(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】分光偏光測定装置および光路差自動調整装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/21 20060101AFI20220804BHJP
G01N 21/01 20060101ALI20220804BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20220804BHJP
G01J 9/02 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
G01N21/21 Z
G01N21/01 D
G01N21/27 B
G01J9/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571559
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2020004620
(87)【国際公開番号】W WO2021085765
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0137776
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521524494
【氏名又は名称】ムゲン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ミン ヨン パク
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA02
2G059AA03
2G059EE02
2G059EE09
2G059EE12
2G059GG01
2G059GG02
2G059JJ01
2G059JJ13
2G059JJ19
2G059KK01
2G059MM01
(57)【要約】
本発明の一実施形態による分光偏光測定装置1150は、光源1110が着脱結合される光源着脱部、光源着脱部に結合された光源から放出される光を偏光ビームスプリッタ1220を用いて複数の偏光に分離し、分離された偏光のうち少なくとも一部を反射試料に照射して反射された光を出力する偏光干渉計1200、および出力された光を分析して反射試料の物性値を測定するスペクトロメータ1120(spectrometer)を含み、光源着脱部に結合される光源の波長は反射試料によって変わる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が着脱結合される光源着脱部と、
前記光源着脱部に結合された前記光源から放出される光を偏光ビームスプリッタを用いて複数の偏光に分離し、分離された前記偏光のうち少なくとも一部を反射試料に照射して反射された光を出力する偏光干渉計と、
出力された前記光を分析して前記反射試料の物性値を測定するスペクトロメータ(spectrometer)を含み、
前記光源着脱部に結合される前記光源の波長は前記反射試料によって異なる、分光偏光測定装置。
【請求項2】
前記光源は前記反射試料を測定するのに必要な単一波長を有する光源である、請求項1に記載の分光偏光測定装置。
【請求項3】
前記光源は波長が可変される光源である、請求項1に記載の分光偏光測定装置。
【請求項4】
前記光源は特定波長を有する光をパルス形態で放出する、請求項1に記載の分光偏光測定装置。
【請求項5】
前記光源はレーザまたはLEDである、請求項1に記載の分光偏光測定装置。
【請求項6】
前記偏光干渉計は、
前記光源から放出される光を入射する光入力端子と、
入射された前記光を分離する第1偏光ビームスプリッタと、
前記第1偏光ビームスプリッタの第1面に設けられ、前記第1偏光ビームスプリッタを透過した第1偏光を前記第1偏光ビームスプリッタに反射する第1ミラーと、
前記第1面に垂直に前記第1偏光ビームスプリッタの第2面に付着し、前記第1偏光ビームスプリッタで反射された第2偏光を前記第1偏光ビームスプリッタに反射する第2ミラーと、
前記第1偏光および前記第2偏光が複合して生成された複合波を前記反射試料に伝達し、前記反射試料で反射された光を受信して前記スペクトロメータに出射する第2偏光ビームスプリッタと、
前記光入力端子、前記第1偏光ビームスプリッタ、前記第1ミラー、前記第2ミラー、光出力端子を収容するハウジングを含む、請求項1に記載の分光偏光測定装置。
【請求項7】
前記第1ミラーは前記第1面に対して固定された固定ミラーであり、前記第2ミラーは前記第2面に対して垂直な方向に変位できる可動ミラーであり、
前記第2ミラーの変位によって前記第1偏光の経路長さと前記第2偏光の経路長さの間の差が調節され得る、請求項6に記載の分光偏光測定装置。
【請求項8】
光を放出する光源と、
放出された前記光を偏光ビームスプリッタを用いて複数の偏光に分離し、分離された前記偏光のうち少なくとも一部を反射試料に照射して反射された光を出力する偏光干渉計と、
出力された前記光を分析して前記反射試料の物性値を測定する分光計を含む、一体型偏光干渉計を備えた分光偏光測定装置において、
前記光源および前記分光計を共に収容する統合アセンブリをさらに含み、前記偏光干渉計はハウジング内に収容されており、
前記統合アセンブリの一側面に前記光源の光源端子および前記分光計の分光計端子が露出し、前記ハウジングの一側面に光入力端子および光出力端子が露出し、前記統合アセンブリを前記ハウジングに結合するとき、前記光源端子および前記光入力端子の間と、前記分光計端子および前記光出力端子の間が共に連結され、
前記ハウジングで前記光入力端子および前記光出力端子が露出した前記一側面には、前記光入力端子が前記光出力端子に比べて突出した位置に存在するように光軸方向に段差が形成され、前記統合アセンブリで前記光源端子および前記分光計端子が露出した前記一側面には、前記分光計端子が前記光源端子に比べて突出した位置に存在するように光軸方向に段差が形成される、分光偏光測定装置。
【請求項9】
前記偏光干渉計は、
前記光源から照射される光を入射する前記光入力端子と、
入射された前記光を分離する第1偏光ビームスプリッタと、
前記偏光ビームスプリッタの第1面に設けられ、前記偏光ビームスプリッタを透過した第1偏光を前記偏光ビームスプリッタに反射する第1ミラーと、
前記第1面に垂直に前記偏光ビームスプリッタの第2面に付着し、前記偏光ビームスプリッタで反射された第2偏光を前記偏光ビームスプリッタに反射する第2ミラーと、
前記第1偏光および前記第2偏光が複合して生成された複合波を前記反射試料に伝達し、前記反射試料で反射された光を受信して前記分光計に出射する第2偏光ビームスプリッタと、
前記光入力端子、前記第1偏光ビームスプリッタ、前記第2偏光ビームスプリッタ、前記第1ミラー、前記第2ミラーおよび前記光出力端子を収容する前記ハウジングを含み、
前記第2ミラーは前記第2面に対して固定された固定ミラーであり、前記第1ミラーは前記第1面に対して垂直な方向に変位できる可動ミラーであり、
前記第1ミラーの変位によって前記第1偏光の経路長さと前記第2偏光の経路長さの間の差が調節され得る、請求項8に記載の分光偏光測定装置。
【請求項10】
前記ハウジングの他側面には開口部が形成され、ユーザーが前記第1ミラーの位置を調節できる操作部が前記開口部内に配置される、請求項9に記載の分光偏光測定装置。
【請求項11】
前記複合波を前記反射試料に伝達して前記反射試料で反射された光を受信するための試料端子が前記ハウジングにおいて、前記光出力端子の反対側に形成される、請求項9に記載の分光偏光測定装置。
【請求項12】
請求項8に記載された分光偏光測定装置と、
前記分光偏光測定装置の試料端子が前記反射試料に向かうように前記分光偏光測定装置を据え置くガントリを含む、分光偏光測定システム。
【請求項13】
前記反射試料は連続的に移送されるロールトゥロールフィルム型試料であり、
前記ガントリは、前記反射試料の上側または下側に前記反射試料の移送方向に垂直な横方向に延びた横断支持台を含み、
前記横断支持台は、互いに平行した一対のガイドレールと一対の前記ガイドレールの間に長く形成されたスロットを含み、
前記分光偏光測定装置は前記スロットに沿って横方向に移動可能である、請求項12に記載の分光偏光測定システム。
【請求項14】
光を放出する光源と、
放出された前記光を偏光ビームスプリッタを用いて複数の偏光に分離し、分離された前記偏光のうち少なくとも一部を対象試料に透過したり反射させて取得された光を出力する偏光干渉計と、
出力された前記光を分析して前記対象試料の物性値を測定する分光計と、
分析された前記光の信号強度を算出する信号分析部と、
前記偏光干渉計の一側に設けられ、電気信号に応じて変位が変化する圧電素子と、
算出された前記信号強度に基づいて前記圧電素子の変位量を決定し、決定された前記変位量で前記圧電素子を制御する圧電素子コントローラを含む、分光偏光測定装置の光路差自動調整装置であって、
前記偏光干渉計は、
前記光源から照射される光を入射する光入力端子と、
