(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】胆汁鬱滞性肝疾患の処置で使用するためのFXRアゴニストおよびフィブラートを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20220804BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220804BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220804BHJP
A61K 31/575 20060101ALI20220804BHJP
A61K 31/195 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P1/16
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K31/575
A61K31/195
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571472
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020035353
(87)【国際公開番号】W WO2020243590
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506306868
【氏名又は名称】インターセプト ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マコーネル, リー
(72)【発明者】
【氏名】ペンチェク, リチャード
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZC512
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA11
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA75
4C086ZC41
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA07
4C206GA28
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZA75
4C206ZC41
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、FXRアゴニストおよびフィブラートの組合せを含む医薬組成物に関する。原発性胆汁性胆管炎(PBC)などのFXR媒介疾患または状態の処置、軽快、または予防のための、組合せの使用も開示される。本発明は、例えば、胆汁鬱滞性肝疾患を予防し、軽快させ、または処置するための方法であって、FXRアゴニストおよびフィブラートならびに必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体の組合せを含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胆汁鬱滞性肝疾患を予防し、軽快させ、または処置するための方法であって、FXRアゴニストおよびフィブラートならびに必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体の組合せを含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記FXRアゴニストが、式A:
【化11】
あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、アミノ酸、スルフェート、もしくはグルクロニド抱合体、またはプロドラッグであり、式中、
R
1は、OH、アルコキシ、またはオキソであり;
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、H、OH、OSO
3H、OCOCH
3、OPO
3H
2、ハロゲン、または1個もしくは複数のハロゲンもしくはOHで必要に応じて置換されたアルキルであり、あるいはR
2およびR
3は、それらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成し;
R
4は、H、ハロゲン、1個もしくは複数のハロゲンもしくはOHで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、またはアルキニルであり;
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、H、OH、OSO
3H、OCOCH
3、OPO
3H
2、ハロゲン、または1個もしくは複数のハロゲンもしくはOHで必要に応じて置換されたアルキルであり、あるいはR
5およびR
6は、それらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成し;
R
7は、OH、OSO
3H、SO
3H、OSO
2NH
2、SO
2NH
2、OPO
3H
2、PO
3H
2、CO
2H、C(O)NHOH、NH(CH
2)
2SO
3H、NHCH
2CO
2H、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、5-オキソ-1,2,4-オキサジアゾリル、5-オキソ-1,2,4-チアジアゾリル、オキサゾリジン-ジオニル、チアゾリジン-ジオニル、3-ヒドロキシイソキサゾリル、3-ヒドロキシイソチアゾリル、ピリミジン、3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシフェニル、または2,4-ジフルオロ-3-ヒドロキシフェニルであり;
R
8、R
9、およびR
10は、それぞれ独立して、H、OH、ハロゲン、または1個もしくは複数のハロゲンもしくはOHで必要に応じて置換されたアルキルであり、あるいはR
8およびR
9は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、N、O、およびSから選択される1または2個のヘテロ原子を含む3から6員炭素環式または複素環式環を形成し、あるいはR
9およびR
10は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、N、O、およびSから選択される1または2個のヘテロ原子を含む3から6員炭素環式または複素環式環を形成し;
R
11およびR
12は、それぞれ独立してHまたはOHであり;
mは、0、1、または2であり;
nは、0または1であり;
pは、0または1である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式Aの前記FXRアゴニストが、式1:
【化12】
またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式Aの前記FXRアゴニストが、式2:
【化13】
またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
式Aの前記FXRアゴニストが、式3:
【化14】
またはその薬学的に許容される塩である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
式Aの前記FXRアゴニストが、化合物3aまたは化合物3b:
【化15】
である、請求項1、2、および5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式Aの前記FXRアゴニストが、オベチコール酸(OCA)またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記フィブラートがベザフィブラートである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記胆汁鬱滞性肝疾患が、原発性胆汁性胆管炎である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
それを必要とする患者の胆汁鬱滞性肝疾患を処置するための方法であって、オベチコール酸(OCA)またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5~50mgの量で、およびベザフィブラートを200~400mgの量で含む組成物を、前記患者に投与するステップを含み、前記組成物が毎日1回(QD)投与される、方法。
【請求項11】
それを必要とする患者のPBCを処置するための方法であって、オベチコール酸(OCA)またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を毎日1回(QD)、5~50mgの量で、およびベザフィブラートをQD、200~400mgの量で、前記患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項12】
OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体が、5~50mgの量で投与される、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体が、5mgの量で投与される、請求項7から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体が、10mgの量で投与される、請求項7から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ベザフィブラートが200mgの量で投与される、請求項7から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ベザフィブラートが400mgの量で投与される、請求項7から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
肝機能を評価し、モニターし、測定し、または検出するステップをさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
肝機能を評価し、モニターし、測定し、または検出する前記ステップが、非侵襲的アッセイを行うことを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記非侵襲的アッセイが、HepQuant SHUNTアッセイである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記患者が、ウルソデオキシコール酸処置に対して不十分な応答を有しまたはそれに対して不耐容である、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
PBCの処置で使用するための、オベチコール酸(OCA)またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5~50mgの量で、およびベザフィブラートを200~400mgの量で含む組成物であって、毎日1回投与するための組成物。
【請求項22】
PBCの処置のための医薬の製造における、オベチコール酸(OCA)またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5~50mgの量で、およびベザフィブラートを200~400mgの量で含む組成物の使用であって、前記組成物が毎日1回投与するためのものである、使用。
【請求項23】
オベチコール酸(OCA)またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体が、毎日1回(QD)、5~50mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブイラートがQD、200~400mgの量で投与するためのものである、PBCの処置でベザフィブラートと組み合わせて使用するための前記OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項24】
PBCの処置で使用するための医薬の製造における、ベザフィブラートと組み合わせたオベチコール酸(OCA)またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体の使用であって、前記OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体が、毎日1回(QD)、5~50mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブラートがQD、200~400mgの量で投与するためのものである、使用。
【請求項25】
オベチコール酸(OCA)またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を毎日1回(QD)、5~50mgの量で、およびベザフィブラートをQD、200~400mgの量で投与することを含む、PBCを処置するための併用治療。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容全体がこれにより参照により本明細書に組み込まれる2019年5月30日に出願された米国仮出願第62/854,859号の優先権および利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、処置しないと肝線維症に高頻度で進行し最終的には肝硬変、肝代償不全になり、肝臓移植が必要になりまたは死をもたらす、未知の病因の重篤な生命を脅かす胆汁鬱滞性肝疾患である。進行性PBC疾患を持つ対象は、肝細胞癌に罹り易い。PBCは、米国(US)で報告されている罹患率が約40.2/100000である稀な疾患である。PBCには、女性のほうが男性よりもおよそ10:1の割合で偏って罹患し、典型的には40歳から60歳の間の患者で診断される。
【0003】
歴史的に、PBCに関して唯一承認された薬物治療は、ヒト胆汁の生理学的構成成分である胆汁酸ウルソデオキシコール酸(UDCA)であった。UDCA治療はPBCの処置に対して著しい効果があったが、患者の最大50%は、UDCAに対して最適以下の応答を示しまたは応答を示さなかった。そのような患者は、PBC疾患の進行に起因して、臨床転帰が不良の、リスクが有意に高まった。
【0004】
フィブラートは、抗胆汁鬱滞性、抗炎症性、および抗線維性効果を有し、PBCの生化学的マーカーをさらに改善する潜在性が最近示された。これらの効果の根底にあるメカニズムは、補完的であり、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体の活性化を通して大部分が媒介される。フィブラート処置は、単独治療としてまたはUDCAとの組合せにおいてのいずれかで、UDCA非応答患者における肝臓生化学検査の改善において有望であることがわかった。ベザフィブラート(BZF)は、UDCAに対して不十分な応答をするPBCの処置のための、潜在的な抗胆汁鬱滞剤として同定された。
【0005】
オベチコール酸(OCA)、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、および1次ヒト胆汁酸ケノデオキシコール酸(CDCA)由来の修飾胆汁酸が、PBCの処置のために、かつUDCAに対して不十分な応答を有しまたはUDCAの耐容性が不良な患者に安全で有効な新規な処置の選択肢を与えるために、開発された。OCAは、UDCAに対して不十分な応答をする成人においてUDCAと組み合わせることによるPBCの処置のために、またはUDCAに耐えることができない成人における単独治療として、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA;条件付承認)、カナダ保健省、および他の規制当局によって、OCALIVAという商標名で承認されている。しかしながら、OCA単独治療は、有害事象として痒み(掻痒)を引き起こし得る。
【0006】
特に既存の治療に対して不十分な応答を有しまたは既存の治療に耐えることができない患者における、胆汁鬱滞性の疾患および状態、例えばPBCを処置するための、改善された治療が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、FXRアゴニスト、フィブラート、および必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体の組合せを含む医薬組成物に関する。
【0008】
本発明は、本発明の医薬組成物の治療的使用にも関する。
【0009】
本発明は、FXRアゴニスト、フィブラート、および必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体の組合せを含む医薬組成物の、治療的使用に関する。
【0010】
一実施形態では、FXRアゴニストは、式A:
【化1】
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、アミノ酸、スルフェートもしくはグルクロニド抱合体、またはプロドラッグであり、式中、R
1、R
2、R3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、およびR
12は、本明細書で定義した通りである。
【0011】
本発明は、FXR媒介疾患もしくは状態を処置しもしくは予防し、肝酵素のレベルを低減させ、または線維症を阻害しもしくは逆転させるための方法であって、FXRアゴニスト、フィブラート、および必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体の組合せを含む医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法にも関する。
【0012】
本発明は、FXR媒介疾患もしくは状態を処置しもしくは予防し、肝酵素のレベルを低減させ、または線維症を阻害しもしくは逆転させるための、FXRアゴニスト、フィブラート、および必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体の組合せを含む医薬組成物の使用にも関する。
【0013】
本発明は、FXR媒介疾患もしくは状態を処置しもしくは予防し、肝酵素のレベルを低減させ、または線維症を阻害しもしくは逆転させるための医薬の製造における、本発明の医薬組成物の使用にも関する。
【0014】
本発明は、FXRアゴニスト、フィブラート、および必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体の組合せを含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、肝臓の疾患または状態の処置に関する。
【0015】
本発明の組成物および方法は、FXR媒介疾患または障害(例えば、PBC)の処置または予防において、満たされていないニーズに対処する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、二重盲検処置期間の試験設計を示すダイヤグラムであり、ここでBZF=ベザフィブラート;DB=二重盲検;EODB=DBの終わり;OCA=オベチコール酸;QD=毎日1回;UDCA=ウルソデオキシコール酸である。登録時にUDCAを摂取している対象は、試験中、安定した用量のUDCAを摂取し続ける。DB処置は、全ての対象がDB処置期間の12週目を終了するまで継続する。
【0017】
【
図2】
図2は、長期安全性延長期間の試験設計図を示すダイヤグラムであり、ここでBZF=ベザフィブラート;EOS=試験の終わり/LTSE期間の終わり;OCA=オベチコール酸;LTSE=長期安全性延長;QD=毎日1回;UDCA=ウルソデオキシコール酸である。再度同意したときにUDCAを摂取している対象は、試験中、安定な用量のUDCAを摂取し続ける。
【0018】
【
図3】
図3は、二重盲検およびLTSE処置期間に関する試験設計を示すダイヤグラムであり、ここでBZF=ベザフィブラート;DB=二重盲検;EODB=DBの終わり;EOS=試験の終わり/LTSE期間の終わり;LTSE=長期安全性延長;OCA=オベチコール酸;QD=毎日1回;UDCA=ウルソデオキシコール酸;およびプラセボ=OCAまたはBZFのいずれかの錠剤である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本出願は、FXRアゴニスト、フィブラート、および必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物と、それを使用する方法とを対象とする。本開示は、FXR媒介疾患または障害(例えば、PBC)を予防し、軽快させ、または処置するための、OCAなどのFXRアゴニストとBZFなどのフィブラートとの併用に関する。本開示は、既存の処置(例えば、UDCA単独もしくは併用治療、またはOCA単独による処置)と比較して有効性および耐容性を改善するための、OCAなどのFXRアゴニストとBZFなどのフィブラートとの併用にも関する。
【0020】
一態様では、FXRアゴニストは、式A:
【化2】
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、アミノ酸、スルフェートもしくはグルクロニド抱合体、またはプロドラックであり、式中:
R
1は、OH、アルコキシ、またはオキソであり;
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、H、OH、OSO
3H、OCOCH
3、OPO
3H
2、ハロゲン、または1つもしくは複数のハロゲンもしくはOHで必要に応じて置換されたアルキルであり、あるいはR
2およびR
3は、それらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成し;
R
4は、H、ハロゲン、1つもしくは複数のハロゲンもしくはOHで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、またはアルキニルであり;
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、H、OH、OSO
3H、OCOCH
3、OPO
3H
2、ハロゲン、または1つもしくは複数のハロゲンもしくはOHで必要に応じて置換されたアルキルであり、あるいはR
5およびR
6は、それらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成し;
R
7は、OH、OSO
3H、SO
3H、OSO
2NH
2、SO
2NH
2、OPO
3H
2、PO
3H
2、CO
2H、C(O)NHOH、NH(CH
2)
2SO
3H、NHCH
2CO
2H、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、5-オキソ-1,2,4-オキサジアゾリル、5-オキソ-1,2,4-チアジアゾリル、オキサゾリジン-ジオニル、チアゾリジン-ジオニル、3-ヒドロキシイソキサゾリル、3-ヒドロキシイソチアゾリル、ピリミジン、3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシフェニル、または2,4-ジフルオロ-3-ヒドロキシフェノルであり;
R
8、R
9、およびR
10は、それぞれ独立して、H、OH、ハロゲン、または1つもしくは複数のハロゲンもしくはOHで必要に応じて置換されたアルキルであり、あるいはR
