(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】フランジ付き軸受、組立体、並びにフランジ付き軸受を製作し使用する方法
(51)【国際特許分類】
F16C 17/02 20060101AFI20220804BHJP
F16C 33/14 20060101ALI20220804BHJP
F16C 23/04 20060101ALI20220804BHJP
F16C 17/04 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
F16C17/02 Z
F16C33/14 Z
F16C23/04 C
F16C17/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564241
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2020065238
(87)【国際公開番号】W WO2020245129
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508298237
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスチックス パンプス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレインバルト、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュトルツェンバーガー、レネ カー.
(72)【発明者】
【氏名】ピルツ、ダニエル
【テーマコード(参考)】
3J011
3J012
【Fターム(参考)】
3J011BA02
3J011CA06
3J011DA02
3J011KA04
3J011KA08
3J011MA02
3J011MA08
3J011QA05
3J011QA20
3J011SA02
3J011SA03
3J011SC01
3J012AB20
3J012BB03
3J012FB01
3J012HB01
(57)【要約】
第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部を有する本体と、本体の第2の軸方向端部から径方向に突出する少なくとも1つのフランジとを備える軸受であって、少なくとも1つのフランジが、第1の領域、第2の領域、及び第1の領域と第2の領域との間の階段状遷移領域を備え、第2の領域が、軸方向外向きに突出するように第1の領域より上に軸方向に高くされ、1)第2の領域が、少なくとも1つのセグメントを形成するようにフランジの周りに部分的に周方向に延在し、及び/又は、2)第1の領域が、本体から階段状遷移領域まで延在する、軸受。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部を有する本体と、
前記本体の前記第2の軸方向端部から径方向に突出する少なくとも1つのフランジと
を備える軸受であって、前記少なくとも1つのフランジが、第1の領域、第2の領域、及び前記第1の領域と前記第2の領域との間の階段状遷移領域を備え、前記第2の領域が、軸方向外向きに突出するように前記第1の領域より上に軸方向に高くされ、1)前記第2の領域が、少なくとも1つのセグメントを形成するように前記フランジの周りに部分的に周方向に延在し、及び/又は、2)前記第1の領域が、前記本体から前記階段状遷移領域まで延在し、前記第1の軸方向端部から前記第1の領域の最大高さまでの距離として定められる第1の最大軸方向高さh
max1を画定し、前記階段状遷移領域から延在する前記第2の領域が、前記第1の軸方向端部から前記第2の領域の最大高さまでの距離として定められる第2の最大軸方向高さh
max2を画定し、ここでh
max1<h
max2である、軸受。
【請求項2】
シャフトと、
前記シャフトを囲繞する軸受と
を備える組立体であって、前記軸受が、
第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部を有する本体と、
前記本体の前記第2の軸方向端部から径方向に突出する少なくとも1つのフランジと
を備え、前記少なくとも1つのフランジが、第1の領域、第2の領域、及び前記第1の領域と前記第2の領域との間の階段状遷移領域を備え、前記第2の領域が、軸方向外向きに突出するように前記第1の領域より上に軸方向に高くされ、1)前記第2の領域が、少なくとも1つのセグメントを形成するように前記フランジの周りに部分的に周方向に延在し、及び/又は、2)前記第1の領域が、前記本体から前記階段状遷移領域まで延在し、前記第1の軸方向端部から前記第1の領域の最大高さまでの距離として定められる第1の最大軸方向高さh
max1を画定し、前記階段状遷移領域から延在する前記第2の領域が、前記第1の軸方向端部から前記第2の領域の最大高さまでの距離として定められる第2の最大軸方向高さh
max2を画定し、ここでh
max1<h
max2である、組立体。
【請求項3】
軸受を形成する方法であって、
未加工材を準備するステップと、
前記未加工材から軸受を形成するステップであって、前記軸受が、第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部を有する本体を備える、軸受を形成するステップと、
前記軸受の前記第2の軸方向端部に少なくとも1つのフランジを形成するステップと
を含み、少なくとも1つのフランジが、前記本体の前記第2の軸方向端部から径方向に突出し、前記少なくとも1つのフランジが、第1の領域、第2の領域、及び前記第1の領域と前記第2の領域との間の階段状遷移領域を備え、前記第2の領域が、軸方向外向きに突出するように前記第1の領域より上に軸方向に高くされ、1)前記第2の領域が、少なくとも1つのセグメントを形成するように前記フランジの周りに部分的に周方向に延在し、及び/又は、2)前記第1の領域が、前記本体から前記階段状遷移領域まで延在し、前記第1の軸方向端部から前記第1の領域の最大高さまでの距離として定められる第1の最大軸方向高さh
max1を画定し、前記階段状遷移領域から延在する前記第2の領域が、前記第1の軸方向端部から前記第2の領域の最大高さまでの距離として定められる第2の最大軸方向高さh
max2を画定し、ここでh
max1<h
max2である、方法。
【請求項4】
前記第2の領域の前記少なくとも1つのセグメントが、複数のセグメントを含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項5】
前記階段状遷移領域が、前記第1の領域に隣接するセグメントを前記第2の領域が形成するように周方向に延在する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項6】
前記複数のセグメントが、少なくとも3つのセグメントを含む、請求項4に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項7】
前記フランジが、少なくとも3つの階段状遷移領域を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項8】
前記複数のセグメントが、前記フランジの周縁の270°未満にわたる、請求項4に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項9】
h
max1≦.99h
max2である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項10】
前記階段状遷移領域が、0.05mmから5mmの高さh
stepを有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項11】
前記フランジが、表面積SA
Fを有し、前記第2の領域が、前記フランジの前記表面積SA
Fの80%未満に延在する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項12】
前記階段状遷移領域が環状である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項13】
径方向断面で見ると、前記第1の領域が、径方向の長さL
FRを有し、第2の領域が、径方向の長さL
SRを有し、ここでL
FR>L
SRである、請求項1から3までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項14】
前記階段状遷移領域が、中心軸に平行な線に対して傾斜角Θをなし、前記傾斜角Θが、少なくとも30度から90度の範囲にある、請求項1から3までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【請求項15】
前記軸受が、基板及び低摩擦層を備える積層体を備える、請求項1から14までのいずれか一項に記載の軸受、組立体、又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、フランジ付き軸受、特に少なくとも1つのフランジを備えたフランジ付き滑り軸受、並びにフランジ付き滑り軸受の製造方法及び組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