入射された前記光を分離する偏光ビームスプリッタと、
前記偏光ビームスプリッタの第1面に設けられ、前記偏光ビームスプリッタを透過した第1偏光を前記偏光ビームスプリッタに反射する第1ミラーと、
前記第1面に垂直に前記偏光ビームスプリッタの第2面に付着し、前記偏光ビームスプリッタで反射された第2偏光を前記偏光ビームスプリッタに反射する第2ミラーと、
前記第1偏光および前記第2偏光が複合して生成された複合波が前記対象試料で透過したり反射されて得られた光を前記分光計に出射する光出力端子を含み、
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーのうち少なくとも一つは前記圧電素子上に設けられ、決定された前記変位量だけ縦方向に可動し、
前記圧電素子はピエゾステージで構成され、
前記ピエゾステージは前記電気信号と関係なく固定される固定部材と、前記電気信号に応じて伸縮される可動部材を含み、
前記ピエゾステージはそれぞれ複数の領域を担当するサブステージを含み、前記サブステージの差等を制御することにより、前記ピエゾステージ上に設けられたミラーがチルト制御される、分光偏光測定装置の光路差自動調整装置。
【請求項15】
前記圧電素子は前記第1ミラーおよび前記第2ミラーのいずれか一つにのみ設けられる、請求項14に記載の分光偏光測定装置の光路差自動調整装置。
【請求項16】
前記圧電素子は前記第1ミラーおよび前記第2ミラーすべてに設けられる、請求項14に記載の分光偏光測定装置の光路差自動調整装置。
【請求項17】
前記信号強度はインタフェログラム上の正規化された信号によって算出される、請求項14に記載の分光偏光測定装置の光路差自動調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定対象になる試料で透過/反射された光を用いて試料を測定する分光偏光測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分光スペクトル測定技術は、様々な分野で最も正確で期待される解決方法の一つとして挙げられている。このような干渉計による偏光測定技術を組み合わせるために、SD PS-OCT(spectral domain polarization-sensitive optical coherence tomography)、リアルタイム高感度SPR(surface-plasmon resonance)バイオセンシングおよびCD(circular dichroism)のような数多くの研究が行われている。また、ストークスベクトルを誘導できる分光楕円測定機の測定値から導き出し、スペクトル干渉計とスキャニング方法に代えるために、複屈折結晶やデュアルスペクトル感知モジュールを干渉計と組み合わせたスペクトルアクセス方式も知られている。最近ではスナップショット方式の偏光干渉計が提案され、これによって外部振動などによる外乱に強いだけでなく、迅速でかつ安定した測定が可能になった。
【0003】
このような偏光干渉計を用いるとスナップショットに基づいて迅速でかつ安定した測定が可能になる。ただし、通常の偏光干渉計を用いた分光偏光測定装置は高価でかつ大型化された製品に具現され、いちいち積載された試料に対して測定を実施するので、複数の試料または単一の試料で複数の地点を移動しながら迅速に測定することは難しい。特に、ロールトゥロール(roll-to-roll)工程で使用される連続性試料を測定するには根本的な限界がある。
【0004】
また、一般的にこのような分光偏光測定装置は白色光を用いて多様な試料に対して測定を行うが、白色光を用いるために、チョッパー(chopper)や分光、平行光を形成するための部品が必要であり、試料に対する測定のために初期に安定するまである程度時間が必要である。また、白色光が広い範囲の波長を有しており、試料測定に不必要な波長の範囲まで分析し、試料に対する迅速な測定が難しい。したがって、白色光でない試料特性に合う光を用いて迅速でかつ正確な測定が可能な分光偏光測定装置を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、迅速でかつ連続的な測定が可能な分光偏光測定装置およびそれを据え置きできる据置台を含む分光偏光測定システムを提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、光源、分光計および偏光干渉計を小型化およびパッケージ化しながらも、相互間の着脱および維持、補修が容易な分光偏光測定装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明が解決しようとする他の技術的課題は、試料ごとの測定に適した波長の光源に交換が可能なように形成して試料に対する迅速でかつ正確な測定が可能な装置を提供することにある。
【0008】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題については以下の記載から当業者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を達成するための本発明の一実施形態による分光偏光測定装置は、光源が着脱結合される光源着脱部と、前記光源着脱部に結合された光源から放出される光を偏光ビームスプリッタを用いて複数の偏光に分離し、前記分離された偏光のうち少なくとも一部を反射試料に照射して反射された光を出力する偏光干渉計と、前記出力された光を分析して前記反射試料の物性値を測定するスペクトロメータ(spectrometer)を含み、前記光源着脱部に結合される光源の波長は前記反射試料によって変わる。
【発明の効果】
【0010】
本発明による分光偏光測定装置および分光偏光測定システムによれば、スナップショットに基づいて迅速な試料の測定が可能でありがらも、単一の試料の多様な位置または多様な試料の間に連続的な測定が可能である長所がある。
【0011】
また、本発明による分光偏光測定装置によれば、小型化およびパッケージ化が可能で携帯性および移動性を強化することができ、簡単な結合によって光源および分光計と偏光干渉計の間の連結が行われるので、着脱および維持、補修が容易である長所もある。
【0012】
また、本発明による分光偏光測定装置によれば、試料の特性によって試料測定に適した波長を有する光源に交換が可能であることにより、対象試料の物性値をより正確に得ることができ、パルス形態の直進光を用いることにより迅速な測定が可能である長所もある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による分光偏光測定装置の偏光干渉計の概念図である。
【
図2】偏光干渉計、光源、光源着脱部およびスペクトロメータを共にパッケージ化した分光偏光測定装置を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による分光偏光測定装置の細部的な構成を示すブロック図である。
【
図4】偏光ビームスプリッタおよびミラーを示す図である。
【
図5】本発明の他の実施形態による分光偏光測定装置の細部的な構成を示すブロック図である。
【
図6a】本発明の一実施形態による分光偏光測定装置の側面図である。
【
図6b】本発明の他の実施形態による分光偏光測定装置の側面図である。
【
図7】
図6aの分光偏光測定装置の上方および下方から見た斜視図である。
【
図8】
図6aの分光偏光測定装置の上方および下方から見た斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態による分光偏光測定装置の内部透視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態による一体型偏光干渉計の概念図である。
【
図11】偏光干渉計、光源および分光計を共にパッケージ化した分光偏光測定装置を示す図である。
【
図12】本発明の他の実施形態による偏光干渉計の細部的な構成を示すブロック図である。
【
図13】第1偏光ビームスプリッタおよび隣接して配置されたミラーを示す断面図である。
【
図14a】本発明の第2実施形態による統合アセンブリと結合される偏光干渉計を多様な角度から見た図である。
【
図14b】本発明の第2実施形態による統合アセンブリと結合される偏光干渉計を多様な角度から見た図である。
【
図14c】本発明の第2実施形態による統合アセンブリと結合される偏光干渉計を多様な角度から見た図である。
【
図15a】本発明の第2実施形態による偏光干渉計が統合アセンブリと結合される形態を示す図である。
【
図15b】本発明の第2実施形態による偏光干渉計が統合アセンブリと結合される形態を示す図である。
【
図16a】
図14bに示される偏光干渉計の前面カバーを除去して見た正面図である。
【
図17】偏光干渉計の内部で光入出力および干渉過程を示すための図である。
【
図18a】本発明の第2実施形態による分光偏光測定装置が据え置かれるガントリを示す斜視図である。
【