8およびR
9は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、N、O、およびSから選択される1または2個のヘテロ原子を含む3から6員炭素環式または複素環式環を形成し、あるいはR
9およびR
10は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、N、O、およびSから選択される1または2個のヘテロ原子を含む3から6員炭素環式または複素環式環を形成し;
R
11およびR
12は、それぞれ独立して、HまたはOHであり;
mは、0、1、または2であり;
nは、0または1であり;
pは、0または1である。
【0021】
さらなる態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R1、R11、およびR12は水素であり、R4は、1つもしくは複数のハロゲンもしくはOHで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、またはアルキニルである)を含む。さらなる態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R1はヒドロキシ(例えば、アルファ-またはベータ-ヒドロキシ)であり、R11およびR12は水素であり、R4は、1つもしくは複数のハロゲンもしくはOHで必要に応じて置換されたアルキル、アルケニル、またはアルキニルである)を含む。さらなる例では、組成物は、式Aの化合物(式中、R4は、非置換C1~C6アルキルである)を含む。一態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R4は、非置換C1~C3アルキルである)を含む。一態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R4は、メチル、エチル、およびプロピルから選択される)を含む。一態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R4は、エチルである)を含む。
【0022】
さらなる態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R7は、C(O)OH、C(O)NH(CH2)mSO3H、およびC(O)NH(CH2)nCO2Hから選択される)を含む。一態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R7は、C(O)OH、C(O)NH(CH2)SO3H、C(O)NH(CH2)CO2H、C(O)NH(CH2)2SO3H、C(O)NH(CH2)2CO2Hから選択される)を含む。一態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R7は、C(O)OHである)を含む。一態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R7は、OSO3Hである)を含む。一態様では、組成物は、式Aの化合物を含み、この化合物は、薬学的に許容される塩である。薬学的に許容される塩は、任意の塩とすることができる。一態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R7は、OSO3
-Na+である)を含む。一態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R7は、OSO3
-NHEt3
+である)を含む。一態様では、アミノ酸抱合体は、グリシン抱合体である。一態様では、アミノ酸抱合体は、タウリン抱合体である。
【0023】
さらに別の態様では、組成物は、式Aの化合物(式中、R7は、OH、NH(CH2)SO3H、NH(CH2)CO2H、NH(CH2)2SO3H、およびNH(CH2)2CO2Hから選択される)を含む。
【0024】
一態様では、式Aの化合物は、式1の化合物(本明細書では化合物1またはオベチコール酸とも呼ぶ):
【化3】
またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体である。
【0025】
さらなる態様では、式1の化合物は、
【化4】
である。
【0026】
さらなる態様では、式Aの化合物は、式2の化合物(本明細書では、化合物2とも呼ぶ):
【化5】
またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体である。
【0027】
さらなる態様では、式2の化合物は、
【化6】
である。
【0028】
さらなる態様では、式Aの化合物は、式3の化合物(本明細書では、化合物3とも呼ぶ):
【化7】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0029】
さらなる態様では、式3の化合物は、
【化8】
である。
【0030】
さらにさらなる例では、組成物は、化合物3aおよび3bから選択される薬学的に許容される塩(本明細書では、化合物3aおよび化合物3bとも呼ぶ):
【化9】
である式3の化合物を含む。
【0031】
式1、2、3、3a、および3bの化合物は、式Aの化合物の部分集合である。
【0032】
本出願は、医薬組成物、パック、またはキット、および組合せの治療的使用についても記述する。
【0033】
本発明により解決される問題の1つは、血液中の高濃度の循環脂質化合物(コレステロールおよびトリグリセリドなど)に関連する状態、例えばPBCなどの胆汁鬱滞性肝状態を処置しまたは予防するための、ならびに血液中の循環脂質化合物(例えば、コレステロール、LDL、およびトリグリセリド)を低減させるための、ならびにビリルビンおよび/または肝酵素、例えばアルカリホスファターゼ(ALP、AP、またはAlk Phos)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、および5’ヌクレオチダーゼを低減させるための、併用治療の特定である。高い脂質レベルおよび/または肝酵素レベルに関係する状態に対する薬物は入手可能であるが、これらの薬物はしばしば、様々な理由で多くの患者に適していない。例えば、ある特定の薬物は、ウルソデオキシコール酸に対して耐性のある患者の場合など、薬物耐性を発症した患者には有効ではない。一部の薬物は、単独で投与した場合の処置に不十分である可能性がある。一部の薬物は、不活性なまたはそれほど強力ではない代謝産物への広範な代謝に起因して、高用量の投与またはより頻繁な投与が必要となり得る。本明細書に記述される併用療法は、上述の問題を解決することができ、例えば相乗作用、有効性を損なわない日用量の回数の低減、その高い脂質レベルが従来の治療に対して耐性であるPBCの患者における脂質(コレステロールおよびトリグリセリドの両方)の低下、改善された効力、選択性、組織浸透、半減期、および/または代謝安定性の、1つまたは複数の利点を有することができる。
【0034】
一実施形態では、疾患または状態は、胆汁鬱滞性肝疾患である。一実施形態では、疾患または状態はPBCである。別の実施形態では、疾患または状態は心血管疾患である。別の実施形態では、心血管疾患はアテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、または高トリグリセリド血症である。
【0035】
一態様では、本開示は、OCA単独治療によって誘発されまたは引き起こされた有害事象(例えば、掻痒)を軽減させる方法であって、式Aの化合物(例えば、OCA)およびフィブラート(例えば、BZF)の開示された組合せを投与するステップを含む方法にも関する。
【0036】
別の態様では、本開示は、肝酵素を減少させるための方法であって、本開示の組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法も提供する。一実施形態では、対象は、胆汁鬱滞状態に罹っていない。別の実施形態では、対象は、胆汁鬱滞状態に罹っている。一実施形態では、肝酵素は、アルカリホスファターゼ、7-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、および/または5’ヌクレオチダーゼである。
【0037】
ある特定の場合には、本明細書に記述される方法は、肝機能を評価し、モニターし、測定し、またはその他の方法で検出するステップも含む。肝機能を評価し、モニターし、測定し、またはその他の方法で検出するステップは、本明細書に記述されるタイトレーション期間の前、間、もしくは後に行うことができ、または他の場合には、本明細書に記述される任意の処置の過程の間に行うことができる。肝機能は、例えば、対照と比較して1つまたは複数の肝臓バイオマーカーのレベルを評価し、モニターし、測定し、またはその他の方法で検出することによって、決定することができる。ある特定の場合には、対照は、処置の開始前に患者から得られたベースラインである。他の場合には、対照は、正常値と見なされる、事前に確立されたベースラインである。肝機能バイオマーカーおよび対照の測定または検出に関する値は、正常値上限(ULN)との比較として表すことができる。
【0038】
一実施形態では、本開示の方法は、肝機能を評価し、モニターし、測定し、またはその他の方法で検出するステップを含む。一実施形態では、肝機能を評価し、モニターし、測定し、またはその他の方法で検出するステップは、非侵襲性アッセイを含む。一実施形態では、非侵襲性アッセイは、HepQuant SHUNTアッセイである。
【0039】
一実施形態では、HepQuant SHUNTアッセイは、体循環および門脈循環の両方からのコレートのクリアランスを測定することを含む。一実施形態では、コレートは、標識される。一実施形態では、コレートは、同位体標識される。一実施形態では、コレートは、炭素同位体または水素同位体で同位体標識される。一実施形態では、コレートは、13Cまたは重水素で同位体標識される。一実施形態では、HepQuant SHUNTアッセイは、13C標識コレートを静脈内投与すること(例えば、注射すること)を含む。一実施形態では、HepQuant SHUNTアッセイは、重水素標識コレートを経口投与することを含む。一実施形態では、HepQuant SHUNTアッセイは、13C標識コレートを静脈内投与すること、および重水素標識コレートを経口投与することを含む。一実施形態では、HepQuant SHUNTアッセイは、対象にコレートが投与される前に対象から血液試料を収集することを含む。一実施形態では、HepQuant SHUNTアッセイは、コレートが対象に投与された後に対象から血液試料を収集することを含む。一実施形態では、HepQuant SHUNTアッセイは、コレートを投与してから5、20、45、60、および/または90分後に対象から血液試料を得ることを含む。一実施形態では、HepQuant SHUNTアッセイは、血液試料を分析して、疾患重症度指数(Index)を生成することを含む。
【0040】
一実施形態では、HepQuant SHUNTアッセイは:
(a)対象(例えば、本明細書に記述される組成物、組合せ、または使用による処置を必要とする患者)にコレートが投与される前に、対象から血液試料を収集するステップ;
(b)対象に、13C標識コレートを静脈内投与し、重水素標識コレートを経口投与するステップ;
(c)血液試料を対象から収集するステップ;ならびに
(d)ステップ(a)および(c)からの血液試料を分析して、疾患重症度指数を生成するステップ
を含む。
【0041】
肝臓バイオマーカーは、本開示の組成物による処置の過程の有効性を確認し定量するのに使用することができる。他の場合には、本明細書に記述される肝臓バイオマーカーは、本開示の組成物による処置の過程の間に肝機能を確認し定量するのに使用することができる。肝臓バイオマーカーは、患者または患者集団が本明細書に記述される組成物による処置を受け易いかどうかを予測するのに使用することもできる。一実施形態では、肝臓バイオマーカーは、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、ビリルビン、グリシン抱合オベチコール酸、タウリン抱合オベチコール酸、胆汁酸、胆汁酸グリシン抱合体、または胆汁酸タウリン抱合体の量またはレベルを評価し、モニターし、測定し、またはその他の方法で検出することを含む。例えば、評価され、モニターされ、測定され、または検出された肝臓バイオマーカーは、ALPとすることができる。
【0042】
ALPレベルは、ULNの尺度とすることができる。一実施形態では、処置前の患者は、少なくとも1.1×ULNから少なくとも20×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも15×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも12×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも10×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも8×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも6×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも5×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも4×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも3×ULN;または少なくとも1.1×ULNから少なくとも2×ULNのALPレベルを有することができる。
【0043】
本明細書に記述される処置の前の患者は、約1.5×ULNから約20×ULN;約1.5×ULNから約15×ULN;約1.5×ULNから約10ULN;約1.5×ULNから約5×ULN;または約1.5×ULNから約3×ULNのALPレベルを有することができる。処置前の患者は、約1.5×、2×、3×、4×、5×、8×、10×、15×、または20×ULNの、本明細書に記述される処置の前のALPレベルを有することができる。
【0044】
本明細書に記述される処置の前の患者は、約1.5×、2×、3×、4×、5×、8×、10×、15×、または20×ULNよりも大きいALPレベルを有することができる。一実施形態では、患者は、約1.5×ULNのALPレベルを有する。一実施形態では、患者は、約2×ULNのALPレベルを有する。一実施形態では、患者は、約5×ULNのALPレベルを有する。一実施形態では、患者は、約10×ULNのALPレベルを有する。一実施形態では、患者は、約15×ULNのビリルビンレベルを有する。一実施形態では、患者は、約1.5×ULNよりも大きいALPレベルを有する。一実施形態では、患者は、約2×ULNよりも大きいALPレベルを有する。一実施形態では、患者は、約5×ULNよりも大きいALPレベルを有する。一実施形態では、患者は、約10×ULNよりも大きいALPレベルを有する。一実施形態では、患者は、約15×ULNよりも大きいビリルビンレベルを有する。
【0045】
別の例では、評価され、モニターされ、測定され、または検出された肝臓バイオマーカーを、ビリルビンとすることができる。ビリルビンレベルは、ULNの尺度とすることができる。一実施形態では、処置前の患者は、少なくとも1.1×ULNから少なくとも20×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも15×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも12×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも10×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも8×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも6×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも5×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも4×ULN;少なくとも1.1×ULNから少なくとも3×ULN;または少なくとも1.1×ULNから少なくとも2×ULNのビリルビンレベルを有することができる。
【0046】
本明細書に記述される処置の前の患者は、約1.5×ULNから約20×ULN;約1.5×ULNから約15×ULN;約1.5×ULNから約10ULN;約1.5×ULNから約5×ULN;または約1.5×ULNから約3×ULNのビリルビンレベルを有することができる。別の例では、本明細書に記述される処置の前の患者は、約2×ULNから約20×ULN;約2×ULNから約15×ULN;約2×ULNから約10ULN;約2×ULNから約5×ULN;または約2×ULNから約3×ULNのビリルビンレベルを有することができる。別の例では、本明細書に記述される処置の前の患者は、約2×ULN超から約20×ULN超;約2×ULN超から約15×ULN超;約2×ULN超から約10ULN超;約2×ULN超から約5×ULN超;または約2×ULN超から約3×ULN超のビリルビンレベルを有することができる。
【0047】
本明細書に記述される処置の前の患者は、約1.5×、2×、3×、4×、5×、8×、10×、15×、または20×ULNのビリルビンレベルを有することができる。処置前の患者は、約1.5×、2×、3×、4×、5×、8×、10×、15×、または20×ULNよりも大きい、本明細書に記述される処置の前のビリルビンレベルを有することができる。一実施形態では、患者は、約2×ULNよりも大きいビリルビンレベルを有する。一実施形態では、患者は、約5×ULNよりも大きいビリルビンレベルを有する。一実施形態では、患者は、約10×ULNよりも大きいビリルビンレベルを有する。一実施形態では、患者は、約15×ULNよりも大きいビリルビンレベルを有する。一実施形態では、患者は、約2×ULN未満のビリルビンレベルを有する。一実施形態では、患者は、約5×ULN未満のビリルビンレベルを有する。一実施形態では、患者は、約10×ULN未満のビリルビンレベルを有する。一実施形態では、患者は、約15×ULN未満のビリルビンレベルを有する。
【0048】
ある場合には、本明細書に記述される組成物による処置中に肝機能または肝機能の変化を評価し、モニターし、測定し、またはその他の方法で検出するために、ALPおよびビリルビンを評価し、モニターし、測定し、または検出することは有用であり得る。ある場合には、患者は、上記にて提供されたALPレベル(例えば、約1.5×ULNから約10×ULN)および上記にて提供されたビリルビンレベル(例えば、約5×ULN未満)を有する。一実施形態では、患者は、約1.5×ULNから約10×ULNの間のALPレベル、および約2×ULN未満のビリルビンレベルを有する。
【0049】
本明細書に記述される組成物による処置は、本明細書に記述される患者のALPおよび/またはビリルビンのレベルを低減させることができる。例えば、本明細書に記述される組成物による、本明細書に記述される疾患または状態(例えば、PBC)の処置は、ALPのレベルを2、4、5、6、8、9、10、12、15、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、88、90、92、94、96、97、98、99、99.2、99.4、99.6、99.7、99.8、99.9、または100%低減させることができる。別の例では、ALPのレベルを、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、または少なくとも300%低減させることができる。
【0050】
別の例では、ALPのレベルを、約5%から約50%;約10%から約55%;約10%から約45%;約10%から約40%;約10%から約33%、約10%から約30%;約15%から約30%;約15%から約25%;約20%から約50%、約20%から約40%;約20%から約35%;約20%から約30%;20%から約27%;または約20%から約27%低減させることができる。別の例では、ALPのレベルを、少なくとも50%低減させることができる。ALPのレベルは、少なくとも40%低減させることができる。ALPのレベルは、少なくとも35%低減させることができる。ALPのレベルは、少なくとも30%低減させることができる。ALPのレベルは、少なくとも27%低減させることができる。ALPのレベルは、少なくとも25%低減させることができる。ALPのレベルは、少なくとも20%低減させることができる。
【0051】
ALPレベルの低減は、ULNに対する倍率変化によって表すことができる。例えば、本明細書に記述される組成物による処置は、本明細書に記述される患者のALPレベルを約5×ULN未満;約4×ULN未満、約3×ULN未満、約2×ULN未満、約1.7×ULN未満、約1.5×ULN未満、約1.25×ULN未満、または約ULN未満に低減させることができる。
【0052】
別の例では、ALPレベルを、ベースライン値と比較して、少なくとも1分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、15分の1、20分の1、25分の1、30分の1、40分の1、または5分の1に低減させる。例えば、本明細書に記述される組成物による処置後のALPレベルは、ベースライン値と比較して、1分の1、1.2分の1、1.4分の1、1.6分の1、1.8分の1、または2分の1に(それらの間に介在する値を含む)低減させることができる。別の例では、ALPレベルは、ベースライン値と比較して、2分の1、2.2分の1、2.4分の1、2.6分の1、2.8分の1、または3分の1に(それらの間に介在する値を含む)低減させることができる。別の例では、ALPレベルは、ベースライン値と比較して、3分の1、4分の1、または5分の1に(それらの間に介在する値を含む)低減させることができる。別の例では、ALPレベルは、ベースライン値と比較して、5分の1、7分の1、9分の1、または10分の1に(それらの間に介在する値を含む)低減させることができる。別の例では、ALPレベルは、ベースライン値と比較して、10分の1、12分の1、15分の1、または20分の1に(それらの間に介在する値を含む)低減させることができる。
【0053】
本明細書に記述される組成物による、本明細書に記述される疾患または状態(例えば、PBC)の処置は、ビリルビンのレベルを2、4、5、6、8、9、10、12、15、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、88、90、92、94、96、97、98、99、99.2、99.4、99.6、99.7、99.8、99.9、または100%低減させることができる。別の例では、ビリルビンのレベルは、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、または少なくとも300%低減させることができる。
【0054】