1つ又は2つのフランジを備えるフランジ付き軸受は、様々なサイズで知られている。基板層及び低摩擦材料層の被覆からなる複合材料で製作されたフランジ付き軸受も、一般的に知られている。こうしたフランジ付き軸受は、組立体内の内側部材と外側部材との間に配置され得る。軸受は、たとえばドア、フード、及びエンジン室のヒンジ、座席、ステアリング・コラム、フライホイール、バランサ・シャフト軸受など、自動車業界での用途に応じた組立体の中で使用され得るか、又は自動車以外の用途で使用され得る。当技術分野の進歩にもかかわらず、より長い寿命、高い有効性、及び組立体内での高い性能を有する、改良型軸受に対する継続的なニーズが存在する。
【0003】
本開示は、添付図面を参照することによって、当業者によりよく理解され、本開示の多数の特徴及び利点が明らかにされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図2A】いくつかの実施例による、軸受の層構造の説明図である。
【
図2B】いくつかの実施例による、軸受の層構造の説明図である。
【
図3A】いくつかの実施例による、軸受の斜視上面図である。
【
図3B】いくつかの実施例による、軸受の径方向断面図である。
【
図4】いくつかの実施例による、軸受の径方向断面図である。
【
図5】いくつかの実施例による、軸受の斜視上面図である。
【
図6】いくつかの実施例による、組立体内の軸受の説明図である。
【
図7】いくつかの実施例による、組立体内の軸受の説明図である。
【
図8】いくつかの実施例による、組立体内の軸受の説明図である。
【
図9】いくつかの実施例による、組立体内の軸受の説明図である。
【
図10】いくつかの実施例による、組立体内の軸受の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
当業者は、図の要素が話を単純且つ明快にするために示され、必ずしも原寸に比例して描かれていないことを理解されよう。たとえば、図のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施例の理解を高める助けとなるように、他の要素と比べて誇張され得る。相異なる図面での同じ参照記号の使用は、類似の、又は同一のものを示している。
【0006】
図と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示を理解するのに役立つよう提示されている。以下の考察では、本教示の特定の実施態様及び実施例に焦点を合わせることにする。この焦点は、本教示を説明するのに役立つよう提示されており、本教示の範囲又は適用性について限定するものと解釈されるべきではない。しかし、この出願で開示された教示に基づいて、他の実施例が使用され得る。
【0007】
用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、又はこれらの他の任意の変形形態は、非排他的な包含を網羅することを意図している。たとえば、特徴のリストを含む方法、物品、又は装置は、必ずしもそうした特徴だけに限定されるものではなく、明示的に列挙されていないか又はかかる方法、物品、若しくは装置に固有の、他の特徴を含むことができる。さらに、そうでないことが明示的に述べられていない限り、「又は(or)」は、排他的な又は(or)ではなく、包含的な又は(or)を指す。たとえば、A又はBという状態は、Aが真(又は存在する)且つBが偽(又は存在しない)、Aが偽(又は存在しない)且つBが真(又は存在する)、並びにAとBとの両方が真(又は存在する)のうちのいずれか1つによって満たされる。
【0008】
また、「ある(a)」又は「1つの(an)」の使用は、本明細書に記載の要素及び構成要素を説明するために使用される。これは単に便宜上、且つ本発明の範囲の一般的な意味を与えるために使用されている。この記述は、そういう意味でないことが明らかでない限り、1つ、少なくとも1つ、又は複数も含む単数若しくはその逆を包含するものと、読み取られるべきである。たとえば、本明細書でただ1つの実施例が説明されているとき、ただ1つの実施例の代わりに複数の実施例が使用されることがある。同様に、本明細書で複数の実施例が説明されている場合、ただ1つの実施例が、その複数の実施例の代わりに用いられることがある。
【0009】
別段の定義がない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、及び実例は、例示的なものにすぎず、限定的であることを意図しない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料及び加工行為に関する多くの詳細は従来通りであり、軸受及び軸受組立体の技術分野内の、教科書及び他の情報源の中に見出すことができる。
【0010】
説明の目的で、
図1は、軸受を形成するための製造工程10を示す概略図を含む。製造工程10は、基材を準備する第1のステップ12、複合材料を形成するために基材を、低摩擦コーティングを使ってコーティングする第2のステップ14、及び複合材料を軸受に形成する第3のステップ16を含むことができる。
【0011】
第1のステップ12を参照すると、基材は基板であり得る。一実施例では、基板は、少なくとも部分的に金属補強材(metal support)を含むことができる。特定の実施例によれば、金属補強材は、鉄、銅、チタン、スズ、ニッケル、アルミニウム、これらの合金を含むことができるか、又は別の種類の金属であってもよい。より具体的には、基板は、ステンレス鋼、炭素鋼、又はばね鋼などの鋼を、少なくとも部分的に含むことができる。たとえば、基板は、少なくとも部分的に、301ステンレス鋼を含むことができる。301ステンレス鋼は、焼き鈍しされたもの、1/4硬質、1/2硬質、3/4硬質、又は硬質(full hard)であり得る。基板は、織成メッシュ又は拡張された金属格子を含むことができる。別法として、織成メッシュは、以下に列挙されるポリマーのいずれかを使用する、織成ポリマー・メッシュであり得る。代替実施例では、基板は、メッシュ又は格子を含まない場合がある。
【0012】
図2Aは、製造工程10の第1のステップ12及び第2のステップ14に従って加工され得る複合材料1000の説明図を含む。説明の目的で、
図2Aは、第2のステップ14後の複合材料1000の層ごとの構成を示している。いくつかの実施例では、複合材料1000は、基板1119(すなわち、上記の、第1のステップ12で準備された基材)及び低摩擦層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布された低摩擦コーティング)を備えることができる。いくつかの実施例では、基板1119は、複合材料1000の長さに沿って、少なくとも部分的に延在することができる。
図2Aに示されているように、低摩擦層1104は、基板1119の少なくとも一領域に結合され得る。特定の実施例では、低摩擦層1104は、別の構成要素の別の表面との低摩擦接合部を形成するように、基板1119の表面に結合され得る。低摩擦層1104は、別の構成要素の別の表面との低摩接合部を形成するように、基板1119の内面に放射状に結合され得る。低摩擦層1104は、別の構成要素の別の表面との低摩擦界面を形成するように、基板1119の外面に放射状に結合され得る。
【0013】
基板1119は、約50ミクロンから約1500ミクロンの間など、約100ミクロンから約500ミクロンの間など、約150ミクロンから約350ミクロンの間などの、約10ミクロンから約2000ミクロンの間の厚さTSを有することができる。いくつかの実施例では、基板1119は、約100から500ミクロンの間の厚さTSを有することができる。いくつかの実施例では、基板1119は、約200から350ミクロンの間の厚さTSを有することができる。基板1119の厚さTSは、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の、任意の値であり得ることがさらに理解されよう。基板1119の厚さは、均一であり得る。すなわち、基板1119の第1の位置での厚さは、基板に沿った第2の位置での厚さに等しくなり得る。基板1119の厚さは、不均一であり得る。すなわち、基板1119の第1の位置での厚さは、基板に沿った第2の位置での厚さと相異なり得る。
【0014】
