(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】真空マルチセンシングユニット
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20220804BHJP
B65G 47/91 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B25J15/06 B
B65G47/91 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541068
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 KR2020015733
(87)【国際公開番号】W WO2021101154
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0148948
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521311115
【氏名又は名称】ブイテク カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ホ-ヨン
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707FS01
3C707FT02
3C707FU04
3C707MS14
3C707MS15
3F072AA06
3F072GA00
3F072GE00
3F072GF01
3F072KD03
3F072KD12
(57)【要約】
本発明は、真空移送システムにおいて、真空ポンプ23と共に対象物Pの吸着・移送に使用される真空マルチセンシングユニット10に関する。本発明の前記真空マルチセンシングユニット10は複数のセンサ13を含んでマルチセンシングを行うが、ここでは内蔵された各センサ13に対する個別的及び一括的制御が可能となる。よって、特に対象物Pを移送するために複数の真空ポンプ23が求められる場合、単一のユニット10で対応するようにすることで、従来のセンシングユニットが各真空ポンプに個別に取り付けられるのに比べて、ユニット10の制作、設置、管理、運用、及び制御の効率性の側面で桁違いに有利な効果がある。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空移送システムにおいて、真空ポンプ(23)の内部圧力を感知して条件に応じて対象物Pの移送動作信号を出力する装置であって、
内部に制御回路部(12)と複数の圧力センサ(13)が配置され、一側に前記各センサ(13)に対応する複数の真空ポート(16)が形成され、表面に圧力表示部(14)とスイッチ操作部(15)が形成されるケース(11)で構成されるが、
前記操作部(15)は、前記センサ(13)のうち一つ以上を選択するように形成されるセンサ選択スイッチ(18)・S1-S8と、前記センサ選択スイッチS1-S8を介して順次に選択される各センサ(13)に対して「到達」信号の発生条件として圧力値を入力するようになる圧力設定部(19)を含み、
システムを駆動する際、前記センサ選択スイッチ(18)で一つ以上のセンサ(13)が同時に選択されたら、前記回路部(12)は、前記選択された各センサ(13)から受けた前記到達信号データに基づいて移送動作信号を出力することを特徴とする真空マルチセンシングユニット。
【請求項2】
前記マルチセンシングユニットは、
前記ケース(11)の一側に形成される一つのコネクタ(17)と、前記コネクタ(17)に連結されるケーブルを含み、前記ケーブルは電力線と入出力信号伝送線を内蔵することで、単一のケーブルによって電力供給及び信号伝送が行われるように設計されることを特徴とする請求項1に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項3】
前記圧力設定部(19)は、特定対象物Pの安全な吸着及び移送に対する適正圧力値を設定するための手段であって、Up、Down、及びSetupボタンを含むことを特徴とする請求項1に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項4】
前記センサ選択スイッチ(18)のうちから選択されたスイッチS1-S8はその周辺ランプで表示されることを特徴とする請求項1に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項5】
前記センサ選択スイッチ(18)のうち複数のスイッチS1-S8に同じ圧力値を設定する場合、該当スイッチS1-S8をいずれも選択して同時に一括設定するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項6】