別の例では、ビリルビンのレベルは、約5%から約50%;約10%から約55%;約10%から約45%;約10%から約40%;約10%から約33%、約10%から約30%;約15%から約30%;約15%から約25%;約20%から約50%、約20%から約40%;約20%から約35%;約20%から約30%;20%から約27%;または約20%から約27%低減させることができる。別の例では、ビリルビンのレベルは、少なくとも50%低減させることができる。ビリルビンのレベルは、少なくとも40%低減させることができる。ビリルビンのレベルは、少なくとも35%低減させることができる。ビリルビンのレベルは、少なくとも30%低減させることができる。ビリルビンのレベルは、少なくとも27%低減させることができる。ビリルビンのレベルは、少なくとも25%低減させることができる。ビリルビンのレベルは、少なくとも20%低減させることができる。
【0055】
ビリルビンレベルの低減は、ULNに対する倍率変化によって表すことができる。例えば、本明細書に記述される組成物による処置は、本明細書に記述される患者のビリルビンレベルを、約5×ULN未満;約4×ULN未満、約3×ULN未満、約2×ULN未満、約1.7×ULN未満、約1.5×ULN未満、約1.25×ULN未満、または約ULN未満に低減させることができる。
【0056】
別の例では、ビリルビンレベルは、ベースライン値と比較して、少なくとも1分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、15分の1、20分の1、25分の1、30分の1、40分の1、または50分の1に低減させる。例えば、本明細書に記述される組成物で処置した後のビリルビンレベルは、1分の1、1.2分の1、1.4分の1、1.6分の1、1.8分の1、または2分の1に(それらの間に介在する値を含む)低減させることができる。別の例では、ビリルビンレベルは、ベースライン値と比較して、2分の1、2.2分の1、2.4分の1、2.6分の1、2.8分の1、または3分の1に(それらの間に介在する値を含む)低減させることができる。別の例では、ビリルビンレベルは、ベースライン値と比較して、3分の1、4分の1、または5分の1に(それらの間に介在する値を含む)低減させることができる。別の例では、ビリルビンレベルは、ベースライン値と比較して、5分の1、7分の1、9分の1、または10分の1に(それらの間に介在する値を含む)低減させることができる。別の例では、ビリルビンレベルは、ベースライン値と比較して、10分の1、12分の1、15分の1、または20分の1に(それらの間に介在する値を含む)低減させることができる。
【0057】
別の実施形態では、1つまたは複数のバイオマーカーは、本明細書に記述される組成物による処置を受ける(undergoing undergo treatment)患者集団を層別化することができる。例えば、PBC患者は、肝細胞癌(HCC)のリスクに関して層別化することができる。
【0058】
別の実施形態では、検出するのに有用な肝臓バイオマーカーは、代謝産物および胆汁酸を含むことができる。例えば、式Aの化合物(例えば、オベチコール酸)のグリシンおよびタウリン抱合体のレベルを評価し、モニターし、測定し、またはその他の方法で検出することは、本明細書に記述される処置レジメンの有効性を測定するのに有用であり得る。例えば、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リソコール酸、およびウルソデオキシコール酸を含む胆汁酸であって、それらのグリシンおよびタウリン抱合体を含むもののレベルまたは血漿中レベルを評価し、モニターし、測定し、またはその他の方法で検出すること、ならびに必要に応じて対照とそれらのレベルを比較することは、本明細書に記述される処置レジメンの有効性を測定するのに有用であり得る。
【0059】
さらに他の実施形態では、AST対血小板比指数(AST to platelet index)(APRI)を計算することは、肝機能(その変化を含む)を評価し、モニターし、測定し、またはその他の方法で検出するのに有用であり得る。本明細書に記述される組成物は、本明細書に記述される患者のAPRIを低減させることができる。ある特定の場合には、APRIをモニターしまたは測定することは、本明細書に記述される組成物による処置の有効性を決定するのに使用することができる。一部の実施形態では、APRIの低減は、本明細書に記述される組成物の投与後に、患者(例えば、PBC患者)において観察される。例えば、APRIは、用量投与前に測定されたベースラインレベルに対し、本開示の組成物で処置した患者において約5%から約50%低減させ得る。低減は、最大約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%であってもよい。
【0060】
本開示は、それを必要とする患者の原発性胆汁性肝硬変(PBC)を処置するための方法であって:(1)式Aの化合物(例えば、OCA)およびフィブラート(例えば、BZF)を含む組成物を、患者に投与するステップ;(2)患者の肝機能を:(a)患者に関するASTの血小板に対する比(APRI)のスコアを計算すること;(b)ALP、ビリルビン、AST、ALT、グリシン抱合オベチコール酸、タウリン抱合オベチコール酸、胆汁酸、胆汁酸グリシン抱合体、もしくは胆汁酸タウリン抱合体から選択される1つもしくは複数の肝臓バイオマーカーのレベルを測定すること;または(c)本明細書に記述されるHepQuant SHUNTアッセイによって、評価するステップ(必要に応じて、前記タイトレーション期間の前、間、および後);(3)対照と比較して低減したAPRIスコア、または対照と比較した、1つまたは複数の肝臓バイオマーカーの低減したレベルが、損なわれていない肝機能を示すこと;(4)存在する場合に1つまたは複数の有害作用の重症度をグレード分けすることによって、開始用量に対する患者の耐容性を評価するステップ;ならびに(5)組成物の調節された用量を投与するステップ(必要な場合)(調節された用量は、開始用量の量に等しいまたはそれよりも多い量を含む)を含む方法に関する。
【0061】
本開示は、それを必要とする患者の原発性胆汁性肝硬変(PBC)の処置に使用するための、式Aの化合物(例えば、OCA)またはその薬学的に許容される塩、エステル、もしくはアミノ酸抱合体、およびフィブラート(例えば、BZF)を含み、投与するように(必要に応じて、タイトレーション期間に)調製される組成物であって、
患者の肝機能が、前記患者に関するASTの血小板に対する比(APRI)のスコアを計算することによって、またはALP、ビリルビン、AST、ALT、グリシン抱合オベチコール酸、タウリン抱合オベチコール酸、胆汁酸、胆汁酸グリシン抱合体、もしくは胆汁酸タウリン抱合体から選択される1つもしくは複数の肝臓バイオマーカーのレベルを測定することによって評価され(必要に応じて、前記タイトレーション期間の前、間、および後)、対照と比較して低減したAPRIスコア、または対照と比較して低減したレベルの前記1つもしくは複数の肝臓バイオマーカーが、損なわれていない肝機能を示し;
前記開始用量に対する患者の耐容性を、存在する場合には1つまたは複数の有害作用の重症度をグレード分けすることによって評価し;組成物を、調節された用量として投与するように調製する(前記調節された用量は、前記開始用量の量に等しいまたはそれよりも多い量を含む)、組成物に関する。
【0062】
本開示は、それを必要とする患者の原発性胆汁性肝硬変(PBC)を処置するための方法であって:(1)OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を毎日1回(QD)、5~50mgの量で、およびベザフィブラートを毎日1回(QD)、200~400mgの量で含む組成物を投与するステップ;(2)患者の肝機能を:(a)患者に関してASTの血小板に対する比(APRI)のスコアを計算すること;(b)ALP、ビリルビン、AST、ALT、グリシン抱合オベチコール酸、タウリン抱合オベチコール酸、胆汁酸、胆汁酸グリシン抱合体、もしくは胆汁酸タウリン抱合体から選択される1つもしくは複数の肝臓バイオマーカーのレベルを測定すること;または(c)本明細書に記述されるHepQuant SHUNTアッセイによって、評価するステップ(必要に応じて、前記タイトレーション期間の前、間、および後に);(3)対照と比較して低減されたAPRIスコアまたは対照と比較して低減されたレベルの1つまたは複数の肝臓バイオマーカーが、損なわれていない肝機能を示すこと;(4)開始用量に対する患者の耐容性を、存在する場合には1つまたは複数の有害作用の重症度をグレード分けすることによって評価するステップ;ならびに(5)調節された用量の組成物を投与するステップ(必要な場合)(調節された用量は、開始用量の量に等しいまたはそれよりも多い量を含む)を含む方法に関する。
【0063】
本開示は、それを必要とする患者のPBCを処置するための方法であって、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5~50mgの量で、およびベザフィブラートを200~400mgの量で含む組成物を投与するステップを含み、組成物が、毎日1回(QD)投与される、方法に関する。
【0064】
本開示は、それを必要とする患者のPBCを処置するための方法であって、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5mgの量で、およびベザフィブラートを200mgの量で含む組成物を投与するステップを含み、組成物がQDで投与される、方法に関する。
【0065】
本開示は、それを必要とする患者のPBCを処置するための方法であって、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5mgの量で、およびベザフィブラートを400mgの量で含む組成物を投与するステップを含み、組成物がQDで投与される、方法に関する。
【0066】
本開示は、それを必要とする患者のPBCを処置するための方法であって、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を10mgの量で、およびベザフィブラートを200mgの量で含む組成物を投与するステップを含み、組成物がQDで投与される、方法に関する。
【0067】
本開示は、それを必要とする患者のPBCを処置するための方法であって、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を10mgの量で、およびベザフィブラートを400mgの量で含む組成物を投与するステップを含み、組成物がQDで投与される、方法に関する。
【0068】
本開示は、PBCの処置で使用するための、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5~50mgの量で、およびベザフィブラートを200~400mgの量で含む組成物であって、毎日1回投与するための組成物に関する。
【0069】
本開示は、PBCの処置で使用するための、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5mgの量で、およびベザフィブラートを200mgの量で含む組成物であって、毎日1回投与するための組成物に関する。
【0070】
本開示は、PBCの処置で使用するための、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5mgの量で、およびベザフィブラートを400mgの量で含む組成物であって、毎日1回投与するための組成物に関する。
【0071】
本開示は、PBCの処置で使用するための、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を10mgの量で、およびベザフィブラートを200mgの量で含む組成物であって、毎日1回投与するための組成物に関する。
【0072】
本開示は、PBCの処置で使用するための、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を10mgの量で、およびベザフィブラートを400mgの量で含む組成物であって、毎日1回投与するための組成物に関する。
【0073】
本開示は、PBCの処置のための医薬の製造における、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5~50mgの量で、およびベザフィブラートを200~400mgの量で含む組成物の使用であって、組成物が毎日1回投与するためのものである、使用に関する。
【0074】
本開示は、PBCの処置のための医薬の製造における、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5mgの量で、およびベザフィブラートを200mgの量で含む組成物の使用であって、組成物が毎日1回投与するためのものである、使用に関する。
【0075】
本開示は、PBCの処置のための医薬の製造における、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を5mgの量で、およびベザフィブラートを400mgの量で含む組成物の使用であって、組成物が毎日1回投与するためのものである、使用に関する。
【0076】
本開示は、PBCの処置のための医薬の製造における、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を10mgの量で、およびベザフィブラートを200mgの量で含む組成物の使用であって、組成物が毎日1回投与するためのものである、使用に関する。
【0077】
本開示は、PBCの処置のための医薬の製造における、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を10mgの量で、およびベザフィブラートを400mgの量で含む組成物の使用であって、組成物が毎日1回投与するためのものである、使用に関する。
【0078】
本開示は、それを必要とする患者のPBCを処置するための方法であって、患者にOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体をQD、5~50mgの量で、およびベザフィブラートをQD、200~400mgの量で投与するステップを含む方法に関する。
【0079】
本開示は、それを必要とする患者のPBCを処置するための方法であって、患者にOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体をQD、5mgの量で、およびベザフィブラートをQD、200mgの量で投与するステップを含む方法に関する。
【0080】
本開示は、それを必要とする患者のPBCを処置するための方法であって、患者にOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体をQD、5mgの量で、およびベザフィブラートをQD、400mgの量で投与するステップを含む方法に関する。
【0081】
本開示は、それを必要とする患者のPBCを処置するための方法であって、患者にOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体をQD、10mgの量で、およびベザフィブラートをQD、200mgの量で投与するステップを含む方法に関する。
【0082】
本開示は、それを必要とする患者のPBCを処置するための方法であって、患者にOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体をQD、10mgの量で、およびベザフィブラートをQD、400mgの量で投与するステップを含む方法に関する。
【0083】
本開示は、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体がQD、5~50mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブラートがQD、200~400mgの量で投与するためのものである、PBCの処置でベザフィブラートと組み合わせて使用するためのOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体に関する。
【0084】
本開示は、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体がQD、5mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブラートがQD、200mgの量で投与するためのものである、PBCの処置でベザフィブラートと組み合わせて使用するためのOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体に関する。
【0085】
本開示は、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体がQD、5mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブラートがQD、400mgの量で投与するためのものである、PBCの処置でベザフィブラートと組み合わせて使用するためのOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体に関する。
【0086】
本開示は、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体がQD、10mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブラートがQD、200mgの量で投与するためのものである、PBCの処置でベザフィブラートと組み合わせて使用するためのOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体に関する。
【0087】
本開示は、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体がQD、10mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブラートがQD、400mgの量で投与するためのものである、PBCの処置でベザフィブラートと組み合わせて使用するためのOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体に関する。
【0088】
本開示は、PBCの処置で使用するための医薬の製造における、ベザフィブラートと組み合わせたOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体の使用であって、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体がQD、5~50mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブラートがQD、200~400mgの量で投与するためのものである、使用に関する。
【0089】
本開示は、PBCの処置で使用するための医薬の製造における、ベザフィブラートと組み合わせたOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体の使用であって、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体がQD、5mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブラートがQD、200mgの量で投与するためのものである、使用に関する。
【0090】
本開示は、PBCの処置で使用するための医薬の製造における、ベザフィブラートと組み合わせたOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体の使用であって、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体がQD、5mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブラートがQD、400mgの量で投与するためのものである、使用に関する。
【0091】
本開示は、PBCの処置で使用するための医薬の製造における、ベザフィブラートと組み合わせたOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体の使用であって、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体がQD、10mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブラートがQD、200mgの量で投与するためのものである、使用に関する。
【0092】
本開示は、PBCの処置で使用するための医薬の製造における、ベザフィブラートと組み合わせたOCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体の使用であって、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体がQD、10mgの量で投与するためのものであり、ベザフィブラートがQD、400mgの量で投与するためのものである、使用に関する。
【0093】
本開示は、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体をQD、5~50mgの量で、およびベザフィブラートをQD、200~400mgの量で投与することを含む、PBCを処置するための併用治療に関する。
【0094】
本開示は、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体をQD、5mgの量で、およびベザフィブラートをQD、200mgの量で投与することを含む、PBCを処置するための併用治療に関する。
【0095】
本開示は、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体をQD、5mgの量で、およびベザフィブラートをQD、400mgの量で投与することを含む、PBCを処置するための併用治療に関する。
【0096】
本開示は、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体をQD、10mgの量で、およびベザフィブラートをQD、400mgの量で投与することを含む、PBCを処置するための併用治療に関する。
【0097】
本開示は、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体をQD、10mgの量で、およびベザフィブラートをQD、400mgの量で投与することを含む、PBCを処置するための併用治療に関する。
【0098】
一実施形態では、本出願の方法、使用のための組合せ、使用、および併用治療は、少なくとも4週間の期間にわたり投与するステップまたは投与を含む。一実施形態では、本出願の方法、使用のための組合せ、使用、および併用治療は、少なくとも12週間の期間にわたり投与するステップまたは投与を含む。一実施形態では、本出願の方法、使用のための組合せ、使用、および併用治療は、1~12週間の期間にわたり投与するステップまたは投与を含む。一実施形態では、本出願の方法、使用のための組合せ、使用、および併用治療は、12~48週間の期間にわたり投与するステップまたは投与を含む。
【0099】
一実施形態では、OCAまたはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体は、錠剤形態をとる。
【0100】
一実施形態では、ベザフィブラートは、即放性形態をとる(例えば、即放性錠剤)。一実施形態では、ベザフィブラートは、徐放性形態をとる(例えば、徐放性錠剤)。
【0101】