いくつかの実施例では、低摩擦層1104は、低摩擦材料を含むことができる。低摩擦材料は、たとえば、ポリケトン、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、フルオロポリマー、ポリベンズイミダゾール、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ポリスルホン、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリウレタン、ポリエステル、液晶ポリマー(LCP)、又はこれらの任意の組合せなどの、ポリマーを含むことができる。一実例では、低摩擦層1104は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトン、これらの誘導体、又はこれらの組合せなどの、ポリケトンを含む。さらなる実例では、低摩擦層1104は、超高分子量ポリエチレンを含むことができる。別の実例では、低摩擦層1104は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのターポリマー(THV)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、又はエチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)を含む、フルオロポリマーを含むことができる。低摩擦層1104は、リチウム石鹸、グラファイト、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、窒化炭素、炭化タングステン、若しくはダイヤモンド様炭素を含む固体ベースの材料、金属(アルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、スズ、プラチナ、チタン、タングステン、鉄、青銅、鋼、ばね鋼、ステンレス鋼など)、金属合金(列挙されている金属を含む)、陽極酸化金属(列挙されている金属を含む)、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。特定の実施例によれば、フルオロポリマーが使用され得る。
【0015】
いくつかの実施例では、低摩擦層1104は、ガラス、炭素、珪素、PEEK、芳香族ポリエステル、青銅、フルオロポリマー、熱可塑性充填剤、酸化アルミニウム、ポリアミドイミド(PAI)、PPS、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、LCP、芳香族ポリエステル、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、グラフェン、発泡グラファイト、窒化ホウ素、タルク、フッ化カルシウム、又はこれらの任意の組合せを含む、充填剤をさらに含むことができる。充填剤は、さらに、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、フッ化カルシウム、窒化ホウ素、雲母、ウォラストナイト、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、カーボン・ブラック、顔料、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。充填剤は、ビーズ、繊維、粉末、メッシュ、又はこれらの任意の組合せの形態であり得る。充填剤は、低摩擦層の総重量を基準として、少なくとも15重量%、20重量%、25重量%、さらには30重量%など、少なくとも10重量%であり得る。
【0016】
一実施例では、低摩擦層1104は、約10ミクロンから約400ミクロンの間など、約30ミクロンから約300ミクロンの間など、約50ミクロンから約250ミクロンの間などの、約1ミクロンから約500ミクロンの間の厚さTFLを有することができる。いくつかの実施例では、低摩擦層1104は、約100から350ミクロンの間の厚さTFLを有することができる。低摩擦層1104の厚さTFLは、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の、任意の値であり得ることがさらに理解されよう。低摩擦層1104の厚さは、均一であり得る。すなわち、低摩擦層1104の第1の位置での厚さは、低摩擦層に沿った第2の位置での厚さに等しくなり得る。低摩擦層1104の厚さは、不均一であり得る。すなわち、低摩擦層1104の第1の位置での厚さは、低摩擦層に沿った第2の位置での厚さと相異なり得る。低摩擦層1104は、図示の基板1119の一方の主面を覆うか、又は両方の主面を覆うことができる。基板1119は、低摩擦層1104によって少なくとも部分的に封止され得る。すなわち、低摩擦層1104は、基板1119の少なくとも一領域を被覆することができる。基板1119の軸方向表面は、低摩擦層1104から露出されていてもよく、露出されていなくてもよい。
【0017】
一実施例では、複合材料1000はまた、低摩擦層1104を基板1119(すなわち、第1のステップ12で準備される基材)に結合することができる少なくとも1つの接着剤層、及び低摩擦層1104(すなわち、第2のステップで塗布される低摩擦コーティング)を備えることができる。別の代替実施例では、基板1119は、固体の構成要素、織成メッシュ又はエキスパンド金属格子(expanded metal grid)として、低摩擦層1104と基板1119との間に備えられる少なくとも1つの接着剤層1121の中に埋め込まれ得る。
【0018】
接着剤層1121は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミドコポリマー、エチレンビニルアセテート、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ETFEコポリマー、パーフルオロアルコキシ(PFA)、又はこれらの任意の組合せを含むが、それらに限定されるものではない、軸受技術分野に共通の任意の既知の接着材料を含むことができる。さらに、接着剤は、-C=O、-C-O-R、-COH、-COOH、-COOR、-CF2=CF-OR、又はこれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つの官能基を含むことができ、ここでRは、1から20個の炭素原子を含む、環状又は直鎖状の有機基である。さらに、接着剤はコポリマーを含むことができる。一実施例では、熱溶融性接着剤は、220℃以下などの、250℃以下の溶融温度を有することができる。別の実施例では、接着剤は、220℃を超えるなど、200℃を超えると化学変化する場合がある。さらなる実施例において、熱溶融性接着剤の溶融温度は、250℃より高いか、さらには300℃より高い場合がある。
【0019】
一実施例では、接着剤層1121は、約5ミクロンから約80ミクロンの間など、約10ミクロンから約50ミクロンの間など、約20ミクロンから約40ミクロンの間などの、約1ミクロンから約100ミクロンの間の厚さTALを有することができる。いくつかの実施例では、接着剤層1121は、約15から60ミクロンの間の厚さTALを有することができる。いくつかの実施例では、接着剤層1121は、約30から100ミクロンの間の厚さTALを有することができる。接着剤層1121の厚さTALは、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の、任意の値であり得ることがさらに理解されよう。接着剤層1121の厚さは、均一であり得る。すなわち、接着剤層1121の第1の位置での厚さは、接着剤層に沿った第2の位置での厚さに等しくなり得る。接着剤層1121の厚さは、不均一であり得る。すなわち、接着剤層1121の第1の位置での厚さは、接着剤層に沿った第2の位置での厚さと相異なり得る。
【0020】
図2Bは、別の実施例の説明図を含む。説明の目的で、
図2Bは、第2のステップ14後の複合材料1001の層ごとの構成を示している。この特定の実施例によれば、複合材料1001は、この複合材料1001がさらに、腐食保護層1704、1705、及び1708、並びに接着促進剤層1127と、基板1119(すなわち、第1のステップ12で準備される基材)及び低摩擦層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布される低摩擦コーティング)に結合することができるエポキシ層1129とを備えることができる、耐食層1125を備え得ることを除いて、
図2Aの複合材料1000と同様であり得る。
【0021】
基板1119は、加工前の基板1119の腐食を防止するために、腐食保護層1704及び1705によってコーティングされ得る。さらに、腐食保護層1708が、層1704の上に塗布され得る。層1704、1705、及び1708はそれぞれ、約7から15ミクロンなどの、約1から50ミクロンの厚さを有することができる。層1704及び1705は、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、ニッケル、スズ、若しくはこれらの任意の合金、亜鉛、鉄、マンガン、若しくはこれらの任意の組合せのリン酸塩、又はナノセラミック層を含むことができる。さらに、層1704及び1705は、機能性シラン、ナノスケール化されたシラン・ベースのプライマー、加水分解されたシラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水ベースのシラン・プライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(機械的/ガルバニック)若しくは亜鉛-ニッケル・コーティング、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。層1708は、機能性シラン、ナノスケール化されたシラン・ベースのプライマー、加水分解されたシラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水ベースのシラン・プライマーを含むことができる。腐食保護層1704、1706、及び1708は、加工中に除去又は保持され得る。
【0022】