前記真空マルチセンシングユニット(10)は、
前記表示部(14)の一側に形成される一つのLED出力ウィンドウ(25)を更に含み、
前記出力ウィンドウ(25)は、システムの「真空」または「解放」(release)の動作状態を各々示すOUT 1 LEDまたはOUT 2 LEDの色に対応して同じ色を出力することを特徴とする請求項1に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項7】
前記出力ウィンドウ(25)は略「鎌」状に曲がった形態に形成され、ケース(11)の角部分に配置されて前記ケース(11)の上面及び側面を向かうようになっていることを特徴とする請求項6に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項8】
前記操作部(15)は、前記ケース(11)の表面に配置されて前記制御回路部(12)のメモリ(21)に保存されている動作モード(mode)のうちから選択して稼働するモード選択スイッチ(22)を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項9】
前記モードは、
前記センサ(13)のうちセンサ選択スイッチ(18)によって選択されたセンサ(13)
に対して同じ圧力値が設定されるが、選択されたセンサ(13)がいずれも前記設定された圧力を感知したら、「動作」信号を出力する方式を含むことを特徴とする請求項8に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項10】
前記モードは、
前記センサ(13)のうちセンサ選択スイッチ(18)によって選択されたセンサ(13)に対して同じ圧力が設定され、選択されたセンサ(13)の一部がその設定された圧力を感知することができなかったとしても、選択された各センサ(13)から得られた圧力の平均値が各センサ(13)に対して設定された圧力の平均値に到達したら、「動作」信号を出力する方式を含むことを特徴とする請求項8に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項11】
前記モードは、
前記選択されたセンサ(13)のうち一定時間や回数の間に前記設定された圧力を感知することができなかったセンサがある場合、該当LED(20)でその識別表示が出力される
ことを特徴とする請求項(10)に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項12】
前記モードは、
前記センサ(13)のうちセンサ選択スイッチ(18)によって選択されたセンサ(13)
に対して同じではない圧力値が設定されるが、選択されたセンサ(13)がいずれもその設定された圧力を感知したら、「動作」信号を出力する方式を含むことを特徴とする請求項8に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項13】
前記モードは、
前記センサ(13)がいずれも自動的に選択された状態になり、前記設定部(19)で全てのセンサ(13)に対して同時に同じ圧力が設定され、前記センサ(13)のうち一部でもその設定された圧力を感知したら、「動作」信号を出力する方式を含むことを特徴とする請求項8に記載の真空マルチセンシングユニット。
【請求項14】
前記各センサ(13)別の累積センシング回数が前記制御回路部(12)のメモリ(21)にデータとして保存されることを特徴とする請求項1に記載の真空マルチセンシングユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空移送システムに使用される真空センシングユニットに関し、特に複数の真空ポンプに対応し得るように設計されたマルチセンシングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
真空移送システムとは、圧縮空気によって作用する真空ポンプを利用してパッド、コップなどの形態の吸着手段を排気することでその内部に負圧を発生させ、この際発生した負圧を利用して対象物を吸着及び把持した後、予定の場所に移送するシステムのことをいう。排気の側面からみると、圧縮空気が真空ポンプを通る間に吸着手段内の空気が真空ポンプの内部に誘引されて圧縮空気と共に外部に排出されるが、この過程で真空ポンプの内部には真空が形成される。
【0003】
いわゆる「真空センシングユニット」は、前記真空ポンプに取り付けられて該当真空ポンプの内部圧力(-kPa)の大きさを感知し、その圧力が適正レベルに達したら吸着後工程、つまり、対象物(work)を移送するための動作信号(signal)を出力する装置である。