一実施形態では、本出願の方法、使用のための組合せ、使用、および併用治療は、本明細書に記述されるように(例えば、HepQuant SHUNTアッセイ)、肝機能を評価し、モニターし、測定し、またはその他の方法で検出するステップをさらに含む。
【0102】
本明細書では、タイトレーション期間に本明細書に記述される組成物(またはFXRアゴニスト、例えば式Aの化合物)の開始用量を投与することによって、それを必要とする患者のPBCを処置するための方法が、さらに提供される。方法は、前記患者に関するAPRIスコアを計算すること、またはALP、ビリルビン、AST、ALT、グリシン抱合オベチコール酸、タウリン抱合オベチコール酸、胆汁酸、胆汁酸グリシン抱合体、もしくは胆汁酸タウリン抱合体から選択される1つもしくは複数の肝臓バイオマーカーのレベルを測定することのいずれかによって、前記タイトレーション期間の前、間、および後に患者の肝機能を評価するステップを含み、対照と比較して低減されたAPRIスコアまたは対照と比較して低減されたレベルの1つもしくは複数の肝臓バイオマーカーは、損なわれていない肝機能を示す。方法はさらに、存在する場合には1つまたは複数の有害作用の重症度をグレード分けすることによって、開始用量に対する患者の耐容性を評価するステップ、および組成物の調節された用量(または、式Aの化合物、例えばOCAの、調節された用量)を投与するステップを含み、調節された用量は、開始用量の量に等しいまたはそれよりも多い量を含む。開始用量、調節された用量、およびタイトレーション期間は、以下に記述される通りである。例えば、開始用量は、約5から約50mg(例えば、5mg)にすることができ、調節された用量は、約5から約50mg(例えば、5mg、10mg、または25mg)にすることができ。タイトレーション期間は、約1から約6カ月、例えば1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月の時間にすることができる。
【0103】
本明細書では、本明細書に記述される組成物の有効量を投与することによって、肝臓移植の拒絶不全を低減させるまたはなくす方法も提供される。ある特定の場合には、本明細書に記述される組成物の投与は、ALPおよび/またはビリルビンの発現またはレベルを低減させる。一実施形態では、本明細書に記述される組成物の投与は、ALPおよびビリルビンレベルを低減させ、それによって移植の合併症または拒絶が低減する。別の実施形態では、本明細書に記述される組成物の有効量の投与は、肝臓移植を受ける人の移植後生存率を上昇させる。
【0104】
本発明の組成物、パックまたはキット、方法、および使用において、式Aの化合物は遊離形態(例えば、酸)をとってもよく、またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体(例えば、グリシンまたはタウリン抱合体)であってもよい。一態様では、化合物は任意のFXRアゴニストである。一態様では、化合物は式Aの化合物である。一態様では、式Aの化合物は、式1の化合物(オベチコール酸またはOCA)である。一態様では、式Aの化合物は、式2の化合物である。一態様では、式Aの化合物は、式3の化合物である。一態様では、式Aの化合物は、式3の化合物の薬学的に許容される塩である。一態様では、式Aの化合物は、式3aまたは3bの化合物である。
【0105】
本発明の組成物、パックまたはキット、方法、および使用において、フィブラートは、任意のフィブラートとすることができる。一態様では、フィブラートは、フェノフィブラート、ベザフィブラート、ベクロブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリン酸、エトフィブラート、ゲムフィブロジル、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シムフィブラート、テオフィブラート、トコフィブラート、プラフィブリド、ならびにそれらの薬学的に許容される塩およびエステル、ならびに欧州特許出願公開番号EP0607536に開示されるような、ピペリジン、4-ヒドロキシピペリジン、ピペリド-3-エン、またはピペラジンの必要に応じて置換された残基でフェノキシ部分が置換された2-フェノキシ-2-メチルプロパン酸の誘導体からなる群から選択される。一態様では、フィブラートは、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、ビニフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブリン酸、ニコフィブラート、ピリフィブラート、プラフィブリド、ロニフィブラート、テオフィブラート、トコフィブラート、ならびにそれらの薬学的に許容される塩およびエステル、ならびに欧州特許出願公開番号EP0607536に開示されるような、ピペリジン、4-ヒドロキシピペリジン、ピペリド-3-エン、またはピペラジンの必要に応じて置換された残基でフェノキシ部分が置換された2-フェノキシ-2-メチルプロパン酸の誘導体からなる群から選択される。物質の後者の群の例は、2-[3-[1-(4-フルオロベンゾイル)ピペリジン-4-イル]フェノキシ-2-メチル-プロパン酸である。例えば、フィブラートは、ベザフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、シプロフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはエステルである。一実施形態では、フィブラートはベザフィブラート(BZF)である。
【0106】
一実施形態では、式Aの化合物は、式Aの化合物の遊離形態(例えば、酸)であり、少なくとも1種のフィブラートは、ベザフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、シプロフィブラート、クロフィブラート、およびそれらの薬学的に許容される塩またはエステルから選択される。
【0107】
一実施形態では、式Aの化合物は、式Aの化合物の薬学的に許容される塩であり、少なくとも1種のフィブラートは、ベザフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、シプロフィブラート、クロフィブラート、およびそれらの薬学的に許容される塩またはエステルから選択される。
【0108】
一実施形態では、式Aの化合物は、式Aの化合物のグリシン抱合体であり、少なくとも1種のフィブラートは、ベザフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、シプロフィブラート、クロフィブラート、およびそれらの薬学的に許容される塩またはエステルから選択される。
【0109】
一実施形態では、式Aの化合物は、式Aの化合物のタウリン抱合体であり、少なくとも1種のフィブラートは、ベザフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、シプロフィブラート、クロフィブラート、およびそれらの薬学的に許容される塩またはエステルから選択される。
【0110】
一実施形態では、式Aの化合物は、式Aの化合物(遊離形態)または薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体であり、少なくとも1種のフィブラートはベザフィブラートである。
【0111】
本発明は、1個または複数の原子が、自然界で最も一般的に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられたこと以外、本発明の式Aの化合物の構造と同一の構造を有する式Aの同位体標識された化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体も包含する。式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、フッ素の同位体、例えば3H、11C、14C、および18Fが含まれる。
【0112】
前述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する、式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体は、本発明の範囲内にある。同位体標識された式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体、例えば3Hおよび/または14Cなどの放射性同位体(複数可)が組み込まれる式Aの化合物は、薬物および/または基質組織分布アッセイで有用である。トリチウム化した、即ち3H、および炭素-14、即ち14C同位体は、それらの調製の容易さおよび検出可能性により使用される。さらに、重水素、即ち2Hなどのより重い同位体による置換は、より大きい代謝安定性から得られるある特定の治療上の利点、例えばin vivo半減期の延長または投薬要件の低減を提供することができ、したがって、いくつかの状況で使用され得る。同位体標識された式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体は、本開示のスキームおよび/または実施例で開示される手順を実施し、容易に入手可能な同位体標識された試薬を、非同位体標識試薬の代わりに用いることによって、調製することができる。
【0113】
本発明は、疾患または状態を処置しまたは予防するための方法であって、本発明の医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法も提供する。
【0114】
一実施形態では、疾患または状態は、FXR媒介疾患または状態である。FXR媒介疾患または状態の例には、限定するものではないが肝疾患(胆汁鬱滞性肝疾患を含む)、例えば原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、および胆道閉鎖症などが含まれる。一実施形態では、疾患または状態は胆汁鬱滞性肝疾患である。一実施形態では、疾患または状態はPBCである。
【0115】
本発明は、式Aの化合物(例えば、OCA)およびフィブラート(例えば、BZF)の、開示された組合せを投与するステップを含む、OCA単独治療により誘発されまたは引き起こされた有害事象(例えば、掻痒)を軽減する方法も提供する。
【0116】
本発明は、本明細書に記述される疾患または状態に関連した線維症を阻害するまたは逆転させるための方法であって、本発明の医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法も提供する。別の実施形態では、対象は、胆汁鬱滞性状態に罹患している。実施形態では、阻害または逆転されるべき線維症は、FXRが発現する臓器で生じる。
【0117】
一実施形態では、胆汁鬱滞性状態は、アルカリホスファターゼ、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、および/または5’ヌクレオチダーゼの異常に上昇した血清レベルを有すると定義される。別の実施形態では、胆汁鬱滞性状態は、少なくとも1つの臨床症状を呈するとしてさらに定義される。一実施形態では、症状は、痒み(掻痒)である。別の実施形態では、胆汁鬱滞性状態は、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、薬物誘発性胆汁鬱滞、遺伝性胆汁鬱滞、胆道閉鎖症、および妊娠性肝内胆汁鬱滞症からなる群から選択される。
【0118】
本発明は、血液中などの脂質レベル(即ち、脂質の量)を低減させるための方法であって、本発明の医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法も提供する。一実施形態では、本発明の方法は、対照対象(例えば、本発明の組成物が投与されていない対象)と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%、脂質レベルを低減させる。一実施形態では、対象は、健康な対象(例えば、本明細書に記述されるものなどの疾患も状態もない個体)と比較して高レベルの脂質を有する。一実施形態では、本出願の方法は、脂質のレベルを正常なレベル(例えば、本明細書に記述されるものなどの疾患も状態もない個体の脂質レベルと同様)に低減させる。
【0119】
一実施形態では、脂質はコレステロールである。一実施形態では、本発明の方法は、対照対象(例えば、本発明の組成物が投与されていない対象)と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%、コレステロールレベルを低減させる。一実施形態では、対象は、健康な対象(例えば、本明細書に記述されるものなどの疾患も状態もない個体)と比較して、高レベルのコレステロールを有する。一実施形態では、本発明の方法は、コレステロールレベルを400mg/L、350mg/L、300mg/L、250mg/L、240mg/L、230mg/L、220mg/L、210mg/L、200mg/L、190mg/L、180mg/L、170mg/L、160mg/L、または150mg/Lよりも低く低減させる。一実施形態では、本発明の方法は、コレステロールレベルを200mg/L、190mg/L、180mg/L、170mg/L、160mg/L、または150mg/Lよりも低く低減させる。
【0120】
一実施形態では、コレステロールはLDLである。一実施形態では、本発明の方法は、LDLレベルを、対照対象(例えば、本発明の組成物が投与されていない対象)と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低減させる。一実施形態では、対象は、健康な対象(例えば、本明細書に記述されるものなどの疾患も状態もない個体)と比較して高レベルのLDLを有する。一実施形態では、本発明の方法は、LDLレベルを300mg/L、200mg/L、190mg/L、180mg/L、170mg/L、160mg/L、150mg/L、140mg/L、130mg/L、120mg/L、110mg/L、100mg/L、90mg/L、80mg/L、70mg/L、60mg/L、または50mg/Lよりも低く低減させる。一実施形態では、本発明の方法は、LDLレベルを160mg/L、150mg/L、140mg/L、130mg/L、120mg/L、110mg/L、100mg/L、90mg/L、80mg/L、70mg/L、60mg/L、または50mg/Lよりも低く低減させる。一実施形態では、本発明の方法は、LDLレベルを130mg/L、120mg/L、110mg/L、100mg/L、90mg/L、80mg/L、70mg/L、60mg/L、または50mg/Lよりも低く低減させる。一実施形態では、本発明の方法は、LDLレベルを100mg/L、90mg/L、80mg/L、70mg/L、60mg/L、または50mg/Lよりも低く低減させる。一実施形態では、本発明の方法は、LDLレベルを70mg/L、60mg/L、または50mg/Lよりも低く低減させる。
【0121】
一実施形態では、脂質はトリグリセリドである。一実施形態では、本発明の方法は、対照対象(例えば、本発明の組成物が投与されていない対象)と比較してトリグリセリドレベルを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低減させる。一実施形態では、対象は、健康な対象(例えば、本明細書に記述されるものなどの疾患も状態もない個体)と比較して高レベルのトリグリセリドを有する。一実施形態では、本発明の方法は、トリグリセリドレベルを800mg/L、700mg/L、600mg/L、500mg/L、400mg/L、300mg/L、200mg/L、190mg/L、180mg/L、170mg/L、160mg/L、150mg/L、140mg/L、130mg/L、120mg/L、110mg/L、または100mg/Lよりも低く低減させる。一実施形態では、本発明の方法は、トリグリセリドレベルを200mg/L、190mg/L、180mg/L、170mg/L、160mg/L、150mg/L、140mg/L、130mg/L、120mg/L、110mg/L、または100mg/Lよりも低く低減させる。一実施形態では、本発明の方法は、トリグリセリドレベルを150mg/L、140mg/L、130mg/L、120mg/L、110mg/L、または100mg/Lよりも低く低減させる。
【0122】
本発明は、ビリルビンおよび/または1種もしくは複数の肝酵素の量を低減させるための方法であって、本発明の医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法も提供する。
【0123】
一実施形態では、本出願の方法は、ビリルビンの量を、対照対象(例えば、本発明の組成物が投与されていない対象)と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低減させる。一実施形態では、対象は、健康な対象(例えば、本明細書に記述されるものなどの疾患も状態もない個体)と比較して高レベルのビリルビンを有する。一実施形態では、本出願の方法は、ビリルビンのレベルを正常なレベル(例えば、本明細書に記述されるものなどの疾患も状態もない個体におけるビリルビンのレベルと同様)に低減させる。さらなる実施形態では、本出願の方法は、ビリルビンのレベルを10mg/L、9mg/L、8mg/L、7mg/L、6mg/L、5mg/L、4mg/L、3mg/L、2mg/L、1.5mg/L、1.2mg/L、または1mg/Lよりも低く低減させる。さらなる実施形態では、本出願の方法は、ビリルビンのレベルを2mg/L、1.5mg/L、1.2mg/L、または1mg/Lよりも低く低減させる。
【0124】
一実施形態では、肝酵素は、アルカリホスファターゼ(ALP、AP、またはAlk Phos)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、および5’ヌクレオチダーゼからなる群から選択される。一実施形態では、本出願の方法は、1種または複数の肝酵素の量を、対照対象(例えば、本発明の組成物が投与されていない対象)と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低減させる。一実施形態では、対象は、健康な対象(例えば、本明細書に記述されるものなどの疾患も状態もない個体)と比較して、高レベルの1種または複数の肝酵素を有する。一実施形態では、本出願の方法は、1種または複数の肝酵素(例えば、ALP、ALT、AST、GGT、LDH、および5’ヌクレオチダーゼ)のレベルを、正常なレベル(例えば、本明細書に記述されるものなどの疾患も状態もない個体における肝酵素のレベルと同様)に低減させる。
【0125】
さらなる実施形態では、本出願の方法は、ALPのレベルを500 IU/L(1リットル当たりの国際単位)、400 IU/L、300 IU/L、200 IU/L、180 IU/L、160 IU/L、または150 IU/Lよりも低く低減させる。さらなる実施形態では、本出願の方法は、ALPのレベルを約40 IU/Lから約150 IU/Lに低減させる。
【0126】
さらなる実施形態では、本出願の方法は、ALTのレベルを200 IU/L(1リットル当たりの国際単位)、150 IU/L、100 IU/L、80 IU/L、60 IU/L、または50 IU/Lよりも低く低減させる。さらなる実施形態では、本出願の方法は、ALTのレベルを約5 IU/Lから約50 IU/Lに低減させる。
【0127】
さらなる実施形態では、本出願の方法は、ASTのレベルを200 IU/L(1リットル当たりの国際単位)、150 IU/L、100 IU/L、80 IU/L、60 IU/L、50 IU/L、または40 IU/Lよりも低く低減させる。さらなる実施形態では、本出願の方法は、ASTのレベルを約10 IU/Lから約50 IU/Lに低減させる。
【0128】
さらなる実施形態では、本出願の方法は、GGTのレベルを200 IU/L(1リットル当たりの国際単位)、150 IU/L、100 IU/L、90 IU/L、80 IU/L、70 IU/L、または60 IU/Lよりも低く低減させる。さらなる実施形態では、本出願の方法は、GGTのレベルを約15 IU/Lから約50 IU/Lにまたは約5 IU/Lから約30 IU/Lに低減させる。
【0129】
さらなる実施形態では、本出願の方法は、LDHのレベルを500 IU/L(1リットル当たりの国際単位)、400 IU/L、300 IU/L、200 IU/L、180 IU/L、160 IU/L、150 IU/L、140 IU/L、または130 IU/Lよりも低く低減させる。さらなる実施形態では、本出願の方法は、LDHのレベルを約120 IU/Lから約220 IU/Lに低減させる。
【0130】
さらなる実施形態では、本出願の方法は、5’ヌクレオチダーゼのレベルを50 IU/L(1リットル当たりの国際単位)、40 IU/L、30 IU/L、20 IU/L、18 IU/L、17 IU/L、16 IU/L、15 IU/L、14 IU/L、13 IU/L、12 IU/L、11 IU/L、10 IU/L、9 IU/L、8 IU/L、7 IU/L、6 IU/L、または5 IU/Lよりも低く低減させる。さらなる実施形態では、本出願の方法は、5’ヌクレオチダーゼのレベルを約2 IU/Lから約15 IU/Lに低減させる。
【0131】
一実施形態では、本発明の方法は、有効量のFXRアゴニストを、少なくとも1種のフィブラート、および必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体と組み合わせて、それを必要とする対象に投与するステップを含む。さらなる実施形態では、方法は、有効量の式Aの化合物または化合物1、2、もしくは3(3および3bを含む)、あるいはその薬学的に許容される塩またはアミノ酸抱合体、フィブラート、および必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0132】
一実施形態では、本発明の方法は、有効量のFXRアゴニストを、少なくとも1種のフィブラート、および必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体と組み合わせて、それを必要とする対象に投与するステップを含む。さらなる実施形態では、方法は、有効量の式Aの化合物または化合物1、2、もしくは3(3および3bを含む)、あるいはその薬学的に許容される塩またはアミノ酸抱合体を、少なくとも1種のフィブラートおよび必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体と組み合わせて、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0133】
一実施形態では、対象は哺乳動物である。一実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0134】
さらなる実施形態では、式Aの化合物およびフィブラートは、双方向の組合せで、即ち式Aの化合物およびフィブラート以外のいかなる治療剤もなしに、投与される。式Aの化合物およびフィブラートのそのような組合せは、コンプライアンスを増大させるように、したがって有効度を増大させるように設計された、薬学的に許容される担体を含む単一の医薬組成物で(単一カプセル形態などで)提供されることが、特に有利であり得る。一実施形態では、本開示はさらに、有効量の式Aの化合物および有効量の少なくとも1種のフィブラートを、1種または複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント、または賦形剤と一緒に含む、医薬組成物を提供する。