上記のように、複合材料1001は、耐食層1125をさらに備えることができる。耐食層1125は、約5から20ミクロンなど、約7から15ミクロンなどの、約1から50ミクロンの厚さを有することができる。耐食層1125は、接着促進剤層1127及びエポキシ層1129を備えることができる。接着促進剤層1127は、亜鉛、鉄、マンガン、スズ、若しくはこれらの任意の組合せのリン酸塩、又はナノセラミック層を含むことができる。接着促進剤層1127は、機能性シラン、ナノスケール化されたシラン・ベースの層、加水分解されたシラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水ベースのシラン・プライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(機械的/ガルバニック)若しくは亜鉛ニッケル・コーティング、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。エポキシ層1129は、熱硬化エポキシ、UV硬化エポキシ、IR硬化エポキシ、電子ビーム硬化エポキシ、放射線硬化エポキシ、又は空気硬化エポキシであり得る。さらに、エポキシ層1129は、ポリグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、オキシラン、オキサシクロプロパン、エチレンオキシド、1,2-エポキシプロパン、2-メチルオキシラン、9,10-エポキシ-9,10-ジヒドロアントラセン、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。エポキシ層1129は、硬化剤をさらに含むことができる。硬化剤は、アミン、酸無水物、フェノールノボラックポリ[N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド](PHPMI)などのフェノールノボラック硬化剤、レゾールフェノールホルムアルデヒド、脂肪アミン化合物、重炭酸無水物、ポリアクリレート、イソシアナート、カプセル化ポリイソシアナート、三フッ化ホウ素アミン錯体、クロムベースの硬化剤、ポリアミド、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。酸無水物は、一般に、式R-C=O-O-C=O-R’に適合することができ、ここでRは、上記のようにCXHYXZAUであり得る。アミンは、モノエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンなどの脂肪族アミン、脂環式アミン、環状脂肪族アミン、シクロ脂肪族アミン、アミドアミン、ポリアミド、ジシアンジアミド、イミダゾール誘導体などの芳香族アミン、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。アミンは、一般に、第一級アミン、第二級アミン、又は式R1R2R3Nに適合する第三級アミンであり得、ここでRは、上記のようにCXHYXZAUであり得る。一実施例では、エポキシ層1129は、導電性を高めるために、炭素充填剤、炭素繊維、炭素粒子、グラファイト、青銅、アルミニウム、及び他の金属、並びにこれらの合金などの金属充填剤、金属コーティングされた炭素充填剤、金属コーティングされたポリマー充填剤、又はこれらの任意の組合せなどの、充填剤を含むことができる。導電性充填剤は、電流がエポキシ・コーティングを通過するのを可能にすることができ、導電性充填剤のないコーティングが施された軸受と比較して、コーティングされた軸受の導電性を高めることができる。
【0023】
一実施例では、複合材料1000、1001は、0.15mmから2.5mmの範囲、さらには0.2mmから1.5mmの範囲などの、0.1mmから5mmの範囲の厚さTSWを有することができる。複合材料1000、1001の厚さTSWは、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の任意の値であり得ることが、さらに理解されよう。複合材料1000、1001の厚さTSWは、均一であり得る、すなわち、複合材料1000、1001の第1の位置での厚さは、複合材料に沿った第2の位置での厚さに等しくなり得る。複合材料1000、1001の厚さTSWは、不均一であり得る、すなわち、複合材料1000、1001の第1の位置での厚さは、複合材料に沿った第2の位置での厚さと相異なり得る。
【0024】
一実施例では、
図1のステップ14の下で、上記で説明された複合材料1000、1001のいずれの層も、それぞれロール状に配置され、そこから剥離されて、一体に接合され得る。接合は、圧力下で、且つ任意選択で、高温で(たとえば、プレスされて)、接着剤を用いて行われ得る。上記の複合材料1000、1001のいずれの層も、層が少なくとも部分的に互いに重なり合うように、一体に積層され得る。シートは、放射状の内面及び外面を有する基板1119に形成され得る。低摩擦層1104は、基板1119の放射状の内面及び外面のうちの少なくとも一方が、低摩擦層1104内に位置することができるように、基板1119を封止することができる。
【0025】
ここで、
図1に示されている製造工程10の第3のステップ16を参照すると、特定の実施例によれば、複合材料1000、1001を軸受に形成することは、積層体を形成するために、低摩擦層1104又は介在する任意の層を、溶融接着剤1121を使用して基板1119に接着することを、含むことができる。積層体は、軸受に成形され得る未加工材に切断され得る。積層体を未加工材に切断することは、スタンプ、プレス、パンチ、鋸、深絞りの使用を含むことができるか、又は別のやり方で機械加工され得る。積層体を未加工材に切断すると、基板1119の露出領域を含む切断された縁部を作り出すことができる。未加工材は、積層体を圧延及びフランジ成形して、所望の形状の半製品の軸受を形成することなどによって、軸受に形成され得る。未加工材から軸受を形成することは、スタンプ、プレス、パンチ、鋸、深絞りの使用を含むことができるか、又は別のやり方で機械加工され得る。いくつかの実施例では、未加工材の縁部が、2次作業でフランジに曲げられ得る。他の実施例では、軸受は、フランジの形成を含むただ1つの作業工程で形成され得る。軸受は、ただ1つのユニット又は単一の材料片として形成され得る。
【0026】
説明の目的で、
図3A~
図5は、未加工材から形成され得るいくつかの軸受の実施例の形状(全体として、300、400、及び500と表されている)を示している。いくつかの実施例では、
図3A~
図5に示されている軸受300、400、500は、上記のように最初に未加工材として存在し得る、複合材料1000、1001の適切に寸法決めされた断片の圧延によって生産され得る。
図3Aは、上記の形成工程で説明されたように形成され得る、軸受300の上面斜視図を示している。
図3Bは、上記の形成工程で説明されたように形成され得る、軸受300の径方向断面図を示している。
図4は、上記の形成工程で説明されたように形成され得る、軸受400の径方向断面図を示している。
図5は、上記の形成工程で説明されたように形成され得る、軸受500の上面斜視図を示している。
【0027】
ここで
図3A~
図3Bを参照すると、いくつかの特定の実施例では、軸受は平軸受300であり得る。いくつかの実施例では、軸受300は滑り軸受であり得る。軸受300は、中心軸3000に対して軸方向に延在することができる。中心軸3000は、軸受300の長さに沿って長手方向に延在するように、向きを合わせられている。軸受300は、軸受の側壁308を備えることができる。側壁308は、長手方向の断面に見られるように、第1の軸方向端部303及び第2の軸方向端部305を有する、環状形状を形成することができる本体310を備えることができる。軸受は、外側径方向端部307及び内側径方向端部306を有することができる。軸受300は、実質的にL字型である環状形状を有することができる。言い換えれば、軸受300は、
図3Bに示されているように、径方向及び軸方向に延在するL字型軸受断面を有することができる。軸受の、他の環状形状も可能である。軸受300を形成する複合材料1000、1001の圧延された断片の両端は、本体310に沿って軸方向に延在する軸方向の間隙330で、連結され得る。軸方向の間隙330が、軸受300の中心軸3000に対して非線形に及び/又は斜めに延在することもまた可能である。いくつかの特定の実施例では、軸方向の間隙330は、溶接されるか、さもなければ他の手段によって結合され、閉じた軸受300を形成することができる。いくつかの実施例では、軸方向の間隙330は、結合されないままにしておくことができる。軸受300は、軸受300の軸方向の長さに沿って延在し、組立体の内部構成要素を収容するよう適合された、ボア350を有することができる。ボア350は、中心軸3000に平行であり得る。ボア350は、平面複合材料1000、1001をほぼ円筒形に曲げることによって形成され得る。
【0028】
軸受300の側壁308は、少なくとも1つのフランジ322をさらに備えることができる。
図3A~
