約50pM~約55pM、例えば約50.22pMまたは約53.55pMのIC50を有する。
【0059】
一例では、本開示のsCR1変異体は、以下からなる群から選択される長い相同反復(LHR)領域を含む:
(i)LHR-AおよびLHR-B;
(ii)LHR-A、LHR-BおよびLHR-C;
(iii)LHR-BおよびLHR-C;ならびに
(iv)LHR-B、LHR-CおよびLHR-D。
【0060】
一例では、本開示のsCR1変異体は、LHR-AおよびLHR-BからなるがLHR-CおよびLHR-Dを欠くLHR領域を含む。
【0061】
一例では、本開示のsCR1変異体は、LHR-A、LHR-BおよびLHR-CからなるがLHR-Dを欠くLHR領域を含む。
【0062】
一例では、本開示のsCR1変異体は、LHR-BおよびLHR-CからなるがLHR-AおよびLHR-Dを欠くLHR領域を含む。
【0063】
一例では、本開示のsCR1変異体は、LHR-B、LHR-CおよびLHR-DからなるがLHR-Aを欠くLHR領域を含む。
【0064】
一例では、LHR領域LHR-Aは、配列番号1のアミノ酸42~489に対応するアミノ酸配列を含む。例えば、LHR-A領域は、配列番号13に示すアミノ酸配列を含む。一例では、LHR領域LHR-Aは、短いコンセンサス反復配列(SCR)である配列1~7を含む。例えば、SCR配列1~3(すなわち、部位1)は、C4bに結合することが可能である。
【0065】
一例では、LHR領域LHR-Bは、配列番号1のアミノ酸490~939に対応するアミノ酸配列を含む。例えば、LHR-B領域は、配列番号14に示すアミノ酸配列を含む。一例では、LHR領域LHR-Bは、SCR配列8~14を含む。例えば、SCR配列8~10(すなわち、部位2)は、C3bおよびC4bに結合することが可能である。
【0066】
一例では、LHR領域LHR-Cは、配列番号1のアミノ酸940~1392に対応するアミノ酸配列を含む。例えば、LHR-C領域は、配列番号15に示すアミノ酸配列を含む。一例では、LHR領域LHR-Cは、SCR配列15~21を含む。例えば、SCR配列15~17は、C3bおよびC4bに結合することが可能である。
【0067】
一例では、LHR領域LHR-Dは、配列番号1のアミノ酸1393~1971に対応するアミノ酸配列を含む。例えば、LHR-D領域は、配列番号16に示すアミノ酸配列を含む。一例では、LHR領域LHR-Dは、SCR配列22~28を含む。例えば、SCR配列22~28は、C1qおよびMBLに結合することが可能である。
【0068】
一例では、本開示のsCR1変異体は、以下からなる群から選択されるSCR配列を含む(またはそれからなる):
(i)SCR-1~SCR-14(例えば、SCR-15~SCR-28を欠く);
(ii)SCR-1~SCR-21(例えば、SCR-22~SCR-28を欠く);
(iii)SCR-8~SCR-21(例えば、SCR-1~SCR-7およびSCR-22~SCR-28を欠く);ならびに
(iv)SCR-8~SCR-28(例えば、SCR-1~SCR-7を欠く)。
【0069】
一例では、本開示のsCR1変異体は、SCR配列SCR-1~SCR-14(例えば、SCR-15~SCR-28を欠く)を含む。
【0070】
一例では、本開示のsCR1変異体は、SCR配列SCR-1~SCR-21(例えば、SCR-22~SCR-28を欠く)を含む。
【0071】
一例では、本開示のsCR1変異体は、SCR配列SCR-8~SCR-21(例えば、SCR-1~SCR-7およびSCR-22~SCR-28を欠く)を含む。
【0072】
一例では、本開示のsCR1変異体は、SCR配列SCR-8~SCR-28(例えば、SCR-1~SCR-7を欠く)を含む。
【0073】
一例では、sCR1変異体は単量体(すなわち、1コピーのsCR1変異体)である。
【0074】
一例では、sCR1変異体は二量体であるかまたは二量体化される(すなわち、2コピーのsCR1変異体が融合タンパク質の中で連結される)。
【0075】
一例では、sCR1変異体は多量体であるかまたは多量体化される(すなわち、複数のコピーのsCR1変異体が融合タンパク質の中で連結される)。
【0076】
一例では、2つ以上の同じsCR1変異体が融合される(すなわち、融合タンパク質として発現される)。
【0077】
一例では、2つ以上の異なるsCR1変異体が融合される(すなわち、融合タンパク質として発現される)。
【0078】
一例では、二量体化または多量体化されたsCR1変異体は、sCR1変異体の間にリンカーを含む。
【0079】
一例では、本開示は、多量体化ドメインを含む2つ以上のsCR1変異体を含む多量体タンパク質を提供し、ここで、多量体化ドメインは相互作用して多量体タンパク質を形成する。
【0080】
一例では、多量体タンパク質中の各sCR1変異体は、1つのsCR1変異体を含む。別の例では、多量体タンパク質中の1つまたはそれ以上のsCR1変異体は2つ以上のsCR1変異体を含み、例えば、これらのsCR1変異体は融合タンパク質の中で連結される。
【0081】
一例では、多量体化ドメインは免疫グロブリンヒンジドメインを含む。
【0082】
一例では、多量体化ドメインは、ロイシンジッパードメイン、シスチンノットまたは抗体Fc領域である。
【0083】
一例では、多量体化sCR1変異体は線状である。
【0084】
一例では、多量体化sCR1変異体は環状である。
【0085】
本開示は、いずれかの例で本明細書に記載される、標的に結合して標的によるかそれを通したシグナル伝達を阻害する抗原結合性ドメインを含むタンパク質にコンジュゲートされるsCR1コンジュゲートを提供する(例えば、sCR1変異体の記載は、sCR1コンジュゲートそれ自体に関する以下の記載に適用されるととるものとする)。
【0086】
本開示は、いずれかの例で本明細書に記載される、血液凝固因子に結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質にコンジュゲートされるsCR1コンジュゲートも提供する(例えば、sCR1変異体の記載は、sCR1コンジュゲートそれ自体に関する以下の記載に適用されるととるものとする)。
【0087】
一例では、sCR1変異体は、抗原結合性ドメインを含むタンパク質に化学的にコンジュゲートされる。別の例では、sCR1変異体は抗原結合性ドメインを含むタンパク質に融合され、例えばそれとの融合タンパク質として発現される。一例では、抗原結合性ドメインを含むタンパク質は、sCR1変異体のC末端にコンジュゲートされる。一例では、抗原結合性ドメインを含むタンパク質は、sCR1変異体のN末端にコンジュゲートされる。
【0088】
一例では、sCR1変異体は抗原結合性ドメインを含むタンパク質にコンジュゲートされ、ここで、抗原結合性ドメインは標的に結合するかまたは特異的に結合して、シグナル伝達を中和する。
【0089】
一例では、タンパク質はG-CSFシグナル伝達を中和する。
【0090】
一例では、標的は顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)またはG-CSF受容体(G-CSFR)である。
【0091】
一例では、G-CSFシグナル伝達を中和するタンパク質は、G-CSFまたはG-CSF受容体(G-CSFR)に結合するかまたは特異的に結合する。一例では、G-CSFシグナル伝達を中和するタンパク質は、G-CSFに結合するかまたは特異的に結合する。一例では、G-CSFシグナル伝達を中和するタンパク質は、G-CSF受容体(G-CSFR)に結合するかまたは特異的に結合する。
【0092】
一例では、タンパク質はG-CSFに結合するかまたは特異的に結合し、G-CSFシグナル伝達を中和する。G-CSF「に結合する」タンパク質または抗体への本明細書での言及は、G-CSF「に特異的に結合する」タンパク質または抗体への文字通りの支持を提供する。
【0093】
一例では、タンパク質はG-CSFRに結合するかまたは特異的に結合し、G-CSFシグナル伝達を中和する。G-CSFR「に結合する」タンパク質または抗体への本明細書での言及は、G-CSFR「に特異的に結合する」タンパク質または抗体への文字通りの支持を提供する。
【0094】
一例では、sCR1変異体は抗原結合性ドメインを含むタンパク質にコンジュゲートされ、ここで、抗原結合性ドメインは血液凝固因子に結合するかまたは特異的に結合し、血液凝固因子の活性に拮抗し、および/またはその活性化に拮抗する。
【0095】
一例では、血液凝固因子は、第I因子、第II因子(プロトロンビン)/トロンビン、第III因子、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子および上述のいずれかの活性型からなる群から選択される。例えば、血液凝固因子は、第XII因子および/または活性化第XII因子(XIIa因子)である。別の例では、血液凝固因子は、第XI因子および/または活性化第XI因子(XIa因子)である。
【0096】
一例では、第XII因子/XIIaに結合するタンパク質は、第XII因子または活性化第XII因子(XIIa因子)に結合するかまたは特異的に結合する。一例では、第XII因子/XIIaに結合するタンパク質は、第XII因子に結合するかまたは特異的に結合する。一例では、第XII因子/XIIaに結合するタンパク質は、活性化第XII因子(XIIa因子)に結合するかまたは特異的に結合する。
【0097】
一例では、タンパク質は第XII因子に結合するかまたは特異的に結合し、第XII因子/XIIaの活性化に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗する。第XII因子「に結合する」タンパク質または抗体への本明細書での言及は、第XII因子「に特異的に結合する」タンパク質または抗体への文字通りの支持を提供する。
【0098】
一例では、タンパク質は活性化第XII因子(XIIa因子)に結合するかまたは特異的に結合し、第XII因子/XIIaの活性化に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗する。活性化第XII因子「に結合する」タンパク質または抗体への本明細書での言及は、活性化第XII因子「に特異的に結合する」タンパク質または抗体への文字通りの支持を提供する。
【0099】
一例では、第XI因子/XIaに結合するタンパク質は、第XI因子または活性化第XI因子(XIa因子)に結合するかまたは特異的に結合する。一例では、第XI因子/XIaに結合するタンパク質は、第XI因子に結合するかまたは特異的に結合する。一例では、第XI因子/XIaに結合するタンパク質は、活性化第XI因子(XIa因子)に結合するかまたは特異的に結合する。
【0100】
一例では、タンパク質は第XI因子に結合するかまたは特異的に結合し、第XI因子/XIa活性を中和する。第XI因子「に結合する」タンパク質または抗体への本明細書での言及は、第XI因子「に特異的に結合する」タンパク質または抗体への文字通りの支持を提供する。
【0101】
一例では、タンパク質は活性化第XI因子(XIa因子)に結合するかまたは特異的に結合し、第XI因子/XIaの活性化に拮抗し、および/または第XI因子/XIaの活性に拮抗する。活性化第XI因子「に結合する」タンパク質または抗体への本明細書での言及は、活性化第XI因子「に特異的に結合する」タンパク質または抗体への文字通りの支持を提供する。
【0102】
一例では、タンパク質は抗体の抗原結合性ドメインを含む。例えば、タンパク質は少なくともVHおよびVLを含み、ここで、VHおよびVLは結合して抗原結合性ドメインを含むFvを形成する。
【0103】
一例では、VHおよびVLは単一のポリペプチド鎖の中にある。例えば、タンパク質は以下の通りである:
(i)単鎖Fv断片(scFv);
(ii)二量体scFv(二scFv);または
(iii)抗体の定常領域、Fcまたは重鎖定常ドメイン(CH)2および/またはCH3に連結した(i)および/または(ii)の少なくとも1つ。
【0104】
一例では、VLおよびVHは別々のポリペプチド鎖の中にある。例えば、タンパク質は以下の通りである:
(i)ダイアボディ;
(ii)トリアボディ;
(iii)テトラボディ;
(iv)Fab;
(v)F(ab’)2;
(vi)Fv;または
(vii)抗体の定常領域、Fcまたは重鎖定常ドメイン(CH)2および/またはCH3に連結した(i)~(vi)のうちの1つ。
【0105】
前述のタンパク質(前の2つのリストに記載される)は、抗体の抗原結合性ドメインと呼ぶこともできる。
【0106】
一例では、タンパク質は抗体またはその抗原結合性断片(例えば、抗体の可変領域を含むscFv)である。例示的な抗体は、例えば、参照により本明細書に組み入れられるWO2012171057に記載される完全長抗体である。追加の例示的な抗体は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、WO2013014092、WO2009067660、WO2009154461、WO2010080623、WO2013167669、WO2016207858、WO2017015619、WO2017162791、WO2017127468およびWO2017218371に記載される。
【0107】
一例では、タンパク質はFc領域を含む。例えば、Fc領域は、ヒトIgG1 Fc領域またはヒトIgG4 Fc領域または安定化ヒトIgG4 Fc領域である。例えば、Fc領域は、ヒトIgG4 Fc領域である。一例では、抗体Fc領域は二量体化を阻止するように改変される(例えば、本明細書に議論されるように)。
【0108】
一例では、本開示のsCR1変異体は、抗体にコンジュゲートされる。一例では、抗体は、sCR1変異体のN末端にコンジュゲートされる。別の例では、抗体は、sCR1変異体のC末端にコンジュゲートされる。例えば、sCR1変異体は配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列からなるか、または配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号1のアミノ酸残基1393~1971が欠如している)を含み、抗体は、sCR1変異体のN末端に融合される。
【0109】
一例では、sCR1変異体は、抗体のFc領域に融合される。一例では、sCR1変異体のC末端は、抗体のFc領域のC末端にコンジュゲートされる。例えば、sCR1変異体のC末端は抗体のFc領域のC末端に架橋している。例えば、sCR1変異体のC末端はシステイン残基を含むことができ、Fc領域のC末端はシステイン残基を含むことができ、システイン残基は架橋している。
【0110】
一例では、タンパク質はscFvを含む。一例では、タンパク質はG-CSFRに結合するかまたは特異的に結合してG-CSFシグナル伝達を中和するscFvを含む。例えば、本開示のsCR1変異体は、G-CSFRに結合するscFvにコンジュゲートされる。一例では、タンパク質は血液凝固因子に結合するかまたは特異的に結合する(および、例えば、血液凝固因子の活性に拮抗するかまたは血液凝固因子の活性化に拮抗する)scFvを含む。例えば、本開示のsCR1変異体は、血液凝固因子、例えば、第XII因子またはXIIa因子または第XI因子またはXIa因子に結合するscFvにコンジュゲートされる。一例では、タンパク質は、第XII因子および/または活性化第XII因子(XIIa因子)に結合するかまたは特異的に結合し、第XII因子/XIIaの活性化に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗するscFvを含む。例えば、本開示のsCR1変異体は、第XII因子に結合するscFvにコンジュゲートされる。別の例では、タンパク質は、第XI因子および/または活性化第XI因子(XIa因子)に結合するかまたは特異的に結合し、第XI因子/XIaの活性化に拮抗し、および/または第XI因子/XIaの活性に拮抗するscFvを含む。例えば、本開示のsCR1変異体は、第XI因子に結合するscFvにコンジュゲートされる。
【0111】
一例では、scFvはsCR1変異体のN末端にコンジュゲートされる。例えば、scFvのC末端はsCR1変異体のN末端にコンジュゲートされる。
【0112】
一例では、scFvはsCR1変異体のC末端にコンジュゲートされる。例えば、scFvのC末端はsCR1変異体のC末端にコンジュゲートされる。
【0113】
別の例では、scFvのN末端はsCR1変異体のC末端にコンジュゲートされる。例えば、scFvのVHのN末端はsCR1変異体のC末端にコンジュゲートされる。例えば、scFvのVLのN末端はsCR1変異体のC末端にコンジュゲートされる。
【0114】
一例では、G-CSFRに結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質は、抗体、すなわち完全長抗体である。別の例では、血液凝固因子に結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質は、抗体、すなわち完全長抗体である。一例では、sCR1変異体は、抗体重鎖のC末端にコンジュゲートされる。例えば、sCR1変異体のC末端は、抗体重鎖のC末端にコンジュゲートされる。
【0115】
例えば、sCR1変異体のC末端は、抗体の重鎖のC末端に架橋している。例えば、sCR1変異体のC末端はシステイン残基を含むことができ、抗体の重鎖のC末端はシステイン残基を含むことができ、システイン残基は架橋している。
【0116】
別の例では、sCR1変異体は、抗体重鎖のN末端にコンジュゲートされる。例えば、sCR1変異体のC末端は、抗体重鎖のC末端にコンジュゲートされる。一例では、sCR1変異体は、抗体重鎖のC末端に融合される。
【0117】
別の例では、sCR1変異体は、抗体軽鎖のN末端にコンジュゲートされる。例えば、sCR1変異体のC末端は、抗体軽鎖のC末端にコンジュゲートされる。一例では、sCR1変異体は、抗体軽鎖のC末端に融合される。
【0118】
お互いにコンジュゲートされるタンパク質に関して本明細書で議論されるように、記載は、追加の構成成分、例えばリンカーがタンパク質の間に含まれてもよいことが理解されるべきである。例えば、抗体重鎖のN末端へのsCR1変異体のコンジュゲーションの記載は、sCR1変異体がリンカー、例えばアミノ酸リンカーによって抗体重鎖のN末端から分離されてもよいことを意味すると理解される。
【0119】
一例では、タンパク質はキメラ、脱免疫化、ヒト化、ヒトまたは霊長類化されている。一例では、タンパク質または抗体はヒトのものである。
【0120】
一例では、タンパク質は、配列番号38に示す配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号39に示す配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む抗体C1.2Gの、G-CSFRへの結合を競合的に阻害する抗体可変領域を含む。
【0121】
一例では、タンパク質は、配列番号48の111~115、170~176、218~234および/または286~300から選択される1つまたは2つまたは3つまたは4つの領域の中の残基を含むエピトープに結合する。
【0122】
一例では、タンパク質は、配列番号36に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号37に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0123】
一例では、タンパク質は、配列番号36に示すアミノ酸配列を含むVHの相補性決定領域(CDR)を含むVH、および配列番号37に示すアミノ酸配列を含むVLのCDRを含むVLを含む抗体またはその抗原結合性断片である。例えば、タンパク質は以下を含む:
(i)以下を含むVH:
(a)配列番号36のアミノ酸25~34に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号36のアミノ酸49~65に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号36のアミノ酸98~108に示す配列を含むCDR3;および/または
(ii)以下を含むVL:
(a)配列番号37のアミノ酸23~33に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号37のアミノ酸49~55に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号37のアミノ酸88~96に示す配列を含むCDR3。
【0124】
一例では、タンパク質は以下を含む:
(i)以下を含むVH:
(a)配列番号40に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号41に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号42に示す配列を含むCDR3;および/または
(ii)以下を含むVL:
(a)配列番号43に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号44に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号45に示す配列を含むCDR3。
【0125】
一例では、タンパク質は配列番号38に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号39に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0126】
一例では、タンパク質は、配列番号38に示すアミノ酸配列を含むVHのCDRを含むVH、および配列番号39に示すアミノ酸配列を含むVLのCDRを含むVLを含む抗体またはその抗原結合性断片である。例えば、タンパク質は以下を含む:
(i)以下を含むVH:
(a)配列番号38のアミノ酸25~34に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号38のアミノ酸49~65に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号38のアミノ酸98~108に示す配列を含むCDR3;および/または
(ii)以下を含むVL:
(a)配列番号39のアミノ酸23~33に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号39のアミノ酸49~55に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号39のアミノ酸88~96に示す配列を含むCDR3。
【0127】
一例では、タンパク質は、配列番号46に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号47に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0128】
一例では、タンパク質は、配列番号46に示すアミノ酸配列を含むVHのCDRを含むVH、および配列番号47に示すアミノ酸配列を含むVLのCDRを含むVLを含む抗体またはその抗原結合性断片である。例えば、タンパク質は以下を含む:
(i)以下を含むVH:
(a)配列番号46のアミノ酸25~34に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号46のアミノ酸49~65に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号46のアミノ酸98~108に示す配列を含むCDR3;および/または
(ii)以下を含むVL:
(a)配列番号47のアミノ酸23~33に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号47のアミノ酸49~55に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号47のアミノ酸88~96に示す配列を含むCDR3。
【0129】
一例では、タンパク質、抗体またはその抗原結合性断片は、前述のタンパク質、抗体または機能的断片のいずれかをコードする核酸によってコードされるタンパク質、抗体またはその機能的断片の任意の形である。
【0130】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは以下を含む:
(i)配列番号49のアミノ酸42~1649に対応するアミノ酸配列;
(ii)配列番号50のアミノ酸42~1649に対応するアミノ酸配列;
(iii)配列番号51のアミノ酸42~1656に対応するアミノ酸配列;
(iv)配列番号52のアミノ酸42~1656に対応するアミノ酸配列;
(v)配列番号53のアミノ酸42~1648に対応するアミノ酸配列;または
(vi)配列番号54のアミノ酸42~1648に対応するアミノ酸配列。
【0131】
一例では、sCR1コンジュゲートは、配列番号49のアミノ酸42~1649に対応するアミノ酸配列からなるか、または配列番号49のアミノ酸42~1649に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号49のアミノ酸残基1~41が欠如している)を含む。
【0132】
一例では、コンジュゲートされたsCR1変異体は、配列番号50のアミノ酸42~1649に対応するアミノ酸配列からなるか、または配列番号50のアミノ酸42~1649に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号50のアミノ酸残基1~41が欠如している)を含む。