図18b】ガントリおよびそこに据え置かれた分光偏光測定装置を含む分光偏光測定システムを示す斜視図である。
【
図18c】ガントリ上で分光偏光測定装置の位置を変更する例を示す図である。
【
図19a】PBS組立体の多様な実施形態を示す図である。
【
図19b】PBS組立体の多様な実施形態を示す図である。
【
図19c】PBS組立体の多様な実施形態を示す図である。
【
図20a】電気信号によって変位が制御される可動ミラーを有するPBS組立体の分解斜視図である。
【
図21】本発明の一実施形態による分光偏光測定装置の光路差自動調整装置のブロック図である。
【
図22】本発明の一実施形態によるインタフェログラム関数を示す図である。
【
図23】縦方向変位量制御およびチルト制御を共に行うための変形されたピエゾステージを有するPBS組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の第1実施形態による分光偏光測定装置の偏光干渉計(Polarization interferometer,110)の概念図である。偏光干渉計110は光源から放出される光を入射する光入力端子101、偏光干渉計110から光を反射試料に照射し、反射試料で反射された光を入射する測定端子102、および偏光干渉計110から光をスペクトロメータ(spectrometer)に出射する光出力端子103および三個の端子101,102,103を取り付けたハウジング111を含んで構成されることができる。このように、偏光干渉計110は光源や分光計が着脱可能なハウジング111で構成されるためにモジュール化、小型化が可能である。
【0015】
図2に示すように、本発明の第1実施形態による分光偏光測定装置100は、光源120、偏光干渉計110、およびスペクトロメータ150がパッケージで形成されることができる。信号分析部(図示せず)をさらに含むこともできる。この時、光源120の光源側端子121と偏光干渉計110の光入力端子101の間、偏光干渉計110の光出力端子103とスペクトロメータ150の光入力端子151の間は直接連結されたり、光を伝達する媒体として光ファイバー(optical fiber)ないし光ケーブル(optical cable,10,20)が連結され得る。
【0016】
この時、偏光干渉計110は光源120から放出された光を、偏光ビームスプリッタを用いて複数の偏光に分離し、分離された偏光のうち少なくとも一部を反射試料に照射して反射された光を出力する。このように出力された光はスペクトロメータ150に提供され、スペクトロメータ150は出力された光を分析して反射試料の物性値を測定する。
【0017】
光源着脱部には光源120が着脱結合される。偏光干渉計110に光を放出する光源120が分光偏光測定装置100に固定されず、光源着脱部を介して着脱可能なように形成される。光源120が着脱可能であるので、光源120の交換が容易である。したがって、反射試料によって光源を選択して交換でき、多様な光源選択が可能である。光源120は光源着脱部とボルト-ナット方式や差し込み方式で着脱可能であり、その他の着脱可能な多様な方式で結合されることができる。
【0018】
光源着脱部に結合される光源120の波長は測定しようとする反射試料によって異なる波長を有する。既存の広い範囲の白色光源(white light source)より迅速でかつ正確な測定のために、反射試料に敏感な波長を有する光源を用いる。光源着脱部に結合する光源120の選択は測定しようとする反射試料の特性によって変わる。具体的には、反射試料に対する干渉縞がよく生じる波長を有する光源を選択することができる。この時、干渉縞の解像度が臨界値以上の波長を選択することができる。ここで、臨界値は他の波長との相対的な数値であり得、他の波長と関係がない絶対数値でもあり得る。
【0019】
光源120は直進光を放出する光源を用いることができる。直進光を用いることで白色光源を用いることにより必要なチョッパー(chopper)、分光、平行光形成のためのレンズなどの部品なしで偏光測定が可能である。直進光は拡散性より直進性が大きい光であり、レーザ、LEDなどがこれに該当する。したがって、光源120はレーザまたはLEDであり得る。レーザ(laser)は周波数が一定である、すなわち、波長が一定の光を放出する光源であり、可干渉長さが白色光源より長いので干渉縞がよく生じるため、白色光源より測定が容易である。LEDもまた、特定波長を有する直進性が強い光を放出する光源である。その他にも直進性を有する多様な光を放出する光源120を用いることができるのは当然である。
【0020】
直進性を有する光源だけでなく白色光源への交換も可能である。白色光源を結合する場合、白色光源を平行光に変換させるための光学系を共に結合することができる。この時、結合される光学系はコリメーティングレンズ(collimating lens)、線形偏光子(Linear Polarizer)、アイリス(iris)で構成されることができる。光源から放出された光はコリメーティングレンズで平行光に変換され、光干渉のコントラストを向上させるために、線形偏光子で45°方向に線形偏光され得る。また、アイリスは線形偏光子を通過した線形偏光の大きさを調節することができる。
【0021】
反射試料がどの波長帯に敏感であるのかを導き出した後、該当波長を有する光源を選択し、光源着脱部に結合して測定のための光源として用いることができる。この時、光源は反射試料を測定するのに必要な単一波長を有することができる。反射試料に敏感で反射試料の測定に適した単一波長を有する光源を用いることによって、反射試料に対する迅速でかつ正確な測定が可能である。光源120は光源着脱部に着脱結合され、反射試料によって異なる波長を有する光源に交換が可能である。簡単に光源を交換できるため、多様な波長帯の光源を選択でき、ユーザーが容易に用いることができる。または、光源120は波長が可変される光源であり得る。特定波長を有する光源を交換することだけでなく、複数の波長に波長可変が可能な光源を用いることができる。可変波長レーザなどの可変波長光源を用いることによって一つの光源で反射試料に合わせて波長を可変しながら測定を遂行できる。
【0022】
反射試料に対する測定に適した波長を導き出すために、反射試料に対する測定を遂行できる。波長を変更して、反射試料に敏感な波長を導き出す。この時、可変波長光源を用いて測定したり白色光源を用いて広い波長を有する光源を用いて測定される結果を分析して該当反射試料に敏感な波長を導き出すことができる。または、反射試料ごとにあらかじめ測定することにより保存された反射試料別の測定波長情報を用いることができる。反射試料別の測定波長情報はルックアップテーブルで生成されて保存される。測定により導き出された特定の反射試料に対する測定波長情報は保存し、後に同じ反射試料に対する測定時、以前の情報を用いて該当測定波長を有する光源を光源着脱部に結合して該当反射試料に対する測定に用いることができる。
【0023】
光源120は特定波長を有する光をパルス形態で放出することができる。光を連続的に放出することもできるが、光をパルス形態で放出することによって迅速な測定を可能にすることができる。パルスごとに干渉縞が生成され得るため、光をパルス形態で放出して測定しようとする領域にのみ照射することによってその領域に対する測定を早く遂行できる。
【0024】
スペクトロメータ150は、韓国特許第1812608号公報でも言及されたように、スナップショット(snapshot/single shot)方式で測定対象になる反射試料の分光偏光情報をリアルタイム/高速で測定するための装置で構成されることができる。
【0025】
図3は本発明の第1実施形態による分光偏光測定装置100の細部的な構成を示すブロック図である。分光偏光測定装置100は偏光干渉計110を含み、光源120が着脱結合する光源着脱部およびスペクトロメータをパッケージで含み得る。偏光干渉計110は光入力端子101、測定端子102、光出力端子103、第1偏光ビームスプリッタ111、第1ミラー112、第2ミラー113、および第2偏光ビームスプリッタ114で構成され、すべての構成要素はハウジング内に収容されて設けられる。
【0026】
光入力端子101は光源120から放出される光を入射し、入射された光は第1偏光ビームスプリッタ111で第1偏光ビームスプリッタ111を透過する第1偏光と第1偏光ビームスプリッタ111で反射される第2偏光に分離される。ここで、第1偏光はP偏光であり、第2偏光はS偏光であり得、その逆に具現されることもできる。
【0027】
この時、第1偏光ビームスプリッタ111を構成する面のうち第1面には第1ミラー112が設けられ、第1偏光ビームスプリッタ111を透過した第1偏光を第1偏光ビームスプリッタ111に反射する。ここで、第1面は入射光軸に垂直な面であり得る。反射された第1偏光は第1偏光ビームスプリッタ111で反射されて第2偏光ビームスプリッタ114に移動する。
【0028】