図3Bに示されているように、フランジ322は、第1の軸方向端部303又は第2の軸方向端部305のうちの少なくとも一方から、径方向外向きに突出することができる。別法として、フランジ322は、第1の軸方向端部303又は第2の軸方向端部305のうちの少なくとも一方から、径方向内向きに突出することができる。フランジ322は、内側径方向端部306から外側径方向端部307まで延在することができる。別法として、フランジ322は、外側径方向端部307から内側径方向端部306まで延在することができる。いくつかの実施例では、フランジ322は、軸受300の第2の軸方向端部305に配置され得る。いくつかの実施例では、外側径方向端部307は、中心軸3000から径方向に測定されたときに、軸受300の外側半径ORを形成することができる。いくつかの実施例では、内側径方向端部306は、中心軸3000から径方向に測定されたときに、軸受300の内側半径IRを形成することができる。言い換えれば、フランジ322の径方向幅W
RFは、外側半径ORと内側半径IRとの距離の差に基づく、距離であり得る。いくつかの実施例では、フランジ322は、軸方向分割部327を有することができる。軸方向分割部327は、フランジ322に間隙を設けることができる。特定の実施例では、
図3A~
図3Bに示されているように、軸方向分割部327は、本体310の軸方向の間隙330と隣接することができる。他の実施例では、軸方向分割部327は、本体310の軸方向の間隙330と隣接していなくてもよい。いくつかの実施例では、
図3Aに示されているように、フランジ322は、セグメント化されたフランジ322を形成するために、複数の軸方向分割部327、345を有することができる。
【0029】
いくつかの実施例では、
図3A~
図3Bに示されているように、軸受300は、中心軸3000から内側径方向端部306までの全体的な内側半径IRを有することができ、IRは、≧5mm、≧10mm、≧15mm、≧20mm、又は≧50mmなどの、≧1mmであり得る。内側半径IRは、≦20mm、≦15mm、≦10mm、≦5mm、又は≦1mmなどの、≦50mmであり得る。内側半径IRは、軸受300の周縁に沿って変化し得る。いくつかの実施例では、軸受300は、約3から50mmの間の、全体的な内側半径IRを有することができる。軸受300は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の範囲内にあり得る、全体的な内側半径IRを有し得ることが理解されよう。軸受300は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の任意の値であり得る、全体的な内側半径IRを有し得ることがさらに理解されよう。
【0030】
いくつかの実施例では、
図3A~
図3Bに示されているように、軸受300は、中心軸3000から外側径方向端部307までの全体的な外側半径ORを有することができ、ORは、≧5mm、≧10mm、≧20mm、≧40mm、又は≧70mmなどの、≧1.5mmであり得る。外側半径ORは、≦50mm、≦30mm、≦20mm、≦10mm、又は≦5mmなどの、≦80mmであり得る。全体的な外側半径ORは、軸受300の周縁に沿って変化し得る。いくつかの実施例では、軸受300は、約5から60mmの間の、全体的な外側半径ORを有することができる。軸受300は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の範囲内にあり得る、全体的な外側半径ORを有し得ることが理解されよう。軸受300は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の任意の値であり得る、全体的な外側半径ORを有し得ることがさらに理解されよう。さらに、上記のように、フランジ322の径方向幅W
RFは、外側半径ORと内側半径IRとの距離の差に基づく、距離であり得る。
【0031】
いくつかの実施例では、
図3A~
図3Bに示されているように、軸受300は、第1の軸方向端部303から第2の軸方向端部305までの全高Hを有することができ、Hは、≧0.5mm、≧0.75mm、≧1mm、≧2mm、≧5mm、≧10mm、又は≧50mmであり得る。高さHは、≦250mm、≦150mm、≦100mm、又は≦50mmなどの、≦500mmであり得る。いくつかの実施例では、軸受300は、約5から50mmの間の全高Hを有することができる。軸受300は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の範囲内であり得る、全高Hを有し得ることが理解されよう。軸受300は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の任意の値であり得る、全高Hを有し得ることがさらに理解されよう。
【0032】
いくつかの実施例では、
図3A~
図3Bに示されているように、少なくとも1つのフランジ322は、軸受300の本体310の第2の軸方向端部305から径方向外向きに突出することができる。一実施例では、フランジ322は、本体310と直角に突出するように配置され得る。他の実施例では、フランジ322は、本体310と非直角に突出するように配置され得る。いくつかの実施例では、フランジ322は、本体310(及び中心軸方向3000)と角度αをなすことができる。角度αは、少なくとも0°から180°の範囲であり得る。角度αは、45°以上、55°以上、又は85°以上などの、30°以上であり得る。角度αは、135°以下、120°以下、90°以下、又は60°以下などの、150°以下であり得る。いくつかの特定の実施例では、角度αは、60°から120°の範囲であり得る。
【0033】
いくつかの実施例では、
図3A~
図3Bに示されているように、フランジ322は、第1の領域324、第2の領域328、並びに第1の領域324と第2の領域328との間の階段状遷移領域326を有することができる。いくつかの実施例では、第2の領域は、軸方向外向きに突出するように第1の領域より上に軸方向に高くされ得る。階段状遷移領域326は、中心軸に平行な線に対して傾斜角Θをなすことができ、ここで傾斜角Θは、約10°から約90°の範囲にある。角度Θは、25°以上、35°以上、又は45°以上などの、10°以上であり得る。角度Θは、75°以下、65°以下、55°以下、又は50°以下などの、85°以下であり得る。いくつかの特定の実施例では、角度Θは、30°から90°の範囲であり得る。いくつかの実施例では、第2の領域328及び/又は階段状遷移領域326は、軸方向の公差補償を可能にするために、少なくとも部分的に軸方向に変形するよう適合され得る。具体的には、第2の領域は、X(N)の圧縮力を可能にする。
【0034】
いくつかの実施例では、
図3Bに示されているように、フランジ322は、約0.75mmから約8mmの間など、約1mmから約5mmの間など、約1.5mmから約4mmの間などの、約0.5mmから約10mmの間の厚さT
RFを有することができる。いくつかの実施例では、フランジ322は、約0.7から5mmの間の厚さT
RFを有することができる。フランジ322は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の範囲内であり得る、厚さT
RFを有し得ることが理解されよう。フランジ322は、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の任意の値であり得る、厚さT
RFを有し得ることがさらに理解されよう。フランジ322の厚さT
RFは、軸受300の周縁の周りで変化し得ることも理解されよう。
【0035】
いくつかの実施例では、
図3Bに示されているように、階段状遷移領域326の高さh
stepは、≧0.15mm、≧0.25mm、≧0.5mm、≧1mm、≧2mm、又は≧5mmであり得る。階段状遷移領域326の高さh
stepは、≦7.5mm、≦5mm、≦2.5mm、又は≦1mmなどの、≦10mmであり得る。ステップ遷移領域326の高さh
stepは、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかの間の範囲内であり得ることが理解されよう。ステップ遷移領域326の高さh
stepは、上記の最小値のいずれかと最大値のいずれかとの間の任意の値であり得ることがさらに理解されよう。ステップ遷移領域326の高さh
stepは、軸受300の周縁の周りで変化し得ることも理解されよう。
【0036】
階段状遷移領域326は、フランジ322の総厚TRFを、階段部を備えていないフランジの厚さを基準として、70%以上500%以下、85%以上400%以下、又は100%以上300%以下など、50%以上400%以下だけ広げることができる。階段状遷移領域326は、フランジ322の厚さを少なくとも0.1mmだけ増加させることができる。
【0037】
いくつかの実施例では、
図3Bに示され、径方向断面に見られるように、第1の領域324が、径方向の長さL
FRを有することができ、第2の領域328が、径方向の長さL
SRを有することができ、ここで0.9L
FR>L
SR、0.8L
FR>L
SR、0.75L
FR>L
SR、若しくは0.5L
FR>L
SRなど、L
FR>L
SRであるか、又は0.9L
FR<L
SR、0.8L
FR<L
SR、0.75L
FR<L
SR、若しくは0.5L
FR<L
SRなど、L
FR<L
SRである。
【0038】
いくつかの実施例では、
図3Aに示されているように、フランジ322は、表面積SA