【0133】
一例では、コンジュゲートされたsCR1変異体は、配列番号51のアミノ酸42~1656に対応するアミノ酸配列からなるか、または配列番号51のアミノ酸42~1656に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号51のアミノ酸残基1~41が欠如している)を含む。
【0134】
一例では、コンジュゲートされたsCR1変異体は、配列番号52のアミノ酸42~1656に対応するアミノ酸配列からなるか、または配列番号52のアミノ酸42~1656に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号52のアミノ酸残基1~41が欠如している)を含む。
【0135】
一例では、コンジュゲートされたsCR1変異体は、配列番号53のアミノ酸42~1648に対応するアミノ酸配列からなるか、または配列番号53のアミノ酸42~1656に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号53のアミノ酸残基1~41が欠如している)を含む。
【0136】
一例では、コンジュゲートされたsCR1変異体は、配列番号54のアミノ酸42~1656に対応するアミノ酸配列からなるか、または配列番号54のアミノ酸42~1656に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号54のアミノ酸残基1~41が欠如している)を含む。
【0137】
一例では、タンパク質は、配列番号56に示す配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号57に示す配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む抗体3F7の、第XII因子への結合を競合的に阻害する抗体可変領域を含む。
【0138】
一例では、タンパク質は、配列番号58に示す配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号59に示す配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む生殖系列抗体3F7(3F7G)の、第XII因子への結合を競合的に阻害する抗体可変領域を含む。
【0139】
一例では、タンパク質は、配列番号60に示す配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号61に示す配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む親和性成熟抗体3F7(3F7aff)の、第XII因子への結合を競合的に阻害する抗体可変領域を含む。
【0140】
一例では、タンパク質は、配列番号56に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号57に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0141】
一例では、タンパク質は、配列番号56に示すアミノ酸配列を含むVHの相補性決定領域(CDR)を含むVH、および配列番号57に示すアミノ酸配列を含むVLのCDRを含むVLを含む抗体またはその抗原結合性断片である。例えば、タンパク質は以下を含む:
(i)以下を含むVH:
(a)配列番号56のアミノ酸25~34に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号56のアミノ酸49~65に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号56のアミノ酸98~108に示す配列を含むCDR3;および/または
(ii)以下を含むVL:
(a)配列番号57のアミノ酸23~33に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号57のアミノ酸49~55に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号57のアミノ酸88~96に示す配列を含むCDR3。
【0142】
一例では、タンパク質は、配列番号58に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号59に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0143】
一例では、タンパク質は、配列番号58に示すアミノ酸配列を含むVHの相補性決定領域(CDR)を含むVH、および配列番号59に示すアミノ酸配列を含むVLのCDRを含むVLを含む抗体またはその抗原結合性断片である。例えば、タンパク質は以下を含む:
(i)以下を含むVH:
(a)配列番号58のアミノ酸25~34に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号58のアミノ酸49~65に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号58のアミノ酸98~108に示す配列を含むCDR3;および/または
(ii)以下を含むVL:
(a)配列番号59のアミノ酸23~33に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号59のアミノ酸49~55に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号59のアミノ酸88~96に示す配列を含むCDR3。
【0144】
一例では、タンパク質は、配列番号60に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号61に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0145】
一例では、タンパク質は、配列番号60に示すアミノ酸配列を含むVHの相補性決定領域(CDR)を含むVH、および配列番号61に示すアミノ酸配列を含むVLのCDRを含むVLを含む抗体またはその抗原結合性断片である。
例えば、タンパク質は以下を含む:
(i)以下を含むVH:
(a)配列番号60のアミノ酸25~34に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号60のアミノ酸49~65に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号60のアミノ酸98~108に示す配列を含むCDR3;および/または
(ii)以下を含むVL:
(a)配列番号61のアミノ酸23~33に示す配列を含むCDR1;
(b)配列番号61のアミノ酸49~55に示す配列を含むCDR2;および
(c)配列番号61のアミノ酸88~96に示す配列を含むCDR3。
【0146】
一例では、タンパク質、抗体またはその抗原結合性断片は、前述のタンパク質、抗体または機能的断片のいずれかをコードする核酸によってコードされるタンパク質、抗体またはその機能的断片の任意の形である。
【0147】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは以下を含む:
(i)配列番号62のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列;
(ii)配列番号63のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列;または
(iii)配列番号64のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列。
【0148】
一例では、sCR1コンジュゲートは、配列番号62のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列からなるか、または、配列番号62のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号62のアミノ酸残基1~41が欠如している)を含む。
【0149】
一例では、sCR1コンジュゲートは、配列番号63のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列からなるか、または、配列番号63のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号63のアミノ酸残基1~41が欠如している)を含む。
【0150】
一例では、sCR1コンジュゲートは、配列番号64のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列からなるか、または、配列番号64のアミノ酸42~1663に対応するアミノ酸配列(例えば、配列番号64のアミノ酸残基1~41が欠如している)を含む。
【0151】
一例では、本開示は、以下を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを提供する:
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)第XII因子および活性化第XII因子(FXIIa)に結合するかまたは特異的に結合するscFvを含むタンパク質。
【0152】
別の例では、本開示は、以下を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを提供する:
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)第XII因子または活性化第XII因子(FXIIa)に結合するかまたは特異的に結合するscFvを含むタンパク質。
【0153】
一例では、本開示は、以下を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを提供する:
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)第XI因子および活性化第XI因子(FXIa)に結合するかまたは特異的に結合するscFvを含むタンパク質。
【0154】
別の例では、本開示は、以下を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを提供する:
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)第XI因子または活性化第XI因子(FXIa)に結合するかまたは特異的に結合するscFvを含むタンパク質。
【0155】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、配列番号2に示すsCR1を含むsCR1コンジュゲートと比較してより長い血清半減期を有する。増加した血清半減期および血清半減期を決定するためのアッセイの例は本明細書に記載されており、必要な変更を加えて本開示のこの例に適用されるととることができる。
【0156】
本開示は、本開示のsCR1コンジュゲートおよび医薬担体および/または賦形剤を含む組成物も提供する。
【0157】
本開示は対象で補体活性を阻害する方法であって、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0158】
本開示は、対象でG-CSF活性を阻害する方法であって、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を投与することを含む方法も提供する。
【0159】
一例では、本開示は、対象で補体活性およびG-CSF活性を阻害する方法を提供する。
【0160】
本開示は、対象で疾患または状態を治療または予防する方法であって、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を投与することを含む方法も提供する。
【0161】
一例では、本開示は、対象で補体活性およびG-CSF活性を阻害することにおいて使用するための、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を提供する。例えば、本開示は、対象で補体活性を阻害することにおいて使用するための、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を提供する。別の例では、本開示は、対象でG-CSF活性を阻害することにおいて使用するための、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を提供する。
【0162】
一例では、本開示は、対象で補体活性を阻害すること、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗すること、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗することにおいて使用するための、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を提供する。一例では、本開示は、対象で補体活性を阻害すること、および/または第XI因子/XIaの活性に拮抗すること、および/または第XI因子/XIaの活性化に拮抗することにおいて使用するための、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を提供する。例えば、本開示は、対象で補体活性を阻害することにおいて使用するための、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を提供する。別の例では、本開示は、対象で第XII因子/XIIaの活性化に拮抗することにおいて使用するための、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を提供する。別の例では、本開示は、対象で第XII因子/XIIaの活性に拮抗することにおいて使用するための、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を提供する。さらなる例では、本開示は、対象で第XI因子/XIaの活性化に拮抗することにおいて使用するための、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を提供する。さらなる例では、本開示は、対象で第XI因子/XIaの活性に拮抗することにおいて使用するための、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を提供する。
【0163】
一例では、本開示は、対象で疾患または状態を治療または予防することにおいて使用するための、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を提供する。
【0164】
一例では、本開示は、対象で補体活性およびG-CSF活性を阻害するための医薬の製造における本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物の使用を提供する。例えば、本開示は、対象で補体活性を阻害するための医薬の製造における本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物の使用を提供する。別の例では、本開示は、対象でG-CSF活性を阻害するための医薬の製造における本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物の使用を提供する。
【0165】
一例では、本開示は、対象で補体活性を阻害し、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗するための医薬の製造における本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物の使用を提供する。別の例では、本開示は、対象で補体活性を阻害し、および/または第XI因子/XIaの活性に拮抗し、および/または第XI因子/XIaの活性化に拮抗するための医薬の製造における本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物の使用を提供する。例えば、本開示は、対象で補体活性を阻害するための医薬の製造における本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物の使用を提供する。別の例では、本開示は、対象で第XII因子/XIIaの活性に拮抗し、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗するための医薬の製造における本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物の使用を提供する。さらなる例では、本開示は、対象で第XI因子/XIaの活性に拮抗し、および/または第XI因子/XIaの活性化に拮抗するための医薬の製造における本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物の使用を提供する。
【0166】
一例では、本開示は、対象で疾患または状態の治療または予防のための医薬の製造における本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物の使用を提供する。
【0167】
一例では、対象は本開示のsCR1コンジュゲートによる処置を必要とする(すなわち、それを必要とする)。
【0168】
一例では、疾患または状態は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害である。例えば、対象は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を患っているかまたはその危険がある。
【0169】
一例では、対象は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を患う。
【0170】
一例では、対象は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を患っていると診断されている。
【0171】
一例では、対象は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害のための処置を受けている。
【0172】
本明細書に記載されるいずれかの方法の一例では、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の発生の前か後に投与される。本明細書に記載されるいずれかの方法の一例では、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の発生の前に投与される。本明細書に記載されるいずれかの方法の一例では、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の発生の後に投与される。
【0173】
一例では、対象は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を起こす危険がある。
【0174】
一例では、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の症状の発生の前か後に投与される。一例では、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の症状の発生の前に投与される。一例では、sCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の症状の発生の後に投与される。一例では、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の症状の1つまたはそれ以上を軽減または低減する用量で投与される。
【0175】
補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の症状は当業者に明らかになり、状態に依存する。補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の例示的な症状には、例えば以下のものが含まれる:
・再発感染症;
・関節炎;
・筋力低下;
・皮膚の発疹または変色;
・水腫、特に四肢(例えば、足、手、脚または腕)または目における;
・腹痛;
・呼吸困難(例えば、喘鳴、息切れ、胸部締めつけおよび/または咳);
・吐き気;
・疲労;
・血尿症;
・潰瘍
・部分的または完全な麻痺;
・劣った認知能力;
・患部における疼痛、腫脹および圧痛;
・患部における鈍痛または激痛;
・血栓領域の温かい皮膚;
・赤色皮膚;
・胸痛;および
・片方の腕または脚における急激な筋力低下。
【0176】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、補体系の一次調節不全、自己免疫障害、急性損傷、がん(転移を含む)および/または炎症性状態によって引き起こされる。例えば、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、炎症性関節状態、炎症性関節炎、炎症性目状態、炎症性肺状態、炎症性神経学的状態、自己免疫性腸管障害、乾癬、がん(その血管新生を含む)またはその転移、固形臓器移植(例えば、肺および/または腎移植(抗体媒介拒絶を含む))、移植の前、間または後の虚血再かん流損傷、遅延した移植機能、喘息およびその悪化形、好中球性皮膚症、好中球性皮膚病巣、再かん流による虚血性脳卒中、神経外傷性障害、体性外傷、虚血-再かん流損傷(心筋IRI、腸管IRI、肝臓IRIおよび/または膵臓IRIを含むIRI)、静脈、動脈または毛細管の血栓形成、心臓の血栓形成、接触媒介血栓炎症、ヒトまたは動物対象の血液の人工表面との接触の間および/または後の血栓形成、間質性肺疾患、炎症、神経学的炎症性疾患、線維素溶解、血管新生、血栓炎症性疾患、FXII/FXII誘導キニン形成に関連した疾患、心房細動、急性冠動脈症候群(ACS)、急性四肢虚血、急性呼吸器窮迫症候群(ARDS;または急性肺損傷)、ならびにループス腎炎(急性ループス腎炎または慢性ループス腎炎を含む)からなる群から選択される。
【0177】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非定型的溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血小板減少性紫斑病(TTP)、血栓性微小血管障害、C3糸球体症、膜性増殖性糸球体腎炎(抗Thy1糸球体腎炎、抗conA散在性増殖性糸球体腎炎および/または受動ハイマン腎炎を含む)、および/またはギランバレー症候群、重症筋無力症(自己免疫性重症筋無力症、脱髄性アレルギー性脳脊髄炎、IgG免疫複合体肺胞炎、逆受動アルチュス反応を含む)、全身性エリテマトーデス(SLE)、IgA腎症、自己免疫性溶血性貧血、天疱瘡(尋常性天疱瘡を含む)、類天疱瘡(水疱性類天疱瘡を含む)、抗リン脂質症候群、多発外傷、血液透析、感染後HUS、黄斑変性症、ANCA関連血管炎、アテローム硬化症、気分障害、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパシー(CIDP)、アナフィラキシー、脳マラリア、皮膚筋炎、骨関節炎、認知症、緑内障、糖尿病性脈管症、心筋梗塞、抗糸球体基底膜(GBM)腎炎(または、グッドパスチャー症候群)、自己免疫性てんかん、ヘルペス状皮膚炎、多発血管炎を有する好酸性肉芽腫症(EGPA;またはチャーグ-ストラウス症候群)、シェーグレン症候群およびシェーグレン症候群血管炎からなる群から選択される。
【0178】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は炎症性関節状態である。例えば、炎症性関節状態は、炎症性関節炎、慢性関節リウマチまたは特発性関節炎、例えば若年性特発性関節炎である。一例では、炎症性関節炎は乾癬性関節炎である。
【0179】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は炎症性の目の状態である。例えば、炎症性の目の状態はブドウ膜炎である。
【0180】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は炎症性の肺の状態である。例えば、炎症性の肺の状態は、好中球浸潤に関連した肺疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)およびその悪化形(例えば、急性の悪化したCOPD(AECOPD)およびそれから起こる合併症またはその徴候、例えば、慢性気管支炎、酸化ストレス、気腫、粘液過分泌、不整脈または肺炎および肺がん)である。
【0181】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は炎症性の神経学的状態である。例えば、炎症性神経学的状態は、ドヴィック病(視神経脊髄炎)、脳のウイルス感染症、または多発性硬化症(慢性進行性の多発性硬化症または再発寛解型多発性硬化症を含む)である。
【0182】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は自己免疫性腸障害である。例えば、自己免疫性腸障害はクローン病または潰瘍性大腸炎である。
【0183】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は乾癬である。
【0184】