【0135】
本発明の方法において、活性物質は、単一の日用量で、または1日当たり2、3、4回、もしくはそれよりも多くの同一のもしくは異なる分割用量で投与されてもよく、その日のうちに同時にまたは種々の時間に投与されてもよい。
【0136】
一実施形態では、式Aの化合物およびフィブラート(複数可)は、併せて投与される。例えば、式Aの化合物およびフィブラート(複数可)は、薬学的に許容される担体を含む単一の医薬組成物中で一緒に投与される。別の実施形態では、式Aの化合物およびフィブラート(複数可)は、逐次投与される。例えば、式Aの化合物は、フィブラート(複数可)の前にまたは後に投与される。
【0137】
一実施形態では、本発明の組合せの活性物質は、例えば、2つの別々の剤形としてまたは単一の組み合わされた剤形で、同時に投与される。
【0138】
一実施形態では、式Aの化合物は、第1の用量で第1の期間にわたり投与され、その後、式Aの化合物は第2の用量で第2の期間にわたり投与される。一実施形態では、式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体は、0.1~1500mg、0.2~1200mg、0.3~1000mg、0.4~800mg、0.5~600mg、0.6~500mg、0.7~400mg、0.8~300mg、1~200mg、1~100mg、1~50mg、1~30mg、4~26mg、または5~25mgの1日総量で、第1の期間にわたり投与され、その後、式Aの化合物は、0.1~1500mg、0.2~1200mg、0.3~1000mg、0.4~800mg、0.5~600mg、0.6~500mg、0.7~400mg、0.8~300mg、1~200mg、1~100mg、1~50mg、1~30mg、4~26mg、または5~25mgの1日総量で投与される。一実施形態では、総量は、1日1回、経口投与される。一実施形態では、第1の用量は、第2の用量とは異なる。さらなる実施形態では、第1の用量は、第2の用量よりも低い。別の実施形態では、第1の用量は、第2の用量よりも高い。一実施形態では、第1の用量は約5mg(例えば、4.8mgから5.2mg)であり、第2の用量は約10mg(例えば、9.8mgから10.2mg)である。一実施形態では、第1の期間は約6カ月である。一実施形態では、第2の期間は約6カ月である。
【0139】
一実施形態では、医薬組成物は、経口、非経口、または局所的に投与される。別の実施形態では、医薬組成物は、経口投与される。
【0140】
本発明による組成物は、典型的には、それぞれの所望の日用量を、錠剤もしくはカプセルなどの単一の単位剤形で、または1日のうちに同時にもしくは間隔を空けて投与される2つもしくはそれよりも多くの単位剤形で、それを必要とする対象に投与することが可能になるよう十分な、式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体、およびフィブラート(複数可)を含有する。
【0141】
一態様では、式Aの化合物(例えば、OCA)およびフィブラート(複数可)(例えば、ベザフィブラート)の双方向の組合せは、UDCAの代わりに、疾患または状態の処置または予防のために、UDCA(単独でまたは別の活性剤と組み合わせて使用される)に対して不十分な治療応答を有する対象に投与される。
【0142】
一態様では、式Aの化合物およびフィブラート(複数可)は、それぞれの単独治療でそれらが投与される投薬量と実質的に同じ投薬量で投与される。一態様では、式Aの化合物は、その単独治療の投薬量未満(例えば、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満)である投薬量で投与される。一態様では、フィブラート(複数可)は、その単独治療の投薬量未満(例えば、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満)である投薬量で投与される。一態様では、式Aの化合物およびフィブラート(複数可)は共に、そのそれぞれの単独治療の投薬量未満(例えば、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満)の投薬量で投与される。
【0143】
本発明の医薬組成物は、経口投与のための任意の都合の良い形態、例えば錠剤、カプセル剤、粉剤・散剤(powder)、ロゼンジ剤、丸薬、トローチ剤、エリキシル剤、凍結乾燥した粉剤・散剤、液剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、またはチンキ剤の形態をとってもよい。徐放性、調節放出、または遅延放出形態は、例えば被覆粒子、多層錠剤、カプセル内のカプセル、カプセル内の錠剤、または微小顆粒の形態で調製されてもよい。
【0144】
経口投与用の固体形態は、薬学的に許容される結合剤、甘味料、崩壊剤、希釈剤、着香剤、コーティング剤、保存剤、滑沢剤、および/または時間遅延剤を含有していてもよい。適切な結合剤には、アカシアガム、ゼラチン、トウモロコシデンプン、トラガカントガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、またはポリエチレングリコールが含まれる。適切な甘味料には、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテーム、またはサッカリンが含まれる。適切な崩壊剤には、トウモロコシデンプン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸または寒天が含まれる。適切な希釈剤には、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、カオリン、セルロース、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、またはリン酸二カルシウムが含まれる。適切な着香剤には、ペパーミント油、ウィンターグリーン、チェリー、オレンジ、またはラズベリー香料の油が含まれる。適切なコーティング剤には、ポリマーまたはコポリマー、あるいはアクリル酸および/もしくはメタクリル酸ならびに/またはそれらのエステル、蝋、脂肪アルコール、ゼイン、シェラック、あるいはグルテンが含まれる。適切な保存剤には、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、アルファ-トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、または亜硫酸水素ナトリウムが含まれる。適切な滑沢剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、またはタルクが含まれる。適切な時間遅延剤には、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが含まれる。
【0145】
経口投与用の液体形態は、上記の剤に加え、液体担体を含有していてもよい。適切な液体担体には、水、油、例えばオリーブ油、ピーナツ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、落花生油、ヤシ油、流動パラフィン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、脂肪アルコール、トリグリセリド、またはこれらの混合物が含まれる。
【0146】
経口投与用の懸濁剤はさらに、分散剤および/または懸濁化剤を含んでいてもよい。適切な懸濁化剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、またはセチルアルコールが含まれる。適切な分散剤には、レシチン、ステアリン酸などの脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンソルビトールモノ-またはジ-オレエート、-ステアレート、または-ラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノ-またはジ-オレエート、-ステアレート、または-ラウレートなどが含まれる。
【0147】
経口投与用の乳剤はさらに、1種または複数の乳化剤を含んでいてもよい。適切な乳化剤には、上記にて具体化されたような分散剤、またはアカシアガムもしくはトラガカントガムなどの天然ガムが含まれる。
【0148】
本発明の医薬組成物は、FXRアゴニスト(例えば、式Aの化合物またはOCAまたはその薬学的に許容される塩またはそのアミノ酸抱合体)および少なくとも1種のフィブラートを、選択された賦形剤(複数可)、担体(複数可)、アジュバント(複数可)、および/または希釈剤(複数可)と一緒に、ブレンドし、粉砕し、均質化し、懸濁し、溶解し、乳化し、分散し、および/または混合することによって調製されてもよい。
【0149】
一部の実施形態では、フィブラート(複数可)は、即放性錠剤または徐放性錠剤のいずれかで提供される。実施形態の1つでは、フィブラート(複数可)は、徐放性錠剤で提供される。実施形態の1つでは、長期間作用するのに、錠剤が徐放性フォーマットをとることが好ましい。
【0150】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を含有するカプセル内にフィブラート(複数可)を含有する、カプセル剤を含む。この形態において、フィブラート(複数可)は、即放性形態で提示することができる。別の投与形態は、徐放性形態でフィブラート(複数可)を含有する組成物を提供することである。
【0151】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を、0.1~1500mg、0.2~1200mg、0.3~1000mg、0.4~800mg、0.5~600mg、0.6~500mg、0.7~400mg、0.8~300mg、1~200mg、1~100mg、1~50mg、1~30mg、4~26mg、または5~25mgの1日総量で含む剤形である。一実施形態では、総量は、1日1回、経口投与される。
【0152】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、フィブラートを、10~1000mg、20~800mg、50~500mg、80~400mg、または100~300mg、より典型的には約200mgの1日総量で含む、剤形である。一実施形態では、総量は、1日1回、経口投与される。
【0153】
実施形態では、本発明の組成物は、式Aの化合物(例えば、OCAまたは化合物1)を0.1~1500mg、0.2~1200mg、0.3~1000mg、0.4~800mg、0.5~600mg、0.6~500mg、0.7~400mg、0.8~300mg、1~200mg、1~100mg、1~50mg、1~30mg、4~26mg、または5~25mgの量で含有するカプセル内に含有された、10~1000mg、20~800mg、50~500mg、80~400mg、または100~300mg、より典型的には約200mgの量でフィブラート(例えば、ベザフィブラート)を含む、剤形である。一部の実施形態では、ベザフィブラートは、約200mg、約150mg、約125mg、約100mg、約75mg、約50mg、約25mg、約20mg、約15mg、約10mg、または約5mgの量にある。
【0154】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、0.1~1500mg、0.2~1200mg、0.3~1000mg、0.4~800mg、0.5~600mg、0.6~500mg、0.7~400mg、0.8~300mg、1~200mg、1~100mg、1~50mg、1~30mg、4~26mg、または5~25mgの量で式Aの化合物(例えば、OCA)を含有するカプセル内に含有された、10~1000mg、20~800mg、50~500mg、80~400mg、または100~300mg、より典型的には約200mgの量でベザフィブラートの徐放性形態を含む、剤形である。
【0155】
一実施形態では、本発明の医薬組成物(式Aの化合物(例えば、OCA)とフィブラート(例えば、BZF)との医薬の組合せ)は、患者が一生使用することができ、生存期間が延び、肝臓移植を遅らせる。高脂血症および肝酵素の低減は、関連ある血管疾患の発症の低減を確実にする。単純化された投薬により、本発明の併用治療は、患者の体重および臨床応答に応じて用量を調節する(増加または減少させる)際に使用することができる。一態様では、併用治療は、低減した副作用プロファイルを提供する。
【0156】
式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体およびフィブラートを含む、本発明の組成物は、その内部に2種の活性物質を含有する単一カプセルとして提供することができる。
【0157】
本明細書に開示される式Aの化合物は、従来の方法によって(例えば、米国公開第2009/0062526号;米国特許第7,138,390号;WO 2006/122977;WO 2013/192097;米国特許第7,932,244号;WO 2014/066819;WO 2014/184271;およびWO 2017/062763に開示されるように)調製することができる。
定義
【0158】
便宜上、本明細書、実施例、および添付される特許請求の範囲で使用される、ある特定の用語を、ここにまとめる。
【0159】
本明細書で使用される場合、「フィブラート」という用語は、本明細書に記述される方法で有用な、フィブリン酸誘導体と2-フェノキシ-2-メチルプロパン酸の薬学的に活性な誘導体の、いずれかを意味する。フィブラートの例には、限定するものではないが、フェノフィブラート、ベザフィブラート、ベクロブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリン酸、エトフィブラート、ゲムフィブロジル、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シムフィブラート、テオフィブラート、トコフィブラート、プラフィブリドなどが含まれる。フィブラートの例は、参照によりそのそれぞれの開示全体がこれにより本明細書に組み込まれる米国特許第3,781,328号、第3,948,973号、第3,869,477号、第3,716,583号、第3,262,580号、第3,723,446号、第4,058,552号、第3,674,836号、第3,369,025号、第3,984,413号、第3,971,798号、第6,384,062号、第7,119,198号、および第7,259,186号;米国公開第20090131395号;WO2008/039829;ベルギー特許第884722号;英国特許第860303号;および欧州特許出願公開番号EP0607536にも記述されている。
【0160】
ベザフィブラート(BZF)、パンペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)[α、δ、γ]アゴニストは、当初、高脂血症の処置用に開発され、心血管疾患の予防のために使用された。BZFは、心血管疾患を持つおよび持たない個体における血清肝胆道酵素活性も減少させ、したがって、UDCAに対する不十分な応答のPBCの処置のための、潜在的な抗胆汁鬱滞剤として同定された。
【0161】
OCAは、UDCAに対する応答を示さないまたは部分的な応答を示したPBCの患者のALPにおいて有意な低減をもたらすことが示された選択的FXRアゴニストである。したがってOCAは、UDCAに対して不十分な応答がありまたはUDCAに対して不耐容である患者の場合、UDCAと組み合わせてPBCを持つ患者に対して、条件付きで承認されてきた。
【0162】
いかなる理論にも拘泥するものではないが、本出願は、以前のPBC治療およびOCA単独による処置と比較して、改善された有効性および耐容性をもたらすOCAおよびBZFの併用に関する。
【0163】
本明細書で使用される場合、「FXRアゴニスト」という用語は、FXRを活性化する任意の化合物を指す。一態様では、FXRアゴニストは、WO 2000/037077に記述されるアッセイ方法での適切な陽性対照である、CDCAに対して、FXRの少なくとも50%の活性化を実現する。別の態様では、FXRアゴニストは、WO 2000/037077に記述されるシンチレーション近接アッセイまたはHTRFアッセイにおいて、FXRの100%の活性化を実現する。FXRアゴニストの例には、限定するものではないがU.S.7,138,390;7,932,244;20120283234;20120232116;20120053163;20110105475;20100210660;20100184809;20100172870;20100152166;20100069367;20100063018;20100022498;20090270460;20090215748;20090163474;20090093524;20080300235;20080299118;20080182832;20080039435;20070142340;20060069070;20050080064;20040176426;20030130296;20030109467;20030003520;20020132223;および20020120137に記述されるものが含まれる。
【0164】
本明細書で使用される場合、「オベチコール酸」または「OCA」という用語は、化学構造:
【化10】
を有する化合物を指す。
【0165】
ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストであり、1次ヒト胆汁酸ケノデオキシコール酸(CDCA)由来の修飾胆汁酸である、オベチコール酸(OCA)が、PBCの処置のために、かつUDCAに対して不十分な応答を有しまたはUDCAの不十分な耐容性を有する患者に安全で有効な新規な処置の選択肢を与えるために、開発された(Pellicciari 2002)。
【0166】
オベチコール酸は、3α,7α-ジヒドロキシ-6α-エチル-5β-コラン-24-オイック酸、6α-エチル-ケノデオキシコール酸、6-エチル-CDCA、6ECDCA、コラン-24-オイック酸、6-エチル-3,7-ジヒドロキシ-(3α,5β,6α,7α)とも呼ばれ、米国公開第2009/0062526 A1号、米国特許第7,138,390号、およびWO2006/122977に記述される方法によって調製することができる。オベチコール酸に関するCAS登録番号は、459789-99-2である。
【0167】
「化合物」という用語は、式Aの化合物または化合物1、2、もしくは3(3aおよび3bを含む)、あるいはその薬学的に許容される塩またはアミノ酸抱合体を意味する。その用語が本発明の文脈で使用される場合はいつでも、その状況下で可能および/または適切であることを前提として、遊離形態、同位体標識された化合物、結晶質化合物、非結晶質化合物、またはその対応する薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体を指していることを理解されたい。
【0168】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸抱合体」という用語は、任意の適切なアミノ酸との本発明の化合物(例えば、式Aの化合物)の抱合体を指す。例えば、式Aの化合物のそのような適切なアミノ酸抱合体は、胆汁または腸液において完全性が増強するという追加の利点を有する。適切なアミノ酸には、限定するものではないがグリシン、タウリン、およびサルコシンが含まれる。したがって本発明は、式Aの化合物(例えば、化合物1)のグリシン、タウリン、およびサルコシン抱合体を包含する。
【0169】
「処置する(treating)」は、状態、疾患、障害などの改善をもたらす任意の効果、例えば、少なくし、低減させ、変調させ、またはなくすことを含む。疾患状態を「処置する(treating)」または「処置(treatment)」は、既存の疾患状態を阻害すること、即ち、疾患状態もしくはその臨床症状の発症を停止させること、または疾患状態を緩和すること、即ち、疾患状態もしくはその臨床症状の一時的なもしくは永続的な後退を引き起こすことを含む。
【0170】
疾患状態を「予防する」は、疾患状態に曝され得るまたは罹患し易くなり得るがそれでも疾患状態の症状を経験せずまたは示さない対象において、疾患状態の臨床症状を発症させないことを含む。
【0171】
本明細書で使用される「阻害する(inhibiting)」または「阻害(inhibition)」という用語は、疾患または状態の進行に対する任意の検出可能な正の効果を指す。そのような正の効果は、疾患または状態の少なくとも1つの症状または徴候の進行の遅延、症状(複数可)または徴候(複数可)の軽減または逆転、および症状(複数可)または徴候(複数可)のさらなる悪化を遅くすることを、含んでいてもよい。
【0172】
「疾患状態」は、任意の疾患、障害、状態、症状、または兆候を意味する。
【0173】
本明細書で使用される「有効量」または「治療有効量」という用語は、単独でまたは併用での適切な用量投与後に急性または慢性的な治療効果をもたらす、FXR活性化リガンド(例えば、式Aの化合物)またはフィブラートの量を指す。一実施形態では、FXR活性化リガンドの有効量または治療有効量は、少なくとも1種のフィブラートと併用した適切な用量投与後に、急性または慢性的な治療効果をもたらす。この効果は、疾患/状態(例えば、肝臓、腎臓、または腸の線維症)および関連する合併症の症状、徴候、および基礎病理の、任意の検出可能な程度までの予防、補正、阻害、または逆転を含む。「有効量」または「治療有効量」は、FXRアゴニスト、フィブラート、疾患およびその重症度、ならびに処置がなされる対象の年齢、体重などに応じて様々である。
【0174】
式Aの化合物の治療有効量は、ヒトまたは非ヒト動物への投与のために、1種または複数のフィブラート、および必要に応じて1種または複数の薬学的に許容される担体と、一緒に配合することができる。したがって本発明の医薬組成物は、式Aの化合物およびフィブラート(複数可)の有効量を提供するのに、例えば経口、非経口、または局所経路を介して投与することができる。代替の実施形態では、本発明の組成物は、医療デバイス、例えばステントをコーティングしまたは含浸させるのに使用することができる。
【0175】
本明細書で使用される「薬理学的効果」は、治療の意図される目的を達成する、対象においてもたらされた効果を包含する。一実施形態では、薬理学的効果は、処置される対象の主要な兆候が、予防され、軽減され、または低減されることを意味する。例えば、薬理学的効果は、処置された対象において主要な兆候の予防、軽減、または低減をもたらすものということになる。別の実施形態では、薬理学的効果は、処置される対象の主要な兆候の障害または症状が、予防され、軽減され、または低減されることを意味する。例えば、薬理学的効果は、処置された対象において障害または症状の、予防、軽減、または低減をもたらすものということになる。
【0176】
不斉炭素原子から生じる異性体(例えば、全てのエナンチオマーおよびジアステレオマー)は、他に指示されない限り本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。そのような異性体は、古典的な分離技法によっておよび立体化学的に制御された合成によって、実質的に純粋な形態で得ることができる。
【0177】
