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特表2022-536011天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/38 20060101AFI20220804BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20220804BHJP
   B63B 13/00 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B63H21/38 Z
B63H21/38 B
B63B25/16 A
B63B13/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551821
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(85)【翻訳文提出日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 KR2019007273
(87)【国際公開番号】W WO2020251104
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0070504
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513107735
【氏名又は名称】コリア インスティチュート オブ オーシャン サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヒ ジン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジン
(57)【要約】
本発明は、天然ガスハイドレートから天然ガスのみを抽出した後、これを最小バラスト水船型船舶のデュアルフューエルエンジンの燃料として活用することができる、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最小バラスト水船舶の燃料供給系統に連結された一つ以上の天然ガスハイドレートタンクコンテナが積層された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックと、
前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックから抽出される天然ガスの圧力を一定に維持する天然ガスレギュレータと、
前記天然ガスの抽出中の配管損傷や管閉塞の防止のために前記天然ガスの温度を調節する熱交換器と、
前記熱交換器に連結され、前記熱交換器を介して排出される天然ガスの流量を計測する燃料流量計と、
前記最小バラスト水船舶内のエンジンの燃料吸入部に連結された燃料供給管と、
前記燃料供給管を介して吸入された空気と前記熱交換器を介して吸入される天然ガスとの混合比を制御する燃料流量調節弁と、を含み、
前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックから前記天然ガスを抽出した後、残留する清水を前記最小バラスト水船舶のバラストで代替して適用し、寄港地で前記清水を取り合わせてリサイクルすることができるように前記清水を前記寄港地に供給することを特徴とする、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【請求項2】
前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックは、前記エンジンから排出される排気ガス(exhaust gas)または冷却水(coolant)の熱を用いて、固体状態の天然ガスハイドレートの相平衡状態を調整して前記天然ガスを再気化させることを特徴とする、請求項1に記載の天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【請求項3】
前記天然ガスレギュレータは、
前記一つ以上の天然ガスハイドレートタンクコンテナそれぞれから排出される天然ガスの圧力を取り合わせて一定の天然ガス供給圧力が維持されるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【請求項4】
前記天然ガスレギュレータと前記熱交換器との間に位置し、前記天然ガスレギュレータから排出される天然ガスの排出状態を調節する天然ガス調節弁をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【請求項5】
前記熱交換器は、
前記天然ガス調節弁を介して排出される天然ガスの抽出中の配管損傷や管閉塞の防止のために熱交換を行うことを特徴とする、請求項1に記載の天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【請求項6】
前記燃料供給管はスロットルボディを含み、前記スロットルボディを介して吸入された空気量は前記燃料流量調節弁に伝達されることを特徴とする、請求項1に記載の天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【請求項7】
前記スロットルボディは、
前記燃料供給管を介して吸入される空気量を調節するスロットル弁を含むことを特徴とする、請求項6に記載の天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【請求項8】
前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックは、
前記最小バラスト水船舶に積載された一つ以上のコンテナの重さ配分に応じて船舶上で配置状態が変更されるように設けられ、前記最小バラスト水船舶のバラスト水の代わりに前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックによって前記最小バラスト水船舶の縦横傾斜が調整され、適正喫水(draft)が確保されることを特徴とする、請求項1に記載の天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【請求項9】