Fを有することができ、第2の領域328は、表面積SA
Fの75%未満、表面積SA
Fの60%未満、表面積SA
Fの50%未満、さらには表面積SA
Fの30%未満など、フランジ322の表面積SA
Fの80%未満に及ぶ。
【0039】
いくつかの実施例では、
図3A~
図3Bに示されているように、階段状遷移領域326は、フランジ322の周縁の周りで、環状であり得る。この実施例では、第1の領域324は、本体から階段状遷移領域まで延在することができ、第1の軸方向端部から第1の領域の最大高さまでの距離として定められる第1の最大軸方向高さh
max1を画定し、階段状遷移領域から延在する第2の領域は、第1の軸方向端部から第2領域の最大高さまでの距離として定められる第2の最大軸方向高さh
max2を画定し、ここでh
max1<h
max2である。いくつかの実施例において、h
max1≦.95h
max2、又はh
max1≦.90h
max2など、h
max1≦.99h
max2である。
【0040】
いくつかの実施例では、
図3Aに示されているように、側壁308又は本体310は、径方向に向きを合わせられ得る、少なくとも1つの突起370を備えることができる。少なくとも1つの突起370は、本体310又はフランジ322に、より高い剛性をもたらすことができる。いくつかの実施例では、突起370は、本体310又はフランジ322の少なくとも一方についての、径方向の公差補償及び剛性補強を可能にすることができる。突起370は、径方向に少なくとも1つのうねり、凹み、溝、窪み、高平部、勾配、突部、又は変形を有することができる。突起370は、中心軸3000に平行な線から径方向外向き又は径方向内向きに、向きを合わせられ得る。突起370は、円形、多角形、楕円形、又は半円形の断面形状を有することができる。いくつかの実施例では、突起370は、本体310上に位置することができる。いくつかの実施例では、突起370は、第1の軸方向端部303と第2の軸方向端部305との軸方向の間隔内に配置され得る。いくつかの実施例では、突起370は、第1の軸方向端部303又は第2の軸方向端部305にあり得る。言い換えれば、突起370は、本体310の周縁に沿って、どこにでも延在することができる。一実施例では、突起370は、フランジ322上にあり得る。突起370を形成することは、スタンプ、プレス、パンチ、鋸、深絞りの使用を含むことができるか、又は別のやり方で機械加工され得る。
【0041】
突起370は、幅WPを有することができる。幅WPは、軸受300のフランジ322の径方向の幅WRFと、≧0.25WRF、≧0.20WRF、≧0.15WRF、≧0.10WRF、又は≧0.05WRFなど、HCR≧0.3WRFなどとなるような関係を有することができる。別の態様では、幅WPは、≦0.45WRF、≦0.40WRF、≦0.35WRF、≦0.30WRF、≦0.25WRF、≦0.20WRF、≦0.15WRF、≦0.10WRF、又は≦0.05WRFなどの、≦0.5WRFであり得る。相異なる突起370の幅WPは、中心軸3000の周りで、軸受300の周縁に沿って変化し得る。
【0042】
いくつかの実施例では、
図3A~
図3Bに示されているように、本体310は、径方向に向きを合わせられ得る、少なくとも1つの圧印領域366を備えることができる。少なくとも1つの圧印領域366は、本体310又はフランジ322により高い剛性をもたらすことができる。いくつかの実施例では、圧印領域366は、本体310又はフランジ322の少なくとも一方についての、軸方向の公差補償及び剛性補強を可能にすることができる。圧印領域366は、軸方向に少なくとも1つのうねり、凹み、溝、窪み、高平部、勾配、突部、又は変形を有することができる。圧印領域366は、円形、多角形、楕円形、又は半円形の断面形状を有することができる。いくつかの実施例では、圧印領域366は、本体310上に位置することができる。いくつかの実施例では、圧印領域366は、第1の軸方向端部303と第2の軸方向端部305との軸方向の間隔内に配置され得る。いくつかの実施例では、圧印領域366は、第1の軸方向端部303又は第2の軸方向端部305にあり得る。言い換えれば、圧印領域366は、本体310の周縁に沿って、どこにでも延在することができる。一実施例では、圧印領域366は、径方向に変形した形状の場合があり、そのため本体310は、
図3Aに示されている軸受300の中心軸3000に対して、非平行であり得る。圧印領域366は、中心軸3000に平行な線から径方向外向き又は径方向内向きに変形され得る。圧印領域366を形成することは、スタンプ、プレス、パンチ、鋸、深絞りの使用を含むことができるか、又は別のやり方で機械加工され得る。
【0043】
図3Bに最もよく示されているように、圧印領域366は、高さH
CRを有することができる。高さH
CRは、軸受300の高さHと、≧0.25H、≧0.20H、≧0.15H、≧0.10H、又は≧0.05Hなど、H
CR≧0.3Hなどとなるような関係を有することができる。別の態様では、高さH
CRは、≦0.45H、≦0.40H、≦0.35H、≦0.30H、≦0.25H、≦0.20H、≦0.15H、≦0.10H、又は≦0.05Hなどの、≦0.5Hであり得る。圧印領域366の高さH
CRは、中心軸3000の周りで、軸受300の周縁に沿って変化し得る。
【0044】
図4は、上記の形成工程で説明されたように形成され得る、軸受400の径方向断面図を示している。軸受400の個々の構成要素の参照番号、特徴、及び特性は、
図3A~
図3Bに示されている軸受300の対応する構成要素と、実質的に同様であり得ることが理解されよう。加えて、
図4に示されている実施例では、第2の領域428は、第1の区間428A及び第2の区間428Bを形成することができる。第2の領域428の第1の区間428Aは、軸受400の第1の軸方向端部403に対して、第2の領域428の第2の区間428Bよりも高い、軸方向高さにあり得る。代替の実施例では、第2の領域428の第1の区間428Aは、軸受400の第1の軸方向端部403に対して、第2の領域428の第2の区間428Bよりも低い、軸方向高さにあり得る。第2の階段状遷移領域436は、第2の領域428の第1の区間428Aと第2の区間428Bとの間に配置され得る。第2の階段状遷移領域436は、
図3A~
図3Bの階段状遷移領域326に関して上記で説明されている長さ、厚さ、及び角度の、すべての範囲を有し得ることが企図されるべきである。
【0045】
図5は、上記の形成工程で説明されたように形成され得る、軸受500の上面斜視図を示している。軸受500の個々の構成要素の参照番号、特徴、及び特性は、
図3A~
図3Bに示されている軸受300の対応する構成要素、及び
図4に示されている軸受400の対応する構成要素と、実質的に同様であり得ることが理解されよう。一実施例では、
図5に示されているように、第2の領域528は、フランジ522の周りで少なくとも部分的に周方向に延在し、少なくとも1つのセグメント542を形成することができる。一実施例では、少なくとも1つのセグメント542は、複数の階段状遷移領域526、526’、526’’を備える複数のセグメント542、542’、542’’を含むことができ、その結果各セグメント542、542’、542’’は、第1の部分524に隣接することができる。複数のセグメント542、542’、542’’のそれぞれは、フランジ522の周りで、それぞれ、少なくとも部分的に周方向に延在することができる。言い換えれば、階段状遷移領域526、526’、526’’は、第2の領域528が第1の部分524に隣接するセグメント542、542’、542’’を形成するように、周方向に向きを合わせられ得る。フランジは、少なくとも6つの階段状遷移領域(図示のように)、少なくとも8つの階段状遷移領域、又は少なくとも10の階段状遷移領域などの、少なくとも3つの階段状遷移領域を備えることができる。いくつかの実施例では、セグメントは、合計で225°未満、180°未満、135°未満、又は90°未満など、フランジの周縁の270°未満にわたることができる。階段状遷移領域526、526’、526’’は、
図3A~
図3Bの階段状遷移領域326に関して上記で説明されている長さ、厚さ、及び角度の、すべての範囲を有し得ることが企図されるべきである。
【0046】