「医薬組成物」は、対象への投与に適した形態で、式Aの化合物およびフィブラートなどの治療剤を含有する製剤である。一実施形態では、医薬組成物は、バルクまたは単位剤形にある。投与を容易にするためにおよび投薬量の均一性のために、組成物を投薬単位形態に製剤化することが有利であり得る。本明細書で使用される場合の投薬単位形態は、処置がなされる対象のための単位投薬量として適切な、物理的に別個の単位を指し;各単位は、必要とされる医薬担体に関連して所望の治療効果をもたらすように計算された、所定量の活性試薬(active reagent)を含有する。本発明の投薬単位形態に関する仕様は、活性剤の独自の特性、および実現される特定の治療効果、およびそのような活性剤を個体の処置のために調合する分野における制限によって決定され、直接依存する。
【0178】
「単位剤形」という用語は、ヒトおよび他の哺乳動物用の単位投薬量として適切な、物理的に別個の単位を指し、各単位は、本明細書で記述される適切な医薬賦形剤と関連して、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性材料を含有する。
【0179】
単位剤形は、例えばカプセル、IVバッグ、錠剤、エアロゾル吸入器の単一ポンプ、またはバイアルを含む、様々な形態のいずれかである。組成物の単位用量における式Aの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはアミノ酸抱合体の量は、有効量であり、関係する特定の処置および/または処置に使用されるフィブラート(複数可)に応じて様々である。当業者なら、患者の年齢および状態に応じて投薬量を定期的に変えることが時々必要であることが理解されよう。投薬量は、投与経路にも依存する。経口、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、吸入、頬側、舌下、胸腔内、くも膜下腔内、鼻内などを含む、様々な経路が企図される。本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤形は、粉剤・散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤、および吸入剤を含む。一実施形態では、式Aの化合物および/またはフィブラートは、薬学的に許容される担体、および必要とされる任意の保存剤、緩衝剤、または推進剤と、滅菌条件下で混合される。
【0180】
「フラッシュ用量」という用語は、急速に分散する剤形である製剤を指す。
【0181】
「即放性」という用語は、一般に最長約60分である比較的短い期間での、剤形からの治療剤(式Aの化合物またはフィブラートなど)の放出と定義される。「調節放出」という用語は、遅延放出、延長放出、およびパルス放出を含むと定義される。「パルス放出」という用語は、剤形からの薬物の一連の放出と定義される。「徐放性」または「延長放出」という用語は、長期間にわたる剤形からの治療剤の連続放出と定義される。
【0182】
「対象」は、哺乳動物、例えばヒト、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ、トリなど)、農場動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、家禽など)、および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、トリなど)を含む。一実施形態では、対象はヒトである。一態様では、対象はメスである。一態様では、対象はオスである。
【0183】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という句は、正しい医療判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合った、過度な毒性、刺激、アレルギー応答、や他の問題も合併症もなしに人間および動物の組織に接触させて使用するのに適した化合物、材料、組成物、担体、および/または剤形を指す。
【0184】
「薬学的に許容される担体または賦形剤」は、一般に安全な、無毒性の、および生物学的にもその他の観点からも望ましくないものではなく、かつ獣医学的使用および/またはヒト用医薬の使用に許容される任意の賦形剤を含む、医薬組成物を調製するのに有用な、担体または賦形剤を意味する。本明細書で使用される「薬学的に許容される賦形剤」は、1種および複数のそのような賦形剤の両方を含む。
【0185】
式Aの化合物は、薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬製剤の形態で投与されてもよい。この製剤は、経口、頬側、直腸、鼻内、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、および鼻内を含む様々な経路によって投与することができる。
【0186】
式Aの化合物は、広い投薬量範囲にわたり投与されてもよい。例えば、1日当たりの投薬量は、通常、約0.0001から約30mg/kg体重の範囲内に包含される。成人の処置では、単回または分割用量での約0.1から約15mg/kg/日の範囲が使用されてもよい。一実施形態では、製剤は、約0.1mgから約1500mgの式Aの化合物を含む。別の実施形態では、製剤は、約1mgから約100mgの式Aの化合物を含む。別の実施形態では、製剤は、約1mgから約50mgの式Aの化合物を含む。別の実施形態では、製剤は、約1mgから約30mgの式Aの化合物を含む。別の実施形態では、製剤は、約4mgから約26mgの式Aの化合物を含む。別の実施形態では、製剤は、約5mgから約25mgの式Aの化合物を含む。しかしながら、実際に投与される式Aの化合物(例えば、OCA)の量は、処置がなされる状態、選択された投与経路、投与される式Aの化合物の形態、投与されるフィブラート、個々の患者の年齢、体重、および応答、ならびに患者の症状の重症度を含めた関連ある状況に照らして、医師が決定することができる。したがって本発明は、上述の投薬量範囲に限定されない。ある場合には、前述の範囲の下限よりも低い投薬量レベルが十分過ぎる可能性があり、一方、他の場合には、さらにより大きい用量が、1日を通して投与するためにいくつかのより小さい用量に最初に分割されることを前提として、そのような大きい用量がいかなる有害な副作用もなしに用いられる可能性がある。
【0187】
「線維症」は、組織または臓器における過剰な線維状結合組織、例えば瘢痕組織の発症に関わる状態を指す。そのような瘢痕組織の発生は、疾患、外傷、化学的毒性などに起因する臓器の感染、炎症、または損傷に応答して生じ得る。線維症は、肝臓、腎臓、腸、肺、心臓などを含む、様々な種々の組織および臓器で発症し得る。
【0188】
本明細書で使用される「胆汁鬱滞性状態」は、肝臓からの胆汁分泌が損なわれまたは遮断される任意の疾患または状態を指し、これは肝臓または胆管のいずれかで生じ得る。肝内胆汁鬱滞症および肝外胆汁鬱滞症は、胆汁鬱滞性状態の2つのタイプである。肝内胆汁鬱滞症(肝臓の内部で生じる)は、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、敗血症(全身感染)、急性アルコール性肝炎、薬物毒性、完全非経口栄養(静脈内から供給される)、悪性腫瘍、嚢胞性線維症、胆道閉鎖症、および妊娠において、最も一般的に見られる。肝外胆汁鬱滞症(肝臓の外部で生じる)は、胆管腫瘍、狭窄、嚢胞、憩室、総胆管内での結石形成、膵炎、膵臓腫瘍、または仮性嚢胞、および近傍臓器での腫瘤または腫瘍に起因した圧迫によって引き起こされ得る。
【0189】
胆汁鬱滞性状態の臨床症状および徴候は、痒み(掻痒)、疲労、黄疸になった皮膚または眼、ある特定の食物を消化できないこと、吐き気、嘔吐、白色便、暗色尿、および右上腹部痛を含む。胆汁鬱滞性状態を持つ患者は、患者の血清中のアルカリホスファターゼ、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、5’ヌクレオチダーゼ、ビリルビン、胆汁酸、およびコレステロールのレベルの測定を含めたひと組の標準的な臨床検査に基づいて、臨床的に診断し経過観察することができる。一般に患者は、診断マーカー:アルカリホスファターゼ、GGT、および5’ヌクレオチダーゼの3つ全ての血清レベルが異常に高いと見なされた場合、胆汁鬱滞性状態を有すると診断される。これらのマーカーの正常な血清レベルは、試験プロトコールに応じて、検査室ごとにおよび手順ごとに、ある程度まで変動し得る。したがって医師は、特定の検査所見および試験手順に基づいて、マーカーのそれぞれに関して、異常に上昇した血中レベルが何であるかを決定することができる。例えば、胆汁鬱滞性状態に罹患している患者は一般に、約125IU/Lよりも高いアルカリホスファターゼ、約65IU/Lよりも高いGGT、および約17NILよりも高い5’ヌクレオチダーゼを血中に有する。血清マーカーのレベルの変動性により、胆汁鬱滞性状態は、痒み(掻痒)などの上述の症状の少なくとも1つに加え、これら3つのマーカーの異常なレベルに基づいて診断され得る。
【0190】
掻痒は、有害事象(AE)であり、重症度(即ち、強度)にグレード分けされなければならない。掻痒は、主観的な症状でありかつその出現および大きさは客観的ツールにより容易に測定されないので、各患者におけるその重症度および管理を決定するのに臨床判断が適用される。処置による掻痒の潜在的改善を評価するために、ベースラインの掻痒の存在(イエス/ノー)および重症度が決定される。掻痒の重症度:1=軽度(軽いまたは局在化;局所介入が示される);2=中度(強いまたは広い;断続的;掻くことにより皮膚が変化する(例えば、浮腫、丘疹、擦り傷、苔癬化、滲出/か皮);経口介入が示される;手段的日常生活動作の制限);3=重度(強いまたは広い;持続的;自立的日常生活動作または睡眠の制限;経口コルチコステロイドまたは免疫抑制治療が示される)。本出願は、開示された組合せを投与することを含む、掻痒などの有害事象を低減させる方法にも関する。本出願は、式Aの化合物(例えば、OCA)およびフィブラート(例えば、BZF)の開示された組合せを投与するステップを含む、掻痒などのOCA単独治療によって誘発されまたは引き起こされた有害事象を軽減する方法にも関する。
【0191】
しばしばPBCと略される、以前は「原発性胆汁性肝硬変」と呼ばれた「原発性胆汁性胆管炎」という用語は、小葉内管(ヘリング管)が疾患の早期で罹患する、肝臓の小胆管の遅い進行性破壊を特徴とする肝臓の自己免疫疾患である。これらの管が損傷した場合、胆汁が肝臓内に蓄積され(胆汁鬱滞)、時間と共に組織を損傷する。これは瘢痕、線維症、および肝硬変をもたらし得る。原発性胆汁性肝硬変は、小葉間胆管破壊によって特徴付けられる。原発性胆汁性肝硬変の組織病理学的知見は:上皮内リンパ球によって特徴付けられる胆管の炎症と、管周囲類上皮肉芽腫とを含む。PBCの4つのステージがある。
ステージ1-門脈ステージ:正常なサイズの三管;門脈炎症、微小な胆管損傷。肉芽腫がこのステージでしばしば検出される。
ステージ2-門脈周囲ステージ:拡大した三管;門脈周囲線維症および/または炎症。典型的には、このステージは、小胆管の増殖の知見によって特徴付けられる。
ステージ3-中隔ステージ:能動および/または受動線維中隔。
ステージ4-胆汁性肝硬変:結節が存在する;ガーランド
【0192】
「原発性硬化性胆管炎」(PSC)という用語は、肝臓内(肝臓の内部)および肝臓外(肝臓の外部)の両方のレベルで胆管の炎症およびその後の閉塞を引き起こす、胆管の疾患である。炎症は、腸への胆汁の流れを妨げ、それが最終的には、肝臓の肝硬変、肝不全、および肝がんをもたらし得る。
【0193】
「臓器」という用語は、細胞および組織からなりかつ生体において一部の特定の機能を発揮する、分化した構造(心臓、肺、腎臓、肝臓などにおけるように)を指す。この用語は、動作において機能を発揮するまたは協働する、身体部分(例えば、眼、および視覚臓器を構成する関連構造)も包含する。「臓器」という用語はさらに、完全な構造(例えば、肝臓の葉部またはセクション)に発達することが潜在的に可能である、分化した細胞および組織の任意の部分的構造も包含する。
【0194】
本明細書で引用される全ての刊行物および特許文書は、そのような刊行物または文書のそれぞれが参照により本明細書に組み込まれることを特別におよび個々に示されるかのように、これにより参照により本明細書に組み込まれる。刊行物および特許文書の引用は、いずれかが関連ある従来技術であることを認めるものでも、その内容または日付に関していかなる許可も構成するものでもない。本発明について、文書としての記述を用いてここに記述されるが、当業者なら、本発明は様々な実施形態で実施することができかつ本明細書に提示される記述および実施例が例示の目的であって以下に続く特許請求の範囲を限定するものではないことが、理解されよう。
【0195】
本明細書において、単数形は、文脈が他に明示しない限り、複数形も含む。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合、本明細書が優先する。本明細書で使用される全てのパーセンテージおよび比は、他に指示しない限り、重量による。
【実施例】
【0196】
(実施例1)
PBCに対する、BZFと組み合わせたOCAの効果を決定する臨床試験
試験設計
【0197】
単独でまたはベザフィブラート(BZF)と組み合わせて投与されたオベチコール酸(OCA)の有効性、安全性、および耐容性を評価する、第2相二重盲検(DB)無作為化並行群間試験を、不十分な応答を有するまたはウルソデオキシコール酸(UDCA)に耐えることができない、原発性胆汁性胆管炎(PBC)を持つ対象において実施する。この試験は、OCA単独でのまたは2種の異なるBZF用量と組み合わせた場合の、PBCを持つおよそ54名の対象における、少なくとも12週間にわたる有効性、安全性、および耐容性を評価する。
【0198】
一次転帰尺度は、不十分な応答を有するまたはUDCAに耐えることができないPBCを持つ対象において、OCA単独と比較して、ALPに対するOCAおよびBZFの組合せの効果を評価することである。
【0199】
二次転帰は、不十分な応答を有するまたはUDCAに耐えることができないPBCを持つ対象において、OCA単独と比較して、下記:(1)安全性および耐容性、(2)生化学疾患マーカーの応答率および正規化率、(3)健康関連のクオリティーオブライフのアンケートにより評価した疾患特異的症状、ならびに(4)7αヒドロキシ4コレステン-3-オン(C4)および胆汁酸を含む、胆汁酸合成およびホメオスタシスのバイオマーカーに対する、OCAおよびBZFの組合せの効果を評価することである。
【0200】
追加の目的は、不十分な応答を有するまたはUDCAに耐えることができないPBCを持つ対象において、OCA単独と比較して、下記:(1)肝線維症の非侵襲性評価(一過性エラストグラフィ[TE]、ならびにコラーゲン形成および分解のマーカー[III型プロコラーゲン(Pro-C3)、V型プロコラーゲン(Pro-C5)、III型コラーゲン(C3M)、およびIV型コラーゲン(C4M)])、(2)推定された長期予後(GLOBEおよびUK-PBCスコア)、(3)安全性(終末期肝疾患のモデル[MELD]スコア、身体検査、心電図[ECG]、およびバイタルサイン)、(4)BZFならびにOCAとその抱合体、グリコ-OCAおよびタウロ-OCAのPK、ならびに(5)PK/薬力学(PD)およびPK/安全性の関係に対する、OCAおよびBZFの組合せの効果を評価することである。
組入れおよび除外基準
【0201】
主要な組入れ基準は、限定するものではないが、下記を含む:
(1)下記の3つの診断因子:(a)少なくとも6カ月間の高ALPレベルの履歴、(b)陽性抗ミトコンドリア抗体(AMA)力価、またはAMA陰性もしくは低力価(≦1:80)の場合、(c)PBC特異的抗体(抗GP210および/または抗SP100)、(d)主要なM2成分(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ-E2、2-オキソ-グルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体)に対する抗体、および(e)PBCに一致する肝生検結果(スクリーニング前の任意の時点で収集)の少なくとも2つの存在によって実証されるような、PBCの確定またはほぼ確実な診断(欧州肝臓学会議[EASL]診療指針および米国肝臓学会議に一致;[Lindor 2009a, EASL 2017])、
(2)下記の定性生化学値:(a)試験に登録された、ALP>1.5×ULN(最大で対象の25%が、ALP>1.5ULNおよび≦1.67ULNを有するものを含む)および/または(b)総ビリルビン>ULNであるが<2×ULNの、少なくとも1つ、
(3)年齢≧18歳、
(4)1日目の前に少なくとも12カ月にわたり(≧3カ月にわたり安定用量)UDCAを摂取していること、または1日目の前にUDCAに耐えることができないもしくは非応答であること(≧3カ月にわたりUDCAなし)、
(5)書面にしたインフォームドコンセントを提供しかつ試験プロトコールに準拠することに同意しなければならないこと。
【0202】
主要な除外基準は、限定するものではないが、下記を含む:
(1)下記:
・C型肝炎ウイルス(HCV)感染およびリボ核酸陽性
・活動性B型肝炎ウイルス(HBV)感染;しかしながら、セロコンバージョンした対象(B型肝炎表面抗原およびB型肝炎抗原陰性)は、医療モニターとの相談後にこの試験に含めてもよい
・原発性硬化性胆管炎
・アルコール性肝疾患
・確定自己免疫肝疾患またはオーバーラップ肝炎
・NASH
・ギルバート症候群(ビリルビンレベルの解釈可能性に起因する)
を含む、他の付随する肝疾患の履歴または存在
(2)下記:
・肝臓移植の履歴
・肝臓移植リストに現在載っているが、比較的早期の疾患ステージであるにもかかわらず移植リストに載っている対象(例えば、地域ガイドラインに従う)は、他の除外基準のいずれかを満たさない限り資格があると考えられる
・現在のCPグレードBまたはC(即ち、CPスコア>6)
・公知の胃または大食道静脈瘤、不十分に制御されたまたは利尿耐性腹水、静脈瘤出血または関連する治療的もしくは予防的介入の履歴(例えば、ベータ遮断剤、静脈瘤バンドの挿入または経頚静脈的肝内門脈大循短絡術[TIPS])、あるいは肝性脳症を含む、合併症を伴う門脈圧亢進
・特発性細菌性腹膜炎、肝細胞癌、またはビリルビン>2×ULNの履歴または存在を含む、合併症を伴う胆管炎
を含む、スクリーニング来院1および2での、PBCの臨床合併症または臨床的に有意な(CS)肝代償不全の存在、
(3)ALPの非肝性増大を引き起こし得る(例えば、パジェット病)または平均余命を<2年に減じる可能性のある、公知のがんを含む(in situでのまたは他の安定な、比較的良性の状態の癌を除く)、医学的状態、
(4)腸内での胆汁酸塩代謝を含む、薬物の吸収、分布、代謝、または排泄を妨げる、任意の他の疾患または状態の存在(例えば、炎症性腸疾患または胃バイパス手順[胃ラップバンドが許容される])
(5)胆石症および症状があるまたはない胆嚢疾患の現時点での存在または履歴、
(6)薬物誘発性ミオパチーの履歴、
(7)重度の腎不全(血清クレアチニン>1.5mg/100ml(>135μmol/L);クレアチニンクリアランス<60ml/分)または透析を受けていること、
(8)血小板カウント<100000/ml、スクリーニング来院1および2で、
(9)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の、既知の履歴、
(10)試験中、生存に影響を及ぼしそうな、臨床上懸念される心不整脈の履歴または存在、またはスクリーニング(前処置)QTもしくはQTc間隔>500ミリ秒、
(11)1日目から2カ月以内の、重度の掻痒または掻痒に必要とされる全身処置(例えば、胆汁酸捕捉剤またはリファンピシンによる)、
(12)OCA、BZF、もしくは他のフィブラートまたはそれらの成分のいずれかに対する公知のまたは疑われるCS過敏症の履歴、
(13)フィブラートに対する既知の光アレルギーまたは光毒性反応、
(14)女性の場合、妊娠がわかっていること、または陽性尿妊娠検査(陽性血清妊娠検査により確認)を有すること、または授乳期であること、
(15)十分制御されないまたは薬物治療ニーズが試験中に変化することが予測される、他のCS医学的状態(例えば、2型糖尿病、甲状腺機能低下症、腎炎症候群、異常タンパク血症、閉塞性肝疾患)、
(16)1日目より前の30日の下記の薬物治療による処置または試験中にこれらの薬物治療を使用するプラン:アザチオプリン、コルヒチン、シクロスポリン、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、ペントキシフィリン、スタチン、ブデソニドおよび他の全身性コルチコステロイド、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ならびに潜在的に肝毒性の薬物(α-メチル-ドーパ、バルプロ酸ナトリウム、イソニアジド、およびニトロフラントインを含む)、
(17)1日目より前の12カ月の下記の薬物治療による処置または試験中のこれらの薬物治療を使用するプラン:インターロイキンまたは他のサイトカインもしくはケモカインを対象とした抗体または免疫治療、
(18)スクリーニング前の30日以内での、別の治験薬、生物製剤、または医療デバイス試験への参加、
(19)フィブラートに対する既知の光アレルギーまたは光毒性反応、
(20)市販のOCAで既に処置されたもしくはスクリーニング前の6カ月以内にOCAに関わる先の試験に参加したこと、または、試験中に市販のOCAの使用を計画すること、
(21)BZFまたは他のフィブラートに耐えることができないこと、市販のフィブラートで処置されたもしくはスクリーニング前の3カ月以内にフィブラートに関わる先の試験に参加したこと、または、試験中に市販のフィブラートの使用を計画すること、
(22)1日目より前の1年以内に、アルコールまたは薬物乱用の履歴または進行中であること
(23)医療レジメンを順守しない履歴、または潜在的に信頼性がないと見なされること、
(24)1日目より前の30日以内に、血液または血漿を供血したこと、
(25)精神の不安定性または無力、したがってインフォームドコンセントの妥当性または試験を順守する能力は不確実であること、ならびに
(26)スクリーニングでのCK値>5×ULN、またはCSと見なされる任意の異常な臨床検査値。
転帰/エンドポイント
【0203】
主要エンドポイント(必要に応じて繰り返すことができる):ベースラインから、DB処置期間の12週目までの、ALPの絶対変化。このエンドポイントは、12週目に評価する。二次エンドポイント(必要に応じて繰り返すことができる):不十分な応答を有するまたはUDCAに耐えることができないPBCを持つ対象における、OCA単独と比較した、OCAおよびBZFの組合せの、下記:(a)安全性および耐容性、(b)生化学疾患マーカーの応答率および正規化率、(c)健康関連のクオリティーオブライフのアンケートにより評価した疾患特異的症状、ならびに(d)胆汁酸合成およびホメオスタシスのバイオマーカー、に対する作用。このエンドポイントは、試験の終わりに評価する。
スクリーニング期間
【0204】
対象を、試験に入る前の2から8週間の期間にわたりスクリーニングして、組入れ/除外基準の検証およびベースラインの確立を行うために反復血清化学試料の収集(少なくとも2週間の間隔をあける)を可能にする。
DB処置期間(少なくとも12週)
【0205】
