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特表2022-536083スポドプテラ(Spodoptera)の防除
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(54)【発明の名称】スポドプテラ(Spodoptera)の防除
(51)【国際特許分類】
   A01N 63/50 20200101AFI20220804BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220804BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220804BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220804BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20220804BHJP
   C12N 5/04 20060101ALI20220804BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220804BHJP
   A01H 6/46 20180101ALI20220804BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20220804BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
A01N63/50
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/21
C12N1/20 E
C12N5/04
C12N5/10
A01H6/46
C12N15/31
A01P7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571908
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 US2020035876
(87)【国際公開番号】W WO2020247465
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】62/857,504
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520222106
【氏名又は名称】シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ クラレンス マイケル
【テーマコード(参考)】
2B030
4B065
4H011
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB03
2B030AD04
2B030CA17
2B030CB03
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA26X
4B065AA89X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA48
4B065CA53
4H011AC01
4H011BB21
4H011DA13
(57)【要約】
植物有害生物を防除するための方法が開示される。特に、スポドプテラ(Spodoptera)害虫に対する毒性を有する殺虫性タンパク質が提供される。殺虫性タンパク質をコードする、植物での発現のために最適化されたコドンを含むポリヌクレオチドも提供される。殺虫性タンパク質を作製する方法、並びに例えばトランスジェニック植物において、虫害からの保護を付与するために、本発明の殺虫性タンパク質及び殺虫性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを使用する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポドプテラ(Spodoptera)害虫を防除する方法であって、前記スポドプテラ(Spodoptera)害虫を、Txp40タンパク質又は配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むその変異体と接触させるステップを含む方法。
【請求項2】
前記スポドプテラ(Spodoptera)害虫は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)害虫である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)害虫は、Cryタンパク質及び/又はVip3タンパク質に耐性がある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記Vip3タンパク質は、Vip3Aタンパク質である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記Cryタンパク質は、Cry1A、Cry1B、Cry1C、Cry1D、Cry1F、Cry1J又はCry2Aタンパク質である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記接触ステップは、前記Txp40タンパク質又はその変異体をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドで形質転換された微生物を用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記接触ステップは、前記Txp40タンパク質又はその変異体をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む植物又はその部位を用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記植物は、コーン植物又はその部位である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)は、前記Txp40タンパク質又はその変異体に加えて、Cryタンパク質及び/又はVip3タンパク質と接触される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記Cryタンパク質及び/又は前記Vip3タンパク質は、Cry1A、Cry1B、Cry1C、Cry1D、Cry1F、Cry2A及びVip3タンパク質からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記Txp40タンパク質は、配列番号1を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
スポドプテラ(Spodoptera)害虫に対する殺虫活性を有するTxp40タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸分子に作動可能に連結されたプロモータを含むキメラ遺伝子であって、前記ヌクレオチド配列は、
(a)配列番号3~5又は11~73のいずれかであるか;
(b)配列番号3~5又は11~73のいずれかに対して少なくとも95%の同一性を有するか;
(c)配列番号1、2又は74~136のいずれかのアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするか;
(d)配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするか;又は
(e)(a)~(d)のいずれか1つのヌクレオチド配列に相補的である、キメラ遺伝子。
【請求項13】
配列番号4、配列番号5又は配列番号11~73のいずれかのヌクレオチド配列を含む殺虫性タンパク質をコードする核酸分子。
【請求項14】
配列番号2又は配列番号74~136のいずれかのアミノ酸配列を含む殺虫性タンパク質。
【請求項15】
請求項12に記載のキメラ遺伝子を含む組換えベクター。
【請求項16】
請求項12に記載のキメラ遺伝子を含むトランスジェニック宿主細胞。
【請求項17】
細菌細胞である、請求項16に記載の宿主細胞。
【請求項18】
植物細胞である、請求項16に記載の宿主細胞。
【請求項19】
ツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))害虫によって外寄生され得るトランスジェニック植物であって、Txp40タンパク質又は配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むその変異体をコードする少なくとも1つの核酸分子で安定に形質転換されることにより、前記害虫から保護される、トランスジェニック植物。
【請求項20】
前記Txp40殺虫性タンパク質又はその変異体は、アミノ酸配列の配列番号1、配列番号2又は配列番号74~136のいずれかを含む、請求項19に記載のトランスジェニック植物。
【請求項21】
前記核酸分子は、配列番号3、配列番号4又は配列番号11~73のいずれかの配列を含む、請求項19に記載のトランスジェニック植物。
【請求項22】
コーン植物である、請求項19に記載のトランスジェニック植物。
【請求項23】
前記ツマジロクサヨトウ害虫は、Cry1Fタンパク質又はVip3タンパク質に耐性がある、請求項19に記載のトランスジェニック植物。
【請求項24】
Txp40タンパク質又は配列番号1と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むその変異体をコードするコドン最適化ヌクレオチド配列であって、前記コドンは、コーン植物での発現のために最適化される、コドン最適化ヌクレオチド配列。
【請求項25】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号4を含む、請求項22に記載のコドン最適化ポリヌクレオチド。
【請求項26】
ツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))の集団においてVip3タンパク質又はCry1Fタンパク質に対する耐性の発生を軽減する方法であって、Txp40タンパク質又は配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むその変異体をコードするポリヌクレオチドと、Vip3Aタンパク質をコードするヌクレオチド配列又はCry1Fタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドとを含むトランスジェニック植物を前記ツマジロクサヨトウ集団又はその環境に送達するステップを含み、前記Txp40タンパク質又はその変異体と、前記Vip3タンパク質又は前記Cry1Fタンパク質とは、前記トランスジェニック植物において産生される、方法。
【請求項27】
ツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))に対して保護されたコーンを生産するための方法であって、(a)Txp40タンパク質又は配列番号1と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むその変異体をコードするポリヌクレオチドをコーン植物に導入するステップ、(b)前記コーン植物又は前記コーン植物の子孫を、ツマジロクサヨトウ害虫によって外寄生され得る領域に植えるステップを含み、前記コーン植物又は前記子孫は、前記Txp40タンパク質を発現する、方法。
【請求項28】
前記導入ステップは、a)前記ポリヌクレオチドでコーン細胞を形質転換し、且つ前記Txp40タンパク質若しくはその変異体を発現するコーン植物を再生するか、又はb)前記ポリヌクレオチドを含む第1のコーン植物を第2のコーン植物と交雑させ、前記Txp40タンパク質若しくはその変異体を発現する子孫コーン植物をもたらすことによって達成される、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
2020年3月31日に作成され、EFS-Webを介して提出された、308キロバイトのサイズで“81889-WO-REG-ORG-P-1_ST25.txt”という名称である、37C.F.R.§1.821の下で提出されたASCIIテキスト形式の配列表が紙のコピーの代わりに提供される。この配列表は、その開示のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、害虫防除、タンパク質工学及び植物分子生物学の分野に関する。より具体的には、本発明は、txp40遺伝子若しくはTxp40タンパク質を使用して又はTxp40タンパク質を第2の有害生物防除剤と組み合わせて使用して、スポドプテラ(Spodoptera)目の害虫、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ;FAW)を防除する方法に関する。本発明は、スポドプテラ(Spodoptera)、特にFAWに対して、より具体的にはCry及び/又はVip3耐性FAWに対して作物、特にコーンを保護する方法にも関する。本発明はまた、FAWに対する殺虫活性を有するTxp40タンパク質毒素及びその変異体と、その発現が殺虫性タンパク質をもたらす核酸と、FAW有害生物を防除するための殺虫性タンパク質及び対応する核酸の作製方法及び使用方法とを提供する。本発明は、FAWによって外寄生され得、且つ発現可能なtxp40遺伝子で形質転換されているか、又は発現可能なtxp40遺伝子及び第2の殺有害生物剤をコードする遺伝子の両方で形質転換されている植物、特に単子葉植物、具体的にはコーン植物にも関する。
【背景技術】
【0003】
スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ、FAW)を含むスポドプテラ(Spodoptera)種は、コーン、綿及びダイズを含むいくつかの条植え作物の深刻な有害生物である。ブラジル及び他の南米諸国において、FAWは、コーン植物(ゼア・マイス(Zea Mays);トウモロコシ)の最も破壊的な一貫した有害生物種であり、最大で57%の収穫の減少を生じる。一定の年数が経過すれば、米国を含む他の国でも、FAWは、コーンに対して著しい経済的な損害をもたらし得る。この昆虫の幼虫は、最初に葉組織を餌にし、その後、輪生内に深く入り、発育中の雄穂への著しい損傷が生じる。FAWにより生じる落葉は、光合成領域を減少させ、これにより、植物は、成長を阻止され、収穫が減少し得る。FAW幼虫は、雌穂の側面を通り抜けて進み、発育する穀粒を餌にすることにより、雌穂にも損傷を与え、穀物品質及び収穫が低下する。
【0004】
歴史的に、コーンにおけるFAWの防除は、合成殺虫剤を使用して達成されてきた。しかしながら、このような殺虫剤は、若い幼虫に対して且つ輪生又は雌穂に深く潜り込む前にのみ有効である。加えて、集約的なコーン栽培領域において、FAW集団は、ラムダ-シハロトリン、クロルピリホス、スピノサド及びルフェヌロンなどのいくつかの殺虫剤に対する耐性を進化させている。
【0005】
他のFAW防除の選択肢には、最近では、細菌バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)に由来する1つ又は複数の殺虫性結晶タンパク質(Cryタンパク質)及び/又は植物性殺虫性タンパク質(VIP)を発現するトランスジェニックコーン植物の使用が含まれている。これまでのBt由来の最も強力なFAW活性タンパク質は、植物性殺虫性タンパク質Vip3である。FAWに対して活性であるBt由来のCryタンパク質は、ごく少数のみである。それらの中程度~高度の活性を有する少数のものには、Cry1Ab、Cry1Be、Cry1D、Cry1F、Cry1If、Cry1J及びCry2Aが含まれる。およそ2007年以来、これらのCryタンパク質及びVip3タンパク質の1つ又は複数を発現するトランスジェニックコーンイベントの商業的なリリースにより、FAW管理のための新しい方策が提供されている。現在、これらのいわゆるBtイベントを含有する産物は、FAWが有害生物である主要なコーン栽培領域の多くにおいて栽培されている。例えば、このような産物は、ブラジルのコーン栽培領域の80を超える領域において栽培されている(約12.5百万ha/年)。FAWに対する活性を有するBt殺虫性タンパク質を含有する産物の急速な採用は、FAWに対する殺虫剤スプレーの減少に寄与した。しかしながら、場合により、コーン植物におけるBt由来タンパク質の連続的な発現は、標的FAW有害生物集団に対して強い選択圧をかけ、耐性の進化が選択される。ブラジルでは、例えば、FAWの野外集団は、トランスジェニックコーン産物において発現されるCry1F及びCry1Abタンパク質に対する耐性を進化させている。FAWは、プエルトリコ及び米国地域でもCry1Fコーンに対する耐性を発生させている。ブラジルでは、FAW集団において、Cry1タンパク質を含有するスタックされた産物と共に、高頻度の産物耐性も報告されている。対照的に、Vip3Aタンパク質に対する耐性は、検出されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
農業家に経済的利益を提供すると共に、環境的に容認できる殺虫剤を使用して、条植え作物の害虫を防除するための新しく且つ有効な方法を特定することが依然として継続的に必要とされている。特に必要とされているのは、耐性の発生を軽減する手段として、Cryタンパク質及び/又はVip3タンパク質などの現存のBt由来の殺虫性タンパク質と異なる作用機序を有するタンパク質を使用して、スポドプテラ(Spodoptera)種、特にFAWを防除するための方法である。さらに、トランスジェニック植物のように環境への負担を最小限にする産物を通して昆虫防除剤を送達することが最も望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの必要性を考慮して、本発明は、Txp40殺虫性タンパク質及びTxp40殺虫性タンパク質の変異体を使用して、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ;FAW)及び他の害虫を防除する方法を提供する。本発明は、実質的にTxp40と同一であるスポドプテラ(Spodoptera)活性Txp40タンパク質及び変異体Txp40タンパク質も提供する。本発明のタンパク質は、驚くべきことに、多数のタイプの殺虫性タンパク質、特にBt由来のCryタンパク質に抵抗する害虫種であるFAWに対する経口毒性を有する。本発明は、Txp40タンパク質又は変異体Txp40タンパク質をコードする組換えコドン最適化ポリヌクレオチドにさらに関連する。
【0008】
本発明には、本発明の組換えポリヌクレオチドを含有する発現カセット及びベクター;このようなポリヌクレオチドを含み、且つその発現を可能にする植物又は微生物;このようなポリヌクレオチドで形質転換された植物、例えばトランスジェニックコーン植物;安定に組み込まれて、メンデルの法則に従って遺伝し得るポリヌクレオチドを含有する、このような植物の子孫並びに/又はこのような植物及びこのような子孫の種子も含まれる。本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む導入遺伝子を子孫植物及び種々のコーン生殖質に導入するための育種方法も含む。
【0009】
本発明は、Txp40又はその変異体を含有する組成物及び配合物も含み、これは、例えば、FAWが外寄生した領域若しくは植物に対して組成物若しくは配合物の一部としてのTxp40若しくはその変異体を適用するか、又はFAW有害生物に対する保護を付与するためにFAW感受性領域若しくは植物を予防的に処理することにより、生存、成長及び/又は繁殖するFAWの能力を阻害するか、又は作物植物へのFAW関連の損傷又は損失を制限することができる。
【0010】
本発明は、Txp40又はその変異体を作製する方法と、例えば微生物においてFAWを防除するか又はトランスジェニック植物においてFAW損傷からの保護を付与するために、本発明のポリヌクレオチドを使用する方法とにさらに関連する。
【0011】
本発明の他の態様及び利点は、本発明の以下の説明及び非限定的な実施例の研究から当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
配列表の配列の簡単な説明
添付の配列表に列挙されるヌクレオチド配列は、37C.F.R.§1.822に定義されるように、ヌクレオチド塩基に対する標準的な文字略語を用いて示される。列挙されるヌクレオチド及びアミノ酸配列は、記載されるように配列されたヌクレオチド及びアミノ酸モノマーを有する分子(すなわちそれぞれポリヌクレオチド及びポリペプチド)を定義する。列挙されるヌクレオチド及びアミノ酸配列は、記載されるように配列されたヌクレオチド及びアミノ酸モノマーを含むポリヌクレオチド又はポリペプチドの属もそれぞれ定義する。遺伝子コードの冗長性を考慮して、コード配列を含むヌクレオチド配列は、参照配列からなるポリヌクレオチドと同じポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの属も説明することが理解されるであろう。さらに、アミノ酸配列は、そのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドORFの属を説明することも理解されるであろう。
【0013】
各核酸配列の1つの鎖のみが示されるが、表示される鎖を参照することによって相補鎖も含まれると理解される。一次ヌクレオチド配列の補体及び逆補体は、必ずしも一次配列によって開示されないため、相補的配列及び逆相補的配列は、そうでないことが明確に記載されない(又は配列が現れる文脈からそうでないことが明らかでない)限り、そのヌクレオチド配列を参照する。さらに、当技術分野において、RNA鎖のヌクレオチド配列は、それが転写されたDNAの配列によって決定される(ヌクレオチド塩基ウラシル(U)によるチミン(T)の置換を別にして)ことが理解されるため、RNA配列は、それをコードするDNA配列を参照することによって含まれる。添付の配列表において:
配列番号1は、フォトラブダス・ルミネッセンス(Phtorhabdus luminescens)由来のTxp40-1アミノ酸配列である。
【0014】
配列番号2は、変異体Txp40-1アミノ酸配列である。
【0015】
配列番号3は、フォトラブダス・ルミネッセンス(Phtorhabdus luminescens)由来の天然txp40-1ヌクレオチド配列である。
【0016】
配列番号4は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1ヌクレオチド配列である。
【0017】
配列番号5は、トウモロコシコドン最適化txp40-1ヌクレオチド配列である。
【0018】
配列番号6は、フォトラブダス(Photorhabdus)種由来のH1Txp40アミノ酸配列である。
【0019】
配列番号7は、フォトラブダス(Photorhabdus)種由来のH2Txp40アミノ酸配列である。
【0020】
配列番号8は、フォトラブダス(Photorhabdus)種由来のH3Txp40アミノ酸配列である。
【0021】
配列番号9は、フォトラブダス(Photorhabdus)種由来のH5Txp40アミノ酸配列である。
【0022】
配列番号10は、ゼノラブダス・ネマトフィラ(Xenorhabdus nematophila)由来のTxp40アミノ酸配列である。
【0023】
配列番号11は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K31A変異体ヌクレオチド配列である。
【0024】
配列番号12は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K48A変異体ヌクレオチド配列である。
【0025】
配列番号13は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K49A変異体ヌクレオチド配列である。
【0026】
配列番号14は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K73A変異体ヌクレオチド配列である。
【0027】
配列番号15は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K75A変異体ヌクレオチド配列である。
【0028】
配列番号16は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K103A変異体ヌクレオチド配列である。
【0029】
配列番号17は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K111A変異体ヌクレオチド配列である。
【0030】
配列番号18は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K119A変異体ヌクレオチド配列である。
【0031】
配列番号19は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K133A変異体ヌクレオチド配列である。
【0032】
配列番号20は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K143A変異体ヌクレオチド配列である。
【0033】
配列番号21は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K170A変異体ヌクレオチド配列である。
【0034】
配列番号22は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K191A変異体ヌクレオチド配列である。
【0035】
配列番号23は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K200A変異体ヌクレオチド配列である。
【0036】
配列番号24は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K209A変異体ヌクレオチド配列である。
【0037】
配列番号25は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K210A変異体ヌクレオチド配列である。
【0038】
配列番号26は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K213A変異体ヌクレオチド配列である。
【0039】
配列番号27は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K221A変異体ヌクレオチド配列である。
【0040】
配列番号28は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K238A変異体ヌクレオチド配列である。
【0041】
配列番号29は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K247A変異体ヌクレオチド配列である。
【0042】
配列番号30は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K250A変異体ヌクレオチド配列である。
【0043】
配列番号31は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K263A変異体ヌクレオチド配列である。
【0044】
配列番号32は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K265A変異体ヌクレオチド配列である。
【0045】
配列番号33は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K271A変異体ヌクレオチド配列である。
【0046】
配列番号34は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K275A変異体ヌクレオチド配列である。
【0047】
配列番号35は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K284A変異体ヌクレオチド配列である。
【0048】
配列番号36は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K296A変異体ヌクレオチド配列である。
【0049】
配列番号37は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K309A変異体ヌクレオチド配列である。
【0050】
配列番号38は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K333A変異体ヌクレオチド配列である。
【0051】
配列番号39は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R10A変異体ヌクレオチド配列である。
【0052】
配列番号40は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R26A変異体ヌクレオチド配列である。
【0053】