いくつかの実施例では、軸受300、400、500は、組立体2000内に備えられ得る。組立体2000は、シャフト28などの内部部材をさらに備えることができる。組立体2000は、シャフト28を囲繞する軸受300、400、500を備えることができ、軸受300、400、500は、第1の軸方向端部303、403、503及び第2の軸方向端部305、405、505を有する本体310、410、510を備えている。軸受300、400、500は、軸受300、400、500の第2の軸方向端部305、405、505に少なくとも1つのフランジ322、422、522を形成することをさらに含むことができ、ここで、少なくとも1つのフランジ322、422、522は、本体310、410、510の第2の軸方向端部305、405、505から径方向に突出し、少なくとも1つのフランジ322、422、522は、第1の領域324、424、524、第2の領域328、428、528、並びに第1の領域324、424、524と第2の領域328、428、528との間の階段状遷移領域326、426、526を備え、第2の領域328、428、528は、軸方向外向きに突出するように第1の領域324、424、524より上に軸方向に高くされ得、1)第2の領域328、428、528は、少なくとも1つのセグメントを形成するようめにフランジ322、422、522の周りに部分的に周方向に延在し、及び/又は2)第1の領域324、424、524は、本体310、410、510から階段状遷移領域326、426、526まで延在し、第1の軸方向端部303、403、503から第1の領域324、424、524の最大高さまでの距離とし定められる第1の最大軸方向高さhmax1を画定し、階段状遷移領域326、426、526から延在する第2の領域1328、428、528は、第1の軸方向端部303、403、503から第2の領域326、426、526の最大高さまでの距離として定められる第2の最大軸方向高さhmax2を画定し、ここでhmax1<hmax2である。組立体2000は、筐体などの外部部材30をさらに備えることができる。いくつかの実施例では、軸受300、400、500は、軸受が内側部材又はシャフト28を囲繞するように、内側部材28と外側部材30との間に配置され得る。いくつかの実施例では、階段状遷移領域326、426、526は、軸受300、400、500と、内側部材28又は外側部材30のうちの少なくとも一方との間の、軸方向の公差補償を可能にすることができる。階段状遷移領域326、426、526又は結果として得られるフランジ322、422、522は、0.1mm以上5mm以下の内部部材又はシャフト28の軸方向公差補償を可能にすることができる。
【0047】
図6及び
図7は、自動車ドア・ヒンジ、フード・ヒンジ、エンジン室ヒンジなどの、例示的なヒンジ600の形態の組立体2000を示している。ヒンジ600は、内側部材28(内側ヒンジ領域602など)及び外側ヒンジ領域604を備えることができる。ヒンジ領域602及び604は、外側部材30(リベット606及び608など)並びに軸受610及び612によって取り付けられ得る。軸受610及び612は、本明細書で以前に説明され、300、400、500とラベルづけされた軸受であり得る。
図7は、ヒンジ600の断面を示しており、リベット608及び軸受612をより詳細に示している。
【0048】
図8は、別の例示的なヒンジ800の形態の組立体2000を示している。ヒンジ800は、ピン806及び軸受808によって取り付けられた第1のヒンジ領域802及び第2のヒンジ領域804を備えることができる。軸受808は、本明細書で以前に説明され、300、400、500とラベルづけされた軸受であり得る。
【0049】
例示的な実施例では、
図9は、軸受904を含む、分解された自動車ドア・ヒンジの部品を備える別のヒンジ組立体900の実施例の形態の、組立体2000の非限定的な実例を示している。
図9は、プロファイル・ヒンジの実例である。軸受904は、ヒンジのドア部分906に挿入され得る。軸受904は、本明細書で以前に説明され、300、400、500とラベルづけされた軸受であり得る。リベット908は、ヒンジのドア部分906をヒンジ本体部分910と橋渡しする。リベット908は、止めねじ912によってヒンジ本体部分910に固定され、ワッシャ902を通してヒンジのドア部分906と所定の位置で保持され得る。
【0050】
図10は、自転車又はオートバイなどの二輪車両用の例示的なヘッドセット組立体10000の形態の組立体2000を示している。操縦管1002は、ヘッド管1004を通して挿入され得る。軸受1006及び1008は、操縦管1002とヘッド管1004との間の整列状態を維持し、接触を防ぐために、操縦管1002とヘッド管1004との間に配置され得る。軸受1006及び1008は、本明細書で以前に説明され、300、400、500とラベルづけされた軸受であり得る。さらに、シール1010及び1012は、埃及び他の微粒子状物質による、軸受の滑り面の汚れを防ぐことができる。
【0051】
上記のかかる組立体は、すべて例示的なものであり、可能性のある他の組立体における軸受300、400、500の使用を制限することを意図するものではない。たとえば、軸受300、400、500は、動力伝達系組立体用途(ベルト・テンショナなど)又は限られた空間を有する他の組立体用途のための組立体2000で使用され得る。
【0052】
一実施例では、軸受300、400、500は、内側部材又は外側部材に対して軸方向に、少なくとも0.2mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、さらには少なくとも5mmなどの、少なくとも0.1mmの軸方向公差補償を可能にすることができる。さらなる実施例では、組立体2000は、内部部材又は外部部材に対して軸方向に、5,000N以下、1,000N以下、500N以下、100N以下、50N以下、さらには10N以下などの、10,000N以下の組立力によって導入されるか又は組み立てられ得る。
【0053】
軸受300、400、500を形成する方法は、未加工材を準備するステップを含むことができる。軸受300、400、500は、基板1119と、基板1119を覆う低摩擦層1104とを備える積層体を含む未加工材から形成され得る。この方法は、未加工材から軸受300、400、500を形成するステップをさらに含むことができ、軸受は、第1の軸方向端部303及び第2の軸方向端部305を有する本体310を備える。この方法は、軸受300の第2の軸方向端部305に、少なくとも1つのフランジ322を形成するステップをさらに含むことができ、ここで、少なくとも1つのフランジ322は、本体310の第2の軸方向端部305から径方向に突出しており、少なくとも1つのフランジ322は、第1の領域324、第2の領域328、並びに第1の領域324と第2の領域326との間の階段状遷移領域326を備え、第2の領域328は、軸方向外向きに突出するように第1の領域324より上に軸方向に高くされ得、1)第2の領域328は、少なくとも1つのセグメントを形成するようにフランジ322の周りに部分的に周方向に延在し、及び/又は、2)第1の領域324は、本体310から階段状遷移領域326まで延在し、第1の軸方向端部303から第1の領域324の最大高さまでの距離として定められる第1の最大軸方向高さhmax1を画定し、階段状遷移領域326から延在する第2の領域328は、第1の軸方向端部303から第2の領域326の最大高さまでの距離として定められる第2の最大軸方向高さhmax2を画定し、ここでhmax1<hmax2である。
【0054】
かかる実施例の用途は、たとえば、ヒンジ及び他の車両構成要素用組立体1000を含む。さらに、軸受300、400、500又は組立体2000の使用は、これらに限定されるものではないが、車両後尾扉、ドア枠、座席組立体、動力伝達系用途(ベルト・テンショナなど)、又は他の種類の用途などの、いくつかの用途において、利益を増加させることができる。本明細書の実施例によれば、軸受のフランジは、当技術分野で知られている既存の軸受と比較して、所望の軸方向予圧及び改善された軸方向の公差補償を可能にすることができる。さらに、本明細書の実施例によれば、軸受は、設置が簡単であり得、後づけすることができ、様々な複雑度のいくつかの可能性のある組立体にわたって、費用効果が高い。その結果、こうした設計は、騒音、耳障り感、及び振動特性を大幅に低減しながらも、トルク性能を向上させ、それにより寿命を延ばし、組立体、軸受、及び組立体の他の構成要素の有効性及び性能を向上させることができる。
【0055】
多くの様々な態様及び実施例が可能である。そうした態様及び実施例のいくつかが、以下に説明されている。当業者は、この明細書を読んだ後、そうした態様及び実施例が例示にすぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解されよう。実施例は、以下に列挙されている実施例のいずれか1つ又は複数に準拠することができる。
【0056】
「実施例1」
第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部を有する本体と、本体の第2の軸方向端部から径方向に突出する少なくとも1つのフランジとを備える軸受であって、少なくとも1つのフランジが、第1の領域、第2の領域、及び第1の領域と第2の領域との間の階段状遷移領域を備え、第2の領域が、軸方向外向きに突出するように第1の領域より上に軸方向に高くされ、1)第2の領域が、少なくとも1つのセグメントを形成するようにフランジの周りに部分的に周方向に延在し、及び/又は、2)第1の領域が、本体から階段状遷移領域まで延在し、第1の軸方向端部から第1の領域の最大高さまでの距離として定められる第1の最大軸方向高さhmax1を画定し、階段状遷移領域から延在する第2の領域が、第1の軸方向端部から第2の領域の最大高さまでの距離として定められる第2の最大軸方向高さhmax2を画定し、ここでhmax1<hmax2である、軸受。
【0057】
「実施例2」