前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックと前記燃料供給管との間には、
前記天然ガスハイドレートタンクコンテナの爆発を防止するための緊急遮断弁(Quick Closing Valve)、回生圧力弁(Flashback Pressure Valve)及び起爆防止器(Detonation Arrester)のうちの少なくとも一つが設けられることを特徴とする、請求項1に記載の天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【請求項10】
船舶の燃料供給系統に連結された一つ以上の天然ガスハイドレートタンクコンテナ及び一つ以上の水素タンクが積層された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックと、
前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックから排出される天然ガスの圧力を調節する天然ガスレギュレータと、
前記水素タンクから排出される水素の圧力を調節する水素レギュレータと、
前記天然ガス調節弁を介して排出される天然ガスの温度を調節する熱交換器と、
前記熱交換器に連結され、前記熱交換器を介して排出される天然ガスの流量を計測する燃料流量計と、
前記水素レギュレータに連結され、前記水素レギュレータから排出される水素の流量を計測する水素流量計と、
船舶内のエンジンの燃料吸入部に連結された燃料供給管と、
前記燃料供給管を介して吸入された空気と前記熱交換器を介して排出される天然ガスとの混合比を制御する燃料流量調節弁と、を含み、
前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックから前記天然ガスを抽出した後、残留する清水を前記最小バラスト水船舶のバラスト水に置き換えて適用し、寄港地で前記清水を取り合わせてリサイクルすることができるように前記清水を前記寄港地に供給することを特徴とする、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【請求項11】
前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックは、
前記最小バラスト水船舶に積載された一つ以上のコンテナの重さ配分に応じて船舶上で配置状態が変更されるように設けられ、前記最小バラスト水船舶のバラスト水の代わりに前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックによって前記最小バラスト水船舶の縦横傾斜が調整され、適正喫水(draft)が確保されることを特徴とする、請求項10に記載の天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【請求項12】
前記天然ガスハイドレートタンクコンテナ及び前記水素タンクのそれぞれと前記燃料供給管との間には、
前記天然ガスハイドレート燃料及び前記水素タンクの爆発を防止するための緊急遮断弁(Quick Closing Valve)、回生圧力弁(Flashback Pressure Valve)及び起爆防止器(Detonation Arrester)のうちの少なくとも一つが設けられることを特徴とする、請求項10に記載の天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムに係り、より具体的には、天然ガスハイドレートから天然ガスを抽出した後、これを最小バラスト水船型船舶のデュアルフューエルエンジンの燃料として活用することができる、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムに関する。
【0002】
また、本発明は、天然ガスの抽出後、残留する清水を整流してリサイクルすることができる、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムに関する。
【0003】
また、本発明は、天然ガスと水素との混焼(mixed combustion)を介してグリーンハウスガスの低減を図ることができる、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
一般的に、天然ガスハイドレートのエネルギー貯蔵効率は、液化天然ガスに比べて3分の1にならず、3倍以上の貯蔵空間と重量を有する。このような理由から、天然ガスハイドレートを船舶の燃料として活用することは、相対的に一層大きい体積の燃料タンクが要求されるため、船舶設計の手続き上、収容が不可能であると認識されている。
【0005】
一方、ほとんどの船舶は、空貨物(Empty Cargo)状態で安定的な運航のためにバラスト水(ballast water)を活用する。船舶バラスト水の役割は、船舶復元性能の維持(Maintain stability of the ship)、船体の縦横方向姿勢制御(Trim and heel control)、推進機の適正浸水深みの維持(Secure immersion depth of the propeller)、適正喫水の確保による船首スラミングの防止(Reduction of slamming)、航行中に発生する曲げモーメントの低減(Reduction of bending moment of the ship)及びせん断力の相殺(Relieve the shear force of the ship)などがある。
船舶で使われるバラスト水の量は、船種によって異なるが、一般的にDWT(Dead Weight)の30%乃至40%程度であり、旅客船は、コンテナ船、バルク船などの貨物船に比べて10%程度のバラスト水を追加運用することが知られている。
【0006】