一例では、がん(その血管新生を含む)またはその転移。
【0185】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は固形臓器移植である。例えば、固形臓器移植は肺移植である。さらなる例では、固形臓器移植は腎移植である。
【0186】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、移植の前、その間またはその後の虚血再かん流損傷である。
【0187】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は遅延した移植機能である。
【0188】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は喘息およびその悪化形である。例えば、喘息およびその悪化形は、アレルギー性喘息、好中球性喘息、混合顆粒球喘息、重度の喘息、中等度の喘息、制御不十分か無制御の喘息、抗療性の喘息または慢性喘息である。
【0189】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、好中球性皮膚症または好中球性の皮膚病巣である。例えば、好中球性皮膚症は、膿疱性乾癬、しわの非微生物性膿疱症(APF);CARD14媒介膿疱性乾癬(CAMPS);クリオピリン関連周期性症候群(CAPS);インターロイキン1受容体欠乏症(DIRA);インターロイキン36受容体アンタゴニスト欠乏症(DIRTA);化膿性汗腺炎(HS);掌蹠膿疱症;化膿性関節炎;壊疽性膿皮症およびにきび(PAPA);壊疽性膿皮症、にきびおよび化膿性汗腺炎(PASH);壊疽性膿皮症(PG);ベーチェット病の皮膚病巣;スチル病;スイート症候群;角層下膿疱症(スネッドン-ウィルキンソン);膿疱性乾癬;掌蹠膿疱症;急性の全身性発疹膿疱症;乳児の先端膿疱症;滑膜炎、にきび、膿疱症;骨化過剰および骨炎(SAPHO)症候群;腸関連皮膚症-関節炎症候群(BADAS);手の甲の好中球性皮膚症;好中球性エクリン汗腺炎;持久性隆起性紅斑;および壊疽性膿皮症からなる群から選択される。
【0190】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、再かん流による虚血性脳卒中である。例えば、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、脳卒中の二次態様(例えば、虚血性または出血性脳卒中の二次態様)である。
【0191】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は神経外傷性障害である。例えば、神経外傷性障害は、脊髄損傷および外傷性脳損傷を含む中枢神経系(CNS)の外傷性損傷である。一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は脊髄損傷である。別の例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は外傷性脳損傷である。
【0192】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は虚血-再かん流損傷(IRI)である。例えば、IRIは天然の事象(例えば、心筋梗塞の後の血流の復旧)、外傷、または、血液供給の減少を受けた組織または臓器への血流を回復する1つまたはそれ以上の外科的処置または他の治療的介入によって引き起こされる。そのような外科的処置は、例えば、冠状動脈バイパス移植手術、冠動脈再建術、臓器移植手術、選択的手術、再建手術、血管の手術、心臓手術、外傷手術、クラッシュもしくは挫傷手術、がん手術、整形外科手術、移植または最小限侵襲的手術を含むことができる。一例では、外科的処置は、薬理活性物質、例えば血栓溶解剤または血管拡張薬の送達用の器具、または完全もしくは部分的閉塞、例えば血管の閉塞を機械的に除去する器具の挿入を含むことができる。
【0193】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は静脈、動脈または毛細管の血栓である。例えば、静脈または動脈の血栓は、脳卒中、心筋梗塞、深在性静脈血栓症(DVT)、門脈血栓症、血栓塞栓症、腎静脈血栓症、頸静脈血栓症、脳静脈洞血栓症、バッド-キアリ症候群、無症候性脳虚血(SBI)およびパジェット-シュレッター病からなる群から選択される疾患または状態に関連する。
【0194】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は慢性および/または急性の血栓塞栓症である。例えば、慢性および/または急性の血栓塞栓症は、心房細動によって誘導された血栓形成(例えば、心房細動での脳卒中予防(SPAF))に続く肺塞栓症、脳血栓塞栓症である。
【0195】
一例では、脳卒中は血栓性脳卒中である。別の例では、脳卒中は心房細動における脳卒中予防(SPAF)である。
【0196】
一例では、血栓塞栓症は肺塞栓症である。別の例では、血栓塞栓症は全身性塞栓である。さらなる例では、血栓塞栓症は慢性血栓塞栓性肺高血圧である。
【0197】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は接触媒介血栓炎症である。
【0198】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は心房細動である。
【0199】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は急性冠動脈症候群(ACS)である。
【0200】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は急性の四肢虚血である。
【0201】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、ヒトまたは動物対象の血液の人工表面との接触の間のおよび/またはその後の血栓形成である。例えば、弁置換、ステント、経皮的冠動脈介入(PCI)、体外膜酸素投与(ECMO)を有するかまたは心肺バイパス術(CPB手術)を受けている対象において。
【0202】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は間質性肺疾患である。例えば、間質性肺疾患は、線維増殖性および/または特発性の肺線維症である。
【0203】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は炎症である。例えば、炎症は神経学的炎症性疾患(または、神経炎症性疾患)である。一例では、神経学的炎症性疾患は、脊髄損傷(SCI)、脳卒中、外傷性脳損傷(TBI)、二次性脳水腫、中枢神経系の水腫、多発性硬化症(MS)、横断脊髄炎または視神経脊髄炎(ドヴィック病)である。
【0204】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は線維素溶解である。
【0205】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は血管新生である。
【0206】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は血栓炎症性疾患である。
【0207】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害はFXII/FXII誘導キニン形成に関連した疾患である。例えば、この疾患は遺伝性血管性水腫、肺の細菌感染症、トリパノソーマ感染症、低血圧ショック、膵臓炎、シャーガス病、関節痛風、関節炎、播種性血管内血液凝固(DIC)および敗血症からなる群から選択される。
【0208】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害はループス腎炎である。例えば、ループス腎炎は急性ループス腎炎または慢性ループス腎炎である。
【0209】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は全身性エリテマトーデス(SLE)である。
【0210】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は急性呼吸器窮迫症候群(ARDS;または、急性肺損傷)である。例えば、ARDSは軽度、中等度または重度のARDSである。
【0211】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)である。
【0212】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は非定型的溶血性尿毒症症候群(aHUS)である。
【0213】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は血小板減少性紫斑病(TTP)である。
【0214】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は血栓性微小血管障害である。
【0215】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害はC3糸球体症である。例えば、C3糸球体症は、膜性増殖性糸球体腎炎(抗Thy1糸球体腎炎、抗conA散在性増殖性糸球体腎炎および/または受動ハイマン腎炎を含む)である。
【0216】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害はギランバレー症候群である。
【0217】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は重症筋無力症である。例えば、重症筋無力症は自己免疫性重症筋無力症、脱髄性アレルギー性脳脊髄炎、IgG免疫複合体肺胞炎または逆受動アルチュス反応である。
【0218】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害はIgA腎症である。
【0219】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は自己免疫性溶血性貧血である。
【0220】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は天疱瘡である。例えば、天疱瘡は尋常性天疱瘡である。
【0221】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は類天疱瘡である。例えば、類天疱瘡は水疱性類天疱瘡である。
【0222】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は抗リン脂質症候群である。
【0223】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は多発外傷である。
【0224】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は血液透析である。
【0225】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は感染後溶血性尿毒症症候群(HUS)である。
【0226】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は黄斑変性症である。
【0227】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害はANCA関連の血管炎である。
【0228】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害はアテローム硬化症である。
【0229】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は気分障害である。
【0230】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパシー(CIDP)である。
【0231】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害はアナフィラキシーである。
【0232】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は脳マラリアである。
【0233】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は皮膚筋炎である。
【0234】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は骨関節炎である。
【0235】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は認知症である。
【0236】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は緑内障である。
【0237】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は糖尿病性脈管症である。
【0238】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は心筋梗塞である。
【0239】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は抗糸球体基底膜(GBM)腎炎(または、グッドパスチャー症候群)である。
【0240】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は自己免疫性てんかんである。
【0241】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害はヘルペス皮膚炎である。
【0242】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は多発血管炎を有する好酸性肉芽腫症(EGPA;または、チャーグ-ストラウス症候群)である。
【0243】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害はシェーグレン症候群である。例えば、障害はシェーグレン症候群血管炎である。
【0244】
一例では、対象は、予防的処置を必要とする状態を有する。
【0245】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、対象における補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の重症度を低減する量で対象に投与される。
【0246】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、好中球減少を誘導することなく対象で好中球の数を低減するのに十分な量で対象に投与される。
【0247】
本明細書に記載されるいずれかの方法の一例では、対象は哺乳動物、例えばヒトなどの霊長類である。
【0248】
本明細書に記載される処置の方法は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の影響を低減、治療または予防するためにさらなる化合物を投与することをさらに含むことができる。
【0249】
本開示は、本開示の少なくとも1つのsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を、対象で補体活性および/またはG-CSF活性を阻害することにおいて使用するための説明書と一緒にパッケージされて含むキットを提供する。場合により、キットはさらなる治療活性化合物または薬物を追加的に含む。
【0250】
本開示は、本開示の少なくとも1つのsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を、対象で補体活性を阻害すること、および/または第XII因子/XIIaの活性に拮抗すること、および/または第XII因子/XIIaの活性化に拮抗することにおいて使用するための説明書と一緒にパッケージされて含むキットも提供する。場合により、キットはさらなる治療活性化合物または薬物を追加的に含む。
【0251】
本開示は、本開示の少なくとも1つのsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を、対象で補体活性を阻害すること、および/または第XI因子/XIaの活性に拮抗すること、および/または第XI因子/XIaの活性化に拮抗することにおいて使用するための説明書と一緒にパッケージされて含むキットも提供する。場合により、キットはさらなる治療活性化合物または薬物を追加的に含む。
【0252】
本開示は、本開示の少なくとも1つのsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を、対象で補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を治療または予防することにおいて使用するための説明書と一緒にパッケージされて含むキットをさらに提供する。場合により、キットはさらなる治療活性化合物または薬物を追加的に含む。
【0253】
本開示は、本開示の少なくとも1つのsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を、コンジュゲートまたは組成物を補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を患っているかまたは患う危険がある対象に投与するための説明書と一緒に、場合によりさらなる治療活性化合物または薬物と組み合わせてパッケージされて含むキットも提供する。
【0254】
本開示のsCR1コンジュゲートまたは組成物の例示的な効果は本明細書に記載されており、前の5つの段落に示す本開示の例に必要な変更を加えて適用されるととることができる。
【図面の簡単な説明】
【0255】
【
図1】血漿半減期に及ぼすsCR1(1392)-8Hisのシアリル化の影響を示す図面である。
【0256】
配列表への鍵
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【発明を実施するための形態】
【0257】
一般
この明細書全体で、別途具体的に明記されない限り、または文脈が別途要求しない限り、単一の工程、物質の組成物、工程群または物質の組成物の群への言及は、それらの工程、物質の組成物、工程群または物質の組成物の群の1つおよび複数(すなわち、1つまたはそれ以上)を包含するととるものとする。
【0258】
当業者は、本開示が具体的に記載されるもの以外の変更および修正を受けやすいことを理解する。本開示は全てのそのような変更および修正を含むことを理解すべきである。本開示は、個々にまたは一括してこの明細書で言及または指示される工程、構成、組成物および化合物の全て、ならびに前記工程または構成のあらゆる組合せまたは任意の2つ以上も含む。
【0259】
本開示は、例示だけを目的とする本明細書に記載される具体的な例によって範囲が限定されるものではない。機能的に同等の生成物、組成物および方法は、明らかに本開示の範囲内である。
【0260】
本明細書において、本開示のいずれの例も、別途特記されない限り本開示の任意の他の例に必要な変更を加えて適用されるととるべきである。言い換えると、本開示のいずれの具体的な例も、本開示のいずれの他の具体的な例と組み合わせることができる(互いに排他的な場合を除き)。
【0261】
具体的な構成または構成の群または方法または方法工程を開示する本開示のいずれの例も、具体的な構成または構成の群または方法または方法工程を否定するための明確な支持を提供するととられる。
【0262】
別途具体的に規定されない限り、本明細書で使用される全ての専門用語および科学用語は、当分野の(例えば、細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学および生化学の)当業者が一般に理解するのと同じ意味を有するととるべきである。
【0263】
別途指示がない限り、本開示で利用される組換えタンパク質、細胞培養および免疫学的技術は、当業者に周知である標準方法である。そのような技術は、J.Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning、John Wiley and Sons(1984)、J.Sambrook等Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989)、T.A.Brown(編)、Essential Molecular Biology:A Practical Approach、第1巻および2巻、IRL Press(1991)、D.M.GloverおよびB.D.Hames(編)、DNA Cloning:A Practical Approach、第1~4巻、IRL Press(1995年および1996年)、ならびにF.M.Ausubel等(編)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの全ての最新版を含む)、Ed HarlowおよびDavid Lane(編)Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory、(1988)およびJ.E.Coligan等(編)Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons(現在までの全ての最新版を含む)などの出典の文献全体で記載および説明される。
【0264】
本明細書における可変領域およびその部分、免疫グロブリン、抗体およびその断片の記載および定義は、カバットのSequences of Proteins of Immunological Interest、National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1987年および1991年、Bork等、J Mol.Biol.242巻、309~320頁、1994年、ChothiaおよびLesk J.Mol Biol.196巻:901~917頁、1987年、Chothia等Nature 342巻、877~883頁、1989年および/またはAl-Lazikani等、J Mol Biol 273巻、927~948頁、1997年での議論によってさらに明快にすることができる。
【0265】
用語「および/または」、例えば「Xおよび/またはY」は、「XおよびY」または「XまたはY」を意味すると理解すべきであり、両方の意味またはいずれかの意味のための明確な支持を提供するととるべきである。
【0266】
本明細書全体で、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変異形は、明示される要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群が含まれることを暗示するが、いかなる他の要素、整数もしくは工程または要素、整数もしくは工程の群が除外されることを暗示するものでないことが理解される。
【0267】
本明細書で使用されるように、用語「から導かれる」は、特定される整数は特定の供与源から得ることができるが、必ずしもその供与源から直接的に得られる必要はないことを示すととるべきである。
【0268】
選択された定義
C3b/C4b受容体またはCD35としても知られる補体受容体1型(CR1)は、補体活性化の調節因子のファミリーのメンバーである。CR1は赤血球、単球/マクロファージ、顆粒球、B細胞、一部のT細胞、脾臓濾胞性樹状細胞および糸球体足細胞の膜に存在し、活性化補体を有する粒子および免疫複合体への細胞結合を媒介する。コードされるタンパク質は、41アミノ酸のシグナルペプチド、1930残基の細胞外ドメイン、25残基の膜貫通ドメインおよび43アミノ酸のC末端細胞質領域を有する。命名法のためだけであり、制限が目的ではないが、ヒトCR1の例示的な配列がGenBank受託番号NP_000564で示される。
【0269】
可溶性補体受容体1型(sCR1)は細胞表面CR1の切断によって天然に産生され、炎症部位における補体活性化の制御において役割を果たす。「sCR1」への言及は、膜貫通細胞質ドメインが欠如しているトランケーションされたCR1を指すことを理解すべきである。命名法のためだけであり、制限が目的ではないが、ヒトsCR1の例示的な配列が配列番号1に示される。本明細書においてアミノ酸の位置は、1971アミノ酸(例えば、配列番号1に示すような)からなるsCR1タンパク質への参照によって呼ばれる。完全長sCR1は4つの長い相同反復(LHR)領域、すなわちLHR-A、B、CおよびDを含む。LHR領域は、ヒトsCR1(配列番号1に示すような)を参照して規定することができる。例えば、LHR-Aは配列番号1のアミノ酸42~489を含み、LHR-Bは配列番号1のアミノ酸490~939を含み、LHR-Cは配列番号1のアミノ酸940~1392を含み、LHR-Dは配列番号1のアミノ酸1393~1971を含む。各LHRは合計30のSCR配列による短いコンセンサス反復配列(SCR)を含み、各々60~70アミノ酸を有する。例えば、LHR-AはSCR1~7(配列番号1のアミノ酸42~489に対応する)を含み、LHR-BはSCR8~14(配列番号1のアミノ酸491~939に対応する)を含み、LHR-CはSCR15~21(配列番号1のアミノ酸941~1389に対応する)を含み、LHR-DはSCR22~28(配列番号1のアミノ酸1394~1842に対応する)およびSCR29~30(配列番号1のアミノ酸1846~1967に対応する)を含む。成熟ヒトsCR1の配列は配列番号1のアミノ酸1~41に対応するN末端シグナルペプチドが欠如している。例えば、成熟ヒトsCR1の配列(すなわち、N末端シグナルペプチドが欠如している)は、配列番号2に示す。