配列番号41は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R46A変異体ヌクレオチド配列である。
【0054】
配列番号42は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R167A変異体ヌクレオチド配列である。
【0055】
配列番号43は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R186A変異体ヌクレオチド配列である。
【0056】
配列番号44は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R187A変異体ヌクレオチド配列である。
【0057】
配列番号45は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R208A変異体ヌクレオチド配列である。
【0058】
配列番号46は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R217A変異体ヌクレオチド配列である。
【0059】
配列番号47は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R226A変異体ヌクレオチド配列である。
【0060】
配列番号48は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R240A変異体ヌクレオチド配列である。
【0061】
配列番号49は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R252A変異体ヌクレオチド配列である。
【0062】
配列番号50は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R305A変異体ヌクレオチド配列である。
【0063】
配列番号51は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R311A変異体ヌクレオチド配列である。
【0064】
配列番号52は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K31A/K49A変異体ヌクレオチド配列である。
【0065】
配列番号53は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K31A/K333A変異体ヌクレオチド配列である。
【0066】
配列番号54は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K31A/R208A変異体ヌクレオチド配列である。
【0067】
配列番号55は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 R208A/K333A変異体ヌクレオチド配列である。
【0068】
配列番号56は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K49A/R208A変異体ヌクレオチド配列である。
【0069】
配列番号57は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K49A/K333A変異体ヌクレオチド配列である。
【0070】
配列番号58は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K31A/K49A/K333A変異体ヌクレオチド配列である。
【0071】
配列番号59は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K31A/K49A/R208A/K333A変異体ヌクレオチド配列である。
【0072】
配列番号60は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K73A/K213A変異体ヌクレオチド配列である。
【0073】
配列番号61は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K103A/K213A変異体ヌクレオチド配列である。
【0074】
配列番号62は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K213A/K284A変異体ヌクレオチド配列である。
【0075】
配列番号63は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K31A/K49A/K213A変異体ヌクレオチド配列である。
【0076】
配列番号64は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K119A/K213A変異体ヌクレオチド配列である。
【0077】
配列番号65は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K213A/R167A変異体ヌクレオチド配列である。
【0078】
配列番号66は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K119A/R167A変異体ヌクレオチド配列である。
【0079】
配列番号67は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 S11Y/M86I/K119A/K213T変異体ヌクレオチド配列である。
【0080】
配列番号68は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 S11Y/K119A/K213A変異体ヌクレオチド配列である。
【0081】
配列番号69は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K119A/F169V/K213A変異体ヌクレオチド配列である。
【0082】
配列番号70は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K119A/P134L/K213A変異体ヌクレオチド配列である。
【0083】
配列番号71は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 I101L/K103T/K119A/K213A/N257T変異体ヌクレオチド配列である。
【0084】
配列番号72は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 H62Q/D99V/K119A/T165I/R167C/K213A変異体ヌクレオチド配列である。
【0085】
配列番号73は、E.コリ(E.coli)コドン最適化txp40-1 K119A/K213A/L316V変異体ヌクレオチド配列である。
【0086】
配列番号74は、Txp40-1 K31A変異体アミノ酸配列である。
【0087】
配列番号75は、Txp40-1 K48A変異体アミノ酸配列である。
【0088】
配列番号76は、Txp40-1 K49A変異体アミノ酸配列である。
【0089】
配列番号77は、Txp40-1 K73A変異体アミノ酸配列である。
【0090】
配列番号78は、Txp40-1 K75A変異体アミノ酸配列である。
【0091】
配列番号79は、Txp40-1 K103A変異体アミノ酸配列である。
【0092】
配列番号80は、Txp40-1 K111A変異体アミノ酸配列である。
【0093】
配列番号81は、Txp40-1 K119A変異体アミノ酸配列である。
【0094】
配列番号82は、Txp40-1 K133A変異体アミノ酸配列である。
【0095】
配列番号83は、Txp40-1 K143A変異体ヌクレオチド配列である。
【0096】
配列番号84は、Txp40-1 K170A変異体アミノ酸配列である。
【0097】
配列番号85は、Txp40-1 K191A変異体アミノ酸配列である。
【0098】
配列番号86は、Txp40-1 K200A変異体アミノ酸配列である。
【0099】
配列番号87は、Txp40-1 K209A変異体アミノ酸配列である。
【0100】
配列番号88は、Txp40-1 K210A変異体アミノ酸配列である。
【0101】
配列番号89は、Txp40-1 K213A変異体アミノ酸配列である。
【0102】
配列番号90は、Txp40-1 K221A変異体アミノ酸配列である。
【0103】
配列番号91は、Txp40-1 K238A変異体アミノ酸配列である。
【0104】
配列番号92は、Txp40-1 K247A変異体アミノ酸配列である。
【0105】
配列番号93は、Txp40-1 K250A変異体アミノ酸配列である。
【0106】
配列番号94は、Txp40-1 K263A変異体アミノ酸配列である。
【0107】
配列番号95は、Txp40-1 K265A変異体アミノ酸配列である。
【0108】
配列番号96は、Txp40-1 K271A変異体アミノ酸配列である。
【0109】
配列番号97は、Txp40-1 K275A変異体アミノ酸配列である。
【0110】
配列番号98は、Txp40-1 K284A変異体アミノ酸配列である。
【0111】
配列番号99は、Txp40-1 K296A変異体アミノ酸配列である。
【0112】
配列番号100は、Txp40-1 K309A変異体アミノ酸配列である。
【0113】
配列番号101は、Txp40-1 K333A変異体アミノ酸配列である。
【0114】
配列番号102は、Txp40-1 R10A変異体アミノ酸配列である。
【0115】
配列番号103は、Txp40-1 R26A変異体アミノ酸配列である。
【0116】
配列番号104は、Txp40-1 R46A変異体アミノ酸配列である。
【0117】
配列番号105は、Txp40-1 R167A変異体アミノ酸配列である。
【0118】
配列番号106は、Txp40-1 R186A変異体アミノ酸配列である。
【0119】
配列番号107は、Txp40-1 R187A変異体アミノ酸配列である。
【0120】
配列番号108は、Txp40-1 R208A変異体アミノ酸配列である。
【0121】
配列番号109は、Txp40-1 R217A変異体アミノ酸配列である。
【0122】
配列番号110は、Txp40-1 R226A変異体アミノ酸配列である。
【0123】
配列番号111は、Txp40-1 R240A変異体アミノ酸配列である。
【0124】
配列番号112は、Txp40-1 R252A変異体アミノ酸配列である。
【0125】
配列番号113は、Txp40-1 R305A変異体アミノ酸配列である。
【0126】
配列番号114は、Txp40-1 R311A変異体アミノ酸配列である。
【0127】
配列番号115は、Txp40-1 K31A/K49A変異体アミノ酸配列である。
【0128】
配列番号116は、Txp40-1 K31A/K333A変異体アミノ酸配列である。
【0129】
配列番号117は、Txp40-1 K31A/R208A変異体アミノ酸配列である。
【0130】
配列番号118は、Txp40-1 R208A/K333A変異体アミノ酸配列である。
【0131】
配列番号119は、Txp40-1 K49A/R208A変異体アミノ酸配列である。
【0132】
配列番号120は、Txp40-1 K49A/K333A変異体アミノ酸配列である。
【0133】
配列番号121は、Txp40-1 K31A/K49A/K333A変異体アミノ酸配列である。
【0134】
配列番号122は、Txp40-1 K31A/K49A/R208A/K333A変異体アミノ酸配列である。
【0135】
配列番号123は、Txp40-1 K73A/K213A変異体アミノ酸配列である。
【0136】
配列番号124は、Txp40-1 K103A/K213A変異体アミノ酸配列である。
【0137】
配列番号125は、Txp40-1 K213A/K284A変異体アミノ酸配列である。
【0138】
配列番号126は、Txp40-1 K31A/K49A/K213A変異体アミノ酸配列である。
【0139】
配列番号127は、Txp40-1 K119A/K213A変異体アミノ酸配列である。
【0140】
配列番号128は、Txp40-1 K213A/R167A変異体アミノ酸配列である。
【0141】
配列番号129は、Txp40-1 K119A/R167A変異体アミノ酸配列である。
【0142】
配列番号130は、Txp40-1 S11Y/M86I/K119A/K213T変異体アミノ酸配列である。
【0143】
配列番号131は、Txp40-1 S11Y/K119A/K213A変異体アミノ酸配列である。
【0144】
配列番号132は、Txp40-1 K119A/F169V/K213A変異体アミノ酸配列である。
【0145】
配列番号133は、Txp40-1 K119/P134L/K213A変異体アミノ酸配列である。
【0146】
配列番号134は、Txp40-1 I101L/K103T/K119A/K213A/N257T変異体アミノ酸配列である。
【0147】
配列番号135は、Txp40-1 H62Q/D99V/K119A/T165I/R167C/K213A変異体アミノ酸配列である。
【0148】
配列番号136は、K119A/K213A/L316V変異体アミノ酸配列である。
【0149】
この説明は、本発明が実行され得る様々な方法の全て又は本発明に付加され得る特徴の全ての詳細な目録であることを意図されない。例えば、1つの実施形態に関連して説明される特徴は、他の実施形態に組み込まれ得、及び特定の実施形態に関連して説明される特徴は、その実施形態から削除され得る。したがって、本発明は、本発明のいくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の特徴又は特徴の組み合わせが除外又は省略可能であることを企図する。さらに、本発明から逸脱しない、本明細書で示唆される種々の実施形態に対する多数の変化形態及び付加形態は、本開示を考慮して当業者に明らかであろう。したがって、以下の記載は、本発明のいくつかの特定の実施形態を説明することが意図され、その全ての並べ替え、組み合わせ及び変化形態を網羅的に明記することを意図されない。
【0150】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中の本発明の説明において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定することを意図されない。
【0151】
本明細書中に引用される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、その参考文献が提示される文章及び/又は段落に関連する教示について参照によってその全体が援用される。
【0152】
本明細書に提供されるヌクレオチド配列は、左から右に5’から3’への方向で提示され、37CFR§§1.821-1.825及び世界知的所有権機関(WIPO)Standard ST.25に記載されるような、ヌクレオチド塩基を表すための標準コード、例えばアデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)及びグアニン(G)を用いて提示される。
【0153】
アミノ酸は、WIPO Standard ST.25、例えばアラニン(Ala;A)、アルギニン(Arg;R)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、システイン(Cys;C)、グルタミン(Gln;Q)、グルタミン酸(Glu;E)、グリシン(Gly;G)、ヒスチジン(His;H)、イソロイシン(Ile;1)、ロイシン(Leu;L)、リジン(Lys;K)、メチオニン(Met;M)、フェニルアラニン(Phe;F)、プロリン(Pro;P)、セリン(Ser;S)、スレオニン(Thr;T)、トリプトファン(Trp;W)、チロシン(Tyr;Y)及びバリン(Val;V)を用いて同様に示される。
【0154】
文脈上特に示されない限り、本明細書に記載される本発明の様々な特徴が任意の組合せで使用され得ることが特に意図される。さらに、本発明は、本発明のある実施形態において、本明細書に記載される任意の特徴又は特徴の組合せが除外又は省略され得ることも想定している。例示するために、組成物が成分A、B及びCを含むことを本明細書が記載している場合、A、B又はCのいずれか又はそれらの組合せが単独で又は任意の組合せで除外され、特許請求されないことがあることが特に意図される。
【0155】
定義
明確にするために、本明細書において使用される特定の用語は、以下のように定義及び提示される。
【0156】
本発明の明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈上特に明記されない限り、複数形も含むことが意図される。
【0157】
本明細書において使用される際、「及び/又は」は、関連する列挙される項目の1つ又は複数のあらゆる可能な組合せ並びに代替(「又は」)として解釈されるときには組合せの欠如を指し、それらを包含する。
【0158】
本明細書において使用される際の「約」という用語は、投与量又は期間などの測定可能な値に言及するとき、規定の量の±20、±10、±5、±1、±0.5又はさらに±0.1の変動を包含することが意図される。本明細書において使用される際、「約X~Y」などの語句は、「約X~約Y」を意味し、及び「約XからYまで」などの語句は、「約Xから約Yまで」を意味する。
【0159】
文脈上特に示されない限り、本明細書で使用される場合、「XからYまで」などの語句は、X及びYを含むと解釈されるべきである。
【0160】
本発明の殺虫性タンパク質の「活性」は、経口活性な昆虫防除剤として機能する殺虫性タンパク質が毒性効果を有し、且つ/又は昆虫の摂食を妨害又は阻止できることを意味し、これは、昆虫の死を引き起こしてもしなくてもよい。本発明の殺虫性タンパク質が昆虫に送達されると、結果は、通常、昆虫の死であるか、又は昆虫は、殺虫性タンパク質を昆虫に利用可能とする源を餌にしない。「殺有害生物性」は、好ましくは、昆虫、線虫、真菌、細菌又はウィルスなどの有害生物を死滅又は破壊させることにより、それらを防除することができる毒性生物活性と定義される。「殺虫性」は、好ましくは、昆虫を死滅させることによってそれらを防除することができる毒性生物活性と定義される。「殺有害生物剤」は、殺有害生物活性を有する薬剤である。「殺虫剤」は、殺虫活性を有する薬剤である。
【0161】
「と関連する/作動可能に連結される」は、物理的又は機能的に関係される2つの核酸を指す。例えば、2つの配列が作動可能に連結されるか、又はコード若しくは構造DNA配列の発現レベルに影響を与え得るように調節DNA配列が位置していれば、プロモータ又は調節DNA配列は、RNA又はタンパク質をコードするDNA配列「と関連する」と言われる。
【0162】
本明細書で使用される「キメラ構築物」、又は「キメラ遺伝子」、又は「キメラポリヌクレオチド」、又は「キメラ核酸」という用語(又は同様の用語)は、単一の核酸分子内に構築された異なる起源の2つ以上のポリヌクレオチドを含む構築物又は分子を指す。「キメラ構築物」、「キメラ遺伝子」、「キメラポリヌクレオチド」又は「キメラ核酸」という用語は、限定はされないが、(1)天然には一緒に見出されない調節及びコードポリヌクレオチドを含む(すなわち構築物中のポリヌクレオチドの少なくとも1つが構築物の他のポリヌクレオチドの少なくとも1つに関して異種である)ポリヌクレオチド(例えば、DNA)、又は(2)天然には隣接しないタンパク質の一部をコードするポリヌクレオチド、又は(3)天然には隣接しないプロモータの一部を含有する任意の構築物又は分子を指す。さらに、キメラ構築物、キメラ遺伝子、キメラポリヌクレオチド又はキメラ核酸は、異なる起源から得られる調節ポリヌクレオチド及びコードポリヌクレオチドを含み得るか、又は同じ起源から得られるが、天然に見出されるものと異なるように配列された調節ポリヌクレオチド及びコードポリヌクレオチドを含み得る。本発明のある実施形態において、キメラ構築物、キメラ遺伝子、キメラポリヌクレオチド又はキメラ核酸は、調節ポリヌクレオチドの制御下、特に植物又は細菌において機能性の調節ポリヌクレオチドの制御下で本発明のポリヌクレオチドを含む発現カセットを含む。
【0163】
「コード配列」は、mRNA、rRNA、tRNA、snRNA、センスRNA又はアンチセンスRNAなどのRNAに転写される核酸配列である。好ましくは、RNAは、その後、生物において翻訳されてタンパク質を産生する。
【0164】
本明細書で使用される場合、「コドン最適化」配列は、宿主細胞又は生物が有し得る特定のコドンバイアスを反映するようにコドンが選択されたヌクレオチド配列を意味する。これは、通常、最適化されるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を保存するような方法で行われる。特定の実施形態において、組換えDNA構築物のDNA配列は、構築物が発現されることになる細胞(例えば、動物、植物又は真菌細胞)に対してコドン最適化されている配列を含む。例えば、植物細胞において発現される構築物は、植物での発現のためにコドン最適化されたその配列(例えば、第1の遺伝子抑制エレメント又は遺伝子発現エレメント)の全て又は一部を有することができる。例えば、参照によって本明細書中に援用される米国特許第6,121,014号明細書を参照されたい。
【0165】
昆虫を「防除する」ことは、毒性効果により、生存、成長、摂食及び/若しくは繁殖する害虫の能力を阻害するか、又は作物植物における昆虫関連の損傷若しくは損失を制限することを意味する。昆虫を「防除する」ことは、昆虫を死滅させることを意味してもしなくてもよいが、好ましくは昆虫を死滅させることを意味する。
【0166】
本明細書において使用される際の「含む」又は「含んでいる」という用語は、記載される特徴、整数、ステップ、動作、要素又は成分の存在を規定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、成分又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0167】
本明細書において使用される際、「から本質的になる」という移行句(及び文法的な変化形)は、特許請求の範囲が、特許請求の範囲に記載される規定の材料又はステップ及び特許請求される本発明の基本的及び新規な特徴を実質的に変更しないものを包含するものと解釈されることを意味する。したがって、本発明の特許請求の範囲において使用されるときの「から本質的になる」という用語は、「含む」と均等であると解釈されることが意図されない。
【0168】
本発明との関連において、「に対応している」又は「に対応する」は、変異体又は相同体Cryタンパク質のアミノ酸配列が互いにアラインメントされるとき、変異体又は相同体タンパク質中の特定の列挙された位置「に対応する」アミノ酸が、参照タンパク質中のこれらの位置とアラインメントされるものであるが、必ずしも本発明の特定の参照アミノ酸配列に対してこれらの正確な数字の位置に存在しなくてもよいことを意味する。例えば、配列番号1が参照配列であり、配列番号10とアラインメントされる場合、配列番号10のGly51は、配列番号1のGly42「に対応する」か、又は例えば、配列番号10のVal59は、配列番号1のIle50「に対応する」。
【0169】
本明細書で使用される場合、「Cryタンパク質」という用語は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)結晶デルタエンドトキシンタイプの殺虫性タンパク質を意味する。「Cryタンパク質」という用語は、プロトキシン形態若しくは任意の生物活性断片又はそれらの毒素を指し得、例えばN末端ペプチジル断片及び/又はC末端プロトキシン尾部を含まない部分的に処理された形態及び成熟毒素形態が含まれる。
【0170】
殺虫性タンパク質を「送達する」ことは、殺虫性タンパク質が昆虫と接触して、毒性効果及び昆虫の防除をもたらすことを意味する。殺虫性タンパク質は、多数の認知された方法において、例えば殺虫性タンパク質を発現するトランスジェニック植物、配合されたタンパク質組成物、スプレー可能なタンパク質組成物、餌基質又は当技術分野において認められている任意の他の毒素送達系によって送達され得る。
【0171】
「ドメイン」という用語は、進化的に関係するタンパク質の配列アラインメントに沿って特定の位置で保存された一連のアミノ酸を指す。他の位置のアミノ酸は、相同体間で異なり得るが、特定の位置で高度に保存されているアミノ酸は、タンパク質の構造、安定性又は機能に不可欠であり得るアミノ酸を示す。タンパク質相同体ファミリーのアラインメントされた配列におけるその高度の保存により同定されるため、これらは、対象の任意のポリペプチドが、既に同定されたポリペプチド群に属するかどうかを決定するための識別子として使用することができる。
【0172】
「有効昆虫防除量」は、毒性効果により、生存、成長、摂食及び/若しくは繁殖する昆虫の能力を阻害するか、又は作物植物における昆虫関連の損傷若しくは損失を制限する殺虫性タンパク質の濃度を意味する。「有効昆虫防除量」は、昆虫を死滅させることを意味してもしなくてもよいが、好ましくは昆虫を死滅させることを意味する。
【0173】
本明細書で使用される「発現カセット」は、終結シグナルに作動可能に連結された対象のヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータを含む、適切な宿主細胞における特定のヌクレオチド配列の発現を指示することができる核酸配列を意味する。発現カセットは、通常、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要とされる配列も含む。対象のヌクレオチド配列を含む発現カセットは、その成分の少なくとも1つが他の成分の少なくとも1つに関して異種である。発現カセットは、天然に存在するが、異種発現に有用な組換え型で得られたものでもあり得る。しかしながら、通常、発現カセットは、宿主に関して異種であり、すなわち、発現カセットの特定の核酸配列は、宿主細胞内に天然に存在せず、形質転換イベントによって宿主細胞又は宿主細胞の祖先に導入されていなければならない。発現カセット中のヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモータの制御下にあり得るか、又は特定の外部刺激に宿主細胞がさらされたときにのみ転写を開始させる誘導性プロモータの制御下にあり得る。植物などの多細胞生物の場合、プロモータは、特定の組織若しくは器官又は発達段階に対して特異的でもあり得る。
【0174】
対象のヌクレオチド配列を含む発現カセットは、キメラであり得、これは、その成分の少なくとも1つが他の成分の少なくとも1つに関して異種であることを意味する。発現カセットは、その天然遺伝子を駆動する天然プロモータを含むものでもあり得る。しかしながら、発現カセットは、異種発現に有用な組換え型で得られている。発現カセットのこのような使用は、発現カセットが導入された細胞中にそれが天然に存在しないことを意味する。
【0175】
発現カセットは、植物中で機能的である転写及び/又は翻訳終結領域(すなわち終結領域)も任意に含み得る。様々な転写ターミネータが発現カセットにおける使用に利用可能であり、対象の異種ヌクレオチド配列を越えた転写の終結及び正確なmRNAポリアデニル化に関与する。終結領域は、転写開始領域にネイティブであるか、作動可能に連結された対象のヌクレオチド配列にネイティブであるか、植物宿主にネイティブであるか、又は別の起源に由来し得る(すなわちプロモータ、対象のヌクレオチド配列、植物宿主又はこれらの任意の組合せに対して外来性又は異種である)。適切な転写ターミネータには、限定はされないが、CAMV 35Sターミネータ、tmlターミネータ、ノパリンシンターゼターミネータ及び/又はエンドウマメrbcs E9ターミネータが含まれる。これらは、単子葉植物及び双子葉植物の両方で使用することができる。さらに、コード配列の天然転写ターミネータを使用することができる。植物中で機能的であることが知られている任意の利用可能なターミネータを本発明との関連において使用することができる。
【0176】
遺伝子、ORF若しくはその一部又は植物中の導入遺伝子などのポリヌクレオチドに関連して使用される場合の「発現」という用語は、遺伝子にコードされる遺伝情報をその遺伝子の「転写」によって(すなわちRNAポリメラーゼの酵素作用を介して)RNA(例えば、mRNA、rRNA、tRNA又はsnRNA)に転換し、且つ適用可能な場合(例えば、遺伝子がタンパク質をコードする場合)、mRNAの「翻訳」によってタンパク質に転換するプロセスを指す。遺伝子発現は、このプロセスの多くの段階で制御され得る。例えば、アンチセンス又はdsRNA構築物の場合、発現は、それぞれアンチセンスRNAのみ又はdsRNAのみの転写を指し得る。実施形態において、「発現」は、センス(mRNA)又は機能性RNAの転写及び安定な蓄積を指す。「発現」は、タンパク質の産生を指すこともある。
【0177】
「遺伝子」は、ゲノム内に位置する画定された領域であり、コード核酸配列を含むと共に、通常、コード部分の発現、すなわち転写及び翻訳の制御に関与している他の主に調節性の核酸も含む。遺伝子は、他の5’及び3’非翻訳配列並びに終結配列も含み得る。存在し得るさらなるエレメントは、例えば、イントロンである。遺伝子の調節核酸配列は、通常、天然に見られる関連核酸配列に作動可能に連結できず、したがってキメラ遺伝子であり得る。