第1面に垂直な第2面には第2ミラー113が設けられ、第1偏光ビームスプリッタ111で反射される第2偏光を第1偏光ビームスプリッタ111に反射する。ここで、第2面は入射光軸に平行な面であり上面であり得る。反射された第2偏光は第1偏光ビームスプリッタ111を透過して第2偏光ビームスプリッタ114に移動する。
【0029】
分光偏光信号に高周波信号を生成するために、第1偏光ビームスプリッタ111を透過し、第1ミラー112で反射された後、再び第1偏光ビームスプリッタ111で上方に反射される第1偏光の光路長さと、第1偏光ビームスプリッタ111で反射された後第2ミラー113で反射される第2偏光の光路長さは差がある。すなわち、いずれか一つの光路長さが異なる一つの光路長さより概ね20~60μm長く形成することができる。この時、第1偏光の光路長さが長くてもよく、第2偏光の光路長さが長くてもよい。
【0030】
このような光路長さの差を発生させるために、第1偏光ビームスプリッタ111の第1面と第1ミラー112の間隔と、第1偏光ビームスプリッタ111の第2面と第2ミラー113の間の間隔に差をおいてもよい。すなわち、第1ミラー112と第2ミラー113のいずれか一つが他の一つより第1偏光ビームスプリッタ111の該当面から光路長さの差(概ね20~60μm)だけより離れていてもよい。
【0031】
しかし、光路長さの差は微細な差だけでも最終測定結果に相当な影響を及ぼし得る。したがって、製造誤差や外部温度など多様な要因によって発生し得る分光偏光測定装置での光路長さの差に関する誤差を、事前に行われるキャリブレーション過程により除去する必要がある。このようなキャリブレーション過程は最終的にスペクトロメータで測定される信号の大きさを最大化することによって分光偏光測定装置の測定性能ないし精密度を向上させることに寄与する。
【0032】
これのために本発明では、
図4に示すように、第1偏光ビームスプリッタ111の互いに異なる面に形成されたミラー112,113の少なくとも一つを可動ミラーとして具現することが好ましい。例えば、第1偏光ビームスプリッタ111の第1面に形成された第1ミラー112は第1偏光ビームスプリッタ111に対して固定された固定ミラーであり、第2面に形成された第2ミラー113は第1偏光ビームスプリッタ111に対して垂直な方向に変位できる可動ミラーであり得る。このように、第2ミラー113を可動ミラーとして具現して第1偏光ビームスプリッタ111との間隔を調節することによって光路長さの差を最適に設定することができる。
【0033】
この時、可動ミラーである第2ミラー113は電気的に縦方向変位(z軸変位)を制御できるように圧電素子上に設けられる。圧電素子とは圧力ないし変位が加えられるとき電気を発生する性質を有する素子、または電気が加えられるとき圧力ないし変位が発生する素子を通称する。特に、圧電素子が有する後者の特性が使用される。具体的には圧電素子はピエゾステージ(piezo-stage)で構成され、電気信号と関係なく固定される固定部材と、固定部材上に設けられ、電気信号に応じて伸縮/縮小される可動部材を含む。可動部材は位置に関係がなく同じ大きさだけ変位(伸縮/縮小)できる。または、可動部材はあらかじめ定められたいくつかの地点(2地点、3地点など)でのみ変位するようにすることもできるので、この場合は位置別の偏差によって可動ミラーの縦方向変位だけでなくチルト角まで微細に調節することができる。
【0034】
このように、第2ミラー113を可動ミラーとして具現して第1偏光ビームスプリッタ111との間隔を調節することによって光路長さの差が測定対象である反射試料200に合うように適応的に調節することができる。ただし、これに限らず、逆に第1ミラー112を可動ミラーとして設計したり、第1ミラー112および第2ミラー113をすべて可動ミラーとして設計することもできる。
【0035】
このように、互いに異なる経路により第1偏光ビームスプリッタ111で第2偏光ビームスプリッタ114に向かった第1偏光および第2偏光は複合波の形態で第1偏光ビームスプリッタ111に入射される。第2偏光ビームスプリッタ114に入射された複合波は第2偏光ビームスプリッタ114で反射されて測定端子102に出力され、測定端子102に出力された光は反射試料200に照射される。また、反射試料200に照射された光は反射試料200で反射されて再び測定端子102に入射される。
【0036】
測定端子102に入射された光は、第2偏光ビームスプリッタ114を透過して光出力端子103を介してスペクトロメータに伝達され得る。スペクトロメータは例えばセンサアレイタイプであり得、反射試料200の分光偏光情報を示すストークスベクトルをスナップショット方式で(リアルタイムおよび高速で)測定できる。これにより最終的に反射試料200の材質、厚さのような物性値を得ることができる。
【0037】
測定端子102はプローブ(probe)と連結され得る。プローブは接続端子、プローブアーム(probe arm)およびプローブヘッドを含み、接続端子は測定端子102に対して着脱可能なように構成されることができる。プローブアームは内部に光が伝導され得る光ファイバーないし光ケーブルを含み、曲がった状態に維持できる材質の外部被覆をさらに含む。したがって、ユーザーはプローブアームを曲げることによってプローブヘッドの位置を自由に調整することができる。プローブヘッドはプローブアームで接続端子の反対側に設けられ、反射試料200に光を出力したり反射試料200で反射された光を収容する構成要素である。プローブヘッドはその末端にレンズなど追加的な光学系をさらに備えることができる。このように、光ファイバーないし光ケーブルは光伝導において両方向性を有するように構成することができる。ただし、これに限らず、一方向性を有する2個の光ファイバーないし光ケーブルを使用することも可能であることはもちろんである。このようにプローブを分光偏光測定装置100に着脱可能にすることによって、試料測定環境によって多様な長さおよび種類のプローブを使用できる長所がある。
【0038】
偏光干渉計110は
図5のように、入力光学系116または出力光学系117(線形偏光子117)をさらに含み得る。光源として白色光源を用いる場合、入力された光が平行光に変換されて第1偏光ビームスプリッタ111に入射されなければならないため、入力光学系116を介して光を平行光に変換することができる。入力光学系116は例えば、コリメーティングレンズ116a(collimating lens)、線形偏光子116b(Linear Polarizer)およびアイリス116c(iris)で構成されることができる。
【0039】
具体的には、光入力端子101を介して入力された光はコリメーティングレンズ116aで平行光に変換される。この平行光は線形偏光子116bで45°方向に線形偏光され得る。また、アイリス116cは線形偏光子116bを通過した線形偏光の大きさを調節する。アイリス116cにより適正大きさに調節された線形偏光は第1偏光ビームスプリッタ111に入射される。
【0040】
また、測定端子102に入射された光は、第2偏光ビームスプリッタ114を透過して出力光学系117を介してスペクトロメータに伝達され得る。測定端子102に他の経路を介して入射された2個の光は結局干渉光の形態で出力光学系117に入射される。出力光学系117は代表的に線形偏光子を含み得るが、これに限らず、追加的なレンズなどの光学系を含むこともできる。例えば、第2偏光ビームスプリッタ114から伝達された干渉光は45°方向に線形偏光させるための線形偏光子117を透過した後光出力端子103を介してスペクトロメータに伝達され得る。
【0041】
図6aは本発明の第1実施形態による分光偏光測定装置100の具体的な構成を示す図面であり、
図7および
図8は斜視図である。分光偏光測定装置100は光源着脱部130、光源着脱部130に着脱されて交換可能な光源120、および偏光干渉計110を含み、偏光干渉計110から出射される光の移動距離を確保できるように出力光学系140を含み得る。また、スペクトロメータ150をさらに含み得る。
【0042】
光源着脱部130には光源120の着脱が可能であり、光源120は光源着脱部130に着脱結合する。光源120は光源着脱部130と差し込み形式またはボルト-ナットメカニズムを用いて着脱結合できる。
図7のように、光源着脱部130に光源120が挿入される溝が形成され、光源120には雄ねじが形成され、光源着脱部130に雌ねじが形成されて着脱結合できる。その他にも光源120が着脱結合するように光源着脱部130に多様な構造が形成されることができる。光源着脱部130は偏光干渉計110と一体型で形成されるか、それぞれモジュール化されて結合され得る。光源着脱部130には入力光学系が形成されることもできる。光源120として直進光のみを用いる場合には入力光学系は形成されなくてもよい。
【0043】
偏光干渉計110は光源着脱部130を介して光源120から放出された光が入射される。偏光干渉計110は第1偏光ビームスプリッタを用いて入射された光を第1偏光および第2偏光に分離し、第1ミラー112および第2ミラー113を用いて第1偏光および第2偏光を光路長さの差を発生させて干渉を発生するようにする。第1ミラー112および第2ミラー113は