エントリー要件を満たす対象を、1日目に1:1:1の比で無作為化して、OCAを単独で、および2つのBZF/プラセボレジメンのうちの1つと組み合わせて、標準ケアOCAタイトレーションと併せて与える:処置A:OCA 5mg→10mg QD、処置B:OCA 5mg→10mg QD+BZF 200mg IR QD、または処置C:OCA 5mg→10mg QD+BZF 400mg SR QD。全ての対象に、5mg用量のOCA QDを、1日目から、4週目の来院の前日まで投与し、その後、10mg用量のOCA QDを、4週目の来院から試験の終わりまでの全体を通して投与する。ALP正規化および耐容性の懸念に基づく用量調節は、記述されるように可能である。盲検試験を保存するため、BZFに関して外観が一致したプラセボ錠剤を、各処置群の対象に、1日目から12週目まで、ダイヤグラム1および
図1に示されるように投与する(EODB=DBの終わり。注記:登録時にUDCAを摂取する対象は、試験中、そのUDCAの安定用量のままであり、DB処置は、全ての対象がDB処置期間の12週目を終了するまで継続する)。
【表1】
【0206】
無作為化は、ベースラインの総ビリルビンレベルによって層別化される(≦0.7×または>0.7×ULN)。さらに、ベースラインでALP>1.5ULNであり≦1.67ULNである、試験に登録された対象の割合は、全試験集団の25%を超えない。
【0207】
1日目の来院後、その後のDB処置期間中のクリニックの来院は、ほぼ4、8、および12週目に、次いで12週ごとに行われ、有効性、安全性、耐容性、およびPKが評価される。対象に、2および6週目(±5日)に電話でもコンタクトをとって、あらゆるAEの出現、付随する薬物治療の変化、および/または開始されている新しい薬物治療、ならびに医学的/外科的手順を評価し、対象が指示された通りに投薬されることを検証する。利用可能な有効性および安全性のデータの評価は、DBおよびLTSEの両方のフェーズの間に行われ得る。
長期安全性延長(LTSE)期間(最長48週)
【0208】
全ての無作為化された対象は、最後の対象が12週のDB処置期間を終えるまで、DB処置を継続する。対象は、LTSEに入り、LTSEコンポーネントの残りのためにDBフェーズ中に割り付けられた当初の処置の割当てを継続する。LTSE期間中、用量は、DBフェーズ中に安全性および有効性の評価に基づいて最適化されてもよく、その場合、プロトコールは修正され、対象は、適切なインフォームドコンセントが得られた後にこの用量に移行する。安全性および検査室評価は、12週ごとに1回、48週目までのクリニックの来院で評価される。LTSEの試験設計ダイヤグラムを
図2に示す(EOS=試験の終わり/LTSE期間の終わり。注記:再度同意したときにUDCAを摂取する対象は、試験中、そのUDCAの安定用量のままである)。
試験の持続時間
【0209】
処置の全持続時間は、およそ72週であり、全ての対象がDB処置期間を終えるのに必要とされる時間によって決定され、これは合計で24週であり、その後、LTSE期間中に最長で48週の処置が続くと予想される。
対象の数
【0210】
最大で対象の25%がベースラインALP>1.5×ULNおよび≦1.67×ULNであることを含む、およそ54名の対象(群1つ当たり18名)が登録され、1:1:1の比で3つの処置アーム(処置A:B:C)の1つに無作為化される。無作為化は、ベースラインの総ビリルビンレベルによって層別化される(≦0.7×または>0.7×ULN)。
投薬レジメン
【0211】
対象は、1:1:1の比で無作為に割り当てられて、DB処置期間中に下記の処置を受ける。全ての無作為化された対象は、最後の対象が12週のDB処置期間を終了するまで、DB処置を継続する。対象はLTSEに入り、LTSEフェーズの残りに関してDBフェーズ中に割り付けられた当初の処置割当てを継続する。LTSE期間中、用量は、DBフェーズ中に安全性および有効性の評価に基づいて最適化されてもよく、その場合、プロトコールは修正され、対象は、適切なインフォームドコンセントが得られた後にこの用量に移行する。
潜在的な肝損傷および/または疾患進行のモニタリングおよび管理
【0212】
PBCの慢性および進行性を考えれば、潜在的な肝損傷、疾患進行、および/または肝代償不全をモニターすることが重要である。Child-PughおよびMELDスコアは、採血が行われる各来院時に精査される。Child Pughスコアは、スクリーニング時に肝硬変の証拠を有する、またはスクリーニング時の肝硬変の証拠もしくは公知の基準に基づいた試験中に肝硬変の進行を示す患者にのみ適用される。さらに、潜在的な肝損傷または代償不全の有害事象(AE)、徴候、および症状、ならびに臨床検査値は、一定間隔で精査される。肝損傷の徴候および症状の評価ならびに肝臓の生化学に基づいて、治験薬(OCAまたはBZF)は中止されまたは中断される場合がある。
投薬量調節基準:
【0213】
二重盲検期間:1週目から4週目までの、5mg OCAの計画された用量を除き、治験薬に関する投薬量は、試験中に一定に維持される。しかしながら、用量頻度は、掻痒の管理または他の安全性の知見に合わせて修正されてもよい。掻痒などの耐容性の問題の場合、投薬頻度は減少させてもよい。対象は、臨床的安全性の懸念のため、任意の時点で治験薬を中断することができる。
【0214】
LTSE期間:全ての無作為化された対象は、最後の対象が12週のDB処置期間を終了するまでDB処置を継続する。対象は、LTSEに入り、LTSEフェーズの残りに関してDBフェーズ中に受けた当初の処置を受ける。LTSE期間中、DBフェーズ中の安全性および有効性の評価に基づいて用量を最適化してもよく、その場合、プロトコールが修正され、対象は、適切なインフォームドコンセントが得られた後にこの用量に移行する。用量頻度は、掻痒の管理または他の安全性の知見に合わせて修正されてもよい。掻痒などの耐容性の問題の場合、投薬頻度は減少させてもよい。対象は、臨床的安全性の懸念のため、任意の時点で治験薬を中断することができる。
【表2】
解析集団
【0215】
評価可能集団-DB処置期間を終了し、かついかなる主要なプロトコール逸脱もない状態で治験薬(OCAおよび/またはBZF)に適切に曝露された全ての対象。
【0216】
ITT(治療意図)集団-OCAおよび/またはBZFの少なくとも1用量を受ける、全ての無作為化された対象。処置の割当ては、無作為化された処置に基づく。
【0217】
安全性集団-OCAおよび/またはBZFの少なくとも1用量を受ける、全ての無作為化された対象。処置の割当ては、実際に受けた処置に基づく。
【0218】
薬物動態集団-OCAおよび/またはBZFを受け、かつ少なくとも1種の確認された分析可能な試料を有する、全ての対象。対象は、曝露レベルに潜在的に影響を及ぼすいかなる主要なプロトコールの逸脱も有してはならない。
【0219】
LTSE(長期安全性延長)集団-LTSE期間中にOCAおよび/またはBZFの少なくとも1用量を受ける全ての対象。
有効性解析
【0220】
一次有効性解析-評価可能集団は、有効性解析に使用される一次集団である。一次有効性エンドポイントは、ベースラインからDB処置期間の12週目までのALPの絶対変化である。ALPの変化の解析は、12週目に、従属変数としてのベースラインからの変化、固定効果としての処置群および無作為化層別化因子、ならびに共変量としてのベースライン値による、共分散分析(ANCOVA)モデルを使用して実施される。最小二乗(LS)平均、標準誤差(SE)、および95%信頼区間(CI)の推定は、処置群によって提示される。処置群間での平均差、差のSE、および差の95%CIの推定が、提示される。同じ解析を、従属変数としてベースラインからの変化パーセントを使用して実施する。処置群の比較は、それらの平均推定値および関連する95%CIに基づき;正式な仮説検定は計画されない。最適な処置アームは、ひと組の有効性生化学パラメーターの結果の一貫性に基づいて、特定/選定され得る。
【0221】
二次および追加の有効性解析-評価可能集団は、二次および追加の有効性解析に使用される一次集団である。二次および追加の有効性解析は、OCAおよびOCA+BZF処置群を比較する、ベースラインでのおよび計画された各ポストベースライン来院時の記述統計を使用してまとめられる。ベースラインからの変化およびベースラインからの変化パーセントも、まとめる。ベースラインからの変化、ベースラインからの変化パーセント、ならびにLS平均、標準誤差、および95%CIの推定を含む、記述統計は、処置群により提示される。処置群間での平均差、差のSE、および差の両側95%CIの推定も、提示される。10%、20%、および40%の変化のALP応答率、ならびに正規化率に関する解析は、無作為化層別化因子により層別化されたCochran-Mantel-Haenszel検定を使用してOCA+BZF処置群とOCA処置群とを比較する。PBC-40、掻痒VAS、EQ-5D-5L、およびSF-36を、OCA+BZF処置群およびOCA処置群間で、Wilcoxon順位和検定を使用して比較する。
薬物動態解析
【0222】
PK集団は、PK、PK/PD、およびPK/安全性解析に使用される一次集団である。PKパラメーター推定値は、血漿BZFならびに非抱合OCA(親)、グリコ-OCA、タウロ-OCA、および総OCA(OCA、グリコ-OCA、およびタウロ-OCAの合計)に関して、実際の試料収集時間に基づき標準ノンコンパートメント法を使用して決定される。
PK/PDおよびPK/安全性解析
【0223】
総OCAおよび/またはBZF PK曝露パラメーター対C4、総内因性胆汁酸、およびALPの、PK/PD関係を評価する。総OCAおよび/またはBZF PK曝露パラメーター対掻痒および肝臓生化学マーカー(例えば、ALP)の、PK/安全性関係を、評価する。
安全性解析
【0224】
安全性集団は、安全性解析に使用される一次集団である。処置の割当ては、実際に受けた処置に基づく。重篤なAE(SAE)、処置で発現したAE(TEAE)、身体検査、心電図(ECG)、バイタルサイン、臨床検査の評価、および処置の中断を含む安全性データを、DB処置期間中、全ての処置群全体にわたり比較する。TEAEおよびSAEの発生率は、各処置群ごとに器官別大分類(SOC)および基本語によって、ならびに同様に重症度および処置との関係によって、表にされる。検査室パラメーターおよびバイタルサインは、ベースラインでのおよび計画された各ポストベースライン来院時の記述統計を使用して、処置群ごとにまとめられる。ベースラインからの変化もまとめる。ECGは、各来院時の周波数を使用して処置群ごとにまとめられる。ベースラインからのシフトもまとめる。ベースラインは、処置前の全ての入手可能な評価の平均と定義される。
LTSE解析
【0225】
DB処置期間に関して記述されたものと同様の解析を、DBベースライン値を使用して、LTSE期間データに関して実施する(LTSE期間中に行われないPKを除く)。DBベースラインに基づく解析は、無作為化処置群を使用して行う。
中間解析
【0226】
正式な統計的仮説検定によるまたは早期に試験を停止する意図がある、中間解析は、計画されない。利用可能な有効性および安全性データの追加の評価は、全ての対象がほぼ12、24、36、および48週目を終えたときに、LTSEフェーズ中に実施され得る。
サンプルサイズサンプルサイズの正当化
【0227】
処置群1つ当たり18名の対象のサンプルサイズは、60U/LのALPの変化に関する処置の差を検出するのに少なくとも80%の検定力を提供するが、このとき仮定としてOCA+BZFおよびOCA処置群に関するALPの平均絶対変化はそれぞれおよそ-160および-100U/Lとし、0.05のアルファレベルでの両側独立2群t検定に基づいて、プールされた標準偏差は58U/Lおよび10%脱落率である。
【0228】
(実施例2)
PBCを持つ対象におけるBZF単独と比較した、OCAおよびBZFの組合せの効果を評価する臨床試験
試験設計
【0229】
不十分な応答を有するまたはウルソデオキシコール酸に耐えることができない原発性胆汁性胆管炎(PBC)を持つ対象における、ベザフィブラート(BZF)と組み合わせて投与されたオベチコール酸(OCA)の有効性、安全性、および耐容性を評価する、第2相二重盲検(DB)無作為化並行群間試験。この試験は、PBCを持つ対象におけるBZF単独と比較して、OCAおよびBZFの組合せの効果を評価する。OCA(5mgおよび10mg)を、2つの異なるBZF用量(400mgおよび200mg)と組み合わせたものまたはBZF単独(2つの用量、200mgおよび400mgで)を、少なくとも12週にわたってPBCを持つ72名の対象に投与する。
【0230】
一次転帰尺度は、PBCを持つ対象においてBZF単独と比較して、ALPに対するOCAおよびBZFの組合せの効果を評価することである。
【0231】
二次転帰は、PBCを持つ対象において、BZF単独と比較して、下記:(1)生化学疾患マーカーの応答率および正規化率;(2)健康関連のクオリティーオブライフのアンケートにより評価した疾患特異的症状(PBC-40、掻痒視覚アナログスケール[VAS]、EQ-5D-5L、およびSF-36);(3)7α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン(C4)および胆汁酸を含む、胆汁酸合成およびホメオスタシスのバイオマーカー;ならびに(4)安全性および耐容性に対する、OCAおよびBZFの組合せの効果を評価することである。
【0232】
追加の目的は、PBCを持つ対象において、BZF単独と比較して、下記:(1)肝線維症の非侵襲性評価(一過性エラストグラフィ[TE]、拡大した肝線維症[ELF]);ならびにコラーゲン形成および分解のマーカー(III型プロコラーゲン[Pro-C3]、V型プロコラーゲン[Pro-C5]、III型コラーゲン[C3M]、およびIV型コラーゲン[C4M]);(2)肝機能の非侵襲性評価(HepQuant SHUNT);(3)推定された長期予後(GLOBEおよびUK-PBCスコア);(4)MELDスコア;(5)BZF(およびその代謝産物であり、BZF-グルクロニドおよびBZF-ヒドロキシドを含み得るもの)ならびにOCAおよびその抱合体、グリコ-OCAおよびタウロ-OCAの薬物動態(PK);ならびに(6)PK/薬力学(PD)およびPK/安全性の関係に対する、OCAおよびBZFの組合せを評価することである。
組入れ基準および除外基準
【0233】
主要な組入れ基準は、限定するものではないが、下記を含む:
(1)下記の3つの診断因子:(a)少なくとも6カ月間の高ALPレベルの履歴;(b)陽性抗ミトコンドリア抗体(AMA)力価、またはAMA陰性もしくは低力価(≦1:80)の場合、PBC特異的抗体(抗GP210および/または抗SP100)、および/または主要なM2成分(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ-E2、2-オキソ-グルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体)に対する抗体;(c)PBCに一致する肝生検結果(スクリーニング前の任意の時点で収集)の少なくとも2つの存在によって実証されるような、PBCの確定またはほぼ確実な診断(EASLおよびAASLD指針に一致[Lindor 2009a, EASL 2017]);
(2)下記の定性生化学値(両方のスクリーニング来院の平均):(a)ALP>1.5×ULN(最大で患者の25%が、ALP>1.5ULNであるが≦1.67ULNを有するものを含む)が、試験に登録されること;(b)総ビリルビン>ULNであるが<2×ULNの、少なくとも1つ;
(3)年齢≧18歳;
(4)1日目の前に少なくとも12カ月にわたり(≧3カ月にわたり安定用量)UDCAを摂取していること、またはUDCAに耐えることができないもしくは非応答であること(1日目の前の≧3カ月にわたりUDCAなし);
(5)避妊:女性対象は、閉経後であり、避妊手術を受け、または閉経前(および避妊手術を受けていない)の場合には、試験中および処置の終わりから30日間は、≧1の非常に有効な避妊方法を使用して準備しなければならない。臨床試験促進調整グループ(CTFG)指針による避妊の非常に有効な方法は、単独でまたは組み合わせて、一貫して正しく使用した場合に1年当たり1%未満の失敗率をもたらすものである。非常に有効な避妊方法は、下記の通りである:(a)子宮内デバイス(例えば、子宮内デバイス(IUD)または子宮内ホルモン放出システム(IUS));(b)両側卵管閉塞;(c)精管切除(パートナー);(d)排卵阻害に関連した併用(エストロゲンおよびプロゲストゲン含有)ホルモン避妊(例えば、経口、膣内、または経皮)。経口避妊薬を使用する場合、男性または女性用コンドームと組み合わせて使用しなければならない。女性対象は、1日目の前の少なくとも8日にわたり、ホルモン避妊をすべきである;(e)排卵の阻害に関連したプロゲストゲンのみのホルモン避妊(例えば、経口、注射可能なまたは埋込み可能な)。経口避妊薬を使用する場合、男性または女性用コンドームと組み合わせて使用しなければならない。女性対象は、1日目の前の少なくとも8日にわたり、ホルモン避妊をすべきである;(f)性的禁欲、対象の好ましいおよび通常のライフスタイルに沿う場合(禁欲は、試験的処置に関連したリスクの全期間にわたり、異性間性交を控えることと定義される);ならびに
(6)書面にしたインフォームドコンセントを提供しかつ試験プロトコールに準拠することに同意しなければならないこと。
【0234】
主要な除外基準は、限定するものではないが、下記を含む:
(1)下記:(a)C型肝炎ウイルス(HCV)感染およびリボ核酸陽性;(b)活動性B型肝炎ウイルス(HBV)感染;しかしながら、セロコンバージョンした対象(B型肝炎表面抗原およびB型肝炎抗原陰性)は、医療モニターとの相談後にこの試験に含めてもよい;(c)原発性硬化性胆管炎;(c)アルコール性肝疾患;(d)確定自己免疫肝疾患またはオーバーラップ肝炎;(e)NASH;(f)ギルバート症候群(ビリルビンレベルの解釈可能性に起因する)を含む、他の付随する肝疾患の履歴または存在;
(2)下記:(a)肝臓移植の履歴;(b)肝臓移植リストに現在載っているが、比較的早期の疾患ステージであるにもかかわらず移植リストに載っている対象(例えば、地域ガイドラインに従う)は、他の除外基準のいずれかを満たさない限り資格があると考えられる;(c)現在のCPグレードBまたはC(即ち、CPスコア>6);(d)公知の胃または大食道静脈瘤、不十分に制御されたまたは利尿耐性腹水、静脈瘤出血または関連する治療的もしくは予防的介入の履歴(例えば、ベータ遮断剤、静脈瘤バンドの挿入または経頚静脈的肝内門脈大循短絡術[TIPS])、あるいは肝性脳症を含む、合併症を伴う門脈圧亢進;(e)特発性細菌性腹膜炎、肝細胞癌、またはビリルビン>2×ULNの履歴または存在を含む、合併症を伴う胆管炎を含む、スクリーニング来院1および2での、PBCの臨床合併症または臨床的に有意な(CS)肝代償不全の存在;
(3)ALPの非肝性増大を引き起こし得る(例えば、パジェット病)または平均余命を<2年に減じる可能性のある、公知のがんを含む(in situでのまたは他の安定な、比較的良性の状態の癌を除く)、医学的状態;
(4)腸内での胆汁酸塩代謝を含む、薬物の吸収、分布、代謝、または排泄を妨げる、任意の他の疾患または状態の存在(例えば、炎症性腸疾患または胃バイパス手順[胃ラップバンドが許容される]);
(5)胆石症および症状があるまたはない胆嚢疾患の現時点での存在または履歴;
(6)薬物誘発性ミオパチーの履歴;
(7)重度の腎不全(血清クレアチニン>1.5mg/100mL(>135μmol/L);クレアチニンクリアランス<60mL/分)または透析を受けていること;
(8)血小板カウント<100000/ml、スクリーニング来院1および2で;
(9)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の、既知の履歴;
(10)試験中、生存に影響を及ぼしそうな、臨床上懸念される心不整脈の履歴または存在、またはスクリーニング(前処置)QTもしくはQTc間隔>500ミリ秒;
(11)1日目から2カ月以内の、重度の掻痒または掻痒に必要とされる全身処置(例えば、胆汁酸捕捉剤[BAS]またはリファンピシンによる);
(12)OCA、BZF、もしくは他のフィブラートまたはそれらの成分のいずれかに対する公知のまたは疑われるCS過敏症の履歴;
(13)フィブラートに対する既知の光アレルギーまたは光毒性反応;
(14)女性の場合、妊娠がわかっていること、または陽性尿妊娠検査(陽性血清妊娠検査により確認)を有すること、または授乳期であること;
(15)十分制御されないまたは薬物治療ニーズが試験中に変化することが予測される、他のCS医学的状態(例えば、2型糖尿病、甲状腺機能低下症、腎炎症候群、異常タンパク血症、閉塞性肝疾患);
(16)1日目より前の30日の下記の薬物治療による処置または試験中にこれらの薬物治療を使用するプラン:アザチオプリン、コルヒチン、シクロスポリン、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、ペントキシフィリン、スタチン、ブデソニドおよび他の全身性コルチコステロイド、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、ならびに潜在的に肝毒性の薬物(α-メチル-ドーパ、バルプロ酸ナトリウム、イソニアジド、およびニトロフラントインを含む);
(17)1日目より前の12カ月の下記の薬物治療による処置または試験中にこれらの薬物治療を使用するプラン:インターロイキンまたは他のサイトカインもしくはケモカインを対象とした抗体または免疫治療;
(18)スクリーニング前の30日以内での、別の治験薬、生物製剤、または医療デバイス試験への参加;
(19)スクリーニング前の6カ月以内での、市販のOCAによる処置またはOCAに関わる先の試験への参加;
(20)BZFまたは他のフィブラートに耐えることができないこと、スクリーニング前の3カ月以内に市販のフィブラートによる処置またはフィブラートに関わる先の試験への参加;
(21)1日目より前の1年以内に、アルコールまたは薬物乱用の履歴または進行中であること;
(22)医療レジメンを順守しない履歴、または治験責任医師によって、スクリーニング来院時および試験の持続時間を通してプロトコールで指定された要件を満たすことができないと見なされること;
(23)1日目より前の30日以内に、血液または血漿を供血したこと;
(24)精神の不安定性または無力、したがってインフォームドコンセントの妥当性または試験を順守する能力は不確実であること;
(25)スクリーニングでのCK値>5×ULN、または治験責任医師の意見によりCSと見なされる任意の異常な臨床検査値;ならびに
(26)下記の診断基準:(a)タンパク尿、スポット尿タンパク:アルブミン/クレアチニン比が>300~350mg/mmol;(b)血清アルブミン<25g/l;(c)末梢性浮腫の臨床エビデンス;(d)重度の高脂血症(総コレステロールが>10mmol/lよりも上)に基づく公知のまたは疑われるネフローゼ症候群。
【0235】
下記の除外基準は、HepQuant SHUNT手順に参加する対象にのみ適用される:(1)ヒトアルブミン調製物中の任意の成分に対する公知のまたは疑われる過敏症の履歴を持つ対象;(2)制御されない高血圧症の対象(拡張期血圧が110mmHgまたはそれよりも高いと定義される);(3)小腸の大部分の広範囲にわたる切除がなされた(短腸)または重度の胃不全麻痺を持つ対象;および(4)非選択的ベータ遮断剤またはアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤もしくはアンギオテンシンII受容体遮断剤(ARB)のいずれかにある対象であって、その試験の午前中に、その通常の用量の摂取を遅らせることを望まない対象。
転帰/エンドポイント
【0236】