バラスト水に含まれている海洋微生物の長距離移動に伴う海洋環境の破壊により、2017年9月から船舶バラスト水条約(The measures of the Ballast Water Management(BWM)Convention)が発効され、すべての船舶のバラスト水は、排出の前に微生物の殺処分と確認過程が要求されており、これによるバラスト水処理装置の設置、運用費用の増加、港での船舶バラスト水の検査による停泊期間の増加などの問題が台頭している。
【0007】
主要先進国では、バラスト水の問題を解決するために、バラスト水を活用しないか或いは使用量を最小限に抑える船舶の概念に関する研究が行われている。一例として、米国ミシガン大学では、船体の内部にトランクという船体貫通型ホールを空ける方式の無バラスト水船舶の概念を提示したことがあり、日本では、船体の側面のビルジ半径(bilge radius)を増やしてプロペラ浸水深みを確保した無バラスト水船型(NOBS、Non-ballast water ship)と最小バラスト水船型(MIBS、minimal ballast water ship)を有する船舶の概念を発表したことがある。韓国では、貨物倉の下部の船底面を船首・船尾部とは異なるように配置するUneven baseline概念の無バラスト水及び最小バラスト水船型の概念を提示したことがある。
【0008】
無バラスト水船舶、最小バラスト水船舶の実現及び商用化のためには、バラスト水を使用しないながらも船舶運航のために要求される、(1)貨物積載による姿勢制御能力の維持、(2)推進機の適正浸水深みの確保、(3)適正水準の抵抗推進性能の確保、(4)運航中の船首スラミングに対する対策の確保、(5)運航中に船体が負担する荷重に対する対策の確保、(6)既存の港湾での運用性の確保、(7)容易な技術実現性の確保、(8)寿命周期経済性の確保が必ず要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、天然ガスハイドレートから天然ガスを抽出した後、これを最小バラスト水船型船舶のデュアルフューエルエンジンの燃料として活用することができる、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、天然ガスの抽出後、残留する清水を整流してこれを寄港地などでリサイクルすることができる、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、天然ガスと水素の混焼(mixed combustion)を介してグリーンハウスガスの低減を図ることができる、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、最小バラスト水船舶の船型(hull-form)を活用して、要求されるバラスト水をLNG及び船舶燃料油(HFO)の代わりに天然ガスハイドレートの大きな重量と体積を用いて代替することを基本として無バラスト水の運航を可能にする、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムを提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、天然ガスハイドレートタンクコンテナの場合には、船舶に固定式またはタンクコンテナの形で積載でき、天然ガスハイドレートを輸送する船舶の場合には、別途のLNG、HFOバンカリング作業なしに天然ガスハイドレートを積載することができる、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、バラスト水が不要な満載状態の運航の場合、デュアルフューエルエンジンを活用して既存のLNG、HFOを船舶燃料として用いて貨物積載量を最大化することができるようにする、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムを提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、天然ガスハイドレートと水素をタンクコンテナに積載して船舶に搭載した後、積載されたタンクコンテナから天然ガスと水素を抽出及び混合して船舶の燃料として供給するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態による天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムは、最小バラスト水船舶の燃料供給系統に連結された一つ以上の天然ガスハイドレートタンクコンテナが積層された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックと、前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックから抽出される天然ガスの圧力を一定に維持する天然ガスレギュレータと、前記天然ガスの抽出中の配管損傷や管閉塞の防止のために前記天然ガスの温度を調節する熱交換器と、前記熱交換器に連結され、前記熱交換器を介して排出される天然ガスの流量を計測する燃料流量計と、前記最小バラスト水船舶内のエンジンの燃料吸入部に連結された燃料供給管と、前記燃料供給管を介して吸入された空気と前記熱交換器を介して吸入される天然ガスとの混合比を制御する燃料流量調節弁と、を含むことができる。
【0017】
一実施形態において、前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックは、前記エンジンから排出される排気ガス(exhaust gas)または冷却水(coolant)の熱を用いて、固体状態の天然ガスハイドレートの相平衡状態を調整して前記天然ガスを再気化させることを特徴とすることができる。
【0018】
一実施形態において、前記天然ガスレギュレータは、前記一つ以上の天然ガスハイドレートタンクコンテナそれぞれから排出される天然ガスの圧力を取り合わせて一定の天然ガス供給圧力が維持されるようにすることを特徴とすることができる。
【0019】
一実施形態において、本発明は、前記天然ガスレギュレータと前記熱交換器との間に位置し、前記天然ガスレギュレータから排出される天然ガスの排出状態を調節する天然ガス調節弁をさらに含むことができる。
【0020】
一実施形態において、前記熱交換器は、前記天然ガス調節弁を介して排出される天然ガスの抽出中の配管損傷や管閉塞の防止のために熱交換を行うことを特徴とすることができる。