【0270】
他の種からのsCR1の配列は本明細書でおよび/または公開データベースで提供される配列を使用して決定することができ、および/または標準技術を使用して決定することができる(例えば、Ausubel等、(編)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの全ての最新版を含む)またはSambrook等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)に記載されている)。
【0271】
本明細書で使用されるように、配列番号1におけるアミノ酸の位置に関する語句「に対応する」は、必ずしも配列番号1を含む配列ではないがsCR1配列の中のアミノ酸残基または位置への言及と理解するべきである。例えば、41アミノ酸のN末端トランケーションを含むsCR1配列(すなわち、成熟sCR1)の中の「配列番号1のアミノ酸42~939に対応する位置」への言及は、位置1~898のアミノ酸を必然的に指すだろう。一例では、sCR1は配列番号1に示す配列を含む。
【0272】
本明細書で使用されるように、用語「変異体」は、周知の技術を使用して1つまたはそれ以上のアミノ酸の欠失またはトランケーションを受けたsCR1を指す。
【0273】
本明細書で使用されるように、補体活性との関連で用語「阻害する」または「阻害すること」は、本開示のsCR1変異体コンジュゲートが補体活性レベルを低減または低下させることを意味すると理解すべきである。上述のことから本開示のsCR1変異体コンジュゲートが補体活性を完全に阻害する必要性はなく、むしろ、それは統計的に有意な量、例えば少なくとも約10%、または約20%、または約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、活性を低減するだけでよいことが明らかである。補体活性の阻害を決定する方法は当技術分野で公知であり、および/または本明細書に記載される。
【0274】
本明細書で使用されるように、本開示との関連で用語「血清半減期」または「血漿半減期」は、例えば、天然の機構による分解および/またはクリアランスもしくは隔離のために血清中のsCR1コンジュゲートの濃度または量が50%(すなわち、半分)に低減されるのに必要とされる時間を指す。当業者は、対象におけるsCR1の血清半減期が様々な生理的状態(例えば、健康状態、体のサイズ/重量)に依存することを認めるだろう。健康なヒト対象では、sCR1の血清半減期は概ね70時間(3日間)である。sCR1の血清半減期を決定する方法は当技術分野で公知であり、例えば薬物動態学的分析がある。本開示のために、「増加」または「増強された」血清半減期は、sCR1変異体の血清濃度が配列番号2に示すsCR1と比較して50%低減するのにとられる時間の上昇または増加を指す。
【0275】
G-CSFは、顆粒球産生の主要な調節因子である。G-CSFは骨髄間質細胞、内皮細胞、マクロファージおよび線維芽細胞によって産生され、産生は炎症性刺激によって誘導される。G-CSFはG-CSF受容体(G-CSFR)を通して作用し、それは初期の骨髄前駆体、成熟した好中球、単球/マクロファージ、TおよびBリンパ球ならびに内皮細胞で発現される。
【0276】
本明細書において「顆粒球コロニー刺激因子」(G-CSF)への言及は、G-CSFの天然形、その突然変異体形、例えばフィルグラスチムおよびG-CSFまたはフィルグラスチムのペグ化された形を含む。この用語は、G-CSFR(例えば、ヒトG-CSFR)に結合してシグナル伝達を誘導する活性を保持するG-CSFの突然変異体形も包含する。
【0277】
命名法のためだけであり、制限が目的ではないが、ヒトG-CSFRの例示的な配列がNCBI参照配列:NP_000751.1で示される(および、配列番号48に示す)。他の種からのG-CSFRの配列は本明細書でおよび/または公開データベースで提供される配列を使用して決定することができ、および/または標準技術(例えば、Ausubel等、(編)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの全ての最新版を含む)またはSambrook等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)に記載されている)を使用して決定することができる。ヒトG-CSFRへの言及はhG-CSFRに略すことができ、例えば、カニクイザルG-CSFRへの言及はcynoG-CSFRに略すことができる。可溶性G-CSFRへの言及は、G-CSFRのリガンド結合性領域を含むポリペプチドを指す。G-CSFRのIgおよびCRHドメインは、リガンド結合性および受容体二量体化に関与する(Layton等、J.Biol Chem.、272巻:29735~29741頁、1997年およびFukunaga等、EMBO J.10巻:2855~2865頁、1991年)。受容体のこれらの部分を含むG-CSFRの可溶性形は受容体の様々な研究で使用され、受容体の位置78、163および228の遊離システインの突然変異はリガンド結合性に影響を及ぼすことなく可溶性受容体ポリペプチドの発現および単離を支援する(Mine等、Biochem.、43巻:2458~2464頁、2004年)。
【0278】
本明細書で使用されるように、用語「凝固因子」は、血餅、すなわち血液凝固の形成に関連する因子を指す。凝固因子は当技術分野で公知であり、限定されずに第I因子、第II因子、第III因子、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子および第XIII因子または上述のいずれかの活性型が含まれる。この用語は、例えば当技術分野で公知であるようにおよび/または本明細書に記載されるように、凝固因子の組換え形および/またはその改変形も含む。
【0279】
ハーゲマン因子またはFXIIとしても知られる第XII凝固因子は、血漿タンパク質である。それは、XIIa因子、セリンプロテアーゼ(または、セリンエンドペプチダーゼ)クラスの酵素の酵素前駆体形である。ヒトでは、第XII因子はF12遺伝子によってコードされる。命名法のためだけであり、制限が目的ではないが、ヒト第XII因子の例示的な配列がNCBI参照配列:NP_000496.2;NCPIタンパク質受託番号NP_000496、および配列番号65に示される。第XII因子の追加の配列は、本明細書でおよび/または公開データベースで提供される配列を使用して決定することができ、および/または標準技術(例えば、Ausubel等、(編)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの全ての最新版を含む)またはSambrook等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)に記載されている)を使用して決定することができる。
【0280】
本明細書で使用されるように、用語「第XII因子阻害剤」または「FXII阻害剤」または「FXIIの阻害剤」は、第XII因子(活性化前、すなわちその酵素前駆体)および活性化第XII因子(FXIIa)のいずれかまたは両方、ならびにFXIIの活性化の阻害剤を指す。したがって、「FXIIの阻害剤(複数可)」はFXIIおよびFXIIa(αFXIIaとも呼ばれる)のいずれかまたは両方、ならびにFXIIa切断生成物FXIIaアルファおよびFXIIaベータ(FXIIfとも呼ばれる)を含むFXIIの活性化の阻害剤を含むことができる。FXII阻害剤は、野生型阻害剤の機能的変異体および断片を包含する。機能的変異体または断片は、FXII、FXIIaまたはFXIIの活性化を阻害する野生型分子の能力の少なくとも50%(例えば、約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約99%、または約100%)を保持する分子である。一例では、FXII阻害剤は非内因性阻害剤である;すなわち、それらはヒトまたは動物の体内に天然に存在する阻害剤でない。
【0281】
用語「アミド溶解活性」は、別のポリペプチド中の少なくとも1つのペプチド結合の加水分解を触媒する本開示のタンパク質の能力を指す。
【0282】
本明細書で使用されるように、用語「コンジュゲートされた」は、非共有結合性または共有結合性または遺伝子のコンジュゲーション(「融合」とも呼ばれる)であってもよい、化学的コンジュゲーションを包含すると理解すべきである。一例では、コンジュゲーションは共有結合性、例えばジスルフィド結合である。一例では、本開示のコンジュゲートは、遺伝子コンジュゲーションによって連結される2つの構成成分を含む融合タンパク質である。
【0283】
用語「組換え」は、人工遺伝子組換えの生成物を意味すると理解すべきである。組換えタンパク質は、例えばそれが発現される細胞、組織または対象の中にそれがある場合、人工組換え手段によって発現されるタンパク質も包含する。
【0284】
用語「タンパク質」は、単一のポリペプチド鎖、すなわちペプチド結合によって連結される一連の連続したアミノ酸か、または、お互いに共有結合または非共有結合的に連結された一連のポリペプチド鎖(すなわち、ポリペプチド複合体)を含むととるべきである。例えば、一連のポリペプチド鎖は好適な化学的またはジスルフィド結合を使用して共有結合的に連結されてもよい。非共有結合の例には、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力および疎水性相互作用が含まれる。
【0285】
用語「ポリペプチド」または「ポリペプチド鎖」は、前の段落からペプチド結合によって連結される一連の連続したアミノ酸を意味すると理解すべきである。
【0286】
当業者は、「抗体」が複数のポリペプチド鎖、例えば、VLを含むポリペプチドおよびVHを含むポリペプチドで構成される可変領域を含むタンパク質であると一般的にみなされることを知る。抗体は定常ドメインも一般的に含み、その一部は重鎖の場合定常断片または結晶性断片(Fc)を含む定常領域の中に配置されてもよい。VHおよびVLは相互作用した結果、1つまたは2、3の緊密に関係した抗原に特異的に結合することが可能である抗原結合性領域を含むFvを形成する。一般的に、哺乳動物からの軽鎖はκ軽鎖またはλ軽鎖であり、哺乳動物からの重鎖はα、δ、ε、γまたはμである。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであってよい。用語「抗体」は、ヒト化抗体、霊長類化抗体、ヒト抗体およびキメラ抗体も包含する。
【0287】
用語「完全長抗体」、「無傷の抗体」または「全抗体」は互換的に使用されて、抗体の抗原結合性断片に対してその実質的に無傷の形の抗体を指す。具体的には、全抗体には、Fc領域を含む重鎖および軽鎖を有するものが含まれる。定常ドメインは野生型配列の定常ドメイン(例えば、ヒト野生型配列の定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異体であってよい。
【0288】
「抗FXII抗体」には、FXIIならびにFXIIaアルファおよびFXIIaベータ切断断片を含む活性化タンパク質(FXIIa)の酵素前駆体のいずれかまたは両方に結合し、および/または阻害する抗体が含まれる。一部の例では、抗体はFXIIaまたはFXIIaのアルファもしくはベータ鎖断片に特異的に結合する。
【0289】
本明細書で使用されるように、用語「生殖系列」抗体は、フレームワーク残基に変更を導入した一部または全ての体性突然変異がゲノム、例えばヒトゲノムに存在する元の配列に戻される抗体を指す。この点に関して、全ての変更が生殖系列抗体で戻される必要性があるとは限らない。
【0290】
本明細書で使用されるように、「可変領域」は、抗原に特異的に結合することが可能である本明細書で規定される抗体の軽鎖および/または重鎖の一部を指し、相補性決定領域(CDR);すなわち、CDR1、CDR2およびCDR3、ならびにフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む。例示的な可変領域は、3つまたは4つのFR(例えば、FR1、FR2、FR3および場合によりFR4)を3つのCDRと一緒に含む。IgNARに由来するタンパク質の場合、タンパク質はCDR2が欠如していてもよい。VHは、重鎖の可変領域を指す。VLは、軽鎖の可変領域を指す。
【0291】
本明細書で使用されるように、用語「相補性決定領域」(同義語CDR;すなわち、CDR1、CDR2およびCDR3)は抗体可変領域のアミノ酸残基を指し、その存在は抗原結合のために必要である。各可変領域は、CDR1、CDR2およびCDR3と特定される3つのCDR領域を一般的に有する。CDRおよびFRに割り当てられるアミノ酸位置は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest、National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1987年および1991年、またはこの開示の実施における他の番号付けシステム、例えば、ChothiaおよびLesk J.Mol Biol.196巻:901~917頁、1987年;Chothia等Nature 342巻、877~883頁、1989年;および/またはAl-Lazikani等、J Mol Biol 273巻:927~948頁、1997年の正規の番号付けシステム;Lefranc等、Devel.And Compar.Immunol.、27巻:55~77頁、2003年のIMGT番号付けシステム;または、HonnegherおよびPlukthun J.Mol.Biol.、309巻:657~670頁、2001年のAHO番号付けシステムにより規定することができる。例えば、カバットの番号付けシステムにより、VHフレームワーク領域(FR)およびCDRは以下の通りに配置される:残基1~30(FR1)、31~35(CDR1)、36~49(FR2)、50~65(CDR2)、66~94(FR3)、95~102(CDR3)および103~113(FR4)。カバットの番号付けシステムにより、VL FRおよびCDRは以下の通りに配置される:残基1~23(FR1)、24~34(CDR1)、35~49(FR2)、50~56(CDR2)、57~88(FR3)、89~97(CDR3)および98~107(FR4)。本開示は、カバットの番号付けシステムによって規定されるFRおよびCDRに限定されずに、上で議論されるものを含む全ての番号付けシステムを含む。一例では、本明細書においてCDR(または、FR)への言及は、カバットの番号付けシステムによる領域に関するものである。
【0292】
「フレームワーク領域」(FR)は、CDR残基以外の可変領域残基である。
【0293】
本明細書で使用されるように、用語「Fv」は、複数のポリペプチドまたは単一のポリペプチドで構成されるにせよ、VLおよびVHが結合して、抗原結合性部位を有し、すなわち抗原に特異的に結合することが可能な複合体を形成する任意のタンパク質を意味するととるべきである。抗原結合性部位(または、抗原結合性ドメイン)を形成するVHおよびVLは、単一のポリペプチド鎖に、または異なるポリペプチド鎖にあってもよい。さらに、本開示のFv(ならびに本開示のいずれかのタンパク質)は、同じ抗原に結合してもしなくてもよい複数の抗原結合性部位を有することができる。この用語は、抗体に直接的に由来する断片ならびに組換え手段を使用して生成されるそのような断片に対応するタンパク質を包含すると理解するべきである。一部の例では、VHは重鎖定常ドメイン(CH)1に連結しておらず、および/またはVLは軽鎖定常ドメイン(CL)に連結していない。例示的なFv含有ポリペプチドまたはタンパク質には、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディもしくはより高次の複合体、または、定常領域もしくはそのドメイン、例えばCH2もしくはCH3ドメインに連結している上述のいずれか、例えばミニボディが含まれる。「Fab断片」は、免疫グロブリンの一価の抗原結合性断片からなり、全抗体を酵素パパインで消化して、無傷の軽鎖および重鎖の一部からなる断片を与えることによって生成することができるか、または組換え手段を使用して生成することができる。抗体の「Fab’断片」は、全抗体をペプシンで処理し、続いて還元して、無傷の軽鎖ならびにVHおよび単一の定常ドメインを含む重鎖の一部からなる分子を与えることによって得ることができる。このように処理した抗体ごとに、2つのFab’断片が得られる。Fab’断片は、組換え手段によって生成することもできる。抗体の「F(ab’)2断片」は、2つのジスルフィド結合によって一緒にされる2つのFab’断片の二量体からなり、全抗体分子を酵素ペプシンで処理することによって以降の還元なしで得られる。「Fab2」断片は、例えばロイシンジッパーまたはCH3ドメインを使用して連結した2つのFab断片を含む組換え断片である。「単鎖Fv」または「scFv」は、軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域が好適な柔軟なポリペプチドリンカーによって共有結合的に連結される、抗体の可変領域断片(Fv)を含有する組換え分子である。
【0294】
本明細書で使用されるように、用語「結合する」は、化合物またはその抗原結合性部位の抗原との相互作用に関して、相互作用が抗原の上の特定の構造(例えば、抗原性決定基またはエピトープ)の存在に依存することを意味する。例えば、抗体は、タンパク質一般ではなく特異的タンパク質構造を認識して結合する。抗体がエピトープ「A」に結合する場合、標識された「A」およびタンパク質を含有する反応におけるエピトープ「A」(または、遊離の非標識の「A」)を含有する分子の存在は、抗体に結合する標識された「A」の量を低減する。
【0295】
本明細書で使用されるように、用語「特異的に結合する」または「特異的に結合する」は、本開示の化合物が、代わりの抗原または細胞より頻繁に、より速やかに、より長い期間および/またはより大きな親和性で特定の抗原またはそれを発現する細胞と反応または結合することを意味するととるべきである。例えば、他のサイトカイン受容体または多反応性の天然抗体によって一般的に認識される抗原にそれが結合する(すなわち、ヒトで天然に見出される様々な抗原に結合することが知られている天然に存在する抗体によって)よりも実質的に大きな(例えば、20倍または40倍または60倍または80倍から100倍、または150倍または200倍)親和性でG-CSFR(例えば、hG-CSFR)に結合する抗体Fcを含むコンジュゲート。一般的に、しかしそれに限らないが、結合への言及は特異的結合を意味し、各用語は他の用語のための明確な支持を提供すると理解すべきである。
【0296】
本明細書で使用されるように、用語「エピトープ」(同義語「抗原決定基」)は、抗体の抗原結合性部位を含むタンパク質が結合するhG-CSFRの領域を意味すると理解すべきである。この用語は、タンパク質が接触する特異的な残基または構造に必ずしも限定されない。例えば、この用語は、タンパク質が接触するアミノ酸および/またはこの領域の外側の5~10もしくは2~5もしくは1~3アミノ酸にわたる領域を含む。一部の例では、エピトープは、hG-CSFRが折りたたまれるときにお互いの近くに配置される一連の不連続なアミノ酸を含む、すなわち「コンホメーション依存エピトープ」。例えば、コンホメーション依存エピトープは、配列番号48の111~115、170~176、218~234および/または286~300に対応する領域の1つまたはそれ以上、または2つ以上または全ての中のアミノ酸を含む。当業者は、用語「エピトープ」がペプチドまたはポリペプチドに限定されないことも知る。例えば、用語「エピトープ」は、糖側鎖、ホスホリル側鎖またはスルホニル側鎖などの分子の化学的活性表面基を含み、ある特定の例では、特異的3次元構造的特徴および/または特異的荷電特徴を有することができる。
【0297】
用語「競合的に阻害する」は、本開示のタンパク質(または、その抗原結合性部位)が、列挙される抗体またはタンパク質のG-CSFR、例えばhG-CSFRまたは第XII因子および/またはXIIa因子への結合を低減または阻止することを意味すると理解すべきである。これは、同じかまたは重複するエピトープへのタンパク質(または、抗原結合性部位)および抗体の結合によることができる。上述のものから、タンパク質が抗体の結合を完全に阻害する必要性はないことが明らかであり、むしろ、それは統計的に有意な量だけ、例えば、少なくとも約10%または20%または30%または40%または50%または60%または70%または80%または90%または95%結合を低減するだけでよい。好ましくは、タンパク質は抗体の結合を少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約75%、さらにより好ましくは少なくとも約80%または85%、さらにより好ましくは少なくとも約90%低減する。結合の競合的阻害を決定する方法は当技術分野で公知であり、および/または本明細書に記載される。例えば、抗体はタンパク質の存在下または不在下でG-CSFRまたは第XII因子に曝露させられる。タンパク質の不在下よりタンパク質の存在下でより少ない抗体が結合する場合、タンパク質は抗体の結合を競合的に阻害するとみなされる。一例では、競合的阻害は立体的障害によるものでない。
【0298】
2つのエピトープとの関連で「重複」は、2つのエピトープが、1つのエピトープに結合するタンパク質(または、その抗原結合性部位)が、他のエピトープに結合するタンパク質(または、抗原結合性部位)の結合を競合的に阻害することを許すのに十分な数のアミノ酸残基を共有することを意味するととるべきである。例えば、「重複する」エピトープは、少なくとも1または2または3または4または5または6または7または8または9または20アミノ酸を共有する。
【0299】
本明細書で使用されるように、用語「中和する」は、化合物がG-CSFRまたは第XII因子/XIIa媒介活性を通して、細胞におけるG-CSF媒介シグナル伝達をブロック、低減または阻止することが可能なことを意味するととるべきである。中和を決定する方法は当技術分野で公知であり、および/または本明細書に記載される。
【0300】
ここで使用されるように、用語「拮抗する」は、タンパク質が血液凝固因子の活性化および/または活性をブロック、低減または阻止することが可能であることを意味すると理解すべきである。拮抗を決定する方法は当技術分野で公知であり、および/または本明細書に記載される。
【0301】
語句「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基の類似の側鎖および/または疎水性および/または親水性を有するアミノ酸残基による置き換えまたは置換を指す。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝状側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含めて当技術分野で規定されている。疎水性指数は、例えばKyteおよびDoolittle J.Mol.Biol.、157巻:105~132頁、1982年に記載され、親水性指数は、例えば米国特許第4554101号に記載される。
【0302】
本明細書で使用されるように、用語「状態」は正常な機能の破壊またはそれに対する干渉を指し、いかなる特定の状態にも限定されるものではなく、疾患または障害を含む。
【0303】
「補体媒介」障害、「好中球媒介」および/または「血液凝固」障害は、障害がそれぞれ補体、好中球および/または血液凝固因子によって少なくとも一部媒介されることを意味する。
【0304】
本明細書で使用されるように、疾患または状態またはその再発または再発を起こす「危険がある」対象は、検出可能な疾患または疾患の症状を有していても有していなくてもよく、本開示による処置の前に検出可能な疾患または疾患の症状を提示していても提示していなくてもよい。「危険がある」は、当技術分野で公知であるようにおよび/または本明細書に記載されるように、疾患または状態の発達と相関する測定可能なパラメータである1つまたはそれ以上の危険因子を対象が有することを表す。
【0305】
本明細書で使用されるように、用語「処置すること」、「処置する」または「処置」は、本明細書に記載されるコンジュゲートおよび/または組成物を投与し、それによって特定される疾患もしくは状態の少なくとも1つの症状を低減もしくは消去するか、または疾患もしくは状態の進行を遅らせることを含む。
【0306】
本明細書で使用されるように、用語「予防すること」、「予防する」または「予防」は、個体において特定される疾患または状態の発生または再発に関して予防処置を提供することを含む。個体は、疾患または疾患再発を起こす素因または危険があってもよいが、疾患または再発とまだ診断されていない。
【0307】
本明細書で使用されるように、用語「対象」は、ヒトを含む任意の動物、例えば哺乳動物を意味するととるべきである。例示的な対象には、限定されずにヒトおよび非ヒト霊長類が含まれる。例えば、対象はヒトである。
【0308】
可溶性補体受容体1型変異体コンジュゲート
本開示は、本明細書に記載されるいずれかの方法で使用するためのsCR1コンジュゲートを提供する。
【0309】
sCR1変異体