【0004】
図1を参照すると、一般に真空センシングユニット100は、所定の制御部とセンサを内蔵するケース101と、前記ケース101の前面に備えられる情報表示部102と、圧力設定部130と、を含み、前記ケース101の一側に別途の真空ポンプと連通する真空ポート(図示せず)が形成される。この図面において、符号104は前記センシングユニット100に電力を供給するためのケーブルである。前記センシングユニット100は前記真空ポートを媒介に真空ポンプと連結されるが、これで前記センサが真空ポンプの内部圧力、つまり、真空圧(-kPa)を感知するようになる。
【0005】
一方、対象物の種類や特性によってその吸着及び移送に必要な適正の圧力レベルが異なるため、システムを作動する前に前記圧力設定部103を操作して該当センシングユニット100の信号出力条件を調整及び設定する。そして、前記センシングユニット100は、システム作動の際にセンサによって感知された圧力が予め設定されたレベルに達したら動作信号を出力するようになるが、これでロボティックアームなどが稼働されて対象物を決められた位置に移送するようになる。
【0006】
このようなセンシングユニット100が実際に有用に使用されており、これとは異なるが機能的に類似した装置が特許文献2、特許文献4などに記載されている。
【0007】
図2を参照すると、対象物の種類や形態、その他の特性によってはその吸着及び移送のために複数の真空ポンプ110が同時に適用されることがあるが、この場合、各真空ポンプ110に前記センシングユニット100が個別に取り付けられて上述した機能を行う。これも本技術分野でよく使用されてはいるが、特にここには、
前記センシングユニット100が真空ポンプの数だけ求められるため設置、管理、運用などの様々な側面で非常に不利で、
各センシングユニット100及びセンサに対する一貫的・効率的な制御が不可能で、
各センシングユニット100に個別に備えられる電力ケーブル104によってシステム全体の配線処理が複雑になる、などの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第0320503号公報
【特許文献2】韓国登録特許第0523544号公報
【特許文献3】韓国登録特許第1463041号公報
【特許文献4】韓国登録特許第1860643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述した従来技術による真空センシングユニットの問題点を解決しようと提案されたものであって、本発明の目的は、複数の真空ポンプに単一のユニットで対応してマルチセンシングを行うようにすると共に、各センサに対する個別的・一括的制御が可能に構成されるマルチセンシングユニットを提供しようとすることである。本発明の他の目的は、単一の電力ケーブルによって駆動されるマルチセンシングユニットを提供しようとすることである。
【0010】
本発明のまた他の目的は、定型化された動作モード(mode)を備えて選択的に利用するようになっている真空マルチセンシングユニットを提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の真空マルチセンシングユニットは、真空移送システムにおいて、真空ポンプの内部圧力を感知して条件に応じて対象物の移送動作信号を出力する装置であって、
前記マルチセンシングユニットは、
内部に制御回路部と複数の圧力センサが配置され、一側に前記各センサに対応する複数の真空ポートが形成され、表面に圧力表示部とスイッチ操作部が形成されるケースで構成されるが、
ここで、前記操作部は、
前記センサのうち一つ以上を選択するように形成されるセンサ選択スイッチと、前記センサ選択スイッチを介して順次に選択される各センサに対して「到達」信号の発生条件として圧力値を入力するようになる圧力設定部を含み、
前記マルチセンシングユニットは、
システムを駆動する際、前記センサ選択スイッチで一つ以上のセンサが同時に選択されたら、前記回路部は、前記選択された各センサから受けた前記到達信号データに基づいて移送動作信号を出力すること、を特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記マルチセンシングユニットは、
前記ケースの一側に形成される一つのコネクタと、前記コネクタに連結されるケーブルを含み、前記ケーブルは電力線と入出力信号伝送線を内蔵することで、単一のケーブルによって電力供給及び信号伝送が行われるように設計される。
【0013】
また、好ましくは、前記操作部は、
前記ケースの表面に配置され、前記制御回路部のメモリに保存されている動作モードのうちから選択して稼働するモード選択スイッチ、