【0021】
一実施形態において、前記燃料供給管はスロットルボディを含み、前記スロットルボディを介して吸入された空気量は前記燃料流量調節弁に伝達されることを特徴とすることができる。
【0022】
一実施形態において、前記スロットルボディは、前記燃料供給管を介して吸入される空気量を調節するスロットル弁を含むことを特徴とすることができる。
【0023】
一実施形態において、前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックは、前記最小バラスト水船舶に積載された一つ以上のコンテナの重さ配分に応じて船舶上で配置状態が変更されるように設けられ、前記最小バラスト水船舶のバラスト水の代わりに前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックによって前記最小バラスト水船舶の縦横傾斜が調整され、適正喫水(draft)が確保されることを特徴とすることができる。
【0024】
一実施形態において、前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックと前記燃料供給管との間には、前記天然ガスハイドレートタンクコンテナの爆発を防止するための緊急遮断弁(Quick Closing Valve)、回生圧力弁(Flashback Pressure Valve)及び起爆防止器(Detonation Arrester)のうちの少なくとも一つが設けられることを特徴とすることができる。
【0025】
本発明の他の実施形態による天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステムは、船舶の燃料供給系統に連結された一つ以上の天然ガスハイドレートタンクコンテナ及び一つ以上の水素タンクが積層された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックと、前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックから排出される天然ガスの圧力を調節する天然ガスレギュレータと、前記水素タンクから排出される水素の圧力を調節する水素レギュレータと、前記天然ガス調節弁を介して排出される天然ガスの温度を調節する熱交換器と、前記熱交換器に連結され、前記熱交換器を介して排出される天然ガスの流量を計測する燃料流量計と、前記水素レギュレータに連結され、前記水素レギュレータから排出される水素の流量を計測する水素流量計と、船舶内のエンジンの燃料吸入部に連結された燃料供給管と、前記燃料供給管を介して吸入された空気と前記熱交換器を介して排出される天然ガスとの混合比を制御する燃料流量調節弁と、を含み、前記天然ガスハイドレートタンクコンテナスタックから前記天然ガスを抽出した後、残留する清水を前記最小バラスト水船舶のバラスト水に置き換えて適用し、寄港地で前記清水を取り合わせてリサイクルすることができるように前記清水を供給することを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様によれば、天然ガスハイドレートから天然ガスを抽出した後、これを最小バラスト水船型船舶のデュアルフューエルエンジンの燃料として活用することができるという利点を有する。
【0027】
また、本発明の一態様によれば、天然ガスを抽出した後、残留する清水を寄港地などで取り合わせ、処理してリサイクルすることができるという利点を有する。
【0028】
また、本発明の一態様によれば、天然ガスと水素の混焼(mixed firing)を介してグリーンハウスガスの低減を図ることができるという利点を有する。
【0029】
また、本発明の一態様によれば、最小バラスト水船舶の船型(hull-form)を活用して、要求されるバラスト水をLNG及び船舶燃料油(HFO)の代わりに天然ガスハイドレートの大きな重量と体積を活用して代替することを基本として無バランス水の運航を可能にするという利点を有する。
【0030】
また、本発明の一態様によれば、天然ガスハイドレートタンクコンテナは、船舶に固定式またはタンクコンテナの形で積載でき、天然ガスハイドレートを輸送する船舶の場合、別途のLNG、HFOバンカリング作業なしに天然ガスハイドレートを積載する過程だけで船舶に燃料を供給することができるという利点を有する。
【0031】
また、本発明の一態様によれば、バランス水が不要な満載状態の運航の場合、デュアルフューエルエンジンを活用して既存のLNG、HFOを船舶燃料として用いて貨物積載量を最大化することができるという利点を有する。
【0032】
また、本発明の一態様によれば、天然ガスハイドレートタンクコンテナは、それぞれ重さの異なるコンテナを積載して船舶の縦方向の傾き(trim)、横方向の傾き(heel)が水平に維持されない場合、船舶の縦横方向の平衡を合わせる役割を果たすことができるという利点を有する。
【0033】
また、本発明の一態様によれば、天然ガスハイドレートからガスを再気化して残る体積の80%に達する淡水(清水)を寄港地で取り合わせて活用することができるようにすることで、水不足地域の淡水化プラントの所要を一定の部分代替することができるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態による天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム100の構成を示す図である。
図2】本発明の他の実施形態による天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム200の構成を示す図である。
図3】最小バラスト水船型が適用された船舶に、図1または図2に示された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210が多数のコンテナと一緒に配置された状態を示す図である。