一例では、本開示は、sCR1変異体を含むsCR1コンジュゲートを提供し、ここで、sCR1変異体は、配列番号2に示す配列を含むコンジュゲートと比較して向上したまたは増加した補体阻害活性を有する。発明者は、配列番号1の残基42~939および/または残基490~1392を含むsCR1変異体は、向上したおよび/または増加した補体阻害活性を有すると決定した。
【0310】
本開示は、以下を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)変異体コンジュゲートを提供する:
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)標的に結合して標的によるかそれを通したシグナル伝達を阻害する抗原結合性ドメインを含むタンパク質。
【0311】
本開示は、以下を含む可溶性補体受容体1型(sCR1)変異体コンジュゲートも提供する:
(i)以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むsCR1変異体:
a)配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列;
b)配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列;および
(ii)血液凝固因子に結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質。
【0312】
例えば、発明者は配列番号1に示す配列において、機能を失わずに欠失させることができるかまたは向上した機能をもたらすアミノ酸残基を特定した。一例では、sCR1変異体は、配列番号1に示す配列と比較して489~1073のアミノ酸の欠失を含む。例えば、sCR1変異体は、配列番号1に示す配列と比較して、489または620または1068または1073のアミノ酸の欠失を含む。
【0313】
一例では、本開示は、配列番号1に示す配列と比較して898~1482のアミノ酸を含むトランケーションされたsCR1を提供する。例えば、トランケーションされたsCR1は、配列番号1に示す配列と比較して、898または903または1351または1482のアミノ酸を含む。
【0314】
一例では、本開示のsCR1変異体は、配列番号1に示す配列の変異体を含み、ここで、変異体配列は配列番号1のアミノ酸42~1392に対応するアミノ酸配列を含む。
【0315】
一例では、本開示のsCR1変異体は、配列番号1に示す配列の変異体を含み、ここで、変異体配列は配列番号1のアミノ酸42~939に対応するアミノ酸配列を含む。
【0316】
一例では、本開示のsCR1変異体は、配列番号1に示す配列の変異体を含み、ここで、変異体配列は配列番号1のアミノ酸490~1392に対応するアミノ酸配列を含む。
【0317】
一例では、本開示のsCR1変異体は、配列番号1に示す配列の変異体を含み、ここで、変異体配列は配列番号1のアミノ酸490~1971に対応するアミノ酸配列を含む。
【0318】
一例では、本開示のsCR1変異体は、配列番号1および/または配列番号2に示す配列を含まず、それからなることもない。
【0319】
一例では、本開示のsCR1変異体は配列番号1のアミノ酸1~41に対応するアミノ酸配列を含まない。
【0320】
一例では、本開示のsCR1変異体は配列番号1のアミノ酸940~1971に対応するアミノ酸配列を含まない。
【0321】
一例では、本開示のsCR1変異体は配列番号1のアミノ酸1393~1971に対応するアミノ酸配列を含まない。
【0322】
一例では、本開示のsCR1変異体は配列番号1のアミノ酸1~489に対応するアミノ酸配列を含まない。
【0323】
一例では、sCR1変異体は単量体(すなわち、1コピーのsCR1変異体)である。
【0324】
一例では、sCR1変異体は二量体であるかまたは二量体化される(すなわち、2コピーのsCR1変異体が融合タンパク質の中で連結される)。
【0325】
一例では、sCR1変異体は多量体であるかまたは多量体化される(すなわち、複数のコピーのsCR1変異体が融合タンパク質の中で連結される)。
【0326】
sCR1変異体の二量体化または多量体化を達成する方法は当技術分野で公知であり、および/または本明細書に記載されており、例には、2つ以上のsCR1変異体の間の直接コンジュゲーションまたは間接結合(例えば、2つ以上のsCR1変異体の間のリンカーによる)が含まれる。一例では、二量体化または多量体化は、化学的コンジュゲーションによって(例えば、ジスルフィド結合またはシスチンノットによる)、または遺伝子融合によって形成される。
【0327】
一例では、2つ以上の同じsCR1変異体が融合される(すなわち、融合タンパク質として発現される)。
【0328】
一例では、2つ以上の異なるsCR1変異体が融合される(すなわち、融合タンパク質として発現される)。
【0329】
一例では、二量体化または多量体化されたsCR1変異体は、sCR1変異体の間にリンカーを含む。
【0330】
一例では、本開示は、多量体化ドメインを含む2つ以上のsCR1変異体を含む多量体タンパク質を提供し、ここで、多量体化ドメインは相互作用して多量体タンパク質を形成する。
【0331】
一例では、多量体タンパク質中の各sCR1変異体は1つのsCR1変異体を含む。別の例では、多量体タンパク質中の1つまたはそれ以上のsCR1変異体は2つ以上のsCR1変異体を含み、例えば、変異体は融合タンパク質の中で連結される。
【0332】
一例では、多量体化ドメインは免疫グロブリンヒンジドメインを含む。
【0333】
一例では、多量体化ドメインは、ロイシンジッパードメイン、シスチンノットまたは抗体Fc領域である。例えば、多量体化ドメインはロイシンジッパードメインである。好適なロイシンジッパーポリペプチドは当技術分野で公知であり、c-Junおよびc-Fosロイシンジッパードメインを含む。ロイシンジッパー融合は、参照により本明細書に組み入れられるRiley等、Protein Eng.(1996)に記載される。別の例では、多量体化ドメインはシスチンノットである。例えば、シスチンノットは、3つ以上の混交したジスルフィド結合のコアドメインを含む長さが最高60アミノ酸を含む。さらなる例では、多量体化ドメインは、抗体Fc領域(例えば、本明細書に記載される)である。
【0334】
一例では、多量体化sCR1変異体は線状である。
【0335】
一例では、多量体化sCR1変異体は環状である。例えば、多量体化されたsCR1変異体は、参照により本明細書に組み込まれるPopp,M.W.等PNAS(2011)に記載されているように、ソルターゼ酵素切断部位を含むことができる。
【0336】
一例では、本開示で使用するためのsCR1変異体は、少なくとも2つのシアル酸付加グリカン(例えば、二、三または四シアル酸付加グリカン)を含む。例えば、本明細書に記載されるいずれかの方法で使用するための組成物は、シアル酸付加sCR1変異体グリコ型を含む。一例では、本明細書に記載されるいずれかの方法で使用するためのシアル酸付加sCR1変異体グリコ型は、二、三または四シアル酸付加グリコ型を含む。少なくとも2つのシアル酸付加グリカン(例えば、二、三または四シアル酸付加グリカン)を含む変異体sCR1グリコ型の生成方法は当業者に明らかになり、および/または本明細書に記載される。
【0337】
本開示のsCR1変異体の生物活性を決定する例示的方法は当業者に明らかになり、および/または本明細書に記載される。例えば、古典的、レクチンおよび/または第二経路の阻害活性を決定する方法は、本明細書に記載される。
【0338】
抗原結合性ドメインを含むタンパク質
本開示は、標的に結合して標的によるかそれを通したシグナル伝達を阻害する抗原結合性ドメインを含むタンパク質とコンジュゲートされるsCR1変異体を提供する。例えば、タンパク質は少なくともVHおよびVLを含み、ここで、VHおよびVLは結合して抗原結合性ドメインを含むFvを形成する。
【0339】
一例では、抗原結合性ドメインは標的に結合するかまたは特異的に結合して、シグナル伝達を中和する。
【0340】
一例では、タンパク質はG-CSFまたはG-CSFRに結合するかまたは特異的に結合して、G-CSFシグナル伝達を中和する。例えば、タンパク質はG-CSFに結合するかまたは特異的に結合して、G-CSFシグナル伝達を中和する。別の例では、タンパク質はG-CSFRに結合するかまたは特異的に結合して、G-CSFシグナル伝達を中和する。
【0341】
本開示は、血液凝固因子に結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質とコンジュゲートされるsCR1変異体も提供する。例えば、タンパク質は少なくともVHおよびVLを含み、ここで、VHおよびVLは結合して抗原結合性ドメインを含むFvを形成する。
【0342】
一例では、抗原結合性ドメインは血液凝固因子に結合するかまたは特異的に結合して、その活性を中和する。例えば、血液凝固因子は第XII因子および/または活性化第XII因子(FXIIa)である。別の例では、血液凝固因子は第XI因子および/または活性化第XI因子(FXIa)である。
【0343】
一例では、タンパク質は、第XII因子および/もしくは活性化第XII因子(FXIIa)に結合するかもしくは特異的に結合し、第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性化に拮抗し、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性に拮抗する。例えば、タンパク質は第XII因子に結合するかまたは特異的に結合し、第XII因子および/またはXIIa因子の活性に拮抗する。例えば、タンパク質は第XII因子に結合するかまたは特異的に結合し、第XII因子のXIIa因子への活性化を阻害する(すなわち、活性化に拮抗する)。
【0344】
別の例では、タンパク質は、第XI因子および/もしくは活性化第XI因子(FXIa)に結合するかもしくは特異的に結合し、第XI因子および/もしくはXIa因子の活性化に拮抗し、ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子の活性に拮抗する。例えば、タンパク質は第XI因子に結合するかまたは特異的に結合し、第XI因子および/またはXIa因子の活性に拮抗する。例えば、タンパク質は第XI因子に結合するかまたは特異的に結合し、第XI因子のXIa因子への活性化を阻害する(すなわち、活性化に拮抗する)。
【0345】
抗体および抗体断片
一例では、標的に結合して標的によるかそれを通したシグナル伝達を阻害する抗原結合性ドメインを含むタンパク質は、抗体または抗原結合性断片である。例えば、タンパク質は、G-CSFまたはG-CSFRに結合する抗体または抗原結合性断片である。例えば、タンパク質は、G-CSFRに結合する抗体または抗原結合性断片である。別の例では、タンパク質は、G-CSFに結合する抗体または抗原結合性断片である。
【0346】
一例では、血液凝固因子に結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質は、抗体または抗原結合性断片である。例えば、タンパク質は、第XII因子または活性化第XII因子(FXIIa)に結合する抗体または抗原結合性断片である。例えば、タンパク質は、第XII因子に結合する抗体または抗原結合性断片である。別の例では、タンパク質は、活性化第XII因子(FXIIa)に結合する抗体または抗原結合性断片である。
【0347】
抗体を作製する方法は当技術分野で公知であり、および/またはHarlowおよびLane(編)Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、(1988)に記載される。 一般的に、そのような方法では、場合により任意の好適であるか所望の担体、アジュバントまたは薬学的に許容される賦形剤で製剤化される、G-CSFRもしくはG-CSF(例えば、hG-CSFRまたはhG-CSF)、または第XII因子(例えば、hFXII)もしくはその領域(例えば、細胞外ドメイン)、またはその免疫原性断片もしくはエピトープ、またはそれ(すなわち、免疫原)を発現および提示する細胞は、非ヒト動物、例えば、マウス、ニワトリ、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ウマ、ウシ、ヤギまたはブタに投与される。免疫原は、鼻腔内、筋肉内、皮下、静脈内、皮内、腹腔内にまたは他の公知の経路によって投与することができる。
【0348】
モノクローナル抗体は、本開示によって企図される抗体の1つの例示的な形態である。用語「モノクローナル抗体」または「mAb」は、同じ抗原(複数可)、例えば抗原の中の同じエピトープに結合することが可能である均一な抗体集団を指す。この用語は、抗体の供与源またはそれが作製される方法に関して限定されるものでない。
【0349】
mAbの生産のために、いくつかの公知技術、例えば上記の米国特許第4196265号またはHarlowおよびLane(1988)に例示されるような方法のいずれか1つを使用することができる。
【0350】
あるいは、ABL-MYC技術(NeoClone、Madison WI 53713、USA)がMAbを分泌する細胞系を生産するために使用される(例えば、Largaespada等、J.Immunol.Methods。197巻:85~95頁、1996年に記載される)。
【0351】
抗体は、ディスプレイライブラリー、例えばファージディスプレイライブラリー、例えば米国特許第6300064号および/または米国特許第5885793号に記載されるものをスクリーニングすることによって生産または単離することもできる。例えば、本発明者は、ファージディスプレイライブラリーから完全ヒト抗体を単離した。
【0352】
本開示の抗体は、合成抗体であってよい。例えば、抗体はキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または脱免疫化抗体である。
【0353】
一例では、本明細書に記載される抗体はキメラ抗体である。用語「キメラ」抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の種(例えば、マウスのようなネズミ)に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一であるか相同的であり、一方では鎖(複数可)の残りは別の種(例えば、ヒトなどの霊長類)に由来するか別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一であるか相同的である抗体を指す。キメラ抗体を作製するための方法は、例えば、米国特許第4816567号;および米国特許第5807715号に記載される。
【0354】
本開示の抗体は、ヒト化されたかまたはヒトの抗体であってよい。
【0355】
用語「ヒト化抗体」は、非ヒト種からの抗体に由来する抗原結合性部位または可変領域を有し、残りの抗体構造はヒト抗体の構造および/または配列に基づくキメラ抗体のサブクラスを指すものと理解するべきである。ヒト化抗体では、抗原結合性部位は、ヒト抗体の可変領域中の適当なFRに接がれる非ヒト抗体からの相補性決定領域(CDR)、およびヒト抗体からの残りの領域を一般的に含む。抗原結合性部位は野生型(すなわち、非ヒト抗体のものと同一)であるかまたは1つまたはそれ以上のアミノ酸置換によって改変されてもよい。一部の例では、ヒト抗体のFR残基は対応する非ヒト残基で置き換えられる。
【0356】
非ヒト抗体またはその一部(例えば、可変領域)をヒト化する方法は、当技術分野で公知である。ヒト化は、米国特許第5225539号または米国特許第5585089号の方法に従って実行することができる。抗体をヒト化する他の方法は、排除されない。
【0357】
本明細書で使用される用語「ヒト抗体」は、可変領域(例えば、VH、VL)を、および場合によりヒトで、例えばヒト生殖系または体細胞で見出される配列に由来するかそれに対応する定常領域を有する抗体を指す。
【0358】
本開示で使用するための追加の例示的抗体またはその抗原結合性断片は本明細書に記載されるかまたは当技術分野で公知であり、以下を含む:
・合成ヒト化抗体またはその断片、例えば、新世界霊長類抗体可変領域からのFRを含む可変領域、および非新世界霊長類抗体可変領域からのCDRを含む抗体(例えば、WO2007019620に記載される方法によって作製される)。
・霊長類化抗体またはその断片、例えば、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル)の免疫化の後に生成される抗体からの可変領域(複数可)を含む抗体(例えば、米国特許第6113898号に記載される方法によって作製される)。
・脱免疫化抗体またはその抗原結合性断片、例えば、1つまたはそれ以上のエピトープ、例えばB細胞エピトープまたはT細胞エピトープが除去され(すなわち、突然変異し)、それによって、対象が抗体またはタンパク質に対して免疫応答を立ち上げる可能性が低減された抗体および断片(例えば、WO2000034317およびWO2004108158に記載される)。
・二重特異性抗体またはその断片、例えば、異なる抗原またはエピトープに特異性を有する2種類の抗体または抗体断片(例えば、2つの半抗体)を含む抗体(例えば、米国特許第5731168号に記載される)。
【0359】
G-CSFまたはG-CSFRに結合する例示的なヒト抗体が本明細書に記載され、C1.2およびC1.2Gおよび/またはその可変領域を含む。これらのヒト抗体は、非ヒト抗体と比較してヒトにおいて低減された免疫原性という利点を提供する。例示的な抗体は、参照により本明細書に組み入れられるWO2012171057に記載される。本開示の方法に従って使用するのに好適な他の抗体には、WO2018/145206に記載されるものが含まれる。
【0360】
例示的なヒト第XII因子抗体は本明細書に記載され、3F7、3F7Gおよび親和性成熟3F7および/またはその可変領域を含む。さらなる例示的な抗体は、抗FXII抗体ガラダシマブである。これらのヒト抗体は、非ヒト抗体と比較してヒトにおいて低減された免疫原性という利点を提供する。例示的な抗体は、参照により本明細書に組み入れられるWO2013/014092、WO2009/067660、WO2009/154461、WO2010/080623、WO2013/167669、WO2016/207858、WO2017/015619、WO2017/162791、WO2017/127468およびWO2017/218371に記載される。可変領域を含む追加の抗体およびタンパク質は、WO2006/066878に、およびRavon等、Blood 86巻:4134~43頁(1995)に記載される。
【0361】
抗原結合性ドメインを含むタンパク質
一部の例では、本開示のタンパク質は、単一ドメイン抗体(用語「ドメイン抗体」または「dAb」と互換的に使用される)であるかまたはそれを含むタンパク質である。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変領域の全体または一部を含む単一ポリペプチド鎖である。ある特定の例では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.、Waltham、MA;例えば、米国特許第6248516号を参照する)。
【0362】
一部の例では、本開示のタンパク質は、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディまたは高次タンパク質複合体、例えば、WO1998/044001および/またはWO1994/007921に記載されるものであるかまたはそれらを含む。
【0363】
一部の例では、本開示のタンパク質はscFvであるかまたはそれを含む。当業者は、scFvが単一ポリペプチド鎖の中のVHおよびVL領域、ならびにscFvが抗原結合のための所望の構造を形成するのを可能にする(すなわち、単一ポリペプチド鎖のVHおよびVLがお互いと結合してFvを形成するために)、VHとVLの間のポリペプチドリンカーを含むことを知る。例えば、リンカーは12を超えるアミノ酸残基を含み、(Gly4Ser)3がscFvのためにより有利なリンカーの1つである。
【0364】
一部の例では、本開示のタンパク質は重鎖抗体であるかまたはそれを含む。重鎖抗体はそれらが重鎖を含むが軽鎖を含まない限り、抗体の多くの他の形と構造的に異なる。したがって、これらの抗体は「重鎖のみの抗体」とも呼ばれる。重鎖抗体は、例えば、ラクダおよび軟骨魚類で見出される(IgNARとも呼ばれる)。ラクダからの重鎖抗体およびその可変領域、ならびにそれらの作製および/または単離および/または使用の方法の一般記載は、とりわけ以下の参考文献WO1994/04678、WO1997/49805およびWO1997/49805に見出される。軟骨魚類からの重鎖抗体およびその可変領域、ならびにそれらの作製および/または単離および/または使用の方法の一般記載は、とりわけWO2005/118629に見出される。
【0365】
他の抗体および抗体断片
本開示は、以下などの、他の抗体および抗体断片も企図する:
(i)米国特許第5,731,168号に記載されている「キーホール」二重特異的タンパク質;
(ii)ヘテロコンジュゲートタンパク質、例えば米国特許第4,676,980号に記載されているもの;
(iii)化学的架橋剤、例えば米国特許第4,676,980号に記載されるものを使用して作製されるヘテロコンジュゲートタンパク質;および
(iv)Fab3(例えば、EP19930302894に記載されるもの)。
【0366】
安定化タンパク質
本開示のタンパク質は、IgG4定常領域または安定化IgG4定常領域を含むことができる。用語「安定化IgG4定常領域」は、Fab腕交換、またはFab腕交換もしくは半抗体の形成を受ける傾向、または半抗体を形成する傾向を低減するように改変されたIgG4定常領域を意味すると理解される。「Fab腕交換」は、IgG4重鎖および結合している軽鎖(半分子)が別のIgG4分子からの重鎖-軽鎖対に換えられる、ヒトIgG4の一種のタンパク質改変を指す。したがって、IgG4分子は2つの異なる抗原を認識する2つの異なるFab腕を獲得することができる(二重特異的分子をもたらす)。Fab腕交換はin vivoで天然に存在し、精製された血液細胞または還元グルタチオンなどの還元剤によってin vitroで誘導することができる。「半抗体」は、IgG4抗体が解離して各々単一の重鎖および単一の軽鎖を含有する2つの分子を形成するときに形成される。
【0367】
一例では、安定化IgG4定常領域は、カバットのシステム(Kabat等、Sequences of Proteins of Immunological Interest Washington DC United States Department of Health and Human Services、1987年および/または1991年)によるヒンジ領域の241位のプロリンを含む。この位置は、EU番号付けシステムによるヒンジ領域の228位に対応する(Kabat等、Sequences of Proteins of Immunological Interest Washington DC United States Department of Health and Human Services、2001年およびEdelman等、Proc.Natl.Acad.USA、63巻、78~85頁、1969年)。ヒトIgG4では、この残基は一般的にセリンである。セリンのプロリンへの置換の後、IgG4ヒンジ領域は配列CPPCを含む。この点に関して、当業者は「ヒンジ領域」がFcおよびFab領域を連結し、抗体の2つのFab腕に移動性を付与する抗体重鎖定常領域の高プロリン部分であることを知る。ヒンジ領域は、重鎖間ジスルフィド結合に関与するシステイン残基を含む。それはカバットの番号付けシステムによるヒトIgG1のGlu226からPro243に及ぶと一般的に規定される。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、同じ位置に重鎖間ジスルフィド(S-S)結合を形成する最初および最後のシステイン残基を置くことによって、IgG1配列と整列させることができる(例えばWO2010/080538を参照する)。
【0368】
コンジュゲーション
sCR1変異体および抗原結合性ドメインを含むタンパク質のコンジュゲーションの方法は当業者に明らかになり、および/または本明細書に記載される。例えば本明細書に記載されるsCR1変異体と抗原結合性ドメインを含むタンパク質の間の直接的なコンジュゲーション、または間接結合(例えば、sCR1変異体と抗原結合性ドメインを含むタンパク質の間のリンカーによる)を含む、コンジュゲーション(すなわち、結合)の全ての形態および方法が本開示によって企図される。一例では、コンジュゲートは化学的コンジュゲーションによって(例えば、アミン結合またはジスルフィド結合により)、または遺伝子融合によって形成される。
【0369】
一例では、本開示のsCR1変異体は、標的に結合して標的によるかそれを通したシグナル伝達を阻害する抗原結合性ドメインを含むタンパク質とコンジュゲートされる。別の例では、本開示のsCR1変異体は、血液凝固因子に結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質とコンジュゲートされる。例えば、タンパク質はsCR1変異体に直接的または間接的に結合することができる(例えば、間接的結合の場合はリンカーを含むことができる)。
【0370】
一例では、sCR1変異体は、抗原結合性ドメインを含むタンパク質にアミン結合によってコンジュゲートされる。
【0371】