を更に含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の真空マルチセンシングユニットは複数のセンサを含むユニットであって、複数の真空ポンプに単一のユニットで対応してマルチセンシングを行うが、ここで各センサに対する個別的及び一括的制御が可能となる。よって、特に対象物を移送するために複数の真空ポンプが求められるシステムにおいて、従来のセンシングユニットが各真空ポンプに個別に取り付けられるのに比べて、センシングユニットの制作、設置、管理、運用、及び制御の効率性の側面で非常に有利な効果がある。
【0015】
一方、本発明の真空マルチセンシングユニットは単一の電力ケーブルによって駆動されるように設計されるため、マルチセンシングユニット自体の駆動方式が簡単になることはもちろん、特にシステム全体の配線処理が容易で簡単に行われる効果がある。また、好ましい例において、本発明の真空マルチセンシングユニットはモード選択スイッチを更に含むが、それによって場合による最適な駆動パターンを選択することができるようになり、マルチセンシングユニットの使用の便宜性及び動作の安定性を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来の真空センシングユニットの外形を示す図である。
【
図2】
図1の真空センシングユニットの適用例を示す図である。
【
図3】本発明の真空マルチセンシングユニットの外形を示す斜視図である。
【
図6】
図3のユニットにおける「第1モード」の動作を説明する図である。
【
図7】
図3のユニットにおける「第2モード」の動作を説明する図である。
【
図8】
図3のユニットにおける「第3モード」の動作を説明する図である。
【
図9】
図3のユニットにおける「第4モード」の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以上に記載または不記載の本発明の「真空マルチセンシングユニット(以下、「マルチセンシングユニット」)の技術的特徴と作用効果は、以下で添付図面を参照して説明する実施例の記載を介して更に明確になるはずである。
図3以下の図面において、本発明のマルチセンシングユニットが符号10で示されている。
【0018】
図3乃至
図6を参照すると、本発明のマルチセンシングユニット10は真空移送システムにおいて真空ポンプ23と共に使用され、前記真空ポンプ23の内部圧力、つまり、真空圧(-kPa)を感知し、その圧力レベルが一定条件を満足するのかを判断して対象物Pを移送するための動作信号を出力する装置であるが、この点においては従来のセンシングユニットに比べ異なる点はない。
【0019】
前記マルチセンシングユニット10は、一定形態のケース11を基に、その内部に配置される制御回路部12と複数の圧力センサ13、一側面に前記各センサ13に対応して一列に形成される複数の真空ポート16、及び表面に形成される圧力表示部14とスイッチ操作部15からなる。本実施例において、前記センサ13と真空ポート16は一対一に対応するが、必要に応じては一つのセンサ13に複数の真空ポート16が対応するように設計してもよい。
【0020】
また、前記マルチセンシングユニット10は、前記表示部14の上側部分に形成される一つのLED出力ウィンドウ25を更に含む。一般に、前記システムは対象物Pの反復的な吸着及び移送のために「真空」または「解放」(release)の一状態に動作するが、前記出力ウィンドウ25はOUT 1 LEDグリーン(G)またはOUT 2 LEDレッド(R)を出力してその動作状態を知らせる。しかし、前記OUT 1及びOUT 2 LEDはサイズが過度に小さくて分離されているため実用的ではない。よって、本実施例では一つの出力ウィンドウ25を別途に設けて動作状態に応じて異なる色が出力されるようにすることで、遠く離れているところでも状態を確認し得るように具現している。例えば、動作状態がOUT 1 LEDグリーン(G)であれば前記出力ウィンドウ25にも同時にグリーン(G)が出力される方式である。
【0021】
好ましくは、前記出力ウィンドウ25はおおよそ「鎌」状に曲がった形態に形成され、ケース11の角部分に配置されて前記ケース11の上面及び側面を向かうようになっているが、それによって遠く離れているところでも前記システムの動作状態を肉眼で容易に確認することができる。
【0022】
符号17は前記マルチセンシングユニット10に電力を供給するために備えらえるケーブル4-PINコネクタであって、前記ケース11の単一で備えられ、前記コネクタ17には同じく単一のケーブルが接続される。それによって、各センシングユニットごとにケーブルが備えれる従来の方式に比べて駆動方式が簡単になり、特にシステム全体の配線処理が容易で簡便な利益がある。
【0023】