図4】最小バラスト水船型が適用された船舶のヒール(heel)及びトリム(trim)の調整のために、図1または図2に示された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210を配置した状態を示す図である。
図5図1または図2に示された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210内の清水を陸上に伝達した後、陸上でこれを整流する過程を示す図である。
図6図1に示された天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム100を介して、デュアルフューエルエンジンに天然ガスハイドレート燃料を供給する過程を一連の順に示すフローチャートである。
図7図2に示された天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム200を介して、デュアルフューエルエンジンに天然ガスハイドレート燃料を供給する過程を一連の順に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施形態を提示する。しかし、下記の実施形態は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、これらの実施形態により本発明の内容が限定されない。
【0036】
図1は本発明の一実施形態による天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム100の構成を示す図である。
【0037】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム100は、大きく、天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、天然ガスレギュレータ120、天然ガス調節弁130、熱交換器140、燃料流量計150、及び燃料流量調節弁160を含んで構成できる。
【0038】
天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110は、一つ以上の天然ガスハイドレートタンクコンテナが積層された天然ガスハイドレートタンクコンテナを意味する。この時、それぞれの天然ガスハイドレートタンクコンテナ110a内の天然ガスハイドレートは、氷形態の固体状態であるため、船舶のエンジン300から排出される排気ガス(exhaust gas)または冷却水(coolant)の熱を用いて或いは減圧して、固体状態の天然ガスハイドレートから天然ガスを抽出する。
【0039】
抽出された天然ガスは、配管を介して天然ガスレギュレータ120に供給される。
【0040】
天然ガスレギュレータ120は、それぞれの天然ガスハイドレートタンクコンテナ110aから排出される天然ガスの圧力が一定に維持されるようにする。天然ガスレギュレータ120によって排出圧が一定になった天然ガスは、天然ガス調節弁130を介して熱交換器140に伝達される。
【0041】
ここで、天然ガス調節弁130は、天然ガスレギュレータ120と熱交換器140との間に位置し、天然ガスレギュレータ120から排出される天然ガスの排出状態を調節する役割を果たす。
【0042】
熱交換器140は、天然ガス調節弁130を介して排出される天然ガスの温度を調節する役割を果たす。
【0043】
より具体的には、排出管内の天然ガスは、あまりにも低い温度になる場合、ハイドレート状態になって管閉塞が発生することがあるので、熱交換器140は、天然ガス調節弁130を介して排出される天然ガスによって排出管が破損したり塞がったりしないようにする役割を果たす。
【0044】
熱交換器140を介した天然ガスは、燃料流量計150を介して流量が調節された後、燃料流量調節弁160を介して空気と天然ガスの混合比が一定に調節される。
【0045】
ここで、燃料流量調節弁160は、エンジン300の燃料吸入部に連結された燃料供給管310を介して吸入された空気と、熱交換器140を介して排出される天然ガスとの混合比が一定に維持されるようにし、かつ流量を検査する。ここで、エンジン300はデュアルフューエルエンジンを意味することができる。
【0046】
一方、燃料供給管310は、スロットルボディ320を含み、スロットルボディ320に含まれているスロットル弁を介して、燃料供給管310に吸入される空気の吸入量が調節できる。また、スロットル弁を介して吸入された空気の空気量は、燃料流量調節弁160に伝達され、燃料流量調節弁160で空気と天然ガスの正確な混合比を調節するのに適用できる。
【0047】
一方、天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110は、体積の80%を占める清水(淡水)によって相当な重さを持つが、本発明では、これを用いて天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110が船舶に積載された一つ以上のコンテナの重さを活用して、船舶のバラスト水の代わりに、船舶の縦横方向の姿勢を制御することができる。これについては、図3図4を介して後述する。
【0048】
また、一実施形態において、図面には示されていないが、天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110と燃料供給管310との間には、天然ガスハイドレートタンクコンテナ110aの爆発を防止するために、緊急遮断弁(Quick Closing Valve)、回生圧力弁(Flashback Pressure Valve)及び起爆防止器(Detonation Arrester)などが設けられることができる。
【0049】
一方、図1では、エンジン300に天然ガスと空気を混合して供給することができる燃料供給システムについて説明したが、図2では、エンジン300に天然ガス、水素及び空気を混合して供給することにより、グリーンハウスガス(GHG、Green House Gas)を低減することができる燃料供給システムについて説明する。
【0050】
図2は本発明の他の実施形態による天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム200の構成を示す図である。