【0178】
「対象の遺伝子」は、植物に導入されたとき、抗生物質耐性、ウィルス耐性、昆虫耐性、疾患耐性又は他の有害生物に対する耐性、除草剤耐容性、非生物的ストレス耐容性、雄性不稔、修飾された脂肪酸代謝、修飾された炭水化物代謝、改善された栄養価、工業プロセスにおける改善された性能又は改変された生殖能力などの所望の形質を植物に付与する任意の核酸分子を指す。「対象の遺伝子」は、植物における商業的に価値のある酵素又は代謝産物の産生のために植物に導入されるものでもあり得る。
【0179】
「腸プロテアーゼ」は、昆虫の消化管において天然に見出されるプロテアーゼである。このプロテアーゼは、通常、摂取されたタンパク質の消化に関与する。腸プロテアーゼの例としては、通常、リジン(K)又はアルギニン(R)残基のC末端側のペプチドを切断するトリプシンと、通常、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)又はチロシン(Y)のC末端側のペプチドを切断するキモトリプシンとが挙げられる。
【0180】
「異種」核酸配列又は核酸分子は、天然に存在する核酸配列の天然に存在しない複数コピーを含む、それが導入される宿主細胞と天然に関連していない核酸配列又は核酸分子である。異種核酸配列又は核酸分子は、プロモータ及びコード領域が複数の起源生物に由来する、キメラ発現カセットなどのキメラ配列を含み得る。プロモータ配列は、構成的プロモータ配列、組織特異的プロモータ配列、化学誘導性プロモータ配列、創傷誘導性プロモータ配列、ストレス誘導性プロモータ配列又は発達段階特異的プロモータ配列であり得る。
【0181】
「相同」核酸配列は、それが導入される宿主細胞と天然に関連している核酸配列である。
【0182】
「相同組換え」は、相同核酸分子間の核酸断片の相互交換である。
【0183】
「同一性」又は「同一性パーセント」は、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の類似性の度合いを指す。配列比較のために、通常、1つの配列は、試験配列が比較される参照配列としての役割を果たす。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列及び参照配列は、コンピュータに入力され、必要に応じて部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次に、指定されたプログラムパラメータに基づいて、配列比較アルゴリズムにより、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントが計算される。2つのヌクレオチド又は2つのアミノ酸配列との関連における「実質的に同一」という語句は、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いて又は目視検査によって測定される際、最大一致性について比較及びアラインメントしたときに少なくとも約50のヌクレオチド又はアミノ酸残基の同一性を有する2つ以上の配列又は部分配列を指す。特定の実施形態において、実質的に同一な配列は、少なくとも約60、又は少なくとも約70、又は少なくとも約80、又は少なくとも約85、又はさらに少なくとも約90若しくは95のヌクレオチド又はアミノ酸残基の同一性を有する。特定の実施形態において、実質的同一性は、長さが少なくとも約50の残基である配列の領域にわたって若しくは少なくとも約100の残基の領域にわたって存在するか、又は配列は、少なくとも約150の残基にわたって実質的に同一である。さらなる実施形態において、配列は、それらがコード領域の全長にわたって同一である場合に実質的に同一である。
【0184】
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムにより、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似法の検索により、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Packag,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison、WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)のコンピュータ化された実施により又は目視検査(一般的に下記のAusubel et al.を参照されたい)により行うことができる。
【0185】
配列同一性及び配列類似性パーセントを決定するのに適しているアルゴリズムの一例は、BLASTアルゴリズムであり、これは、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載されている。BLAST分析を実施するソフトウェアは、the National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって公開されている。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードとアラインメントされるときに一致するか又はいくつかの正の値の閾値スコアTを満たす、問い合わせ配列の長さWの短いワードを同定することによって高スコア配列対(HSP)をまず同定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschul et al.,1990)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとして機能する。次に、ワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加され得る限り、各配列に沿って両方の方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一致する残基の対のための報酬スコア;常に>0)及びN(不一致の残基のためのペナルティスコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列について、スコアリングマトリックスを用いて累積スコアを計算する。累積アラインメントスコアがその最大達成値から量Xだけ下降したとき、累積スコアが1つ又は複数の負のスコアの残基アラインメントの累積のためにゼロ以下になったとき又はいずれかの配列の末端に達したとき、各方向におけるワードヒットの拡張は停止される。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、アラインメントの感受性及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、11のワード長(W)、10の期待値(E)、100のカットオフ値、M=5、N=-4及び両方の鎖の比較をデフォルトとして使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、3のワード長(W)、10の期待値(E)及びBLOSUM62スコアリングマトリックスをデフォルトとして使用する(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照されたい)。
【0186】
配列同一性パーセントの計算に加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計的分析も実施する(例えば、Karlin&Altschul,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:5873-5787(1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然起こる確率の指標を提供する。例えば、試験核酸配列と参照核酸配列との比較における最小合計確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満であれば、試験核酸配列は、参照配列と類似していると考えられる。
【0187】
配列アラインメントを実施するために広く使用及び受容されている別のコンピュータプログラムは、CLUSTALW v1.6である(Thompson,et al.Nuc.Acids Res.,22:4673-4680,1994)。一致する塩基又はアミノ酸の数を塩基又はアミノ酸の総数で割り、100をかけて、同一性パーセントが得られる。例えば、2つの580塩基対配列が145個の一致した塩基を有すれば、これらは、25パーセント同一である。比較される2つの配列が異なる長さを有する場合、一致の数を2つの長さの短い方で割る。例えば、200アミノ酸及び400アミノ酸タンパク質間に100個の一致したアミノ酸が存在する場合、これらは、短い方の配列に関して50パーセント同一である。短い方の配列が150塩基又は50アミノ酸未満の長さである場合、一致の数を150(核酸塩基の場合)又は50(アミノ酸の場合)で割り、100をかけて、同一性パーセントが得られる。
【0188】
2つの核酸が実質的に同一であるという別の指標は、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。「特異的にハイブリダイズする」という語句は、配列が複合混合物(例えば、全細胞)DNA又はRNA中に存在するとき、ある分子が、ストリンジェントな条件下において、特定のヌクレオチド配列のみに結合、二重化又はハイブリダイズすることを指す。「実質的に結合する」は、プローブ核酸と標的核酸との間の相補的ハイブリダイゼーションを指し、標的核酸配列の所望の検出を達成するためにハイブリダイゼーション培地のストリンジェンシーを低下させることよって適応され得る小さい不一致を包含する。
【0189】
サザン及びノーザンハイブリダイゼーションなどの核酸ハイブリダイゼーション実験に関連して、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」及び「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、配列依存性であり、異なる環境パラメータ下で異なる。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの広範な指針は、Tijssen(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes part I chapter 2“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays”Elsevier,New Yorkに見出される。一般に、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、規定のイオン強度及びpHにおいて特定の配列の熱融点(Tm)より約5℃低くなるように選択される。通常、「ストリンジェントな条件」下において、プローブは、その標的部分配列にハイブリダイズするが、他の配列にハイブリダイズしないであろう。
【0190】
mは、標的配列の50が完全に一致したプローブにハイブリダイズする温度(規定のイオン強度及びpH下で)である。非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブのTmに等しくなるように選択される。サザン又はノーザンブロットにおいてフィルタ上に100を超える相補的残基を有する相補的核酸のハイブリダイゼーションのためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、42℃で1mgのヘパリンを含む50のホルムアミドであり、このハイブリダイゼーションは一晩行われる。高度にストリンジェントな洗浄条件の一例は、約15分間にわたって72℃で0.15MのNaClである。ストリンジェントな洗浄条件の一例は、15分間にわたって65℃で0.2×SSCの洗浄である(SSC緩衝液の説明については以下のSambrookを参照されたい)。多くの場合、バックグラウンドプローブ信号を除去するために、高度のストリンジェンシー洗浄前に低度のストリンジェンシー洗浄を行う。例えば、100を超えるヌクレオチドの二本鎖のための中程度のストリンジェンシー洗浄の一例は、15分間にわたって45℃で1×SSCである。例えば、100を超えるヌクレオチドの二本鎖のための低度のストリンジェンシー洗浄の一例は、15分間にわたって40℃で4~6×SSCである。短いプローブ(例えば、約10~50ヌクレオチド)について、ストリンジェントな条件は、典型的に、pH7.0~8.3で約1.0M未満のNaイオン、典型的に約0.01~1.0MのNaイオン濃度(又は他の塩)の塩濃度を含み、温度は、典型的に、少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によって達成することもできる。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおける非関連プローブについて観察されるものの2倍(又はより高い)信号対雑音比は、特定のハイブリダイゼーションの検出を示す。ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするタンパク質が実質的に同一である場合、依然として実質的に同一である。これは、例えば、核酸のコピーが遺伝子コードによって許容される最大コドン縮重を用いて作成されるときに起こる。
【0191】
以下は、本発明の参照ヌクレオチド配列と実質的に同一である相同ヌクレオチド配列をクローニングするために使用され得る一連のハイブリダイゼーション/洗浄条件の例である。参照ヌクレオチド配列は、好ましくは、50℃における2XSSC、0.1のSDS中での洗浄を伴って、50℃における7のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中において、より望ましくは50℃における1XSSC、0.1のSDS中での洗浄を伴って、50℃における7のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中において、より望ましくはさらに50℃における0.5XSSC、0.1のSDS中での洗浄を伴って、50℃における7のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中において、好ましくは50℃における0.1XSSC、0.1のSDS中での洗浄を伴って、50℃における7のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中において、より好ましくは65℃における0.1XSSC、0.1のSDS中での洗浄を伴って、50℃における7のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTA中において参照ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。
【0192】
2つの核酸又はタンパク質が実質的に同一であるというさらなる指標は、第1の核酸によりコードされるタンパク質が、第2の核酸によりコードされるタンパク質と免疫学的に交差反応性であるか又はそれと特異的に結合することである。したがって、例えば2つのタンパク質が保存的置換によってのみ異なる場合、タンパク質は、通常、第2のタンパク質と実質的に同一である。
【0193】
ヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする場合、そのヌクレオチド配列は、参照ヌクレオチド配列「とアイソコーディングする」。
【0194】
「単離された」核酸分子、又は単離されたポリヌクレオチド、又は単離されたTxp40タンパク質は、人の手によってその天然環境から離れて存在し、したがって天然の産物ではない核酸分子、又はポリヌクレオチド、又はタンパク質である。単離された核酸分子、又はポリヌクレオチド、又はタンパク質は、精製された形態で存在し得るか、又は限定はされないが、例えば組換え微生物細胞、植物細胞、植物組織若しくは植物などの非天然環境に存在し得る。
【0195】
「モチーフ」、又は「コンセンサス配列」、又は「シグネチャー」という用語は、進化的に関連するタンパク質の配列内の短い保存領域を指す。モチーフは、多くの場合、ドメインの高度に保存された部分であるが、ドメインの一部のみを含み得るか、又は保存されたドメインの外側に位置し得る(モチーフのアミノ酸の全てが、画定されたドメインの外側に入る場合)。
【0196】
「天然」又は「野生型」核酸、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド配列、ポリペプチド又はアミノ酸配列は、天然に存在するか又は内因性の核酸、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド配列、ポリペプチド又はアミノ酸配列を指す。
【0197】
「核酸分子」又は「ヌクレオチド配列」は、任意の起源から単離され得る一本鎖又は二本鎖DNA又はRNAのセグメントである。本発明との関連において、核酸分子は、通常、DNAのセグメントである。ある実施形態において、本発明の核酸分子は、単離された核酸分子である。
【0198】
「核酸分子」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0199】
「作動可能に連結される」は、一方の機能が他方の機能に影響を与えるような、単一の核酸断片上のポリヌクレオチドの関連を指す。例えば、プロモータは、コードポリヌクレオチド又は機能性RNAの発現に影響を与えることができるとき、そのコードポリヌクレオチド又は機能性RNAと作動可能に連結されている(すなわちコードポリヌクレオチド又は機能性RNAがプロモータの転写制御下にある)。センス配向又はアンチセンス配向のコードポリヌクレオチドは、調節ポリヌクレオチドに対して作動可能に連結され得る。
【0200】
「タンパク質」、「ペプチド」及び「ポリペプチド」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0201】
「植物」は、任意の発達段階の任意の植物、特に種子植物である。
【0202】
「植物細胞」は、プロトプラスト及び細胞壁を含む、植物の構造的及び生理的な単位である。植物細胞は、単離された単一細胞若しくは培養細胞の形態であり得るか、又は例えば植物組織、植物器官若しくは植物全体などのより高度に組織化された単位の一部としてのものであり得る。
【0203】
「植物細胞培養物」は、種々の発達段階における、例えばプロトプラスト、細胞培養細胞、植物組織中の細胞、花粉、花粉管、胚珠、胚嚢、接合体及び胚などの植物単位の培養物を意味する。
【0204】
「植物材料」は、葉、茎、根、花若しくは花部分、果実、花粉、卵細胞、接合体、種子、挿し木、細胞若しくは組織培養物又は植物の任意の他の部位若しくは産物を指す。
【0205】
「植物器官」は、根、茎、葉、つぼみ又は胚など、明確で可視的に構造化及び分化した植物の部位である。
【0206】
本明細書で使用される「植物組織」は、構造的及び機能的な単位に組織化された植物細胞の群を意味する。植物体又は培養物中の植物の任意の組織が含まれる。この用語には、植物全体、植物器官、植物種子、組織培養物並びに構造的及び/又は機能的な単位に組織化された植物細胞の任意の群が含まれるが、これらに限定されない。上記に列挙されるか又は他にこの定義に包含される任意の特定のタイプの植物組織を伴う又は伴わないこの用語の使用は、任意の他のタイプの植物組織を除外することを意図されない。
【0207】
本発明のポリペプチドの「部分」又は「断片」は、本発明のポリペプチドの参照アミノ酸配列と比べて長さが短くされたアミノ酸配列を意味することが理解されるであろう。本発明に従うこのような部分又は断片は、適切な場合、それが構成要素となるより大きいポリペプチド(例えば、タグ化又は融合タンパク質)に含まれ得る。実施形態において、「部分」又は「断片」は、実質的に、殺虫活性を保持する(例えば、全長タンパク質の活性の少なくとも40、50、60、70、80、85、90、95若しくはさらに100であるか、又は全長タンパク質よりもさらに大きい殺虫活性を有する)。
【0208】
「プロモータ」は、RNAポリメラーゼの結合部位を含有し、且つDNAの転写を開始させるコード領域の上流側の非翻訳DNA配列である。プロモータ領域は、遺伝子発現の調節因子の役割を果たす他のエレメントも含み得る。
【0209】
本明細書で使用される場合、「組換え」という用語は、天然には通常見出されず、したがって人間の介入によって作り出された核酸(例えば、DNA又はRNA)又はタンパク質又は生物の形態を指す。本明細書で使用される場合、「組換え核酸分子」は、天然には一緒に存在し得ない、人間の介入の結果であるポリヌクレオチドの組合せを含む核酸分子、例えば互いに異種である少なくとも2つのポリヌクレオチドの組合せから構成される核酸分子又は人工的に合成される核酸分子、例えば構築されたヌクレオチド配列を用いて合成されたポリヌクレオチドであり、天然に通常存在し得るポリヌクレオチドから逸脱するポリヌクレオチド又は宿主細胞のゲノムDNA及び宿主細胞のゲノムの関連隣接DNAに人工的に組み込まれた導入遺伝子を含む核酸分子を含む。組換え核酸分子の別の例は、植物のゲノムDNAへの導入遺伝子の挿入から得られるDNA分子であり、これは、最終的に、その生物における組換えRNA又はタンパク質分子の発現をもたらし得る。本明細書で使用される場合、「組換え植物」は、天然に通常存在し得ない植物であり、人間の介入の結果であり、そのゲノムに組み込まれた導入遺伝子又は異種核酸分子を含有する。このようなゲノム改変の結果として、組換え植物は、関連の野生型植物と明確に異なる。
【0210】
本明細書で使用される「減少させる」、「減少された」、「減少させること」、「減少」、「減らす」及び「抑制する」という用語(及びこれらの文法的な変化形)及び同様の用語は、例えば、植物を本発明のポリペプチドと接触させる(例えば、トランスジェニック発現又は局所適用法などによる)ことによる、植物有害生物の生存、成長及び/又は繁殖の低下を指す。生存、成長及び/又は繁殖のこの低下は、本発明のポリペプチドの非存在下で観察されるレベル(例えば、ポリペプチドをトランスジェニック発現していないか、又はポリペプチドで局所的に処理されていない植物)に関するものであり得る。したがって、実施形態において、「減少させる」、「減少された」、「減少させること」、「減少」、「減らす」及び「抑制する」という用語(及びこれらの文法的な変化形)及び同様の用語は、本発明のポリペプチドと接触していない植物(例えば、ポリペプチドをトランスジェニック発現していないか、又はポリペプチドで局所的に処理されていない植物)と比較して少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又はそれを上回る低下を意味する。それぞれの実施形態において、減少の結果、植物有害生物の検出可能な生存、成長及び/又は繁殖は、全くないか又は実質的に全くない(すなわちわずかな量、例えば約10未満、約5未満又はさらに約1未満)。
【0211】
「調節エレメント」は、ヌクレオチド配列の発現の制御に関与する配列を指す。調節エレメントは、対象のヌクレオチド配列及び終結シグナルに作動可能に連結されたプロモータを含む。調節エレメントは、通常、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要とされる配列も包含する。
【0212】
「形質転換」は、宿主細胞又は生物に異種核酸を導入するためのプロセスである。特定の実施形態では、「形質転換」は、対象の生物のゲノム(核又はプラスチド)へのDNA分子の安定した組込みを意味する。
【0213】
「形質転換/トランスジェニック/組換え」は、異種核酸分子が導入された細菌又は植物などの宿主生物を指す。核酸分子は、宿主のゲノムに安定に組み込まれ得るか、又は核酸分子は、染色体外分子として存在することもできる。このような染色体外分子は、自己複製するものであり得る。形質転換細胞、組織又は植物は、形質転換プロセスの最終産物だけでなく、そのトランスジェニック子孫も包含すると理解される。「非形質転換」、「非トランスジェニック」又は「非組換え」宿主は、野生型生物、例えば異種核酸分子を含有しない細菌又は植物を指す。
【0214】
本明細書で使用される場合、「Txp40タンパク質」は、線虫属のステイネルネマ(Steinernema)及びヘテロラブディティス(Heterrhabditis)とそれぞれ共生的に関連する2つの細菌属、ゼノラブダス(Xenorhabdus)及びフォトラブダス(Photorhabdus)によって産生される、天然に存在する毒素である。線虫-細菌対は、特定の昆虫に侵入し、死滅させることができる。Txp40タンパク質は、最初にP.ルミネッセンス(P.luminescens)から単離され、いくつかの害虫に対する注入可能な毒性を有することが示された。
【0215】
本発明に従う「変異体Txp40タンパク質」は、スポドプテラ(Spodoptera)害虫、特にツマジロクサヨトウ有害生物(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))に対して経口的に毒性である、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する天然に存在しない改変タンパク質を意味する。
【0216】
本発明は、Txp40殺虫性タンパク質に関し、これは、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)由来のCryタンパク質を含む多数の種類の殺虫性タンパク質に抵抗する害虫種であるスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ、FAW)に対して驚くほど経口毒性を有することが本明細書において示されている。Txp40タンパク質は、その自然生物学のために当技術分野において知られているが、これらは、主に昆虫の血体腔に直接注入することにより、特定の昆虫に対して殺虫性であることが示されている(例えば、米国特許第6,630,619号明細書;Park et.al.2012.J.Agric.Food Chem.60:4053-4059及びBrown et.al.2006.App.Environ.Microbiol.72:1653-1662を参照されたい)。このような直接注入は、まず標的昆虫血体腔に侵入して、病原性細菌、例えばTxp40タンパク質を産生するフォトラブダス(Photorhabdus)及びゼノラブダス(Xenorhabdus)細菌を放出する病原性線虫、例えばヘテロラブディティダエ(Heterorhabditidae)科及びステイネルネマティダエ(Steinernematiidae)科の昆虫病原性線虫を介してTxp40タンパク質が昆虫に送達される天然経路を模倣する。1つのグループは、オオハチミツガ(greater wax moth)、ガレリア・メロネラ(Galleria mellonella)(Mathur et al.2018.Toxicon 154:59-73)、作物有害生物でない昆虫及び多数のCryタンパク質に対して感受性の高いものを含む、多数の種類の殺虫性タンパク質に対して感受性の高い昆虫に対してのみTxp40タンパク質の経口毒性を報告している。本発明は、FAW害虫に対するTxp40タンパク質の経口毒性について初めて知られた開示である。したがって、本発明は、Txp40殺虫性タンパク質及びTxp40タンパク質の変異体を使用して、FAW有害生物集団を防除する新規の方法を提供する。本発明の新規の方法は、Cryタンパク質及び/又はVip3タンパク質などの他の昆虫防除剤に耐性があるか又は耐性になり得るFAW集団を防除するために特に有用である。
【0217】
したがって、ある実施形態において、本発明は、スポドプテラ(Spodoptera)害虫を防除する方法であって、スポドプテラ(Spodoptera)害虫を、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなるTxp40タンパク質と接触させるステップを含む方法を提供する。他の実施形態において、Txp40タンパク質は、配列番号1に対してその全長にわたって少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。他の実施形態において、Txp40タンパク質は、配列番号1、配列番号2又は配列番号74~136のいずれかを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。他の実施形態において、本方法は、有効量の本発明のTxp40タンパク質をスポドプテラ(Spodoptera)害虫又はその環境に送達する、例えば経口的に送達するステップを含む。一般に、有効であるために、Txp40タンパク質は、スポドプテラ(Spodoptera)害虫によって経口摂取される。本発明のTxp40タンパク質をスポドプテラ(Spodoptera)害虫に経口的に送達するための方法の例としては、限定はされないが、(1)トランスジェニック植物において(ここで、昆虫は、トランスジェニック植物の1つ又は複数の部分を食べ(摂取し)、それによりトランスジェニック植物において発現されるTxp40ポリペプチドを摂取する);(2)例えば昆虫の成長培地に適用又は取り込まれ得る配合されたタンパク質組成物において;(3)表面に適用され得る、例えば植物部位の表面にスプレーされ得る(これは、次に、昆虫がスプレーされた植物部位の1つ又は複数を食べたときに昆虫により摂取される)タンパク質組成物において;(4)餌基質において;又は(5)当技術分野において認められる任意の他のタンパク質送達系においてタンパク質を提供することが挙げられる。したがって、スポドプテラ(Spodoptera)害虫への経口送達のあらゆる方法を使用して、本発明の毒性タンパク質を送達することができる。いくつかの特定の実施形態では、本発明のTxp40殺虫性タンパク質は、スポドプテラ(Spodoptera)害虫に経口的に送達され、例えば、ここで、昆虫は、本発明のトランスジェニック植物の1つ又は複数の部分を摂取する。さらなる実施形態において、スポドプテラ(Spodoptera)害虫は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ、FAW)である。