シャフトと、シャフトを囲繞する軸受とを備える組立体であって、軸受が、第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部を有する本体と、本体の第2の軸方向端部から径方向に突出する少なくとも1つのフランジとを備え、少なくとも1つのフランジが、第1の領域、第2の領域、及び第1の領域と第2の領域との間の階段状遷移領域を備え、第2の領域が、軸方向外向きに突出するように第1の領域より上に軸方向に高くされ、1)第2の領域が、少なくとも1つのセグメントを形成するようにフランジの周りに部分的に周方向に延在し、2)第1の領域が、本体から階段状遷移領域まで延在し、第1の軸方向端部から第1の領域の最大高さまでの距離として定められる第1の最大軸方向高さhmax1を画定し、階段状遷移領域から延在する第2の領域が、第1の軸方向端部から第2の領域の最大高さまでの距離として定められる第2の最大軸方向高さhmax2を画定し、ここでhmax1<hmax2である、組立体。
【0058】
「実施例3」
軸受を形成する方法であって、未加工材を準備するステップと、未加工材から軸受を形成するステップであって、軸受が、第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部を有する本体を備える、軸受を形成するステップと、軸受の第2の軸方向端部に少なくとも1つのフランジを形成するステップとを含み、少なくとも1つのフランジが、本体の第2の軸方向端部から径方向に突出し、少なくとも1つのフランジが、第1の領域、第2の領域、及び第1の領域と第2の領域との間の階段状遷移領域を備え、第2の領域が、軸方向外向きに突出するように第1の領域より上に軸方向に高くされ、1)第2の領域が、少なくとも1つのセグメントを形成するようにフランジの周りに部分的に周方向に延在し、及び/又は、2)第1の領域が、本体から階段状遷移領域まで延在し、第1の軸方向端部から第1の領域の最大高さまでの距離として定められる第1の最大軸方向高さhmax1を画定し、階段状遷移領域から延在する第2の領域が、第1の軸方向端部から第2の領域の最大高さまでの距離として定められる第2の最大軸方向高さhmax2を画定し、ここでhmax1<hmax2である、方法。
【0059】
「実施例4」
第2の領域の少なくとも1つのセグメントが複数のセグメントを含む、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0060】
「実施例5」
階段状遷移領域が、第1の領域に隣接するセグメントを第2の領域が形成するように周方向に延在する、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0061】
「実施例6」
複数のセグメントが、少なくとも3つのセグメントを含む、実施例4の軸受、組立体、又は方法。
【0062】
「実施例7」
フランジが、少なくとも6つの階段状遷移領域、少なくとも8つの階段状遷移領域、又は少なくとも10の階段状遷移領域などの、少なくとも3つの階段状遷移領域を備える、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0063】
「実施例8」
複数のセグメントが、225°未満、180°未満、135°未満、又は90°未満など、フランジの周縁の270°未満にわたる、実施例4の軸受、組立体、又は方法。
【0064】
「実施例9」
hmax1≦.95hmax2、又はhmax1≦.90hmax2など、hmax1≦.99hmax2である、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0065】
「実施例10」
階段状遷移領域が、0.05mmから5mmの高さhstepを有する、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0066】
「実施例11」
フランジが、表面積SAFを有し、第2の領域が、フランジの表面積SAFの80%未満に延在する、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0067】
「実施例12」
階段状遷移領域が環状である、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0068】
「実施例13」
第2の領域が、軸方向公差補償を可能にするために、少なくとも部分的に軸方向に変形するよう適合されている、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0069】
「実施例14」
径方向断面で見ると、第1の領域が、径方向の長さLFRを有し、第2の領域が、径方向の長さLSRを有し、ここでLFR>LSRである、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0070】
「実施例15」
第2の領域が、階段状遷移領域がないフランジの耐荷重の、10から90%の耐荷重を可能にする、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0071】
「実施例16」
階段状遷移領域が、中心軸に平行な線に対して傾斜角Θをなし、傾斜角Θが、少なくとも30度から90度の範囲にある、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0072】
「実施例17」
階段状の部分が、フランジの厚さを基準として、フランジの総厚を軸方向に5%以上40%以下だけ広げる、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0073】
「実施例18」
階段状遷移領域が軸方向の間隙を有する、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0074】
「実施例19」
軸受の内側半径が2.5mm以上20mm以下である、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0075】
「実施例20」
軸受の外側半径が5mm以上25mm以下である、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0076】
「実施例21」
軸受が、基板及び低摩擦層を備える積層体を備える、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0077】
「実施例22」
低摩擦層がポリマーを含む、実施例21の軸受、組立体、又は方法。
【0078】
「実施例23」
低摩擦層のポリマーがフルオロポリマーを含む、実施例22の軸受、組立体、又は方法。
【0079】
「実施例24」
基板が金属を含む、実施例21の軸受、組立体、又は方法。
【0080】
「実施例25」
基板の金属が、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、又はこれらの合金からなる群から選択される、実施例24の軸受、組立体、又は方法。
【0081】
「実施例26」
低摩擦層の厚さが1ミクロン以上500ミクロン以下である、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0082】
「実施例27」
基板の厚さが50ミクロン以上500ミクロン以下である、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0083】
「実施例28」
フランジがセグメント化されている、前述の実施例のいずれかの軸受、組立体、又は方法。
【0084】
上記のすべての特徴が必要なわけではなく、特定の特徴の領域が不要な場合があり、また説明された特徴に加えて、1つ又は複数の特徴が提供され得ることに留意されたい。さらに、特徴が説明された順序は、必ずしも特徴が導入される順序ではない。
【0085】
明確にするために、本明細書に別個の実施例の文脈で説明されているいくつかの特徴もまた、ただ1つの実施例において組み合わせて実現され得る。逆に、簡潔にするために、ただ1つの実施例の文脈で説明されている様々な特徴もまた、別々に又は任意の部分的組合せで実現され得る。
【0086】
利益、他の利点、及び問題の解決策が、特定の実施例に関して上記で説明されてきた。しかし、利益、利点、問題の解決策、及びどんな利益、利点、又は解決策をも生じさせることができる、又はより顕著にさせることができるいかなる特徴も、一切の特許請求の範囲の重要な、必要な、又は不可欠な特徴として解釈されるべきではない。
【0087】
本明細書に記載の実施例の仕様及び説明図は、様々な実施例の構造の全体的な理解をもたらすことを意図している。仕様及び説明図は、本明細書に記載の構造又は方法を使用する装置及びシステムのすべての要素及び特徴の、網羅的且つ包括的な説明として役立つことを意図するものではない。別個の実施例もまた、ただ1つの実施例において組み合わせて実現でき、逆に、簡潔にするために、ただ1つの実施例の文脈で記載されている様々な特徴もまた、別々に又は任意の部分的組合せで実現され得る。さらに、範囲内として記載されている値への参照には、その範囲内のいずれの値も含まれる。当業者には、他の多くの実施例が、この明細書を読んだ後にのみ明らかとなり得る。他の実施例が使用でき、本開示から導くことができ、それにより本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、又は任意の変更が行われ得る。したがって、本開示は、限定的ではなく例示的と見なされるべきである。
【国際調査報告】