一例では、本開示は、sCR1変異体および抗原結合性ドメインを含むタンパク質を含む融合タンパク質を提供する。例えば、抗原結合性ドメインを含むタンパク質は、sCR1変異体のN末端、sCR1変異体のC末端に、またはその任意の組合せで配置される。
【0372】
一例では、sCR1変異体は、抗原結合性ドメインを含むタンパク質にリンカーを通してコンジュゲートされる。例えば、リンカーはペプチドリンカーである。
【0373】
一例では、リンカーはフレキシブルリンカーである。「フレキシブル」リンカーは、溶液中で固定された構造(二次または三次構造)を有しないアミノ酸配列である。したがって、そのようなフレキシブルリンカーは様々な立体配置を自由に採用する。本開示で使用するのに好適なフレキシブルリンカーは、当技術分野で公知である。本発明で使用するためのフレキシブルリンカーの例は、リンカー配列SGGGGS/GGGGS/GGGGSまたは(Gly4Ser)3である。フレキシブルリンカーは、WO1999/045132でも開示されている。
【0374】
リンカーは、結合性領域のその標的との相互作用を実質的に妨げない任意のアミノ酸配列を含むことができる。フレキシブルリンカー配列のための好ましいアミノ酸残基には、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、プロリン、リジン、アルギニン、グルタミンおよびグルタミン酸が限定されずに含まれる。
【0375】
結合性領域の間のリンカー配列は、5つ以上のアミノ酸残基を好ましくは含む。本開示によるフレキシブルリンカー配列は5つ以上の残基、好ましくは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20または25または30またはそれ以上の残基からなる。本発明の非常に好ましい実施形態では、フレキシブルリンカー配列は5、7、10、13、15、16、20または30の残基からなる。
【0376】
一例では、フレキシブルリンカーは配列番号31によるアミノ酸配列、すなわち、GSGGSGGSGGSGS(GS13)を有する。
【0377】
一例では、フレキシブルリンカーは配列番号32によるアミノ酸配列、すなわち、GGGGSGGGGSGGGGS(GS15)を有する。
【0378】
一例では、フレキシブルリンカーは配列番号33によるアミノ酸配列、すなわち、SGGGGSGGGGSGGGGS(GS16)を有する。
【0379】
一例では、フレキシブルリンカーは配列番号55によるアミノ酸配列、すなわち、GGGGSGGGGSGGGGGS(GS16)を有する。
【0380】
一例では、フレキシブルリンカーは配列番号34によるアミノ酸配列、すなわち、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(GS20)を有する。
【0381】
一例では、フレキシブルリンカーは配列番号35によるアミノ酸配列、すなわち、SGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGS(GS30)を有する。
【0382】
本開示のsCR1変異体にコンジュゲートすることができる抗原結合性ドメインを含む例示的なタンパク質、およびそのようなコンジュゲーションの方法は当技術分野で公知であり、本明細書に記載される。
【0383】
補体活性および/またはG-CSF活性および/または第XII因子/XIIa活性および/または第XI因子/XIa活性を阻害する
本開示は、例えば、対象で補体活性を阻害する方法であって、対象に本開示の可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを投与することを含む方法を提供する。
【0384】
本開示は、例えば、対象でG-CSF活性を阻害する方法であって、対象に本開示の可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを投与することを含む方法も提供する。
【0385】
本開示は、例えば、対象で補体活性およびG-CSF活性を阻害する方法であって、対象に本開示の可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを投与することを含む方法も提供する。
【0386】
本開示は、例えば、対象で第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性化に拮抗する方法であって、対象に本開示の可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを投与することを含む方法も提供する。
【0387】
本開示は、例えば、対象で補体活性を阻害し、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性化に拮抗する方法であって、対象に本開示の可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを投与することを含む方法も提供する。
【0388】
本開示は、例えば、対象で第XI因子および/もしくはXIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子の活性化に拮抗する方法であって、対象に本開示の可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを投与することを含む方法も提供する。
【0389】
本開示は、例えば、対象で補体活性を阻害し、ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子の活性化に拮抗する方法であって、対象に本開示の可溶性補体受容体1型(sCR1)コンジュゲートを投与することを含む方法も提供する。
【0390】
本開示は、対象で疾患または状態を治療または予防する方法であって、対象に本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物を投与することを含む方法も提供する。一例では、本開示は、それを必要とする対象で疾患または状態を処置する方法を提供する。
【0391】
本開示は、対象で疾患または状態を治療または予防するための本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物の使用も提供する。
【0392】
一例では、本開示は、それを必要とする対象で疾患または状態を処置するための本開示のsCR1-抗G-CSFRコンジュゲートの使用を提供する。
【0393】
一例では、本開示は、それを必要とする対象で疾患または状態を処置するための本開示のsCR1-抗第XII因子コンジュゲートの使用も提供する。別の例では、本開示は、それを必要とする対象で疾患または状態を処置するための本開示のsCR1-抗XIIa因子コンジュゲートの使用を提供する。さらなる例では、本開示は、それを必要とする対象で疾患または状態を処置するための本開示のsCR1-抗第XII因子/XIIaコンジュゲートの使用を提供する。
【0394】
一例では、本開示は、それを必要とする対象で疾患または状態を処置するための本開示のsCR1-抗第XI因子コンジュゲートの使用を提供する。別の例では、本開示は、それを必要とする対象で疾患または状態を処置するための本開示のsCR1-抗XIa因子コンジュゲートの使用を提供する。さらなる例では、本開示は、それを必要とする対象で疾患または状態を処置するための本開示のsCR1-抗第XI因子/XIa因子コンジュゲートの使用を提供する。
【0395】
一例では、本方法は古典経路、レクチン経路および/または第二補体経路において活性を阻害することを含む。例えば、本方法は、古典補体経路の活性化を阻害するために本開示のsCR1コンジュゲートを投与することを含む。別の例では、本方法は、レクチン経路の活性化を阻害するために本開示のsCR1コンジュゲートを投与することを含む。さらなる例では、本方法は、第二補体経路の活性化を阻害するために本開示のsCR1コンジュゲートを投与することを含む。
【0396】
一例では、本方法は外因性補体経路において活性を阻害することを含む。例えば、本方法は、外因性補体経路の活性化を阻害するために本開示のsCR1コンジュゲートを投与することを含む。
【0397】
一例では、疾患または状態は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害である。
【0398】
一例では、対象は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を患っている。補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、遺伝性であっても後天性であってもよい。
【0399】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、炎症性関節状態、炎症性関節炎、炎症性の目の状態、炎症性の肺の状態、炎症性神経学的状態、自己免疫性腸管障害、乾癬、がん(その血管新生を含む)またはその転移、固形臓器移植(例えば、肺および/または腎移植(抗体媒介拒絶を含む))、移植の前、その間または後の虚血再かん流損傷、遅延した移植機能、喘息およびその悪化形、好中球性皮膚症および好中球性皮膚病巣、再かん流による虚血性脳卒中、神経外傷性障害、体性外傷、虚血-再かん流損傷(心筋IRI、腸管IRI、肝臓IRIおよび/または膵臓IRIを含むIRI)、静脈、動脈または毛細管の血栓形成、心臓の血栓形成、接触媒介血栓炎症、ヒトまたは動物対象の血液を人工表面と接触させる間および/またはその後の血栓形成、間質性肺疾患、炎症、神経学的炎症性疾患、線維素溶解、血管新生、血栓炎症性疾患、FXII/FXII誘導キニン形成に関連した疾患、心房細動、急性冠動脈症候群(ACS)、急性四肢虚血、急性呼吸窮迫症候群(ARDS;または急性肺損傷)、ならびにループス腎炎(急性ループス腎炎または慢性ループス腎炎を含む)からなる群から選択される。
【0400】
一例では、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非定型的溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血小板減少性紫斑病(TTP)、血栓性微小血管障害、C3糸球体症、膜性増殖性糸球体腎炎(抗Thy1糸球体腎炎、抗conA散在性増殖性糸球体腎炎および/または受動ハイマン腎炎を含む)、および/またはギランバレー症候群、重症筋無力症(自己免疫性重症筋無力症、脱髄性アレルギー性脳脊髄炎、IgG免疫複合体肺胞炎、逆受動アルチュス反応を含む)、全身性エリテマトーデス(SLE)、IgA腎症、自己免疫性溶血性貧血、天疱瘡(尋常性天疱瘡を含む)、類天疱瘡(水疱性類天疱瘡を含む)、抗リン脂質症候群、多発性外傷、血液透析、感染後HUS、黄斑変性症、ANCA関連の血管炎、アテローム硬化症、気分障害、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパシー(CIDP)、アナフィラキシー、脳マラリア、皮膚筋炎、骨関節炎、認知症、緑内障、糖尿病性脈管症、心筋梗塞、抗糸球体基底膜(GBM)腎炎(または、グッドパスチャー症候群)、自己免疫性てんかん、ヘルペス状皮膚炎、多発血管炎による好酸性肉芽腫症(EGPA;または、チャーグ-ストラウス症候群)、シェーグレン症候群およびシェーグレン症候群血管炎からなる群から選択される。
【0401】
補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の診断方法は当業者に容易に明らかになり、例としては、溶血性古典的補体経路(CH-50)検査、溶血性第二補体経路(AP-50)検査、免疫複合体疾患のためのスクリーニング、ループス検査のための反核血清学、尿検査および完全血球算定(CBC)が含まれる。
【0402】
一例では、本方法は対象でG-CSF活性を阻害することを含む。例えば、本方法は、G-CSFシグナル伝達経路の活性化を阻害するために本開示のsCR1コンジュゲートを投与することを含む。
【0403】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、好中球減少を誘導することなく対象で好中球の数を低減するのに十分な量で対象に投与される。
【0404】
一例では、本方法は対象で第XII因子および/またはXIIa因子活性を阻害することを含む。一例では、本方法は、第XII因子の活性化および/またはXIIa因子活性を阻害するために本開示のsCR1コンジュゲートを投与することを含む。例えば、本開示のsCR1コンジュゲートは、第XII因子のXIIa因子への活性化を阻害する。
【0405】
一例では、本方法は、対象で第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性化に拮抗することを含む。
【0406】
一例では、本方法は対象で第XI因子および/またはXIa因子活性を阻害することを含む。一例では、本方法は、第XI因子および/またはXIa因子の活性化を阻害するために本開示のsCR1コンジュゲートを投与することを含む。例えば、本開示のsCR1コンジュゲートは、第XI因子のXIa因子への活性化を阻害する。
【0407】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、ヒトXIIa因子のアミド溶解活性を阻害するのに十分な量で対象に投与される。
【0408】
一例では、対象は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を起こす危険がある。男女を問わず補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を起こす危険が対照集団より高い場合、対象は危険がある。対照集団は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を患っていないかまたはその家族病歴を有する一般集団(例えば、年齢、性別、人種および/または民族性をマッチさせた)から無作為に選択される1人またはそれ以上の対象を含むことができる。補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害に関連した「危険因子」が対象と関連していることが見出される場合、対象は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の危険があるとみなすことができる。危険因子は、例えば対象の集団の統計的または疫学的研究を通して、所与の障害に関連した任意の活性、形質、事象または特性を含むことができる。したがって、根底にある危険因子を特定した研究が対象を具体的に含まなかったとしても、対象は補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の危険があると分類することができる。
【0409】
一例では、対象は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を起こす危険があり、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の症状の発生の前か後にsCR1コンジュゲートが投与される。一例では、sCR1コンジュゲートは、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の症状の発生の前に投与される。一例では、sCR1コンジュゲートは、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の症状の発生の後に投与される。一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、危険のある対象で補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の症状の1つまたはそれ以上を軽減または低減する用量で投与される。
【0410】
本開示の方法は、対象の補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害のいかなる形態にも容易に適用することができる。
【0411】
一例では、本開示の方法は、当技術分野で知られている、および/または本明細書に記載される補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の任意の症状を軽減する。
【0412】
当業者に明らかになるように、対象における補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の症状の「軽減」は、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を同じく患っているが、本明細書に記載される方法による処置を受けていない別の対象と比較される。これは、2人の対象の並んだ比較を必ずしも必要としない。むしろ、集団データに頼ることができる。例えば、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害を患っている、本明細書に記載される方法による処置を受けていない対象の集団(場合により、処置対象と、例えば、年齢、体重、人種が類似した対象の集団)が調査され、その平均値は本明細書に記載される方法で処置された対象または対象の集団の結果と比較される。
【0413】
臓器移植によるかまたはそれに関連した虚血-再かん流損傷である、補体媒介障害、好中球媒介障害および/または血液凝固障害の場合、本開示のsCR1コンジュゲートまたはsCR1コンジュゲートを含む組成物は、移植の前、その間または後に投与することができる。一部の例では、sCR1コンジュゲートまたは組成物は、臓器移植ドナーへ投与される。他の例では、sCR1コンジュゲートまたは組成物は、臓器移植レシピエントである対象へ投与される。一例では、sCR1コンジュゲートまたは組成物は、臓器移植の前に採取された臓器へex vivoで投与される。例えば、採取された臓器は、移植の前にsCR1コンジュゲートまたは組成物を含む溶液をかん流または注入することができる。
【0414】
一例では、臓器移植は固形臓器移植である。例えば、固形臓器移植は肺移植である。別の例では、固形臓器移植は腎移植である。
【0415】
上述から、本開示が臓器移植の方法、または臓器移植の結果を向上させる方法、または移植臓器の機能を向上させる方法、または遅延した移植機能を阻止する方法を提供することが当業者に明らかになり、本方法は、臓器の収集の前に臓器移植ドナーにsCR1コンジュゲートまたは組成物を投与すること;臓器を収集して、臓器を臓器移植レシピエントに移植することを含む。
【0416】
本開示は、臓器移植レシピエントにおける臓器機能を向上させるために臓器ドナーからの移植臓器を調製する方法であって、臓器の収集の前に臓器ドナーにsCR1コンジュゲートまたは組成物を投与することを含む方法も提供する。
【0417】
本開示は、臓器移植拒絶を予防する方法であって、臓器の収集の前に臓器ドナーにsCR1コンジュゲートまたは組成物を投与すること、臓器を収集すること、および臓器を臓器移植レシピエントに移植することを含む方法をさらに提供する。
【0418】
一部の例では、本方法は、臓器移植レシピエントにsCR1コンジュゲートまたは組成物を投与することをさらに含む。例えば、sCR1コンジュゲートまたは組成物は移植の前に、または臓器移植時点で(すなわち、移植の間に)臓器移植レシピエントに投与される。
【0419】
本開示は臓器移植の方法、または臓器移植の結果を向上させる方法、または移植臓器の機能を向上させる方法、または遅延した移植機能を阻止する方法も提供し、本方法は、臓器移植の前に臓器移植レシピエントにsCR1コンジュゲートまたは組成物を投与すること、次に臓器を臓器移植レシピエントに移植することを含む。
【0420】
一例では、臓器移植ドナーは脳死状態である。例えば、臓器ドナーは生命維持のおかげで生きているが、脳死状態である。
【0421】
本開示の一例では、sCR1コンジュゲートまたは組成物は再かん流の前に投与され、例えば、臓器移植の場合、sCR1コンジュゲートまたは組成物は移植臓器の再かん流の前に臓器移植レシピエントに投与される(例えば、sCR1コンジュゲートまたは組成物は移植の前に、または移植の間であるが再かん流の前に投与される)。
【0422】
脳死ドナーへの投与の場合、sCR1コンジュゲートまたは組成物は、脳死と臓器収集の間のいかなるときでも投与することができる。一部の例では、sCR1コンジュゲートまたは組成物は、臓器移植の前に採取された臓器へex vivoで投与される。例えば、採取された臓器は、移植の前にsCR1コンジュゲートまたは組成物を含む溶液をかん流または注入することができる。
【0423】
sCR1コンジュゲートの活性を検定する
本開示のsCR1変異体および/またはコンジュゲートは、例えば下記のように生物活性について容易にスクリーニングされる。
【0424】
補体活性を測定する
一例では、補体活性は酵素免疫測定法(例えば、Wieslab(登録商標)補体アッセイキット)を使用して測定される。例えば、補体阻害活性は、補体活性化の間に産生される抗原またはエピトープに特異的な標識抗体を使用して決定される(例えば、C5b-9またはC5b-C9に存在するエピトープ)。一例では、マイクロタイタープレートのウェルは、古典的、レクチンまたは第二経路の特異的活性化因子でコーティングされる。別の例では、sCR1変異体および/またはコンジュゲートは、正常なヒト血清および適当なアッセイ希釈剤(すなわち、古典的、レクチンまたは第二経路の特異的活性化を確保するための適当な構成成分を含む希釈剤)とインキュベートされ、古典的、レクチンまたは第二経路の特異的活性化因子でコーティングされたマイクロタイタープレートウェルに加えられ、形成されるC5b-9複合体の量がC5b-9に対する特異的アルカリ性ホスファターゼ標識抗体を使用して検出される。一例では、産生される補体活性化生成物(すなわち、C5b-9)の量は、補体経路の機能的活性に比例する。一例では、半最大阻害濃度(すなわち、IC50)が決定される。例えば、sCR1変異体のIC50が決定され、配列番号2に示す配列を含むsCR1のIC50と比較される。別の例では、sCR1コンジュゲートのIC50が決定され、配列番号2に示す配列を含むsCR1を含むsCR1コンジュゲートのIC50と比較される。
【0425】
別の例では、補体阻害活性は、溶血アッセイ(例えば、古典的経路(すなわち、CH50)および第二経路(ApH50)阻害アッセイ)を使用して決定される。CH50アッセイは、血清中の全古典的補体活性を測定するための方法である。この検査は、抗体感作赤血球を古典的補体経路の活性化因子として、およびヒト血清を補体源として使用する溶解アッセイである。パーセント溶血は、例えば、分光計を使用して決定することができる。CH50アッセイは末端補体複合体(TCC)形成の間接的な尺度を提供するが、その理由はTCC自身が測定される溶血の役割を直接的に担うからである。このアッセイは周知である。簡潔には、古典的補体経路の阻害を調査するために、前もって希釈されたヒト血清を連続希釈のsCR1変異体および/またはコンジュゲートと一緒にマイクロアッセイウェルの中でプレインキュベートする。次に、抗体感作赤血球(例えば、ウサギ抗ヒツジ抗体で感作させたヒツジ赤血球)を加える。遠心分離の後、分光計を使用して遊離ヘモグロビンを上清中で測定する。遊離ヘモグロビンの減少は、TCC媒介赤血球溶解の阻害を反映する。ヒト血清(100%溶解試料)だけとインキュベートした赤血球と比較してsCR1媒介阻害を次に計算する。
【0426】
補体阻害は、例えば、in vitroザイモサンアッセイ、赤血球の溶解のためのアッセイ、抗体または免疫複合体活性化アッセイ、第二経路活性化アッセイおよびレクチン経路活性化アッセイを含む、当技術分野で公知であるいずれかの方法に基づいて評価することもできる。
【0427】
G-CSFRおよびその突然変異体、第XII因子および/またはXIIa因子および/または第XI因子および/またはXIa因子への結合
本明細書の開示から、本開示の一部のタンパク質はhG-CSFRのリガンド結合性ドメインに、およびhG-CSFRのリガンド結合性ドメインの特異的突然変異形(例えば、ある特定の点突然変異のないかまたはある配列番号48)に結合し、および/またはヒトおよびカニクイザルのG-CSFRの両方に結合することが当業者に明らかになる。
【0428】
本明細書の開示から、本開示の一部のタンパク質は、第XII因子および/もしくは活性化第XII因子(すなわち、XIIa因子)および/または第XI因子および/もしくは活性化第XI因子(すなわち、XIa因子)のリガンド結合性ドメインに結合することも当業者に明らかになる。
【0429】
タンパク質への結合を調査する方法は、例えば、スコープス(典拠:Protein purification:principles and practice、第3版、Springer Verlag、1994年)に記載されるように当技術分野で公知である。そのような方法は、タンパク質を標識し、それを固定化化合物と接触させることを一般的に含む。非特異的結合タンパク質を除去するために洗浄した後、標識の、および結果として結合したタンパク質の量を検出する。当然ながら、タンパク質を固定化し、G-CSFシグナル伝達を阻害するかまたは第XII因子および/もしくはXIIa因子ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子に結合する化合物を標識することができる。パニングタイプのアッセイを使用することもできる。あるいは、またはさらに、表面プラズモン共鳴アッセイを使用することもできる。
【0430】