【0218】
他の実施形態において、本発明のTxp40殺虫性タンパク質は、スポドプテラ(Spodoptera)害虫、例えばツマジロクサヨトウ昆虫(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))に経口的に送達され、ここで、昆虫は、本発明のTxp40殺虫性タンパク質を含む組成物がスプレーされた植物の1つ又は複数の部分を摂取する。本発明の組成物の植物表面への送達は、化合物、組成物、配合物などを植物表面に適用するために、当業者に知られているあらゆる方法を用いて行うことができる。植物若しくはその部位に送達するか、又は植物若しくはその部位と接触させるいくつかの非限定的な例としては、スプレーイング、ダスティング、スプリンクリング、スキャッタリング、ミスティング、アトマイジング、ブロードキャスティング、浸漬、土壌注入、土壌混和、灌注(例えば、根、土壌処理)、ディッピング、注入、コーティング、葉又は茎浸潤、側方施肥又は種子処理など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。植物又はその部位を化合物、組成物又は配合物と接触させるためのこれら及び他の手順は、当業者によく知られている。
【0219】
さらなる実施形態において、本発明は、Cryタンパク質及び/又は植物性殺虫性タンパク質、例えばVip3に耐性があるFAW害虫又は有害生物集団を防除する方法であって、FAW有害生物若しくは有害生物集団又はその環境に有効量の本発明のTxp40タンパク質又は組成物を送達するステップを含む方法を提供する。ある実施形態において、Txp40タンパク質は、配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。他の実施形態において、Txp40タンパク質は、配列番号1に対してその全長にわたって少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。他の実施形態において、Txp40タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2又は配列番号74~136のいずれかを含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。他の実施形態において、Vip3は、Vip3Aタンパク質である。他の実施形態において、Vip3Aタンパク質は、トランスジェニックイベントMIR162を含むコーン植物において発現されるVip3Aa20タンパク質である。さらに他の実施形態において、Cryタンパク質は、Cry1A、Cry1B、Cry1C、Cry1D、Cry1F、Cry1J又はCry2Aタンパク質である。さらなる実施形態において、Cry1Fタンパク質は、トランスジェニックイベントTC1507を含むコーン植物において発現されるCry1Faタンパク質である。
【0220】
他の実施形態において、本発明は、スポドプテラ(Spodoptera)害虫、例えばツマジロクサヨトウの集団において、トランスジェニック植物で発現されるCryタンパク質及び/又はVip3タンパク質に対する耐性の発生を防止する方法を提供し、本方法は、Vip3タンパク質をコードするヌクレオチド配列及び/又はCryタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドと;本発明のTxp40殺虫性タンパク質を発現する本発明のポリヌクレオチド発現カセット又はベクターとを含むトランスジェニック植物を標的スポドプテラ(Spodoptera)集団に送達するステップを含む。他の実施形態において、Vip3タンパク質は、Vip3Aタンパク質である。他の実施形態において、Vip3Aタンパク質は、Vip3Aa20タンパク質である。さらに他の実施形態において、Cryタンパク質は、Cry1A、Cry1B、Cry1C、Cry1D、Cry1F、Cry1J又はCry2Aタンパク質である。さらなる実施形態において、Cry1Fタンパク質は、Cry1Faタンパク質である。さらに他の実施形態において、トランスジェニック植物は、イベントMIR162及び/又はイベントTC1507を含むコーン植物である。ある実施形態において、Txp40タンパク質は、その全長にわたって配列番号1と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。別の実施形態では、Txp40タンパク質は、配列番号1、配列番号2又は配列番号74~136のいずれかのアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。上記の実施形態によれば、トランスジェニック植物は、本発明のTxp40殺虫性タンパク質をコードする2つ以上の遺伝子の育種スタック、本発明のTxp40殺虫性タンパク質をコードする2つ以上の遺伝子の分子スタック又はその両方の組合せを含むことができる。
【0221】
本発明は、配列番号1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%又は99.9%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる変異体Txp40殺虫性タンパク質も提供し、ここで、変異体Txp40タンパク質は、スポドプテラ(Spodoptera)害虫、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(ツマジロクサヨトウ、FAW)害虫に対する経口活性を有する。ある実施形態において、本発明の変異体Txp40タンパク質は、配列番号2又は配列番号74~136のいずれかのアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。
【0222】
ある実施形態において、本発明は、配列番号1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%又は99.9%の同一性を有し、且つ配列番号1と比較してアミノ酸置換を含む変異体Txp40殺虫性タンパク質を提供する。他の実施形態において、本発明は、配列番号1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%又は99.9%の同一性を有し、且つ配列番号1と比較して、配列番号1のアミノ酸位置10、11、26、31、38、46、48、49、73、75、86、96、101、103、111、116、119、133、134、143、155、167、169、170、182、186、187、191、200、208、209、210、213、217、221、226、238、240、247、250、252、256、257、263、265、266、271、275、284、293、296、305、308、309、311、313、315、320、326、328若しくは333又はこれらの任意の組合せに対応する位置でのアミノ酸置換を有する変異体Txp40殺虫性タンパク質を提供する。
【0223】
ある実施形態において、本発明は、配列番号1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%又は99.9%の同一性を有し、且つ配列番号1と比較して、配列番号1のアミノ酸位置119及び/又は213に対応する位置でのアミノ酸置換を有する変異体Txp40殺虫性タンパク質を提供する。他の実施形態において、変異体Txp40タンパク質は、アミノ酸位置119に対応する位置にAを有し、且つ/又は配列番号1のアミノ酸位置213に対応する位置にAを有する。他の実施形態において、変異体Txp40タンパク質は、配列番号1におけるK119A及び/又はK213A置換を有する。他の実施形態において、変異体Txp40タンパク質は、配列番号18、配列番号26又は配列番号127のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。
【0224】
ある実施形態において、本発明は、配列番号1に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%又は99.9%の同一性を有し、且つ配列番号1と比較して、配列番号1のアミノ酸位置11、119及び/又は213に対応する位置でのアミノ酸置換を有する変異体Txp40殺虫性タンパク質を提供する。他の実施形態において、変異体Txp40タンパク質は、配列番号1のアミノ酸位置11に対応する位置にYを有し、配列番号1のアミノ酸位置119に対応するアミノ酸位置にAを有し、且つ/又は配列番号1のアミノ酸位置213に対応するアミノ酸位置にAを有する。他の実施形態において、変異体Txp40タンパク質は、配列番号1であり、ここで、位置11のアミノ酸Sは、Yで置換されており、位置119のアミノ酸Kは、Aで置換されており、且つ/又は位置213のアミノ酸Kは、Aで置換されている。他の実施形態において、変異体Txp40タンパク質は、配列番号131のアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。
【0225】
本発明のTxp40タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、種々の方法によって改変され得ることと、これらの改変は、天然に存在するTxp40タンパク質によりコードされるものと異なるアミノ酸配列を有する変異体Txp40タンパク質をコードするヌクレオチド配列をもたらし得ることとが認識される。Txp40タンパク質は、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約17又は約20までのアミノ酸置換、欠失又は挿入を含む、配列番号1の1つ又は複数のアミノ酸のアミノ酸置換、欠失、切断及び挿入を含む種々の方法で変更され得る。このような操作の方法は、当技術分野において一般的に知られている。例えば、天然Txp40タンパク質のアミノ酸配列変異体は、Txp40タンパク質をコードするポリヌクレオチドにおける突然変異によって調製することができる。これは、突然変異誘発のいくつかの形態の1つにより又は定向進化において達成され得る。ある実施形態において、アミノ酸配列においてコードされる変化は、タンパク質の機能に対して実質的に影響を与えないであろう。このような変異体は、所望の殺虫活性を有し得る。他の実施形態において、得られた変異体Txp40タンパク質は、野生型Txp40タンパク質と比較して、特にスポドプテラ(Spodoptera)害虫に対して増大された殺虫活性を有し得る。他の実施形態において、得られた変異体タンパク質は、合成変異体ポリヌクレオチドによってコードされる。さらに他の実施形態において、本発明のTxp40タンパク質は、配列番号11~73のいずれかのヌクレオチド配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる核酸分子によってコードされる。
【0226】
ある実施形態によれば、本発明は、スポドプテラ(Spodoptera)有害生物、特にツマジロクサヨトウに対して経口毒性のある本発明のTxp40タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる合成ポリヌクレオチドを提供し、ここで、ヌクレオチド配列は、トランスジェニック生物における発現のために最適化されたコドンを有する。他の実施形態において、トランスジェニック生物は、トランスジェニック細菌又はトランスジェニック植物である。さらなる実施形態において、トランスジェニック植物は、トランスジェニックコーン植物である。多くの場合、微生物由来の遺伝子は、修飾することなく植物において高レベルで発現され得るが、植物において選択されないコドンを有する微生物ヌクレオチドにより、トランスジェニック植物における低発現が生じ得る。生きている生物は、コドン使用に対する特異的な選択性を有し、且つ本発明に記載されるヌクレオチド配列のコドンは、それによりコードされるアミノ酸を維持しながら、植物の選択性と一致するように変化され得ることが当技術分野において知られている。さらに、植物、例えばコーン植物における高発現は、少なくとも約35のGC含量又は少なくとも約45、若しくは少なくとも約50、若しくは少なくとも約60のGC含量を有するコード配列から達成可能であることが当技術分野において知られている。低GC含量を有する微生物ヌクレオチド配列は、植物において不十分に発現し得る。特定のヌクレオチド配列は、単子葉及び双子葉植物の両方の種において適切に発現され得るが、配列は、単子葉植物又は双子葉植物の特異的なコドン選択性及びGC含量選択性を考慮する(これらの選択性は、異なることが示されているため)ように修飾され得る(Murray et al.Nucl.Acids Res.17:477-498(1989))。加えて、実施形態において、ヌクレオチド配列は、メッセージ切断を引き起こし得る非正統的なスプライス部位を除去するように修飾され得る。ヌクレオチド配列に対するこのような修飾は、部位特異的突然変異誘発、PCR並びに例えば米国特許第5,625,136号明細書、同第5,500,365号明細書及び同第6,013,523号明細書に記載される方法を使用する合成遺伝子構築の周知の技術を用いて行うことができる。本発明のある実施形態において、本発明のコドン最適化ヌクレオチド配列は、少なくとも50、55、60又は少なくとも65のGC含量を有するヌクレオチド配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。さらに他の実施形態において、コドン最適化ヌクレオチド配列は、配列番号4、配列番号5又は配列番号11~73のいずれかのヌクレオチド配列を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる。当業者は、このようなGC含量がいくつかの異なる方法で達成され得ることを認識するであろう。例えば、このような合成コード配列又はポリヌクレオチドは、米国特許第5,625,136号明細書に開示される手順に従って行われる。この手順では、トウモロコシに選択されるコドン、すなわちトウモロコシ内でそのアミノ酸最も頻繁にコードする単一のコドンが使用される。特定のアミノ酸に対してトウモロコシに選択されるコドンは、例えば、トウモロコシ由来の既知の遺伝子配列から得ることができる。例えば、トウモロコシ植物からの28個の遺伝子に対するトウモロコシのコドン使用は、Murray et al.,Nucleic Acids Research 17:477-498(1989)において見出される。1つの植物種における発現のために最適化されたコドンは、他の植物種でも機能し得るが、おそらくコドンが最適化された植物種と同レベルではないことが認識される。このようにして、任意の植物での発現のためにヌクレオチド配列を最適化することができる。ヌクレオチド配列の全て又は任意の部分が最適化又は合成され得ることが認識される。すなわち、ポリヌクレオチドは、一部が天然配列であり、一部がコドン最適化配列であるヌクレオチド配列を含み得る。
【0227】
本発明のある実施形態において、スポドプテラ(Spodoptera)害虫に対する殺虫活性を有するTxp40タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸分子に作動可能に連結されたプロモータを含むキメラ遺伝子が提供され、ここで、ヌクレオチド配列は、(a)配列番号3~5又は11~73のいずれかであるか;(b)配列番号3~5又は11~73のいずれかに対して少なくとも95%の同一性を有するか;(c)配列番号1、2又は74~136のいずれかのアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするか;(d)配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするか;又は(e)(a)~(d)のいずれか1つのヌクレオチド配列に対して相補的である。
【0228】
ある実施形態において、核酸分子は、トウモロコシコドン最適化ヌクレオチド配列を含む。他の実施形態において、プロモータは、植物発現性プロモータ、特にトウモロコシ植物において発現するプロモータである。例えば、限定はされないが、植物発現性プロモータは、ユビキチン、ケストルムイエローウィルス(cestrum yellow virus)、コーンTrpA、OsMADS 6、トウモロコシH3ヒストン、バクテリオファージT3遺伝子9 5’ UTR、コーンスクロースシンテターゼ1、コーンアルコールデヒドロゲナーゼ1、コーン集光複合体、コーン熱ショックタンパク質、トウモロコシmtl、エンドウマメ小サブユニットRuBPカルボキシラーゼ、コメアクチン、コメシクロフィリン、Tiプラスミドマンノピンシンターゼ、Tiプラスミドノパリンシンターゼ、ペチュニアカルコンイソメラーゼ、マメグリシンリッチタンパク質1、ジャガイモパタチン、レクチン、CaMV 35S及びS-E9小サブユニットRuBPカルボキシラーゼプロモータからなるプロモータの群から選択することができる。
【0229】
双子葉植物に由来する多くのプロモータが単子葉植物において機能することが示されており、逆も同様であるが、実施形態では、双子葉植物プロモータが双子葉植物における発現のために、且つ単子葉植物プロモータが単子葉植物における発現のために選択される。しかしながら、選択されたプロモータの起源に制限はなく、それらが所望の細胞中のヌクレオチド配列の発現の促進において機能すれば十分である。
【0230】
プロモータの選択は、発現のための時間的及び空間的要件に応じて且つ形質転換される宿主細胞にも応じて異なり得る。したがって、例えば、本発明のヌクレオチド配列の発現は、任意の植物及び/又は植物部位内(例えば、葉内、柄又は茎内、雌穂内、花序(例えば、穂状花序、円錐花序、穂軸など)内、根、種子及び/又は苗内など)であり得る。例えば、特定の組織又は器官における発現が所望される場合、組織特異的又は組織選択プロモータを使用することができる(例えば、根特異的/選択プロモータ)。対照的に、刺激に応答する発現が所望される場合、刺激又は化学物質により誘導可能なプロモータを使用することができる。植物の細胞全体にわたって比較的一定のレベルの連続的な発現が所望される場合、構成的プロモータを使用することができる。
【0231】
本発明で有用なプロモータとしては、限定はされないが、構造的にヌクレオチド配列の発現を促すもの、誘導されると発現を促すもの及び組織特異的又は発生学的に特異的な方法で発現を促すものが挙げられる。これらの様々なタイプのプロモータが当技術分野において公知である。
【0232】
適切な構成的プロモータには、例えば、CaMV 35Sプロモータ(Odell et al.,Nature 313:810-812,1985);アラビドプシス(Arabidopsis)At6669プロモータ(PCT公開国際公開第04081173号を参照されたい);トウモロコシUbi1(Christensen et al.,Plant Mol.Biol.18:675-689,1992);コメアクチン(McElroy et al.,Plant Cell 2:163-171,1990);pEMU(Last et al.,Theor.Appl.Genet.81:581-588,1991);CaMV 19S(Nilsson et al.,Physiol.Plant 100:456-462,1997);GOS2(de Pater et al.,Plant J November;2(6):837-44、1992);ユビキチン(Christensen et al.,Plant Mol.Biol.18:675-689,1992);コメシクロフィリン(Bucholz et al.,Plant Mol Biol.25(5):837-43,1994);トウモロコシH3ヒストン(Lepetit et al.,Mol.Gen.Genet.231:276-285,1992);アクチン2(An et al.,Plant J.10(1);107-121,1996)、構成的根端CT2プロモータ(配列番号1535;PCT出願イスラエル特許出願公開第2005/000627号も参照されたい)及びSynthetic Super MAS(Ni et al.,The Plant Journal 7:661-76,1995)が含まれる。他の構成的プロモータには、米国特許第5,659,026号明細書、同第5,608,149号明細書、同第5,608,144号明細書、同第5,604,121号明細書、同第5,569,597号明細書、同第5,466,785号明細書、同第5,399,680号明細書、同第5,268,463号明細書及び同第5,608,142号明細書のものが含まれる。
【0233】
植物、任意にトウモロコシにおける本発明のポリペプチドの発現に有用な組織特異的又は組織選択プロモータには、根、髄、葉又は花粉における発現を指示するものが含まれる。適切な組織特異的プロモータには、限定はされないが、葉特異的プロモータ(例えば、Yamamoto et al.,Plant J.12:255-265,1997;Kwon et al.,Plant Physiol.105:357-67,1994;Yamamoto et al.,Plant Cell Physiol.35:773-778,1994;Gotor et al.,Plant J.3:509-18,1993;Orozco et al.,Plant Mol.Biol.23:1129-1138,1993;及びMatsuoka et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:9586-9590,1993によって記載されるものなど)、種子選択プロモータ(例えば、種子特異的遺伝子由来;Simon,et al.,Plant Mol.Biol.5.191,1985;Scofield,et al.,J.Biol.Chem.262:12202,1987;Baszczynski,et al.,Plant Mol.Biol.14:633,1990)、ブラジルナッツアルブミン(Pearson et al.,Plant Mol.Biol.18:235-245,1992)、レグミン(Ellis,et al.Plant Mol.Biol.10:203-214,1988)、グルテリン(Takaiwa,et al.,Mol.Gen.Genet.208:15-22,1986;Takaiwa,et al.,FEBS Letts.221:43-47,1987)、ゼイン(Matzke et al.,Plant Mol Biol,143).323-32 1990)、napA(Stalberg,et al.,Planta 199:515-519,1996)、コムギSPA(Albanietal,Plant Cell,9:171-184,1997)、ヒマワリオレオシン(Cummins,et al.,Plant Mol.Biol.19:873-876,1992)]、胚乳特異的プロモータ(例えば、コムギLMW及びHMW、グルテニン-1(Mol Gen Genet 216:81-90,1989;NAR 17:461-2)、コムギa、b及びgグリアジン(EMB03:1409-15,1984)、オオムギltrlプロモータ、オオムギB1、C、Dホルデイン(Theor Appl Gen 98:1253-62,1999;Plant J 4:343-55,1993;Mol Gen Genet 250:750-60,1996)、オオムギDOF(Mena et al.,The Plant Journal,116(1):53-62,1998)、Biz2(欧州特許第99106056.7号明細書)、合成プロモータ(Vicente-Carbajosa et al.,Plant J.13:629-640,1998)、コメプロラミンNRP33、コメ-グロブリンGlb-1(Wu et al.,Plant Cell Physiology 39(8)885-889,1998)、コメアルファ-グロブリンREB/OHP-1(Nakase et al.Plant Mol.Biol.33:513-S22,1997)、コメADP-グルコースPP(Trans Res 6:157-68,1997)、トウモロコシESR遺伝子ファミリー(Plant J 12:235-46,1997)、ソルガム(sorgum)ガンマ-カフィリン(Plant Mol.Biol 32:1029-35,1996)]、胚特異的プロモータ(例えば、コメOSH1;Sato et al.,Proc.Nati.Acad.Sci.USA,93:8117-8122)、KNOX(Postma-Haarsma of al,Plant Mol.Biol.39:257-71,1999)、コメオレオシン(Wu et at,J.Biochem.,123:386,1998)]、花特異的プロモータ、例えばAtPRP4、カレン(chalene)シンターゼ(chsA)(Van der Meer,et al.,Plant Mol.Biol.15,95-109,1990)、LAT52(Twell et al.,Mol.Gen Genet.217:240-245;1989)、apetala-3並びに植物生殖組織に特異的なプロモータ(例えば、OsMADSプロモータ;米国特許出願公開第2007/0006344号明細書)が含まれる。
【0234】
緑色組織における選択発現に適したプロモータの例としては、光合成に関与する遺伝子を調節する多数のものが挙げられ、これらの多くは、単子葉植物及び双子葉植物の両方からクローニングされている。1つのこのようなプロモータは、ホスホエノールカルボキシラーゼ遺伝子由来のトウモロコシPEPCプロモータである(Hudspeth&Grula,Plant Molec.Biol.12:579-589(1989))。根特異的発現のための別のプロモータは、de Framond(FEBS 290:103-106(1991)又は米国特許第5,466,785号明細書)により記載されるものである。本発明において有用な別のプロモータは、米国特許第5,625,136号明細書に記載される、天然でトウモロコシtrpA遺伝子の発現を促す茎特異的プロモータである。
【0235】
さらに、プラスチドにおいて機能するプロモータが使用され得る。このようなプロモータの非限定的な例としては、バクテリオファージT3遺伝子9 5’ UTR及び米国特許第7,579,516号明細書に開示されている他のプロモータが挙げられる。本発明で有用な他のプロモータとしては、限定はされないが、S-E9小サブユニットRuBPカルボキシラーゼプロモータ及びKunitzトリプシン阻害遺伝子プロモータ(Kti3)が挙げられる。
【0236】
本発明のある実施形態において、誘導性プロモータが使用され得る。したがって、例えば、化学的に調節されたプロモータを用いて、外因性化学調節剤の適用によって植物における遺伝子の発現を調節することができる。化学的に調節されるプロモータによる本発明のヌクレオチド配列の発現の調節は、作物植物が誘導性化学物質で処理されるときのみ、本発明のポリペプチドが合成されることを可能にする。目的に応じて、プロモータは、化学物質の適用が遺伝子発現を誘導する場合、化学物質誘導性プロモータであるか、又は化学物質の適用が遺伝子発現を抑制する場合、化学物質抑制性プロモータであり得る。遺伝子発現の化学的誘導のためのこのような技術の例は、欧州特許出願公開第0332104号明細書及び米国特許5,614,395号明細書において詳述されている。
【0237】
化学物質誘導性プロモータが当技術分野において公知であり、これらとしては、限定はされないが、ベンゼンスルホンアミド除草剤毒性緩和剤によって活性化されるトウモロコシIn2-2プロモータ、発芽前除草剤として使用される疎水性求電子化合物によって活性化されるトウモロコシGSTプロモータ及びサリチル酸によって活性化されるタバコPR-1 aプロモータ(例えば、PR1aシステム)、ステロイドステロイド応答性プロモータ(例えば、Schena et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,10421-10425及びMcNellis et al.(1998)Plant J.14、247-257におけるグルココルチコイド誘導性プロモータを参照されたい)並びにテトラサイクリン誘導性及びテトラサイクリン抑制性プロモータ(例えば、Gatz et al.(1991)Mol.Gen.Genet.227,229-237並びに米国特許第5,814,618号明細書及び同第5,789,156号明細書を参照されたく、Lacリプレッサシステムプロモータ、銅誘導性システムプロモータ、サリチレート誘導性システムプロモータ(例えば、PR1aシステム)、グルココルチコイド誘導性プロモータ(Aoyama et al.(1997)Plant J.11:605-612)及びエクジソン誘導性システムプロモータが挙げられる。