システムを構成する際、前記各真空ポート16には真空ポンプ23が個別に連結されるが、これで各センサ13がそれに対応する真空ポンプ23の内部圧力を感知し得るようになる。また、本実施例において、前記表示部14は、各センサ13に対して任意に設定されるか、各センサ13によって感知された真空ポンプ23の圧力値(-kPa)またはそれらの演算値を数字で表すデジタル表示部である。
【0024】
前記操作部15は、前記センサ13のうち一つ以上を選択するように形成されるセンサ選択スイッチ18と、前記センサ選択スイッチ18を介して順次に選択される各センサ13に対して「到達」信号の発生条件として圧力値を入力するようになる圧力設定部19を含む。詳しくは、各センサ13は前記センサ選択スイッチ18の各スイッチS1-S8ボタンを押して選択される。ここで、前記操作部15はいずれもボタン式スイッチであるが、知られている他の方式で具現されてもよい。
【0025】
また、前記選択されたセンサ13が圧力と感知して一定レベルに到達したら該当到達信号を発生するが、この圧力レベルは前記圧力設定部19によって事前に適正値に設定されるものである。つまり、前記圧力設定部19は特定対象物Pの安全な吸着及び移送に対する適正の圧力値を設定するための手段であって、詳しくは、Up、Down、及びSetupボタンを含む。
【0026】
例えば、対象物Pは種類や大きさ、体積、重さ、重心、材質、扁平度、更に表面中の平面分布などの特性が異なるため、その安全な吸着及び移送のための適正圧力は対象物Pによって、または対象物Pの吸着条件によって異なり得る。よって、各センサ13ごとに適正圧力を調整及び設定する必要があるが、まず、スイッチS1を押すとセンサ13のうち第1センサの選択が該当ウイッチS1の周辺に表示され、その後、前記設定部19のボタンを操作して適正圧力値を設定するが、同じ方法で全体のセンサ13の圧力値を個別に設定することができる。
【0027】
もし複数のスイッチS1、S2に同じ圧力値を設定する場合であれば、そのスイッチS1、S2をいずれも押した後で同時に一括に設定してもよい。
【0028】
前記システムを駆動する際、各真空ポンプ23の内部圧力を各センサ13が個別に感知して各設定された値に到達したら、前記制御回路部12は各センサ13から受けた到達信号データに基づいて対象物Pの移送動作信号を出力する。そして、この信号によってロボティックアームなどの手段が稼働されて対象物Pを決められた位置に移送する。
【0029】
ここで、前記センサ13はいずれも正常的に作動する。ところが、例えば、対象物Pの特性又は各真空ポンプの状態に応じては前記センサ13のうち一部が「作動」から意識的に除外される必要がある。そこで、本発明ではシステムを作動する前に、前記センサ選択スイッチ18・S1-S8を押して各センサ13の動作を個別に制限するようにする。例えば、8つのスイッチ18のうち「S1」、「S4」、「S6」、「S8」を選択して押すと該当センサ13は作動するが、選択されていない「S2」、「S3」、「S5」、「S7」の該当センサ13は作動しない。この際も選択されたスイッチ18はその周辺にランプで表示される。
【0030】
このように、本発明では、特定対象物Pを移送するために前記センサ選択スイッチ18によって一つ、一部または全部のセンサ13が同時に選択されるようにし、前記制御回路部12はその選択された各センサ13から受けた前記到達信号データに基づいて移送動作信号を出力する。
【0031】
以上のように構成される本発明のマルチセンシングユニット10は、複数のセンサ13を含むユニットであって、複数の真空ポンプ23に単一のユニットで対応してマルチセンシングを行うが、ここで各センサ13に対する個別的及び一括的制御が可能であるため、従来のセンシングユニットが各真空ポンプに個別に取り付けられていたことに比べれば、センシングユニットの制作、設置、管理、運用、及び制御の効率性の側面で非常に有利である。
【0032】
本実施例において、前記操作部15は、制御回路部12のメモリ21に保存されている複数の動作モードのうち選択的に稼働するモード選択スイッチ22を更に含む。そこで、各場合によって対象物Pの種類や特性を考慮して適合したモードを選択してシステムを稼働することで、本発明のマルチセンシングユニット10を更に便利で安定的に使用することができるようになる。
【0033】
以下では本実施例に適用される動作「モード」を例示する。
【0034】
[第1モード]
図6を参照すると、このモードは、前記センサ13のうちセンサ選択スイッチ18によって選択された(S1)、(S2)、(S4)、(S6)、(S8)に対して同じ圧力値が設定されるが、その選択されたセンサ13がいずれも前記設定された圧力を感知したら、前記マルチセンシングユニット10が「動作」信号を出力するように設計されている。この際、前記表示部14には、選択された各センサ13から得られた圧力が平均値として表示される。一方、システムの作動中にS1-S8のうちから選択して押すと、該当センサ13の現在感知された圧力値が表示されて作動状態を確認することができるが、これはモードの種類に関わらず可能であるといえる。