上記のアッセイは、本開示のタンパク質のhG-CSFRもしくはそのリガンド結合性ドメイン(例えば、配列番号48)もしくはその突然変異形、または第XII因子および/もしくはXIIa因子ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子もしくはそのリガンド結合性ドメインへの結合のレベルを検出するために使用することもできる。結合レベルを検出する方法は当業者に明らかになり、および/または本明細書に記載される。例えば、結合レベルはバイオセンサーを使用して決定される。
【0431】
エピトープマッピング
別の例では、本明細書に記載されるタンパク質が結合するエピトープがマッピングされる。エピトープマッピング方法は、当業者に明らかになる。例えば、目的のエピトープ、例えば10~15アミノ酸を含むペプチドを含む、hG-CSFR配列またはその領域にわたる一連の重複ペプチドが作製される。タンパク質は次に各ペプチドと接触させ、それが結合するペプチド(複数可)を決定する。これは、タンパク質が結合するエピトープを含むペプチド(複数可)の決定を可能にする。複数の不連続ペプチドにタンパク質が結合する場合、タンパク質はコンホメーション依存エピトープに結合することができる。
【0432】
あるいは、またはさらに、例えばアラニンスキャン突然変異誘発によってhG-CSFR中のアミノ酸残基を突然変異させ、タンパク質結合を低減または阻止する突然変異を決定する。タンパク質の結合を低減または阻止するいかなる突然変異も、タンパク質が結合するエピトープの中に入る可能性がある。
【0433】
さらなる方法が本明細書に例示され、hG-CSFRまたはその領域を本開示の固定化タンパク質に結合させ、生じた複合体をプロテアーゼで消化することを含む。固定化タンパク質に結合したままのペプチドを次に単離し、それらの配列を決定するために例えば質量分析を使用して分析する。
【0434】
さらなる方法は、hG-CSFRまたはその領域中の水素を重陽子へ変換し、生じたタンパク質を本開示の固定化タンパク質に結合させることを含む。重陽子を次に水素に戻し変換し、hG-CSFRまたはその領域を単離し、酵素で消化し、本明細書に記載されるタンパク質の結合によって水素への変換から保護されていただろう重陽子を含む領域を特定するために、例えば質量分析を使用して分析する。
【0435】
場合により、hG-CSFRまたはそのエピトープに対するタンパク質の解離定数(Kd)が決定される。hG-CSFR結合性タンパク質の「Kd」または「Kd値」は、一例では、放射標識または蛍光標識hG-CSFR結合アッセイによって測定される。このアッセイは、非標識のhG-CSFRの滴定系列の存在下で、タンパク質を標識G-CSFRの最小濃度と平衡させる。未結合のhG-CSFRを除去するために洗浄した後、タンパク質のKdの指標となる標識の量が決定される。
【0436】
別の例により、KdまたはKd値は、表面プラズモン共鳴アッセイを使用して、例えば、BIAcore表面プラズモン共鳴(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)を固定化hG-CSFRまたはその領域と使用して測定される。
【0437】
一部の例では、C1.2またはC1.2Gと類似のKdまたはより高いKdを有するタンパク質が選択されるが、その理由はそれらがhG-CSFRへの結合に関して競合する可能性があるからである。
【0438】
第XII因子/XIIaおよび/または第XI因子/XIaの活性を測定する
タンパク質の阻害活性を調査する方法は当技術分野で公知であり、例としては発色アッセイが含まれる。阻害活性を測定するための発色アッセイは当技術分野で公知である。
【0439】
一例では、アッセイ緩衝剤をXIIa因子および/またはXIa因子とプレミックスする。本開示のコンジュゲートが加えられ、続いて発色基質が加えられる。発色反応の停止の後、コンジュゲートの阻害活性が調査される。
【0440】
競合的結合を決定する
抗体C1.2、C1.2G、3F7および/または3F7G(または、本明細書に記載される任意の他の抗体)の結合を競合的に阻害するタンパク質を決定するアッセイは、当業者に明らかになる。例えば、C1.2、C1.2G、3F7または3F7Gは、検出可能な標識、例えば蛍光標識または放射性標識にコンジュゲートされる。標識抗体および試験タンパク質を次に混合し、hG-CSFRもしくはその領域(例えば、配列番号48を含むポリペプチド)または第XII因子もしくはその領域、またはそれを発現する細胞と接触させる。標識C1.2またはC1.2G(または、3F7もしくは3F7G)のレベルを次に決定し、標識抗体をタンパク質の不在下でhG-CSFR(または、第XII因子)、領域または細胞と接触させたときに決定されるレベルと比較する。標識C1.2またはC1.2G(または、3F7もしくは3F7G)のレベルがタンパク質の不在と比較して試験タンパク質の存在下で低減される場合、タンパク質は、hG-CSFRへのC1.2またはC1.2G(または、第XII因子への3F7または3F7G)の結合を競合的に阻害するとみなされる。
【0441】
場合により、試験タンパク質は、C1.2またはC1.2Gへの異なる標識にコンジュゲートされる。この代わりの標識化は、hG-CSFRまたはその領域または細胞への試験タンパク質の結合レベルの検出を可能にする。
【0442】
場合により、試験タンパク質は、3F7または3F7Gへの異なる標識にコンジュゲートされる。この代わりの標識化は、第XII因子またはその領域または細胞への試験タンパク質の結合レベルの検出を可能にする。
【0443】
別の例では、hG-CSFR、領域または細胞をC1.2またはC1.2Gと接触させる前に、タンパク質をhG-CSFRもしくはその領域(例えば、配列番号48を含むポリペプチド)またはそれを発現する細胞に結合させる。タンパク質の不在下と比較したタンパク質の存在下での結合したC1.2またはC1.2Gの量の低減は、タンパク質がhG-CSFRへのC1.2またはC1.2Gの結合を競合的に阻害することを示す。標識タンパク質を使用し、最初にC1.2またはC1.2GをG-CSFRに結合させることによって、逆アッセイを実行することもできる。この場合、C1.2またはC1.2Gの不在下と比較したC1.2またはC1.2Gの存在下でのhG-CSFRに結合した標識タンパク質の量の低減は、タンパク質がhG-CSFRへのC1.2またはC1.2Gの結合を競合的に阻害することを示す。
【0444】
例えば本明細書に記載されるように、上述のアッセイのいずれも、hG-CSFRの突然変異形および/または配列番号48および/またはC1.2またはC1.2Gが結合するhG-CSFRのリガンド結合性領域で実行することができる。
【0445】
別の例では、第XII因子、領域または細胞を3F7または3F7Gと接触させる前に、タンパク質を第XII因子またはその領域またはそれを発現する細胞に結合させる。タンパク質の不在下と比較したタンパク質の存在下での結合した3F7または3F7Gの量の低減は、タンパク質が第XII因子への3F7または3F7Gの結合を競合的に阻害することを示す。標識タンパク質を使用し、最初に3F7または3F7Gを第XII因子に結合させることによって、逆アッセイを実行することもできる。この場合、3F7または3F7Gの不在下と比較した3F7または3F7Gの存在下での第XII因子に結合した標識タンパク質の量の低減は、タンパク質が第XII因子への3F7または3F7Gの結合を競合的に阻害することを示す。
【0446】
G-CSFシグナル伝達の阻害を決定する
本開示の一部の例では、sCR1コンジュゲート(例えば、抗原結合性ドメインを含むタンパク質にコンジュゲートしたsCR1変異体)は、hG-CSFRシグナル伝達を中和することが可能である。
【0447】
受容体を通してリガンドのシグナル伝達を中和する能力を調査するために、様々なアッセイが当技術分野で公知である。
【0448】
一例では、G-CSFシグナル伝達を阻害するタンパク質は、hG-CSFRへのG-CSFの結合を低減または阻止する。これらのアッセイは、標識G-CSFおよび/または標識タンパク質を使用して、本明細書に記載される競合結合アッセイとして実行することができる。
【0449】
一例では、G-CSFシグナル伝達を阻害するタンパク質を含むsCR1コンジュゲートは、CD34+骨髄細胞をG-CSFの存在下で培養したときのCFU-Gの形成を低減する。そのようなアッセイでは、CD34+骨髄細胞は、試験化合物(例えば、G-CSFRに結合する抗原結合性ドメインを含むタンパク質にコンジュゲートされたsCR1)の存在下または不在下で、G-CSF(例えば、細胞培養培地1mlにつき約10ng)および、場合により幹細胞因子(例えば、細胞培養培地1mlにつき約10ng)の存在下で半固体細胞培養培地で培養される。顆粒球クローン(CFU-G)が形成するのに十分な時間の後、クローンまたはコロニーの数を決定する。化合物の不在下と比較した化合物の存在下でのコロニー数の低減は、化合物がG-CSFシグナル伝達を中和することを示す。
【0450】
さらなる例では、G-CSFシグナル伝達を阻害するタンパク質を含むsCR1コンジュゲートは、G-CSFの存在下で培養されるhG-CSFRを発現する細胞(例えば、BaF3細胞)の増殖を低減する。細胞は、G-CSF(例えば、0.5ng/ml)の存在下、および試験化合物(例えば、G-CSFシグナル伝達を阻害するタンパク質にコンジュゲートされたsCR1変異体)の存在下または不在下で培養される。細胞増殖を調査する方法は当技術分野で公知であり、例としてはMTT還元およびチミジン組込みが含まれる。化合物の不在下で観察されるレベルと比較して増殖レベルを低減する化合物は、G-CSFシグナル伝達を中和するとみなされる。
【0451】
さらなる例では、G-CSFシグナル伝達を阻害するsCR1コンジュゲートは、G-CSF投与の後のin vivoでの造血幹細胞および/または内皮前駆体細胞の動員を低減し、および/または、例えばG-CSF投与の後のin vivoにおける好中球数を低減する(しかし、これは必須でない)。例えば、化合物(例えば、G-CSFシグナル伝達を阻害するタンパク質にコンジュゲートされたsCR1変異体)は、場合によりG-CSFまたはその改変形(例えば、ペグ化G-CSFまたはフィルグラスチム)の投与の前、そのとき、またはその後に投与される。造血幹細胞(例えば、CD34および/またはThy1を発現する)および/または内皮前駆体細胞(例えば、CD34およびVEGFR2を発現する)および/または好中球(形態学的に特定された、および/または例えばCD10、CD14、CD31および/またはCD88を発現する)の数を調査する。化合物の不在下で観察されるレベルと比較して細胞(複数可)のレベルを低減する化合物は、G-CSFシグナル伝達を中和するとみなされる。一例では、G-CSFシグナル伝達を阻害する化合物は、好中球減少を誘導することなしに好中球の数を低減する。
【0452】
FXIIaアミド溶解活性
本開示に包含される一部のコンジュゲートは、ヒトXIIa因子のアミド溶解活性を阻害する。本開示のコンジュゲートのアミド溶解活性を決定する方法は当業者に明らかになり、および/または本明細書に記載される。
【0453】
一例では、FXIIaアミド溶解活性のレベルを決定するために、in vitroアッセイが使用される。例えば、アミド溶解活性は、本開示のコンジュゲートおよび緩衝剤の存在下でのFXIIの切断のアッセイによって測定することができる。例えば、FXIIは本開示のコンジュゲートまたは対照の存在下または不在下でインキュベートされる。インキュベーションおよび検出基質の添加の後、アミド溶解活性が光学密度の変化(すなわち、色変化)として分光測光法で決定される。アミド溶解活性を効果的に阻害することが見出されるタンパク質は、FXII活性を阻害するタンパク質として特定される。
【0454】
半減期を決定する
本開示に包含される一部のコンジュゲートは向上した半減期を有し、例えば、未改変のコンジュゲートと比較してそれらの半減期を延長するように改変される。向上した半減期を有するタンパク質を決定する方法は、当業者に明らかになる。
【0455】
例えば、新生児Fc受容体(FcRn)に結合するコンジュゲートの能力が調査される。この方法により、本開示のコンジュゲートのin vivo半減期は、ヒトFcRnトランスジェニックマウス(例えば、B6.Cg-Fcgrttm1Dcr Tg(FCGRT)32Dcr/DcrJ)で測定することができる。例えば、コンジュゲートおよび様々な時点で収集された血漿をマウスに静脈内注射する。血液を、例えば血液8部クエン酸緩衝液2部の比でクエン酸緩衝液と混合する。ヒトsCR1の血漿レベルを、抗ヒトCD35 ELISAで測定する。標準の統計式を使用して、平均滞留時間(MRT)および曲線下面積(AUC)を計算する。この点に関して、FcRnへの結合親和性の増加は、分子の血清半減期を増加させた(例えば、Kim等、Eur J Immunol.、24巻:2429頁、1994年を参照する)。
【0456】
本開示のコンジュゲートの半減期は、薬物動態学的研究によって、例えば、Kim等、Eur J of Immunol 24巻:542頁、1994年、によって記載される方法によって測定することもできる。この方法により、放射標識タンパク質をマウスに静脈内注射し、その血漿濃度を、時間の関数として周期的に、例えば、注射の3分後から72時間後に測定する。このように得られるクリアランス曲線は二相性、すなわちアルファ相およびベータ相であるべきである。タンパク質のin vivo半減期の決定のために、ベータ相のクリアランス速度を計算し、野生型または未改変タンパク質のそれと比較する。
【0457】
医薬組成物および処置方法
好適には、投与のための組成物または方法では、当技術分野で理解されているように、本開示のsCR1コンジュゲート(すなわち、抗原結合性ドメインを含むタンパク質にコンジュゲートされるsCR1変異体)は薬学的に許容される担体と組み合わされる。したがって、本開示の1つの例は、本開示のsCR1コンジュゲートを薬学的に許容される担体と組み合わせて含む組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。
【0458】
一般用語では、「担体」は、任意の対象、例えばヒトに安全に投与することができる、固形もしくは液体のフィラー、結合剤、希釈剤、封入物質、乳化剤、湿潤剤、溶媒、懸濁剤、コーティングまたは滑沢剤を意味する。特定の投与経路によって、当技術分野で公知である様々な許容される担体、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.N.J.USA、1991年)に記載されているものを使用することができる。
【0459】
本開示のsCR1コンジュゲートは、予防的または治療的処置のための非経口、トピカル、経口または局所の投与、噴霧器投与、クモ膜下投与、または経皮投与のために有益である。一例では、sCR1コンジュゲートは非経口的に、例えば皮下または静脈内に投与される。例えば、sCR1コンジュゲートは静脈内投与される。
【0460】
投与されるsCR1コンジュゲートの製剤は、選択される投与経路および製剤(例えば、溶液、乳濁液、カプセル)によって異なる。投与される適当な医薬組成物は、生理的に許容される担体で調製することができる。溶液または乳濁液の場合、好適な担体には、例えば、食塩水および緩衝媒体を含む水性またはアルコール性/水溶液、乳濁液または懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンガーブドウ糖、ブドウ糖および塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液、または不揮発性油を含めることができる。水、緩衝水、緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、ブドウ糖溶液、および例えばグリシンまたはプロリンを含む任意のアミノ酸を含む、様々な適当な水性担体が当業者に公知である。静脈内ビヒクルには、様々な添加剤、保存剤または流体、栄養素または電解質補液を含めることができる(一般的に、Remington’s Pharmaceutical Science、第16版、Mack編1980年を参照する)。場合により組成物は、生理的状態に近づけるために必要に応じて薬学的に許容される補助物質、例えばpH調整および緩衝剤、ならびに毒性調整剤、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび乳酸ナトリウムを含有することができる。組成物は液体段階で保存することができるか、または当技術分野で公知である凍結乾燥および再構成技術により、保存のために凍結乾燥させ、使用前に好適な担体で再構成することができる。
【0461】
本開示の方法は、本開示によるsCR1コンジュゲートの、補体活性および/もしくはG-CSF活性を阻害するための、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性化に拮抗するための、または補体媒介障害、好中球媒介障害および/もしくは血液凝固障害の予防もしくは治療のための別の治療的有効薬剤の投与と一緒の同時投与も含むことができる。
【0462】
一例では、本開示のsCR1コンジュゲートは、補体活性を阻害するためにまたは補体媒介障害を予防もしくは治療するために現在使用されているかまたは開発中である、少なくとも1つの追加の公知の化合物または治療タンパク質と併用される。補体媒介障害の処置で現在使用されている化合物は当技術分野で公知であり、C5およびその活性型(C5a)に対する抗体、例えば、エクリズマブ、BerinertヒトC1エステラーゼ阻害剤、ヒトC1エステラーゼ阻害剤、Ruconest組換えC1エステラーゼ阻害剤、CinryzeヒトC1エステラーゼ阻害剤、抗ヒトMASP-2モノクローナル抗体、APL-2 C3阻害ペプチド、ラムパリズマブ、TNT009抗C1s抗体が含まれる。追加の化合物は、Reis等、Clin Immunol.Dec;161巻(2号):225~240頁、2015年、に記載される。好中球媒介障害の処置で現在使用されている化合物は当技術分野で公知であり、例としては、抗炎症化合物、免疫調節薬または免疫抑制薬、コルチコステロイド(例えばグルココルチコイド、プレドニゾン、プレドニゾロン、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニドまたはフルチカゾン)、メトトレキセート、シクロホスファミド、ベータ2アゴニスト(例えば、サルブタモール、硫酸テルブタリン、フォルモテロール、ビランテロールまたはサルメテロール)、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えば、モンテルカスト)、ムスカリン様アンタゴニスト(例えば、イプラトロピウムブロミド)、テオフィリン(例えば、アミノフィリン)、硫酸マグネシウム、肥満細胞安定剤(例えば、クロモグリク酸ナトリウムまたはネドクロミル)、抗IL-5抗体(例えば、メポリズマブ)、抗IgE抗体(例えば、オマリズマブ)、抗IL-17A抗体(例えば、セクキヌマブ)、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブまたはオファツムマブ)、抗CD22抗体(例えば、エプラツズマブ)、抗TNF抗体(例えば、インフリキシマブまたはアダリムマブまたはゴリムマブ)または可溶性TNF受容体(例えば、エタナーセプト)、およびCTLA-4アンタゴニスト(例えば、アバタセプト、CTLA4-Ig)が含まれる。
【0463】
上述のものから明らかになるように、本開示は対象の同時治療処置の方法であって、それを必要とする対象に第1の薬剤および第2の薬剤の有効量を投与することを含み、ここで第1の薬剤は本開示のsCR1コンジュゲートであり、第2の薬剤も補体活性および/もしくはG-CSF活性を阻害するための、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性化に拮抗するための、または補体媒介障害、好中球媒介障害および/もしくは血液凝固障害の予防もしくは治療のためのものである方法を提供する。
【0464】
本明細書で使用されるように、「同時治療処置」という語句におけるような「同時」という用語は、第2の薬剤の存在下で第1の薬剤を投与することを含む。同時治療処置方法は、第1、第2、第3またはさらなる薬剤が同時投与される方法を含む。同時治療処置方法は、第1またはさらなる薬剤が、第2またはさらなる薬剤の存在下で投与される方法も含み、ここで、第2またはさらなる薬剤は、例えば以前に投与されてもよい。同時治療処置は、異なる行為者によって段階的に実行されてもよい。例えば、1人の行為者は対象に第1の薬剤を投与することができ、第2の行為者は対象に第2の薬剤を投与することができ、第1の薬剤(および/またはさらなる薬剤)が第2の薬剤(および/またはさらなる薬剤)の存在下での投与の後である限り、投与ステップは同時に、またはほぼ同時に、または離れた時間で実行することができる。行為者および対象は、同じ実体(例えばヒト)であってよい。
【0465】
選択された培地における活性成分(複数可)の最適な濃度は当業者に公知である手順によって経験的に決定することができ、所望される最終的な医薬製剤に依存する。
【0466】
本開示のsCR1コンジュゲートの投与のための投薬量範囲は、所望の効果をもたらすのに十分大きなものである。例えば、組成物はsCR1コンジュゲートの有効量を含む。一例では、組成物はsCR1コンジュゲートの治療的有効量を含む。別の例では、組成物はsCR1コンジュゲートの予防的有効量を含む。
【0467】
投薬量は有害な副作用を引き起こすほど大きいものであるべきでない。一般的に、投薬量は患者の年齢、状態、性別および疾患の程度によって異なり、当業者が決定することができる。いかなる合併症も発生した場合、投薬量を個々の医師が調整することができる。
【0468】
投薬量は、1日または数日の間、毎日1用量またはそれ以上の用量の投与において、約0.1mg/kgから約300mg/kgまで、例えば約0.2mg/kgから約200mg/kgまで、例えば約0.5mg/kgから約20mg/kgまで変動することができる。
【0469】
一部の例では、sCR1コンジュゲートは、以降の(維持用量)より高い初期(または、初回負荷)用量で投与される。例えば、sCR1コンジュゲートは、約10mg/kg~約30mg/kgの初期用量で投与される。sCR1コンジュゲートは、その後約0.0001mg/kg~約30mg/kgの維持用量で投与される。維持用量は2~30日おきに、例えば、2または3または6または9または12または15または18または21または24または27または30日おきに投与することができる。
【0470】
一部の例では、sCR1コンジュゲートが以降の用量で使用されるより低い用量で最初に投与される、用量漸増体系が使用される。この投与体系は、対象が有害事象を初期に患う場合に有益である。
【0471】
処置に十分に応答しない対象の場合、1週間に複数の用量を投与することができる。あるいは、またはさらに、漸増用量を投与することができる。
【0472】
複数回の曝露または用量のセット、例えば少なくとも約2回の曝露、例えば、約2~60回の曝露、より詳細には約2~40回の曝露、最も詳細には約2~20回の曝露を与えることによって、対象をsCR1コンジュゲートで再処置することができる。
【0473】
一例では、疾患、例えば細菌感染症の徴候または症状が戻るとき、任意の再処置を与えることができる。
【0474】
別の例では、規定の間隔で任意の再処置を与えることができる。例えば、以降の曝露を様々な間隔で、例えば約24~28週間または48~56週間、またはより長い間隔で投与することができる。例えば、そのような曝露は、各々約24~26週間または約38~42週間、または約50~54週間の間隔で投与される。
【0475】
処置に十分に応答しない対象の場合、1週間に複数の用量を投与することができる。あるいは、またはさらに、漸増用量を投与することができる。
【0476】
別の例では、有害反応を経験する対象の場合、初期(または、初回負荷)用量を1週間の多くの日数にわたって、または多くの連続日にわたって分割することができる。
【0477】
本開示の方法によるsCR1コンジュゲートの投与は、例えば投与の目的が治療であるかまたは予防であるかにかかわらずレシピエントの生理的状態、および熟練者に公知である他の因子によって、連続的であっても間欠的であってもよい。投与はあらかじめ選択された時間の間事実上連続的であってよいか、または、例えば状態の発達の間かまたはその後の一連の間隔をあけた投与であってよい。
【0478】
物質のキットおよび他の組成物
本開示の別の例は、上記のように補体活性および/もしくはG-CSF活性を阻害するために、または補体媒介障害、好中球媒介障害および/もしくは血液凝固障害の治療もしくは予防のために有益である本開示のsCR1コンジュゲートを含有するキットを提供する。
【0479】
本開示の別の例は、上記のように補体活性を阻害するために、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子および/もしくは第XI因子および/もしくはXIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子および/もしくは第XI因子および/もしくはXIa因子の活性化に拮抗するために、または補体媒介障害、好中球媒介障害および/もしくは血液凝固障害の治療もしくは予防のために有益である本開示のsCR1コンジュゲートを含有するキットを提供する。
【0480】
一例では、キットは、(a)sCR1コンジュゲートを場合により薬学的に許容される担体または希釈剤の中に含む容器;ならびに(b)対象において補体活性および/もしくはG-CSF活性を阻害するための、または補体媒介障害および/もしくは好中球媒介障害を治療もしくは予防するための使用説明書を含む添付文書、を含む。