【0238】
誘導性プロモータの他の非限定的な例としては、ABA誘導性及び膨圧(turgor)誘導性プロモータ、オーキシン結合タンパク質遺伝子プロモータ(Schwob et al.(1993)Plant J.4:423-432)、UDPグルコースフラボノイドグリコシル-トランスフェラーゼプロモータ(Ralston et al.(1988)Genetics 119:185-197)、MPIプロティナーゼ阻害剤プロモータ(Cordero et al.(1994)Plant J.6:141-150)及びグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼプロモータ(Kohler et al.(1995)Plant Mol.Biol.29:1293-1298;Martinez et al.(1989)J.Mol.Biol.208:551-565;及びQuigley et al.(1989)J.Mol.Evol.29:412-421)が挙げられる。ベンゼンスルホンアミド誘導性(米国特許第5,364,780号明細書)及びアルコール誘導性(国際特許出願公開国際公開第97/06269号及び国際公開第97/06268号)システム及びグルタチオンS-トランスフェラーゼプロモータも含まれる。同様に、Gatz(1996)Current Opinion Biotechnol.7:168-172及びGatz(1997)Annu.Rev.Plant Physiol.Plant Mol.Biol.48:89-108に記載されている誘導性プロモータのいずれかを使用することができる。植物における本発明のヌクレオチド配列の発現を促すのに有用な他の化学的誘導性プロモータは、米国特許第5,614,395号明細書に開示されている。遺伝子発現による化学的誘導は、欧州特許出願公開第0 332 104号明細書(Ciba-Geigyに付与された)及び米国特許第5,614,395号明細書でも詳述されている。
【0239】
本発明において有用なプロモータの別のカテゴリーは、創傷誘導性プロモータである。創傷部位において且つ植物病原体感染部位でも発現される多数のプロモータが記載されている。理想的には、このようなプロモータは、昆虫の侵入部位においてのみ局所的に活性でなければならず、このようにして、殺虫性タンパク質は、侵入害虫を死滅させるために殺虫性タンパク質を合成する必要がある細胞においてのみ蓄積する。この種のプロモータの例としては、Stanford et al.Mol.Gen.Genet.215:200-208(1989)、Xu et al.Plant Molec.Biol.22:573-588(1993)、Logemann et al.Plant Cell 1:151-158(1989)、Rohrmeier&Lehle,Plant Molec.Biol.22:783-792(1993)、Firek et al.Plant Molec.Biol.22:129-142(1993)及びWarner et al.Plant J.3:191-201(1993)によって記載されるものが挙げられる。
【0240】
作動可能であるように本発明のヌクレオチド配列と関連しているプロモータに加えて、本発明の発現カセットは、他の調節エレメントを含むこともできる。調節エレメントは、限定はされないが、エンハンサ、イントロン、翻訳リーダー配列、終結シグナル及びポリアデニル化シグナル配列を含む。適切な転写ターミネータシグナルの例は、当技術分野において利用可能であり、知られている(例えば、CaMV由来のtml、rbcS由来のE9)。植物において機能することが知られている利用可能なターミネータは、いずれも本発明との関連において使用することができる。
【0241】
多数の他の配列を、本発明において記載されるキメラ遺伝子に組み込むことができる。これらには、イントロン配列(例えば、Adhl及びbronzel由来)及びウイルスリーダー配列(例えば、TMV、MCMV及びAMV由来)などの発現を高めることが示されている配列が含まれる。
【0242】
より効率的な翻訳の開始のために、開始メチオニンに隣接する配列が修飾され得る。例えば、これらは、植物において有効であることが知られている配列の包含によって修飾することができる。Joshiは、植物のために適切なコンセンサスを示唆しており(NAR 15:6643-6653(1987))、Clonetechは、さらなるコンセンサス翻訳イニシエータを示唆している(1993/1994カタログ、210ページ)。これらのコンセンサスは、本発明のヌクレオチド配列と共に使用するのに適している。これらの配列は、ATGまで及びATGを含む(第2のアミノ酸は修飾されないままである)ヌクレオチド配列又は代替的にATGの次のGTCまで及びGTCを含む(導入遺伝子の第2のアミノ酸を修飾する可能性がある)ヌクレオチド配列を含む構築物に組み込まれる。
【0243】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドの発現を植物細胞内の特定の細胞部位に標的化することが望ましいことがある。場合により、サイトゾルにおける局在化が望ましいことがあるが、他の場合、いくつかの細胞内小器官における局在化が望ましいこともある。例えば、植物において遺伝子産物を標的化するための任意のメカニズムを用いて本発明を実施することができ、このようなメカニズムは、植物内に存在することが知られており、これらのメカニズムの機能を制御する配列は、いくらか詳細に特徴付けられている。遺伝子産物の他の細胞コンパートメントへの標的化を生じる配列が特徴付けられている。例えば、アミノ末端配列は、植物細胞の液胞、ミトコンドリア、ペルオキシソーム、タンパク粒、小胞体、葉緑体、デンプン粒、アミロプラスト、アポプラスト又は細胞壁などの細胞コンパートメントへの対象のタンパク質の標的化に関与することができる(例えば、Unger et.al.Plant Molec.Biol.13:411-418(1989);Rogers et.al.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:6512-651;米国特許第7,102,057号明細書;国際公開第2005/096704号)。任意に、シグナル配列は、waxy由来のN末端シグナル配列、ガンマ-ゼイン由来のN末端シグナル配列、デンプン結合ドメイン、C末端デンプン結合ドメイン、成熟タンパク質を葉緑体に移入する葉緑体標的化配列(Comai et.al.(1988)J.Biol.Chem.263:15104-15109;van den Broeck,et.al.(1985)Nature 313:358-363;米国特許第5,639,949号明細書)又はアリューロン細胞由来の分泌シグナル配列(Koehler&Ho,Plant Cell 2:769-783(1990))であり得る。さらに、カルボキシル末端配列と共に、アミノ末端配列は、遺伝子産物の液胞標的化に関与しており、本発明と共に使用することができる(Shinshi et.al.(1990)Plant Molec.Biol.14:357-368)。一実施形態において、選択されるシグナル配列は、既知の切断部位を含み、構築された融合物は、切断のために必要とされる切断部位の後の任意のアミノ酸を考慮に入れる。場合により、この必要性は、切断部位と導入遺伝子ATGとの間の少数のアミノ酸の付加又は代替的に導入遺伝子配列内のいくつかのアミノ酸の置換によって満たされ得る。これらの構築技術は、当技術分野において周知であり、あらゆる細胞コンパートメントに同等に適用できる。
【0244】
細胞標的化のための上記のメカニズムは、標的化シグナルが由来するプロモータと異なる発現パターンを有するプロモータの転写調節下で特定の細胞標的化の目的を達成するように、その同族プロモータと共に利用できるだけでなく、異種プロモータと共に利用することもできることが認識されるであろう。
【0245】
本発明のキメラ遺伝子は、形質転換された植物、植物部位及び/又は植物細胞を選択するために使用され得る、選択可能なマーカーのためのヌクレオチド配列も含み得る。好適な選択可能なマーカーの多くの例が当技術分野において公知であり、本明細書に記載される発現カセットに使用され得る。
【0246】
選択可能なマーカーの例としては、限定はされないが、カナマイシン、G418などに対する耐性を与える、neo又はnptIIをコードするヌクレオチド配列(Potrykus et al.(1985)Mol.Gen.Genet.199:183-188);ホスフィノトリシンに対する耐性を与える、barをコードするヌクレオチド配列;グリホサートに対する耐性を与える、改変5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸(EPSP)シンターゼをコードするヌクレオチド配列(Hinchee et al.(1988)Biotech.6:915-922);ブロモキシニルに対する耐性を与える、臭鼻菌(Klebsiella ozaenae)に由来するbxnなどのニトリラーゼをコードするヌクレオチド配列(Stalker et al.(1988)Science 242:419-423);イミダゾリノン、スルホニル尿素又は他のALS阻害化学物質に対する耐性を与える、改変アセト乳酸シンターゼ(ALS)をコードするヌクレオチド配列(欧州特許出願公開第154204号明細書);メトトレキサート耐性ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードするヌクレオチド配列(Thillet et al.(1988)J.Biol.Chem.263:12500-12508);ダラポンに対する耐性を与える、ダラポンデハロゲナーゼをコードするヌクレオチド配列;マンノースを代謝させる能力を与えるマンノース-6-リン酸イソメラーゼ(ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)とも呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列(米国特許第5,767,378号明細書及び同第5,994,629号明細書);5-メチルトリプトファンに対する耐性を与える、改変アントラニル酸シンターゼをコードするヌクレオチド配列;又はハイグロマイシンに対する耐性を与える、hphをコードするヌクレオチド配列が挙げられる。当業者は、本発明の発現カセットに使用するのに好適な選択可能なマーカーを選択することができる。
【0247】
さらなる選択可能なマーカーとしては、限定はされないが、それに対する様々な発色性基質が知られている酵素をコードするβ-グルクロニダーゼ又はuidA(GUS)をコードするヌクレオチド配列;植物組織におけるアントシアニン色素(赤色)の生成を調節する産物をコードするR遺伝子座ヌクレオチド配列(Dellaporta et al.,“Molecular cloning of the maize R-nj allele by transposon-tagging with Ac”263-282 In:Chromosome Structure and Function:Impact of New Concepts,18th Stadler Genetics Symposium(Gustafson&Appels eds.,Plenum Press 1988));それに対する様々な発色性基質が知られている酵素であるβ-ラクタマーゼをコードするヌクレオチド配列(例えば、PADAC、発色性セファロスポリン)(Sutcliffe(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:3737-3741);カテコールジオキシゲナーゼをコードするxylEをコードするヌクレオチド配列(Zukowsky et al.(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:1101-1105);凝集してメラニンを形成するDOPA及びドーパキノンにチロシンを酸化することが可能な酵素であるチロシナーゼをコードするヌクレオチド配列(Katz et al.(1983)J.Gen.Microbiol.129:2703-2714);それに対する発色性基質が存在する酵素であるβ-ガラクトシダーゼをコードするヌクレオチド配列;生物発光検出を可能にするルシフェラーゼ(lux)をコードするヌクレオチド配列(Ow et al.(1986)Science 234:856-859);カルシウム感受性生物発光検出に用いられ得るイクオリンをコードするヌクレオチド配列(Prasher et al.(1985)Biochem.Biophys.Res.Comm.126:1259-1268);又は緑色蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列(Niedz et al.(1995)Plant Cell Reports 14:403-406)が挙げられる。当業者は、本発明の発現カセットに使用するのに好適な選択可能なマーカーを選択することができる。
【0248】
ある実施形態において、本発明のキメラ遺伝子は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質に加えて、他の所望の形質をコードするポリヌクレオチドも含むことができる。このような他のポリヌクレオチドの例としては、対象の他の所望の形質に対するポリペプチド又はdsRNAをコードするものが挙げられる。「スタックされた」形質を含むこのような発現カセットは、例えば、スタックされた形質を有する所望の表現型を有する植物、植物部位又は植物細胞を作り出すために使用され得る(すなわち分子スタッキング)。植物におけるこのようなスタックされた組合せは、限定はされないが、任意の従来の方法による植物の交雑育種(すなわち育種スタック)を含む他の方法によって作り出すこともできる。植物を遺伝的に形質転換することによりスタックされる場合、対象のヌクレオチド配列は、いずれの時点でも且ついずれの順番でも組み合わせることができる。例えば、1つ又は複数の所望の形質を含むトランスジェニック植物は、次の形質転換によりさらなる形質を導入するための標的として使用することができる。付加的なヌクレオチド配列は、発現カセットの任意の組合せによって提供される本発明のヌクレオチド配列、核酸分子、核酸構築物又は組成物を用いる同時形質転換プロトコルにおいて同時に導入することができる。例えば、2つのヌクレオチド配列を導入させる場合、これらは、別々のカセットに組み込まれ得る(トランス)か、又は同じカセットに組み込まれ得る(シス)。ポリヌクレオチドの発現は、同じプロモータ又は異なるプロモータによって促すことができる。さらに、ポリヌクレオチドは、部位特異的組換え系を用いて所望のゲノム位置においてスタックされ得ることが認識される。例えば、国際特許出願公開国際公開第99/25821号、国際公開第99/25854号、国際公開第99/25840号、国際公開第99/25855号及び国際公開第99/25853号を参照されたい。
【0249】
それぞれの実施形態において、キメラ遺伝子は、農業形質(例えば、主に種子会社、栽培者又は穀物加工会社にとって有益である農業形質)のために、対象の1つ又は複数のポリペプチド又は二本鎖RNA分子(dsRNA)に対する付加的なコード配列を含むこともできる。対象のポリペプチドは、対象のヌクレオチド配列によりコードされる任意のポリペプチドであり得る。植物における産生に適している対象のポリペプチドの非限定的な例としては、除草剤耐性(「除草剤耐容性」と呼ばれることもある)、ウィルス耐性、細菌性病原体耐性、昆虫耐性、線虫耐性又は真菌耐性などの農学的に重要な形質をもたらすものが挙げられる。例えば、米国特許第5,569,823号明細書、同第5,304,730号明細書、同第5,495,071号明細書、同第6,329,504号明細書及び同第6,337,431号明細書を参照されたい。実施形態において、対象のポリペプチドは、植物の成長力若しくは収穫量(異なる温度、土壌条件並びに日光及び降水のレベルにおいて植物を成長させる形質を含む)を増大させるもの又は対象の形質(例えば、選択可能なマーカー、種皮色など)を示す植物の同定を可能にするものであり得る。種々の対象のポリペプチド及びこれらのポリペプチドを植物に導入するための方法は、例えば、米国特許第4,761,373号明細書、同第4,769,061号明細書、同第4,810,648号明細書、同第4,940,835号明細書、同第4,975,374号明細書、同第5,013,659号明細書、同第5,162,602号明細書、同第5,276,268号明細書、同第5,304,730号明細書、同第5,495,071号明細書、同第5,554,798号明細書、同第5,561,236号明細書、同第5,569,823号明細書、同第5,767,366号明細書、同第5,879,903号明細書、同第5,928,937号明細書、同第6,084,155号明細書、同第6,329,504号明細書及び同第6,337,431号明細書並びに米国特許出願公開第2001/0016956号明細書に記載されている。ワールドワイドウェブ上のlifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/も参照されたい。
【0250】
イミダザリノン又はスルホニル尿素など、成長点又は分裂組織を阻害する除草剤に対する耐性/耐容性を付与するポリヌクレオチドも本発明のある実施形態において適切であり得る。このカテゴリー内の例示的なポリヌクレオチドは、例えば、米国特許第5,767,366号明細書及び同第5,928,937号明細書に記載されるように、突然変異体ALS及びAHAS酵素をコードする。米国特許第4,761,373号明細書及び同第5,013,659号明細書は、種々のイミダザリノン又はスルホンアミド除草剤に耐性がある植物に関する。米国特許第4,975,374号明細書は、GSを阻害することが知られている除草剤、例えばホスフィノトリシン及びメチオニンスルホキシミンによる阻害に耐性がある突然変異体グルタミンシンテターゼ(GS)をコードする核酸を含有する植物細胞及び植物に関する。米国特許第5,162,602号明細書は、シクロヘキサンジオン及びアリールオキシフェノキシプロパン酸除草剤による阻害に耐性がある植物を開示する。耐性は、改変されたアセチル補酵素Aカルボキシラーゼ(Accase)によって付与される。
【0251】
グリホサートに対する耐性を付与するヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドも本発明に適している。例えば、米国特許第4,940,835号明細書及び米国特許第4,769,061号明細書を参照されたい。米国特許第5,554,798号明細書には、トランスジェニックグリホサート耐性トウモロコシ植物が開示されており、その耐性は、改変された5-エノールピルビル-3-ホスホシキメート(EPSP)シンターゼ遺伝子により付与される。
【0252】
グルホシネートアンモニウム又はホスフィノトリシンなどのホスホノ化合物及びピリジノキシ又はフェノキシプロピオン酸及びシクロヘキソンに対する耐性をコードするポリヌクレオチドも適している。欧州特許出願公開第0242246号明細書を参照されたい。米国特許第5,879,903号明細書、同第5,276,268号明細書及び同第5,561,236号明細書も参照されたい。
【0253】
他の適切なポリヌクレオチドには、トリアジン及びベンゾニトリル(ニトリラーゼ)などの光合成を阻害する除草剤に対する耐性をコードするものが含まれる。米国特許第4,810,648号明細書を参照されたい。除草剤耐性をコードする付加的な適切なポリヌクレオチドには、2,2-ジクロロロピオン酸、セトキシジム、ハロキシホップ、イミダゾリノン除草剤、スルホニル尿素除草剤、トリアゾロピリミジン除草剤、s-トリアジン除草剤及びブロモキシニルに対する耐性をコードするものが含まれる。プロトックス酵素に対する耐性を付与するか、或いは植物病害に対する耐性の増強;限定はされないが、干ばつ、過度の寒気、過度の熱若しくは過度の土壌塩分又は極端な酸性度若しくはアルカリ度を含む、不利な環境条件(非生物的ストレス)の耐容性の増強;及び発育のタイミングの変化を含む、植物の構造又は発育の変化を提供するポリヌクレオチドも適切である。例えば、米国特許出願公開第2001/0016956号明細書及び米国特許第6,084,155号明細書を参照されたい。
【0254】
付加的な適切なポリヌクレオチドには、殺有害生物性(例えば、殺虫性)ポリペプチドをコードするものが含まれる。これらのポリペプチドは、例えば、害虫を防除するために十分な量(すなわち昆虫防除量)で産生され得る。実施形態において、ポリペプチドは、鱗翅目活性、鞘翅目活性、半翅目活性及び/又は双翅目活性ポリペプチド又はこれらの任意の組合せである。昆虫又は他の有害生物を防除するために必要な殺有害生物性ポリペプチドの植物中の産生量は、栽培品種、有害生物の種類、環境因子などに応じて異なり得ることが認識される。付加的な昆虫又は有害生物耐性のために有用なポリヌクレオチドには、例えば、バチルス(Bacillus)生物において同定された毒素をコードするものが含まれる。いくつかの亜種からのバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)Cryタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドがクローニングされており、組換えクローンは、鱗翅目、双翅目及び鞘翅目の昆虫の幼虫に対して毒性のあることが見出されている。このようなBt殺虫性タンパク質の例としては、Cry1Aa、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1B、Cry1C、Cry1D、Cry1Ea、Cry1Fa、Cry3A、Cry9A、Cry9B、Cry9CなどのCryタンパク質及びVip1、Vip2、Vip3などの植物性殺虫性タンパク質並びに上記のBt殺虫性タンパク質の任意の組合せが挙げられる。Bt由来のタンパク質の完全なリストは、サセックス大学(University of Sussex)により維持されるバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)Toxin Nomenclature Databaseにおいてワールドワイドウェブ上で見出すことができる(Crickmore et al.(1998)Microbiol.Mol.Biol.Rev.62:807-813も参照されたい)。
【0255】
実施形態において、付加的なポリペプチドは、限定はされないが、アルファ-アミラーゼ、ペルオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、パタチン、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤、ウレアーゼ、アルファ-アミラーゼ阻害剤、細孔形成タンパク質、キチナーゼ、レクチン、改変抗体又は抗体断片、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)殺虫性タンパク質、ゼノラブダス(Xenorhabdus)種(例えば、X.ネマトフィラ(X.nematophila)又はX.ボビエニイ(X.bovienii))殺虫性タンパク質、フォトラブダス(Photorhabdus)種(例えば、P.ルミネッセンス(P.luminescens)又はP.アシムビオティカ(P.asymobiotica))殺虫性タンパク質、ブレビバチルス(Brevibacillus)種(例えば、B.ラテロスポルス(B.laterosporous))殺虫性タンパク質、リシニバチルス(Lysinibacillus)種(例えば、L.スファエリクス(L.sphearicus))殺虫性タンパク質、クロモバクテリウム(Chromobacterium)種(例えば、C.スブツガエ(C.subtsugae)又はC.ピスキナエ(C.piscinae))殺虫性タンパク質、エルシニア(Yersinia)種(例えば、Y.エントモファガ(Y.entomophaga))殺虫性タンパク質、パエニバチルス(Paenibacillus)種(例えば、P.プロピラエア(P.propylaea))殺虫性タンパク質、クロストリジウム(Clostridium)種(例えば、C.ビフェルメンタンス(C.bifermentans))殺虫性タンパク質、シュードモナス(Pseudomonas)種(例えば、P.フルオレッセンス(P.fluorescens))及びリグニンを含む、非Bt起源から得られる殺虫性ポリペプチドである。
【0256】
植物における産生に適したポリペプチドには、例えば、炭水化物含量若しくは分布の増大若しくは変更、発酵特性の改善、油含量の増大、タンパク質含量の増大、消化性の改善及び栄養含量の増大、例えばフィトステロール含量の増大、トコフェロール含量の増大、スタノール含量の増大又はビタミン含量の増大を含む、商業的に有用な産物への収穫植物又は植物部位の転換を改善するか又は他に促進するものがさらに含まれる。対象のポリペプチドには、例えば、収穫作物中の不要な成分、例えばフィチン酸又は糖分解酵素の含量の低下をもたらすか又はそれに寄与するものも含まれる。「もたらす」又は「寄与する」とは、対象のポリペプチドが対象の形質の存在に直接又は間接的に寄与すること(例えば、異種セルラーゼ酵素の使用によるセルロース分解の増大)が意図される。
【0257】
ある実施形態において、ポリペプチドは、食物又は飼料の消化性の改善に寄与する。キシラナーゼは、植物細胞壁の分解を改善するヘミセルロース分解酵素であり、これにより動物が植物栄養素をよりよく利用できるようになる。これは、成長速度及び飼料転換率の改善をもたらす。キシランを含有する飼料の粘度も低減され得る。植物細胞におけるキシラナーゼの異種産生も工業加工におけるリグノセルロースの発酵性糖への転換を促進することができる。
【0258】
真菌及び細菌性微生物由来の多数のキシラナーゼが同定され、特徴付けされている(例えば、米国特許第5,437,992号明細書;Coughlin et al.(1993)“Proceedings of the Second TRICEL Symposium on Trichoderma reesei Cellulases and Other Hydrolases”Espoo;Souminen and Reinikainen,eds.(1993)Foundation for Biotechnical and Industrial Fermentation Research 8:125-135;米国特許出願公開第2005/0208178号明細書;及びPCT公開国際公開第03/16654号を参照されたい)。特に、T.リーセイ(T.reesei)において3つの特異的キシラナーゼ(XYL-I、XYL-II及びXYL-III)が同定されている(Tenkanen et al.(1992)Enzyme Microb.Technol.14:566;Torronen et al.(1992)Bio/Technology 10:1461;及びXu et al.(1998)Appl.Microbiol.Biotechnol.49:718)。
【0259】
他の実施形態において、本発明のために有用なポリペプチドは、多糖分解酵素であり得る。このような酵素を産生する本発明の植物は、例えば、生物学的加工のための発酵原料を生成するために有用であり得る。ある実施形態において、発酵プロセスに有用な酵素には、アルファアミラーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、シクロデキストリングリコトランスフェラーゼ、リパーゼ、フィターゼ、ラッカーゼ、オキシダーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、粒状デンプン加水分解酵素及び他のグルコアミラーゼが含まれる。
【0260】
多糖分解酵素には、デンプン分解酵素、例えばアルファ-アミラーゼ(EC3.2.1.1)、グルクロニダーゼ(E.C.3.2.1.131);エキソ-1,4-アルファ-Dグルカナーゼ、例えばアミログルコシダーゼ及びグルコアミラーゼ(EC3.2.1.3)、ベータ-アミラーゼ(EC3.2.1.2)、アルファ-グルコシダーゼ(EC3.2.1.20)及び他のエキソ-アミラーゼ;デンプン脱分枝酵素、例えばa)イソアミラーゼ(EC3.2.1.68)、プルラナーゼ(EC3.2.1.41)など;b)セルラーゼ、例えばエキソ-1,4-3-セロビオヒドロラーゼ(EC3.2.1.91)、エキソ-1,3-ベータ-D-グルカナーゼ(EC3.2.1.39)、ベータ-グルコシダーゼ(EC3.2.1.21);c)L-アラビナーゼ、例えばエンド-1,5-アルファ-L-アラビナーゼ(EC3.2.1.99)、アルファ-アラビノシダーゼ(EC3.2.1.55)など;d)ガラクタナーゼ、例えばエンド-1,4-ベータ-D-ガラクタナーゼ(EC3.2.1.89)、エンド-1,3-ベータ-D-ガラクタナーゼ(EC3.2.1.90)、アルファ-ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.22)、ベータ-ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.23)など;e)マンナナーゼ、例えばエンド-1,4-ベータ-D-マンナナーゼ(EC3.2.1.78)、ベータ-マンノシダーゼ(EC3.2.1.25)、アルファ-マンノシダーゼ(EC3.2.1.24)など;f)キシラナーゼ、例えばエンド-1,4-ベータ-キシラナーゼ(EC3.2.1.8)、ベータ-D-キシロシダーゼ(EC3.2.1.37)、1,3-ベータ-D-キシラナーゼなど;並びにg)他の酵素、例えばアルファ-L-フコシダーゼ(EC3.2.1.51)、アルファ-L-ラムノシダーゼ(EC3.2.1.40)、レバナーゼ(EC3.2.1.65)、イヌラナーゼ(inulanase)(EC3.2.1.7)などが含まれる。一実施形態において、アルファ-アミラーゼは、米国特許8,093,453号明細書に記載される合成アルファ-アミラーゼAmy797Eである。