図6bのように位置が互いに反対であり得る。
【0044】
第1偏光および第2偏光の複合波は第2偏光ビームスプリッタ114に移動し、第2偏光ビームスプリッタ114で反射されて測定端子を介して反射試料に照射される。反射試料で反射されて入力された光は第2偏光ビームスプリッタ114を透過して出力光学系140に出射される。
【0045】
出力光学系140を通過した光はスペクトロメータ150に入射され、スペクトロメータ150は出力光学系140を介して入射される光を分析して反射試料の物性値を測定する。
【0046】
図9は本発明の実施形態による分光偏光測定装置の内部透視図である。光源着脱部130の内部に
図9のように、入力光学系116が形成され得、偏光干渉計の第1ミラー112および第2ミラー113は
図9のように形成され得、出力光学系140の内部には線形偏光子117が形成されることができる。
【0047】
一方、入力光学系116や出力光学系140とは別に、第1偏光ビームスプリッタ111と第1ミラー112の間、そして第1偏光ビームスプリッタ111と第2ミラー113の間にはそれぞれ偏光子、偏光レンズのような光学系がさらに備えられる。
【0048】
分光偏光測定装置の好ましい性能を具現するためには、入出力光学系116,140と、第1ミラー112および第2ミラー113の付近にそれぞれ配置された2個の光学系には互いに異なる角度で偏向した線形偏光子などがそれぞれ配置されるようにする必要がある。例えば、入力光学系116および出力光学系140に備えられた線形偏光子などが有する偏光角は45°であり、第1ミラー112の付近に配置された線形偏光子が有する偏光角は90°であり、第2ミラー113の付近に配置された線形偏光子が有する偏光角は0°で構成されることができる。
【0049】
図9に示すように、入力光学系116に含まれる線形偏光子はブラケット118aに、出力光学系140に含まれる線形偏光子はブラケット118dに、第1ミラー112の付近に配置される線形偏光子はブラケット118cに、第2ミラー113の付近に配置される線形偏光子はブラケット118bそれぞれ設けられる。この時、それぞれの線形偏光子は設定された偏光角に合わせて設置方向を決めた後該当ブラケット内に設けられる。
【0050】
以上で説明した分光偏光測定装置を用いて連続的に供給されるロールトゥロール反射試料を効率的に測定するために、分光偏光測定装置は据置台ないしガントリに設けられる。ガントリ上で分光偏光測定装置が横方向に移動可能なように設けることによって反射試料の多様な位置での測定が可能である。
【0051】
ガントリの上部横断支持台に分光偏光測定装置を据え置くときには測定端子が下へ向かうように設けられる。ガントリに設けられて反射試料を測定する場合、反射試料は好ましくは、二つのローラ間で移送される可撓性基板のような連続的に移送される試料である。このような反射試料はある程度の横方向大きさを有するので、あらかじめ裁断された試料に比べて、連続的な多地点の測定が必要である。連続的に供給される反射試料は特定の横方向位置にある分光偏光測定装置によって瞬時的に測定され得る。この時、第1位置に据え置かれた分光偏光測定装置は測定端子を介して反射試料の第1地点を測定できるが、ユーザーは必要に応じてその位置を横方向に移動して反射試料の第2地点を測定することもできる。このような横方向位置の移動は任意の位置にも可能であるが、あらかじめ定められた離隔した位置(discrete positions)に正確に置かれられるようにすることもできる。この時には横断支持台の横方向の該当位置に固定型または移動型ストッパ(図示せず)を備えることによって分光偏光測定装置の定位置を案内することもできる。分光偏光測定装置を上部横断支持台に据え置いて反射試料の上面を測定することを例示したが、これに限らず、前述の装置を下部横断支持台に据え置いて反射試料の下面を測定することも可能である。この場合には、分光偏光測定装置は下方で上側を測定しなければならないので、上下対称の形態で下部横断支持台に据え置かれなければならない。
【0052】
一方、分光偏光測定装置の測定端子と反射試料の間の距離も、スペクトロメータで分析される信号の強度に影響を与えるので、最適に決定される必要がある。したがって、追加的に上部横断支持台がある程度の範囲で昇降できる構造(例:リニアモータ、リードスクリューなど)が提供され得、これにより測定端子と反射試料の間の最適な距離を調節することも可能である。また、他の位置にあらかじめ複数の分光偏光測定装置を配置して反射試料の複数の地点を一度に測定することも可能である。
【0053】
これまで本発明の第1実施形態による分光偏光測定装置について説明した。以下では第2実施形態による分光偏光測定装置について説明する。
【0054】
図10は本発明の第2実施形態によるモジュール化された一体型偏光干渉計(polarization interferometer,1200)の概念図である。偏光干渉計1200は光源から照射される光を入射する光入力端子1201、偏光干渉計1200から光を分光計(spectrometer)に出射する光出力端子1203および二つの端子1201,1203を取り付けたハウジング1205を含んで構成されることができる。このように、偏光干渉計1200は光源や分光計から着脱可能なハウジング1205で構成されるためにモジュール性、小型化が可能になる。
【0055】
図11に示すように、
図10の偏光干渉計1200は光源1110および分光計1120とともに分光偏光測定装置1090内にパッケージ化される。この時、光源1110の光源端子1101と偏光干渉計1200の光入力端子1201の間、そして偏光干渉計1200の光出力端子1203と分光計1120の分光計端子1103の間には、光を伝達する媒体として光ファイバー(optical fiber)ないし光ケーブル(optical cable)が連結され得る。
【0056】
この時、偏光干渉計1200は光源1110から放出された光を、偏光ビームスプリッタを用いて複数の偏光に分離し、分離された偏光のうち少なくとも一部を反射試料に照射して反射された光を出力する。このように出力された光は分光計1120に提供され、分光計1120は前記出力された光を分析して反射試料の物性値を測定する。
【0057】
光源1110としては白色光源(white light source)、例えば10Wタングステン-ハロゲンランプ(10W Tungsten-Halogen lamp)を用いるが、これに限らず、他の種類の光源を用いることも可能である。また、分光計1120は、韓国特許第1812608号公報でも言及されたように、スナップショット(snapshot/single shot)方式で測定対象になる反射試料の分光偏光情報を示すストークスベクトル(Stokes vector)をリアルタイム/高速で測定するための装置で構成されることができる。したがって、分光偏光測定装置1090は機械的回転機構や電気的な変調素子を用いず、単一の干渉分光データのみにより波長に対する情報を有するストークスベクトル(Stokes vector)をリアルタイムで測定できる。
【0058】
図12は本発明の他の実施形態による分光偏光測定装置1150の細部的な構成を示すブロック図である。
図11と同様に、分光偏光測定装置1150は光源1110、分光計1120および偏光干渉計1200を含んで構成されることができる。ただし、ここでは光源1110と分光計1120は統合アセンブリ1100内に共にパッケージ化できる。この場合には
図11の実施形態のように光源1110と分光計1120をそれぞれ偏光干渉計1200と連結することなく、統合アセンブリ1100と偏光干渉計1200の間の結合だけで両者が偏光干渉計1200に自然に連結される。この時、光源1110の光源端子1101は偏光干渉計1200の光入力端子1201と、分光計1120の分光計端子1103は偏光干渉計1200の光出力端子1203と結合される。
【0059】
このような統合アセンブリ1100と結合される偏光干渉計1200は反射計(reflectometer)タイプで構成されることができる。前記偏光干渉計1200は光入力端子1201、入力光学系1211a,1211b,1211c、第1偏光ビームスプリッタ1220、第2偏光ビームスプリッタ1230、出力光学系1241、光出力端子1203および測定端子1202を含んで構成されることができる。
【0060】
光入力端子1201は光源1110から照射されて伝達される光を入射する。入射された光は入力光学系1211a,1211b,1211cを経て第1偏光ビームスプリッタ1220に入射される。このような入力光学系1211a,1211b,1211cは例えば、コリメーティングレンズ1211a(collimating lens)、線形偏光子1211b(Linear Polarizer)およびアイリス1211c(iris)で構成されることができる。
【0061】