【0481】
一例では、キットは、(a)場合により薬学的に許容される担体または希釈剤の中の少なくとも1つのsCR1コンジュゲート;(b)対象において補体活性および/もしくはG-CSF活性を阻害することにおいて、または補体媒介障害および/もしくは好中球媒介障害を治療もしくは予防することにおいてキットを使用するための使用説明書;ならびに(c)場合により、少なくとも1つのさらなる治療活性化合物または薬物を含む。
【0482】
一例では、キットは、(a)sCR1コンジュゲートを場合により薬学的に許容される担体または希釈剤の中に含む容器;ならびに(b)対象において補体活性を阻害するための、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性化に拮抗するための、または補体媒介障害、好中球媒介障害および/もしくは血液凝固障害を治療もしくは予防するための使用説明書を含む添付文書を含む。
【0483】
一例では、キットは、(a)sCR1コンジュゲートを場合により薬学的に許容される担体または希釈剤の中に含む容器;ならびに(b)対象において補体活性を阻害するための、ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子の活性化に拮抗するための、または補体媒介障害、好中球媒介障害および/もしくは血液凝固障害を治療もしくは予防するための使用説明書を含む添付文書を含む。
【0484】
一例では、キットは、(a)場合により薬学的に許容される担体または希釈剤の中の少なくとも1つのsCR1コンジュゲート;(b)対象において補体活性を阻害することにおいて、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性化に拮抗することにおいて、または補体媒介障害、好中球媒介障害および/もしくは血液凝固障害を治療もしくは予防することにおいてキットを使用するための使用説明書;ならびに(c)場合により、少なくとも1つのさらなる治療活性化合物または薬物を含む。
【0485】
一例では、キットは、(a)場合により薬学的に許容される担体または希釈剤の中の少なくとも1つのsCR1コンジュゲート;(b)対象において補体活性を阻害することにおいて、ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子の活性化に拮抗することにおいて、または補体媒介障害、好中球媒介障害および/もしくは血液凝固障害を治療もしくは予防することにおいてキットを使用するための使用説明書;ならびに(c)場合により、少なくとも1つのさらなる治療活性化合物または薬物を含む。
【0486】
本開示のこの例により、添付文書は容器の上にあるかまたはそれに付随している。適する容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ等が含まれる。容器はガラスまたはプラスチックなどの様々な材料で形成することができる。容器は、補体活性および/もしくはG-CSF活性を阻害するために、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XII因子および/もしくはXIIa因子の活性化に拮抗し、ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子の活性に拮抗し、ならびに/または第XI因子および/もしくはXIa因子の活性化に拮抗するために、または補体媒介障害、好中球媒介障害および/もしくは血液凝固障害を治療もしくは予防するために有効である組成物を保持するかまたは含有し、無菌アクセスポートを有することができる(例えば、容器は、皮下注射針で穿刺可能なストッパを有する静脈内注射用溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、sCR1コンジュゲートである。ラベルまたは添付文書は、組成物が処置に適格な対象、例えば、補体媒介障害および/または好中球媒介障害を有するかまたはそれを起こす素因を有する対象を、sCR1コンジュゲートおよび提供される任意の他の医薬の投薬量および間隔に関する具体的指針により処置するために使用されることを示す。キットは、薬学的に許容される希釈緩衝液、例えば静菌性注射用水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンガー液および/またはブドウ糖溶液を含む追加の容器をさらに含むことができる。キットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針およびシリンジを含む、商業的およびユーザーの見地から望ましい他の材料をさらに含むことができる。
【0487】
キットは、場合により第2の医薬を含む容器をさらに含み、ここでsCR1コンジュゲートは第1の医薬であり、本品は対象を有効な量の第2の医薬で処置するための使用説明書を添付文書の上にさらに含む。第2の医薬は、上に示す治療タンパク質であってよい。
【0488】
本開示は、以下の非限定的実施例を含む。
【実施例1】
【0489】
sCR1変異体の生成
ヒト補体受容体1型(CR1)cDNA(GenBank受託番号NP_000564)はヒト発現のためにコドン最適化され、Geneart(登録商標)(Invitrogen(商標)、Thermo Fisher Scientific)によって合成された。完全長のおよびトランケーションされた可溶性CR1(sCR1)変異体は、標準のPCRベースの突然変異誘発技術を使用して生成した。cDNAは、開始メチオニンのすぐ上流(+1)でコザックコンセンサス配列(GCCACC)により生成し、続いて、それをNheIおよびXhoIで消化し、pcDNA3.1(Invitrogen(商標)、Thermo Fisher Scientific)にライゲーションした。sCR1変異体cDNAを、C末端の8×ヒスチジンタグとインフレームでクローニングした。sCR1-8His変異体のリストについて、表1を参照する。
【0490】
プラスミドDNAの大規模製造は、製造業者の使用説明書によりQIAGENプラスミドギガキットを使用して実行した。全てのプラスミド構築物のヌクレオチド配列は、BigDye(商標)ターミネーター版3.1 Ready Reaction Cycle Sequencing(Invitrogen(商標)、Thermo Fisher Scientific)およびApplied Biosystems 3130xl Genetic Analyzerを使用して両方の鎖を配列決定することによって、検証した。
【0491】
sCR1発現プラスミドによるExpi293F(商標)細胞の一時的トランスフェクションは、製造業者の推奨(Invitrogen(商標)、Thermo Fisher Scientific)によりExpi293(商標)発現系を使用して実行した。全ての細胞培養培地に抗生物質-抗真菌剤(GIBCO(登録商標)、Thermo Fisher Scientific)を補い、細胞を8%CO2の雰囲気のインキュベーターの中で37℃で維持した。
【0492】
sCR1-8Hisポリペプチドを精製した。簡潔には、ヘキサヒスチジン標識sCR1タンパク質の精製のために、培養上清を20mM NaH2PO4、500mM NaCl、10mM イミダゾール、pH7.4、で前もって平衡させたニッケルセファロースエクセル親和性樹脂(GE Healthcare)の上へ直接ロードした。ローディングの後、樹脂を20mM NaH2PO4、500mM NaCl、25mMイミダゾール、pH7.4、で洗浄した。樹脂に結合したsCR1は20mM NaH2PO4、500mM NaCl、500mMイミダゾール、pH7.4、でブロック溶出し、280nmの吸光度に基づいて溶出タンパク質を収集した。収集したタンパク質は、mt-PBS(137mM NaCl、27mM KCl、8.1mM Na2HPO4、1.15mM KH2PO4、pH7.4)で前もって平衡させたHiLoad26/60 superdex200プレップグレードカラム(GE Healthcare)にロードしていかなる混入タンパク質も除去し、所望の緩衝液に緩衝液を交換した。精製したタンパク質はamicon超遠心フィルターを50kDa MWCOと使用して所望の濃度に濃縮し、滅菌濾過し、-80℃で保存した。細胞内プロセシングのために、成熟sCR1-8His変異体はN末端41aaヒトCR1シグナルペプチドを欠く。
【0493】
【実施例2】
【0494】
sCR1-8His変異体は、in vitroで補体阻害活性を有する
補体阻害活性を調査するために、sCR1-8His変異体を製造業者の使用説明書によりWieslab(登録商標)補体アッセイ(Euro Diagnostica)で試験した。簡潔には、sCR1-8His変異体タンパク質を、96ウェルプレートの中のPBSで連続希釈した。希釈した各sCR1-8His変異体試料の50μlまたはPBSだけを、各補体経路のために適当なアッセイ希釈液の中の前もって希釈したヒト血清(古典的/レクチンの場合1:101)の202.5μlまたは希釈した血清(第二経路の場合1:18)の220μlに加え(製造業者の使用説明書に従って)、室温(RT)で30分間インキュベートした。前もって希釈した血清に加えられると、各タンパク質の最終の開始濃度は40nMであった。各試料の100μlを2反復でアッセイプレートに移し、37℃で1時間インキュベートした(CO2なしで)。ウェルを空にし、300μl/ウェルの1×洗浄緩衝液によって3回洗浄した(製造業者の使用説明書に従って)。C5b-9の末端複合体は、100μl/ウェルのアルカリ性ホスファターゼコンジュゲート抗C5b-9特異的モノクローナル抗体を使用して検出し、それは室温で30分間インキュベートした。未結合の抗体を捨て、ウェルを300μl/ウェルの1×洗浄緩衝液によって3回洗浄した。結合した抗体は100μl/ウェルのアルカリ性ホスファターゼ基質溶液を使用して検出し、室温で30分間インキュベートした。Envisionプレートリーダーを使用して405nmの吸光度を読み取った。
【0495】
生の値は血清およびPBSだけの対照(すなわち、100%のC5b-9形成)によるC5b-9形成のパーセンテージで表した。結果は対数(阻害剤)対応答-可変勾配(4つのパラメータ)フィットを使用して、IC50値のためにGraph Pad Prismで分析した。底およびトップはそれぞれ0および100の値に制約した。
【0496】
sCR1(490~939)-8His、sCR1(940~1392)-8HisおよびsCR1(1393~1971)-8His以外の全てのsCR1-8His変異体は、古典的、レクチンおよび第二経路で機能的活性を有した。sCR1(490~939)-8Hisは第二経路だけで機能的活性を有したが、sCR1(940~1392)-8Hisはレクチンおよび第二経路で機能的活性を有した。sCR1(1939~1971)-8Hisは、古典的、レクチンまたは第二経路のいずれでも検出可能な活性を有していなかった。
【0497】
下の表2に示すように、Wieslabアッセイにおいて、sCR1(1392)-8Hisは全ての3つの補体経路(すなわち、古典的、レクチンおよび第二)において完全長sCR1(1971)-8Hisおよび他のsCR1断片と比較して増加した阻害活性を有した。
【0498】
sCR1-8His変異体は、溶血アッセイ(例えば、古典経路(すなわち、CH50)および第二経路(ApH50)阻害アッセイ)を使用して機能活性についても試験した。
【0499】
sCR1変異体による補体系の古典的経路(すなわち、CH50)の阻害を調査するために、ヒツジ赤血球(Siemens)をウサギ抗ヒツジ抗体(Ambozeptor6000;Siemens)で感作させ、4×108細胞/mL GVB++(GVB、0.15mM CaCl2、0.5mM MgCl2)に希釈した。sCR1変異体を1/40希釈NHSの中でプレインキュベートし(室温で30分間)、その後1/1(v/v)比で赤血球に加え、マイクロタイタープレート振盪装置の中で37℃で1時間インキュベートした。氷冷GVBE(GVB、10mM EDTA)の添加および遠心分離(1250×g、4℃で5分間)の後に、412nmでの放出ヘモグロビンの吸光度を測定することによって溶血を上清で決定した。NHSおよび緩衝剤だけでインキュベートした細胞は、100%溶解対照の役目をした。sCR1変異体による溶解の阻害を、対照と比較して計算した。
【0500】
sCR1変異体による補体系の第二経路(すなわち、ApH50)の阻害を調査するために、ウサギ赤血球(Jackson Laboratories)を洗浄して2×108細胞/mL GVB/MgEGTA(GVB、5mM MgEGTA)に希釈した。sCR1変異体を1/6希釈NHSの中でプレインキュベートし(室温で30分間)、その後2/1(v/v)比で赤血球に加え、マイクロタイタープレート振盪装置の中で37℃で1時間インキュベートした。氷冷GVBEの添加および遠心分離(1250×g、10分間)の後に、412nmでの放出ヘモグロビンの吸光度を測定することによって溶血を上清で決定した。
NHSおよび緩衝剤だけでインキュベートした細胞は、100%溶解対照の役目をした。sCR1変異体による溶解の阻害を、対照と比較して計算した。
【0501】
sCR1(1393~1971)-8His以外の全ての変異体は、CH50およびApH50アッセイの両方で機能活性を示した。表3に示すように、sCR1(1392)-8Hisは、両方のアッセイにおいてsCR1(1971)-8Hisと比較して増加した活性を有した。
【0502】
【0503】
【実施例3】
【0504】
sCR1(1392)-8His変異体はsCR1(1971)-8Hisと比較して増加した安定性を示す
異なる緩衝条件におけるsCR1(1392)-8Hisの安定性を調査するために、完全長sCR1(1971)-8Hisタンパク質と比較してsCR1(1392)-8Hisタンパク質の熱安定性を測定するために、示差走査蛍光定量(DSF)アッセイを実行した。タンパク質の安定性を、ある範囲の塩(NaCl 0mM、50mM、150mMおよび500mM)および以下の緩衝剤のpH条件の下で調査した:クエン酸、HEPES、酢酸ナトリウム、リン酸、グリシン、ヒスチジン、TRISおよびプロリン。
【0505】
簡潔には、5μlの4×濃縮緩衝液を384ウェルプレートに2反復で分注した。sCR1(1392)-8HisおよびsCR1(1971)-8Hisタンパク質を、MT-PBS中で0.13mg/mlに希釈し、次に水の中で構成された1/20の色素保存液(Sypro(登録商標)オレンジ;Sigma)を混入して、各アッセイ反応で1/400の最終希釈溶液を与えた。次に15μlのタンパク質/色素混合液を、濃縮緩衝液を含有する384ウェルプレートの各ウェルに分注した。プレートは光学接着剤カバーで密封し、3220gで1分間遠心分離した後、QuantStudio(商標)リアルタイムPCR機器(Applied Biosystems)に流した。冷却させて温度を20.0℃で1分間保持した後、0.05℃/秒の速度で20.0℃から99.0℃に上昇させることによって融解曲線を作成した。第1の導関数を使用して各融解曲線から遷移中間(Tm)値を計算するために、タンパク質サーマルシフトソフトウェア(Applied Biosystems)を使用した。Tm値がNaCl濃度(x軸)およびpH(y軸)に対してどのように変化するかを図式で示すために、JMP13を使用して等高線プロットを作成した。
【0506】
sCR1(1392)-8Hisは、以下を含むいくつかの緩衝条件下で安定していた:リン酸(pH6.0~8.0;NaCl 0~500mM);リン酸-クエン酸(pH6.0~8.0;NaCl 0~500mM);トリス(pH7.0~9.0;NaCl 0~500mM);グリシン(pH9.0~10.0;NaCl 0~500mM);HEPES(pH6.5~8.5;NaCl 0~500mM)およびヒスチジン(pH6.0~7.0;NaCl 0~500mM)。測定された最大Tm値は、sCR1(1392)-8Hisでは61.4℃およびsCR1(1971)-8Hisでは61.7℃であった。
【0507】
緩衝剤スクリーニングに基づいて、sCR1(1392)-8HisはsCR1(1971)-8Hisより安定していた。
【実施例4】
【0508】
シアル酸付加sCR1(1392)-8Hisは向上したin vivo半減期を有する
sCR1(1392)-8Hisのin vivo半減期を延長できるかどうか調査するために、sCR1(1392)-8Hisのシアル酸付加版を調製した(sCR1(1392)-8HisSIA)。簡潔には、Expi293F細胞を、ヒトST3GAL3(ST3ベータガラクトシドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ3、GenBank受託番号NP_006270)をコードするcDNAおよびヒトB4GALT1(ヒトβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ、GenBank受託番号NP_001488.2)をコードするcDNAと一緒にsCR1(1392)-8HisをコードするcDNAにより94:3:3の比でコトランスフェクトすることによってシアル酸付加材料を作製した。
【0509】
表4に示すように、ST3GAL3/B4GALT1トランスフェクション細胞で作製されたsCR1(1392)-8HisSIA材料は、大いにより高い割合のシアル酸付加グリカンを有した。特に、シアル酸付加sCR1(1392)-8HisSIA材料は、より高い割合の二、三および四シアル酸付加グリカンを有した。
【0510】
【0511】
sCR1(1392)-8Hisおよびそのシアル酸付加版(sCR1(1392)-8HisSIA)のin vivo半減期を、ヒトFcRnトランスジェニックマウス(B6.Cg-Fcgrttm1Dcr Tg(FCGRT)32Dcr/DcrJ;The Jackson Laboratoryストック番号014565)で試験した。マウスは30mg/kgのsCR1(1392)-8HisまたはsCR1(1392)-8HisSIAで静脈内注射し、様々な時点で血漿を収集した(群A:5分および4時間、n=3;群B:0.5時間および8時間、n=3;群C:1時間および16時間、n=3;群D:2時間および48時間、n=3)。血液を、血液8部クエン酸緩衝液2部の比でクエン酸緩衝液と混合した。ヒトsCR1の血漿レベルは、以下の改変で製造業者の使用説明書に従って抗ヒトCD35 ELISA(RayBiotech、カタログ番号ELH CD35)で測定した:各試験品を使用して標準曲線(3~250ng/mLの範囲)を作成し、使用したアッセイ緩衝液は、1%BSA熱ショック分画、プロテアーゼフリー(Sigmaカタログ番号A3059)であり、洗浄緩衝液はPBS+0.05%v/vTween-20であった。標準の統計式を使用して、平均滞留時間(MRT)および曲線下面積(AUC)を計算した。
【0512】
図1に示すように、sCR1(1392)-8His
SIAは、sCR1(1392)-8Hisと比較して向上したin vivo保持を有し、25倍のMRT増加(14.7時間対35分)および8倍のAUC増加(AUC=516.5対65.74)であった。
【実施例5】
【0513】
sCR1変異体-抗G-CSFRコンジュゲートの作製
sCR1(1392)変異体をマウス抗G-CSFR抗体VR81のscFvと、または抗体C1.2のscFvとsCR1配列のC末端で融合させることによって、組換えsCR1融合体を作製した(表5)。
【0514】
VR81はマウスのG-CSFRの細胞外ドメインに対して生成されるマウスモノクローナルIgG1κ抗体であり、記載されるようにG-CSFRへのG-CSF結合をブロックする(Campbell等、Journal of Immunology、197巻(11号)(2016)4392~4402頁)。この点に関して、VR81はC1.2のためのマウス代用抗体であり、それはWO2012171057に記載される。
【0515】
組換え融合体は、標準のクローニング技術を使用して作製した。sCR1配列および抗G-CSFR配列を連結するために、GS16リンカーを使用した。シグナルペプチドも用いた。全ての融合タンパク質はExpi293F(商標)細胞で発現させ、sCR1タンパク質は前記の通りに精製した。
【0516】
【0517】
174kDaの発現生成物および175kDaの発現生成物の高レベル発現が、各sCR1(1392)-C1.2scFv融合体および各sCR1(1392)-5E2VR81scFv融合体でそれぞれ観察された(データ示さず)。発現生成物は可溶性であり、高いレベルでおよび予想されたサイズで発現された。
【0518】
補体阻害活性を調査するために、sCR1-抗G-CSFRコンジュゲートをWieslab(登録商標)補体アッセイ(Euro Diagnostica)で製造業者の使用説明書により、および前記の通り試験した。下の表6に示すように、全てのsCR1-抗G-CSFRコンジュゲート(すなわち、両配向)は、非コンジュゲートsCR1(1392)変異体と比較して古典的、レクチンおよび第二経路で増加した機能的活性を有した。
【0519】
【実施例6】
【0520】
sCR1変異体-抗G-CSFRコンジュゲートは、in vitroでG-CSFシグナル伝達阻害活性を有する
G-CSF依存性細胞系(マウスNFS-60)のマウスG-CSF(mG-CSF)依存性増殖を阻害するそれらの能力を決定することによって、sCR1-5E2VR81抗G-CSFRコンジュゲートのG-CSFシグナル伝達阻害活性をin vitroで調査した(Campbell等、J.Immunol.2016年、に前述されている通り)。
【0521】
第1に、mG-CSFへのマウスNFS-60細胞の用量応答を決定した。簡潔には、細胞を96ウェルプレートに平板培養し(1ウェルにつき1×104細胞)、mG-CSFの滴定濃度(100ng/ml、1/3希釈、12時点)およびmIL-3を細胞に加え、37℃、5%CO2で48時間インキュベートさせた。インキュベーションの後、細胞生存能力を測定するために、Vialightキットを製造業者の使用説明書に従って使用して細胞を分析した。0.05343ng/mlおよび0.1431ng/mlのEC50を、それぞれmG-CSFおよびmIL-3のために決定した。
【0522】
sCR1-抗G-CSFRコンジュゲートおよびマウスVR81抗体によるm-G-CSFの相対的阻害を調査するために、マウスNFS-60細胞を96ウェルプレート(1ウェルにつき1×104細胞)に平板培養し、VR81、sCR1(1392)-GS16-5E2VR81scFvLHおよびsCR1(1392)-GS16-5E2VR81scFvHLの滴定濃度を対応するウェルに加えた(100μg/ml、1/3希釈、16時点)。mG-CSFの1ng/mlまたは0.1ng/mlの固定濃度を対応するウェルに加え、プレートを37℃、5%CO2で48時間インキュベートした。インキュベーションの後、細胞生存能力を測定するために、Vialightキットを製造業者の使用説明書に従って使用して細胞を分析した。
【0523】
下の表7に示すように、sCR1-抗G-CSFRコンジュゲートは、細胞を0.1ng/mlのG-CSFまたは1ng/mlのG-CSFで刺激したとき、類似の効果を示した。両方のsCR1-5E2VR81scFvコンジュゲート(LHおよびHL配向)はG-CSF阻害アッセイで類似の効力を有したが、コンジュゲートはVR81抗体と比較して効力が概ね500倍低かった。
【0524】
【実施例7】
【0525】
sCR1変異体-抗第XII因子scFvコンジュゲートの作製
sCR1(1392)変異体を抗体3F7または3F7GのscFvとsCR1配列のC末端で融合させることによって、組換えsCR1融合体を作製した(表8)。
【0526】
【0527】
175kDaの発現生成物の高レベル発現が観察された(データ示さず)。発現生成物は可溶性であり、高いレベルでおよび予想されたサイズで発現された。
【実施例8】
【0528】
sCR1変異体-抗第XII因子scFvコンジュゲートはin vitroでFXIIa阻害活性を有する
上で生成されるsCR1-抗第XII因子scFvコンジュゲートの阻害活性を調査するために、発色阻害アッセイを実行した。
【0529】
簡潔には、20μLのXIIa因子(1μg)を、sCR1(1392)-GS16-3F7scFvHL、sCR1(1392)-GS16-3F7GscFvHLまたは非コンジュゲート3F7(ch3F7-mG1L-aFXII)を含有する緩衝液と、ELISAプレート中に160μLの量まで混合した。37℃で5分間のインキュベーションの後、発色基質40μLを加えた。混合液を37℃で15分間インキュベートした後、停止液40μLを加えた。測定は、プレートリーダーで405nmで実行した。
【0530】
下の表9に示すように、全てのsCR1-抗第XII因子scFvコンジュゲートは、3F7抗体のそれに類似した機能的FXIIa阻害活性を有した。
【0531】
【実施例9】
【0532】
sCR1変異体-抗第XII因子scFvコンジュゲートはin vitroで補体阻害活性を有する
補体阻害活性を調査するために、sCR1-抗FXIIコンジュゲートをWieslab(登録商標)補体アッセイ(Euro Diagnostica)で製造業者の使用説明書により、および前記の通り試験した。下の表10に示すように、全てのsCR1-抗FXIIコンジュゲート(すなわち、両配向)は、非コンジュゲートsCR1(1392)変異体と比較して古典的、レクチンおよび第二経路で増加した機能的活性を有した。
【0533】
【配列表】
【国際調査報告】