【0051】
図2を参照すると、天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム200は、図1に示された天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム100とほとんど似ている構成を持つが、天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック210、水素タンク210b、水素レギュレータ230、水素流量計270において差を示す。したがって、図2では、天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック210、水素タンク210b、水素レギュレータ230、水素流量計270についてのみ説明し、残りの構成については省略する。
【0052】
図2における天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック210は、図1における天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110とは異なり、天然ガスハイドレートタンクコンテナ210aと水素タンク210bを含む。
【0053】
つまり、一部の天然ガスハイドレートタンクコンテナ210aを水素タンク210bが代替するのである。
【0054】
したがって、天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック210では、天然ガスと水素の両方とも供給することができる。
【0055】
この時、天然ガスは、天然ガスレギュレータ220、天然ガス調節弁240、熱交換器250、燃料流量計260、燃料流量調節弁280を介してエンジン300の燃料供給管310に供給されるが、水素は、水素レギュレータ230及び水素流量計270を介して燃料供給管310に供給される。
【0056】
水素レギュレータ230は、天然ガスレギュレータ220と同様に、それぞれの水素タンク210bから排出される水素の互いに異なる排出圧を取り合わせて、一定の排出圧が維持されるようにする。水素レギュレータ230によって排出圧が一定になった水素は、水素流量計270へ伝達される。水素流量計270は、水素の流量を計測する役割を果たし、水素流量計270を介した水素は、燃料供給管310へ伝達されて空気と一緒に吸入される。
【0057】
エンジン300に天然ガス及び空気が吸入されて爆発行程が発生する場合には、多量の二酸化炭素が発生するおそれがあるので、本発明では、二酸化炭素の低減を目的として、天然ガス及び空気に水素を一緒に供給して燃焼する。
【0058】
次に、図1または図2に示された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210が最小バラスト水船型の船舶に適用及び配置された状態を説明する。
【0059】
図3は最小バラスト水船型が適用された船舶に、図1または図2に示された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210が多数のコンテナと一緒に配置された状態を示す図であり、図4は最小バラスト水船型が適用された船舶のヒール(heel)とトリム(trim)の調整のために、図1または図2に示された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210を配置した状態を示す図である。
【0060】
まず、図3を参照すると、図3の船舶は、最小バラスト水船型が適用された船舶に天然ガスハイドレート、或いは天然ガスハイドレートと水素が充填された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210が多数のコンテナボックスと一緒に積載された状態を示す。
【0061】
図3を参照すると、それぞれのコンテナボックスは、内容物によって重さが異なるため、船舶全体からみたとき、船舶の重心は一定ではなく、コンテナの重さに応じて一方に片寄る。
【0062】
したがって、船舶の横方向の傾き(heel)と縦方向の傾き(trim)が水平にならない場合、天然ガスの抽出後に残る体積の80%に達する清水が持つ重さを用いて、このような船舶の重心を合わせることができる。
【0063】
このために、天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210は、一つの位置に固定されるように形成されるのではなく、船舶に積載されるコンテナボックスの重さ配分に応じていくらでもその位置が移動することができる。
【0064】
特に、本発明は、最小バラスト水(MIBS)船型が適用された最小バラスト水船舶を用いる場合、天然ガスハイドレートが持つ自体の重量をバラスト水で代替することにより、無バラスト水(NOB)の運行が可能になる。
【0065】
図4を参照すると、最小バラスト水船型を持つ船舶の横方向の傾きと縦方向の傾きとの水平を合わせるために、天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210は、船舶の水平面を基準に横方向及び縦方向の平衡を合わせることができるように配置される。
【0066】
したがって、コンテナごとに重さが異なって船舶の重さが一方に片寄っても、天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210の配置を異にすることにより、船舶の水平面を基準に横方向と縦方向の平衡を合わせることができる。
【0067】
次に、図5を参照して、天然ガスハイドレート燃料タンクスタック110、210内の清水を陸上に伝達した後、陸上でこれを整流する過程について説明する。
【0068】
図5図1または図2に示された天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210内の清水を陸上に伝達した後、陸上でこれを整流する過程を示す図である。
【0069】