【0035】
場合によっては前記センサ13はS1-S8のうちから一つ以上をランダムで選択することもできるが、このモードは安全が求められる移送ライン及び同じ形態の対象物Pの反復移送に適切に使用される。ここで、前記選択されたセンサ13が正常に作動して設定された圧力に到達したら、該当LED20はグリーン(G)に表示される。
【0036】
[第2モード]
図7を参照すると、このモードは、前記センサ13のうちセンサ選択スイッチ18によって選択された(S1)、(S2)、(S3)、(S4)に対して同じ圧力が設定されるが、選択されたセンサ13の一部S3がその設定された圧力を感知することができなかったとしても、選択された各センサ13から得られた圧力の平均値が各センサに対して設定された圧力の平均値に到達したら、前記マルチセンシングユニット10が「動作」信号を出力するように設計されている。この際、前記表示部14には選択された各センサ13から得られた圧力が平均値として表示される。
【0037】
場合によっては前記センサ13はS1-S8のうちから一つ以上をランダムで選択することもできるが、このモードは形状が可変する対象物またはビニルパックや薄いフィルムのように真空漏洩の恐れがある対象物の移送に適切に使用される。
【0038】
ここで、前記選択されたセンサ13が正常に作動して設定された圧力に到達したら、該当LED20はグリーン(G)に表示される。一方、前記で選択されたが一定時間や回数の間に前記設定された圧力を感知することができなかったセンサS1があったら、該当LED20がその識別表示として、例えばレッド(R)の点滅で表示されるが、これは真空ポンプ23または吸着手段24に問題が生じたことを意味するため、その点検が必要であるといえる。
【0039】
[第3モード]
図8を参照すると、このモードは、前記センサ13のうちセンサ選択スイッチ18によって選択された(S1)、(S2)、(S4)、(S6)、(S8)に対して同じではない圧力が設定されるが、選択されたセンサ13がいずれもその設定された圧力を感知したら、前記マルチセンシングユニット10が「動作」信号を出力するように設計されている。この際、前記表示部14には、選択された各センサ13から得られた圧力が平均値として表示される。
【0040】
場合によっては前記センサ13はS1-S8のうちから一つ以上をランダムで選択することもできるが、このモードは表面の形態が均一ではなく、特定部位で真空漏洩の恐れがある対象物Pの移送に適切に使用される。ここで、前記選択されたセンサ13が正常に作動して設定された圧力に到達したら、該当LED20はグリーン(G)に表示される。
【0041】
[第4モード]
図9を参照すると、このモードは、前記センサ選択スイッチ18を操作することなく前記センサ13・(S1-S8)がいずれも自動的に選択された状態になり、前記設定部19で全てのセンサ13に対して同時に同じ圧力が設定されることであり、前記センサ13のうち一部S2でも自らに対して設定された圧力を感知したら、前記マルチセンシングユニット10が「動作」信号を出力するように設計されている。この際、前記表示部14には、そのセンサS2の圧力値または選択された各センサ13から得られた圧力値のうち最高値が表示される。
【0042】
このモードは形態が非常に不規則な対象物Pの移送に適切に使用されるが、この場合、上述した一部のセンサS2に対応する真空ポンプ23及び吸着パッド24は対象物Pに対して吸着の失敗が予想されない最も確実な位置にあるといえる。ここで、前記選択されたセンサ13のうち一部S2が正常に作動して設定された圧力に到達したら、該当LED20はグリーン(G)に表示される。
【0043】
前記第1モード、第2モード、第4モードのように、前記選択スイッチ18のうち複数のスイッチ(例えば、S1、S2)に同じ圧力値を設定する場合は、その該当スイッチS1、S2をいずれも押してから同時に一括設定してもよい。一方、前記で各センサ13別の累積センシング回数が前記メモリ21に保存されるが、これは該当センサの寿命、作業の適合性などを評価するデータとして活用される。
【符号の説明】
【0044】
10:マルチセンシングユニット
11:ケース
12:制御回路部
13:センサ
14:表示部
15:操作部
16:真空ポート
17:コネクタ
18:センサ選択スイッチ
19:圧力設定部
20:LED
21:メモリ
22:モード選択スイッチ
23:真空ポンプ
24:吸着パッド
25:出力ウィンドウ
「P」:対象物
【国際調査報告】