【0261】
本発明と共に使用され得るさらなる酵素には、プロテアーゼ、例えば真菌及び細菌プロテアーゼが含まれる。真菌プロテアーゼには、限定はされないが、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ムコール(Mucor)及びリゾプス(Rhizopus)、例えばA.ニガー(A.niger)、A.アワモリ(A.awamori)、A.オリザエ(A.oryzae)及びM.ミエヘイ(M.miehei)から得られるものが含まれる。ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、セロビオヒドロラーゼ(CBH)酵素(EC3.2.1.91)であり得る。一実施形態において、セロビオヒドロラーゼ酵素は、CBH1又はCBH2であり得る。
【0262】
本発明と共に有用な他の酵素には、限定はされないが、ヘミセルラーゼ、例えばマンナーゼ及びアラビノフラノシダーゼ(EC3.2.1.55);リグニナーゼ;リパーゼ(例えば、E.C.3.1.1.3)、グルコースオキシダーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、トランスグルコシダーゼ、アルファ1,6グルコシダーゼ(例えば、E.C.3.2.1.20);エステラーゼ、例えばフェルラ酸エステラーゼ(EC3.1.1.73)及びアセチルキシランエステラーゼ(EC3.1.1.72);並びにクチナーゼ(例えば、E.C.3.1.1.74)が含まれる。
【0263】
本発明と共に有用な二本鎖RNA(dsRNA)分子には、限定はされないが、標的有害生物(例えば、昆虫)遺伝子を抑制するものが含まれる。実施形態において、dsRNAは、鱗翅目、鞘翅目、半翅目若しくは双翅目の害虫又は上記のものの任意の組合せの遺伝子を標的とする。本明細書で使用される場合、「遺伝子抑制」という語は、まとめると、mRNAへの遺伝子転写及びその後のmRNAの翻訳の結果として産生されるタンパク質のレベルを低下させるための周知の方法のいずれかを指すことが意図される。遺伝子抑制は、転写後遺伝子抑制及び転写抑制を含む、遺伝子又はコード配列からのタンパク質発現の低下を意味することも意図される。転写後遺伝子抑制は、抑制の標的とされる遺伝子又はコード配列から転写されるmRNAの全て又は一部と、抑制に使用される対応する二本鎖RNAとの間の相同性によって媒介されるものであり、リボソームによる結合のために細胞内で利用可能なmRNAの量の実質的及び測定可能な低下を指す。転写されたRNAは、いわゆる同時抑制をもたらすためのセンス配向、いわゆるアンチセンス抑制をもたらすためのアンチセンス配向又はいわゆるRNA干渉(RNAi)をもたらためのdsRNAを生じる両方の配向であり得る。転写の抑制は、いわゆるプロモータトランス抑制をもたらすためのプロモータDNA配列又はその補体に対して実質的な配列同一性を示すdsRNA、遺伝子抑制剤の細胞内の存在によって媒介される。遺伝子抑制は、例えば、天然遺伝子によりコードされるタンパク質のレベルの低下を有するか、又は影響される代謝産物のレベルの向上若しくは低下を有する植物を提供するために、形質に関連する天然の植物遺伝子に対して有効であり得る。遺伝子抑制は、特に、有害生物の細胞において1つ又は複数の相同又は相補的配列の発現を阻害又は抑制するように設計された遺伝子抑制剤を含有する植物材料を摂取し得るか、又はそれと接触し得る植物有害生物内の標的遺伝子に対しても有用であり得る。抑制の標的とされるこのような遺伝子は、筋肉形成、幼若ホルモン形成、幼若ホルモン調節、イオン調節及び輸送、消化酵素合成、細胞膜電位の維持、アミノ酸生合成、アミノ酸分解、精子形成、フェロモン合成、フェロモン感知、触角形成、翅形成、脚形成、発達及び分化、卵形成、幼虫成熟、消化酵素形成、血リンパ合成、血リンパ維持、神経伝達、細胞分裂、エネルギー代謝、呼吸並びにアポトーシスからなる群からその予測機能が選択される必須タンパク質をコードすることができる。
【0264】
ある実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、ベクターをさらに含むか、それから本質的になるか又はそれからなることができる。他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチド及び発現カセットは、ベクター内に含まれる。植物及び他の生物の形質転換において使用するためのベクターは、当技術分野でよく知られている。ベクターの一般的な種類の非限定的な例としては、プラスミド、ファージベクター、ファージミドベクター、コスミドベクター、フォスミド、バクテリオファージ、人工染色体又はウイルスベクターが挙げられる。実施形態において、ベクターは、例えば、植物の形質転換において使用するための植物ベクターである。実施形態において、ベクターは、例えば、細菌の形質転換において使用するための細菌ベクターである。植物、細菌及び他の生物に適したベクターは、当技術分野において知られている。
【0265】
本発明は、本発明のポリヌクレオチド、核酸分子、発現カセット、ベクター又はポリペプチドを含むトランスジェニック非ヒト宿主細胞も包含する。トランスジェニック非ヒト宿主細胞は、限定はされないが、植物細胞(単子葉植物細胞及び/又は双子葉植物細胞を含む)、酵母細胞、細菌細胞又は昆虫細胞を含むことができる。したがって、ある実施形態において、本発明は、バチルス属(Bacillus)、ブレビバチルス属(Brevibacillus)、クロストリジウム属(Clostridium)、ゼノラブダス属(Xenorhabdus)、フォトラブダス属(Photorhabdus)、パスツリア属(Pasteuria)、エシェリキア属(Escherichia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、エルウィニア属(Erwinia)、セラチア属(Serratia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、サルモネラ属(Salmonella)、パスツレラ属(Pasteurella)、キサントモナス属(Xanthomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、リゾビウム属(Rhizobium)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、メチロフィルス属(Methylophilius)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、アセトバクター属(Acetobacter)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、アゾトバクター属(Azotobacter)、ロイコノストック属(Leuconostoc)又はアルカリゲネス属(Alcaligenes)から選択される細菌細胞を提供する。したがって、例えば生物学的昆虫防除剤として、本発明のTxp40殺虫性タンパク質は、それをコードするポリヌクレオチドの細菌細胞における発現によって産生され得る。例えば、ある実施形態において、本発明のTxp40殺虫性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)細胞が提供される。
【0266】
ある実施形態において、トランスジェニック植物細胞は、双子葉植物細胞又は単子葉植物細胞である。付加的な実施形態において、双子葉植物細胞は、ダイズ細胞、ヒマワリ細胞、トマト細胞、アブラナ科作物(cole crop)細胞、綿細胞、サトウダイコン細胞又はタバコ細胞である。さらなる実施形態において、単子葉植物細胞は、オオムギ細胞、トウモロコシ細胞、オートムギ細胞、コメ細胞、ソルガム細胞、サトウキビ細胞又はコムギ細胞である。実施形態において、本発明は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質を発現するポリヌクレオチドを含む複数の双子葉植物細胞又は単子葉植物細胞を提供する。他の実施形態において、複数の細胞は、並置されてアポプラストを形成し、太陽光の下で成長される。他の実施形態において、トランスジェニック植物細胞は、植物全体を再生することができない。
【0267】
本発明のある実施形態において、本発明のTxp40殺虫性タンパク質は、より高等生物、例えば植物において発現される。ある実施形態において、植物は、スポドプテラ(Spodoptera)有害生物によって外寄生され得、特にツマジロクサヨトウによって外寄生され得る。他の実施形態において、ツマジロクサヨトウによって外寄生され得る植物は、コーン植物である。この場合、有効量のTxp40殺虫性タンパク質を発現するトランスジェニック植物は、少なくともスポドプテラ(Spodoptera)有害生物、特にツマジロクサヨトウからそれ自体を保護する。昆虫がこのようなトランスジェニック植物を餌にし始めると、昆虫は、発現されたTxp40殺虫性タンパク質を摂取する。これは、昆虫が植物組織をさらにかじることを阻むか、又はさらに昆虫を害するか若しくは死滅させ得る。ある実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、発現カセットに挿入され、これは、次に、植物のゲノムに安定に組み込まれる。他の実施形態において、ポリヌクレオチドは、非病原性の自己再生ウィルス内に含まれる。
【0268】
本発明のある実施形態において、本発明の核酸分子又はポリペプチドを含むトランスジェニック植物細胞は、限定はされないが、根、葉、種子、花、果実、花粉の細胞、器官若しくは植物培養物など、又はカルス細胞若しくは培養物を含む、植物部位、植物器官又は植物培養物(それぞれ本明細書に記載される)の細胞である。
【0269】
本発明に従うトランスジェニック植物又は植物細胞は、単子葉又は双子葉植物又は植物細胞であり得、限定はされないが、コーン(トウモロコシ)、ダイズ、コメ、コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、ソルガム、キビ、ヒマワリ、ベニバナ、サトウダイコン、綿、サトウキビ、アブラナ、アルファルファ、タバコ、ピーナツ、野菜(サツマイモ、マメ、エンドウマメ、チコリ、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ニンジン、ナス、キュウリ、ダイコン、ホウレンソウ、ジャガイモ、トマト、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、メロン、コショウ、セロリ、カボチャ、パンプキン、ズッキーニなどを含む)、果実(リゴン、セイヨウナシ、マルメロ、プラム、サクランボ、モモ、ネクタリン、アンズ、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マンゴー、バナナなどを含む)、特殊植物若しくは植物細胞(例えば、アラビドプシス(Arabidopsis))又は木材植物若しくは植物細胞(例えば、針葉樹及び/又は落葉樹)を含む。実施形態において、本発明の植物又は植物細胞は、トウモロコシ、ソルガム、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ科、コショウ、ジャガイモ、綿、コメ、ダイズ、サトウダイコン、サトウキビ、タバコ、オオムギ、アブラナ植物又は植物細胞などの作物植物又は植物細胞である。
【0270】
本発明は、本発明のトランスジェニック植物の部位を提供する。任意に、植物部位は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質及び/又はそれをコードする核酸をさらに含む。
【0271】
本発明は、本発明のトランスジェニック植物の種子又は本発明のトランスジェニック植物を生じる種子をさらに提供する。任意に、種子は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質及び/又はそれをコードする核酸を含む。
【0272】
本発明の付加的な実施形態には、本発明のトランスジェニック植物、植物部位又は種子から生産される収穫産物及び収穫産物から生産される加工産物が含まれる。収穫産物は、本明細書に記載されるように、植物全体又は任意の植物部位であり得る。したがって、ある実施形態において、収穫産物の非限定的な例としては、種子、果実、花又はその一部(例えば、葯、柱頭など)、葉、茎などが挙げられる。他の実施形態において、加工産物には、限定はされないが、本発明の収穫種子又は他の植物部位から生産される花、粗びき粉、油、デンプン、穀物などが含まれる。任意に、収穫産物又は加工産物は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質及び/又はそれをコードする核酸を含む。
【0273】
他の実施形態において、本発明は、本発明のトランスジェニック植物、植物部位からの抽出物を提供し、任意に、抽出物は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質及び/又はそれをコードする核酸を含む。植物又は植物部位からの抽出物は、当技術分野において周知の手順に従って作製することができる(de la Torre et al.,Food,Agric.Environ.2(1):84-89(2004);Guidet,Nucleic Acids Res.22(9):1772-1773(1994);Lipton et al.,Food Agric.Immun.12:153-164(2000)を参照されたい)。
【0274】
キメラ殺虫性タンパク質は、植物部位、植物細胞、植物器官、種子、収穫産物、加工産物又は抽出物などにおいて昆虫防除剤として機能することができる。換言すると、キメラ殺虫性タンパク質は、それがトランスジェニック植物内で有していた殺虫機能を実施し続けることができる。核酸は、キメラ殺虫性タンパク質を発現する機能を果たすことができる。本発明の殺虫性タンパク質をコードすることの代替として、核酸は、本発明のトランスジェニック植物部位、植物細胞、植物器官、種子、収穫産物、加工産物又は抽出物を同定する機能を果たすことができる。
【0275】
実施形態において、本発明のトランスジェニック植物、植物部位、植物細胞、植物器官又は種子は、本発明のポリヌクレオチド又は発現カセットに対してヘミ接合である。実施形態において、本発明のトランスジェニック植物、植物部位、植物細胞、植物器官又は種子は、本発明のポリヌクレオチド又は発現カセットに対してホモ接合である。
【0276】
実施形態において、トランスジェニック植物、植物部位、植物細胞、植物器官、種子、収穫産物、加工産物又は抽出物は、本発明の殺虫性タンパク質をコードする核酸を含まない適切な対照と比較して、1つ又は複数の害虫(例えば、ツマジロクサヨトウなどの鱗翅目有害生物)に対する耐性が増大されている。
【0277】
植物を形質転換するための手順は、当技術分野においてよく知られており、ルーチン的であり、文献全体にわたって記載されている。植物の形質転換のための方法の非限定的な例には、細菌媒介性核酸送達(例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)による)、ウィルス媒介性核酸送達、炭化ケイ素又は核酸ウィスカ媒介性核酸送達、リポソーム媒介性核酸送達、マイクロインジェクション、微粒子衝撃、リン酸カルシウム媒介性形質転換、シクロデキストリン媒介性形質転換、エレクトロポレーション、ナノ粒子媒介性形質転換、音波処理、浸潤、PEG媒介性核酸取込み及び植物細胞への核酸の導入をもたらす任意の他の電気的、化学的、物理的(機械的)又は生物学的メカニズム(その任意の組合せを含む)による形質転換が含まれる。当技術分野において既知の種々の植物形質転換法の全般的な案内には、Miki et al.(“Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants”in Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology,Glick,B.R.and Thompson,J.E.,Eds.(CRC Press,Inc.,Boca Raton,1993)、pages 67-88)及びRakowoczy-Trojanowska(Cell.Mol.Biol.Lett.7:849-858(2002))が含まれる。
【0278】
アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換の場合、少なくとも1つのT-DNA境界配列を担持するバイナリーベクター又はベクターが一般的に適しているが、遺伝子直接導入(例えば、粒子衝撃など)の場合、任意のベクターが適しており、対象の構築物のみを含む線状DNAを使用することができる。遺伝子直接導入の場合、単一のDNA種による形質転換又は同時形質転換を使用することができる(Schocher et al.,Biotechnology 4:1093-1096(1986))。遺伝子直接導入及びアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性導入の両方について、形質転換は、通常(必ずしもそうとは限らないが)、正の選択であり得る選択可能なマーカー(例えば、ホスホマンノースイソメラーゼ)と共に行われ、これは、抗生物質(例えば、カナマイシン、ハイグロマイシン又はメトトレキサート)又は除草剤(例えば、グリホサート又はグルホシネート)に対する耐性を提供する。しかしながら、選択可能なマーカーの選択は、本発明にとって重要ではない。
【0279】
アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換は、その高い形質転換効率のために且つ多数の異なる種に対するその汎用性のために、植物を形質転換するために一般的に使用される方法である。アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換は、通常、共存するTiプラスミド上又は染色体上のいずれかで宿主アグロバクテリウム(Agrobacterium)株によって担持されるvir遺伝子の補体に依存し得る、適切なアグロバクテリウム(Agrobacterium)株への、対象の外来性DNAを担持するバイナリーベクターの導入を伴う(Uknes et al.(1993)Plant Cell 5:159-169)。組換えバイナリーベクターのアグロバクテリウム(Agrobacterium)への導入は、組換えバイナリーベクターを担持するエシェリキア・コリ(Escherichia coli)、組換えバイナリーベクターを標的アグロバクテリウム(Agrobacterium)株に動員することができるプラスミドを担持するヘルパーE.コリ(E.coli)株を用いる三系交雑(triparental mating)手順によって達成することができる。代替的に、組換えバイナリーベクターは、核酸形質転換によってアグロバクテリウム(Agrobacterium)に導入され得る(Hoefgen&Willmitzer(1988)Nucleic Acids Res.16:9877)。
【0280】
双子葉植物及び単子葉植物は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を用いて形質転換され得る。コメのアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換のための方法には、コメの形質転換のための周知の方法、例えば以下のいずれかにおいて記載されるものが含まれる:欧州特許出願公開第1198985号明細書、Aldemita and Hodges(Planta 199:612-617,1996);Chan et al.(Plant Mol Biol 22(3):491-506,1993)、Hiei et al.(Plant J 6(2):271-282,1994)(これらの開示は、完全に明記されたかのように参照によって本明細書中に援用される)。コーンの形質転換の場合、好ましい方法は、Ishida et al.(Nat.Biotechnol 14(6):745-50,1996)又はFrame et al.(Plant Physiol 129(1):13-22,2002)のいずれかに記載される通りである(これらの開示は、完全に明記されたかのように参照によって本明細書中に援用される)。前記方法は、例として、B.Jenes et al.,Techniques for Gene Transfer,in:Transgenic Plants,Vol.1,Engineering and Utilization,eds.S.D.Kung and R.Wu,Academic Press(1993)128-143及びPotrykus Annu.Rev.Plant Physiol.Plant Molec.Biol.42(1991)205-225)においてさらに記載される。発現される核酸又は構築物は、好ましくは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を形質転換するのに適したベクター、例えばpBin19にクローニングされる(Bevan et al.,Nucl.Acids Res.12(1984)8711)。このようなベクターによって形質転換されたアグロバクテリア(Agrobacteria)は、次に、アラビドプシス(Arabidopsis)のようなモデルとして使用される植物又は例として、タバコ植物などの作物植物などの植物の形質転換のために、例えば傷ついた葉又は刻んだ葉をアグロバクテリア溶液に浸漬し、次にこれらを適切な培地中で培養することにより、既知の方法で使用することができる。アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用いた植物の形質転換は、例えば、Hagen and Willmitzer in Nucl.Acid Res.(1988)16,9877によって記載されているか、又は特にF.F.White,Vectors for Gene Transfer in Higher Plants;in Transgenic Plants,Vol.1,Engineering and Utilization,eds.S.D.Kung and R.Wu,Academic Press,1993,pp.15-38から知られている。
【0281】
組換えアグロバクテリウム(Agrobacterium)による植物の形質転換は、通常、アグロバクテリウム(Agrobacterium)と、植物からの外植片との共培養を伴い、当技術分野において周知の方法に従う。形質転換組織は、バイナリープラスミドのT-DNA境界間に抗生物質又は除草剤耐性マーカーを担持する選択培地において再生される。
【0282】
前述のように、植物、植物部位及び植物細胞を形質転換するための別の方法は、不活性又は生物活性粒子を植物組織及び細胞に推進させることを伴う。例えば、米国特許第4,945,050号明細書;同第5,036,006号明細書及び同第5,100,792号明細書を参照されたい。一般に、この方法は、細胞の外表面を貫通させ、その内部への取込みを提供するのに有効な条件下で不活性又は生物活性粒子を植物細胞に推進させることを伴う。不活性粒子が利用される場合、対象の核酸を含有するベクターで粒子をコーティングすることにより、ベクターは、細胞内に導入され得る。代替的に、粒子の通った跡によりベクターが細胞内に運び込まれるように、1つ又は複数の細胞は、ベクターにより包囲され得る。生物活性粒子(例えば、導入が求められる1つ又は複数の核酸をそれぞれ含有する乾燥酵母細胞、乾燥細菌又はバクテリオファージ)も植物組織内に推進され得る。
【0283】
他の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、プラスチドゲノムに直接形質転換され得る。プラスチド形質転換の大きい利点は、プラスチドが一般に実質的に修飾することなく細菌遺伝子を発現する能力があり、且つプラスチドが単一のプロモータの制御下で多数のオープンリーディングフレームを発現する能力があることである。プラスチド形質転換技術は、米国特許第5,451,513号明細書、同第5,545,817号明細書及び同第5,545,818号明細書、PCT出願国際公開第95/16783号並びにMcBride et al.(1994)Proc.Nati.Acad.Sci.USA 91,7301-7305において広く記載されている。葉緑体の形質転換のための基本的な技術は、例えば、バイオリステック又はプロトプラスト形質転換(例えば、塩化カルシウム又はPEG媒介性形質転換)を用いて、対象の遺伝子と一緒に選択可能なマーカーに隣接するクローン化プラスチドDNAの領域を適切な標的組織に導入することを伴う。ターゲティング配列と呼ばれる1~1.5kbの隣接領域は、プラスチドゲノムによる相同組換えを促進し、したがってプラストームの特定領域の置換又は修飾を可能にする。最初に、スペクチノマイシン又はストレプトマイシンに対する耐性を付与する葉緑体16S rRNA及びrps12遺伝子における点突然変異を形質転換のための選択可能なマーカーとして利用することができる(Svab,Z.,Hajdukiewicz,P.,and Maliga,P.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,8526-8530;Staub,J.M.,and Maliga,P.(1992)Plant Cell 4,39-45)。これらのマーカー間のクローニング部位の存在により、外来遺伝子の導入のためのプラスチド標的化ベクターの作製が可能になる(Staub,J.M.,and Maliga,P.(1993)EMBO J.12,601-606)。形質転換頻度の実質的な増大は、劣性rRNA又はr-タンパク質抗生物質耐性遺伝子を、優性の選択可能なマーカー、スペクチノマイシン解毒酵素アミノグリコシド-3’-アデニルトランスフェラーゼをコードする細菌aadA遺伝子で置換することにより得ることができる(Svab,Z.,and Maliga,P.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,913-917)。これまで、このマーカーは、緑藻クラミドモナス・ラインハルディ(Chlamydomonas reinhardtii)のプラスチドゲノムの高頻度形質転換のために問題なく使用されてきた(Goldschmidt-Clermont,M.(1991)Nucl.Acids Res.19:4083-4089)。プラスチド形質転換に有用な他の選択可能なマーカーは、当技術分野において知られており、本発明の範囲内に包含される。通常、ホモプラスチド(homoplastidic)状態に達するために、形質転換後、約15~20の細胞分裂周期が必要とされる。各植物細胞中に存在する環状プラスチドゲノムの数千のコピーの全てに相同組換えによって遺伝子が挿入されるプラスチド発現は、核発現遺伝子を上回る膨大なコピー数の利点を利用して、可溶性植物タンパク質全体の10を容易に超えることができる発現レベルを可能にする。一実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、プラスチド標的化ベクターに挿入され、所望の植物宿主のプラスチドゲノムに形質転換され得る。したがって、本発明のヌクレオチド配列を含有するプラスチドゲノムにホモプラスチックな植物を得ることができ、これは、ポリヌクレオチドの高発現が可能である。
【0284】
形質転換されたトランスジェニック植物、植物細胞又は植物組織培養物を選択する方法は、当技術分野においてルーチン的であり、本明細書に提供される本発明の方法において使用することができる。例えば、本発明の組換えベクターは、形質転換された植物、植物部位又は植物細胞を選択するために使用され得る、選択可能なマーカーのためのヌクレオチド配列を含む発現カセットを含むこともできる。
【0285】
さらに、当技術分野においてよく知られているように、無傷のトランスジェニック植物は、様々な既知の技術のいずれかを用いて、形質転換された植物細胞、植物組織培養物又は培養プロトプラストから再生させることができる。植物細胞、植物組織培養物又は培養プロトプラストからの植物の再生は、例えば、Evans et al.(Handbook of Plant Cell Cultures,Vol.1,MacMilan Publishing Co.New York(1983))及びVasil I.R.(ed.)(Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,Acad.Press,Orlando,Vol.I(1984)、and Vol.II(1986))に記載されている。