図5を参照すると、天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック110、210に残った清水は、ポンプを介して陸上の捕集タンクに供給されて収去される。
【0070】
この時、陸上に設置される浄水装置は、第1ポンプa、1次清水貯蔵タンクb、フィルター装置c、2次清水貯蔵タンクd及び第2ポンプeで構成できる。
【0071】
第1ポンプaは、一つ以上の天然ガスハイドレートタンクから清水を排出させる役割を果たし、排出された清水は、1次清水貯蔵タンクbに優先的に貯蔵される。
【0072】
この時、1次清水貯蔵タンクbに貯蔵された清水には、溶存天然ガスや不純物、異物が含有できるので、フィルター装置cを介してこれを整流する。
【0073】
この時、フィルター装置cの数は制限されず、フィルター装置cの数が多ければ多いほど整流効果が極大化できる。
【0074】
フィルター装置cを介して整流された清水は、再び2次清水貯蔵タンクdに貯蔵された後、第2ポンプeを介して各供給先に供給できる。
【0075】
つまり、本発明によれば、天然ガスハイドレートの再気化後に残る清水を寄港地で取り合わせた後、供給先でこれをリサイクルすることができるので、水不足地域の淡水化プラントを代替することができるという利点を持つことができる。
【0076】
次、図6及び図7を参照して、これらの構成を介して天然ガスハイドレート燃料がエンジンに供給される過程を順次説明する。
【0077】
図6図1に示された天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム100を介して、デュアルフューエルエンジンに天然ガスハイドレート燃料を供給する過程を一連の順に示すフローチャートであり、図7図2に示された天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム200を介して、デュアルフューエルエンジンに天然ガスハイドレート燃料を供給する過程を一連の順に示すフローチャートである。
【0078】
まず、図6を参照すると、エンジン(デュアルフューエルエンジン)から排出される排気ガス、又は加熱された冷却水の熱を用いて、天然ガスハイドレートタンクコンテナ内の天然ガスハイドレートを気化させることにより、天然ガスを抽出する(S101)。その後、天然ガスレギュレータを介して天然ガスの排出圧を一定に調節し(S102)、熱交換器を介して天然ガスに一定の熱を持続的に供給して温度を調節する(S103)。その後、燃料流量計を介して天然ガスの流量を計測し(S104)、エンジンの燃料吸入部に連結された燃料供給管から空気を吸入するとともに、天然ガスを混焼し、燃料流量調節弁を介して空気と天然ガスとの混合比を調節する(S105)。その後、混焼された燃料(空気+天然ガス)をエンジンに供給する(S106)。エンジンの排気行程によって排出される排気ガス又は冷却水の熱が再び天然ガスハイドレートタンクコンテナに供給されることにより、これらのステップが繰り返し行われる(S107)。
【0079】
図7を参照すると、エンジン(デュアルフューエルエンジン)から排出される排気ガス又は冷却水の熱を用いて、天然ガスハイドレートタンクコンテナ内の天然ガスハイドレートを気化させることにより、天然ガスを抽出する(S201)。これと同時に、水素タンク内の水素を排出する(S201’)。
【0080】
その後、天然ガスレギュレータを介して天然ガスの排出圧を一定に調節し(S202)、熱交換器を介して天然ガスに一定の熱を持続的に供給して温度を調節する(S203)。これと同時に、水素レギュレータでは、排出される水素の排出圧を一定に調節する(S202’)。
【0081】
その後、燃料流量計を介して天然ガスの流量を計測し(S204)、エンジンの燃料吸入部に連結された燃料供給管から空気を吸入するとともに、水素を燃料供給管に供給することにより、天然ガスと一緒に混焼し、燃料流量調節弁を介して空気と天然ガスとの混合比を調節する(S205)。
【0082】
その後、混焼された燃料(空気+天然ガス)をエンジンに供給する(S206)。エンジンの排気行程によって排出される排気ガス又は冷却水の熱が再び天然ガスハイドレートタンクコンテナに供給されることにより、これらのステップが繰り返し行われる(S207)。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、当該技術分野における熟練した当業者は、下記の請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱することなく、本発明を多様に修正及び変更させ得ることを理解することができるだろう。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によれば、天然ガスハイドレートから天然ガスを抽出した後、これを最小バラスト水船型船舶のデュアルフューエルエンジンの燃料として活用することができるので、本発明は、造船海洋産業分野で広く利用してその実用的かつ経済的な価値を実現することができる技術である。
【符号の説明】
【0085】
100 天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム
110 天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック
110a 天然ガスハイドレートタンクコンテナ
120 天然ガスレギュレータ
130 天然ガス調節弁
140 熱交換器
150 燃料流量計
160 燃料流量調節弁
200 天然ガスハイドレートを用いて最小バラスト水船舶内の燃料供給、バラスト水交換及び清水供給が可能なシステム
210 天然ガスハイドレートタンクコンテナスタック
210a 天然ガスハイドレートタンクコンテナ
210b 水素タンク
220 天然ガスレギュレータ
230 水素レギュレータ
240 天然ガス調節弁
250 熱交換器
260 燃料流量計
270 水素流量計
280 燃料流量調節弁
300 エンジン
310 燃料供給管
320 スロットルボディ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】