具体的には、光入力端子1201を介して入力された光はコリメーティングレンズ1211aで平行光に変換される。この平行光は線形偏光子1211bで45°方向に線形偏光され得る。また、アイリス1211cは線形偏光子1211bを通過した線形偏光の大きさを調節する。アイリス1211cにより適正の大きさに調節された線形偏光は第1偏光ビームスプリッタ1220に入射される。
【0062】
入射された光は第1偏光ビームスプリッタ1220で分離する。この時、第1偏光ビームスプリッタ1220を構成する面のうち2個の面には2個のミラー1221,1222が設けられている。第1偏光ビームスプリッタ1220は、P偏光は透過させて第1ミラー1221(固定ミラー1221)に入射させ、S偏光は反射して第2ミラー1222(可動レンズ1222,可動ミラー1222)に入射させる。具体的には、第1ミラー1221は第1偏光ビームスプリッタ1220の一側面(入射光軸に垂直な面)に付着してP偏光を反射し、第2ミラー1222は第1偏光ビームスプリッタ1220の上面(入射光軸に平行な面)に付着してS偏光を反射することができる。
【0063】
分光偏光信号に高周波信号を生成するために、第1偏光ビームスプリッタ1220を透過して第1ミラー1221で反射された後、再び第1偏光ビームスプリッタ1220で上方に反射されるP偏光の光路長さと、第1偏光ビームスプリッタ1220で反射された後第2ミラー1222で反射されるS偏光の光路長さは差がある。すなわち、いずれか一つの光路長さが異なる光路長さより概ね20~60μm長く形成することができる。この時、P偏光の光路長さが長くてもよく、S偏光の光路長さが長くてもよい。
【0064】
このような光路長さの差を発生させるために、第1偏光ビームスプリッタ1220の第1面と第1ミラー1221の間隔と、第1偏光ビームスプリッタ1220の第2面と第2ミラー1222間の間隔に差を置くことができる。すなわち、第1ミラー1221と第2ミラー1222のいずれか一つが他の一つより第1偏光ビームスプリッタ1220の該当面から前記光路長さの差(概ね20~60μm)だけさらに離れていてもよい。
【0065】
しかし、光路長さの差は微細な差だけでも最終測定結果に相当な影響を及ぼし得る。したがって、製造誤差や外部温度など多様な要因によって発生し得る分光偏光測定装置1150での光路長さの差に関する誤差を、事前に行われるキャリブレーション過程により除去する必要がある。このようなキャリブレーション過程は最終的に分光計1120で測定される信号の大きさを最大化することによって分光偏光測定装置1150の測定性能ないし精密度を向上させることに寄与する。
【0066】
これのために本発明では、
図13に示すように、第1偏光ビームスプリッタ1220の互いに異なる面に形成されたミラー1221,1222の少なくとも一つを可動ミラーとして具現することが好ましい。例えば、第1偏光ビームスプリッタ1220の側面に形成された第1ミラー1221は第1偏光ビームスプリッタ1220に対して固定された固定ミラーであり、その上面に形成された第2ミラー1222は第1偏光ビームスプリッタ1220の上面に対して垂直な方向に変位できる可動ミラーである。このように、第2ミラー1222を可動ミラーとして具現して第1偏光ビームスプリッタ1220との間隔を調節することによって光路長さの差を最適に設定することができる。ただし、これに限らず、逆に第1ミラー1221を可動ミラーとして設計したり、第1ミラー1221および第2ミラー1222をすべて可動ミラーとして設計することもできる。可動ミラーの操作に係るより具体的な内容は以後の図面を参照して後述する。
【0067】
結果的に、P偏光は再び第1偏光ビームスプリッタ1220で反射されて第2偏光ビームスプリッタ1230側へ向かい、S偏光は再び第1偏光ビームスプリッタ1220を透過して第2偏光ビームスプリッタ1230側へ向かうことになる。したがって、P偏光およびS偏光は複合波の形態で第2偏光ビームスプリッタ1230に入射される。
【0068】
第2偏光ビームスプリッタ1230に入射された前記複合波は第2偏光ビームスプリッタ1230で反射されて測定端子1202に出力され、測定端子1202に出力された第2偏光は反射試料1050に照射される。また、反射試料1050に照射された光は反射試料1050で反射されて再び測定端子1202に入射される。
【0069】
測定端子1202に入射された光は、第2偏光ビームスプリッタ1230を透過して出力光学系1241に伝達される。このように他の経路により入射された2個の光は結局干渉光の形態で出力光学系1241に入射される。出力光学系1241は代表的に線形偏光子を含み得るが、これに限らず、追加的なレンズなどの光学系を含むこともできる。例えば、第2偏光ビームスプリッタ1230から伝達された干渉光は45°方向に線形偏光させるための線形偏光子1211bを透過した後光出力端子1203を介して分光計1120に伝達され得る。分光計1120は例えばセンサアレイタイプであり得、反射試料1050の分光偏光情報を示すストークスベクトルをスナップショット方式で(リアルタイムおよび高速で)測定できる。これにより最終的に反射試料1050の材質、厚さのような物性値を得ることができる。
【0070】
図14aないし
図14cは本発明の第2実施形態による統合アセンブリ1100と結合される偏光干渉計1200を多様な角度から見た図である。偏光干渉計1200は統合アセンブリ1100と結合される光入力端子1201および光出力端子1203を左側面に備えており、内部の構成要素を収容するケースないしハウジング1205を備える。
【0071】
この時、偏光干渉計1200の平面図を示す
図14aを参照すると、光入力端子1201の位置と光出力端子1203の位置の間には光入力軸ないし光出力軸方向(以下光軸方向という)に一定の距離だけ段差dが形成される。特に、光出力端子1203より光入力端子1201が突出した位置に配置される。このような段差は統合アセンブリ1100と偏光干渉計1200の間の結合をより堅固にするだけでなく、統合アセンブリ1100が光源1110に比べてサイズが大きい分光計1120をより効率的に収容できるようにする。
【0072】
また、
図14bを参照すると、ハウジング1205は例えば前面カバー1205aと後面ケーシング1205bで構成されている。したがって、偏光干渉計1200全体を分解せずとも前面カバー1205aのみを開放することだけでも内部の構成要素の設置や補修が可能である。そして、ハウジング1205の上面には他の部分に比べて上方に延びて開口部1207を有する突出部1208が形成されることができる。このような突出部1208はその内部に可動レンズ(
図13の1222)を収容し、開口部1207を介してユーザーが可動レンズ1222の操作具1224を操作できるようにする。ユーザーは前記操作具1224を、例えば回転させる操作により可動レンズ1222を上下方向に移動させながらその最適位置を調節することができる。
【0073】
次に
図14cを参照すると、偏光干渉計1200で段差が形成された2個の左側面にはそれぞれ開口部1207,1209が形成され、このような開口部1207,1209を介して光入力端子1201および光出力端子1203が外部に露出する。このような光入出力端子1201,1203は光を透過する透明ガラスや、特別な機能を有するその他光学部材で構成されることができる。
【0074】
図15aおよび
図15bは前述した偏光干渉計1200が統合アセンブリ1100と結合される形態を示す図である。
図15aに示すように、偏光干渉計1200の左側面の段差は統合アセンブリ1100の段差と対応するように構成されている。すなわち、統合アセンブリ1100の段差は偏光干渉計1200の段差と逆に上側の光源1110側よりは下側の分光計1120側がより突出している。したがって、統合アセンブリ1100の上側開口部1107を介して外部に露出する光源1110の光源端子1101と、下側開口部1109を介して外部に露出する分光計1120の分光計端子1103は、偏光干渉計1200の光入力端子1201および光出力端子1203とそれぞれ整列する。もちろん、本発明で上下または左右の概念は相対的なものに過ぎないので、基準方向によって表現が変われるのは自明である。
【0075】
このような対応する形状間の結合によって、偏光干渉計1200と統合アセンブリ1100の間の定位置結合が容易になるだけでなく、結合時全体的に長方形形状を備えてコンパクトな形状および大きさを有するので、分光偏光測定装置1150の小型化および移動性を高めることができる。
【0076】
図16aは
図14bに示される偏光干渉計1200の前面カバー1205aを除去して見た正面図であり、
図16bは
図16aで隠れた構成要素まで隠線で表す図である。また、
図16cは
図16aを他の方向から見た斜視図である。
【0077】