【0286】
さらに、上記の本発明のトランスジェニック種子及び植物、植物部位又は植物細胞内に設計された遺伝的特性は、有性生殖又は栄養成長によって伝えることができ、したがって子孫植物において維持及び増殖され得る。一般に、維持及び繁殖は、収穫、播種又は耕耘などの特定の目的に適合させるために開発された既知の農学的方法を使用する。
【0287】
したがって、ポリヌクレオチドは、上記のように、当技術分野において周知の任意の数の方法で植物、植物部位又は植物細胞に導入され得る。したがって、1つ又は複数のポリヌクレオチドを植物に導入するための特定の方法に依存するのではなく、1つ又は複数のポリヌクレオチドが植物のゲノムに安定に組み込まれることを可能にする任意の方法を使用することができる。2つ以上のポリヌクレオチドが導入される場合、それぞれのポリヌクレオチドは、単一の核酸分子の一部として又は別々の核酸分子として構築することができ、同じ又は異なる核酸分子に位置することができる。したがって、ポリヌクレオチドは、単一の形質転換イベントで、別々の形質転換イベントで又は例えば植物における育種プロトコルの一部として対象の細胞に導入することができる。
【0288】
所望のポリヌクレオチドは、特定の植物種に形質転換されると、従来の育種技術を使用して、その種において繁殖され得るか、又は同じ種の他の変種(特に商業品種を含む)に移動され得る、
【0289】
ある実施形態において、本発明は、農学的に許容される担体中に本発明のキメラ殺虫性タンパク質を含む殺虫性組成物を提供する。本明細書で使用される場合、「農学的に許容される担体」は、天然又は合成の有機又は無機材料を含むことができ、これは、植物又はその部位に対する又はそれらの中への適用を容易にするために活性タンパク質と組み合わされる。農学的に許容される担体の例としては、限定はされないが、粉末、ダスト、ペレット、顆粒、スプレー、エマルション、コロイド及び溶液が挙げられる。農学的に許容される担体は、限定はされないが、農学的配合物において使用することができる不活性成分、分散剤、界面活性剤、補助剤、粘着付与剤、ステッカー、結合剤又はこれらの組合せをさらに含む。このような組成物は、殺有害生物性タンパク質又は他の有害生物防除剤を有害生物と接触させる任意の方法で適用させることができる。したがって、組成物は、種子、葉、花、茎、塊茎、根などを含む植物又は植物部位の表面に適用させることができる。他の実施形態において、植物体内で本発明の殺虫性タンパク質を産生する植物は、発現される殺虫性タンパク質の農学的に許容される担体である。実施形態において、本発明の組成物及び農学的に許容される担体は、トランスジェニック植物を除く。
【0290】
さらなる実施形態において、殺虫性組成物は、本発明の細菌細胞又はトランスジェニック細菌細胞を含み、ここで、細菌細胞又はトランスジェニック細菌細胞は、本発明の殺虫性タンパク質を産生する。このような殺虫性組成物は、トランスジェニックBt培養物を含むバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)の培養物の乾燥、凍結乾燥、均質化、抽出、ろ過、遠心分離、沈降又は濃縮によって調製することができる。実施形態において、本発明の組成物は、重量により少なくとも約1、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約97又は少なくとも99の本発明のポリペプチドを含み得る。付加的な実施形態において、組成物は、重量により約1~約99の本発明の殺虫性タンパク質を含む。
【0291】
本発明の殺虫性タンパク質は、有害生物の標的範囲を拡大するため且つ/又は昆虫耐性の予防若しくは管理のために、他の有害生物防除剤と組み合わせて使用することができる。さらに、異なる作用機序を有するか、又は昆虫の腸内の異なる受容体を標的とする殺虫剤と組み合わせた本発明の殺虫性タンパク質の使用は、昆虫耐性の予防及び/又は管理のために特定の有用性がある。
【0292】
したがって、ある実施形態において、本発明は、1つ又は複数の植物有害生物(例えば、鱗翅目害虫、鞘翅目害虫、半翅目害虫及び/又は双翅目害虫などの害虫)を防除する組成物を提供し、ここで、組成物は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質である第1の有害生物防除剤と、少なくとも第1の有害生物防除剤と異なる第2の有害生物防除剤とを含む。他の実施形態において、組成物は、植物への局所適用のための配合物である。さらに他の実施形態において、組成物は、トランスジェニック植物である。さらなる実施形態において、組成物は、トランスジェニック植物に局所的に適用される配合物の組み合わせである。ある実施形態において、トランスジェニック植物が第2の有害生物防除剤を含む場合、配合物は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質である第1の有害生物防除剤を含む。他の実施形態において、トランスジェニック植物が、本発明のキメラ殺虫性タンパク質である第1の有害生物防除剤を含む場合、配合物は、第2の有害生物防除剤を含む。
【0293】
ある実施形態において、第2の有害生物防除剤は、化学殺有害生物剤、例えば殺虫剤、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)殺虫性タンパク質及び/又は限定はされないが、ゼノラブダス(Xenorhabdus)殺虫性タンパク質、フォトラブダス(Photorhabdus)殺虫性タンパク質、ブレビバチルス・ラテロスポルス(Brevibacillus laterosporus)殺虫性タンパク質、バチルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)殺虫性タンパク質、プロテアーゼ阻害剤(セリン及びシステインの両方のタイプ)、レクチン、アルファ-アミラーゼ、ペルオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ若しくは二本鎖RNA(dsRNA)分子を含む非Bt殺有害生物剤の1つ又は複数であり得る。
【0294】
他の実施形態において、第2の有害生物防除剤は、1つ又は複数の化学殺有害生物剤であり、任意に種子コーティングである。化学殺有害生物剤の非限定的な例としては、ピレスロイド、カルバメート、ネオニコチノイド、ニューロンナトリウムチャネル遮断薬、殺虫性大環状ラクトン、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)アンタゴニスト、殺虫性尿素及び幼若ホルモン模倣物が挙げられる。他の実施形態において、化学殺有害生物剤は、アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アミドフルメト(S-1955)、アベルメクチン、アザジラクチン、アジンホス-メチル、ビフェントリン、ビンフェナゼート、ブプロフェジン、カルボフラン、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロマフェノジド、クロチアニジン、シフルトリン、ベータ-シフルトリン、シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ジアジノン、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンプロキシメート、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルシトリネート、タウ-フルバリネート、フルフェネリム(UR-50701)、フルフェノクスロン、ホノホス、ハロフェノジド、ヘキサフルムロン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メトミル、メトプレン、メトキシクロル、モノクロトホス、メトキシフェノジド、ニチアジン、ノバルロン、ノビフルムロン(XDE-007)、オキサミル、パラチオン、パラチオン-メチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ピリミカルブ、プロフェノホス、ピメトロジン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、ロテノン、スピノサド、スピロメシフィン(BSN 2060)、スルプロオス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタプ-ナトリウム、トラロメトリン、トリクロルホン及びトリフルムロン、アルジカルブ、オキサミル、フェナミホス、アミトラズ、キノメチオナート、クロロベンジレート、シヘキサチン、ジコホル、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾックス、プロパルギット、ピリダベン並びにテブフェンピラドの1つ又は複数である。さらに他の実施形態において、化学殺有害生物剤は、シペルメトリン、シハロトリン、シフルトリン及びベータ-シフルトリン、エスフェンバレレート、フェンバレレート、トラロメトリン、フェノチカルブ、メトミル、オキサミル、チオジカルブ、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアクロプリド、インドキサカルブ、スピノサド、アバメクチン、アベルメクチン、エマメクチン、エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、フルフェノクスロン、トリフルムロン、ジオフェノラン、ピリプロキシフェン、ピメトロジン及びアミトラズの1つ又は複数から選択される。
【0295】
付加的な実施形態において、第2の有害生物防除剤は、限定はされないが、Cryタンパク質を含む任意の数のバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)殺虫性タンパク質、植物性殺虫性タンパク質(VIP)及び前述の殺虫性タンパク質のいずれかの殺虫性キメラの1つ又は複数であり得る。他の実施形態において、第2の有害生物防除剤は、Cry1Aa、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1Ad、Cry1Ae、Cry1Af、Cry1Ag、Cry1Ah、Cry1Ai、Cry1Aj、Cry1Ba、Cry1Bb、Cry1Bc、Cry1Bd、Cry1Be、Cry1Bf、Cry1Bg、Cry1Bh、Cry1Bi、Cry1Ca、Cry1Cb、Cry1Da、Cry1Db、Cry1Dc、Cry1Dd、Cry1Ea、Cry1Eb、Cry1Fa、Cry1Fb、Cry1Ga、Cry1Gb、Cry1Gc、Cry1Ha、Cry1Hb、Cry1Hc、Cry1Ia、Cry1Ib、Cry1Ic、Cry1Id、Cry1Ie、Cry1If、Cry1Ig、Cry1Ja、Cry1Jb、Cry1Jc、Cry1Jd、Cry1Ka、Cry1La、Cry1Ma、Cry1Na、Cry1Nb、Cry2Aa、Cry2Ab、Cry2Ac、Cry2Ad、Cry2Ae、Cry2Af、Cry2Ag、Cry2Ah、Cry2Ai、Cry2Aj、Cry2Ak、Cry2Al、Cry2Ba、Cry3Aa、Cry3Ba、Cry3Bb、Cry3Ca、Cry4Aa、Cry4Ba、Cry4Ca、Cry4Cb、Cry4Cc、Cry5Aa、Cry5Ab、Cry5Ac、Cry5Ad、Cry5Ba、Cry5Ca、Cry5Da、Cry5Ea、Cry6Aa、Cry6Ba、Cry7Aa、Cry7Ab、Cry7Ac、Cry7Ba、Cry7Bb、Cry7Ca、Cry7Cb、Cry7Da、Cry7Ea、Cry7Fa、Cry7Fb、Cry7Ga、Cry7Gb、Cry7Gc、Cry7Gd、Cry7Ha、Cry7Ia、Cry7Ja、Cry7Ka、Cry7Kb、Cry7La、Cry8Aa、Cry8Ab、Cry8Ac、Cry8Ad、Cry8Ba、Cry8Bb、Cry8Bc、Cry8Ca、Cry8Da、Cry8Db、Cry8Ea、Cry8Fa、Cry8Ga、Cry8Ha、Cry8Ia、Cry8Ib、Cry8Ja、Cry8Ka、Cry8Kb、Cry8La、Cry8Ma、Cry8Na、Cry8Pa、Cry8Qa、Cry8Ra、Cry8Sa、Cry8Ta、Cry9Aa、Cry9Ba、Cry9Bb、Cry9Ca、Cry9Da、Cry9Db、Cry9Dc、Cry9Ea、Cry9Eb、Cry9Ec、Cry9Ed、Cry9Ee、Cry9Fa、Cry9Ga、Cry10Aa、Cry11Aa、Cry11Ba、Cry11Bb、Cry12Aa、Cry13Aa、Cry14Aa、Cry14Ab、Cry15Aa、Cry16Aa、Cry17Aa、Cry18Aa、Cry18Ba、Cry18Ca、Cry19Aa、Cry19Ba、Cry19Ca、Cry20Aa、Cry20Ba、Cry21Aa、Cry21Ba、Cry21Ca、Cry21Da、Cry21Ea、Cry21Fa、Cry21Ga、Cry21Ha、Cry22Aa、Cry22Ab、Cry22Ba、Cry22Bb、Cry23Aa、Cry24Aa、Cry24Ba、Cry24Ca、Cry25Aa、Cry26Aa、Cry27Aa、Cry28Aa、Cry29Aa、Cry29Ba、Cry30Aa、Cry30Ba、Cry30Ca、Cry30Da、Cry30Db、Cry30Ea、Cry30Fa、Cry30Ga、Cry31Aa、Cry31Ab、Cry31Ac、Cry31Ad、Cry32Aa、Cry32Ab、Cry32Ba、Cry32Ca、Cry32Cb、Cry32Da、Cry32Ea、Cry32Eb、Cry32Fa、Cry32Ga、Cry32Ha、Cry32Hb、Cry32Ia、Cry32Ja、Cry32Ka、Cry32La、Cry32Ma、Cry32Mb、Cry32Na、Cry32Oa、Cry32Pa、Cry32Qa、Cry32Ra、Cry32Sa、Cry32Ta、Cry32Ua、Cry33Aa、Cry34Aa、Cry34Ab、Cry34Ac、Cry34Ba、Cry35Aa、Cry35Ab、Cry35Ac、Cry35Ba、Cry36Aa、Cry37Aa、Cry38Aa、Cry39Aa、Cry40Aa、Cry40Ba、Cry40Ca、Cry40Da、Cry41Aa、Cry41Ab、Cry41Ba、Cry42Aa、Cry43Aa、Cry43Ba、Cry43Ca、Cry43Cb、Cry43Cc、Cry44Aa、Cry45Aa、Cry46Aa、Cry46Ab、Cry47Aa、Cry48Aa、Cry48Ab、Cry49Aa、Cry49Ab、Cry50Aa、Cry50Ba、Cry51Aa、Cry52Aa、Cry52Ba、Cry53Aa、Cry53Ab、Cry54Aa、Cry54Ab、Cry54Ba、Cry55Aa、Cry56Aa、Cry57Aa、Cry57Ab、Cry58Aa、Cry59Aa、Cry59Ba、Cry60Aa、Cry60Ba、Cry61Aa、Cry62Aa、Cry63Aa、Cry64Aa、Cry65Aa、Cry66Aa、Cry67Aa、Cry68Aa、Cry69Aa、Cry69Ab、Cry70Aa、Cry70Ba、Cry70Bb、Cry71Aa、Cry72Aa、Cry73Aa又は上記のものの任意の組合せから選択されるCryタンパク質である。実施形態において、Cryタンパク質は、例えば、トウモロコシイベントTC1507で表されるようなCry1Faである。
【0296】
さらなる実施形態において、第2の有害生物防除剤は、Vip3Aa1、Vip3Aa2、Vip3Aa3、Vip3Aa4、Vip3Aa5、Vip3Aa6、Vip3Aa7、Vip3Aa8、Vip3Aa9、Vip3Aa10、Vip3Aa11、Vip3Aa12、Vip3Aa13、Vip3Aa14、Vip3Aa15、Vip3Aa16、Vip3Aa17、Vip3Aa18、Vip3Aa19、Vip3Aa20、Vip3Aa21、Vip3Aa22、Vip3Aa2、Vip3Aa24、Vip3Aa25、Vip3Aa26、Vip3Aa27、Vip3Aa28、Vip3Aa29、Vip3Aa30、Vip3Aa31、Vip3Aa32、Vip3Aa33、Vip3Aa34、Vip3Aa35、Vip3Aa36、Vip3Aa37、Vip3Aa38、Vip3Aa39、Vip3Aa40、Vip3Aa41、Vip3Aa42、Vip3Aa43、Vip3Aa44、Vip3Ab1、Vip3Ab2、Vip3Ac1、Vip3Ad1、Vip3Ad2、Vip3Ae1、Vip3Af1、Vip3Af2、Vip3Af3、Vip3Ag1、Vip3Ag2、Vip3Ag3 HM117633、Vip3Ag4、Vip3Ag5、Vip3Ah1、Vip3Ba1、Vip3Ba2、Vip3Bb1、Vip3Bb2、Vip3Bb3又は上記のものの任意の組合せから選択される1つ又は複数のVip3植物性殺虫性タンパク質である。実施形態において、Vip3タンパク質は、例えば、コーンイベントMIR162(米国特許第8,232,456号明細書;米国特許第8,455,720号明細書;及び米国特許第8,618,272号明細書)で表されるようなVip3Aa(米国特許第6,137,033号明細書)である。
【0297】
実施形態において、第2の有害生物防除剤は、B.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)以外の起源から得ることができる。例えば、第2の有害生物防除剤は、アルファ-アミラーゼ、ペルオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、パタチン、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤、ウレアーゼ、アルファ-アミラーゼ阻害剤、細孔形成タンパク質、キチナーゼ、レクチン、改変抗体又は抗体断片、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)殺虫性タンパク質、ゼノラブダス(Xenorhabdus)種(例えば、X.ネマトフィラ(X.nematophila)又はX.ボビエニイ(X.bovienii))殺虫性タンパク質、フォトラブダス(Photorhabdus)種(例えば、P.ルミネッセンス(P.luminescens)又はP.アシムビオティカ(P.asymobiotica))殺虫性タンパク質、ブレビバチルス(Brevibacillus)種(例えば、B.ラテロスポルス(B.laterosporous))殺虫性タンパク質、リシニバチルス(Lysinibacillus)種(例えば、L.スファエリクス(L.sphearicus))殺虫性タンパク質、クロモバクテリウム(Chromobacterium)種(例えば、C.スブツガエ(C.subtsugae)又はC.ピスキナエ(C.piscinae))殺虫性タンパク質、エルシニア(Yersinia)種(例えば、Y.エントモファガ(Y.entomophaga))殺虫性タンパク質、パエニバチルス(Paenibacillus)種(例えば、P.プロピラエア(P.propylaea))殺虫性タンパク質、クロストリジウム(Clostridium)種(例えば、C.ビフェルメンタンス(C.bifermentans))殺虫性タンパク質、シュードモナス(Pseudomonas)種(例えば、P.フルオレッセンス(P.fluorescens))及びリグニンであり得る。他の実施形態において、第2の防除剤は、フォトラブダス(Photorhabdus)、ゼノラブス(Xenorhabus)、セラチア(Serratia)又はエルシニア(Yersinia)に由来する殺虫性毒素複合体(Tc)から得られる少なくとも1つの殺虫性タンパク質であり得る。他の実施形態において、殺虫性タンパク質は、フォトラブダス(Photorhabdus)種などの殺虫性細菌に由来するADP-リボシルトランスフェラーゼであり得る。他の実施形態において、殺虫性タンパク質は、B.セレウス(B.cereus)に由来するVIP1及び/又はVIP2などのVIPタンパク質であり得る。さらに他の実施形態において、殺虫性タンパク質は、殺虫性細菌に由来するバイナリー毒素、例えばB.ラテロスポルス(B.laterosporous)に由来するISP1A及びISP2A又はL.スファエリクス(L.sphaericus)に由来するBinA及びBinBであり得る。さらに他の実施形態において、殺虫性タンパク質は、操作され得るか、又は前述の殺虫性タンパク質のいずれかのハイブリッド若しくはキメラであり得る。
【0298】
ある実施形態において、第2の殺有害生物剤は、非タンパク質性の、例えばdsRNAなどの干渉RNA分子であり得、これは、遺伝子導入で発現され得るか、又は組成物の一部として適用され得る(例えば、局所法を用いる)。干渉RNAは、通常、少なくとも、標的遺伝子に対するRNA断片と、スペーサー配列と、二本鎖RNA構造が形成され得るように第1のRNA断片に相補的な第2のRNA断片とを含む。RNA干渉(RNAi)は、生物が二本鎖RNA(dsRNA)分子を認識し、それらを加水分解するときに生じる。得られた加水分解産物は、小分子干渉RNA(siRNA)と呼ばれる約19~24ヌクレオチドの長さの小さいRNA断片である。次に、siRNAは、生物全体に拡散又は輸送(細胞膜の通過を含む)され、そこで、mRNA(又は他のRNA)にハイブリダイズして、RNAの加水分解を引き起こす。干渉RNAは、RNAのエフェクター鎖(又は「ガイド鎖」)がロードされるRNA干渉サイレンシング複合体(RISC)によって認識される。このガイド鎖は、二本鎖配列の認識及び破壊のための鋳型の役割を果たす。このプロセスは、siRNAがその相補RNA標的にハイブリダイズするたびに繰り返され、それらのmRNAが翻訳されることを効果的に防止し、したがってmRNAが転写された特定の遺伝子の発現を「サイレンシング」する。干渉RNAは、昆虫防除に有用であることが当技術分野において知られている(例えば、参照によって本明細書中に援用される国際公開第2013/192256号を参照されたい)。昆虫防除において使用するために設計された干渉RNAは、天然に存在しない二本鎖RNAを生じさせ、これは、昆虫の天然RNAi経路を利用して、摂食及び/又は成長の休止をもたらし得る標的遺伝子の下方制御を引き起こし、その結果、害虫の死が起こり得る。干渉RNA分子は、本発明のタンパク質と同じ標的有害生物に対する昆虫耐性を付与し得るか、又は異なる有害生物を標的とし得る。標的とされる昆虫植物有害生物は、咀嚼、吸引又は穿孔によって摂食し得る。干渉RNAは、昆虫防除に有用であることが当技術分野において知られている。実施形態において、昆虫防除に有用なdsRNAは、2016年8月5日に出願された米国仮特許出願第62/371,259号明細書、同第62/371,261号明細書又は同第62/371,262号明細書に記載されている。実施形態において、昆虫防除に有用なdsRNAは、米国特許第9,238,8223号明細書、同第9,340,797号明細書又は同第8,946,510号明細書に記載されている。実施形態において、昆虫防除に有用なdsRNAは、米国特許出願公開第12/868,994号明細書、同第13/831,230号明細書、同第14/207,313号明細書又は同第14/207318号明細書に記載されている。他の実施形態において、干渉RNAは、昆虫でない植物有害生物、例えば線虫有害生物又はウィルス有害生物に対する耐性を付与し得る。
【0299】
またさらなる実施形態において、本発明のキメラ殺虫性タンパク質である第1の昆虫防除剤及び第2の有害生物防除剤は、トランスジェニック植物において同時発現される。同じトランスジェニック植物における2つ以上の殺有害生物性成分のこの同時発現は、昆虫防除剤をコードする核酸配列を含有及び発現するように植物を遺伝的に操作することによって達成することができる。例えば、同じトランスジェニック植物における2つ以上の殺有害生物剤の同時発現は、「分子スタック」において2つ以上の殺有害生物剤のコード配列を含む単一の組換えベクターを作製し、トランスジェニック植物において全ての殺有害生物剤を含有及び発現するように植物を遺伝的に操作することによって達成することができる。このような分子スタックは、例えば、米国特許第7,235,716号明細書に記載されるようにミニ染色体を用いて作製され得る。代替的に、植物、親1は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質の発現のために遺伝子操作され得る。第2の植物、親2は、第2の有害生物防除剤の発現のために遺伝子操作され得る。親1と親2を交雑させることにより、親1及び2からの両方の昆虫防除剤を発現する子孫植物が得られる。
【0300】
他の実施形態において、本発明は、標的有害生物における必須遺伝子の抑制のためのdsRNAをコードする核酸(例えば、DNA)配列と、標的有害生物に対する殺虫活性を示す本発明のキメラ殺虫性タンパク質をコードする核酸、例えば(DNA)配列とを含む、植物有害生物の外寄生に耐性があるスタックされたトランスジェニック植物を提供する。おそらくdsRNAを不安定化する中腸の高pHに起因して、dsRNAは、特定の鱗翅目有害生物に対して効果がないことが報告されている(Rajagopol et al.2002.J.Biol.Chem.277:468-494)。したがって、標的有害生物が鱗翅目有害生物であるいくつかの実施形態において、本発明のキメラ殺虫性タンパク質は、中腸pHを一時的に低下させるように作用し、これは、同時摂取されたdsRNAを安定化することに役立ち、標的遺伝子のサイレンシングにおいてdsRNAを有効にする。
【0301】
本発明の殺虫性タンパク質を含み且つ/又は発現するトランスジェニック植物又は種子は、米国特許第5,849,320号明細書及び同第5,876,739号明細書に記載されるような殺虫剤又は殺虫性種子コーティングによって処理することもできる。殺虫剤又は殺虫性種子コーティング及び本発明のトランスジェニック植物又は種子の両方が同じ標的昆虫、例えば鱗翅目有害生物(例えば、ツマジロクサヨトウ)に対して活性である実施形態において、この組み合わせは、(i)標的昆虫に対する本発明の組成物の活性をさらに増強するための方法において、及び/又は(ii)標的昆虫に対してさらに別の作用メカニズムを提供することによって本発明の組成物に対する耐性の発生を防止するための方法において有用である。したがって、実施形態において、本発明は、本発明のトランスジェニック植物又は種子を提供し、その植物又は種子に、殺虫剤又は殺虫性種子コーティングを本発明のトランスジェニック植物又は種子に適用するステップを含む、鱗翅目昆虫集団の防除を増強する方法を提供する。
【0302】
殺虫剤又は殺虫性種子コーティングが異なる昆虫に対して活性である場合でも、例えば鞘翅目昆虫に対する活性を有する殺虫剤又は殺虫性種子コーティングを本発明のトランスジェニック種子に付加することにより、殺虫剤又は殺虫性種子コーティングは、昆虫防除の範囲を拡大するために有用であり、ある実施形態では、本発明のトランスジェニック種子は、鱗翅目昆虫に対する活性を有し、生産された被覆トランスジェニック種子は、鱗翅目及び鞘翅目害虫の両方を防除する。
【0303】
本発明は、昆虫耐性(例えば、鱗翅目昆虫耐性)トランスジェニック植物を生産する方法も包含する。それぞれの実施形態において、この方法は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクター(本明細書に具体的に開示されるポリペプチドと実質的に同一である毒素の断片及び修飾形態を含む)を植物に導入するステップ(ここで、ヌクレオチド配列は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質を産生し、それにより害虫に対する耐性を植物に付与するために植物において発現される)と、昆虫耐性トランスジェニック植物(例えば、適切な防除植物、例えば本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含まず、且つ/又は本発明のポリペプチドを発現しない植物と比較して)を生産するステップとを含む。
【0304】
実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを植物に導入する方法は、まずポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターにより植物細胞を形質転換し、そこからトランスジェニック植物を再生させるステップを含み、ここで、トランスジェニック植物は、ポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含み、本発明のキメラ殺虫性タンパク質を発現する。
【0305】
代替的に又は付加的に、導入ステップは、ポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含む第1の植物と、第2の植物(例えば、第1の植物と異なる植物、例えばポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含まない植物)とを交雑させるステップと、任意に、ポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含み、本発明のキメラ殺虫性タンパク質を発現し、それにより少なくとも1つの害虫に対する耐性の増大をもたらす子孫植物を生産するステップとを含むことができる。したがって、本発明のトランスジェニック植物は、ポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含み、任意にキメラ殺虫性タンパク質を発現し、少なくとも1つの害虫に対する耐性の増大をもたらす、形質転換イベントの直接的な結果である植物及びその子孫(任意の世代)を包含する。