主要エンドポイント(必要に応じて繰り返すことができる):ベースラインから、二重盲検処置期間での、ALPの低減。このエンドポイントは、12週目に評価する。二次エンドポイント(必要に応じて繰り返すことができる):二次目的は、不十分な応答を有するまたはUDCAに耐えることができないPBCを持つ対象における、OCA単独と比較したOCAおよびBZFの組合せの、下記:(a)安全性および耐容性;(b)生化学疾患マーカーの応答率および正規化率;(c)健康関連のクオリティーオブライフのアンケートにより評価した疾患特異的症状;ならびに(d)胆汁酸合成およびホメオスタシスのバイオマーカーに対する作用を評価することである。このエンドポイントは、試験の終わりに評価する。
スクリーニング期間
【0237】
対象を、試験に対して無作為化する前の2から8週間の期間にわたりスクリーニングして、組入れ/除外基準の検証およびベースラインの確立を行うために反復血清化学試料の収集(少なくとも2週間の間隔をあける)を可能にする。
DB処置期間(少なくとも12週)
【0238】
エントリー要件を満たす対象は、1日目に1:1:1の比で無作為化して、処置A(BZF 200mg IR 毎日1回[QD])、処置B(BZF 400mg SR錠剤QD)、処置C(OCA 5mg→10mg QD+BZF 200mg IR QD)、または処置D(OCA 5mg→10mg QD+BZF 400mg SR QD)のいずれかを受ける。併用群に無作為化された対象には、OCA 5mg QDを1日目から、4週目の来院の前日まで与え、その後、OCA 10mg QDを、4週目の来院から試験の終わりまでの全体を通して与える。盲検試験を保存するため、OCAおよび/またはBZFに関して外観が一致したプラセボ錠剤を、各処置群の対象に、1日目から12週目まで、二重盲検およびLTSE処置期間にわたり、試験設計ダイヤグラムに示されるように投与する。対象は、二重盲検用量で維持され、同じ用量でLTSEに移行する。LTSE期間中、新しい用量が、安全性および有効性データの精査後に実施されてもよい。
【0239】
無作為化は、総ビリルビンレベルによりベースラインで層別化されるが(≦0.7×または>0.7×正常値上限[ULN])、<2×ULNおよびALP(>1.5×ULNであるが≦1.67×ULNまたは>1.67×ULN)である。ベースラインALP>1.5×ULNであるが≦1.67×ULNである対象の数は、試験に登録された対象の25%を超えない。
【0240】
1日目の来院後、その後の二重盲検処置期間中のクリニックの来院は、ほぼ4、8、および12週目に、次いで12週ごとに行われ、有効性、安全性、耐容性、およびPKが評価される。対象に、2および6週目(±5日)に電話でもコンタクトをとって、あらゆる有害事象(AE)の出現、付随する薬物治療の変化、および/または開始されている新しい薬物治療、ならびに医学的/外科的手順を評価し、対象が指示された通りに投薬されることを検証する。利用可能な有効性および安全性のデータの評価は、二重盲検および長期安全性延長(LTSE)フェーズの両方の間に定期的に行われ得る。
長期安全性延長(LTSE)期間(最長48週)
【0241】
対象は、二重盲検フェーズの終了後にLTSEフェーズに移行し、二重盲検期間中に割り付けられた当初の処置の割当てを継続する。LTSE期間中、OCAおよびBZFの両方の用量は、二重盲検フェーズ中に安全性および有効性の評価に基づいて最適化されてもよく、その場合、プロトコールは修正され、対象は、さらなる発症に関して選択された用量に移行する。全ての現場スタッフは、試験を盲検に維持する。安全性および検査室評価は、12週ごとに1回、48週目までのクリニックの来院で評価される。
【0242】
二重盲検およびLTSE処置期間に関する試験設計を、
図3に示し、ここでBZF=ベザフィブラート;DB=二重盲検;EODB=DBの終わり;EOS=試験の終わり/LTSE期間の終わり;LTSE=長期安全性延長;OCA=オベチコール酸;QD=毎日1回;UDCA=ウルソデオキシコール酸である。プラセボ=OCAまたはBZFのいずれかの錠剤。注記:1.スクリーニング期間は、2週から最長8週である;2.登録時にUDCAを摂取する対象は、試験中、そのUDCAの安定用量のままである;3.DB用量は、LTSEフェーズへと継続する;4.LTSE 1日目は、DB処置期間(12週目)の最後の来院になる。
試験の持続時間
【0243】
対象1名当たりの処置の全持続時間は、最短でおよそ68週になり、これには最長20週(8週のスクリーニング期間+12週の二重盲検期間)およびその後のLTSE期間中の48週の処置が含まれる。
対象の数
【0244】
最大72名の対象(群1つ当たり18名)が登録され、1:1:1:1の比で、4つの処置アーム(処置A:B:C:D)の1つに無作為化される。
投薬レジメン
【0245】
対象は、1:1:1:1の比で無作為に割り当てられて、二重盲検処置期間中に下記の処置の1つを受ける:
【表3】
【0246】
全ての無作為化された対象は、12週の二重盲検処置期間に入り、二重盲検フェーズの終了後にLTSEフェーズに移行し、二重盲検期間中に割り付けられた当初の処置の割当てを継続する。対象が、中間解析前にLTSEに移行した場合、対象は、二重盲検期間中に割り付けられた当初の処置の割当てを継続しかつ処置の割当てについても盲検を維持する。LTSE期間中、用量は、二重盲検フェーズ中の安全性および有効性の評価に基づいて最適化されてもよく、その場合、プロトコールは修正され、対象は、最適化された用量に移行する。
潜在的な肝損傷および/または疾患進行のモニタリングおよび管理
【0247】
PBCの慢性および進行性を考えれば、潜在的な肝損傷、疾患進行、および/または肝代償不全をモニターすることが重要である。Child-PughおよびMELDスコアは、採血が行われる各来院時に精査される。Child Pughスコアは、スクリーニング時に肝硬変の証拠を有する、またはスクリーニング時の肝硬変の証拠もしくは公知の基準に基づいた試験中の肝硬変の進行を示す患者にのみ適用される。さらに、潜在的な肝損傷または代償不全の有害事象(AE)、徴候、および症状、ならびに臨床検査値は、一定間隔で精査される。肝損傷の徴候および症状の評価ならびに肝臓の生化学に基づいて、治験薬(OCAまたはBZF)は中止されまたは中断される場合がある。
投薬量調節基準
【0248】
二重盲検期間-併用処置群における、1週目から4週目までの、5mg OCAの計画された用量を除き、OCAに関する投薬量は、試験中に一定に維持されるべきである。しかしながら、用量頻度は、掻痒の管理または他の安全性の知見に合わせて修正されてもよい。掻痒または筋肉痛などの耐容性の問題の場合、投薬頻度は、治験責任医師の裁量で減少させてもよい。対象は、臨床的安全性の懸念のため、任意の時点で治験責任医師により治験薬を中断することができる。
【0249】
LTSE期間-全ての適格な、無作為化された対象は、12週の二重盲検処置期間に入り、二重盲検フェーズの終了後にLTSEフェーズに移行し、二重盲検フェーズ中に割り付けられた当初の処置の割当てを継続する。LTSE期間中、用量は、二重盲検フェーズ(中間解析)中の安全性および有効性の評価に基づいて最適化されてもよく、その場合、プロトコールが修正され、対象は、最適化された用量に移行する。用量頻度は、掻痒の管理または他の安全性の知見に合わせて修正されてもよい。掻痒などの耐容性の問題の場合、投薬頻度は、治験責任医師の裁量で減少させてもよい。
【表4-1】
【表4-2】
解析集団
【0250】
評価可能集団-DB処置期間を終了し、かついかなる主要なプロトコール逸脱もない状態で治験薬(OCAおよび/またはBZF)に適切に曝露された全ての対象。
【0251】
ITT(治療意図)集団-全ての無作為化された対象。処置の割当ては、無作為化された処置に基づく。
【0252】
mITT集団-ベースラインおよび少なくとも1つのポストベースラインALP評価を有する、全ての無作為化された対象。処置の割当ては、無作為化された処置に基づく。
【0253】
パープロトコール集団-いかなる主要なプロトコール逸脱もない状態の、ITT集団における全ての対象。処置の割当ては、無作為化された処置に基づく。
【0254】
安全性集団-OCAおよび/またはBZFの少なくとも1用量を受ける、全ての無作為化された対象。処置の割当ては、実際に受けた処置に基づく。
【0255】
薬物動態集団-OCAおよび/またはBZFを受け、かつ少なくとも1種の確認された分析可能な試料を有する、全ての対象。対象は、曝露レベルに潜在的に影響を及ぼすいかなる主要なプロトコールの逸脱も有してはならない。
【0256】
LTSE(長期安全性延長)集団-LTSE期間中にOCAおよび/またはBZFの少なくとも1用量を受ける全ての対象。
有効性解析
【0257】
一次有効性解析:mITT集団は、一次有効性解析に使用される一次集団となる。一次有効性エンドポイントは、ベースラインから二重盲検処置期間の12週目までのALPの変化である。ALPの変化の解析は、12週目に、従属変数としてのベースラインからの変化、固定効果としての処置群および無作為化層別化因子、ならびに共変量としてのベースライン値による、共分散分析(ANCOVA)モデルを使用して実施される。同じ解析を、従属変数としてベースラインからの変化パーセントを使用して実施する。一次有効性解析は、パープロトコール集団でも実施される。
【0258】
二次および追加の有効性解析:ITT集団は、二次および追加の有効性解析に使用される一次集団となる。二次および追加の有効性解析は、パープロトコール集団で分析されない。二次および追加の有効性エンドポイントは、下記を含む:(a)12週目での、10%、20%、および40%の変化の応答率、ならびに正規化率;(b)12週目での、PBC-40、掻痒VAS、EQ-5D-5L、およびSF-36のベースラインからの変化;(c)ALP、GGT、ALT、AST、ならびに総および抱合ビリルビンのベースラインからの変化;12週目でのASTの血小板に対する比の指数[APRI];(d)12週目での、TE、ELF、ならびにコラーゲン形成および分解のマーカー(Pro-C3、Pro-C5、C3M、およびC4M)のベースラインからの変化;(e)12週目でのGLOBEおよびUK-PBCスコアのベースラインからの変化;ならびに(f)12週目での、HepQuant-SHUNT検定からの、肝疾患重症度指数(DSI)のベースラインからの変化。二次および追加の有効性解析は、BZFおよびOCA+BZF処置群と比較する、ベースラインでのおよび計画された各ポストベースライン来院時の記述統計を使用してまとめられる。10%、20%、および40%の変化のALP応答率、ならびに正規化率に関する解析は、無作為化層別化因子により層別化されたCochran-Mantel-Haenszel検定を使用して行われる。PBC-40、掻痒VAS、EQ-5D-5L、およびSF-36の解析は、Wilcoxon順位和検定を使用して行われる。HepQuant-SHUNTにより評価される肝機能は、ベースラインでのおよびポストベースラインの来院時に記述統計によりまとめられる。さらなる解析の詳細は、統計解析プラン(SAP)および/または別の臨床薬理解析プランで詳細に記される。
薬物動態解析
【0259】
PK集団は、PK、PK/PD、およびPK/安全性解析に使用される一次集団である。PKパラメーター推定値は、血漿BZFならびに非抱合OCA(親)、グリコ-OCA、タウロ-OCA、および総OCA(OCA、グリコ-OCA、およびタウロ-OCAの合計)に関して、実際の試料収集時間に基づき標準ノンコンパートメント法を使用して決定される。
PK/PDおよびPK/安全性解析
【0260】
総OCAおよび/またはBZF PK曝露パラメーターの関数としての、C4、総内因性胆汁酸、およびALPの、PK/PD関係を評価する。総OCAおよび/またはBZF PK曝露パラメーターの関数としての、肝臓生化学マーカー(例えば、ALP)などの掻痒および他の安全性指標のPK/PD関係を、評価する。
安全性解析
【0261】
安全性集団は、安全性解析に使用される一次集団である。処置の割当ては、実際に受けた処置に基づく。重篤なAE(SAE)、処置で発現したAE(TEAE)、身体検査、心電図(ECG)、バイタルサイン、臨床検査の評価、および処置の中断を含む安全性データを、DB処置期間中、全ての処置群全体にわたり比較する。
【0262】
TEAEおよびSAEの発生率は、各処置群ごとに器官別大分類(SOC)および基本語によって、ならびに同様に重症度および処置との関係によって、表にされる。
【0263】
検査室パラメーターおよびバイタルサインは、ベースラインでのおよび計画された各ポストベースライン来院時の記述統計を使用して、処置群ごとにまとめられる。ベースラインからの変化もまとめる。ECGは、各来院時の周波数を使用して処置群ごとにまとめられる。ベースラインからのシフトもまとめる。ベースラインは、処置前の全ての入手可能な評価の平均と定義される。
LTSE解析
【0264】
二重盲検処置期間に関して記述されたものと同様の解析を、LTSE期間中に行わない、PKを除いた二重盲検ベースライン値を使用して、LTSE期間データに関して実施する。二重盲検ベースラインに基づく解析は、無作為化処置群を使用して行う。
中間解析
【0265】
中間解析は、第3相試験に関する意思決定をガイドするように、行われる。無益および優越性停止規則は、中間解析に適用されない。中間解析は、処置群1つ当たりおよそ10名の対象が試験の二重盲検処置期間を終了したときに実施される。通常の安全性の精査に加え、DMCも中間解析を精査する。mITT集団を使用するベースラインから二重盲検処置期間の12週目までのALPの変化は、中間解析で解析される。ALPのベースラインからの変化のCohenのDの効果量が、OCA 5~10mg+BZF 200mg QDアーム(処置B)とBZF 200mg QDアームとの間、またはOCA 5~10mg+BZF 400mg QDアーム(処置D)とBZF 400mg QDアームとの間で、12週目で≧0.93であるとき、処置BまたはDは、中間解析中に有効になることが決定される。
サンプルサイズの正当化
【0266】
処置群1つ当たり18名の対象のサンプルサイズは、-60U/LのALPの変化に関する処置の差を検出するのに少なくとも80%の検定力を提供するが、このとき仮定としてOCA+BZFおよびOCA処置群に関するALPの平均絶対変化はそれぞれおよそ160および100U/Lとし、0.05のアルファレベルでの両側独立2群t検定に基づいて、プールされた標準偏差は58U/Lおよび10%脱落率である。
【0267】
(実施例3)
肝疾患および処置効果を評価するため肝機能を測定するHepQuant-SHUNT
【0268】
肝炎症および肝線維症は、肝細胞機能および肝潅流を損なう。肝硬変への進展に伴って肝障害が進み、最終的には門脈圧亢進症および門脈-体循環シャントに至る。門脈圧亢進症(PH)は、肝疾患の転帰不良のリスク因子である。
【0269】
HepQuant SHUNT試験は、追加の試験目的として含まれるアッセイである。この実施例は、HepQuant SHUNT試験と、この試験における肝疾患および処置効果を評価するためのその使用とについて記述する。HepQuant試験は、分子プローブ(炭素-13[13C]、および重水素[4D])で標識されたコレートのクリアランスを測定する。簡単に言うと、試験では、留置末梢静脈カテーテルの配置(通常は、腕の肘前静脈中)、13C-コレート(低温、安定標識、放射性ではない)の静脈内注入、および40mgのd4-コレート(d4-CAまたは4D-CA)(この場合も、低温、安定標識、放射性ではない)のフレーバー溶液の飲料が含まれる。血液試料は、コレートの投与前、および投与後5、20、45、60、90分に、採取される。血液試料を固まらせかつ回転させ、血清を輸送管に移し、HepQuant検査室に郵送して、処理および分析を行う。HepQuant SHUNT試験は、肝細胞機能、総肝潅流、肝臓への門脈流入、および門脈-体循環シャントをモニターすることが可能である。HVPGと同様に、HepQuant SHUNTは門脈循環を評価するが、非侵襲的で対象の耐容性は高くかつコストが低い。
【0270】
肝疾患は、肝細胞機能および門脈循環を変化させ、これは門脈圧亢進症および門脈-体循環シャントして明らかになる。臨床結果は、凝血障害、黄疸、静脈瘤、腹水、および脳症である。肝疾患が、線維症が最小限に抑えられた初期から終末期の線維症、肝硬変、および臨床合併症に進行するにつれ、肝機能、ならびに肝臓、体および門脈への2つの循環流入は、益々損なわれるようになる。HepQuant-SHUNT試験は、肝特異的機能、コレートのクリアランスを、体および門脈循環の両方から同時に測定する。試験は、肝疾患が機能を損ない門脈循環を変化させるという事実に基づく。肝臓への血流が損なわれるようになるにつれ、投与されたコレートのより多くの量が肝臓による抽出を逃れ、体循環内に溢流し;このことは、末梢静脈カテーテルを経て得られた血液試料中の体中コレート濃度の増加として明らかにされる。HepQuant SHUNTは、疾患の初期から後期までの肝機能および門脈循環の変化を定量する。
【0271】
慢性C型肝炎の以前の研究では、HepQuant SHUNT試験からの疾患重症度指数(DSI)が、線維症のISHAKおよびMETAVIRステージと相関し、肝硬変、静脈瘤、および臨床転帰のリスクの尤度を予測した。DSIは、慢性C型肝炎、NAFLD、およびPSCを持つ患者において同様に行った。HepQuant試験は、試験の期間全体にわたる各時点での処置アーム間でのDSIの変化を比較することである。
試験投与
【0272】
HepQuant SHUNT試験は、少なくとも5時間の絶食後、通常は一晩絶食した後に行い、標準留置末梢静脈カテーテルの静脈アクセスを必要とし、カテーテルは好ましくは肘前窩に配置される。およそ3mLの血液試料が、ベースライン、ならびにコレート溶液の投与後5、20、45、60、および90分で得られ;≧1mLの血清を周囲温度でHepQuant検査室に送ってコレート濃度の分析を行う。対象は、ベッドで座位状態にあってもリクライニングチェアーに座っていてもよく-対象は、背筋を伸ばした体位で座るべきであり、またはベッドにある場合はベッドの頭部を少なくとも30度上昇させて、経口投与された用量の4D-CA溶液の胃排出を助ける。
【0273】
投与前、HepQuant SHUNT肝臓診断キットは周囲温度で保たれる。経口4D-CA用量では、d4-CA溶液の全含量を40mLのカップに注ぎ、フレーバーを添加する。静脈内13C-CA用量では、5mLが(合計5.5mLから)13C-CA溶液バイアルから取り出され、5mlのアルブミン溶液(25%w/vヒト血清アルブミン、USPグレード、GRIFOLS)と混合する。13C-CA/アルブミン混合物を、試験を管理する人物により1分かけて静脈内注射する。4D-コレート/フレーバー混合物を、同じ分(same minute)にわたり同時に経口投与する。
【0274】
試験は、2つの方法:(1)2アーム法および(2)単一アーム、単一カテーテル法の1つで投与することができる。2アーム法は、血液サンプリングに静脈内(IV)カテーテルのみ使用する。反対側の腕に留置された別のバタフライまたは小カテーテルは、IVコレート/アルブミン溶液の注入に使用される。2アーム法は、好ましい投与方法である。単一アーム、単一カテーテル法は、IVコレート/アルブミンの注入および後続の血液サンプリングの両方で同じカテーテルを使用する。厳密なフラッシング手順は、注入されたコレート溶液が後続の血液試料中に流入するのを回避するために、単一アーム、単一カテーテルが使用される場合に使用されるべきである。対象が、化合物に対してアナフィラキシーまたは過敏反応を経験した場合、投与は停止すべきであり、対象は、標準治療に従い処置されるべきである。対象は、将来のいかなるHepQuant試験も受けるべきではなく、しかし治験責任医師の裁量で並行薬物試験に登録したままであってもよい。
試験の出力
【0275】
コレート濃度(内在する非標識CA、13C-CA、およびd4-CA)は、時限血清試料から測定され(0、5、20、45、60、および90分)、時間の関数としての各標識コレートの濃度は、面積下曲線(AUC)を計算するために、スプライン曲線としてモデル化される。HepQuant SHUNT試験パラメーターは、下記の通りである:
・体HFR:静脈内クリアランス(Cliv、mL分-1)は、13C-CAに関する用量/AUCと定義される。体HFRは、体重1kg当たりのClivと定義され、mL分-1kg-1と表される。
・門脈HFR:見掛けの経口クリアランス(Cloral、mL分-1)は、d4-コレートに関する用量/AUCと定義される。門脈HFRは、体重1kg当たりのCloralと定義され、mL分-1kg-1とも表される。
・SHUNT:SHUNT、門脈-体シャント率は、体HFR/門脈HFR×100%の比として計算される。
・DSI:疾患重症度指数に関する計算は、体HFRおよび門脈HFRから導かれた式に従う。
・STAT:60分血液試料からのd4-コレートの血清濃度は、DSI(r2=0.88)に十分相関し、DSIに関する分析と同様に、疾患重症度および処置効果に対するリンクに関して独立して分析される。
公知の潜在的リスク
【0276】
試験化合物に関連するリスクには:(1)コレート化合物に対するアレルギー反応(理論的-まだ報告されていない);および(2)ヒト血清アルブミン(HSA)に対するアレルギー反応が含まれ、これらの反応は:(a)発疹;(b)呼吸困難を有すること;(c)呼吸するときの喘鳴;(d)血圧の突然の降下;(e)口、喉、または眼の周りの腫れ;(f)頻脈;(g)発汗;(h)重篤な反応は非常に稀であるが、重篤な反応(アナフィラキシーと呼ぶ)を含むことがあり;かつ(i)非常に低い血圧および死さえももたらす可能性がある。
【0277】
留置カテーテルに関連したリスクには:(1)カテーテルの配置による痛み;(2)血栓化静脈;および(3)血腫が含まれる。
【0278】
静脈切開に関連するリスクには:(1)局所的疼痛;(2)痣;(3)たびたびのふらつき;(4)失神;および(5)その部位での感染(稀)が含まれる。
【0279】
絶食に関連するリスクには:(1)眩暈;(2)頭痛;(3)胃の不快感;および(4)失神が含まれる。
試験化合物
【0280】
安定な(非放射性)同位体で標識されたコレートは天然に生じ、HepQuant(HQ)試験で使用される用量で静脈内または経口的に与えられたときに悪影響や有害作用を及ぼすことが知られていない。静脈内または経口用量のいずれかにより実現される血清コレート濃度は、脂肪の多い食事を摂取した後に生じる胆汁酸の血清濃度と同様である。
【0281】
この試験のHepQuant試験で使用される2種のコレートは、天然に見出される安定な(非放射性)形態の炭素および水素で標識され、血液中で測定することができる。これらの形態のコレートは、FDA IND(65121および65123)で2002年以来使用されてきており、それらのヒトへの使用は、そのときからモニターされてきた。
結果の分析
【0282】
HepQuant-SHUNTにより評価された肝機能は、ベースラインでのおよびポストベースラインの来院時の記述統計によりまとめられる。このHepQuant SHUNT試験の主な目的は、DSIの連続変化が処置効果を示すかどうかを決定すること、およびDSIの変化と処置応答の他の測定値の変化との関係を定めることである。さらなる分析の詳細は、SAPおよび/または別の臨床薬理学分析プランで詳細に記載される。エンドポイントとしてDSIを使用するレスポンダー分析では、所与の対象における有意な処置応答が、DSIにおける2点またはそれよりも大きい減少として定義される。
【国際調査報告】