図16aを参照すると、偏光干渉計1200には光入力端子1201、光出力端子1203、入力光学系1211、出力光学系1241、第1偏光ビームスプリッタ1220および第2偏光ビームスプリッタ1230とともに備えられる光学系1243,1245を堅固に固定するために多様なブラケット1071,1072,1073,1074,1075,1076が備えられる。このようなブラケット(1071ないし1076)は後面ケーシング1205bから垂直方向に突出するように後面ケーシング1205bに設けられる。追加的に、偏光干渉計1200には可動ミラー1222をホールディングするための第1ホルダ1081、固定ミラー1221をホールディングするための第2ホルダ1083、および入力光学系1211と出力光学系1241を追加的にホールディングするための第3ホルダ1085が備えられる。このようなブラケットやホルダは後面ケーシング1205bにねじ結合されたり、その他に知られている多様な方式で結合されることができる。
【0078】
一方、入力光学系1211や出力光学系1241とは別に、第1偏光ビームスプリッタ1220と可動ミラー1222の間、そして第1偏光ビームスプリッタ1220と固定ミラー1221の間にはそれぞれ偏光子、偏光レンズのような光学系1243,1245がさらに備えられる。
【0079】
本発明の第2実施形態によれば、偏光干渉計1200の好ましい性能を具現するためには、入出力光学系1211,1241と、可動ミラー1222および固定ミラー1221の付近にそれぞれ配置された2個の光学系1243,1245には互いに異なる角度で偏向した線形偏光子などがそれぞれ配置されるようにする必要がある。例えば、入力光学系1211および出力光学系1241に備えられた線形偏光子などが有する偏光角は45°であり、可動ミラー1222の付近に配置された線形偏光子が有する偏光角は90°であり、固定ミラー1221の付近に配置された線形偏光子が有する偏光角は0°で構成されることができる。
【0080】
図16aに示すように、入力光学系1211に含まれる線形偏光子はブラケット1073に、出力光学系1241に含まれる線形偏光子はブラケット1076に、可動ミラー1222の付近に配置される線形偏光子はブラケット1074に、固定ミラー1221の付近に配置される線形偏光子はブラケット1075にそれぞれ設けられる。この時、それぞれの線形偏光子は設定された偏光角に合わせて設置方向を決めた後該当ブラケット内に設けられる。
【0081】
図16bおよび
図16cを参照すると、後面ケーシング1205bの上面に形成された突出部1208には上方に貫通した開口部1207が備えられる。開口部1207を介して、ユーザーは可動レンズ1222をレンズ収容部1223に対して上下に調節可能にする操作具1224を操作することができる。操作具1224は例えば、レンズ収容部1223に対してねじ結合されており、ユーザーは操作具1224の回転操作により可動レンズ1222を上下方向に調節することができる。ただし、操作具1224はこれに限らず、電気制御によって可動レンズ1222を直線方向に変位させるリニアモータやピエゾステージなどによって具現することもできる。
【0082】
このような後面ケーシング1205bの上面から延びた突出部1208の存在は、可動レンズ1222をコンパクトな方式で収容するとともに、ユーザーが容易に可動レンズ1222の位置を調節できるようにすることに寄与する。
【0083】
図17は偏光干渉計1200の内部で光入出力および干渉過程を示すための図である。光源から入射された光Aは先に入力光学系1211を経て第1偏光ビームスプリッタ1220に入射され、入射された光の一部B1は上側の可動ミラー1222に向かい、他の一部B2は右側の固定ミラー1221に向かう。したがって、光の一部B1は可動ミラー1222で、光の他の一部B2は固定ミラー1221で反射されて再び第1偏光ビームスプリッタ1220に入射された後、光路差を有する状態で重なり複合波の形態で第2偏光ビームスプリッタ1230に入射される。
【0084】
第2偏光ビームスプリッタ1230に入射された光Cは反射試料1050に向かい出射された後、反射試料1050で反射されて再び第2偏光ビームスプリッタ1230に戻る(D)。戻ってきた光Dは出力光学系1241を経て最終的に分光計1120側に出射される(E)。
【0085】
以上で説明した分光偏光測定装置1150を用いて連続的に供給されるロールトゥロール反射試料1050(フィルム型反射試料1050)を効率的に測定するためには、分光偏光測定装置1150を据え置きできる据置台ないしガントリの設置が必要である。
【0086】
図18aは本発明の第2実施形態による分光偏光測定装置1150が据え置かれるガントリ1300(gantry)を示す斜視図であり、
図18bはガントリ1300およびそこに据え置かれた分光偏光測定装置1150を含む分光偏光測定システム1400を示す斜視図である。分光偏光測定装置1150はガントリ1300上で横方向に移動可能であるため反射試料1050の多様な位置での測定が可能である。
【0087】
ガントリ1300は例えば、フィルム型反射試料1050の上部および/または下部に横方向に延びた横断支持台1310,1320とこのような横断支持台1310,1320を垂直方向に支持する2個のレッグ部1330a,330bを含む。また、横断支持台1310,1320は横方向に延びた2個のガイドレール1311,1312と、その間で横方向に長く形成されたスロット1313と、スロット1313に据え置かれる分光偏光測定装置1150が下方に離脱しないようにするためにスロット1313の内部に若干突出したタン突起部1315を含んで構成されることができる。
【0088】
このようなガントリ1300の上部横断支持台1310に分光偏光測定装置1150を据え置く時には測定端子1202が下へ向かい、統合アセンブリ1100は偏光干渉計1200の上方に位置する。
【0089】
一方、反射試料1050は好ましくは、二つのローラR1,R2の間で移送される可撓性基板のような連続的に移送される試料である。このような反射試料1050はある程度の横方向大きさを有するので、あらかじめ裁断された試料に比べて連続的な多地点の測定が必要である。
【0090】
図18cを参照すると、連続的に供給される反射試料1050は特定の横方向位置にある分光偏光測定装置1150により瞬時的に測定できる。この時、第1位置に据え置かれた分光偏光測定装置1150は測定端子1202を介して反射試料1050の第1地点P1を測定できるが、ユーザーは必要に応じてその位置を横方向に移動して反射試料1050の第2地点P2を測定することもできる。このような横方向位置移動は任意の位置にも可能であるが、あらかじめ定められた離隔した位置(discrete positions)に正確に置かれられるようにすることもできる。この時には横断支持台の横方向の該当位置に固定型または移動型ストッパ(図示せず)を備えることによって分光偏光測定装置1150の定位置を案内することもできる。
【0091】
図18bおよび
図18cでは分光偏光測定装置1150を上部横断支持台1310に据え置いて反射試料1050の上面を測定することを例示したが、これに限らず、分光偏光測定装置1150を下部横断支持台1320に据え置いて反射試料1050の下面を測定することも可能である。この場合には、分光偏光測定装置1150は下方で上側を測定しなければならないので、
図18cとは上下対称の形態で下部横断支持台1320に据え置かれなければならない。
【0092】
一方、分光偏光測定装置1150の測定端子1202と反射試料1050の間の距離hも、分光計1120で分析される信号の強度に影響を与えるので、最適に決定される必要がある。したがって、追加的に上部横断支持台1310がある程度の範囲で昇降できる構造(例:リニアモータ、リードスクリューなど)が提供されることができ、これにより測定端子1202と反射試料1050の間の最適な距離hを調節することも可能である。
【0093】
また、
図18bおよび
図18cに示された実施形態では、一つの分光偏光測定装置1150をガントリ1300上で移動することを例に挙げて説明したが、これに限らず、スロット1313上の他の位置にあらかじめ複数の分光偏光測定装置1150を配置して反射試料1050の複数の地点を一度に測定することも可能である。
【0094】
以上で本発明の第1実施形態および第2実施形態による分光偏光測定装置について説明した。しかし、第1実施形態で
図4と第2実施形態の
図13を参照すると、光路長さの差を発生させるために、偏光ビームスプリッタの第1面と第1ミラーの間隔と、偏光ビームスプリッタの第2面と第2ミラーの間の間隔に差を置く必要がある。すなわち、第1ミラーと第2ミラーのいずれか一つが他の一つより偏光ビームスプリッタの該当面から前記光路長さの差(概ね20~60μm)だけさらに遠くまたは近くに位置できる。
【0095】
しかし、光路長さの差は微細な差だけでも最終測定結果に相当な影響を及ぼし得る。したがって、製造誤差や外部温度など多様な要因によって発生し得る偏光干渉計での光路長さの差に関する誤差を除去し、分光計で最も大きい信号強度を得ることができる最適な光路長さの差値(以下、光路差という)を提供する必要がある。これは最終的に分光計で測定される信号強度を最大化することによって分光偏光系の測定性能ないし精密度を向上させることに寄与する。