【0306】
本発明は、本発明のトランスジェニック植物を同定する方法をさらに提供し、本方法は、植物(又はそれから得られる植物細胞、植物部位など)における本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター又はキメラ殺虫性タンパク質の存在を検出し、それにより本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター又はキメラ殺虫性タンパク質の存在に基づいて植物を本発明のトランスジェニック植物と同定するステップを含む。
【0307】
本発明は、少なくとも1つの害虫(例えば、少なくとも1つの鱗翅目有害生物)に対する耐性が増大されたトランスジェニック植物を生産する方法をさらに提供し、本方法は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含む種子を蒔き、その種子からトランスジェニック植物を成長させるステップを含み、ここで、トランスジェニック植物は、ポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含み、キメラ殺虫性タンパク質を産生する。
【0308】
実施形態において、本発明の方法によって生産されるトランスジェニック植物は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含む。実施形態において、本発明の方法によって生産されるトランスジェニック植物は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質を含み、任意に、少なくとも1つの害虫に対する耐性が増大されている。
【0309】
本明細書に記載されるトランスジェニック植物を生産する方法は、トランスジェニック植物から種子を収穫するさらなるステップを任意に含み、ここで、種子は、ポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含み、キメラ殺虫性タンパク質を産生する。任意に、種子は、さらなるトランスジェニック植物を生産し、これは、ポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含み、キメラ殺虫性タンパク質を産生し、それにより少なくとも1つの害虫に対する耐性が増大されている。
【0310】
本発明は、本発明の方法によって生産されるトランスジェニック植物の植物部位、植物細胞、植物器官、植物培養物、種子、植物抽出物、収穫産物及び加工産物をさらに提供する。
【0311】
さらなる態様として、本発明は、種子を生産する方法も提供し、本方法は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含むトランスジェニック植物を提供し、そのトランスジェニック植物から種子を収穫するステップを含み、ここで、種子は、ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクターを含み、キメラ殺虫性タンパク質を産生する。任意に、種子は、さらなるトランスジェニック植物を生産し、これは、ポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含み、キメラ殺虫性タンパク質を産生し、それにより少なくとも1つの害虫に対する耐性が増大されている。それぞれの実施形態において、トランスジェニック植物を提供するステップは、トランスジェニック植物を生産する種子を播くことを含む。
【0312】
本発明は、ハイブリッド植物種子を生産する方法をさらに提供し、本方法は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含み、任意に本発明のキメラ殺虫性タンパク質を発現するトランスジェニック植物である第1の近交系植物と、異なる近交系植物(例えば、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含まない近交系植物)とを交雑させ、ハイブリッド種子を形成させるステップを含む。任意に、本方法は、ハイブリッド種子を収穫することをさらに含む。実施形態において、ハイブリッド種子は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含み、実施形態においてさらに本発明のキメラ殺虫性タンパク質を含み、害虫に対する耐性の増大を有し得る。実施形態において、ハイブリッド種子は、トランスジェニック植物を生産し、これは、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含み、本発明のキメラ殺虫性タンパク質を発現し、少なくとも1つの害虫に対する耐性が増大されている。
【0313】
ある実施形態において、本発明のトランスジェニック植物は、少なくとも1つの鱗翅目害虫(本明細書に記載される通り)に耐性がある。実施形態において、トランスジェニック植物は、Vip3A(例えば、Vip3Aaタンパク質、例えばトウモロコシイベントMIR162において発現されるもの)及び/又はCry1Fタンパク質(例えば、Cry1Faタンパク質、例えばトウモロコシイベントTC1507において発現されるもの)に耐性のあるツマジロクサヨトウ害虫又はコロニーを防除する。
【0314】
さらなる実施形態において、少なくとも1つの害虫(例えば、ツマジロクサヨトウなどの少なくとも1つの鱗翅目害虫)を防除する方法は、本発明のキメラ殺虫性タンパク質を提供するステップを含む。実施形態において、本方法は、害虫又はその環境に有効量の本発明のキメラ殺虫性タンパク質を送達する(例えば、経口的に送達する)ステップを含む。一般に、有効であるために、ポリペプチドは、昆虫によって経口摂取される。しかしながら、キメラ殺虫性タンパク質は、多くの認識される方法で昆虫に送達することができる。タンパク質を昆虫に経口的に送達するための方法には、限定はされないが、(1)トランスジェニック植物において(ここで、昆虫は、トランスジェニック植物の1つ又は複数の部分を食べ(摂取し)、それによりトランスジェニック植物において発現されるポリペプチドを摂取する;(2)例えば、昆虫の成長培地に適用又は取り込まれ得る配合されたタンパク質組成物において;(3)表面に適用され得る、例えば植物部位の表面にスプレーされ得る(これは、次に、昆虫がスプレーされた植物部位の1つ又は複数を食べたときに昆虫により摂取される)タンパク質組成物において;(4)餌基質において;又は(5)当技術分野において認められる任意の他のタンパク質送達系においてタンパク質を提供することが含まれる。したがって、昆虫への経口送達のあらゆる方法を使用して、本発明の毒性タンパク質を送達することができる。いくつかの特定の実施形態では、本発明のキメラ殺虫性タンパク質は、昆虫に経口的に送達され、例えば、ここで、昆虫は、本発明のトランスジェニック植物の1つ又は複数の部分を摂取する。
【0315】
他の実施形態において、本発明の殺虫性タンパク質は、昆虫に経口的に送達され、ここで、昆虫は、本発明の殺虫性タンパク質を含む組成物がスプレーされた植物の1つ又は複数の部分を摂取する。本発明の組成物の植物表面への送達は、化合物、組成物、配合物などを植物表面に適用するために、当業者に知られているあらゆる方法を用いて行うことができる。植物若しくはその部位に送達するか、又は植物若しくはその部位と接触させるいくつかの非限定的な例としては、スプレーイング、ダスティング、スプリンクリング、スキャッタリング、ミスティング、アトマイジング、ブロードキャスティング、浸漬、土壌注入、土壌混和、灌注(例えば、根、土壌処理)、ディッピング、注入、コーティング、葉又は茎浸潤、側方施肥又は種子処理など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。植物又はその部位を化合物、組成物又は配合物と接触させるためのこれら及び他の手順は、当業者によく知られている。
【0316】
ある実施形態において、本発明は、スポドプテラ(Spodoptera)害虫を防除する手段を農業家に提供する方法を包含し、本方法は、種子などの植物材料を農業家に供給又は販売するステップを含み、植物材料は、本発明のTxp40殺虫性タンパク質を発現することができるTxp40ポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含む。他の実施形態において、スポドプテラ(Spodoptera)害虫は、ツマジロクサヨトウ有害生物であり、植物材料は、本発明のTxp40殺虫性タンパク質を含み、任意に、少なくともツマジロクサヨトウに対する耐性が増大されている。他の実施形態において、植物材料は、コーン種子であり、種子から成長されるコーン植物は、本発明のTxp40殺虫性タンパク質を発現する本発明のTxp40ポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含み、少なくともツマジロクサヨトウに対する耐性が増大されている。
【実施例
【0317】
本発明は、以下の詳細な実施例を参照してさらに説明される。これらの実施例は、説明のためにのみ提供され、他に規定されない限り、限定であることを意図されない。ここで使用される標準的な組換えDNA及び分子クローニング技術は、当技術分野でよく知られており、J.Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3d Ed.,Cold Spring Harbor,NY:Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)により、T.J.Silhavy,M.L.Berman,and L.W.Enquist,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1984)により、且つAusubel,F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,New York,John Wiley and Sons Inc.,(1988)、Reiter,et al.,Methods in Arabidopsis Research,World Scientific Press(1992)及びSchultz et al.,Plant Molecular Biology Manual,Kluwer Academic Publishers(1998)により記載されている。
【0318】
実施例1.Cry耐性ツマジロクサヨトウに対するTxp40タンパク質の殺虫活性
Txp40タンパク質を含むE.コリ(E.coli)抽出物で人工昆虫飼料の表面が覆われた人工飼料バイオアッセイを用いて、フォトラブダス・ルミネッセンス(Photorhabdus lumimescens)から得られるTxp40タンパク質(配列番号1)の殺虫活性を決定した。これらのバイオアッセイにおいて使用したFAWの系統は、Cry1F及びCry1Ab殺虫性タンパク質に耐性があるFAWの野外集団から得られる。Vip3タンパク質を陽性対照として使用した。エンプティベクター、すなわちtxp40コード配列を含まないベクターを含むE.コリ(E.coli)クローンを陰性対照として使用した。バイオアッセイの結果は、7日目に死亡率及び有効死亡率パーセントで記録される。ここで、有効死亡率は、試験中にFAW幼虫により達成される成長段階を考慮し、すなわち成長阻害を有し、瀕死の状態である処理幼虫は、事実上死んでいると見なされる。
【0319】
結果は、表1に示される。Txp40を含むE.コリ(E.coli)抽出物を昆虫バイオアッセイで試験すると、Txp40は、驚くべきことに、Cry1F耐性FAWに対して著しい殺虫活性を示した。これらの結果は、FAWに対するTxp40タンパク質の驚くべき経口活性を実証するだけでなく、Txp40が、B.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)由来のCry1F及びCry1Ab殺虫性タンパク質と異なる作用機序を有することも示す。
【0320】
【表1】
【0321】
Txp40タンパク質の効力を試験するために、Txp40 E.コリ(E.coli)抽出物の希釈物を作り、上記のように人工昆虫飼料の表面に付加した。Txp40処理及びVip3陽性対照処理の両方について、無希釈抽出物も試験した。
【0322】
表2に示される結果は、Txp40タンパク質が1:32希釈物でも著しい活性を有することを実証し、これにより、トランスジェニックコーン植物におけるTxp40の発現は、特にCry耐性FAWに対して実行可能なFAW防除の選択肢であり得ることが示される。
【0323】
【表2】
【0324】
実施例2.Txp40変異体のFAW活性
Txp40-1(配列番号1)に突然変異を導入し、各Txp40変異体からの細菌ライセートのタンパク質安定性及び殺虫活性をアッセイした。突然変異は、種々の残基におけるアミノ酸変化と、アミノ酸残基の挿入及び/又は欠失とも含んでいた。本質的に実施例1に記載されるように実施される飼料オーバーレイアッセイを用いて、1つ又は複数の突然変異を有する変異体Txp40タンパク質を、ブラジル由来の系統(BR-FAW;スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))及び北米由来の系統(NA-FAW;スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))の2系統のツマジロクサヨトウに対する殺虫活性について試験した。植物性殺虫性タンパク質Vip3D、野生型Txp40タンパク質及び/又はバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)株C0756を陽性対照として使用した。pET29エンプティベクターを陰性対照として使用した。表3~4は、標的突然変異を有する変異体Txp40タンパク質の発現、溶解性及び/又は殺虫活性アッセイの結果を示す。
【0325】
【表3-1】
【表3-2】
【0326】
【表4】
【0327】
表3の結果は、野生型Txp40タンパク質と比較して、ツマジロクサヨトウ(FAW)に対して同等の又はより優れた殺虫活性を有する変異体Txp40タンパク質が産生され得ることを実証する。例えば、K73A、K191A、K209A、K238A、K309A、R10A、R26A、R46A、R186A及びR226Aにおける単一の突然変異を有する変異体タンパク質は、NA-FAWに対して野生型Txp40とほぼ同じ殺虫活性を有し、且つK49A、K200A、K221A、R26A、R167A、R208A及びR217Aにおける単一の突然変異を有する変異体タンパク質は、BR-FAWに対して野生型Txp40とほぼ同じ殺虫活性を有した。
【0328】
Txp40における突然変異のいくつかは、野生型Txp40タンパク質と比較して、NA-FAWに対する殺虫活性が増大された又は著しく増大された(20%以上)変異体タンパク質を作り出した。例えば、K31A、K49A、K73A、K75A、K103A、K111A、K119A、K170A、K191A、K200A、K210A、K213A、K221A、K284A、K333A、R167A、R208A及びR252Aにおける単一の突然変異を有する変異体タンパク質の全ては、野生型Txp40と比較して、NA-FAWに対してより優れた活性を有し、これらの突然変異体のうち、K31A、K49A、K75A、K111A、K119A、K200A及びK333Aは、野生型Txp40と比較してNA-FAWに対する殺虫活性の20%以上の増大を有した。Txp40における突然変異のいくつかは、野生型Txp40タンパク質と比較して、BR-FAWに対する殺虫活性が増大された又は著しく増大された(14%以上)変異体タンパク質を作り出した。例えば、K31A、K49A、K73A、K75A、K103A、K111A、K119A、K200A、K213A及びK333Aにおける単一の突然変異を有する変異体タンパク質の全ては、野生型Txp40と比較して、BR-FAWに対してより優れた活性を有し、これらのうち、K73A、K103A及びK213Aは、野生型Txp40タンパク質と比較して、BR-FAWに対する殺虫活性の著しい増大を有した。
【0329】
結果は、Txp40(配列番号1)における特定の突然変異が、BR-FAWと比較してNA-FAWに対する毒性が驚くほど異なる変異体タンパク質を作り出したことをさらに実証する。いくつかの突然変異体、例えばK31A、K48A、K75A、K111A、K119A、K133A、K170A、K209A、K210A、K238A、K333A、R10A、R208A及びR226Aは、BR-FAWよりもNA-FAWに対してより毒性であった。いくつかの変異体、例えばK73A、K103A、K213A、K247A、K271A、K284A、R26A、R46A、R187A、R217A及びR240Aは、NA-FAWよりもBR-FAWに対してより毒性であり、これらの位置は、異なるFAW活性のために重要であることが示された。
【0330】
複数の突然変異を含む変異体Txp40タンパク質の大部分は、野生型Txp40と比較してNA-FAWに対する殺虫活性が低減されており、いくつかの突然変異は、活性を完全にノックアウトしており、再度、Txp40の生物活性に対するこれらのアミノ酸位置の重要性が示された。複数の突然変異を有する変異体のいくつかは、野生型Txp40と等しい活性を有し、位置K119A/K213Aにおける突然変異を有する1つの変異体(配列番号127)は、野生型Txp40と比較して殺虫活性を著しく増大させた。
【0331】
GenScript(登録商標)(Piscataway,NJ)により実行される、全長Txp40-K119A/K213A DNAにおける縮重オリゴヌクレオチドランダム突然変異誘発技術を用いて、さらなる突然変異を生じさせるために、変異体Txp40-K119A/K213Aタンパク質(配列番号127)をコードするDNAを鋳型として使用した。ランダム突然変異を含む変異体のライブラリーをpET29aベクターにサブクローニングした。変異体Txp40タンパク質を含む何百もの細菌ライセートを、上記のようにNA-FAW、BR-FAW及びソイビーンルーパー(soybean looper)(SBL;クリソデイキシス・インクルデンス(Chrysodeixis includens))に対する殺虫活性について試験した。特定の変異体についての結果は、表5に示される。
【0332】
【表5】
【0333】
上記のように、野生型Txp40(配列番号1)及び変異体Txp40タンパク質は、NA-FAW及びBR-FAWに対して異なる毒性を有する。ランダム化実験の目的は、NA-及びBR-FAWの両方の系統並びに他の鱗翅目種に対する高殺虫活性を付与する突然変異を含む1つ又は複数のTxp40変異体を同定することであった。ランダム突然変異誘発のための鋳型として使用したK119A/K213A突然変異を含むTxp40変異体(配列番号127)は、NA-FAWに対して非常に活性であるが、BR-FAW及びSBLに対する活性がはるかに低い(表5を参照されたい)。
【0334】
何百ものランダム変異誘発されたTxp40突然変異体のバイオアッセイの結果は、大多数がNA-FAW及びBR-FAWに対して異なる毒性を維持することを示した。しかしながら、野生型Txp40(配列番号1)及び鋳型として使用したTxp40-K119A/K213A変異体(配列番号127)の活性と比較して、NA-FAWに対する高活性を維持し、驚くべきことにBR-FAWに対しても非常に高い活性を有する3つの変異体、Txp40-K119A/K213A/S11Y/M86I(配列番号130);Txp40-K119A/K213A/S11Y(配列番号131)及びTxp40-K119A/K213A/F169V(配列番号132)を同定した。それらの変異体の1つであるTxp40-K119A/K213A/S11Y(配列番号131)は、驚くべきことに、変異体鋳型のTxp40-K119A/K213Aと比較して、ソイビーンルーパー(SBL)に対しても著しく増大した活性を有した。これらの結果は、配列番号1のアミノ酸位置11、119及び213がTxp40タンパク質の殺虫効力の決定において非常に重要であることを強く示唆する。
【0335】
上記のように作製及びNA-FAWに対して試験した、さらに他の変異体Txp40タンパク質は、表6に示される。表6における全ての突然変異は、配列番号1におけるアミノ酸置換を指す。
【0336】
【表6】
【0337】
表6に示される結果は、配列番号1の少なくともアミノ酸位置119及び213がFAW活性を決定するために重要であるという知見を支持する。
【0338】
実施例3.Vip3耐性FAWに対するTxp40活性の試験
Txp40及び/又は変異体タンパク質の毒性が、Vip3Aタンパク質からの異なるMOAによるものであるかどうかを決定するために、Txp40野生型及び上記のTxp40-K119A変異体タンパク質を実施例2に記載されるように作製した。Txp40タンパク質をTxp40 Buffer中に別々に混合し、Bio-Rad Experionシステム(BioRad,Hercules,CA)を用いて、溶解したタンパク質調製物の純度をモニターした。
【0339】
Vip3A殺虫性タンパク質に耐性があるFAWの系統に対する効力について精製タンパク質を試験した。本質的に実施例1に記載されるように飼料オーバーレイアッセイを実施した。Vip3Aタンパク質をPBS中に溶解させた。2つの陰性対照処理は、PBS及びTxp40 Bufferであった。Vip3A耐性FAW系統のための陽性対照としてCry1Faタンパク質を使用した。各タンパク質の複数の濃縮物を試験した。7日目に殺虫活性を有効死亡率として評価した(成長阻害を有し、瀕死の状態である幼虫は、事実上死んでいると記録した)。
【0340】
結果は、Vip3A耐性FAW系統がVip3Aによって防除されないことを示し、その系統がこのタンパク質に耐性があることが実証される。対照的に、Txp40野生型タンパク質及びTxp40-K119A変異体は、Vip3耐性昆虫に60%の死亡率を与え、これにより、Txp40の作用機序がVip3Aタンパク質の作用機序と異なり、したがってFAW集団における耐性の発生を軽減するためにVip3とのスタッキングの組合せにおいて有用であることが示唆される。
【0341】
実施例4.E.コリ(E.coli)ライセート調製物における疑似胃液試験
この実施例は、Txp40及び/又はTxp40変異体のSGF消化性を決定するためのアッセイを記載する。E.コリ(E.coli)株BL21*(DE3)において各Txp40タンパク質及び/又は変異体を産生させた。細菌株における変異体の発現レベル及び変異体の溶解性を決定した。緩衝液中の細菌ライセートを消化性分析のために3mg/mL(全タンパク質濃度)に希釈した。37℃において15μLのライセートを285μLの疑似胃液[G-Con溶液(2mg/mLの塩化ナトリウム、pH1.2)中、10単位のペプシン/μgタンパク質又は約1579単位のペプシン/mL]に添加することにより、消化反応を開始させた。5分したら、100μLのライセート-SGF反応物を取り出し、65のトリシン負荷緩衝液(Bio-rad 2xトリシン負荷緩衝液w/10β-メルカプトエタノール)及び35の500mMの重炭酸ナトリウム、pH11.0から構成される100μLの予熱(95℃)した停止溶液に添加することにより反応を停止させた。予熱(95℃)した100μLの停止溶液及び95μLの疑似胃液に5μLの試験ライセートを添加することにより、ゼロ(T0)時点を作製した。全てのサンプルを95℃に5分間加熱してから、SDS-PAGE分析まで氷上で保管した。標準的なタンパク質ゲル電気泳動前に、30マイクロリットルの各反応を10~20のトリス-トリシンペプチドゲル上にロードした。電気泳動の直後に40メタノール:10酢酸混合物によりトリス-トリシンゲルを20分間固定した。次に、GelCode Blueタンパク質染料によりゲルを室温で1時間染色した。1時間後、ポリアクリルアミドゲルを蒸留水により少なくとも12時間脱染した。結果は、「合格」、「不合格」評価からなる。T5試験の「不合格」は、ゲル電気泳動後のGelCode Blueタンパク質染色により、無傷又は部分消化されたTxp40タンパク質及び/又は変異体が検出可能であったことを意味し、SGFアッセイにおいてタンパク質を完全には消化できなかったことが示される。T5試験の「合格」は、無傷のTxp40タンパク質及び/又は変異体が検出不能であったことを意味し、SGFアッセイにおいてTxp40タンパク質及び/又は変異体を消化できたことが示される。これらの実験の結果は、Txp40及び変異体Txp40タンパク質がSGFアッセイにおいて完全に消化されることを実証した。
【0342】
実施例5.txp40-1コドン最適化遺伝子によるトウモロコシの形質転換
トウモロコシのアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換に適したバイナリーベクター構築物を作製する。バイナリーベクターは、植物での発現を促すのに適したプロモータに5末端で作動可能に連結され、且つターミネータ配列に3末端で作動可能に連結された、txp40-K119A/K213A(配列番号127)をコードするトウモロコシ最適化核酸及びTxp40-K119A/K213A/S11Y(配列番号131)をコードするものを含む。例えば、米国特許第6,320,100号明細書(参照によって本明細書中に援用される)に記載される方法を用いて、トウモロコシのコドン最適化が実施される。構築物は、当業者に知られている標準的な分子生物学技術を用いて、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に形質転換される。形質転換のためのアグロバクテリア(Agrobacteria)を調製するために、28℃及び220rpmにおいて、液体YPC培地中で細胞を一晩培養する。未成熟トウモロコシ胚のアグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換は、本質的にNegrotto et al.,2000(Plant Cell Reports 19:798-803)に記載されるように実施される。この実施例では、全ての培地成分は、本質的に上記のNegrotto et al.に記載される通りである。しかしながら、当技術分野において知られている種々の培地成分が代用され得る。
【0343】
形質転換、選択及び再生後、植物は、TaqMan(登録商標)分析を用いて、選択可能なマーカーをコードする遺伝子及びtxp40トウモロコシコドン最適化コード配列の存在についてアッセイされる。植物は、ベクター骨格の存在についても試験される。ベクター骨格に対して陰性であり、導入遺伝子の1つのコピーを含む植物を温室に移し、FAW損傷に対する耐性についてアッセイする。結果は、両方のタンパク質が植物において発現し、ツマジロクサヨトウに対して活性であることを示すであろう。
【0344】
実施例6.第2の殺虫剤と組み合わせたTxp40-1
Txp40及び/又はTxp40変異体は、実施例1と同様に細菌ライセートとして精製されるか、又はタンパク質として精製される。第2の殺虫剤、例えばCryタンパク質、及び/又はVIP、及び/又はdsRNAが調製される。非限定的な例において、Cryタンパク質は、Cry1Ab、Cry1B、Cry1C、Cry1D、Cry1F、Cry1J及び/又はCry2Aタンパク質であり得る。他の非限定的な例において、Vip3タンパク質は、Vip3A及び/又はVip3Bタンパク質であり得る。dsRNAは、液胞型ATPシンターゼ、ベータ-チューブリン、26Sプロテオソームサブユニットp28タンパク質、EF1α48D、トロポニンI、テトラスパニン、ガンマ-コートマー、ベータ-コートマー及び/又は幼若ホルモンエポキシドヒドロラーゼをコードする遺伝子を標的とし得る(国際公開番号国際公開第2018/026770号、国際公開第2018/026773号及び国際公開第2018/026774号;米国特許第7,812,219号明細書;それぞれ参照によって本明細書中に援用される)。本質的に実施例1に記載される通りであるが、第2の殺虫剤を添加して実施される飼料オーバーレイアッセイにおいて、精製Txp40タンパク質及び第2の殺虫剤をFAWに対する殺虫効力について試験する。
【0345】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、説明のためのみのものであり、及びその説明に照らして、種々の修正形態又は変化形態が当業者に示唆されることになり、本出願及び特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれるべきであることが理解されるはずである。
【0346】
本明細書において言及される全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関連する技術分野の当業者の技能のレベルを示すものである。全ての刊行物及び特許出願は、個々の刊行物又は特許出願がそれぞれ参照によって援用されると具体的及び個別に示されているのと同程度まで参照によって本明細書に援用される。
【配列表】
2022536083000001.app
【国際調査報告】