【0096】
これのために本発明では、
図19aのPBS組立体220で示すように、偏光ビームスプリッタ225の互いに異なる面に形成されたミラー50,60の少なくとも一つを可動ミラーとして具現することが好ましい。例えば、偏光ビームスプリッタ225の側面に形成された第2ミラー70は偏光ビームスプリッタ225に対して固定された固定ミラーであり、その上面に形成された第1ミラー50(可動ミラー50)は偏光ビームスプリッタ225の上面に対して垂直な方向に変位できる可動ミラーである。このように、第1ミラー50を可動ミラーとして具現して偏光ビームスプリッタ225との間隔を調節することによって光路長さの差を最適に設定することができる。ただし、これに限らず、逆に
図19bに示されたPBS組立体320のように、第1ミラー40を固定ミラーとし、第2ミラー70を可動ミラーとして設計することもできる。
【0097】
または
図19cに示されたPBS組立体420のように、第1ミラー50および第2ミラー70すべてを可動ミラーとして設計することもできる。このような可動ミラーの可動を自動で制御することに関するより具体的な内容は以後の図面を参照して後述する。
【0098】
図20aないし
図20cは電気信号によって変位が制御される可動ミラーを有するPBS組立体220’を例示した図である。偏光ビームスプリッタ225には
図19aで前述した通り上面に可動ミラー50が配置され、一側面に固定ミラー60(第2のミラー60)が付着している。
【0099】
この時、可動ミラー50は電気的に縦方向変位(z軸変位)を制御できるように圧電素子55(ピエゾステージ55)上に設けられる。圧電素子55とは圧力ないし変位が加えられるとき電気を発生する性質を有する素子、または電気が加えられるとき圧力ないし変位が発生する素子を通称する。特に、本発明では圧電素子55が有する後者の特性が使用される。具体的には圧電素子55はピエゾステージ(piezo-stage)で構成され、電気信号と関係なく固定される固定部材57と、固定部材57上に設けられ、電気信号に応じて伸縮/縮小される可動部材53を含む。可動部材53は位置に関係がなく同じ大きさだけ変位(伸縮/縮小)できる。または可動部材53はあらかじめ定められたいくつかの地点(2地点、3地点など)でのみ変位するようにすることもできるので、この場合には位置別偏差によって可動ミラー50の縦方向変位だけでなくチルト角まで微細に調節される。
【0100】
図20cに示されたPBS組立体220’の断面図を参照すると、偏光ビームスプリッタ225の上下左右にはそれぞれ光が通過できる開口部226a,226b,226c,226dが備えられる。また、偏光ビームスプリッタ225の内部には対角線を横切って45度に配置される半透過板227が備えられる。半透過板227は開口部を介して水平または垂直方向に光が入射されるとき入射された光の一部は透過して一部は反射するハーフミラー形態で具現されることができる。
【0101】
偏光ビームスプリッタ225の右側面には固定ミラー60が固定配置され、右側開口部226dは固定ミラー60の内部に設けられた反射面61と整列している。
【0102】
また、偏光ビームスプリッタ225の上面に形成された開口部226aは、ピエゾステージ55の固定部材57に形成された中空部58、ピエゾステージ55の可動部材53に形成された中空部54および可動ミラー50の反射面51と一列に整列している。したがって、可動ミラー50は可動部材53とともに縦方向に可動しながらも反射面51に入射される光の経路には障害がない。
【0103】
このような可動部材53の可動により、可動ミラー50が可動すれば、可動ミラー50で反射された光と固定ミラー60で反射された光の間に発生する分光偏光光路差は可変する。本発明の一実施形態によれば、信号強度を最大化するための光路差の大きさとこれのための可動ミラー50の変位値を自動で決め、決定された変位値で可動ミラー50を自動で制御することが好ましい。
【0104】
図21は本発明の一実施形態による分光偏光測定装置の光路差自動調整装置600のブロック図である。光路差自動調整装置600は光を放出する光源610と、放出された光を偏光ビームスプリッタ225を用いて複数の偏光に分離し、分離された偏光のうち少なくとも一部を対象試料に透過したり反射させて取得された光を出力する偏光干渉計630と、出力された光を分析して対象試料の物性値を測定する分光計620を含む。
【0105】
ここで、偏光干渉計630は、光源610で照射される光を入射する光入力端子601と、入射された光を分離する偏光ビームスプリッタ225と、偏光ビームスプリッタ225の第1面に設けられ、偏光ビームスプリッタ225を透過した第1偏光を偏光ビームスプリッタ225に反射する第1ミラー50と、第1面に垂直に偏光ビームスプリッタ225の第2面に付着し、偏光ビームスプリッタ225で反射された第2偏光を偏光ビームスプリッタ225に反射する第2ミラー60と、第1偏光および第2偏光が複合して生成された複合波が対象試料で透過したり反射されて得られた光を分光計620に出射する光出力端子603を含む。
【0106】
分光偏光測定装置の光路差自動調整装置600はまた、分析された光の信号強度を算出する信号分析部650と、偏光干渉計630の一側に設けられ、電気信号に応じて変位が変化する圧電素子55と、算出された信号強度に基づいて圧電素子55の変位量を決定し、決定された変位量で圧電素子を制御する圧電素子コントローラ670をさらに含む。
【0107】
この時、第1ミラーおよび第2ミラーのうち少なくとも一つは圧電素子55上に設けられ、決定された変位量だけ縦方向に可動する。例えば、前記圧電素子55は第1ミラーおよび第2ミラーのいずれか一つにのみ設けられてもよく、第1ミラーおよび第2ミラーすべてに設けられてもよい。
【0108】
信号分析部650は光の信号強度を算出するために、インタフェログラム(interferogram)の正規化された信号を用いることができる。インタフェログラムとは、光路差による干渉光強度の変化を光路差の関数として測定記録したものを意味する。干渉光の強度は、干渉計に入射した光のスペクトルと変化する光路差(x)の関数で決定され得、特にこの関数のうち光路差(x)に応じて変化する成分をインタフェログラムという。
【0109】
図22は本発明の一実施形態によるインタフェログラム関数83の一例を示す図である。インタフェログラム関数は光路差(x)に応じて可変され、特定位置(x)での値は信号強度を意味すると見ることができる。インタフェログラム関数83は正規化された関数81に変換して表現されることもできる。このようなインタフェログラム関数83または正規化された関数81を用いると信号強度が最大になる光路差x0を算出することができる。
【0110】
圧電素子コントローラ670は算出された光路差x0を示す圧電素子55の変位量、すなわち可動ミラー50の変位量を決定し、決定された変位量で圧電素子55を制御する。このような変位量で圧電素子55を可動するためには実際に圧電素子55に加えられる電圧値が制御される。ただし、変位量と電圧値間の相関関係は圧電素子55の仕様によって異なるので、両者の関係を示すマッピングテーブルを参照して変位量を調節することができる。このような信号強度測定およびそれに伴う圧電素子の制御は一度のプロセスで完了することもできるが、所定の精密度が確保されるまで数回のプロセスが繰り返されるフィードバック方式で制御されることもできる。
【0111】
以上では可動ミラー50の縦方向(光軸方向)変位量を調節する実施形態について説明した。しかし、これに限らず、可動ミラー50縦方向変位量とともに、チルト制御(光軸に垂直な軸に対する可動ミラー50の回転動き制御)も共に遂行できる。例えば、光軸方向への変位量調節だけでは十分な信号強度が得られない場合、例えば加工誤差や温度/湿度変化などに応じて可動ミラー50が光軸に対して多少傾く場合には、チルト制御も共に伴う必要がある。
【0112】
図23はこのような縦方向変位量制御およびチルト制御を共に行うための、変形されたサブステージ55a,55bを有するPBS組立体220”の斜視図である。PBS組立体220”は
図20aのPBS組立体220’とほぼ同様の構成であるが、サブステージ55a,55bが2個のペアで構成されていることのみ差がある。
【0113】
ピエゾステージはそれぞれ複数の領域を担当するサブステージ55a,55bを含み、サブステージ55a,55bの差等を制御することにより、ピエゾステージ55上に設けられた可動ミラー50が光軸に垂直な軸axを中心にチルト制御される。
【0114】
例えば、第1サブステージ55aの固定部材57a上に位置した可動部材53aの縦方向変位量をh1といい、第2サブステージ55bの固定部材57b上に位置した可動部材53bの縦方向変位量をh2というと、可動ミラー50の縦方向変位は(h1+h2)/2になり、可動ミラー50のチルト角度はarctan(|h1-h2|/d)になる。ここでdは可動ミラー50の直径を示す。
【国際調査報告】